IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社Klover Worksの特許一覧

<>
  • 特許-焚き火台 図1
  • 特許-焚き火台 図2
  • 特許-焚き火台 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-16
(45)【発行日】2025-01-24
(54)【発明の名称】焚き火台
(51)【国際特許分類】
   F24C 1/16 20210101AFI20250117BHJP
   F24B 1/18 20060101ALI20250117BHJP
   A47J 37/07 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
F24C1/16 Z
F24C1/16 B
F24C1/16 A
F24B1/18 E
A47J37/07
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023546666
(86)(22)【出願日】2021-09-10
(86)【国際出願番号】 JP2021033297
(87)【国際公開番号】W WO2023037492
(87)【国際公開日】2023-03-16
【審査請求日】2023-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】524003275
【氏名又は名称】株式会社Klover Works
(74)【代理人】
【識別番号】100074169
【弁理士】
【氏名又は名称】広瀬 文彦
(72)【発明者】
【氏名】黒田 龍介
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3155739(JP,U)
【文献】実開平5-91530(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0204852(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0288261(US,A1)
【文献】特開2020-192186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 1/16
F24B 1/18
A47J 37/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの燃焼領域を形成する三角形状からなる底部(100)と、該底部周側から立設するフードとなる左右一対のみからなる側壁部(200a・200b)と、前記底部を支持する下部に立設した脚部(300)と、からなる組み立て式の焚き火台(1)において、
三角形からなる前記底部(100)の二辺に沿って2枚の前記側壁部(200a・200b)が各々立設されるとともに、前記脚部(300)は前記側壁部と一体となるように下部に形成される構成であり、
前記焚き火台は、用途・状況に応じて最適な燃焼方法を選択可能とするため、前記三角形状の底部(100)を先鋭側燃焼領域(110)と底辺側燃焼領域(120)とに二分して使い分けるための仕切部材(10)が、左右2枚の側壁部(200a・200b)に懸架されるとともに、前記左右2枚の側壁部の先鋭側燃焼領域(110)近傍には複数の小開口(210)が切設され、底辺側燃焼領域(120)近傍には大開口(220)が切設されることを特徴とする焚き火台。
【請求項2】
前記仕切部材(10)は、前記底部との間に開口(20)を設けるように間隔を空けて装着懸架されることを特徴とする請求項1に記載の焚き火台。
【請求項3】
前記底部(100)は、折り畳めるように左右に分割され接続自在に連結されているとともに、前記左右の側壁部(200a・200b)に着脱自在に係合され、前記左右の側壁部(200a・200b)は三角形状の先鋭側(e)が相互に着脱自在に接続される構成であり、更に、前記仕切部材(10)は、前記側壁部(200a・200b)に着脱自在に係合懸架されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の焚き火台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にキャンプで用いる組み立て式の焚き火台に関し、特に、容易に組立・分解することを可能とするとともに、焚き火台の使用時に、用途や状況に応じて最適な使用方法を選択することを可能とした燃焼領域を有する、可搬性やデザイン性に富んだ多用途からなる組み立て式の焚き火台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、様々な工夫が施された焚き火台が数多く使用されており、大きさ、用途などが異なる多種多様な形状・構造を備えたキャンプに用いられる焚き火台が開発されて使用されている。焚き火台には、暖を取ることを主目的としたものや、調理など行うための台となるものなど、様々なタイプが存在し、ボックスタイプやオープンタイプなどあらゆる形状のものが存在している。
【0003】
燃焼を伴なう焚き火を効率的に行うための台となる焚き火台に関する技術としては、例えば、特開2021-76334号公報が存在する。ここでは、火床をコンパクトに折畳み可能で、かつ、加熱調理用途にも使用可能な焚き火台に関する技術として、燃料を収容する火床が、本体枠に前板と後板と左板と右板とが夫々回動自在に枢着される構成からなり、前板と後板の回動先端部同士が、本体枠より下方位置で連結されることで凹所が形成されるとともに、左板と右板の回動先端部が凹所上に載置されることで左右両端が塞がれて燃料収容部が形成され、更に前板の回動先端部が、後板のスライドガイド部にスライド移動自在に連結され、支持脚に支持した火床の上方に、加熱調理用器具を支承可能な支承部を設ける構成が開示されている。
【0004】
この技術によれば、確かにコンパクトに折り畳み可能な、機能性の高い焚き火台を構成することが可能とも考えられるが、火床の構成が凹状のようなシンプルな構成であり、焚き火台の用途や天候などの状況に応じて使い分ける事を可能とする機能を有さないという問題点が内在するものであった。
【0005】
収納して持ち運ぶことを可能とする焚き火台は、特にキャンパーに好まれるが、可搬性や軽量性の他、様々な状況に応じて使い分けることが可能な多機能性を有することが要求される。更に、故障・破損のリスクを回避するため、構造がシンプルである事が望ましい。そこで、構造が複雑になり過ぎず、かつ、使い勝手のよい、可搬性、機能性、デザイン性に優れた焚き火台の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2021-76334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記問題を解決するために、組み立て式の焚き火台であって、特に、容易に組立・分解することを可能とするとともに、焚き火台の使用時に、用途や状況に応じて最適な使用方法を選択することを可能とする燃焼領域を備える、可搬性やデザイン性に富んだ多用途からなる組み立て式の焚き火台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために本発明に係る焚き火台は、2つの燃焼領域を形成する三角形状からなる底部と、該底部周側から立設するフードとなる左右一対のみからなる側壁部と、前記底部を支持する下部に立設した脚部と、からなる組み立て式の焚き火台であって、三角形からなる前記底部の二辺に沿って2枚の前記側壁部が各々立設されるとともに、前記脚部は前記側壁部と一体となるように下部に形成される構成であり、前記焚き火台は、用途・状況に応じて最適な燃焼方法を選択可能とするため、前記三角形状の底部を先鋭側燃焼領域と底辺側燃焼領域とに二分して使い分けるための仕切部材が、左右2枚の側壁部に懸架されるとともに、前記左右2枚の側壁部の先鋭側燃焼領域近傍には複数の小開口が切設され、底辺側燃焼領域近傍には大開口が切設される構成である。
【0009】
また、前記仕切部材は、前記底部との間に開口を設けるように間隔を空けて装着懸架される構成である。
また、前記底部は、折り畳めるように左右に分割され接続自在に連結されているとともに、前記左右の側壁部に着脱自在に係合され、前記左右の側壁部は三角形状の先鋭側が相互に着脱自在に接続される構成であり、更に、前記仕切部材は、前記側壁部に着脱自在に係合懸架される構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、上記詳述した通りの構成であるので、以下のような効果がある。
1.三角形状からなる安定した底部に2つの燃焼領域を設けたため、あらゆる用途や状況に応じて両者を使い分け、最適な燃焼を行うことが可能となる。また、仕切部材を設けたため、2つの燃焼領域を明確に分離して異なる目的にも使用することが可能となる。
2.仕切部材が、底部と間隔を空けて装着懸架する構成としたため、通気性が良くなるとともに、用途や状況の変化に迅速に対応することが出来る。
【0011】
3.底部が左右に分割されるとともに、側壁部や仕切部材を着脱自在としたため、コンパクトに折り畳み可能な、収納性・搬送性・機能性の高い焚き火台を構成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る焚き火台を、図面に示す実施例に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る焚き火台の斜視図であり、図2は、焚き火台の平面図である。
本発明の焚き火台1は、底部100と、側壁部200a・200bと、脚部300と、からなり、脚部300が形成された左右の側壁部200a・200bを底部100に立設して、箱状に立設することで、用途や状況に応じて最適な使用方法を選択することを可能とする燃焼領域が形成された、容易に組立・分解することが可能な、多用途からなる焚き火台が形成される。
【0013】
底部100は、本発明に係る焚き火台1の使用時に燃料を載置して燃焼させるための台となる部材であり、図1および図2に示すように、平面三角形状の平板からなる構成である。本実施例では、底部100は、2つの燃焼領域を形成する構成であり、これにより、焚き火台1の用途や天候・風などの自然状況に応じて最適な使用方法を選択することが可能となっている。底部100は、本実施例では、チタンからなる構成であるが、これに限定されることはなく、耐熱性を有するとともに軽量な材質であれば、適宜選択して使用することが可能である。なお、2つの燃焼領域については、後述する。
【0014】
側壁部200a・200bは、燃料を燃焼させる際のフードともなる部材であり、底部100の周側から左右一対の側壁部200a・200bを立設することにより、底部100上で燃料を燃焼させる際の風除けが形成される構成である。側壁部200a・200bは、本実施例では、チタンからなる構成であるが、これに限定されることはなく、耐熱性を有するとともに軽量な材質であれば、適宜選択して使用することが可能である。
【0015】
脚部300は、底部100を支持し、底部100と地面との間に空間を設けるための部材であり、焚き火台1の下部に立設される。脚部300は、本実施例では、チタンからなる構成であるが、これに限定されることはなく、耐熱性を有するとともに軽量な材質であれば、適宜選択して使用することが可能である。
【0016】
側壁部200a・200bは、図1および図2に示すように、本実施例では、2枚の側壁部材からなり、三角形からなる底部100の二辺に沿って各々立設される構成である。本実施例では、底部100は二等辺三角形からなり、2つの等辺に対称の形状からなる2枚の側壁部200a・200bが着脱自在に接続されて立設される構成である。
【0017】
また、脚部300は、本実施例では、図1および図2に示すように、側壁部200a・200bと一体となるように、側壁部200a・200bの下部に形成される構成である。
【0018】
本発明に係る焚き火台1は、本実施例では、図1および図2に示すように、仕切部材10が設けられる構成である。仕切部材10は、2枚の側壁部200a・200b同士を接続固定して安定させるとともに、三角形状の底部100を先鋭側燃焼領域110と底辺側燃焼領域120とに二分するための部材であり、左右2枚の側壁部200a・200bの間に懸架されて側壁部200aと側壁部200bとを固定する。
【0019】
この構成とすることにより、2つの燃焼領域を、あらゆる用途や状況に応じて使い分けることができ、最適な燃焼を行うことが可能となる。更に、仕切部材10により、2つの燃焼領域を明確に分離して使用することが可能となる。
【0020】
また、左右2枚の側壁部200a・200bの先鋭側燃焼領域110近傍には、図1および図2に示すように、複数の小開口210が切設される。また、底辺側燃焼領域120近傍には、大開口220が切設される構成である。小開口210と大開口220は、通気性を確保するための開口であり、この部分から空気が流入することにより、底部100での燃料の燃焼効率が高まる。
【0021】
本発明に係る焚き火台1の先鋭側燃焼領域110は、燃焼領域が側壁部200aと側壁部200bとで囲まれている。すなわち、この領域は、四角柱や円柱からなるボックスタイプの焚き火台と同等の役割を果たす。また、底辺側燃焼領域120は、側壁部200aと側壁部200bとが左右に離隔した領域に、燃焼領域が形成されている。また、前述の通り側壁部200a・200bの後端(底辺側燃焼領域120近傍)には大開口220が設けられており通気性が確保されている。すなわち、この領域は、風を遮る壁がないオープンタイプの焚き火台と同等の役割を果たす。
【0022】
一般的に、ボックスタイプの焚き火台は、火力が上部に集中するため少ない燃料で素早く調理ができることや、風の影響を受けにくく炎が安定しやすいというメリットがあるものの、細かい薪等の燃料しか投入できないため薪づくりなどの手間がかかったり、熱が上方に集中するため暖を取るには不向きというようなデメリットがある。一方、オープンタイプの焚き火台は、大きい薪等の燃料を投入できるため薪等の燃料を作る手間がかからないことや、部品が少なく軽量であること、熱が四方に分散するため暖を取りやすいというメリットがあるものの、風の影響を受けやすかったり、炎と鍋との距離が遠くなるため調理に燃料と時間が必要になるというデメリットがある。
【0023】
本発明に係る焚き火台1を上記構造とすることにより、ボックスタイプの焚き火台とオープンタイプの焚き火台との両方の使い方が可能となり、焚き火台1の使用時について、用途や状況に応じて最適な使用方法を選択することが可能となった。
【0024】
仕切部材10は、本実施例では、図2に示すように、底部100との間に開口20を設けるように間隔を空けて装着懸架される構成である。この構成とすることにより、通気性が良くなるとともに、用途や状況の変化に迅速に対応することが可能となった。
【0025】
本発明に係る焚き火台1は、図3に示す実施例では、底部100が、折り畳めるように左右に分割され接続自在に連結される構成となっている。また、底部100には、左右の側壁部200a・200bが着脱自在に係合される。この構成により、三角形状の底部100に、側壁部200a・200bを左右に立設させて風除けを形成することが可能となる。
【0026】
また、左右の側壁部200a・200bは、三角形状からなる底部100に接続された際の先鋭側eが、相互に着脱自在に接続される構成である。これにより、三角形状の先鋭部分が閉じられた焚き火台1が構成される。
【0027】
また、仕切部材10は、側壁部200a・200bに着脱自在に係合懸架される構成である。この構成により、2枚の側壁部200a・200b同士を接続固定して安定させるとともに、2つの燃焼領域を、明確に分離して使用することが可能となるため、あらゆる用途や状況に応じて使い分けることができ、最適な燃焼を行うことが可能となる。また、本発明に係る焚き火台1を容易に組立・分解することが可能となった。
【0028】
本発明に係る焚き火台1を上記構成とすることにより、容易に組立・分解することが可能になるとともに、焚き火台1の使用時には、用途や状況に応じて最適な使用方法を選択することが可能となり、可搬性やデザイン性に富んだ多用途からなる組み立て式の焚き火台1を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係る焚き火台の斜視図
図2】焚き火台の平面図
図3】焚き火台の分解図
【符号の説明】
【0030】
1 焚き火台
10 仕切部材
100 底部
110 先鋭側燃焼領域
120 底辺側燃焼領域
200a 側壁部
200b 側壁部
210 小開口
220 大開口
300 脚部
図1
図2
図3