(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】おにぎり用海苔巻き装置
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20250120BHJP
【FI】
A23L7/10 G
(21)【出願番号】P 2020194159
(22)【出願日】2020-11-24
【審査請求日】2023-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】591033490
【氏名又は名称】株式会社ザ鈴木
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 剛
(72)【発明者】
【氏名】市川 雄介
(72)【発明者】
【氏名】松橋 攝
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-116472(JP,A)
【文献】特開平10-327783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
おにぎりを一方の主面が上向きで搬送するおにぎり搬送機構と、
前記おにぎりに巻き付けられる海苔を搬送する海苔搬送機構と、
前記海苔搬送機構により搬送された前記海苔の下方に、前記おにぎり搬送機構により前記おにぎりを移動させた状態で、前記おにぎりを下方から押し上げて、押し上げられた前記おにぎりの前記主面を前記海苔と貼着させて海苔巻きおにぎり中間体とする押上装置を具える海苔巻き部と、
前記海苔巻き部の上方に配置され、前記押上装置によってさらに押し上げられた前記海苔巻きおにぎり中間体が嵌入され、前記海苔を前記主面に沿って下方に折り曲げて前記おにぎりの側周面に貼着させ、前記海苔の両端片を下方にはみ出させる、前記おにぎりの前記側周面の形状に対応した海苔折込孔を有し、前記海苔折込孔を下流方向に移動可能な搬送装置と、
前記海苔巻き部と前記搬送装置の間に配置され、前記海苔巻き部の上に位置する前記海苔折込孔の下側で対向する一対の海苔折込ガイドであって、前記海苔巻き部の上に位置する海苔折込孔の前記搬送装置による移動方向の上流側に配置される一方の海苔折込ガイドと、下流側に配置される他方の海苔折込ガイドを含み、前記一方の海苔折込ガイドは、前記海苔折込孔の中心に向かって移動可能であり、前記他方の海苔折込ガイドは、前記海苔巻き部の上に位置する前記海苔折込孔の下流側に配置されている、海苔折込ガイドを有し、
前記海苔巻き部で前記押上装置により前記海苔折込孔に嵌入された前記海苔巻きおにぎり中間体が、前記海苔折込孔から落下しないように、前記一対の海苔折込ガイドを互いに接近方向に所定量だけスライドさせた後、前記他方の海苔折込ガイドを静止させたまま、前記一方の海苔折込ガイドを前記海苔折込孔の中心に向かって移動させることで、前記海苔折込孔からはみ出た両端片の一方を前記おにぎりの前記主面とは反対側の他方の主面に折り込んで貼着させ、続いて、前記他方の海苔折込ガイドを静止させたまま、前記搬送装置を動作させて、前記海苔折込孔を下流側に移動させることで、静止している前記他方の海苔折込ガイドが、前記海苔折込孔からはみ出た他方の端片を前記おにぎりの前記他方の主面に折り込んで貼着させて海苔巻きおにぎりを得る、
おにぎり用海苔巻き装置。
【請求項2】
前記一方の海苔折込ガイドは、前記他方の海苔折込ガイドよりも高い位置に設けられている、
請求項1に記載のおにぎり用海苔巻き装置。
【請求項3】
前記海苔折込孔は、折り曲げられる海苔の折り目の端点と対向する位置に海苔逃がし切欠部を有する、
請求項1
又は請求項2に記載のおにぎり用海苔巻き装置。
【請求項4】
前記搬送装置は、間欠的に回動する海苔巻き円盤であって、前記海苔巻き円盤の外周側に前記海苔折込孔が形成されている、
請求項1
乃至請求項3の
何れか1項に記載のおにぎり用海苔巻き装置。
【請求項5】
前記搬送装置の下方には、前記一対の海苔折込ガイドと前記海苔巻き部以外の領域に、前記海苔巻きおにぎりの落下を防止する固定板が配置されている、
請求項
1乃至請求項4
の何れか1項に記載のおにぎり用海苔巻き装置。
【請求項6】
前記固定板には、前記海苔折込孔の移行路と対向する位置に前記海苔巻きおにぎりを排出する排出孔を有し、
前記海苔折込孔が前記排出孔と対向した状態で、前記海苔巻きおにぎりを前記海苔折込孔から前記排出孔を通して排出させる排出装置を具える、
請求項5に記載のおにぎり用海苔巻き装置。
【請求項7】
前記排出装置は、前記搬送装置を挟んで前記排出孔の上方に配置され、前記海苔折込孔の上方から降下して、前記海苔折込孔内の前記海苔巻きおにぎりを押し出す排出プッシャーを具える、
請求項6に記載のおにぎり用海苔巻き装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おにぎり用海苔巻き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、おにぎり用海苔巻き装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1をはじめとする従来の技術には、海苔巻きおにぎりを効率的に製造する観点で、さらなる改善の余地が見出された。
【0005】
本発明の目的の1つは、海苔巻きおにぎりを効率的に製造できるおにぎり用海苔巻き装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下のおにぎり用海苔巻き装置を提供できる。
1.おにぎりと、該おにぎりの一方の主面に貼着された貼着部及び前記おにぎりに貼着されていない未貼着部を有する海苔と、を含む海苔巻きおにぎり中間体を搬送する搬送装置と、
前記海苔巻きおにぎり中間体の前記海苔の前記未貼着部を前記おにぎりの他方の主面に向けて折り込む海苔折込部材と、を備え、
前記搬送装置によって搬送されている前記海苔巻きおにぎり中間体の前記海苔の前記未貼着部を、静止状態にある前記海苔折込部材に押し当てることによって、前記未貼着部を前記おにぎりの前記他方の主面に向けて折り込むように構成されている、おにぎり用海苔巻き装置。
2.前記海苔の前記未貼着部を前記おにぎりの前記他方の主面に向けて折り込むことによって、前記未貼着部を前記他方の主面に貼着するように構成されている、1に記載のおにぎり用海苔巻き装置。
3.前記搬送装置が、前記海苔巻きおにぎり中間体を回動するように搬送する、1又は2に記載のおにぎり用海苔巻き装置。
4.前記海苔巻きおにぎり中間体において、長方形状の前記海苔の長手方向の中央部によって前記貼着部が形成されており、前記長手方向の一方の端片が予め前記他方の主面に貼着されており、前記長手方向の他方の端片によって前記未貼着部が形成されている、1~3のいずれかに記載のおにぎり用海苔巻き装置。
5.前記おにぎりの他方の主面に前記海苔の前記一方の端片を貼着する海苔貼着部材をさらに備え、
前記搬送手段によって搬送されていない状態の前記おにぎりから伸びる前記一方の端片に向けて前記海苔貼着部材を移動させて押し当てることによって、前記他方の主面に前記一方の端片を貼着して、前記海苔巻きおにぎり中間体を形成するように構成されている、4に記載のおにぎり用海苔巻き装置。
6.前記搬送装置によって搬送されている前記海苔巻きおにぎり中間体の前記海苔の前記他方の端片によって形成された前記未貼着部を、静止状態にある前記海苔折込部材に押し当てることによって、前記未貼着部を前記おにぎりの前記他方の主面に向けて折り込んで、前記他方の主面上において、前記一方の端片と前記他方の端片とを部分的に重ねるように構成されている、4又は5に記載のおにぎり用海苔巻き装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、海苔巻きおにぎりを効率的に製造できるおにぎり用海苔巻き装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係るおにぎり用海苔巻き装置を示す概略斜視図である。
【
図2】おにぎり搬送機構を説明する概略平面図である。
【
図3】位置決め装置の動作を説明する概略平面図である。
【
図4】海苔搬送円盤を説明する図であり、(a)は概略平面図、(b)は(a)におけるb-b線断面図である。
【
図5】第1実施形態における海苔巻き部を説明する概略断面図である。
【
図6】海苔巻き円盤を説明する図であり、(a)は概略平面図、(b)は(a)におけるb-b線断面図である。
【
図7】海苔折込ガイド及び固定板を説明する概略平面図である。
【
図8】海苔巻き部の動作を説明する概略断面図である。
【
図9】海苔巻き部の動作を説明する概略断面図である。
【
図10】海苔巻き部の動作を説明する概略断面図である。
【
図11】海苔巻き部の動作を説明する概略断面図である。
【
図12】海苔巻き部の動作を説明する概略断面図である。
【
図13】海苔巻き部の動作を説明する概略断面図である。
【
図14】海苔折込孔が有する海苔逃がし切欠部を説明する概略平面図である。
【
図15】海苔巻きおにぎり排出機構を説明する概略平面図である。
【
図16】海苔巻きおにぎり排出装置の動作を説明する概略断面図である。
【
図17】海苔巻きおにぎり排出装置の動作を説明する概略断面図である。
【
図18】海苔巻きおにぎり排出装置の動作を説明する概略断面図である。
【
図19】反転装置を説明する図であり、(a)は概略側面図、(b)は概略平面図である。
【
図20】第1実施形態に係るおにぎり用海苔巻き装置によって製造される海苔巻きおにぎりを示す平面図
【
図21】第2実施形態における海苔巻き部を説明する概略断面図である。
【
図22】海苔巻き部の動作を説明する概略断面図である。
【
図23】海苔巻き部の動作を説明する概略断面図である。
【
図24】海苔巻き部の動作を説明する概略断面図である。
【
図25】海苔巻き部の動作を説明する概略断面図である。
【
図26】海苔巻き部の動作を説明する概略断面図である。
【
図27】海苔巻き部の動作を説明する概略断面図である。
【
図28】第2実施形態に係るおにぎり用海苔巻き装置によって製造される海苔巻きおにぎりを示す平面図である。
【
図29】三角形状のおにぎりに適用される海苔折込孔の一例を説明する概略平面図である。
【
図30】円形状のおにぎりに適用される海苔折込孔の一例を説明する概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のおにぎり用海苔巻き装置について詳述する。
以下の説明において、一実施形態について説明された構成は、他の実施形態について説明された構成と適宜組み合わせることができる。
【0010】
図1は、第1実施形態に係るおにぎり用海苔巻き装置を説明する概略平面図である。
【0011】
おにぎり用海苔巻き装置は、おにぎり供給部Aに供給されたおにぎり1に、海苔供給部Bに供給された海苔2を巻いて、海苔巻きおにぎり3を製造するように構成されている。海苔巻きは、海苔巻き部Cにおいて成される。製造された海苔巻きおにぎり3は、海苔巻きおにぎり排出部Dから排出される。
【0012】
おにぎり供給部Aには、おにぎり用海苔巻き装置の上流に設けられたおにぎり処理装置(図示省略)から間欠的におにぎり1が供給される。おにぎり用海苔巻き装置の上流に設けられるおにぎり処理装置は格別限定されず、例えば、具材付与装置、おにぎり成形装置、塩振り装置からなる群から選択される1種以上であり得る。
【0013】
海苔供給部Bには、海苔供給装置(図示省略)からシート状の海苔2が1枚ずつ供給される。海苔供給装置は格別限定されず、例えば、特開2004-73129号公報に記載の海苔供給装置等であり得る。
【0014】
海苔巻きおにぎり排出部Dから排出された海苔巻きおにぎり3は、おにぎり用海苔巻き装置の下流に設けられたおにぎり処理装置(図示省略)に導入される。おにぎり用海苔巻き装置の下流に設けられるおにぎり処理装置は格別限定されず、例えば包装装置等であり得る。
【0015】
おにぎり用海苔巻き装置は、おにぎり供給部Aに供給されたおにぎり1を海苔巻き部Cに搬送するおにぎり搬送機構4と、海苔供給部Bに供給された海苔2を海苔巻き部Cに搬送する海苔搬送機構5とを備えている。
【0016】
図2は、おにぎり搬送機構4を説明する概略平面図である。
【0017】
おにぎり搬送機構4は、搬送コンベヤ6と、位置決め装置7とを備えている。
【0018】
搬送コンベヤ6の上流側にはおにぎり供給部Aが形成されている。本実施形態において、おにぎり1の形状は、D形状である。尚、ここでいう「おにぎり1の形状」は、おにぎり1において互いに平行な2つの主面(
図2に現れている一方の主面と、
図2に現れていない他方の主面)に付与される形状のことであり、おにぎり1の側周形状と言い換えることもできる。
【0019】
D形状のおにぎり1は、その側周が、底辺と円弧とによって構成されている。おにぎり1は、搬送コンベヤ6の搬送方向(
図2中、矢印で示した方向)と底辺とが平行になるように、おにぎり供給部Aに供給され、この配向を維持したまま搬送される。搬送コンベヤ6の下流側には、位置決め装置7が設けられている。
【0020】
位置決め装置7は、ステージ8と、可動アーム9,9と、支持部10とを備えている。
【0021】
ステージ8は、搬送コンベヤ6の下流に隣接して設けられている。
【0022】
図3(a)に示すように、搬送コンベヤ6の下流側におにぎり1が搬送されてくると、
図3(b)に示すように、可動アーム9,9は、おにぎり1を搬送方向後方から押してステージ8上に移動すると共に、ステージ8に対して固定されている支持部10に押し当てるように構成されている。
【0023】
可動アーム9,9及び支持部10によって、おにぎり1はステージ8上に所定の向きで配置される。特に、可動アーム9,9及び支持部10のそれぞれにおけるおにぎりとの接触面が、該接触面によって接触するおにぎり1の側周形状に対応する形状を有しているため、おにぎり1は、正確に所定の向きで配置される。
【0024】
このとき、ステージ8の中央側(配置されたおにぎり1の下方)には、後に詳述する海苔巻き部Cの押上装置11が、該ステージ8と同じ高さで待機している。即ち、位置決め装置7は、海苔巻き部Cの押上装置11上におにぎり1を所定の向き(海苔巻きに適した向き)で配置するように構成されている。
【0025】
海苔搬送機構5は、
図4に示される海苔搬送円盤12を備えている。
図4において、(a)は海苔搬送円盤12の概略平面図、(b)は(a)におけるb-b線断面図である。
【0026】
海苔搬送円盤12は、回動軸13に固定されており、該回動軸13の間欠的な回動に伴って、間欠的に回動可能に構成されている。本実施形態において、海苔搬送円盤12の回動方向は、平面視したときに時計回りであるが、反時計回りでもよい。
【0027】
海苔搬送円盤12は、海苔収容ポケット14を備えている。本実施形態において、海苔2は長方形状であり、海苔収容ポケット14は、海苔搬送円盤12を平面視したときに、長方形状の海苔2に対応する長方形状に形成されている。また、海苔収容ポケット14は、海苔巻き部Cの押上装置11によって、海苔搬送円盤12の下方から上方へと海苔収容ポケット14を通過して押し上げられるおにぎり1の通過経路を形成するための切欠部15を有している。さらに、海苔収容ポケット14の底部には、海苔2を下方から支持するための海苔支持部16が設けられている。海苔支持部16は、上述したおにぎり1の通過経路と重複しない位置に形成されている。
【0028】
複数(本実施形態では4つ)の海苔収容ポケット14が、海苔搬送円盤12の外周側に、海苔搬送円盤12の周方向に沿って等間隔に設けられている。
【0029】
海苔搬送円盤12の回動により、複数の海苔収容ポケット14は、順次、海苔供給部Bに配置され、海苔搬送円盤12の回動が停止したときに、海苔収容ポケット14の内部に海苔2が供給される。内部に海苔2が供給された海苔収容ポケット14は、海苔搬送円盤12の回動により、海苔巻き部C内に配置される。後に詳述するが、海苔巻き部C内に配置された海苔収容ポケット14は、待機状態(下降状態)にある押上装置11上のおにぎり1よりも上方、かつ一対の海苔折込ガイド17,18よりも下方に配置される。
【0030】
次に、
図5を参照して、第1実施形態における海苔巻き部Cについて説明する。
図5は、
図1におけるv-v線断面図である。
【0031】
海苔巻き部Cは、押上装置11と、一対の海苔折込ガイド17,18と、海苔巻き円盤19と、固定板(
図5中、図示省略)とを備えている。また、海苔巻き部C内には、海苔搬送円盤12の海苔収容ポケット14も配置される。
【0032】
押上装置11は、
図2及び
図3を参照して説明したように、おにぎり搬送機構4が備える位置決め装置7のステージ8の中央側に設けられている。押上装置11は、所定の低位置及び高位置間を上下動可能に構成され、かつおにぎり1を載置可能に構成されている。
【0033】
低位置(待機状態)において、押上装置11は、位置決め装置7のステージ8と同じ高さに配置され、この状態で押上装置11上におにぎり1が載置される。高位置において、押上装置11は、押上装置11上のおにぎり1を海苔巻き円盤19の後述する海苔折込孔20内に嵌入するように、海苔巻き円盤19の下端に近接する位置に配置される。
【0034】
図6は、海苔巻き円盤19を説明する図である。
図6において、(a)は概略平面図、(b)は(a)におけるb-b線断面図である。
【0035】
海苔巻き円盤19は、回動軸21に固定されており、該回動軸21の間欠的な回動に伴って、間欠的に回動可能に構成されている。本実施形態において、海苔巻き円盤19の回動方向は、平面視したときに反時計回りである。
【0036】
海苔巻き円盤19は、海苔折込孔20を備えている。海苔折込孔20は、海苔巻き円盤19を平面視したときに、おにぎり1の側周形状に対応する形状を有している。また、海苔折込孔20は、後述する海苔逃がし切欠部22を有している。さらに、海苔折込孔20の底部には、該海苔折込孔20に下方から嵌入されるおにぎり1の損傷を防止するためのテーパ23が形成されている。
【0037】
複数(本実施形態では6つ)の海苔折込孔20が、海苔巻き円盤19の外周側に、海苔巻き円盤19の周方向に沿って等間隔に設けられている。
【0038】
海苔巻き円盤19の回動により、複数の海苔折込孔20は、順次、海苔巻き部Cにおける押上装置11の上方に配置される。
【0039】
図7は、海苔折込ガイド17,18及び固定板24を説明する概略平面図である。
【0040】
一対の海苔折込ガイド17,18は、海苔巻き部Cにおいて、海苔巻き円盤19の海苔折込孔20の下方両側に対向して設けられている。
一対の海苔折込ガイド17,18は、それぞれ水平に配向された板状部材からなり、内方(海苔折込孔20の中心に向かう方向)及び外方(海苔折込孔20の中心から離れる方向)にスライド可能に構成されている。
【0041】
一対の海苔折込ガイド17,18のそれぞれの海苔折込孔20側の端部は、おにぎりの側周形状に対応する形状を有している。
【0042】
図5に示したように、一方の海苔折込ガイド17は、他方の海苔折込ガイド18よりも高い位置に設けられている。これにより、一対の海苔折込ガイド17.18が互いに接触することを回避できる。ここでは、海苔巻き円盤19の回動方向の上流側(
図5及び
図7における左側)に設けられる海苔折込ガイド17が、海苔巻き円盤19の回動方向の下流側(
図5及び
図7における右側)に設けられる海苔折込ガイド18よりも高い位置に設けられている。
【0043】
固定板24は、海苔巻き円盤19の下方において、一対の海苔折込ガイド17,18が設けられていない領域に設けられている。固定板24は、海苔巻き円盤19の海苔折込孔20内の海苔巻きおにぎり3が自重により落下することを防止するように、海苔巻き円盤19の下端に近接して設けられている。
【0044】
固定板24は、海苔巻き円盤19の海苔折込孔20内の海苔巻きおにぎり3を下方に排出するための排出孔25を有している。排出孔25の形状は、海苔巻きおにぎり3が通過可能であれば格別限定されない。他の実施形態として、排出孔25に代えて、おにぎりが通過可能な切欠きを固定板24の対応する部位に設けてもよい。
【0045】
固定板24には海苔巻き円盤19を回動する回動軸21を挿通するための挿通孔26が設けられているが、固定板24は該回動軸21には固定されず、常に静止した状態である。
【0046】
第1実施形態における海苔巻き部Cの動作について
図8~
図13を参照して説明する。尚、
図8~
図13は、
図5と同様の切断面で切断した断面を
図5と同様の視点から示している。
【0047】
まず、
図8に示すように、押上装置11上におにぎり1が載置される。また、海苔搬送円盤12の海苔収容ポケット14内に支持された海苔2が海苔巻き部C内に配置される。
【0048】
次いで、
図9に示すように、押上装置11が、押上装置11上に載置されたおにぎり1を上方に押し上げる。この押上動作の過程において、まず、おにぎり1の一方の主面(図中、上面)に、海苔収容ポケット14の海苔2の中央部が貼着される。
【0049】
次いで、
図10に示すように、一方の主面に海苔2の中央部(貼着部)が貼着されたおにぎり1は、海苔巻き円盤19の海苔折込孔20内に嵌入される。これにより、おにぎり1に貼着されていない海苔の両端片は、おにぎり1の一方の主面の周縁において下方に向けて折り曲げられる。折り曲げられた海苔の両端片は、海苔折込孔20の下方に配置される。
【0050】
この段階で、押上装置11の押上動作は停止される。押上装置11は、海苔折込孔20内のおにぎり1を下方から支持する。
【0051】
次いで、
図11に示すように、一対の海苔折込ガイド17,18が互いに内方に所定量だけスライドして停止する。このとき、一対の海苔折込ガイド17,18のそれぞれは、おにぎり1を支持している押上装置11に当接するか又は当接しない範囲で、僅かにおにぎり1の下方に差し掛かる位置までスライドする。これにより、一対の海苔折込ガイド17,18によっておにぎり1を下方から支持できる。このとき、おにぎり1の支持は、必ずしも一対の海苔折込ガイド17,18の両方によって成される必要は必ずしもなく、図示するように、一方の(左側の)海苔折込ガイド17によって成されてもよい。
【0052】
海苔折込ガイド17,18の上述したスライドに伴い、海苔2の両端片は、おにぎり1の他方の主面(図中、下面)に向けて傾くが、この段階では、おにぎり1の他方の主面に押上装置11が当接しているため、海苔2の両端片は押上装置11に接触し、おにぎり1の他方の面に到達しない。
【0053】
次いで、
図12に示すように、押上装置11が下降すると共に、一方の(左側の)海苔折込ガイド17を内方にさらにスライドさせて、海苔2の一方の(左側の)端片をおにぎり1の他方の主面に貼着する。このとき、他方の海苔折込ガイド18は停止(静止)状態を維持する。押上装置11は、
図8に示した元の位置まで下降する。
【0054】
次いで、
図13に示すように、海苔巻き円盤19が右方向(図中、矢印方向であり、反時計回りの方向)に回動し、海苔2の他方の(右側の)端片(未貼着部)を、静止状態にある他方の海苔折込ガイド18に押し当てて、おにぎり1の他方の主面に向けて折り込んで、これを他方の主面に貼着する。
【0055】
次いで、各要素は
図8に示した状態に戻る。具体的には、一対の海苔折込ガイド17,18が外方にスライドし、
図8に示した元の位置(海苔折込孔20と上下に重ならない位置)に戻る。また、海苔巻き円盤19の回動により、空の海苔折込孔20が海苔巻き部Cに搬送される。さらに、海苔搬送円盤12の回動により、海苔2が載置された海苔収容ポケット14が海苔巻き部Cに搬送される。またさらに、押上装置11上に次のおにぎり1が載置される。このようにして、
図8~
図13を参照して説明した動作が繰り返される。
【0056】
以上に説明したように(特に
図10を参照して説明したように)、本実施形態に係るおにぎり用海苔巻き装置は、おにぎり1の側周形状に対応する形状を有する海苔折込孔20を備えている。
【0057】
また、本実施形態に係るおにぎり用海苔巻き装置が備える押上装置11は、海苔巻きの途中の段階にある海苔巻きおにぎり中間体(おにぎり1と、該おにぎり1の一方の主面に貼着された貼着部及び前記おにぎり1に貼着されていない未貼着部を有する海苔2と、を含む)を、一方の主面側から海苔折込孔20に嵌入して、一方の主面の周縁において未貼着部を折り込む「嵌入装置」を成している。
【0058】
ここで、
図14に示すように、海苔折込孔20が、おにぎり1の一方の主面(
図14に現れている面)の周縁に形成される海苔2の折り目Kの1以上の端点Pに対応する位置に海苔逃がし切欠部22を有することによって、折り込み時に海苔2に作用する応力を逃がすことができる。これにより、おにぎり1に海苔2を巻く際における海苔2の破断を防止できる効果が得られる。
【0059】
本実施形態では、海苔折込孔20への嵌入によって、おにぎり1の一方の主面の周縁に、海苔の折り目Kの端点Pが4つ形成されるが、それらのうち2つの端点Pに対応する位置に海苔逃がし切欠部22が形成されている。このように、全ての端点Pに対応する位置に海苔逃がし切欠部22を形成する必要は必ずしもなく、複数の端点Pのうちの1以上、好ましくは2以上の端点Pに対応する位置に海苔逃がし切欠部22を形成することができる。
【0060】
海苔折込孔20は、長方形状の海苔2の幅方向(図中、上下方向)の少なくとも一方側の端点Pに対応する位置に海苔逃がし切欠部22を有することが好ましい。本実施形態では、図中、上方向側の2つの端点Pに対応する位置に海苔逃がし切欠部22が形成されている。このとき、長方形状の海苔2の幅方向の一方側(海苔逃がし切欠部22が形成される側)において一方の主面上に配置される海苔2の辺の長さをaとし、海苔2の幅方向の他方側において一方の主面上に配置される海苔2の辺の長さをbとしたときに、a≦bの条件を満たすことが好ましい。本実施形態では、a<bであり、上記の条件を満たす。
【0061】
上記した2つの辺の長さa,bが異なる場合は、短い方の辺の末端に形成される2つの端点Pに対応する位置において海苔の破断が生じやすいため、少なくともこの位置に海苔逃がし切欠部22を形成することが好ましい。2つの辺a,bの長さが等しい場合(例えば後述する
図30に示す例の場合)は、少なくとも一方の辺の末端に形成される2つの端点Pに対応する位置、好ましくは両方の辺の末端に形成される計4つの端点Pに対応する位置に海苔逃がし切欠部22を形成することができる。
【0062】
複数の端点Pに対応する位置に海苔逃がし切欠部22を形成する場合は、各端点Pに対して個別に海苔逃がし切欠部22を形成してもよく、また、複数の端点Pに対して共通の海苔逃がし切欠部22を形成してもよい。本実施形態では、2つの端点Pに対して共通の海苔逃がし切欠部22を形成している。
【0063】
海苔逃がし切欠部22は、海苔巻き円盤19の下面から上面までにわたって、海苔折込孔20の深さ方向と平行に形成されている。
【0064】
尚、特許文献1に記載の技術において、海苔折込孔には、上方から海苔巻き形成プッシャー(海苔を下方に折り曲げるための部材)を嵌入する目的で切欠部が設けられるが、本実施形態に係るおにぎり用海苔巻き装置は、海苔巻き形成プッシャーを備えていない。本実施形態における海苔逃がし切欠部22は、海苔2の破断を防止するために用いられ、上方から海苔巻き形成プッシャーを嵌入するために用いられる必要は必ずしもない。
【0065】
以上に説明したように(特に
図12及び
図13を参照して説明したように)、本実施形態に係るおにぎり用海苔巻き装置において、海苔巻き円盤19は、海苔巻きの途中の段階にある海苔巻きおにぎり中間体(おにぎり1と、該おにぎり1の一方の主面に貼着された貼着部及び前記おにぎり1に貼着されていない未貼着部を有する海苔2と、を含む)を搬送する「搬送装置」を成している。
【0066】
また、本実施形態に係るおにぎり用海苔巻き装置が備える他方の海苔折込ガイド18は、海苔巻きおにぎり中間体の海苔2の未貼着部をおにぎりの他方の主面に向けて折り込む「海苔折込部材」を成している。
【0067】
そして、本実施形態に係るおにぎり用海苔巻き装置は、搬送装置によって搬送されている海苔巻きおにぎり中間体の海苔2の未貼着部を、静止状態にある海苔折込部材に押し当てることによって、未貼着部をおにぎり1の他方の主面に向けて折り込むように構成されている。
【0068】
本実施形態に係るおにぎり用海苔巻き装置によれば、海苔巻きおにぎり中間体を搬送すると共に、この搬送動作を利用して海苔2の未貼着部をおにぎり1の他方の主面に向けて折り込むことができる。また、搬送動作の開始を、未貼着部の折り込みが完了するまで待つ必要がなく、処理時間を短縮できる。これにより、海苔巻きおにぎり3を効率的に製造できる効果が得られる。
【0069】
おにぎり用海苔巻き装置は、上記のように海苔2の未貼着部をおにぎり1の他方の主面に向けて折り込むことによって、海苔2の未貼着部を他方の主面に貼着するように構成されていることが好ましい。
【0070】
本実施形態においては、海苔巻きおにぎり中間体において、長方形状の海苔2の長手方向の中央部によって貼着部が形成されており、長手方向の一方(
図12中、左側)の端片が予め他方の主面に貼着されており、長手方向の他方の端片によって未貼着部が形成されている。
【0071】
ここで、おにぎり用海苔巻き装置は、おにぎり1の他方の主面に海苔2の一方の端片を貼着する海苔貼着部材をさらに備えることが好ましい。本実施形態では、一方の海苔折込ガイド17が、この海苔貼着部材を成している。
【0072】
本実施形態に係るおにぎり用海苔巻き装置は、
図12に示したように、まず、搬送手段によって搬送されていない状態のおにぎり1から伸びる海苔2の一方の端片に向けて海苔貼着部材を移動させて押し当てることによって、他方の主面に一方の端片を貼着して、海苔巻きおにぎり中間体を形成するように構成されている。
【0073】
おにぎり用海苔巻き装置によって製造される海苔巻きおにぎり3において、未貼着部はその全体が他方の主面に貼着されている必要は必ずしもなく、その少なくとも一部が他方の主面に貼着されればよい。海苔巻きおにぎり3において、未貼着部の他の一部(おにぎりに貼着されない部分)は、例えば、上述した海苔貼着部材によって予め他方の主面に貼着された海苔2の端片上に重なっていてもよく、また他方の主面からはみ出していてもよい。
【0074】
おにぎり1の他方の主面において海苔2の両端片を重ね合わせてなる海苔巻きおにぎり3は、喫食時に手に米粒が付着することを防止できる等の効果を奏する。そのような海苔巻きおにぎり3を提供する観点で、本実施形態に係るおにぎり用海苔巻き装置は、搬送装置によって搬送されている海苔巻きおにぎり中間体の海苔2の他方の端片によって形成された未貼着部を、静止状態にある海苔折込部材に押し当てることによって、未貼着部をおにぎりの他方の主面に向けて折り込む。そして、他方の主面上において、海苔貼着部材によって予め貼着された海苔2の一方の端片と、他方の端片とを部分的に重ねるように構成されている。
【0075】
本実施形態では、海苔折込部材が他方の海苔折込ガイド17である場合について主に示したが、これに限定されない。海苔折込部材は、海苔2の未貼着部を押し当てられる際に静止状態であればいずれの部材でもよい。例えば、海苔2の未貼着部を、静止状態である海苔折込ガイド17に押し当てた後、静止状態である固定板24に押し当てることによって、より確実に、海苔2の未貼着部を他方の主面に貼着するように折り込むことができる。この場合、固定板24の上面は、海苔折込ガイド17の上面と同じ高さか、又はより高い位置(海苔巻き円盤19の下端により近接する位置)に設けられることが好ましい。固定板24の上面を、海苔折込ガイド17の上面より高い位置に設ける場合は、これらの上面間の段差を緩和するように、固定板24における海苔折込ガイド17側の端部にテーパを形成することも好ましいことである。
【0076】
本実施形態では、搬送装置である海苔巻き円盤19が、海苔巻きおにぎり中間体を回動するように搬送する場合について主に示したが、これに限定されない。搬送装置は、例えば海苔巻きおにぎり中間体を直線的に搬送するように構成されていてもよい。そのような搬送の過程においても、海苔2の未貼着部を、静止状態である海苔折込部材に押し当てることによって、未貼着部をおにぎり1の他方の主面に向けて折り込むことができる。
【0077】
本実施形態において、海苔巻き部Cにおける海苔折込孔20の上方に、押上装置11によって押し上げられたおにぎり1が海苔折込孔20の上方に飛び出すことを防止するためのストッパー部材(図示省略)を設けてもよい。ストッパー部材は、海苔折込孔20の上方に飛び出そうとするおにぎり1の一方の主面と対向するように水平に配向された面を有することが好ましい。また、ストッパー部材は、弾性部材によって支持されているか、又は弾性部材からなることが好ましい。
【0078】
海苔巻き部Cによって形成された海苔巻きおにぎり3は、
図15に示す海苔巻きおにぎり排出機構27によって、海苔折込孔20から排出されると共に、海苔巻きおにぎり排出部Dまで搬送される。
【0079】
図15は、海苔巻きおにぎり排出機構27を説明する概略平面図である。
【0080】
海苔巻きおにぎり排出機構27は、排出装置28と、搬送コンベヤ29と、反転装置30とを備えている。
【0081】
排出装置28は、排出プッシャー31と、昇降ステージ32と、固定ステージ33と、押出装置34とを備えている。
【0082】
排出プッシャー31は、固定板24の排出孔25の上方に配置されており、上下動可能に構成されている。排出プッシャー31は、固定板24の排出孔25の上方に回動された海苔折込孔20の上方から該海苔折込孔20の内部まで降下することができる。
【0083】
昇降ステージ32は、排出プッシャー31の下方に配置されており、上下動可能に構成されている。
【0084】
固定ステージ33は、固定板24の排出孔25の下方に、昇降ステージ32を取り囲むように形成されている。固定ステージ33の高さは、降下した状態の昇降ステージ32の高さと同じである。
【0085】
押出装置34は、昇降ステージ32上に載置された海苔巻きおにぎり3を、昇降ステージ32に隣接して設けられた搬送コンベヤ29上に押し出すように構成されている。押出装置34における海苔巻きおにぎり3との接触面は、該接触面によって接触する海苔巻きおにぎり3の側周形状(海苔巻きおにぎり3を構成するおにぎり1の側周形状と実質的に同じ)に対応する形状を有している。
【0086】
排出装置28の動作について
図16~
図18を参照して説明する。
【0087】
まず、
図16に示すように、海苔巻き円盤19の回動によって、内部に海苔巻きおにぎり3を収容している海苔折込孔20が、固定板24の排出孔25の上方に搬送される。それと同時に又はそれよりも先に、昇降ステージ32が、海苔巻きおにぎり3の下方まで上昇する。
【0088】
次いで、
図17に示すように、排出プッシャー31が降下し、海苔巻きおにぎり3を海苔折込孔20から下方に向けて押し出す。これに連動するように、昇降ステージ32も降下する。
【0089】
次いで、
図18に示すように、排出プッシャー31が、元の位置まで上昇する。昇降ステージ32は、固定ステージ33(
図18中、図示省略)と同じ高さまで降下する。
【0090】
以上のようにして、固定ステージ33上に海苔巻きおにぎり3が載置される。この海苔巻きおにぎり3は、押出装置34によって、搬送コンベヤ29上に押し出される。
【0091】
搬送コンベヤ29は、複数(本実施形態では4本)の無端ベルト35によって構成されている。
【0092】
搬送コンベヤ29の下流側には、反転装置30が設けられている。
【0093】
図19は、反転装置30を説明する図であり、(a)は概略側面図、(b)は概略平面図である。
【0094】
反転装置30は、海苔巻きおにぎり3の表裏を反転可能に構成されている。具体的には、反転装置30は、一方の主面を上方に配向した状態で搬送コンベヤ29から送り込まれる海苔巻きおにぎり3を反転させて、他方の主面を上方に配向した状態の海苔巻きおにぎり3を再び搬送コンベヤ29上に載置するように構成されている。
【0095】
反転装置30は、回動可能に構成された回動軸36と、この回動軸36に連結された回動体37とを備えている。回動軸36の回動に伴って回動体37が回動するように構成されている。
【0096】
回動軸36は、搬送コンベヤ29(より具体的には、搬送コンベヤ29を構成する無端ベルト35における海苔巻きおにぎり3の載置面)の上方に設けられている。回動軸36は、搬送コンベヤ29による海苔巻きおにぎり3の搬送方向と直交し、かつ水平な方向に伸びている。回動軸36(及び回動体37)の回動方向は、搬送コンベヤ29による海苔巻きおにぎり3の搬送方向が左から右に向かう方向となる視点から見て、時計回りである。
【0097】
回動体37は、互いに平行な3つの板38a,38b,38cによって構成されている。3つの板38a,38b,38cは、それぞれの中心において回動軸36に垂直に連結されている。3つの板38a,38b,38cは、搬送コンベヤ29を構成する互いに平行な4本の無端ベルト35と交互に配設されている。隣り合う板38a,38b,38c間には、内部に回動軸36が挿通された円筒状のスペーサー(図示省略)が設けられている。これにより、板38a,38b,38c間は所定の間隔に保持されている。板38a,38b,38cとスペーサーとは、別体に構成されてもよく、一体構造に構成されてもよい。
【0098】
回動体37は、海苔巻きおにぎり3を収容するための2つの収容部39を備えている。2つの収容部39は、回動体37の外周に等間隔(180°間隔)で設けられている。
【0099】
収容部39は、板38a,38b,38cのそれぞれに設けられた切欠部を組合わせることによって、構成されている。収容部39の内部における海苔巻きおにぎり3との接触面は、該接触面によって接触する海苔巻きおにぎり3の側周形状(海苔巻きおにぎり3を構成するおにぎり1の側周形状と実質的に同じ)に対応する形状を有している。また、収容部39の内部の側壁には、海苔巻きおにぎり3の滑りを防止するための凹凸が設けられている。
【0100】
反転装置30は、回動体37を180°回動する回動期と、回動体37の回動を所定時間停止する停止期とのセットを繰り返すように構成され、2つの収容部39のそれぞれは、このセットを2回繰り返す過程(回動体37が360°回動する過程)における2回の停止期によって、導入待機状態及び排出待機状態をこの順で一巡する。
【0101】
導入待機状態において、収容部39は、搬送コンベヤ29によって搬送されてくる海苔巻きおにぎり3をこの収容部39内に導入できるように、搬送方向の上流(図中、左方向)に向けて開口するように配置される。この状態で、搬送コンベヤ29から、一方の主面を上方に配向した状態の海苔巻きおにぎり3が、収容部39内に導入され、収容される。
【0102】
排出待機状態において、収容部39は、搬送コンベヤ29上に海苔巻きおにぎり3を載置するように、搬送方向の下流(図中、右方向)に向けて開口するように配置される。この状態で、搬送コンベヤ29は、他方の主面を上方に配向した状態の海苔巻きおにぎり3を、収容部39内から搬送方向の下流へ排出する。
【0103】
回動期において、2つの収容部39のうちの一方の収容部39が導入待機状態から排出待機状態に移行するとき、他方の収容部39は、排出待機状態から導入待機状態に移行する。
【0104】
反転装置30から排出された海苔巻きおにぎり3は、搬送コンベヤ29によって、海苔巻きおにぎり排出部Dまで搬送される。
【0105】
反転装置30によって、他方の主面(海苔2の両端片が存在する面)を上方に配向することによって、その後の搬送時や、その後の他の処理装置による処理時等において、海苔巻きおにぎり3と該海苔巻きおにぎり3の載置面との間に摺動等が生じても、海苔2の両端片が剥離することを防止できる。
【0106】
反転装置30は、おにぎり用海苔巻き装置に着脱可能に設けられている。例えば、おにぎり用海苔巻き装置から海苔巻きおにぎり3を一方の主面を上方に配向した状態で排出することが要望される場合は、おにぎり用海苔巻き装置から反転装置30を取り外すことができる。
【0107】
図20は、第1実施形態に係るおにぎり用海苔巻き装置によって製造される海苔巻きおにぎり3を示す平面図であり、海苔巻きおにぎり3の他方の主面(海苔2の両端片が存在する面)が上面になるように配向した状態を示している。
【0108】
図20に示されるように、海苔巻きおにぎり3の他方の主面において、一方の主面側から折り返された海苔2の両端片が一部で互いに重なっていることが好ましい。
【0109】
本実施形態では、海苔巻きおにぎり3の底辺を下方に配向した状態で、他方の主面において、海苔2の左側の端片が、右側の端片の上に重なっている。
【0110】
次に、第2実施形態に係るおにぎり用海苔巻き装置について説明する。
【0111】
第2実施形態に係るおにぎり用海苔巻き装置は、一方の海苔折込ガイド17及び他方の海苔折込ガイド18の構成が、第1実施形態に係るおにぎり用海苔巻き装置における一方の海苔折込ガイド17及び他方の海苔折込ガイド18の構成と逆である。また、第2実施形態に係るおにぎり用海苔巻き装置は、海苔巻き円盤19の回動方向が、第1実施形態に係るおにぎり用海苔巻き装置における海苔巻き円盤19の回動方向と逆である。第2実施形態に係るおにぎり用海苔巻き装置のその他の構成は、第1実施形態に係るおにぎり用海苔巻き装置と同様である。
【0112】
図21を参照して、第2実施形態における海苔巻き部Cについて説明する。
図21は、
図5と同様の切断面で切断した断面を
図5と同様の視点から示している。
【0113】
海苔巻き部Cは、押上装置11と、一対の海苔折込ガイド17,18と、海苔巻き円盤19と、固定板(
図5中、図示省略)とを備えている。また、海苔巻き部C内には、海苔搬送円盤12の海苔収容ポケット14も配置される。
【0114】
第2実施形態では、海苔巻き円盤19の回動方向が、第1実施形態とは逆に、右から左に向かう(平面視したときに時計回りになる)ように変更されている。そして、この回動方向の上流側(右側)に設けられる海苔折込ガイド17が、海苔巻き円盤の回動方向の下流側(左側)に設けられる海苔折込ガイド18よりも高い位置に設けられている。
【0115】
第1実施形態における海苔巻き部Cの動作について
図22~
図27を参照して説明する。尚、
図22~
図27は、
図5と同様の切断面で切断した断面を
図5と同様の視点から示している。
【0116】
まず、
図22に示すように、押上装置11上におにぎり1が載置される。また、海苔搬送円盤12の海苔収容ポケット14内に支持された海苔2が海苔巻き部C内に配置される。
【0117】
次いで、
図23に示すように、押上装置11が、押上装置11上に載置されたおにぎり1を上方に押し上げる。この押上動作の過程において、まず、おにぎり1の一方の主面(図中、上面)に、海苔収容ポケット14の海苔2の中央部が貼着される。
【0118】
次いで、
図24に示すように、一方の主面に海苔2の中央部(貼着部)が貼着されたおにぎり1は、海苔巻き円盤19の海苔折込孔20内に嵌入される。これにより、おにぎり1に貼着されていない海苔の両端片は、おにぎり1の一方の主面の周縁において下方に向けて折り曲げられる。折り曲げられた海苔の両端片は、海苔折込孔20の下方に配置される。
【0119】
この段階で、押上装置11の押上動作は停止される。押上装置11は、海苔折込孔20内のおにぎり1を下方から支持する。
【0120】
次いで、
図25に示すように、一対の海苔折込ガイド17,18が互いに内方に所定量だけスライドして停止する。このとき、一対の海苔折込ガイド17,18のそれぞれは、おにぎり1を支持している押上装置11に当接するか又は当接しない範囲で、僅かにおにぎり1の下方に差し掛かる位置までスライドする。これにより、一対の海苔折込ガイド17,18によっておにぎり1を下方から支持できる。このとき、おにぎり1の支持は、必ずしも一対の海苔折込ガイド17,18の両方によって成される必要は必ずしもなく、図示するように、一方の(右側の)海苔折込ガイド17によって成されてもよい。
【0121】
海苔折込ガイド17,18の上述したスライドに伴い、海苔2の両端片は、おにぎり1の他方の主面(図中、下面)に向けて傾くが、この段階では、おにぎり1の他方の主面に押上装置11が当接しているため、海苔2の両端片は押上装置11に接触し、おにぎり1の他方の面に到達しない。
【0122】
次いで、
図26に示すように、押上装置11が下降すると共に、一方の(右側の)海苔折込ガイド17を内方にさらにスライドさせて、海苔2の一方の(右側の)端片をおにぎり1の他方の主面に貼着する。このとき、他方の海苔折込ガイド18は停止(静止)状態を維持する。押上装置11は、
図22に示した元の位置まで下降する。
【0123】
次いで、
図27に示すように、海苔巻き円盤19が左方向(図中、矢印方向であり、時計回りの方向)に回動し、海苔2の他方の(左側の)端片(未貼着部)を、静止状態にある他方の海苔折込ガイド18に押し当てて、おにぎり1の他方の主面に向けて折り込んで、これを他方の主面に貼着する。
【0124】
次いで、各要素は
図22に示した状態に戻る。具体的には、一対の海苔折込ガイド17,18が外方にスライドし、
図8に示した元の位置(海苔折込孔20と上下に重ならない位置)に戻る。また、海苔巻き円盤19の回動により、空の海苔折込孔20が海苔巻き部Cに搬送される。さらに、海苔搬送円盤12の回動により、海苔2が載置された海苔収容ポケット14が海苔巻き部Cに搬送される。またさらに、押上装置11上に次のおにぎり1が載置される。このようにして、
図22~
図27を参照して説明した動作が繰り返される。
【0125】
図28は、第2実施形態に係るおにぎり用海苔巻き装置によって製造される海苔巻きおにぎり3を示す平面図であり、海苔巻きおにぎり3の他方の主面(海苔2の両端片が存在する面)が上面になるように配向した状態を示している。
【0126】
第2実施形態に係るおにぎり用海苔巻き装置によれば、
図28に示すように、海苔巻きおにぎり3の他方の主面における海苔2の両端片の重なり順が、第1実施形態に係るおにぎり用海苔巻き装置によって製造される海苔巻きおにぎり3(
図20参照)と逆になる。即ち、海苔巻きおにぎり3の底辺を下方に配向した状態で、他方の主面において、海苔2の右端片が、左端片の上に重なっている。
【0127】
第1実施形態に係るおにぎり用海苔巻き装置によれば、簡単な調整によって、第2実施形態に係るおにぎり用海苔巻き装置に再構成することができる。また、第2実施形態に係るおにぎり用海苔巻き装置によれば、簡単な調整によって、第1実施形態に係るおにぎり用海苔巻き装置に再構成することができる。このような再構成によって、海苔巻きおにぎり3の他方の主面における海苔2の両端片の重なり順を容易に変更できる。
【0128】
おにぎり用海苔巻き装置で製造された海苔巻きおにぎり3を、該おにぎり用海苔巻き装置の下流に設けられたおにぎり処理装置(例えば包装装置等)に導入して処理する場合は、海苔巻きおにぎり3の他方の主面における海苔2の両端片の重なり順によっては、外側に重ねられた端片が剥離し易い場合がある。そのような場合、上述したおにぎり用海苔巻き装置の再構成によって、海苔巻きおにぎり3の他方の主面における海苔2の両端片の重なり順を逆にすることで、外側に重ねられた端片が剥離することを防止できる。
【0129】
以上の説明では、おにぎり1がD形状である場合について主に示したが、これに限定されない。おにぎり1の形状は、例えば、三角形状、円形状等であってもよい。
【0130】
図29は、三角形状のおにぎり1に適用される海苔折込孔20の一例を説明する概略平面図である。
【0131】
図29に例示する海苔折込孔20は、
図29における上側を海苔巻き円盤19の中心側に配向するように設けられる。この海苔折込孔20は、三角形状のおにぎり1の側周形状(三角形状)に対応する形状を有する。
【0132】
この海苔折込孔20もまた、おにぎり1の一方の主面の周縁に形成される海苔2の折り目Kの端点Pに対応する位置に海苔逃がし切欠部22を有することによって、折り曲げに伴う海苔2の破断を防止できる効果が得られる。
【0133】
この例では、長方形状の海苔2の幅方向の一方側(図中、上側であり、海苔逃がし切欠部22が形成される側)において一方の主面上に配置される海苔2の辺の長さをaとし、海苔2の幅方向の他方側(図中、下側)において一方の主面上に配置される海苔2の辺の長さをbとしたときに、a<bであり、a≦bの条件を満たす。
【0134】
図30は、円形状のおにぎり1に適用される海苔折込孔20の一例を説明する概略平面図である。
【0135】
図30に例示する海苔折込孔20は、
図30における上側を海苔巻き円盤19の中心側に配向するように設けられる。この海苔折込孔20は、円形状のおにぎり1の側周形状(円形状)に対応する形状を有する。
【0136】
この海苔折込孔20もまた、おにぎり1の一方の主面の周縁に形成される海苔2の折り目Kの端点Pに対応する位置に海苔逃がし切欠部22を有することによって、折り曲げに伴う海苔2の破断を防止できる効果が得られる。
【0137】
この例では、おにぎり1の一方の主面の周縁に、海苔2の折り目Kの端点Pが4つ形成され、それらのうち4つの端点Pに対応する位置に海苔逃がし切欠部22が形成されている。
【0138】
この例では、長方形状の海苔2の幅方向の一方側(図中、上側)において一方の主面上に配置される海苔2の辺の長さをaとし、海苔2の幅方向の他方側(図中、下側)において一方の主面上に配置される海苔2の辺の長さをbとしたときに、a=bであり、a≦bの条件を満たす。このような場合、上述したように、4つの端点Pに対応する位置に海苔逃がし切欠部22が形成されていることが好ましい。
【0139】
また、この例では、4つの端点Pに対して個別に、計4つの海苔逃がし切欠部22を形成している。
【符号の説明】
【0140】
1:おにぎり
2:海苔
3:海苔巻きおにぎり
4:おにぎり搬送機構
5:海苔搬送機構
6:搬送コンベヤ
7:位置決め装置
8:ステージ
9:可動アーム
10:支持部
11:押上装置
12:海苔搬送円盤
13:回動軸
14:海苔収容ポケット
15:切欠部
16:海苔支持部
17,18:海苔折込ガイド
19:海苔巻き円盤
20:海苔折込孔
21:回動軸
22:海苔逃がし切欠部
23:テーパ
24:固定板
25:排出孔
26:挿通孔
27:海苔巻きおにぎり排出機構
28:排出装置
29:搬送コンベヤ
30:反転装置
31:排出プッシャー
32:昇降ステージ
33:固定ステージ
34:押出装置
35:無端ベルト
36:回動軸
37:回動体
38a,38b,38c:板
39:収容部
A:おにぎり供給部
B:海苔供給部
C:海苔巻き部
D:海苔巻きおにぎり排出部
P:端点
K:(海苔の)折り目