(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】吸引ノズル
(51)【国際特許分類】
B65G 53/42 20060101AFI20250120BHJP
【FI】
B65G53/42
(21)【出願番号】P 2021100219
(22)【出願日】2021-06-16
【審査請求日】2024-04-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000129183
【氏名又は名称】株式会社カワタ
(74)【代理人】
【識別番号】100129643
【氏名又は名称】皆川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 和希
(72)【発明者】
【氏名】張 春暁
(72)【発明者】
【氏名】大島 英範
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】実公昭48-3987(JP,Y1)
【文献】実公昭6-13424(JP,Y1)
【文献】実公昭49-15672(JP,Y1)
【文献】特開2017-43448(JP,A)
【文献】実公昭47-42387(JP,Y1)
【文献】特開2002-265048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 53/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外管および前記外管内に配置される内管を備え、吸引源が前記内管内を吸引することにより、前記外管と前記内管との間の空間から前記内管の先端の吸引口に向かう気流が生じ、粉粒体を当該気流に同伴させて吸引する吸引ノズルであって、
前記内管は、
先端ノズル部と、
樹脂からなり、前記先端ノズル部の基端側に接続される輸送管部と、を含み、
前記先端ノズル部は、前記外管に対して着脱可能に取り付けられる、吸引ノズル。
【請求項2】
前記外管の内面には、第1係合部が設けられ、
前記先端ノズル部の外面には、前記第1係合部に係合する第2係合部が設けられている、請求項1に記載の吸引ノズル。
【請求項3】
前記第1係合部は、前記外管の内面から突出し、前記外管の先端側に屈曲して延びる略L字状に形成され、
前記第2係合部は、前記先端ノズル部の外面から突出し、前記先端ノズル部の中心線の方向に開放された略U字状に形成され、前記第1係合部が前記先端ノズル部の基端側から挿入されて、前記第1係合部と係合する、請求項2に記載の吸引ノズル。
【請求項4】
前記内管に取り付けられ、前記外管の基端側の端面に対して固定されるストッパ、をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸引ノズル。
【請求項5】
前記輸送管部は、外面に凹凸を有し、
前記ストッパは、前記輸送管部の外面の凹部に嵌められる内周部と、前記輸送管部の外面の凸部よりも外側に突出する外周部とを有する略U字状に形成されており、前記外周部が前記外管の基端側の端面に当接した状態で固定される、請求項4に記載の吸引ノズル。
【請求項6】
前記外管の基端側の端部には、外側に張り出すフランジ部が形成されており、
前記ストッパは、前記フランジ部の基端側の端面に当接し、
前記輸送管部に外嵌されるリング状のフェルールと、
前記フランジ部と前記フェルールとの間に前記ストッパが挟まれた状態で、前記フランジ部と前記フェルールとを固定するクランプバンドと、をさらに備える、請求項4または5に記載の吸引ノズル。
【請求項7】
前記輸送管部は、外面に凹凸を有し、
螺旋状に形成され、前記輸送管部の外面の複数の凹部に跨がって嵌まる接続部材、をさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の吸引ノズル。
【請求項8】
前記先端ノズル部の外面には、前記先端ノズル部の周方向に互いに異なる3箇所以上の各箇所に、前記先端ノズル部を前記外管に対して同心に配置するための調心用突起が設けられている、請求項1~7のいずれか一項に記載の吸引ノズル。
【請求項9】
袋体内からの粉粒体の空気輸送に用いられる、請求項1~8のいずれか一項に記載の吸引ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体の吸引に使用される吸引ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック製品の製造工程では、プラスチック製品の原料となる粉粒体がフレキシブルコンテナなどの袋体から供給先へ輸送されることがある。その際、粉粒体を袋体から吸い出すために吸引ノズルが用いられる。
【0003】
吸引ノズルは、外管内に内管が同心に配置された二重管構造を有している。内管の先端は、外管の先端よりも外管の奥側に位置しているものが多い。内管には、ブロワなどの吸引源が接続されている。外管と内管との間の空間は、外管に設けられた吸気口を介して、外管の外部と連通している。吸引ノズルの先端部が袋体内の粉粒体に突き刺されて、吸引源が駆動されると、内管内が負圧となり、外管と内管との間の空間から内管の先端開口を通して内管内に向かう気流が生じる。粉粒体は、その気流に同伴されて搬送(空気輸送)される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の吸引ノズルでは、外管および内管がステンレス(SUS)製である。そのため、吸引ノズルは、重量が大きく、作業者による取り扱いが容易ではない。
【0006】
また、搬送対象の粉粒体を変える場合には、吸引ノズルを清掃しなければならないが、二重管構造であるため、清掃に手間がかかる。
【0007】
本発明の目的は、軽量化でき、かつ、容易に清掃できる、吸引ノズルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明に係る吸引ノズルは、外管および外管内に配置される内管を備え、吸引源が内管内を吸引することにより、外管と内管との間の空間から内管の先端の吸引口に向かう気流が生じ、粉粒体を当該気流に同伴させて吸引する吸引ノズルであって、内管は、先端ノズル部と、樹脂からなり、先端ノズル部の基端側に接続される輸送管部とを含み、先端ノズル部は、外管に対して着脱可能に取り付けられる。
【0009】
この構成によれば、吸引ノズルは、外管と、外管内に配置される内管とを備える二重管構造を有している。内管は、先端ノズル部にその基端側から樹脂製の輸送管部を接続した構成である。これにより、内管がステンレスなどの金属で一体に形成された構成と比較して、内管を軽量化でき、ひいては、吸引ノズルを軽量化することができる。
【0010】
また、内管の先端ノズル部は、外管に対して着脱可能に取り付けられる。そのため、吸引ノズルの清掃の際には、外管から内管を抜き取ることができる。よって、吸引ノズルを容易に清掃することができる。また、輸送管部を容易に交換することができる。
【0011】
外管の内面には、第1係合部が設けられ、先端ノズル部の外面には、第1係合部に係合する第2係合部が設けられていてもよい。
【0012】
この構成では、内管の先端ノズル部の第2係合部を外管の第1係合部に係合させることにより、先端ノズル部を外管に対して着脱可能に取り付けることができる。
【0013】
第1係合部は、外管の内面から突出し、外管の先端側に屈曲して延びる略L字状に形成され、第2係合部は、先端ノズル部の外面から突出し、先端ノズル部の中心線の方向に開放された略U字状に形成され、第1係合部が先端ノズル部の基端側から挿入されて、第1係合部と係合する構成であってもよい。
【0014】
吸引ノズルは、内管に取り付けられ、外管の基端側の端面に対して固定されるストッパをさらに備えていてもよい。
【0015】
この場合、輸送管部は、外面に凹凸を有し、ストッパは、輸送管部の外面の凹部に嵌められる内周部と、輸送管部の外面の凸部よりも外側に突出する外周部とを有する略U字状に形成されており、外周部が外管の基端側の端面に当接した状態で固定されてもよい。
【0016】
また、外管の基端側の端部には、外側に張り出すフランジ部が形成されており、ストッパは、フランジ部の基端側の端面に当接し、吸引ノズルは、輸送管部に外嵌されるリング状のフェルールと、フランジ部とフェルールとの間にストッパが挟まれた状態で、フランジ部とフェルールとを固定するクランプバンドとをさらに備えていてもよい。
【0017】
この構成によれば、クランプバンドを外すことにより、フランジ部からフェルールを分離させることができ、外管に対する内管(ストッパ)の固定を解除することができる。また、ストッパを外管のフランジ部の基端側の端面に当接させ、フランジ部とフェルールとの間にストッパを挟んだ状態で、クランプバンドでフランジ部とフェルールとを固定することにより、外管に対して内管(ストッパ)を固定することができる。よって、外管に対する内管の固定およびその解除を容易に行うことができる。
【0018】
輸送管部は、外面に凹凸を有し、吸引ノズルは、螺旋状に形成され、輸送管部の外面の複数の凹部に跨がって嵌まる接続部材をさらに備えてもよい。
【0019】
この構成によれば、螺旋状の接続部材が輸送管部の外面の複数の凹部に跨がって嵌まることにより、輸送管部を先端ノズル部から抜けにくいように接続することができる。
【0020】
外面に凹凸を有する輸送管部は、たとえば、凹凸が管長方向に連続するコルゲートチューブであってもよいし、螺旋状の補強部を有するホースであってもよい。
【0021】
先端ノズル部の外面には、先端ノズル部の周方向に互いに異なる3箇所以上の各箇所に、先端ノズル部を外管に対して同心に配置するための調心用突起が設けられていてもよい。
【0022】
これにより、先端ノズル部を外管に対して同心に配置して、外管と先端ノズル部との間に均一な幅の空間を生じさせることができる。その結果、外管と内管との間の空間から内管の先端の吸引口に向かう気流を周方向で均一化することができ、粉粒体を良好に吸引することができる。
【0023】
吸引ノズルは、袋体内からの粉粒体の空気輸送に用いられてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、吸引ノズルを軽量化することができる。また、吸引ノズルを容易に清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態に係る吸引ノズルの保持構造を示す側面図であり、吸引ノズルの使用時の状態を示す。
【
図2】吸引ノズルの保持構造を示す側面図であり、吸引ノズルの非使用時の状態を示す。
【
図4】(a)は、外管の先端側の端部を外管の中心線の方向に見た図であり、(b)は、その端部を外管の中心線に沿って切断した断面図である。
【
図5】フェルール継手構造を分解して示す側面図である。
【
図6】ストッパの正面図(外管の中心線の方向に見た図)である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0027】
<吸引ノズルの保持構造>
図1および
図2は、本発明の一実施形態に係る吸引ノズル1の保持構造を示す側面図である。
図1は、吸引ノズル1の使用時の状態を示し、
図2は、吸引ノズル1の非使用時の状態を示す。
【0028】
吸引ノズル1は、吸引源2(
図1参照)に接続されて、フレキシブルコンテナなどの袋体3内からの粉粒体の空気輸送に使用される。粉粒体は、プラスチック製品の原料となる樹脂ペレットやそれに混合される添加剤などであってもよいし、粉粒状の食品および薬品などであってもよい。
【0029】
袋体3の設置場所の近傍には、鉛直方向(上下方向)に延びる支柱4が設けられており、その支柱4の上端から袋体3の設置場所の上方に向けて、アーム5が水平に延出している。アーム5の先端には、蝶番(ヒンジ)6を介して、ノズル保持部材7が取り付けられている。具体的には、蝶番6の一方の羽11の上端に蝶番6の芯棒12が位置するように、羽11がアーム5の先端に固定されている。蝶番6の他方の羽13は、ノズル保持部材7と一体化されている。ノズル保持部材7は、蝶番6の羽13を1面に有する略直方体形状をなし、ノズル保持部材7には、ノズル挿通孔14がアーム5が延びる方向に貫通して形成されている。吸引ノズル1は、ノズル保持部材7のノズル挿通孔14に挿通されて、ノズル保持部材7にノズル挿通孔14の中心線の方向(アーム5が延びる方向)に移動可能に保持されている。
【0030】
吸引ノズル1の非使用時には、
図2に示されるように、蝶番6の羽13が羽11に対して90°転回し、吸引ノズル1がアーム5と平行に延びる状態とされる。吸引ノズル1の使用時には、
図1に示されるように、蝶番6の羽13が羽11に重なり、ノズル保持部材7がアーム5の先に配置されて、吸引ノズル1がアーム5と直交する鉛直方向に延びる状態とされる。そして、吸引ノズル1が下方に移動されて、吸引ノズル1が袋体3の開口15を介して袋体3内に導入され、吸引ノズル1の先端部16が袋体3内に収容されている粉粒体に突き刺される。先端部16には、袋体3が先端部16に吸い付くことを防止するため、複数の吸付防止部17が設けられている。
【0031】
<吸引ノズル>
図3は、吸引ノズル1の側面図である。
図4(a)は、外管21の先端側の端部を外管21の中心線の方向に見た図であり、(b)は、その端部を外管21の中心線に沿って切断した断面図である。
【0032】
吸引ノズル1は、外管21と、内管22とを備えている。なお、
図3では、外管21の先端側の端部の一部が断面で示され、内管22が外管21を透過して示されている。外管21の断面で示される部分は、二点鎖線で記載されている。
【0033】
外管21は、ステンレス(SUS)製の円管からなる。外管21の内面31には、その先端側(吸引ノズル1の使用状態における下端側)の端部に、
図4(a)に示されるように、3個の係合フック32が外管21の周方向に略等角度間隔、つまり約120°間隔で配置されている。係合フック32は、
図4(b)に示されるように、外管21の内面から外管21の中心に向けて(外管21の径方向に)突出し、外管21の先端側に屈曲して延びる略L字状に形成されている。
【0034】
また、外管21には、複数(たとえば、4個)の矩形状の吸気口33が貫通して形成されている。各吸気口33は、外管21の内側からステンレス製のメッシュ状のフィルタ34で覆われている。外管21と内管22との間の空間は、吸気口33を介して、外管21の外部と連通している。
【0035】
内管22は、
図3に示されるように、外管21内に配置されて、外管21および内管22は、二重管の体をなしている。内管22は、吸引ノズル1の先端部16に配置される先端ノズル部41と、先端ノズル部41の基端側に接続される輸送管部42とを備えている。
【0036】
先端ノズル部41は、ステンレス製の円管からなる。先端ノズル部41の外面43には、その先端側の端部に、3個の係合リング44が先端ノズル部41の周方向に略等角度間隔、つまり約120°間隔で配置されている。係合リング44は、先端ノズル部41の外面43から突出し、両端が外面43に接続されて、先端ノズル部41の中心線の方向に開放された略U字状ないしは略コ字状に形成されている。
【0037】
各係合リング44には、外管21の係合フック32が先端ノズル部41の基端側から挿通される。各係合リング44に係合フック32が挿通される際には、先端ノズル部41が外管21の基端側から外管21内に挿入されて、3個の係合リング44がそれぞれ係合フック32に対して先端側に配置される。その後、先端ノズル部41が基端側に引き戻されて、各係合リング44に係合フック32が挿通される。各係合リング44が係合フック32の根元部分に当接することにより、先端ノズル部41の中心線の方向において、先端ノズル部41が外管21に対して位置決めされる。その位置決めされた状態で、先端ノズル部41の先端は、外管21の先端よりも外管21の奥側に位置する。
【0038】
先端ノズル部41の外面43の基端側の端部には、螺旋状の溝が形成されている。また、先端ノズル部41の外面43には、溝よりも先端側の位置に、先端ノズル部41を外管21に対して同心に配置するための矩形板状の調心用突起45が形成されている。調心用突起45は、先端ノズル部41の周方向に互いに異なる3箇所以上の各箇所に配置されている。調心用突起45は、先端ノズル部41の中心線の方向に同じ位置に配置されていてもよいが、
図3に示されるように、中心線の方向に異なる位置に配置されていてもよい。なお、
図3には、2箇所に設けられた調心用突起45が示されており、残りの箇所に設けられた調心用突起45については、その図示が省略されている。
【0039】
輸送管部42は、外面に螺旋状の補強部が設けられることにより凹凸が管長方向に連続するホースからなる。先端ノズル部41の基端側の端部には、金属線材を螺旋状に巻回して形成された接続部材51が先端ノズル部41の外周を取り囲むように設けられている。接続部材51は、先端側の端部が溶接などにより調心用突起45の1つに固定されている。
【0040】
輸送管部42の先端部が先端ノズル部41の基端側の端部と接続部材51との間に差し込まれることにより、先端ノズル部41と輸送管部42とが接続される。このとき、先端ノズル部41と輸送管部42とが相対的に回転されて、接続部材51が輸送管部42の外面の螺旋状の段差における凹部52に螺合される。接続部材51が輸送管部42の外面の複数の凹部52と螺合することにより、先端ノズル部41から輸送管部42が容易に抜けることが防止される。
【0041】
輸送管部42は、外管21の基端の開口から外部に引き出されている。輸送管部42の管長方向の途中部は、フェルール継手構造53により、外管21の基端側の端部に固定されている。
【0042】
<フェルール継手構造>
図5は、フェルール継手構造53を分解して示す側面図である。
【0043】
フェルール継手構造53には、第1フェルール61、ストッパ62、第2フェルール63、シールリング(ガスケット)64およびクランプバンド65が含まれる。
【0044】
第1フェルール61は、ステンレス製であり、リング状に形成され、外管21の基端側の端部に外嵌されて固定されている。具体的には、扁平な円管状の円管部66と、円管部66の基端側の端部から外側に張り出した鍔状(略円環板状)のフランジ部67とを一体に有している。円管部66に外管21が挿通されて、溶接により、円管部66が外管21の外周面に対して固定されている。
【0045】
図6は、ストッパ62の正面図(外管21の中心線の方向に見た図)である。
【0046】
ストッパ62は、ステンレス製の板材からなり、内周部71および外周部72を有する略U字状(略馬蹄状)に形成されている。内周部71は、略U字状の内周面を有し、輸送管部42の外面の凹部73に嵌められる。内周部71が凹部73に嵌められた状態で、外周部72は、輸送管部42の外面の凸部74よりも外側に突出する。外周部72は、C字状の中央部を直線状に切断した形状の外周面を有しており、外周部72の直線状に延びる部分には、外管21側に突出する矩形板状の重複部75が一体に形成されている。
【0047】
第2フェルール63は、ステンレス製であり、
図5に示されるように、第1フェルール61と外管21の中心線の方向に反転した形状に形成されている。具体的には、第2フェルール63は、扁平な円管状の円管部76と、円管部76の外管21側の端部から外側に張り出した鍔状(略円環板状)のフランジ部77とを一体に有している。円管部76には、内管22の輸送管部42が挿通される。
【0048】
シールリング64は、リング状の樹脂パッキンである。
【0049】
クランプバンド65は、ステンレス製である。クランプバンド65は、円環状に閉じた閉状態と円環を開いた開状態とに切り替え可能であり、閉状態において径(周長)を変更し得るように構成されている。
【0050】
内管22(先端ノズル部41)の各係合リング44が外管21の係合フック32の根元部分に当接して、先端ノズル部41が外管21に対して外管21の中心線の方向に位置決めされた状態で、第1フェルール61のフランジ部67の基端側の端面にストッパ62が当接するように配置され、ストッパ62の内周部71が輸送管部42の外面の凹部73に嵌められる。内管22の輸送管部42には、ストッパ62に対して基端側に、シールリング64および第2フェルール63が先端側からその順に外嵌されている。第2フェルール63が第1フェルール61に近づけられて、第1フェルール61と第2フェルール63との間に、シールリング64および第2フェルール63が挟まれる。そして、開状態のクランプバンド65が第1フェルール61のフランジ部67および第2フェルール63のフランジ部77に跨がるように配置され、クランプバンド65が開状態から閉状態に切り替えられて、クランプバンド65が縮径するように締められる。これにより、第1フェルール61と第2フェルール63とが結合され、内管22が外管21に対して固定される。
【0051】
逆に、クランプバンド65を外すことにより、第1フェルール61と第2フェルール63とを分離させることができ、外管21に対する内管22の固定を解除することができる。そして、内管22の各係合リング44を外管21の係合フック32から外せば、内管22を外管21から基端側に抜き取ることができる。
【0052】
吸引源2(
図1参照)は、輸送管部42に接続される。吸引ノズル1の先端部16が袋体3内に収容されている粉粒体に突き刺された状態で、吸引源2が駆動されると、内管22内(先端ノズル部41および輸送管部42内)が負圧となる。外管21と内管22との間の空間が外管21に設けられた吸気口33を介して外管21の外部と連通しているので、内管22内が負圧になると、外管21と内管22との間の空間から先端ノズル部41の先端の開口である吸引口78を通して先端ノズル部41内に向かう気流が生じる。粉粒体は、その気流に同伴されて、先端ノズル部41内に吸引され、先端ノズル部41および輸送管部42内を搬送(空気輸送)される。
【0053】
<作用効果>
以上のように、吸引ノズル1は、外管21と、外管21内に配置される内管22とを備える二重管構造を有している。内管22は、先端ノズル部41にその基端側から樹脂製の輸送管部42を接続した構成である。これにより、内管22がステンレスなどの金属で一体に形成された構成と比較して、内管22を軽量化でき、ひいては、吸引ノズル1を軽量化することができる。
【0054】
また、内管22の先端ノズル部41は、外管21に対して着脱可能に取り付けられる。そのため、吸引ノズル1の清掃の際には、外管21から内管22を抜き取ることができる。よって、吸引ノズル1を容易に清掃または交換することができる。
【0055】
外管21の内面には、係合フック32が設けられ、先端ノズル部41の外面には、係合フック32に係合する係合リング44が設けられている。係合フック32は、外管21の内面から突出し、外管21の先端側に屈曲して延びる略L字状に形成され、係合リング44は、先端ノズル部41の外面から突出し、先端ノズル部41の中心線の方向に開放された略U字状に形成され、係合フック32が先端ノズル部41の基端側から挿入されて、係合フック32と係合する。係合リング44を係合フック32に係合させることにより、先端ノズル部41を外管21に対して着脱可能に取り付けることができる。
【0056】
吸引ノズル1は、フェルール継手構造53を備えている。フェルール継手構造53は、ストッパ62を備えている。輸送管部42は、凹凸が管長方向に連続するコルゲートチューブであり、ストッパ62は、輸送管部42の外面の凹部に嵌められる内周部71と、輸送管部42の凸部74よりも外側に突出する外周部72とを有する略U字状に形成されている。また、外管21の基端側の端部には、第1フェルール61が固定され、第1フェルール61は、フランジ部67を有している。さらに、輸送管部42には、第2フェルール63が外嵌される。そして、ストッパ62がフランジ部67の基端側の端面に当接し、第1フェルール61と第2フェルール63との間にストッパ62が挟まれた状態で、クランプバンド65により、第1フェルール61と第2フェルール63とが固定される。これにより、外管21に対して内管22をストッパ62を介して固定することができる。一方、クランプバンド65を外すことにより、第1フェルール61から第2フェルール63を分離させることができ、外管21に対する内管22の固定を解除することができる。よって、外管21に対する内管22の固定およびその解除を容易に行うことができる。
【0057】
また、先端ノズル部41の基端側の端部には、金属線材を螺旋状に巻回して形成された接続部材51が外周を取り囲むように設けられている。輸送管部42は、先端ノズル部41と接続部材51との間に挿入される。そして、接続部材51は、輸送管部42の外面の凹部52に螺合される。これにより、輸送管部42を先端ノズル部41に抜けないように接続することができる。
【0058】
先端ノズル部41の外面43には、先端ノズル部41の周方向に互いに異なる3箇所以上の各箇所に、先端ノズル部41を外管21に対して同心に配置するための調心用突起45が設けられている。そのため、先端ノズル部41が外管21の径方向に動くと、調心用突起45が外管21の内面31に当接する。これにより、先端ノズル部41が外管21に対してほぼ同心に配置された状態が維持されて、外管21と先端ノズル部41との間に均一な幅の空間を生じさせることができる。その結果、外管21と内管22との間の空間から内管22の先端の吸引口78に向かう気流を周方向で均一化することができ、粉粒体を良好に吸引することができる。
【0059】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0060】
たとえば、前述の実施形態では、第1フェルール61が外管21の基端側の端部に外嵌されて固定されているとしたが、第1フェルール61に代えて、外管21の基端側の端部から外側に張り出す鍔状(円管板状)のフランジ部が外管21と一体に形成されていてもよい。
【0061】
また、前述の実施形態では、先端ノズル部41の基端側の端部に、金属線材を螺旋状に巻回して形成された接続部材51が外周を取り囲むように設けられて、接続部材51が溶接などにより先端ノズル部41に固定されているとした。これに限らず、先端ノズル部41の外周面に螺旋状の溝が形成されて、その溝に接続部材51が螺合されることにより、接続部材51が先端ノズル部41に対して固定されてもよい。この場合、輸送管部42の内面に螺旋状の補強部が設けられて、輸送管部42内に先端ノズル部41および接続部材51が挿入されつつ相対的に回転されることにより、輸送管部42の内面の螺旋状の段差における凹部に接続部材51が螺合されるとよい。
【0062】
吸引ノズル1は、袋体3内からの粉粒体の空気輸送に限らず、袋体3以外の収容体からの粉粒体の空気輸送に使用されてもよい。
【0063】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0064】
1:吸引ノズル
2:吸引源
3:袋体
21:外管
22:内管
31:内面
32:係合フック(第1係合部)
33:吸気口
41:先端ノズル部
42:輸送管部
43:外面
44:係合リング(第2係合部)
45:調心用突起
51:接続部材
52:凹部
62:ストッパ
63:第2フェルール(フェルール)
65:クランプバンド
67:フランジ部
71:内周部
72:外周部
73:凹部
74:凸部
78:吸引口