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特許7621669置換ベンズイミダゾール誘導体およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】置換ベンズイミダゾール誘導体およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 235/08 20060101AFI20250120BHJP
   A61K 31/4184 20060101ALI20250120BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20250120BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20250120BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20250120BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20250120BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20250120BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20250120BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20250120BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20250120BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20250120BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20250120BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20250120BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20250120BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20250120BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20250120BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20250120BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20250120BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20250120BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20250120BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20250120BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20250120BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20250120BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20250120BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250120BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20250120BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250120BHJP
   C07D 235/10 20060101ALI20250120BHJP
   C07D 235/12 20060101ALI20250120BHJP
   C07D 235/14 20060101ALI20250120BHJP
   C07D 235/30 20060101ALI20250120BHJP
【FI】
C07D235/08 CSP
A61K31/4184
A61P1/00
A61P1/04
A61P1/16
A61P1/18
A61P3/00
A61P3/04
A61P3/06
A61P3/10
A61P7/02
A61P9/00
A61P9/04
A61P9/10
A61P9/10 101
A61P9/12
A61P11/06
A61P17/00
A61P17/06
A61P17/10
A61P17/14
A61P21/04
A61P25/00
A61P25/28
A61P29/00
A61P35/00
A61P37/06
A61P43/00 111
C07D235/10
C07D235/12
C07D235/14
C07D235/30 B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022581725
(86)(22)【出願日】2021-07-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(86)【国際出願番号】 CN2021104628
(87)【国際公開番号】W WO2022007772
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】202010664800.9
(32)【優先日】2020-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523003205
【氏名又は名称】成都凡諾西生物医薬科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】余聶芳
(72)【発明者】
【氏名】陳新
(72)【発明者】
【氏名】李豪
(72)【発明者】
【氏名】リィウ,シャユ
【審査官】薄井 慎矢
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-514659(JP,A)
【文献】特表2002-543065(JP,A)
【文献】国際公開第2019/057969(WO,A1)
【文献】特表2005-508318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、互変異性体、立体異性体、水和物、溶媒和物、もしくは同位体変異体であって:
【化1】

式中、
は、H、-CN、-NO、-CF、-OCF、-COH、OH、ハロゲン、アミノ、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cアルコキシアルキル、C-Cアルキルアミノ、C-Cアミノアルキルから選択され;
は、H、-CN、-NO、-CF、-OCF、-COH、OH、ハロゲン、アミノ、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、4~7員環のヘテロシクロアルキル、C-C12アリールC-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cアルコキシアルキル、C-Cアルキルアミノから選択され;
上記の基の各々は、非置換であってもよく、ハロゲンからなる群から選択される、1つ以上の置換基で置換されてもよく;ここで、前記4~7員環のヘテロシクロアルキルは、N、S、およびOからなる群から選択される1、2または3個のヘテロ原子を含有し;
は、H、-CN、-NO、-CF、-OCF、-COH、OH、ハロゲン、アミノ、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cアルコキシアルキル、C-Cアルキルアミノ、C-Cアミノアルキルから選択され;
は、H、-CN、-NO、-CF、-OCF、ハロゲン、アミノ、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cアルコキシアルキル、C-Cアルキルアミノ、アミノC-Cアルキルから選択され;
mは、0、1、または2であり;
nは、1または2であり;
pは、1または2であり;
Xは、-CH-であり;
Yは、-O-または-S-であり;
Zは、-CH-、-O-または-S-である。
【請求項2】
は、Hまたはハロゲンから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
は、H、4~7員環のヘテロシクロアルキル、C-C12アリールC-Cアルキルから選択され、
これらの基の各々は、非置換であり得、またはハロゲンからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基で置換され得る、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
は、H、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
以下の化合物から選択される、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩:
【化2】
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物、および薬学的に許容される希釈液、賦形剤、または担体を含む、医薬組成物。
【請求項7】
PPARαおよびPPARδによって媒介される疾患を治療および/または予防するための医薬の調製における、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物もしくはその薬学的に許容される塩または請求項6に記載の組成物の使用。
【請求項8】
PPARδによって媒介される疾患が、高脂血症、脂質異常症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、HDL低コレステロール血症、LDL高コレステロール血症、および/もしくは非HDLコレステロール血症、VLDL高蛋白血症、異常リポ蛋白血症、アポリポ蛋白質A-I高蛋白血症、動脈硬化の疾患、心血管系の疾患、脳血管疾患、末梢循環疾患、代謝症候群、X症候群、肥満、糖尿病、高血糖症、インスリン耐性、耐糖能異常、高インスリン症、糖尿病合併症、心不全、心筋梗塞、心筋症、高血圧、脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝疾患、血栓、アルツハイマー病、神経変性、脱髄疾患、多発性硬化症、副腎白質ジストロフィー、皮膚炎、乾癬、ざ瘡、皮膚の老化、毛髪症、炎症、喘息、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病、膵炎、または結腸癌、大腸癌、皮膚癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、および肺癌を含む癌である、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
PPARδによって媒介される疾患が、任意の種類の脂質異常症、メタボリックシンドローム、肥満、アテローム性動脈硬化症、または糖尿病である、請求項7に記載の使用。
【請求項10】
PPARδによって媒介される疾患が、NASHおよびデュシェンヌ型筋ジストロフィー症候群である、請求項7に記載の使用。
【請求項11】
PPARδによって媒介される疾患が、アルツハイマー病、腫瘍、原発性胆汁性肝硬変、および胆管炎である、請求項7に記載の使用。
【請求項12】
前記肥満が、内臓脂肪型肥満である、請求項8または9に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、新規な有機化合物、置換ベンズイミダゾール誘導体、およびそれらの使用、とりわけδサブタイプペルオキシダーゼ増殖因子活性化受容体(PPARδ)に対するアゴニスト作用を有する化合物、およびそれらの調製方法、並びに心血管疾患の治療におけるそれらの適用に関する。
【0002】
〔背景〕
肥満、インスリン耐性(I型糖尿病)、脂質代謝障害、および高血圧などの特徴を有するメタボリックシンドロームは、特に高齢化社会において、ヒトの健康に対する深刻な脅威である。
【0003】
メタボリックシンドロームは、脂質代謝バランス、エネルギーバランスおよびグルコース代謝バランスの不均衡または障害によって引き起こされる、様々な類似の症状を指す。したがって、エネルギーバランス、脂肪および糖恒常性を維持することを目的とした治療計画は、メタボリックシンドロームの効果的な治療である。核内受容体(NR)は、細胞内および全個体においてさえ、エネルギーバランス、脂肪および糖恒常性の維持に重要な役割を果たす。これらの核内受容体の中で、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)は、重要なファミリーの1つである(Acta Cryst., 2009, D65, 786-795; J. Med. Chem 2012, 55, 4027-4061; Nature Reviews Cancer, 2012, 12:181-189; Immunology Letters, 2020, 220:32-37)。
【0004】
PPARには3つの主要なサブタイプ:アルファ、ガンマおよびデルタがある。これらの受容体は、核内受容体および転写因子のスーパーファミリーに属し、特定の脂肪酸および/またはそれらの脂肪代謝産物と接触すると活性化され得る。活性化PPARは、9-シスレチノイン酸受容体(RXRまたはレチノイドX受容体)とヘテロ二量体を形成し、ターゲット遺伝子プロモータの特異的応答要素(PPREまたはペルオキシソーム増殖因子応答要素)に結合し、それによって転写制御を提供する(Pharmacology & Therapeutics, 2017, 179:142-157; The Journal of Biological Chemistry, 1999, 274:6718-6725; Signal Transduction and Targeted Therapy, 2020. 5:4-5)。
【0005】
PPARαは、(肝臓および筋肉の)脂質代謝およびグルコース恒常性を制御し、脂質恒常性に関与するタンパク質をコードする遺伝子の転写を直接的に制御することによって、細胞内脂質および糖質代謝に影響を及ぼし、抗炎症および抗増殖活性を示し、コレステロール流出を刺激することによってマクロファージに蓄積されたコレステロールのアテローム生成作用を妨げる(Expert Opinion on Investigational Drugs, 2014, 23:10, 1441-1448; Bioorg. Med.Chem. 2007, 15, 5177-5190)。
【0006】
PPRAγは、脂肪生成の重要な調節因子である。さらに、PPRAγは、成熟脂肪細胞における脂質代謝、グルコース恒常性、特にインスリン耐性、炎症、マクロファージコレステロール蓄積および細胞増殖に関与する。したがって、PPRAγは、肥満、インスリン耐性および糖尿病の病因に関与する(Nature Reviews Cancer, 2012, 12:181-189)。さらに、PPRAδは、脂質および糖質の代謝、エネルギーバランス、神経変性、肥満、マクロファージ泡沫細胞の形成および炎症の制御に関与する(Scientific Reports, 2016, 6, 1-12)。
【0007】
最近の動物薬理学的実験モデル研究は、PPARδが脂肪組織および筋肉における脂肪酸異化およびエネルギー脱共役を増強し、マクロファージ由来の炎症を阻害し、様々な局面から体重増加を制御し、身体の耐性を増強し、インスリン感受性を改善し、かつアテローム性動脈硬化症を改善し得ることを示してきた。したがって、PPARδリガンドは、高脂血症、肥満、インスリン耐性、およびアテローム性動脈硬化症の治療に役立ち得る(Leukemia 2018 , 32:184-193; Scientific Reports, 2019. 9:1-12)。
【0008】
それゆえ、PPARサブタイプ、特にPPARα/δアゴニストの研究および開発は、学界および産業の重要な分野となっている。
【0009】
Genfit社のElafibranorは、迅速に開発されてきた薬物である(FR2864956A1; Expert Opinion on Investigational Drugs, 2014, 23:10, 1441-1448)。ElafibranorまたはGFT-505、化学名:1-(4-メチルチオフェニル)-3-(3,5-ジメチル-4-カルボキシジメチルメトキシフェニル)プロプ-2-エン-1-オン(以下の構造を有する)は、Genfit社によって開発されたアゴニストである。脂質代謝改善剤として、2型糖尿病である非アルコール性脂肪性肝疾患の脂質異常症の治療に使用されており、現在、第3相試験に入っている。
【0010】
【化1】
【0011】
さらに、WO9728115A1には、糖尿病を治療するための薬物および抗肥満薬としてのL-165041(Merck)の使用が記載されており、WO2004007439A1には、ビアリール誘導体を含有する、血中のHDLを増加させるための薬物の使用が記載されている。同様の特許には、US7781469B2(ピラゾール誘導体、Lilly)、US20100029949A1(ベンズイソキサゾール誘導体、Takeda)、WO2003072100A1(チオフェン誘導体、Eli、Lilly)、WO2017180818A1(イミダゾール誘導体、Mitobridge)も含まれる。
【0012】
Elafibranorおよびその関連研究が存在するにも関わらず、PPARα/δによって媒介される疾患の治療に対する期待は依然として高い。特に、関連する薬物の薬物動態特性または/および薬力学的性能を改善することは、依然として継続的な努力を必要とする。
【0013】
一方で、本発明者らは、PPARδの転写活性化作用を有するベンズイソキサゾール誘導体に拡張された化合物についても、特許出願(WO01/79197、WO03/033493等)を行った。
【0014】
後述する一般式(I)および(II)で表される本発明の化合物は、上記GW-501516と構造的に明らかに異なっており、これらの化合物はまだ文献に記載されていない。
【0015】
〔要約〕
式(I)で記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩、多形体、互変異性体、立体異性体、水和物、溶媒和物、もしくは同位体変異体であって:
【0016】
【化2】
【0017】
式中、
は、H、-CN、-NO、-CF、-OCF、-COH、OH、ハロゲン、アミノ、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアリール、ヘテロシクロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノカルボニル、スルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アミノスルホニル、アシルから選択され;ここで、各々は、非置換であり得、または1つ以上の置換基で置換され得、前記置換基はハロゲン、-CF、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキルを含む。
【0018】
は、非水素置換基または2つ以上の異なった非水素置換基であり得る。
【0019】
は、H、-CN、-NO、-CF、-OCF、-COH、OH、-CONHR、-CSNHR、-SR、ハロゲン、アミノ、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアリール、ヘテロシクロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルアミノ、アルキルアミノカルボニル、スルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アミノスルホニルから選択される;ここで、各々は、非置換であり得、または1つ以上の置換基で置換され得、置換基はハロゲン、-CF、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキルを含む。
【0020】
は、非水素置換基または2つ以上の異なった非水素置換基であり得る。
【0021】
は、H、-CN、-NO、-CF、-OCF、-COH、OH、-SR、ハロゲン、アミノ、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アルキルアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノカルボニルから選択され;ここで、各々は、非置換であり得、または1つ以上の置換基で置換され得、置換基はハロゲン、-CF、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキルを含む。
【0022】
は、非水素置換基または2つ以上の異なった非水素置換基であり得る。
【0023】
は、H、-CN、-NO、-CF、-OCF、-SR、ハロゲン、アミノ、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アルキルアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノカルボニルから選択され;ここで、各々は、非置換であり得、または1つ以上の置換基で置換され得、置換基はハロゲン、-CF、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキルを含む。
【0024】
は、非水素置換基または2つ以上の異なった非水素置換基であり得る。
【0025】
は、H、アルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアリール、ヘテロシクロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニルから選択される。
【0026】
は、H、アルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアリール、ヘテロシクロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニルから選択される。
【0027】
は、H、アルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニルから選択される。
【0028】
m、n、およびpは、それぞれ独立して、0~6から選択され;
X、Y、およびZは、それぞれ独立して、共有結合、(CH、-O-、-S-、-NH-、-SO-、-CONH-から選択され;ここで、qは1~4の整数である。
【0029】
いくつかの実施形態では、Aは、好ましくはH、C-C10アルキル、C-C10アルケニル、C-C10ヘテロアルキル、アルキニル、アルキルアミノカルボニル、スルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アミノスルホニル、アシルであり;ここで、各々は非置換であり得、または1つ以上の置換基で置換され得、前記置換基はハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニルを含む。
【0030】
別の実施形態では、Xは、好ましくは共有結合である。
【0031】
別の実施形態では、Yは、好ましくは-O-および-S-である。
【0032】
別の実施形態では、Zは、好ましくは共有結合である。
【0033】
別の実施形態では、Zは、好ましくは-O-である。
【0034】
別の実施形態では、Yは、好ましくは共有結合、-O-および-S-である。
【0035】
別の実施形態では、Rは、好ましくは-Brであり、好ましくは、ベンズイミダゾール環上のC位に結合している(すなわち、C-Br)。
【0036】
別の実施形態では、Rは、好ましくはC-Cアルキルである。
【0037】
1つ以上の実施形態では、Rは、H、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-14アルキル、C2-14ヘテロアルキル、C1-6アルキルオキシC1-14アルキルから選択され、その各々は非置換であるか、以下の群:ハロゲン、-COH、OH、C1-14アルキル、C2-14ヘテロアルキル、C3-9シクロアルキル、C4-7ヘテロシクロアルキル、C1-6アルキルオキシ、C5-12アリールC1-14アルキルから選択される1つ以上の置換基で置換されている。
【0039】
1つ以上の実施形態では、Rは、H、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-14アルキル、C2-14ヘテロアルキル、C1-6アルキルオキシC1-14アルキルから選択され、各々は非置換であるか、以下の群:ハロゲン、-COH、OH、C1-14アルキル、C2-14ヘテロアルキル、C3-9シクロアルキル、C4-7ヘテロシクロアルキル、C1-6アルキルオキシ、C5-12アリールC1-14アルキルから選択される1つ以上の置換基で置換されている。
【0040】
1つ以上の実施形態では、前記化合物は、以下の化合物またはその薬学的に許容される塩から選択される:
【0041】
【化3】
【0042】
式(I)によって表される化合物に加えて、本発明はまた、それらの薬学的に許容される塩、多形体、互変異性体、立体異性体、水和物、溶媒和物、または同位体変異体、薬学的に許容されるプロドラッグ、および薬学的に活性な代謝物、ならびにこれらの代謝物の薬学的に許容される塩を含む。
【0043】
本出願の1つ以上の実施形態は、本出願の化合物および薬学的に許容される希釈液、賦形剤、または担体を含む医薬組成物を提供する。
【0044】
本発明は、一般式(I)で表される化合物および薬学的に許容される希釈液、賦形剤、または担体によって形成される任意の医薬調製物を含む。
【0045】
上述の化合物は、PPARαアゴニストおよびPPARδアゴニストである。したがって、本発明は、例えば、非アルコール性脂肪性肝疾患、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、アルツハイマー病、および腫瘍などの疾患を治療する方法において、有効な量の式(I)の化合物を単独で、または他の薬剤と組合せて使用する、PPARαおよび/またはPPARδによって引き起こされる疾患を治療および/または予防するための方法を提供する。
【0046】
PPAR、特にPPARαおよびPPARδによって引き起こされる疾患は以下の疾患を含むが、これらに限定されない:高脂血症、脂質異常症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、HDL低コレステロール血症、LDL高コレステロール血症、および/もしくはHLD非コレステロール血症、VLDL高蛋白血症、異常リポ蛋白血症、アポリポ蛋白質A-I高蛋白血症、動脈硬化の疾患、心血管系の疾患、脳血管疾患、末梢循環疾患、代謝症候群、X症候群、肥満、糖尿病、高血糖症、インスリン耐性、耐糖能異常、高インスリン症、糖尿病合併症、心不全、心筋梗塞、心筋症、高血圧、脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝疾患、血栓、アルツハイマー病、神経変性、脱髄疾患、多発性硬化症、副腎白質ジストロフィー、皮膚炎、乾癬、ざ瘡、皮膚の老化、毛髪症、炎症、喘息、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病、膵炎、または結腸癌、大腸癌、皮膚癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、および肺癌を含む癌。
【0047】
別の実施形態では、PPARδに媒介される疾患は、任意の種類の脂質異常症、メタボリックシンドローム、肥満、アテローム性動脈硬化症、または糖尿病である。
【0048】
別の実施形態では、PPARδに媒介される疾患は、NASHおよびデュシェンヌ型筋ジストロフィー症候群である。
【0049】
別の実施形態では、PPARδに媒介される疾患は、アルツハイマー病および腫瘍を含む、原発性胆汁性肝硬変および胆管炎である。
【0050】
別の実施形態では、PPARδに媒介される疾患は、免疫機能を増強するためのTリンパ球の増大したエネルギーおよび活性化特性、ならびに腫瘍細胞の脂肪細胞への変換および癌転移の減少などである。
【0051】
別の実施形態では、肥満は、内臓脂肪型肥満である。
【0052】
本出願はまた、PPARαおよびPPARδによって媒介される疾患を治療および/または予防するための、上記の本発明の化合物を提供する。
【0053】
本出願はまた、PPARαおよびPPARδによって媒介される疾患を治療および/または予防するための方法であって、それを必要とする対象に本発明の化合物を投与する工程を含む方法を提供する。
【0054】
本出願の1つ以上の実施形態は、PPARαおよび/またはPPARδによって媒介される疾患を治療および/または予防するための医薬の調製における、本出願の化合物もしくはその薬学的に許容される塩または本出願の組成物の使用を提供する。
【0055】
本出願の1つ以上の実施形態は、医薬として使用するための、本出願の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0056】
本出願の1つ以上の実施形態は、以下の疾患:高脂血症、脂質異常症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、HDL低コレステロール血症、LDL高コレステロール血症、および/もしくはHLD非コレステロール血症、VLDL高蛋白血症、異常リポ蛋白血症、アポリポ蛋白質A-I高蛋白血症、動脈硬化の疾患、心血管系の疾患、脳血管疾患、末梢循環疾患、代謝症候群、X症候群、肥満、糖尿病、高血糖症、インスリン耐性、耐糖能異常、高インスリン症、糖尿病合併症、心不全、心筋梗塞、心筋症、高血圧、脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝疾患、血栓、アルツハイマー病、神経変性、脱髄疾患、多発性硬化症、副腎白質ジストロフィー、皮膚炎、乾癬、ざ瘡、皮膚の老化、毛髪症、炎症、喘息、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病、膵炎、または結腸癌、大腸癌、皮膚癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、および肺癌を含む癌の治療および/または予防において使用する、本出願の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0057】
本出願の1つ以上の実施形態は、以下の疾患:任意の種類の脂質異常症、メタボリックシンドローム、肥満、アテローム性動脈硬化症、糖尿病、NASH、デュシェンヌ型筋ジストロフィー症候群、原発性胆汁性肝硬変、胆管炎、アルツハイマー病、腫瘍、内臓脂肪型肥満を治療および/または予防する方法における使用のための、本出願の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0058】
本出願の1つ以上の実施形態は、以下の疾患:免疫機能を増強するためのTリンパ球の増大したエネルギーおよび活性化特性、ならびに腫瘍細胞の脂肪細胞への変換および癌転移の減少を治療および/または予防する方法における使用のための、本出願の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0059】
本出願の1つ以上の実施形態は、PPARαアゴニストおよび/またはPPARδアゴニストとしての使用のための、本出願の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0060】
本出願の1つ以上の実施形態は、本出願の化合物または前記化合物の薬学的に許容される塩または本出願の組成物を、疾患の治療を必要とする対象に投与する工程を含む、疾患の治療のための方法を提供し、当該疾患には、高脂血症、脂質異常症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、HDL低コレステロール血症、LDL高コレステロール血症、および/もしくはHLD非コレステロール血症、VLDL高蛋白血症、異常リポ蛋白血症、アポリポ蛋白質A-I高蛋白血症、動脈硬化の疾患、心血管系の疾患、脳血管疾患、末梢循環疾患、代謝症候群、X症候群、肥満、糖尿病、高血糖症、インスリン耐性、耐糖能異常、高インスリン症、糖尿病合併症、心不全、心筋梗塞、心筋症、高血圧、脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝疾患、血栓、アルツハイマー病、神経変性、脱髄疾患、多発性硬化症、副腎白質ジストロフィー、皮膚炎、乾癬、ざ瘡、皮膚の老化、毛髪症、炎症、喘息、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病、膵炎、または結腸癌、大腸癌、皮膚癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、および肺癌を含む癌が含まれる。
【0061】
本出願の1つ以上の実施形態は、本出願の任意の化合物またはその薬学的に許容される塩または本出願の組成物を、疾患の治療を必要とする対象に投与する工程を含む、疾患の治療のための方法を提供し、ここで、当該疾患には、任意の種類の脂質異常症、メタボリックシンドローム、肥満、アテローム性動脈硬化症、糖尿病、NASH、デュシェンヌ型筋ジストロフィー症候群、原発性胆汁性肝硬変、胆管炎、アルツハイマー病、腫瘍、内臓脂肪型肥満が含まれる。
【0062】
本出願の1つ以上の実施形態は、本出願の任意の化合物またはその薬学的に許容される塩または本出願の組成物を、疾患の治療を必要とする対象に投与する工程を含む、疾患の治療のための方法を提供し、ここで、当該疾患には、免疫機能を増強するためのTリンパ球の増大したエネルギーおよび活性化特性、ならびに腫瘍細胞の脂肪細胞への変換および癌転移の減少が含まれる。
【0063】
本出願の1つ以上の実施形態は、PPARαおよび/またはPPARδを活性化させるための方法を提供し、当該方法は、本出願の任意の化合物またはその薬学的に許容される塩または本出願の組成物を、PPARαおよび/またはPPARδの活性化を必要とする対象に投与する工程を含む。
【0064】
〔実施形態〕
[定義]
本出願において使用される場合、用語「本発明の化合物」は、式(I)の化合物を指す。この用語は、式(I)の化合物の全ての結晶形態、薬学的に許容される塩、水和物、または溶媒和物も含む。
【0065】
本発明において使用される用語「非置換」は、置換基を有さないか、水素によって置換される場合のみを指す。
【0066】
本発明に用いられる用語の一部を以下のように定義する:
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を指す。
【0067】
「アルキル」は、官能基または官能基の部分として作用する場合、直鎖または分枝鎖の脂肪族炭化水素基を指す。特に明記しない限り、好ましくは、アルキルはC-C14アルキルであり、より好ましくはC-C10アルキルであり、最も好ましくはC-Cアルキルである。直鎖または分枝鎖のC-Cアルキルの例としては、メチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
「アルキルアミノ」は特に明記しない限り、モノ-アルキルアミノおよびジアルキルアミノの両方を含む。「モノ-アルキルアミノ」は(アルキル-NH)-を指し、「ジ-アルキルアミノ」は、((アルキル)N)-を指す。上記のアルキルアミノにおいて、アルキルは、本明細書に定義されるとおりである。アルキル基は、好ましくはC-Cアルキル基である。例としては、N-メチルアミノ、N-エチルアミノ、N-イソプロピルアミノ、N,N-(ジエチル)アミノなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
「アミノアルキル」は(アミノ-アルキル)-を指し、ここで、アルキルは、本明細書に定義されるとおりである。例としては、アミノエチル、1-アミノプロピル、1-アミノプロピルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
「アリールアミノ」は特に明記しない限り、モノ-アリールアミノおよびジ-アリールアミノを含む。モノ-アリールアミノは(アリール-)NH-を指し、ジ-アリールアミノは、(アリール)N-を指す;アリールの定義については本出願の関連する部を参照されたい。
【0071】
「アシル」は特に明記しない限り、(アルキル-CO)-および(アリール-CO)-を含む。アシルにおいて、アルキルまたはアリールは、本明細書に定義される通りである。アシルの例としては、アセチル、プロピオニル、イソブチリル、ベンゾイルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
「アシルアミノ」は特に明記しない限り、(アルキル-CONH)-および(アリール-CONH)-を含み、ここで、アルキルまたはアリールは、本明細書に定義されるとおりである。アミドの例としては、アセトアミド、プロピオンアミド、ブチラミド、イソブチラミド、ベンズアミドなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
「アルケニル」は、基または基の部分として使用される場合、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有する脂肪族炭化水素基を指し、直鎖または分枝鎖であり得る。好ましくはC-C14アルケニルであり、より好ましくはC-C12アルケニルであり、最も好ましくはC-Cアルケニルである。前記基は、基の主鎖中に多数の二重結合を含有してもよく、前記基の各々の配置はEまたはZであってもよい。アルケニルの例としては、ビニル、プロペニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
「アルキルオキシ」は、(アルキル-O)-を指し、ここで、アルキルは本明細書に定義されるとおりである。好ましくは、C-Cアルキルオキシである。例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
「アルケニルオキシ」は(アルケニル-O)-を指し、ここで、アルケニルは、本明細書に定義されるとおりである。C-Cアルケニルオキシが好ましい。
【0076】
「アルキニルオキシ」は(アルキニル-O)-を指し、ここで、アルキニルは、本明細書に定義されるとおりである。C-Cアルキニルオキシが好ましい。
【0077】
「アルコキシカルボニル」は(アルキル-O-C(O))-を指し、ここで、アルキルは、本明細書に定義されるとおりである。好ましくは、アルキル基はC-Cアルキルである。例としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
「アルキルスルフィニル」は、(アルキル-S(O))-を指し、ここで、アルキルは、本明細書に定義されるとおりである。好ましくは、アルキルは、C-Cアルキル基である。アルキルスルフィニル基としては、メチルスルフィニル、エチルスルフィニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
「アルキルスルホニル」は、(アルキル-S(O)-O)-を指し、ここで、アルキルは、本明細書に定義されるとおりである。好ましくは、アルキルはC-Cアルキル基である。例としては、メチルスルホニル、エチルスルホニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
「アルキルアミノカルボニル」は、アルキルアミノ-カルボニル基を指し、ここで、アルキルアミノは、本明細書に定義されるとおりである。
【0081】
「シクロアルキル」は、飽和または部分的に飽和の単環式、縮合またはスピロ環式炭素環を指す。好ましくは、s環が3~9個(例えば、3、4、5、6、7、8または9個)の炭素原子からなる。例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
「シクロアルキルアルキル」は、シクロアルキル-アルキル基を指し、ここで、シクロアルキルおよびアルキル部分は、本明細書に定義されるとおりである。単環式アルキルアルキル基は、シクロプロピルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチルなどを含むが、これらに限定されない。
【0083】
「ヘテロシクロアルキル」は、N、S、Oから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有するシクロアルキルを指す。好ましくは、ヘテロシクロアルキルが1、2または3個のヘテロ原子を含有する。好ましい環は3~14員環であり、より好ましい環は4~7員環である。ヘテロシクロアルキルとしては、ピロリジル、ジヒドロピロリル、テトラヒドロピロリル、ジヒドロピラゾリル、ピペリジニル、モルホリニルテトラヒドロフリル、テトラヒドロチオフリル、テトラヒドロピラニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
「ヘテロシクロアルケニル」は、少なくとも1つの二重結合を含有するヘテロシクロアルキルを指す。ヘテロシクロアルキルの定義については、本明細書における関連する定義を参照されたい。
【0085】
「ヘテロシクロアルキルアルキル」は(ヘテロシクロアルキル-アルキル)-を指し、ここで、ヘテロシクロアルキルおよびアルキルは、本明細書に定義されるとおりである。ヘテロシクロアルキルアルキル基としては、(2-テトラヒドロフリル)メチル、(2-テトラヒドロチオフリル)メチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
「ヘテロアルキル」は、主鎖中にS、OおよびNから選択される少なくとも1つ以上(例えば、1、2、3または4個)のヘテロ原子を含む、直鎖または分枝鎖アルキル基を意味する。ヘテロアルキルは、好ましくは2~14個(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12個)の原子鎖を含む。ヘテロアルキルとしては、エーテル、チオエーテル、アルキルエステル、第二級または第三級アルキルアミン、アルキルスルフィン酸などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
基または基の部分としての「アリール」は、(1)芳香族単環式または縮合環、好ましくは5~12個(例えば、5、6、7、8、9、10、11または12個)の炭素原子を有する芳香族炭素環(環構造中、環原子はすべて炭素である)を指す。
【0088】
アリールの例としては、フェニル、ナフチルが挙げられるが、これらに限定されず、(2)部分飽和炭素環を結合することができ、例えば、フェニルおよびC5-7シクロアルキルまたはC5-7シクロアルケニルは互いに縮合して環状構造を形成する。例としては、テトラヒドロナフチル、インデニル、またはインダニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は、1つ以上の置換基によって置換され得る。
【0089】
「アリールアルケニル」は、(アリール-アルケニル)-を指し、ここで、アリールおよびアルケニルは、本明細書に定義されるとおりである。例示的なアリールアルケニル基としては、フェニルプロペニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
「アラルキル」は、(アリール-アルキル)-を指し、ここで、アリールおよびアルキル部分は、本明細書に定義されるとおりである。例示的なアリールアルキル基としては、ベンジル、フェネチル、1-メナフチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
「シクロアルケニル」は、非芳香族単環式または多環式環系を指す。シクロアルケニルは少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有し、好ましくは、それぞれの環が5~10個(例えば、5、6、7、8、9、10個)の炭素原子を有する。例示的な単環式シクロアルケニル環としては、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、またはシクロヘプテニルが挙げられるが、これらに限定されない。シクロアルケン基は、1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0092】
「ヘテロアリール」は、単環式または縮合多環式芳香族複素環を指す。好ましくは、5員、6員または7員芳香族環は、N、Oおよび/またはSから選択される、1個以上(例えば、1、2、3または4個の)ヘテロ原子を含む。典型的なヘテロアリール置換基としては、以下の例が挙げられるが、これらに限定されない:フリル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、インドリル、ベンズイミダゾリルなど。
【0093】
「ヘテロアリールアルキル」は、(ヘテロアリール-アルキル)-を指し、ここで、ヘテロアリールおよびアルキル部分は、本明細書に定義されるとおりである。例示的なヘテロアリールアルキル基としては、2-フリルメチル、3-フリルメチル、2-ピリジルメチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
本発明は、一般式(I)の化合物、ならびに「E」または「Z」配置異性体などのジアステレオマー、エナンチオマー、互変異性体、および幾何異性体を含む、前記化合物の考えられる異性体を含む。いくつかの基本的な知識を有する化学の分野のいかなる実務者も、上記の光学的に純粋なまたは立体異性的に純粋な化合物を単離することができる。
【0095】
本発明は、一般式(I)の化合物、ならびに考えられるラセミ体および/またはエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物を含む。
【0096】
さらに、一般式(I)の化合物は、適用中の化合物の溶媒和物および非溶媒和形態も含む。したがって、前記の各式は、示された構造の化合物、ならびに化合物の水和物および無水形態を含む。
【0097】
本願明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容される塩」という語は、信頼できる医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギーなどを伴わずにヒトおよび下等動物組織に接触するのに適した塩、ならびに合理的な利益/危険率に相応する塩を意味する。
薬学的に許容される塩は、当技術分野において周知である。例えば、J. Pharmaceutical Sciences (1977) 66: 1-19にて、Berge et alは薬学的に許容される塩について記載している。本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、好適な無機酸、有機酸、および塩基から誘導される塩を含む。薬学的に許容される、非毒性酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸と形成される塩、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸などの有機酸と形成される塩がある。イオン交換など、当技術分野で一般的な方法によって調製された塩も含まれる。他の薬学的に許容される塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベシル酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシルエタン-スルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。適切な塩基から誘導される薬学的に許容される塩には、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、およびN(C1-4アルキル)塩が含まれる。例示的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。他の薬学的に許容される塩は、適切な場合、対イオンで形成される非毒性アンモニウム、第四級アンモニウム、およびアミンカチオンを含み、対イオンは、例えば、ハロゲン化物イオン、ヒドロキシル、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩、およびアリールスルホン酸塩である。
【0098】
用語「溶媒和物」とは、溶媒分子に配位した本発明の化合物によって形成される、具体的な比率を有する錯体を指す。「水和物」は、本発明の化合物と水分との配位によって形成される錯体を指す。
【0099】
本発明の化合物は、1つ以上の不斉中心を含むことができ、したがって、様々な「立体異性体」、例えば、エナンチオマーおよび/またはジアステレオマーで存在することができる。例えば、本発明の化合物は、個々のエナンチオマー、ジアステレオマー、または幾何異性体(例えば、シスおよびトランス異性体)であってもよく、またはラセミ混合物および1つ以上の立体異性体に富む混合物を含む立体異性体の混合物の形態であってもよい。異性体は、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)およびキラル塩形成および結晶化を含む、当業者に公知の方法によって混合物から分離することができ;または好ましい異性体は不斉合成によって調製することができる。
【0100】
本発明の薬理作用を以下に記載する。
【0101】
本発明の化合物のPPARδ活性化効果を以下のように決定した(試験化合物(実施例における化合物)のPPAR活性化効果の測定)。
【0102】
受容体発現プラスミド(pSG5-GAL4-hPPARαまたはγまたはδ(LBD))、ルシフェラーゼ発現プラスミド(pUC8-MH100×4-TK-Luc)およびβ-ガラクトシダーゼ発現プラスミド(pCMX-βGAL)(Kliewer, S.A. et. al., (1992) Nature, 358:771-774)をCV-1細胞(ATCC)に導入した。
【0103】
リポフェクション試薬DMRIE-CまたはLipofectamin 2000(Invitrogen)を用いた遺伝子導入後、細胞を試験化合物の存在下で42時間培養した。溶解した細胞をルシフェラーゼ活性およびβ-GAL活性について試験した。ルシフェラーゼ活性をβ-GAL活性により補正し、PPARα、γおよびδのそれぞれの相対リガンド活性を以下のように計算した:PPARαの相対リガンド活性を、GW-590735(PPARα選択的アゴニスト)で処理した細胞のルシフェラーゼ活性値を100%として使用して計算し;PPARγの相対リガンド活性を、Rosiglitazoneで処理した細胞のルシフェラーゼ活性値を100%として使用して計算し;PPARδの相対リガンド活性を、GW-501516で処理した細胞のルシフェラーゼ活性値を100%として使用して計算した。
【0104】
用語「プロドラッグ」は、それ自体が生物学的に活性であっても不活性であってもよい化合物を含む。適切な方法で投与される場合、プロドラッグは、ヒト体内で代謝または化学反応を受けて、式(I)の化合物、または式(I)の化合物によって形成される塩もしくは溶液に変換される。プロドラッグとしては、カルボン酸塩、カーボネート、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、スルホン、スルホキシド、アミノ化合物、カルバメート、アゾ化合物、ホスファミド、グルコシド、エーテル、アセタール、および化合物の他の形態が挙げられる(ただし、これらに限定されない)。
【0105】
本明細書で使用される場合、用語「対象」は、限定されるものではないが、ヒト(すなわち、任意の年齢群の男性または女性、例えば小児対象(例えば、乳児、小児、青年)または成人対象(例えば、若年成人、中年成人、または高齢成人))および/または非ヒト動物、例えば、霊長類(例えば、machin、アカゲザル)、ウシ、ブタ,ウマ,ヒツジ,ヤギ、げっ歯類、ネコ、および/またはイヌを含む。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。他の実施形態では、対象は非ヒト動物である。
【0106】
特に明記しない限り、用語「治療」は、本明細書で使用される場合、対象が特定の疾患、障害または状態に罹患している場合に生じる効果を含む。治療は、疾患、障害または状態の重症度を軽減するか、または疾患、障害または状態の発症を遅延させるかまたは遅らせ(「治療処置」)、対象が特定の疾患、障害または疾患に罹患し始める前に起こる効果も含む(「予防的治療」)。
【0107】
「併用」および関連する用語は、本発明の治療薬の同時または連続投与を指す。例えば、本発明の化合物は、別の単位剤形で別の治療薬と同時にまたは連続的に、または単一の単位剤形で別の治療薬と同時に投与され得る。
【0108】
「薬学的に許容される賦形剤」とは、一緒に製剤化された化合物の薬理学的活性を破壊しない非毒性担体、アジュバント、またはビヒクルを指す。本発明の組成物において使用することができる薬学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクルとしては、(限定されないが)イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、(ヒト血清アルブミンなど)、バッファー(リン酸塩など)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリドの混合物、水、塩または電解質(硫酸プロタミンなど)、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、シリカゲル、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックセグメントポリマー、ポリエチレングリコール、およびラノリンが含まれる。
【0109】
本発明の化合物または医薬組成物の投与方法は特に限定されず、代表的な投与方法としては経口、十二指腸、直腸、非経口(静脈内、筋肉内または皮下)および局所投与が挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
経口投与のための固形製剤としては、カプセル剤、錠剤、丸剤および粒剤を含む。これらの固形製剤において、活性化合物は、少なくとも1つの従来の不活性賦形剤(または担体)(例えば、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム)と混合されるか、あるいは、以下の成分:(a)充填材または可溶化剤(例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸);(b)結合剤(例えば、ヒドロキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよびアカシア);(c)保水剤(例えば、グリセロール);(d)崩壊剤(例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種の複合ケイ酸塩、および炭酸ナトリウム);(e)弱溶剤(例えば、パラフィン);(f)吸収促進剤(例えば、第四級アミン化合物);(g)湿潤剤(例えば、セチルアルコールおよびグリセリルモノステアレート);(h)吸着剤(例えば、カオリン);ならびに(i)潤滑剤(例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、あるいはこれらの成分の混合物と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤において、製剤物はまた、緩衝剤を含有してもよい。
【0111】
錠剤、rotulas、カプセル剤、丸剤および粒剤などの固形製剤は、コーティングおよび殻材料を用いて(腸溶コーティングおよび当技術分野で周知の他の材料などを用いて)調製することができる。それらは乳白剤を含有してもよく、そのような組成物での活性化合物の放出は、消化管の特定の部分において遅延様式で起こり得る。使用することができる包埋成分の例としては、高分子物質およびロウがある。活性化合物はまた、必要に応じて、上述の賦形剤のうちの1つ以上と共にマイクロカプセルを形成してもよい。
【0112】
経口投与のための液体製剤としては、薬学的に許容される乳化剤、溶液、懸濁液、シロップまたはチンキ剤が含まれる。活性化合物に加えて、液体製剤は当技術分野で慣用的に使用される不活性放出剤(水もしくは他の溶媒、可溶化剤、および乳化剤など)、例えば、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ジメチルホルムアミド、ならびに油、特に綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油、またはこれらの混合物を含有し得る。
【0113】
本発明は、PPARαおよび/またはPPARδによって媒介される疾患に関連する状態を治療する方法であって、それを必要とする対象に、本発明の化合物、もしくは当該化合物の薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物、水和物、結晶形態、プロドラッグもしくは同位体誘導体を投与する工程、または本発明の医薬組成物を投与する工程を含む方法を提供する。
【0114】
本発明の化合物は、PPARαおよび/またはPPARδによって媒介される疾患を治療するために使用することができ、当該疾患は、病理学的破壊、炎症、肝臓細胞の変性および/または増殖を含む任意の急性または慢性肝臓疾患、メタボリックシンドロームに関連する合併症、インスリン耐性、糖尿病、脂質異常症、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、肥満、高血圧、炎症性疾患、線維性疾患、神経変性疾患、または癌から選択される。
【0115】
本発明の化合物によって治療することができる線維性疾患としては、肺線維症、特発性肺線維症、膵嚢胞性線維症、心内膜心筋線維症、縦隔線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、進行性塊状線維症、腎性全身性線維症、クローン病、陳旧性心筋梗塞、強皮症/全身性硬化症、関節線維症、または癒着性間接包炎が挙げられるが、これらに限定されない。
【0116】
本発明の化合物は、PPARδによって媒介される疾患を治療することができ、当該疾患としては、高脂血症、脂質異常症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、HDL低コレステロール血症、LDL高コレステロール血症、および/もしくはHLD非コレステロール血症、VLDL高蛋白血症、異常リポ蛋白血症、アポリポ蛋白質A-I高蛋白血症、動脈硬化の疾患、心血管系の疾患、脳血管疾患、末梢循環疾患、代謝症候群、X症候群、肥満、糖尿病、高血糖症、インスリン耐性、耐糖能異常、高インスリン症、糖尿病合併症、心不全、心筋梗塞、心筋症、高血圧、脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝疾患、血栓、アルツハイマー病、神経変性、脱髄疾患、多発性硬化症、副腎白質ジストロフィー、皮膚炎、乾癬、ざ瘡、皮膚の老化、毛髪症、炎症、喘息、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病、膵炎、または結腸癌、大腸癌、皮膚癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、および肺癌を含む癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0117】
本発明の化合物によって治療することができる癌としては、腎細胞癌、消化管間質腫瘍(GIST)、胃癌、肝臓癌、神経線維腫症関連髄膜腫、膵神経内分泌腫瘍、膵外分泌腫瘍、白血病、骨髄増殖性/骨髄異形成症、マスト細胞症、皮膚線維肉腫、乳癌、肺癌、甲状腺癌もしくは結腸直腸癌を含む固形癌、または前立腺癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0118】
[置換ベンズイミダゾール誘導体の合成]
式(I)で表される化合物は、以下に論じる合成経路および方法によって調製することができる。出発物質は容易に得ることができる。しかしながら、本発明の合成経路および方法は、類似体の調製において広く使用することができる。類似体の調製は、出発物質のみを変化させることによって達成することができる。例えば、化合物の合成の詳細な説明は本明細書の実施例には記載されていないが、必要とされる標的化合物は、出発物質を標的化合物に対応するものに変更し、次いで化学の常識に基づいて、必要に応じて反応条件下で修飾することによって合成することができる。
【0119】
個々の実施形態の薬剤を使用することができ、このことは、当該技術分野で利用可能な技術および利用可能な出発物質を使用して、以下に記載される反応経路または合成フローチャートを介して調製を行うことができることを示している。ある実施形態における具体的な化合物の調製は以下の実施例において詳述されているが、当業者は、言及された化学反応が様々な実施形態における他の薬剤を調製するために使用され得ることを理解でき、例えば、当業者は、当技術分野における他の適切な薬剤を使用することによって、または反応条件下の従来の修飾によって、官能基を妨害することを適切に防ぐことなどを行い、明白な修飾を伴って、実施例以外の化合物の合成を上手く実施することができる。有機合成に使用される適切な保護基の表については、GMPeterによるProtective Groups in Organic Synthesis, Wiley, 2007を参照されたい。本明細書に開示されているか、または当技術分野で知られている他の反応は、各実施形態において他の化合物を調製するのに適していると考えることができる。
【0120】
化合物を調製するのに有用な薬剤は、当技術分野で公知の技術によって得ることができ、または調製することができる。
【0121】
以下の実施例では、特に断りのない限り、すべての気温は摂氏温度である。
【0122】
全ての種類の出発物質および出発剤は市販されていた。供給者としては、Aldrich Chemical Company、Lancaster Synthesis Ltdなどが挙げられるが、これらに限定されない。市販の出発物質および出発剤は特に断りのない限り、さらに精製することなく使用した。
【0123】
ガラス製品をオーブン中で、または加熱することによって乾燥させた。反応を、ガラスシリコーン樹脂-60 F254プレート(0.25mm)(TLC)でモニターした。分析用薄層クロマトグラフィーを適切な溶媒比(v/v)で行った。反応エンドポイントは、TLC上の出発物質が使い果たされたときに記録された。(J. Org. Chem., Vol.43, No. 14, 1978 2923-2925))。
【0124】
通常、フォローアップ処理は、特に断りのない限り、反応に用いた溶媒を用いて反応溶液の容積を2倍にした後、全容積の25%である抽出溶媒を用いて3回の抽出を行った。生成物含有部分を抽出し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、次いでロータリーエバポレーターで濾過した。溶媒を減圧下で蒸発させ、溶媒を真空下で注意深く除去した。最後に、迅速カラムクロマトグラフィーにより標的化合物を得た(J.Org.Chem., 1978;43:2923)。
【0125】
H NMRスペクトルはBruker器具(200~400MHz)を用いて得られ、化学シフトはppmで表した。クロロホルムを参照標準(7.25ppm)またはテトラメチルシラン内部標準(0.00ppm)として使用した。NMRに一般的に使用される他の溶媒も、必要に応じて使用することができる。H NMRは、s=一重線、d=二重線、t=三重線、m=多重線、br=広がり、dd=二重線の二重線、dt=三重線の二重線として表される。結合定数が与えられるとき、それらはHz単位である。
【0126】
質量スペクトルはLC/MS器具によって得られ、イオン化モードはESIまたはAPCIであり得る。すべての融点は補正されない。
【0127】
以下の実施例は、本発明の具体的な化合物の合成を例示することを意図するに過ぎず、それらは合成法に対するいかなる限定も構成しない。また、以下に挙げない化合物は以下と同じ合成経路および合成方法を用い、必要に応じて適切な出発物質を選択し、適切な常識で反応条件を調整することにより調製することもできる。
【0128】
[合成]
式(I)において、R=C-Br、R=H、R=C-エチルの場合、対応する化合物XVIは、スキーム1に示される方法によって調製することができる。例えば、X=結合であり、Y=O、Sである場合、式(I)の化合物は出発物質として4-ブロモ-2-エチルフェノールを使用して調製することができ、ホルミルカルボキシルを取り込み、一方、パラジウム炭素により触媒され、還元および縮合に供して、化合物VIを得る。好適な化合物1-フルオロ-4-置換-2-ニトロベンゼンVIIおよび好適な化合物VIIIを縮合して化合物IXを得、還元、アシル化、環化、脱保護後、化合物XIVを得た。化合物XIVを好適な化合物Vと縮合させ、次いで加水分解して、標的化合物XVIを得た。
【0129】
【化4】
【0130】
具体的には、R=C-Br、R=H、R=C-エチルの場合、式(I)で表される標的化合物(XVI)はスキーム1に示される方法によって調製することができる。例えば、X=結合およびY、Z=O、Sの場合、4-ブロモ-2-エチルフェノールを出発物質として使用することができる。ホルミルカルボキシルは化合物IIを得るために、パラジウム炭素の触媒作用下で組み込むことができる。LAHによる還元下で、ヒドロキシ誘導体IIIを得た。選択的縮合化合物Vを、誘導体IIIおよび適切なブロモ誘導体IVによる適切な塩基の触媒作用下で得た。次いで、塩素化後、化合物VIを得た。一方、適切な塩基の触媒作用下では、適切な化合物1-フルオロ-4-置換-2-ニトロベンゼンVIIを選択し、対応する化合物VIIIと縮合させて、化合物IXを得た。化合物Xは、適切な還元剤の作用下で化合物IXを還元することによって得られた。適当な共通縮合剤および化合物XIの作用下で、化合物XIを化合物Xと反応させて化合物XIIを得た。加熱条件下での酸性環化により化合物XIIを得た。溶媒としてジクロロメタンを使用し、かつBBrの処理後に、化合物XIIIを化合物XIVに変換した。ジクロロメタンを溶媒として用いて、適切な塩基の触媒作用下で、化合物Vを化合物XIVと縮合させた。得られた化合物XVを加水分解して、標的化合物XVIを得た。
【0131】
式(I)において、R=H、R=C-エチルである場合、対応する標的化合物XXXVは、スキーム2に示される方法によって調製することができる。例えば、X、Y=結合、Z=O、Sの場合、式(I)で表される化合物は、出発物質として4-ブロモ-2-エチルヨードベンゼンを使用し、触媒作用下でホルミルカルボキシルを組み込み、次いで縮合および還元に供することにより、化合物XXを調製するために使用することができる。適切なボレン剤を用いて、パラジウムの触媒作用下で、アルケニルを導入して化合物XXIを得た。化合物XXIを酸化し、還元し、塩素化してXXIVを得た。一方、1-フルオロ-2-ニトロ置換ベンゼン誘導体XXVをアミノ化し、還元して、化合物XXVIIIを得た。適切な縮合剤の作用下で、対応する化合物XXIXをXXVIIIに組み込み、XXXを得た。XXXを酸性条件下で環化し、次いで触媒作用下で脱保護してXXXIIを得た。好適な化合物XXXIIIを選択して、化合物XXXIIと縮合させ、次いでアルカリ条件下で加水分解して、必要に応じて標的化合物XXXVを得た。
【0132】
【化5】
【0133】
式(I)において、R=H、R=C-エチルである場合、対応する標的化合物XXXVは、スキーム2に示される方法によって調製することができる。例えば、X、Y=結合およびZ=O、Sの場合、式(I)の化合物は、出発物質として4-ブロモ-2-エチルヨードベンゼンを使用し、触媒作用下でホルミルカルボキシルを組み込んで調製して、XVIIIを得ることができる。適切な塩基の存在下で、化合物XVIIIをホスホノ酢酸トリエチルと反応させて、XIXを得た。化合物XIXを還元して、XXを得た。化合物XXを、パラジウム剤の触媒作用下で、適切なボレン剤と反応させ、加熱下で反応させることにより、化合物XXIを得た。適当な酸化剤、例えば、アセトン水溶液中のオスミウム酸カリウムを用いて、XXIをXXIIに酸化した。化合物XXIIを、ヒドロキシル誘導体XXIIIを介して官能基変換に供して、塩素化誘導体XXIVを得た。一方、適切な化合物1-フルオロ-2-ニトロベンゼン誘導体XXVを選択して、適切な塩基の触媒作用下でXXVIと反応させて、アミノ化生成物XXVIIを得た。縮合剤の作用下で化合物XXVIIを化合物XXXに還元した。氷酢酸の作用下などの酸性条件下で、環化が起こり、化合物XXXIが得られた。化合物XXXIを、例えば水素化還元などの還元に供して、保護基を除去し、したがって、化合物XXIIを得た。化合物XXXIIと化合物XXXIIIとの置換反応を適当な塩基の作用下で、DMF中で行い、生成した化合物XXXIVをアルカリ条件下で加水分解して、標的化合物XXXVを得た。
【0134】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明された。その目的は当該分野の基礎知識を有する当業者が本発明を実施し、より包括的に把握することができるようにすることである。しかしながら、本発明の範囲は、これらの実施例によって限定されない。
【0135】
[実施例1]
2-(4-((2-((5-ブロモ-2-エチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)メチル)フェノキシ)メチル)-2-エチルフェノキシ)酢酸(1)の調製
実施例1の化合物1は、上記スキーム1の方法またはスキーム2の方法によって調製することができる。具体的には、必要に応じて出発物質を選択することにより、以下に表す具体的な経路で合成することができる。
【0136】
【化6】
【0137】
[ステップ1]3-エチル-4-ヒドロキシル安息香酸メチル(II-1)の合成
【0138】
【化7】
【0139】
反応フラスコにおいて、I-1(40.0g、0.2mol)、Pd(dppf)Cl(14.6g、0.02mol)、酢酸カリウム(58.8g、0.6mol)、およびメタノール(200.0mL)を連続的に加え、一酸化炭素バルーンを用いて3回置換し、70℃のCO雰囲気中で一晩撹拌した。反応が完了した後、溶媒を減圧下で蒸発させた。反応混合物を水(100.0mL)に加え、次いで酢酸エチル(150.0mL×3)で抽出した。有機相を飽和塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラム精製[溶離剤:石油エーテル-酢酸エチル(1:2)]に供した。溶離剤を回収した。溶媒を減圧下で蒸発させ、黄色固体II-1(18.0g、収率:50.0%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ:7.85(d、J=2.0Hz、1H)、7.80(dd、J=10.4、6.4Hz、1H)、6.78(d、J=8.4Hz、1H)、5.41(s、1H)、3.87(s、3H)、2.68(q、J=7.6Hz、2H)、1.26(t、J=7.6Hz、3H)。
【0140】
[ステップ2]2-エチル-4-(ヒドロキシメチル)フェノール(III-1)の合成
【0141】
【化8】
【0142】
反応フラスコにおいて、II-1(15.0g、83.3mmol)および乾燥したテトラヒドロフラン(200.0mL)を加え、窒素ガス保護下で攪拌した後、氷浴中で0℃に冷却した。水素化アルミニウムリチウム(3.8g、99.9mmol)を浴槽中でゆっくりと添加した。温度は0℃に保った。添加が完了した後、材料を0℃で1h撹拌した。水(15.0mL)、15%水酸化ナトリウム(15.0mL)および水(30.0mL)を、反応物中にゆっくりと連続して滴下した。温度は0℃に保った。添加が完了した後、温度を室温に上げ、系を1時間撹拌し続け、次いで濾過した。濾液を回収し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、再度濾過し、濾液を回収した。溶媒を減圧下で蒸発させ、白色固体III-1(8.0g、収率63.1%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ:7.16(d、J=2.0Hz、1H)、7.10(dd、J=10.4、6.0Hz、1H)、6.76(d、J=8.0Hz、1H)、4.81(s、1H)、4.61(d、J=5.6Hz、2H)、2.67(q、J=7.6Hz、2H)、1.26(t、J=4.8Hz、3H)。
【0143】
[ステップ3]2-(2-エチル-4-(ヒドロキシメチル)フェノキシ)酢酸エチル(III-1)の合成
【0144】
【化9】
【0145】
反応フラスコにおいて、III-1(8.0g、52.6mmol)、ブロモ酢酸エチル(10.6g、63.2mmol、IV-A)、および炭酸セシウム(25.7g、78.9mmol)およびアセトニトリル(100.0mL)を連続的に添加し、室温で一晩撹拌した。反応終了後、溶媒を減圧下で蒸発させた。水(50.0mL)を加え、得られた系を酢酸エチル(100.0mL×3)で抽出した。次いで、有機相を飽和塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラム精製[溶離剤:石油エーテル-酢酸エチル(1:2)]に供し、溶離剤を回収し、溶媒を減圧下で蒸発させてオフホワイト色の固体V-1(7.5g、収率:60.0%)を得た。LCMS(方法B)純度:90.75%、Rt=1.86分;MS測定:238.1;MS測定:221.4[M-17]。
【0146】
[ステップ4]2-(4-(クロロメチル)-2-エチルフェノキシ)酢酸エチル(VI-1)の合成
【0147】
【化10】
【0148】
反応フラスコにおいて、V-1(100mg、0.42ミリモル)、N,N-ジメチルホルムアミド(2滴)および乾燥ジクロロメタン(4.0mL)を加え、攪拌しながら氷浴中で0℃に冷却した。塩化チオニル(150mg、1.26mmol)をゆっくりと滴下した。添加が完了した後、混合物を室温で2時間撹拌した。反応終了後、溶媒を減圧下で蒸発させて、黄色固体VI-1(122mg、収率:100.0%)を得た。
LCMS (方法A)純度:91.98%、Rt=0.83分;MS測定:256.1;測定:257.2[M+H]
【0149】
[ステップ5]4-ブロモ-N-(2-メトキシベンジル)-2-ニトロアニリン(IX-)の合成
【0150】
【化11】
【0151】
反応フラスコにおいて、2-メトキシベンジルアミン(10.0g、73.1mmol)、VII-1(16.0g、73.1mmol)、トリエチルアミン(14.7g、146.2mmol)およびテトラヒドロフラン(200.0mL)を連続的に加え、室温で一晩撹拌した。反応が完了した後、溶媒を減圧下で蒸発させた。次に水(100.0mL)を加えた。系を酢酸エチル(150.0mL×3)で抽出した。有機相を飽和塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させて、黄色固体IX-1(22.0g、収率89.8%)を得た。H NMR(400 MHz、CDCl)δ:8.49(s、1H)、8.31(s、1H)、7.43(d、J=2.0Hz、1H)、7.41-7.19(m、2H)、6.94-6.90(m、2H)、6.79(d、J=9.2Hz、1H)、4.52(d、J=6.0Hz、2H)、8.49(s、3H)。
【0152】
[ステップ6]4-ブロモ-N-(2-メトキシベンジル)ベンゼン-1,2-ジアミン(X-1)の合成
【0153】
【化12】
【0154】
反応ボトルにおいて、IX-1(22.0g、65.5mmol)、塩化アンモニウム(17.7g、327.4mmol)、鉄粉末(18.3g、327.4mmol)およびメタノール(500.0mL)を連続的に加え、70℃に加熱し、2時間撹拌した。反応が完了した後、反応混合物を濾過した。濾過ケーキをメタノールで洗浄した。濾液を回収した。溶媒を減圧下で蒸発させた。次いで、水(100.0mL)を加えた。系をジクロロメタン(150.0mL×3)で抽出した。有機相を飽和塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いで、減圧下で溶媒を乾燥させて、オフホワイト色の固体X-1(19.6g、収率98.0%)を得た。LCMS(方法B)純度:84.53%。Rt=1.99分;MS測定:306.0;MS測定:307.0[M+H]
【0155】
[ステップ7]N-(5-ブロモ2-(2-メトキシベンジル)アミノ)フェニル)-プロピオンアミド(XII-1)の合成
【0156】
【化13】
【0157】
反応フラスコにおいて、X-1(1.5g、4.9mmol)、プロピオン酸(0.36g、4.9mmol)、HATU(2.2g、5.9mmol)、トリエチルアミン(0.99g、9.8mmol)およびN、N-ジメチルホルムアミド(30.0mL)を連続的に加え、室温で3時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を水に注ぎ、酢酸エチル(60.0mL×3)で抽出した。有機相を水および飽和塩水で連続的に洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いで、溶媒を減圧下で蒸発させて、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラム精製[溶離剤:石油エーテル-酢酸エチル(3:1)]に供した。溶離剤を回収した。溶媒を減圧下で蒸発させて、白色固体XII-1(1.5g、収率84.7%)を得た。LCMS(方法B)純度:93.39%.Rt=2.18分;MS測定:362.1;MS測定:363.2[M+H]
【0158】
[ステップ8]5-ブロモ-2-エチル-1-(2-メトキシベンジル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(XIII-1)の合成
【0159】
【化14】
【0160】
反応フラスコにおいて、XII-1(1.5g、4.14mmol)および氷酢酸(20.0mL)を加え、次いで60℃に加熱して2時間反応させた。反応完了後、溶媒を減圧下で蒸発させて、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラム精製[溶離剤:石油エーテル-酢酸エチル(3:1)]に供した。その後、溶離剤を回収した。溶媒を減圧下で蒸発させて、黄色固体XIII-1(1.2g、収率84.5%)を得た。LCMS(方法B)純度:97.21%、Rt=1.68分;MS測定:344.1;MS測定:345.2[M+H]
【0161】
[ステップ9]2-((5-ブロモ-2-エチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)メチル)フェノール(XIV-1)の合成
【0162】
【化15】
【0163】
反応フラスコにおいて、XIII-1(1.5g、4.14mmol)および氷酢酸(20.0mL)を加え、60℃に加熱して2時間反応させた。反応完了後、溶媒を減圧下で乾燥させて、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラム精製[溶離剤:石油エーテル-酢酸エチル(3:1)]に供した。その後、溶離剤を回収した。溶媒を減圧下で蒸発させて、黄色固体XIV-1(1.2g、収率:84.5%)を得た。LCMS(B方法)純度:97.21%、Rt=1.68分;MS測定:344.1;MS測定:345.2[M+H]
【0164】
[ステップ10]2-(4-((2-((5-ブロモ-2-エチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)メチル)-フェノキシ)メチル)-2-エチルフェノキシ)酢酸エチル(XV-1)の合成
【0165】
【化16】
【0166】
反応フラスコにおいて、XIV-1(157mg、0.47mmol)、VI-1(122mg、0.47mmol)、炭酸カリウム(197mg、1.43mmol)およびN,N-ジメチルホルムアミド(5.0mL)を連続的に加え、室温で一晩撹拌した。反応完了後、反応溶液を水に注ぎ、酢酸エチル(20.0mL×3)で抽出した。有機相を水および飽和塩水で連続的に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラム精製[溶離剤:石油エーテル-酢酸エチル(3:1)]に供した。その後、溶離剤を回収した。溶媒を減圧下で乾燥させ、無色油状物質XV-1(231mg、収率88.2%)を得た。LCMS(方法A)純度:93.53%、Rt=0.75分;MS測定:550.2;MS測定:551.2[M+H]
【0167】
[ステップ11]2-(4-((2-((5-ブロモ-2-エチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)メチル)-フェノキシ)メチル)-2-エチルフェノキシ)酢酸(1)の合成
【0168】
【化17】
【0169】
反応フラスコにおいて、XV-1(231mg、0.42mmol)、メタノール(6.0mL)および2M LiOH(0.63mL、1.26mmol)を連続的に添加し、室温で3時間撹拌した。反応完了後、溶媒を減圧下で蒸発させ、次いで水(6.0mL)を加えた。pHを5~6に調整するために1M HClを添加した。系を濾過した。濾過ケーキを水で洗浄し、次いで乾燥させて、白色固体1(XVI-1)を得た(100mg、収率:45.7%)。HPLC-MS(方法D)純度:97.10%、Rt=8.36分;MS測定:522.2;MS測定:523.2[M+H]
【0170】
H NMR (400MHz、DMSO-d)δ:13.00(brs、1H、H9)、7.79(d、J=1.6Hz、1H、H1)、7.37-7.24(m、3H)、7.14-7.09(m、2H)、7.03(d、J=2.0Hz、1H、H7)、6.90-6.84(m、2H)、6.79(d、J=8.4Hz、1H)、5.41(s、2H、H4)、4.99(s、2H、H5)、4.70(s、2H、H6)、2.82(q、J=7.2Hz、2H、H2)、2.58(q、J=7.6Hz、2H、H7)、1.17-1.08(m、6H、H3、H8)。
【0171】
[実施例2~12]
出発物質が適切に変更される限り、実施例1の方法に従って広範囲の誘導体を合成することができる。実施例2~12に、代表的な実施例の一部を示す(表1を参照)。
【0172】
【表1】


【0173】
また、実施例1により提供される方法を参考にして、出発物質が適切に選択される限り、広範囲の誘導体を合成することができる。表2に列挙された化合物は、例のいくつかである。
【0174】
【表2】
【0175】
[薬理試験]
I.実験方法
以下の手法を用いて、試験化合物(実施例中の化合物)のPPAR活性化作用を決定した。
【0176】
受容体発現プラスミド(pSG5-GAL4-hPPARα、γまたはδ(LBD))、ルシフェラーゼ発現プラスミド(pUC8-MH100×4-TK-Luc)およびβ-ガラクトシダーゼ発現プラスミド(pCMX-β-GAL)(Kilewer, S.A. et.al., (1992) Nature, 358:771-774)をCV-1細胞(ATCC)に導入した。リポフェクション試薬(Lipofectamine 2000(Invitrogen))を用いた遺伝子導入後、細胞を試験化合物の存在下で約40時間培養した。可溶性細胞をルシフェラーゼ活性およびβ-GAL活性の決定に使用した。β-GAL活性を用いて、ルシフェラーゼ活性を補正し、GW-590735(PPARα選択的アゴニスト)で処理した細胞におけるルシフェラーゼ活性を100%として、PPARαの相対リガンド活性を計算し、ロシグリタゾンで処理した細胞におけるルシフェラーゼ活性を100%として、PPARγの相対リガンド活性を計算し、GW-501516で処理した細胞におけるルシフェラーゼ活性を100%として、PPARδの相対リガンド活性を計算し、EC 50を計算した。
【0177】
II.実験結果
実験結果を表3に示す。
【0178】
【表3】
【0179】
II.実験結果
実験結果を表3に示す。
【0180】
PPAR活性:コントロール薬を100%として使用した、試験化合物の10-7Mにおける相対値。
【0181】
PPARα:GW-590735 10-6
PPARγ:Rosiglitazone 10-5
PPARδ:GW-501516 10-7
表3から、試験化合物は優れたPPARδ活性化剤効果を示し、とりわけ、実施例5の化合物は、強力かつ選択的なPPARδ活性化剤効果を示したことが分かる。
【0182】
本発明に記載された具体的な実施例の詳細は、限定的であると推測されることを意味しない。本発明の性質および範囲から逸脱することなく、様々な同義の変換および修正を行うことができるが、そのような同義の実施形態が本発明の一部であることを知ることができる。