(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】水陸両用浚渫機
(51)【国際特許分類】
B60F 3/00 20060101AFI20250120BHJP
E02F 9/02 20060101ALI20250120BHJP
【FI】
B60F3/00 C
E02F9/02 Z
(21)【出願番号】P 2024555452
(86)(22)【出願日】2024-08-01
(86)【国際出願番号】 JP2024027517
【審査請求日】2024-11-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596109273
【氏名又は名称】株式会社高知丸高
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高野 広茂
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-93816(JP,A)
【文献】特開2019-1207(JP,A)
【文献】国際公開第2021/000473(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/167694(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60F 3/00
E02F 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水陸両用浚渫機であって、当該水陸両用浚渫機は、
当該水陸両用浚渫機の機体の底部に設けられ、それぞれ独立して前記機体の幅方向の軸心の周りに回転できるドラム状の第1、第2及び第3のフロートを備え、
前記機体前方から見て、前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロートの幅方向の中心軸に向かって、前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロートのそれぞれの長手方向に螺旋構造体からなるブレードが設けられ、
前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロートそれぞれの両端部には、前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロートそれぞれを回転させる動力部が設けられ、
前記機体の上部平面に対して垂直方向の軸心の周りを回動自在に第1の接続部が設けられ、
前記第1の接続部に接続された回動自在な油圧ショベルと、
前記機体の上平面に、上下方向に往復自在な2つのスパットを備え、
前記機体の上平面の長手方向から見て後端部に設けられた第2の接続部に接続された回転可能なフレーム部であって、
当該フレーム部は、前記ドラム状の第3のフロートと接続されてなり、
前記フレーム部は、前記機体の幅方向の中心軸に対して回転可能であり、
前記第2の接続部と前記フレーム部の接続部に接続されたスクリュー部を備えてなることを特徴とする、水陸両用浚渫機。
【請求項2】
前記フレーム部は、前記機体の幅方向の中心軸に対して最大20°回転可能であることを特徴とする、請求項1に記載の水陸両用浚渫機。
【請求項3】
前記ドラム状の第2のフロートが、前記第1又は第3のフロートの口径よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の水陸両用浚渫機。
【請求項4】
前記螺旋構造体の材質が、鉄であることを特徴とする、請求項1に記載の水陸両用浚渫機。
【請求項5】
前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロートは、当該フロートの中心部をそれぞれ貫通する前記長手方向の軸部に沿って構成され、かつ前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロートと前記軸部が一体的に回転するように動力部が構成され、前記軸部は前記動力部と接続されることを特徴とする、請求項1に記載の水陸両用浚渫機。
【請求項6】
前記螺旋構造体からなるブレードは、厚さが9mm~15mmであることを特徴とする、請求項1に記載の水陸両用浚渫機。
【請求項7】
前記ブレードの前記螺旋構造体が、前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロートにそれぞれ熔接されてなることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の水陸両用浚渫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水陸両用浚渫機に関する。
【背景技術】
【0002】
浚渫作業においては浚渫船と呼ばれる作業船が使用され、例えば、グラブバケットを備えるグラブ浚渫船、バックホーを備えるバックホー浚渫船等が挙げられる。
また氷水域や、大雨、地震により発生する液状化に伴う地盤沈下や浸水時、湿地帯、軟弱地盤や水中等において、岸部、海岸以外でも、土砂やヘドロを取り除く、いわゆる浚渫を行う際は、水上でも移動可能かつ、陸上でも移動可能な、水陸両用浚渫機を使用する必要がある。
従来は、船型やクローラ型の浚渫機を用いた作業を行ってきたが、例えば、無限軌道を有するクローラ型の水陸両用浚渫機は、土砂やヘドロ等が混ざり合った泥濘地帯等の軟弱地盤では、無限軌道に土砂やヘドロが挟まり、無限軌道が破損する等、耐久性に課題が生じることや、推進力の低下により浚渫機の移動速度が大幅に低下し、作業効率が低下することが課題となっている。
【0003】
この課題を解決するために、無限軌道を備えた車体にプロペラを併設した浚渫機も開発されたが、水上での移動速度は改善したものの、泥濘地帯等の軟弱地盤では、依然として土砂やヘドロ等が無限軌道やプロペラに挟まり、浚渫機の移動速度を改善することや、耐久性を向上することができなかった。
依然として、水上及び軟弱地盤等で、移動速度の低下と耐久性の低下、すなわち、機体の破損が生じ作業効率が低下するという課題は解決していない。
【0004】
特許文献1では、グラブ装置の車体の底部に、螺旋状のブレードが配設されたブレード付き回転フロートを有する水陸両用浚渫機によって、岸部、海岸及び湿地帯等における各種作業及びゴミ回収作業を行い得ることを開示しているが、あくまで水上や湿地帯で移動可能となったのみであり、土砂やヘドロ等が各フロートに挟まり、推進力が低下することによる移動速度の低下や、浚渫機のフロートの耐久性については課題が残り、安定した浚渫作業を行うことができない。
【0005】
近年災害が増加し、大雨や地震等により発生する液状化に伴う地盤沈下や浸水時、または湿地帯等の軟弱地盤での浚渫作業が増加している。特に、寒冷地域での浚渫作業は、前述した軟弱地盤であるだけでなく、気温の低下により軟弱地盤が氷結し、氷結した土砂やヘドロ等が挟まることで、浚渫機の移動速度の低下や機体の耐久性の低下について、十分に対策がなされておらず、この対策が必要となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明に係る水陸両用浚渫機は、雪上、氷海、氷雪地帯等の寒冷地帯、大雨や地震により発生する液状化に伴う地盤沈下による変化した地形、泥濘地帯等の軟弱地盤等、幅広い地形での浚渫作業を行うことが可能である。本発明に係る水陸両用浚渫機は、土砂やヘドロ等がフロートに挟まることによる移動速度の低下と耐久性の低下を防止することで、安定した浚渫作業を行うことができるという水陸両用浚渫機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、水陸両用浚渫機であって、当該水陸両用浚渫機は、当該水陸両用浚渫機の機体の底部に設けられ、それぞれ独立して前記機体の幅方向の軸心の周りに回転できるドラム状の第1、第2及び第3のフロートを備え、前記機体前方から見て、前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロートの幅方向の中心軸に向かって、前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロートのそれぞれの長手方向に螺旋構造体からなるブレードが設けられ、前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロートそれぞれの両端部には、前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロートそれぞれを回転させる動力部が設けられ、前記機体の上部平面に対して垂直方向の軸心の周りを回動自在に第1の接続部が設けられ、前記第1の接続部に接続された回動自在な油圧ショベルと、前記機体の上平面に、上下方向に往復自在な2つのスパットを備え、前記機体の上平面の長手方向から見て後端部に設けられた第2の接続部に接続された回転可能なフレーム部であって、当該フレーム部は、前記ドラム状の第3のフロートと接続されてなり、前記フレーム部は、前記機体の幅方向の中心軸に対して回転可能であり、前記第2の接続部と前記フレーム部の接続部に接続されたスクリュー部を備えてなることを特徴とする、水陸両用浚渫機に関する。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記フレーム部は、前記機体の幅方向の中心軸に対して最大20°回転可能であることを特徴とする、請求項1に記載の水陸両用浚渫機に関する。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記ドラム状の第2のフロートが、前記第1又は第3のフロートの口径よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の水陸両用浚渫機に関する。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記螺旋構造体の材質が、鉄であることを特徴とする、請求項1に記載の水陸両用浚渫機に関する。
【0012】
請求項5に係る発明は、前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロートは、当該フロートの中心部をそれぞれ貫通する前記長手方向の軸部に沿って構成され、かつ前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロートと前記軸部が一体的に回転するように動力部が構成され、前記軸部は前記動力部と接続されることを特徴とする、請求項1に記載の水陸両用浚渫機に関する。
【0013】
請求項6に係る発明は、前記螺旋構造体からなるブレードは、厚さが9mm~15mmであることを特徴とする、請求項1に記載の水陸両用浚渫機に関する。
【0014】
請求項7に係る発明は、前記ブレードの前記螺旋構造体が、前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロートにそれぞれ熔接されてなることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の水陸両用浚渫機に関する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る水陸両用浚渫機によれば、水陸両用浚渫機であって、当該水陸両用浚渫機は、当該水陸両用浚渫機の機体の底部に設けられ、それぞれ独立して前記機体の幅方向の軸心の周りに回転できるドラム状の第1、第2及び第3のフロートを備え、前記機体前方から見て、前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロートの幅方向の中心軸に向かって、前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロートのそれぞれの長手方向に螺旋構造体からなるブレードが設けられ、前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロートそれぞれの両端部には、前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロートそれぞれを回転させる動力部が設けられ、前記機体の上部平面に対して垂直方向の軸心の周りを回動自在に第1の接続部が設けられ、前記第1の接続部に接続された回動自在な油圧ショベルと、前記機体の上平面に、上下方向に往復自在な2つのスパットを備え、前記機体の上平面の長手方向から見て後端部に設けられた第2の接続部に接続された回転可能なフレーム部であって、当該フレーム部は、前記ドラム状の第3のフロートと接続されてなり、前記フレーム部は、前記機体の幅方向の中心軸に対して回転可能であり、前記第2の接続部と前記フレーム部の接続部に接続されたスクリュー部を備えてなることを特徴とするので、土砂やヘドロ等がフロートに挟まることによる移動速度の低下と耐久性の低下を防止することで、安定した浚渫作業を行うことができるという作用効果を奏する。
【0016】
請求項2に係る水陸両用浚渫機によれば、前記フレーム部は、前記機体の幅方向の中心軸に対して最大20°回転可能であることを特徴とするので、雪上、氷海、氷雪地帯、湿地帯や泥濘地帯等でも安定して推進方向を定めることができ、推進力の低下による移動速度の低下を防止することができるため、効率的に浚渫作業を行うことができるという作用効果を奏する。
【0017】
請求項3に係る水陸両用浚渫機によれば、前記ドラム状の第2のフロートが、前記第1又は第3のフロートの口径よりも小さいことを特徴とするので、軟弱地盤を走行する際、第1及び第3のフロートのみでは、本体が石等に乗り上げた際、第2フロートによって、補助的に走行可能とすることで、安定して走行できない軟弱地盤等を効率的に走行することができ、水陸両用浚渫機の移動速度の低下を防止するという作用効果を奏する。
【0018】
請求項4に係る水陸両用浚渫機によれば、前記螺旋構造体は鉄であることを特徴とするので、優れた耐久性により、フロートの螺旋構造体が破損し辛くなり、効率的に土砂やヘドロを掻き出すことができるので、例えば、水陸両用浚渫機が、泥濘地帯や氷海上を走行する際に、フロートが岩石や氷等により損耗することにより、土砂やヘドロ等を掻き出すという作用の低下を防止することで、移動速度の低下を防止するという優れた作用効果を奏する。
【0019】
請求項5に係る水陸両用浚渫機によれば、前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロートは、当該フロートの中心部をそれぞれ貫通する前記長手方向の軸部に沿って構成され、かつ前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロートと前記軸部が一体的に回転するように動力部が構成され、前記軸部は前記動力部と接続されることを特徴とするので、動力部からのエネルギーが軸部を通じて各フロート部へ効率よく伝達されるという優れた作用効果を奏する。
【0020】
請求項6に係る水陸両用浚渫機によれば、請求項7に係る発明は、前記螺旋構造体からなるブレードは、厚さが9mm~15mmであることを特徴とするので、雪上、氷海、氷雪地帯、泥濘帯等で、優れた耐久性を備えた水陸両用浚渫機による浚渫作業を行うことができるという優れた作用効果を奏する。
【0021】
請求項7に係る水陸両用浚渫機によれば、前記ブレードの前記螺旋構造体が、前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロートにそれぞれ熔接されてなることを特徴とするので、土砂やヘドロ等による耐久性の低下が防止されたブレードを形成することができるという優れた作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る水陸両用浚渫機の一実施形態である、水陸両用浚渫機を示す左側面図である。
【
図2】本発明に係る水陸両用浚渫機の一実施形態である、
図1のAA断面を上から見た水陸両用浚渫機を示す上平面図である。
【
図3a】本発明に係る水陸両用浚渫機の一実施形態である、水陸両用浚渫機が直進する際の、
図1のAA断面を上から見た水陸両用浚渫機を示す上平面図の部分図である。
【
図3b】本発明に係る水陸両用浚渫機の一実施形態である、水陸両用浚渫機が左旋回する際の、
図1のAA断面を上から見た水陸両用浚渫機を示す上平面図の部分図である。
【
図3c】本発明に係る水陸両用浚渫機の一実施形態である、水陸両用浚渫機が右旋回する際の、
図1のAA断面を上から見た水陸両用浚渫機を示す上平面図の部分図である。
【
図4】本発明に係る水陸両用浚渫機の一実施形態である、水陸両用浚渫機の正面図である。
【
図5】本発明に係る水陸両用浚渫機の一実施形態である、水陸両用浚渫機の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る実施形態に係る水陸両用浚渫機について例示しているが、あくまで一例に過ぎないことは云うまでもない。
【0024】
本明細書で使用する用語は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。特段の断りがない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。
【0025】
水陸両用浚渫機は、雪上、氷海、氷雪地帯、湿地帯や泥濘地帯等に利用されることを例示しているが、これらに限定されず、本発明の水陸両用浚渫機は、例えば、河川や河口等にも適用可能である。
【0026】
本発明に含まれる螺旋構造体の材料には、金属、合金及び合成金属があげられる。例えば、鉄、アルミニウム、アルミニウム合金、白銅、鉄鋼、ステンレス等が使用されるが、特に鉄を使用することが望ましい。
【0027】
<水陸両用浚渫機>
図1は、本発明に係る水陸両用浚渫機の一実施形態である、水陸両用浚渫機を示す左側面図である。
図2は、本発明に係る水陸両用浚渫機の一実施形態である、
図1のAA断面を上から見た水陸両用浚渫機を示す上平面図である。
図3は、本発明に係る水陸両用浚渫機の一実施形態である、水陸両用浚渫機が推進する際の、
図1のAA断面を上から見た水陸両用浚渫機を示す上平面図の部分図である。
図4は、本発明に係る水陸両用浚渫機の一実施形態である、水陸両用浚渫機の正面図を示す。
図5は、本発明に係る水陸両用浚渫機の一実施形態である、水陸両用浚渫機の背面図である。
図1乃至
図5を参照すると、本発明の一実施形態である水陸両用浚渫機(1)は、水陸両用浚渫機(1)の機体(2)の底部に設けられ、それぞれ独立して機体(2)の幅方向の軸心(S1)の周りに回転できるドラム状の第1、第2及び第3のフロート(4a、4b、4c)を備える。次に前記機体(2)前方から見て、前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロート(4a、4b、4c)の幅方向の中心軸(S2)に向かって、前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロート(4a、4b、4c)のそれぞれの長手方向に螺旋構造体(5)からなるブレード(10)が設けられる。前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロート(4a、4b、4c)それぞれの両端部には、前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロート(4a、4b、4c)の軸部(7)を通じて回転させる動力部(8)が設けられ、前記機体の上部平面に対して垂直方向の軸心(V)の周りを回動自在に第1の接続部(9a)が設けられ、前記第1の接続部(9a)に接続された回動自在な油圧ショベル(3)を備える。前記機体(2)の上平面に、上下方向に往復自在な2つのスパット(11)を備え、さらに前記機体(2)の上平面の長手方向(L1)から見て後端部に設けられた第2の接続部(9b)に接続された回転可能なフレーム部(6)を有する。このフレーム部(6)は、前記ドラム状の第3のフロート(4c)と接続されてなり、前記フレーム部(6)は、前記機体の幅方向の中心軸(S1)に対して回転可能であり、前記第2の接続部(9b)と前記フレーム部(6)の接続部に接続されたスクリュー部(12)を備える。なお螺旋構造体(5)に用いられる材料は、前述のとおりである。
【0028】
図1乃至
図3(a-c)を参照すると、本発明の一実施形態である水陸両用浚渫機(1)は、水陸両用浚渫機(1)の機体(2)の底部に設けられ、それぞれ独立して前記機体(2)の幅方向の軸心(S1)の周りに回転できるドラム状の第1、第2及び第3のフロート(4a、4b、4c)を備える。次に前記機体(2)前方から見て、前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロート(4a、4b、4c)の幅方向の中心軸(S2)に向かって、前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロート(4a、4b、4c)のそれぞれの長手方向に螺旋構造体(5)からなるブレード(10)が設けらる。前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロート(4a、4b、4c)それぞれの両端部には、前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロート(4a、4b、4c)それぞれを回転させる動力部(8)が設けられ、前記機体(2)の上部平面に対して垂直方向の軸心(V)の周りを回動自在に第1の接続部(9a)が設けられ、前記第1の接続部(9a)に接続された回動自在な油圧ショベル(3)を備える。前記機体(2)の上平面に、上下方向に往復自在な2つのスパット(11)を備え、さらに前記機体(2)の上平面の長手方向から見て後端部に設けられた第2の接続部(9b)に接続された回転可能なフレーム部(6)を有する。このフレーム部(6)は、前記ドラム状の第3のフロート(4c)と接続されてなり、前記フレーム部(6)は、前記機体の幅方向の中心軸(S1)に対して回転可能であり、前記第2の接続部(9b)と前記フレーム部(6)の接続部に接続されたスクリュー部(12)を備える。さらにドラム状の第1、第2及び第3のフロート(4a、4b、4c)は、当該フロートの中心部をそれぞれ貫通する前記長手方向の軸(L2)に沿って構成される軸部(7)を有し、かつ前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロート(4a、4b、4c)と軸部(7)が一体的に回転するように動力部が構成され、当該軸部(7)は前記動力部(8)と接続される。また前記フレーム部(6)は、前記機体(2)の幅方向の中心軸(S1)に対して最大20°回転可能であり、安定して前後左右に水陸両用浚渫機の推進方向を定めることができる。そのため、推進力の低下による移動速度の低下を防止することができ、効率的に浚渫作業を行うことができる。なお螺旋構造体(5)に用いられる材料は、前述のとおりである。
【0029】
図1乃至
図5を参照すると、本発明の一実施形態である水陸両用浚渫機(1)は、水陸両用浚渫機(1)の機体(2)の底部に設けられ、それぞれ独立して前記機体(2)の幅方向の中心軸(S1)の周りに回転できるドラム状の第1、第2及び第3のフロート(4a、4b、4c)を備える。次に前記機体(2)前方から見て、前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロート(4a、4b、4c)の幅方向の中心軸(S2)に向かって、前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロート(4a、4b、4c)の長手方向の右端から右回り、及び左端から左回りの螺旋構造体(5)が交互に設けられてなる、ブレード(10)を備える。さらに前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロート(4a、4b、4c)それぞれの両端部には、前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロート(4a、4b、4c)それぞれを回転させる動力部(8)が設けられ、前記機体(2)の上部平面に対して垂直方向の軸心(V)の周りを回動自在に第1の接続部(9a)が設けられ、前記第1の接続部(9a)に接続された回動自在な油圧ショベル(3)を備える。前記機体(4)の上平面に、上下方向に往復自在な2つのスパット(11)を備え、さらに前記機体(2)の上平面の長手方向から見て後端部に設けられた第2の接続部(9b)に接続された回転可能なフレーム部(6)を有する。このフレーム部(6)は、前記ドラム状の第3のフロート(4c)と接続されてなり、前記フレーム部(6)は、前記機体(2)の幅方向の中心軸(S1)に対して回転可能であり、前記第2の接続部(9b)と前記フレーム部(6)の接続部に接続されたスクリュー部(12)を備える。さらにドラム状の第1、第2及び第3のフロート(4a、4b、4c)は、当該フロートの中心部をそれぞれ貫通する前記長手方向の軸心(L2)に沿って構成される軸部(7)を有し、かつ前記ドラム状の第1、第2及び第3のフロート(4a、4b、4c)と軸部(7)が一体的に回転するように動力部(8)が構成される。そして、軸部(7)は前記動力部(8)と接続される。また前記フレーム部(6)は、前記機体(2)の幅方向の中心軸(S1)に対して最大20°回転可能であり、安定して推進方向を定めることができ、推進力の低下による移動速度の低下を防止することができるため、効率的に浚渫作業を行うことができる。なお螺旋構造体(5)に用いられる材料は、前述のとおりである。
【0030】
図1乃至
図5を参酌すると、前記螺旋構造体(5)からなるブレード(10)は、厚さが9mm~15mmであるが、厚さはこの範囲であることが望ましい。この厚みにより、優れた推進力と耐久性を発揮する。
【0031】
図示はしていないが、動力部(8)は、油圧モーターを使用しているが、動力部(8)は本実施例に限定されず、当業者には自明の範囲で種々の変形、修正、変更を行うことが可能である。
【実施例】
【0032】
以下、本発明の水陸両用浚渫機について実施例に基づき更に詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
本発明の実施形態を参照し水陸両用浚渫機を作製した。
【0033】
図示はしていないが、本発明の実施形態を参照すると、水陸両用浚渫機の走行速度について、陸上走行速度は約3(km/h)であり、水上走行速度は約3(km/h)である。また泥濘帯等の軟弱地盤での走行速度は約3(km/h)である。このように様々な地形でも安定した速度で運用が可能であり、本発明に係る水陸両用浚渫機は、優れた推進力を有するため、水陸両用浚渫機の移動速度が低下することなく浚渫作業を行うことができる。
【0034】
図1乃至
図5を参酌すると、水陸両用浚渫機は、スパットを備えることで、浚渫作業時の機体を固定し、安定して浚渫作業を行うことができる。本実施例に限定されず、当業者には自明の範囲で種々の変形、修正、変更を行うことが可能である。
【0035】
同様に
図1乃至
図5と、本発明の実施形態を参照すると螺旋構造体からなるブレードは、厚さが9mm~15mmである。そのため、雪上、氷海、氷雪地帯、湿地帯、泥濘地帯等で、高い耐久性を備えた、水陸両用浚渫機による浚渫作業を行うことができる。
【0036】
ここで、浚渫作業で用いる油圧ショベルは「商品名SK75SR バケット容量:0.28m3(コベルコ株式会社製)」という商品を用いて、実施している。油圧ショベルは、本実施例に限定されず、当業者には自明の範囲で種々の変形、修正、変更を行うことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係る水陸両用浚渫機は、雪上、氷海、氷雪地帯等の寒冷地帯、湿地帯と、大雨や地震により発生する液状化に伴う地盤沈下により変化した地形や軟弱地盤等、幅広い地形での浚渫作業を行うことが可能であり、尚且つ本発明に係る水陸両用浚渫機は、優れた移動速度と高い耐久性を兼ね備えているため、安定した浚渫作業を行うことを可能とする水陸両用浚渫機を提供できる。
【符号の説明】
【0038】
1 水陸両用浚渫機
2 機体
3 油圧ショベル
4a ドラム状の第1のフロート
4b ドラム状の第2のフロート
4c ドラム状の第3のフロート
5 螺旋構造体
6 フレーム部
7 軸部
8 動力部
9a 第1の接続部
9b 第2の接続部
10 ブレード
11 スパット
12 スクリュー部
AA AA断面
L1 長手方向の軸(機体)
L2 長手方向の軸(フロート)
S1 機体の幅方向の中心軸
S2 ドラム状の第1、第2及び第3のフロートの幅方向の中心軸
V 垂直方向の軸
【要約】
(要約)
(課題)
本発明は、幅広い地形で浚渫作業を行うことができる。土砂等がフロートに挟まることによる移動速度や耐久性の低下を防止し、安定した浚渫作業を行うことができる水陸両用浚渫機を提供することを目的とする。
(解決手段)
水陸両用浚渫機の底部に設けられ、独立して機体の幅方向の軸心の周りに回転できるドラム状の第1、第2及び第3のフロートを備え、機体前方から見て、各フロートの幅方向の中心軸に向かって、長手方向にブレードが設けられ、各フロートの両端部は、フロートを回転させる動力部と、機体の上部平面に対して垂直方向の軸心の周りを回動自在な第1の接続部が設けられ、回動自在な油圧ショベルと、スパットを備え、機体の上平面の長手方向から見て後端部に設けられた第3のフロート、スクリュー部と接続する第2の接続部に接続された回転可能なフレーム部を備える、水陸両用浚渫機を提供する。
(選択図)
図1