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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】空調機器の制御システム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/80 20180101AFI20250120BHJP
   F24F 11/58 20180101ALI20250120BHJP
   F24F 11/63 20180101ALI20250120BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20250120BHJP
   F24F 110/20 20180101ALN20250120BHJP
【FI】
F24F11/80
F24F11/58
F24F11/63
F24F110:10
F24F110:20
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020102553
(22)【出願日】2020-06-12
(65)【公開番号】P2021196106
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】志村 欣一
(72)【発明者】
【氏名】宮部 孝典
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0283723(US,A1)
【文献】特開2003-083589(JP,A)
【文献】特開平05-149599(JP,A)
【文献】特開2019-056498(JP,A)
【文献】特開2013-168098(JP,A)
【文献】特開2015-218995(JP,A)
【文献】特開2017-133707(JP,A)
【文献】特開2012-194847(JP,A)
【文献】特開平05-133585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信手段を有する制御コンピュータにより、1以上の空調機器を制御する制御システムであって、
前記制御コンピュータは、
前記通信手段により、前記空調機器がONとなった時刻からの経過時間であるON経過時間と、前記空調機器が設置された室内における気温である室温及び湿度である室内湿度と、前記空調機器のユーザが操作した前記空調機器の空調設定温度とを、複数組、時刻が互いに異なる状態で、前記空調機器毎に受信可能であると共に、
前記ON経過時間、前記室温及び前記室内湿度のみを説明変数として、多変量解析により、目的関数として前記ユーザが操作した前記空調設定温度のみに係る空調設定温度関数を、前記空調機器毎に決定し、
決定された前記空調設定温度関数に、決定後に受信した前記ON経過時間、前記室温及び前記室内湿度を当てはめて、推奨される前記空調設定温度である推奨空調設定温度を導出し、
前記通信手段により、前記推奨空調設定温度を、前記空調機器側に送信する
ことを特徴とする空調機器の制御システム。
【請求項2】
通信手段を有する制御コンピュータにより、1以上の空調機器を制御する制御システムであって、
前記制御コンピュータと通信可能であって表示手段を有している端末及びリモートコントローラの少なくとも一方を、前記空調機器側に有しており、
前記制御コンピュータは、
教師データが所定量以上蓄積されるまで機械学習を行い、
前記表示手段に、前記機械学習の期間中における前記空調機器のユーザの好みに合わせた前記空調機器の空調設定温度の変更に係るメッセージを表示させ、
前記通信手段により、前記空調機器がONとなった時刻からの経過時間であるON経過時間と、前記空調機器が設置された室内における気温である室温及び湿度である室内湿度と、前記空調機器の空調設定温度とを、複数組、時刻が互いに異なる状態で、前記空調機器毎に受信可能であると共に、
前記教師データに係る前記ON経過時間、前記室温及び前記室内湿度のみを説明変数として、前記機械学習に係る多変量解析により、目的関数として前記空調設定温度のみに係る空調設定温度関数を、前記空調機器毎に決定し、
決定された前記空調設定温度関数に、決定後に受信した前記ON経過時間、前記室温及び前記室内湿度を当てはめて、推奨される前記空調設定温度である推奨空調設定温度を導出し、
前記通信手段により、前記推奨空調設定温度を、前記空調機器側に送信する
ことを特徴とする空調機器の制御システム。
【請求項3】
前記多変量解析は、サポートベクター回帰である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空調機器の制御システム。
【請求項4】
前記室内湿度は、前記空調機器が設置された室内における相対湿度である室内相対湿度である
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の空調機器の制御システム。
【請求項5】
更に、前記制御コンピュータと通信可能な端末及びリモートコントローラの少なくとも一方を、前記空調機器側に有しており、
前記端末及び前記リモートコントローラの少なくとも一方は、前記推奨空調設定温度を受信すると、前記空調機器に対し、前記空調設定温度を前記推奨空調設定温度とする指令を行う
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載の空調機器の制御システム。
【請求項6】
前記制御コンピュータと、前記空調機器並びに前記端末及び前記リモートコントローラの少なくとも一方との間には、通信網が介在している
ことを特徴とする請求項5に記載の空調機器の制御システム。
【請求項7】
通信手段を有する制御コンピュータにより、1以上の空調機器を制御する制御方法であって、
前記通信手段により、前記空調機器がONとなった時刻からの経過時間であるON経過時間と、前記空調機器が設置された室内における気温である室温及び湿度である室内湿度と、前記空調機器のユーザが操作した前記空調機器の空調設定温度とを、複数組、時刻が互いに異なる状態で、前記空調機器毎に受信するステップと、
前記制御コンピュータにより、前記ON経過時間、前記室温及び前記室内湿度のみを説明変数とした多変量解析がなされ、目的関数として前記ユーザが操作した前記空調設定温度のみに係る空調設定温度関数が、前記空調機器毎に決定されるステップと、
前記制御コンピュータにより、決定された前記空調設定温度関数に、決定後に受信した前記ON経過時間、前記室温及び前記室内湿度が当てはめられて、推奨される前記空調設定温度である推奨空調設定温度が導出されるステップと、
前記通信手段により、前記推奨空調設定温度が、前記空調機器側に送信されるステップと、
を有することを特徴とする空調機器の制御方法。
【請求項8】
通信手段を有する制御コンピュータにより、1以上の空調機器を制御する制御方法であって、
前記空調機器側に、前記制御コンピュータと通信可能であって表示手段を有している端末及びリモートコントローラの少なくとも一方が配置されており、
教師データが所定量以上蓄積されるまで機械学習を行うステップと、
前記表示手段に、前記機械学習の期間中における前記空調機器のユーザの好みに合わせた前記空調機器の空調設定温度の変更に係るメッセージを表示させるステップと、
前記通信手段により、前記空調機器がONとなった時刻からの経過時間であるON経過時間と、前記空調機器が設置された室内における気温である室温及び湿度である室内湿度と、前記空調機器の空調設定温度とを、複数組、時刻が互いに異なる状態で、前記空調機器毎に受信するステップと、
前記制御コンピュータにより、前記教師データに係る前記ON経過時間、前記室温及び前記室内湿度のみを説明変数とした多変量解析がなされ、目的関数として前記空調設定温度のみに係る空調設定温度関数が、前記空調機器毎に決定されるステップと、
前記制御コンピュータにより、決定された前記空調設定温度関数に、決定後に受信した前記ON経過時間、前記室温及び前記室内湿度が当てはめられて、推奨される前記空調設定温度である推奨空調設定温度が導出されるステップと、
前記通信手段により、前記推奨空調設定温度が、前記空調機器側に送信されるステップと、
を有することを特徴とする空調機器の制御方法。
【請求項9】
前記多変量解析は、サポートベクター回帰である
ことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の空調機器の制御システム。
【請求項10】
前記室内湿度は、前記空調機器が設置された室内における相対湿度である室内相対湿度である
ことを特徴とする請求項7ないし請求項8の何れかに記載の空調機器の制御方法。
【請求項11】
前記空調機器側に、前記制御コンピュータと通信可能な端末及びリモートコントローラの少なくとも一方が配置されており、
更に、前記推奨空調設定温度を受信した前記端末及び前記リモートコントローラの少なくとも一方により、前記空調機器に対し、前記空調設定温度を前記推奨空調設定温度とする指令が発せられる
ことを特徴とする請求項7ないし請求項10の何れかに記載の空調機器の制御方法。
【請求項12】
前記制御コンピュータと、前記空調機器並びに前記端末及び前記リモートコントローラの少なくとも一方との間には、通信網が介在している
ことを特徴とする請求項11に記載の空調機器の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調機器を自動制御可能な空調機器の制御システム、及び空調機器の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空調機器の制御装置として、特開2001-82782号公報(特許文献1)に記載されたものが知られている。
この装置は、快適空調制御に快適性指標PMVを用いるものであって、PMVの算出に必要な平均輻射温度について、室内温度および外気温度を説明変数とする統計モデルを作成する手段と、空調制御の開始前に計測した平均輻射温度、室内温度及び外気温度の各計測データを用いて統計モデルのモデルパラメータを算出する手段と、モデルパラメータを用いた統計モデルに室内温度、外気温度を入力して空調制御時の平均輻射温度を求める手段と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-82782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の装置では、空調制御時の室内温度、外気温度の統計モデルへの入力により得られた空調制御時の平均輻射温度からPMVが算出され、PMVに基づいて快適空調制御されるため、空調制御時の室内温度、外気温度に適した空調の制御がなされる。
しかし、上記の装置は、ユーザによる空調の操作履歴を学習して、ユーザの好みに応じた自動制御を行うものではない。
又、統計モデルは、事前に平均輻射温度計を調整時にだけ持ち込み、平均輻射温度、室内温度、外気温度の各データを数週間計測して、このデータから重回帰分析等により求められる。よって、統計モデルの作成に手間がかかる。
【0005】
そこで、本発明の主な目的は、ユーザの好みに応じた自動制御が手軽に行われる空調機器の制御システム,制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、通信手段を有する制御コンピュータにより、1以上の空調機器を制御する制御システムであって、前記制御コンピュータは、前記通信手段により、前記空調機器がONとなった時刻からの経過時間であるON経過時間と、前記空調機器が設置された室内における気温である室温及び湿度である室内湿度と、前記空調機器のユーザが操作した前記空調機器の空調設定温度とを、複数組、時刻が互いに異なる状態で、前記空調機器毎に受信可能であると共に、前記ON経過時間、前記室温及び前記室内湿度のみを説明変数として、多変量解析により、目的関数として前記ユーザが操作した前記空調設定温度のみに係る空調設定温度関数を、前記空調機器毎に決定し、決定された前記空調設定温度関数に、決定後に受信した前記ON経過時間、前記室温及び前記室内湿度を当てはめて、推奨される前記空調設定温度である推奨空調設定温度を導出し、前記通信手段により、前記推奨空調設定温度を、前記空調機器側に送信することを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、通信手段を有する制御コンピュータにより、1以上の空調機器を制御する制御システムであって、前記制御コンピュータと通信可能であって表示手段を有している端末及びリモートコントローラの少なくとも一方を、前記空調機器側に有しており、前記制御コンピュータは、教師データが所定量以上蓄積されるまで機械学習を行い、前記表示手段に、前記機械学習の期間中における前記空調機器のユーザの好みに合わせた前記空調機器の空調設定温度の変更に係るメッセージを表示させ、前記通信手段により、前記空調機器がONとなった時刻からの経過時間であるON経過時間と、前記空調機器が設置された室内における気温である室温及び湿度である室内湿度と、前記空調機器の空調設定温度とを、複数組、時刻が互いに異なる状態で、前記空調機器毎に受信可能であると共に、前記教師データに係る前記ON経過時間、前記室温及び前記室内湿度のみを説明変数として、前記機械学習に係る多変量解析により、目的関数として前記空調設定温度のみに係る空調設定温度関数を、前記空調機器毎に決定し、決定された前記空調設定温度関数に、決定後に受信した前記ON経過時間、前記室温及び前記室内湿度を当てはめて、推奨される前記空調設定温度である推奨空調設定温度を導出し、前記通信手段により、前記推奨空調設定温度を、前記空調機器側に送信することを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、上記発明において、前記多変量解析は、サポートベクター回帰であることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、上記発明において、前記室内湿度は、前記空調機器が設置された室内における相対湿度である室内相対湿度であることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、上記発明において、更に、前記制御コンピュータと通信可能な端末及びリモートコントローラの少なくとも一方を、前記空調機器側に有しており、前記端末及び前記リモートコントローラの少なくとも一方は、前記推奨空調設定温度を受信すると、前記空調機器に対し、前記空調設定温度を前記推奨空調設定温度とする指令を行うことを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、上記発明において、前記制御コンピュータと、前記空調機器並びに前記端末及び前記リモートコントローラの少なくとも一方との間には、通信網が介在していることを特徴とするものである。
【0007】
請求項7に記載の発明は、通信手段を有する制御コンピュータにより、1以上の空調機器を制御する制御方法であって、前記通信手段により、前記空調機器がONとなった時刻からの経過時間であるON経過時間と、前記空調機器が設置された室内における気温である室温及び湿度である室内湿度と、前記空調機器のユーザが操作した前記空調機器の空調設定温度とを、複数組、時刻が互いに異なる状態で、前記空調機器毎に受信するステップと、前記制御コンピュータにより、前記ON経過時間、前記室温及び前記室内湿度のみを説明変数とした多変量解析がなされ、目的関数として前記ユーザが操作した前記空調設定温度のみに係る空調設定温度関数が、前記空調機器毎に決定されるステップと、前記制御コンピュータにより、決定された前記空調設定温度関数に、決定後に受信した前記ON経過時間、前記室温及び前記室内湿度が当てはめられて、推奨される前記空調設定温度である推奨空調設定温度が導出されるステップと、前記通信手段により、前記推奨空調設定温度が、前記空調機器側に送信されるステップと、を有することを特徴とするものである。
請求項8に記載の発明は、通信手段を有する制御コンピュータにより、1以上の空調機器を制御する制御方法であって、前記空調機器側に、前記制御コンピュータと通信可能であって表示手段を有している端末及びリモートコントローラの少なくとも一方が配置されており、教師データが所定量以上蓄積されるまで機械学習を行うステップと、前記表示手段に、前記機械学習の期間中における前記空調機器のユーザの好みに合わせた前記空調機器の空調設定温度の変更に係るメッセージを表示させるステップと、前記通信手段により、前記空調機器がONとなった時刻からの経過時間であるON経過時間と、前記空調機器が設置された室内における気温である室温及び湿度である室内湿度と、前記空調機器の空調設定温度とを、複数組、時刻が互いに異なる状態で、前記空調機器毎に受信するステップと、前記制御コンピュータにより、前記教師データに係る前記ON経過時間、前記室温及び前記室内湿度のみを説明変数とした多変量解析がなされ、目的関数として前記空調設定温度のみに係る空調設定温度関数が、前記空調機器毎に決定されるステップと、前記制御コンピュータにより、決定された前記空調設定温度関数に、決定後に受信した前記ON経過時間、前記室温及び前記室内湿度が当てはめられて、推奨される前記空調設定温度である推奨空調設定温度が導出されるステップと、前記通信手段により、前記推奨空調設定温度が、前記空調機器側に送信されるステップと、を有することを特徴とするものである。
請求項9に記載の発明は、上記発明において、前記多変量解析は、サポートベクター回帰であることを特徴とするものである。
請求項10に記載の発明は、上記発明において、前記室内湿度は、前記空調機器が設置された室内における相対湿度である室内相対湿度であることを特徴とするものである。
請求項11に記載の発明は、上記発明において、前記空調機器側に、前記制御コンピュータと通信可能な端末及びリモートコントローラの少なくとも一方が配置されており、更に、前記推奨空調設定温度を受信した前記端末及び前記リモートコントローラの少なくとも一方により、前記空調機器に対し、前記空調設定温度を前記推奨空調設定温度とする指令が発せられることを特徴とするものである。
請求項12に記載の発明は、上記発明において、前記制御コンピュータと、前記空調機器並びに前記端末及び前記リモートコントローラの少なくとも一方との間には、通信網が介在していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の主な効果は、ユーザの好みに応じた自動制御が手軽に行われる空調機器の制御システム,制御方法が提供されることである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る制御システム及び関連する要素の全体ブロック図である。
図2図1の携帯端末において表示される空調機器操作画面の模式図である。
図3図1のサービスサーバにおいて実行される、機械学習及び空調設定温度の自動制御に係る処理に関するフローチャートである。
図4図1のサービスサーバにおいて形成される、サポートベクター回帰(SVR)を実行する機械学習処理部に関するブロック図である。
図5】SVRにおけるεチューブ及びスラック変数ξの概念が示されるグラフである。
図6図3の機械学習処理に関するフローチャートである。
図7図4の記憶部に記憶される教師データの模式図である。
図8図3の空調設定温度制御処理に関するフローチャートである。
図9】(A)~(B)は、比較的に空調設定温度が操作されない世帯における時間(横軸)と、推奨空調設定温度及び実際の空調設定温度(縦軸)との各日の関係が示されるグラフである。
図10】(A)~(B)は、比較的に空調設定温度が操作されない世帯における時間(横軸)と、推奨空調設定温度及び実際の空調設定温度(縦軸)との更に別の各日の関係が示されるグラフである。
図11】(A)~(B)は、比較的に空調設定温度が頻繁に操作される世帯における時間(横軸)と、推奨空調設定温度及び実際の空調設定温度(縦軸)との各日の関係が示されるグラフである。
図12】(A)~(B)は、比較的に空調設定温度が頻繁に操作される世帯における時間(横軸)と、推奨空調設定温度及び実際の空調設定温度(縦軸)との更に別の各日の関係が示されるグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施の形態の例が、その変更例と共に、適宜図面に基づいて説明される。
尚、当該形態は、下記の例及び変更例に限定されない。
【0011】
図1は、本発明に係る空調機器の制御システムC1及び関連する要素の全体ブロック図である。
本発明に係る制御システムC1は、1以上のサービス提供サーバコンピュータ(サービスサーバ)31を含む。又、捉え方により、制御システムC1は、更に、1以上のリモートコントローラ(RC)11、並びに、1以上の携帯端末1、及び1以上の外気温サーバTCの少なくとも何れかを適宜含む。
【0012】
端末としての携帯端末1は、適宜RC11を介して空調機器ACを操作する操作プログラムを実行可能なコンピュータであり、より具体的には、操作アプリケーション(操作アプリ)を実行可能であり、例えばスマートフォン,携帯電話等である。尚、コンピュータは、パーソナルコンピュータ及びサーバコンピュータの少なくとも一方であっても良いし、複数台が適宜ネットワークを介して組み合わせられたものであっても良い。端末は、可搬性に乏しいコンピュータ等、携帯端末1以外であっても良い。
典型的には、携帯端末1及びRC11は、ユーザ毎に扱われる。各ユーザは、自身の所有に係る1以上の空調機器ACの制御を、携帯端末1により操作する。RC11は、赤外線により空調機器ACに指令を送ることから、空調機器ACに対し赤外線通信可能な範囲内に設置され、適宜1つ以上設置される。複数の空調機器ACを操作する場合、RC11は共通して1個設置されても良いし、複数個設置されても良い。以下、説明の便宜のため、1人のユーザが1つの空調機器ACを1つのRC11により制御する場合が、主に説明される。
【0013】
携帯端末1は、情報等を表示する端末表示手段2と、情報等の入力を受け付ける端末入力手段4と、情報等を記憶する端末記憶手段6と、端末通信手段7と、これらを制御する端末制御手段8と、を有する。例えば、端末表示手段2及び端末入力手段4は、タッチセンサ付きディスプレイであり、端末記憶手段6はメモリであり、端末通信手段7は携帯電話網及び構内無線通信(例えばWi-Fi(登録商標))可能なルータの少なくとも一方を通じてインターネットINに接続可能な通信機器であり、端末制御手段8はCPUである。
操作アプリは、端末記憶手段6に記憶され、端末制御手段8により実行される。
操作アプリは、空調機器AC(エアコンディショナー)における空調設定温度を設定する機能を有している。
【0014】
RC11は、赤外線受発光部12と、RC通信手段14と、各種の情報を記憶するRC記憶手段16と、これらを制御するRC制御手段18と、を有する。
RC11は、いわゆる学習RCとなっている。即ち、赤外線受発光部12は、空調機器ACに付属し赤外線の発光態様によって空調機器ACに各種の指令を伝える付属RCが発する赤外線を受光可能であり、RC制御手段18の制御により、付属RCに係る各種の発光態様をRC記憶手段16に記憶可能である。又、RC制御手段18は、記憶された各種の発光態様のうち任意のものを、赤外線受発光部12において発光可能である。空調機器ACは、付属RCに対応する赤外線受光部を備えており、RC制御手段18は、赤外線受発光部12における発光により、付属RCと同様に、空調機器ACに各種の指令を伝達可能である。尚、RC11は、プリセット等により、学習なしで所定の空調機器ACに指令可能とされても良い。
RC通信手段14は、各種の情報を通信可能であり、携帯端末1の端末通信手段7と同様にインターネットINに接続可能である。尚、端末通信手段7とRC通信手段14とは、互いに構内無線通信可能とされても良い。又、端末通信手段7は、RC11に対し近距離無線通信可能であっても良い。更に、端末通信手段7は、有線通信を含むその他の通信方式により、RC11(有線コントローラ)と接続されても良い。
RC制御手段18は、空調設定温度を、適宜設定時間に関連付けられた状態でRC記憶手段16に記憶する機能を有している。尚、空調設定温度の設定及び記憶の少なくとも一方は、携帯端末1のみで、あるいは携帯端末1と共に行われても良いし、携帯端末1の操作アプリ以外のプログラムによって行われても良いし、空調機器AC又は空調機器ACを操作する機器から通信により取得されても良い。
【0015】
又、RC11は、温度センサ20と、湿度センサ22と、を備えている。
温度センサ20は、周囲の温度を検知して、その温度を示す室温信号をRC制御手段18に送信可能である。
湿度センサ22は、周囲の湿度を検知して、その湿度を示す室内湿度信号をRC制御手段18に送信可能である。湿度センサ22は、相対湿度を検知する。尚、湿度センサ22は、相対湿度に代えて、あるいは相対湿度と共に、絶対湿度を検知しても良い。相対湿度は、RC制御手段18により、室温と絶対湿度とから算出されても良い。
RC11は、空調機器ACに赤外線が到達可能な室内に設置され、温度センサ20が検知する温度は室内の温度である室温に対応し、湿度センサ22が検知する湿度は室内の湿度である室内湿度(室内の相対湿度である室内相対湿度)に対応する。
RC制御手段18は、室温及び室内湿度を、適宜時間に関連付けられた状態でRC記憶手段16に記憶する機能を有している。RC制御手段18は、室内湿度として、室内相対湿度に代えて、あるいは室内相対湿度と共に、室内の絶対湿度を記憶しても良い。
【0016】
携帯端末1及びRC11は、それぞれ、インターネットINを介して、制御コンピュータとしてのサービスサーバ31と通信可能に接続されている。携帯端末1及びRC11は、空調機器AC側(例えば空調機器ACが設置された部屋)に配置されている。尚、制御コンピュータは、サーバコンピュータではなく、パーソナルコンピュータ等であっても良い。
サービスサーバ31は、ここでは操作アプリを提供する組織に係る建物内に設置されている。尚、サービスサーバ31は、当該組織に関連する組織に係る建物内、あるいはレンタルサーバ運営団体に係る建物内等の他の場所に設置されていても良い。
サービスサーバ31は、端末記憶手段6と同様の記憶手段36と、端末通信手段7と同様の通信手段37と、端末制御手段8と同様の制御手段38と、を有する。
記憶手段36は、ユーザの空調機器AC毎に空調設定温度を記憶可能であり、各空調設定温度を、適宜設定時間に関連付けられた状態で記憶可能である。又、記憶手段36は、ユーザあるいはRC11毎に、室温及び室内湿度(相対湿度)を、適宜設定時間に関連付けられた状態で記憶可能である。尚、記憶手段36は、これらの少なくとも何れかについて、設定時間又は時間に関連付けられた状態で記憶しなくても良い。又、絶対湿度が記憶されても良い。
通信手段37は、インターネットINを介して、外気温サーバTCに接続されている。外気温サーバTCは、例えば気象観測団体が設置しているサーバコンピュータであり、地域及び時刻を指定して問い合わせると、当該地域及び時刻において観測された外気温が送信される。
サービスサーバ31は、空調機器ACの空調設定温度に係る制御を行う制御プログラムを実行可能である。制御プログラムは、空調設定温度を空調設定温度関数108(後述)に基づいて決定する空調設定温度決定プログラムと、空調設定温度関数108をサポートベクター回帰(SVR)により機械学習する関数学習プログラムと、を含む。SVRは、複数の説明変数と目的変数との関係を解析する多変量解析の一種である。制御プログラムは、記憶手段36に記憶され、制御手段38により実行される。尚、制御プログラム中の各種のプログラムの少なくとも何れかは、独立したプログラムとして扱われても良い。
【0017】
携帯端末1は、端末通信手段7、インターネットIN及び通信手段37を介して、サービスサーバ31に対し、当該携帯端末1のユーザに属する空調機器ACの空調設定温度を指定した運転開始信号、及び運転停止信号を送信可能である。制御手段38は、これらの信号を設定時間に関連づけて記憶手段36に記憶すると共に、通信手段37、インターネットIN及びRC通信手段44を介してRC11に送信する。
当該運転開始信号を受信したRC11は、赤外線受発光部12から指定に係る空調設定温度における運転開始指令を発光する。又、当該運転停止信号を受信したRC11は、運転停止指令を発光する。空調機器ACは、各種の指令に応じて運転される。
尚、端末通信手段7は、RC11に対し、インターネットIN及びサービスサーバ31を介さない無線通信により、運転開始信号等を直接送信しても良い。
【0018】
RC11は、運転開始指令を発した時刻からの経過時間(ON経過時間)、室温、及び相対湿度を、サービスサーバ31に送信可能である。
尚、RC11は、これらに代えて、あるいはこれらの少なくとも何れかと共に、不快指数及び絶対湿度の少なくとも一方を送信可能であっても良い。不快指数は、室温及び湿度から計算されても良い。
【0019】
図2は、携帯端末1の端末表示手段2に表示される空調機器操作画面D1の模式図である。
尚、各種の画面における各種の表示要素の大きさ、形状及び配置、並びに入力受付態様の少なくとも何れかは、適宜記載されたものから変更されても良い。又、各種の画面は、端末表示手段2の全体に表示されても良いし、端末表示手段2の一部に表示されても良い。更に、各種の画面は、他の画面と並列に表示されても良いし、他の画面に重なるように表示されても良い。又、各種の画面は、他のプログラムに係る表示と併せて表示されても良い。又更に、画面に表示された各種のボタン(入力部)と同様の入力を行えるハードウェアボタンが用いられても良い。加えて、各種表示部の表示態様及び各種ボタンの名称の少なくとも何れかは、下記のものから変更されても良い。又、各種表示部及び各種ボタンの少なくとも何れかは、他の画面において表示されても良い。
【0020】
空調機器操作画面D1の上部には、操作の対象となる空調機器ACの種類(リビング設置のもの,寝室設置のもの等)を示す対象機器表示部51と、その右側の機器選択ボタン52とが表示されている。端末制御手段8は、機器選択ボタン52の押下について端末入力手段4により把握すると、操作の対象となる空調機器ACの種類の選択肢を表示して、当該選択肢への入力を受け付ける。選択された空調機器ACは、対象機器表示部51に表示される。
選択された空調機器ACを示す対象機器信号は、RC11に送信され、処理される。以下、他の信号についても同様である。又、各種の情報(表示内容及び信号を含む)は、端末記憶手段6に記憶される。各種の記憶は、適宜端末制御手段8によって参照される。尚、即時に処理される場合等において、情報は端末記憶手段6に記憶されなくても良い。
【0021】
空調機器操作画面D1の中央部には、室温及び室内湿度を示す室温湿度表示部53と、空調設定温度を示す空調設定温度表示部54と、空調設定温度増加入力部55+と、空調設定温度減少入力部55-と、が表示されている。
室温湿度表示部53は、サービスサーバ31がRC11から得た現在に最も近い時間の室温及び室内湿度に基づいて表示される。即ち、携帯端末1は、サービスサーバ31から当該室温及び室内湿度を得て、これを表示する。尚、室温信号に係る室温及び室内湿度信号に係る室内湿度の少なくとも一方は、温度センサ20又は湿度センサ22の検知の傾向(例えばRC11の筐体内への配置による検知された値の実際の値に対する過大さ)を加味した補正式等に基づいて補正されても良い。又、室温及び室内湿度の少なくとも一方の表示は、省略されても良い。
空調設定温度増加入力部55+への入力により、空調設定温度が所定幅(例えば1℃幅)で増加され、空調設定温度減少入力部55-への入力により、空調設定温度が所定幅で減少される。空調設定温度表示部54における空調設定温度の表示は、都度更新される。又、空調設定温度が更新された場合、新たな空調設定温度に係る空調設定温度信号が発せられる。
尚、空調設定温度表示部54への入力により、空調設定温度の選択肢が表示されて当該選択肢の入力が受け付けられても良い。又、空調設定温度に上限及び下限の少なくとも一方が設けられても良い。
【0022】
空調設定温度表示部54の下方には、風量,冷暖房切替の変更をそれぞれ受け付ける風量ボタン56,冷暖房切替ボタン57、並びに空調機器ACの運転停止,運転開始をそれぞれ受け付けるOFFボタン58,ONボタン59が並べられている。尚、風向(空調機器ACのルーバーの角度)を調整する風向ボタン等の他のボタンが設けられても良い。
風量ボタン56の押下により空調機器ACに係る風量の選択肢への入力が受け付けられて新たな風量に係る風量信号が発せられる。
冷暖房切替ボタン57内には、今後切り替えられる内容(冷房時:暖房,暖房時:冷房)が表示され、入力を受けると、当該内容に変更されて冷暖房切替ボタン57内の表示が更新され、冷暖房を切り替える旨の冷暖房切替信号が発せられる。尚、冷暖房の何れか一方に代えて、あるいは冷暖房と共に、除湿等の他の運転内容が切替可能とされても良い。
OFFボタン58の押下により、空調機器ACの運転停止に係る運転停止信号が発せられる。ONボタン59の押下により、空調設定温度表示部54に表示された空調設定温度を指定した空調機器ACの運転開始をRC11に指示する運転開始信号が発せられる。当該空調設定温度は、端末記憶手段6に記憶される。
【0023】
又、ONボタン59に隣接して、AIスイッチ60が表示される。尚、AIスイッチ60は、省略されても良く、この場合、AIスイッチ60がONである場合の処理が適宜行われても良い。
端末制御手段8は、AIスイッチ60への入力により、AIスイッチ60の状態を切り替える。
尚、端末制御手段8は、AIスイッチ60がOFFである場合に、AIスイッチ60の表示の調子を弱めることができる。表示の調子を弱めることは、例えば、色を薄くすること、色を白黒化すること、コントラストを弱くすることの少なくとも何れかである。
【0024】
AIスイッチ60がONとされ、機械学習開始の操作がなされた場合、図3に示されるように、機械学習及び空調設定温度の自動制御に係る処理(空調機器ACの制御方法)が行われる。当該処理は、機械学習処理(ステップS1)及び所定の機械学習後の空調設定温度制御処理(ステップS2)を含む。
尚、初めて(あるいは後述のリセット後に)AIスイッチ60がONとされた場合、更に学習開始ボタン等への入力を確認のために受け付けても良い。この場合、学習開始ボタンは、ポップアップウィンドウ内に表示されても良い。ポップアップウィンドウには、合わせてキャンセルボタンが表示されても良い。又、ポップアップウィンドウ内に、「あなたの好みに合わせて自動で設定温度を制御してくれるモードです。20時間(7日間)程度、あなたのエアコンの温度設定を学習します。」といったメッセージを表示しても良いし、「学習期間中は好みに合わせてエアコンの設定温度をこまめに変更してください。」といったメッセージを表示しても良いし、「学習期間中のエアコン操作は、純正リモコンを利用すると学習できないため、アプリをご利用ください。」といったメッセージを表示しても良い。
又、機械学習処理中に、機械学習に係る情報の表示が行われても良い。この場合、当該情報は、ポップアップウィンドウ内に表示されても良い。当該情報は、「学習中(現在11時間/20時間)」といったものであっても良い。又、上述のメッセージの少なくとも何れかが、合わせて表示されても良い。
更に、機械学習処理中及び空調設定温度制御処理中に、機械学習をリセットするリセットボタンが表示され、これへの入力が受け付けられても良い。リセットボタンは、空調機器操作画面D1に表示されても良いし、ポップアップウィンドウに表示されても良いし、設定ボタンへの入力により遷移する別の画面内に表示されても良い。機械学習処理中にリセットボタンへの入力がなされると、機械学習が取りやめられ、機械学習に係る各種の情報が削除される。空調設定温度制御処理中にリセットボタンへの入力がなされると、機械学習に係る各種の情報が削除され、空調設定温度制御処理が中止される。尚、リセットボタンへの入力後、上述の学習開始ボタンの場合と同様に、更に本当にリセットするか否かを確認する確認画面が表示され、確認入力が受け付けられても良い。
【0025】
図4は、機械学習処理(ステップS1)に係るブロック図である。
機械学習処理は、関数学習プログラムを実行する制御手段38、及び制御手段38により制御される記憶手段36等により形成される機械学習処理部101において行われる。
機械学習処理部101は、教師データ102の入力を受け付ける記憶部104と、SVRに係る回帰問題を設定する設定部106と、設定部106で設定された回帰問題を解いてモデル関数(空調設定温度に係る関数)として空調設定温度関数108を得る関数推定部110と、を備えている。
設定部106及び関数推定部110は、教師データ102及びSVRに関連する演算に係るデータ等が記憶された記憶部104を、適宜参照可能である。
尚、機械学習処理部101は、SVRに代えて、ニューラルネットワーク、強化学習等の他の機械学習(多変量解析)を行っても良いし、線形回帰等の多変量解析を行っても良い。
【0026】
SVRは、分類問題に係るサポートベクターマシン(SVM)を、回帰問題へ拡張したものである。SVMは、教師付き機械学習を利用した識別器である。SVMは、分類問題において、入力となる特徴量の高次元空間における最適な分離超平面を見つけるものであり、高い汎化能力を有している。
SVRは、l次元の入力x(i=1,2,・・・l)からl次元の出力yを非線形に回帰するものである。非線形回帰をより計算容易な線形回帰として扱うため、入力xに係る特徴空間への非線形写像φ(x)を考え、写像後の特徴空間において線形回帰を行う。
SVRでは、図5に示されるように、教師データ102の要素がεチューブと呼ばれる一定範囲内に入らない場合にεチューブからの距離を表すスラック変数ξ,ξに応じたペナルティーが与えられ、ξ,ξが小さくなるような最適な回帰関数が算出される。
SVRでは、回帰関数fが次の式(1)とされる。式(1)において、ωはl次元の重みベクトル、bはバイアス項である。
【0027】
【数1】
【0028】
機械学習処理部101では、SVRのうちε-SVRが用いられる。尚、機械学習処理部101では、他の種類のSVRが用いられても良い。
ε-SVRは、予め定めたC>0,ε>0,スラック変数ξ,ξを用いて、次の式(2)として定式化される。
【0029】
【数2】
【0030】
更に、ε-SVRでは、式(2)の非線形回帰が、次の式(3)の線形回帰の最適化問題に帰着される(双対問題)。即ち、式(2)のωφ(x)がカーネル関数K(x,x)=φ(xφ(x)と置き換えられ、α,α をラグランジュ乗数とするラグランジュ未定乗数法により、式(3)が導出される。
そして、式(3)を解くと、回帰関数は、次の式(4)となる。
【0031】
【数3】
【数4】
【0032】
機械学習処理部101では、カーネル関数K(x,x)は、次に示される式(5)に係るガウシアンカーネル(RBFカーネル,Radical Basis Function)が用いられる。尚、カーネル関数K(x,x)は、式(6)に係る線形カーネルが用いられても良いし、式(7)に係る多項式カーネルが用いられても良いし、その他のものが用いられても良い。
式(5)~(7)において、p,γ,αはパラメータであり、これらの値によって回帰特性は大きく変わるところ、問題に適したパラメータの推定によって高い汎化性能が得られる。又、ε-SVRでは、ε,Cもパラメータとなる。SVRでは、ソフトマージンとハードマージンとが存在する。ソフトマージンでは、誤りを許すように制約が緩められる。これに対し、ハードマージンでは、誤りに係るコストが大きく見積もられ、誤りが可及的に許容されず、教師データ102に対する回帰関数の正確性、厳密性が増すものの、より過学習となり易く、汎用性の確保に注意が必要となる。ソフトマージン-ハードマージンの度合(バランス)は、Cにより制御される。
【0033】
【数5】
【数6】
【数7】
【0034】
図6は、機械学習処理(S1)に関するフローチャートである。
機械学習処理を実行する機械学習処理部101は、図7に示されるように、教師データ102として、次の項目(説明変数及びこれに対する正解データとしての空調設定温度)を、空調機器AC(空調機器識別情報である空調機器ID)毎に、記憶部104に記憶する(ステップS11)。即ち、機械学習処理部101は、説明変数として、室温(℃)、ON経過時間(分)、及び相対湿度(%)を記憶部104に記憶すると共に、正解データとして、空調設定温度(℃)を記憶する。SVRの入力xは、説明変数が3種類であるから、3次元となる。相対湿度は、RC11から得られる。尚、相対湿度は、機械学習処理部101において、RC11から得た絶対湿度から算出されても良い。
ここでは、教師データ102は、ON経過時間が0(空調機器ACのON時)、及び10分毎にRC11から送信される。教師データ102が10分毎に得られれば、精度を大きく落とさずに処理量(適宜通信量を含む)が低減されるところ、精度と処理量とのバランスに鑑みて、教師データ102の取得間隔が10分から増減されても良い。又、機械学習に直接用いる教師データ102が10分間隔である場合に取得間隔が念のため5分とされる等、教師データ102の取得間隔と機械学習対象となる間隔とが異なっていても良い。
尚、教師データ102(説明変数の種類)は、これらの組み合わせに限定されず、例えば時刻(ライフスタイルに関係)、不快指数、絶対湿度、あるいは外気温サーバTCから対応する日時(及び空調機器ACの設置箇所に至近の地点)を指定した通信により得られた外気温の少なくとも何れかを加えても良い。SVRでは、入力の要素及び次元数が変わっても柔軟に機械学習可能であり、種々の組み合わせが試され、処理量(次元数に概ね比例する)と精度(次元数に概ね比例するが要素の組み合わせにもよる)とのバランスが最もとれていたのは、上述の室温、ON経過時、及び相対湿度の組み合わせである。外気温は、外気温センサで取得されても良い。
【0035】
機械学習処理部101は、教師データ102が所定量以上蓄積されるまでステップS11を行う(ステップS12でNo)。
ここでは、機械学習処理部101は、ユーザ毎(機械学習毎)に同様な学習期間を確保するため、蓄積開始から7日間が経過すると、教師データ102が所定量以上蓄積されたものとする。この場合、単純に所定量以上の確保を条件とする場合に比べ、学習期間がそろい、多くのユーザにとって分かり易いものとなる。単純に所定量以上の確保を条件とすると、空調機器ACの通算ON時間が少ない間は機械学習が終わらないこととなり、学習期間がユーザによってばらつき、比較的に空調機器ACを運転しないユーザにとって機械学習がなかなか終わらず、煩わしいものとなる。蓄積開始から7日間の経過により、通常通算ON時間が20時間程度確保され、十分な教師データ102が得られる。又、ユーザにより教師データ102の量にばらつきがでるところ、SVRでは他の機械学習(回帰)に比べ、サンプル数の変化にもより柔軟に対応することができるものである。蓄積開始から7日間であれば、機械学習の精度を保持しながら、機械学習後の空調設定温度制御が早く実行されることとなるところ、7日間の期間は、精度と早期実行とのバランスに鑑み、増減されても良い。又、SVRは、精度が同程度である他の機械学習及び回帰に比べて、サンプル数が少なくても(例えば数十個程度でも)十分に機能するため、精度確保のうえでの空調設定温度制御の早期実行の実現に適している。
尚、教師データ102の蓄積を終える条件は、20時間分等の所定時間分だけ得られた場合とされても良いし、20時間分得られるか又は蓄積開始から7日間経過するかといったように複合的な条件とされても良い。又、機械学習処理部101は、教師データ102が(所定回あるいは所定量内の特定量だけ)得られたとき等において、次のステップS3に進んで都度機械学習の演算(更新)を行っても良い。
【0036】
機械学習処理部101は、教師データ102が所定量以上蓄積されると(ステップS12でYes)SVRにより、その空調機器ACに係る空調設定温度関数108を導出する(ステップS13)。即ち、機械学習処理部101は、上述の式(4),(5)に係る問題を設定部106において設定し、関数推定部110において教師データ102を適用して当該問題を解き、教師データ102に係るON経過時間、室温、相対湿度を説明変数とした目的変数(空調設定温度)の関数としての空調設定温度関数108を決定する。機械学習処理部101は、得られた空調設定温度関数108を、記憶手段36に、空調機器AC毎に記憶し、今回の機械学習を完了して、機械学習処理を終了する。
機械学習処理部101では、夏季の1か月間にわたる数十世帯分の先行解析の結果から、Cは1とされ、εは0.1とされ、γは0.04(自動調整)とされたところ、少なくとも何れかはこれら以外の値であっても良い。当該先行解析では、7日間の機械学習後に各世帯(各空調機器AC)の空調設定温度関数108を決定し、機械学習後では空調設定温度関数108による制御は行わずユーザによる空調設定温度の切り替えが続けられる一方、当該関数から予測値として得られる空調設定温度(推奨空調設定温度)の導出は行われ、ユーザによる空調設定温度の切り替えの推移と推奨空調設定温度の推移との比較が行われた。この先行解析では、上述のC等の値等の条件下での推奨空調設定温度の推移が、ユーザによる空調設定温度の切り替えの推移に良好に追従し、多くのユーザにおいて予測された推奨空調設定温度とユーザによる実際の空調設定温度との差は、±1℃程度に収まっており、推奨空調設定温度と実際の空調設定温度との平均平方二乗誤差(RMSE,Root Mean Square Deviation)は、全世帯で1.12程度であった。
【0037】
機械学習処理部101の機械学習処理の終了後、制御手段38は、空調設定温度制御処理(ステップS2)を行う。
図8は、空調設定温度制御処理に関するフローチャートである。
空調設定温度制御処理において、制御手段38は、空調設定温度関数108に基づいて、空調機器ACの空調設定温度を制御する。
【0038】
即ち、制御手段38は、機械学習を終えた運転中の空調機器ACに係るRC11から、10分毎の空調設定温度、ON経過時間、室温、相対湿度を取得する(ステップS21)。
又、制御手段38は、各取得に基づき、その空調機器ACの空調設定温度関数108にON経過時間、室温、相対湿度を当てはめて、その時点での推奨空調設定温度を出力する(ステップS22)。
制御手段38は、ON経過時間、室温、相対湿度の空調設定温度関数108への当てはめにより得られた空調設定温度が、空調機器ACで設定可能な空調設定温度ではなかった場合、四捨五入等により設定可能な空調設定温度に変換して、推奨空調設定温度を出力する。例えば、空調機器ACで設定可能な空調設定温度が26℃,26.5℃等の0.5℃刻みである場合において、ON経過時間、室温、相対湿度の空調設定温度関数108への当てはめにより得られた空調設定温度が26.32℃であったとき、四捨五入と同様にして、26.25℃以上であるから、推奨空調設定温度を26.5℃とする。
【0039】
制御手段38は、受信した空調設定温度(空調機器ACの現在の空調設定温度)と推奨空調設定温度とを比較し(ステップS23)、一致していなければ(No)、推奨空調設定温度をRC11に送信する(ステップS24)。RC11は、推奨空調設定温度を受信すると、空調設定温度を推奨空調設定温度に切り替える指令を、空調機器ACに対して発する(ステップS25)。他方、空調設定温度と推奨空調設定温度とが一致していれば(ステップS23でYes)、何もせずに次の(10分後の)処理まで待機する(ステップS21に戻る)。かように、空調設定温度と推奨空調設定温度とが一致する場合に何もせず、空調機器ACの操作がなされないため、処理量が軽減されるし、空調機器AC(特に切り替え時に音声案内を行う空調機器AC)の切り替えの煩わしさが回避される。
尚、制御手段38は、受信した空調設定温度と算出した推奨空調設定温度とが一致している場合にも、推奨空調設定温度をRC11に送信しても良い。又、RC11に代えて、あるいはRC11と共に、携帯端末1が推奨空調設定温度に基づいて空調機器ACの空調設定温度を指令しても良い。更に、RC11は、ON経過時間に代えて空調機器のON/OFF状態をサービスサーバ31に送信し、制御手段38は、ON状態を受信した時刻からの経過時間をON経過時間とみなして処理しても良い。又更に、制御手段38は、RC11から絶対湿度を受信して相対湿度を算出しても良い。更に、制御システムC1において、機械学習時の教師データ102取得間隔と、空調設定温度制御時に説明変数の値の組を取得する間隔とが異なっていても良い。加えて、制御手段38(機械学習処理部101)は、空調設定温度制御処理中において、RC11から得たON経過時間、室温、相対湿度を教師データ102として、SVRによる機械学習を併せて行っても良い。この場合、処理量が増加するものの、空調設定温度制御を行いながら、空調設定温度関数108に関する機械学習が深化することとなる。
【0040】
以下、2世帯(2種類の空調機器AC)に係る機械学習後の空調設定温度制御の具体例が、各世帯の夏季の4日分(非連続,何れも異なる日,冷房運転)について説明される。
尚、ここでは代表的に冷房運転についての説明がなされるところ、機械学習は、暖房運転、除湿運転等の様々な運転モードに対して行うことができる。
【0041】
図9A図9B図10A図10Bは、比較的に空調設定温度が操作されない世帯における時間(横軸)と、推奨空調設定温度及び実際の空調設定温度(縦軸)との各日での関係が示されるグラフである。先行解析において、多くの世帯が空調設定温度の切り替え操作を頻繁にせず、切り替えの頻度は平均では概ね1日(運転8時間程度)に1回程度であることが分かった。この世帯は、平均に近い切り替え頻度を有している。
この世帯では、何れの日においても、推奨空調設定温度が、実際の空調設定温度に対して概ね±1℃程度で予測されている。
尚、実際の空調設定温度が切り替えられていない時間において、推奨空調設定温度が変化している部分が存在している。これは、その時間内で室温及び相対湿度の少なくとも一方が変化していることによる。このことは、ユーザに代わり、過去の空調設定温度の切り替え傾向からより適切な空調設定温度に切り替え制御可能であることを示している、とみることができる。
【0042】
図11A図11B図12A図12Bは、比較的に空調設定温度が頻繁に操作される世帯における時間(横軸)と、推奨空調設定温度及び実際の空調設定温度(縦軸)との各日での関係が示されるグラフである。この世帯は、平均的な傾向から離れている。
この世帯では、何れの日においても、推奨空調設定温度が、実際の空調設定温度に対して、概ね±2℃程度の範囲となるものの、良く追従できている。この世帯では、切り替え時の空調設定温度の幅が比較的に大きい傾向にあるところ(平均1~2℃幅に対して5℃幅以上が複数存在する)、推奨空調設定温度は、かような実際の空調設定温度の急激な推移を穏やかにならすものとなっており、よりきめ細かい空調設定温度の推移を提供可能なものとなっている。
【0043】
かような制御システムC1は、次のような作用効果を奏する。
即ち、制御システムC1は、通信手段37を有するサービスサーバ31により、1以上の空調機器ACを制御するものであって、サービスサーバ31は、通信手段37により、空調機器ACがONとなった時刻からの経過時間であるON経過時間と、空調機器ACが設置された室内における気温である室温及び湿度である室内湿度と、空調機器ACの空調設定温度とを、複数組、時刻が互いに異なる状態で(10分毎に)、空調機器AC毎に受信可能であると共に、ON経過時間、室温及び室内湿度を説明変数として、多変量解析により、目的関数として空調設定温度に係る空調設定温度関数108を、空調機器AC毎に決定し、決定された空調設定温度関数108に、決定後に受信したON経過時間、室温及び室内湿度を当てはめて、推奨される前記空調設定温度である推奨空調設定温度を導出し、通信手段37により、推奨空調設定温度を、空調機器AC側に送信する。
よって、ユーザの好みに応じた空調設定温度の切替態様を、ON経過時間、室温及び室内湿度を説明変数とした多変量解析により、精度及び効率の良好な状態で目的変数である空調設定温度との関係を導出することで、ユーザの好みに応じた自動制御が手軽に行われる制御システムC1が提供される。説明変数がON経過時間、室温及び室内湿度であり、目的変数が空調設定温度であるから、空調機器ACのON/OFF及び空調設定温度並びに室温及び室内湿度が計測されるだけで変量解析が実行され、即ちRC11の設置のみで他の特別な装置を設置することなく多変量解析及び空調設定温度の制御が実行される。
【0044】
更に、前記多変量解析は、SVRである。よって、他の機械学習に比べて学習期間が短くても(例えば7日間程度)良好な精度の学習が可能であり、新規に空調設定温度の制御を開始する場合にすぐに学習が完了して便利であり、又季節の変化等により空調機器ACの運転モードが変わった場合にもすぐに学習が完了して、より一層こまめな対応がなされる。
又、室内湿度は、空調機器ACが設置された室内における相対湿度である室内相対湿度である。よって、SVRの精度がより一層向上する。
更に、サービスサーバ31と通信可能なRC11を、空調機器AC側に有しており、RC11は、推奨空調設定温度を受信すると、空調機器ACに対し、空調設定温度を推奨空調設定温度とする指令を行う。よって、推奨空調設定温度に基づく自動制御が、空調機器ACに受信機能を組み込むことなく、より低コストで簡単に実現される。
加えて、サービスサーバ31と、空調機器AC及びRC11との間には、インターネットINが介在している。よって、SVRによる推奨空調設定温度が、多数の空調機器ACに、低コストで提供される。
【0045】
又、通信手段37を有する制御システムC1により行われる空調機器ACの制御方法は、通信手段37により、空調機器ACがONとなった時刻からの経過時間であるON経過時間と、空調機器ACの空調設定温度と、空調機器ACが設置された室内における気温である室温及び湿度である室内湿度とを、複数組、時刻が互いに異なる状態で、空調機器AC毎に受信するステップS11と、サービスサーバ31により、ON経過時間、室温及び室内湿度を説明変数としたSVRがなされ、目的関数として空調設定温度に係る空調設定温度関数108が、空調機器AC毎に決定されるステップS13と、サービスサーバ31により、決定された空調設定温度関数108に、決定後に受信したON経過時間、室温及び室内湿度(ステップS21)が当てはめられて、推奨される空調設定温度である推奨空調設定温度が導出されるステップS22と、通信手段37により、推奨空調設定温度が、空調機器AC側に送信されるステップS24と、を備えている。
よって、ユーザの好みに応じた空調設定温度の切替態様を、ON経過時間、室温及び室内湿度を説明変数とした多変量解析により、精度及び効率の良好な状態で目的変数である空調設定温度との関係を導出することで、ユーザの好みに応じた自動制御が手軽に行われる空調機器ACの制御方法が提供される。説明変数がON経過時間、室温及び室内湿度であり、目的変数が空調設定温度であるから、空調機器ACのON/OFF及び空調設定温度並びに室温及び室内湿度が計測されるだけで多変量解析が実行され、即ちRC11の設置のみで他の特別な装置を設置することなく多変量解析及び空調設定温度の制御が実行される。
【0046】
更に、前記多変量解析は、SVRである。よって、他の機械学習に比べて学習期間が短くても良好な精度の学習が可能であり、新規に空調設定温度の制御を開始する場合にすぐに学習が完了して便利であり、又季節の変化等により空調機器ACの運転モードが変わった場合にもすぐに学習が完了して、より一層こまめな対応がなされる。
又、室内湿度は、空調機器ACが設置された室内における相対湿度である室内相対湿度である。よって、SVRの精度がより一層向上する。
加えて、空調機器AC側に、サービスサーバ31と通信可能なRC11が配置されており、更に、推奨空調設定温度を受信したRC11により、空調機器ACに対し、空調設定温度を推奨空調設定温度とする指令が発せられる。よって、推奨空調設定温度に基づく自動制御が、空調機器ACに受信機能を組み込むことなく、より低コストで簡単に実現される。
又、サービスサーバ31と、空調機器AC及びRC11との間には、インターネットINが介在している。よって、SVRによる推奨空調設定温度が、多数の空調機器ACに、低コストで提供される。
【0047】
尚、制御システムC1及び空調機器ACの制御方法は、上述の変更例の他、次のような変更例を適宜有する。
即ち、制御システムC1は、RC11を介さない制御システムとすることもできる。この場合、携帯端末1が、RC11の役割を兼ねても良い。
又、制御システムC1におけるサービスサーバ31(制御コンピュータ)及び携帯端末1は、インターネットINではなく専用線等を介して通信可能に接続されていても良く、要するに通信網により接続されていれば良い。
更に、携帯端末1又はRC11の少なくとも一方は、サービスサーバ31から受信した推奨空調設定温度を表示等により出力するのみで、空調機器ACを自動制御しなくても良い。この場合、ユーザは、出力された推奨空調設定温度に基づいて、空調機器ACを手動操作しても良い。
加えて、携帯端末1及びRC11の少なくとも一方が低コストで高い処理能力を具備した場合等において、携帯端末1及びRC11の少なくとも一方が、その空調機器AC等についてのサービスサーバ31の役割を担っても良い。
又、サービスサーバ31は、空調機器ACに推奨空調設定温度を直接送信しても良い。
更に、空調機器ACの制御方法(各フローチャート)における各ステップは、実質的に同様な他の内容のステップに置き換えられても良いし、実質的に同様な内容となる複数のステップに分割されても良いし、少なくとも何れか二つが互いに結合されても良いし、順序が適宜入れ替えられても良い。
又更に、多変量解析(機械学習)は、世帯毎に代えて、複数の世帯(空調機器AC)を含むセグメント毎に行われても良い。この場合、セグメントは、空調設定温度に関する操作履歴の類似性(複数種類設けられた操作履歴パターンのうち同じ操作履歴パターンに属するもの)により分けられても良い。かようなセグメント毎の解析により、セグメント内の一部の空調機器ACの解析結果を他の同一セグメントの空調機器ACに適用することで、解析をより効率的に行うことができ、又新たな空調機器ACについて、どのセグメントに属するかを決定して同一セグメントにおける解析結果を適用することで、解析を更に効率良く行うことができる。あるいは、同一セグメント内の複数の空調機器ACをまとめて解析することで、精度を向上することも可能である。
【符号の説明】
【0048】
C1・・(空調機器の)制御システム、1・・携帯端末(端末)、11・・リモートコントローラ(RC)、31・・サービスサーバ(サービス提供サーバコンピュータ,制御コンピュータ)、37・・通信手段、108・・空調設定温度関数、AC・・空調機器、IN・・インターネット(通信網)。
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