(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】撮像レンズ系及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 13/04 20060101AFI20250120BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20250120BHJP
【FI】
G02B13/04
G02B13/18
(21)【出願番号】P 2021000161
(22)【出願日】2021-01-04
【審査請求日】2023-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】杉山 隆
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-079252(JP,A)
【文献】特開2017-116796(JP,A)
【文献】特開2005-275175(JP,A)
【文献】特開2011-237547(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0310082(US,A1)
【文献】特開2018-097337(JP,A)
【文献】国際公開第2021/210265(WO,A1)
【文献】特開2022-056289(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0180852(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側に向かって順に、物体側に凹面を有し、負のパワーを有する第1レンズ、正のパワーを有する第2レンズからなる第1レンズ群と、
物体側から像側に向かって順に、負のパワーを有する第3レンズ
、正のパワーを有する第4レンズ、負のパワーを有する第5レンズからなる第2レンズ群とからなり、
前記第1レンズの焦点距離をf1、前記第1レンズ以外のレンズ全体の合成焦点距離をFrとした場合に、以下の式(1)を満たし、
-6.0<f1/Fr<-1.5 ・・・(1)
前記第1レンズの像側の面と前記第2レンズの物体側の面との光軸上の距離をd12とし、光学系全体の焦点距離をFとした場合に、以下の式(2)を満たす、撮像レンズ系。
0.7<d12/F<1.5 ・・・(2)
【請求項2】
前記第1レンズの物体側の曲率半径をR11とした場合に、以下の式(3)を満たす、請求項1に記載の撮像レンズ系。
-2.5<R11/F<-1 ・・・(3)
【請求項3】
前記光学系全体の半画角は40°以下である、請求項1に記載の撮像レンズ系。
【請求項4】
請求項1~
3の何れか一項に記載の撮像レンズ系と、
前記撮像レンズ系の焦点位置に配置された撮像素子と、を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像レンズ系及び撮像装置に関し、例えば車載用の撮像レンズ系及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、車載用のフロントセンシングデバイスに対して、遠方に存在する物体を確認すること(望遠)と、より広い範囲を撮像すること(広角)という、相反する要請が高まっている。これを実現するために、高解像なセンサを用いかつレンズ系を広角撮像レンズとすることが考えられる。これは、広い範囲を見るためにレンズ系を広角とし、遠い物体については高解像センサで対応するものである。この例として、特許文献1には、広角なレンズ系を用いるとともに、高解像度の撮像素子を用いることにより、望遠と広角の双方の要請を満たす撮像装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、撮像素子の解像度以上の高解像度(すなわち、望遠)を実現することはできない。また、撮像素子の高解像度化には、コスト上及び技術上に制約がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、撮像素子の解像度に依拠することなく、遠方の物体を確認可能で広い範囲を撮像可能な撮像レンズ系及び撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態の撮像レンズ系は、物体側から像側に向かって順に、物体側に凹面を有し、負のパワーを有する第1レンズ、正のパワーを有する第2レンズからなる第1レンズ群と、第3レンズ以降のレンズからなる第2レンズ群とからなり、
前記第1レンズの焦点距離をf1、前記第1レンズ以外のレンズ全体の合成焦点距離をFrとした場合に、以下の式(1)を満たし、
-6.0<f1/Fr<-1.5 ・・・(1)
前記第1レンズの像側の面と前記第2レンズの物体側の面との光軸上の距離をd12とし、光学系全体の焦点距離をFとした場合に、以下の式(2)を満たす。
0.7<d12/F<1.5 ・・・(2)
第1レンズが負のパワーを有し、物体側に凹面を有することにより、負のディストーション(歪曲収差)を発生させ、広角なレンズ系を実現することができる。また、上記の式(1)、(2)を満たすことにより、第1レンズにおいて効果的に負のディストーションを発生させることができる。
【0007】
他の一実施形態の撮像レンズ系は、物体側から像側に向かって順に、物体側に凹面を有し、負のパワーを有する第1レンズ、物体側及び像側に非球面形状を有する第2レンズ、正のパワーを有する第3レンズからなる第1レンズ群と、第4レンズ以降のレンズからなる第2レンズ群とからなり、
前記第2レンズは、物体側及び像側の少なくとも何れかの面に変曲点を有し、
前記第1レンズの焦点距離をf1、前記第1レンズ以外のレンズ全体の合成焦点距離をFrとした場合に、以下の式(1)を満たし、
-6.0<f1/Fr<-1.5 ・・・(1)
前記第1レンズの像側の面と前記第2レンズの物体側の面との光軸上の距離をd12とし、前記第2レンズの光軸上の厚さをd2、前記第2レンズの像側の面と前記第3レンズの物体側の面との光軸上の距離をd23とし、前記第2レンズの屈折率をn2とし、D=d12+d2/n2+d23とし、光学系全体の焦点距離をFとした場合に、以下の式(4)を満たす。
0.7<D/F<1.5 ・・・(4)
第1レンズが負のパワーを有し、物体側に凹面を有することにより、負のディストーション(歪曲収差)を発生させ、広角な撮像レンズ系を実現することができる。また、上記の式(1)、(4)を満たすことにより、第1レンズにおいて効果的に負のディストーションを発生させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、撮像素子の解像度に依拠することなく、遠方の物体を確認可能で広い範囲を撮像可能な撮像レンズ系及び撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る撮像レンズ系及び撮像装置の構成及び光線を示す断面図である。
【
図2】実施例1に係る撮像レンズ系及び撮像装置の構成を示す断面図である。
【
図3】実施例1の撮像レンズ系における球面収差図(縦収差図)、像面湾曲図、歪曲収差図である。
【
図4】実施例2に係る撮像レンズ系及び撮像装置の構成を示す断面図である。
【
図5】実施例2の撮像レンズ系における球面収差図(縦収差図)、像面湾曲図、歪曲収差図である。
【
図6】実施例3に係る撮像レンズ系及び撮像装置の構成を示す断面図である。
【
図7】実施例3の撮像レンズ系における球面収差図(縦収差図)、像面湾曲図、歪曲収差図である。
【
図8】実施例4に係る撮像レンズ系及び撮像装置の構成を示す断面図である。
【
図9】実施例4の撮像レンズ系における球面収差図(縦収差図)、像面湾曲図、歪曲収差図である。
【
図10】実施例5に係る撮像レンズ系及び撮像装置の構成を示す断面図である。
【
図11】実施例5の撮像レンズ系における球面収差図(縦収差図)、像面湾曲図、歪曲収差図である。
【
図12】実施の形態2に係る撮像レンズ系及び撮像装置の構成及び光線を示す断面図である。
【
図14】実施例6に係る撮像レンズ系及び撮像装置の構成を示す断面図である。
【
図15】実施例6の撮像レンズ系における球面収差図(縦収差図)、像面湾曲図、歪曲収差図である。
【
図16】実施例7に係る撮像レンズ系及び撮像装置の構成を示す断面図である。
【
図17】実施例7の撮像レンズ系における球面収差図(縦収差図)、像面湾曲図、歪曲収差図である。
【
図18】実施例8に係る撮像レンズ系及び撮像装置の構成を示す断面図である。
【
図19】実施例8の撮像レンズ系における球面収差図(縦収差図)、像面湾曲図、歪曲収差図である。
【
図20】実施例9に係る撮像レンズ系及び撮像装置の構成を示す断面図である。
【
図21】実施例9の撮像レンズ系における球面収差図(縦収差図)、像面湾曲図、歪曲収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
実施の形態1
(撮像レンズ系及び撮像装置)
図1は、実施の形態1に係る撮像レンズ系11及び撮像装置20の構成及び光線を示す断面図である。撮像装置20は、撮像レンズ系11、撮像素子21を備える。撮像レンズ系11及び撮像素子21は筐体(不図示)に収容されている。
撮像素子21は、受光した光を電気信号に変換する素子であり、例えば、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサが用いられる。撮像素子21は、撮像レンズ系11の結像位置に配置されている。
以下、撮像レンズ系11について、詳細に説明する。
【0011】
図1に示すように、実施の形態1の撮像レンズ系11は、物体側から像側に向かって順に、物体側に凹面を有し、負のパワーを有する第1レンズL1、正のパワーを有する第2レンズL2からなる第1レンズ群G1と、第3レンズL3以降のレンズからなる第2レンズ群G2とからなる。
具体的には、第1レンズ群G1は、物体側から像側に向かって順に、負のパワーを有し、物体側に凹面を有するメニスカスレンズである第1レンズL1と、正のパワーを有し、物体側に凸面を有する第2レンズL2とから構成される。また、絞りSTOPを挟んで、第2レンズ群G2は、負のパワーを有し、像側に凹面を有する第3レンズL3と、正のパワーを有し、物体側及び像側に凸面を有する第4レンズL4と、負のパワーを有し、物体側及び像側に非球面を有する第5レンズL5とから構成される。また、撮像レンズ系11は、
図1に示すように、第5レンズL5の像側レンズ面S11と結像面IMGとの間に、波長フィルターガラス12を備えていてもよい。また、第3レンズL3と第4レンズL4は、接合レンズを構成する。また、撮像素子21上にはカバーガラス22があり、撮像レンズ系11の結像面はIMGで示されている。第1レンズL1、第2レンズL2はガラスレンズであることが好ましく、第3レンズL3~第5レンズL5は、プラスチックレンズであることが好ましい。
【0012】
また、絞りSTOPより物体側に配置される第1レンズL1及び第2レンズL2は第1レンズ群G1を構成し、絞りSTOPより像側に配置される第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5は第2レンズ群G2を構成する。そして、第1レンズ群G1は負のパワーを有し、第2レンズ群G2は正のパワーを有する。また、絞りSTOPは、撮像レンズ系11のFナンバー(Fno)を決める絞りである。
【0013】
第1レンズL1が負のパワーを有し、第1レンズL1の物体側の面S1が凹面であることにより、第1レンズL1へ入射する軸外光線(光軸外に結像する光線。「周辺光線」とも称する。)の入射角を大きく変化させることができ、負のディストーション(歪曲収差)を発生させることができる。これにより、像の周辺ほど像が縮み、撮像素子21によって検出される範囲が広くなり、高画角を実現でき、広角な撮像レンズ系11を実現することができる。また、第2レンズL2が正のパワーを有することにより、集光性能を確保することができる。
【0014】
また、第1レンズL1の焦点距離をf1、第1レンズL1以外のレンズL2、L3、L4、L5全体の合成焦点距離をFrとした場合に、以下の式(1)を満たすことが好ましい。
-6.0<f1/Fr<-1.5 ・・・(1)
上記の式(1)は、第1レンズL1で効果的に負のディストーションを出すための条件を、第1レンズL1の焦点距離とそれ以降のレンズの合成焦点距離の比率で表現したものである。上限を超えると負のパワーが強すぎ歪曲収差が大きくなりすぎてその補正が困難となり、下限を超えると負のディストーションの発生が不十分で画角がとりにくくなる。
したがって、広角な撮像レンズ系11を実現することができるとともに、高解像度な撮像素子を必要とせずに望遠な撮像レンズ系11を実現することができる。よって、撮像素子の解像度に依拠することなく、遠方の物体を確認可能で広い範囲を撮像可能な撮像レンズ系及び撮像装置を提供することができる。
【0015】
また、第1レンズL1の像側の面S2と第2レンズL2の物体側の面S3との光軸Z上の距離をd12とし、撮像レンズ系11の全体の焦点距離をFとした場合に、以下の式(2)を満たす。
0.7<d12/F<1.5 ・・・(2)
【0016】
第1レンズL1の像側の面S2と第2レンズL2の物体側の面S3との光軸Z上の距離d12が小さすぎると、第1レンズL1の物体側の面S1において軸上光線(光軸上に結像する光線。「中心光線」とも称する。)に対する軸外光線の入射位置が近く、軸外光線の入射角が大きくなるため、負のディストーションを大きく発生させることができない。一方、d12が比較的大きいと、第1レンズの物体側の面S1における軸上光線に対する軸外光線の入射位置を遠ざけることができ、軸外光線の入射角がより小さくなるため、負のディストーションを大きく発生させることができる。そのため、d12/Fは0.7より大きいことが好ましい。一方、d12/Fが1.5より大きいと、第1レンズL1のレンズ径が大きくなり過ぎてしまい、撮像レンズ系11のコンパクト化が図れない。
【0017】
また、光学系の半画角は40°以下であり、30°以下であることが好ましい。光学系の半画角が40°以下であることにより、撮像レンズ系の焦点距離を長くすることができる。ここで、光学系の半画角とは、瞳中心を通ってセンサの対角長の位置(対角点)に到達する光線が物体側で光軸となす角度をいう。
【0018】
本実施の形態1では、第2レンズ群G2は3枚のレンズから構成されているが、これに限らず何枚の構成であってもかまわない。
本願発明は、画角をとるための第1レンズL1と集光機能を有する第2レンズL2のみで発明の目的が達成されるものであり、これらのレンズの像側に位置するレンズは単に結像を実現するための構成であるから何枚の構成であってもかまわないのである。言い換えると、第3レンズL3以降は、像面湾曲の発生も少なく、瞳(絞り)に近いため球面収差等の結像性能を重視すれば足りるため、どのような構成であってもよい。
【0019】
また、第1レンズL1の物体側の面S1の曲率半径をR11とした場合に、以下の式(3)を満たすことが好ましい。
-2.5<R11/F<-1 ・・・(3)
【0020】
また、R11/Fが-2.5より小さい場合、換言すれば、第1レンズL1の物体側の面S1の曲率半径R11が比較的小さい場合、第1レンズL1によって発生される歪曲収差が小さくなり、十分な大きさの画角の確保が難しい。一方、R11/Fが-1より大きい場合、換言すれば、第1レンズL1の物体側の面S1の曲率半径R11が比較的大きい場合、像面湾曲が大きくなりすぎ、撮像レンズ系11の結像性能の補正が難しくなってしまう。そのため、上記の式(3)を満たすことにより、十分な大きさの画角を確保しつつ、十分な結像性能も確保することができる。
【0021】
次に、実施の形態1の撮像レンズ系11に対応する実施例について、図面を参照して説明する。
【0022】
(実施例1)
図2は、実施例1に係る撮像レンズ系11を示す断面図である。具体的には、実施例1に係る撮像レンズ系11は、物体側から像側に向かって順に、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、絞りSTOP、第4レンズL4、第5レンズL5、IRカットフィルタ12からなる。また、第1レンズL1は、負のパワーを有し、物体側に凹面を有し、像側に凸面を有する。第2レンズL2は、正のパワーを有し、物体側に凸の非球面を有し、像側に非球面を有する。第3レンズL3は、負のパワーを有し、物体側に非球面を有し、像側に凹の非球面を有する。第4レンズL4は、正のパワーを有し、物体側及び像側に凸の非球面を有する。第5レンズL5は、正のパワーを有し、物体側及び像側に非球面を有する。第1レンズL1、第2レンズL2はガラスレンズであり、第3レンズL3~第5レンズL5は、プラスチックレンズである。また、撮像レンズ系11は、赤外領域の光をカットするためのフィルタである、IRカットフィルタ12を備えている。以下、実施例1に係る撮像レンズ系11の特性データについて説明する。
【0023】
表1に、実施例1に係る撮像レンズ系11の各レンズ面のレンズデータを示す。表1では、レンズデータとして、各面の曲率半径(mm)、中心光軸Zにおける面間隔(mm)、d線における屈折率Nd、及び、d線におけるアッベ数Vdを提示している。ここで、実施例1に係る撮像レンズ系11の半画角は27.0°であり、Fナンバーは1.8であり、光学系全体の焦点距離Fは8.269(mm)である。また、表1に示す、d線における屈折率及びd線におけるアッベ数は、撮像レンズ系11の周囲の温度である環境温度t(℃)が25(℃)のときの値である。また、表1において、「*印」がついた面は、非球面であることを示している。
【表1】
【0024】
また、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズ面L4、及び、第5レンズL5のレンズ面に採用される非球面形状は、光軸Z方向のサグ量をY(h)、cを曲率半径の逆数、中心光軸Zに直交する方向の中心光軸Zからの高さをh、円錐係数をK、4次、6次、8次、10次、12次、14次、16次の非球面係数をそれぞれA4、A6、A8、A10、A12、A14、A16とすると、以下の式(8)により表される。なお、各記号の意味及び非球面形状を表す式は、後述の実施例においても同様である。
【数1】
【0025】
表2に、実施例1の撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表2において、例えば「-6.88301E-06」は、「-6.88301E×10
-6」を意味する。
【表2】
【0026】
図3に、実施例1の撮像レンズ系11における球面収差図(縦収差図)、像面湾曲図、歪曲収差図を示す。
図3に示すように、実施例1の撮像レンズ系11では、半画角が27.0°、Fナンバーが1.8である。
また、
図3Aの縦収差図では、横軸は光線が光軸Zと交わる位置を示し、縦軸は瞳径での高さを示す。
また、
図3Bの像面湾曲図では、横軸は光軸Z方向の距離を示し、縦軸は像高(画角)を示す。また、
図3Bの像面湾曲図において、Sagはサジタル面における像面湾曲を示し、Tanはタンジェンシャル面における像面湾曲を示す。
また、
図3Cの歪曲収差図において、横軸は像の歪み量(%)を示し、縦軸は像高(画角)を示す。
また、
図3B及び
図3Cの像面湾曲図、歪曲収差図では、波長555nmの光線によるシミュレーション結果を示している。
なお、
図3は、環境温度t(℃)が25(℃)のときの球面収差図(縦収差図)、像面湾曲図、歪曲収差図を示している。
【0027】
(実施例2)
図4は、実施例2に係る撮像レンズ系11を示す断面図である。実施例2に係る撮像レンズ系11の構成は、実施例1と同様であるため、その説明を省略する。以下、実施例2に係る撮像レンズ系11の特性データについて説明する。
【0028】
表3に、実施例2に係る撮像レンズ系11の各レンズ面のレンズデータを示す。表3に示す項目は、表1と同様であるため、その説明を省略する。ここで、実施例2に係る撮像レンズ系11の半画角は27.0°であり、Fナンバーは1.8であり、光学系全体の焦点距離Fは8.506(mm)である。
【表3】
【0029】
表4に、実施例2の撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。
【表4】
【0030】
図5に、実施例2の撮像レンズ系11における球面収差図(縦収差図)、像面湾曲図、歪曲収差図を示す。
図5に示す各収差図についての説明は
図3と同様であるため、その説明を省略する。
【0031】
(実施例3)
図6は、実施例3に係る撮像レンズ系11を示す断面図である。実施例3に係る撮像レンズ系11の構成は、実施例1と同様であるため、その説明を省略する。以下、実施例3に係る撮像レンズ系11の特性データについて説明する。
【0032】
表5に、実施例3に係る撮像レンズ系11の各レンズ面のレンズデータを示す。表5に示す項目は、表1と同様であるため、その説明を省略する。ここで、実施例3に係る撮像レンズ系11の半画角は27.0°であり、Fナンバーは1.8であり、光学系全体の焦点距離Fは8.29(mm)である。
【表5】
【0033】
表6に、実施例3の撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。
【表6】
【0034】
図7に、実施例3の撮像レンズ系11における球面収差図(縦収差図)、像面湾曲図、歪曲収差図を示す。
図7に示す各収差図についての説明は
図3と同様であるため、その説明を省略する。
【0035】
(実施例4)
図8は、実施例4に係る撮像レンズ系11を示す断面図である。実施例4に係る撮像レンズ系11の構成は、実施例1と同様であるため、その説明を省略する。以下、実施例4に係る撮像レンズ系11の特性データについて説明する。
【0036】
表7に、実施例4に係る撮像レンズ系11の各レンズ面のレンズデータを示す。表7に示す項目は、表1と同様であるため、その説明を省略する。ここで、実施例4に係る撮像レンズ系11の半画角は27.0°であり、Fナンバーは1.8であり、光学系全体の焦点距離Fは7.98(mm)である。
【表7】
【0037】
表8に、実施例4の撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。
【表8】
【0038】
図9に、実施例4の撮像レンズ系11における球面収差図(縦収差図)、像面湾曲図、歪曲収差図を示す。
図9に示す各収差図についての説明は
図3と同様であるため、その説明を省略する。
【0039】
(実施例5)
図10は、実施例5に係る撮像レンズ系11を示す断面図である。実施例5に係る撮像レンズ系11の構成は、実施例1と同様であるため、その説明を省略する。以下、実施例5に係る撮像レンズ系11の特性データについて説明する。
【0040】
表9に、実施例5に係る撮像レンズ系11の各レンズ面のレンズデータを示す。表9に示す項目は、表1と同様であるため、その説明を省略する。ここで、実施例5に係る撮像レンズ系11の半画角は27.0°であり、Fナンバーは1.8であり、光学系全体の焦点距離Fは8.006(mm)である。
【表9】
【0041】
表10に、実施例5の撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。
【表10】
【0042】
図11に、実施例5の撮像レンズ系11における球面収差図(縦収差図)、像面湾曲図、歪曲収差図を示す。
図11に示す各収差図についての説明は
図3と同様であるため、その説明を省略する。
【0043】
図3A、5A、7A、9A、11Aの縦収差図に示すように、本実施例1~5の撮像レンズ系11によれば、波長486.1nm、587.6nm、656.3nmの縦収差が良好に補正されている。従って、撮像レンズ系11が高解像度となる。
【0044】
また、
図3B、5B、7B、9B、11Bの像面湾曲図に示すように、本実施例1~5の撮像レンズ系11によれば、像面湾曲が良好に補正されている。従って、撮像レンズ系11が高解像度となる。
【0045】
また、
図3C、5C、7C、9C、11Cの歪曲収差図に示すように、本実施例1~5の撮像レンズ系11によれば、歪曲収差が良好に補正されている。従って、撮像レンズ系11が高解像度となる。
【0046】
また、表11に、実施例1~5に係る撮像レンズ系11の全系の焦点距離F(mm)、第1レンズL1~第5レンズL5の焦点距離f1~f5(mm)、第1レンズ以外のレンズ全体の合成焦点距離をFr(mm)、第1レンズL1の物体側の面S1の曲率半径R11(mm)、第1レンズL1の像側の面S2と第2レンズL2の物体側の面S3との光軸Z上の距離d12(mm)、第3レンズL3と第4レンズL4からなる接合レンズの合成焦点距離f3/4(mm)、撮像レンズ系11の光学長tol(mm)、d12/Fの値、f1/Frの値、及びR11/Fの値を示す。表11に示す値は、光線の波長が555nm、環境温度t(℃)が25(℃)のときの値である。
【表11】
【0047】
実施例1~5において、第1レンズL1が負のパワーを有し、物体側に凹面を有することにより、半画角が27.0°である広角な撮像レンズ系11を実現することができている。また、表11に示すように、実施例1~5において、f1/Frの値は、上記の式(1)を満たしている。これにより、第1レンズL1において効果的に負のディストーションを発生させて、広角な撮像レンズ系11を実現することができる。
また、実施例1~5において、光学系全体の半画角は40°以下であるため、実施例1~5に係る撮像レンズ系11の焦点距離Fは7.98~8.51となっており、望遠な撮像レンズ系11を実現することができている。換言すれば、撮像素子21の解像度に依拠することなく、望遠な撮像レンズ系11を実現することができている。
【0048】
また、表11に示すように、実施例1~5において、d12/Fの値は、上記の式(2)を満たしている。そのため、d12/Fが0.7より大きいことにより、第1レンズL1によって、十分な大きさの負のディストーション(歪曲収差)を発生させることができる。これにより、撮像レンズ系11の広角を実現することができる。実際、実施例1~5の撮像レンズ系11の半画角は、27.0°となっており、十分な大きさを確保することができている。一方、d12/Fが1.5より小さいことにより、第1レンズL1のレンズ径の増大を防ぐことができ、撮像レンズ系11のコンパクト化を図ることができる。
また、第2レンズL2が正のパワーを有するとともに、第2レンズ群G2が正のパワーを有することにより、撮像レンズ系11の集光性能を確保することができている。例えば、
図3、5、7、9、11に示すように、実施例1~5において、縦収差、像面湾曲、及び、歪曲収差が良好な値となっている。したがって、実施例1~5において、撮像レンズ系11の望遠を実現することができている。
【0049】
また、表11に示すように、実施例1~5において、R11/Fの値は、上記の式(3)を満たしている。R11/Fが-2.5より大きいことにより、第1レンズL1の物体側の面S1の曲率半径R11を十分な大きさとすることができ、第1レンズL1によって発生される歪曲収差を十分な大きさとすることができる。そのため、撮像レンズ系11の画角を十分な大きさとすることができている。一方、R11/Fが-1より小さいことにより、第1レンズL1の物体側の面S1の曲率半径R11が大きくなり過ぎるのを防ぎ、像面湾曲の増大を防ぐことができる。そのため、撮像レンズ系11の結像性能の補正が行い易くなっている。
【0050】
実施の形態2
(撮像レンズ系及び撮像装置)
図12は、実施の形態2に係る撮像レンズ系11及び撮像装置20の構成及び光線を示す断面図である。撮像装置20は、撮像レンズ系11、撮像素子21を備える。撮像レンズ系11及び撮像素子21は筐体(不図示)に収容されている。
【0051】
図12に示すように、実施の形態2の撮像レンズ系11は、実施の形態1に係る撮像レンズ系11における第1レンズL1と第2レンズL2との間に補正レンズを挿入する構成となっている。すなわち、物体側から像側に向かって順に、物体側に凹面を有し、負のパワーを有する第1レンズL1、補正レンズとしての第2レンズL2、正のパワーを有する第3レンズL3からなる第1レンズ群G1と、第4レンズL4以降のレンズからなる第2レンズ群G2とからなる。
具体的には、第1レンズ群G1は、物体側から像側に向かって順に、負のパワーを有し、物体側に凹面を有するメニスカスレンズである第1レンズL1と、物体側及び像側に非球面を有する補正レンズとしての第2レンズL2と、正のパワーを有し、物体側に凸面を有する第3レンズL3とから構成される。また、絞りSTOPを挟んで、第2レンズ群G2は、負のパワーを有し、像側に凹面を有する第4レンズL4と、正のパワーを有し、物体側及び像側に凸面を有する第5レンズL5と、負のパワーを有し、物体側及び像側に非球面を有する第6レンズL6とから構成される。また、撮像レンズ系11は、
図12に示すように、第6レンズL6の像側レンズ面S13と結像面IMGとの間に、波長フィルターガラス12を備えていてもよい。また、第4レンズL4と第5レンズL5は、接合レンズを構成する。また、撮像素子21上にはカバーガラス22があり、撮像レンズ系11の結像面はIMGで示されている。第1レンズL1~第3レンズL3はガラスレンズであることが好ましく、第4レンズL4~第6レンズL6は、プラスチックレンズであることが好ましい。
補正レンズとしての第2レンズL2は、物体側及び像側の何れか一方の面に少なくとも1つの変曲点を有することが好ましい。これにより、第1レンズL1によって生じた負のディストーションによって発生する各種収差のうちの像面湾曲を中心から周辺にかけて補正することができる。
【0052】
また、絞りSTOPより物体側に配置される第1レンズL1、第2レンズL2、及び第3レンズL3は第1レンズ群G1を構成し、絞りSTOPより像側に配置される第4レンズL4、第5レンズL5、第6レンズL6は第2レンズ群G2を構成する。そして、第1レンズ群G1は負のパワーを有し、第2レンズ群G2は正のパワーを有する。また、絞りSTOPは、撮像レンズ系11のFナンバー(Fno)を決める絞りである。
【0053】
第1レンズL1が負のパワーを有し、第1レンズL1の物体側の面S1が凹面であることにより、第1レンズL1へ入射する軸外光線の入射角を大きく変化させることができ、負のディストーション(歪曲収差)を発生させることができる。これにより、像の周辺ほど像が縮み、撮像素子21によって検出される範囲が広くなり、高画角を実現でき、広角な撮像レンズ系11を実現することができる。また、第2レンズL2が正のパワーを有することにより、集光性能を確保することができる。
【0054】
また、第1レンズL1の焦点距離をf1、第1レンズL1以外のレンズL2、L3、L4、L5、L6全体の合成焦点距離をFrとした場合に、以下の式(1)を満たすことが好ましい。
-6.0<f1/Fr<-1.5 ・・・(1)
上記の式(1)は、第1レンズL1で効果的に負のディストーションを出すための条件を、第1レンズL1の焦点距離とそれ以降のレンズの合成焦点距離の比率で表現したものである。上限を超えると負のパワーが強すぎ歪曲収差が大きくなりすぎてその補正が困難となり、下限を超えると負のディストーションの発生が不十分で画角がとりにくくなる。
したがって、広角な撮像レンズ系11を実現することができるとともに、高解像度な撮像素子を必要とせずに望遠な撮像レンズ系11を実現することができる。よって、撮像素子の解像度に依拠することなく、遠方の物体を確認可能で広い範囲を撮像可能な撮像レンズ系及び撮像装置を提供することができる。
【0055】
また、第1レンズL1の像側の面S2と第2レンズL2の物体側の面S3との光軸Z上の距離をd12とし、第2レンズL2の光軸Z上の厚さをd2、第2レンズL2の像側の面S4と第3レンズL3の物体側の面S5との光軸Z上の距離をd23とし、第2レンズL2の屈折率をn2とし、D=d12+d2/n2+d23とし、撮像レンズ系11の全体の焦点距離をFとした場合に、以下の式(4)を満たす。
0.7<D/F<1.5 ・・・(4)
【0056】
第1レンズL1の像側の面S2と第3レンズL3の物体側の面S5との光軸Z上の距離Dが小さすぎると、第1レンズL1の物体側の面S1において軸上光線に対する軸外光線の入射位置が近く、軸外光線の入射角が大きくなるため、負のディストーションを大きく発生させることができない。一方、距離Dが比較的大きいと、第1レンズL1の物体側の面S1における軸上光線に対する軸外光線の入射位置を遠ざけることができ、軸外光線の入射角がより小さくなるため、負のディストーションを大きく発生させることができる。そのため、D/Fは0.7より大きいことが好ましい。一方、D/Fが1.5より大きいと、第1レンズL1のレンズ径が大きくなり過ぎてしまい、撮像レンズ系11のコンパクト化が図れない。
【0057】
また、光学系の半画角は40°以下であり、30°以下であることが好ましい。光学系の半画角が40°以下であることにより、撮像レンズ系の焦点距離を長くすることができる。ここで、光学系の半画角とは、瞳中心を通ってセンサの対角長の位置(対角点)に到達する光線が物体側で光軸となす角度をいう。
【0058】
本実施の形態2では、第2レンズ群G2は3枚のレンズから構成されているが、これに限らず何枚の構成であってもかまわない。
本願発明は、画角をとるための第1レンズL1と集光機能を有する第3レンズL3のみで発明の目的が達成されるものであり、これらのレンズの像側に位置するレンズは単に結像を実現するための構成であるから何枚の構成であってもかまわないのである。言い換えると、第4レンズL4以降は、像面湾曲の発生も少なく、瞳(絞り)に近いため球面収差等の結像性能を重視すれば足りるため、どのような構成であってもよい。
【0059】
また、第1レンズL1の物体側の面S1の曲率半径をR11とした場合に、以下の式(3)を満たすことが好ましい。
-2.5<R11/F<-1 ・・・(3)
【0060】
R11/Fが-2.5より小さい場合、換言すれば、第1レンズL1の物体側の面S1の曲率半径R11が比較的小さい場合、第1レンズL1によって発生される歪曲収差が小さくなり、十分な大きさの画角の確保が難しい。一方、R11/Fが-1より大きい場合、換言すれば、第1レンズL1の物体側の面S1の曲率半径R11が比較的大きい場合、像面湾曲が大きくなりすぎ、撮像レンズ系11の結像性能の補正が難しくなってしまう。そのため、上記の式(3)を満たすことにより、十分な大きさの画角を確保しつつ、十分な結像性能も確保することができる。
【0061】
また、以下の式(5)を満たすことが好ましい。
0.05<d12/d23<1.0 ・・・(5)
【0062】
d12/d23が1.0より小さいことにより、第2レンズL2が第3レンズL3よりも第1レンズL1に近い位置に配置され、第2レンズL2の面上における各入射光線の重なりが少なくなるため、各入射光線ごとの補正が可能となり、収差補正を効果的に行うことができる。また、d12/d23が0.05より大きいことが好ましい。d12/d23が0.05より小さいと、すなわち、第2レンズL2が第1レンズL1に近すぎると、撮像レンズ系11の組み立てにおいて、第1レンズL1と第2レンズL2とが干渉してしまう可能性が高くなる。
【0063】
また、第2レンズL2の焦点距離をf2とした場合に、以下の式(6)を満たすことが好ましい。
-0.1<F/f2<0.1 ・・・(6)
この条件を満足することにより、第2のレンズL2のパワーを制限し、補正レンズとして像面補正を効率的に行うことができる。
【0064】
また、
図13に示すように、第2レンズL2の物体側の面S3の最も外径側を透過する光線と第2レンズL2の物体側の面S3との交点P1と、第2レンズL2の物体側の面S3の最も外径側を透過する光線と像側の面S4との交点P2との光軸Zに平行な距離をET2とした場合に、以下の式(7)を満たすことが好ましい。
0.9<ET2/d2<1.1 ・・・(7)
【0065】
上記の式(6)及び式(7)の少なくとも一方を満たすことが好ましい。換言すれば、第2レンズL2のレンズパワーは、撮像レンズ系11の他のレンズに比べて弱いことが好ましい。これにより、第2レンズL2によって、第1レンズL1によって生じた負のディストーションによって発生する各種収差を好適に補正することが可能となる。
【0066】
次に、実施の形態2の撮像レンズ系11に対応する実施例について、図面を参照して説明する。
【0067】
(実施例6)
図14は、実施例6に係る撮像レンズ系11を示す断面図である。具体的には、実施例1に係る撮像レンズ系11は、物体側から像側に向かって順に、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、絞りSTOP、第4レンズL4、第5レンズL5、IRカットフィルタ12からなる。また、第1レンズL1は、負のパワーを有し、物体側に凹面を有し、像側に凸面を有する。第2レンズは、正のパワーを有し、物体側及び像側に変曲点を有する非球面を有する。第3レンズL3は、正のパワーを有し、物体側に凸の非球面を有し、像側に非球面を有する。第4レンズL4は、負のパワーを有し、物体側に非球面を有し、像側に凹の非球面を有する。第5レンズL5は、正のパワーを有し、物体側及び像側に凸の非球面を有する。第6レンズL6は、正のパワーを有し、物体側及び像側に非球面を有する。第1レンズL1~第3レンズL3はガラスレンズであり、第4レンズL4~第6レンズL6は、プラスチックレンズである。また、撮像レンズ系11は、赤外領域の光をカットするためのフィルタである、IRカットフィルタ12を備えている。以下、実施例6に係る撮像レンズ系11の特性データについて説明する。
【0068】
表12に、実施例6に係る撮像レンズ系11の各レンズ面のレンズデータを示す。表12に示す項目は、表1と同様であるため、その説明を省略する。ここで、実施例6に係る撮像レンズ系11の半画角は27.0°であり、Fナンバーは1.8であり、光学系全体の焦点距離Fは8.623(mm)である。
【表12】
【0069】
表13に、実施例6の撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。
【表13】
【0070】
図15に、実施例6の撮像レンズ系11における球面収差図(縦収差図)、像面湾曲図、歪曲収差図を示す。
図15に示す各収差図についての説明は
図3と同様であるため、その説明を省略する。
【0071】
(実施例7)
図16は、実施例7に係る撮像レンズ系11を示す断面図である。実施例7に係る撮像レンズ系11の構成は、実施例6と同様であるため、その説明を省略する。以下、実施例7に係る撮像レンズ系11の特性データについて説明する。
【0072】
表14に、実施例7に係る撮像レンズ系11の各レンズ面のレンズデータを示す。表14に示す項目は、表1と同様であるため、その説明を省略する。ここで、実施例7に係る撮像レンズ系11の半画角は27.0°であり、Fナンバーは1.8であり、光学系全体の焦点距離Fは8.923(mm)である。
【表14】
【0073】
表15に、実施例7の撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。
【表15】
【0074】
図17に、実施例7の撮像レンズ系11における球面収差図(縦収差図)、像面湾曲図、歪曲収差図を示す。
図17に示す各収差図についての説明は
図3と同様であるため、その説明を省略する。
【0075】
(実施例8)
図18は、実施例8に係る撮像レンズ系11を示す断面図である。実施例8に係る撮像レンズ系11の構成は、実施例6と同様であるため、その説明を省略する。以下、実施例8に係る撮像レンズ系11の特性データについて説明する。
【0076】
表16に、実施例8に係る撮像レンズ系11の各レンズ面のレンズデータを示す。表16に示す項目は、表1と同様であるため、その説明を省略する。ここで、実施例8に係る撮像レンズ系11の半画角は27.0°であり、Fナンバーは1.8であり、光学系全体の焦点距離Fは8.59(mm)である。
【表16】
【0077】
表17に、実施例8の撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。
【表17】
【0078】
図19に、実施例8の撮像レンズ系11における球面収差図(縦収差図)、像面湾曲図、歪曲収差図を示す。
図19に示す各収差図についての説明は
図3と同様であるため、その説明を省略する。
【0079】
(実施例9)
図20は、実施例9に係る撮像レンズ系11を示す断面図である。実施例9に係る撮像レンズ系11の構成は、実施例6と同様であるため、その説明を省略する。以下、実施例9に係る撮像レンズ系11の特性データについて説明する。
【0080】
表18に、実施例9に係る撮像レンズ系11の各レンズ面のレンズデータを示す。表18に示す項目は、表1と同様であるため、その説明を省略する。ここで、実施例9に係る撮像レンズ系11の半画角は27.0°であり、Fナンバーは1.8であり、光学系全体の焦点距離Fは8.623(mm)である。
【表18】
【0081】
表19に、実施例9の撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。
【表19】
【0082】
図21に、実施例9の撮像レンズ系11における球面収差図(縦収差図)、像面湾曲図、歪曲収差図を示す。
図21に示す各収差図についての説明は
図3と同様であるため、その説明を省略する。
【0083】
図15A、17A、19A、21Aの縦収差図に示すように、本実施例6~9の撮像レンズ系11によれば、波長486.1nm、587.6nm、656.3nmの縦収差が良好に補正されている。従って、撮像レンズ系11が高解像度となる。
【0084】
また、
図15B、17B、19B、21Bの像面湾曲図に示すように、本実施例6~9の撮像レンズ系11によれば、像面湾曲が良好に補正されている。従って、撮像レンズ系11が高解像度となる。
【0085】
また、
図15C、17C、19C、21Cの歪曲収差図に示すように、本実施例6~9の撮像レンズ系11によれば、歪曲収差が良好に補正されている。従って、撮像レンズ系11が高解像度となる。
【0086】
また、表20に、実施例6~9に係る撮像レンズ系11の全系の焦点距離F(mm)、第1レンズL1~第6レンズL6の焦点距離f1~f6(mm)、第1レンズ以外のレンズ全体の合成焦点距離をFr(mm)、第1レンズL1の物体側の面S1の曲率半径R11(mm)、第1レンズL1の像側の面S2と第2レンズL2の物体側の面S3との光軸Z上の距離d12(mm)、第2レンズL2の光軸Z上の厚さd2(mm)、第2レンズL2の像側の面S4と第3レンズL3の物体側の面S5との光軸Z上の距離d23(mm)、第1レンズL1の像側の面S2と第3レンズL3の物体側の面S5との光軸Z上の距離D(mm)、第2レンズL2の物体側の面S3の最も外径側を透過する光線と像側の面S4との交点との光軸Zに平行な距離ET2(mm)、第4レンズL4と第5レンズL5からなる接合レンズの合成焦点距離f4/5(mm)、撮像レンズ系11の光学長tol(mm)、D/Fの値、f1/Frの値、R11/Fの値、d12/d23の値、F/f2の値、及びET2/d2の値を示す。表20に示す値は、光線の波長が555nm、環境温度t(℃)が25(℃)のときの値である。
【表20】
【0087】
実施例6~9において、第1レンズL1が負のパワーを有し、物体側に凹面を有することにより、半画角が27.0°である広角な撮像レンズ系11を実現することができている。また、表20に示すように、実施例6~9において、f1/Frの値は、上記の式(1)を満たしている。これにより、第1レンズL1において効果的に負のディストーションを発生させて、広角な撮像レンズ系11を実現することができる。
また、実施例6~9において、光学系全体の半画角は40°以下であるため、実施例6~9に係る撮像レンズ系11の焦点距離Fは8.55~8.93となっており、望遠な撮像レンズ系11を実現することができている。換言すれば、撮像素子21の解像度に依拠することなく、望遠な撮像レンズ系11を実現することができている。また、実施例6~9において、第1レンズL1が負のパワーを有し、物体側に凹面を有することにより、半画角が27.0°である広角な撮像レンズ系11を実現することができている。
また、実施例6~9において、補正レンズとしての第2レンズL2は、物体側及び像側の面に1つの変曲点を有している。これにより、第1レンズL1によって生じた負のディストーションによって発生する各種収差のうちの像面湾曲を中心から周辺にかけて補正することができる。例えば、
図15B、17B、19B、21Bに示すように、実施例6~9において、像面湾曲が良好な値となっている。
【0088】
表20に示すように、実施例6~9において、D/Fの値は、上記の式(4)を満たしている。そのため、D/Fが0.7より大きいことにより、第1レンズL1によって、十分な大きさの負のディストーション(歪曲収差)を発生させることができる。これにより、撮像レンズ系11の広角を実現することができる。実際、実施例6~9の撮像レンズ系11の半画角は、27.0となっており、十分な大きさを確保することができている。一方、D/Fが1.5より小さいことにより、第1レンズL1のレンズ径の増大を防ぐことができ、撮像レンズ系11のコンパクト化を図ることができる。
また、第3レンズL3が正のパワーを有するとともに、第2レンズ群G2が正のパワーを有することにより、撮像レンズ系11の集光性能を確保することができている。例えば、
図15、17、19、21、23に示すように、実施例6~9において、縦収差、像面湾曲、及び、歪曲収差が良好な値となっている。したがって、実施例6~9において、撮像レンズ系11の望遠を実現することができている。
【0089】
また、表20に示すように、実施例6~9において、R11/Fの値は、上記の式(3)を満たしている。R11/Fが-2.5より大きいことにより、第1レンズL1の物体側の面S1の曲率半径R11を十分な大きさとすることができ、第1レンズL1によって発生される歪曲収差を十分な大きさとすることができる。そのため、撮像レンズ系11の画角を十分な大きさとすることができている。一方、R11/Fが-1より小さいことにより、第1レンズL1の物体側の面S1の曲率半径R11が大きくなり過ぎるのを防ぎ、像面湾曲の増大を防ぐことができる。そのため、撮像レンズ系11の結像性能の補正が行い易くなっている。
【0090】
また、表20に示すように、実施例6~9において、d12/d23の値は上記の式(5)を満たしている。そのため、d12/d23が1.0より小さいことにより、収差補正を効果的に行うことができる。一方、d12/d23が0.05より大きいことにより、第1レンズL1と第2レンズL2とが干渉してしまうことを防ぐことができる。
【0091】
また、表20に示すように、実施例6~9において、F/f2の値は上記の式(6)を満たし、ET2/d2の値は上記の式(7)を満たしている。そのため、第2レンズL2のレンズパワーは、撮像レンズ系11の他のレンズに比べて弱く、第2レンズL2によって、第1レンズL1によって生じた負のディストーションによって発生する各種収差を好適に補正することが可能となる。
【0092】
なお、本発明は上記実施例に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本発明の撮像レンズ系の用途は、車載カメラや監視カメラに限定されるものではなく、携帯電話等の小型電子機器に搭載する等の他の用途にも用いられてもよい。
【符号の説明】
【0093】
11 撮像レンズ系
12 ガラス(IRカットフィルタ)
20 撮像装置
21 撮像素子
22 カバーガラス
L1 第1レンズ
L2 第2レンズ
L3 第3レンズ
L4 第4レンズ
L5 第5レンズ
L6 第6レンズ
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
STOP 絞り
IMG 結像面