(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】水質値管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20250120BHJP
【FI】
G06Q50/26
(21)【出願番号】P 2021018998
(22)【出願日】2021-02-09
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】織田 真人
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-003979(JP,A)
【文献】特開2017-170274(JP,A)
【文献】特開2002-133044(JP,A)
【文献】特開2005-149280(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0118239(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の定点を巡回して水質値を測定する巡回点検者によって操作される点検者端末と、前記点検者端末と通信可能に接続される配水管マップサーバと、を備えたシステムであって、
前記点検者端末は、
前記水質値を前記巡回点検者が入力する測定結果入力部と、
前記水質値を前記配水管マップサーバへ送信する通信部と、
配水管マップを表示するウェブサイトの表示が可能な表示部と、を備え、
前記配水管マップサーバは、
前記定点における水質値を取得する取得部と、
配水池の情報、複数の前記定点の情報を含む配水管図面および前記水質値が記録された記憶部と、
前記配水管図面と前記水質値とを少なくとも用いて、前記配水管図面上における複数の前記定点の位置、および、前記定点間における前記水質値の変化を視覚的に提示する配水管マップを
表示するウェブサイトを生成するマップ作成部と、を備え
、
前記マップ作成部は、要求に応じて、前記配水管マップを表示するウェブサイトへアクセスするための情報を前記点検者端末へ送信する、水質値管理システム。
【請求項2】
前記記憶部には前記水質値の管理基準値が更に記録され、
前記配水管マップにおいて、複数の前記定点の間に布設された配水管の画像は、前記配水管の一方側の前記定点における前記水質値と前記管理基準値との差分に応じた線種、色、透過度、又はこれらの組み合わせにより表示される、請求項1記載の
水質値管理システム。
【請求項3】
前記水質値は、残留塩素濃度値を含み、
前記配水管マップは、前記定点間における前記残留塩素濃度値の変化を視覚的に提示する残塩マップを少なくとも含む、請求項1
又は請求項2記載の
水質値管理システム。
【請求項4】
前記水質値は、水温値を更に含み、
前記配水管マップは、前記定点間における前記水温値の変化を視覚的に提示する水温マップを更に含む、請求項
3記載の
水質値管理システム。
【請求項5】
水道管理者によって操作される管理者端末を更に備えたシステムであって、
前記管理者端末は、前記配水管マップを表示するウェブサイトを表示可能であるとともに、前記配水管マップサーバからの通知を提示可能な表示部を備え、
前記配水管マップサーバは、前記配水池の情報と前記定点における前記水質値とを比較することにより、配水区域の変更の検討、配水管布設替えの検討、配水管漏水調査必要箇所の特定、および、追加塩素注入設備の位置検討の少なくともいずれかを行うように、前記管理者端末へ通知を行うアラーム判定部を更に備えた、請求項4記載の水質値管理システム。
【請求項6】
前記アラーム判定部は、前記配水池の前記残留塩素濃度値から前記定点の前記残留塩素濃度値を引いた値が所定の閾値より大きく、前記配水池の前記水温値が前記定点の前記水温値以上であるときに、配水管の腐植および漏水の可能性を前記管理者端末へ通知する請求項5記載の水質値管理システム。
【請求項7】
前記アラーム判定部は、前記配水池の前記残留塩素濃度値から前記定点の前記残留塩素濃度値を引いた値が所定の閾値より大きく、前記配水池の前記水温値が前記定点の前記水温値未満であるときに、配水距離に対する塩素注入量不足および滞留水の増加の可能性を前記管理者端末へ通知する請求項5記載の水質値管理システム。
【請求項8】
前記アラーム判定部は、前記配水池の前記残留塩素濃度値から前記定点の前記残留塩素濃度値を引いた値が所定の閾値以下であり、前記配水池の前記水温値が前記定点の前記水温値未満であるときに、水温異常の可能性が高いこと、および、配水管内の滞留水が増加している可能性を前記管理者端末へ通知する、請求項5記載の水質値管理システム。
【請求項9】
前記マップ作成部は、前記アラーム判定部が前記通知を行った場合に、前記定点の位置情報と、他の配水池の前記水質値および位置情報とを用いて、新たな配水管マップを生成する、請求項7又は請求項8記載の水質値管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、配水管マップ作成装置、配水管マップサーバ、および、配水管マップ作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
配水管の残留塩素の管理は、水道法施行規則(昭和32年12月14日厚生省令第45号)第17条三項「給水栓における水が、遊離残留塩素を0.1mg/l(結合残留塩素の場合は、0.4mg/l)以上保持するように塩素消毒をすること。」に則り、水道管理者が行っている。この水道法施行規則で決められた残留塩素濃度は、配水管路末端の給水栓での値である。
【0003】
水道管理者は、配水管路末端での残留塩素濃度値が水道法施行規則に定める値を満たすよう、配水管の採水可能な各地点(以下、本明細書において定点と言う)での残留塩素管理値を設けている。定点での残留塩素管理値は、末端での残留塩素濃度を水道法施行規則に定める値以上とするために、水の塩素反応、水温上昇、配管延長などの影響を考慮した値(末端値以上の値)とする必要がある。なお、定点は、水道管理者が配水管網図から、配水区域内で配水開始地点から末端地点までの間をなるべく一定な間隔をとった数点の採水地点とすることが望ましい。
【0004】
巡回点検者は、各々が担当する地域の複数の定点を巡回し、各定点での採水と分析とを行っている。例えば、巡回点検者は、最初に定点で採水を行い、採水を行った現地で残留塩素、水温の測定を行い、各定点の測定結果を帳票に記録する。水道管理者は、巡回点検者により記録された測定結果(水質値)と各定点の残留塩素管理値とを用いて、水道法施行規則に定める値が満たされているか判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-207501号公報
【文献】特開2018-53638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
1)残留塩素管理値、定点の決定について
各定点における残留塩素管理値が、例えば過去に水道管理者が決定した値から見直しを行われていない場合、現在の値とされた理由が不明となり、現在の管理値が適正か判断することが困難な場合があった。定点の場所についても、例えば過去に水道管理者が決定した位置から見直しが行われていない場合、現在の定点が決定された理由が不明となり、配水区域や配水利用状況の経年変化に対応していない可能性があった。
【0007】
定点の場所、および、各定点での残留塩素管理値は水道管理者により決定される。定点での残留塩素管理値の決定に考慮する因子として、例えば、配水元出口から定点まで、および、定点から配水管路末端までの間の距離、到達時間、水温の差、配水径路の配管の劣化状態があげられる。これらの因子を得る情報源は、例えば、巡回点検者による測定結果記録、配水管網図、配水管布設記録などがある。水道管理者は、例えば、これらの情報を用いて、自身の知見や過去の経験などに基づいて残留塩素管理値を決定している。また、定点の場所の決定についても、上記の各情報を勘案して位置の変更を随時行っていく必要があり、残留塩素管理値の決定同様に熟練技術者の知見や過去の経験に基づく判断によるものである。このため、残留塩素濃度や定点の場所が決定された明確な根拠を示すことは難しい場合があった。
【0008】
2)蓄積したデータの利活用について
各定点における測定結果の管理記録帳簿や、配水管布設を更新した配水管網図などは、定点の場所、および、各定点での残留塩素管理値の決定に用いられる情報源である。これらの情報源は、新たに作成する必要はなく、すでに存在し蓄積されているデータである。
【0009】
しかし、近年、熟練技術者が減少しているため、記録測定結果帳票は、測定結果が残留塩素管理値を満足していたエビデンスとして保存されているのみとなり活用されていないことも多い。また、配水管網図は、定点の場所の特定に使用しているのみとなっていることも多い。熟練技術者の減少が進むと、記録測定結果帳票や配水管網図を集めて、各定点における残留塩素濃度の分析や検討を行うことが困難になると予想される。
【0010】
3)残留塩素管理値を下回った場合の調査・対処方法について
配水ルートの変更や配水地域の見直し、配水管の布設替えの検討、配水管漏水調査、塩素注入設備の注入場所変更などがあるが、多くの場合は注入する塩素量を増やすことで対処されており、薬品使用量が増えコスト高となっている。
残留塩素管理値を高くすると配水先での塩素臭や水の味のも影響があるため、残留塩素管理値はできるだけ低くすることが望ましい。
【0011】
4)巡回点検者の作業効率について
巡回点検者は、1日に数多くの定点をまわり採水・分析を行うことにかなりの時間を要する。さらに、巡回点検者は、巡回点検終了後に各測定値を帳票に転記し、記録を作成する必要があり、これにも時間を要している。
【0012】
本発明の実施形態は上記事情を鑑みて成されたものであって、定点において採取および分析を行う点検者の作業、および、残留塩素濃度の管理を行う水道管理者の作業を効率化するとともに、測定結果の活用を容易にする配水管マップ作成装置、配水管マップサーバ、および、配水管マップ作成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
実施形態による水質値管理システムは、複数の定点を巡回して水質値を測定する巡回点検者によって操作される点検者端末と、前記点検者端末と通信可能に接続される配水管マップサーバと、を備えたシステムであって、前記点検者端末は、前記水質値を前記巡回点検者が入力する測定結果入力部と、前記水質値を前記配水管マップサーバへ送信する通信部と、配水管マップを表示するウェブサイトの表示が可能な表示部と、を備え、前記定点における水質値を取得する取得部と、配水池の情報、複数の前記定点の情報を含む配水管図面および前記水質値が記録された記憶部と、前記配水管図面と前記水質値とを少なくとも用いて、前記配水管図面上における複数の前記定点の位置、および、前記定点間における前記水質値の変化を視覚的に提示する配水管マップを表示するウェブサイトを生成するマップ作成部と、を備え、前記マップ作成部は、要求に応じて、前記配水管マップを表示するウェブサイトへアクセスするための情報を前記点検者端末へ送信する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、第1実施形態の配水管マップ作成装置の一構成例を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すマップ作成部により生成される配水管マップを概略的に示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の配水管マップ作成装置の動作の一例を説明するための図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態の配水管マップサーバを含む水質値管理システムの一構成例を概略的に示す図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態の配水管マップサーバの一構成例を概略的に示す図である。
【
図6】
図6は、
図4に示す点検者端末の一構成例を概略的に示す図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態の配水管マップサーバの一構成例を概略的に示す図である。
【
図8】
図8は、第3実施形態の配水管マップサーバの制御部の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図9】
図9は、第3実施形態の配水管マップサーバの動作の一例を具体的に説明するための図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態の配水管マップサーバの動作の他の例を具体的に説明するための図である。
【
図11】
図11は、第4実施形態の配水管マップサーバの動作の一例を具体的に説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態の配水管マップ作成装置について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、第1実施形態の配水管マップ作成装置の一構成例を概略的に示す図である。
本実施形態の配水管マップ作成装置10は、定点を巡回して水質値を測定する巡回点検者によって操作される電子機器であって、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、スマートウォッチ等のウエアラブル端末等であり得る。配水管マップ作成装置10は、通信部11と、表示部14と、入出力部13と、記憶部15と、制御部12と、を備えている。なお、配水管マップ作成装置10において、通信部11は必須の構成ではなく、通信部11は省略されても構わない。また、配水管マップ作成装置10は、GPS(Global Positioning System)機能を備えていてもよい。
【0016】
配水管マップ作成装置10の各構成はバス配線に接続され、制御部12により動作を制御される。
通信部11は、例えばネットワークインタフェースである。通信部11は、例えば無線LAN(Local Area Network)、有線LAN、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)(登録商標)などの所定の通信プロトコルに基づいて、ネットワークを介して他の電子機器と有線通信および無線通信を行うことが出来る。
【0017】
表示部14は、例えば液晶表示パネルや有機EL(Electro Luminescence)表示パネルなどの平面表示パネルを備え、画像によりユーザへ種々の情報を提示する出力装置である。なお表示部14は、例えばタッチパネルなどのユーザが接触することにより操作を行う入力装置と一体に構成されてもよい。
【0018】
記憶部15は、DRAMやSRAMなどの揮発性メモリや、ROMやフラッシュメモリやMRAM、FeRAMなどの不揮発性メモリを含み得、制御部12により実行されるプログラムが記録されるとともに、制御部12により一時記憶領域として用いられる領域を含み得る。
【0019】
本実施形態では、記憶部15には、予め、配水管図面と、配水管図面上での定点および配水池の位置情報とを含むマップ情報が記録されていてもよい。配水管図面は、例えば配水管網図に基づく図面である。マップ情報は、実際の地図情報に基づく詳細な地理情報や位置情報を含んでいてもよく、少なくとも配水池と、定点と、配水管との位置関係が分かる程度にデフォルメされた簡略化された配水管図面を含んでいてもよい。
【0020】
また、記憶部15は、定点の情報および測定日時(若しくは取得日時)と関連付けられた水質値とが記録される。記憶部15には、例えば少なくとも最新の水質値が記録され得、一定点に対する所定数(1又は2以上)の最新の水質値、若しくは、所定期間に測定された(若しくは取得された)水質値が記録されて蓄積されてもよい。
【0021】
入出力部13は、例えば、キーボード、マウス、ハードディスク、カメラ、マイク、接触センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー、その他センサー等の入出力装置、I/O端子などを含み得る。
【0022】
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを少なくとも1つ含む演算回路であって、記憶部15に記録されたプログラムを実行し、ソフトウェアにより若しくはソフトウェアとハードウェアとの組み合わせにより、配水管マップ作成装置10の種々の機能を実現することができる。
【0023】
なお、配水管マップ作成装置10の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0024】
本実施形態体の配水管マップ作成装置10において、制御部12は、取得部12Aと、マップ作成部12Bと、を備えている。
取得部12Aは、例えば、ユーザにより入力された水質値を取得する。なお、ユーザが、水質値と対応する定点の情報とを関連付けて入力したときには、取得部12Aは水質値と対応する定点の情報(位置情報、名称等を含む)とを合わせて取得することができる。取得部12Aは、取得した水質値を定点の情報および水質値の測定日時(若しくは取得日時)と関連付けて記憶部15に記録する。
【0025】
マップ作成部12Bは、記憶部15に記録された水質値と、配水管図面とを用いて、表示部14に表示する配水管マップを生成する。なお、マップ作成部12Bは、生成した配水管マップの画像データを記憶部15に記録して保存してもよく、要求に応じて通信部11や入出力部13を介して外部機器へ送信してもよい。
【0026】
図2は、
図1に示すマップ作成部により生成される配水管マップを概略的に示す図である。
配水管マップは、例えば、配水池を含む定点の情報と、定点で測定された水質値の定点間での変化とを、視覚的にユーザに提示する画像である。配水管マップは、残塩マップMAと、水温マップMBと、採水箇所(配水池および定点)に対応する水質値の表と、を含み得る。なお、配水管マップは少なくとも残塩マップMAを含んでいればよく、水温マップMBと採水箇所に対応する水質値の表とは省略されてもよい。
【0027】
マップ作成部12Bは、記憶部15に記録された水質値と、定点の情報と、配水池の情報とを用いて、採取箇所(配水池および各定点)における水質値を表示する表を含む配水管マップを生成することができる。マップ作成部12Bは、例えば、採水箇所に対応する水質値として、残留塩素濃度値および水温値を示す表を含む配水管マップを生成する。なお、ここでは、マップ作成部12Bは、既に水質値が取得された採水箇所における値を含む表を生成しているが、例えば未だ水質値が取得されていない採水箇所について測定値が未取得であることを示す(例えば表を空欄とする)ように表を生成してもよい。
【0028】
また、マップ作成部12Bは、記憶部15に記録された水質値と、定点の情報と、配水池の情報と、配水管図面と、を用いて、残塩マップMAを含む配水管マップを生成することができる。
図2に例示した残塩マップMAでは、配水池(例えばα配水池)と、定点(A地点およびB地点)との位置関係を概略的に示すとともに、配水池(α配水池)と定点(A地点)との間、および、定点間(A地点とB地点との間)に布設されている配水管を概略的に示している。
【0029】
マップ作成部12Bは、残塩マップMAにおいて、配水管を表示する色や、透過度や、線種(線の太さ、破線の種類など)や、これらの組み合わせ等により、定点間での残留塩素濃度値の変化を視覚的に提示することができる。
【0030】
例えば、記憶部15に、残留塩素濃度値の管理基準値、残留塩素濃度値と管理基準値との差に対する複数の閾値(第1残塩閾値と第2残塩閾値とを含む)、および、複数の閾値により分類される値の範囲それぞれに対応する(例えば第1残塩閾値以上第2残塩閾値(>第1残塩閾値)未満の残留塩素濃度値に対応する)配水管の表示色や、透過度や、線種や、これらの組み合わせ等が予め記録されていてもよい。
残留塩素濃度値の管理基準値は、例えば定点毎に設定された値であってもよく、複数の定点に共通の値であってもよい。また、残留塩素濃度値の管理基準値は、水道管理者により設定された残留塩素管理値であってもよい。
【0031】
例えば、配水管の画像の透過度は、管理基準値に対して残留塩素濃度値が高いほど透過度が低く、管理基準値と残留塩素濃度値との差が小さいほど透過度が高くなるように設定され得る。マップ作成部12Bは、例えば、A地点とB地点との間の配水管を、B地点(下流側の定点)における残留塩素濃度値と管理基準値との差に対応する透過度で表示するように配水管マップを生成する。
【0032】
また、マップ作成部12Bは、配水管の一方の端の採水箇所における残留塩素濃度値と、配水管の他方の端の採水箇所における残留塩素濃度値との平均値や、中央値と管理基準値との差に対応する透過度で、配水管を表示する配水管マップを生成してもよい。例えば、A地点とB地点との間の配水管の画像は、A地点における残留塩素濃度値とB地点に対応する残留塩素濃度値との平均値や中央値と管理基準値との差に対応する透過度で表示され得る。
【0033】
また、マップ作成部12Bは、例えば、配水管の一方の端の採水箇所における残留塩素濃度値と管理基準値との差に対応する透過度から、配水管の他方の端の採水箇所における残留塩素濃度値と管理基準値との差に対応する透過度へ徐々に変化するように、配水管を表示する残塩マップMAの画像を含む配水管マップを生成してもよい。例えば、A地点とB地点との間の配水管の画像は、A地点における残留塩素濃度値と管理基準値との差に対応する透過度からB地点における残留塩素濃度値と管理基準値との差に対応する透過度へ徐々変化するように表示され得る。
【0034】
また、マップ作成部12Bは、例えば、測定された残留塩素濃度値と管理基準値との差に応じて予め設定された色にて、配水管を表示する配水管マップを生成してもよい。例えば、A地点とB地点との間の配水管の画像は、B地点(下流側の定点)における残留塩素濃度値と管理基準値との差に対応する色で表示されてもよく、A地点における残留塩素濃度値と管理基準値との差に対応する色からB地点における残留塩素濃度値と管理基準値との差に対応する色へ徐々に変化するように表示されてもよく、A地点における残留塩素濃度値とB地点に対応する残留塩素濃度値との平均値や中央値と管理基準値との差に対応する色で表示されてもよい。
【0035】
また、マップ作成部12Bは、例えば、測定された残留塩素濃度値と管理基準値との差に応じて予め設定された線種(線の太さ、破線の種類など)にて、配水管を表示する残塩マップMAを生成してもよい。例えば、A地点とB地点との間の配水管の画像は、B地点(下流側の定点)における残留塩素濃度値と管理基準値との差に対応する線種で表示されてもよく、A地点における残留塩素濃度値に対応する線種からB地点における残留塩素濃度値に対応する線種へ徐々に変化するように表示されてもよく、A地点における残留塩素濃度値とB地点に対応する残留塩素濃度値との平均値や中央値と管理基準値との差に対応する線種で表示されてもよい。
【0036】
上記のように、測定された残留塩素濃度値と管理基準値との差の変化が視覚化されるように残塩マップMAを生成することにより、ユーザ(例えば巡回点検者や水道管理者)は配水管マップから水質値を直感的に認識することできるとともに、測定された水質値の入力忘れや入力ミスなどを回避することができる。
【0037】
マップ作成部12Bは、記憶部15に記録された水質値と、定点の情報と、配水池の情報と、配水管図面と、を用いて、水温マップMBを生成することができる。
図2に例示した水温マップMBでは、配水池(例えばα配水池)と、定点(A地点およびB地点)との位置関係を概略的に示すとともに、配水池(α配水池)と定点(A地点)との間、および、定点間(A地点とB地点との間)に布設されている配水管を概略的に示している。
【0038】
マップ作成部12Bは、水温マップMBにおいて、配水管を表示する色や、透過度や、線種や、これらの組み合わせ等により、定点間での水温値の変化を視覚的に提示することができる。例えば、水温値に対する複数の閾値(第1水温閾値と第2水温閾値とを含む)が記憶部15に記録され、複数の閾値により分類される複数の範囲それぞれに対応する(例えば、第1水温閾値以上第2水温閾値(>第1水温閾値)未満の水温値に対応する)配水管の表示色や、透過度や、線種や、これらの組み合わせが予め設定されていてもよい。
【0039】
マップ作成部12Bは、例えば、水温が高い採水箇所において透過度が低く、水温が低い採水箇所において透過度が高くなるよう配水管の表示を設定して水温マップMBを生成してもよい。例えば、A地点とB地点との間の配水管の画像は、A地点若しくはB地点における水温値に対応する透過度で表示されてもよく、A地点における水温値に対応する透過度からB地点における水温値に対応する透過度へ徐々変化するように表示されてもよく、A地点における水温値とB地点に対応する水温値との平均値や中央値に対応する透過度で表示されてもよい。
【0040】
また、マップ作成部12Bは、例えば、測定された水温値に応じて予め設定された色にて、配水管を表示する水温マップMBを生成してもよい。例えば、A地点とB地点との間の配水管の画像は、A地点若しくはB地点に対応する色で表示されてもよく、A地点における水温値に対応する色からB地点における水温値に対応する色へ徐々に変化するように表示されてもよく、A地点における水温値とB地点における水温値との平均値や中央値に対応する色で表示されてもよい。
【0041】
また、マップ作成部12Bは、例えば、測定された水温値に応じて予め設定された線種(線の太さ、破線の種類など)にて、配水管を表示する水温マップMBを生成してもよい。例えば、A地点とB地点との間の配水管の画像は、A地点若しくはB地点における水温値に対応する線種で表示されてもよく、A地点における水温値に対応する線種からB地点における水温値に対応する線種へ徐々に変化するように表示されてもよく、A地点における水温値とB地点における水温値との平均値や中央値に対応する線種で表示されてもよい。
【0042】
上記のように、測定された水温値が視覚化されるように水温マップMBを生成することにより、ユーザ(例えば巡回点検者)は表示された配水管マップから水質値を直感的に認識することができるとともに、測定値の入力忘れや入力ミスなどを回避することが可能となる。
【0043】
なお、
図2の例では、残塩マップMAおよび水温マップMBには既に水質値が測定された採水箇所のみが表示されているが、マップ作成部12Bは、例えば巡回点検者の担当するエリア内の他の採水箇所(未だ水質値を測定していない配水池や定点など)の位置や、共通の配水池から水が供給される複数のエリアに含まれる採水箇所の位置などを、更に表示するように、配水管マップを生成してもよい。また、配水管マップにおいて、水質値が測定された日時の情報が更に表示されてもよい。水質値の測定日時は、例えば、定点の近傍に対応する日時が表示されてもよく、水質値を示す表に測定日時の項目が設けられてもよい。
【0044】
次に、本実施形態の配水管マップ作成装置10の動作について説明する。
図3は、第1実施形態の配水管マップ作成装置の動作の一例を説明するための図である。
本実施形態の配水管マップ作成装置10は、配水管から取得される水の水質(残留塩素濃度、水温等)を測定する巡回点検者100により操作される。巡回点検者100は、担当するエリアの定点を回り、配水管101に設けられた消火栓などの採水可能な地点(定点)102において、取水する。
【0045】
巡回点検者100は、定点において取水された水の水質値(残留塩素濃度値、水温など)を、所定の測定装置(塩素濃度計、水温計など)103を用いてその場で測定する。
続いて、巡回点検者100は、配水管マップ作成装置10の入出力部13を操作して、例えば表示部14に表示された測定結果入力欄に測定された水質値を入力する。巡回点検者100により入力された水質値は、取得部12Aに供給され、定点の情報および測定日時(若しくは取得日時)と関連付けて配水管マップ作成装置10の記憶部15に記録される。このとき、取得部12Aは、例えばGPS機能により定点の位置情報を取得し、予め登録されている定点の位置情報を参照して定点を特定してもよく、巡回点検者100に対して定点を特定するための情報の入力を要求し、得られた情報を用いて定点を特定してもよい。
【0046】
記憶部15に水質値が記録されると、マップ作成部12Bは、記憶部15に記録された情報を用いて配水管マップを生成し、表示部14に配水管マップを表示させる。巡回点検者100は、表示された配水管マップにより測定した水質値が正しく記録されているか確認できる。
【0047】
巡回点検者100が担当するエリアの定点を回り、上記のように定点に対応する水質値を配水管マップ作成装置10に入力する度に、表示部14に表示される配水管マップが更新される。
【0048】
例えば、マップ作成部12Bは、測定結果入力欄に入力されたA地点の残留塩素濃度値を取得すると、残塩マップMAにおいてα配水池とA地点との間の配水管を表示する色、透過度、線種などを設定し、残塩マップMAの表示情報を更新する。また、マップ作成部12Bは、測定結果入力欄に入力されたA地点の水温値を取得すると、水温マップMBにおいてα配水池とA地点との間の配水管を表示する色、透過度、線種などを設定し、水温マップMBの表示情報を更新する。
【0049】
同様に、マップ作成部12Bは、測定結果入力欄に入力されたB地点の残留塩素濃度値を取得すると、残塩マップMAにおいて、A地点とB地点との間の配水管を表示する色、透過度、線種などを設定し、残塩マップMAの表示情報を更新する。また、マップ作成部12Bは、測定結果入力欄に入力されたB地点の水温値を取得すると、水温マップMBにおいてA地点とB地点との間の配水管を表示する色、透過度、線種などを設定し、水温マップMBの表示情報を更新する。
【0050】
本実施形態の配水管マップ作成装置10によれば、巡回点検者が帳票作成に要する時間を減らし、作業効率を上げることができる。また、巡回点検者および水道管理者は、測定したデータを数値(点)だけではなく配水管上(線)で確認することができ、視覚的に測定値を認識できる。
【0051】
換言すると、本実施形態の配水管マップ作成装置10によれば、巡回点検者100は水質値を容易に記録することができ、また、配水管マップを参照することにより視覚的に水質値を認識することが容易であり水質値の入力ミスを回避することができる。また、巡回点検終了後には、配水管マップ作成装置10に記録された水質値を管理用端末へ出力することにより、複数の巡回点検者100により測定された水質値を容易に集約することができ、巡回点検者100の手間を省くことが可能である。従って、本実施形態の配水管マップ作成装置10によれば、巡回点検者100の作業を効率化することができる。
【0052】
すなわち、本実施形態によれば、定点において採取および分析を行う点検者の作業、および、残留塩素濃度の管理を行う水道管理者の作業を効率化するとともに、測定結果の活用を容易にする配水管マップ作成装置および配水管マップ作成プログラムを提供することができる。
【0053】
次に、第2実施形態の配水管マップサーバを含む水質値管理システムについて図面を参照して詳細に説明する。
図4は、第2実施形態の配水管マップサーバを含む水質値管理システムの一構成例を概略的に示す図である。
【0054】
水質値管理システムは、配水管マップサーバ20と、点検者端末31、32と、管理者端末40と、を含む。なお、
図4は2つの点検者端末31、32を示しているが、点検者端末は巡回点検者に対応する数が含まれればよく、水質値管理システムは少なくとも1つの点検者端末を含み得る。また、
図4では、1つの管理者端末40を示しているが、管理者端末40は複数であっても構わない。
【0055】
点検者端末31、32は、定点を巡回して水質値を測定する巡回点検者100、200によって操作される電子機器であって、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、スマートウォッチ等のウエアラブル端末等であり得る。点検者端末31、32は、ネットワークを介して配水管マップサーバ20と通信可能に接続することができる。また、点検者端末31、32は、GPS(Global Positioning System)機能を備えていてもよい。なお、点検者端末31、32として、上述の第1実施形態の配水管マップ作成装置10が用いられても構わない。
【0056】
管理者端末40は、水道管理者によって操作される電子機器であって、少なくとも1つのプロセッサと、プロセッサにより実行されるプログラムが記録されたメモリと、を含む演算装置である。管理者端末40は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の電子機器であり得る。
【0057】
管理者端末40は、ネットワークを介して配水管マップサーバ20と通信可能に接続することができ、配水管マップサーバ20によってアップロードされる配水管マップのウェブサイト、および、配水管マップサーバ20からの通知を水道管理者へ提示する表示装置を備えている。
【0058】
配水管マップサーバ20は、少なくとも1つのプロセッサと、プロセッサにより実行されるプログラムが記録されたメモリと、を含む演算装置である。
図5は、第2実施形態の配水管マップサーバの一構成例を概略的に示す図である。
配水管マップサーバ20は、通信部21と、入出力部23と、記憶部24と、制御部22と、を備える。配水管マップサーバ20の各構成はバス配線に接続され、制御部22により動作を制御される。
【0059】
通信部21は、例えばネットワークインタフェースである。通信部21は、例えば無線LAN(Local Area Network)、有線LAN、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)(登録商標)などの所定の通信プロトコルに基づいて、ネットワークを介して他の電子機器と有線通信および無線通信を行うことが出来る。
【0060】
記憶部24は、DRAMやSRAMなどの揮発性メモリや、ROMやフラッシュメモリやMRAM、FeRAMなどの不揮発性メモリを含み得、制御部12により実行されるプログラムが記録されるとともに、制御部12により一時記憶領域として用いられる領域を含み得る。
【0061】
本実施形態では、記憶部24には、予め、配水管図面と、配水管図面上での定点および配水池の位置情報とを含むマップ情報が記録されていてもよい。マップ情報は、実際の地図情報に基づく詳細な地理情報や位置情報を含んでいてもよく、少なくとも配水池と、定点と、配水管との位置関係が分かる程度にデフォルメされた簡略化された地図情報を含んでいてもよい。
【0062】
また、記憶部24は、定点の情報および測定日時(若しくは取得日時)と関連付けられた水質値とが記録される。記憶部24には、例えば少なくとも最新の水質値が記録され得、一定点に対する所定数(1又は2以上)の最新の水質値、若しくは、所定期間に測定された(若しくは取得された)水質値が記録されて蓄積されてもよい。なお、配水管マップサーバ20には、定点の情報、測定日時、および、水質値を蓄積するためのデータベース(図示せず)が外付けされてもよい。その場合には、記憶部24に水質値等を蓄積するエリアを設ける必要がなくなる。
【0063】
また、記憶部24は、管理者端末40と点検者端末31、32とを識別するための識別情報が予め記録されていてもよい。管理者端末40および点検者端末31、32は、自身のユーザIDやパスワードを予め設定することにより、それぞれに設定された範囲の権限を得ることができる。
【0064】
入出力部23は、例えば、キーボード、マウス、ハードディスク、カメラ、マイク、接触センサー、その他センサー等の入出力装置、I/O端子、表示装置(図示せず)などを含み得る。なお、表示装置は、配水管マップサーバ20に必須の構成ではなく、配水管マップサーバ20に外付けされる構成であってもよい。表示装置は、例えば液晶表示パネルや有機EL(Electro Luminescence)表示パネルなどの平面表示パネルを備え、画像によりユーザへ種々の情報を提示する出力装置である。なお表示装置は、例えばタッチパネルなどのユーザが接触することにより操作を行う入力装置と一体に構成されてもよい。
【0065】
制御部22は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを少なくとも1つ含む演算回路であって、記憶部24に記録されたプログラムを実行し、ソフトウェアにより若しくはソフトウェアとハードウェアとの組み合わせにより、配水管マップサーバ20の種々の機能を実現することができる。
【0066】
なお、配水管マップサーバ20の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0067】
本実施形態体の配水管マップサーバ20において、制御部22は、取得部22Aと、マップ作成部22Bと、を備えている。
取得部22Aは、例えば、点検者端末31、32から送信された水質値と定点の情報(位置情報、名称等を含む)とを取得することができる。取得部22Aは、取得した水質値を定点の情報および水質値の測定日時(若しくは取得日時)と関連付けて記憶部24に記録する。
【0068】
マップ作成部22Bは、記憶部24に記録された水質値と、配水管図面とを用いて、配水管マップを生成する。マップ作成部22Bにより生成される配水管マップは、上述の第1実施形態においてマップ作成部12Bにより生成される配水管マップと同様である。マップ作成部22Bは、生成した配水管マップを表示するウェブサイトを作成し、ウェブサイトをアップロードすることができる。マップ作成部22Bは、複数エリアに渡る配水管マップが表示され得るようにウェブサイトを生成することができる。
【0069】
なお、マップ作成部22Bは、生成した配水管マップの画像データを記憶部24に記録して保存してもよく、要求に応じて通信部21や入出力部23を介して点検者端末31、32や管理者端末40や他の外部機器へ送信してもよい。また、マップ作成部22Bは、配水管マップの画像を表示するウェブサイトのURLを、要求に応じて、通信部21や入出力部23を介して点検者端末31、32や管理者端末40や他の外部機器へ送信することができる。
【0070】
図6は、
図4に示す点検者端末の一構成例を概略的に示す図である。
なお、点検者端末31、32の構成は同様であるため、ここでは点検者端末31の構成について説明し点検者端末32についての説明は省略する。
【0071】
点検者端末31は、通信部311と、表示部314と、入出力部313と、記憶部315と、制御部312と、を備えている。また、点検者端末31は、GPS(Global Positioning System)機能を備えていてもよい。点検者端末31の各構成はバス配線に接続され、制御部312により動作を制御される。
【0072】
通信部311は、例えばネットワークインタフェースである。通信部311は、例えば無線LAN(Local Area Network)、有線LAN、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)(登録商標)などの所定の通信プロトコルに基づいて、ネットワークを介して配水管マップサーバ20および他の電子機器と有線通信および無線通信を行うことが出来る。
【0073】
表示部314は、例えば液晶表示パネルや有機EL(Electro Luminescence)表示パネルなどの平面表示パネルを備え、画像によりユーザへ種々の情報を提示する出力装置である。なお表示部314は、例えばタッチパネルなどのユーザが接触することにより操作を行う入力装置と一体に構成されてもよい。
【0074】
記憶部315は、DRAMやSRAMなどの揮発性メモリや、ROMやフラッシュメモリやMRAM、FeRAMなどの不揮発性メモリを含み得、制御部312により実行されるプログラムが記録されるとともに、制御部312により一時記憶領域として用いられる領域を含み得る。
【0075】
また、記憶部315は、定点の情報および測定日時(若しくは取得日時)と関連付けられた水質値とが記録されてもよい。記憶部315には、例えば少なくとも最新の水質値が記録され得、一定点に対する所定数(1又は2以上)の最新の水質値、若しくは、所定期間に測定された(若しくは取得された)水質値が記録されて蓄積されてもよい。
【0076】
入出力部313は、例えば、キーボード、マウス、ハードディスク、カメラ、マイク、接触センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー、その他センサー等の入出力装置、I/O端子などを含み得る。
【0077】
制御部312は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを少なくとも1つ含む演算回路であって、記憶部15に記録されたプログラムを実行し、ソフトウェアにより若しくはソフトウェアとハードウェアとの組み合わせにより、配水管マップ作成装置10の種々の機能を実現することができる。
【0078】
なお、点検者端末31の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0079】
次に、本実施形態の配水管マップサーバ20を含む水質値管理システムにおいて、配水管マップを作成する動作の一例について説明する。
本実施形態において、点検者端末31、32は、配水管から取得される水の水質(残留塩素濃度、水温等)を測定する巡回点検者100、200により操作される。なお、ここでは、点検者端末31および配水管マップサーバ20の動作の一例を説明し、点検者端末32の動作については説明を省略する。
【0080】
巡回点検者100は、担当するエリアの定点を回り、配水管に設けられた消火栓などの採水可能な地点(定点)において、取水する。
巡回点検者100は、定点において取水された水の水質値(残留塩素濃度値、水温など)を、所定の測定装置(塩素濃度計、水温計など)を用いてその場で測定する。
【0081】
続いて、巡回点検者100は、点検者端末31の入出力部313を操作して、例えば表示部314に表示された測定結果入力欄に測定された水質値を入力する。巡回点検者100により入力された水質値は、定点の情報および測定日時(若しくは取得日時)と関連付けられ、通信部311を介して配水管マップサーバ20に送信される。このとき、点検者端末31は、例えばGPS機能により定点の位置情報を取得し、予め登録されている定点の位置情報を参照して定点を特定してもよく、巡回点検者100に対して定点を特定するための情報の入力を要求し、得られた情報を用いて定点を特定してもよい。
【0082】
配水管マップサーバ20は、通信部21を介して点検者端末31から水質値、定点の情報、および、測定日時(若しくは取得日時)を受信する。配水管マップサーバ20は、受信した値を記憶部24に記録する。
【0083】
記憶部24に水質値が記録されると、マップ作成部22Bは、記憶部24に記録された情報を用いて配水管マップを生成し、配水管マップを表示するウェブサイトを更新する。
【0084】
点検者端末31の制御部312は、予め設定された配水管マップを表示するウェブサイトにアクセスするよう誘導され、若しくは、配水管マップサーバ20から当該ウェブサイトのURLを受信し、配水管マップを表示部314に表示させる。
【0085】
巡回点検者100は、表示部314に表示された配水管マップにより測定した水質値が正しく記録されているか確認できる。巡回点検者100が担当するエリアの定点を回り、上記のように定点に対応する水質値を点検者端末31に入力する度に、表示部14に表示される配水管マップが更新される。
【0086】
なお、巡回点検者100が水質値等を配水管マップサーバ20へ送信しているときに、巡回点検者200が水質値を配水管マップサーバ20へ送信することも可能である。例えば、エリア内の複数の定点を複数の巡回点検者で分担している場合には、配水管マップに表示される水質値の有無により、巡回点検者は他の巡回点検者の進捗状況を確認することができる。
【0087】
上記のように、本実施形態の配水管マップサーバ20および水質値管理システムによれば、巡回点検者100、200は水質値を容易に記録することができ、また、配水管マップを参照することにより水質値の入力ミスを回避することができる。また、複数エリアの水質値を配水管マップサーバ20に容易に集約することができ、水道管理者および巡回点検者100、200の手間を省くことが可能である。従って、本実施形態の配水管マップ作成装置10によれば、水道管理者および巡回点検者100、200の作業を効率化することができる。
【0088】
すなわち、本実施形態によれば、定点において採取および分析を行う点検者の作業、および、残留塩素濃度の管理を行う水道管理者の作業を効率化するとともに、測定結果の活用を容易にする配水管マップサーバ、水質値管理システムおよび配水管マップ作成プログラムを提供することができる。
【0089】
次に、第3実施形態の配水管マップサーバおよび水質値管理システムについて図面を参照して詳細に説明する。
図7は、第3実施形態の配水管マップサーバの一構成例を概略的に示す図である。
例えば、水道管理者が残留塩素濃度値の管理値を決定する際には、以下の点を考慮している。
・配水距離が長いと水との接触時間が多くなり塩素が消費されるため残留塩素濃度値の降下が多くなり、配水距離が短くなれば残留塩素濃度値の降下が少なくなる。
・到達時間が長いと水との接触時間が多くなり塩素が消費され残留塩素濃度値の降下が多くなり、到達時間が短いと水との接触時間が短なり残留塩素濃度値の降下が少なくなる。
・水温が高いほど塩素が消費され残留塩素濃度値の降下が多くなる。
・配水径路の配水管腐食が進んでいると塩素が消費され残留塩素濃度値の降下が多くなる。
【0090】
上記のように、残留塩素管理値は熟練技術者の知見や過去の経験などに基づいて決定されている。また、定点の場所の決定についても、上記の各点を勘案して位置の変更を随時行っていく必要があり、残留塩素管理値の決定同様に熟練技術者の知見や過去の経験に基づく判断によるものである。
【0091】
本実施形態では、経験の浅い水道管理者であっても残留塩素管理値の決定や、定点の場所の決定などが行えるように、水道管理者を支援する配水管マップサーバを提案する。
本実施形態の配水管マップサーバ20は、制御部22がアラーム判定部22Cを更に備えている点において、上述の第2実施形態と異なっている。
【0092】
アラーム判定部22Cは、記憶部24に記録された水質値と所定の基準値とを比較することにより、例えば、配水区域の変更の検討、配水管布設替えの検討、配水管漏水調査必要箇所の特定、追加塩素注入設備の位置検討を行うように、管理者端末40へアラームを出力する。
【0093】
図8は、第3実施形態の配水管マップサーバの制御部の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
最初に、制御部22は、取得部22Aにより定点の水質値を取得する。ここでは、取得部22Aは、例えば、α配水池の残留塩素濃度値および水温値と、A地点の残留塩素濃度値および水温値とを取得する(ステップS1)。
【0094】
アラーム判定部22Cは、取得部22Aからα配水池の残留塩素濃度値および水温値と、A地点の残留塩素濃度値および水温値を受け取り、α配水池の残留塩素濃度値からA地点の残留塩素濃度値を引いた値が、所定の閾値(アラーム作動値)よりも大きいか否か判断する(ステップS2)。すなわち、アラーム判定部22Cは、α配水池からA地点までの間で、残留塩素濃度値が急激に低下しているか否かを判断する。
【0095】
ステップ2において、α配水池の残留塩素濃度値からA地点の残留塩素濃度値を引いた値が所定の閾値より大きかったとき、アラーム判定部22Cは、α配水池の水温値がA地点の水温値よりも低いか否か判断する(ステップS3)。
【0096】
α配水池の水温値がA地点の水温値以上であるときには、アラーム判定部22Cは、残留塩素濃度値異常の可能性が低く、配水管の腐食や漏水の可能性を管理者端末40へ通知する。例えばα配水池とA地点との間の配水管の腐食が激しい場合には、A地点における残留塩素濃度値が急激に低下する可能性がある。この場合、水道管理者は、この区間の配水管が布設された年度を調査し、布設替えの検討をすべきである。また、例えばα配水池とA地点との間の配水管で漏水が生じている場合も同様に、A地点における残留塩素濃度値が急激に低下する可能性がある。この場合、水道管理者は、この区間の漏水調査を実施検討すべきである。
図8に示す例では、アラーム判定部22Cは、例えば「残留塩素濃度値異常低:配水管腐食、配水管漏水の可能性など調査を行ってください」とのメッセージが提示されるように、管理者端末40へアラームを送信する(ステップS5)。
【0097】
α配水池の水温値がA地点の水温値未満であるときには、アラーム判定部22Cは、残留塩素濃度値異常の可能性が低く、配水距離に対する塩素注入量不足や、滞留水の増加やの可能性を管理者端末40へ通知する。例えば、配水距離が長く塩素注入量が不足しているときや、配水先の需要が少なく配水管内の滞留水が増加している場合には、A地点における残留塩素濃度値が急激に低下するとともに水温値が上昇する可能性がある。この場合、水道管理者は、例えばA地点における追加塩素注入設備の設置の検討や、捨水の検討や、配水ルート変更(給水地の変更など)の検討をすべきである。
図8に示す例では、アラーム判定部22Cは、例えば、「残留塩素濃度値異常低:配水距離に対する注入塩素不足や、配水先需要少で配水管内の滞留水増などの原因が考えられます。塩素注入率検討、配水ルート検討、捨水の検討を行ってください。」とのメッセージが提示されるように、管理者端末40へアラームを送信する(ステップS4)。
【0098】
ステップS2において、α配水池の残留塩素濃度値からA地点の残留塩素濃度値を引いた値が所定の閾値以下であったとき、アラーム判定部22Cは、α配水池の水温値がA地点の水温値よりも低いか否か判断する(ステップS6)。
α配水池の水温値がA地点の水温値以上であるときには、アラーム判定部22Cは、管理者端末40へアラームを出力せずに判定処理を終了する。
【0099】
α配水池の水温値がA地点の水温値未満であるときには、アラーム判定部22Cは、水温異常の可能性が高く、配水先での需要が少なく、配水管内の滞留水が増加している可能性を管理者端末40へ通知する。例えば、配水先の需要が少なく配水管内の滞留水が増加している場合には、A地点における残留塩素濃度値の急激な低下はなく、水温値が上昇する可能性がある。この場合、水道管理者は、例えば捨水の検討や、配水ルート変更(給水地の変更など)の検討をすべきである。
図8に示す例では、アラーム判定部22Cは、例えば、「水温異常高:配水先需要少で配水管内の滞留像などの原因が考えられます。配水ルートの検討や捨水の検討を行ってください。」とのメッセージが提示されるように、管理者端末40へアラームを送信する(ステップS7)。
【0100】
図9は、第3実施形態の配水管マップサーバの動作の一例を具体的に説明するための図である。
図9に示す配水管マップは、α配水池、A地点、B地点、およびC地点にて計測された水質値を示す表と、計測された残留塩素濃度に対応する残塩マップMAと、を含む。
【0101】
表および残塩マップMAから、A地点とB地点との間で、水温値には変化がなく、残留塩素濃度が急激に低下していることが分かる。このケースでは、アラーム判定部22Cは、ステップS5のメッセージを表示するように管理者端末40へ通知を行う。
【0102】
水道管理者は、管理者端末40に表示されたメッセージに従って、A地点からB地点までの間に布設された配水管腐食の可能性と、漏水の可能性とを検討することが出来る。具体的には、水道管理者は、A地点とB地点との間の配水管の布設年度を調査し、布設替えの検討をすることができる。また、水道管理者は、A地点とB地点との間において漏水調査を実施することを検討できる。
【0103】
図10は、第3実施形態の配水管マップサーバの動作の他の例を具体的に説明するための図である。
図10に示す配水管マップは、α配水池、A地点、B地点、およびC地点にて計測された水質値を示す表と、計測された残留塩素濃度に対応する残塩マップMAと、を含む。
【0104】
表および残塩マップMAから、A地点とB地点との間で、水温値が上昇し、残留塩素濃度が急激に低下していることが分かる。このケースでは、アラーム判定部22Cは、ステップS4のメッセージを表示するように管理者端末40へ通知を行う。
【0105】
水道管理者は、管理者端末40に表示されたメッセージに従って、A地点での追加塩素注入設備の設置と、配水区域の変更とを検討することができる。具体的には、水道管理者は、現在A地点に設置されている塩素注入設備の状況を確認し、さらに塩素注入設備を追加可能か検討することができる。また、水道管理者は、例えばα配水池以外の配水池の中から、A地点、B地点、C地点への配水全長が短くなるものがあるか検討することができる。
【0106】
本実施形態の配水管マップサーバ20によれば、従来水道管理者の過去の経験判断で行っていた定点の場所の決定や残留塩素管理値の決定を行う水道管理者に対し、明確な根拠を提示して支援することが可能である。水道管理者は、配水管マップを利用して、配水区域の変更、配水管布設替えの検討、配水管漏水調査必要箇所の特定、追加塩素注入設備の位置検討が行える。
【0107】
上記のように、本実施形態によれば、上述の第2実施形態と同様の効果が得られるとともに、水道管理者が水質値に基づいて残留塩素管理値の決定や、定点の場所の決定を行うことを支援出来る。
【0108】
すなわち、本実施形態によれば、定点において採取および分析を行う点検者の作業、および、残留塩素濃度の管理を行う水道管理者の作業を効率化するとともに、測定結果の活用を容易にする配水管マップサーバ、水質値管理システムおよび配水管マップ作成プログラムを提供することができる。
【0109】
次に、第4実施形態の配水管マップサーバおよび水質値管理システムについて図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態の配水管マップサーバ20は、第3実施形態の配水管マップサーバの変形例である。
【0110】
例えば、管理者端末40において、
図10に示すような配水管マップ、および、
図8のステップS4、S7のメッセージが提示される場合、配水管マップサーバ20は、例えば、α配水池の他の配水池からA地点、B地点、C地点へ配水したときの水質値を演算し、演算結果を用いて作成した配水管マップを管理者端末40へ更に提示することができる。
【0111】
本実施形態の配水管マップサーバ20は、制御部22の動作が上述の第3実施形態と異なっている。
本実施形態では、制御部22のアラーム判定部22Cは、例えば
図8に示すステップS4を実行したときおよび、ステップS7を実行したときに、マップ作成部22BへステップS4、S7を実行した旨を通知する。
【0112】
マップ作成部22Bは、アラーム判定部22CからステップS4、S7を実行した旨の通知を受けると、管理者端末40へ提示した配水管マップの生成に用いた定点の位置情報と、その定点の周囲の配水池の水質値および位置情報とを用いて、配水ルートの異なる新たな配水管マップを生成することができる。
【0113】
図11は、第4実施形態の配水管マップサーバの動作の一例を具体的に説明するための図である。
ここでは、例えばα配水池、A地点、B地点、C地点について配水管マップを作成したときに、アラーム判定部22CがステップS4又はステップS7を実行したものとする。このとき、マップ作成部22Bは、A地点、B地点、C地点への配水ルート変更した配水管マップを生成する。
【0114】
図11には、β配水池からA地点、B地点、C地点へ配水したときの配水管マップの一例を示している。マップ作成部22Bは、例えば、β配水池からA地点までの距離、A地点とB地点との距離、B地点とC地点との距離、β配水池での水質値などの情報を用いて、β配水池から配水したときのA地点、B地点、C地点における水質値を演算する。このとき、例えば、定点間の単位距離にて低下する残留塩素濃度の値や水温は、予め設定された値を用いることができる。マップ作成部22Bは、演算された水質値と定点の情報とを用いて、新たな水質値の表および残塩マップMAを含む配水管マップを生成し、配水管マップを表示するウェブサイトをアップロードすることができる。
【0115】
図11に示した例によれば、β配水池から配水するように配水区域を変更した場合、C地点からA地点までの配水ルートにおいて急激に残留塩素濃度値が低下する箇所がなくなったことを確認することができる。また、配水区域を変更したときに、残塩マップMAの最終地点のA地点において残留塩素濃度値の低下が少なくなったことから、水道管理者は、β配水池での残留塩素濃度値を下げ、各地点での残留塩素管理値を下げることを検討することが可能になる。
【0116】
なお、マップ作成部22Bは、配水ルートの異なる複数の配水管マップの画像を作成し、複数の配水ルートの可能性を提示するウェブサイトをアップロードしてもよい。その場合には、水道管理者は複数の配水ルートを比較して配水ルートの変更を検討することができる。
【0117】
上記のように、本実施形態によれば、上述の第2実施形態と同様の効果が得られるとともに、水道管理者が水質値に基づいて残留塩素管理値の決定や、定点の場所の決定を行うことを支援出来る。
【0118】
すなわち、本実施形態によれば、定点において採取および分析を行う点検者の作業、および、残留塩素濃度の管理を行う水道管理者の作業を効率化するとともに、測定結果の活用を容易にする配水管マップサーバ、水質値管理システムおよび配水管マップ作成プログラムを提供することができる。
【0119】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
[付記1]
定点における水質値を取得する取得部と、
複数の前記定点の情報を含む配水管図面および前記水質値が記録された記憶部と、
前記配水管図面と前記水質値とを少なくとも用いて、前記配水管図面上における複数の前記定点の位置、および、前記定点間における前記水質値の変化を視覚的に提示する配水管マップを生成するマップ作成部と、
を備えた配水管マップ作成装置。
[付記2]
前記配水管マップを表示する表示部を更に備えた、付記1記載の配水管マップ作成装置。
[付記3]
前記水質値を入力する入力手段を更に備えた、付記1又は付記2記載の配水管マップ作成装置。
[付記4]
接触した位置を検出する接触センサーを含む前記入力手段を備えた携帯端末である、付記3記載の配水管マップ作成装置。
[付記5]
前記記憶部には前記水質値の管理基準値が更に記録され、
前記配水管マップにおいて、複数の前記定点の間に布設された配水管の画像は、前記配水管の一方側の前記定点における前記水質値と前記管理基準値との差分に応じた線種、色、透過度、又はこれらの組み合わせにより表示される、付記1乃至付記4のいずれか記載の配水管マップ作成装置。
[付記6]
前記水質値は、残留塩素濃度値を含み、
前記配水管マップは、前記定点間における前記残留塩素濃度値の変化を視覚的に提示する残塩マップを少なくとも含む、付記1乃至付記5のいずれか記載の配水管マップ作成装置。
[付記7]
前記水質値は、水温値を更に含み、
前記配水管マップは、前記定点間における前記水温値の変化を視覚的に提示する水温マップを更に含む、付記6記載の配水管マップ作成装置。
[付記8]
定点における水質値を取得する取得部と、
複数の前記定点の情報を含む配水管図面および前記水質値が記録された記憶部と、
前記配水管図面と前記水質値とを少なくとも用いて、前記配水管図面上における複数の前記定点の位置、および、前記定点間における前記水質値の変化を視覚的に提示する配水管マップを表示するウェブサイトを生成するマップ作成部と、を備えた配水管マップサーバ。
[付記9]
コンピュータを、
定点における水質値を取得する取得手段と、
前記水質値を記憶部へ記録する記憶手段と、
複数の前記定点の情報を含むとともに前記記憶部に記録された配水管図面と、前記水質値とを少なくとも用いて、前記配水管図面上における複数の前記定点の位置、および、前記定点間における前記水質値の変化を視覚的に提示する配水管マップを生成するマップ作成手段と、して機能させる配水管マップ作成プログラム。
【符号の説明】
【0120】
10…配水管マップ作成装置、11…通信部、12…制御部、12A…取得部、12B…マップ作成部、13…入出力部、14…表示部、15…記憶部、20…配水管マップサーバ、21…通信部、22…制御部、22A…取得部、22B…マップ作成部、22C…アラーム判定部、23…入出力部、24…記憶部、31、32…点検者端末、311…通信部、312…制御部、313…入出力部、314…表示部、315…記憶部、40…管理者端末、100、200…巡回点検者、101…配水管、102…定点、103…測定装置