IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友電工ファインポリマー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-定着ベルト用チューブ 図1
  • 特許-定着ベルト用チューブ 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】定着ベルト用チューブ
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20250120BHJP
   F16C 13/00 20060101ALI20250120BHJP
【FI】
G03G15/20 515
F16C13/00 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021029287
(22)【出願日】2021-02-25
(65)【公開番号】P2022130223
(43)【公開日】2022-09-06
【審査請求日】2023-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】599109906
【氏名又は名称】住友電工ファインポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(72)【発明者】
【氏名】佐野 裕之
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-171946(JP,A)
【文献】特開2010-092008(JP,A)
【文献】特開2008-107770(JP,A)
【文献】特開2020-106709(JP,A)
【文献】特開2013-019947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
G03G 15/00
B32B 1/08
B32B 27/18
F16C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ状の第1層と、
上記第1層の外周側に配置される第2層と、
上記第2層の外周側に配置される第3層と
を備え、
上記第2層が、ゴム成分、金属珪素フィラー及びアルミナフィラーを含有し、
上記第2層中の上記金属珪素フィラーの含有量が質量%以上14質量%以下であり、
上記第2層中の上記アルミナフィラーの含有量が30質量%以上42質量%以下であり、かつ
上記第2層が炭化珪素フィラーを含有しないか、又は1.0質量%以下の炭化珪素フィラーをさらに含有する定着ベルト用チューブ。
【請求項2】
上記第2層がシランカップリング系接着成分をさらに含有し、
上記第2層中の上記シランカップリング系接着成分の含有量が2質量%以下である請求項1に記載の定着ベルト用チューブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、定着ベルト用チューブに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、レーザービームプリンター等の電子写真式の画像形成装置において、印刷及び複写の最終段階で一般に熱定着方式が採用されている。この熱定着方式は、加熱源を内部に配設した定着ベルトと加圧ローラとの間にトナー画像が転写された印刷用紙等の被転写材を通過させることで、未定着のトナーを加熱溶融し、被転写材にトナーを定着させて画像を形成する方式である。
【0003】
上記定着ベルト用チューブとして、例えばチューブ状の基材と、この基材の外周側に配置される弾性層と、この弾性層の外周側に配置される表面層とを備え、上記弾性層が、カーボンナノチューブと、このカーボンナノチューブ以外の他の充填剤とを総量で50体積%以下含有し、上記充填剤が酸化亜鉛粒子、金属ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子、銀粒子、シリカ粒子、及びアルミナ粒子よりなる群から選択される少なくとも1種の粒子を含む定着用チューブが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-36752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に示す定着ベルト用チューブは、誘電率が高いため、一旦帯電すると除電が困難になるおそれがある。また、上記定着ベルト用チューブを用いて被転写材にトナーを定着させると、定着時にトナーが被転写材に定着せずに定着ベルト用チューブに残ったままとなり、その結果、画像不良が発生するという不具合(以下、この不具合を「静電オフセット」という」)が生じるおそれがある。
【0006】
そこで、誘電率が低減され、かつ定着時の静電オフセットの発生を低減することが可能な定着ベルト用チューブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本開示の一態様に係る定着ベルト用チューブは、チューブ状の第1層と、上記第1層の外周側に配置される第2層と、上記第2層の外周側に配置される第3層とを備え、上記第2層が、ゴム成分、金属珪素フィラー及びアルミナフィラーを含有し、上記第2層中の上記金属珪素フィラーの含有量が2質量%以上14質量%以下であり、上記第2層中の上記アルミナフィラーの含有量が30質量%以上50質量%以下であり、かつ上記第2層が炭化珪素フィラーを含有しないか、又は1.0質量%以下の炭化珪素フィラーをさらに含有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係る定着チューブは、誘電率が低減され、かつ定着時の静電オフセットの発生を低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態の定着ベルト用チューブを示す模式的断面図である。
図2図2は、図1の定着ベルト用チューブを用いた画像形成装置の要部を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
本開示の一態様に係る定着ベルト用チューブは、チューブ状の第1層と、上記第1層の外周側に配置される第2層と、上記第2層の外周側に配置される第3層とを備え、上記第2層が、ゴム成分、金属珪素フィラー及びアルミナフィラーを含有し、上記第2層中の上記金属珪素フィラーの含有量が2質量%以上14質量%以下であり、上記第2層中の上記アルミナフィラーの含有量が30質量%以上50質量%以下であり、かつ上記第2層が炭化珪素フィラーを含有しないか、又は1.0質量%以下の炭化珪素フィラーをさらに含有する。
【0011】
上記第2層中の上記金属珪素フィラーの含有量が上記範囲を満たし(条件1)、上記アルミナフィラーの含有量が上記範囲を満たし(条件2)、かつ上記第2層が炭化珪素フィラーを含有しないか、又は1.0質量%以下の炭化珪素フィラーをさらに含有する(条件3)、すなわち上記第2層が含有していないと同視し得る程度の炭化珪素フィラーを含有することで、上記条件(1)~(3)の少なくともいずれかを満たさない場合と比較して、当該定着ベルト用チューブの誘電率を低減し、また、当該定着ベルト用チューブを用いた定着時の静電オフセットの発生を低減することができる。
【0012】
上記第2層がシランカップリング系接着成分をさらに含有し、上記第2層中の上記シランカップリング系接着成分の含有量が2質量%以下であってもよい。
【0013】
上記第2層中の上記シランカップリング系接着成分の含有量が上記範囲を満たすことで、上記第1層及び上記第3層に対する上記第2層の接着力を高めることができ、また、第2層の強度を高めることができる。
【0014】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示に係る定着ベルト用チューブの実施形態について図面を参照しつつ詳説する。
【0015】
[定着ベルト用チューブ]
図1の当該定着ベルト用チューブ1は、画像形成装置の定着ベルトを構成するチューブである。当該定着ベルト用チューブ1は、チューブ状の第1層3と、上記第1層3の外周側に配置される第2層5と、上記第2層の外周側に配置される第3層7とを備え、上記第2層5が、ゴム成分、金属珪素フィラー及びアルミナフィラーを含有し、上記第2層中の上記金属珪素フィラーの含有量が2質量%以上14質量%以下であり、上記第2層中の上記アルミナフィラーの含有量が30質量%以上50質量%以下であり、かつ上記第2層5が炭化珪素フィラーを含有しないか、又は1.0質量%以下の炭化珪素フィラーをさらに含有する。当該定着ベルト用チューブ1では、第1層3と第2層5との間に第1接着剤層9が配置され、第2層5と第3層7との間に第2接着剤層11が配置されてもよい。
【0016】
当該定着ベルト用チューブ1の平均外径は、特に限定されず、例えば定着装置の仕様等に応じて適宜設定されればよい。例えば当該定着ベルト用チューブ1の平均外径の上限としては、100mmが好ましく、50mmがより好ましい場合がある。一方、例えば当該定着ベルト用チューブ1の平均外径の下限としては、5mmが好ましく、10mmがより好ましい場合がある。当該定着ベルト用チューブ1の平均外径が上記上限を超える場合、当該定着ベルト用チューブ1の用途が制限されるおそれがある。一方、当該定着ベルト用チューブ1の平均外径が上記下限未満の場合、当該定着ベルト用チューブ1の機械的強度が不十分となるおそれがある。
【0017】
当該定着ベルト用チューブ1の軸方向の長さは、用途に応じて適宜設計することができる。
【0018】
当該定着ベルト用チューブ1の第2層5の誘電率の上限としては、25F/mが好ましく、20F/mがより好ましい。上記誘電率が上記上限以下であることで、静電オフセットの発生をより低減することができる。この誘電率は、小さい程好ましく、上記誘電率の下限は特に限定されるものではないが、上記誘電率の下限としては、4.5F/mが好ましい。
【0019】
<第1層>
第1層3は、当該定着ベルト用チューブ1の熱伝導の主体をなす基材層である。第1層3は、樹脂層であっても金属層であってもよい。
【0020】
第1層3が樹脂層である場合、この樹脂層としては、例えばポリイミドを主成分とする層が挙げられる。ここで、「主成分」とは質量換算で最も含有割合の大きい成分を意味し、例えば含有量が50質量%以上の成分を意味する。この「主成分」は、以下、他の部材の主成分についても同様である。
【0021】
上記ポリイミドとしては、熱硬化性ポリイミド(縮合型ポリイミドともいう) 又は熱可塑性ポリイミドを用いることができる。この中でも、耐熱性、引張強度、引張弾性率等の観点から熱硬化性ポリイミドが好ましい。
【0022】
第1層3中のポリイミドの含有量の下限としては、50質量%以上であり、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。第1層3中のポリイミドの含有量の上限としては、100質量%であってもよい。上記樹脂層は、例えばボロンナイトライド等の高熱伝導性フィラーといった公知のフィラー等の添加剤等を含有してもよい。第1層3中の上記添加剤の含有量の上限としては、30質量%が好ましく、20質量%がより好ましい。
【0023】
第1層3が金属層である場合、この金属層としては、ステンレス(SUS、例えばSUS304等)、アルミニウム、ニッケル、マグネシウム又はこれらの合金(例えばA5052(Al-Mg系)等)等の金属によって形成される金属層が挙げられる。第1層3中の金属の含有量としては、95質量%以上が好ましく、99質量%以上がより好ましく、100質量%であってもよい。
【0024】
第1層3の平均外径は、特に限定されず、当該定着ベルト用チューブ1の平均外径等に応じて適宜設定されればよい。例えば第1層3の平均外径の上限としては、100mmが好ましく、50mmがより好ましい場合がある。一方、例えば第1層3の平均外径の下限としては、5mmが好ましく、10mmがより好ましい場合がある。第1層3の平均外径が上記上限を超える場合、当該定着ベルト用チューブ1の用途が制限されるおそれがある。一方、第1層3の平均外径が上記下限未満の場合、第1層3の機械的強度が不十分となるおそれがある。
【0025】
第1層3の平均厚さの下限としては、10μmが好ましく、20μmがより好ましく、30μmがさらに好ましい。一方、第1層3の平均厚さの上限としては、150μmが好ましく、120μmがより好ましく、100μmがさらに好ましい。第1層3の平均厚さが上記下限未満の場合、第1層3の機械的強度が不十分となるおそれがある。一方、第1層3の平均厚さが上記上限を超える場合、製造コストが増加するほか、当該定着ベルト用チューブ1の寸法が不要に大きくなるおそれがある。ここで、「平均厚さ」とは、任意の十点での厚さの測定値の平均値を意味する。以下、この「平均厚さ」は、以下、他の層においても同様である。
【0026】
第1層3に第2層5が直接積層されてもよいが、第1層3との接着性を高めるために図1に示すように第1接着剤層9を介して積層されてもよい。
【0027】
(第1接着剤層)
第1接着剤層9の形成材料としての第1接着剤としては、耐熱性の観点から耐熱性樹脂を主成分とするものが好ましい。この耐熱性樹脂としては、例えばフッ素樹脂、フッ素樹脂とポリアミドイミドとの混合物、フッ素樹脂とポリエーテルスルホンとの混合物、シランカップリング系接着成分等が挙げられる。これら耐熱性樹脂としては、公知のものを用いることができ、また、市販品を用いることもできる。これらのうち、上記耐熱性樹脂としては、シランカップリング系接着成分が好ましい。シランカップリング系接着成分としては、例えば信越化学工業社製のシランカップリング系接着成分を用いることができる。シランカップリング系接着成分としては、例えばテトラエトキシシラン、アルコキシシラン等を含有する公知の接着成分が挙げられる。公知の接着成分としては、信越化学工業社製のKBMシリーズ等が挙げられる。
【0028】
第1接着剤層9中の耐熱性樹脂の含有量の下限としては、50質量%以上であり、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。第1接着剤層9中の耐熱性樹脂の含有量の上限としては、100質量%であってもよい。
【0029】
第1接着剤層9(及び上記第1接着剤)は、導電性フィラーを含有してもよい。第1接着剤層9が導電性フィラーを含有することで、当該定着ベルト用チューブ1の内周面の摩擦に起因する帯電に対するシールド効果と外周面の帯電防止効果とを高めて、定着時の静電オフセットの発生をより効果的に低減することができる。上記導電性フィラーとしては、例えば後述する第3層7に含まれ得る導電性フィラーと同様のものが挙げられる。第1接着剤層9中の導電性フィラーの含有量の下限としては、0.5質量%が好ましく、1質量%がより好ましい。一方、第1接着剤層9中の導電性フィラーの含有量の上限としては、15質量%が好ましく、10質量%がより好ましい。導電性フィラーの含有量が上記下限未満の場合、第1接着剤層9に十分な導電性を付与することができないおそれがある。一方、導電性フィラーの含有量が上記上限を超える場合、第1接着剤層9の接着性等が低下するおそれがある。
【0030】
第1接着剤層9の平均厚さの下限としては、0.1μmが好ましく、1μmがより好ましい。一方、第1接着剤層9の平均厚さの上限としては、20μmが好ましく、10μmがより好ましい。第1接着剤層9の平均厚さが上記下限未満の場合、第1接着剤層9を介した第1層3と第2層5との接着強度が十分向上しないおそれがある。一方、第1接着剤層9の平均厚さが上記上限を超える場合、製造コストが増加するほか、当該定着ベルト用チューブ1の寸法が不要に大きくなるおそれがある。
【0031】
(第2層)
第2層5は、当該定着ベルト用チューブ1に弾性を付与する弾性層である。第2層5は、第1層3の外周面側に配置される。具体的には、第2層5は、第1層3の外周面に直接又は間接に積層される。本実施形態では、第2層5は、第1接着剤層9を介して第1層3の外周面に接着される。すなわち、第2層5は、第1層3の外周面に間接に配置される。
【0032】
第2層5は、ゴム成分、金属珪素フィラー及びアルミナフィラーを含有する。第2層5は、炭化珪素フィラーを含有しないか、又は1.0質量%以下の炭化珪素フィラーをさらに含有する。第2層5には、誘電率を低くすべく、窒化ホウ素フィラー等が含有されてもよい。
【0033】
上記ゴム成分としては、加硫によってゴム層を形成することが可能なものであればよく、特に限定されない。このようなゴム成分として、例えばシリコーンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。これらのうち、上記ゴム成分としては、シリコーンゴムが好ましい。これらゴム成分の形成材料としては、公知のものを用いることができ、また、市販品を用いることもできる。シリコーンゴムの形成材料としては、例えば信越化学工業社製の未硬化の2液性のシリコーンゴムを用いることができる。2液性のシリコーンゴムとしては、例えば市販品を用いることができ、市販品としては、信越化学工業社製のKE-1950シリーズ、1.2W/mKシリコーンゴム等が挙げられる。
【0034】
第2層5中の上記ゴム成分の含有量の下限としては30質量%が好ましく、34質量%がより好ましく、40質量%がさらに好ましい。一方、第2層5中の上記ゴム成分の含有量の上限としては、68質量%が好ましく、64質量%がより好ましく、60質量%がさらに好ましい。上記ゴム成分の含有量が上記下限に満たない場合、当該定着ベルト用チューブ1の弾性が不十分になるおそれがある。また、上記ゴム成分の含有量が小さくなり過ぎ、その分、相対的に上記金属珪素フィラー及び上記アルミナフィラーの含有量が大きくなり過ぎて、当該定着ベルト用チューブ1の誘電率低減し、また、当該定着ベルト用チューブ1を用いた定着時の静電オフセットの発生を低減することが困難になるおそれがある。一方、上記ゴム成分の含有量が上記上限を超える場合、相対的に上記金属珪素フィラー及び上記アルミナフィラーの含有量が小さくなり過ぎるおそれがある。
【0035】
第2層5中の上記金属珪素フィラーの含有量としては、2質量%以上14質量%以下であり、5質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上7質量%以下がより好ましい。上記金属珪素フィラーの含有量が上記範囲内であることで、これら含有量が上記範囲を満たさない場合と比較して、当該定着ベルト用チューブ1の誘電率が低減し、また、当該定着ベルト用チューブ1を用いた定着時の静電オフセットの発生を低減することができる。
【0036】
第2層中の上記アルミナフィラーの含有量としては、30質量%以上50質量%以下であり、30質量%以上42質量%以下が好ましく、33質量%以上42質量%以下がより好ましい。上記アルミナフィラーの含有量が上記範囲内であることで、これら含有量が上記範囲を満たさない場合と比較して、当該定着ベルト用チューブ1の誘電率が低減し、また、当該定着ベルト用チューブ1を用いた定着時の静電オフセットの発生を低減することができる。
【0037】
第2層5は、炭化珪素フィラーを含有しない(含有量が0質量%である)か、又は1.0質量%以下の炭化珪素フィラーをさらに含有する。すなわち、第2層5は、炭化珪素フィラーを含有しないか、又は含有しないと同視し得る程度の炭化珪素フィラーを含有することが好ましい。第2層5が炭化珪素フィラーを含有する場合、当該定着ベルト用チューブ1の誘電率が十分に低減せず、また、当該定着ベルト用チューブ1を用いた定着時の静電オフセットの発生を低減することが困難になる。これに対し、第2層5が炭化珪素フィラーを含有しないか、又は含有しないと同視し得る程度の炭化珪素フィラーを含有する場合、炭化珪素フィラーを含有する場合と比較して、当該定着ベルト用チューブ1の誘電率が低減し、また、当該定着ベルト用チューブ1を用いた定着時の静電オフセットの発生を低減することができる。
【0038】
第2層5は、シランカップリング系接着成分をさらに含有し、第2層5中の上記シランカップリング系接着成分の含有量の上限が2質量%以下であってもよい。上記シランカップリング系接着成分としては、テトラエトキシシラン、アルコキシシラン等を含有する公知の接着成分が挙げられる。公知の接着成分としては、信越化学工業社製のKBMシリーズ等が挙げられる。
【0039】
第2層5中の上記シランカップリング系接着成分の含有量が上記範囲を満たすことで、第1層3及び第3層7に対する第2層5の接着力を高めることができる。この点について、以下に詳述する。
【0040】
第2層5が上記アルミナフィラーと上記ゴム成分(例えばシリコーン等)とを含有する場合、すなわち、第2層5の形成材料が上記アルミナフィラーと上記ゴム成分とを含有する場合、上記形成材料を第1層3上の第1接着剤層9に塗布し、加硫させた後、一定時間放置すると、上記ゴムから未加硫のオイル成分(例えばシリコーンオイル等)がブリードするおそれがある。このオイル成分が第1接着剤層9中に入り込むと、第1層3及び第2層5に対する第1接着剤層9の接着阻害を引き起こすおそれがある。同様に、上記オイル成分が第2接着剤層11中に入り込むと、第2層5及び第3層7に対する第2接着剤層11の接着阻害を引き起こすおそれがある。
【0041】
これに対し、第2層5中の上記シランカップリング系接着成分の含有量が2質量%以下であることで、上記オイル成分のブリードを低減することができるため、上記第1接着剤層9の第1層3及び第2層5に対する接着力、及び上記第2接着剤層11の第2層5及び第3層7に対する接着力を高めることができる。また、上記のように上記オイル成分のブリードを低減することができるため、第1層3に第2層5を直接積層した場合、及び第2層5に第3層7を直接積層した場合においても、第1層3と第2層5との間の接着力、及び第2層と第3層7との間の接着力を高めることができる。
【0042】
上記のようにブリードを低減するという観点から、第2層5中のシランカップリング系接着成分の含有量の上限としては、上記のように2質量%が好ましく、加えて、1.5質量%がより好ましく、1質量%がさらに好ましい。一方、第1層3と第2層5との接着力を十分に確保するという観点から、第2層5中のシランカップリング系接着成分の含有量の下限としては、0.5質量%が好ましく、0.7質量%がより好ましい。
【0043】
第2層5の平均厚さの下限としては、50μmが好ましく、100μmがより好ましく、150μmがさらに好ましい。一方、第2層5の平均厚さの上限としては、400μmが好ましく、350μmがより好ましく、300μmがさらに好ましい。第2層5の平均厚さが上記下限未満の場合、第2層5の機械的強度が不十分となるおそれがある。一方、第2層5の平均厚さが上記上限を超える場合、製造コストが増加するほか、当該定着ベルト用チューブ1の寸法が不要に大きくなるおそれがある。
【0044】
第2層5に第3層7が直接積層されてもよいが、接着性を高めるために図1に示すように第2接着剤層11を介して積層されてもよい。
【0045】
(第2接着剤層)
第2接着剤層11の形成材料としての第2接着剤としては、上述した第1接着剤層9の形成材料と同様の耐熱性樹脂を含有するものが挙げられる。これらのうち、上記第2接着剤に含有される耐熱性樹脂としては、フッ素樹脂が好ましい。フッ素樹脂としては、例えばテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等が挙げられる。
【0046】
第2接着剤層11中の耐熱性樹脂の含有量の下限としては、50質量%以上であり、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。第2接着剤層11中の耐熱性樹脂の含有量の上限としては、100質量%であってもよい。
【0047】
第2接着剤層11(及び上記第2接着剤)は、上述した第1接着剤層9に含有される導電性フィラーと同様の導電性フィラーを含有してもよい。第2接着剤層11が導電性フィラーを含有することで、当該定着ベルト用チューブ1の外周面の摩擦に起因する帯電に対するシールド効果と外周面の帯電防止効果とを高めて、定着時の静電オフセットの発生をより効果的に低減することができる。第2接着剤層11中の導電性フィラーの含有量の下限としては、0.5質量%が好ましく、1質量%がより好ましい。一方、第2接着剤層11中の導電性フィラーの含有量の上限としては、15質量%が好ましく、10質量%がより好ましい。導電性フィラーの含有量が上記下限未満の場合、第2接着剤層11に十分な導電性を付与することができないおそれがある。一方、導電性フィラーの含有量が上記上限を超える場合、第2接着剤層11の接着性等が低下するおそれがある。
【0048】
第2接着剤層11の平均厚さの下限としては、0.1μmが好ましく、1μmがより好ましい。一方、第2接着剤層11の平均厚さの上限としては、20μmが好ましく、10μmがより好ましい。第2接着剤層11の平均厚さが上記下限未満の場合、第2接着剤層11を介した第2層5と第3層7との接着強度が十分向上しないおそれがある。一方、第2接着剤層11の平均厚さが上記上限を超える場合、製造コストが増加するほか、当該定着ベルト用チューブ1の寸法が不要に大きくなるおそれがある。
【0049】
(第3層)
第3層7は、当該定着ベルト用チューブ1の表層である。第3層7は、当該定着ベルト用チューブ1に離型性を付与し、被転写材上のトナーの当該定着ベルト用チューブ1の表面への付着を防止するために設けられる。第3層7は、第2層5の外周面側に配置される。具体的には、第3層7は第2層5の外周面に直接又は間接に配置される。本実施形態では、第3層7は、第2接着剤層11を介して第2層5の外周面に接着される。すなわち、第3層7は、第2層5の外周面に間接に配置される。
【0050】
第3層7は、主成分としてフッ素樹脂を含有する。第3層7として、フッ素樹脂製のチューブを用いてもよい。上記フッ素樹脂としては、耐熱性に優れたものが好ましく、例えば、上述したようなPTFE、PFA、FEP等が挙げられる。これらフッ素樹脂としては、市販品を用いることができる。これらのうち、上記フッ素樹脂としてはPFAが好ましい。第3層7としては、例えば三井・ケマーズフロロプロダクツ社製のPFAペレットを用いて製造したPFAチューブを用いてもよい。
【0051】
第3層7中のフッ素樹脂の含有量の下限としては、50質量%以上であり、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。第3層7中のフッ素樹脂の含有量の上限としては、100質量%であってもよい。
【0052】
第3層7は、上記以外の樹脂やフィラー、その他の添加剤を含有してもよい。上記フィラーとしては、例えば導電性フィラーが挙げられる。上記導電性フィラーとしては、例えばケッチェンブラック等の導電性カーボンブラック、酸化錫等の金属酸化物、アルミニウム等の金属粉等が挙げられる。第3層7が導電性フィラーを含有する場合、第3層7中の導電性フィラーの含有量の下限としては、0.5質量%が好ましく、1質量%がより好ましい。一方、第3層7中の導電性フィラーの含有量の上限としては、15質量%が好ましく、10質量%がより好ましい。導電性フィラーの含有量が上記下限未満の場合、第3層7に十分な導電性を付与することができないおそれがある。一方、導電性フィラーの含有量が上記上限を超える場合、第3層7の柔軟性、機械的強度等が低下するおそれがある。
【0053】
第3層7の平均厚さの下限としては、1μmが好ましく、5μmがより好ましい。一方、第3層7の平均厚さの上限としては、50μmが好ましく、30μmがより好ましい。第3層7の平均厚さが上記下限未満の場合、第3層7の機械的強度が不十分となるおそれがある。一方、第3層7の平均厚さが上記上限を超える場合、製造コストが増加するほか、当該定着ベルト用チューブ1の寸法が不要に大きくなるおそれがある。
【0054】
上述した通り、第3層7は、第2層5に直接積層されてもよいが、第2層5との接着性を高めるために図1に示すように第2接着剤層11を介して積層されてもよい。
【0055】
<製造方法>
当該定着ベルト用チューブ1は、例えば第1層3を準備する準備工程、第1層の外周面側に第2層5を積層する第1積層工程、及び第2層の外周面側に第3層7を積層する第2積層工程を備える製造方法によって製造することができる。当該定着ベルト用チューブ1の製造方法は、上記準備工程と第1積層工程との間に、第1層3の外周面に第1接着剤層9を形成する第1接着剤層形成工程をさらに備え、上記第1積層工程では、第1接着剤層9の外周面に第2層5を積層することができる。また、当該定着ベルト用チューブ1の製造方法は、上記第1積層工程と第2積層工程との間に、第2層5の外周面に第2接着剤層11を形成する第2接着剤層形成工程をさらに備え、上記第2積層工程では、第2接着剤層11の外周面に第3層7を積層することができる。
【0056】
(準備工程)
本工程では、第1層3を準備する。具体的には、本工程では、例えば公知の樹脂製又は金属製のチューブを用い、このチューブの内周面を、軸周りに回転可能なアルミ製の円柱状の金型の外周面に嵌め込むことができる。
【0057】
(第1接着剤層形成工程)
本工程では、第1層3の外周面に第1接着剤層9を形成する。具体的には、本工程では、例えば上記金型を軸周りに回転させながら、第1層3の外周面に、第1接着剤層9の形成材料としての第1接着剤(例えば信越化学工業社製の2液性のシランカップリング系接着剤)を公知の塗布手段で塗布した後、風乾等によって乾燥することで、第1接着剤層9を形成することができる。
【0058】
(第1積層工程)
本工程では、第1接着剤層9の外周面に第2層5を積層する。具体的には、本工程では、例えば上記金型を軸周りに回転させながら、上記第1接着剤層形成工程で形成された第1接着剤層の外周面に、第2層5の形成材料(例えば信越化学工業社製の2液性のシリコーンゴム(未硬化))を含有する塗布液(第1塗布液)を公知の塗布手段で塗布した後、加熱により加硫することで、硬化体としての第2層5を形成することができる。
【0059】
(第2接着剤層形成工程)
本工程では、第2層5の外周面に第2接着剤層11を形成する。具体的には、本工程では、例えば上記金型を軸周りに回転させながら、上記第1積層工程で形成された第2層5の外周面に、第2層接着剤層11の形成材料としての第2接着剤(例えばケマーズ社製のフッ素樹脂(未硬化))を公知の塗布手段で塗布した後、加熱乾燥することで、第2接着剤層11を形成することができる。
【0060】
(第2積層工程)
本工程では、第2接着剤層11の外周面に第3層7を積層する。具体的には、本工程では、例えば上記第2接着剤層形成工程で形成した第2接着剤層11の外周面を、第3層7の形成材料を含有するチューブ(例えば三井・ケマーズプロダクツ社製のPFAチューブ)の内周面で被覆した後、加熱により上記チューブを熱収縮させることで、第3層7を形成することができる。第3層7の形成後、得られた積層体を上記金型から外すことができる。
【0061】
(利点)
当該定着ベルト用チューブ1は、誘電率が低減され、かつ定着時の静電オフセットの発生を低減することが可能である。
【0062】
[画像形成装置]
図2の画像形成装置20は、電子写真方式の画像形成装置であり、当該定着ベルト用チューブ1と、当該定着ベルト用チューブ1の内部に配置される加熱部21と、当該定着ベルト用チューブ1の外周面との間でニップを形成するように配置される外周面を有する加圧部23とを備える。この画像形成装置20は、未定着トナー31が表面に積層された被転写材30を定着ベルト用チューブ1及び加圧部23間で加熱及び加圧することで未定着トナー31を被転写材30に定着させ、定着トナー33を形成する。加熱部21としては、公知の加熱装置を用いることができる。加圧部23としては、図2に示すように例えば加圧ローラを用いることができる。
【0063】
(利点)
当該定着ベルト用チューブ1を定着ベルトとして備えた画像形成装置20は、定着時の静電オフセットの発生が低減されている。
【0064】
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0065】
上記実施形態では、当該定着ベルト用チューブが第1接着剤層及び第2接着剤層を備える態様について記載したが、当該定着ベルト用チューブが接着剤層として第1接着剤層のみ又は第2接着剤層のみを備える態様を採用してもよく、この他、当該定着ベルト用チューブが接着剤層(第1接着剤層も第2接着剤層も)を備えない態様を採用してもよい。
【実施例
【0066】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0067】
(使用材料)
下記の材料を用いた。
・ポリイミド製のチューブ(第1層):住友電工ファインポリマー社製、平均外径(直径)25mm、平均厚さ70μm、軸方向長さ300mm
・第1接着剤:シランカップリング系接着剤(信越化学工業社製)
・未硬化のシリコーンゴム(第2層の形成材料):2液性のシリコーンゴム、製品名1.2W/mKシリコーンゴム、信越化学工業社製
・金属珪素フィラー(第2層の形成材料)
・アルミナフィラー(第2層の形成材料)
・炭化珪素フィラー(比較例の第2層の形成材料)
・第2接着剤:フッ素樹脂(ケマーズ社製)
・PFAチューブ(第3層の形成材料):住友電工ファインポリマー社製 平均厚さ15~25μm
【0068】
(実施例1)
回転可能なアルミ製の円柱状の金型の外周面に、第1層としての上記ポリイミド製のチューブの内周面を嵌め込んだ。上記金型を軸周りに回転させながら、上記第1層の外周面に上記第1接着剤を手動(手塗り)によって塗布した。塗布された上記第1接着剤を風乾して、第1接着剤層を形成した。
【0069】
次いで、表1の配合比で上記金属珪素フィラー及び上記アルミナフィラーを混合し、さらに合計が100質量%となるように上記未硬化のシリコーンゴムを混合して、第1塗布液を調製した。上記金型を軸周りに回転させつつ、塗布ノズルを軸方向に移動させながら、上記塗布ノズルを介して上記第1塗布液を上記第1接着剤層の外周面に塗布した。塗布された上記第1塗布液を100~150℃で加熱して加硫することによって、上記第1接着剤層の外周面に第2層を形成した。
【0070】
次いで、上記金型を回転させつつ、上記とは別のスプレーノズルを軸方向に移動させながら、上記別のスプレーノズルを介して上記第2接着剤を上記第1層の外周面に塗布した。塗布した上記第2接着剤を200~250℃で加熱することによって、上記第2層の外周面に第2接着剤層を形成した。
【0071】
次いで、第3層としてのPFAチューブの内周面で上記第2接着剤層の外周面を被覆し、300℃で加熱して上記PFAチューブを収縮させることによって、上記第2接着剤層の外周面に第3層を形成した。
【0072】
このようにして実施例1の定着ベルト用チューブを作製した。なお、実施例1の定着ベルト用チューブの製造においては、硬化後の第1接着剤層の平均厚さを1μm、第2層の平均厚さを250μm、第2接着剤層の平均厚さを3μmに設定し、加熱収縮後の第3層の平均厚さを20μm、定着ベルト用チューブの平均外径を26mmに設定した。
【0073】
(誘電率の測定)
第2層を平均厚さ250μmのシート状に成形し、20mm×100mmにカットした後、誘電率測定装置を用いて誘電率を測定した。結果を表1に示す。なお、第2層の誘電率が小さい程、定着ベルト用チューブの誘電率が小さいことを示す。
【0074】
(静電オフセットの評価)
得られた定着ベルト用チューブを図1に示すような画像形成装置の定着ベルトとして用い、静電オフセットの発生を調べた。静電オフセットが発生していないとして「E」と表し、一方、定着ベルト用チューブの外表面にトナーが残存する場合、静電オフッセットが発生しているとして「P」と表した。結果を表1に示す。
【0075】
(実施例2及び3)
上記第2層の形成において、上記金属珪素フィラー及び上記アルミナフィラーの配合比を表1のように変更すること以外は実施例1と同様にして、実施例2及び3の定着ベルト用チューブを製造した。得られた定着ベルト用チューブについて、実施例1と同様にして、誘電率の測定及び静電オフセットの評価を行った。結果を表1に示す。
【0076】
(比較例1~4)
上記第2層の形成において、上記金属珪素フィラー及び上記アルミナフィラーに加えて上記炭化珪素フィラーを用い、上記金属珪素フィラー、上記アルミナフィラー、及び上記炭化ケイ素フィラーを表1に示す配合比で混合すること以外は実施例1と同様にして、比較例1~4の定着ベルト用チューブを製造した。得られた定着ベルト用チューブについて、実施例1と同様にして、誘電率の測定及び静電オフセットの評価を行った。結果を表1に示す。
【0077】
(比較例5)
上記第2層の形成において、上記アルミナフィラーを添加せず、上記金属珪素フィラー及び上記炭化珪素フィラーを用い、これら金属珪素フィラー及び炭化ケイ素フィラーを表1に示す配合比で混合すること以外は実施例1と同様にして、比較例5の定着ベルト用チューブを製造した。得られた定着ベルト用チューブについて、実施例1と同様にして、誘電率の測定及び静電オフセットの評価を行った。結果を表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
表1に示すように、上記第2層中の上記金属珪素フィラーの含有量が2質量%以上14質量%以下であること(条件1)、上記第2層中の上記アルミナフィラーの含有量が30質量%以上50質量%以下であること(条件2)、及び上記第2層が炭化珪素フィラーを含有しないこと(条件3)を満たす実施例1~3の定着ベルト用チューブは、上記条件1~3の少なくともいずれかを満たさない比較例1~5の定着ベルト用チューブよりも、誘電率が小さく、かつ定着時の静電オフセットの発生が低減されることが示された。また、この結果より、実施例1~3において炭化珪素フィラーが含有されていないと同視し得る程度に炭化珪素フィラーをさらに含有する場合(条件3)においても、実施例1~3と同様に誘電率が低減され、かつ定着時の静電オフセットの発生が低減されるものと十分に合理的に推察され得る。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本開示の実施形態に係る定着ベルト用チューブは誘電率が低減され、かつ定着時の静電オフセットの発生が低減されているため、電子写真式の画像形成装置に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0081】
1 定着ベルト用チューブ
3 第1層
5 第2層
7 第3層
9 第1接着剤層
11 第2接着剤層
20 画像形成装置
21 加熱部
23 加圧部
30 被転写材
31 未定着トナー
33 定着トナー

図1
図2