(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】シンボル読取装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20250120BHJP
【FI】
G06K7/10 376
G06K7/10 464
G06K7/10 400
(21)【出願番号】P 2021045080
(22)【出願日】2021-03-18
【審査請求日】2024-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高須 拓也
【審査官】田名網 忠雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0067956(US,A1)
【文献】特開2020-149542(JP,A)
【文献】特開2009-129266(JP,A)
【文献】特表2017-527002(JP,A)
【文献】特開平09-034981(JP,A)
【文献】特開2020-027589(JP,A)
【文献】特開平08-329180(JP,A)
【文献】特開2017-027093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
G06K 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部と、
前記撮像部の撮像領域を照明可能な照明部と、
前記撮像部で撮像された画像に基づいて、撮像の対象となる対象物が非発光媒体であるか発光媒体であるかを検知する検知部と、
前記検知部の検知結果に応じて、前記照明部の動作を制御する照明制御部と、
前記撮像部で撮像された画像からシンボルを読み取る読取部と、
前記撮像部を制御して、前記対象物を撮像する撮像制御部と、
を備
え、
前記検知部は、更に前記対象物の発光強度を検知し、
前記照明制御部は、前記対象物が前記非発光媒体である場合、前記撮像領域に光を照射させる第1のモードで前記照明部を動作させ、前記対象物が前記発光媒体である場合、前記第1のモードよりも前記光の光量を低下させ、且つ前記発光強度が強くなるほど、前記対象物に照射される光の強度を弱くする第2のモードで前記照明部を動作させ、前記シンボルが読取られた後、前記照明部が前記第1のモードで動作していた場合、前記照明部を前記第2のモードで動作させる制御を行い、
前記撮像制御部は、前記発光強度に応じて、前記撮像部の設定を変更して前記対象物を撮像する制御を行い、前記発光強度が強くなるほど、前記撮像部のゲインを低下させて撮像する制御、及び前記撮像部のシャッタスピードを速くさせて撮像する制御のうちの少なくとも一方を行う、
シンボル読取装置。
【請求項2】
前記検知部は、前記撮像部が撮像した前記対象物の画像の予め定めた領域の輝度に応じて、前記対象物が前記非発光媒体であるか前記発光媒体であるかを検知する、
請求項
1に記載のシンボル読取装置。
【請求項3】
撮像部と、前記撮像部の撮像領域を照明可能な照明部と、を備えるシンボル読取装置のコンピュータを、
前記撮像部で撮像された画像に基づいて、撮像の対象となる対象物が非発光媒体であるか発光媒体であるかを検知する検知部と、
前記検知部の検知結果に応じて、前記照明部の動作を制御する照明制御部と、
前記撮像部で撮像された画像からシンボルを読み取る読取部と、
前記撮像部を制御して、前記対象物を撮像する撮像制御部と、
として機能させるプログラム
であって、
前記検知部は、更に前記対象物の発光強度を検知し、
前記照明制御部は、前記対象物が前記非発光媒体である場合、前記撮像領域に光を照射させる第1のモードで前記照明部を動作させ、前記対象物が前記発光媒体である場合、前記第1のモードよりも前記光の光量を低下させ、且つ前記発光強度が強くなるほど、前記対象物に照射される光の強度を弱くする第2のモードで前記照明部を動作させ、前記シンボルが読取られた後、前記照明部が前記第1のモードで動作していた場合、前記照明部を前記第2のモードで動作させる制御を行い、
前記撮像制御部は、前記発光強度に応じて、前記撮像部の設定を変更して前記対象物を撮像する制御を行い、前記発光強度が強くなるほど、前記撮像部のゲインを低下させて撮像する制御、及び前記撮像部のシャッタスピードを速くさせて撮像する制御のうちの少なくとも一方を行う、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、シンボル読取装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙媒体に印刷されたバーコードや二次元コード等(シンボル)や携帯端末等の表示画面に表示されたシンボルを読取るシンボル読取装置が存在している。かかるシンボル読取装置では、紙媒体に印刷されたシンボルを読取るためには、外部から光を照射することが行われている。
【0003】
一方、携帯端末等の表示画面に表示されたシンボルを読取る場合は、表示画面自体が発光しているため、外部から光を照射すると、表示画面の表面のガラス等に光が反射してしまい、シンボルの読取ができなくなってしまう可能性がある。
【0004】
そこで、紙媒体及び表示画面に表されたシンボルの両方を読取ることができるように、カメラの撮像タイミングと照明の点灯タイミングとが同期した状態と非同期の状態と、を一定周期で繰り返すようにカメラと照明とを制御する技術が提案されている。
【0005】
しかしながら、従来技術では、例えば、表示画面に表示されたシンボルを読取る場合、カメラの撮像タイミングと照明の点灯タイミングとが非同期の状態になるまで待機しないと、上手く読取れない可能性があった。したがって、シンボルの読取効率の面で改善の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、紙媒体及び表示画面に表されたシンボルを効率的に読取ることができるシンボル読取装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のシンボル読取装置は、撮像部と、前記撮像部の撮像領域を照明可能な照明部と、前記撮像部で撮像された画像に基づいて、撮像の対象となる対象物が非発光媒体であるか発光媒体であるかを検知する検知部と、前記検知部の検知結果に応じて、前記照明部の動作を制御する照明制御部と、前記撮像部で撮像された画像からシンボルを読み取る読取部と、前記撮像部を制御して、前記対象物を撮像する撮像制御部と、を備える。前記検知部は、更に前記対象物の発光強度を検知し、前記照明制御部は、前記対象物が前記非発光媒体である場合、前記撮像領域に光を照射させる第1のモードで前記照明部を動作させ、前記対象物が前記発光媒体である場合、前記第1のモードよりも前記光の光量を低下させ、且つ前記発光強度が強くなるほど、前記対象物に照射される光の強度を弱くする第2のモードで前記照明部を動作させ、前記シンボルが読取られた後、前記照明部が前記第1のモードで動作していた場合、前記照明部を前記第2のモードで動作させる制御を行い、前記撮像制御部は、前記発光強度に応じて、前記撮像部の設定を変更して前記対象物を撮像する制御を行い、前記発光強度が強くなるほど、前記撮像部のゲインを低下させて撮像する制御、及び前記撮像部のシャッタスピードを速くさせて撮像する制御のうちの少なくとも一方を行う。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るPOSシステムの全体構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る読取装置の構成の一例を説明するための図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る読取装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る読取装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る対象物の検知処理の一例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、読取装置の処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態に係るシンボル読取装置及びプログラムについて説明する。以下の実施形態では、小売店の店舗に設置されたPOS(Point Of Sales)システムへの適用例について説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0010】
(POSシステムの全体構成)
図1は、POSシステム1の全体構成を示す斜視図である。POS(Point Of Sales)システム1は、読取装置10と、読取装置10で読み取られたデータに基づきデータ処理を実行するPOS端末20と、を備える。読取装置10は、「シンボル読取装置」の一例である。
【0011】
読取装置10は、商品を入れた買物カゴ等を載置するためのサッカー台2上において、オペレータと顧客とが略対面する場所(略中央部)に立設される。POS端末20は、サッカー台2の一方の端部付近に設けられる。読取装置10とPOS端末20とは、図示しない伝送路によって通信可能に接続される。読取装置10とPOS端末20とは、POSシステム1を構成する。
【0012】
POS端末20は、読取装置10で読み取られた商品等のデータに基づいて、顧客が購入する商品の登録処理や精算処理等を含む販売データ処理を実行する。POS端末20は、硬貨及び紙幣を出し入れ自在に収納するドロワ30の上に設置されている。POS端末20は、オペレータ用と客用との2つの表示器21(211、212)と、キーボードや鍵キーを含む入力装置22と、レシートプリンタ23とを備えている。
【0013】
(読取装置の構成)
次に、読取装置10の構成について説明する。
図2は、読取装置10の構成の一例を説明するための図である。ここで、
図2は、読取装置10を撮像窓111が設けられている側(オペレータの立ち位置側)から見た状態を示している。
【0014】
読取装置10は、本体部11、撮像部12、照明部13、第1表示部14、キーボード15及び第2表示部16等を備える。
【0015】
本体部11は、略直方体状に形成されており、サッカー台2上に立設される。本体部11の高さは、例えば、サッカー台2上においてオペレータの目の高さ程度とすることが好ましい。
【0016】
本体部11におけるオペレータの立ち位置側には、開口部となる撮像窓111が設けられる。撮像窓111内には、撮像部12及び照明部13が設置される。オペレータは、買物客が持って来た商品を撮像窓111に翳すことで、当該商品の読取(撮像)を行う。
【0017】
撮像部12は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary MOS)等の撮像素子と撮像レンズとを有する。撮像レンズは、撮像領域の画像を撮像素子に結像する。撮像領域とは、撮像窓111から撮像レンズを通して撮像素子のエリアに結像する領域を指す。
【0018】
撮像部12は、撮像窓111を介して、本体部11の外を撮像する。例えば、撮像部12は、紙媒体に印刷されたバーコードや二次元コード等を光学的に撮像する。バーコードや二次元コード等は、「シンボル」の一例であり、紙媒体は、非発光媒体の一例である。以下、バーコードや二次元コード等を、単に「シンボル」ともいう。
【0019】
また、例えば、撮像部12は、顧客が所持する携帯端末等の表示画面に表示されたシンボルを光学的に撮像する。携帯端末等の表示画面は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)であり、バックライト等の発光ユニットにより表示画面が照明されることで、表示内容が視認可能な状態となる。つまり、表示画面は、発光媒体の一例である。なお、表示画面は、表示画面自体が自発光するOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイとしてもよい。
【0020】
ここで、紙媒体に印刷されるシンボルには、商品の識別子(商品コード)や価格等のデータが、シンボルにエンコードされた状態で保持されているものとする。
【0021】
また、表示画面に表示されるシンボルには、例えば、値引や割引のクーポン券等を表すデータが、シンボルにエンコードされた状態で保持されているものとする。なお、POS端末20は、クーポン券等を表すデータが読取装置10で読み取られた場合、当該データに基づいて値引や割引等の処理を実行する。
【0022】
照明部13は、光源を有する。照明部13の光源は、例えば、撮像部12の撮像レンズの周囲に配置される。照明部13は、光源を点灯させることにより撮像部12の撮像領域に光を照射する。なお、光源は、例えばLED、冷陰極管、蛍光灯、または白熱灯等である。
【0023】
第1表示部14は、オペレータ用の表示装置であって、撮像窓111の上部に設けられる。第1表示部14は、LCD等の表示デバイスで構成されるタッチパネル付きの表示装置である。第1表示部14は、POS端末20による売上登録処理に応じ、オペレータに対して登録された商品の品名、価格等を表示する。
【0024】
キーボード15は、第1表示部14の近傍(側部)に設けられる。キーボード15は、シンボルやオブジェクト画像で登録不能な商品の登録を行うための各種キー等を有する。なお、
図2では、第1表示部14とキーボード15とを一体的に設けた例を示しているが、別体としてもよい。
【0025】
第2表示部16は、LCD等の表示デバイスで構成されるタッチパネル付きの表示装置である。第2表示部16は、POS端末20による売上登録処理に応じ、買物客に対して登録された商品の品名、価格等を表示する。なお、本実施形態では、図示しない保持部材により、本体部11の側部に第2表示部16を保持する構成としたが、この構成に限定されないものとする。
【0026】
(読取装置のハードウェア構成)
次に、読取装置10のハードウェア構成について説明する。
図3は、読取装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。読取装置10は、マイクロコンピュータ101を備える。マイクロコンピュータ101は、読取装置10の各部を駆動制御する。
【0027】
マイクロコンピュータ101は、CPU102、ROM104、RAM105、入出力コントローラ106、照明駆動回路107、表示/キーボードコントローラ108、記憶部109、通信インタフェース110を備える。各構成要素は、バスライン103を介して接続されている。
【0028】
CPU(Central Processing Unit)102は、各部を集中的に制御する。ROM(Read Only Memory)104は、制御プログラム等の固定的情報を予め記憶する。RAM(Random Access Memory)105は、各種データを書き換え自在に記憶してワークエリア等として機能する。
【0029】
したがって、マイクロコンピュータ101は、情報処理を実行する情報処理部を構成する。RAM105は、その全部又は一部が不揮発性メモリである。
【0030】
入出力コントローラ106は、撮像部12と接続される。入出力コントローラ106は、撮像部12で撮像された画像(画像データ)をマイクロコンピュータ101に出力する。また、入出力コントローラ106は、マイクロコンピュータ101から出力される制御信号を、撮像部12に出力する。
【0031】
照明駆動回路107は、照明部13と接続される。照明駆動回路107は、CPU102の制御下で、照明部13の光源の点灯、消灯を制御する。
【0032】
表示/キーボードコントローラ108は、第1表示部14及び第2表示部16を駆動制御し、各種の画像を表示器21に表示させる。また、表示/キーボードコントローラ108は、第1表示部14及び第2表示部16でのタッチ操作に伴う操作信号やキーボード15からの操作信号をマイクロコンピュータ101に出力する。
【0033】
記憶部109は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。記憶部109は、読取装置10の動作に係る各種プログラムや各種データを記憶する。通信インタフェース110は、LANケーブル等の接続線を介して他の機器(POS端末20)との間でのデータ通信を可能とする。
【0034】
(読取装置の機能)
次に、
図4を参照して、読取装置10の機能構成について説明する。
図4は、読取装置10の機能構成の一例を示す図である。読取装置10は、画像取得部121、検知部122、照明制御部123、撮像設定部124、撮像制御部125、及び、デコード処理部126を機能構成として備える。
【0035】
より詳細には、読取装置10は、CPU102と記憶部109に記憶されたプログラムとの協働により、上記機能構成をソフトウェア構成として備える。なお、上記機能構成の一部又は全ては、CPU102又は専用回路等のハードウェア構成により実現されてもよい。
【0036】
画像取得部121は、撮像部12で撮像される画像を取得する。具体的には、画像取得部121は、キーボード15や第1表示部14を介した操作或いはPOS端末20から通知される信号により取引開始が指示されると、入出力コントローラ106を介して、撮像部12で撮像された画像データの取り込みを開始する。
【0037】
また、画像取得部121は、対象物が、紙媒体か表示画面かを検知するための画像データ(以下、検知用画像ともいう)を取り込む。また、画像取得部121は、シンボルを読取るための画像データ(以下、読取用画像ともいう)を取り込む。
【0038】
具体的には、画像取得部121は、撮像設定済の情報を含む画像データを読取用画像として取り込み、それ以外の画像データを検知用画像として取り込む。撮像設定済の情報については後述する。
【0039】
また、画像取得部121は、キーボード15や第1表示部14の操作或いはPOS端末20から通知される信号により取引終了が指示されると、画像データの取り込みを停止する。
【0040】
検知部122は、撮像部12による撮像の対象となる対象物が紙媒体であるか表示画面であるかを検知する。例えば、検知部122は、画像取得部121が取得した検知用画像に基づいて、対象物が紙媒体であるか表示画面であるかを検知する。
【0041】
具体的には、検知部122は、検知用画像の予め定めた領域の輝度に応じて、対象物の発光の強さを示す発光強度を検知する。これにより、対象物が紙媒体であるか表示画面であるかも検知することができる。なお、検知部122は、対象物が紙媒体であるか表示画面であるかのみを検知してもよい。
【0042】
以下、
図5を用いて、対象物の検知処理について詳しく説明する。
図5は、対象物の検知処理の一例を示す説明図である。まず、画像取得部121は、撮像部12が撮像した検知用画像Iを取得する。検知部122は、予め定めた検知領域E内で最も輝度値の高い画素を検出する。
【0043】
なお、この例では、検知領域Eは、検知用画像Iの中心を含む一定範囲の領域である。検知領域Eは任意に設定することができるが、一般的に撮像窓111の中央付近に対象物が翳されることが多いため、検知用画像Iの中心を含むように設定することが好ましい。
【0044】
検知部122は、検知領域E内で最も輝度値の高い画素の輝度値に応じて、対象物の発光強度を検知する。検知部122は、対象物が紙媒体であるか表示画面であるかを検知する場合、例えば、予め発光強度の閾値を定めておき、閾値未満の場合、対象物が紙媒体であると検知し、閾値以上の場合、対象物が表示画面であると検知する。
【0045】
なお、検知部122は、検知領域E内の画素の輝度値の平均値に応じて、対象物の発光強度を検知してもよい。また、検知部122は、検知領域E内の画素の一部の画素を抽出し、抽出した画素の輝度値の平均値に応じて、対象物の発光強度を検知してもよい。この場合、検知部122は、例えば、検知領域E内の画素のうち、輝度値が上位10%に入る画素を抽出する。
【0046】
図4に戻り説明を続ける。照明制御部123は、検知部122の検知結果に応じて、照明部13による光の照射動作(モード)を制御する。例えば、照明制御部123は、対象物が紙媒体の場合、対象物に光を照射する第1のモードで照明部13を動作させる。また、照明制御部123は、対象物が表示画面の場合、第1のモードよりも照射する光の光量を低下させた第2のモードで照明部13を動作させる。
【0047】
本実施形態において、照明制御部123は、照明駆動回路107を介して照明部13の光源の点灯、消灯を制御する。具体的には、照明制御部123は、照明部13の光源を点灯し、ユーザが撮像窓111の前に対象物を翳した場合、対象物に光が照射されるよう制御を行う。これにより、撮像部12は、対象物に光が照射される第1のモードで対象物を撮像することができる。
【0048】
また、照明制御部123は、照明部13の光源を消灯し、ユーザが撮像窓111の前に対象物を翳した場合、対象物に光が照射されないよう制御を行う。これにより、撮像部12は、対象物に光が照射されない第2のモードで対象物を撮像することができる。
【0049】
なお、照明制御部123は、検知部122が検知した発光強度に応じて、対象物に照射される光の強度を調整する制御を行ってもよい。この場合、照明制御部123は、対象物の発光強度が強くなるほど、対象物に照射される光の強度を弱くする制御を行う。
【0050】
ここで、本実施形態において、第1のモードは、紙媒体に印刷されたシンボルを読取るためのモードとして機能し、第2のモードは、表示画面に表示されたシンボルを読取るためのモードとして機能する。
【0051】
また、照明制御部123は、後述するデコード処理部126がデコード処理を終了した場合、照明部13を第2のモードになるよう制御する。言い換えると、撮像部12は、第2のモードで検知用画像を撮像する。
【0052】
なお、照明制御部123は、デコード処理部126がデコード処理を終了した場合、照明部13を第1のモードで動作させてもよい。しかし、上述のように、第1のモードで表示画面を撮像すると光の反射が起こり、輝度が正しく検出できない可能性もあるため、照明制御部123は、デコード処理部126がデコード処理を終了した後、照明部13を第2のモードに制御することが好ましい。
【0053】
撮像設定部124は、検知部122が検知した発光強度に応じて、撮像部12の設定を変更する。例えば、撮像設定部124は、検知部122が検知した発光強度に応じて、撮像部12の設定の1つである撮像部12のゲインを変更する。また、撮像設定部124は、検知部122が検知した発光強度に応じて、撮像部12の設定の1つである撮像部12のシャッタスピードを変更する。
【0054】
具体的には、撮像設定部124は、対象物の発光強度が強くなるほど、撮像部12のゲインが低下するように撮像部12のゲインを設定する。一般に光量が少ない場面では撮像の感度を上げる(ゲインを上昇させる)ことが行われ、光量が多い場面では撮像の感度を下げる(ゲインを低下させる)ことが行われている。
【0055】
このため、上記のような処理を行うことにより、対象物の発光強度に適した感度になるようゲインを調整して対象物の撮像を行うことができる。
【0056】
また、撮像設定部124は、対象物の発光強度が強くなるほど、撮像部12のシャッタスピードを速くなるように撮像部12のシャッタスピードを設定する。シャッタスピードを速くすると露光の際に取り入れる光量は減り、遅くすると取り入れる光量は増える。そこで、一般に光量が少ない場面ではシャッタスピードを遅くすることが行われ、光量が多い場面ではシャッタスピードを速くすることが行われている。
【0057】
このため、上記のような処理を行うことにより、撮像の際の光量が、対象物の発光強度に適した状態になるようシャッタスピードを調整して対象物の撮像を行うことができる。
【0058】
なお、撮像設定部124は、対象物の発光強度が強くなるほど、撮像部12のゲインが低下するように撮像部12のゲインを設定する処理のみを行ってもよい。また、撮像設定部124は、対象物の発光強度が強くなるほど、撮像部12のシャッタスピードを速くなるように撮像部12のシャッタスピードを設定する処理のみを行ってもよい。
【0059】
また、撮像設定部124は、後述するデコード処理部126がデコード処理を終了した場合、撮像部12の設定を予め定めた基本設定に変更する。言い換えると、撮像部12は、基本設定に従い、検知用画像を撮像する。
【0060】
なお、基本設定は自由に設定することができるが、照明部13が第2のモードである場合は、紙媒体を撮像する際、露光不足になる可能性があるため、ゲインは高くシャッタスピードは遅くすることが好ましい。
【0061】
撮像制御部125は、撮像部12を制御して、対象物を撮像する。撮像制御部125は、例えば、検知部122が検知した発光強度に応じて、撮像部12の設定を変更して対象物を撮像する制御を行う。
【0062】
具体的には、撮像制御部125は、撮像設定部124が撮像部12の設定をする前は、基本設定に従い、撮像部12を制御し、対象物を撮像する。また、撮像制御部125は、撮像設定部124が撮像部12の設定をした後、撮像設定部124が設定した撮像部12の設定に従い、撮像部12を制御し、対象物を撮像する。
【0063】
また、撮像制御部125は、撮像制御部125は、撮像設定部124が撮像部12の設定をしてからデコード処理部126がデコード処理を終了するまでの間、撮像部12が撮像した画像データに撮像設定済の情報を付加する処理を行う。これにより、画像取得部121は、検知用画像と読取用画像とを区別して取得することが可能になる。
【0064】
デコード処理部126は、エンコードされた情報をデコードすることで、その情報を取り出す。具体的には、デコード処理部126は、画像取得部121が取得した読取用画像からシンボルを表す領域を検出し、当該シンボルが保持するエンコードされたデータをデコードするための処理を実行する。
【0065】
また、デコード処理部126は、シンボルが保持するエンコードされたデータをデコードすることにより取り出したデータをPOS端末20等に出力する。
【0066】
(読取装置の処理)
次に、読取装置10の処理について説明する。
図6は、読取装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【0067】
まず、撮像制御部125は、基本設定に従って撮像部12を制御し、対象物の検知用画像を撮像する(ステップS1)。
【0068】
次に、画像取得部121は、検知用画像を取得する(ステップS2)。
【0069】
次に、検知部122は、対象物の発光強度を検知する(ステップS3)。また、検知部122は、対象物が紙媒体であるか、表示画面であるか、を検知する。
【0070】
次に、照明制御部123は、ステップS3の検知結果に応じて、照明部13の動作を制御する(ステップS4)。具体的には、照明制御部123は、対象物が紙媒体である場合、照明部13を第1のモードに設定し、対象物が携帯端末等の表示画面である場合、照明部13を第2のモードに設定する。
【0071】
次に、撮像設定部124は、検知部122が検知した対象物の発光強度に応じて、撮像部12の設定を変更する(ステップS5)。具体的には、撮像設定部124は、対象物の発光強度が強くなるほど、撮像部12のゲインが低くなるようにゲインを設定する。また、対象物の発光強度が強くなるほど、シャッタスピードが速くなるようにシャッタスピードを設定する。
【0072】
次に、撮像制御部125は、撮像設定部124の設定に従って撮像部12を制御し、対象物の読取用画像を撮像する(ステップS6)。
【0073】
次に、画像取得部121は、読取用画像を取得する(ステップS7)。
【0074】
次に、デコード処理部126は、画像取得部121が取得した読取用画像に基づいて、シンボルのデコード処理を実行する(ステップS8)。
【0075】
デコード処理が完了すると、照明制御部123は、照明部13を第2のモードに制御する(ステップS9)。
【0076】
次いで、撮像設定部124は、撮像部12の設定を基本設定に変更する(ステップS10)。
【0077】
次に、デコード処理部126は、デコードしたデータをPOS端末20に出力する(ステップS11)。
【0078】
次に、撮像制御部125は、読取処理を終了するか否かを判断する(ステップS12)。例えば、撮像制御部125は、キーボード15や第1表示部14の操作或いはPOS端末20から通知される信号により取引終了が指示された場合、読取処理を終了すると判断する。
【0079】
読取処理を終了しないと判断した場合(ステップS12:No)、ステップS1の処理に移行する。一方、読取処理を終了すると判断した場合(ステップS12:Yes)、本処理を終了する。
【0080】
(読取装置の効果)
本実施形態の読取装置10は、対象物が紙媒体であるか表示画面であるかを検知し、対象物が紙媒体である場合は、対象物に光を照射する第1のモードに、対象物が表示画面であることを検知した場合、対象物に光を照射しない第2のモードに、なるよう照明部13による光の照射を制御する。
【0081】
これにより、本実施形態の読取装置10は、対象物が紙媒体であるか表示画面であるかの検知結果に応じて、動的に照明部13による光の照射を切り替えることができる。したがって、本実施形態の読取装置10は、紙媒体に印刷されたバーコードや二次元コード又は表示画面に表示されたバーコードや二次元コードを速やかに夫々に適したモードで撮像することができる。
【0082】
つまり、本実施形態の読取装置10は、紙媒体に印刷されたシンボルを読取る場合であっても、表示画面に表示されたシンボルを読取る場合であっても、効率的にシンボルの読取ができる。
【0083】
また、本実施形態の読取装置10は、撮像部12が撮像した対象物の画像の予め定めた領域の輝度に応じて、対象物が紙媒体であるか表示画面であるかを検知する。これにより、検知用のカメラ等のハードウェアを追加することなく、対象物が紙媒体であるか表示画面であるかを検知することができる。
【0084】
また、本実施形態の読取装置10は、対象物の発光強度を検知し、検知した発光強度に応じて、撮像部12の設定を変更して対象物を撮像する制御を行う。これにより、表示画面がどの程度の強度で光っているかによって、夫々の状態に対応する撮像部12のゲインやシャッタスピードで対象物を撮像することができる。
【0085】
また、本実施形態の読取装置10は、対象物の発光強度が強くなるほど、撮像部12のゲインを低下させて撮像する制御を行う。これにより、表示画面が強く光っている場合は、撮像部12の感度を抑えて撮像することができ、表示画面が弱く光っている場合は、撮像部12の感度を上げて撮像することができる。
【0086】
また、本実施形態の読取装置10は、対象物の発光強度が強くなるほど、撮像部12のシャッタスピードを速くして撮像する制御を行う。これにより、表示画面が強く光っている場合は、取り入れる光の量を抑えて撮像することができ、表示画面が弱く光っている場合は、取り入れる光の量を増やして撮像することができる。
【0087】
なお、上述した実施形態は、読取装置10が有する構成又は機能の一部を変更することで、適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、上述した実施形態に係る変形例を他の実施形態として説明する。
【0088】
なお、以下では、上述した実施形態と異なる点を主に説明することとし、既に説明した内容と共通する点については詳細な説明を省略する。また、以下で説明する変形例は、個別に実施されてもよいし、適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0089】
(変形例)
上述の実施系形態では、検知部122が、撮像部12が撮像した対象物の画像の予め定めた領域の輝度に応じて、対象物が紙媒体であるか表示画面であるかを検知する形態について説明した。しかし、検知部122は、撮像部12が撮像した対象物の形態に基づいて、対象物が紙媒体であるか表示画面であるかを検知してもよい。
【0090】
本変形例では、例えば、検知部122は、画像取得部121が取得した検知用画像を解析し、検知用画像内の物体を認識する。当該物体の形態の特徴が、予め定めた携帯端末等の形態の特徴と一致する場合、検知部122は、対象物が表示画面であると検知する。一方、当該物体の形態の特徴が携帯端末等の形態の特徴と一致しない場合、検知部122は、対象物が紙媒体であると検知する。
【0091】
本変形例によれば、光の反射等による対象物を含む画像の輝度値を誤検出し、対象物が紙媒体であるか表示画面であるかを誤って検知してしまう事態を防止することができる。
【0092】
上記実施形態の読取装置10で実行されるプログラムは、読取装置10が備える記憶媒体(ROM104又は記憶部109)に予め組み込んで提供するものとするが、これに限らず、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0093】
なお、記憶媒体は、コンピュータ或いは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0094】
また、上記実施形態の読取装置10で実行されるプログラムをインターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上記実施形態の読取装置10で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【0095】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
1 POSシステム
2 サッカー台
10 読取装置
11 本体部
12 撮像部
13 照明部
14 第1表示部
15 キーボード
16 第2表示部
20 POS端末
21 表示器
22 入力装置
23 レシートプリンタ
30 ドロワ
101 マイクロコンピュータ
102 CPU
103 バスライン
104 ROM
105 RAM
106 入出力コントローラ
107 照明駆動回路
108 表示/キーボードコントローラ
109 記憶部
110 通信インタフェース
121 画像取得部
122 検知部
123 照明制御部
124 撮像設定部
125 撮像制御部
126 デコード処理部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0097】