(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】制御装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06F 11/07 20060101AFI20250120BHJP
G06F 3/06 20060101ALI20250120BHJP
G06F 11/22 20060101ALI20250120BHJP
【FI】
G06F11/07 184
G06F11/07 140M
G06F3/06 304P
G06F3/06 304R
G06F3/06 305C
G06F3/06 540
G06F11/22 675C
(21)【出願番号】P 2021047514
(22)【出願日】2021-03-22
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】弘田 達夫
【審査官】円子 英紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-227449(JP,A)
【文献】特開2000-163325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/07
G06F 11/22
G06F 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RAID構成とされた複数の記憶装置を制御するストレージ制御部と、
複数の前記記憶装置の故障診断を実行する故障診断部と、を備え、
前記ストレージ制御部と前記故障診断部とは、少なくとも制御信号を通信する第1のバスラインで接続されると共に、前記第1のバスラインとは異なるバスラインであり、複数の前記記憶装置に記憶された故障解析用の情報を送受信する第2のバスラインで接続されており、
前記故障診断部は、メモリを有し、
前記ストレージ制御部に対し、前記第2のバスラインを介して前記故障解析用の情報の取得要求を行い、前記ストレージ制御部から前記第2のバスラインを介して前記故障解析用の情報を取得し、前記故障診断部が有する前記メモリに保存する、
制御装置。
【請求項2】
前記故障診断部は、前記故障解析用の情報として、少なくともRAID構成情報及び故障解析用のログ情報を前記ストレージ制御部から取得し、前記故障診断部が有する前記メモリに保存する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記故障診断部は、前記RAID構成情報及び前記故障解析用のログ情報のうち、予め指定されている一つ又は複数の情報の取得要求を前記ストレージ制御部に対して行うことで、前記ストレージ制御部から得られた前記RAID構成情報又は前記故障解析用のログ情報、或いは、前記RAID構成情報及び前記故障解析用のログ情報を、前記故障診断部の前記メモリに保存すること
を特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記ストレージ制御部は、前記故障診断部の前記メモリに保存されている少なくとも前記RAID構成情報に基づいて、複数の前記記憶装置によるRAID構成の再構築を行うこと
を特徴とする請求項2又は請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記故障診断部は、前記故障診断部の前記メモリに保存された少なくとも前記RAID構成情報を、前記ストレージ制御部を介して複数の前記記憶装置のうち、少なくともいずれかに保存すること
を特徴とする請求項2から請求項4のうち、いずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
RAID構成とされた複数の記憶装置を制御するストレージ制御部と、
複数の前記記憶装置の故障診断を実行する故障診断部と、を備え、
前記ストレージ制御部と前記故障診断部とは、少なくとも制御信号を通信する第1のバスラインで接続されると共に、前記第1のバスラインとは異なるバスラインであり、複数の前記記憶装置に記憶された故障解析用の情報を送受信する第2のバスラインで接続されている、制御装置によって実行される情報処理方法であって、
前記ストレージ制御部に対し、前記第2のバスラインを介して前記故障解析用の情報の取得要求を行う要求ステップと、
前記ストレージ制御部から前記第2のバスラインを介して前記要求ステップで取得要求した前記故障解析用の情報を取得する取得ステップと、
前記
取得ステップで取得した前記故障解析用の情報を、前記故障診断部内のメモリに保存する保存ステップと、
を有する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、制御装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日において、複数台のHDD(Hard Disk Drive)を、仮想的な1台のHDDとして運用し、コンピュータの可用性を向上させるRAID(Redundant Arrays of Independent/Inexpensive Disks)機能が知られている。このRAID機能は、複数のHDDが動作しているため、一つのHDDが故障した場合でも、動作可能な他のHDDでコンピュータ装置の動作を補完することができる。このようなRAID機能は、例えばハードウェアRAIDボード(以降、RAIDカード)で実現される。
【0003】
一方、制御装置内の電圧情報、温度情報、デバイス情報などの、制御装置の各部の状態を示す情報を収集し、故障診断を行い通知することより、システムの可用性を向上させるRAS(Reliability、Availability and Serviceability)機能を備えた制御装置も知られている。
【0004】
ここで、制御装置に不具合を生じ、故障解析のために制御装置が返却された際に、機密情報が保存されたHDDなどの記憶装置が同梱されていないことがある。この場合、RAIDカード内のメモリに記憶されているログ情報、及び、RAS機能配下のメモリ(以降、RASメモリ)に記憶されている情報は確認可能である。
【0005】
しかし、HDDなどの記憶装置に保存された故障解析に用いる情報の確認が困難となる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-268403号公報
【文献】特開2012-173970号公報
【文献】特開2005-18516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、故障解析に用いる情報を、通常記憶している記憶装置が、故障時等に返却されなかった場合でも、故障解析に用いる情報を取得して、故障解析を可能とする制御装置及び情報処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施の形態によれば、制御装置は、RAID構成とされた複数の記憶装置を制御するストレージ制御部と、複数の記憶装置の故障診断を実行する故障診断部と、を備える。そして、故障診断部は、メモリを有し、複数の記憶装置に記憶された故障解析用の情報をストレージ制御部から取得し、故障診断部が有するメモリに保存する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態の産業用コンピュータシステムのシステム構成図である。
【
図2】
図2は、実施の形態の産業用コンピュータシステムの制御装置の要部のハードウェア構成を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態となる産業用コンピュータシステムを、図面を参照して詳細に説明する。産業用コンピュータシステムは、例えば設備の制御、製品の製造、又は、様々な産業機器への組み込み等の、長時間の安定稼働を要する用途向けに設計されたコンピュータシステムである。
【0011】
(システム構成)
図1は、実施の形態の産業用コンピュータシステムのシステム構成図である。この
図1に示すように、実施の形態の産業用コンピュータシステムは、制御装置1及びモニタ装置2を備えている。また、実施の形態の産業用コンピュータシステムは、例えばキーボード装置3及びマウス装置4等の入力装置を備えている。
【0012】
(制御装置の外観構成)
図1は、制御装置1を正面から見た状態を示している。制御装置1は、箱状の本体カバー6を有している。本体カバー6の前面側には、図示しない電源ボタン、リセットボタン、冷却ファン等が設けられている。このため、本体カバー6の前面側には、これらを被覆するフロントパネル7が、キーロック76を介して設けられている。また、本体カバー6の前面側には、例えば図示しないHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置を取り付けるドライブベイ(図示せず)が、例えば3つ設けられている。このため、本体カバー6の前面側には、3つのドライブベイを被覆するドライブベイカバー8が設けられている。後述するが、実施の形態の産業用コンピュータシステムでは、このような複数の記憶装置により、いわゆるRAID(Redundant Arrays of Independent/Inexpensive Disks)機能を実現している。
【0013】
また、本体カバー6の前面側には、正面から見て例えば左上の領域に、制御装置1内で異常が発生した際に点灯制御又は点滅制御されるRAS(Reliability、Availability and Serviceability)ステータスランプ(LED:発光ダイオード)72が設けられている。また、本体カバー6の前面側には、制御装置1の起動時にPOST(Power On Self Test)コードの表示等を行うディスプレイ73が設けられている。
【0014】
また、本体カバー6の前面側には、ディスプレイ73の並びに、ACCランプ74及びパワーランプ75が設けられている。ACCランプ74は、HDD等の記憶装置の動作時に点灯制御又は点滅制御される。パワーランプ75は、電源投入時等の所定の色で点灯制御又は点滅制御される。
【0015】
また、本体カバー6の前面側には、正面から見て例えば右上の領域に、ストレージドライブステータスランプ77、及び、ストレージドライブアクセスランプ78が設けられている。ストレージドライブステータスランプ77は、HDD等の記憶装置の状態を示すランプである。また、ストレージドライブアクセスランプ78は、HDD等の記憶装置のアクセス時に点灯制御又は点滅制御されるランプである。一例ではあるが、制御装置1の場合、3つのHDD等の記憶装置を装着可能となっている。このため、ストレージドライブステータスランプ77及びストレージドライブアクセスランプ78も、各記憶装置の状態等をそれぞれ示すように、3つずつ設けられている。
【0016】
また、本体カバー6の前面側には、正面から見て例えば左下の領域に、図示しないUSB(Universal Serial Bus)コネクタが設けられている。このため、本体カバー6の前面側には、USBコネクタを被覆するUSBコネクタカバー79が設けられている。
【0017】
(制御装置の要部のハードウェア構成)
図2は、制御装置1の要部のハードウェア構成を示すハードウェア構成図である。この
図2に示すように、制御装置1は、オペレーティングシステム上のさまざまなアプリケーションを動作させる制御ユニット101を備えている。
【0018】
制御ユニット101は、状態検出部21、制御部31、故障診断部41、ストレージ制御部51、記憶装置61、及び、通知処理部71を備えている。なお、記憶装置61としては、例えば上述のように3つの記憶装置61が設けられており、RAID機能を実現している。
【0019】
制御部31、故障診断部41及びストレージ制御部51は、第1のバスライン81を介して相互に通信可能に接続されている。第1のバスライン81としては、高速バスラインを用いることが好ましい。
【0020】
制御部31は、第1の制御デバイス32及び第1のメモリ33を備えている。一例として、第1のメモリ33としては、DDR(Double Data Rate)メモリを用いることができる。制御部31は、制御演算、第1のメモリ33へのアクセス、ストレージ制御部51を介した記憶装置61へのアクセス等を行うことで、オペレーティングシステム(OS)上のさまざまなアプリケーションを動作させる。また、制御部31の第1の制御デバイス32は、第1のバスライン81を介して、故障診断部41の第2の制御デバイス42及びストレージ制御部51の第3の制御デバイス52と接続されており、各制御デバイス31、41、51間で、様々な情報の送受信を行う。一例ではあるが、制御部31の第1の制御デバイス32は、制御信号の一例である制御コマンド、以下に説明する状態情報等を第1のバスライン81を介して送受信する。
【0021】
故障診断部41は、第2の制御デバイス42及び第2のメモリ43を備えており、第1のバスライン81に接続されている。一例として、第2のメモリ43としては、電池でバックアップされたSRAM(Static Random Access Memory)、又は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを用いることができる。第2のメモリ43は、故障診断部内に設けられたメモリの一例である。
【0022】
ストレージ制御部51は、第3の制御デバイス53及び第3のメモリ54を備えており、第1のバスライン81に接続されている。一例として、第3のメモリ53としては、VRAM(Video Random Access Memory)等の不揮発性メモリを用いることができる。第3のメモリ53は、ストレージ制御部内に設けられたメモリの一例である。
【0023】
また、故障診断部41及びストレージ制御部51は、上述の第1のバスライン81を介して相互に接続されると共に、第1のバスラインとは物理的に異なる、独立した第2のバスライン82を介して相互に接続されている。
【0024】
一例として、故障診断部41の第2の制御デバイス42及びストレージ制御部51の第3の制御デバイス52は、PCS(Physical Coding Sublayer:フィジカル・コーティング・サブレイヤ)のトランシーバ・アーキテクチャを備えている。そして、故障診断部41のRAS(Reliability、Availability and Serviceability)機能、及び、ストレージ制御部51のRAID機能が、制御部31を介さずに(制御部31に制御されること無く)、それぞれのデータを、第2のバスライン82を介して送受信するようになっている。
【0025】
状態検出部21は、電源電圧検出部22、環境温度検出部23及びデバイス状態検出部24を有している。電源電圧検出部22は、制御装置1の電源電圧を検出する。環境温度検出部23は、制御装置1の周囲の温度等の環境温度を検出する。デバイス状態検出部24は、制御部31の温度、誤り訂正符号(ECC)に基づくエラー情報、及び、制御装置1に対する記憶装置61の有無等の各種デバイスの状態を検出する。状態検出部21は、電源電圧検出部22、環境温度検出部23及びデバイス状態検出部24で検出された各種情報を「状態情報」として故障診断部41に供給する。
【0026】
このような状態情報は、故障診断部41の第2のメモリ43に記憶され、第2のバスライン82及びストレージ制御部51を介してログ情報63として記憶装置61に記憶される。なお、デバイス状態検出部24で検出されることとした制御部31の温度、及び、誤り訂正符号(ECC)に基づくエラー情報は、制御部31が、第1のバスライン81を介して故障診断部41に供給してもよい。また、一例ではあるが、状態検出部21、制御部31及び故障診断部41は、一つの集積化回路(ICチップ)で形成されている。
【0027】
故障診断部41は、上述の状態情報の他、ストレージ制御部51を介して記憶装置61の実装情報及びエラー有無の情報を収集し、第2のメモリ43に状態情報として記憶する。故障診断部41は、第2のメモリ43に記憶された状態情報に基づいて、故障診断を行い、通知処理部71に診断通知を行う。通知処理部71は、故障診断部41からの診断通知に基づいて、RASステータスランプ72を点灯制御又は点滅制御することで、故障の発注の有無をユーザに通知する。
【0028】
ストレージ制御部51は、複数の記憶装置61によりRAID機能を実現するRAIDコントローラとなっている。ストレージ制御部51は、RAID固有の関連パラメータを設定し、各々のシステムに合わせた最適なRAID構成を構築する。また、ストレージ制御部51は、RAID構成に関連するストライピング/ストライプサイズ/ストライプ幅、ミラーリング/パリティ、整合性のチェック、再構築(リビルド)、ホットスペア、リストア、パトロール、リカバリー機能、予防保全、バッドスポット、RAIDグループ等のさまざまなRAID構成情報62を記憶装置61に記憶する。
【0029】
また、ストレージ制御部51は、RAID機能に関する障害情報及び状態の変化等の状態情報を、ログ情報63として記憶装置61に記憶する。また、ストレージ制御部51は記憶装置61に発生したエラー、記憶装置61の温度、使用時間、スタートアンドストップ回数、不良セクタ、ペンディングセクタ、アンコレクトセクタ及びトルク値等のSMART(Self Monitoring、Analysis and Reporting Technology:自己診断情報)情報64を記憶装置61に記憶する。
【0030】
(第2のバスラインを介して送受信される情報)
ここで、第2のバスライン82を介して送受信される情報は、以下のようになっている。故障診断部41からストレージ制御部51に対しては、故障診断部41の第2のメモリ43に記憶されたる状態情報が、第2のバスライン82を介してストレージ制御部51に供給される。ストレージ制御部51は、第2のバスライン82を介して故障診断部41から取得した状態情報を、ログ情報63として記憶装置61に記憶制御する。また、後述するように、第2のメモリ43に保存されたRAID構成情報62、ログ情報63及びSMART情報64を、第2のバスライン82を介してストレージ制御部51に供給し、記憶装置61に書き込む。
【0031】
反対に、ストレージ制御部51から故障診断部41に対しては、第3のメモリ53に記憶されているRAID構成情報62、ログ情報63及びSMART情報64が、第2のバスライン82を介して故障診断部41に供給される。また、ストレージ制御部51により記憶装置61から読み出されたRAID構成情報62、ログ情報63及びSMART情報64が、第2のバスライン82を介して故障診断部41に供給される。
【0032】
(RAID構成情報の保存動作)
次に、故障診断部41の第2の制御デバイス42は、記憶装置61に記憶されているRAID構成情報62、RAIDに関するログ情報63、及び、SMART情報64を、ストレージ制御部51から第2のバスライン82を介して取得して、第2のメモリ43に保存する。
【0033】
一例ではあるが、故障診断部41の第2の制御デバイス42は、例えば500msec~1secの間隔のポーリングにより、ストレージ制御部51に対して、定期的にRAID構成情報62等の取得要求を行う。ポーリングの間隔は、ユーザが任意に設定可能となっている。ストレージ制御部51の第3の制御デバイス52は、故障診断部41からの取得要求に応じて、記憶装置61に記憶されているRAID構成情報62、RAIDに関するログ情報63及びSMART情報64を読み出し、第2のバスライン82を介して故障診断部41に供給する。
【0034】
また、ストレージ制御部51の第3の制御デバイス52は、第3のメモリ53に記憶されているRAID構成情報62、ログ情報63及びSMART情報64を読み出し、第2のバスライン82を介して故障診断部41に供給する。
【0035】
故障診断部41の第2の制御デバイス42は、第2のバスライン82を介して記憶装置61、及び、ストレージ制御部51の第3のメモリ53から取得したRAID構成情報62、ログ情報63及びSMART情報64を、第2のメモリ43に保存する。なお、故障診断部41の第2の制御デバイス42は、RAID構成情報62、ログ情報63及びSMART情報64のうち、少なくともいずれかを、第2のメモリ43に保存してもよい。
【0036】
これにより、不具合等で制御装置1が返却された際に、記憶装置61が取り外されていた場合でも、記憶装置61の故障に関するRAID構成情報等を、故障診断部41の第2のメモリ43から取得して、故障解析等を可能とすることができる。
【0037】
また、ストレージ制御部51の第3のメモリ53に記憶されているRAID構成情報62、ログ情報63及びSMART情報64を、故障診断部41の第2のメモリ43に保存している。このため、不具合等で返却された制御装置1に、記憶装置61及びストレージ制御部51(RAIDカード)が存在しない場合でも、記憶装置61の故障に関するRAID情報等を取得して、故障解析等を可能とすることができる。
【0038】
なお、この例では、故障診断部41は、ポーリングにより定期的にRAID構成情報62等を取得して保存することとした。しかし、故障診断部41は、記憶装置61に記憶されているログ情報63を更新した際に、ストレージ制御部51に対して、RAID構成情報62等の取得要求を行い、取得されたRAID構成情報62等を第2のメモリ43に保存してもよい。あるいは、故障診断部41は、いずれかの箇所の故障を検出した際に(故障発生時に)、ストレージ制御部51に対して、RAID構成情報62等の取得要求を行い、取得されたRAID構成情報62等を第2のメモリ43に保存してもよい。
【0039】
また、故障診断部41の第2の制御デバイス42は、RAID構成情報62、ログ情報63及びSMART情報64を、第2のメモリ43に保存することとした。しかし、RAID構成情報62、ログ情報63及びSMART情報64のうち、ユーザ等により指定された情報を取得して第2のメモリ43に保存してもよい。
【0040】
この場合、故障診断部41の第2の制御デバイス42は、ユーザ等により予め指定されている情報の取得要求を、ストレージ制御部51に対して行う。ストレージ制御部51の第3の制御デバイス52は、取得要求された情報を選択的に記録装置61等から取得して、故障診断部41に供給する。これにより、RAID構成情報62、ログ情報63及びSMART情報64のうち、指定した一つ又は複数の情報を、選択的に第2のメモリ43に保存することができる。
【0041】
また、故障診断部41の第2の制御デバイス42は、このようにRAID構成情報62、ログ情報63及びSMART情報64を第2のメモリ43に保存すると、これらの情報(全ての情報でもよいし、選択した情報でもよい)を、第2のバスライン82を介してストレージ制御部51に送信する。そして、記憶装置61に対するRAID構成情報62等の書き込み要求を、ストレージ制御部51に対して行う。ストレージ制御部51の第3の制御デバイス52は、故障診断部41からの書き込み要求に応じて、RAID構成情報62等を、複数の記憶装置61のうち、一つ又は複数の記憶装置61に書き込む。
【0042】
これにより、RAID構成情報62、ログ情報63及びSMART情報64を、故障診断部41の第2のメモリ43及び記憶装置61の両方に保存することができる。このため、制御装置1に不具合が生じた際に、記憶装置61のみが返却された場合でも、第2のメモリ43に保存されているRAID情報及びログ情報63等と同じRAID情報及びログ情報63等を、返却された記憶装置61から取得して故障解析等を行うことができる。
【0043】
ここで、第2のバスライン82を設けずに、第1のバスライン81を介してRAID構成情報及び故障解析用のログ情報等を故障診断部41に保存することを考える。この場合、RAID構成情報及び故障解析用のログ情報等を故障診断部41に保存制御する制御コマンド、及び、RAID構成情報及び故障解析用のログ情報等が第1のバスライン81を介して、制御部31、故障診断部41及びストレージ制御部51の間で送受信されることとなる。このため、バスライン81を介して行う他の制御コマンド等の送受信が停滞し、制御装置1の性能が低下する恐れがある。
【0044】
また、第2のバスライン82を設けない場合、制御部31が故障すると、RAID構成情報及び故障解析用のログ情報等を第1のバスライン81を介して故障診断部41に保存することが困難となり、後のRAID構成の再構築及び故障診断解析に支障を来す。
【0045】
このようなことから、実施の形態の産業用コンピュータシステムの制御装置1は、故障診断機能41とストレージ制御機能51との間に第1のバスライン81とは別に、第2のバスライン82を設けている。そして、この第2のバスライン82を介して、故障診断機能41とストレージ制御機能51との間でRAID構成情報等の送受信を行う。これにより、バスライン81を介して行う他の制御コマンドの送受信の停滞を防止でき、制御装置1の性能が低下する不都合を防止できる。また、制御部31が故障した場合でも、故障診断部41及びストレージ制御部51の間で通信を行い、RAID構成情報及び故障解析用のログ情報等を故障診断部41に保存することができる。このため、制御部31が故障した場合でも、RAID構成の再構築及び故障診断解析を行うことができる。
【0046】
(RAID構成の再構築動作)
次に、このようにRAID構成情報62等を故障診断部41の第2のメモリ43等に保存することで、制御装置1の修理等が完了した後に、RAID構成の再構築が可能となる。すなわち、制御装置1の修理等が完了し、正常動作が可能な複数の記憶装置61がドライブベイに装着されると、ストレージ制御部51の制御デバイス52は、故障診断部41の制御デバイス42に対して、第2のバスライン82を介して、第2のメモリ43に保存されているRAID構成情報62の転送要求を行う。
【0047】
故障診断部41の制御デバイス42は、ストレージ制御部51の制御デバイス52からの転送要求に応じて、第2のメモリ43に保存されているRAID構成情報62を読み出し、第2のバスライン82を介してストレージ制御部51に供給する。ストレージ制御部51の制御デバイス52は、このように故障診断部41から取得されたRAID構成情報62に基づいて、各記憶装置61によるRAID構成を再構築する。
【0048】
これにより、例えば全ての記憶装置61を新規な記憶装置61に交換した際に、制御装置1が載置されている現地にて、RAID構成情報62を確認及び設定する必要がなくなり、現地交換作業での手間の削減及び作業ミスを防止することができる。
【0049】
(実施の形態の効果)
以上の説明から明らかなように、実施の形態の産業用コンピュータシステムは、例えばフィジカル・コーティング・サブレイヤ(PCS)のトランシーバ・アーキテクチャを備えた制御デバイス42及び制御デバイス52を備える。そして、制御部31を介さずに、故障診断部41及びストレージ制御部51の間で第2のバスライン82を介して通信を行い、記憶装置61に記憶されるRAID構成情報62、ログ情報63及びSMART情報64を、故障診断部41内の第2のメモリ43に保存する。これにより、不具合等で返却された制御装置1から記憶装置61が抜かれている場合でも、記憶装置61の故障に関するRAID情報62等の、故障解析に用いる情報を第2のメモリ43から取得して、故障解析等を行うことができる。
【0050】
また、実施の形態の産業用コンピュータシステムは、第1のバスライン81とは別に設けた第2のバスライン82を介して、故障診断機能41とストレージ制御機能51との間でRAID構成情報等の送受信を行う。これにより、バスライン81を介して行う他の制御コマンドの送受信の停滞を防止でき、制御装置1の性能が低下する不都合を防止できる。また、制御部31が故障した場合でも、故障診断部41及びストレージ制御部51の間で通信を行い、RAID構成情報及び故障解析用のログ情報等を故障診断部41に保存することができる。このため、制御部31が故障した場合でも、RAID構成の再構築及び故障診断解析を行うことができる。
【0051】
また、実施の形態の産業用コンピュータシステムは、ストレージ制御部51内の第3のメモリ53に記憶されているRAID構成情報62、ログ情報63及びSMART情報64も、故障診断部41内の第2のメモリ43に保存する。これにより、不具合等で返却された制御装置1から記憶装置61及びストレージ制御部51(RAIDカード)が抜かれている場合でも、記憶装置61の故障に関するRAID情報等を取得して、故障解析等を可能とすることができる。
【0052】
また、実施の形態の産業用コンピュータシステムは、記憶装置61等に記憶されているRAID構成情報62、ログ情報63及びSMART情報64のうち、所望の一つ又は複数の情報を指定して、選択的に故障診断部41内の第2のメモリ43に保存する。これにより、不具合等で返却された制御装置1から記憶装置61が抜かれていた場合でも、記憶装置61の故障に関するRAID情報等の、予め指定した情報を取得して、故障解析等を行うことができる。
【0053】
また、実施の形態の産業用コンピュータシステムは、故障診断部41の第2のメモリ43に保存されたRAID構成情報62等をストレージ制御部51が読み出し、RAID構成を再構築する。これにより、例えば全ての記憶装置61を新規な記録装置61に交換した際に、制御装置1が設置されている現地で、RAID構成情報62の確認及び設定を行う必要がなく、現地交換作業での手間の削減及び作業ミスを防止することができる。
【0054】
また、実施の形態の産業用コンピュータシステムは、故障診断部41の第2のメモリ43に保存されたRAID構成情報62等を、記憶装置61にも保存する。これにより、制御装置1に不具合が生じた際に、記憶装置61のみが返却された場合でも、第2のメモリ43に保存されているRAID情報等を同じRAID情報等を、返却された記憶装置61から取得でき、故障解析等を行うことができる。
【0055】
本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0056】
1 制御装置
2 モニタ装置
3 キーボード装置
4 マウス装置
21 状態検出部
31 制御部
41 故障診断部
51 ストレージ制御部
61 記憶装置
71 通知処理部
72 RASステータスランプ
73 ディスプレイ
74 ACCランプ
75 パワーランプ
76 キーロック
77 ストレージドライブステータスランプ
78 ストレージドライブアクセスランプ
79 USBコネクタカバー
101 制御ユニット