IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日産自動車株式会社の特許一覧 ▶ ルノー エス.ア.エス.の特許一覧

<>
  • 特許-移動支援装置及び移動支援方法 図1
  • 特許-移動支援装置及び移動支援方法 図2
  • 特許-移動支援装置及び移動支援方法 図3
  • 特許-移動支援装置及び移動支援方法 図4
  • 特許-移動支援装置及び移動支援方法 図5
  • 特許-移動支援装置及び移動支援方法 図6
  • 特許-移動支援装置及び移動支援方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】移動支援装置及び移動支援方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20250120BHJP
【FI】
G08G1/123 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021050623
(22)【出願日】2021-03-24
(65)【公開番号】P2022148805
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】綿貫 彩加
(72)【発明者】
【氏名】費 霄霄
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-198013(JP,A)
【文献】特開2020-077057(JP,A)
【文献】特開2006-177753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの乗降リクエストに基づき、前記ユーザが乗降可能な複数の乗降地候補を抽出する抽出部と、
道路の特性、前記道路の交通量、及び前記道路の駐停車状況のうち少なくとも何れか一つに基づき、乗降又は待機のための車両の停止が前記道路の交通流に与える影響度を交通影響度として算出する交通影響度算出部と、
前記交通影響度に基づき、前記複数の乗降地候補から一の乗降地を選定する選定部を備える移動支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の移動支援装置であって、
前記ユーザが乗降する複数の車両候補の走行状況及び前記ユーザに関する情報に基づき、所定の乗降地での前記車両候補の停止時間を算出する停止時間算出部をさらに備え、
前記抽出部は、前記乗降リクエストに基づき、前記複数の車両候補を抽出し、
前記交通影響度算出部は、前記所定の乗降地周辺の前記道路における前記交通影響度を算出し、
前記選定部は、前記交通影響度が所定の閾値以上の場合、前記複数の車両候補のうち、前記停止時間が相対的に短い前記車両候補を優先的に一の車両として選定する移動支援装置。
【請求項3】
請求項2に記載の移動支援装置であって、
前記選定部は、前記ユーザよりも遅く前記所定の乗降地に到着する車両候補を前記一の車両として選定する移動支援装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の移動支援装置であって、
前記選定部は、前記ユーザが前記所定の乗降地で降車する降車時間が相対的に短い前記車両候補を優先的に前記一の車両として選定する移動支援装置。
【請求項5】
ユーザの乗降リクエストに基づき、前記ユーザが乗降する複数の車両候補又は前記ユーザが乗降可能な複数の乗降地候補を抽出する抽出部と、
道路の特性、前記道路の交通量、及び前記道路の駐停車状況のうち少なくとも何れか一つに基づき、乗降又は待機のための車両の停止が前記道路の交通流に与える影響度を交通影響度として算出する交通影響度算出部と、
前記交通影響度に基づき、前記複数の車両候補から一の車両を選定し、又は前記交通影響度に基づき、前記複数の乗降地候補から一の乗降地を選定する選定部と、
前記車両の走行状況及び前記ユーザに関する情報に基づき、前記乗降地候補での前記車両の停止時間を算出する停止時間算出部と、を備え、
前記抽出部は、前記複数の乗降地候補を抽出し、
前記交通影響度算出部は、前記乗降地候補周辺の前記道路における前記交通影響度を算出し、
前記選定部は、前記各乗降地候補での前記停止時間が所定の閾値時間以上の場合、前記複数の乗降地候補のうち、前記交通影響度が相対的に小さい前記乗降地候補を優先的に前記一の乗降地として選定する移動支援装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れかに記載の移動支援装置であって、
前記交通影響度算出部は、前記道路の車線幅が所定の車線幅よりも狭い場合、前記車線幅が前記所定の車線幅よりも広い場合に比べて、前記交通影響度を大きく算出する移動支援装置。
【請求項7】
請求項1~6の何れかに記載の移動支援装置であって、
前記交通影響度算出部は、前記道路の車線数が所定の数よりも少ない場合、前記車線数が前記所定の数よりも多い場合に比べて、前記交通影響度を大きく算出する移動支援装置。
【請求項8】
請求項1~7の何れかに記載の移動支援装置であって、
前記交通影響度算出部は、前記道路の交通量が所定の交通量よりも多い場合、前記交通量が前記所定の交通量よりも少ない場合に比べて、前記交通影響度を大きく算出する移動支援装置。
【請求項9】
請求項1~8の何れかに記載の移動支援装置であって、
前記交通影響度算出部は、前記道路の駐停車車両が所定の台数よりも多い場合、前記駐停車車両が前記所定の台数よりも少ない場合に比べて、前記交通影響度を大きく算出する移動支援装置。
【請求項10】
プロセッサにより実行される移動支援方法であって、
ユーザの乗降リクエストに基づき、前記ユーザが乗降可能な複数の乗降地候補を抽出し、
道路の特性、前記道路の交通量、及び前記道路の駐停車状況のうち少なくとも何れか一つに基づき、乗降又は待機のための車両の停止が前記道路の交通流に与える影響度を算出し、
前記影響度に基づき、前記複数の乗降地候補から一の乗降地を選定する移動支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動支援装置及び移動支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無人運転可能に構成された移動体として、通信装置と、制御装置とを備える移動体が知られている(特許文献1)。この移動体において、通信装置は、移動体の配車場所及び配車時刻を示す配車指示を受信するように構成されている。配車時刻は、配車場所へ移動するユーザの行動から予測される、配車場所へのユーザの到着時刻に従って修正される。制御装置は、修正された配車時刻に移動体が配車場所へ到着するように現在位置から配車場所まで移動体の配車ルートを再検索し、再検索された配車ルートに従って移動するよう移動体を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-101464号公報
【文献】特開2005-275678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の移動体では、配車場所へのユーザの到着時刻が修正されるたびに、移動体は再検索された配車ルートに従って移動する。このため、配車時刻になるまで移動体が乗降地周辺を回遊走行し、乗降地周辺で交通渋滞が発生する、という問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、乗降地周辺で交通渋滞が発生するのを抑制する移動支援装置及び移動支援方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ユーザの乗降リクエストに基づき、ユーザが乗降可能な複数の乗降地候補又はユーザが乗降する複数の車両候補を抽出し、道路の特性、道路の交通量、及び道路の駐停車状況のうち少なくとも何れか一つに基づき、乗降又は待機のための車両の停止が道路の交通流に与える影響度を交通影響度として算出し、交通影響度に基づき、複数の乗降地候補から一の乗降地を選定し、又は交通影響度に基づき、複数の車両候補から一の車両を選定することで、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、例えば、乗降地に到着するまでに回遊走行を必要とする車両を選定したり、路上駐車の多い地点を乗降地として選定したりするのを抑制し、乗降地周辺で交通渋滞が発生するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の移動支援装置を備える配車システムのブロック構成図である。
図2】第1実施形態に係る移動支援装置のプロセッサのブロック構成図の一例である。
図3】道路交通情報を説明するための説明図である。
図4】交通影響度の算出例を説明するための説明図である。
図5】第1実施形態に係る移動支援装置の制御手順の一例を示す図である。
図6】第2実施形態に係る移動支援装置のプロセッサのブロック構成図の一例である。
図7】第2実施形態に係る移動支援装置の制御手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、本発明の移動支援装置及び移動支援方法を、配車システムに適用した場合を例にして説明する。以下の実施形態における乗降車とは、ユーザの乗車若しくは降車、又はユーザの乗車及び降車することを含む。
【0010】
≪第1実施形態≫
図1は、配車システム100のブロック構成を示す図である。本実施形態の配車システム100は、移動支援装置1と、車両2と、ユーザ端末装置3とを備える。各装置は、演算処理を実行するプロセッサ(コンピュータ)と通信装置とを備える。移動支援装置1と、車両2と、ユーザ端末装置3とは通信機能を備え、通信回線網4を介して有線通信又は無線通信により互いに情報の授受が可能となっている。通信回線網4としては、例えば、携帯電話網、無線LAN(Local Area Network)網、DSRC(Dedicated Short Range Communications)網、電力線通信網などが挙げられる。なお、図1では、説明の便宜上、一台の車両2が示されているが、本実施形態の配車システム100は、複数の車両2で構成されている。また図1では、説明の便宜上、1つのユーザ端末装置3が示されているが、本実施形態の配車システム100は、複数のユーザ端末装置3で構成されている。
【0011】
本実施形態の配車システム100において、移動支援装置1は、車両2及びユーザ端末装置3と通信が可能な別個のサーバー装置に設けられる。移動支援装置1は、車両2に搭載されてもよい。移動支援装置1は、車両2及びユーザ端末装置300と通信が可能であり、リクエストを含む情報の授受を行う。
【0012】
まず、ユーザ端末装置3について説明する。ユーザ端末装置3は、ユーザが携帯する可搬型の情報通信端末である。ユーザ端末装置3としては、例えば、スマートフォン、ノートパソコン、タブレット端末等が挙げられる。図1に示すように、ユーザ端末装置3は、位置検出装置31と、入力装置32と、出力装置33と、プロセッサ34と、通信装置35とを備える。
【0013】
位置検出装置31は、GPS(Global Positioning System、以下同じ。)衛星から、ユーザ端末装置3の位置情報を取得する。位置情報の一例としては、緯度及び経度の情報が挙げられる。位置検出装置31は、予め定められた所定の周期ごとに、GPS衛星からユーザ端末装置3の位置情報を取得し、ユーザ端末装置3の位置情報を更新する。位置検出装置31により検出されたユーザ端末装置3の位置情報は、プロセッサ34に出力され、その後、通信装置35を介して、移動支援装置1に送信される。なお、ユーザが車両2に乗車している場合、位置検出装置31により検出されたユーザ端末装置3の位置情報は、車両2の位置情報として用いることができる。
【0014】
入力装置32は、ユーザによる入力を受け付ける入力インターフェースである。入力装置32は、一又は複数の機器で構成される。例えば、入力装置32は、ユーザが文字入力可能なタッチパネル又はキーボードと、ユーザが音声入力可能なマイクとで構成される。ユーザは、入力装置32に対して、移動リクエストを入力する。移動リクエストは、乗車を希望するリクエスト(乗車リクエスト、配車リクエスト)及び/又は降車を希望するリクエスト(降車リクエスト)を含む。以降では、便宜上、移動リクエストを乗降リクエストと称して説明する。乗降リクエストには、移動支援装置1により選定される前の乗降地である、ユーザのリクエスト地点を含んでいてもよい。ユーザにより入力された乗降リクエストは、プロセッサ34に出力され、その後、通信装置35を介して、移動支援装置1に送信される。
【0015】
出力装置33は、移動支援装置1から送信された、乗降リクエストに対する結果を出力する出力インターフェースである。出力装置33としては、例えば、液晶パネル、有機ELパネルなどのディスプレイや音声出力可能なスピーカー等が挙げられる。出力装置33には、通信装置35を介して、移動支援装置1から移動計画に関する情報が入力される。移動計画は、ユーザに割り当てられた車両2に関する情報(車種、車両2の現在地、乗降地への車両2の到着時刻、乗降地までの車両2の走行経路など)、ユーザに関する情報(ユーザの現在地、乗降地へのユーザの到着時刻、乗降地までのユーザの移動経路など)、乗降地に関する情報(乗降地の場所など)を含む。なお、出力装置33による各種情報の提示態様は特に限定されない。例えば、地点の提示態様として、出力装置33は、地図上における地点をピンやフラグなどでマークして表示してもよいし、地点の住所をディスプレイにテキスト表示してもよいし又はスピーカーを介して音声出力してもよい。また例えば、時刻、車種、又は経路の提示態様として、出力装置33は、車両2の画像や地図上での経路をディスプレイに表示してもよいし、スピーカーを介して到着時刻案内や経路案内を音声出力してもよい。
【0016】
プロセッサ34は、乗降リクエストを移動支援装置1に送信する乗降リクエスト送信処理と、移動計画を出力装置33から出力せる移動計画出力処理とを実行させるプログラムが格納されたROM(Read Only Memory、以下同じ。)と、このROMに格納されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、以下同じ。)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory、以下同じ。)と、を備えるコンピュータである。プロセッサ34は、乗降リクエスト送信処理として、ユーザによる入力装置32への操作に応じた電子的指令であるリクエストを生成し、通信装置35を介して移動支援装置1へ送信する。またプロセッサ34は、通信装置35を介して、移動支援装置1から移動計画を受信すると、移動計画に含まれる各種情報を出力装置33から出力させる。なお、プロセッサが実行する処理は、上記処理に限定されず、例えば、プロセッサ34は、位置検出装置31により検出されたユーザ端末装置3の現在地の情報について、所定の周期ごとに、通信装置35を介して、移動支援装置1に送信してもよい。
【0017】
通信装置35は、各種通信規格に対応する通信インターフェースである。通信装置35は、例えば、有線LAN規格、無線LAN規格などに対応する。通信装置35は、通信回線網4を介して、移動支援装置1及び車両2との間で情報の送受信を行う。
【0018】
次に、車両2について説明する。本実施形態において、車両2は、自律走行機能を備える。図1に示すように、車両2は、車載装置として、センサ21と、ナビゲーション装置22と、コントローラ23と、通信装置24と、駆動制御装置25と、制動制御装置26と、操舵制御装置27と、出力装置28とを備える。車両2の各車載装置は、相互に情報の送受信を行うために、例えば、CAN(Controller Area Network)、イーサネット(商標登録)などによって接続されている。車両2のコントローラ23は、車両2が移動支援装置1によりユーザへの配車車両として選定されると、移動支援装置1により立案された移動計画を実現するために、車両2に自律走行を実行させる。自動運転(自律走行)は、無人の完全自動運転であってもよいし、有人の一部自動運転であってもよい。自律走行の手法は特に限定されないが、例えば、コントローラ23は、車両2(自車両)が走行している車線を認識し、車線のレーンマーカの位置と車両2の位置とが所定の関係を維持するように車両2の動きを制御する。レーンマーカは、レーンを規定する機能を有するものであれば限定されず、路面に描かれた線図、道路に埋め込まれた発光体、レーンの間に存在する植栽、レーンの路肩側に存在するガードレール、縁石、歩道、二輪車専用道路などの道路構造物であってもよい。
【0019】
センサ21は、車両2の走行状態及び周辺状況を検出するセンサである。センサ21は、一又は複数のセンサで構成され、車両2の所定位置に設けられている。車両2の走行状態を検出するセンサ21としては、例えば、舵角センサ、アクセル開度センサ、ブレーキ開度センサ、速度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサなどが挙げられる。車両2の走行状態を示す物理量としては、車両2の操舵量、操舵速度、操舵加速度、アクセル開度量、ブレーキ開度量、車速、加速度、ヨー方向、ピッチ方向、及びロール方向の角速度などが挙げられる。また車両2の周辺状況を検出するセンサ21としては、例えば、カメラ、ミリ波レーダー、超音波ソナー、Lidarなどが挙げられる。車両2の周辺状況を示す情報としては、車両2の周辺撮像画像、車両2の周辺に存在する障害物と車両2との相対的な位置関係、当該障害物の移動方向及び移動速度などが挙げられる。センサ21により検出された、車両2の走行状態及び周辺状況を示す各種情報は、コントローラ23に出力される。
【0020】
ナビゲーション装置22は、車両2の出発地から目的地に至る車両2の走行経路を探索し、乗車中のユーザに対して車両2の走行経路を提示する。走行経路とは、これから車両2が走行する予定の経路である。本実施形態では、ナビゲーション装置22は、走行経路の探索を行わず、移動支援装置1から送信される走行経路をユーザに提示するが、移動支援装置1に代えて、ナビゲーション装置22が走行経路を探索する構成でもよい。
【0021】
図1に示すように、ナビゲーション装置22は、位置検出装置22aと、高精度地図情報22bとを有する。位置検出装置22aは、GPS衛星から車両2の位置情報を取得する。位置情報の一例としては、緯度及び経度の情報が挙げられる。位置検出装置22aは、予め定められた所定の周期ごとに、GPS衛星から車両2の位置情報を取得し、車両2の位置情報を更新する。位置検出装置22aにより検出された車両2の位置情報は、コントローラ23に出力される。
【0022】
高精度地図情報22bは、自律走行を可能にするための高精度の電子地図であり、緯度経度と地図情報が対応付けられた情報である。高精度地図情報22bは、道路情報、交通規則情報を含む。道路情報は、道路の種別(例えば、一般道路、有料道路など)や、交差点、停止線、信号機、及び道路標識の位置を含む、道路に関する情報である。交通規則情報は、道路交通法に基づく情報であり、交通規則に関する情報である。
【0023】
コントローラ23は、プロセッサ23aを有し、車両2の自律走行処理を実行させるプログラムが格納されたROMと、このROMに格納されたプログラムを実行するCPUと、アクセス可能な記憶装置として機能するRAMと、を備えるコンピュータである。プロセッサ23aは、自律走行処理として、移動計画に含まれる走行経路に沿って目的地まで車両2が移動するように、駆動制御装置25、制動制御装置26、及び操舵制御装置27を制御する。車両2の目的地は、移動支援装置1により選定されたユーザの乗車地及び/又は降車地である。例えば、車両2がユーザを迎えに行く場合、コントローラ23は、ユーザの乗車地まで車両2を自律走行させる。また例えば、車両2がユーザを送る場合、コントローラ23は、ユーザの降車地まで車両2を自律走行させる。また例えば、車両2がユーザの送り迎えを行う場合、コントローラ23は、ユーザの乗車地を経由してユーザの降車地まで車両2を自律走行させる。目的地に至るまでの自律走行において、コントローラ23は、センサ21により検出された車両2の走行状態及び周辺状況に基づき、駆動制御装置25、制動制御装置26、及び操舵制御装置27への制御信号を生成し、生成した制御信号を各装置に出力する。
【0024】
通信装置24は、各種通信規格に対応する通信インターフェースである。通信装置24は、例えば、有線LAN規格、無線LAN規格などに対応する。通信装置24は、通信回線網4を介して、移動支援装置1及びユーザ端末装置3との間で情報の送受信を行う。
【0025】
駆動制御装置25は、コントローラ23からの制御信号に基づき、車両2の走行駆動源である電動モータ及び/又は内燃機関、これら走行駆動源からの出力を駆動輪に伝達するドライブシャフトや自動変速機を含む動力伝達装置や動力伝達装置を制御する駆動装置を制御することで、車両2のアクセルを制御する。制動制御装置26は、コントローラ23からの制御信号に基づき、車両2の車輪を制動する制動装置を制御することで、車両2のブレーキを制御する。駆動制御装置25によるアクセル制御と、制動制御装置26によるブレーキ制御によって、車両2の速度は自律的に制御される。
【0026】
操舵制御装置27は、コントローラ23からの制御信号に基づき、ステアリングホイール(いわゆるハンドル)の操舵角度に応じて操舵輪を制御するステアリングアクチュエータを制御する。操舵制御装置27は、入力された制御信号に基づき、走行経路に対して所定の横位置を維持しながら車両2が走行するように、ステアリングアクチュエータの動作を自律的に制御する。
【0027】
出力装置28は、移動計画に関する情報を出力する。移動計画に関する情報は、車両2の走行経路、車両2の目的地、及び目的地への到着時刻を含む。出力装置28には、通信装置24を介して、移動支援装置1から移動計画に関する情報が入力される。出力装置28としては、例えば、液晶パネル、有機ELパネルなどのディスプレイや音声出力可能なスピーカー等が挙げられる。出力装置28は、ナビゲーション装置22に代えて又はこれとともに、地図上における車両2の走行経路を表示してもよいし、スピーカーを介して到着時刻案内や経路案内を音声出力してもよい。
【0028】
次に、移動支援装置1について説明する。本実施形態の移動支援装置1は、配車システム100の一部を構成する。移動支援装置1は、ユーザからの乗降リクエストを受け付けると、ユーザの乗降地を選定する。また移動支援装置1は、乗降リクエストに乗車リクエストが含まれる場合、ユーザに割り当てる車両2を選定する。移動支援装置1は、乗降地までの車両2の走行経路及びユーザの移動経路を算出するとともに、乗降地への車両2及びユーザの到着時刻を算出する。さらに移動支援装置1は、これらの処理結果を含む移動計画を立案する。移動支援装置1は、通信装置13を介して、移動計画に関する情報を、車両2及びユーザ端末装置3に送信する。このような一連の処理又はその一部の処理を行うことで、移動支援装置1は、配車システム100によるユーザの移動を支援する装置として機能する。
【0029】
図1に示すように、移動支援装置1は、プロセッサ11と、記憶装置12と、通信装置13とを備える。記憶装置12は、配車システム100に関する情報を記憶する。例えば、記憶装置12は、各ユーザが入力した複数の乗降リクエスト、各ユーザによる配車システム100の利用履歴(乗降履歴を含む)、各車両2のスケジュール、地図情報などを記憶する。通信装置13は、各種通信規格に対応する通信インターフェースである。通信装置13は、例えば、有線LAN規格、無線LAN規格などに対応する。通信装置13は、通信回線網4を介して、車両2及びユーザ端末装置3との間で情報の送受信を行う。また通信装置13は、車両2及びユーザ端末装置3以外にも、通信回線網4を介して、ネットワーク上に存在する情報管理サーバー、データベース、又はシステム(いずれも図示しない)との間で情報の送受信を行う。
【0030】
プロセッサ11は、ユーザへの移動支援処理を実行させるプログラムが格納されたROMと、このROMに格納されたプログラムを実行するCPUと、アクセス可能な記憶装置として機能するRAMと、を備えるコンピュータである。
【0031】
図2は、プロセッサ11のブロック構成図である。プロセッサ11は、図2に示すように、リクエスト取得部111、乗降地選定部112、車両候補抽出部113、停止時間算出部114、道路交通情報取得部115、交通影響度算出部116、車両選定部117、移動計画立案部118、及び通知部119を備える。プロセッサ11は、これらのブロックの機能を実現するためのソフトウェアと、上述したハードウェアの協働により各機能を実現する。
【0032】
リクエスト取得部111は、通信装置13を介して、ユーザ端末装置3から乗降リクエストを取得する。乗降リクエストは、ユーザが乗車を希望するリクエスト及び/又はユーザが降車を希望するリクエストを含む。乗降リクエストは、ユーザにより入力され、ユーザが希望するリクエスト地点を含んでもよい。ユーザが希望するリクエスト地点としては、例えば、ユーザ端末装置3の位置検出装置31により検出された現在地、ユーザにより入力された希望乗車地、ユーザの過去の乗車履歴に基づく乗車地、ユーザにより入力された希望降車地、ユーザの過去の降車履歴に基づく降車地などが挙げられる。リクエスト地点は、緯度経度などの座標値であってもよいし、停留所、駅などの施設の識別情報であってもよい。リクエスト地点は、位置情報(座標値)でなくともよい。
【0033】
乗降リクエストに含まれるその他の情報について説明する。乗降リクエストは、ユーザに関する情報を含んでいてもよい。ユーザに関する情報は、ユーザ端末装置3の現在地、ユーザが乗降リクエストした日時、ユーザを含めた車両2の利用者の人数、ユーザが配車システム100を利用した履歴情報(乗車地の履歴、降車地の履歴を含む)、ユーザが車両2に載せる荷物の数及びその態様(スーツケース、所定以上の大きさの荷物、所定長さ以上の荷物)などを含む。乗降リクエストに含まれるこれらの情報は、ユーザが入力装置32に入力した情報に加えて、ユーザ端末装置3で記憶する情報を含む(記憶場所は特に限定されない)。
【0034】
乗降地選定部112は、リクエスト取得部111により取得された乗降リクエストに基づき、ユーザの乗降地を選定する。乗降地選定部112は、記憶装置12から地図情報を取得し、地図上に選定した乗降地を設定する。乗車リクエストの場合、乗降地選定部112は、ユーザの現在地(ユーザ端末装置3の現在地)又はその周辺を乗車地として選定してもよいし、ユーザが希望する希望乗車地を乗車地として選定してもよいし、あるいは、乗車地の履歴に含まれる過去の乗車地を乗車地として選定してもよい。また降車リクエストの場合、乗降地選定部112は、ユーザが希望する希望降車地を降車地として選定してもよいし、あるいは、降車地の履歴に含まれる過去の降車地を降車地として選定してもよい。乗降車リクエストの場合、乗降地選定部112は、上述した例のいずれかを用いて、乗車地及び降車地を選定してもよい。
【0035】
車両候補抽出部113は、乗降地選定部112により選定された乗降地に到着可能であり、ユーザが乗降する複数の車両2の候補(以降、単に複数の車両候補と称す)を抽出する。車両候補抽出部113は、車両候補を抽出するために、各車両2の現在の状況を取得する。例えば、車両候補抽出部113は、通信装置13を介して、各車両2から現在地を取得してもよい。また例えば、車両候補抽出部113は、記憶装置12から、各車両2の移動状況を示す移動スケジュールを取得してもよい。車両候補抽出部113は、各車両2の状況を取得した後、複数の車両候補から、ユーザの乗車地周辺に位置し、ユーザが乗車可能な複数の車両候補を抽出する。車両候補抽出部113は、例えば、相乗りを許容するユーザが利用中の車両2を車両候補として抽出してもよいし、所定の待機場所で待機している車両2を車両候補として抽出してもよいし、あるいは、回遊走行中の車両2を車両候補として抽出してもよい。車両候補抽出部113における抽出工程の回数は特に限定されない。例えば、車両候補抽出部113は、ユーザが乗車可能な複数の車両候補を抽出後、さらにその中から、ユーザの乗車地から所定範囲内に位置する複数の車両候補を抽出してもよい。なお、ユーザのリクエストが降車リクエストのみの場合、ユーザは既に車両2に乗車していることが前提のため、車両候補抽出部113は車両候補の抽出を行わない。
【0036】
停止時間算出部114は、車両候補抽出部113により抽出された車両候補の走行状況及びユーザに関する情報に基づき、車両候補ごとに、乗降地選定部112により選定された乗降地での車両候補の停止時間を算出する。車両候補の停止時間とは、乗降又は待機のために車両候補が乗降地で停止する時間である。別の言い方をすれば、車両候補の停止時間は、ユーザが乗車地で乗るため又は降車地で降りるための停車時間、及び乗車地でユーザを待つための駐車時間を含む。例えば、停止時間算出部114は、車両候補ごとに、乗車地へのユーザの到着時刻と乗車地への車両候補の到着時刻との差分の時間を、車両候補の停止時間として算出する。車両候補がユーザよりも先に乗車地に到着する場合、停止時間は正の時間として算出され、ユーザが車両候補よりも先に乗車地に到着する場合、停止時間は負の時間として算出される。この算出処理を行うにあたり、停止時間算出部114は、ユーザの現在地から乗車地までの最短経路を探索し、探索された経路に沿ってユーザが移動した場合のユーザの到着時刻を算出する。また停止時間算出部114は、車両候補の現在地から乗車地までの最短経路を探索し、探索された経路に沿って車両候補が移動した場合の車両候補の到着時刻を算出する。ユーザの到着時刻の算出には、例えば、予め定められたユーザの移動速度(歩行速度)が用いられ、また車両候補の到着時刻の算出には、例えば、最短経路上の法定速度が用いられる。また車両候補の到着時刻の算出には、センサ21により検出された現在の車速、経路の渋滞情報などを加味してもよく、例えば、停止時間算出部114は、道路交通情報を管理する道路交通管理センター(図示しない)から渋滞情報を取得し、渋滞情報に基づき、車両候補の到着時刻を遅らせてもよい。なお、停止時間算出部114は、ユーザの現在地について、通信装置13を介して、ユーザの現在地を改めて取得してもよいし、乗降リクエストに含まれるユーザの現在地を用いてもよい。また停止時間算出部114は、各車両候補の現在地について、通信装置13を介して、各車両候補の現在地を改めて取得してもよいし、車両候補抽出部113により取得された各車両候補の現在地を用いてもよい。また停止時間算出部114によるユーザ及び車両候補の到着時刻の算出には、本願出願時における公知の算出方法を適宜用いることができる。
【0037】
道路交通情報取得部115は、交通影響度算出部116が交通影響度を算出するために必要な道路交通情報を取得する。道路交通情報は、乗降地選定部112により選定された乗降地周辺の道路に関する道路交通情報である。道路交通情報は、車線数及び車線幅を含む道路の特性(静的な情報)と、道路の交通量や駐停車状況(動的な情報)とを含む。
【0038】
図3は、道路交通情報を説明するための説明図である。図3(A)は、片側一車線で直線形状の道路Rの周辺に、乗降地選定部112により乗降地Pが選定された場面を示す図である。図3(A)に示す場面では、乗降地Pに対して車両進行方向の手前には車両V1~車両V3が駐車又は停車している。このため、道路Rを走行する車両は、乗降地Pの手前では直進できず、車両V1~車両V3を避けて走行する必要があり、減速や進路の変更が必要となる。図3(A)の場面において、道路Rを走行する車両の平均車速は、車両V1~車両V3が存在しない場合の平均車速に比べて遅くなる。
【0039】
図3(B)は、図3(A)に示す道路Rの道路交通情報の一例である。道路交通情報取得部115は、図3(B)に示すように、通信装置13を介して、地図DB(地図データベース)から道路Rに関する地図情報を取得する。道路Rに関する地図情報は、道路Rの位置、形状、車線数、及び車線幅を含む。なお、地図情報は、移動支援装置1の外部にある地図DBから取得することに限られず、地図DBが記憶装置12に記憶される構成であってもよい。また道路交通情報取得部115は、図3(B)に示すように、通信装置13を介して、道路Rに設けられたカメラ(道路状況ライブカメラなど)や所定のサーバー装置に格納されるオープンデータから、道路Rに関するインフラ情報を取得する。道路Rに関するインフラ情報としては、例えば、現在の道路Rの状況を示す撮像画像や動画などが挙げられる。また道路交通情報取得部115は、図3(B)に示すように、通信装置13を介して、車両管理DB(車両管理データベース)から、駐停車している車両V1~車両V3の車両情報を取得する。車両情報は、車両の位置情報を含む。また駐停車中の車両が、図1に示す車両2と同様、配車システム100を構成する車両の場合、車両情報は、車両の予定情報(乗降地の場所、乗降地への到着時刻及び出発時刻、乗降地での停止時間など)を含む。
【0040】
図3(B)の例において、道路交通情報取得部115は、取得した各種情報又は取得した各種情報から算出された情報に基づいて、図3(A)の場面を示す道路交通情報を構築する。道路交通情報取得部15により構築された道路交通情報としては、図3(B)に示すように、車線数、車線幅、車両の通過状況、駐停車状況が挙げられる。図3(B)に示す車線数、車線幅、車両の通過状況、及び駐停車状況は、図3(A)の場面を示している。
【0041】
交通影響度算出部116は、道路交通情報取得部115により取得された、道路の特性、道路の交通量、及び道路の駐停車状況のうち少なくとも何れか一つに基づき、ユーザの乗降又はユーザを待機するために車両2が乗降地で停止することで道路の交通流に与える影響度を、交通影響度として算出する。車両2の乗降地とは、乗降地選定部112により選定された乗降地である。本明細書において、道路の交通流とは、道路上における車両の行動を個々の運動としてではなくこれらの集積である流れとしてとらえたものである。交通流の状態を量的に表す変数を交通流パラメータといい、例えば、交通密度、車速、交通量などが挙げられる。交通流における交通密度とは、特定道路区間において、単位距離当たりに存在する車両の台数である。交通流における交通量とは、特定時間内において特定地点を通過した車両の台数である。交通流における速度とは、特定地点を通過する車両の速度を時間的に平均したもの、又は特定時刻に特定区間内に存在する車両の速度を平均したものである。交通影響度算出部116は、乗降地周辺の道路について、車両2が乗降地で停止することによって、交通流における交通密度、車速、又は交通量が変化する程度を、交通影響度として算出する。以降、図4を用いて、交通影響度の算出例について説明する。図4は、交通影響度の算出例を説明するための説明図である。
【0042】
例えば、交通影響度算出部116は、図4(A)に示すように、乗降地の混雑度として、乗降地での駐停車可能スペースの広さに対する駐停車車両の台数を算出する。これは、乗降地の混雑度と交通影響度との間には比例関係があるという考えに基づき、乗降地が混雑しているほど交通流への影響が大きくなり、交通影響度は大きく算出される。図4(A)の式から、乗降地の混雑度は、駐停車車両の台数が多いほど大きく算出される。交通影響度算出部116は、例えば、道路交通情報取得部115により取得されたインフラ情報から、乗降地周辺の駐停車車両の存否及びその台数を特定する。交通影響度算出部116は、乗降地周辺の道路に存在する駐停車車両が所定の台数よりも多い場合、駐停車車両が所定の台数よりも少ない場合に比べて、交通影響度を大きく算出する。所定の台数は、予め定められた台数であって、例えば、実験的に求められ、記憶装置12に記憶されている。駐停車車両が存在しない場合、乗降地の混雑度は最も小さく、交通影響度算出部116は、交通影響度を最も小さく算出する。なお、交通影響度算出部116は、インフラ情報に代えて又はこれとともに、車両情報に含まれる車両の位置情報から、乗降地周辺の駐停車車両の存否及びその台数を特定してもよい。
【0043】
また図4(A)に示す式から、同じ駐停車車両の台数であっても、乗降地の混雑度は、駐停車可能スペースが狭い乗降地ほど大きく算出される。交通影響度算出部116は、例えば、道路交通情報取得部115により取得された地図情報から、乗降地での駐停車可能スペースの大きさを特定する。交通影響度算出部116は、乗降地周辺の道路における車線幅が所定の車線幅よりも狭い場合、車線幅が所定の車線幅よりも広い場合に比べて、交通影響度を大きく算出する。所定の車線幅は、予め定められた車線幅であって、例えば、実験的に求められ、記憶装置12に記憶されている。なお、交通影響度算出部116は、地図情報に代えて又はこれとともに、インフラ情報に含まれる乗降地周辺の撮像画像から、乗降地での駐停車可能スペースの大きさを特定してもよい。
【0044】
また図3(A)の例のように、車両V1~車両V3が乗降地Pの手前で駐停車するため、車両2が乗降地Pに到着できない場合、車両2は、車両V1~車両V3が出発するまで乗降地Pの周辺を回遊走行したり、乗降地Pに向かって低速走行したりする必要がある。このような場合、車両2の到着時刻は、車両V1~車両V3の停止時間に応じて遅くなる。例えば、図4(B)に示すように、車両V1~車両V3がN分間乗降地に駐停車するによって、車両2の到着時刻が遅れ、その結果、ユーザを待つための車両2の停止時間は予定されていた停止時間よりも短くなる場合がある。
【0045】
交通影響度算出部116は、例えば、道路交通情報取得部115により取得された車両情報から、車両V1~車両V3それぞれの停止時間を特定し、図4(B)に示すように、乗降地の混雑度として、車両2の当初予定の停止時間に対する駐停車車両の停止時間を算出してもよい。なお、交通影響度算出部116は、車両情報に代えて又はこれとともに、インフラ情報に含まれる乗降地周辺の撮像画像から、車両V1~車両V3の停止時間を特定してもよい。
【0046】
図4(A)及び図4(B)を用いて、乗降地の混雑度という観点から、交通影響度の算出例を説明したが、交通影響度算出部116は、上述した交通流における車速又は交通量に基づいて、交通影響度を算出してもよい。交通影響度算出部116は、例えば、道路交通情報取得部115により取得されたインフラ情報から、乗降地周辺の道路を通過する車両の台数を特定する。また交通影響度算出部116は、例えば、道路交通情報取得部115により取得された地図情報に含まれる車線数及び車線幅から、乗降地周辺の道路において、車両が走行可能なスペース(例えば、車線数と車線幅の乗算値)を特定する。車両が走行可能なスペースとは、駐停車車両の占有スペースを除くスペースである。そして、交通影響度算出部116は、図4(C)に示すように、駐停車車両が存在する場合の交通流(X2台/km)を算出する。また交通影響度算出部116は、乗降地周辺の道路での法定速度に基づき、駐停車車両が存在しない場合の交通流(X1台/km)を算出する。交通影響度算出部116は、駐停車車両が存在する場合の交通流(X2台/km)を駐停車車両が存在しない場合の交通流(X1台/km)で除算することで、交通流への影響度を算出してもよい。なお、その他の例として、交通影響度算出部116は、乗降地周辺の道路の交通量が所定の交通量よりも多い場合、当該交通量が当該所定の交通量よりも少ない場合に比べて、交通影響度を大きく算出してもよい。所定の交通量は、予め定められた交通量であって、例えば、実験的に求められ、記憶装置12に記憶されている。
【0047】
図4(A)~図4(C)を用いて交通影響度の算出例を説明したが、交通影響度算出部116は、各例のいずれかの値を交通影響度としてもよい。また交通影響度算出部116は、各例での値をそれぞれ算出し、各例での値に対して重みづけ処理を行ったうえで合算してもよい。この場合、交通影響度は、図4(A)~図4(C)に示す各値が反映されて算出される。
【0048】
図2に戻り、移動支援装置1の機能ブロックについて説明する。車両選定部117は、交通影響度算出部116により算出された乗降地周辺の道路における交通影響度に基づき、車両候補抽出部113により抽出された複数の車両候補から一の車両2を選定する。車両選定部117は、乗降地周辺の道路における交通影響度が所定の閾値以上の場合、車両2が乗降地で停止することによる交通流への影響は大きいものとして、複数の車両候補のうち、停止時間が相対的に短い車両候補を優先して一の車両2(ユーザへの配車車両)として選定する。具体的に、車両選定部117は、乗降地周辺の道路における交通影響度が所定の閾値以上の場合、複数の車両候補のうち、ユーザよりも遅れて乗降地に到着する車両候補を一の車両2として選定する。所定の閾値は、予め定められた閾値であって、ユーザよりも遅れて乗降地に到着する車両2を選定するか否かを判定するための値である。所定の閾値は、例えば、実験的に求められ、記憶装置12に記憶されている。なお、所定の閾値は、固定された閾値に限られず、ユーザが配車システム100を利用する時間帯、道路の車線数又は車幅、天気などに応じて変わる閾値であってもよい。ユーザよりも遅れて乗降地に到着する場合、車両2がユーザを待つ必要はないため、ユーザよりも先に乗降地に到着した場合に比べて、乗降地での車両2の停止時間は短くなる。交通影響度が所定の閾値以上の場合、すなわち、乗降地で車両2が停止すると道路の交通流への影響が比較的大きい場合、乗降地での停止時間が短い車両2を選定する方が、交通流に影響する時間が短くなり、その影響度合いを低減できるという思想に基づく。
【0049】
一方、車両選定部117は、乗降地周辺の道路における交通影響度が所定の閾値未満の場合、車両2が乗降地で停止することによる交通流への影響度は小さいものとして、複数の車両候補のうち、乗降地へのユーザの到着時刻と車両2の到着時刻との差が相対的に小さい車両2を配車車両として選定する。到着時刻は、停止時間算出部114により算出された時刻である。なお、この場合、乗降地への到着順序について、ユーザ又は車両2のいずれかが先に乗降地に到着してもよい。交通影響度が所定の閾値未満の場合、すなわち、乗降地で車両2が停止しても道路の交通流への影響が比較的小さい場合、ユーザと車両2の到着時刻の差が小さい車両2を選定する方が、ユーザの待ち時間を減らすことができるという思想に基づく。
【0050】
移動計画立案部118は、上述した各処理結果を含む移動計画を立案する。移動計画は、乗降地に関する情報として、乗降地選定部112により選定された乗降地の位置情報を含む。また移動計画は、ユーザに関する情報として、乗車地までのユーザの移動経路、乗車地へのユーザの到着時刻を含む。また移動計画は、車両選定部117により選定された一の車両2に関する情報として、乗降地までの車両2の走行経路、乗降地への車両2の到着時刻を含む。なお、移動計画は、その他に、乗降地周辺の道路における道路交通情報及び交通影響度などを含んでいてもよい。
【0051】
通知部119は、通信装置13を介して、移動計画立案部118により立案された移動計画に関する情報を、車両2及びユーザ端末装置3に送信する。通知部119は、少なくとも、乗降地の位置情報、乗降地までの車両2の走行経路、及び乗降地への車両2の到着時刻を車両2に送信する。また通知部119は、少なくとも、乗降地の位置情報、車両2の車両情報、乗車地までのユーザの移動経路、及び乗車地へのユーザの到着時刻をユーザ端末装置3に送信する。
【0052】
次に、図5のフローチャートを参照しながら、本実施形態に係る移動支援方法の一例を説明する。図5に示すフローチャートは、図1に示す移動支援装置1のプロセッサ11により実行される。また、図5に示すフローチャートは、乗車及び降車を希望する乗降リクエストの場合のフローチャートの一例である。
【0053】
ステップS1では、プロセッサ11は、ユーザ端末装置3から、配車システム100の利用を希望するユーザの乗降リクエストを取得する。乗降リクエストは、ユーザの現在地、乗車及び降車希望地、リクエスト日時、ユーザの識別情報、ユーザの属性、ユーザの利用履歴、ユーザの乗降履歴などを含む。
【0054】
ステップS2では、プロセッサ11は、ステップS1で取得した乗降リクエストに基づき、ユーザの乗車地及び降車地を選定する。例えば、プロセッサ11は、ユーザの乗車地として、地図情報から、ユーザの現在地(ユーザ端末装置3の現在地)又はその周辺を選定する。また例えば、プロセッサ11は、ユーザの降車地として、地図情報から、ユーザの希望降車地又はその周辺を選定する。
【0055】
ステップS3では、プロセッサ11は、複数の車両候補を抽出する。例えば、プロセッサ11は、複数の車両2から各車両の現在地を取得し、ステップS2で選定した乗車地の周辺に位置し、ユーザが乗車可能な複数の車両候補を抽出する。
【0056】
ステップS4では、プロセッサ11は、ステップS3で抽出した車両候補ごとに、ステップS2で選定した乗車地へのユーザ及び車両候補の到着時刻を算出する。例えば、プロセッサ11は、車両候補ごとに、乗車地までの車両候補の走行経路を算出し、算出した走行経路に沿って走行した場合の乗車地への到着時刻を算出する。また例えば、ステップS2において、ユーザの現在地周辺に乗車地が選定された場合、プロセッサ11は、乗車地までのユーザの移動経路を算出し、算出した移動経路に沿って移動した場合の乗車地への到着時刻を算出する。なお、プロセッサ11は、乗車地までの車両候補の走行経路又はユーザの移動経路が複数存在する場合、最短時間で到着可能な乗車地への到着時刻を算出する。
【0057】
ステップS5では、プロセッサ11は、ステップS4での算出結果から、車両候補ごとに、乗車地での車両候補の停止時間を算出する。例えば、プロセッサ11は、車両候補ごとに、乗車地へのユーザの到着時刻と乗車地への車両候補の到着時刻との差分の時間を、車両候補の停止時間として算出する。なお、図5に示すフローチャートの例では、ステップS5の処理は必ずしも必要ではなく、プロセッサ11は、ステップS4の処理が終了した後、ステップS5を省略してステップS6の処理を実行してもよい。
【0058】
ステップS6では、プロセッサ11は、ステップS2で選定された乗車地について、乗車地周辺の道路における交通影響度を算出する。例えば、プロセッサ11は、地図DBから、乗車地周辺の道路に関する地図情報を取得する。また例えば、プロセッサ11は、道路に設けられたカメラや所定のサーバー装置に格納されるオープンデータから、乗車地周辺の道路に関するインフラ情報を取得する。また例えば、プロセッサ11は、乗車地周辺で駐停車している車両について、車両管理DBから、車両の位置、車両の予定情報を含む車両情報を取得する。
【0059】
プロセッサ11は、取得した交通道路情報に基づき、乗車地の周辺における交通影響度を算出する。例えば、プロセッサ11は、図4(A)及び図4(B)の例のように、乗車地の混雑度を交通影響度として算出する。また例えば、プロセッサ11は、図4(C)の例のように、交通流への影響度を交通影響度として算出する。なお、プロセッサ11は、乗車地の混雑度及び交通流への影響度それぞれに重みづけ処理を行ったうえで合算した値を、交通影響度としてもよい。
【0060】
ステップS7では、プロセッサ11は、ステップS6で算出した交通影響度が所定の閾値以上か否かを判定する。所定の閾値は、予め定められた閾値であって、例えば、実験的に求められ、記憶装置12に記憶されている。プロセッサ11により肯定的な判定がされた場合、ステップS8に進む。プロセッサ11により否定的な判定がされた場合、ステップS11に進む。
【0061】
ステップS7において肯定的な判定がされた場合、ステップS8に進む。ステップS8では、プロセッサ11は、ステップS3で抽出した複数の車両候補から、ユーザが乗車地に先に到着する一の車両2を特定する。ユーザよりも先に乗車地に到着する一の車両2を特定するにあたり、プロセッサ11は、ステップS4で算出した乗車地へのユーザ及び車両候補の到着時刻を用い、ユーザの到着時刻と車両候補の到着時刻とを比較することで、ユーザが乗車地に先着するか否かを判定できる。なお、プロセッサ11は、ステップS5での処理結果から、車両候補の停止時間が負の時間として算出された車両候補については、ユーザが乗車地に先着すると判定してもよい。またプロセッサ11は、ユーザが乗車地に先着する複数の車両候補が特定された場合、特定された複数の車両候補から、ユーザの待ち時間が最短時間となる一の車両2を特定する。
【0062】
ステップ9では、プロセッサ11は、ステップS8で特定した車両2又は後述するステップS11で特定した車両2をユーザに配車する配車車両として選定する。
【0063】
ステップS10では、プロセッサ11は、移動計画に関する情報をユーザ及び車両2に通知する。移動計画に関する情報は、ステップS2で選定された乗降地の位置情報、ステップS9で選定された配車車両の識別情報、ステップS4で算出された、乗車地までのユーザの移動経路及びユーザの到着時刻、乗降地までの配車車両の走行経路及び配車車両の到着時刻などを含む。ステップS10の処理が終了すると、プロセッサ11は、図5に示すフローチャートの処理を終了させる。
【0064】
一方、ステップS7において否定的な判定がされた場合、ステップS11に進む。ステップS11では、プロセッサ11は、ステップS3で抽出した複数の車両候補のうち、乗車地への車両の到着時刻と乗車地へのユーザの到着時刻との差が相対的に小さい一の車両2を特定する。このステップにおいて特定された車両は、ユーザよりも先に乗車地に到着する車両、及びユーザよりも後に乗車地に到着する車両のいずれも含む。ステップS7の処理が終了すると、ステップS9に進み、ステップS10の処理が終了するまで、プロセッサ11は、既述の説明に従って処理を実行する。
【0065】
以上のように、本実施形態に係る移動支援装置1は、ユーザの乗降リクエストに基づき、ユーザが乗降する複数の車両候補を抽出する車両候補抽出部113と、道路の特性、道路の交通量、及び道路の駐停車状況のうち少なくとも何れか一つに基づき、乗降又は待機のための車両2の停止が道路の交通流に与える影響度を交通影響度として算出する交通影響度算出部116と、交通影響度に基づき、複数の車両候補から一の車両2を選定する車両選定部117を備える。これにより、例えば、乗降地に到着するまでに回遊走行を必要とする車両を選定したりすることを抑制し、乗降地周辺で交通渋滞が発生するのを抑制することができる。
【0066】
また、本実施形態では、移動支援装置1は、車両候補の走行状況及びユーザに関する情報に基づき、所定の乗降地での車両候補の停止時間を算出する停止時間算出部114をさらに備える。また交通影響度算出部116は、所定の乗降地周辺の道路における交通影響度を算出し、車両選定部117は、交通影響度が所定の閾値以上の場合、複数の車両候補のうち、乗降地での停止時間が相対的に短い車両候補を優先的に一の車両2として選定する。これにより、乗降地での停止時間が長くなり、乗降地周辺の道路における交通流に与える影響を抑制することができる。その結果、乗降地周辺で交通渋滞が発生するのを抑制することができる。
【0067】
さらに、本実施形態では、車両選定部117は、ユーザよりも遅く所定の乗降地に到着する車両候補を一の車両2として選定する。これにより、ユーザよりも先に乗降地に到着してしまい、乗降地での停止時間が長くなるのを抑制することができる。その結果、乗降地周辺で交通渋滞が発生するのを抑制することができる。
【0068】
加えて、本実施形態では、交通影響度算出部116は、所定の乗降地周辺の道路について、当該道路の車線幅が所定の車線幅よりも狭い場合、車線幅が当該所定の車線幅よりも広い場合に比べて、交通影響度を大きく算出する。これにより、車線幅に応じた交通影響度を適切に算出することができ、交通影響度の算出精度を向上させることができる。
【0069】
また、本実施形態では、交通影響度算出部116は、所定の乗降地周辺の道路について、当該道路の車線数が所定の車線数よりも少ない場合、車線数が当該所定の車線数よりも多い場合に比べて、交通影響度を大きく算出する。これにより、車線数に応じた交通影響度を適切に算出することができ、交通影響度の算出精度を向上させることができる。
【0070】
さらに、本実施形態では、交通影響度算出部116は、所定の乗降地周辺の道路について、当該道路の交通量が所定の交通量よりも多い場合、交通量が当該所定の交通量よりも少ない場合に比べて、交通影響度を大きく算出する。これにより、交通量に応じた交通影響度を適切に算出することができ、交通影響度の算出精度を向上させることができる。
【0071】
加えて、本実施形態では、交通影響度算出部116は、所定の乗降地周辺の道路について、当該道路の駐停車車両が所定の台数よりも多い場合、駐停車車両が当該所定の台数よりも少ない場合に比べて、交通影響度を大きく算出する。これにより、駐停車車両の台数に応じた交通影響度を適切に算出することができ、交通影響度の算出精度を向上させることができる。
【0072】
≪第2実施形態≫
次に、本発明の第2実施形態に係る移動支援装置及び移動支援方法について、図6及び図7を用いて説明する。本実施形態の移動支援装置1は、プロセッサ14の処理が第1実施形態のプロセッサ11の処理と異なる以外は、第1実施形態と同様の構成を有するため、同様の構成については説明を省略し、既述の説明を援用する。第1実施形態に係る移動支援装置1では、乗降地を選定したうえで、交通影響度に基づいて一の車両2を選定していたが、本実施形態に係る移動支援装置1は、車両2を選定したうえで、交通影響度に基づいて一の乗降地を選定する点で異なる。
【0073】
図6は、プロセッサ14のブロック構成図である。プロセッサ14は、図6に示すように、リクエスト取得部111、車両選定部141、乗降地候補抽出部142、停止時間算出部143、道路交通情報取得部144、交通影響度算出部145、乗降地選定部146、移動計画立案部118、通知部119を備える。プロセッサ14は、これらのブロックの機能を実現するためのソフトウェアと、上述したハードウェアの協働により各機能を実現する。リクエスト取得部111、移動計画立案部118、及び通知部119は、第1実施形態のブロックと同様のため、繰り返しの説明を省略して、既述の説明を援用する。
【0074】
車両選定部141は、リクエスト取得部111により取得された乗降リクエストに基づき、ユーザが乗降する一の車両2(配車車両)を選定する。例えば、車両選定部141は、ユーザの現在地から所定の範囲内に位置する複数の車両候補のうち、ユーザが利用可能であって、ユーザの現在地に最短時間で到着可能な車両候補を一の車両2として選定する。なお、ユーザのリクエストが降車リクエストのみの場合、ユーザは既に車両2に乗車していることが前提のため、車両選定部141は車両2の選定を行わない。
【0075】
乗降地候補抽出部142は、リクエスト取得部111により取得された乗降リクエストに基づき、ユーザが乗降可能な複数の乗降地候補を抽出する。乗降地候補抽出部142は、乗降地候補を抽出するために、例えば、記憶装置12に記憶される地図情報から、ユーザの現在地から所定の範囲内に位置し、ユーザが乗降可能な複数の乗降地候補を抽出する。
【0076】
停止時間算出部143は、車両選定部141により選定された一の車両2の走行状況及びユーザに関する情報に基づき、乗降地候補ごとに、乗降又は待機のために車両2が乗降地候補で停止する時間を算出する。例えば、停止時間算出部143は、乗降地候補ごとに、乗降地候補へのユーザの到着時刻と乗降地候補への車両2の到着時刻との差分の時間を、乗降地候補での車両2の停止時間として算出する。ユーザが車両2よりも先に乗降地候補に到着する場合、停止時間は負の時間として算出され、車両2がユーザよりも先に乗降地候補に到着する場合、停止時間は正の時間として算出される。なお、到着時刻の算出については、第1実施形態の停止時間算出部114と同様のため、既述の説明を援用する。
【0077】
道路交通情報取得部144は、交通影響度算出部145が交通影響度を算出するために必要な道路交通情報を取得する。道路交通情報は、乗降地候補抽出部142により抽出された乗降地候補周辺の道路に関する道路交通情報である。道路交通情報取得部144は、乗降地候補ごとに、道路交通情報を取得する。なお、道路交通情報の取得については、第1実施形態の道路交通情報取得部115と同様のため、既述の説明を援用する。
【0078】
交通影響度算出部145は、道路交通情報取得部115により取得された、道路の特性、道路の交通量、及び道路の駐停車状況のうち少なくとも何れか一つに基づき、ユーザの乗降又はユーザを待機するために車両2が乗降地候補で停止することで道路の交通流に与える影響度を、交通影響度として算出する。交通影響度算出部145は、乗降地候補ごとに交通影響度を算出する。なお、交通影響度の算出については、第1実施形態の交通影響度算出部116と同様のため、既述の説明を援用する。
【0079】
乗降地選定部146は、交通影響度算出部145により算出された乗降地候補周辺の道路における交通影響度に基づき、乗降地候補抽出部142により抽出された複数の乗降地候補から一の乗降地を選定する。乗降地選定部146は、停止時間算出部143により算出された各乗降地候補での停止時間がいずれも所定の閾値時間以上の場合、車両2が各乗降地候補で停止することによる交通流への影響は大きいものとして、複数の乗降地候補のうち、交通影響度が相対的に小さい乗降地候補を優先的に一の乗降地として選定する。所定の閾値時間は、予め定められた時間であって、例えば、実験的に求められ、記憶装置12に記憶されている。なお、所定の閾値時間は、固定された時間に限られず、ユーザが配車システム100を利用する時間帯、道路の車線数又は車幅、天気などに応じて変わる時間であってもよい。車両2の停止時間が比較的長い場合、車両2の停止による交通流への影響が大きくなることが予想されるため、相対的に交通影響度が小さい乗降地を選定する方が、交通流に与える影響度合いを低減できるという思想に基づく。
【0080】
一方、乗降地選定部146は、各乗降地候補での停止時間がいずれも所定の閾値時間未満の場合、車両2が各乗降地候補で停止することによる交通流への影響は小さいものとして、複数の乗降地候補のうち、ユーザの到着時刻と車両2の到着時刻との差が相対的に小さい乗降地候補を一の乗降地として選定する。到着時刻は、停止時間算出部143により算出された時刻である。なお、この場合、乗降地への到着順序について、ユーザ又は車両2のいずれかが先に乗降地に到着してもよい。車両2の停止時間が比較的短い場合、ユーザと車両2の到着時刻の差が小さい乗降地を選定する方が、ユーザの待ち時間を減らすことができるという思想に基づく。
【0081】
次に、図7のフローチャートを参照しながら、本実施形態に係る移動支援方法の一例を説明する。図7に示すフローチャートは、図6に示す移動支援装置1のプロセッサ14により実行される。また、図7に示すフローチャートは、乗車及び降車を希望する乗降リクエストの場合のフローチャートの一例である。
【0082】
ステップS21では、プロセッサ14は、ユーザ端末装置3から、配車システム100の利用を希望するユーザの乗降リクエストを取得する。このステップは、図5に示すステップS1に対応する。
【0083】
ステップS22では、プロセッサ14は、ステップS21で取得した乗降リクエストに基づき、ユーザが乗降する車両2を選定する。例えば、プロセッサ14は、ユーザの現在地周辺に位置する複数の車両候補のうち、ユーザの現在地に最短時間で到着可能な車両候補を、ユーザへの配車車両として選定する。
【0084】
ステップS23では、プロセッサ14は、複数の乗降地候補を抽出する。例えば、プロセッサ14は、複数の乗車地候補として、地図情報から、ユーザの現在地から所定の範囲内に位置する複数の乗車地候補を抽出する。また例えば、プロセッサ14は、複数の降車地候補として、地図情報から、ユーザの希望降車地から所定の範囲内に位置する複数の降車地候補を抽出する。
【0085】
ステップS24では、プロセッサ14は、ステップS23で抽出した乗降地候補ごとに、ユーザ及びステップS22で選定した車両2の到着時刻を算出する。例えば、プロセッサ14は、乗降地候補ごとに、乗降地候補までの車両2の走行経路を算出し、算出した走行経路に沿って走行した場合の乗降地への到着時刻を算出する。また例えば、プロセッサ14は、乗車地候補までのユーザの移動経路を算出し、算出した移動経路に沿って移動した場合の乗車地への到着時刻を算出する。なお、プロセッサ14は、乗降地候補までの車両2の走行経路又はユーザの移動経路が複数存在する場合、最短時間で到着可能な乗降地候補への到着時刻を算出する。
【0086】
ステップS25では、プロセッサ14は、ステップS24での算出結果から、ステップS23で抽出した乗車地候補ごとに、乗車地候補での車両2の停止時間を算出する。例えば、プロセッサ14は、乗車地候補ごとに、ユーザの到着時刻と車両2の到着時刻との差分の時間を、車両2の停止時間として算出する。
【0087】
ステップS26では、プロセッサ14は、ステップS23で抽出した乗降地候補ごとに、乗降地周辺の道路における交通影響度を算出する。このステップは、図5に示すステップS6に対応するため、交通影響度の算出については既述の説明を援用する。
【0088】
ステップS27では、プロセッサ14は、ステップS23で抽出した各乗降地候補について、ステップS25で算出した車両2の停止時間が所定の閾値時間以上であるか否かを判定する。所定の閾値時間は、予め定められた時間であって、例えば、実験的に求められ、記憶装置12に記憶されている。各乗降地候補での車両2の停止時間が所定の閾値以上の場合、プロセッサ14により肯定的な判定がされ、ステップS28に進む。一方、いずれかの乗降地候補での車両2の停止時間が所定の未満の場合、プロセッサ11により否定的な判定がされ、ステップS31に進む。
【0089】
ステップS27において肯定的な判定がされた場合、ステップS28に進む。ステップS28では、プロセッサ14は、ステップS23で抽出した複数の乗降地候補について交通影響度の比較を行い、複数の乗降地候補のうち、交通影響度が相対的に小さい乗降地を特定する。各乗降地候補周辺の道路における交通影響度は、ステップS26で算出された値である。プロセッサ14は、交通影響度が相対的に小さい複数の乗降地候補が特定された場合、特定された複数の乗降地候補から、ユーザの待ち時間が最短時間となる一の乗降地を特定する。
【0090】
ステップ29では、プロセッサ14は、ステップS27で特定した乗降地又は後述するステップS31で特定した乗降地を、ユーザの乗降地として選定する。
【0091】
ステップS30では、プロセッサ14は、移動計画に関する情報をユーザ及び車両2に通知する。移動計画に関する情報は、ステップS29で選定された乗降地の位置情報、ステップS22で選定された配車車両の識別情報、ステップS24で算出された、乗車地までのユーザの移動経路及びユーザの到着時刻、乗降地までの配車車両の走行経路及び配車車両の到着時刻などを含む。ステップS30の処理が終了すると、プロセッサ14は、図7に示すフローチャートの処理を終了させる。
【0092】
一方、ステップS27において否定的な判定がされた場合、ステップS31に進む。ステップS31では、プロセッサ14は、ステップS3で抽出した複数の乗降地候補のうち、車両2の到着時刻とユーザの到着時刻との差が相対的に小さい乗降地候補を、ユーザの乗降地として特定する。このステップにおいて特定された乗車地は、車両2がユーザよりも先に到着する乗車地、及び車両2がユーザよりも後に到着する乗車地のいずれも含む。ステップS27の処理が終了すると、ステップS29に進み、ステップS30の処理が終了するまで、プロセッサ14は、既述の説明に従って処理を実行する。
【0093】
以上のように、本実施形態に係る移動支援装置1は、ユーザの乗降リクエストに基づき、ユーザが乗降可能な複数の乗降地候補を抽出する乗降地候補抽出部142と、道路の特性、道路の交通量、及び道路の駐停車状況のうち少なくとも何れか一つに基づき、乗降又は待機のための車両2の停止が道路の交通流に与える影響度を交通影響度として算出する交通影響度算出部145と、交通影響度に基づき、複数の乗降地候補から一の乗降地を選定する乗降地選定部146を備える。これにより、例えば、路上駐車の多い地点を乗降地として選定したりするのを抑制し、乗降地周辺で交通渋滞が発生するのを抑制することができる。
【0094】
また本実施形態では、移動支援装置1は、車両候補の走行状況及びユーザに関する情報に基づき、乗降地候補での車両2の停止時間を算出する停止時間算出部143をさらに備える。また交通影響度算出部145は、乗降地候補周辺の道路における交通影響度を算出し、乗降地選定部146は、各乗降地候補での車両2の停止時間が所定の閾値時間以上の場合、複数の乗降地候補のうち、交通影響度が相対的に小さい乗降地候補を優先的に一の乗降地として選定する。これにより、乗降地での停止時間が比較的長い場合であっても、乗降地周辺の道路における交通流に与える影響を抑制することができる。その結果、乗降地周辺で交通渋滞が発生するのを抑制することができる。
【0095】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0096】
例えば、移動支援装置1は、上述した第1実施形態又は第2実施形態での移動支援方法を用いて、車両2の選定又は乗降地の選定を行えばよく、本発明の移動支援装置及び移動支援方法は、いずれかの実施形態に限定されるものではない。また上述した第2実施形態では、車両2を選定したうえで、複数の乗降地候補から一の乗降地を選定する構成のため、例えば、第2実施形態において、移動支援装置1は、サーバー装置ではなく、予め選定された車両2に搭載される構成でもよい。
【0097】
また例えば、上述した実施形態では、車両2が自律走行機能を備える構成を例に挙げて説明したが、車両2は、自律走行機能を備えておらず、ドライバによる運転で走行する車両であってもよい。また例えば、上述した実施形態では、車両及び乗降地の選定が終了した場合、移動計画に関する情報をユーザ及び車両2に通知する構成を例に挙げて説明したが、移動支援装置1は、その他に、自律走行させるために車両2に乗車地までの配車指示又は降車地までの走行指示を行ってもよい。
【0098】
また例えば、上述した第1実施形態において、車両選定部117は、車両2の停止時間のうちユーザの降車時間に基づき、複数の車両候補から一の車両2を選定してもよい。例えば、車両選定部117は、乗降リクエストに含まれる、ユーザを含めた車両2の利用者の人数、ユーザが車両2に載せる荷物の数及びその態様の情報に基づき、降車地での降車時間を算出する。車両選定部117は、例えば、車両2の利用者数が多いほど降車時間を長く算出する。また車両選定部117は、例えば、ユーザの荷物の数が多いほど降車時間を長く算出する。また車両選定部117は、荷物が所定の大きさ以上又は所定の長さ以上の荷物の場合、降車時間を長く算出する。そして、車両選定部117は、降車地での降車時間が相対的に短い車両候補を優先的に一の車両2として選定してもよい。これにより、例えば、降車時間が長い車両を選定するのを抑制し、乗降地周辺で交通渋滞が発生するのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0099】
100…配車システム
1…移動支援装置
11…プロセッサ
111…リクエスト取得部
112…乗降地選定部
113…車両候補抽出部
114…停止時間算出部
115…道路交通情報取得部
116…交通影響度算出部
117…車両選定部
118…移動計画立案部
119…通知部
2…車両
21…センサ
22…ナビゲーション装置
23…コントローラ
24…通信装置
25…駆動制御装置
26…制動制御装置
27…操舵制御装置
28…出力装置
3…ユーザ端末装置
31…位置検出装置
32…入力装置
33…出力装置
34…プロセッサ
35…通信装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7