(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】自動応答システム、自動応答方法及び自動応答プログラム
(51)【国際特許分類】
G06N 20/00 20190101AFI20250120BHJP
H04M 3/50 20060101ALI20250120BHJP
【FI】
G06N20/00
H04M3/50 A
(21)【出願番号】P 2021070572
(22)【出願日】2021-04-19
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小室 智之
(72)【発明者】
【氏名】服部 剛
【審査官】真木 健彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-037588(JP,A)
【文献】特開2019-091387(JP,A)
【文献】特開2020-123131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 20/00
G06N 5/00
G06N 3/02
H04M 3/50
G06F 16/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
問い合わせ内容を推論する推論モデルを用いて問い合わせへの自動応答を行う自動応答システムであって、
外部システムの運用者によって設定された設定データを前記外部システムから取得する取得部と、
前記設定データを基に、前記問い合わせ内容の学習に用いる学習データを増幅する増幅部と、
前記増幅部によって増幅された学習データを前記推論モデルに学習させる学習部と、
を有することを特徴とする自動応答システム。
【請求項2】
単語部分が空欄である学習データの型の入力を受け付ける受付部をさらに有し、
前記取得部は、前記外部システムから取得した設定データから、前記運用者によって設定された単語を抽出し、前記学習データの型の空欄に、該抽出した単語を挿入した挿入データを生成し、
前記増幅部は、前記挿入データを基に前記学習データを増幅することを特徴とする請求項1に記載の自動応答システム。
【請求項3】
前記取得部は、一定間隔で前記外部システムの通信部にリクエストを送信し、前記通信部からのレスポンスを基に、前記設定データの変更を検知することを特徴とする請求項2に記載の自動応答システム。
【請求項4】
前記取得部は、前記設定データの変更を検知した場合、変更された前記設定データを取得し、前記変更された設定データから前記運用者によって変更された単語を抽出して前記学習データの型の空欄に挿入することを特徴とする請求項3に記載の自動応答システム。
【請求項5】
前記推論モデルは、前記外部システムの管理者ごとに設けられ、
前記取得部は、前記外部システムの管理者ごとに、前記設定データを取得し、
前記増幅部は、前記外部システムの管理者ごとに、前記設定データを用いて前記学習データを増幅し、
前記学習部は、前記外部システムの管理者ごとに増幅された学習データを、該外部システムの管理者に対応する前記推論モデルに学習させることを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の自動応答システム。
【請求項6】
問い合わせ内容を推論する推論モデルを用いて問い合わせへの自動応答を行う自動応答システムが実行する自動応答方法であって、
外部システムの管理者によって設定された設定データを前記外部システムから取得する工程と、
前記設定データを基に、前記問い合わせ内容の学習に用いる学習データを増幅する工程と、
前記増幅する工程において増幅された学習データを前記推論モデルに学習させる工程と、
を含んだことを特徴とする自動応答方法。
【請求項7】
外部システムの運用者によって設定された設定データを前記外部システムから取得するステップと、
前記設定データを基に、問い合わせ内容の学習に用いる学習データを増幅するステップと、
前記増幅するステップにおいて増幅された学習データを、問い合わせへの自動応答を行う場合に用いられる推論モデルであって問い合わせ内容を推論する推論モデルに学習させるステップと、
をコンピュータに実行させるための自動応答プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動応答システム、自動応答方法及び自動応答プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、利用者によって入力された問い合わせ文や利用者による音声での問い合わせに対して、自動応答するAI自動応答システムが利用されている。また、AI自動応答システムと外部システムとを連携させて、外部システムに入力された問い合わせに対し、AI自動応答システムが外部システムへ応答内容を返し、外部システムから利用者に応答する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
AI自動応答システムでは、事前に、問い合わせと、その問い合わせに対応する応答とを学習させる必要がある。
【0005】
AI自動応答システムと外部システムとを連携させる場合、エンドユーザの発話を認識して必要なワードを抽出するために、事前にAI自動応答システム側で、外部システムに設定されている設定データを機械学習させる必要がある。
【0006】
しかしながら、問い合わせ内容を正確に認識するためには、外部システム側の設定データに変更がある度に、AI自動応答システム側で学習をし直す必要がある。このため、AI自動応答システムを即時利用できない場合があった。また、AI自動応答システム側の運用者による煩雑な処理が必要となり、コストがかかるといった課題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、AI自動応答システム側の運用者による煩雑な処理を不要としながら、AI自動応答システムの自動学習を適切に実行することができる自動応答システム、自動応答方法及び自動応答プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の自動応答システムは、問い合わせ内容を推論する推論モデルを用いて問い合わせへの自動応答を行う自動応答システムであって、外部システムの運用者によって設定された設定データを外部システムから取得する取得部と、設定データを基に、問い合わせ内容の学習に用いる学習データを増幅する増幅部と、増幅部によって増幅された学習データを推論モデルに学習させる学習部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、AI自動応答システム側の運用者による煩雑な処理を不要としながら、AI自動応答システムの自動学習を適切に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態における通信システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、外部システムが提供する予約システムの予約画面の一例を説明する図である。
【
図3】
図3は、予約システムの運用者が閲覧できる管理画面の一例を説明する図である。
【
図4】
図4は、実施の形態における通信システムの処理の流れを説明する図である。
【
図5】
図5は、実施の形態における通信処理の処理手順を示すシーケンス図である。
【
図6】
図6は、プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本願に係る自動応答システム、自動応答方法及び自動応答プログラムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本願に係る自動応答システム、自動応答方法及び自動応答プログラムが限定されるものではない。
【0012】
[実施の形態]
[通信システムの構成]
図1は、実施の形態における通信システムの構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、実施の形態における通信システムは、AI自動応答システムである自動応答システム40と外部システム20とがネットワークを介して連携した構成を有する。外部システム20は、ユーザ端末10との間で通信を行う。自動応答システム40は、運用者端末30との間で通信を行う。
【0013】
ユーザ端末10は、外部システム20のユーザが使用する端末装置であり、例えば、タブレット、スマートフォン等のスマートデバイスや、ノートPC(Personal Computer)、デスクトップPC等の情報処理装置である。ユーザは、外部システム20の運用者や管理者である。ユーザ端末10は、ユーザの操作に応じて、外部システム20を利用するための各種設定データの入力を受け付ける。
【0014】
外部システム20は、SaaS(Software as a Service)の形態で、サーバ側で稼働するソフトウェアを、ネットワーク等を介してユーザ端末10に提供するシステムである。外部システム20は、例えば、予約システムや受発注システムを提供する。例えば、外部システム20が提供する予約システムのユーザ(予約システムを使う企業等)として、ヨガ教室、美容室、旅行会社などがある。外部システム20は、例えば、ユーザ端末10によって入力された各種設定データの入力を受け付ける入力受付部21と、API(Application Programming Interface)22(通信部)とを有したサーバ装置によって構成される。API22は、サーバ側で稼働するソフトウェア(例えば、予約システムや受発注システム)と、自動応答システム40の自動応答機能とを連携する。
【0015】
運用者端末30は、自動応答システム40の運用者が使用する端末装置であり、例えば、ノートPC(Personal Computer)、デスクトップPC等の情報処理装置や、タブレット、スマートフォン等のスマートデバイスである。運用者端末30は、運用者の操作に応じて、自動応答システム40に対する各種設定の入力を受け付け、自動応答システム40に送信する。
【0016】
運用者による各種設定は、例えば、外部システム20の設定変更の検知のために外部システム20に送信するリクエストタイミングや、自動応答システム40の推論モデルの学習データの型(穴あき文)である。穴あき文は、Entity学習(後述)の際に使用される。穴あき文は、単語部分が空欄であり、この空欄には、ユーザによって設定された設定データに含まれる単語が挿入される。
【0017】
自動応答システム40は、チャットボット等を介して入力されたテキストでの問い合わせや、音声での問い合わせへの自動応答を行う。自動応答システム40は、問い合わせ内容を推論する推論モデル441(後述)を用いて、入力された問い合わせの内容を推論し、その問い合わせの内容に応じた応答内容を返却する。
【0018】
自動応答システム40は、外部システム20と連携し、ユーザから外部システム20に入力された問い合わせに対して、外部システム20に応答内容を返却する。そして、自動応答システム40は、外部システムから20から自動取得した設定データを利用して、推論モデルの学習データを自動生成し、推論モデルの学習を自動的に実行する。
【0019】
自動応答システム40は、入力受付部41(入力部)、外部システム連携部42(推論部)、学習データ生成部43(増幅部)、推論部44(学習部)及び応答部45を有するサーバ装置によって構成される。
【0020】
入力受付部41は、自動応答システム40に対する運用者端末30による各種設定の入力を受け付ける。入力受付部41は、外部システム20の設定変更の検知のために外部システム20に送信するリクエストタイミングや、穴あき文の入力を受け付ける。
【0021】
外部システム連携部42は、外部システム20のAPI22と連携し、外部システム20のユーザによって設定された設定データを外部システム20から自動取得する。なお、外部システム20のユーザは、例えば、外部システムが予約システムの場合には、予約システムの運用者や管理者である。外部システム連携部42は、外部システム20から取得した設定データから、外部システム20のユーザによって設定された単語(ワード)を抽出する。そして、外部システム連携部42は、抽出したワードを、穴あき文の空欄に挿入した挿入データを生成する。
【0022】
外部システム連携部42は、一定間隔で外部システム20のAPI22にリクエストを送信し、API22からのレスポンスを基に設定データの変更を検知する。外部システム連携部42は、設定データの変更を検知した場合、レスポンスから、変更された設定データを取得し、変更された設定データから、外部システム20のユーザによって変更されたワードを抽出する。外部システム連携部42は、変更されたワードを各穴あき文の空欄に挿入する。ワードが複数抽出された場合は、各ワードは、各穴あき文に挿入され、複数の挿入データが生成される。例えば、外部システムが予約システムである場合、外部システム連携部42は、「〇〇の水曜日PMで空いている枠ありますか?」や「水曜日PMの〇〇の予約取れますか?」の空欄部分(「〇〇」の部分)に、抽出したワードをそれぞれ挿入した挿入データを生成する。
【0023】
学習データ生成部43は、外部システム連携部42によって取得された設定データを用いて、推論モデル441に対する問い合わせ内容の学習用の学習データを増幅する。学習データ生成部43は、外部システム連携部42によって生成された挿入データを基に、学習データを増幅する。この挿入データは、外部システム20のユーザによって設定または変更されたワードが挿入された文である。例えば、学習データ生成部43は、例えば、外部システムが予約システムである場合、外部システム連携部42によって抽出されたワードが空欄部分にそれぞれ挿入された「〇〇の水曜日PMで空いている枠ありますか?」や「水曜日PMの〇〇の予約取れますか?」等の挿入データから、日時部分を変更した同じ内容の学習データを増幅して生成する。このため、学習データ生成部43は、外部システム20のユーザによって設定または変更されたワードを反映した学習データを増幅する。
【0024】
推論部44は、問い合わせを解析し、問い合わせ内容を推論する推論モデル441を有する。推論部44は、問い合わせを推論モデル441に入力し、推論モデル441から出力された問い合わせの内容を取得する。
【0025】
推論部44は、学習データ生成部43によって増幅された学習データを推論モデル441に学習させることで、推論モデル441を最適化する。推論部44は、外部システム20のユーザによって設定または変更されたワードを反映した学習データを推論モデル441に学習させることで、Entity学習を実行する。Entityは、外部システム20のユーザが目的を達成するために設定した各種項目の内容を記憶する機能である。例えば、各種項目の内容は、具体的な対象を示すワードであり、航空券の予約システムであれば、「希望する行き先」の名称や「出発地」の名称などである。
【0026】
応答部45は、推論部44が取得した問い合わせの内容を受け、この問い合わせ内容に対応する応答を外部データベース等から取得する。応答部45が取得した応答は、外部システム20に返却され、外部システム20を介して、ユーザ端末10に送信される。
【0027】
ここで、推論モデル441は、外部システム20のユーザごとに設けられる。このため、外部システム連携部42は、外部システム20のユーザごとに、ユーザによって設定された設定データを取得する。学習データ生成部43は、外部システム20のユーザごとに、ユーザによって設定または変更されたワードを反映した学習データを増幅する。推論部44は、外部システム20のユーザごとに増幅された学習データを、該外部システム20のユーザに対応する推論モデル441に学習させる。
【0028】
[予約システム例]
図2は、外部システム20が提供する予約システムの予約画面の一例を説明する図である。
図3は、予約システムの運用者が閲覧できる管理画面の一例を説明する図である。
【0029】
図2に示すように、外部システム20は、例えば、ホットヨガ教室の予約システムを提供する。
図2及び
図3の例では、ホットヨガ教室のクラスとして、「ホットヨガ初級」、「ホットヨガ中級」及びその日時が設定されており、ホットヨガ教室のクラスと各講師「ヨウコ先生」、「マキコ先生」、「エリコ先生」、「ユミ先生」とが対応付けて表示される。
【0030】
予約システムのユーザ(例えば、予約システムの運用者)は、例えば、希望のクラスや先生を設定することで教室の予約を行う。ここで設定データのうち、「ホットヨガ初級」、「ホットヨガ中級」、「ヨウコ先生」、「マキコ先生」、「エリコ先生」、「ユミ先生」がワードとなり、推論モデル441のEntity学習のために必要となる。
【0031】
また、例えば、予約システムの運用者は、新たに「ホットヨガ上級」を追加し、そのクラスの担当講師が「ユリ先生」であるという変更を設定する。ここでは、変更された設定データ『「ユリ先生」が担当する「ホットヨガ上級」』から、「ユリ先生」、「ホットヨガ上級」が、ユーザによって変更されたワードとなる。
【0032】
自動応答システム40は、外部システム20と連携することによって、上記のワードを自動的に取得し、このワードを穴あき文の空欄に挿入した挿入データを基に、外部システム20のユーザによって設定または変更されたワードを反映した学習データを増幅する。そして、自動応答システム40は、設定または変更されたワードを反映した学習データを推論モデル441に学習させることで、外部システム20のユーザによってワードが設定または変更された場合も、運用者の処理負担なく、これらのワードを反映した自動応答処理を実行する。
【0033】
[処理の流れ]
次に、推論モデル441のEntity学習の処理の流れについて説明する。なお、ここでは、推論モデル441は、入力されたデータのうち、日時を推論する処理については学習済みであるとして説明する。
図4は、実施の形態における通信システムの処理の流れを説明する図である。
図5は、実施の形態における通信処理の処理手順を示すシーケンス図である。
【0034】
図4及び
図5では、ある外部システム20のユーザAに対応する推論モデル441の自動的なEntity学習について説明する。
図4及び
図5に示すように、まず、運用者は、運用者端末30を操作し、自動応答システム40の運用画面411にアクセスして、Entity学習データの型を設定する(
図4の(1))。運用者によって設定される穴あき文は、
図2及び
図3に示す予約システムを例とすると、「〇〇の水曜日PMで空いている枠ありますか?」、「水曜日PMの〇〇の予約取れますか?」である。なお、「〇〇」は、空欄に相当する。
【0035】
運用者端末30は、運用者によるEntity学習データの型(穴あき文)の設定を受け付け、自動応答システム40の入力受付部41に送信する(
図5のステップS1,S2-1)。入力受付部41は、受信したEntity学習データの型を外部システム連携部42に出力する(
図5のステップS2-2)。
【0036】
そして、運用者は、外部システム(SaaS)のインタフェース仕様に従い、外部システムから取得するデータのリクエスト情報を設定する(
図4の(2))。具体的には、運用者は、自動応答システム40の運用画面411にアクセスして、ユーザAによって設定または変更された設定データを取得するためのリクエストや、リクエストの送信タイミングを設定する。例えば、運用者は、一定間隔で外部システム20にリクエストを送信するように設定する。
【0037】
運用者端末30は、運用者によるリクエスト情報の設定を受け付け、自動応答システム40の入力受付部41に送信する(
図5のステップS3,S4-1)。入力受付部41は、受信したリクエスト情報の設定内容を外部システム連携部42に出力する(
図5のステップS4-2)。
【0038】
ユーザAは、ユーザ端末10を操作し、外部システム20を利用するための各種設定を行う(
図4の(3))。ユーザAは、外部システム20の運用画面211にアクセスして、各種設定を行う。ユーザ端末10は、ユーザAによる各種設定の入力を受け付け(
図5のステップS5)、受け付けた設定データを外部システム20の入力受付部21に送信する(
図5のステップS6)。
【0039】
自動応答システム40では、外部システム連携部42が、外部システム20のAPI22に一定間隔でリクエストを送信する(
図4の(4)、
図5のステップS7,S8)。
【0040】
外部システム連携部42は、API22からのレスポンスを受信する(
図5のステップS9)。外部システム連携部42は、API22からのレスポンスを基に設定データの変更を検知する(
図4の(5)、
図5のステップS10)。例えば、外部システム連携部42は、一定間隔でリクエストを行うことで、一定間隔でレスポンスをAPI22から受信し、前回のレスポンスと今回のレスポンスとの差分を比較して、設定データの変更を検知する。なお、初回のリクエストの場合には、比較対象がないため、新たにユーザAに設定された設定データの取得が必要である。或いは、外部システム連携部42は、API22からレスポンスとして送信された設定データ変更通知を受信することで、設定データの変更を検知してもよい。
【0041】
そして、外部システム連携部42は、外部システム20の設定変更を検知すると、設定データのリクエストをAPI22に送信する(
図4の(6)、
図5のステップS11)。外部システム連携部42は、初回のリクエストの場合にも、設定データのリクエストをAPI22に送信する。API22は、レスポンスを受けて、ユーザAが変更した設定データを取得し(
図5のステップS12)、レスポンス(設定データ)を外部システム連携部42に送信する(
図5のステップS13)。レスポンスデータは、ユーザAが設定または変更した設定データを含む。
【0042】
外部システム連携部42は、レスポンスであるユーザAが設定または変更した設定データから、ユーザAによって設定または変更されたワードを抽出し、抽出したワードを穴あき文の空欄に挿入し(
図5のステップS14)、学習データ生成リクエスト(
図4の(7)を学習データ生成部43に送信する(
図4の(7)、
図5のステップS15)。
【0043】
図2及び
図3に示す予約システムを例とした場合、外部システム連携部42は、設定または変更された設定データから、「ホットヨガ初級」、「ホットヨガ中級」、「ヨウコ先生」、「マキコ先生」、「エリコ先生」、「ユミ先生」、「ホットヨガ上級」、「ユリ先生」のワードを抽出する。そして、外部システム連携部42は、穴あき文の「〇〇の水曜日PMで空いている枠ありますか?」や「水曜日PMの〇〇の予約取れますか?」の空欄部分(「〇〇」の部分)に、抽出したワード(例えば、「ホットヨガ初級」等)をそれぞれ挿入した挿入データを生成し、挿入データとともに学習データ生成リクエストを学習データ生成部43に送信する。
【0044】
学習データ生成部43は、挿入データを基にEntity学習データを増幅し(
図5のステップS16)、外部システム連携部42にレスポンス(学習データ増幅完了)を返却する(
図4の(8)、
図5のステップS17)。例えば、学習データ生成部43は、挿入データの日時部分を各種日時に変更した文を、複数生成することで学習データを増幅する。学習データ生成部43は、入力された挿入データを、指定された量のバリエーションだけ増幅させる。
【0045】
外部システム連携部42は、推論部44に推論モデルの441の学習のリクエストを送信する(
図4の(9)、
図5のステップS18)。推論部44は、学習データ生成部43が増幅した学習データを推論モデル441に学習させることでEntity学習を実行し(
図5のステップS19)、学習完了後、学習完了のレスポンスを外部システム連携部42に返却する(
図4の(10)、
図5のステップS20)。外部システム連携部42は、外部システム20のAPI22にEntity学習の完了を通知する(
図4の(11)、
図5のステップS21)。
【0046】
外部システム20は、ユーザAが使用するユーザ端末10に、自動応答システム40におけるEntity学習完了を通知する(
図4の(12)、
図5のステップS22,S23)。その後、ユーザAは、外部システム20を介して、自動応答システム40のテストを行い、結果に応じてデプロイする。
【0047】
[実施の形態の効果]
このように、実施の形態に係る自動応答システム40は、外部システム20のユーザによって設定された設定データを外部システム20から取得し、取得した設定データを基に、問い合わせ内容の学習に用いる学習データを増幅し、増幅した学習データを推論モデルに学習させることで、AI自動応答システムの自動学習を適切に実行することができる。
【0048】
そして、自動応答システム40は、外部システム20から取得した設定データから、外部システム20のユーザによって設定された単語を抽出し、穴あき文の空欄に、該抽出した単語を挿入した挿入データを生成し、該挿入データを基に学習データを増幅する。このため、自動応答システム40によれば、外部システム20のユーザによって設定されたワードを反映した学習データを推論モデル441に学習させるため、このユーザからの問い合わせの内容を適正に推論することができる。
【0049】
また、自動応答システム40は、一定間隔で外部システム20のAPI22にリクエストを送信し、API22からのレスポンスを基に、設定データの変更を検知する。そして、実施の形態に係る自動応答システム40は、設定データの変更を検知した場合、変更された設定データを取得する。このため、自動応答システム40は、AI自動応答システム側の運用者による煩雑な処理を不要としながら、外部システム20のユーザによって変更された設定データを自動取得することができる。
【0050】
また、自動応答システム40は、変更された設定データから、外部システム20のユーザによって変更された単語を抽出して前記学習データの型の空欄に挿入した挿入データを生成し、該挿入データを基に学習データを増幅する。このため、自動応答システム40によれば、外部システム20のユーザによって変更されたワードを反映した学習データを推論モデル441に学習させるため、このユーザによる設定の変更があった場合であっても、このユーザからの問い合わせの内容を適正に推論することができる。
【0051】
このように、自動応答システム40によれば、外部システム20から自動取得した設定データを利用して、自動応答システム40の推論モデル441の学習データを自動生成し、推論モデル441の学習を自動的に実行するため、予め連携した外部システム20であれば、すぐに自動応答システム40の業務利用が可能となる。
【0052】
なお、自動応答システム40では、外部システム20の種類に応じた穴あき文を用意し、外部システム20の種類に応じて穴あき文を自動選択してもよい。
【0053】
[システム構成等]
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUやGPU及び当該CPUやGPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0054】
また、本実施形態において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0055】
[プログラム]
また、上記実施形態において説明した自動応答システム40のサーバ装置が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述したプログラムを作成することもできる。例えば、実施形態における自動応答システム40のサーバ装置が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述したプログラムを作成することもできる。この場合、コンピュータがプログラムを実行することにより、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、かかるプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み込ませて実行することにより上記実施形態と同様の処理を実現してもよい。
【0056】
図6は、プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
図6に例示するように、コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010と、CPU1020と、ハードディスクドライブインタフェース1030と、ディスクドライブインタフェース1040と、シリアルポートインタフェース1050と、ビデオアダプタ1060と、ネットワークインタフェース1070とを有し、これらの各部はバス1080によって接続される。
【0057】
メモリ1010は、
図6に例示するように、ROM(Read Only Memory)1011及びRAM1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、
図6に例示するように、ハードディスクドライブ1090に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、ディスクドライブ1100に接続される。例えば磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が、ディスクドライブ1100に挿入される。シリアルポートインタフェース1050は、例えばマウス1110、キーボード1120に接続される。ビデオアダプタ1060は、例えばディスプレイ1130に接続される。
【0058】
ここで、
図6に例示するように、ハードディスクドライブ1090は、例えば、OS1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093、プログラムデータ1094を記憶する。すなわち、上記の、プログラムは、コンピュータ1000によって実行される指令が記述されたプログラムモジュールとして、例えばハードディスクドライブ1090に記憶される。
【0059】
また、上記実施形態で説明した各種データは、プログラムデータとして、例えばメモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶される。そして、CPU1020が、メモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出し、各種処理手順を実行する。
【0060】
なお、プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1090に記憶される場合に限られず、例えば着脱可能な記憶媒体に記憶され、ディスクドライブ等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ネットワーク(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等)を介して接続された他のコンピュータに記憶され、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。
【0061】
上記の実施形態やその変形は、本願が開示する技術に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0062】
10 ユーザ端末
20 外部システム
21,41 入力受付部
22 API
30 運用者端末
40 自動応答システム
42 外部システム連携部
43 学習データ生成部
44 推論部
45 応答部
441 推論モデル