(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20250120BHJP
【FI】
H02M3/28 H
H02M3/28 Q
H02M3/28 W
(21)【出願番号】P 2021087595
(22)【出願日】2021-05-25
【審査請求日】2024-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】指田 和之
(72)【発明者】
【氏名】岩尾 健一
【審査官】上野 力
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-289669(JP,A)
【文献】特開2020-202644(JP,A)
【文献】特開2020-14286(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110071640(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電流共振コンバータと、
ハイサイドに整流素子及びスイッチング素子の内の一方を、ローサイドに整流素子及びスイッチング素子の内の他方を各々が含み、前記複数の電流共振コンバータの出力電圧を整流して負荷へ出力する複数の整流アームを含む、整流回路と、
前記複数の電流共振コンバータを制御する制御回路と、
前記複数の整流アームに流れる電流を夫々検出する、複数の電流センサと、
前記複数の電流センサの出力信号を夫々積分した積分値に基づいて、前記複数の整流アームの前記スイッチング素子を動作させる駆動信号を夫々出力する、複数の駆動回路と、
前記複数の駆動回路の積分値をリセットするためのリセットパルスを出力する、リセットパルス出力回路と、
を備え、
前記複数の電流共振コンバータの各々の一方の出力端子は、各々の隣の電流共振コンバータの他方の出力端子に電気的に接続されるとともに、前記複数の整流アームの内の1つの整流アームに電気的に接続され、
前記制御回路は、
前記複数の電流共振コンバータの内の一方端又は他方端の電流共振コンバータを必ず動作させるとともに、前記複数の電流共振コンバータの内の残りの電流共振コンバータの各々を、正極性出力動作、負極性出力動作及び休止の内のいずれか1つに制御し、
前記リセットパルス出力回路は、
前記複数の整流アームの内の一方端又は他方端の整流アームの前記整流素子と前記スイッチング素子との間の電圧に基づいて、前記リセットパルスを出力する、
ことを特徴とする、電源装置。
【請求項2】
前記リセットパルス出力回路は、
前記複数の整流アームの内の一方端又は他方端の整流アームのハイサイド又はローサイドの前記整流素子とローサイド又はハイサイドの前記スイッチング素子との間の電圧に基づいて、前記リセットパルスを出力する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記電流センサは、ロゴスキーコイルである、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記制御回路は、
前記負荷への出力電流を予め定められた第1電流に維持したまま、前記負荷への出力電圧を予め定められた第1電圧から予め定められた第2電圧まで上昇させる制御を行う、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項5】
前記制御回路は、
前記出力電圧が前記第2電圧に達した後、前記出力電圧を前記第2電圧に維持したまま、前記出力電流を前記第1電流から減少させる制御を行う、
ことを特徴とする、請求項4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記複数の電流共振コンバータの個数は、偶数個である、
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項7】
前記複数の電流共振コンバータの個数は、奇数個である、
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンバータで高電圧充電器を構成する場合、効率の観点から、電流共振コンバータが多く採用されている。例えば、高電圧充電器は、出力電流を一定(例えば、5A)に維持したまま、出力電圧を可変させる(例えば、50Vから1000Vまで)制御を行う。この制御には、スイッチング周波数制御が用いられる。電流共振コンバータは、スイッチング周波数を共振周波数よりも高くすることにより、出力電圧を下げたり、出力電流を下げたりすることができる。
【0003】
特許文献1には、第1から第3のスイッチングレグの全てのスイッチング素子をスイッチング動作させる第1の動作モードと、第1から第3のスイッチングレグのうち少なくとも1つ以上のスイッチングレグの上下どちらか一方のスイッチング素子を常にオンとし、他方のスイッチング素子を常にオフとなるように動作させる第2の動作モードと、を備える電力変換装置が、記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電流共振コンバータは、スイッチング周波数が共振周波数に近い場合には、高効率が得られる。しかし、電流共振コンバータは、出力の制御に伴い、スイッチング周波数が共振周波数よりも高くなるほど、無効電力が増加するので、効率が低下する。
【0006】
本発明は、効率の低下を抑制できる、電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の電源装置は、
複数の電流共振コンバータと、
ハイサイドに整流素子及びスイッチング素子の内の一方を、ローサイドに整流素子及びスイッチング素子の内の他方を各々が含み、前記複数の電流共振コンバータの出力電圧を整流して負荷へ出力する複数の整流アームを含む、整流回路と、
前記複数の電流共振コンバータを制御する制御回路と、
前記複数の整流アームに流れる電流を夫々検出する、複数の電流センサと、
前記複数の電流センサの出力信号を夫々積分した積分値に基づいて、前記複数の整流アームの前記スイッチング素子を動作させる駆動信号を夫々出力する、複数の駆動回路と、
前記複数の駆動回路の積分値をリセットするためのリセットパルスを出力する、リセットパルス出力回路と、
を備え、
前記複数の電流共振コンバータの各々の一方の出力端子は、各々の隣の電流共振コンバータの他方の出力端子に電気的に接続されるとともに、前記複数の整流アームの内の1つの整流アームに電気的に接続され、
前記制御回路は、
前記複数の電流共振コンバータの内の一方端又は他方端の電流共振コンバータを必ず動作させるとともに、前記複数の電流共振コンバータの内の残りの電流共振コンバータの各々を、正極性出力動作、負極性出力動作及び休止の内のいずれか1つに制御し、
前記リセットパルス出力回路は、
前記複数の整流アームの内の一方端又は他方端の整流アームの前記整流素子と前記スイッチング素子との間の電圧に基づいて、前記リセットパルスを出力する、
ことを特徴とする。
【0008】
前記電源装置において、
前記リセットパルス出力回路は、
前記複数の整流アームの内の一方端又は他方端の整流アームのハイサイド又はローサイドの前記整流素子とローサイド又はハイサイドの前記スイッチング素子との間の電圧に基づいて、前記リセットパルスを出力する、
ことを特徴とする。
【0009】
前記電源装置において、
前記電流センサは、ロゴスキーコイルである、
ことを特徴とする。
【0010】
前記電源装置において、
前記制御回路は、
前記負荷への出力電流を予め定められた第1電流に維持したまま、前記負荷への出力電圧を予め定められた第1電圧から予め定められた第2電圧まで上昇させる制御を行う、
ことを特徴とする。
【0011】
前記電源装置において、
前記制御回路は、
前記出力電圧が前記第2電圧に達した後、前記出力電圧を前記第2電圧に維持したまま、前記出力電流を前記第1電流から減少させる制御を行う、
ことを特徴とする。
【0012】
前記電源装置において、
前記複数の電流共振コンバータの個数は、偶数個である、
ことを特徴とする。
【0013】
前記電源装置において、
前記複数の電流共振コンバータの個数は、奇数個である、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様の電源装置は、効率の低下を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、比較例の電源装置の回路構成を示す図である。
【
図2】
図2は、比較例の電源装置の出力電流と出力電圧との関係を示す図である。
【
図3】
図3は、電源装置100の出力電圧Voutが800V且つ出力電流Ioutが6.25Aである場合の、トランジスタTr1-1のドレイン-ソース間の電圧141及び電流142の時間領域(time domain)の波形を示す図である。
【
図4】
図4は、電源装置100の出力電圧Voutが50V且つ出力電流Ioutが10Aである場合の、トランジスタTr1-1のドレイン-ソース間の電圧151及び電流152の時間領域の波形を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施の形態の電源装置の回路構成を示す図である。
【
図6】
図6は、第1の実施の形態の電源装置の2次巻線側の電圧(電流)の方向を示す図である。
【
図7】
図7は、第1の実施の形態の電源装置の2次巻線側の電圧(電流)の方向を示す図である。
【
図8】
図8は、第1の実施の形態の電源装置の出力電流と出力電圧との関係を示す図である。
【
図9】
図9は、電源装置1の出力電圧Voutが1000V且つ出力電流Ioutが5Aである場合の、フルブリッジ回路FB1からフルブリッジ回路FB4までのトランジスタTr1のドレイン-ソース間の電圧201及び電流202の時間領域の波形を示す図である。
【
図10】
図10は、電源装置1の出力電圧Voutが50V且つ出力電流Ioutが10Aである場合の、フルブリッジ回路FB1からフルブリッジ回路FB4までのトランジスタTr1のドレイン-ソース間の電圧211及び電流212の時間領域の波形を示す図である。
【
図11】
図11は、第2の実施の形態の電源装置の回路構成を示す図である。
【
図12】
図12は、第2の実施の形態の電源装置の出力電流と出力電圧との関係を示す図である。
【
図13】
図13は、第3の実施の形態の電源装置の回路構成を示す図である。
【
図14】
図14は、第3の実施の形態の電源装置の駆動回路の回路構成を示す図である。
【
図15】
図15は、第3の実施の形態の電源装置の、一端の電流共振コンバータを必ず動作させる運転パターンと、コンデンサとの間で電流が流れる整流アームと、を示す図である。
【
図16】
図16は、第3の実施の形態の電源装置の、一端の電流共振コンバータを必ず動作させる運転パターンと、整流アームの電圧と、を示す図である。
【
図17】
図17は、第3の実施の形態の電源装置の、一端の電流共振コンバータを必ず動作させる運転パターンと、整流アームの電圧と、を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の電源装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0017】
<第1の実施の形態及び比較例>
以下、第1の実施の形態について説明するが、第1の実施の形態の理解を容易にするため、先に比較例について説明する。
【0018】
(比較例)
図1は、比較例の電源装置の回路構成を示す図である。電源装置100は、直流電源121から出力されコンデンサ122で平滑化後の直流電圧Vinの供給を受けて、出力電圧Voutを負荷123へ出力する。
【0019】
電源装置100は、電流共振コンバータ101と、整流回路102と、コンデンサ103と、電圧センサ104と、電流センサ105と、制御部106と、を含む。
【0020】
電流共振コンバータ101は、LLC共振を利用した電流共振コンバータ(LLCコンバータ)である。電流共振コンバータ101は、フルブリッジ回路FBと、トランスTと、を含む。フルブリッジ回路FBと、トランスTと、の間に、コンデンサ115と、インダクタンス114と、が設けられている。インダクタンス114は、トランスTに含まれても良い。
【0021】
フルブリッジ回路FBは、アーム90-1及び90-2を含む。アーム90-1は、ハイサイドのトランジスタTr1-1と、ローサイドのトランジスタTr2-1と、を含む。アーム90-2は、ハイサイドのトランジスタTr1-2と、ローサイドのトランジスタTr2-2と、を含む。
【0022】
なお、本開示では、各トランジスタがMOSFETであることとしたが、これに限定されない。各トランジスタは、シリコンパワーデバイス、GaNパワーデバイス、SiCパワーデバイス、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などでも良い。
【0023】
各トランジスタは、寄生ダイオード(ボディダイオード)を有する。寄生ダイオードとは、MOSFETのバックゲートとソース及びドレインとの間のpn接合である。寄生ダイオードは、トランジスタのオフ時の過渡的な逆起電力を逃すためのフリーホイールダイオードとして利用可能である。寄生ダイオードに加えて、各トランジスタのドレインとソースとの間にダイオード素子を付加しても良い。
【0024】
トランジスタTr1-1のソースは、トランジスタTr2-1のドレインに電気的に接続されている。トランジスタTr1-2のソースは、トランジスタTr2-2のドレインに電気的に接続されている。
【0025】
トランジスタTr1-1のドレイン及びトランジスタTr1-2のドレインは、コンデンサ122の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。トランジスタTr2-1のソース及びトランジスタTr2-2のソースは、コンデンサ122の他端(低電位側端)に電気的に接続されている。
【0026】
トランジスタTr1-1のドレインとトランジスタTr1-2のドレインとの接続点が、フルブリッジ回路FBの一方の入力端子である。トランジスタTr2-1のソースとトランジスタTr2-2のソースとの接続点が、フルブリッジ回路FBの他方の入力端子である。
【0027】
フルブリッジ回路FBの2つの入力端子には、直流電圧Vinが入力される。
【0028】
トランジスタTr1-1のソースとトランジスタTr2-1のドレインとの接続点が、フルブリッジ回路FBの一方の出力端子である。トランジスタTr1-2のソースとトランジスタTr2-2のドレインとの接続点が、フルブリッジ回路FBの他方の出力端子である。
【0029】
トランスTは、1次巻線110と、2次巻線111と、コア112と、を含む。1次巻線110及び2次巻線111は、コア112に巻回されている。
【0030】
1次巻線110は、励磁インダクタンス113を含む。1次巻線110の一端は、インダクタンス114及びコンデンサ115を介して、フルブリッジ回路FBの一方の出力端子に電気的に接続されている。1次巻線110の他端は、フルブリッジ回路FBの他方の出力端子に電気的に接続されている。なお、励磁インダクタンス113では不足の場合は、インダクタンス素子を更に付加しても良い。
【0031】
フルブリッジ回路FBは、直流電圧Vin、直流電圧-Vin、又は、共振電圧を、一方の出力端子と他方の出力端子との間に出力する。共振電圧は、各トランジスタの容量成分と、インダクタンス成分(励磁インダクタンス113及びインダクタンス114)とによるLC共振で生じる電圧である。
【0032】
例えば、フルブリッジ回路FBは、トランジスタTr1-1及びトランジスタTr2-2がオン状態、且つ、トランジスタTr2-1及びトランジスタTr1-2がオフ状態の場合、直流電圧Vinを、一方の出力端子と他方の出力端子との間に出力する。
【0033】
また例えば、フルブリッジ回路FBは、トランジスタTr1-1及びトランジスタTr2-2がオフ状態、且つ、トランジスタTr2-1及びトランジスタTr1-2がオン状態の場合、直流電圧-Vinを、一方の出力端子と他方の出力端子との間に出力する。
【0034】
また例えば、フルブリッジ回路FBは、トランジスタTr1-1からトランジスタTr2-2までがオフ状態の場合、共振電圧を、一方の出力端子と他方の出力端子との間に出力する。
【0035】
なお、本開示では、LLC共振回路が1次巻線110の側にあることとしたが、これに限定されない。LLC共振回路は、2次巻線111の側にあっても良い。また、LLC共振回路は、1次巻線110の側と、2次巻線111の側と、の両側にあっても良い。
【0036】
整流回路102は、ブリッジダイオードである。整流回路102は、整流アーム102-1及び102-2を含む。
【0037】
整流アーム102-1は、ハイサイドのダイオードD1-1と、ローサイドのダイオードD2-1と、を含む。ダイオードD1-1のアノードは、ダイオードD2-1のカソードに電気的に接続されている。
【0038】
ダイオードD1-1のアノードとダイオードD2-1のカソードとの接続点が、整流アーム102-1の入力端子である。ダイオードD1-1のカソードが、整流アーム102-1の一方(高電位側)の出力端子である。ダイオードD2-1のアノードが、整流アーム102-1の他方(低電位側)の出力端子である。
【0039】
整流アーム102-2は、ハイサイドのダイオードD1-2と、ローサイドのダイオードD2-2と、を含む。ダイオードD1-2のアノードは、ダイオードD2-2のカソードに電気的に接続されている。
【0040】
ダイオードD1-2のアノードとダイオードD2-2のカソードとの接続点が、整流アーム102-2の入力端子である。ダイオードD1-2のカソードが、整流アーム102-2の一方(高電位側)の出力端子である。ダイオードD2-2のアノードが、整流アーム102-2の他方(低電位側)の出力端子である。
【0041】
ダイオードD1-1及びD1-2のカソードは、電気的に接続されており、整流回路102の一方(高電位側)の出力端子である。ダイオードD2-1及びD2-2のアノードは、電気的に接続されており、整流回路102の他方(低電位側)の出力端子である。
【0042】
整流アーム102-1の入力端子は、トランスTの2次巻線111の一端に電気的に接続されている。整流アーム102-2の入力端子は、トランスTの2次巻線111の他端に電気的に接続されている。
【0043】
整流回路102の一方(高電位側)の出力端子は、コンデンサ103の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。整流回路102の他方(低電位側)の出力端子は、コンデンサ103の他端(低電位側端)に電気的に接続されている。
【0044】
整流回路102は、2次巻線111に励磁される電圧を全波整流して、コンデンサ103に出力する。コンデンサ103は、整流回路102で全波整流された電圧を平滑化する。コンデンサ103の電圧が、出力電圧Voutである。
【0045】
コンデンサ103の一端(高電位側端)は、負荷123の一端(例えば、リチウムイオン電池の正極)に電気的に接続されている。コンデンサ103の他端(低電位側端)は、負荷123の他端(例えば、リチウムイオン電池の負極)に電気的に接続されている。
【0046】
負荷123には、コンデンサ103で平滑化された出力電圧Voutが入力される。例えば、負荷123がリチウムイオン電池である場合には、リチウムイオン電池は、コンデンサ103で平滑化された出力電圧Voutによって、充電される。
【0047】
電圧センサ104は、出力電圧Voutを検出して、電圧検出信号を制御部106に出力する。電流センサ105は、負荷123に流れる出力電流Ioutを検出して、電流検出信号を制御部106に出力する。
【0048】
出力設定部124は、出力電圧Vout及び出力電流Ioutの設定値信号を制御部106に出力する。例えば、負荷123がリチウムイオン電池である場合に、出力設定部124は、出力電流Ioutを5Aで一定に維持したまま出力電圧Voutを50Vから1000Vまで変化させる設定値信号を、制御部106に出力する。そして、出力設定部124は、出力電圧Voutが1000Vに達したら、出力電圧Voutを1000Vで一定に維持したまま出力電流Ioutを5Aから0Aまで変化させる設定値信号を、制御部106に出力する。設定値信号は、CHAdeMO(登録商標)に則った信号であることが例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0049】
制御部106は、出力設定部124から入力される設定値信号に基づき、出力電圧Vout及び出力電流Ioutの各々が設定値になるように、スイッチング制御信号をトランジスタTr1-1からトランジスタTr2-2までのゲートに出力する。
【0050】
図2は、比較例の電源装置の出力電流と出力電圧との関係を示す図である。例えば、直流電源121の最大出力電力が5000Wであるとすると、電源装置100の最大出力電力は、5000Wである。
図2中の線131は、電源装置100の出力電力が5000Wの場合の動作点の軌跡を示す線である。
【0051】
電源装置100は、線131より低い(
図2中の下側の)領域132で動作し、線131より高い(
図2中の上側の)領域133は、非動作領域となる。なお、出力電流が20A且つ出力電圧が1000Vの点が、LLC共振回路の共振点134である。共振点134でのスイッチング制御信号の周波数を、共振周波数と称する。電源装置100の効率は、共振点134で最も高くなる。
【0052】
電源装置100は、スイッチング制御信号の周波数を共振周波数よりも高くすることにより、出力電圧Voutを下げたり、出力電流Ioutを下げたりすることができる。しかし、上記したように電源装置100の効率は、スイッチング制御信号が共振周波数の場合に最も高い。従って、スイッチング制御信号の周波数を共振周波数よりも高くすることにより、電源装置100の効率が低下する。
【0053】
図3は、電源装置100の出力電圧Voutが800V且つ出力電流Ioutが6.25Aである場合の、トランジスタTr1-1のドレイン-ソース間の電圧141及び電流142の時間領域(time domain)の波形を示す図である。なお、このとき、スイッチング制御信号の周波数は、共振周波数に近い。
【0054】
図4は、電源装置100の出力電圧Voutが50V且つ出力電流Ioutが10Aである場合の、トランジスタTr1-1のドレイン-ソース間の電圧151及び電流152の時間領域の波形を示す図である。なお、このとき、スイッチング制御信号の周波数は、共振周波数よりも高い。従って、
図4の1周期の時間長154は、
図3の1周期の時間長144よりも、短い。
【0055】
再び
図2を参照すると、点線135は、高電圧充電器の動作点の軌跡の一例として、出力電流Ioutを5Aで一定に維持したまま出力電圧Voutを50Vから1000Vまで変化させ、出力電圧Voutが1000Vに達したら、出力電圧Voutを1000Vで一定に維持したまま出力電流Ioutを5Aから0Aまで変化させる場合の、電源装置100の動作点の軌跡である。この場合、電源装置100は、共振周波数よりも高いスイッチング制御信号で動作することになるので、効率が低くなる。
【0056】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態の電源装置の構成要素のうち、比較例と同一の構成要素については、同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0057】
図5は、第1の実施の形態の電源装置の回路構成を示す図である。電源装置1は、直流電源121から出力されコンデンサ122で平滑化後の直流電圧Vinの供給を受けて、出力電圧Voutを負荷123へ出力する。
【0058】
電源装置1は、電流共振コンバータ2-1から2-4までと、整流回路3と、制御部4と、コンデンサ103と、電圧センサ104と、電流センサ105と、を含む。
【0059】
なお、第1の実施の形態では、電流共振コンバータの数を偶数(偶数の代表として4個)としたが、本開示はこれに限定されない。電流共振コンバータの数は、奇数であっても良い。第1の実施の形態では、電流共振コンバータの数を4個としたが、電流共振コンバータの数は、2個であっても良いし、6個以上であっても良い。
【0060】
電流共振コンバータ2-1は、フルブリッジ回路FB1と、トランスT1と、を含む。電流共振コンバータ2-2は、フルブリッジ回路FB2と、トランスT2と、を含む。電流共振コンバータ2-3は、フルブリッジ回路FB3と、トランスT3と、を含む。電流共振コンバータ2-4は、フルブリッジ回路FB4と、トランスT4と、を含む。
【0061】
電流共振コンバータ2-1から2-4までの各々の構成は、電流共振コンバータ101(
図1参照)と同様であるので、説明を省略する。
【0062】
なお、電流共振コンバータ2-1から2-4までの各々の最大出力は、電流共振コンバータ101より小さいものとするが、本開示はこれに限定されない。例えば、電流共振コンバータ2-1から2-4までの各々の最大出力電流は、電流共振コンバータ101の最大出力電流の4分の1であり、電流共振コンバータ2-1から2-4までの各々の最大出力電圧は、電流共振コンバータ101の最大出力電圧の4分の1とするが、本開示はこれに限定されない。
【0063】
整流回路3は、ブリッジダイオードである。整流回路3は、整流アーム3-1から3-5までを含む。
【0064】
整流アーム3-1は、ハイサイドのダイオードD1-1と、ローサイドのダイオードD2-1と、を含む。ダイオードD1-1のアノードは、ダイオードD2-1のカソードに電気的に接続されている。
【0065】
ダイオードD1-1のアノードとダイオードD2-1のカソードとの接続点が、整流アーム3-1の入力端子である。ダイオードD1-1のカソードが、整流アーム3-1の一方(高電位側)の出力端子である。ダイオードD2-1のアノードが、整流アーム3-1の他方(低電位側)の出力端子である。
【0066】
整流アーム3-2は、ハイサイドのダイオードD1-2と、ローサイドのダイオードD2-2と、を含む。ダイオードD1-2のアノードは、ダイオードD2-2のカソードに電気的に接続されている。
【0067】
ダイオードD1-2のアノードとダイオードD2-2のカソードとの接続点が、整流アーム3-2の入力端子である。ダイオードD1-2のカソードが、整流アーム3-2の一方(高電位側)の出力端子である。ダイオードD2-2のアノードが、整流アーム3-2の他方(低電位側)の出力端子である。
【0068】
整流アーム3-3は、ハイサイドのダイオードD1-3と、ローサイドのダイオードD2-3と、を含む。ダイオードD1-3のアノードは、ダイオードD2-3のカソードに電気的に接続されている。
【0069】
ダイオードD1-3のアノードとダイオードD2-3のカソードとの接続点が、整流アーム3-3の入力端子である。ダイオードD1-3のカソードが、整流アーム3-3の一方(高電位側)の出力端子である。ダイオードD2-3のアノードが、整流アーム3-3の他方(低電位側)の出力端子である。
【0070】
整流アーム3-4は、ハイサイドのダイオードD1-4と、ローサイドのダイオードD2-4と、を含む。ダイオードD1-4のアノードは、ダイオードD2-4のカソードに電気的に接続されている。
【0071】
ダイオードD1-4のアノードとダイオードD2-4のカソードとの接続点が、整流アーム3-4の入力端子である。ダイオードD1-4のカソードが、整流アーム3-4の一方(高電位側)の出力端子である。ダイオードD2-4のアノードが、整流アーム3-4の他方(低電位側)の出力端子である。
【0072】
整流アーム3-5は、ハイサイドのダイオードD1-5と、ローサイドのダイオードD2-5と、を含む。ダイオードD1-5のアノードは、ダイオードD2-5のカソードに電気的に接続されている。
【0073】
ダイオードD1-5のアノードとダイオードD2-5のカソードとの接続点が、整流アーム3-5の入力端子である。ダイオードD1-5のカソードが、整流アーム3-5の一方の出力端子である。ダイオードD2-5のアノードが、整流アーム3-5の他方の出力端子である。
【0074】
整流アーム3-1の入力端子は、トランスT1の2次巻線111-1の一端111-1aに電気的に接続されている。整流アーム3-2の入力端子は、トランスT1の2次巻線111-1の他端111-1b及びトランスT2の2次巻線111-2の一端111-2aに電気的に接続されている。整流アーム3-3の入力端子は、トランスT2の2次巻線111-2の他端111-2b及びトランスT3の2次巻線111-3の一端111-3aに電気的に接続されている。整流アーム3-4の入力端子は、トランスT3の2次巻線111-3の他端111-3b及びトランスT4の2次巻線111-4の一端111-4aに電気的に接続されている。整流アーム3-5の入力端子は、トランスT4の2次巻線111-4の他端111-4bに電気的に接続されている。
【0075】
つまり、電流共振コンバータ2-1から2-4までの各々の一方の出力端子は、各々の隣(
図5中で1つ上)の電流共振コンバータの他方の出力端子に電気的に接続されているとともに、整流アーム3-1から3-5までの内の1つの整流アームに電気的に接続されている。例えば、電流共振コンバータ2-4の一方の出力端子(2次巻線111-4の一端111-4a)は、隣(
図5中で1つ上)の電流共振コンバータ2-3の他方の出力端子(2次巻線111-3の他端111-3b)に電気的に接続されているとともに、整流アーム3-4に電気的に接続されている。なお、電流共振コンバータ2-1の一方の出力端子(2次巻線111-1の一端111-1a)は、単独で、整流アーム3-1に電気的に接続されている。
【0076】
なお、本開示において、隣の電流共振コンバータとは、地理的な配置が隣であることに限定されず、電気的(配線的)に隣であれば良い。例えば、
図5において、電流共振コンバータ2-1と電流共振コンバータ2-2とが、地理的に隣に配置されていることに限定されない。但し、配線の簡易化、配線長の抑制等の観点から、隣の電流共振コンバータとは、地理的な配置が隣であり、且つ、電気的(配線的)に隣であることが好ましい。
【0077】
ダイオードD1-1からD1-5までのカソードは、電気的に接続されており、整流回路3の一方(高電位側)の出力端子である。ダイオードD2-1からD2-5までのアノードは、電気的に接続されており、整流回路3の他方(低電位側)の出力端子である。
【0078】
整流回路3は、2次巻線111-1から111-4までに励磁される電圧を全波整流して、コンデンサ103に出力する。コンデンサ103は、整流回路3で全波整流された電圧を平滑化する。コンデンサ103の電圧が、出力電圧Voutである。
【0079】
制御部4は、指令部41と、切替部42と、を含む。指令部41は、出力設定部124から入力される設定値信号に基づき、出力電圧Vout及び出力電流Ioutの各々が設定値になるように、出力電圧Vout及び出力電流Ioutの指令値を切替部42に出力する。切替部42は、指令部41から入力される指令値に基づき、スイッチング制御信号をフルブリッジ回路FB1からフルブリッジ回路FB4までに出力する。
【0080】
切替部42は、フルブリッジ回路FB1からフルブリッジ回路FB4までの各々を、正極性出力動作、逆(負)極性出力動作及び休止の内のいずれか1つに制御する。
【0081】
図6は、第1の実施の形態の電源装置の2次巻線側の電圧(電流)の方向を示す図である。詳しくは、
図6は、トランスT1の1次巻線110-1に正極性の電圧161が印加され、トランスT2の1次巻線110-2に正極性の電圧162が印加される場合の、トランスT1及びT2の2次巻線側の電圧(電流)の方向を示す図である。
【0082】
この場合、トランスT1の1次巻線110-1には、矢印163で示す方向に電圧が生じ、トランスT2の1次巻線110-2には、矢印164で示す方向に電圧が生じる。従って、トランスT1及びT2の2次巻線側には、矢印165で示すように、ダイオードD2-1→トランスT1の2次巻線111-1の一端111-1a→トランスT1の2次巻線111-1の他端111-1b→トランスT2の2次巻線111-2の一端111-2a→トランスT2の2次巻線111-2の他端111-2b→ダイオードD1-3の経路に、電圧が生じる。
【0083】
つまり、1つの電流共振コンバータと隣の電流共振コンバータとの出力極性が同じの場合は、2次巻線側は、直列接続(電圧加算)となる。
【0084】
制御部4は、1つの電流共振コンバータと隣の電流共振コンバータとの出力極性を同じに制御することにより、電流を維持したまま、電圧を高くする(2倍にする)ことができる。
【0085】
図7は、第1の実施の形態の電源装置の2次巻線側の電圧(電流)の方向を示す図である。詳しくは、
図7は、トランスT1の1次巻線110-1に正極性の電圧171が印加され、トランスT2の1次巻線110-2に逆(負)極性の電圧172が印加される場合の、トランスT1及びT2の2次巻線側の電圧(電流)の方向を示す図である。
【0086】
この場合、トランスT1の1次巻線110-1には、矢印173で示す方向に電圧が生じ、トランスT2の1次巻線110-2には、矢印174で示す方向に電圧が生じる。従って、トランスT1の2次巻線側には、矢印175で示すように、ダイオードD2-1→トランスT1の2次巻線111-1の一端111-1a→トランスT1の2次巻線111-1の他端111-1b→ダイオードD1-2の経路に、電圧が生じる。また、トランスT2の2次巻線側には、矢印176で示すように、ダイオードD2-3→トランスT2の2次巻線111-2の他端111-2b→トランスT2の2次巻線111-2の一端111-2a→ダイオードD1-2の経路に、電圧が生じる。
【0087】
つまり、1つの電流共振コンバータと隣の電流共振コンバータとの出力極性が逆の場合は、2次巻線側は、並列接続(電流加算)となる。
【0088】
制御部4は、1つの電流共振コンバータと隣の電流共振コンバータとの出力極性を逆に制御することにより、電圧を維持したまま、電流を大きくする(2倍にする)ことができる。
【0089】
図8は、第1の実施の形態の電源装置の出力電流と出力電圧との関係を示す図である。
【0090】
電源装置1は、領域181から188までの動作領域を有する。領域181は、電流共振コンバータ2-1が正極性で動作し、電流共振コンバータ2-2から2-4までが休止している場合の、電源装置1の動作領域である。出力電流が5A且つ出力電圧が250Vの点が、電流共振コンバータ2-1のLLC共振回路の共振点191である。電流共振コンバータ2-1の効率、つまり電源装置1の効率は、共振点191で最も高くなる。
【0091】
領域182は、電流共振コンバータ2-1及び2-2が正極性で動作し、電流共振コンバータ2-3及び2-4が休止している場合の、電源装置1の動作領域である。電流共振コンバータ2-1と電流共振コンバータ2-2との出力極性が同じであるので、出力電流Ioutは、電流共振コンバータ2-1及び2-2の各々単体の場合の電流と同じに維持される。また、出力電圧Voutは、電流共振コンバータ2-1及び2-2の各々単体の場合の電圧の和(2倍)になる。出力電流が5A且つ出力電圧が500Vの点が、電流共振コンバータ2-1及び2-2のLLC共振回路の共振点192である。電流共振コンバータ2-1及び2-2の効率、つまり電源装置1の効率は、共振点192で最も高くなる。
【0092】
領域183は、電流共振コンバータ2-1から2-3までが正極性で動作し、電流共振コンバータ2-4が休止している場合の、電源装置1の動作領域である。電流共振コンバータ2-1から2-3までの出力極性が同じであるので、出力電流Ioutは、電流共振コンバータ2-1から2-3までの各々単体の場合の電流と同じに維持される。また、出力電圧Voutは、電流共振コンバータ2-1から2-3までの各々単体の場合の電圧の和(3倍)になる。出力電流が5A且つ出力電圧が750Vの点が、電流共振コンバータ2-1から2-3までのLLC共振回路の共振点193である。電流共振コンバータ2-1から2-3までの効率、つまり電源装置1の効率は、共振点193で最も高くなる。
【0093】
領域184は、電流共振コンバータ2-1から2-4までが正極性で動作する場合の、電源装置1の動作領域である。電流共振コンバータ2-1から2-4までの出力極性が同じであるので、出力電流Ioutは、電流共振コンバータ2-1から2-4までの各々単体の場合の電流と同じに維持される。また、出力電圧Voutは、電流共振コンバータ2-1から2-4までの各々単体の場合の電圧の和(4倍)になる。出力電流が5A且つ出力電圧が1000Vの点が、電流共振コンバータ2-1から2-4までのLLC共振回路の共振点194である。電流共振コンバータ2-1から2-4までの効率、つまり電源装置1の効率は、共振点194で最も高くなる。
【0094】
領域185は、電流共振コンバータ2-1が正極性で動作し、電流共振コンバータ2-2が逆(負)極性で動作し、電流共振コンバータ2-3及び2-4が休止している場合の、電源装置1の動作領域である。電流共振コンバータ2-1と電流共振コンバータ2-2との出力極性が逆であるので、出力電流Ioutは、電流共振コンバータ2-1及び2-2の各々単体の場合の電流の和(2倍)になる。また、出力電圧Voutは、電流共振コンバータ2-1及び2-2の各々単体の場合の電圧に維持される。出力電流が10A且つ出力電圧が250Vの点が、電流共振コンバータ2-1及び2-2のLLC共振回路の共振点195である。電流共振コンバータ2-1及び2-2の効率、つまり電源装置1の効率は、共振点195で最も高くなる。
【0095】
領域186は、電流共振コンバータ2-1及び2-2が正極性で動作し、電流共振コンバータ2-3及び2-4が逆(負)極性で動作する場合の、電源装置1の動作領域である。電流共振コンバータ2-1と電流共振コンバータ2-2との出力極性が同じであり、電流共振コンバータ2-2と電流共振コンバータ2-3との出力極性が逆であり、電流共振コンバータ2-3と電流共振コンバータ2-4との出力極性が同じである。従って、電流共振コンバータ2-1の2次側と、電流共振コンバータ2-2の2次側と、は直列接続(電圧加算)となる。同様に、電流共振コンバータ2-3の2次側と、電流共振コンバータ2-4の2次側と、は直列接続(電圧加算)となる。そして、電流共振コンバータ2-1及び2-2の2次側と、電流共振コンバータ2-3及び2-4の2次側と、は並列接続(電流加算)となる。以上を総合すると、出力電流Ioutは、電流共振コンバータ2-1から2-4までの各々単体の場合の電流の2倍になる。また、出力電圧Voutは、電流共振コンバータ2-1から2-4までの各々単体の場合の電圧の2倍になる。出力電流が10A且つ出力電圧が500Vの点が、電流共振コンバータ2-1から2-4までのLLC共振回路の共振点196である。電流共振コンバータ2-1から2-4までの効率、つまり電源装置1の効率は、共振点196で最も高くなる。
【0096】
領域187は、電流共振コンバータ2-1及び2-3が正極性で動作し、電流共振コンバータ2-2が逆(負)極性で動作し、電流共振コンバータ2-4が休止している場合の、電源装置1の動作領域である。電流共振コンバータ2-1と電流共振コンバータ2-2との出力極性が逆であり、電流共振コンバータ2-2と電流共振コンバータ2-3との出力極性も逆である。従って、電流共振コンバータ2-1の2次側と、電流共振コンバータ2-2の2次側と、は並列接続(電流加算)となる。同様に、電流共振コンバータ2-2の2次側と、電流共振コンバータ2-3の2次側と、は並列接続(電流加算)となる。以上を総合すると、出力電流Ioutは、電流共振コンバータ2-1から2-3までの各々単体の場合の電流の3倍になる。また、出力電圧Voutは、電流共振コンバータ2-1から2-4までの各々単体の場合の電圧に維持される。出力電流が15A且つ出力電圧が250Vの点が、電流共振コンバータ2-1から2-3までのLLC共振回路の共振点197である。電流共振コンバータ2-1から2-3までの効率、つまり電源装置1の効率は、共振点197で最も高くなる。
【0097】
領域188は、電流共振コンバータ2-1及び2-3が正極性で動作し、電流共振コンバータ2-2及び2-4が逆(負)極性で動作する場合の、電源装置1の動作領域である。電流共振コンバータ2-1と電流共振コンバータ2-2との出力極性が逆であり、電流共振コンバータ2-2と電流共振コンバータ2-3との出力極性も逆であり、電流共振コンバータ2-3と電流共振コンバータ2-4との出力極性も逆である。従って、電流共振コンバータ2-1から2-4までの2次側は、並列接続(電流加算)となる。出力電流Ioutは、電流共振コンバータ2-1から2-4までの各々単体の場合の電流の4倍になる。また、出力電圧Voutは、電流共振コンバータ2-1から2-4までの各々単体の場合の電圧に維持される。出力電流が20A且つ出力電圧が250Vの点が、電流共振コンバータ2-1から2-4までのLLC共振回路の共振点198である。電流共振コンバータ2-1から2-4までの効率、つまり電源装置1の効率は、共振点198で最も高くなる。
【0098】
図9は、電源装置1の出力電圧Voutが1000V且つ出力電流Ioutが5Aである場合の、フルブリッジ回路FB1からフルブリッジ回路FB4までのトランジスタTr1のドレイン-ソース間の電圧201及び電流202の時間領域の波形を示す図である。なお、この場合、電源装置1は、
図8中の共振点194で動作する。また、電源装置1が
図8中の領域184で動作するので、フルブリッジ回路FB1からフルブリッジ回路FB4までは、同相で動作する。
【0099】
図10は、電源装置1の出力電圧Voutが50V且つ出力電流Ioutが10Aである場合の、フルブリッジ回路FB1からフルブリッジ回路FB4までのトランジスタTr1のドレイン-ソース間の電圧211及び電流212の時間領域の波形を示す図である。なお、このとき、電源装置1は
図8中の領域185で動作するので、フルブリッジ回路FB1とフルブリッジ回路FB2とは逆相で動作し、フルブリッジ回路FB3及びFB4は休止している。
【0100】
再び
図8を参照すると、点線135は、高電圧充電器の動作点の軌跡の一例として、出力電流Ioutを5Aで一定に維持したまま出力電圧Voutを50Vから1000Vまで変化させ、出力電圧Voutが1000Vに達したら、出力電圧Voutを1000Vで一定に維持したまま出力電流Ioutを5Aから0Aまで変化させる場合の、電源装置1の動作点の軌跡である。点線135は、共振点191から194までを通過する。従って、電源装置1は、共振周波数又は共振周波数に近い周波数で動作することになるので、効率の低下が抑制される。
【0101】
以上説明したように、電源装置100の共振点が1個であるのに対して、電源装置1の共振点は8個ある。従って、電源装置1は、共振周波数又は共振周波数に近い周波数で動作することができる。これにより、電源装置1は、無効電流を抑制し、効率の低下を抑制することができる。
【0102】
<第2の実施の形態>
次に第2の実施の形態について説明するが、比較例又は第1の実施の形態と同一の構成要素については、説明を省略する。
【0103】
図11は、第2の実施の形態の電源装置の回路構成を示す図である。電源装置1Aは、電流共振コンバータ2-1から2-3までと、整流回路3Aと、制御部4と、コンデンサ103と、電圧センサ104と、電流センサ105と、を含む。
【0104】
整流回路3Aは、ブリッジダイオードである。整流回路3は、整流アーム3-1から3-4までを含む。
【0105】
なお、第2の実施の形態では、電流共振コンバータの数を、奇数の代表として3個としたが、本開示はこれに限定されない。電流共振コンバータの数は、5個以上であっても良い。
【0106】
図12は、第2の実施の形態の電源装置の出力電流と出力電圧との関係を示す図である。
【0107】
電源装置1Aは、領域221から225までの動作領域を有する。領域221は、電流共振コンバータ2-1が正極性で動作し、電流共振コンバータ2-2及び2-3が休止している場合の、電源装置1Aの動作領域である。出力電流が5A且つ出力電圧が250Vの点が、電流共振コンバータ2-1のLLC共振回路の共振点231である。電流共振コンバータ2-1の効率、つまり電源装置1Aの効率は、共振点231で最も高くなる。
【0108】
領域222は、電流共振コンバータ2-1及び2-2が正極性で動作し、電流共振コンバータ2-3が休止している場合の、電源装置1Aの動作領域である。電流共振コンバータ2-1と電流共振コンバータ2-2との出力極性が同じであるので、出力電流Ioutは、電流共振コンバータ2-1及び2-2の各々単体の場合の電流と同じに維持される。また、出力電圧Voutは、電流共振コンバータ2-1及び2-2の各々単体の場合の電圧の和(2倍)になる。出力電流が5A且つ出力電圧が500Vの点が、電流共振コンバータ2-1及び2-2のLLC共振回路の共振点232である。電流共振コンバータ2-1及び2-2の効率、つまり電源装置1Aの効率は、共振点232で最も高くなる。
【0109】
領域223は、電流共振コンバータ2-1から2-3までが正極性で動作する場合の、電源装置1Aの動作領域である。電流共振コンバータ2-1から2-3までの出力極性が同じであるので、出力電流Ioutは、電流共振コンバータ2-1から2-3までの各々単体の場合の電流と同じに維持される。また、出力電圧Voutは、電流共振コンバータ2-1から2-3までの各々単体の場合の電圧の和(3倍)になる。出力電流が5A且つ出力電圧が750Vの点が、電流共振コンバータ2-1から2-3までのLLC共振回路の共振点233である。電流共振コンバータ2-1から2-3までの効率、つまり電源装置1Aの効率は、共振点233で最も高くなる。
【0110】
領域224は、電流共振コンバータ2-1が正極性で動作し、電流共振コンバータ2-2が逆(負)極性で動作し、電流共振コンバータ2-3が休止している場合の、電源装置1Aの動作領域である。電流共振コンバータ2-1と電流共振コンバータ2-2との出力極性が逆であるので、出力電流Ioutは、電流共振コンバータ2-1及び2-2の各々単体の場合の電流の和(2倍)になる。また、出力電圧Voutは、電流共振コンバータ2-1及び2-2の各々単体の場合の電圧に維持される。出力電流が10A且つ出力電圧が250Vの点が、電流共振コンバータ2-1及び2-2のLLC共振回路の共振点234である。電流共振コンバータ2-1及び2-2の効率、つまり電源装置1Aの効率は、共振点234で最も高くなる。
【0111】
領域225は、電流共振コンバータ2-1及び2-3が正極性で動作し、電流共振コンバータ2-2が逆(負)極性で動作する場合の、電源装置1Aの動作領域である。電流共振コンバータ2-1と電流共振コンバータ2-2との出力極性が逆であり、電流共振コンバータ2-2と電流共振コンバータ2-3との出力極性も逆である。従って、電流共振コンバータ2-1の2次側と、電流共振コンバータ2-2の2次側と、は並列接続(電流加算)となる。同様に、電流共振コンバータ2-2の2次側と、電流共振コンバータ2-3の2次側と、は並列接続(電流加算)となる。以上を総合すると、出力電流Ioutは、電流共振コンバータ2-1から2-3までの各々単体の場合の電流の3倍になる。また、出力電圧Voutは、電流共振コンバータ2-1から2-4までの各々単体の場合の電圧に維持される。出力電流が15A且つ出力電圧が250Vの点が、電流共振コンバータ2-1から2-3までのLLC共振回路の共振点235である。電流共振コンバータ2-1から2-3までの効率、つまり電源装置1Aの効率は、共振点235で最も高くなる。
【0112】
以上説明したように、電源装置100の共振点が1個であるのに対して、電源装置1Aの共振点は5個ある。従って、電源装置1Aは、共振周波数又は共振周波数に近い周波数で動作することができる。これにより、電源装置1Aは、無効電流を抑制し、効率の低下を抑制することができる。
【0113】
<第3の実施の形態>
次に第3の実施の形態について説明するが、比較例、第1又は第2の実施の形態と同一の構成要素については、説明を省略する。
【0114】
図13は、第3の実施の形態の電源装置の回路構成を示す図である。第3の実施の形態の電源装置1Bは、損失抑制等の観点から、各整流アームのローサイドのダイオードをスイッチング素子(同期整流素子)に置換し、同期整流することとしたものである。スイッチング素子がオン状態の場合の損失は、ダイオードの損失よりも少ないからである。
【0115】
電源装置1Bは、第1の実施の形態の電源装置1(
図5参照)と比較して、整流回路3に代えて、整流回路3Bを含む。また、電源装置1Bは、電源装置1と比較して、リセットパルス生成回路5と、駆動回路6-1から6-5までと、を更に含む。
【0116】
整流回路3Bは、整流アーム3-1Bから3-5Bまでを含む。
【0117】
整流アーム3-1Bは、整流アーム3-1(
図5参照)と比較して、ダイオードD2-1に代えて、スイッチング素子SW-1と、電流センサ10-1と、を含む。
【0118】
整流アーム3-2Bは、整流アーム3-2(
図5参照)と比較して、ダイオードD2-2に代えて、スイッチング素子SW-2と、電流センサ10-2と、を含む。
【0119】
整流アーム3-3Bは、整流アーム3-3(
図5参照)と比較して、ダイオードD2-3に代えて、スイッチング素子SW-3と、電流センサ10-3と、を含む。
【0120】
整流アーム3-4Bは、整流アーム3-4(
図5参照)と比較して、ダイオードD2-4に代えて、スイッチング素子SW-4と、電流センサ10-4と、を含む。
【0121】
整流アーム3-5Bは、整流アーム3-5(
図5参照)と比較して、ダイオードD2-5に代えて、スイッチング素子SW-5と、電流センサ10-5と、を含む。
【0122】
スイッチング素子SW-1からSW-5までは、トランジスタとするが、本開示はこれに限定されない。
【0123】
以降、スイッチング素子SW-1からSW-5までを、「スイッチング素子SW」と総称する場合がある。また、ダイオードD1-1からD1-5までを、「ダイオードD1」と総称する場合がある。また、トランスT1からT4までを、「トランスT」と総称する場合がある。また、電流共振コンバータ2-1から2-4までを、「電流共振コンバータ2」と総称する場合がある。
【0124】
スイッチング素子SWをスイッチング動作させるスイッチング制御信号を出力するために、電流センサ10-1から10-5までとしてロゴスキーコイルを使用するものとする。ロゴスキーコイルは、電流に応じた電圧を両端に誘起する。この電圧は、電流の微分である。従って、この電圧を積分回路で積分することにより、電流を計測することができる。また、積分回路の積分値は、適切なタイミングでリセットする必要がある。駆動回路6-1から6-5までは、電流センサ10-1から10-5までの出力信号を夫々積分するとともに、リセットパルス生成回路5から供給されるリセットパルス信号S0に基づいて、積分値を夫々リセットする。
【0125】
リセットパルス生成回路5は、コンデンサ7及び抵抗8を介して、ダイオードD1-1のアノード及びスイッチング素子SW-1のドレインに電気的に接続されている。リセットパルス生成回路5は、ダイオードD1-1のアノード及びスイッチング素子SW-1のドレインの電圧V1に基づいて、リセットパルス信号S0を駆動回路6-1から6-5までに出力する。例えば、リセットパルス生成回路5は、電圧V1の微分に基づいて、リセットパルス信号S0を出力する。
【0126】
図14は、第3の実施の形態の電源装置の駆動回路の回路構成を示す図である。
図14では、駆動回路6-1の回路構成を示している。駆動回路6-2、6-3、6-4及び6-5の回路構成は、駆動回路6-1の回路構成と同様であるので、図示及び説明を省略する。
【0127】
駆動回路6-1は、積分回路20と、コンパレータ31と、基準電圧源32と、出力回路33と、を含む。積分回路20は、オペアンプ21と、抵抗22と、コンデンサ23と、トランスファーゲート回路24と、を含む。
【0128】
電流センサ10-1の一端は、オペアンプ21の非反転入力端子(+端子)に電気的に接続されている。電流センサ10-1の他端は、オペアンプ21の反転入力端子(-端子)に電気的に接続されている。
【0129】
抵抗22は、オペアンプ21の反転入力端子と、オペアンプ21の出力端子と、の間に電気的に接続されている。コンデンサ23は、オペアンプ21の反転入力端子と、オペアンプ21の出力端子と、の間に電気的に接続されている。つまり、オペアンプ21は、抵抗22及びコンデンサ23によって、負帰還が掛けられている。コンデンサ23の電荷が、電流センサ10-1の出力信号の積分値に相当する。
【0130】
トランスファーゲート回路24は、オペアンプ21の反転入力端子と、オペアンプ21の出力端子と、の間に電気的に接続されている。トランスファーゲート回路24は、リセットパルス信号S0がリセットパルス生成回路5から供給された場合に、コンデンサ23の両端間を短絡する。これにより、コンデンサ23の電荷、即ち電流センサ10-1の出力信号の積分値が、リセットされる。
【0131】
コンパレータ31の反転入力端子(-端子)は、基準電圧源32に電気的に接続されている。コンパレータ31の非反転入力端子(+端子)は、オペアンプ21の出力端子に電気的に接続されている。コンパレータ31は、オペアンプ21の出力電圧が基準電圧源32の電圧以上になった場合に、ハイレベルの信号を出力する。出力回路33は、コンパレータ31の出力信号を増幅して、スイッチング制御信号S1をスイッチング素子SW-1のゲートに出力する。これにより、スイッチング素子SW-1がオン状態になる。
【0132】
再び
図13を参照すると、整流アーム3-1Bから3-5BまでのハイサイドのダイオードD1とローサイドのスイッチング素子SWとの間の電圧には、振動(リンギング)が発生し得る。
【0133】
整流アーム3-1Bから3-5Bまでの内のコンデンサ103との間で電流が流れる(コンデンサ103との間で電流が出入りする)整流アームの電圧に発生するリンギングは、トランスTの漏れインダクタンスとコンデンサ103の静電容量とによって、生じる。リンギングの周波数は、コンデンサ103の容量が大きいので、電流共振コンバータ2のスイッチング周波数よりも低くなる。従って、リンギングは、波形として観測されない。
【0134】
一方、整流アーム3-1Bから3-5Bまでの内のコンデンサ103との間で電流が流れない(コンデンサ103との間で電流が出入りしない)整流アームの電圧に発生するリンギングは、トランスTの漏れインダクタンスとダイオードD1の寄生容量等とによって、生じる。リンギングの周波数は、ダイオードD1の寄生容量が小さいので、電流共振コンバータ2のスイッチング周波数よりも高くなる。従って、リンギングは、波形として観測されてしまう。
【0135】
従って、リセットパルス生成回路5が、コンデンサ103との間で電流が流れない整流アームの電圧に基づいてリセットパルス信号S0を生成することとすると、リンギング波形を微分してしまうので、意図しないタイミングでリセットパルス信号S0を生成してしまうことになる。その結果、駆動回路6-1から6-5までは、正しく電流検出が出来ず(正しく積分が出来ず)、ひいてはスイッチング素子SWを適切なタイミングで駆動することが出来ない。
【0136】
そこで、制御部4は、最も端(一端又は他端)の電流共振コンバータ2-1(又は2-4)を必ず動作させる運転パターンで電流共振コンバータ2を動作させる。そして、リセットパルス生成回路5は、最も端(一端又は他端)の整流アーム3-1B(又は3-5B)に電気的に接続する。例えば、
図13に示すように、リセットパルス生成回路5は、整流アーム3-1Bに電気的に接続する。
【0137】
図15は、第3の実施の形態の電源装置の、一端の電流共振コンバータを必ず動作させる運転パターンと、コンデンサとの間で電流が流れる整流アームと、を示す図である。
図15において、「オン」がコンデンサ103との間で電流が流れる整流アームを示す。「オフ」がコンデンサ103との間で電流が流れない整流アームを示す。
【0138】
図15(a)に示すように、電流共振コンバータ2-1から2-4までが正極性で動作する運転パターンの場合、整流アーム3-1B及び3-5Bは、コンデンサ103との間で電流が流れる。整流アーム3-2B、3-3B及び3-4Bは、コンデンサ103との間で電流が流れない。
【0139】
図15(b)に示すように、電流共振コンバータ2-1から2-3までが正極性で動作し、電流共振コンバータ2-4が休止する運転パターンの場合、整流アーム3-1B及び3-4Bは、コンデンサ103との間で電流が流れる。整流アーム3-2B、3-3B及び3-5Bは、コンデンサ103との間で電流が流れない。
【0140】
図15(c)に示すように、電流共振コンバータ2-1及び2-2が正極性で動作し、電流共振コンバータ2-3及び2-4が休止する運転パターンの場合、整流アーム3-1B及び3-3Bは、コンデンサ103との間で電流が流れる。整流アーム3-2B、3-4B及び3-5Bは、コンデンサ103との間で電流が流れない。
【0141】
図15(d)に示すように、電流共振コンバータ2-1が正極性で動作し、電流共振コンバータ2-2から2-4までが休止する運転パターンの場合、整流アーム3-1B及び3-2Bは、コンデンサ103との間で電流が流れる。整流アーム3-3B、3-4B及び3-5Bは、コンデンサ103との間で電流が流れない。
【0142】
図15(e)に示すように、電流共振コンバータ2-1及び2-2が正極性で動作し、電流共振コンバータ2-3及び2-4が逆極性で動作する運転パターンの場合、整流アーム3-1B、3-3B及び3-5Bは、コンデンサ103との間で電流が流れる。整流アーム3-2B及び3-4Bは、コンデンサ103との間で電流が流れない。
【0143】
図15(f)に示すように、電流共振コンバータ2-1が正極性で動作し、電流共振コンバータ2-2が逆極性で動作し、電流共振コンバータ2-3及び2-4が休止する運転パターンの場合、整流アーム3-1B、3-2B及び3-3Bは、コンデンサ103との間で電流が流れる。整流アーム3-4B及び3-5Bは、コンデンサ103との間で電流が流れない。
【0144】
図15(g)に示すように、電流共振コンバータ2-1及び2-3が正極性で動作し、電流共振コンバータ2-2が逆極性で動作し、電流共振コンバータ2-4が休止する運転パターンの場合、整流アーム3-1Bから3-4Bまでは、コンデンサ103との間で電流が流れる。整流アーム3-5Bは、コンデンサ103との間で電流が流れない。
【0145】
図15(h)に示すように、電流共振コンバータ2-1及び2-3が正極性で動作し、電流共振コンバータ2-2及び2-4が逆極性で動作する運転パターンの場合、整流アーム3-1Bから3-5Bまでは、コンデンサ103との間で電流が流れる。
【0146】
図16及び
図17は、第3の実施の形態の電源装置の、一端の電流共振コンバータを必ず動作させる運転パターンと、整流アームの電圧と、を示す図である。
【0147】
図16(a)に示すように、電流共振コンバータ2-1から2-4までが正極性で動作する運転パターンの場合、整流アーム3-1Bは、コンデンサ103との間で電流が流れる。従って、整流アーム3-1Bには、リンギングが波形として観測されない。
【0148】
図16(b)に示すように、電流共振コンバータ2-1から2-3までが正極性で動作し、電流共振コンバータ2-4が休止する運転パターンの場合、整流アーム3-1Bは、コンデンサ103との間で電流が流れる。従って、整流アーム3-1Bには、リンギングが波形として観測されない。
【0149】
図16(c)に示すように、電流共振コンバータ2-1及び2-2が正極性で動作し、電流共振コンバータ2-3及び2-4が休止する運転パターンの場合、整流アーム3-1Bは、コンデンサ103との間で電流が流れる。従って、整流アーム3-1Bには、リンギングが波形として観測されない。
【0150】
図16(d)に示すように、電流共振コンバータ2-1が正極性で動作し、電流共振コンバータ2-2から2-4までが休止する運転パターンの場合、整流アーム3-1Bは、コンデンサ103との間で電流が流れる。従って、整流アーム3-1Bには、リンギングが波形として観測されない。
【0151】
図17(e)に示すように、電流共振コンバータ2-1及び2-2が正極性で動作し、電流共振コンバータ2-3及び2-4が逆極性で動作する運転パターンの場合、整流アーム3-1Bは、コンデンサ103との間で電流が流れる。従って、整流アーム3-1Bには、リンギングが波形として観測されない。
【0152】
図17(f)に示すように、電流共振コンバータ2-1が正極性で動作し、電流共振コンバータ2-2が逆極性で動作し、電流共振コンバータ2-3及び2-4が休止する運転パターンの場合、整流アーム3-1Bは、コンデンサ103との間で電流が流れる。従って、整流アーム3-1Bには、リンギングが波形として観測されない。
【0153】
図17(g)に示すように、電流共振コンバータ2-1及び2-3が正極性で動作し、電流共振コンバータ2-2が逆極性で動作し、電流共振コンバータ2-4が休止する運転パターンの場合、整流アーム3-1Bは、コンデンサ103との間で電流が流れる。従って、整流アーム3-1Bには、リンギングが波形として観測されない。
【0154】
図17(h)に示すように、電流共振コンバータ2-1及び2-3が正極性で動作し、電流共振コンバータ2-2及び2-4が逆極性で動作する運転パターンの場合、整流アーム3-1Bは、コンデンサ103との間で電流が流れる。従って、整流アーム3-1Bには、リンギングが波形として観測されない。
【0155】
これにより、リセットパルス生成回路5は、リンギングの影響を受けずに、適切なタイミングでリセットパルス信号S
0を生成できる。従って、整流回路3Bは、ローサイドのダイオードD2-1からD2-5まで(
図5参照)を、スイッチング素子SW-1からSW-5までに置換可能となる。
【0156】
このように、整流回路3BのローサイドのダイオードD2-1からD2-5までを、スイッチング素子SW-1からSW-5までに置換することができる。スイッチング素子SW-1からSW-5までのオン状態の場合の損失は、ダイオードD2-1からD2-5までの損失よりも少ない。これにより、電源装置1Bは、整流回路3Bの損失を抑制できるので、効率の低下を抑制することができる。
【0157】
なお、第3の実施の形態では、電流共振コンバータの数を偶数(偶数の代表として4個)としたが、本開示はこれに限定されない。電流共振コンバータの数は、奇数であっても良い。第3の実施の形態では、電流共振コンバータの数を4個としたが、電流共振コンバータの数は、2個であっても良いし、6個以上であっても良い。
【0158】
また、第3の実施の形態では、各整流アームのローサイドのダイオードをスイッチング素子に置換した場合について説明したが、本開示はこれに限定されない。各整流アームのハイサイドのダイオードをスイッチング素子に置換しても良い。
【0159】
本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0160】
1、1A、1B、100 電源装置
2-1、2-2、2-3、2-4、101 電流共振コンバータ
3、3A、3B、102 整流回路
4 制御部
5 リセットパルス生成回路
6-1、6-2、6-3、6-4、6-5 駆動回路
41 指令部
42 切替部
D1-1、D1-2、D1-3、D1-4、D1-5 ダイオード
FB、FB1、FB2、FB3、FB4 フルブリッジ回路
SW-1、SW-2、SW-3、SW-4、SW-5 スイッチング素子
T、T1、T2、T3、T4 トランス
103、122 コンデンサ
104 電圧センサ
105 電流センサ
106 制御部
121 直流電源
123 負荷
124 出力設定部