IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝メモリ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 43/27 20230101AFI20250120BHJP
   H10B 43/50 20230101ALI20250120BHJP
   H10D 30/68 20250101ALI20250120BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20250120BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20250120BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20250120BHJP
   H10D 88/00 20250101ALI20250120BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20250120BHJP
【FI】
H10B43/27
H10B43/50
H01L29/78 371
H01L21/88 T
H01L27/00 301C
H01L21/60 311Q
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021100408
(22)【出願日】2021-06-16
(65)【公開番号】P2022191901
(43)【公開日】2022-12-28
【審査請求日】2024-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100176599
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100205095
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 啓一
(74)【代理人】
【識別番号】100208775
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 雅章
(72)【発明者】
【氏名】田村 瑞樹
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-165110(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0157333(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0066192(US,A1)
【文献】国際公開第2012/161044(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/116040(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 43/27
H10B 43/50
H01L 21/336
H01L 21/3205
H01L 27/00
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜内に設けられた第1パッドと、
前記第1絶縁膜上に設けられた第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜内で前記第1パッド上に設けられた第2パッドとを備え、
前記第1絶縁膜は、前記第1パッドおよび前記第2絶縁膜に接する第1膜と、前記第1パッドおよび前記第2絶縁膜と間隔を有して設けられ、前記第1パッドの少なくとも一部と同じ高さに設けられた部分を有する第2膜とを含み、かつ/または、
前記第2絶縁膜は、前記第2パッドおよび前記第1絶縁膜に接する第3膜と、前記第2パッドおよび前記第1絶縁膜と間隔を有して設けられ、前記第2パッドの少なくとも一部と同じ高さに設けられた部分を有する第4膜とを含み、
前記第1膜と前記第2膜は、シリコンおよび酸素を含み、かつ/または、
前記第3膜と前記第4膜は、シリコンおよび酸素を含み、
前記第2膜は、前記第1膜よりも高い窒素原子濃度を有し、かつ/または、
前記第4膜は、前記第3膜よりも高い窒素原子濃度を有する、
半導体装置。
【請求項2】
前記第1膜は、前記第1パッドの側面と前記第2膜の側面との間に設けられた第1部分を含み、かつ/または、
前記第3膜は、前記第2パッドの側面と前記第4膜の側面との間に設けられた第2部分を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1部分は、前記第1パッドを包囲する環状の平面形状を有し、かつ/または、
前記第2部分は、前記第2パッドを包囲する環状の平面形状を有する、
請求項に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1部分は、複数の六角形を含む環状の平面形状を有し、かつ/または、
前記第2部分は、複数の六角形を含む環状の平面形状を有する、
請求項に記載の半導体装置。
【請求項5】
第1基板上に第1絶縁膜を形成し、
前記第1絶縁膜内に第1パッドを形成し、
第2基板上に第2絶縁膜を形成し、
前記第2絶縁膜内に第2パッドを形成し、
前記第1絶縁膜上に前記第2絶縁膜が配置され、前記第1パッド上に前記第2パッドが配置されるように、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる、ことを含み、
前記第1絶縁膜は、前記第1パッドおよび前記第2絶縁膜に接する第1膜と、前記第1パッドおよび前記第2絶縁膜と間隔を有して設けられ、前記第1パッドの少なくとも一部と同じ高さに設けられた部分を有する第2膜とを含むように形成され、かつ/または、
前記第2絶縁膜は、前記第2パッドおよび前記第1絶縁膜に接する第3膜と、前記第2パッドおよび前記第1絶縁膜と間隔を有して設けられ、前記第2パッドの少なくとも一部と同じ高さに設けられた部分を有する第4膜とを含むように形成され、
前記第2膜は、前記貼り合わせ後に加熱されることで収縮し、かつ/または、
前記第4膜は、前記貼り合わせ後に加熱されることで収縮する、
導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第2膜の厚さは、前記収縮により9%よりも大きくかつ25%以下だけ減少し、
かつ/または、
前記第4膜の厚さは、前記収縮により9%よりも大きくかつ25%以下だけ減少する、
請求項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第2膜は、ポリシラザンを含み、かつ/または、
前記第4膜は、ポリシラザンを含む、
請求項5または6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜内に設けられた第1プラグと、
前記第1絶縁膜内で前記第1プラグ上に設けられた第1パッドと、
前記第1絶縁膜上に設けられた第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜内で前記第1パッド上に設けられた第2パッドと、
前記第2絶縁膜内で前記第2パッド上に設けられた第2プラグとを備え、
前記第1パッドよりも大きい線膨張係数を有し、前記第1絶縁膜内で前記第1プラグの少なくとも一部と同じ高さに設けられた部分を有する第1層、かつ/または、
前記第2パッドよりも大きい線膨張係数を有し、前記第2絶縁膜内で前記第2プラグの少なくとも一部と同じ高さに設けられた部分を有する第2層、
をさらに備える半導体装置。
【請求項9】
前記第1層は、第1金属層を含み、かつ/または、
前記第2層は、第2金属層を含む、
請求項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1パッドは銅を含み、前記第1層はアルミニウムまたは亜鉛を含み、
かつ/または、
前記第2パッドは銅を含み、前記第2層はアルミニウムまたは亜鉛を含む、
請求項またはに記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1層の厚さは、前記第1パッドの厚さの5%以上かつ30%以下であり、
かつ/または、
前記第2層の厚さは、前記第2パッドの厚さの5%以上かつ30%以下である、
請求項から1のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1層は、前記第1プラグに接しており、かつ/または、
前記第2層は、前記第2プラグに接している、
請求項から1のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1層は、前記第1プラグと間隔を有して設けられており、かつ/または、
前記第2層は、前記第2プラグと間隔を有して設けられている、
請求項から1のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1層は、前記第1パッドに接しており、かつ/または、
前記第2層は、前記第2パッドに接している、
請求項から1のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1層は、前記第1パッドと間隔を有して設けられており、かつ/または、
前記第2層は、前記第2パッドと間隔を有して設けられている、
請求項から1のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項16】
第1基板上に第1絶縁膜を形成し、
前記第1絶縁膜内に第1プラグを形成し、
前記第1絶縁膜内で前記第1プラグ上に第1パッドを形成し、
第2基板上に第2絶縁膜を形成し、
前記第2絶縁膜内に第2プラグを形成し、
前記第2絶縁膜内で前記第2プラグ上に第2パッドを形成し、
前記第1絶縁膜上に前記第2絶縁膜が配置され、前記第1パッド上に前記第2パッドが配置されるように、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる、
ことを含み、
前記第1絶縁膜内に、前記第1パッドよりも大きい線膨張係数を有し、前記第1プラグの少なくとも一部と同じ高さに設けられた部分を有する第1層を形成し、かつ/または、
前記第2絶縁膜内に、前記第2パッドよりも大きい線膨張係数を有し、前記第2プラグの少なくとも一部と同じ高さに設けられた部分を有する第2層を形成する、
ことをさらに含む半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記第1層は、前記第1プラグの形成前に形成され、かつ/または、
前記第2層は、前記第2プラグの形成前に形成される、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ある基板と別の基板とを貼り合わせて半導体装置を製造する場合、これらの基板の金属パッド同士の接合不良を低減することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許US6962835号公報
【文献】国際特許出願公開WO2016/152513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パッド同士を好適に接合することが可能な半導体装置およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態によれば、半導体装置は、第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜内に設けられた第1パッドと、前記第1絶縁膜上に設けられた第2絶縁膜と、前記第2絶縁膜内で前記第1パッド上に設けられた第2パッドとを備える。さらに、前記第1絶縁膜は、前記第1パッドおよび前記第2絶縁膜に接する第1膜と、前記第1パッドおよび前記第2絶縁膜と間隔を有して設けられ、前記第1パッドの少なくとも一部と同じ高さに設けられた部分を有する第2膜とを含み、かつ/または、前記第2絶縁膜は、前記第2パッドおよび前記第1絶縁膜に接する第3膜と、前記第2パッドおよび前記第1絶縁膜と間隔を有して設けられ、前記第2パッドの少なくとも一部と同じ高さに設けられた部分を有する第4膜とを含み、前記第1膜と前記第2膜は、シリコンおよび酸素を含み、かつ/または、前記第3膜と前記第4膜は、シリコンおよび酸素を含み、前記第2膜は、前記第1膜よりも高い窒素原子濃度を有し、かつ/または、前記第4膜は、前記第3膜よりも高い窒素原子濃度を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
図2】第1実施形態の柱状部の構造を示す断面図である。
図3】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(1/2)である。
図4】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(2/2)である。
図5】第1実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
図6】第1実施形態の半導体装置の構造の2つの例を示す断面図である。
図7】第1実施形態の第1変形例の半導体装置の構造を示す断面図である。
図8】第1実施形態の第2変形例の半導体装置の構造を示す断面図である。
図9】第1実施形態の第3変形例の半導体装置の構造を示す断面図である。
図10】第1実施形態の半導体装置の製造方法の概略を示す断面図である。
図11】第1実施形態の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図(1/5)である。
図12】第1実施形態の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図(2/5)である。
図13】第1実施形態の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図(3/5)である。
図14】第1実施形態の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図(4/5)である。
図15】第1実施形態の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図(5/5)である。
図16】第2実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
図17】第2実施形態の第1変形例の半導体装置の構造を示す断面図である。
図18】第2実施形態の第2変形例の半導体装置の構造を示す断面図である。
図19】第2実施形態の第3変形例の半導体装置の構造を示す断面図である。
図20】第2実施形態の第4変形例の半導体装置の構造を示す断面図である。
図21】第2実施形態の半導体装置の製造方法の概略を示す断面図である。
図22】第2実施形態の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図(1/7)である。
図23】第2実施形態の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図(2/7)である。
図24】第2実施形態の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図(3/7)である。
図25】第2実施形態の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図(4/7)である。
図26】第2実施形態の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図(5/7)である。
図27】第2実施形態の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図(6/7)である。
図28】第2実施形態の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図(7/7)である。
図29】第2実施形態の半導体装置の別の製造方法の詳細を示す断面図(1/4)である。
図30】第2実施形態の半導体装置の別の製造方法の詳細を示す断面図(2/4)である。
図31】第2実施形態の半導体装置の別の製造方法の詳細を示す断面図(3/4)である。
図32】第2実施形態の半導体装置の別の製造方法の詳細を示す断面図(4/4)である。
図33】第2実施形態の半導体装置の材料について説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1図33において、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。図1の半導体装置は、例えば3次元メモリであり、後述するように、アレイ領域1を含むアレイウェハと、回路領域2を含む回路ウェハとを貼り合わせることで製造される。
【0009】
アレイ領域1は、複数のメモリセルを含むメモリセルアレイ11と、メモリセルアレイ11上の絶縁膜12と、メモリセルアレイ11下の層間絶縁膜13とを備えている。絶縁膜12は例えば、シリコン酸化膜(SiO膜)またはシリコン窒化膜(SiN膜)である。層間絶縁膜13は例えば、シリコン酸化膜、または、シリコン酸化膜とその他の絶縁膜とを含む積層膜である。層間絶縁膜13は、第2絶縁膜の例である。
【0010】
回路領域2は、アレイ領域1下に設けられている。符号Sは、アレイ領域1と回路領域2との境界面(貼合面)を示す。回路領域2は、層間絶縁膜14と、層間絶縁膜14下の基板15とを備えている。層間絶縁膜14は例えば、シリコン酸化膜、または、シリコン酸化膜とその他の絶縁膜とを含む積層膜である。層間絶縁膜14は、第1絶縁膜の例である。基板15は例えば、シリコン(Si)基板などの半導体基板である。
【0011】
図1は、基板15の表面に平行で互いに垂直なX方向およびY方向と、基板15の表面に垂直なZ方向とを示している。本明細書では、+Z方向を上方向として取り扱い、-Z方向を下方向として取り扱う。-Z方向は、重力方向と一致していても一致していなくてもよい。
【0012】
アレイ領域1は、メモリセルアレイ11内の複数の電極層として、複数のワード線WLと、ソース線SLとを備えている。図1は、メモリセルアレイ11の階段構造部21を示している。各ワード線WLは、コンタクトプラグ22を介してワード配線層23と電気的に接続されている。上記複数のワード線WLを貫通する各柱状部CLは、ビアプラグ24を介してビット線BLと電気的に接続されており、かつソース線SLと電気的に接続されている。ソース線SLは、半導体層である下部層SL1と、金属層である上部層SL2とを含んでいる。
【0013】
回路領域2は、複数のトランジスタ31を備えている。各トランジスタ31は、基板15上にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極32と、基板15内に設けられた不図示のソース拡散層およびドレイン拡散層とを備えている。また、回路領域2は、これらのトランジスタ31のゲート電極32、ソース拡散層、またはドレイン拡散層上に設けられた複数のコンタクトプラグ33と、これらのコンタクトプラグ33上に設けられ、複数の配線を含む配線層34と、配線層34上に設けられ、複数の配線を含む配線層35とを備えている。
【0014】
回路領域2はさらに、配線層35上に設けられ、複数の配線を含む配線層36と、配線層36上に設けられた複数のビアプラグ37と、これらのビアプラグ37上に設けられた複数の金属パッド38とを備えている。金属パッド38は例えば、Cu(銅)層を含む金属層である。金属パッド38は、第1パッドの例である。回路領域2は、アレイ領域1の動作を制御する制御回路(論理回路)として機能する。この制御回路は、トランジスタ31などにより構成されており、金属パッド38に電気的に接続されている。
【0015】
アレイ領域1は、金属パッド38上に設けられた複数の金属パッド41と、金属パッド41上に設けられた複数のビアプラグ42とを備えている。また、アレイ領域1は、これらのビアプラグ42上に設けられ、複数の配線を含む配線層43と、配線層43上に設けられ、複数の配線を含む配線層44とを備えている。金属パッド41は例えば、Cu層を含む金属層である。金属パッド41は、第2パッドの例である。上記のビット線BLは、配線層44に含まれている。上記の制御回路は、金属パッド41、38などを介してメモリセルアレイ11に電気的に接続されており、金属パッド41、38などを介してメモリセルアレイ11の動作を制御する。
【0016】
アレイ領域1はさらに、配線層44上に設けられた複数のビアプラグ45と、これらのビアプラグ45上や絶縁膜12上に設けられた金属パッド46と、金属パッド46上や絶縁膜12上に設けられたパッシベーション膜47とを備えている。金属パッド46は例えば、Cu層を含む金属層であり、図1の半導体装置の外部接続パッド(ボンディングパッド)として機能する。パッシベーション膜47は例えば、シリコン酸化膜などの絶縁膜であり、金属パッド46の上面を露出させる開口部Pを有している。金属パッド46は、この開口部Pを介してボンディングワイヤ、はんだボール、金属バンプなどにより実装基板や他の装置に接続可能である。
【0017】
図2は、第1実施形態の柱状部CLの構造を示す断面図である。図2は、図1に示す複数の柱状部CLのうちの1つを示している。
【0018】
図2に示すように、メモリセルアレイ11は、層間絶縁膜13(図1)上に交互に積層された複数のワード線WLと複数の絶縁層51とを備えている。ワード線WLは、例えばW(タングステン)層である。絶縁層51は、例えばシリコン酸化膜である。
【0019】
柱状部CLは、ブロック絶縁膜52、電荷蓄積層53、トンネル絶縁膜54、チャネル半導体層55、およびコア絶縁膜56を順に含んでいる。電荷蓄積層53は例えば、シリコン窒化膜などの絶縁膜であり、ワード線WLおよび絶縁層51の側面にブロック絶縁膜52を介して形成されている。電荷蓄積層53は、ポリシリコン層などの半導体層でもよい。チャネル半導体層55は、例えばポリシリコン層であり、電荷蓄積層53の側面にトンネル絶縁膜54を介して形成されている。ブロック絶縁膜52、トンネル絶縁膜54、およびコア絶縁膜56は、例えばシリコン酸化膜または金属絶縁膜である。
【0020】
図3および図4は、第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0021】
図3は、複数のアレイ領域1を含むアレイウェハW1と、複数の回路領域2を含む回路ウェハW2とを示している。アレイウェハW1は「メモリウェハ」とも呼ばれ、回路ウェハW2は「CMOSウェハ」とも呼ばれる。
【0022】
図3のアレイウェハW1の向きは、図1のアレイ領域1の向きとは逆になっている。本実施形態では、アレイウェハW1と回路ウェハW2とを貼り合わせることで半導体装置を製造する。図3は、貼合のために向きを反転される前のアレイウェハW1を示しており、図1は、貼合のために向きを反転されて貼合およびダイシングされた後のアレイ領域1を示している。
【0023】
図3において、符号S1はアレイウェハW1の上面を示し、符号S2は回路ウェハW2の上面を示している。アレイウェハW1は、絶縁膜12下に設けられた基板16を備えている。基板16は例えば、シリコン基板などの半導体基板である。基板15は第1基板の例であり、基板16は第2基板の例である。
【0024】
本実施形態ではまず、図3に示すように、アレイウェハW1の基板16上にメモリセルアレイ11、絶縁膜12、層間絶縁膜13、階段構造部21、金属パッド41などを形成し、回路ウェハW2の基板15上に層間絶縁膜14、トランジスタ31、金属パッド38などを形成する。例えば、基板16上にビアプラグ45、配線層44、配線層43、ビアプラグ42、および金属パッド41が順に形成される。また、基板15上にコンタクトプラグ33、配線層34、配線層35、配線層36、ビアプラグ37、および金属パッド38が順に形成される。次に、図4に示すように、アレイウェハW1と回路ウェハW2とを機械的圧力により貼り合わせる。これにより、層間絶縁膜13と層間絶縁膜14とが接着される。次に、アレイウェハW1および回路ウェハW2をアニールする。これにより、金属パッド41と金属パッド38とが接合される。
【0025】
その後、基板15をCMP(Chemical Mechanical Polishing)により薄膜化し、基板16をCMPにより除去した後、アレイウェハW1および回路ウェハW2を複数のチップに切断する。このようにして、図1の半導体装置が製造される。なお、金属パッド46とパッシベーション膜47は例えば、基板15の薄膜化および基板16の除去の後に、絶縁膜12上に形成される。
【0026】
なお、本実施形態ではアレイウェハW1と回路ウェハW2とを貼り合わせているが、代わりにアレイウェハW1同士を貼り合わせてもよい。図1図4を参照して前述した内容や、図5図33を参照して後述する内容は、アレイウェハW1同士の貼合にも適用可能である。
【0027】
また、図1は、層間絶縁膜13と層間絶縁膜14との境界面や、金属パッド41と金属パッド38との境界面を示しているが、上記のアニール後はこれらの境界面が観察されなくなることが一般的である。しかしながら、これらの境界面のあった位置は、例えば金属パッド41の側面や金属パッド38の側面の傾きや、金属パッド41の側面と金属パッド38との位置ずれを検出することで推定することができる。
【0028】
以下、図5図15を参照し、本実施形態の半導体装置のさらなる詳細を説明する。
【0029】
図5は、第1実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
【0030】
図5(a)は、図1に示す複数対の金属パッド38、41のうちの1対を示す縦断面図である。図5(a)では、金属パッド38が、層間絶縁膜14内でビアプラグ37上に設けられ、金属パッド41が、層間絶縁膜13内でビアプラグ42下に設けられている。図5(b)は、図5(a)に示すA-A’線に沿った横断面図であり、金属パッド41のXY断面を示している。図5(c)は、図5(a)に示すB-B’線に沿った横断面図であり、金属パッド38のXY断面を示している。
【0031】
以下、図5(a)に示す金属パッド38、41や層間絶縁膜14、13のさらなる詳細を説明する。この説明の中で、図5(b)および図5(c)も適宜参照する。
【0032】
図5(a)に示すように、金属パッド38は、バリアメタル層38aと、パッド材層38bとを含んでいる。バリアメタル層38aは、層間絶縁膜14の側面および上面に形成されており、パッド材層38bは、層間絶縁膜14内にバリアメタル層38aを介して形成されている。同様に、金属パッド41は、バリアメタル層41aと、パッド材層41bとを含んでいる。バリアメタル層41aは、層間絶縁膜13の側面および下面に形成されており、パッド材層41bは、層間絶縁膜14内にバリアメタル層41aを介して形成されている。バリアメタル層38a、41aは例えば、Ti(チタン)元素またはTa(タンタル)元素を含む金属層である。パッド材層38b、41bは例えば、Cu層を含む金属層である。よって、金属パッド38、41は「Cuパッド」とも呼ばれる。
【0033】
本実施形態の層間絶縁膜14は、絶縁膜14aと、絶縁膜14bとを含んでいる。絶縁膜14aは、金属パッド38と層間絶縁膜13とに接しており、金属パッド38の横方向や下方向などに配置されている。一方、絶縁膜14bは、金属パッド38にも層間絶縁膜13にも接しておらず、金属パッド38の横方向に配置されている。すなわち、絶縁膜14bは、金属パッド38および層間絶縁膜13と間隔を有して配置されている。本実施形態では、絶縁膜14bの厚さが、金属パッド38の厚さよりも薄いため、絶縁膜14bの全体が、金属パッド38の一部と同じ高さに位置している。そのため、XY平面に平行なB-B’線が、金属パッド38と絶縁膜14bの両方を通過している。絶縁膜14aは第1膜の例であり、絶縁膜14bは第2膜の例である。
【0034】
なお、上記の「高さ」の基準は、例えば境界面Sである。また、上記の「高さ」の基準は、基板15の上面でもよい。これは、以下に登場する「高さ」の語句についても同様である。
【0035】
本実施形態の絶縁膜14aと絶縁膜14bは、いずれもSiO膜である。ただし、本実施形態の絶縁膜14aは、例えばdTEOS(densified tetraethyl orthosilicate)を用いて形成される。一方、本実施形態の絶縁膜14bは、例えばPSZ(ポリシラザン)を用いて形成される。そのため、絶縁膜14bは、不純物原子としてN(窒素)原子を含んでおり、絶縁膜14b内のN原子濃度は、絶縁膜14a内のN原子濃度よりも高くなっている。さらには、絶縁膜14bは、半導体装置を製造する際の熱工程で収縮する。本実施形態の半導体装置を製造する際には、後述するように、絶縁膜14bのこのような性質を利用することで、金属パッド38と金属パッド41とを好適に接合することができる。
【0036】
なお、本実施形態の絶縁膜14bは、半導体装置を製造する際の熱工程で収縮する別のSiO膜(例えばNSG(None-doped Silicate Glass)膜)でもよい。また、本実施形態の絶縁膜14a、14bは、SiO膜以外でもよい。
【0037】
本実施形態の層間絶縁膜13は、絶縁膜13aと、絶縁膜13bとを含んでいる。絶縁膜13aは、金属パッド41と層間絶縁膜14とに接しており、金属パッド41の横方向や上方向などに配置されている。一方、絶縁膜13bは、金属パッド41にも層間絶縁膜14にも接しておらず、金属パッド41の横方向に配置されている。すなわち、絶縁膜13bは、金属パッド41および層間絶縁膜14と間隔を有して配置されている。本実施形態では、絶縁膜13bの厚さが、金属パッド41の厚さよりも薄いため、絶縁膜13bの全体が、金属パッド41の一部と同じ高さに位置している。そのため、XY平面に平行なA-A’線が、金属パッド41と絶縁膜13bの両方を通過している。絶縁膜13aは第3膜の例であり、絶縁膜13bは第4膜の例である。
【0038】
本実施形態の絶縁膜13aと絶縁膜13bは、いずれもSiO膜である。ただし、本実施形態の絶縁膜13aは、例えばdTEOSを用いて形成される。一方、本実施形態の絶縁膜13bは、例えばPSZを用いて形成される。そのため、絶縁膜13bは、不純物原子としてN原子を含んでおり、絶縁膜13b内のN原子濃度は、絶縁膜13a内のN原子濃度よりも高くなっている。さらには、絶縁膜13bは、半導体装置を製造する際の熱工程で収縮する。本実施形態の半導体装置を製造する際には、後述するように、絶縁膜13bのこのような性質を利用することで、金属パッド38と金属パッド41とを好適に接合することができる。
【0039】
なお、本実施形態の絶縁膜13bは、半導体装置を製造する際の熱工程で収縮する別のSiO膜(例えばNSG膜)でもよい。また、本実施形態の絶縁膜13a、13bは、SiO膜以外でもよい。
【0040】
本実施形態の絶縁膜13aは、図5(a)に示すように、金属パッド41の側面と絶縁膜13bの側面との間に設けられた部分P1を含んでいる。よって、絶縁膜13bは、金属パッド41に接していない。部分P1は、第2部分の例である。同様に、本実施形態の絶縁膜14aは、金属パッド38の側面と絶縁膜14bの側面との間に設けられた部分P2を含んでいる。よって、絶縁膜14bは、金属パッド38に接していない。部分P2は、第1部分の例である。
【0041】
図5(b)は、絶縁膜13aの部分P1のXY断面を示している。本実施形態の部分P1は、図5(b)に示すように、金属パッド41を包囲する環状の平面形状を有している。部分P1はさらに、絶縁膜13bにより環状に包囲されている。
【0042】
図5(c)は、絶縁膜14aの部分P2のXY断面を示している。本実施形態の部分P2は、図5(c)に示すように、金属パッド38を包囲する環状の平面形状を有している。部分P2はさらに、絶縁膜14bにより環状に包囲されている。
【0043】
図6は、第1実施形態の半導体装置の構造の2つの例を示す断面図である。
【0044】
図6(a)は、本実施形態の半導体装置の構造の第1の例を示している。図6(a)は、図5(b)よりも広い範囲を示した横断面図である。この例では、各金属パッド41は、中実の四角形の平面形状を有し、各金属パッド41を包囲する部分P1は、中空の四角形の平面形状を有している。この例では、1つの絶縁膜13bが、複数の金属パッド41を複数の部分P1を介して個々に包囲している。
【0045】
図6(b)は、本実施形態の半導体装置の構造の第2の例を示している。図6(b)は、図6(a)と同様に、図5(b)よりも広い範囲を示した横断面図であるが、図6(a)に示す構造とは異なる構造を示している。この例では、各金属パッド41は、中実の六角形の平面形状を有し、各金属パッド41を包囲する部分P1は、中空の六角形に近い平面形状を有している。具体的には、各部分P1は、複数(ここでは6つ)の六角形を組み合わせた環状の平面形状を有し、これらの六角形の各々は、1つの金属パッド41と同じサイズを有している。同様に、絶縁膜13bも、複数の六角形を組み合わせた平面形状を有し、これらの六角形の各々は、1つの金属パッド41と同じサイズを有している。このように、この例の金属パッド41、部分P1、および絶縁膜13bの平面形状は、ハニカム構造を有している。この例でも、1つの絶縁膜13bが、複数の金属パッド41を複数の部分P1を介して個々に包囲している。
【0046】
なお、第1の例における金属パッド38、部分P2、および絶縁膜14bの平面形状はそれぞれ、金属パッド41、部分P1、および絶縁膜13bの平面形状と同様である。また、第2の例における金属パッド38、部分P2、および絶縁膜14bの平面形状はそれぞれ、金属パッド41、部分P1、および絶縁膜13bの平面形状と同様である。
【0047】
図7は、第1実施形態の第1変形例の半導体装置の構造を示す断面図である。図7(a)~図7(c)はそれぞれ、図5(a)~図5(c)に対応している。
【0048】
本変形例の絶縁膜14bは、第1実施形態のそれと同様に、金属パッド38および層間絶縁膜13に接しておらず、金属パッド38の横方向などに配置されている。同様に、本変形例の絶縁膜13bは、金属パッド41および層間絶縁膜14に接しておらず、金属パッド41の横方向などに配置されている。
【0049】
しかしながら、本変形例の絶縁膜14bの厚さは、金属パッド38の厚さよりも厚く、絶縁膜14bの一部のみが、金属パッド38の一部と同じ高さに位置している。よって、本変形例の絶縁膜14bは、金属パッド38の下面より高い位置にある部分だけでなく、金属パッド38の下面より低い位置にある部分も含んでいる。同様に、本変形例の絶縁膜13bの厚さは、金属パッド41の厚さよりも厚く、絶縁膜13bの一部のみが、金属パッド41の一部と同じ高さに位置している。よって、本変形例の絶縁膜13bは、金属パッド41の上面より低い位置にある部分だけでなく、金属パッド41の上面より高い位置にある部分も含んでいる。本変形例によれば、このような形状を有する絶縁膜14b、13bにより、金属パッド38と金属パッド41とを好適に接合することができる。
【0050】
なお、本変形例の絶縁膜14bの厚さは、金属パッド38の厚さより薄くてもよく、本変形例の絶縁膜13bの厚さは、金属パッド41の厚さより薄くてもよい。
【0051】
図8は、第1実施形態の第2変形例の半導体装置の構造を示す断面図である。図8(a)~図8(c)はそれぞれ、図5(a)~図5(c)に対応している。
【0052】
本変形例の層間絶縁膜14は、第1変形例の絶縁膜14a、14bと同じ形状を有する絶縁膜14a、14bを含んでいる。一方、本変形例の層間絶縁膜13は、絶縁膜13aは含んでいるものの、絶縁膜13bは含んでいない。本変形例によれば、このような形状を有する絶縁膜14bにより、金属パッド38と金属パッド41とを好適に接合することができる。
【0053】
図9は、第1実施形態の第3変形例の半導体装置の構造を示す断面図である。図9(a)~図9(c)はそれぞれ、図5(a)~図5(c)に対応している。
【0054】
本変形例の層間絶縁膜13は、第1変形例の絶縁膜13a、13bと同じ形状を有する絶縁膜13a、13bを含んでいる。一方、本変形例の層間絶縁膜14は、絶縁膜14aは含んでいるものの、絶縁膜14bは含んでいない。本変形例によれば、このような形状を有する絶縁膜13bにより、金属パッド38と金属パッド41とを好適に接合することができる。
【0055】
図10は、第1実施形態の半導体装置の製造方法の概略を示す断面図である。図10(a)~図10(c)は、図3および図4に示す方法の詳細を示している。
【0056】
図10(a)は、回路領域2(回路ウェハW2)と貼り合わされる前のアレイ領域1(アレイウェハW1)を示している。図10(a)では、金属パッド38の上面が、層間絶縁膜14の上面に対し下方向に窪んでおり、金属パッド41の下面が、層間絶縁膜13の下面に対し上方向に窪んでいる。これらの窪みは、ディッシングと呼ばれ、例えば層間絶縁膜14、13の表面をCMPにより平坦化する際に生じる。アレイ領域1と回路領域2とを貼り合わせても、これらの窪みが原因で金属パッド41と金属パッド38とが好適に接合されないおそれがある。
【0057】
図10(b)は、回路領域2と貼り合わされた後であって、金属パッド38、41を接合するためのアニールが行われる前のアレイ領域1を示している。図10(b)では、上述の窪みが原因で、金属パッド41と金属パッド38との間に隙間が生じている。この隙間を消滅させないと、金属パッド41と金属パッド38との接合不良が生じるおそれがある。
【0058】
図10(c)は、回路領域2と貼り合わされた後であって、金属パッド38、41を接合するためのアニールが行われた後のアレイ領域1を示している。図10(c)では、金属パッド41と金属パッド38との間の隙間が消滅し、金属パッド41と金属パッド38とが好適に接合されている。これは、アニールによる金属パッド41、38の熱膨張と、アニールによる絶縁膜14b、13bの作用とに起因する。
【0059】
ここで、本実施形態の絶縁膜14b、13bの作用について説明する。
【0060】
本実施形態の絶縁膜14b、13bは、例えばPSZ(ポリシラザン)を用いて形成される。そのため、金属パッド41、38をアニールした際に、絶縁膜14b、13bが加熱されて収縮する。これにより、絶縁膜14b、13bから金属パッド41、38に圧縮応力が印加され、金属パッド41と金属パッド38とが接近しやすくなる。よって、本実施形態によれば、金属パッド41、38の熱膨張および絶縁膜14b、13bの作用により、金属パッド41と金属パッド38とを好適に接合することが可能となる。
【0061】
本実施形態の絶縁膜14bの厚さは、上記アニール時の収縮により、例えば9%よりも大きくかつ25%以下だけ減少する。収縮前の絶縁膜14bの厚さをT1で表し、収縮後の絶縁膜14bの厚さをT2で表す場合には、T1×0.75≦T2<T1×0.91の関係が成り立つ。同様に、本実施形態の絶縁膜13bの厚さは、上記アニール時の収縮により、例えば9%よりも大きくかつ25%以下だけ減少する。これにより、十分な圧縮応力を発生させることが可能となり、金属パッド41と金属パッド38とを十分に好適に接合することが可能となる。
【0062】
本実施形態の金属パッド41、38は、例えばCu層を含んでいる。よって、金属パッド41、38のアニールは、Cu層へのアニールの悪影響を抑制するために、400℃以下で行うことが望ましい。よって、本実施形態の絶縁膜14bの厚さは、400℃以下のアニールにより、9%よりも大きくかつ25%以下だけ減少することが望ましい。このような絶縁膜14bは例えば、PSZを用いて絶縁膜14bを形成することで実現可能である。これは、絶縁膜13bについても同様である。
【0063】
本実施形態の層間絶縁膜14は、PSZなどを用いて形成された絶縁膜14bだけでなく、dTEOSなどを用いて形成された絶縁膜14aも含んでいることが望ましい。理由は、基板15上にPSZ膜を形成した直後、PSZ膜は液体に近い性質を有し、PSZ膜の加工(例えばCMP)が難しいからである。
【0064】
図11図15は、第1実施形態の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図である。図11(a)~図15(b)は、図10(a)~図10(c)に示す方法の詳細を示している。
【0065】
図11(a)は、回路領域2(回路ウェハW2)の一部を示している。回路領域2を形成する際には、基板15の上方に絶縁膜14a1を形成し、絶縁膜14a1内にビアプラグ37を形成し、絶縁膜14a1およびビアプラグ37上に絶縁膜14a2を形成する(図11(a))。絶縁膜14a1、14a2は、絶縁膜14aの一部であり、例えば原料ガスとしてdTEOSを用いてCVD(Chemical Vapor Deposition)により形成される。
【0066】
次に、リソグラフィおよびRIE(Reactive Ion Etching)により、絶縁膜14a2内に凹部H1を形成する(図11(b))。次に、凹部H1内に絶縁膜14bを形成する(図12(a))。絶縁膜14bは、例えばPSZを用いて塗布法により形成される。本実施形態の絶縁膜14bは例えば、図5(c)および図6(a)に示す平面形状を有するように形成されてもよいし、図6(b)に示す平面形状を有するように形成されてもよい。
【0067】
次に、絶縁膜14a2、14b上に、絶縁膜14a3を形成する(図12(b))。絶縁膜14a3は、絶縁膜14aの一部であり、例えばdTEOSを用いてCVDにより形成される。次に、リソグラフィおよびRIEにより、絶縁膜14a2、14a3内に凹部H2を形成する(図13(a))。その結果、ビアプラグ37の上面が凹部H2内に露出する。凹部H2は、金属パッド38を埋め込むためのパッド溝として用いられる。
【0068】
次に、ビアプラグ37および絶縁膜14a1、14a2、14a3上に、バリアメタル層38aを形成する(図13(b))。バリアメタル層38aは例えば、Ti元素またはTa元素を含む金属層であり、CVDにより形成される。
【0069】
次に、ビアプラグ37および絶縁膜14a1、14a2、14a3上に、バリアメタル層38aを介してパッド材層38bを形成する(図14(a))。パッド材層38bは例えば、Cu層であり、めっき法により形成される。
【0070】
次に、パッド材層38bの表面を、CMPにより平坦化する(図14(b))。その結果、凹部H2外のバリアメタル層38aおよびパッド材層38bが除去され、凹部H2内に金属パッド38が形成される。本実施形態の金属パッド38は、絶縁膜14a1、14a2、14a3に接し、絶縁膜14bに接しない位置に形成される。図14(b)では、絶縁膜14bの厚さが、金属パッド38の厚さよりも薄くなっており、絶縁膜13bの全体が、金属パッド38の一部と同じ高さに位置している。
【0071】
図15(a)は、アレイ領域1(アレイウェハW1)の一部を示している。図15(a)に示すアレイ領域1は、回路領域2と同様に、図11(a)~図14(b)に示す工程により形成される。ただし、基板16、絶縁膜13a内の絶縁膜13a1、13a2、13a3、絶縁膜13b、ビアプラグ42、バリアメタル層41a、パッド材層41bなどはそれぞれ、基板15、絶縁膜14a内の絶縁膜14a1、14a2、14a3、絶縁膜14b、ビアプラグ37、バリアメタル層38a、パッド材層38bなどと同様に処理される。
【0072】
次に、金属パッド41が金属パッド38上に配置され、絶縁膜13a1(層間絶縁膜13)が絶縁膜14a1(層間絶縁膜14)上に配置されるように、基板15と基板16とを貼り合わせる(図15(b))。具体的には、層間絶縁膜14と層間絶縁膜13とを機械的圧力により貼り合わせることで、層間絶縁膜14と層間絶縁膜13とが接着される。さらには、金属パッド38、41や層間絶縁膜14、13などをアニールすることで、金属パッド41と金属パッド38とが接合される。このアニールの際に、絶縁膜14b、13bが収縮することで、金属パッド38、41の接合を促進することができる。
【0073】
その後、基板15をCMPにより薄膜化し、基板16をCMPにより除去した後、アレイウェハW1および回路ウェハW2(図4参照)を複数のチップに切断する。このようにして、図5などに示す本実施形態の半導体装置が製造される。
【0074】
なお、図11(a)~図15(b)に示す方法で形成される絶縁膜14b、13bは、本実施形態の第1~第3変形例のいずれかの形状を有していてもよい。絶縁膜14bの形状は、凹部H1の形状を調整することで制御可能である。同様に、絶縁膜13bの形状も、凹部H1に対応する凹部の形状を調整することで制御可能である。
【0075】
以上のように、本実施形態の半導体装置は、絶縁膜14aだけでなく絶縁膜14bを含む層間絶縁膜14と、絶縁膜13aだけでなく絶縁膜13bを含む層間絶縁膜14とを備えている。絶縁膜14a、13aは例えば、dTEOSを用いて形成される。絶縁膜14b、13bは例えば、PSZを用いて形成される。よって、本実施形態によれば、絶縁膜14b、13bの作用により、金属パッド38と金属パッド41とを好適に接合することが可能となる。
【0076】
(第2実施形態)
図16は、第2実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
【0077】
図16は、図5(a)と同様に、図1に示す複数対の金属パッド38、41のうちの1対を示す縦断面図である。図16では、金属パッド38が、層間絶縁膜14内でビアプラグ37上に設けられ、金属パッド41が、層間絶縁膜13内でビアプラグ42下に設けられている。さらには、ビアプラグ37が、層間絶縁膜14内で配線層36上に設けられ、ビアプラグ42が、層間絶縁膜13内で配線層43下に設けられている。
【0078】
以下、図16に示す金属パッド38、41や層間絶縁膜14、13のさらなる詳細を説明する。この説明の中で、図5(a)に示す金属パッド38、41や層間絶縁膜14、13と共通の事項については、適宜説明を省略する。
【0079】
本実施形態の層間絶縁膜14は、図16に示すように、複数の絶縁膜14aと、絶縁膜14cと、絶縁膜14dとを含んでいる。各絶縁膜14aは、例えばdTEOSを用いて形成されたSiO膜である。絶縁膜14cは、ビアプラグ37の横方向に設けられており、2つの絶縁膜14a間に挟まれている。絶縁膜14cは、例えばSiCN膜(シリコン炭窒化膜)である。絶縁膜14dは、配線層36の上面に設けられており、2つの絶縁膜14a間に挟まれている。絶縁膜14dは、例えばSiN膜である。
【0080】
同様に、本実施形態の層間絶縁膜13は、複数の絶縁膜13aと、絶縁膜13cと、絶縁膜13dとを含んでいる。各絶縁膜13aは、例えばdTEOSを用いて形成されたSiO膜である。絶縁膜13cは、ビアプラグ42の横方向に設けられており、2つの絶縁膜13a間に挟まれている。絶縁膜13cは、例えばSiCN膜である。絶縁膜13dは、配線層43の下面に設けられており、2つの絶縁膜13a間に挟まれている。絶縁膜13dは、例えばSiN膜である。
【0081】
本実施形態の半導体装置はさらに、最上位の絶縁膜14a内に設けられた金属層39を備えている。金属層39は、ビアプラグ37の横方向に位置しており、ビアプラグ37に接している。また、金属層39は、金属パッド38の下方向および配線層36の上方向に位置しており、金属パッド38にも配線層36にも接していない。すなわち、金属層39は、金属パッド38および配線層36と間隔を有して配置されている。本実施形態の金属層39は、ビアプラグ37を包囲する環状の平面形状を有している。金属層39は、第1層および第1金属層の例である。
【0082】
本実施形態では、金属層39の厚さが、ビアプラグ37の厚さよりも薄いため、金属層39の全体が、ビアプラグ37の一部と同じ高さに位置している。そのため、金属層39の上面は、ビアプラグ37の上面よりも低い高さに位置しており、金属層39の下面は、ビアプラグ37の下面よりも高い高さに位置している。また、本実施形態の金属層39の厚さは、金属パッド38の厚さよりも薄くなっており、例えば、金属パッド38の厚さの5%以上かつ30%以下となっている。金属パッド38の厚さをT3で表し、金属層39の厚さをT4で表す場合、T3×0.05≦T4≦T3×0.30の関係が成り立つ。
【0083】
本実施形態の金属層39は、金属パッド38のパッド材層38bの線膨張係数よりも大きい線膨張係数を有している。よって、半導体装置を製造する際の熱工程で、金属層39の熱膨張率は、パッド材層38bの熱膨張率よりも大きくなる。本実施形態の半導体装置を製造する際には、後述するように、金属層39のこのような性質を利用することで、金属パッド38と金属パッド41とを好適に接合することができる。例えば、パッド材層38bはCu(銅)層となっており、金属層39はAl(アルミニウム)層またはZn(亜鉛)層となっている。同じ温度において、アルミニウムや亜鉛は、銅よりも大きい線膨張係数を有している。例えば、20℃における銅、アルミニウム、および亜鉛の線膨張係数はそれぞれ、16.5×10-6/℃、23.1×10-6/℃、および30.2×10-6/℃である。なお、線膨張係数のさらなる詳細については、後述する。
【0084】
本実施形態の半導体装置はさらに、最下位の絶縁膜13a内に設けられた金属層48を備えている。金属層48は、ビアプラグ42の横方向に位置しており、ビアプラグ42に接している。また、金属層48は、金属パッド41の上方向および配線層43の下方向に位置しており、金属パッド41にも配線層43にも接していない。すなわち、金属層48は、金属パッド41および配線層43と間隔を有して配置されている。本実施形態の金属層48は、ビアプラグ42を包囲する環状の平面形状を有している。金属層48は、第2層および第2金属層の例である。
【0085】
本実施形態では、金属層48の厚さが、ビアプラグ42の厚さよりも薄いため、金属層48の全体が、ビアプラグ42の一部と同じ高さに位置している。そのため、金属層48の下面は、ビアプラグ42の下面よりも高い高さに位置しており、金属層48の上面は、ビアプラグ42の上面よりも低い高さに位置している。また、本実施形態の金属層48の厚さは、金属パッド41の厚さよりも薄くなっており、例えば、金属パッド41の厚さの5%以上かつ30%以下となっている。
【0086】
本実施形態の金属層48は、金属パッド41のパッド材層41bの線膨張係数よりも大きい線膨張係数を有している。よって、半導体装置を製造する際の熱工程で、金属層48の熱膨張率は、パッド材層41bの熱膨張率よりも大きくなる。本実施形態の半導体装置を製造する際には、後述するように、金属層48のこのような性質を利用することで、金属パッド38と金属パッド41とを好適に接合することができる。例えば、パッド材層41bはCu層となっており、金属層48はAl層またはZn層となっている。
【0087】
なお、本実施形態の半導体装置は、金属層39の代わりに、パッド材層38bよりも大きい線膨張係数を有する非金属層を備えていてもよく、金属層48の代わりに、パッド材層41bよりも大きい線膨張係数を有する非金属層を備えていてもよい。この場合、これらの非金属層のこのような性質を利用することで、金属パッド38と金属パッド41とを好適に接合することが可能となる。これらの非金属層は、無機物で形成されていてもよいし、有機物で形成されていてもよい。
【0088】
図17は、第2実施形態の第1変形例の半導体装置の構造を示す断面図である。
【0089】
本変形例の金属層39は、ビアプラグ37に接しているだけでなく、金属パッド39にも接している。同様に、本変形例の金属層48は、ビアプラグ42に接しているだけでなく、金属パッド41にも接している。本変形例によれば、第2実施形態と同様に金属層39、48が大きく膨張する性質を利用することで、金属パッド38と金属パッド41とを好適に接合することができる。
【0090】
図18は、第2実施形態の第2変形例の半導体装置の構造を示す断面図である。
【0091】
本変形例の金属層39は、ビアプラグ37と離隔された状態でビアプラグ37を環状に包囲しており、ビアプラグ37に接していない。同様に、本変形例の金属層48は、ビアプラグ42と離隔された状態でビアプラグ42を環状に包囲しており、ビアプラグ42に接していない。本変形例によれば、第2実施形態と同様に金属層39、48が大きく膨張する性質を利用することで、金属パッド38と金属パッド41とを好適に接合することができる。
【0092】
図19は、第2実施形態の第3変形例の半導体装置の構造を示す断面図である。
【0093】
本変形例の半導体装置は、第1実施形態の金属層39と同じ形状を有する金属層39を備えているが、金属層48は備えていない。本変形例によれば、金属層39が大きく膨張する性質を利用することで、金属パッド38と金属パッド41とを好適に接合することができる。
【0094】
図20は、第2実施形態の第4変形例の半導体装置の構造を示す断面図である。
【0095】
本変形例の半導体装置は、第1実施形態の金属層48と同じ形状を有する金属層48を備えているが、金属層39は備えていない。本変形例によれば、金属層48が大きく膨張する性質を利用することで、金属パッド38と金属パッド41とを好適に接合することができる。
【0096】
図21は、第2実施形態の半導体装置の製造方法の概略を示す断面図である。図21(a)~図21(c)は、図3および図4に示す方法の詳細を示している。
【0097】
図21(a)は、図10(a)と同様に、回路領域2(回路ウェハW2)と貼り合わされる前のアレイ領域1(アレイウェハW1)を示している。図21(a)でも、金属パッド38の上面が、層間絶縁膜14の上面に対し下方向に窪んでおり、金属パッド41の下面が、層間絶縁膜13の下面に対し上方向に窪んでいる。アレイ領域1と回路領域2とを貼り合わせても、これらの窪みが原因で金属パッド41と金属パッド38とが好適に接合されないおそれがある。
【0098】
図21(b)は、図10(b)と同様に、回路領域2と貼り合わされた後であって、金属パッド38、41を接合するためのアニールが行われる前のアレイ領域1を示している。図21(b)でも、上述の窪みが原因で、金属パッド41と金属パッド38との間に隙間が生じている。この隙間を消滅させないと、金属パッド41と金属パッド38との接合不良が生じるおそれがある。
【0099】
図21(c)は、図10(c)と同様に、回路領域2と貼り合わされた後であって、金属パッド38、41を接合するためのアニールが行われた後のアレイ領域1を示している。図21(c)でも、金属パッド41と金属パッド38との間の隙間が消滅し、金属パッド41と金属パッド38とが好適に接合されている。これは、アニールによる金属パッド41、38の熱膨張と、アニールによる金属層39、48の作用とに起因する。
【0100】
ここで、本実施形態の金属層39、48の作用について説明する。
【0101】
本実施形態の金属パッド38、41内のパッド材層38b、41bは、例えばCu層である。一方、本実施形態の金属層39、48は、例えばAl層またはZn層である。そのため、金属層39、48の線膨張係数が、パッド材層38b、41bの線膨張係数よりも大きくなっている。その結果、金属パッド38、41や金属層39、41がアニールされた場合、金属層39、48の熱膨張率がパッド材層38b、41bの熱膨張率よりも大きくなり、金属層39、48が大きく膨張する。これにより、金属層39、48から金属パッド41、38に圧縮応力が印加され、金属パッド41と金属パッド38とが接近しやすくなる。よって、本実施形態によれば、金属パッド41、38の熱膨張と、金属層39、48のさらなる熱膨張とにより、金属パッド41と金属パッド38とを好適に接合することが可能となる。本実施形態の金属パッド41、38のアニールは、Cu層へのアニールの悪影響を抑制するために、400℃以下で行うことが望ましい。
【0102】
図22図27は、第2実施形態の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図である。図22(a)~図27(b)は、図21(a)~図21(c)に示す方法の詳細を示している。
【0103】
図22(a)は、回路領域2(回路ウェハW2)の一部を示している。回路領域2を形成する際には、基板15の上方に絶縁膜14a4を形成する(図21(a))。絶縁膜14a4は、絶縁膜14aの一部であり、例えば原料ガスとしてdTEOSを用いてCVDにより形成される。なお、以下の説明では、層間絶縁膜14内の絶縁膜14c、14d(図16)の説明は省略する。
【0104】
次に、リソグラフィおよびRIEにより、絶縁膜14a4内に凹部H3を形成する(図22(b))。次に、凹部H3内に金属層39を形成する(図23(a))。金属層39は、例えばAl層またはZn層である。本実施形態の金属層39は、凹部H3の内部および外部にCVDにより金属層39を堆積し、凹部H3の外部の金属層39をCMPにより除去することで形成される。
【0105】
次に、絶縁膜14a4および金属層39上に、絶縁膜14a5を形成する(図23(b))。絶縁膜14a5は、絶縁膜14aの一部であり、例えばdTEOSを用いてCVDにより形成される。
【0106】
次に、リソグラフィおよびRIEにより、絶縁膜14a4、14a5および金属層39内に凹部H4を形成する(図24(a))。その結果、不図示の配線層36の上面が凹部H4内に露出する。凹部H4は、金属層39を貫通するよう形成され、ビアプラグ37を埋め込むためのビアホールとして用いられる。
【0107】
次に、不図示の配線層36および絶縁膜14a5上に、ビアプラグ37の材料を形成する(図24(b))。当該材料は、金属プラグ38の材料と同じでもよいし、金属プラグ38の材料と異なっていてもよい。前者の場合、ビアプラグ37は例えばCu層を含むように形成される。後者の場合、ビアプラグ37は例えばW(タングステン)層を含むように形成される。次に、当該材料の表面を、CMPにより平坦化する(図25(a))。その結果、凹部H4外の当該材料が除去され、凹部H4内にビアプラグ37がシングルダマシンにより形成される。図25(a)では、ビアプラグ37が、金属層39に接しており、金属層39により環状に包囲されている。図25(a)ではさらに、金属層39の厚さが、ビアプラグ37の厚さよりも薄くなっており、金属層39の全体が、ビアプラグ37の一部と同じ高さに位置している。
【0108】
次に、絶縁膜14a5およびビアプラグ37上に、絶縁膜14a6を形成する(図25(b))。絶縁膜14a6は、絶縁膜14aの一部であり、例えばdTEOSを用いてCVDにより形成される。次に、リソグラフィおよびRIEにより、絶縁膜14a6内に凹部H5を形成する(図26(a))。その結果、ビアプラグ37の上面が凹部H5内に露出する。凹部H5は、金属パッド38を埋め込むためのパッド溝として用いられる。
【0109】
次に、ビアプラグ37および絶縁膜14a5、14a6上に、バリアメタル層38aを形成する(図26(b))。バリアメタル層38aは例えば、Ti元素またはTa元素を含む金属層であり、CVDにより形成される。
【0110】
次に、ビアプラグ37および絶縁膜14a5、14a6上に、バリアメタル層38aを介してパッド材層38bを形成する(図27(a))。パッド材層38bは例えば、Cu層であり、めっき法により形成される。
【0111】
次に、パッド材層38bの表面を、CMPにより平坦化する(図27(b))。その結果、凹部H5外のバリアメタル層38aおよびパッド材層38bが除去され、凹部H5内に金属パッド38がシングルダマシンにより形成される。本実施形態の金属パッド38は、ビアプラグ37に接し、金属層39に接しない位置に形成される。
【0112】
図28(a)は、アレイ領域1(アレイウェハW1)の一部を示している。図28(a)に示すアレイ領域1は、回路領域2と同様に、図22(a)~図27(b)に示す工程により形成される。ただし、基板16、絶縁膜13a内の絶縁膜13a4、13a5、13a6、ビアプラグ42、バリアメタル層41a、パッド材層41b、金属層48などはそれぞれ、基板15、絶縁膜14a内の絶縁膜14a1、14a2、14a3、絶縁膜14b、ビアプラグ37、バリアメタル層38a、パッド材層38b、金属層39などと同様に処理される。なお、図28(a)では、層間絶縁膜13内の絶縁膜13c、13d(図16)の図示が省略されている。
【0113】
次に、金属パッド41が金属パッド38上に配置され、絶縁膜13a1(層間絶縁膜13)が絶縁膜14a1(層間絶縁膜14)上に配置されるように、基板15と基板16とを貼り合わせる(図28(b))。具体的には、層間絶縁膜14と層間絶縁膜13とを機械的圧力により貼り合わせることで、層間絶縁膜14と層間絶縁膜13とが接着される。さらには、金属パッド38、41や層間絶縁膜14、13などをアニールすることで、金属パッド41と金属パッド38とが接合される。このアニールの際に、金属層39、48が膨張することで、金属パッド38、41の接合を促進することができる。
【0114】
その後、基板15をCMPにより薄膜化し、基板16をCMPにより除去した後、アレイウェハW1および回路ウェハW2(図4参照)を複数のチップに切断する。このようにして、図21などに示す本実施形態の半導体装置が製造される。
【0115】
なお、図22(a)~図28(b)に示す方法で形成される金属層39、48は、本実施形態の第1~第4変形例のいずれかの形状を有していてもよい。金属層39の形状は、凹部H3の形状を調整することで制御可能である。同様に、金属層38の形状も、凹部H3に対応する凹部の形状を調整することで制御可能である。
【0116】
図29図32は、第2実施形態の半導体装置の別の製造方法の詳細を示す断面図である。
【0117】
まず、図22(a)~図25(b)に示す工程を実施する。ただし、ビアプラグ37に関する工程(図23(a)~図25(a))は省略する。図29(a)は、図25(b)に示す工程を実施した後の回路領域2(回路ウェハW2)を示している。
【0118】
次に、リソグラフィおよびRIEにより、絶縁膜14a6内に凹部H5を形成する(図29(b))。次に、リソグラフィおよびRIEにより、凹部H5下に位置する絶縁膜14a5、14a4および金属層39内に凹部H4を形成する(図30(a))。その結果、不図示の配線層36の上面が凹部H4内に露出する。
【0119】
次に、不図示の配線層36および絶縁膜14a5、14a6上に、バリアメタル層38aを形成する(図30(b))。バリアメタル層38aは例えば、Ti元素またはTa元素を含む金属層であり、CVDにより形成される。
【0120】
次に、不図示の配線層36および絶縁膜14a5、14a6上に、バリアメタル層38aを介してパッド材層38bを形成する(図31(a))。パッド材層38bは例えば、Cu層であり、めっき法により形成される。
【0121】
次に、パッド材層38bの表面を、CMPにより平坦化する(図31(b))。その結果、凹部H5、H4外のバリアメタル層38aおよびパッド材層38bが除去され、凹部H5、H4内にそれぞれ金属パッド38およびビアプラグ37がデュアルダマシンにより形成される。この場合のビアプラグ37は、金属パッド38と同様に、バリアメタル層38aおよびパッド材層38bにより形成される。
【0122】
図32(a)は、アレイ領域1(アレイウェハW1)の一部を示している。図32(a)に示すアレイ領域1は、回路領域2と同様に、図29(a)~図31(b)に示す工程により形成される。ただし、基板16、絶縁膜13a内の絶縁膜13a4、13a5、13a6、ビアプラグ42、バリアメタル層41a、パッド材層41b、金属層48などはそれぞれ、基板15、絶縁膜14a内の絶縁膜14a1、14a2、14a3、絶縁膜14b、ビアプラグ37、バリアメタル層38a、パッド材層38b、金属層39などと同様に処理される。
【0123】
次に、金属パッド41が金属パッド38上に配置され、絶縁膜13a1(層間絶縁膜13)が絶縁膜14a1(層間絶縁膜14)上に配置されるように、基板15と基板16とを貼り合わせる(図32(b))。具体的には、層間絶縁膜14と層間絶縁膜13とを機械的圧力により貼り合わせることで、層間絶縁膜14と層間絶縁膜13とが接着される。さらには、金属パッド38、41や層間絶縁膜14、13などをアニールすることで、金属パッド41と金属パッド38とが接合される。このアニールの際に、金属層39、48が膨張することで、金属パッド38、41の接合を促進することができる。
【0124】
その後、基板15をCMPにより薄膜化し、基板16をCMPにより除去した後、アレイウェハW1および回路ウェハW2(図4参照)を複数のチップに切断する。このようにして、図21などに示す本実施形態の半導体装置が製造される。
【0125】
なお、図29(a)~図32(b)に示す方法で形成される金属層39、48は、本実施形態の第1~第4変形例のいずれかの形状を有していてもよい。金属層39の形状は、凹部H3の形状を調整することで制御可能である。同様に、金属層38の形状も、凹部H3に対応する凹部の形状を調整することで制御可能である。
【0126】
図33は、第2実施形態の半導体装置の材料について説明するためのグラフである。
【0127】
図33は、シリコン(Si)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、および亜鉛(Zn)の線膨張係数の温度依存性を示している。図33に示すように、同じ温度におけるこれらの物質の線膨張係数は、図33に示すおおむねすべての温度帯において、Zn>Al>Cu>Siの順で大きくなっている。よって、本実施形態では、金属パッド38、41内のパッド材層38b、41bをCu層とし、金属層39、48をAl層またはZn層とすることで、金属層39、48の線膨張係数を金属パッド38、41内のパッド材層38b、41bの線膨張係数よりも大きくすることができる。
【0128】
以上のように、本実施形態の半導体装置は、回路領域2内に金属層39を備え、アレイ領域1内に金属層48を備えている。例えば、金属パッド38、41がCu層を含むのに対し、金属層39、48はAl層またはZn層となっている。よって、本実施形態によれば、金属層39、48の作用により、金属パッド38と金属パッド41とを好適に接合することが可能となる。
【0129】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0130】
1:アレイ領域、2:回路領域、
11:メモリセルアレイ、12:絶縁膜、
13:層間絶縁膜、13a、13a1~13a6、13b、13c、13d:絶縁膜、
14:層間絶縁膜、14a、14a1~14a6、14b、14c、14d:絶縁膜、
15:基板、16:基板、
21:階段構造部、22:コンタクトプラグ、
23:ワード配線層、24:ビアプラグ、
31:トランジスタ、32:ゲート電極、33:コンタクトプラグ、
34:配線層、35:配線層、36:配線層、37:ビアプラグ、
38:金属パッド、38a:バリアメタル層、38b:パッド材層、39:金属層、
41:金属パッド、41a:バリアメタル層、41b:パッド材層、
42:ビアプラグ、43:配線層、44:配線層、45:ビアプラグ、
46:金属パッド、47:パッシベーション膜、48:金属層、
51:絶縁層、52:ブロック絶縁膜、53:電荷蓄積層、
54:トンネル絶縁膜、55:チャネル半導体層、56:コア絶縁膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33