(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】保持装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/244 20210101AFI20250120BHJP
H01M 10/46 20060101ALI20250120BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20250120BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20250120BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20250120BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20250120BHJP
【FI】
H01M50/244 Z
H01M10/46 101
H01M50/296
H02J7/00 M
H02J7/00 301B
H01R13/52 302D
H01M50/204
(21)【出願番号】P 2021527783
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(86)【国際出願番号】 JP2020025287
(87)【国際公開番号】W WO2020262630
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-06-19
(31)【優先権主張番号】P 2019120557
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019120560
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019120564
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019209388
(32)【優先日】2019-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】松元 隆志
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勤
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/093082(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/065327(WO,A1)
【文献】特開2001-257752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/244
H01M 10/46
H01M 50/296
H02J 7/00
H01R 13/52
H01M 50/204
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子(12b)を有する電気機器(12)を収容または載置して保持する保持装置(10)であって、
前記電気機器を保持する保持部(14)と、
前記保持部に対して相対移動可能に設けられ、前記第1端子に接続される第2端子(34)と、
前記保持部に設けられ、前記第2端子が挿通する挿通部(32d)と、
前記保持部に対して相対移動可能に設けられ、前記挿通部の少なくとも一部を覆蓋する覆蓋部(66)と、
を有し、
前記第2端子が、前記挿通部に挿抜可能であり、
前記覆蓋部は、前記挿通部が形成された部材に沿って移動可能である、保持装置。
【請求項2】
第1端子(12b)を有する電気機器(12)を収容または載置して保持する保持装置(10)であって、
前記電気機器を保持する保持部(14)と、
前記保持部に対して相対移動可能に設けられ、前記第1端子に接続される第2端子(34)と、
前記保持部に設けられ、前記第2端子が挿通する挿通部(32d)と、
前記保持部に対して相対移動可能に設けられ、前記挿通部の少なくとも一部を覆蓋する覆蓋部(66)と、
を有し、
前記保持部は、少なくとも第1の位置と第2の位置とに移動可能であり、
前記保持部が前記第1の位置に位置するときと前記第2の位置に位置するときとで、前記挿通部の覆蓋量が異なるように前記覆蓋部を移動させる駆動部(44)を有し、
前記駆動部は、前記保持装置の筐体または骨格部(26)と、前記保持部とに接続される接続部(62a)を有し、
前記接続部は、前記保持部の前記第1の位置と前記第2の位置との移動と連動して駆動されるように設けられる、保持装置。
【請求項3】
請求項2に記載の保持装置であって、
前記駆動部は、前記接続部と並列に設けられ、前記筐体または前記骨格部と、前記保持部とに接続される他の接続部(62b)を更に有する、保持装置。
【請求項4】
請求項3に記載の保持装置であって、
前記駆動部は、前記接続部と前記他の接続部とを共通の回動軸線で回動可能に連結する連結部(64a)を更に有する、保持装置。
【請求項5】
請求項4に記載の保持装置であって、
前記連結部は、前記筐体または前記骨格部と前記連結部との距離と、前記保持部と前記連結部との距離と、が略等しくなるように配置される、保持装置。
【請求項6】
請求項2~5のいずれか1項に記載の保持装置であって、
前記駆動部は、
前記保持部が前記第1の位置に位置するときに、前記挿通部を覆蓋可能な位置に前記覆蓋部を移動させ、
前記保持部が前記第2の位置に位置するときに、前記第2端子が前記挿通部を挿通可能な位置に前記覆蓋部を移動させる、保持装置。
【請求項7】
請求項2~6のいずれか1項に記載の保持装置であって、
前記保持装置の前記筐体または前記骨格部と、前記保持部とに接続され、前記保持部を駆動する他の駆動部(50)を備える、保持装置。
【請求項8】
請求項7に記載の保持装置であって、
前記他の駆動部は、前記保持部が前記電気機器の荷重を受けて前記第1の位置から前記第2の位置に移動するときにエネルギを蓄積し、前記第2の位置から前記第1の位置に移動するときにエネルギを放出可能なエネルギ蓄積部(50)を有する、保持装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の保持装置であって、
前記保持部は、保持部本体(32f)と、該保持部本体の前記第2端子側を支持するように配置される支持部(52)と、を有し、
前記覆蓋部は、前記保持部本体と前記支持部との間に配置される、保持装置。
【請求項10】
請求項9に記載の保持装置であって、
前記覆蓋部は平板状に形成される、保持装置。
【請求項11】
第1端子(12b)を有する電気機器(12)を収容または載置して保持する保持装置(10)であって、
前記電気機器を保持する保持部(14)と、
前記保持部に対して相対移動可能に設けられ、前記第1端子に接続される第2端子(34)と、
前記保持部に設けられ、前記第2端子が挿通する挿通部(32d)と、
前記保持部に対して相対移動可能に設けられ、前記挿通部の少なくとも一部を覆蓋する覆蓋部(66)と、
を有し、
前記保持部は、少なくとも第1の位置と第2の位置とに移動可能であり、
前記保持部が前記第1の位置に位置するときに、前記第2の位置の方向への移動を規制する移動規制部(38)を有し、
前記移動規制部は、前記保持装置の筐体または骨格部に配置される第1係合子(60)と、前記第1係合子と係脱可能に設けられ前記保持部に配置される第2係合子(58)と、を有し、
前記第2係合子は、
前記電気機器が前記保持部に保持されない状態で、前記第1係合子と係合し、
前記電気機器が前記保持部に保持された状態で、前記第1係合子と離脱するよう
前記保持部に対し移動可能に設けられ、
前記保持部は、前記第2係合子が挿通する他の挿通部(32c)を有し、
前記第2係合子は、前記他の挿通部を通り前記保持部の内側に進退可能に設けられる突出部(58d)を有する、保持装置。
【請求項12】
請求項11に記載の保持装置であって、
前記突出部は、前記電気機器が前記保持部に保持された状態で、前記電気機器と当接可能な位置に配置される、保持装置。
【請求項13】
請求項12に記載の保持装置であって、
前記電気機器が前記保持部に不適正な姿勢で保持された状態では、前記突出部と前記電気機器とが当接しないように、前記突出部ならびに前記保持部および前記電気機器の少なくとも何れか一方を形成または配置する、保持装置。
【請求項14】
第1端子(12b)を有する電気機器(12)を収容または載置して保持する保持装置(10)であって、
前記電気機器を保持する保持部(14)と、
前記保持部に対して相対移動可能に設けられ、前記第1端子に接続される第2端子(34)と、
前記保持部に設けられ、前記第2端子が挿通する挿通部(32d)と、
前記保持部に対して相対移動可能に設けられ、前記挿通部の少なくとも一部を覆蓋する覆蓋部(66)と、
を有し、
前記保持部は、少なくとも第1の位置と第2の位置とに移動可能であり、
前記保持部が前記第2の位置に位置するときに、前記保持部に保持される前記電気機器の離脱を規制する離脱規制部(40)を有し、
前記離脱規制部は、
前記電気機器が前記保持部に保持されている状態で、前記電気機器に対して前記保持部とは反対側に配置され、前記電気機器の移動軌跡上において進退可能に設けられる進退部(78a、78b)と、
前記保持装置の筐体または骨格部に配置され、前記保持部が前記第2の位置の近傍に位置するときに、前記保持部に配置される操作子と当接可能に配置される作動子(86)と、
前記進退部と前記作動子とを機械的に接続する作動接続部(68)と、
を有する、保持装置。
【請求項15】
請求項14に記載の保持装置であって、
前記作動接続部は、該作動接続部を一方向に回動するよう付勢する付勢部(82)と、
前記作動接続部を前記一方向と反対の逆方向に回動するよう駆動する回動部(92)と、
を有する、保持装置。
【請求項16】
請求項14に記載の保持装置であって、
前記電気機器が前記保持部に保持されている状態で、前記電気機器に対して前記保持部とは反対側に配置され、前記電気機器の移動軌跡上において進退可能に設けられる前記進退部を有し、
前記離脱規制部は、前記進退部を退避位置で固定する固定具(120a、120b)が固定される被固定部(78a5、78b5)を有する、保持装置。
【請求項17】
請求項14に記載の保持装置であって、
前記保持部が前記第1の位置に位置するときに、前記第2の位置の方向への移動を規制する移動規制部を有し、
前記移動規制部は、前記保持装置の筐体または骨格部に配置される第1係合子と、前記第1係合子と係脱可能に設けられ前記保持部に配置される第2係合子と、を有し、
前記第2係合子は、
前記電気機器が前記保持部に保持されない状態で、前記第1係合子と係合し、
前記電気機器が前記保持部に保持された状態で、前記第1係合子と離脱するよう前記保持部に対し移動可能に設けられ、
前記
第2係合子及び前記操作子は、前記保持部の同じ方向を向く面に配置される、保持装置。
【請求項18】
第1端子を有する電気機器を収容または載置して保持する保持装置であって、
前記電気機器を保持する保持部と、
前記保持部に対して相対移動可能に設けられ、前記第1端子に接続される第2端子と、
を有し、
前記保持部は、少なくとも第1の位置と第2の位置とに移動可能であり、
前記電気機器が前記保持部に保持された状態で前記保持部が前記第1の位置から前記第2の位置へと移動することに伴って、前記第1端子が前記第2端子に接続され、
前記保持部が前記第1の位置に位置するときに、前記第2の位置の方向への移動を規制する移動規制部を有し、
前記移動規制部は、前記保持装置の筐体または骨格部に配置される第1係合子(60)と、前記第1係合子と係脱可能に設けられ前記保持部に配置される第2係合子(58)と、を有し、
前記保持部が前記第1の位置に位置し且つ前記電気機器が前記保持部に保持されない状態では、前記第1係合子と前記第2係合子とが係合することにより、前記保持部が前記第2の位置に向かって移動することが規制され、
前記電気機器が前記保持部に保持されることに伴い、前記第1係合子と前記第2係合子とが離脱することにより、前記保持部が前記第2の位置に向かって移動可能となる、保持装置。
【請求項19】
第1端子を有する電気機器を収容または載置して保持する保持装置であって、
前記電気機器を保持する保持部と、
前記保持部に対して相対移動可能に設けられ、前記第1端子に接続される第2端子と、
を有し、
前記保持部は、少なくとも第1の位置と第2の位置とに移動可能であり、
前記保持部が前記第2の位置に位置するときに、前記保持部に保持される前記電気機器の離脱を規制する離脱規制部を有し、
前記離脱規制部は、
前記電気機器が前記保持部に保持されている状態で、前記電気機器に対して前記保持部とは反対側に配置され、前記電気機器の移動軌跡上において進退可能に設けられる進退部(78a、78b)を備える、保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1端子を有する電気機器を収容または載置して保持する保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第3904740号公報には、底部にコネクタが設けられたバッテリボックスにバッテリが挿入されることで、バッテリがコネクタと接触して充放電可能とするバッテリ充電装置が開示されている。
【0003】
また、特許第6286084号公報には、モバイルバッテリのコネクタと、ハウジング内のコネクタホルダのコネクタとが接続される構造が開示されている。
【発明の概要】
【0004】
上記特許第3904740号公報及び特許第6286084号公報に開示された技術には、コネクタ(端子)の保護に改良の余地があった。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、端子の保護をより良好にすることができる保持装置を提供することを目的とする。
【0006】
本発明の態様は、第1端子を有する電気機器を収容または載置して保持する保持装置であって、前記電気機器を保持する保持部と、前記保持部に対して相対移動可能に設けられ、前記第1端子に接続される第2端子と、前記保持部に設けられ、前記第2端子が挿通する挿通部と、前記保持部に対して相対移動可能に設けられ、前記挿通部の少なくとも一部を覆蓋する覆蓋部と、を有し、前記第2端子が、前記挿通部に挿抜可能であり、前記覆蓋部は、前記挿通部が形成された部材に沿って移動可能である。
【0007】
本発明により、端子の保護をより良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図6】スロットにモバイルバッテリが収容される様子を示す図である。
【
図7】スロットにモバイルバッテリが収容される様子を示す図である。
【
図8】スロットにモバイルバッテリが収容される様子を示す図である。
【
図10】ロック状態のトレイロック機構の断面図である。
【
図11】ロック状態のトレイロック機構の断面斜視図である。
【
図12】アンロック状態のトレイロック機構の断面図である。
【
図13】アンロック状態のトレイロック機構の断面斜視図である。
【
図14】
図14A及び
図14Bは、挿入口、バッテリホルダ、バッテリトレイ及びモバイルバッテリをZ軸方向正側から見た形状を示す模式図である。
【
図15】トレイ保持機構のXリンクの斜視図である。
【
図29】スロットのストッパロック部付近の拡大断面図である。
【
図30】スロットのストッパロック部の拡大斜視図である。
【
図31】カムとラッチの回動方向の動き、カムとラッチの軸方向の動き、及び、バッテリロック機構の動きを示す表である。
【
図32】カムとラッチの回動方向の動き、カムとラッチの軸方向の動き、及び、バッテリロック機構の動きを示す表である。
【
図33】カムとラッチの回動方向の動き、及び、カムとラッチの軸方向の動きを示す表である。
【
図37】コネクタユニットのコネクタがモバイルバッテリのコネクタに接続された状態を示す部分断面図である。
【
図39】バッテリエナジーストレージの外観模式図である。
【
図40】バッテリエナジーストレージの断面図である。
【
図41】モバイルバッテリが収容された状態のスロットを示す斜視図である。
【
図42】モバイルバッテリが収容された状態のスロットの断面図である。
【
図43】スロットのY軸方向正側の側面の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第1実施形態〕
図1は、バッテリ交換機10の外観模式図である。バッテリ交換機10は、その内部にモバイルバッテリ12を収容し、モバイルバッテリ12の充電を行う装置である。ユーザは、残容量(SOC)が少なくなったモバイルバッテリ12をバッテリ交換機10に預け、充電が完了した別のモバイルバッテリ12をバッテリ交換機10から受け取る。
【0010】
バッテリ交換機10は、8つのスロット14、及び、1つの操作パネル16を有している。スロット14にはモバイルバッテリ12が収容される。ユーザがモバイルバッテリ12をスロット14に収容して扉18を閉じると、バッテリ交換機10はモバイルバッテリ12の充電を開始する。スロット14の上部にはインジケータ20が設けられている。インジケータ20は、スロット14に収容されているモバイルバッテリ12の充電状態を、点灯する色、点滅等により表示する。操作パネル16は、ユーザにより操作される装置である。ユーザは、操作パネル16を操作することにより、例えば、料金の支払い等を行う。
【0011】
スロット14は、バッテリ交換機10の前面10aに開口している。バッテリ交換機10の前面10aは、垂直方向(重力方向)に対して傾斜しており、ユーザが前面10aに向かって立っている状態で、前面10aの下部よりも上部がユーザに対して奥に位置する。これにより、ユーザがモバイルバッテリ12をスロット14に挿入するときに、ユーザは前傾姿勢を取ることができ、モバイルバッテリ12をスロット14に挿入し易くなる。
【0012】
図2は、バッテリ交換機10の断面図である。バッテリ交換機10は、スロット14の上方に制御装置22を有している。制御装置22は、モバイルバッテリ12の充電制御等を行う。バッテリ交換機10は、スロット14の下方にユーティリティスペース24を有している。ユーティリティスペース24には、オプションとしてバッテリ交換機10の内部を冷却する冷却装置等が設置される。
【0013】
図3及び
図4は、スロット14の斜視図である。
図5は、スロット14の側面図である。本実施形態では、次のように定義されたX軸、Y軸及びZ軸に基づいて説明する。スロット14にモバイルバッテリ12が挿入される方向をZ軸方向とし、スロット14がバッテリ交換機10の前面10aに開口する側を正側とする。バッテリ交換機10の幅方向と平行な方向をX軸方向として、スロット14をバッテリ交換機10の前面10aに開口する側から見たときに右側を正側とする。Z軸及びX軸に直交する方向をY軸方向とし、上側を正側とする。
【0014】
スロット14は、フレーム26、挿入口28、バッテリホルダ30、バッテリトレイ32、コネクタユニット35、トレイ保持機構36、トレイロック機構38及びバッテリロック機構40を有している。
【0015】
フレーム26は、メインフレーム26a~26dとサイドフレーム26e~26hを有している(サイドフレーム26fは
図6参照)。メインフレーム26a~26dは、Z軸方向に延びる柱状の部材である。スロット14の外観は、Z軸方向を長手方向とする略直方体であって、直方体の長手方向に延びる4つの辺に対応するそれぞれの箇所にメインフレーム26a~26dが設けられている。サイドフレーム26e~26hは、スロット14のZ軸方向正側に2つ(サイドフレーム26e、26f)、Z軸方向負側に2つ(サイドフレーム26g、26h)設けられている。サイドフレーム26e及びサイドフレーム26gは、Y軸方向に隣接するメインフレーム26aとメインフレーム26bに固定されている。サイドフレーム26f及びサイドフレーム26hは、Y軸方向に隣接するメインフレーム26cとメインフレーム26dに固定されている。
【0016】
挿入口28は、メインフレーム26a~26dのZ軸方向正側端部に取り付けられている。挿入口28は、樹脂により形成されており、Z軸方向に貫通する貫通穴を有している。挿入口28は、Y軸方向正側よりもY軸方向負側の方が、Z軸方向に突出して形成されている。これにより、ユーザがモバイルバッテリ12をスロット14に挿入するときに、ユーザは、モバイルバッテリ12を持ち上げて、モバイルバッテリ12の底面12a(
図6参照)を挿入口28のY軸方向負側の部分に載せ、その後、モバイルバッテリ12をスロット14に挿入することができる。
【0017】
バッテリホルダ30は、挿入口28のZ軸方向負側に隣接して設けられている。バッテリホルダ30は、メインフレーム26a~26dに固定されている。バッテリホルダ30のZ軸方向両側は開口しており、バッテリホルダ30の内部の空間は、挿入口28の内部の空間と連通している。バッテリホルダ30の内周面の形状は、挿入口28の内周面の形状と略同形状に形成されている。
【0018】
バッテリトレイ32は、バッテリホルダ30のZ軸方向負側に設けられている。バッテリトレイ32は、メインフレーム26a~26dに沿ってZ軸方向に移動可能であって、バッテリホルダ30のZ軸方向負側の側面に当接することにより、Z軸方向正側への移動が規制される。バッテリトレイ32は、バッテリホルダ30側が開口し、その反対側に底部32a(後述する
図9参照)を有している。バッテリトレイ32がバッテリホルダ30のZ軸方向負側の側面に当接している状態において、バッテリトレイ32の内部の空間は、バッテリホルダ30の内部の空間と連通する。バッテリトレイ32の内周面の形状は、バッテリホルダ30の内周面の形状と略同形状に形成されている。バッテリトレイ32のX軸方向正側の側面と負側の側面のそれぞれにローラ32bが取り付けられている。ローラ32bは、バッテリトレイ32のY軸方向負側に設けられ、メインフレーム26b及びメインフレーム26cに沿って移動し、バッテリトレイ32をメインフレーム26b及びメインフレーム26cに沿ってZ軸方向に案内する。
【0019】
コネクタユニット35は、コネクタ34を有している。コネクタ34は、モバイルバッテリ12の底面12aのコネクタ12b(後述する
図9参照)に接続され、モバイルバッテリ12に電力を供給する。コネクタユニット35は、スロット14のZ軸方向負側の端部において、サイドフレーム26gとサイドフレーム26hに固定されたコネクタブラケット42に設置されている。コネクタユニット35は、X軸方向において、スロット14の中央部付近であって、かつ、Y軸方向においてスロット14の中央部よりも正側寄りに配置されている。
【0020】
トレイ保持機構36は、バッテリトレイ32のZ軸方向負側に配置されている。トレイ保持機構36は、Xリンク44、ストッパ46、エアダンパ48及びガススプリング50を有している。
【0021】
バッテリトレイ32は、トレイ本体32fと、トレイ本体32fのZ軸方向負側を支持するように配置されたトレイブラケット52を有している。Xリンク44は、トレイブラケット52と、サイドフレーム26g及びサイドフレーム26hとの間に設けられている。Xリンク44は、バッテリトレイ32のX軸方向負側と正側に、それぞれ1つずつ設けられている。
【0022】
ストッパ46は、スロット14のZ軸方向負側の端部において、サイドフレーム26gとサイドフレーム26hに固定されたストッパブラケット54に設置されている。ストッパ46は、コネクタユニット35の背面(Y軸方向正側)に、X軸方向に離間して2つ配置されている。
【0023】
エアダンパ48は、スロット14のZ軸方向負側の端部において、サイドフレーム26gとサイドフレーム26hに固定されたエアダンパブラケット56に設置されている。エアダンパ48は、スロット14のY軸方向負側において、X軸方向に離間して2つ配置されている。
【0024】
ガススプリング50は、Z軸方向負側の端部がストッパブラケット54に固定されたスプリングブラケット54aに取り付けられ、Z軸方向正側の端部がバッテリトレイ32のトレイブラケット52に固定されたスプリングブラケット52bに取り付けられている。ガススプリング50は、X軸方向において、スロット14の中央部付近に設置されている。
【0025】
トレイロック機構38は、バッテリトレイ32のZ軸方向負側への移動を規制するものである。トレイロック機構38については、後に詳述する。
【0026】
バッテリロック機構40は、モバイルバッテリ12がスロット14に収容された状態で、モバイルバッテリ12のZ軸方向正側への移動を規制するものである。バッテリロック機構40については、後に詳述する。
【0027】
図6、
図7及び
図8は、スロット14にモバイルバッテリ12が収容される様子を示す図である。ユーザは、スロット14にモバイルバッテリ12を収容するときには、モバイルバッテリ12のハンドル12cを把持して、モバイルバッテリ12を挿入口28に挿入する(
図6)。そして、モバイルバッテリ12の全体がスロット14内に挿入された状態(
図7)から、ユーザは、モバイルバッテリ12を更に押し込む(
図8)。これにより、バッテリトレイ32がモバイルバッテリ12とともにZ軸方向負側に移動し、モバイルバッテリ12のコネクタ12bとコネクタ34とが接続される。以下では、
図7に示すスロット14の状態を、モバイルバッテリ12がスロット14に挿入された状態と記載することがある。また、
図8に示すスロット14の状態を、モバイルバッテリ12がスロット14に押し込まれた状態と記載することがある。
【0028】
[トレイロック機構]
トレイロック機構38は、モバイルバッテリ12がスロット14に挿入された状態ではバッテリトレイ32のZ軸方向負側の移動を許容するが、モバイルバッテリ12がスロット14に挿入されていない状態ではバッテリトレイ32のZ軸方向負側の移動を規制する。
【0029】
図9は、スロット14の断面図である。
図9に示すスロット14は、YZ平面に平行な面で切断されている。
図9は、モバイルバッテリ12がスロット14内に挿入された状態を示す。
図9では、モバイルバッテリ12は部分断面図として示されている。トレイロック機構38は、スロット14のY軸方向正側の側面に設置されている。トレイロック機構38は、ラッチ58とストライク60を有している。
【0030】
ラッチ58は、バッテリトレイ32のトレイ本体32fのY軸方向正側の側面に設置されている。ラッチ58は、ラッチボルト58a、ラッチボルトホルダ58b、スプリング58c及びレバー58dを有している。ラッチボルト58aは、バッテリトレイ32に固定されたラッチボルトホルダ58b内をY軸方向に移動可能に設けられている。ラッチボルト58aは、ラッチボルトホルダ58b内に設けられたスプリング58cによりY軸方向正側に付勢されている。レバー58dは、そのZ軸方向正側の端部がラッチボルト58aに接続され、Z軸方向負側の端部がバッテリトレイ32のY軸方向正側の側面に形成された貫通孔32cから、バッテリトレイ32の内部に延びて設けられている。レバー58dは、そのZ軸方向の中間部において、ラッチボルトホルダ58bに固定された回動軸58eを中心にラッチボルトホルダ58bに対して回動可能に設けられている。
【0031】
ストライク60は、バッテリホルダ30のY軸方向正側の面に固定されている。
図4に示すように、ストライク60は、バッテリホルダ30からZ軸方向負側にバッテリホルダ30の端部を超えて延びて形成されており、Z軸方向負側の端部において、X軸方向に延びる係止部60aを有している。バッテリトレイ32が最もZ軸方向正側に移動している状態、換言すると、バッテリトレイ32がバッテリホルダ30のZ軸方向負側の側面に当接している状態において、ラッチボルト58aはストライク60の係止部60aよりもZ軸方向正側に位置する。
【0032】
トレイロック機構38は、ラッチ58のラッチボルト58aがストライク60の係止部60aよりもZ軸方向正側に位置し、かつ、ラッチボルト58aのY軸方向正側の先端が係止部60aよりもY軸方向正側に位置する状態(ロック状態)のときには、バッテリトレイ32のZ軸方向負側への移動を規制する。トレイロック機構38は、ラッチ58のラッチボルト58aのY軸方向正側の先端が、ストライク60の係止部60aよりもY軸方向負側に位置する状態(アンロック状態)のときには、バッテリトレイ32のZ軸方向負側への移動を許容する。
【0033】
図10は、ロック状態のトレイロック機構38の断面図である。
図11は、ロック状態のトレイロック機構38の断面斜視図である。
図10及び
図11に示すトレイロック機構38は、YZ平面に平行な面で切断されている。
【0034】
ラッチボルト58aは、ラッチボルトホルダ58bをX軸方向に貫通し、ラッチボルトホルダ58bの外側まで延びる接続軸58a1を有している。レバー58dのZ軸方向正側の端部には長穴58d1が形成されており、ラッチボルトホルダ58bの外側において、この長穴58d1にラッチボルト58aの接続軸58a1が挿入されている。
【0035】
図10に示すように、レバー58dのバッテリトレイ32の内部に位置する部分は、そのZ軸方向正側に傾斜面58d2を有している。X軸方向負側から見たときに、この傾斜面58d2はZ軸方向負側にいくにつれてバッテリトレイ32の内側に位置するように形成されている。
【0036】
図12は、アンロック状態のトレイロック機構38の断面図である。
図13は、アンロック状態のトレイロック機構38の断面斜視図である。
図12及び
図13に示すトレイロック機構38は、YZ平面に平行な面で切断されている。
【0037】
図12に示すように、スロット14にモバイルバッテリ12が挿入されると、レバー58dの回動軸58eよりもZ軸方向負側であって、かつ、回動軸58eよりもY軸方向負側の側面がY軸方向正側に押圧されて、レバー58dが回動軸58eを中心に回動する。これにより、レバー58dの回動軸58eよりもZ軸方向正側はY軸方向負側に移動し、ラッチボルト58aの接続軸58a1がY軸方向負側に引っ張られる。これにより、ラッチボルト58aはY軸方向負側に移動し、ラッチボルト58aのY軸方向正側の端部は、ストライク60の係止部60aよりもY軸方向負側に位置する。
【0038】
前述のように、バッテリトレイ32がバッテリホルダ30のZ軸方向負側の側面に当接している状態において、ラッチボルト58aはストライク60の係止部60aよりもZ軸方向正側に位置する。つまり、バッテリトレイ32が最もZ軸方向正側に位置する状態で、ラッチボルト58aと係止部60aが接触しない。このため、バッテリホルダ30に対してバッテリトレイ32がガタついた場合であっても、ラッチ58及びストライク60には過大な力が作用しない。
【0039】
トレイロック機構38は、モバイルバッテリ12の逆挿し防止機能を有する。ユーザは、モバイルバッテリ12を所定の側面を上に向けた状態でスロット14に挿入する必要がある。これは、スロット14のコネクタ34の位置と、モバイルバッテリ12のコネクタ12bの位置とを合わせるためである。仮に、スロット14がトレイロック機構38を有さない場合、ユーザが、モバイルバッテリ12の上下方向を反対にした状態でスロット14に挿入し、その後、モバイルバッテリ12を押し込んだときに、モバイルバッテリ12のコネクタ12bがスロット14のコネクタ34に接続されないばかりか、スロット14のコネクタ34に大きな力が作用するおそれがある。トレイロック機構38は、モバイルバッテリ12が上下方向を反対にした状態でスロット14に挿入された場合、ロック状態を維持し、バッテリトレイ32のZ軸方向の移動を規制する。
【0040】
図14A及び
図14Bは、挿入口28、バッテリホルダ30、バッテリトレイ32及びモバイルバッテリ12をZ軸方向正側から見た形状を示す模式図である。挿入口28、バッテリホルダ30、バッテリトレイ32の内周面は、Z軸方向正側から見て略同形状に形成されている。
図14Aは、モバイルバッテリ12が正しい方向に向けられて、適正な姿勢でスロット14に挿入された状態を示す。
図14Bは、モバイルバッテリ12が上下方向を反対にされて、不適正な姿勢でスロット14に挿入された状態を示す。
【0041】
モバイルバッテリ12は、ハンドル12cが設けられる面とコネクタ12bが設けられる底面12aを除く4つの側面のうち、1つの側面S1が略平坦な平面状に形成されており、側面S1に対向する側面S2が外側の凸に曲面状に形成されている。モバイルバッテリ12の側面S2を上に向けた状態が、モバイルバッテリ12がスロット14に挿入される際の正しい状態である。
【0042】
図14Bに示すように、挿入口28、バッテリホルダ30、バッテリトレイ32のY軸方向負側の側面S3は、モバイルバッテリ12の側面S2の曲面に沿う形状に形成されている。モバイルバッテリ12が、
図14Aに示す状態でスロット14に挿入されている場合に比べて、
図14Bに示す状態でスロット14に挿入されている場合には、モバイルバッテリ12はY軸方向負側に位置する。これにより、Y軸方向正側のモバイルバッテリ12と挿入口28、バッテリホルダ30及びバッテリトレイ32との隙間の大きさは、モバイルバッテリ12が、
図14Aに示す状態でスロット14に挿入されている場合に比べて、
図14Bに示す状態でスロット14に挿入されている場合の方が大きい(G1<G2)。
【0043】
図10に示すように、トレイロック機構38のラッチ58のレバー58dは、バッテリトレイ32のY軸方向正側の貫通孔32cから、バッテリトレイ32の内周面の内側に延びるように設けられている。そのため、
図14Bに示すようにモバイルバッテリ12が上下方向を反対にスロット14に挿入されている場合、モバイルバッテリ12の側面S1はラッチ58のレバー58dに当接せず、トレイロック機構38はアンロック状態とならない。これにより、ユーザはモバイルバッテリ12を押し込むことができないため、モバイルバッテリ12の逆挿しを防止することができる。
【0044】
[トレイ保持機構]
図15は、トレイ保持機構36のXリンク44の斜視図である。Xリンク44は、2本のリンク62a、62bを有している。リンク62aのZ軸方向負側の端部は、サイドフレーム26g及びサイドフレーム26hのY軸方向正側の端部に取り付けられている。リンク62aのZ軸方向正側の端部には、X軸方向においてスロット14の内側に延びるピン62a1が設けられている。ピン62a1は、トレイブラケット52の側面52aに形成されたガイド52a1に挿入されている。ガイド52a1はY軸方向に延びる長穴状に形成されており、リンク62aのZ軸方向正側の端部は、ガイド52a1に沿ってY軸方向に案内される。リンク62bのZ軸方向正側の端部は、トレイブラケット52の側面52aのY軸方向正側の端部に取り付けられている。リンク62bのZ軸方向負側の端部には、X軸方向においてスロット14の内側に延びるピン62b1が設けられている。ピン62b1は、サイドフレーム26g、26hに形成されたガイド26g1、26h1に挿入されている。ガイド26g1、26h1は、Y軸方向に延びる長穴状に形成されており、リンク62bのZ軸方向負側の端部は、ガイド26g1、26h1に沿ってY軸方向に案内される。
【0045】
リンク62aとリンク62bとは、それぞれの長手方向における中央部付近において、共通の回動軸回りに相対的に回動可能に接続されている。トレイブラケット52に対して、X軸方向負側のXリンク44に配置されているリンク62a及びリンク62bと、X軸方向正側のXリンク44に配置されているリンク62a及びリンク62bとは、回動軸上においてロッド64aにより連結されている。また、トレイブラケット52に対して、X軸方向負側に配置されているXリンク44のリンク62aのZ軸方向正側の端部と、X軸方向正側に配置されているXリンク44のリンク62aのZ軸方向正側の端部とは、ロッド64bにより連結されている。ロッド64a及びロッド64bにより、X軸方向の力に対するXリンク44の強度を確保することができる。
【0046】
図9に示すように、バッテリトレイ32のトレイ本体32fの底部32aのY軸方向正側寄りに貫通孔32dが形成されている。トレイブラケット52には、トレイ本体32fの貫通孔32dに対応する位置に貫通孔52cが形成されている。トレイ本体32fの底部32aとトレイブラケット52の間には、シャッタ66が配置されている。
【0047】
図15に示すように、シャッタ66は本体部66aと連結部66bを有している。本体部66aは平板状の部材であって、本体部66aのY軸方向負側寄りの一部が肉抜き加工されている。これにより、シャッタ66の軽量化を図ることができる。なお、本体部66aは、肉抜き加工されていなくてもよい。本体部66aのY軸方向負側の端部であってX軸方向の両側に連結部66bが形成されている。連結部66bは、Z軸方向正側に突出して形成されている。連結部66bは、略U字形状であって、U字の両端部に相当する箇所において、本体部66aと連結されている。本体部66aの連結部66bが形成される部分は、切欠部66cが形成されている。
【0048】
図16は、シャッタ66の連結部66b付近の拡大図である。
図16に示すように、シャッタ66は、連結部66b内に、Z軸方向負側からリンク62aのピン62a1が挿入され、連結部66bとリンク62aとが接続される。これにより、シャッタ66は、リンク62aとともにY軸方向に移動可能となる。
【0049】
図17は、スロット14の断面図である。
図17に示すスロット14は、YZ面に平行な面で切断されている。
図17は、バッテリトレイ32が最もZ軸方向負側に位置する状態のスロット14を示している。
図17では、コネクタ34等を見易くするために、モバイルバッテリ12の外形が二点鎖線で示されている。
図18及び
図19は、スロット14の正面図である。
図18は、バッテリトレイ32が最もZ軸方向正側に位置する状態のスロット14を示している。
図19は、バッテリトレイ32が最もZ軸方向負側に位置する状態のスロット14を示している。なお、バッテリトレイ32が最もZ軸方向正側に位置する状態とは、バッテリトレイ32がバッテリホルダ30のZ軸方向負側の端面に当接している状態を示す。また、バッテリトレイ32が最もZ軸方向負側に位置する状態とは、バッテリトレイ32がストッパ46に当接している状態を示す。
【0050】
図17~
図19に示すように、トレイブラケット52のZ軸方向の移動に伴いリンク62aとともにシャッタ66がY軸方向に移動する。バッテリトレイ32がZ軸方向正側に位置するときには、シャッタ66はトレイブラケット52の貫通孔52c及びトレイ本体32fの貫通孔32dとの連通を遮断する。これにより、バッテリトレイ32側からコネクタ34側に異物が侵入することを抑制することができる。バッテリトレイ32がZ軸方向負側に移動すると、シャッタ66が開き、トレイ本体32fの貫通孔32dとトレイブラケット52の貫通孔52cとが連通する。そして、コネクタ34は、トレイブラケット52の貫通孔52c及びバッテリトレイ32の貫通孔32dを挿通し、バッテリトレイ32の内部に進入する。これにより、スロット14のコネクタ34は、バッテリトレイ32に保持されるモバイルバッテリ12のコネクタ12bと接続される。
【0051】
トレイ保持機構36のガススプリング50は、内部にガスが封入されており、トレイブラケット52のZ軸方向の変位を妨げる減衰力を発生させるダンパ機能と、トレイブラケット52をZ軸方向正側に付勢するスプリング機能を有する。バッテリトレイ32がモバイルバッテリ12の荷重を受けてZ軸方向負側に移動するときに、ガススプリング50はエネルギを蓄積する。また、バッテリトレイ32がZ軸方向正側に移動するときに、ガススプリング50は蓄積したエネルギを放出する。ガススプリング50は、エネルギを内部に封入されたガスの圧力として蓄積する。なお、ガススプリング50に代えて、金属製のバネを有するものであってもよい。その場合、エネルギはバネの弾性力として蓄積される。スロット14は、バッテリ交換機10の機種によって、異なる傾きに設置される。スロット14がバッテリ交換機10内に設置される傾きに応じて、モバイルバッテリ12からバッテリトレイ32に対して、Z軸方向に作用する力が変化する。そのため、ガススプリング50のダンパ荷重は、スロット14がバッテリ交換機10内に設置される傾きに応じて設定される必要がある。
【0052】
図9に示すように、ガススプリング50を支持するスプリングブラケット54aには、3つの取付穴54a1が形成されている。ガススプリング50を取り付ける取付穴54a1を変えることにより、Z軸方向に対するガススプリング50の傾きを変化させることができる。ガススプリング50からバッテリトレイ32に作用するダンパ荷重は、Z軸方向に対するガススプリング50の傾きが浅いほど大きくなる。これにより、1種類のガススプリング50であっても、ガススプリング50からバッテリトレイ32に作用するダンパ荷重を変えることができる。よって、バッテリ交換機10の機種ごとに、スロット14がバッテリ交換機10内に設置される傾きに対応するガススプリング50を用意する必要がない。
【0053】
トレイ保持機構36のエアダンパ48は、トレイブラケット52のZ軸方向負側への変位を妨げるように減衰力を発生させる。
図3に示すように、エアダンパ48は円柱状のプランジャ48aを有している。トレイブラケット52がZ軸方向負側に移動したときに、トレイブラケット52がプランジャ48aに当接し、プランジャ48aからトレイブラケット52にZ軸方向正側に減衰力が作用し、エアダンパ48はトレイブラケット52から入力される力を吸収する。
【0054】
トレイ保持機構36のストッパ46は、バッテリトレイ32のZ軸方向負側の移動を規制する。バッテリトレイ32が最もZ軸方向負側に移動すると、トレイブラケット52がストッパ46に当接する。これにより、バッテリトレイ32はZ軸方向負側への移動が規制されるため、モバイルバッテリ12からコネクタ34に過度な力が作用することを抑制することができる。
【0055】
[バッテリロック機構]
バッテリロック機構40は、モバイルバッテリ12がスロット14に押し込まれた状態で、モバイルバッテリ12のZ軸方向正側への移動を規制する。これにより、モバイルバッテリ12がスロット14に押し込まれた状態が維持される。
【0056】
図20は、スロット14の断面図である。
図20に示すスロット14は、YZ平面に平行な面で切断されている。
図21及び
図22は、バッテリロック機構40の拡大斜視図である。
図21は、スロット14にモバイルバッテリ12が挿入されていない状態を示している。
図22は、スロット14にモバイルバッテリ12が押し込まれた状態を示している。
【0057】
バッテリロック機構40は、スロット14のY軸方向正側の側面に設置されている。バッテリロック機構40は、シャフト68、ストッパ駆動部70、ストッパロック部72、ストッパロック解除部74を有している。
【0058】
シャフト68は、Z軸方向に延びるように配置されている。シャフト68は、バッテリホルダ30のY軸方向正側の側面に設置された2つの軸受76a、76bにより回動可能に支持されている。
【0059】
ストッパ駆動部70は、フラップ78a、78b、レバー79及びねじりスプリング82を有している。フラップ78a、78bは、バッテリホルダ30のY軸方向正側の側面に設置されたプレート80aとプレート80bとの間に配置されている。フラップ78a、78bは、外周に歯が形成された歯車78a1、78b1を有している。フラップ78a、78bは、歯車78a1、78b1の回動中心においてプレート80a、80bに回動可能に取り付けられている。フラップ78aの歯車78a1とフラップ78bの歯車78b1とは噛み合っている。フラップ78a、78bは、歯車78a1、78b1から延びるアーム78a2、78b2と、アーム78a2、78b2からバッテリホルダ30のY軸方向負側に向かって延びるストッパ78a3、78b3を有している。
【0060】
レバー79は、シャフト68に取り付けられており、レバー79とシャフト68とが一体に回転する。レバー79とプレート80bとの間にねじりスプリング82が設けられている。Z軸方向正側から見たときに、ねじりスプリング82は、シャフト68を中心としてレバー79を右回りに回動させるように付勢する。レバー79は、フラップ78aの連結部78a4に連結されている。レバー79が回動することによりフラップ78aが歯車78a1を中心に回動し、歯車78a1に噛み合うフラップ78bの歯車78b1が回動し、フラップ78b全体が歯車78b1を中心に回動する。
【0061】
図23は、スロット14の断面正面図である。
図23で示すスロット14は、XY平面に平行な面で切断されている。
図24は、スロット14の正面図である。
図23及び
図24は、フラップ78a、78bが降りた状態を示している。
【0062】
Z軸方向正側から見て、シャフト68がレバー79とともに右回転すると、フラップ78a、78bのストッパ78a3、78b3がバッテリホルダ30の内側に移動する。これにより、モバイルバッテリ12がスロット14から引き抜かれようとしたときに、モバイルバッテリ12はストッパ78a3、78b3に引っ掛かり、モバイルバッテリ12のZ軸方向正側の移動が規制される。
【0063】
図20に示すように、ストッパロック部72は、カム84、ラッチ86及びコイルスプリング88を有している。カム84は、シャフト68のZ軸方向負側に、シャフト68と一体に回動可能に設けられている。
図25は、カム84の正面図である。
図26は、カム84の斜視図である。カム84は、本体部84a、及び、本体部84aからラッチ86側(Z軸方向負側)に突出する爪84bを有している。本体部84aは、円筒状の部材であって、その中心に貫通孔84a1が形成されている。この貫通孔84a1をシャフト68が貫通している。
図25に示すように、爪84bは、周方向に120°の間隔で3つ設けられている。爪84bは、当接面84b1及び傾斜面84b2を有している。当接面84b1は、カム84の軸方向(Z軸方向)に平行な面である。傾斜面84b2は、当接面84b1のZ軸方向負側の端部と本体部84aとを繋ぐ面あり、本体部84aのZ軸方向負側の面に対して傾斜した面である。爪84bは、周方向に約75°の範囲に形成されている。
【0064】
図20に示すように、ラッチ86は、メインフレーム26aに取り付けられたラッチホルダ90内にZ軸方向に移動可能であって、シャフト68の軸周りに回動不能に設けられている。
図27は、ラッチ86の正面図である。
図28は、ラッチ86の斜視図である。ラッチ86は、本体部86a、本体部86aからカム84側(Z軸方向正側)突出する爪86b、及び、本体部86aからY軸方向負側に延びるピン86cを有している。本体部86aは、筒状の部材であって、その中心に貫通孔86a1が形成されている。この貫通孔86a1をシャフト68が貫通している。
図27に示すように、爪86bは、周方向に120°の間隔で3つ設けられている。爪86bは、当接面86b1及び傾斜面86b2を有している。当接面86b1は、ラッチ86の軸方向(Z軸方向)に平行な面である。傾斜面86b2は、当接面86b1のZ軸方向正側の端部と本体部86aとを繋ぐ面あり、本体部86aのZ軸方向負側の面に対して傾斜した面である。爪86bは、周方向に約75°の範囲に形成されている。
【0065】
シャフト68は、ラッチ86の貫通孔86a1を貫通し、ラッチホルダ90に回動可能に支持されている。ラッチ86は、ラッチホルダ90にシャフト68の軸方向(Z軸方向)に移動可能で支持されているが、シャフト68の軸を中心とする回動方向には変位不能に支持されている。ラッチ86は、ラッチホルダ90内に設けられたコイルスプリング88によりカム84側に付勢されている。
【0066】
ラッチ86がカム84側に位置するときには、Z軸方向負側から見て、シャフト68とともにカム84が左回りに回動しようとすると、カム84の爪84bの当接面84b1が、ラッチ86の爪86bの当接面86b1と当接する。これにより、ラッチ86は、カム84を介してシャフト68の回動を規制する。
【0067】
一方、ラッチ86がカム84側に位置するときであっても、Z軸方向負側から見て、シャフト68とともにカム84が右回りに回動する場合には、カム84の爪84bの傾斜面84b2が、ラッチ86の爪86bの傾斜面86b2をZ軸方向負側に押圧するため、シャフト68は回動することができる。
【0068】
ラッチ86がカム84から離れて位置するときには、Z軸方向負側から見て、シャフト68とともにカム84が左回りに回動する場合であっても、右回りに回動する場合であっても、ラッチ86の爪86bとカム84の爪84bとは当接しないため、シャフト68は回動可能となる。
【0069】
図29は、スロット14のストッパロック部72付近の拡大断面図である。
図29に示すスロット14は、YZ断面に平行な面で切断されている。
図30は、スロット14のストッパロック部72の拡大斜視図である。
図30は、コイルスプリング88、及び、ラッチホルダ90の一部が省略されている。
図29及び
図30は、モバイルバッテリ12がスロット14に押し込まれた状態を示す。
【0070】
バッテリトレイ32のトレイ本体32fのY軸方向正側の面には、Y軸方向正側に突出するピン32eが形成されている。モバイルバッテリ12がスロット14に押し込まれ、バッテリトレイ32がZ軸方向負側に移動すると、トレイ本体32fのピン32eがラッチ86のピン86cを押圧し、ラッチ86をZ軸方向負側に移動させる。これにより、ラッチ86の爪86bとカム84の爪84bとの噛み合いが外れる。
【0071】
図21に示すように、ストッパロック解除部74は、モータ92を有している。モータ92は、バッテリホルダ30のY軸方向正側の側面に設置されている。モータ92の駆動軸にはピニオン92aが取り付けられている。モータ92のピニオン92aは、シャフト68に取り付けられ、シャフト68と一体に回動する歯車94と噛み合っている。モータ92が回転駆動することにより、シャフト68を回動させることができる。
【0072】
図31及び
図32は、バッテリロック機構40がロック解除状態からロック状態となるときの、カム84とラッチ86の回動方向の動き、カム84とラッチ86の軸方向の動き、及び、バッテリロック機構40の動きを示す表である。
図31及び
図32に示す各図は、模式図である。
図31及び
図32により、ロック解除状態、ロック直前状態、最下点状態、及び、ロック状態の4つの状態を示している。ロック解除状態とは、バッテリロック機構40によるモバイルバッテリ12のロックが解除された状態を示す。ロック直前状態とは、バッテリロック機構40によりモバイルバッテリ12がロックされる直前の状態を示す。最下点状態とは、モバイルバッテリ12がスロット14に最も押し込まれた状態を示す。ロック状態とは、バッテリロック機構40によりモバイルバッテリ12がロックされた状態を示す。
【0073】
ロック解除状態におけるラッチ86のZ軸方向の位置をP1とする(
図31)。ラッチ86には、コイルスプリング88からZ軸方向正側に付勢力が作用し、ラッチ86はカム84に押し付けられている。カム84の爪84bとラッチ86の爪86bとが噛み合っているため、カム84にはシャフト68を介して、ねじりスプリング82から回動方向の付勢力が作用するが、カム84は回動しない。
【0074】
ユーザによりモバイルバッテリ12がスロット14に押し込まれ始めると、トレイ本体32fのピン32eが、ラッチ86のピン86cを押圧し、ラッチ86はZ軸方向負側に移動する。ロック直前状態におけるラッチ86のZ軸方向の位置をP2とする(
図31)。ロック直前状態では、カム84の爪84bとラッチ86の爪86bとがまだ噛み合っているため、カム84にはシャフト68を介してねじりスプリング82から回動方向の付勢力が作用するが、カム84は回動しない。
【0075】
最下点状態におけるラッチ86のZ軸方向の位置をP3とする(
図32)。このとき、ラッチ86とカム84とは離間した状態となり、カム84の爪84bとラッチ86の爪86bとの噛み合いが外れるため、シャフト68を介して作用するねじりスプリング82から回動方向の付勢力によりカム84が回動する。これにより、カム84とともにシャフト68が回動し、更にシャフト68とともにレバー79が回動して、フラップ78a、78bが降りる。最下点状態では、モバイルバッテリ12とストッパ78a3、78b3との間には隙間が生じている。
【0076】
最下点状態から、ユーザがモバイルバッテリ12の押し込む力を抜くと、ガススプリング50がバッテリトレイ32をZ軸方向正側に押圧する力により、モバイルバッテリ12がZ軸方向正側に移動する。モバイルバッテリ12は、ストッパ78a3、78b3と当接し、ロック状態となる。ロック状態におけるラッチ86の軸方向の位置をP4とする(
図32)。このとき、ラッチ86はコイルスプリング88の付勢力によりカム84側に押される。ラッチ86の爪86bの傾斜面86b2がカム84の爪84bの傾斜面84b2を押圧するため、カム84は最下点状態のときの位置から更に回動している。
【0077】
図33は、バッテリロック機構40がロック状態からロック解除状態となるときの、カム84とラッチ86の回動方向の動き、及び、カム84とラッチ86の軸方向の動きを示す表である。
図33に示す各図は、模式図である。
図33は、ロック状態、ロック解除途中状態、及び、ロック解除状態の3つの状態を示している。ロック状態とは、バッテリロック機構40によりモバイルバッテリ12がロックされた状態を示す。ロック解除途中状態とは、バッテリロック機構40によるモバイルバッテリ12のロックが解除される途中の状態を示す。ロック解除状態とは、バッテリロック機構40によるモバイルバッテリ12のロックが解除された状態を示す。
【0078】
ロック状態からモータ92の回動力によりシャフト68が回動され、シャフトと一体にカム84が回動する。ロック解除途中状態では、カム84の爪84bの傾斜面84b2が、ラッチ86の爪86bの傾斜面86b2を押圧し、ラッチ86はロック状態におけるラッチ86の軸方向の位置であるP4からZ軸方向正側に移動する。
【0079】
シャフト68の回動とともにレバー79が回動して、フラップ78a、78bが上がり、モバイルバッテリ12のロックが解除される。ロック解除状態では、バッテリトレイ32は、ガススプリング50の付勢力によりZ軸方向正側に移動する。バッテリトレイ32のピン32eがZ軸方向正側に移動するのに伴い、ラッチ86は、コイルスプリング88の付勢力によりZ軸方向正側に移動し、ロック解除状態におけるラッチ86の軸方向の位置であるP1に位置する。そして、カム84の爪84bとラッチ86の爪86bとが噛み合う。
【0080】
バッテリロック機構40は、トレイロック機構38とともにスロット14のY軸方向正側に配置されている。これにより、フレーム26の外部に突出する構造を、スロット14のY軸方向正側に集約することができる。
【0081】
[コネクタユニット]
図34及び
図35は、コネクタユニット35の断面図である。コネクタユニット35は、コネクタ34、コネクタホルダ96、プレート98及びコイルスプリング100を有している。
【0082】
コネクタ34は、ガイド突起部34a、端子34b及びフランジ部34cを有している。ガイド突起部34aは、モバイルバッテリ12の底面12aに形成されたガイド穴12b1(
図37)に嵌合される。ガイド突起部34aは、端子34bに対してX方向外側の両方に一対設けられている。端子34bは、モバイルバッテリ12のコネクタ12bに形成された図示しない端子穴に嵌合される。端子34bからモバイルバッテリ12を充電する電力が供給されるとともに、モバイルバッテリ12の充電制御を行う制御信号が送られる。フランジ部34cは、後述するコネクタホルダ96の凹部96bに収容されている。
【0083】
図36は、コネクタホルダ96の斜視図である。コネクタホルダ96は、Z軸方向に貫通する貫通穴96aを有し、この貫通穴96aには、
図34に示すように、コネクタ34のガイド突起部34a及び端子34bが挿入される。コネクタホルダ96は、Z軸方向負側の面に凹部96bを有している。凹部96bには、コネクタ34のフランジ部34cが収容されている。凹部96bの縁には、テーパ部96b1が形成されている。
【0084】
図34に示すように、プレート98は、コネクタホルダ96のZ軸方向負側に固定されている。プレート98とコネクタ34との間にはコイルスプリング100が設けられ、コイルスプリング100によりコネクタ34がY軸方向正側に付勢されている。
【0085】
図37は、コネクタユニット35のコネクタ34がモバイルバッテリ12のコネクタ12bに接続された状態を示す部分断面図である。モバイルバッテリ12のコネクタ12bは、コネクタ34のガイド突起部34aと嵌合するガイド穴12b1と、コネクタ34の端子34bと嵌合する端子穴12b2とを有している。
【0086】
コネクタ34の端子34bと、モバイルバッテリ12の端子穴12b2との嵌合が開始するまでは、
図34に示すように、コイルスプリング100の付勢力により、コネクタ34のフランジ部34cは、コネクタホルダ96の凹部96bの底面に当接している。
【0087】
コネクタ34の端子34bと、モバイルバッテリ12の端子穴12b2との嵌合が開始すると、モバイルバッテリ12からコネクタ34に作用するY軸方向負側の力に応じて、コネクタホルダ96に対してコネクタ34がY軸方向負側に移動する。これにより、コネクタ34の端子34bと、モバイルバッテリ12の端子穴12b2とが嵌合している最中には、コネクタ34をモバイルバッテリ12側に押圧する力を確保することができる。
【0088】
コネクタ34の端子34bとモバイルバッテリ12の端子穴12b2との嵌合が完了した後には、
図37に示すように、コネクタ34のフランジ部34cは、コネクタホルダ96の凹部96bの底面から離間している。これにより、モバイルバッテリ12がスロット14内で多少動いたとしても、コネクタ34の端子34bと、モバイルバッテリ12の端子穴12b2との嵌合が外れることがない。
【0089】
コネクタ34の端子34bと、モバイルバッテリ12の端子穴12b2との嵌合がはずれるときには、コネクタホルダ96の凹部96bの底面から離間していたコネクタ34のフランジ部34cが、コイルスプリング100の付勢力により、凹部96bの底面に向かって移動する。このとき、コネクタホルダ96の凹部96bのテーパ部96b1により、コネクタ34のフランジ部34cが案内され、コネクタ34をコネクタホルダ96に対してセンタリングすることができる。
【0090】
図9に示すように、コネクタユニット35は、Y軸方向においてスロット14の中央部よりも正側寄りに配置されている。スロット14がバッテリ交換機10内に設置されている状態において、コネクタユニット35を地面から遠い側に配置することができる。そのため、コネクタユニット35に水等が触れることを抑制することができる。
【0091】
〔スロットとモバイルバッテリの位置関係〕
図38は、スロット14の断面図である。
図38に示すスロット14は、YZ平面に平行な面で切断されている。
【0092】
モバイルバッテリ12がスロット14に挿入されている状態において、モバイルバッテリ12のハンドル12cは、挿入口28のY軸方向正側の縁よりもZ軸方向正側に位置し、挿入口28のY軸方向負側の縁よりもZ軸方向負側に位置する。これにより、モバイルバッテリ12のハンドル12cの一部が、スロット14の外部に露出しているため、ユーザは、モバイルバッテリ12をバッテリ交換機10から受け取る際に、ハンドル12cを把持し易い。また、モバイルバッテリ12は、スロット14からZ軸方向正側に突出していないため、ユーザは、モバイルバッテリ12をバッテリ交換機10から受け取る際に、モバイルバッテリ12の底面12aが、下方のスロット14に挿入されているモバイルバッテリ12に衝突することを抑制することができる。
【0093】
本発明についての好適な実施形態を上述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。
【0094】
挿入口28は、挿入口28単体で取り換え可能に取り付けられていてもよい。挿入口28は、バッテリ交換機10内に設置されるスロット14の傾きに応じて、形状が異なるようにしてもよい。また、挿入口28は、バッテリ交換機10が設置される地域に応じて材質が異なるようにしてもよい。
【0095】
バッテリ交換機10の扉18はオプションで取り付けられるようにしてもよい。上記第1実施形態では、ユーザがモバイルバッテリ12をスロット14に収容して扉18を閉じると、バッテリ交換機10はモバイルバッテリ12の充電を開始するようにしている。これを、モバイルバッテリ12がスロット14に押し込まれた状態となれば、バッテリ交換機10はモバイルバッテリ12の充電を開始するようにしてもよい。
【0096】
バッテリ交換機10は本発明の保持装置に相当し、モバイルバッテリ12は本発明の電気機器に相当し、コネクタ12bは本発明の第1端子に相当し、スロット14は本発明の保持部に相当し、フレーム26は本発明の筐体または骨格部に相当し、バッテリトレイ32は本発明の保持部に相当し、貫通孔32cは本発明の他の挿通部に相当し、貫通孔32dは本発明の挿通部に相当し、ピン32eは本発明の操作子に相当し、コネクタ34は本発明の第2端子に相当し、トレイロック機構38は本発明の移動規制部に相当し、バッテリロック機構40は本発明の離脱規制部に相当し、Xリンク44は本発明の駆動部に相当し、ガススプリング50は本発明の他の駆動部またはエネルギ蓄積部に相当し、ラッチ58は本発明の第2係合子に相当し、レバー58dは本発明の突出部に相当し、ストライク60は本発明の第1係合子に相当し、リンク62aは本発明の接続部に相当し、リンク62bは本発明の他の接続部に相当し、ロッド64aは本発明の連結部に相当し、シャッタ66は本発明の覆蓋部に相当し、シャフト68は本発明の作動接続部に相当し、フラップ78a、78bは本発明の進退部に相当し、ねじりスプリング82は本発明の付勢部に相当し、カム84およびラッチ86は本発明の作動子に相当し、モータ92は本発明の回動部に相当する。
【0097】
〔第2実施形態〕
図39は、バッテリエナジーストレージ110の外観模式図である。バッテリエナジーストレージ110は、その内部に複数(本実施形態では8つ)のモバイルバッテリ12を収容している。バッテリエナジーストレージ110内のモバイルバッテリ12は、通常時は満充電されており、例えば、停電時等にはモバイルバッテリ12に蓄電された電力が放電される。バッテリエナジーストレージ110で用いられるモバイルバッテリ12は、例えば、電動バイク等で繰り返し使用されて劣化し、劣化状態(SOH)が電動バイク等における使用に適しなくなったものである。また、バッテリエナジーストレージ110で用いられるモバイルバッテリ12は、劣化のない新品のものであってもよい。さらに、バッテリエナジーストレージ110で用いられるモバイルバッテリ12は、一部が劣化したものであって、残りが新品のものであってもよい。
【0098】
バッテリエナジーストレージ110は、8つのスロット112、及び、1つの操作パネル114を有している。スロット112にはモバイルバッテリ12が収容される。第1実施形態のバッテリ交換機10と異なり、バッテリエナジーストレージ110では、モバイルバッテリ12の出し入れは頻繁には行われない。バッテリエナジーストレージ110に収容されたモバイルバッテリ12は、例えば、モバイルバッテリ12が故障した場合、モバイルバッテリ12の劣化が進んだ場合に交換される。スロット112の上部にはインジケータ116が設けられている。インジケータ116は、スロット112に収容されているモバイルバッテリ12の劣化状態を、点灯する色、点滅等により表示する。操作パネル114は、ユーザにより操作される装置である。ユーザは、操作パネル114を操作することにより、例えば、バッテリエナジーストレージ110から外部への給電を開始することができる。バッテリエナジーストレージ110は、各スロット112の開口部を閉塞する扉115を有している。この扉115はオプションで取り付けられるようにしてもよい。
【0099】
図40は、バッテリエナジーストレージ110の断面図である。バッテリエナジーストレージ110は、スロット112の上方に制御装置117を有している。制御装置117は、モバイルバッテリ12の充電制御及び給電制御等を行う。モバイルバッテリ12が充電されるときは、制御装置117は図示しないAC/DCコンバータを制御して、商業電源から供給される交流電力を直流電力に変換してモバイルバッテリ12に供給する。モバイルバッテリ12が放電するときには、制御装置117は図示しないDC/ACコンバータを制御して、モバイルバッテリ12から出力される直流電力を交流電力に変換して外部に供給する。バッテリエナジーストレージ110は、スロット112の下方にユーティリティスペース119を有している。ユーティリティスペース119には、オプションとしてバッテリエナジーストレージ110の内部を冷却する冷却装置等が設置される。
【0100】
本実施形態では、次のように定義されたX軸、Y軸及びZ軸に基づいて説明する。スロット112にモバイルバッテリ12が挿入される方向をZ軸方向とし、スロット112がバッテリエナジーストレージ110の前面110aに開口する側を正側とする。バッテリエナジーストレージ110の幅方向と平行な方向をX軸方向として、スロット112をバッテリエナジーストレージ110の前面110aに開口する側から見たときに右側を正側とする。Z軸及びX軸に直交する方向をY軸方向とし、上側を正側とする。
【0101】
図41は、モバイルバッテリ12が収容された状態のスロット112を示す斜視図である。
図42は、モバイルバッテリ12が収容された状態のスロット112の断面図である。
図42に示すスロット112は、YZ面に平行な面で切断されている。
図43は、スロット112のY軸方向正側の側面の部分斜視図である。
【0102】
バッテリエナジーストレージ110のスロット112は、第1実施形態のバッテリ交換機10のスロット14と略同じ構成であるが、スロット14のトレイ保持機構36の一部の構成、トレイロック機構38のすべての構成、及び、バッテリロック機構40の一部の構成を有していない。具体的には、スロット112は、トレイ保持機構36のXリンク44、エアダンパ48及びガススプリング50を有していない。一方、スロット112は、トレイ保持機構36のストッパ46を有している。また、スロット112は、トレイロック機構38のラッチ58及びストライク60を有していない。さらに、スロット112は、バッテリロック機構40のシャフト68、ストッパロック部72、ストッパロック解除部74を有しない。さらに、スロット112は、ストッパ駆動部70のうち、レバー79及びねじりスプリング82を有していないが、ストッパ駆動部70のフラップ78a、78bは有している。
【0103】
バッテリエナジーストレージ110のスロット112の構成のうち、バッテリ交換機10のスロット14の構成と同じ箇所については、第1実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
【0104】
バッテリエナジーストレージ110のスロット112は、メインフレーム26aとメインフレーム26dの間に架設されたトレイロック板118を有している。バッテリトレイ32のトレイ本体32fのY軸方向正側の側面には、Y軸方向正側に吐出する突出部120が固定されている。バッテリトレイ32がZ軸方向負側に移動した位置で、突出部120がトレイロック板118にZ軸方向負側から当接することによりバッテリトレイ32のZ軸方向正側への移動が規制される。
【0105】
図44は、バッテリロック機構40の拡大斜視図である。
図45は、スロット
112の断面正面図である。
図45で示すスロット
112は、XY平面に平行な面で切断されている。
図46は、スロット
112の正面図である。
【0106】
フラップ78a、78bは、ボルトが固定されるボルト孔78a5、78b5を有している。バッテリロック機構40は、フラップ78a、78bが降りた状態で、ボルト120a、120bによって固定されている。これにより、モバイルバッテリ12がスロット112から引き抜かれようとしたときに、モバイルバッテリ12はストッパ78a3、78b3に引っ掛かり、モバイルバッテリ12のZ軸方向正側の移動が規制される。よって、モバイルバッテリ12の盗難を防止することができる。
【0107】
バッテリエナジーストレージ110は本発明の保持装置に相当し、ボルト孔78a5、78b5は本発明の被固定部に相当し、ボルト120a、120bは本発明の固定具に相当する。
【符号の説明】
【0108】
10…バッテリ交換機(保持装置)
12…モバイルバッテリ(電気機器)
12b…コネクタ(第1端子)
14…スロット(保持部)
26…フレーム(筐体、骨格部)
32…バッテリトレイ(保持部)
32c…貫通孔(他の挿通部)
32d…貫通孔(挿通部)
32e…ピン(操作子)
32f…トレイ本体(保持部本体)
34…コネクタ(第2端子)
38…トレイロック機構(移動規制部)
40…バッテリロック機構(離脱規制部)
44…Xリンク(駆動部)
50…ガススプリング(他の駆動部、エネルギ蓄積部)
52…トレイブラケット(支持部)
58…ラッチ(第2係合子)
58d…レバー(突出部)
60…ストライク(第1係合子)
62a…リンク(接続部)
62b…リンク(他の接続部)
64a…ロッド(連結部)
66…シャッタ(覆蓋部)
68…シャフト(作動接続部)
78a、78b…フラップ(進退部)
78a5、78b5…ボルト孔(被固定部)
82…ねじりスプリング(付勢部)
84…カム(作動子)
86…ラッチ(作動子)
92…モータ(回動部)
110…バッテリエナジーストレージ(保持装置)
120a、120b…ボルト(固定具)