(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】腕時計ストラップを構成する方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/107 20060101AFI20250120BHJP
A44C 5/00 20060101ALI20250120BHJP
G01B 11/24 20060101ALI20250120BHJP
【FI】
A61B5/107 120
A44C5/00 B
G01B11/24 A
(21)【出願番号】P 2021529367
(86)(22)【出願日】2019-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2019082453
(87)【国際公開番号】W WO2020109245
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-10-27
(32)【優先日】2018-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599091346
【氏名又は名称】ロレックス・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】ROLEX SA
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グローツェル, クレマン
(72)【発明者】
【氏名】エーギー, フランク
(72)【発明者】
【氏名】ジャッフレ, ジュリエン
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-109306(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0063320(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0055876(KR,A)
【文献】特開2018-163031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00- 5/398
A44C 5/00
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの形態データ項目を考慮して腕時計リストストラップを準備(E3)するために、リストストラップ装着者に関する前記少なくとも1つの形態データ項目を決定する方法
であって、前記決定する方法は、前記装着者の手首及びまたは手の少なくとも一部分を走査、撮像、または撮影するよう構成されたカメラ、レーザ、またはレンズといった少なくとも1つのセンサが設けられた決定システム(11)の取得装置から、前記リストストラップの前記装着者に関する少なくとも1つの形態データ項目(1;2)を取得する第1ステップ(E1)を含み、前記決定システム(11)は、前記リストストラップの前記装着者の少なくとも1つの形態的特徴を取得するために、前記少なくとも1つの形態的特徴を取得する第1操作(O11)において、波を受け場合によっては発するようにセットアップされ、前記少なくとも1つの形態データ項目は、前記腕時計(13)を受け入れる可能性がある装着者手首部分(p1)及びまたは装着者の手の部分(p2)の外周及びまたは高さ及びまたは幅といった寸法(1)のいずれか1つであり、
前記取得装置は、環状または実質的に環状または楕円または実質的に楕円形状の第1部分(111)を含み、前記第1部分は、手首部分(p1)及びまたは手の部分(p2)を包囲して、前記2つの部分の少なくとも1つの、少なくとも1つの形態的特徴を自動的に取得するよう、複数のエミッタ/レシーバ(11a)を含む装置である、
リストストラップ装着者に関する少なくとも1つの形態データ項目を決定する方法。
【請求項2】
前記取得第1ステップ(E1)は、
前記取得第1ステップ(E1)で得られた、考慮されるべき少なくとも1つの手首及びまたは手の部分のデジタルモデルを表す、マン・マシン・インターフェースによる表示、
または
前記考慮されるべき少なくとも1つの部分を示すための、前記取得第1ステップ(E1)中に前記装着者の前記手首及びまたは前記手へのインジケータの位置決め、または
前記取得第1ステップ(E1)で得られたデジタルモデル上の、少なくとも前記手の端部または前記手首の関節といった前記デジタルモデル上に特定される点からの距離の測定からの、コンピュータによる前記考慮されるべき少なくとも1つの手首及びまたは手の部分の自動決定、
の各サブステップのいずれか1つの実行により、前記腕時計(13)を受け入れる可能性がある装着者手首部分(p1)及びまたは装着者の手の部分(p2)の寸法の取得を含む、
請求項1に記載の
リストストラップ装着者に関する少なくとも1つの形態データ項目を決定する方法。
【請求項3】
前記取得第1ステップ(E1)は、前記手首の前記装着者の少なくとも1つの形態的特徴を取得する第1操作(O11)と、前記第1操作(O11)中に取得された前記少なくとも1つの形態的特徴から、前記少なくとも1つの形態データ項目を決定する第2操作(O12)とを含む、
請求項1または2に記載の
リストストラップ装着者に関する少なくとも1つの形態データ項目を決定する方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの形態的特徴は、装着者手首及びまたは手の部分または装着者手首及びまたは手の部分のいくつかの点の位置決めに関するデータの、1以上のデジタルモデルを含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の
リストストラップ装着者に関する少なくとも1つの形態データ項目を決定する方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの形態データ項目を決定する前記第2操作(O12)は、前記第1操作(O11)で取得された少なくとも1つの装着者手首位置またはいくつかの点の前記位置の1以上のデジタルモデルから寸法を計算する、そして場合によって前記第1操作(O11)で取得されなかった可能性のあるあらゆる部分についての外挿による計算を含む、
請求項3に記載の
リストストラップ装着者に関する少なくとも1つの形態データ項目を決定する方法。
【請求項6】
腕時計リストストラップを構成する方法であって、
請求項1から5のいずれか一項に記載のリストストラップ装着者に関する少なくとも1つの形態データ項目を決定する方法を実施し、
前記少なくとも1つの形態データ項目(1;2)から、構成システムのコンピュータプログラムを用いて自動的に、前記装着者に適した前記リストストラップの少なくとも1つの最適構成を決定する中間ステップ(E2)と、
前記少なくとも1つの形態データ項目と前記決定中間ステップで決定された最適構成とを考慮して、前記装着者用の前記リストストラップを準備する第2ステップ(E3)とを含む、腕時計リストストラップを構成する方法。
【請求項7】
前記装着者がどのように前記リストストラップが自身の手首を一周することを望むかに関するデータ項目、及びまたは装着者のライフスタイルに関するデータ項目、及びまたはリストストラップのタイプの嗜好に関するデータ項目を含む、少なくとも1つの装着者嗜好データ項目(3;4)を取得するステップを含み、前記装着者用の前記リストストラップを準備する前記第2ステップ(E3)は、前記少なくとも1つの装着者嗜好データ項目を考慮して実施される、
請求
項6に記載の腕時計リストストラップを構成する方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの形態データ項目(1;2)から、前記装着者に適した前記リストストラップの少なくとも1つの最適構成を決定する中間ステップ(E2)を含み、前記中間ステップは、構成システムのデータベース内で、前記少なくとも1つの形態データ項目(1;2)に最も適したリストストラップ構成データを特定することを含む、
請求項
6または7に記載の腕時計リストストラップを構成する方法。
【請求項9】
前記リストストラップの前記少なくとも1つの最適構成を決定する前記中間ステップ(E2)は、少なくとも前記ストラップ長さ調節を決定することを含む、
請求項
6から8のいずれか一項に記載の腕時計リストストラップを構成する方法。
【請求項10】
前記装着者に適した前記リストストラップの少なくとも1つの最適構成を決定する中間ステップ(E2)を含み、前記ステップは、
リストストラップのタイプの決定、及びまたは
ストランドまたは複数のストランド、及びまたは留め金の決定、及びまたは
前記リストストラップの少なくとも1つのストランドについて、リンクまたはリンク機構の数の決定、及びまたは
少なくとも1つのリストストラップストランド用の少なくとも1つのリンクまたは少なくとも1つのリンク機構の前記構成または複数の構成の決定、及びまたは
リストストラップ留め金に対する及びまたは小型時計ケースに対する、リストストラップストランドの端部リンク機構の位置決めの決定、及びまたは
リストストラップ留め金の1以上の構成の決定、及びまたは
前記リストストラップ留め金内の長さ調節または複数の調節の決定、
の各ステップの全部または一部を用いて構成データを決定することを含む、
請求項6から9のいずれか一項に記載の腕時計リストストラップを構成する方法。
【請求項11】
装着者の手首及びまたは手の少なくとも1部分を走査、撮像、または撮影するよう構成されたカメラ、レーザ、またはレンズといった少なくとも1つのセンサが設けられた少なくとも1つの取得装置を含む決定システムであって、
前記決定システム(11)は、リストストラップ装着者に関する少なくとも1つの形態データ項目を決定する方法を実行するよう構成され、
前記決定する方法は、少なくとも1つの形態データ項目を考慮して腕時計リストストラップを準備(E3)するために、リストストラップ装着者に関する前記少なくとも1つの形態データ項目を決定し、前記決定する方法は、前記決定システム(11)の前記取得装置から、前記リストストラップの前記装着者に関する少なくとも1つの形態データ項目(1;2)を取得する第1ステップ(E1)を含み、前記決定システム(11)は、前記リストストラップの前記装着者の少なくとも1つの形態的特徴を取得するために、前記少なくとも1つの形態的特徴を取得する第1操作(O11)において、波を受け場合によっては発するようにセットアップされ、前記少なくとも1つの形態データ項目は、前記腕時計(13)を受け入れる可能性がある装着者手首部分(p1)及びまたは装着者の手の部分(p2)の外周及びまたは高さ及びまたは幅といった寸法(1)のいずれか1つであり、
前記取得装置は、環状または実質的に環状または楕円または実質的に楕円形状の第1部分(111)を含み、前記第1部分は、手首部分(p1)及びまたは手の部分(p2)を包囲して、前記2つの部分の少なくとも1つの、少なくとも1つの形態的特徴を自動的に取得するよう、複数のエミッタ/レシーバ(11a)を含む、
リストストラップ装着者に関する少なくとも1つの形態データ項目を決定するシステム(11)。
【請求項12】
前記取得第1ステップ(E1)は、
前記取得第1ステップ(E1)で得られた、考慮されるべき少なくとも1つの手首及びまたは手の部分のデジタルモデルを表す、マン・マシン・インターフェースによる表示、または
前記考慮されるべき少なくとも1つの部分を示すための、前記取得第1ステップ(E1)中に前記装着者の前記手首及びまたは前記手へのインジケータの位置決め、または
前記取得第1ステップ(E1)で得られたデジタルモデル上の、少なくとも前記手の端部または前記手首の関節といった前記デジタルモデル上に特定される点からの距離の測定からの、コンピュータによる前記考慮されるべき少なくとも1つの手首及びまたは手の部分の自動決定、
の各サブステップのいずれか1つの実行により、前記腕時計(13)を受け入れる可能性がある装着者手首部分(p1)及びまたは装着者の手の部分(p2)の寸法の取得を含む、
請求
項11に記載のリストストラップ装着者に関する少なくとも1つの形態データ項目を決定するシステム(11)。
【請求項13】
前記取得第1ステップ(E1)は、前記手首の前記装着者の少なくとも1つの形態的特徴を取得する第1操作(O11)と、前記第1操作(O11)中に取得された前記少なくとも1つの形態的特徴から、前記少なくとも1つの形態データ項目を決定する第2操作(O12)とを含む、
請求項
11または12に記載のリストストラップ装着者に関す
る少なくとも1つの形態データ項目を決定するシステム(11)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの形態的特徴は、装着者手首及びまたは手の部分または装着者手首及びまたは手の部分のいくつかの点の位置決めに関するデータの、1以上のデジタルモデルを含む、
請求項
11から13のいずれか一項に記載のリストストラップ装着者に関す
る少なくとも1つの形態データ項目を決定するシステム(11)。
【請求項15】
前記少なくとも1つの形態データ項目を決定する前記第2操作(O12)は、前記第1操作(O11)で取得された少なくとも1つの装着者手首位置またはいくつかの点の前記位置の1以上のデジタルモデルから寸法を計算する、そして場合によって前記第1操作(O11)で取得されなかった可能性のあるあらゆる部分についての外挿による計算を含む、
請求項
13に記載のリストストラップ装着者に関す
る少なくとも1つの形態データ項目を決定するシステム(11)。
【請求項16】
前記取得装置により取得された少なくとも1つの形態的特徴から少なくとも1つの形態データ項目を計算するよう構成されたコンピュータを含む、
請求項
11から15のいずれか一項に記載のリストストラップ装着者に関する少なくとも1つの形態データ項目を決定するシステム(11)。
【請求項17】
携帯用または非携帯用システムである、及びまたはスマートフォンタイプの携帯電話に統合される及びまたはタブレットまたは眼鏡または実質的に環状または楕円形状の第1部分(111)を含む機器に統合される、
請求項11から16のいずれか一項に記載のリストストラップ装着者に関する少なくとも1つの形態データ項目を決定するシステム(11)。
【請求項18】
腕時計及びまたは小型時計ケースを選択するステップと、前記小型時計ケースに、請求項6から9のいずれか一項に記載の腕時計リストストラップを構成する方法で確立された構成へ、リストストラップを構成するステップとを含む、腕時計の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リストストラップ装着者に関する少なくとも1つの形態データ項目を決定する方法と、腕時計リストストラップ、とりわけその長さを構成する方法とに関する。本発明はまた、リストストラップ装着者に関する少なくとも1つの形態データ項目を決定するシステムと、当該方法の一部を実施するリストストラップを構成するシステムとに関する。
【背景技術】
【0002】
腕時計の装着者の快適性にとって重要な操作の一つが、リストストラップの最良の構成を選択すること、特にリストストラップ長さの最良の調節を達成することである。もちろん、第1段階は、通常、リストスラップを最適な長さにするため、各ストランドを調節するために延長リンク機構またはリンクを追加または除去することである。得られる結果は、一般的には最適ではない。このため、いくつかの追加の調節装置と共に、特に展開留め金を有する、様々なリストストラップが提供される。
【0003】
具体的には、展開留め金が取り付けられたリストストラップにおいて、留め金は一般的には、従来技術の調節装置である、リストストラップに対する位置決めの第1調節装置が設けられる。加えて、現存の展開留め金には、従来の第1調節装置を補完する、快適調節装置として既知の、リストストラップの長さに第2調節がなされることを可能にする解決策が設けられる。特許文献1は、例えば、展開留め金内に配置され、旋回することで2つの異なるストラップ長をもたらす2つの安定位置を占めることができる調節リンク機構に依拠する、解決策を開示する。短い位置は、リストストラップの端部リンク機構上のキャッチにより維持され、リストストラップはその短い位置において、キャッチが調節リンク機構に対してひっかかり、弾性的に不動化される。このため、このような解決策は、短い位置の安定性を保証するために、いくつかのリンク機構の関節接合とリンク機構のひっかけを必要とする。
【0004】
最後に、リストストラップの長さの微調節を達成するための解決策が存在する。実務上、リストストラップを装着する個人の手首の外周は、目盛り付きテープを用いて測定され、その後、当該データに基づきリストストラップが準備され、さらに、理論的に理想的または最適なストラップ構成が得られるまで多数の繰り返しを必要とすることもある各種調節が行われる。これを実現するのは、しばしば作業者の経験に依拠するものであり、不正確で時間がかかることが判明することもある。
【0005】
更に、リストストラップを構成するにあたっては、特にストラップに留め金が、特に展開留め金が設けられる場合には、他のデータを考慮に入れなければならないこともある。展開留め金は、小型時計ストラップの2つのストランドをその装着者の手首周りに留めるよう設計され、閉鎖位置を安定化するために締結機能を必要とする閉鎖第1位置と、小型時計ストラップの手首への取付と取り外しを可能にする解放第2位置と、を取ることができるいくつかの関節接合されたリーフを含んでもよい。このような留め金の利点は、リストストラップストランドが常時連結されたままであるため、取り外しの際に腕時計が落下することを防ぐことである。しかしながら、展開留め金の開放位置の、展開された際のリストストラップの全体寸法は、手を超えて取付可能としなければならない。このような場合には、以下に述べるように、手首の余裕幅のみならず、手の外周を「手の余裕幅」として考慮に入れることが有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このため、本発明の一つの全体的目的は、既存の解決策を改善する、腕時計リストストラップを構成する、具体的には腕時計リストストラップの長さを決定する、解決策を提供することである。
【0008】
より具体的には、本発明は、装着者の形態に適した、そして任意で装着者の好みに適した、腕時計リストストラップの長さを調節する解決策を求めるものである。
【0009】
更に、本発明は、リストストラップを構成する、確実かつユーザフレンドリーな解決策を求めるものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このため本発明は、腕時計リストストラップの構成の方法に依拠し、少なくとも、
- 前記リストストラップの装着者の少なくとも1つの形態的特徴を取得するために、波を受け場合によっては発するようにセットアップされた取得装置または決定システムから、前記リストストラップの前記装着者に関する少なくとも1つの形態データ項目を取得する第1ステップと、
- 前記取得第1ステップ中に取得された前記少なくとも1つの形態データ項目を考慮して、前記装着者の前記リストストラップを準備する第2ステップ、
の各ステップを含む。
【0011】
前記取得第1ステップは、寸法、特に、前記腕時計を受け入れる可能性がある装着者手首部分の外周及びまたは高さ及びまたは幅、及びまたは、寸法、とりわけ装着者の手の部分の外周及びまたは高さ及びまたは幅、を取得することを含んでもよい。
【0012】
前記取得第1ステップは、
- 前記取得第1ステップで得られた、考慮されるべき少なくとも1つの手首及びまたは手の部分のデジタルモデルを表す、マン・マシン・インターフェースによる数値表示、または
- 前記考慮されるべき少なくとも1つの部分を示すための、前記取得第1ステップ中に前記装着者の前記手首及びまたは前記手へのインジケータの位置決め、または
- 前記取得第1ステップで得られたデジタルモデル上の、少なくとも前記手の端部または前記手首の関節といった前記デジタルモデル上に特定される点からの距離の前記測定からの、コンピュータによる前記考慮されるべき少なくとも1つの手首及びまたは手の部分の自動決定、
の各サブステップのいずれか1つの実行により、前記腕時計を受け入れる可能性がある装着者の手首部分及びまたは装着者の手の部分の寸法を取得することを含んでもよい。
【0013】
前記取得第1ステップは、前記手首の前記装着者の少なくとも1つの形態的特徴を取得する第1操作と、前記第1操作中に取得された前記少なくとも1つの形態的特徴から、前記少なくとも1つの形態データ項目を決定する第2操作とを含んでもよい。
【0014】
少なくとも1つの形態的特徴を取得する前記第1操作は、前記装着者の前記手首及びまたは前記手の少なくとも一部分を走査、撮像、または撮影するよう構成されたカメラ、レーザ、またはレンズといった少なくとも1つのセンサが設けられた取得システムまたは決定システムから、少なくとも1つの形態的特徴を取得することを含んでもよい。
【0015】
前記少なくとも1つの形態的特徴は、装着者手首及びまたは手の部分または装着者手首及びまたは手の部分のいくつかの点の位置決めに関するデータの、1以上のデジタルモデルを含んでもよい。
【0016】
前記少なくとも1つの形態データ項目を決定する前記第2操作は、前記第1操作で取得された少なくとも1つの装着者手首位置またはいくつかの点の前記位置の1以上のデジタルモデルから寸法を計算すること、そして場合によって前記第1操作で取得されなかった可能性のあるあらゆる部分について外挿による計算、を含んでもよい。
【0017】
腕時計リストストラップを構成する方法は、前記装着者がどのように前記リストストラップが自身の手首を一周することを望むかに関するデータ項目、及びまたは特に前記装着者の居住場所の気象条件及びまたは前記装着者が参加する可能性がある少なくとも1つのアクティビティに関するデータ項目といった、前記装着者のライフスタイルに関するデータ項目、及びまたはリストストラップのタイプの嗜好に関するデータ項目を含む、少なくとも1つの装着者嗜好データ項目を取得するステップを含み、前記装着者のために前記リストストラップを準備する前記第2ステップは、前記少なくとも1つの装着者嗜好データ項目を考慮して実施されてもよい。
【0018】
腕時計リストストラップを構成する方法は、前記少なくとも1つの形態データ項目から、構成システムのコンピュータプログラムを用いて自動的に、前記装着者に適した前記リストストラップの少なくとも1つの最適構成を決定する中間ステップを含み、前記装着者のために前記リストストラップを準備する前記第2ステップは、好ましくは、前記決定中間ステップで決定された最適構成に実施される方法であってもよい。
【0019】
リストストラップを構成する方法は、前記少なくとも1つの形態データ項目から、前記装着者に適した前記リストストラップの少なくとも1つの最適構成を決定する中間ステップを含んでもよく、前記ステップは、構成システムのデータベースから、前記少なくとも1つの形態データ項目に最適のリストストラップ構成データを特定することを含んでもよい。
【0020】
前記リストストラップの前記少なくとも1つの最適構成を決定する前記中間ステップは、少なくとも前記ストラップ長さ調節を決定することを含んでもよい。
【0021】
前記リストストラップの少なくとも1つの最適構成を決定する前記中間ステップは、
リストストラップの前記タイプの決定、及びまたは
前記ストランドまたは複数のストランド、及びまたは前記留め金の決定、及びまたは
前記リストストラップの少なくとも1つのストランドについて、リンクまたはリンク機構の前記数、とりわけ延長リンク機構またはリンクの前記数の決定、及びまたは
少なくとも1つのリストストラップストランド用の少なくとも1つのリンクまたは少なくとも1つのリンク機構の前記構成または複数の構成の決定、及びまたは
リストストラップ留め金に対する及びまたは小型時計ケースに対する、リストストラップストランドの端部リンク機構の前記位置決めの決定、及びまたは
リストストラップ留め金の1以上の構成の決定、及びまたは
前記リストストラップ留め金内の前記長さ調節または複数の調節の決定、
の各ステップの全部または一部を用いて構成データを決定することを含んでもよい。
【0022】
本発明はまた、腕時計リストストラップを構成するシステムに関し、システムは、前記リストストラップの前記装着者の少なくとも1つの形態的特徴を取得するために波を受け場合によっては発するようにセットアップされた、前記装着者に関する少なくとも1つの形態データ項目を取得するシステム、または設備機器に属する決定するシステムを少なくとも含む。
【0023】
前記取得システムまたは設備機器決定システムは、前記装着者の前記手首及びまたは前記手の少なくとも一部分を走査、撮像、または撮影するよう構成されたカメラ、レーザ、またはレンズといった少なくとも1つのセンサを含んでもよく、上述の前記リストストラップ構成方法を実施するための前記取得システムまたは決定システムで取得された少なくとも1つの形態的特徴から、少なくとも1つの形態データ項目を計算するよう構成されたコンピュータを含む。
【0024】
前記取得システムまたは設備機器決定システムは、少なくとも1つのリストストラップ装着者嗜好データ項目の入力を受けるよう構成された、マン・マシン・インターフェースを含んでもよい。
【0025】
本発明はまた、設備機器であって、上述のリストストラップ構成システムを含む、スマートフォンタイプの携帯電話またはタブレットまたは眼鏡である設備機器に関する。
【0026】
本発明はまた、腕時計の製造方法であって、腕時計及びまたは小型時計ケースを選択するステップと、上述の腕時計の構成方法で確立された構成へ、有利には小型時計ケースにつけられたリストストラップを構成するステップとを含む、方法に関する。
【0027】
本発明はまた、所定の装着者のために腕時計リストストラップを構成する方法に関し、前記方法は、
- 前記リストストラップの前記装着者に関する少なくとも1つの形態データ項目を取得する第1ステップと、
- 前記少なくとも1つの形態データ項目から、前記装着者に適した前記リストストラップの少なくとも1つの最適構成を自動的に決定する中間ステップと、
- 先行ステップで決定された最適構成へ、前記装着者の前記リストストラップを準備する第2ステップと、
を含む。
【0028】
本発明は、請求項によってさらに具体的に定義される。
【0029】
本発明の目的、特徴及び利点は、添付した図面と関連して非限定的な例として与えられる特定の実施形態についての以下の説明により、詳細に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態にかかるリストストラップを構成する方法のステップを模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態にかかるリストストラップを構成する方法の少なくとも1つの形態データ項目を決定する方法を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態にかかるリストストラップ構成方法の決定ステップの第1操作を図示する。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態にかかるリストストラップ構成方法におけるリストストラップの少なくとも1つの最適構成を決定するステップを図示する。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態にかかるリストストラップ構成方法におけるリストストラップの準備ステップの、補助インターフェースを図示する。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態にかかるリストストラップ構成方法の一ステップに従ったリストストラップストランドの調整の際の、リストストラップストランドのリンク機構の斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態にかかるリストストラップ構成方法の一ステップに従った、留め金の調節中の、留め金の下部からの斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態にかかるリストストラップ構成方法の一ステップにおいて、調節中の留め金を図示する。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態にかかるリストストラップ構成方法の一ステップにおいて、調節中の留め金を図示する。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態にかかるリストストラップ構成方法により構成されたリストストラップの展開留め金の斜視図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態にかかる、リストストラップ装着者に関する少なくとも1つの形態データ項目を決定するシステムを含む、設備機器を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
説明を簡素化するため、また慣習により、「縦方向」の文言は、リストストラップストランドまたは展開留め具の長さに沿った方向に用いられ、「横断方向」の文言は、リストストラップストランドの平面内での直角方向に、換言すればリストストラップストランドまたは留め金の幅にわたる方向に用いられる。垂直方向は、リストストラップストランドの平面に直角に向かう、最初の2つの方向に直角な方向である。更に、「リンク」の文言は、リストストラップの個々の要素に用いられ、「リンク機構」はリンクの集合に用いられる。「リストストラップ」は、留め金があろうとなかろうと、リストストラップ全体、またはリストストラップのストランドの一方または他方、のいずれかを意味する。更に、同じ参照番号が、様々な実施例において、同一または類似の、または同じ機能を有する、要素を参照するために用いられる。
【0032】
本発明は、リストストラップを構成する方法の一部を形成する、リストストラップ装着者に関する少なくとも1つの形態データ項目を決定する方法に基づくもので、その一実施形態は、
図1に概略的に図示されるステップと操作を含む。
【0033】
リストストラップを構成する方法は、当該腕時計の装着者に関する少なくとも1つの形態データ項目を取得する第1ステップE1を含み、これは本発明の実施形態にかかるリストストラップ装着者に関する少なくとも1つの形態データ項目を決定する方法を形成する。この方法は、とりわけ、当該腕時計の装着者に関する少なくとも1つの形態データ項目を少なくとも部分的に自動的に取得する第1ステップE1を含む。
【0034】
この形態データ項目は、手首の第1寸法1を含み、とりわけ腕時計を受け入れることが意図される装着者の手首の外周に対応してもよい。「手首外周」とは、
図2に示すように、腕時計を受け入れる可能性がある手首部分p1の外周を意味する。この第1寸法は、変形例としてまたは追加で、当該手首部分p1の高さ及びまたは幅に関連してもよい。有利な変形実施形態において、装着者に関する少なくとも第2形態データ項目が取得されてもよい。第2データ項目は、とりわけ、展開留め具を有するリストストラップの場合に有用な、装着者の手の余裕幅に対応する第2寸法2に対応してもよい。ここで「手の余裕幅」とは、展開留め具が展開開放位置にあるリストストラップが、手を通すことができるように、
図2に示す、手の部分p2の領域の最大外周の領域を意味する。このため、第2寸法2は、当該手の部分p2の外周及びまたは高さ及びまたは幅を含んでもよい。変形例として、他の形態データを取得し使用することもできる。
【0035】
一実施形態によれば、少なくとも1つの形態データ項目を取得する第1ステップE1は、取得第1ステップE1の第1操作O11において、少なくとも1つの形態的特徴を自動的に取得可能な、リストストラップ構成システムの設備機器110に属するデジタル決定システム11を使用する。「形態的特徴」とは、そこから少なくとも1つの形態データ項目を、場合によっては処理の後に得ることが可能な、デジタルデータ項目またはデジタルデータ項目の一群を意味する。
【0036】
決定システム11は、例えば、カメラを含み、装着者の手首領域における、そして場合によっては説明した有利な実施形態にかかる手の領域における、形態の映像または1以上の画像を得ることを可能にする。より一般的には、有利な変形実施形態において、決定システム11は、部分p1の少なくとも1つの画像を取得及びまたは再構成するために、少なくとも装着者の手首部分p1を走査、撮像、または撮影することが意図される、少なくとも1つのセンサ、例えばレンズが設けられた、画像システムの形状をとってもよい。有利な実施形態にかかる画像システムはまた、部分p2の少なくとも1つの画像を取得及びまたは再構成するために、少なくとも装着者の手の部分p2を走査、撮像、または撮影するよう構成されてもよい。またより一般的には、決定システム11は、装着者の手首部分p1と好ましくは手の部分p2の少なくとも1つの特徴を取得するために、波を受け場合によっては発するようセットアップされた、システムである。このため、決定システム11の代替的な変形実施形態によれば、決定システムは、例えば、装着者の手首部分p1及び好ましくはその手の部分p2の、輪郭または輪郭の一部を形成する点の一群を取得することを可能にする、少なくともレーザが設けられた装置を含んでもよい。
【0037】
本実施形態によれば、第1操作O11は、まずは決定システム11が検討されるべき部分または複数の部分p1、p2を決定することを可能にする。このために、第1変形例は、マン・マシン・インターフェースを用いて、装着者の腕の端部のデジタルモデルに相当する、検討されるべき少なくとも1つの手首部分p1及びまたは手の部分p2の数値表示を伝達することを含み、当該モデルは取得第1ステップ中に得られる。変形例として、検討されるべき少なくとも1つの部分を指し示すために、作業者が、デジタル取得前にまたは取得中にインジケータを装着者の手首及びまたは手に位置させる。決定システムはこのように、装着者の腕の端部のデジタルモデルを得ることができ、その上に検討されるべき部分または複数の部分が特定され知られている。他の変形例によれば、決定システムは、得られたデジタルモデル上で、例えば少なくとも当該デジタルモデル上で特定された手の端部といった部分、例えば中指の端部、または手首の関節からの距離を測定することで、検討されるべき少なくとも1つの手首部分p1及びまたは手の部分p2を自動的に決定するため、コンピュータを使用する。
【0038】
第1操作O11の終わりに、当該方法は、第1操作O11中に得られた形態的特徴または複数の特徴から少なくとも1つの形態データ項目を決定する、取得ステップE1の第2操作O12を実施する。具体的には、上述の実施形態によれば、当該第2操作O12は、手首部分p1の外周及びまたは高さ及びまたは幅、及び手の部分p2の外周及びまたは高さ及びまたは幅を、精度をもって決定することを可能にする。このために、第1操作O11から派生する特徴または複数の特徴は、求める形態データ項目を形成する寸法1、2を推測するために、好ましくは決定システムまたは構成システムのその他のコンピュータ、例えば中央処理装置に属するソフトウェア手段を用いて、処理される。説明を簡易にするため、これら寸法1、2は、以降は、形態データ項目1、2に例えられる。
【0039】
本発明の実施形態によれば、形態的特徴は、装着者手首部分p1及び手の部分p2の、二次元または三次元画像であってもよい。より一般的には、これら形態的特徴は、装着者の手首または手の部分のデジタルモデル、または手首の部分または手の部分のいくつかの点の位置決めに、有利には三次元位置決めに関するデジタルデータを形成する。これら特徴から、ソフトウェア手段は、求める形態データ項目を計算することができる。この計算は、例えば、画像処理を用いる。当該特徴が、外周を得るために測定すべき輪郭全体を可視化するのに十分な画像を含む場合、計算は、求めるべき形態データ項目を再構成するために、別々に得られた当該輪郭の様々なパーツの長さを加算することからなる。これら画像が輪郭の全体を特徴づけるのに十分でない場合、欠損部は外挿により計算される。このために、幾何学的計算が用いられる。変形例において、画像または複数の画像は、手首部分p1及びまたは手の部分p2の高さ及びまたは幅を得るのに十分である。加えて、これら結果はまた、学習により得られたパラメータを用いることもできる。特徴が測定されるべき輪郭上の点である場合も、同じ原理が適用される。第2操作O12の終わりに、構成方法は、自動的且つ確実に、リストストラップを正確に構成するために必要な形態データを、自動的且つ即座に構築することができる。
【0040】
もちろん、本実施形態で言及された形態データは、有利な例として引用される。上述の実施形態の単一または複数の形態データ項目と組み合わされてもされなくてもよいこれらデータ項目の1つのみを、または少なくとも1つの他の形態データ項目を用いて、他の実施形態を着想することも可能である。
【0041】
更に、形態データに加えて、リストストラップを構成するのに有用な他の嗜好データが、リストストラップ構成システムに送信されてもよい。これらデータは、とりわけ、装着者の、とりわけリストストラップの装着に関する嗜好を含んでもよい。小型時計装着者嗜好データは、例えば、とりわけ製造業者が提供する腕時計のカタログで提供される範囲内の、例えば金属リストストラップまたはフレキシブルリストストラップ、展開留め金を有するまたは有さないリストストラップなど、希望するストラップタイプまたは複数のストラップタイプに関連する第1嗜好データ3を含む。
【0042】
これら嗜好データはまた、装着者が望む、リストストラップがどのように自身の手首を一周するかに関する、すなわち手首とリストストラップとの間にどれくらい大きいまたは小さい弛み(遊び)が存在すべきかを定義する、そして場合によっては、具体的には装着者の居住場所の気象条件、及びまたは装着者が参加する可能性があり、手首の寸法1を変化させる可能性が高いスポーツといった装着者が参加する可能性がある少なくとも1つのアクティビティ、といった装着者のライフスタイルに関する、1以上の第2嗜好データ項目4を含んでもよい。第2嗜好データ項目4は、とりわけ、手首に関する寸法1から派生する、寸法1’を含んでもよく、寸法1’は、手首部分p1に関連する当該寸法1を、例えばスポーツへの参加といったなんらかのアクティビティ後など、操作O11の状況と異なる特定の状況に合わせるように適用させることができる。当該寸法1’は、例えば、形態データ1、2及び場合によっては第2嗜好データ4に基づく、予測解析を通じて得られてもよい。変形例において、派生した寸法1’は、特に製造業者が独立して行った調査に基づき、予め準備されたデータベースを参照することで、得られてもよい。
【0043】
本発明の実施形態にかかるリストストラップ構成方法は、その後、有利には、しかしながら任意で、装着者に適したリストストラップの少なくとも1つの最適構成を決定する中間ステップE2を実施し、その一実施形態を
図4を参照して以下に説明する。当該ステップは、有利には、以下に説明するように、完全にまたは部分的に自動的に実施される。変形例において、当該ステップは手動であってもよい。
【0044】
当該決定中間ステップE2の第1操作O21において、第1ステップE1からの形態データ項目または複数の項目1、2は、特に手首と手の寸法は、リストストラップ構成システムの計算ユニットに送信され、最適ストラップ構成c*を提供するよう設計されたコンピュータのコンピュータプログラムにより処理される。手動の変形例において、販売員は、事前準備されたチャート上で、最適構成を調べることもできる。
【0045】
実施形態によれば、装着者嗜好データ3、4は同様に、考慮されるべく、リストストラップ構成システムの計算ユニットに送信される。
【0046】
決定中間ステップE2の第2操作O22は、
図3に示すように、閉鎖位置にあり小型時計ケースに取り付けられた、そして装着者手首部分p1を起用する特定形状F周りに装着された、リストストラップの全体形状に対応する小型時計外周(TDM)の決定を含む。小型時計外周(TDM)は、装着者の手首部分p1の外周に、及びまたは手首部分p1の高さ及びまたは幅に、対応する、または最大限対応する。
【0047】
このため、特定形状Fは、有利には、腕時計13を受け入れる可能性がある、及び形態データ項目または複数の項目1から既知の、手首部分p1に最大限対応するようにセットアップされる。例えば、特定形状Fは、楕円形であってもよい。楕円を定義する係数は、手首の高さ及びまたは幅が既知の形態データの一部を構成する場合には、当該データに最大限対応するように適合される。変形例において、例えばより長方形に近い形など、他の卵形が選択されてもよい。
【0048】
上記検討事項により得られた小型時計外周は、任意で、腕時計が装着者の快適性のため最適な量の弛みを有して手首部分p1に装着されることを可能にするため、重み付け係数を用いて適合されてもよい。このように重み付け係数は、最適だと考えられる弛みの量に対応する。これは、あらかじめ定められた定数であってもよく、または装着者手首部分p1の特定形状を考慮するように調整されてもよい。例えば、特定形状Fと手首部分p1の形状との間により大きな差がある場合、重み付け係数が増加されてもよい。これら計算は、関連する電子メモリに保存されたデジタルデータから、構成システムの中央処理装置のコンピュータにより自動的に実施されても良い。
【0049】
次に、本発明の実施形態によれば、形態データのみから上記で得られた小型時計外周は、装着者嗜好データを考慮するよう、再度適合される。上記で得られた小型時計外周は、希望小型時計外周(TDMS)の決定を引き起こしてもよい。
【0050】
具体的には、嗜好データは、腕時計がきつくまたはゆるく装着されるかという情報を含んでもよい。当該装着者状況に応じて、小型時計外周は、手首周りの弛みの量を増加または減少可能な、第2重み付け係数を適用することで修正される。これに加えて、嗜好データは、装着者が居住する場所または参加するアクティビティに関連してもよく、これは他の重み付け係数を適用することで、または実施される特定のアクティビティに適応する調節を可能にする腕時計の構成におけるパラメータによって、考慮される。後者の場合、腕時計は、リストストラップの第1最適構成を、特定のアクティビティに最適な、異なる第2構成へ調節することで、適合されることが可能になる。
【0051】
決定中間ステップE2の第3操作O23において、先行して確立された小型時計外周(TDM)または希望小型時計外周(TDMS)に基づき、リストストラップの実際の構成が最終的に決定される。当該操作O23は、検討された小型時計外周に対応する、または最大限満足させる、1以上のリストストラップ構成を求める。このため、当該操作O23は、検討された小型時計外周に一番適したリストストラップの最適構成c*を見つけるために、リストストラップデータベースを、とりわけ第1嗜好データ3に従って所定の腕時計のリストストラップの現存する構成の全部または大部分についてのデータを含むリストストラップ構成データデータベースを、反復することを含む。この最適構成は、とりわけ、小型時計ケース及びまたは留め金を、装着者手首部分p1上で、一番中心に置くまたは等しくすることを可能にする構成の中から選択される。更に、当該プログラムは、追加で、展開留め金が存在する場合、適用されたリストストラップ構成が、展開留め具が開放位置にあるときに、手の部分p2と両立可能であることを立証する。このように、当該方法は、装着者の手と手首の寸法がどうであれ、腕時計が適切且つ心地よく装着者の手首を覆うことと、装着者の手を通すのに十分な開口を提供する能力との間に、最適な妥協点を自動的に定義する。
【0052】
当該操作O23は、第1嗜好データ3に応じて、特に希望リストストラップが複数あるときには希望リストストラップの異なるタイプに応じて、繰り返されてもよいことを注記する。このため、装着者が選択した小型時計ケースと両立可能なリストストラップのタイプのそれぞれについて、プログラムは、リストストラップのそれぞれについて最適構成を確立するために、リストストラップのそれぞれが提供する様々な可能性をテストしてもよい。このため、反復の終わりに、プログラムは、任意で、異なるリストストラップの様々な最適構成の中から、形態データ項目または複数の項目1、2に、そして場合によっては嗜好データ項目または複数の項目3、4に、一番適した最適構成として、数値表示を配信してもよい。
【0053】
換言すれば、反復の終わりに、プログラムは、リストストラップについて、装着者の最適な快適性を提供する最適構成を採用する。プログラムはまた、装着者の最適な快適性を提供するのに一番適した構成の、リストストラップまたは複数のストラップを採用してもよい。
【0054】
検討したリストストラップのタイプのそれぞれについて、プログラムは、各リストストラップについて様々な可能な構成をテストし、最適構成に収束させるために、リストストラップデータベースに格納される様々な可能性に従った反復により進行する。リストストラップの所定のタイプについての構成の選択肢の中で、以下について言及する。
- リストストラップの所定のタイプと両立可能な留め金が複数存在すると推定して、留め金を決定する、及びまたは
- リストストラップのタイプがリンクまたはリンク機構で構成されている場合、リストストラップの各ストランドについて、リンクまたはリンク機構の数を、とりわけ延長リンク機構またはリンクの数を決定する、及びまたは
- 少なくとも1つのリンクまたは少なくとも1つのリンク機構が複数の構成を有する傾向にある場合、少なくとも1つのリストストラップストランドのための少なくとも1つのリンクまたは少なくとも1つのリンク機構の構成または複数の構成を決定する、及びまたは
- 選択したリストストラップの留め金に対して及びまたは小型時計ケースに対して、特に長さ調節を得るために、リストストラップストランドの端部のリンク機構の位置決めを決定する、及びまたは
- 検討した留め金に複数の構成が可能な場合、1以上のリストストラップ留め金構成を決定する、及びまたは
- リストストラップ留め金内及びまたは小型時計ケースとの接続部分において、長さ調節または複数の調節を決定する。
【0055】
最後に、リストストラップのいくつかのタイプが、実質的に均等であり装着者の特徴に合致する構成を有する場合、これらを装着者に対して提案し、装着者がリストストラップタイプの最終選択を行ってもよい。
【0056】
当該決定中間ステップE2の変形実施形態において、リストストラップ構成システムの計算ユニットは、形態データ、そして場合によっては嗜好データと、リストストラップのタイプの構成との間の相関関係を含有する、リストストラップデータベースを含む。このため、取得第1ステップから派生するデータの知識から、第2操作O22は、リストストラップのタイプのそれぞれの、適切なリストストラップ構成または複数の構成について、データベースを直接調べることができる。当該変形例において、コンピュータ内のプログラムは、装着者が選択した小型時計ケースの所定のモデルについて、装着者の形態にそして場合によっては装着者の好みに一番適した、最適な小型時計―ストラップ構成または複数の構成c*を選択する。
【0057】
決定中間ステップE2の終わりに、装着者の形態にそして場合によっては装着者の嗜好に一番適した、最適な小型時計―ストラップ構成または複数の構成c*が時計士に、小売店に、または製造業者等に、及びまたはリストストラップ構成システムのマン・マシン・インターフェースを介して装着者に、伝達される。この伝達された情報は、
- 選択されたストランドまたは複数のストランド、及びまたは
- 選択された留め金、及びまたは
- ストランドの一方または他方に追加及びまたは除去されるリンク機構またはリンク、及びまたは
- 所定の構成に構成されるべきリンク機構またはリンク、及びまたは
- ストランド、とりわけ留め金に対して及びまたは小型時計ケースに対して移動されるべきリンク機構またはリンク、及びまたは
- 留め金内及びまたは小型時計ケースとの接続部分内での、長さ調節リンク機構の長さ調節、
を含む、採用されたリストストラップのタイプの調節及びオプションに関する全ての詳細を含んでもよい。
【0058】
ここで、中間決定ステップE2は、均等な最適構成を有する可能性があるリストストラップの異なるタイプについて、または単一のリストストラップについて、異なる特定の使用シナリオに従って、いくつかの最適構成を決定してもよいことを注記する。
【0059】
次に、リストストラップを構成する方法は、先行ステップで決定された最適構成に、装着者のためにリストストラップを準備する第2ステップE3を含む。このため、時計士、または準備第2ステップE3を実施する資格を有するあらゆる個人が、先行ステップの終わりに決定され伝達された詳細情報に基づき、各リストストラップストランドの最終フィッティング及びまたは最終調節を実施する。当該最終ステップの結果、本発明にかかるリストストラップ構成方法は、リストストラップを製造する方法、またはリストストラップの最終フィッティングまたは調節の方法における、最終ステップと見做すこともできる。
【0060】
有利な一実施形態によれば、リストストラップ構成システムは、
図5に示すように、マン・マシン・インターフェースを有し、これを介してリストストラップの最終構成を補助する1以上の画像を伝達する。
【0061】
一実施例によれば、選択されたリストストラップは、所定の構成で輸送され保管されてもよく、この場合は当該第2ステップE3は、リストストラップを、所定の構成から決定中間ステップE2で確立された最適構成に変更することからなる。
【0062】
当該第2ステップにおいて、時計士、または第2ステップを実施する資格を有するあらゆる個人は、第1操作O30において、少なくとも1つのリストストラップ用ストランド6を、異なる長さのn個のストランドの中から選択することができる。その後、少なくとも1つのリストストラップ長さ設定装置5が実行されてもよい。これは、ストランドの、そしてより一般的にはリストストラップの長さの最良の調節を達成するために、例えば、リストストラップストランドへの延長リンク機構またはリンクの取り付けまたは除去を可能にする手段51であってもよく、ストランドのリンクまたはリンク機構を既定の構成に構成可能にする、または留め金にまたは小型時計ケースに対するストランドの位置の構成を可能にする、その他の手段52、53であってもよい。
【0063】
リンク機構が設けられた金属製または部分的に金属製タイプのリストストラップという特殊な場合、時計士は、
図6に示す第2操作O31において、リストストラップの第1ストランド6から及びまたはリストストラップの第2ストランド6’から、例えばねじ7、とりわけ弾性ねじといった、簡単な除去/再取り付けを可能にする手段を用いて、リンクまたはリンク機構61を追加または除去してもよい。好みにより、当該第2操作O31は、時計士が独占的に実施する。
【0064】
図7に示す第3操作O32において、時計士は、例えば切欠き81のシステムを介してリンク機構62をその位置に保つ装置53を用いて、展開留め金80のカバー8に対してリストストラップの一ストランド6の端部を所定位置に位置させてもよい。当該切欠きのシステムは、例えば、ストランド6の突起63と協働するよう設計された割出し歯82システムが設けられたカバー8を含んでもよい。このような装置は、時計士はもちろん腕時計の装着者により操作されても良い。代替的にまたは追加的に、一つのリンクまたはリンク機構が、(図示されない)カバーの複数の所定位置に配置可能なバーを介して、留め金のカバーに対して割出されてもよい。
【0065】
図9に示す第4操作O33において、時計士は、第1及びまたは第2リストストラップストランドを延長または短縮させるために、延長リンク機構またはリンクを第1または第2構成に構成してもよい。例えば、調節リンク機構64には、展開留め金80のカバー8とリストストラップの一ストランド6の端部リンク65とのそれぞれに接続される、2つの関節接合軸A1、A2が設けられる。接続リンク機構64は、リストストラップの2つの決定された長さを定義するため、端部リンク65と接続された第2軸A2を、第1軸A1の一方側または他方側に移動させるため、展開留め金80のカバー8と接続された第1軸A1に対して旋回可能である。調節リンク機構64に接続された端部リンク65は、調節リンク機構64がリストストラップの短い構成に対応する位置にあるときに、調節リンク機構64に対して弾性的に不動化可能な切欠き66を含む。
図8は、リストストラップが短い構成にあるときの装置を図示し、
図9は、作動される過程の装置を図示する。
【0066】
また、n個の様々なサイズの留め金から展開留め金80を選択する第5操作O34を実施することもできる。例えば、
図10に示すようにリーフ71、72が設けられた展開留め金の場合、小型時計の装着者の形態に最大限フィットするように、異なるサイズのリーフが設けられてもよい。このような展開留め金は、2つのリーフを含んでもよい。代替的に、展開留め金は、装着者の手の、とりわけ装着者の手の位置p2のサイズにかかわらず腕時計の装着または取り外しを可能にする最大化された展開を得るという目的のために、2以上のリーフを、例えば3つのリーフを含んでもよい。加えてまたは代替的に、このような留め金は、装着者の手の、とりわけ装着者の手の位置p2を通すことをより簡単にするために、留め金が操作された際に2つの所定の構成を有することができる少なくとも一部分を有する、少なくとも1つのリーフを含んでもよい。
【0067】
このような操作は、操作O31、O32、O33の一方または他方に先行されてもよい。
【0068】
もちろん、これら操作の全ては任意であり、階層的順序が必ずしもあるわけではない。このため、腕時計の所定構成からリストストラップの最適構成c*へ変更するために、時計士は、例えば、上述の操作O30、O31、O32、O33、O34の全部または一部を実施してもよい。
【0069】
方法は、金属製リンク機構を有するリストストラップのタイプに限定されるものではない。ストランドが、例えば、少なくとも部分的に革、エラストマ、または布地製である柔軟リストストラップの場合、異なる長さのn個のストランドから少なくとも1つのストランドを選択する第1操作O30は、有利には、その他あらゆる操作の前に実施される。操作O31,O32、O33、O34の全部または一部もまた実施されてもよいが、必須ではない。具体的に、柔軟ストランドの一端部は、留め金に対して、特に展開留め金のカバーに対して、所定位置に位置されてもよい。柔軟ストランドは、単一のストランドに減縮されてもよい。代替的に、柔軟ストランドは、1以上の金属製リンクを介して展開留め金に接続されてもよい。「柔軟リストストラップ」の留め金は、潜在的にリーフ及びまたはカバーを含んでもよい。代替的に、留め金は、バックルに、特にバックル-かかり(またはより一般的にはあらゆる非展開留め金)に減縮されてもよい。後者の場合、準備第2ステップE3は、決定中間ステップE2中に特定され第1操作O30中に選択された、ストランドに形成された穴といった手段とかえしとを協働させることに減縮されてもよい。
【0070】
本発明はまた、上述の構成方法を採用したリストストラップ構成システムに関する。当該リストストラップ構成システムは、決定システム11が取得する少なくとも1つの形態データ項目に従ってリストストラップの最適構成を決定するために、リストストラップの装着者に関する少なくとも1つの形態データ項目を決定するための少なくとも1つの決定システム11と、場合によっては上述の決定中間ステップE2を実行する計算ユニットのコンピュータとを含む。
【0071】
決定システム11は、リストストラップの装着者の少なくとも1つの形態的特徴を取得するよう、波を受け場合によっては送るよう構成される。決定システム11は、リストストラップの装着者の少なくとも1つの形態データ項目を決定する方法を実行するよう構成される。有利には、決定システム11は、装着者の手首及びまたは手の少なくとも一部を走査、撮像、または撮影するよう構成された、カメラ、レーザまたはレンズといった、少なくとも1つのセンサといった、取得装置を含む。例えば、これは、投射により装着者の前腕の点を取得及びまたはマッピング可能な赤外線カメラであってもよく、これにより装着者の前腕のモデルを創造することが可能になる。決定システム11は、追加で、上述の方法を用いて、取得装置によって取得された少なくとも1つの形態的特徴から少なくとも1つの形態データ項目を計算するよう構成されたコンピュータを含んでもよい。最後に、決定システム11は、好ましくはリストストラップの装着者に関する、少なくとも1つのデータ項目の入力を受けるよう構成されたマン・マシン・インターフェースを含んでもよい。当該マン・マシン・インターフェースはまた、変形例においては、場合によっては当該装着者が作用可能にするよう、例えば手首部分p1と手の部分p2の決定に参加可能にするよう、装着者の前腕のデジタルモデルを表示してもよく、または単に自動で特定された部分を表示してもよい。当該決定システムは、通信装置を通じて中央処理装置と連結されてもよい。
【0072】
本発明はまた、例えば携帯可能な対象物の形態を取る、このような決定システムそのものに関し、システムは上述の方法の少なくとも取得第1ステップE1を実行するよう構成されたコンピュータを含む。本発明はまた、プログラムが実行された際に、リストストラップの装着者に関する少なくとも1つの形態データ項目を決定する方法を、即ちリストストラップを構成する方法の少なくとも当該取得第1ステップE1を、プログラムに実行させる命令を含む、コンピュータプログラムに関する。
【0073】
好みとして、決定システムと中央処理装置は、近くに、または同一の設備機器内に配置される。両者は、単一且つ共通のコンピュータを共有してもよい。このように、構成システム、または少なくとも決定システムは、有利には、容易に運搬可能及びまたは小売店に簡単に設置可能な、小型の設備機器の形状を取る設備機器110を形成する。好みとして、当該設備機器110は、時計士または小売業者が操作可能であって、特に娯楽的且つ過度に時間を必要とすることのない購入経験を通じて腕時計の装着者に付随する、携帯電話またはスマートフォン、タブレット、または一対の眼鏡の形状を取る。代替として、設備装置は、小売店から離れて、例えば自宅からの、遠距離購入を可能にする、装着者に属する1つの道具である。
【0074】
変形例において、リストストラップの装着者に関する少なくとも1つの形態データ項目を決定するシステム11を含む機器110は、
図11に示す、環状または実質的に環状または楕円または実質的に楕円形状の少なくとも第1部分111を含む、ポータブル設備機器の形状を取る。当該第1部分111は、より具体的には、いくつかのエミッタ/レシーバ11aを、例えばレーザビームを含む、取得装置を含む。機器110の第1部分111は、2つの部分のうち少なくとも一方の、少なくとも1つの形態的特徴を自動的に取得するように、手首の部分p1及びまたは手の部分p2を包囲することが意図される。好みとして、機器110は、ハンドルの形状の第2部分112を含む。有利には、機器110の当該第2部分112は、機器110の第1部分111が装着者の手首の部分p1及びまたは手の部分p2を包囲可能なように、そしてリストストラップの装着者に関する少なくとも1つの形態データ項目を決定する方法、とりわけ上述の取得ステップE1の実行に移行可能なように、時計士またはあらゆる有資格者により、取り扱い可能である。
【0075】
有利には、機器110の第2部分112は、少なくとも寸法1、とりわけ装着者手首部分p1の外周及びまたは高さ及びまたは幅、及びまたは寸法2、とりわけ装着者の手の部分p2の外周及びまたは高さ及びまたは幅を表示するよう設計されたスクリーン112aを含む。
【0076】
機器110は、有利には、上述の第1操作O11の、以下のような様々なサブ操作を含む、上述の取得第1ステップE1の実行を可能にする。
- 例えば部分112のキー112bを押すことにより、機器110に電力を加えることからなる、第1操作O111、
- 機器110の第1部分111を、装着者の手首または手の周りに滑らせ、第1部分111を部分p1またはp2に対して位置決めさせることからなる、第2操作O112。このため、実施形態によれば、装着者の手首または手に反射するカラー線を、部分p1、p2の一方または他方を示すために使用可能である、
- 例えば機器110のキー112cを、とりわけ機器110の第2部分112のキー112cを押すことにより、部分の一方または他方の位置を確認することからなる、第3操作O113、
- 機器110の第1部分p1または第2部分p2周りの中央揃えを確認することからなる、第4操作O114。このために、機器110から視覚及びまたは可聴式確認が発せられてもよい。
【0077】
その後、取得第1ステップE1は、同一の機器110による上述の第2操作O12の実行を含み、当該操作において機器は少なくとも1つの形態データ項目を、第1操作O11の間に得られた形態的特徴または複数の特徴から決定する。具体的には、当該第2操作O12は、手首部分p1の外周及びまたは高さ及びまたは幅、及びまたは手の部分p2の外周及びまたは高さ及びまたは幅を、正確に決定可能である。このため、第1操作O11からの特徴または複数の特徴は、求める形態データを形成する寸法1、2を決定するために、好ましくは決定システムのソフトウェア手段によって、処理される。当該第2操作O12は、とりわけ、機器110の第2部分112のスクリーン112a上に、寸法1、2の一方または他方を表示し読み出しする、サブ操作O121を含む。また、例えば機器上のキー112dを押すことで、測定の単位を選択する中間操作も提案される。
【0078】
図11に示す携帯機器110の代替として、同様の機器は、非携帯対象物の、例えばテーブル上に配置された物の形状を取ってもよい。機器は、例えば、テーブル上に載置されるよう設計されたストランドに接続された、
図11に図示された形状と類似の環状または実質的に環状または楕円状または実質的に楕円状の部分111を含む。このような設備機器の様々なコンポーネントや操作は、上述の説明と非常に類似するものになる。
【0079】
前述の通り、有利には決定中間ステップE2を実行する中央処理装置は、有利には、取得第1ステップE1で用いられる同じ第1設備内110に統合される。代替的に、例えばデスクトップコンピュータといった別個の実体であってもよい。この場合、決定システムは、当該コンピュータに、好ましくは自動的に、決定システム内で局所的に取得及びまたは処理されたデータを伝達するための通信機器を通じて接続される。後者の場合、第1ステップE1で使用された第1機器110は、とりわけ、タブレットやスマートフォンといった、装着者に属する機器であってもよい。第2ステップE2を実行する中央処理装置は、小売店に局所的に存在してもよく、少なくとも1つの決定システムに通信機器を通じて接続される、例えば製造業者により収納されるリモートユニットであってもよい。
【0080】
最後に、リストストラップ構成システムは、とりわけ方法の説明で言及したデータベースを収容するために、1以上の電子メモリを含む。電子メモリまたは複数の電子メモリは、中層処理装置に、1以上の通信装置を通じて接続される。このようなメモリは、構成システムを形成する小型設備内に統合されてもよく、代替として通信装置を通じて中央処理装置または決定システムに離れて接続されてもよい。
【0081】
本発明にかかる方法は、腕時計の特定モデルの販売においてリストストラップを構成可能にするシナリオに沿って説明された。もちろん、本方法は、販売後でも、または当該腕時計の販売とは独立して、腕時計の装着者にそのリストストラップの最適構成c*を通知するよう実行されてもよい。
【0082】
代替的に、本発明は、所定の装着者のために腕時計リストストラップを構成する方法に関し、方法は、
- リストストラップの装着者に関する少なくとも1つの形態データ項目1、2を取得する第1ステップ、
- 先行ステップで取得された少なくとも1つの形態データ項目1、2から、装着者に適したリストストラップの少なくとも1つの最適構成c*を自動的に決定する中間ステップ、
- 先行ステップで決定された最適構成に、装着者のためのリストストラップを準備する第2ステップ
のステップを含む。
【0083】
当該代替案において、決定中間ステップは、前述した、自動的に実行される、決定中間ステップに対応する。
【0084】
当該代替案の変形例によれば、方法の取得第1ステップE1は、単純化できる。例えば、ステップは、テープ測定タイプの従来システムを用いて実行されてもよい。このようなテープは、弾性装置により戻されてもされなくてもよい。代替案として、装着者は、以前の測定から既に形態データを知っていて、それらデータをマン・マシン・インターフェースを介して決定システムに入力してもよい。
【0085】
当該変形例のある特定の実施例によれば、中間ステップの操作O23は、異なって行われてもよい。例えば、電子メモリは、リストストラップの各ストランドと、及びまたはリンク、リンク機構及び留め金といったリストストラップの各サブコンポーネントと、関連する構成ルールに対応するデジタルデータを含んでも良い。次に、アルゴリズムは、反復により、メモリに保管されたルールから、最適構成に収束するまで、所定のリストストラップについて全ての可能な組み合わせを形成することができる。変形例において、当該アプローチは、上述のリストストラップデータのデータベースを、自動的に形成することができ、当該データベースには、可能な構成が保存される。
【0086】
当該変形例の他の特定の実施形態によれば、決定中間ステップは、装着者が既に装着している1つ(以上の)腕時計の最適構成を考慮してもよい。この場合、この既知の最適構成は、装着者、小売店、または時計士により、リストストラップ構成システムのマン・マシン・インターフェースを介して入力されてもよい。この情報は、上述のステップO22において検討されるべき小型時計外周を得るために、潜在的に活用されてもよい。この情報は、取得第1ステップE1を参照して上述した実施形態に従い、装着者に関する形態データ、またはその均等物の取得の源の役割を果たしてもよい。
【0087】
リストストラップの少なくとも1つの最適構成を決定する中間ステップは、少なくともリストストラップ長さ調節を決定することを含んでもよい。
【0088】
リストストラップの少なくとも1つの最適構成を決定する中間ステップは、データベース内で、少なくとも1つの形態データ項目に一番適したリストストラップ構成データを特定することを含んでもよい。
【0089】
リストストラップの少なくとも1つの最適構成を決定する中間ステップは、以下のステップの全てまたは一部を用いて構成データを決定することを含んでもよい。
- リストストラップのタイプの決定、及びまたは
- ストランド、複数のストランド、及びまたは留め金の決定、及びまたは
- リストストラップの少なくとも1つのストランドについて、リンクまたはリンク機構の数、とりわけ延長リンク機構またはリンクの数の決定、及びまたは
- 少なくとも1つのリストストラップストランド用の少なくとも1つのリンクまたは少なくとも1つのリンク機構の構成または複数の構成の決定、及びまたは
- リストストラップ留め金に対する及びまたは小型時計ケースに対する、リストストラップストランドの端部リンク機構の位置決めの決定、及びまたは
- リストストラップ留め金の1以上の構成の決定、及びまたは
- リストストラップ留め金内の長さ調節または複数の調節の決定。
【0090】
リストストラップ用の少なくとも1つの最適構成を決定する中間ステップは、決定した最適構成を、構成システムのスクリーン上に表示するステップを含んでもよい。
【0091】
リストストラップ用の少なくとも1つの最適構成を決定する中間ステップは、装着者がどのようにリストストラップが手首を一周することを望むかに関するデータ、及びまたは特に装着者の居住場所の気象条件及びまたは装着者が参加する可能性がある少なくとも1つのアクティビティといった、装着者のライフスタイルに関するデータ、及びまたはリストストラップのタイプの嗜好に関するデータを含む、少なくとも1つの装着者嗜好データ項目を考慮することを含んでもよい。
【0092】
リストストラップ用の少なくとも1つの最適構成を決定する中間ステップは、少なくとも1つの嗜好データ項目に従った装着者の手首周りの弛みの量を計算する、及びまたは少なくとも1つの嗜好データ項目から、経時的な装着者に関する形態データ項目の変動を計算することを含んでもよい。
【0093】
少なくとも1つの形態データ項目を取得する第1ステップは、腕時計を受け入れる可能性がある装着者手首部分の寸法、とりわけ外周及びまたは高さ及びまたは幅、及びまたは装着者の手の部分の寸法、とりわけ外周及びまたは高さ及びまたは幅、を取得することを含んでもよい。
【0094】
取得第1ステップは、装着者の手首の少なくとも1つの形態的特徴を取得する第1操作と、第1操作中に取得された少なくとも1つの形態的特徴から少なくとも1つの形態データ項目を決定する第2操作とを含んでもよい。
【0095】
少なくとも1つの形態的特徴を取得する第1操作は、少なくとも1つの装着者手首及びまたは手の位置を走査、撮像、または撮影するよう構成された、カメラ、レーザ、またはレンズといった少なくとも1つのセンサが設けられた決定システムから取得するステップを含んでもよい。
【0096】
取得第1ステップは、少なくとも1つの形態データ項目を、マン・マシン・インターフェースを介して、または電子メモリからの、特にデータベースからの、少なくとも1つの形態データ項目または手首外周といった派生データ項目の伝達を介して、保存することを含んでもよい。
【0097】
リストストラップを準備する第2ステップは、決定中間ステップで決定された最適リストストラップ構成c*を達成するために、リストストラップを、とりわけ基準構成から、変更することを含んでもよい。
【0098】
当該代替案において、本発明はまた、リストストラップ構成システムであって、決定システム11が取得した少なくとも1つの形態データ項目に基づき、リストストラップの最適構成を決定するために、少なくとも1つの形態データ項目を決定するための少なくとも1つの決定システムと、上述の少なくとも1つの最適リストストラップ構成c*を決定する中間ステップを少なくとも実行するコンピュータとを含む、システムに関する。
【0099】
当該代替案において、本発明はまた、腕時計を製造する方法であって、腕時計または小型時計ケースを選択するステップと、上述のリストストラップ構成方法が確立した構成へ、リストストラップを小型時計ケース上へ構成するステップとを含む、方法に関する。
【0100】
当該代替案において、本発明はまた、データ処理装置であって、決定システム11が取得した少なくとも1つの形態データ項目に基づき、最適リストストラップ構成を決定するために、上述の少なくとも1つのリストストラップの最適構成c*を決定する中間ステップを少なくとも実行するよう構成されたコンピュータを含む、装置に関する。
【0101】
最後に、当該代替案において、本発明はまた、コンピュータプログラムであって、プログラムが実施されると、当該プログラムに決定システム11が取得した少なくとも1つの形態データ項目に基づき、最適リストストラップ構成を決定するために、上述の少なくとも1つのリストストラップの最適構成c*を決定する中間ステップを少なくとも実行させる指示を含む、コンピュータプログラムに関する。