(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】メンブレンフィルタを充填する方法
(51)【国際特許分類】
A61M 1/18 20060101AFI20250120BHJP
A61M 60/113 20210101ALI20250120BHJP
A61M 60/279 20210101ALI20250120BHJP
A61M 60/37 20210101ALI20250120BHJP
A61M 60/845 20210101ALI20250120BHJP
A61M 60/438 20210101ALI20250120BHJP
A61M 1/16 20060101ALI20250120BHJP
【FI】
A61M1/18 510
A61M60/113
A61M60/279
A61M60/37
A61M60/845
A61M60/438
A61M1/16 115
(21)【出願番号】P 2021542431
(86)(22)【出願日】2020-01-22
(86)【国際出願番号】 EP2020051487
(87)【国際公開番号】W WO2020152209
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2023-01-20
(31)【優先権主張番号】102019101542.1
(32)【優先日】2019-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】597075904
【氏名又は名称】フレゼニウス メディカル ケア ドイッチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】ノアック ヨアヒム
【審査官】丸山 裕樹
(56)【参考文献】
【文献】独国特許発明第10011208(DE,C1)
【文献】特開2008-012210(JP,A)
【文献】特表2018-527976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00- 1/38
A61M 60/00-60/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液処理システムが、少なくとも1つの血液処理機械と、メンブレンによって半透過的に分離された第1及び第2のチャンバを有する
メンブレンフィルタと、少なくとも1つの第1の部分回路と少なくとも1つの第2の部分回路とを有し、メンブレンフィルタの第1のチャンバが前記第1の部分回路に配置され、メンブレンフィルタの第2のチャンバが前記第2の部分回路に配置され、前記第1の部分回路を通じた液体でのメンブレンフィルタの前記第1のチャンバの充填が、前記第2のチャンバがまだ空気で充填されている間に行われ、前記第1の部分回路が
透析液回路であり、及び/又は該第2の部分回路が体外血液回路であり、ポンプが前記第1の部分回路内でメンブレンフィルタの上流に配置される血液処理システムのメンブレンフィルタを充填する方法であって、
前記メンブレンフィルタの前記第1のチャンバを充填するための前記ポンプの制御が、前記第1の部分回路内の測定圧力に依存して、および/または、前記メンブレンフィルタのメンブレンにわたる膜貫通圧力に依存して、前記第1の部分回路を通じて行われ、
前記第1の部分回路内の圧力及び/又は膜貫通圧力が第1の閾値を超えると直ぐに、前記充填中のポンプの搬送速度は低減され又は前記ポンプは停止され、
前記第1の部分回路内の圧力及び/又は前記膜貫通圧力が第2の閾値よりも低くなると直ぐに、前記充填中のポンプの搬送速度が増大され、又は前記ポンプは再度始動され、
液体及び/又は空気が、前記メンブレンフィルタの下流で前記第1の部分回路に配置された2次空気分離器内で前記第1の部分回路を通じたメンブレンフィルタの第1のチャンバの充填中に該第1のチャンバから置換され、
前記2次空気分離器は、少なくとも時々に前記システムの液体流出部に接続されない、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記充填は、圧力変化が前記第2の部分回路内で検出される及び/又は空気が前記第1の部分回路の2次空気分離器内で検出される間にわたって継続され、最小残留充填フェーズが、圧力変化及び/又は空気がもはや検出されない状態で依然として実行され、前記最小残留充填フェーズは、予め定められたポンプ体積、予め定められた時間、又は定められた回数のポンプ拍動及び/又は平衡チャンバ切り換えを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
血液処理システムが、少なくとも1つの血液処理機械と、メンブレンによって半透過的に分離された第1及び第2のチャンバを有する
メンブレンフィルタと、少なくとも1つの第1の部分回路と少なくとも1つの第2の部分回路とを有し、メンブレンフィルタの第1のチャンバが前記第1の部分回路に配置され、メンブレンフィルタの第2のチャンバが前記第2の部分回路に配置され、前記第1の部分回路を通じた液体でのメンブレンフィルタの前記第1のチャンバの充填が、前記第2のチャンバがまだ空気で充填されている間に行われ、前記第1の部分回路が
透析液回路であり、及び/又は該第2の部分回路が体外血液回路であり、ポンプが前記第1の部分回路内でメンブレンフィルタの上流に配置される血液処理システムのメンブレンフィルタを充填する方法であって、
前記メンブレンフィルタの前記第1のチャンバを充填するための前記ポンプの制御が、前記第1の部分回路内の測定圧力に依存して、および/または、前記メンブレンフィルタのメンブレンにわたる膜貫通圧力に依存して、前記第1の部分回路を通じて行われ、
前記第1の部分回路内の圧力及び/又は膜貫通圧力が第1の閾値を超えると直ぐに、前記充填中のポンプの搬送速度は低減され又は前記ポンプは停止され、
前記第1の部分回路内の圧力及び/又は前記膜貫通圧力が第2の閾値よりも低くなると直ぐに、前記充填中のポンプの搬送速度が増大され、又は前記ポンプは再度始動され、
前記充填は、
圧力変化が前記第2の部分回路内で検出される及び/又は空気が前記第1の部分回路の2次空気分離器内で検出される間にわたって継続され、最小残留充填フェーズが
、圧力変化及び/又は空気がもはや検出されない状態で依然として実行され、
前記最小残留充填フェーズは、予め定められたポンプ体積、予め定められた時間、又は定められた回数のポンプ拍動及び/又は平衡チャンバ切り換えを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
充填に使用され前記ポンプによって発生された体積流量及び/又は前記ポンプによる充填の時間推移及び/又は持続時間が、前記第1及び/又は第2の部分回路内で測定された圧力に依存して制御される、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の閾値は、少なくとも50mbarであり、又は特に少なくとも100mbarであり、又は特に少なくとも200mbarである、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の閾値は、少なくとも50mbarであり、又は特に少なくとも100mbarであり、又は特に少なくとも150mbarである、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の閾値の絶対値が、前記第2の閾値の絶対値よりも大きい、
請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記ポンプは、前記メンブレンの第1のチャンバ内で少なくとも時々に過剰圧力
、少なくとも50mbarの又は特に少なくとも100mbarの又は特に少なくとも200mbarの圧力が生じるように制御される、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記メンブレンフィルタの第1のチャンバを充填するためのポンプは、体積制御方式で制御され、前記第1の部分回路内の圧力及び/又は前記膜貫通圧力が第1の閾値を超えると直ちに該体積制御式制御は停止され、又は前記体積流量は低減され、該第1の閾値は、
少なくとも50mbarであり、又は特に少なくとも100mbarであり、又は特に少なくとも200mbarであり、及び/又は該第1の部分回路内の該圧力及び/又は該膜貫通圧力が第2の閾値を超えると直ちに該体積制御式制御は再開され、又は該体積流量は増大され、該第2の閾値は、
少なくとも50mbarであり、又は特に少なくとも100mbarであり、又は特に少なくとも150mbarである、
請求項
4に記載の方法。
【請求項10】
前記メンブレンフィルタの第1のチャンバは、前記メンブレンフィルタの第1のチャンバ内に圧力ピークがそれによって発生される脈動体積流量を用いて充填され、
前記ポンプは、前記ポンプによって付加された液体を有してその切り換え処理が脈動体積流量をもたらす平衡チャンバアセンブリと協働する、
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記メンブレンフィルタの第1のチャンバの
圧力制御式充填中に、液体が、少なくとも時々に前記システムから排水されず、及び/又は
前記メンブレンフィルタの第1のチャンバの充填中に、前記第1の部分回路内で前記メンブレンフィルタの下流に配置されたポンプが、少なくとも時々に作動されず、
前記第1の部分回路が透析回路である、
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の部分回路内の圧力が測定され、前記メンブレンフィルタの第1のチャンバの充填は、前記第2の部分回路内の圧力に依存して前記第1の部分回路を通じて行われ、前記第2の部分回路内の動的及び/又は静的圧力変化が
、検出される及び/又はモニタされる、
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の部分回路内の圧力は、
圧力変化に関してモニタされ、前記充填の時系列が、
前記圧力変化の検出に依存し、及び/又は前記メンブレンフィルタの第1のチャンバの完全な充填が、
圧力変化に関するモニタリングによって認識され、完全な充填に対する結論が、
圧力変化がもはや検出されない時に引き出される、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の部分回路は、前記第1の部分回路を通じたメンブレンフィルタの第1のチャンバの充填中に大気と流体連通している、
請求項1ないし13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の部分回路は、圧力降下を発生する要素を通じて
、フィルタ及び/又は制限器及び/又は弁を通じて前記メンブレンフィルタの第1のチャンバの充填中に大気と流体連通している、
請求項1ないし14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の部分回路は、圧力制御式充填中に少なくとも時々に平衡方式で充填されず、前記第1の部分回路を通じたメンブレンフィルタの第1のチャンバの充填は、
平衡フェーズなしで開始され、及び/又は少なくとも充填の検出まで非平衡方式で行われる、
請求項1ないし15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
メンブレンフィルタの第1のチャンバが、第1の部分回路に配置され、メンブレンフィルタの第2のチャンバが、第2の部分回路に配置され、第1のポンプが、前記第1の部分回路内でメンブレンフィルタの上流に配置された、前記第1の部分回路内の液体をポンピングするための第1のポンプの少なくとも1つの第1のポンプアクチュエータ及び該第2の
部分回路内の液体をポンピングするための第2のポンプの少なくとも1つの第2のポンプアクチュエータと、
前記第1の部分回路内及び前記第2の部分回路内の圧力を測定するための少なくとも2つの圧力センサと、
前記圧力センサの信号を評価し、かつ血液処理機械のアクチュエータを制御する制御器と、を有し、メンブレンによって半透過的に分離された第1のチャンバ及び第2のチャンバを有して少なくとも1つの
中空糸膜フィルタであるメンブレンフィルタを結合することができる血液処理機械であって、
前記制御器は、前記第1の部分回路内で測定された圧力に依存して、および/または、前記メンブレンフィルタのメンブレンにわたる膜貫通圧力に依存して、前記第1の部分回路を通じて前記メンブレンフィルタの第1のチャンバを充填するための第1のポンプアクチュエータの制御を実行する充填プログラムを含み、
前記第1の部分回路内の圧力及び/又は膜貫通圧力が第1の閾値を超えると直ぐに、前記充填中のポンプの搬送速度は低減され又は前記ポンプは停止され、
前記第1の部分回路内の圧力及び/又は前記膜貫通圧力が第2の閾値よりも低くなると直ぐに、前記充填中のポンプの搬送速度が増大され、又は前記ポンプは再度始動され、
前記制御器は、請求項1ないし16のいずれか1項に記載の方法を実行するようにプログラムされている、
ことを特徴とする血液処理機械。
【請求項18】
前記制御器は、前記充填プログラムの実行のために前記第1及び/又は第2の部分回路の弁を作動させる1又は2以上の弁アクチュエータを制御し、及び/又は、前記充填プログラムの反復作動が、前記制御器によって自動的に行われる、
請求項17に記載の血液処理機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液処理システムのメンブレンフィルタを充填する方法に関連し、血液処理システムは、メンブレンによって半透過的に分離された第1及び第2のチャンバを有する少なくとも1つのメンブレンフィルタ、特に中空糸膜フィルタと、少なくとも1つの第1の部分回路と、少なくとも1つの第2の部分回路とを有し、メンブレンフィルタの第1のチャンバは、第1の部分回路に配置され、メンブレンフィルタの第2のチャンバは、第2の部分回路に配置され、第1の部分回路を通じて液体でメンブレンフィルタの第1のチャンバを充填することは、第2のチャンバが依然として空気で充填されている間に行われる。本発明は、対応する血液処理機械及び血液処理システムを更に含む。
【背景技術】
【0002】
充填方法は、DE 10 2011 102 492 A1から公知である。この処理では、第1の部分回路を通じたメンブレンフィルタの第1のチャンバの充填は、空気が少なくとも充填の部分フェーズにわたって第1の部分回路から第2の部分回路の中に移されるように行われる。
【0003】
DE 10 2015 009 886 A1は、第2のチャンバに対する過剰圧力が、第1の部分回路を通じたメンブレンフィルタの第1のチャンバの充填後に第1のチャンバに印加される方法を更に示している。
【0004】
第2の部分回路の静脈ライン及び動脈ラインをメンブレンフィルタの下流に配置された第1の部分回路のセクションに接続し、かつ第1及び第2の部分回路内の圧力に依存してメンブレンフィルタの下流でかつ静脈ラインへの及び動脈ラインへの接続点の下流で第1の部分回路に配置されたポンプを制御することは、第1及び第2の部分回路の充填に関してWO 2008/125893 A1から更に公知である。メンブレンフィルタの上流に配置されたポンプの制御は、これとは対照的に体積制御方式で行われる。
【0005】
本明細書の説明の意味では、用語「上流」及び「下流」は、液体が処理中に作動しているラインを通って流れる流れの方向を意味する。これは、例えば、漏血検出器をメンブレンフィルタの下流に配置することができるという意味で認識することができる。処理中に第2の部分回路から第1の部分回路の中にメンブレンを通過する血液を検出することが適切である。空気分離チャンバは、下流に配置することができる。作動中に血液で充填された部分回路に関して、「上流」は、血液ポンプ及び/又はヘパリンの添加点が配置されるラインセクションを指定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】DE 10 2011 102 492 A1
【文献】DE 10 2015 009 886 A1
【文献】WO 2008/125893 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、メンブレンフィルタの確実な充填を可能にする方法及び処理機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1に記載の方法によって及び請求項18に記載の処理機械によって達成される。
【0009】
本発明の実施形態は、従属請求項の主題を形成する。本発明は、血液処理システムのメンブレンフィルタを充填する方法を含み、血液処理システムは、少なくとも1つの血液処理機械と、メンブレンによって半透過的に分離された第1及び第2のチャンバを有するメンブレンフィルタ、特に中空糸膜フィルタと、少なくとも1つの第1の部分回路と、少なくとも1つの第2の部分回路とを有し、メンブレンフィルタの第1のチャンバは、第1の部分回路に配置され、メンブレンフィルタの第2のチャンバは、第2の部分回路に配置され、第1の部分回路を通じて液体でメンブレンフィルタの第1のチャンバを充填することは、第2のチャンバが依然として空気で充填されている間に行われ、ポンプが、第1の部分回路にメンブレンフィルタの上流で配置される。本方法は、第1の部分回路を通じてメンブレンフィルタの第1のチャンバを充填するためのポンプの制御が、第1及び第2の部分回路で測定される圧力に依存して行われることを特徴とする。
【0010】
メンブレンフィルタの更により確実な充填は、圧力に応じたポンプの制御によって可能にされる。従って、一部の実施形態ではメンブレンフィルタ内の孤立空気の残りを更に低減することができる。充填状態は、一部の実施形態では検出することができる。
【0011】
好ましい実施形態では、第1の部分回路は、透析液回路であり、及び/又は第2の部分回路は、体外血液回路である。本発明は、従って、透析装置の透析液チャンバの充填に特に関連する。
【0012】
本発明の可能な実施形態では、液体でメンブレンフィルタの第1のチャンバを充填中に第1のチャンバに存在する空気は、メンブレンフィルタの第2のチャンバに及び従って第2の部分回路の中にメンブレンを通じて移される。
【0013】
本発明の可能な実施形態では、メンブレンフィルタの第1のチャンバの充填は、第1の部分回路を通じて上部から底部に行われる。第1の部分回路を通じたメンブレンフィルタの第1のチャンバの充填は、好ましくは、血液処理中に同じくメンブレンフィルタを通過する流れの同じ方向で行われる。
【0014】
好ましい実施形態では、メンブレンフィルタの2つのチャンバの充填は、メンブレンフィルタの回転の割り込みなしで行われる。
【0015】
本発明の可能な実施形態では、メンブレンフィルタは、血液処理中に第1及び第2の部分回路での逆流で作動される。従って、メンブレンフィルタの第1のチャンバが、特に透析液回路内で第1の部分回路を通じて上部から底部に充填される場合に、メンブレンフィルタの第2のチャンバは、メンブレンフィルタの回転なしで血液処理中に使用される流れの同じ方向で特に血液回路内で第2の部分回路を通じて底部から上部に充填する及び/又は洗い流すことができる。メンブレンフィルタの第2のチャンバの確実な通気は、これによって達成することができる。
【0016】
本発明の可能な実施形態では、ポンプによって発生されて充填に使用される体積流量、及び/又はポンプによる充填の時間推移及び/又は持続時間は、第1及び/又は第2の部分回路で測定された圧力に依存して制御される。
【0017】
本発明の第1の変形により、第1の部分回路内の圧力が測定され、及び/又はメンブレンフィルタの膜にわたる膜貫通圧力が測定され、第1の部分回路を通じてメンブレンフィルタの第1のチャンバを充填するためのポンプの制御は、第1の部分回路内の圧力及び/又は膜貫通圧力に依存して行われる。圧力は、特に、第1の部分回路内で第1のチャンバの上流及び/又は下流で測定することができ、第1の部分回路を通じたメンブレンフィルタの第1のチャンバの充填は、この圧力に依存して行うことができる。
【0018】
膜貫通圧力の決定は、第2の部分回路内の圧力センサを用いて測定された圧力を使用して、かつ第1の部分回路での更に別の圧力センサを用いて測定された圧力を使用して行うことができる。膜貫通圧力は、これら2つの圧力値と第1の部分回路での第3の圧力センサを用いて測定された第3の圧力値とを用いて決定することができ、更に別の圧力センサは、メンブレンフィルタの上流に配置することができ、第3の圧力センサは、メンブレンフィルタの下流に配置することができる。この決定は、更に別の圧力センサ及び第3の圧力センサを用いて測定された圧力の平均値が形成されるという意味で及び第2の部分回路内の圧力がそこで推測される又は平均値を第2の部分回路内の圧力で推測することができるという意味で行うことができる。
【0019】
この第1の変形による本発明は、一部のメンブレンフィルタ、特に一部の透析装置が、第2のチャンバがまだ液体で充填されていない限りメンブレンにわたる圧力に対して非常に敏感であるという認識に基づいている。ある一定の膜貫通圧力がこの状況である一定の期間にわたってメンブレンフィルタに印加される場合に、液体は、第1のチャンバ、特に透析液チャンバから第2のチャンバ、特に血液チャンバの中に通されることになり、後者は、その後にもはや適正に充填することはできない。液体が透析装置内の毛細管を充填した場合に、空気は、繊維壁の毛細管をもはや通過することができないことをここで考慮しなければならない。しかし、逆に、空気を第1のチャンバからメンブレンにわたって第2のチャンバの中に実質的に移すのにある一定の膜貫通圧力が必要である。
【0020】
膜貫通圧力が第1の部分回路内の圧力、特に第1のチャンバの上流の圧力によって明白に決定されるので、第1の部分回路内の圧力及び特に第1のチャンバの上流の圧力は、膜貫通圧力の代わりに測定することができ、かつ制御に対して使用する又は抑制することができる。
【0021】
可能な実施形態では、充填は、第1の部分回路内の圧力及び/又は膜貫通圧力が第1の閾値を超えないように制御される。
【0022】
充填の送出速度は、好ましくは、第1の部分回路内の圧力及び/又は膜貫通圧力が第1の閾値を超えると直ちに低減される。充填の低減は、充填の完全な停止を含むこともできる。液体流入は、特に、第1の部分回路内の圧力及び/又は膜貫通圧力が再び第1の閾値又は第2の閾値よりも低くなるまでの間にわたって低減され、及び特に停止することができる。
【0023】
可能な実施形態では、充填中のポンプの送出速度が低減され、又はポンプは、第1の部分回路内の圧力及び/又は膜貫通圧力が第1の閾値を超えると直ちに停止され、第1の閾値は、例えば少なくとも50mbar、例えば少なくとも100mbar、又は例えば少なくとも200mbarになる。
【0024】
可能な実施形態では、充填中のポンプの送出速度が増大され、又はポンプは、第1の部分回路内の圧力及び/又は膜貫通圧力が第2の閾値よりも低下すると直ちに再度始動され、第2の閾値は、例えば少なくとも50mbar、例えば少なくとも100mbar、又は例えば少なくとも150mbarになる。
【0025】
第1の閾値の絶対値は、好ましくは第2の閾値の絶対値よりも大きい。2つの閾値が等しい量である場合に、これは、ポンプが絶えず始動及び停止すると考えられるという結果を有すると考えられる。これは、異なる閾値によって防止される。
【0026】
可能な実施形態では、ポンプは、過剰圧力、特に、例えば少なくとも50mbar、又は例えば少なくとも100mbar、又は例えば少なくとも200mbarの圧力がメンブレンフィルタの第1のチャンバに少なくとも時々生じるように制御される。
【0027】
可能な実施形態では、ポンプは、メンブレンフィルタの第1のチャンバの充填のために体積制御方式で制御され、体積制御式制御は、第1の部分回路内の圧力及び/又は膜貫通圧力が第1の閾値を超えると直ちに停止され、又は体積流量が低減され、第1の閾値は、例えば少なくとも50mbar、例えば少なくとも100mbar、又は例えば少なくとも200mbarになる。
【0028】
可能な実施形態では、体積制御式制御は、第1の部分回路内の圧力及び/又は膜貫通圧力が第2の閾値を超えると直ちに再度開始され、又は体積流量が増大され、第2の閾値は、例えば少なくとも50mbar、又は例えば少なくとも100mbar、又は例えば少なくとも150mbarになる。
【0029】
第1の閾値の絶対値は、好ましくは第2の閾値の絶対値をよりも大きい。
【0030】
空気クッションがその後にもはや分離することができないメンブレンフィルタの繊維束に含まれないことを本発明による圧力限界又は流量限界によって保証することができる。しかし、本発明による制御は、膜にわたってそこに位置付けられた空気を第2のチャンバの中に移すのに十分な圧力が第1のチャンバで印加されることを更に保証する。
【0031】
可能な実施形態では、メンブレンフィルタの第1のチャンバは、メンブレンフィルタの第1のチャンバに圧力ピークがそれによって生成される脈動体積流量を用いて充填される。圧力ピーク及びそれぞれのその後の圧力降下は、ここでは脈動体積流量のリズムで生成される。
【0032】
ポンプは、好ましくは、平衡チャンバアセンブリと協働し、平衡チャンバアセンブリは、ポンプによってそれに付加される液体を有し、その切り換えは、脈動体積流量をもたらす。
【0033】
可能な実施形態では、液体は、メンブレンフィルタの第1のチャンバの充填中に少なくとも時々システムから排水されない。これは、第1の部分回路のより高速充填を可能にする。
【0034】
排水管との第1の部分回路内の第1のチャンバの下流に配置された2次空気分離器の流体連通は、充填中に特に閉鎖することができ、及び/又はそこに配置されたポンプは、作動することができない。これは、特に、圧力制御式充填中に、特に全体圧力制御式充填中に行うことができる。
【0035】
可能な実施形態では、透析液回路内のメンブレンフィルタの下流に配置されたポンプは、メンブレンフィルタの第1のチャンバの充填中に少なくとも時々作動されない。第1の透析液部分回路内のメンブレンフィルタの下流に配置されたポンプは、特に、少なくとも時々作動することができない。1又は複数のポンプは、特に、第1の部分回路に配置された2次空気分離器の下流に配置することができる。1又は複数のポンプは、好ましくは、全体圧力制御式充填中に作動されない。
【0036】
更に別の変形では、第2の部分回路内の圧力が測定され、第1の部分回路を通じたメンブレンフィルタの第1のチャンバの充填が行われ、ポンプの制御は、特に、第2の部分回路内の圧力に依存して行われる。
【0037】
第2の部分回路の圧力の測定は、本発明の第1の実施形態でのここでは、既に上述したような膜貫通圧力の測定の一部とすることができる。
【0038】
これに代えて又はこれに加えて、第1の部分回路を通じたメンブレンフィルタの第1のチャンバの充填も、第2の部分回路内の絶対圧力に及び/又は圧力変化に依存して行うことができる。
【0039】
工程管理は、メンブレンフィルタの第1のチャンバの充填レベルを第2の部分回路内の圧力の測定によって決定することができるという認識に基づいている。本発明は、ここでは、第1のチャンバからメンブレンを通って第2の部分回路の中への空気の通過時に第2の部分回路内の圧力が増加するという事実を特に使用する。
【0040】
第2の部分回路が大気に開放されている場合に、それにも関わらず存在する流れ抵抗によって動的圧力変化が生成される。第2の部分回路が大気に閉鎖されている場合に、静的圧力変化が同じく生成される。
【0041】
第2の部分回路内の動的及び/又は静的圧力変化は、従って、特に検出及び/又はモニタすることができる。
【0042】
本発明の可能な実施形態では、第2の部分回路内の圧力は、圧力変化、特に圧力変動に関してモニタされる。第1のチャンバの充填の時系列は、ここでは、好ましくは、圧力変化、特に圧力変動の検出に依存し、特に圧力変化、特に圧力変動が検出される及び/又はもはや検出されない時点に依存する。
【0043】
本発明の可能な実施形態では、メンブレンフィルタの第1のチャンバの完全な充填は、圧力変化、特に圧力変動に関するモニタリングによって認識され、完全な充填に関する結論は、好ましくは、圧力変化、特に圧力変動がもはや検出されない時に行われる。
【0044】
本発明の可能な実施形態では、第1のチャンバの充填は、圧力変化、特に圧力変動が第2の部分回路内で検出される限り継続される。最小残留充填フェーズは、更に、圧力変化、特に圧力変動及がもはや検出されない状態で依然として実行することができる。
【0045】
本発明の可能な実施形態では、第1のチャンバの充填は、空気が第1の部分回路の2次空気分離器内で検出される限り継続され、最小残留充填フェーズは、好ましくは、空気がもはや検出されない状態で依然として実行される。
【0046】
メンブレンが、従って、使用される材料に起因して最初から既に通気性ではない場合、又はそれが、空気がメンブレンフィルタの第1のチャンバから完全に移される前に完全に浸漬されていた場合に、空気は、第1の部分回路内でメンブレンフィルタの下流に配置された2次空気分離器の中に第1の部分回路を通じてメンブレンフィルタの第1のチャンバの(更に別の)充填時に移される。従って、空気が第1のメンブレンフィルタの第1のチャンバから第1の部分回路の中にもはやポンピングされず、完全な充填が、従って、この構成と共に同じく存在することは、2次空気分離器のモニタリングによって保証することができる。
【0047】
膜がこの段階の終了時に完全に湿潤され、すなわち、透析装置が回転なしの実施形態では最良可能に充填されることは、第2の部分回路内の圧力及び/又は2次空気分離器内の空気のモニタリングによって保証される。
【0048】
最小残留充填フェーズは、次に、安全バッファとして及びメンブレンフィルタを洗い流すために機能する。それは、一定長さを有することができる。
【0049】
最小残留充填フェーズは、予め定められたポンプ体積、予め定められた時間、又は定められた回数のポンプ拍動及び/又は平衡チャン切り換えを含むことができる。
【0050】
第1の部分回路を通じたメンブレンフィルタの第1のチャンバの充填は、好ましくは、脈動体積流量を用いて行われる。脈動体積流量は、例えば、平衡チャンバの形態でメンブレンポンプを用いて発生させることができる。充填は、特に、複数の平衡チャンバ切り換えにわたって行うことができる。しかし、充填は、一定体積流量を用いて行うこともできる。
【0051】
本発明の可能な実施形態では、第1の部分回路は、最大800ml/mm、好ましくは最大500ml/minの第1の体積流量を用いて少なくとも第1のチャンバの充填の開始フェーズ中に充填される。この制限は、ここでは測定圧力とは独立に存在することができる。開始フェーズ後に、より大きい最大体積流量を用いて作動することが可能であり、体積流量は、測定圧力に依存して制御することができる。
【0052】
本発明の可能な実施形態では、第2の部分回路は大気に開放され、すなわち、それは、第1の部分回路を通じてメンブレンフィルタの第1のチャンバの充填中に大気と流体連通している。第2の部分回路内の空気によって生成された逆圧は、これによって低減及び/又は通気される。
【0053】
本発明の可能な実施形態では、第2の部分回路は、圧力降下を発生する要素を通じてメンブレンフィルタの第1のチャンバの充填中に大気と流体連通している。大気との接続は、好ましくは、フィルタ、特に疎水性フィルタ及び/又は滅菌フィルタ及び/又は制限器及び/又は弁を通じて行われる。ある一定の抵抗は、これによってメンブレンを通じた第1のチャンバからの空気での第2の部分回路の充填に対して残り、これは、充填処理に起因した圧力変化をもたらす。
【0054】
本発明の可能な実施形態では、液体及び/又は空気は、第1の部分回路を通じたメンブレンフィルタの第1のチャンバの充填中にメンブレンフィルタの下流で第1の部分回路に配置された2次空気分離器の中に第1のチャンバから移される。第1のチャンバの充填及び第1のチャンバからの空気の除去は、これによって改善する。
【0055】
可能な実施形態では、2次空気分離器は、特に、対応する流体接続が閉鎖される又はポンプが作動されないという点で、少なくとも時々システムの液体排水管に接続されない。液体は、これにより、充填が加速されるようにシステムから流出しない。
【0056】
本発明の可能な実施形態では、メンブレンフィルタの下流で第1の部分回路に配置された2次空気分離器は、第1の部分回路を通じたメンブレンフィルタの第1のチャンバの充填中に少なくとも時々大気に接続されない。流体回路の設計に依存して、これは、所望値への膜貫通圧力のより速い増大及び従ってメンブレンを通るより大きい体積流量という結果を有することができる。
【0057】
大気との接続は、例えば、空気が2次空気分離器内で検出された時に全体圧力制御式充填中にのみ確立される。
【0058】
2次空気分離器は、流入及び流出を好ましくは下側領域に、例えば、容器の底部に又は下側1/3に有する容器を有することができ、そのために空気は、容器の上側領域に集まり、容器内の液体レベルの低下を達成する。
【0059】
レベルの降下又は上昇は、レベルセンサを用いた血液処理装置の制御によって認識可能とすることができる。
【0060】
本発明の可能な代替実施形態では、メンブレンフィルタの下流で第1の部分回路に配置された2次空気分離器は、第1の部分回路を通じたメンブレンフィルタの第1のチャンバの充填中に大気に絶えず接続される。空気は、これにより、第1の部分回路によって大気の方向に移すこともできる。大気との接続は、2次空気分離器の容器の上側領域の開口部によって存在することができる。
【0061】
本発明の可能な実施形態では、第1の部分回路は、圧力制御式充填中に少なくとも時々平衡方式で充填されない。
【0062】
非平衡充填は、部分回路に供給されてそこから除去されるのが同じ液体体積ではないという意味をここでは有する。その結果、液体は、それにより、全体として第1の部分回路に供給される。平衡充填時に、同じ液体体積が、第1の部分回路に供給されてそこから除去される。それにより、取りわけ、第1の部分回路内の液体の置換があり、液体のこの置換と共に、その後に2次空気分離器内で分離することができる空気の置換もある。
【0063】
本発明の可能な実施形態では、第1の部分回路を通じたメンブレンフィルタの第1のチャンバの充填は、平衡フェーズなしで始まる。これに代えて又はこれに加えて、第1の部分回路を通じたメンブレンフィルタの第1のチャンバの充填は、少なくとも充填の検出まで非平衡方式で行われる。充填の検出は、例えば、2次空気分離器のレベルセンサを参照して行うことができる。
【0064】
本発明の可能な実施形態では、第1の部分回路を通じたメンブレンフィルタの第1のチャンバの充填は、これとは対照的に平衡フェーズを用いて行われ、これに非平衡フェーズが続く。平衡フェーズでは、第1のチャンバからの空気は、好ましくは、第1の部分回路内でメンブレンフィルタの下流に配置された2次空気分離器の中に移される。
【0065】
メンブレンフィルタの第1のチャンバの充填は、好ましくは、第1の部分回路の充填によって先行される。メンブレンフィルタの第1のチャンバの充填は、従って、好ましくは、第1の部分回路が他に既に充填された状況から始まる。
【0066】
第1の部分回路は、特に、第1の段階で充填することができ、メンブレンフィルタの第1のチャンバの充填は、第2の段階でのみ行うことができる。メンブレンフィルタは、第1の段階のために第1の部分回路から分離することができ、かつ第2の段階のためにのみ第1の部分回路に流体的に接続することができる。
【0067】
第1の部分回路は、好ましくは、メンブレンフィルタの第1のチャンバが第1の部分回路に流体的に接続されることなく第1の段階で充填され、メンブレンフィルタの第1のチャンバは、この第1のチャンバを充填するために第2の段階で第1の部分回路に流体的に接続される。
【0068】
メンブレンフィルタは、第1の段階のために弁を通じて第1の部分回路から分離することができ、及び/又はバイパスラインによって架橋することができる。弁は開かれる及び/又はバイパスラインは第1の部分回路の充填後に閉じられる。
【0069】
第1の段階は、メンブレンフィルタを血液処理装置に配置せずに行うことができ、それは、例えば、第1の部分回路を洗い流すために、例えば、先行する処理の終了時に行うことができる。次に続く処理では、第1の部分回路は、次に、メンブレンフィルタを除いて最初に既に充填されている。
【0070】
これに代えて、短絡片を第1の段階のためにメンブレンフィルタの代わりに第1の部分回路の中に挿入することができ、又はその端部を互いに直接に接続することができる。短絡片は、次に、第2の段階のために透析装置で置換され、及び/又は透析装置が第1の部分回路の中に挿入される。
【0071】
本発明は、膜によって半透過的に分離された第1及び第2のチャンバを有する少なくとも1つのメンブレンフィルタ、特に中空糸膜フィルタを結合することができる血液処理機械を更に含み、血液処理機械は、メンブレンフィルタの第1のチャンバが、第1の部分回路に配置され、メンブレンフィルタの第2のチャンバが、第2の部分回路に配置され、第1のポンプが、第1の部分回路内でメンブレンフィルタの上流に配置された第1の部分回路内の液体をポンピングするための第1のポンプの少なくとも1つの第1のポンプアクチュエータ及び第2の部分回路内の液体をポンピングするための少なくとも1つの第2のポンプアクチュエータと、第1の部分回路内の圧力及び第2の部分回路内の圧力を測定するための少なくとも2つの圧力センサと、圧力センサの信号を評価して血液処理機械のアクチュエータを制御する制御器とを含む。
【0072】
血液処理機械は、制御が、第1及び第2の部分回路で測定された圧力に依存して第1の部分回路を通じてメンブレンフィルタの第1のチャンバを充填するための第1のポンプアクチュエータの制御を実行する充填プログラムを含むことを特徴とする。本発明による方法に関してより詳細に既に上述した同じ利点がこれによってもたらされる。
【0073】
メンブレンフィルタは、好ましくは、処理を実行するために血液処理機械に結合される使い捨て品である。第2の部分回路は、好ましくは同様に使い捨て品である。
【0074】
血液処理機械の設計に依存して、第1の部分回路は、使い捨て品又は血液処理機械の固定要素とすることができる。
【0075】
本発明の可能な実施形態では、充填プログラムを実行するための制御器は、第1及び/又は第2の部分回路の弁を作動させる1又は2以上のポンプアクチュエータ及び/又は1又は2以上の弁アクチュエータを制御する。
【0076】
本発明の可能な実施形態では、充填プログラムの反復作動は、制御器によって自動的に行われる。
【0077】
本発明の可能な実施形態では、制御器は、より詳細に上述したような方法を実行するようにプログラムされる。
【0078】
本発明による血液処理機械は、特に血液透析のための及び/又は血液濾過のための及び/又は血液透析濾過のための特に透析機械とすることができる。
【0079】
本発明は、上述したような血液処理機械で及びメンブレンフィルタで構成された血液処理システムを更に含む。血液処理システムは、好ましくは、第1及び/又は第2の部分回路を更に含む。
【0080】
本発明をここで実施形態及び図を参照してより詳細に以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【
図1】本発明による血液処理システムの実施形態の流体回路の簡略概略図である。
【
図2】第1のチャンバの充填中の膜貫通圧力の進行が従来技術の方法に対して及び本発明による方法に対して示されている図である。
【
図3】本発明による方法での第1のチャンバの充填中に血液処理システムの個々の圧力センサによって測定された圧力の進行が示されている図である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
図1は、本発明による血液処理システムの実施形態の流体回路の簡略概略図を示している。これに関して、本発明の実行に寄与することができる少なくとも典型的に存在する血液処理システムの構成要素の流体回路を示している。しかし、図示して説明する全ての構成要素が、本発明の実行に絶対に必要というわけではない。このことは、個々の構成要素の機能に関する説明からもたらされる。
【0083】
血液処理システムは、メンブレンフィルタ1を含む。メンブレンフィルタ1は、メンブレン50によって半透過的に分離された第1のチャンバ2及び第2のチャンバ3を含む。
【0084】
血液処理システムは、第1の部分回路4及び第2の部分回路5を更に含む。メンブレンフィルタ1の第1のチャンバ2は、ここでは第1の部分回路4内に配置され、第2のチャンバ3は、第2の部分回路5内に配置される。メンブレンフィルタ1の第1のチャンバ2は、入口側で流入ライン6と、出口側で第1の部分回路の流出ライン7と連通する。
【0085】
実施形態では、メンブレンフィルタ1は、透析フィルタとして構成された中空糸膜フィルタである。第1の部分回路4は、ここでは透析液回路であり、第2の部分回路5は、体外血液回路である。
【0086】
血液処理システムは、ここでは概略的に示すに過ぎない血液処理機械40を更に含み、血液処理機械40は、第1の部分回路4内の液体をポンピングする第1のポンプ10の少なくとも1つの第1のポンプアクチュエータ、及び第2の部分回路5内の液体をポンピングするポンプ28の少なくとも1つの第2のポンプアクチュエータを含む。第1のポンプ10は、ここでは、透析液回路内でメンブレンフィルタ1の上流に配置される。
【0087】
第1の部分回路4内の液体をポンピングする第3のポンプ21の第3のポンプアクチュエータ及び第4のポンプ20の第4のポンプアクチュエータが更に設けられ、両方とも、透析液回路において2次空気分離器18の下流に配置される。
【0088】
第1の部分回路内の圧力を測定する圧力センサ35、36及び第2の部分回路内の圧力を測定する圧力センサ34、33が更に設けられる。血液処理機械40は、同様に概略的に示すに過ぎない制御器41を有し、制御器41は、圧力センサ33、36の信号を評価し、血液処理機械のアクチュエータを制御する。
【0089】
メンブレンフィルタ1及び第2の部分回路は、好ましくは使い捨て品として設計され、処理を実行する透析機械に結合することができる。第1の部分回路は、同様にシステムの実施形態に依存して使い捨て品として設計することができ、又は血液処理機械40の一部を少なくとも部分的に又は全面的に成すことができる。
【0090】
血液処理システムの好ましい特徴を以下により詳細に説明する。しかし、本発明は、異なる構造の血液処理システムで実施することができる。
【0091】
実施形態では、第1の部分回路4内の第1のポンプ10は、液体、実施形態では透析液を平衡チャンバアセンブリ11にライン13を通じてポンピングする給送ポンプを形成する。液体は、平衡チャンバアセンブリ11からライン14、6を通じて第1のチャンバ2の入口に流れる。
【0092】
滅菌フィルタ15は、実施形態ではライン14、6内に設けられる。置換ライン17の第2のフィルタ段を形成する更に別の滅菌フィルタ16が、更に滅菌フィルタ15の下流に配置される。
【0093】
メンブレンフィルタ1への流入を制御することができる弁42が、流入ライン6において第1のチャンバ2の上流に配置される。更に別の弁44が、更に流出ライン7において第1のチャンバ2の下流に設けられる。
【0094】
第1のチャンバ2の出口は、流出ライン7を通じて2次空気分離器18に接続される。2次空気分離器は、空気を2次空気分離器において認識することができるセンサ19を有する。
【0095】
空気分離器18の流出ライン45は、透析液ポンプとして構成された第3のポンプ21を通じて平衡チャンバアセンブリ11に接続される。消費された透析液は、透析液ポンプ21及び平衡チャンバアセンブリ11を通じて流出ライン23にポンピングされる。
【0096】
平衡チャンバアセンブリ11を迂回しながら透析液を流出ライン22に直接に空気分離器18からポンピングする限外濾過ポンプ20が更に第4のポンプとして設けられる。
【0097】
この実施形態での2次空気分離器18は、実施形態では、空気分離器18を流出ライン22に接続する通気弁43を更に有する。
【0098】
この実施形態での第2の部分回路は、メンブレンフィルタ1の第2のチャンバ3の入口に接続された流入ライン8、並びに第2のチャンバ3の出口に接続された流出ライン9を有する。
【0099】
実施形態では、流入ライン8は、体外血液回路5の動脈ラインの一部であり、流出ライン9は、体外血液回路の静脈ラインの一部である。動脈ラインは、患者側でのコネクタ24、動脈鉗子26、ヘパリンポンプ27、及びポンプホースセクション27、並びにローラーポンプ28内に配置することができるポンプホースセクションを含む。静脈ラインは、泡トラップ29、泡検出器38、静脈クランプ37、及び患者側でのコネクタ25を有する。
【0100】
圧力センサ33は、フィルタ30、例えば、疎水性フィルタ及び/又は滅菌フィルタを通じて静脈泡トラップ29に配置される。泡トラップは、更にフィルタ30及び制限器32を通じて大気に接続され、この接続は、弁46によってを開閉することができる。メンブレン50の一体性試験を実行することができる空気ポンプ31が更に設けられる。
【0101】
圧力センサ35及び36がこの実施形態では設けられ、圧力センサ35及び36を通じて、圧力は、第1の部分回路4内のメンブレンフィルタ1の第1のチャンバの上流及び下流で測定することができる。圧力センサ33が、更に第2の部分回路の静脈ライン内の圧力を測定するために設けられ、動脈圧を閉塞ローラーポンプ28の上流で測定する圧力センサ34が設けられる。
【0102】
透析液は、給送ポンプ10、透析液ポンプ21、及び平衡チャンバアセンブリ11の効果のために血液処理中に第1の部分回路4において均衡方式で移動される。透析液は、ここでは、平衡チャンバアセンブリ11から滅菌フィルタ15を通じてメンブレンフィルタ1の第1のチャンバ2に、そこから先へ2次空気分離器19及び透析液ポンプ21を通じて平衡チャンバアセンブリ11に流れる。第2の部分回路5では、血液は、動脈コネクタ24から血液ポンプ28を通じて第2のチャンバにポンピングされ、逆流して第2のチャンバを通って透析液まで流れ、泡トラップ29を通じて静脈コネクタ25に流れる。
【0103】
処理開始前に、第1の部分回路4、第2の部分回路5、及びメンブレンフィルタ1を充填にして任意的に洗い流さなければならない。
【0104】
本発明による充填方法の実施形態を以下により詳細に説明する。
【0105】
実施形態では、最初に、第1の部分回路4をメンブレンフィルタ充填前に液体で充填する。このために。短絡片38を流入ライン6と第1の部分回路4の流出ライン7の間にメンブレンフィルタ1の代わりに第1の部分回路に挿入する。液体での第1の部分回路4の充填は、例えば、平衡チャンバアセンブリの平衡チャンバを新鮮な透析液で充填する給送ポンプ10を作動させることによって行われ、新鮮な透析液は、例えば、透析液ポンプ21によってポンピングされる液体の置換によってこの平衡チャンバからライン14に移される。これに代えて、液体はまた、給送ポンプ10によって弁位置によってポンプに流体的に接続されていない第1の平衡チャンバ11の平衡チャンバ半分から流体的に接続されていない第2の平衡チャンバ11’の第2の平衡チャンバ半分に移すことができ、液体は、第2の平衡チャンバ11’の更に別の平衡チャンバ半分からライン14に移動することができる。
【0106】
第1の部分回路充填後に、第1のまだ充填されていないメンブレンフィルタ1を短絡片38の代わりに第1の部分回路に挿入する。第2の部分回路5は、同様にメンブレンフィルタ5に接続され、従って、液体がまだ充填されていない。
【0107】
本発明により、メンブレンフィルタ1の第1のチャンバ2に第1の部分回路4を通じて液体を充填する第1のポンプ10の圧力制御式制御がここで行われる。圧力は、ここでは、第1及び/又は第2の部分回路で測定され、充填は、測定された圧力に依存して制御される。充填の制御は、好ましくは、血液処理機械の制御器41の充填プログラムによって行われる。
【0108】
従って、本発明による手順又は本発明による制御の中心的な特徴は、第1のポンプ10を制御する圧力制御式充填プログラムであり、この充填プログラムは、メンブレンフィルタ内の空気混入物を回避することを意図している。
【0109】
ポンプ10の制御、始動、及び/又は停止が本明細書で挙げられる場合に、それは、ポンプ自体が明らかに搬送し続けるが、液体の移送は、1又は2以上の弁、例えば、平衡チャンバの弁を開閉することによって影響を受け、特に放出及び/又は停止されるという事実も包含する。
【0110】
充填プログラムは、好ましくはメンブレンフィルタ1のメンブレン50にわたる膜貫通圧力に依存して充填を制御する。
【0111】
圧力制御式充填は、好ましくは、静脈圧の変化がある限り継続され、特に、圧力変動は圧力センサ33を通じて観察される。
【0112】
圧力制御式充填を終了するために満足しなければならない任意的な更に別の条件として、空気は、2次空気分離器でもはや検出されないという要求を行うことができる。
【0113】
最小残留充填フェーズは、これに続くことができる。
【0114】
本発明による充填プログラム及び方法の好ましい実施形態の特徴を以下に説明する。
【0115】
圧力制御式充填プログラムでは、血液処理機械は、好ましくは充填切り換えを行い、すなわち、給送ポンプ10は、液体を第1の部分回路4においてメンブレンフィルタ1の方向に搬送する。
【0116】
この目的のために、平衡チャンバアセンブリ11は、充填切り換えのために関連付けられた弁12を通じて切り換わる2つの平衡チャンバ11’及び11’’を有し、そのために平衡作動は存在せず、むしろ一方の平衡チャンバが他方を駆動する。
【0117】
流れは、実施形態ではメンブレンフィルタ1が接続された後に最大6回目の切り換えまでの予め定められた切り換えまで第1の低流量まで抑制することができる。これは、例えば、実施形態では500ml/minである。予め定められた切り換え後に、充填ポンプ10は、これとは対照的に、第2のより高い流量で機能することができる。これは、好ましくは、1000ml/min超であり、例えば、1200ml/minである。
【0118】
給送ポンプ10は、ここでは体積制御式で機能することができる。
【0119】
しかし、メンブレン50に作用する圧力がこの充填手順中に第1の閾値を超えた場合に、切り換えは中断され、及び/又は流量は、メンブレンにわたる圧力が再び第2の閾値よりも下がるまで低減される。第2の閾値は、好ましくは、過度に頻繁な切り換えを回避するために第1の閾値よりも低い。
【0120】
例えば、切り換えは中断することができ、及び/又は流量は、第1のチャンバ2の入口での圧力センサ35によって測定された圧力が230mmHg超えだけ圧力センサ33によって測定された静脈戻り圧を超えた時に低減することができる。中断は、静脈圧からの圧力差が再び200mmHgよりも低くなるまで維持される。通常の充填作動は、その後にのみ継続される。メンブレン上の圧力差は、これによって制限される。
【0121】
平衡チャンバの切り換えの中断は、例えば、給送ポンプ10と平衡チャンバアセンブリ11の間に配置された真水弁60が閉鎖されるということにおいて起こる可能性があると考えられる。
【0122】
本方法の実施形態に依存して、弁43は、第1のチャンバ2から空気を誘導する第2の流路が存在するように開放することができ、又は弁43を閉鎖することができる。閉状態の弁では、メンブレン上の空気を移すために必要とされるメンブレン上の圧力差を蓄積するのに要求される圧力は、より速く達する。これは、メンブレンフィルタ、特に、大きいメンブレンフィルタの充填を加速することができる。
【0123】
圧力制御式充填プログラム中に、液体移送は、2次空気分離器18から流出ライン22又は23まで行われず、すなわち、ポンプ20及び21は作動されず、及び/又は対応する弁は閉鎖されると規定することができる。
【0124】
静脈圧の推移は、圧力制御式充填プログラムが実行される限りモニタされる。静脈圧又は空気の変化及び/又は圧力変動が2次空気分離器18で観察される限り、ユニットは、上述したような圧力制御式充填プログラム内にあることに変わりはない。例えば、圧力センサ33を通じて測定される静脈圧の変動は、ここでは、第1のチャンバ2から第2のチャンバ3へのメンブレンフィルタ1のメンブレン50にわたる空気分離の兆候である。2次空気分離器18内の空気は、空気が第1のチャンバ2から流出ライン7に移されるという兆候である。
【0125】
静脈圧及び空気の圧力変化も例えば圧力変動も2次空気分離器18において検出されなかった場合に、メンブレンフィルタは、完全に充填されたと見なされる。
【0126】
しかし、充填プログラムは、完全な処理が検出されると透析装置を通じて最小回数の切り換えを行ない続ける。最小回数の切り換えは、好ましくは、圧力制御なしで実行される。空気は、万一この間に再び認識された場合に、2次空気分離器で弁43を通じて分離される。
【0127】
以下では、本発明による方法の実施形態を再度より詳細に説明する。
【0128】
第1の任意的な段階では、空気が、空気分離器が無負荷運転中であると仮定する必要があるほど長く2次空気分離器18において認識されるまで、メンブレンフィルタは、通常の、すなわち、平衡した平衡チャンバ切り換え(例えば、センサ19によって認識された空気での最大3回の切り換え)で充填される。しかし、本発明の可能な実施形態では、この第1の段階は不要とすることができる。
【0129】
本発明により、ユニットはまた、本発明による圧力制御式充填プログラムでは充填切り換え、すなわち、非平衡切り換えを行い、すなわち、給送ポンプ10は、メンブレンフィルタ1の方向に搬送する。例えば、流れは。500ml/minに制限される。
【0130】
充填切り換えでは、給送ポンプは、メンブレンフィルタの方向に全電力又は低減電力で搬送する。メンブレンでここから生じる圧力ピークは、最初に、システム内の適応性及び流れ抵抗によって制限される。過剰圧力が第1のチャンバと第2のチャンバとの間の透析装置メンブレンで発生されると、空気は、メンブレン50を通り越し、そこから第2のチャンバに通気部32を通じて環境に逃げることになる。これは、透析装置メンブレンが依然として濡れておらず、従って、気泡が位置付けられる複数の点で通気性である限り機能する。
【0131】
しかし、圧力センサ35(透析装置入口)での圧力が230mmHg超えだけ静脈戻り圧を超えた場合に、切り換えは、静脈圧からの圧力差が再び200mmHgよりも低くなるまで中断される。真水弁60は、その後にのみ再び開放される。メンブレン上の圧力差は、これによって制限される。
【0132】
メンブレン上の流量及び/又は圧力の制限により、空気クッションがその後にもはや分離することができない繊維束内に封入されないことが保証される。
【0133】
弁43は、第1の代案において連続開放である。メンブレンフィルタ1の第1のチャンバ2からの空気及び液体は、従って、更に、この経路上の排水管に到達することができる。この経路上でどれ程度の空気が逃げるかは、メンブレンの流れ抵抗、水力学、及び第2の部分回路内の通気に依存する。
【0134】
しかし、弁43は、実際の透析液出口圧力が存在しない限り、閉鎖することができ、これによって取りわけ、非常に大きいフィルタで充填を加速することができる。
【0135】
静脈圧の推移は、圧力制御式充填プログラムが実行される限りモニタされる。静脈圧又は空気の変動がセンサ19で観察される限り、ユニットは、以前の段階の場合と同様に圧力制御式充填プログラム内にあることに変わりはない。静脈圧の変動は、ここでは、空気がメンブレン上で置換し続けるという兆候である。
【0136】
メンブレンは、この段階の終わりに完全に湿潤化され(あるいは、メンブレンが例えば通気性ではない場合に、空気は、透析液出口上でもはや逃げない)、すなわち、メンブレンフィルタは、(回ることなく)可能な限り良好な程度に充填されるということが上述のモニタリング手順によって保証される。
【0137】
最小回数の切り換えは、依然として、そのような充填後のフィルタの検出後にメンブレンフィルタ上で実行される。空気は、この期間に再び認識された場合に、圧力制御式充填プログラムを通じて弁43を通じて分離される。
【0138】
図2は、ライン70として示されている従来技術の方法での、すなわち、圧力制御なしでの平均透析液圧の進行と比較したライン71として本発明による方法での、すなわち、圧力制御による平均透析液圧の進行を示している。平均透析液圧は、チャンバ1の入口(圧力センサ35)及びチャンバ1の出口(圧力センサ36)での圧力の平均値として計算される。
【0139】
液体又は空気は、第1の部分回路において置換されるだけであるので、両方の方法に使用される平衡充填フェーズ74中に印加される実際の透析液圧はまだない。しかし、本発明により、この平衡充填フェーズ74は、代替実施形態では不要とすることができる。
【0140】
非平衡充填フェーズ75のフレームワーク内では、ここで圧力は制御されるが、最大の到達透析液圧は、最初に各平衡チャンバ切り換えと共に増加する。第1の段階72では、圧力ピークは、第1の閾値77に依然として到達せず、その結果、圧力制御は介在しない。従って、透析液圧は、ここでは単に従来技術から知られていたような配管キットの柔軟性によって制限される。
【0141】
第2のフェーズ73では、圧力ピークは、これとは対照的に、第1の閾値77よりも大きい。これが制御器によって認識された場合に、制御器は膜貫通圧力及び/又は透析液圧が再び第2のより低い閾値78未満になるまで透析液の流入を停止する。通常の充填は、その時点で、第1の閾値を再び超えるまで再度開始される。従って、複数の圧力ピークは、この実施形態では平衡チャンバ切り換え毎に起こる。
【0142】
従来技術との比較が直接示すように、作動は、ここで従来技術に従うよりも実質的に低い最大透析液圧で実行される。圧力制限は、透析液が第1のチャンバの充填中に第1のチャンバから第2のチャンバに通過することを防止する。
【0143】
圧力が再び降下する洗い流しフェーズ76は、圧力制御式充填フェーズ75終了後に次に行われる。
【0144】
図3はここで本発明による充填の上述のフェーズ中の個々の圧力センサでの圧力推移を詳細に示している。個々のラインは、以下を示している。
80 圧力センサ35での圧力(第1のチャンバ2入口での圧力)
81 圧力センサ36での圧力(第1のチャンバ2出口での圧力)
82 圧力センサ33での圧力(静脈ライン/第2のチャンバ3内の圧力)
83 膜貫通圧力
84 第1のチャンバの充填状態
【0145】
静脈ライン又は第2のチャンバ3内の圧力82は、第1のチャンバから第2のチャンバへのメンブレンの上で置換された空気に起因して圧力制御式充填フェーズ75開始時に平衡チャンバ切り換えのサイクルにおいて変動することを容易に認識することができる。しかし、特定の回数の平衡チャンバ切り換え後に、これらの圧力変動は再び消失するが、その理由は、メンブレンがこの時点で浸漬され、空気をメンブレンの上でもはや移すことができないからである。第1のチャンバの下流では、透析液圧81もこれによって増加する。
【0146】
血液側での圧力82は、本発明により、メンブレンフィルタの完全な充填又はメンブレンを完全に浸漬することを検出するのに及び/又はより詳細に上述したような充填プログラムの時系列及び/又は持続時間を制御するのに使用することができる。圧力82の圧力変動の終了の検出には、特に、第1のチャンバが充填され続ける最小残留充填フェーズが伴う。
【0147】
膜貫通圧力は、圧力制御式充填プログラムにより、例えば、200又は250mbarの量に限定される。第2のチャンバへの透析液の通過は、これにより、高い膜貫通圧力がそのような圧力限界がなければ発生すると考えられる最小残留充填フェーズで防止される。
【0148】
実施形態では、圧力制御式充填プログラムは、閾値と比較される膜貫通圧力と直接的に機能する。しかし、代替実施形態では、平均透析液圧及び/又は第1のチャンバの入口での圧力は、閾値と比較して抑制することができ、その理由は、透析液側上の圧力及び特に第1のチャンバの入口での圧力は、いずれにしても血液側の圧力よりも実質的に大きく、従って、膜貫通圧力を実質的に決定するからである。
【0149】
第1のチャンバ充填後に、第2のチャンバは、従来技術で公知である方法に従って充填することができる。この充填は、例えば、メンブレン50を超える及び/又は置換ラインを通って通過する液体によって行うことができる。