(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】有益剤を含むコア-シェルのカプセル化された組成物
(51)【国際特許分類】
B01J 13/14 20060101AFI20250120BHJP
A61K 8/11 20060101ALI20250120BHJP
A61K 8/58 20060101ALI20250120BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20250120BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20250120BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20250120BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20250120BHJP
C11D 17/08 20060101ALI20250120BHJP
【FI】
B01J13/14
A61K8/11
A61K8/58
A61K8/73
A61Q5/00
A61Q19/10
A61Q19/00
C11D17/08
(21)【出願番号】P 2021568992
(86)(22)【出願日】2020-04-07
(86)【国際出願番号】 EP2020059827
(87)【国際公開番号】W WO2020233887
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-03-14
(32)【優先日】2019-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デンベレ-クンツマン,ファティマタ
(72)【発明者】
【氏名】デーニゴット,マリオン
(72)【発明者】
【氏名】ハリソン,イアン ミヒャエル
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-528513(JP,A)
【文献】国際公開第2019/002380(WO,A1)
【文献】特開2013-027322(JP,A)
【文献】特表2015-507522(JP,A)
【文献】特表2019-522027(JP,A)
【文献】特表2018-518479(JP,A)
【文献】特開2017-001031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J13/02-13/22
C11B 9/00- 9/02
C11D 1/00-19/00
A61K 9/00-47/69
A23L 9/00- 9/22
A23L27/00-27/60
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのコア-シェルマイクロカプセルを含むカプセル化された組成物であって、ここで少なくとも1つのコア-シェルマイクロカプセルは、少なくとも1つの有益剤を含むコアおよびコアを囲むシェルを含み、ここでシェルは、ポリマー型界面活性剤の少なくとも1つのアミノシランとの組み合わせによって形成されるポリマー型安定剤を含み、ここでポリマー型界面活性剤は、カルボン酸基を含む多糖類を含
み、
ここで、アミノシランが、バイポーダルアミノシランであり、ここで、バイポーダルアミノシランが、少なくとも1つのアミノ基および2つの残基を含み、それらの残基の各々が少なくとも1つのアルコキシシラン部分を持つ、前記組成物。
【請求項2】
カルボン酸基を含む多糖類が、ウロン酸ユニッ
トを含む、請求項1に記載のカプセル化された組成物。
【請求項3】
カルボン酸基を含む多糖類が、ヘキスロン酸ユニットを含む、請求項1に記載のカプセル化された組成物。
【請求項4】
ヘキスロン酸ユニットが、ガラクツロン酸ユニット、グルクロン酸ユニッ
ト、グルロン酸ユニットおよびマンヌロン酸ユニットからなる群から選択される、請求項
3に記載のカプセル化された組成物。
【請求項5】
カルボン酸基を含む多糖類が、分枝状である、請求項1~
4のいずれか一項に記載のカプセル化された組成物。
【請求項6】
カルボン酸基が、対応するメチルエステルの形態で部分的に存在する、請求項1~
5のいずれか一項に記載のカプセル化された組成物。
【請求項7】
対応するメチルエステルの形態で存在するカルボン酸基のパーセンテージが、3%から95%ま
でである、請求項
6に記載のカプセル化された組成物。
【請求項8】
カルボン酸基が、対応するカルボン酸
塩の形態で少なくとも部分的に存在する、請求項1~
7のいずれか一項に記載のカプセル化された組成物。
【請求項9】
カルボン酸基を含む多糖類が、少なくとも部分的にアシル化される、請求項1~
8のいずれか一項に記載のカプセル化された組成物。
【請求項10】
ポリマー型界面活性剤が、ペクチン、アラビアゴムおよびアルギナートから選択される、請求項1~
9のいずれか一項に記載のカプセル化された組成物。
【請求項11】
ポリマー型界面活性剤が、pH4.5、温度25℃において1時間の平衡化後に計測された場合に、0.01重量%の塩化ナトリウムを含有する1重量%の水性溶液中で、45mN/m未
満の表面張力を生じさせる、請求項1~
10のいずれか一項に記載のカプセル化された組成物。
【請求項12】
バイポーダルアミノシランが、二級アミノシランである、請求項
1~11のいずれか一項に記載のカプセル化された組成物。
【請求項13】
二級バイポーダルアミノシランが、ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)アミンである、請求項12に記載のカプセル化された組成物。
【請求項14】
ポリマー型界面活性剤に対するアミノシランの重量比率が、0.1から1.1ま
でである、請求項1~13のいずれか一項に記載のカプセル化された組成物。
【請求項15】
ポリマー型安定剤が、ポリマー型界面活性剤の少なくとも1つのアミノシランおよびさらには多官能イソシアネートとの組み合わせにより形成される、請求項1~14のいずれか一項に記載のカプセル化された組成物。
【請求項16】
多官能イソシアナートが、2-エチルプロパン-1,2,3-トリイルトリス((3-(イソシアナートメチル)フェニル)カルバマート)である、請求項15に記載のカプセル化された組成物。
【請求項17】
ポリマー型安定剤が、ペクチンのビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)アミン
との組み合わせにより形成される、請求項
10または13に記載のカプセル化された組成物。
【請求項18】
カプセル化された組成
物であって、少なくとも1つのコア-シェルマイクロカプセルを含み、ここで少なくとも1つのコア-シェルマイクロカプセルは、少なくとも1つの有益剤を含むコアおよびコアを囲むシェルを含み、ここでシェルは、ポリマー型界面活性剤の少なくとも1つのアミノシランとの組み合わせにより形成されるポリマー型安定剤を含み、ここでシェルは、追加的に、多糖
類を含
み、
ここで、アミノシランが、バイポーダルアミノシランであり、ここで、バイポーダルアミノシランが、少なくとも1つのアミノ基および2つの残基を含み、それらの残基の各々が少なくとも1つのアルコキシシラン部分を持つ、前記組成物。
【請求項19】
多糖類が、ポリマー型安定剤により形成されたカプセルシェルの外側表面上に堆積される、請求項18に記載のカプセル化された組成物。
【請求項20】
シェルが
、安定化剤
でさらに安定化される、請求項18または19に記載のカプセル化された組成物。
【請求項21】
カプセル化された組成
物を調製するための方法であって、方法は、以下のステップ:
a)ポリマー型界面活性剤を提供すること
b)水相を提供すること;
c)ポリマー型界面活性剤を水相に溶解または分散すること;
d)少なくとも1つのアミノシランを提供すること
、ここで、アミノシランが、バイポーダルアミノシランであり、ここで、バイポーダルアミノシランが、少なくとも1つのアミノ基および2つの残基を含み、それらの残基の各々が少なくとも1つのアルコキシシラン部分を持つ;
e)少なくとも1つの有益剤を含む油相を提供すること;
f)任意に:少なくとも1つのアミノシランを油相に溶解すること;
g)ポリマー型界面活性剤およびアミノシランの両方の存在下で油相および水相を乳化して、水相において油滴のエマルションを形成すること;
h)少なくとも1つのアミノシランおよびポリマー型界面活性剤に、乳化された油滴の油-水界面においてシェルを形成させ、それによってマイクロカプセルのスラリーを形成すること;
i)任意に:多糖類を、ステップh)で形成されたマイクロカプセルのスラリーに添加すること、
を含む、前記方法。
【請求項22】
消費者製品における有益剤の性能を向上するための、請求項1~
20のいずれか一項に記載のカプセル化された組成物の使用。
【請求項23】
消費者製品が
、ファブリックケア洗浄剤およびコンディショナー、ヘアケアコンディショナー、シャンプー、ヘビーデューティー液体洗浄剤、ハード表面クリーナー、洗浄剤粉末、石鹸、シャワーゲルおよびスキンケア製品からなる群から選択される、請求項1~
20のいずれか一項に記載のカプセル化された組成物を含む消費者製品。
【請求項24】
ポリマー型界面活性剤の少なくとも1つのアミノシランとの組み合わせによって形成されたポリマー型安定剤であって、ここで、ポリマー型界面活性剤は、カルボン酸基を含む多糖類を含
み、
ここで、アミノシランが、バイポーダルアミノシランであり、ここで、バイポーダルアミノシランが、少なくとも1つのアミノ基および2つの残基を含み、それらの残基の各々が少なくとも1つのアルコキシシラン部分を持つ、前記ポリマー型安定剤。
【請求項25】
有益剤のカプセル化における、請求項
24に記載のポリマー型安定剤の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのコア-シェルマイクロカプセルを含むカプセル化された組成物に関する。本発明はまた、かかるカプセル化された組成物を調製するための方法に、および消費者製品における有益剤の性能を向上するためのそれらの使用に関する。さらにまた、本発明は、ポリマー型安定剤を、ならびに有益剤のカプセル化におけるかかるポリマー型安定剤の使用を指す。
【背景技術】
【0002】
家庭用ケア、パーソナルケアおよびファブリックケア製品などの消費者製品において、カプセル化された有益剤を組み込むことは知られている。有益剤は、例えばフレグランス、化粧品剤、食品成分、栄養補助食品、薬物および基質エンハンサーを包含する。
【0003】
かかる有益剤の送達のためにとくに好適なマイクロカプセルは、コア-シェルマイクロカプセルであり、ここでコアは通常有益剤を含み、シェルは、有益剤に対して不浸透性または部分的に不浸透性である。一般に、これらのマイクロカプセルは、水性媒体において用いられ、カプセル化された有益剤は、疎水性である。シェル材料がカプセル化された有益剤に対して不浸透性または部分的に不浸透性である限り、幅広いシェル材料の選択が使用されることができる。
【0004】
有益剤は、様々な理由のためにカプセル化される。マイクロカプセルは、かかる材料を、これらがその中においては不適合であり得るもしくは不安定であり得る、消費者製品のベースなどの外部懸濁媒体から分離および保護することができる。それらは、皮膚もしくは毛髪などの基質、または香料成分の場合にはファブリックもしくは家庭内の硬い表面への、有益剤の付着を助けるためにも使用される。それらは、有益剤の時空間的な放出を制御する手段としても作用することができる。
【0005】
カプセル化された組成物の調製のために好適な幅広い種類のカプセル化媒体ならびに有益剤が、先行技術において提案されてきた。かかるカプセル化媒体は、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリアクリラート、メラミン由来樹脂、またはそれらの混合物から製造された合成樹脂を包含する。
好適な有益剤については、剤のある物理化学的特徴、なかでも注目すべきことにはそのclogPが、それがカプセル化されることができるかおよびどの程度カプセル化されることができるかに、ならびにカプセル化された場合には、製造および保管の間に実質的な漏出なくコアに留まるその傾向に、影響するであろうことが一般に受け入れられている。
【0006】
熟練した処方者の手においては、シェル形成材料およびコア材料の両方の賢明な選択が、多くの消費者製品において安定したマイクロカプセル化された組成物をもたらすことができ、これは有益剤放出の経時的な調節を可能とする。しかしながら、十分に確立されたシェル化学の、コア材料の適切な処方との組み合わせの使用でさえも、処方者は、一方で、マイクロカプセルが、安定であるためかつ製造および保管の間に漏出することがないために、充分に堅固であること、および他方で、適用において所望されるコア内容物の許容し得る放出があること、を保証するという、難しいトレードオフに直面する。有益剤をカプセル化することの別の解決の難しい側面は、カプセル形成の間の、シェル形成化合物のカプセル化される材料との望ましくない副反応の制御である。
一例として、US 2016/207187 A1は、アミノプラストコアシェルマイクロカプセルを開示する。これらのマイクロカプセルは、製造および適用の両方において優れた特性を有する。
【0007】
しかしながら、今日、消費者は、合成石油化学などの非再生可能な供給源から得られた材料を使用することを、益々懸念するようになっている。換言すれば、消費者は、環境および資源保護の点でより持続可能な由来である材料を好む傾向にある。それにもかかわらず、有益剤のカプセル化のすべての側面に応える天然の材料または天然に由来する材料を使用することは、一般に難しい。具体的に、高いカプセル化効率とともにカプセル化することができる、また、保管の間有益剤に対して充分に不浸透性であるカプセルを形成する手段は、捉えにくいことが証明されている。
【0008】
したがって、本発明の根本的課題は、先行技術における上述の欠点を克服することである。とりわけ、本発明の根本的課題は、具体的には増加したレベルの天然の材料または天然に由来する材料を含むことによってより持続可能で、一方で製造、保管および適用の両方の間で所望される有益剤の放出特性を維持する、上述の種類のカプセル化された組成物を提供することである。さらにまた、組成物は、操作上安全で、堅固で、および費用対効果が高いプロセスで生産可能であるべきである。
【0009】
これらの問題は、本発明によるカプセル化された組成物によって解決される。かかる組成物は、少なくとも1つのコア-シェルマイクロカプセルを含む。少なくとも1つのコア-シェルマイクロカプセルは、少なくとも1つの有益剤を含むコアおよびコアを囲むシェルを含む。シェルは、ポリマー型界面活性剤の少なくとも1つのアミノシランとの組み合わせによって形成されるポリマー型安定剤を含む。ポリマー型界面活性剤は、カルボン酸基を含む多糖類を含み、とくに、これらからなる。
【0010】
本文脈において、用語「有益剤」は、製品に添加されたときに、消費者によるこの製品の知覚を改善し得る、または適用におけるこの製品の作用を向上し得る全ての物質を指す。典型的な有益剤は、香料成分、フレーバー成分、化粧品成分、バイオ活性剤(例えば殺菌剤、昆虫忌避剤およびフェロモンなど)、基質エンハンサー(例えばシリコーンおよび光沢剤など)、酵素(例えばリパーゼおよびプロテアーゼなど)、染料、色素および栄養補助食品を包含する。
【0011】
用語「ポリマー型界面活性剤」は、油相および水相の一方または両方に溶解されたときに、油相および水相の間の界面張力を低下させる特性を持つ、多糖類または少なくとも1つの多糖類を含む混合物を指す。この界面張力を低下させる能力は「界面活性」と呼ばれる。
【0012】
用語「組み合わせによって形成される」は、本文脈において、ポリマー型界面活性剤および少なくとも1つのアミノシランが、互いに接触して、ポリマー安定剤を生成することを意味する。いかなる理論に対しても縛られることなく、この形成は、ポリマー界面活性剤および少なくとも1つのアミノシランの間の相互作用、たとえば、分散力、静電力、または水素結合などを通じた結果であることができる。しかしまた、厳密な意味において、共有結合を形成する化学反応も、この用語による範囲とされる。
【0013】
換言すれば、ポリマー型安定剤は、ポリマー型界面活性剤に由来する部分および少なくとも1つのアミノシランに由来する部分を含む集合とみなされることができる。
本発明の文脈において、ポリマー型界面活性剤は、水相または水中で、夫々可溶性または分散性である。これは、これらの液体において、個々のポリマー型界面活性剤の高分子は、実質的に互いから分離されることを意味する。その結果得られる系はヒトの目で観察されたときには透き通ってまたは濁って見える。
【0014】
先行技術の問題に取り組む中で、本明細書に上記に定義されるとおりのポリマー型界面活性剤を少なくとも1つのアミノシランと組み合わせることはポリマー型安定剤の形成をもたらし、それは、先行技術において知られている安定剤よりも、とくに環境および資源保護の点でより持続可能であることが見出された。いかなる理論によっても縛られることなく、カルボン酸基は、本明細書中で述べられた方法で少なくとも1つのアミノシランと相互作用し得ると推測される。
【0015】
カルボン酸基を含む多糖類はウロン酸ユニット、とくにヘキスロン酸ユニットを含み得る。ウロン酸ユニットを有する多糖類、とくにヘキスロン酸ユニットは、広く天然において入手可能である。
【0016】
ヘキスロン酸ユニットは、ガラクツロン酸ユニット、グルクロン酸ユニット、とくに4-O-メチル-グルクロン酸ユニット、グルロン酸ユニットおよびマンヌロン酸ユニットからなる群から選択されることできる。
【0017】
カルボン酸基を含む多糖類は、分枝状であり得る。カルボン酸基を含む分枝状の多糖類は、線状の多糖類よりもよりコンパクトなネットワークを形成する利点を有し、したがってシェルをカプセル化することの不浸透性に有利であり得、漏出の減少およびより増大したカプセル化効率をもたらす。
【0018】
カルボン酸基は、対応するメチルエステルの形態で部分的に存在することができる。対応するメチルエステルの形態で存在するカルボン酸基のパーセンテージは、3%から95%まで、好ましくは4%から75%まで、より好ましくは5から50%までであることができる。代替的に、対応するメチルエステルの形態で存在するカルボン酸基のパーセンテージは、50%未満であることができる。
【0019】
本発明の文脈において、カルボン酸基(その50%以上が、対応するメチルエステルの形態で存在する)を含む多糖類は、「高メトキシル化」と称される。カルボン酸基(その50%未満が、対応するメチルエステルの形態で存在する)を含む多糖類は、「低メトキシル化」と称される。
【0020】
カルボン酸基は、対応するカルボン酸塩、とくに対応するカルボン酸ナトリウム塩、カルボン酸カリウム塩、カルボン酸マグネシウム塩またはカルボン酸カルシウム塩の形態で少なくとも部分的に存在することができる。
【0021】
本発明の代替的な実施態様において、カルボン酸基は少なくとも部分的に、ジルコニウム種、チタン種およびホウ素種からなる群から選択される種との複合体の形態で存在することができ、ここで、種はとくにオキシドである。
【0022】
いかなる理論によっても縛られることなく、多糖類におけるカルボン酸塩または複合体の存在は、水中でのそれらの可溶性を限定しおよびそれによってカプセルシェルの形成を促進する、と推測される。さらにまた、多価金属種は分子間の架橋を促進し得、それはまたシェルのカプセル化特性を改善し得る。
【0023】
カルボン酸基を含む多糖類は少なくとも部分的にアシル化され得る。本明細書中で述べられたメチルエステル基と同様に、多糖類ユニットの部分的なアシル化はポリマー型界面活性剤の界面活性を向上することができる。
【0024】
ポリマー型界面活性剤は、ペクチン、アラビアゴムおよびアルギナートから選択されることができる。例において説明されるように、これらの多糖類は、本発明に従ってマイクロカプセルを、とくに取り扱い、保管安定性および嗅覚の性能の点で実施させるのに最も好適な可溶性、粘度および界面活性の組み合わせを提示する。ポリマー型界面活性剤はまた、ヒアルロン酸であり得る。
【0025】
ポリマー型界面活性剤は、塩化ナトリウムを0.01重量%含有する1重量%の水性溶液中で、pH4.5、温度25℃において1時間の平衡化後に計測された場合に、45mN/m未満、より具体的には35mN/m未満、よりいっそう具体的には25mN/m未満の表面張力を生じさせ得る。
【0026】
ポリマー界面活性剤の界面活性を評価する便利な方法は、ポリマー界面活性剤を含む水相と空気の間の界面の張力を測定することである。この張力は、「表面張力」と呼ばれ、一般にmN/mで表される。表面張力は、当業者に周知である数多の方法によって測定され得る。本発明の文脈において、表面張力は、Pending Drop方法により計測される。
【0027】
所定のポリマー型界面活性剤について、表面張力は、温度、および水相におけるこのポリマー界面活性剤の濃度に依存する。さらにまた、ポリマー型界面活性剤は、カチオン性基またはアニオン性基を含む高分子電解質、またはカチオンまたはアニオンを形成することができる基を含むポリマーである場合、表面張力は追加的にイオンの強度および/または水相のpHに依存する。純水の表面張力は、25℃で約72mN/mである。
【0028】
ポリマー型安定剤の形成に用いられるアミノシランは式(I)で表される化合物から選択されることができる。
【化1】
【0029】
式(I)において、R1、R2およびR3は、各々独立してC1~C4線状または分枝状のアルキルまたはアルケニル残基、とくにメチルまたはエチルであり、またR4は、C1~C12、好ましくはC1~C4、で、アミン官能基、とくに一級、二級または三級のアミンを含む線状または分枝状のアルキルまたはアルケニル残基である。
【0030】
官能基が、一級アミンのとき、末端の一級アミンであることができる。R4は、そのとき好ましくはC1~C8、さらにいっそう好ましくはC1~C4、線状の末端の一級アミノアルキル残基である。このカテゴリーの特定のアミノシランは、アミノメチルトリエトキシシラン、2-アミノエチルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、4-アミノブチルトリ-エトキシシラン、5-アミノペンチルトリエトキシシラン、6-アミノヘキシルトリエトキシシラン、7-アミノヘプチルトリエトキシシランおよび8-アミノオクチルトリエトキシシランからなる群から選択される。
【0031】
いかなる理論によっても縛られることなく、シラン基は互いに重縮合し液体-液体界面において、追加的に界面を安定化するシリカネットワークを形成すると推測される。
【0032】
アミノシランは、バイポーダルアミノシランであることができる。「バイポーダルアミノシラン」によっては、少なくとも1つのアミノ基および2つの残基を含み、それらの残基の各々が少なくとも1つのアルコキシシラン部分を持っている分子が意味される。
【0033】
本発明の具体的な実施態様において、少なくとも1つのバイポーダルアミノシランは式(II)を有する。
(O-R4)(3-f)(R3)fSi-R2-X-R2-Si(O-R4)(3-f)(R3)f
式(II)
【0034】
上記式(II)において、Xは、-NR
1-、-NR
1-CH
2-NR
1-、-NR
1-CH
2-CH
2-NR
1-、-NR
1-CO-NR
1-、または
【化2】
を表す。
【0035】
上記式(II)において、R1は各々独立してH、CH3またはC2H5を表す。R2は、各々独立して1~6個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキレン基を表す。R3は、各々独立して1~4個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル基を表す。R4は、各々独立してHを、または1~4個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル基を表す。fは、0、1または2を表す。
【0036】
バイポーダルアミノシランは、安定した油-水界面を形成するために、従来のシランと比較されてもとくに有利である。
バイポーダルアミノシランの例は、ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)アミン、N,N’-ビス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)尿素、ビス(3-(メチルジエトキシシリル)プロピル)アミン、N,N’-ビス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)エタン-1,2-ジアミン、ビス(3-(メチルジメトキシシリル)プロピル)-N-メチルアミンおよびN,N’-ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)ピペラジン、を包含するがこれらに限定されない。
【0037】
バイポーダルアミノシランは二級アミノシランであることができる。二級バイポーダルアミノシランを、一級アミノシランの代わりに使用することは、求電子性種、具体的にはアルデヒドに関してのポリマー型安定剤の反応性を低減する。ゆえに、高濃度のアルデヒドを含有する有益剤はコア-形成材料およびシェル-形成材料間の不利な相互作用へのより低い傾向とともにカプセル化され得る。
【0038】
二級バイポーダルアミノシランは、ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)アミンであることができる。この具体的な二級アミノシランは、エトキシシラン基の重縮合の間に、より毒性があり、より所望されないメタノールの代わりにエタノールを放出するという利点を有する。
他のアミノシランもまた、先述のバイポーダルアミノシラン、とくに本明細書に前記記載のとおりのアミノシランと組み合わせて使用され得る。
【0039】
ポリマー型界面活性剤に対するアミノシランの重量比率は、0.1から1.1まで、具体的には0.2から0.9まで、さらにいっそう具体的には0.3から0.7まで、例えば0.5であることができる。
【0040】
ポリマー安定剤は、ポリマー界面活性剤の少なくとも1つのアミノシランおよびさらには多官能イソシアナートとの組み合わせにより形成されることができる。多官能イソシアナートはポリマー型界面活性剤の油/水界面における配置を密集させ得る。いかなる理論によっても縛られることなく、多官能イソシアナートはアミノシランおよび多糖類の両方を、ポリ尿素およびポリウレタン結合を形成することによって架橋すると仮定される。
【0041】
多官能イソシアナートはアルキル、脂環式、芳香族およびアルキル芳香族、ならびに、陰イオン変性された1分子に、2以上の(例として3、4、5、等々)イソシアナート基を有する多官能イソシアナート、から選択され得る。
好ましくは、少なくとも1つの多官能イソシアナートは、芳香族、またはアルキル芳香族多官能イソシアナートで、アルキル芳香族多官能イソシアナートは、好ましくは芳香環に結合されたメチルイソシアナート基を有する。芳香族多官能イソシアナートおよびメチルイソシアナート-置換芳香族多官能イソシアナートの両方が、アルキルおよび脂環式多官能イソシアナートに比べられてより優れた反応性を有する。これらの間で、2-エチルプロパン-1,2,3-トリイルトリス((3-(イソシアナートメチル)フェニル)カルバマート)は、分子間の架橋形成に有利に働くそのトリポーダル性質の故に、およびネットワーク均一性に有利に働くその中間体反応性の故にとくに好ましい。このアルキル芳香族多官能イソシアナートは市販で、Takenate D-100 Nの商標でMitsuiにより販売され、またはDesmodur(登録商標)quix 175の商標でCovestroにより販売されている。
【0042】
芳香族またはアルキル芳香族多官能イソシアナートへの代替として、陰イオン変性された多官能イソシアナートを加えることは、かかる多官能イソシアナートの油/水界面において、および、油/水界面に近い水相中ですら、反応する能力の故にまた有利であり得る。とくに好適な陰イオン変性された多官能イソシアナートは、式(III)を有する。
【化3】
【0043】
式(III)は、市販の陰イオン変性されたポリイソシアナートを示し、それは、ヘキサメチレンジイソシアナートの改変されたイソシアヌレートで、Bayhydur(登録商標)XP2547の商標でCovestroにより販売されている。
【0044】
本発明のとくに好ましい態様において、ポリマー型安定剤は、ペクチンのビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)アミンとの組み合わせによって形成される。好ましくは、ポリマー型安定剤は、ペクチンのビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)アミンおよび2-エチルプロパン-1,2,3-トリイルトリス((3-(イソシアナートメチル)フェニル)カルバマート)との組み合わせによって形成される。これらの天然のポリマー型界面活性剤およびバイポーダル二級アミノシランとの組み合わせは、とくに有利な界面安定性および放出特性を提供する。安定化された界面は、コアに含まれる少なくとも1つの有益剤を有効にカプセル化するために充分に不浸透性となる。ポリマー型安定剤はコアに含まれる少なくとも1つの香料成分をカプセル化するシェルを有効に形成する。
【0045】
本発明に従うコア-シェルマイクロカプセルは一般に1~100μm、好ましくは5~50μm、さらにいっそう好ましくは10~30μmの体積平均サイズ(d50)を有する。
【0046】
別の側面において、本発明は、カプセル化された組成物、とくに本明細書に上記記載のとおりの組成物に関する。カプセル化された組成物は、少なくとも1つのコア-シェルマイクロカプセルを含む。少なくとも1つのコア-シェルマイクロカプセルは、少なくとも1つの有益剤を含むコアおよびコアを囲むシェルを含む。シェルは、ポリマー型界面活性剤の少なくとも1つのアミノシランとの組み合わせによって形成されるポリマー型安定剤を含む。シェルは、追加的に多糖類を、好ましくはベータ(1→4)結合単糖類ユニットを含む多糖類、より好ましくはセルロース誘導体、具体的にはヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースアセタートおよびカルボキシメチルセルロース、からなる群から選択されるもの、好ましくはヒドロキシエチルセルロースを含む。
【0047】
いかなる疑いをも避けるために、上記の段落において触れられるポリマー型安定剤はカルボン酸基を含む多糖類である必要はない。上記の段落において触れられるポリマー型安定剤がカルボン酸基を含む多糖類である場合には、シェルに追加的に含まれる多糖類は、さらなる多糖類である。
【0048】
ポリマー型安定剤は、保管中の香料漏出および使用中の条件下での香料放出の両方とマイクロカプセル安定性との間のバランスに関係のある因子であることが見出されている。とくに、油-水界面の追加の安定化を提供することの重要性が認識されている。よってポリマー型安定剤は安定したプラットホームを提供し、追加的なシェル材料および/またはシェル前駆体の添加が新規のカプセル化された香料組成物を形成することを許容する。より特定的に言うと、多糖類、好ましくはベータ(1→4)結合単糖類ユニットを含む多糖類、さらにいっそう好ましくはセルロース誘導体、の添加は高度に持続可能なマイクロカプセルに優れた放出プロファイルを導く。
【0049】
多糖類はポリマー安定剤により形成されたカプセルシェルの外側表面上に堆積され得る。これは少なくとも一つの層を有するポリマー型安定剤および多糖類の一つの層を有する多層のシェルをもたらす。それはカプセル化するシェルの不浸透性を、カプセル化する材料の量を増加することによって改善し得る。
【0050】
曖昧さを回避するために、本発明は、明瞭な不連続の層を有するシェルに、それは一つの実行可能な態様ではあるものの、決して限定されるものではない。より特定的に言うと、層はまた段階的で、および不連続であることができる。他方、および他の対極においては、シェルは本質的に均一であることすらもできる。
【0051】
多糖類は未反応のイソシアナート基と反応し、そして、架橋されたシェルの密度を増加させ得る。しかしまた多糖類は、物理的な力、水素結合などの物理的な相互作用、イオン性相互作用、疎水性相互作用または電子転送相互作用によってポリマー型安定剤と相互作用し得る。
【0052】
追加的に多糖類を含むシェルは安定化剤でさらに安定化されることができる。好ましくは、安定化剤は、少なくとも2つのカルボン酸基を含む。さらにいっそう好ましくは、安定化剤は、クエン酸、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸、2,5-フランジカルボン酸、イタコン酸、ポリ(イタコン酸)およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0053】
さらになお、本発明の別の側面は、カプセル化された組成物、具体的には本明細書に上記記載のとおりのカプセル化された組成物を調製する方法に関する。当該方法は、以下のステップを含む:
a)ポリマー型界面活性剤を提供すること
b)水相を提供すること;
c)ポリマー型界面活性剤を水相に溶解または分散すること;
d)少なくとも1つのアミノシランを提供すること;
e)少なくとも1つの有益剤を含む油相を提供すること;
f)任意に:少なくとも1つのアミノシランを油相に溶解すること;
g)ポリマー型界面活性剤およびアミノシランの両方の存在下で油相および水相を乳化して、水相において油滴のエマルションを形成すること;
h)少なくとも1つのアミノシランおよびポリマー型界面活性剤に、乳化された油滴の油-水界面においてシェルを形成させ、それによってマイクロカプセルのスラリーを形成すること;
i)任意に:多糖類、好ましくはベータ(1→4)結合単糖類ユニットを含む多糖類、さらにより好ましくは、セルロース誘導体、具体的にはヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースアセタートおよびカルボキシメチルセルロースからなる群から選択されるもの、好ましくはヒドロキシエチルセルロースを、ステップh)で形成されたマイクロカプセルのスラリーに添加すること。
【0054】
水中油型エマルションは、シェル形成のためのテンプレートとして使用され得る複数の液滴を提供するという利点を有し、ここでシェルは、これらの液滴の各々の周囲に構築される。追加的に、撹拌スピードおよび撹拌器のジオメトリなどの乳化の条件を制御することによって、液滴サイズ分布は、エマルションにおいて制御され得る。結果として、複数のマイクロカプセルが、制御された平均サイズおよびサイズ分布とともに得られ、ここで油相は、カプセル化され、それによりマイクロカプセルのコアを形成する。
【0055】
ステップh)に関し、ポリマー型安定剤の第1のシェルの形成は、ポリマー型界面活性剤に応じて、好ましくは4.0から7.5までの範囲にpHを調整することによって開始される。高メトキシル化ペクチンには、最適なpH範囲は6.5±0.5、アルギナートには最適なpH範囲は7.0±0.5、低メトキシル化ペクチンおよびアラビアガムには、最適なpH範囲は4.5±0.5である。
【0056】
温度は、好ましくは室温に、少なくとも1時間維持され、および次いで少なくとも60℃、好ましくは少なくとも70℃、より好ましくは少なくとも80℃、しかし90℃以下、例えば85℃に上昇させる。これらの条件下で、シェルの形成は、十分に制御され、これは界面の最適な安定化が得られたことを意味する。
【0057】
適切な撹拌スピードおよびミキサーのジオメトリは、所望される平均液滴サイズおよび液滴サイズ分布を得るために選択されることができる。本発明の特徴は、ポリマー型安定剤が充分な界面活性を有し、望ましい液滴サイズを有した分散した油滴の形成を促進することができることである。
【0058】
本発明に従うプロセスにおいて、タービンを備えた1リットルの槽、またはMig撹拌器のようなピッチドビームを備え、反応器直径に対する攪拌器直径を0.6~0.8にて有する、クロスビーム撹拌器が使用され得る。マイクロカプセルは、約100から約1200rpmまで程の、より具体的には約600から1000rpmまでの撹拌スピードにおいて、かかる反応器において30ミクロンかそれ未満、より具体的に20ミクロンかそれ未満の体積平均サイズ(d50)を有するように形成されることができる。好ましくは、Mig撹拌器は、850±50rpmのスピードで動作させて使用される。当業者はしかし、反応器およびバッチサイズのサイズや、撹拌器の正確なジオメトリや、攪拌器の直径の反応器の直径に対する比率である直径比率に応じて、かかる撹拌条件が変更し得ることを容易に理解するであろう。例えば、攪拌器の反応器に対する直径比率が0.5から0.9までおよび0.5から8トンの範囲のスラリー体積を有するMig撹拌器に関して、好ましい撹拌スピードは、本発明の文脈において、150rpmから50rpmまでである。
【0059】
本発明の具体的な実施態様において、エマルションにおけるアミノシランのポリマー型界面活性剤に対する重量比率は、0.1から1.1まで、より具体的に0.2から0.9まで、よりいっそう具体的に0.3から0.7までの範囲内、例えば0.35または0.65に設定される。
【0060】
本発明の具体的な実施態様において、エマルションにおけるシェル材料の油に対する比率は、0.01から0.5まで、より具体的に0.025から0.4まで、さらにいっそう具体的に0.05から0.3までの範囲内に設定される。
【0061】
本明細書中で上述のプロセスによって得ることができるカプセル化された組成物は、そのまま使用され得、または、多糖類、好ましくはベータ(1→4)結合単糖類ユニットを含む多糖類、さらにいっそう好ましくはセルロース誘導体、具体的にはヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースアセタートおよびカルボキシメチルセルロース、からなる群から選択されるもの、好ましくはヒドロキシエチルセルロースは、上記任意のステップi)で記載されたように、ステップh)で形成されたマイクロカプセルシェルに添加され得る。
【0062】
マイクロカプセルの形成後、カプセル化された組成物は、通常、室温まで冷却される。冷却の前、間または後、カプセル化された組成物はさらに加工され得る。さらなる加工は、抗微生物防腐剤での処置を包含し得、防腐剤は、当該技術分野において周知である。さらなる加工は、マイクロカプセルの安定した物理的分散を助け、クリーミングまたは合体を防ぐために、ハイドロコロイド懸濁補助剤などの懸濁剤の添加も包含し得る。また、さらなる加工の間に、当該技術分野において従来のあらゆる追加アジュバントが添加され得る。
【0063】
本発明のプロセスに従って、望まれる場合には、コア-シェルマイクロカプセルはさらに機能的コーティングでコーティングされ得る。機能的コーティングは、全面的にまたは部分的のみに、マイクロカプセルシェルをコーティングし得る。機能的コーティングは、帯電しているか非帯電であるかにかかわらず、その主な目的は、マイクロカプセルの表面特性を変化させ、ファブリック、ヒト皮膚または毛髪など、処理される表面でのマイクロカプセルの沈着を向上することなどの、望ましい効果を達成することである。機能的コーティングは、既に形成されたマイクロカプセルに事後的にコーティングされ得、またはシェル形成の間にマイクロカプセルシェルの中へ物理的に組み込まれ得る。これらは、物理的な力、水素結合などの物理的な相互作用、イオン性相互作用、疎水性相互作用、電子伝達の相互作用によってシェルに付着され得、またはシェルに共有結合的に結合され得る。
【0064】
少なくとも1つの有益剤は少なくとも1つの香料成分であることができる。少なくとも1つの香料成分は以下からなる群から選択されることができる:
ADOXAL(商標) 2,6,10-トリメチルウンデカ-9-エナール;AGRUMEX(商標) 2-(tert-ブチル)シクロヘキシルアセタート;ALDEHYDE C 10 DECYLIC (デカナール);ALDEHYDE C 11 MOA (2-メチルデカナール);ALDEHYDE C 11 UNDECYLENIC (ウンデカ-10-エナール);ALDEHYDE C 110 UNDECYLIC (ウンデカナール);ALDEHYDE C 12 LAURIC (ドデカナール);ALDEHYDE C 12 MNA PURE (2-メチルウンデカナール);ALDEHYDE ISO C 11 ((E)-ウンデカ-9-エナール);マンダリンアルデヒド 10%/TEC((E)-ドデカ-2-エナール);アリルアミルグリコラート (アリル 2-(イソペンチルオキシ)アセタート);アリルシクロヘキシルプロピオナート (アリル3-シクロヘキシルプロパノアート);アリルオエナンタート (アリルヘプタノアート);AMBER CORE(商標) 1-((2-tert-ブチルシクロヘキサン-1-イル)オキシ)ブタン-2-オール;AMBERMAX(商標) (1,3,4,5,6,7-ヘキサヒドロ-ベータ,1,1,5,5-ペンタメチル-2H-2,4a-メタノナフタレン-8-エタノール);アミルサリチラート (ペンチル2-ヒドロキシベンゾアート);APHERMATE (1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)エチルホルマート);
【0065】
BELAMBRE(商標) ((1R,2S,4R)-2’-イソプロピル-1,7,7-トリメチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,4’-[1,3]ジオキサン]);BIGARYL (8-(sec-ブチル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン);BOISAMBRENE FORTE(商標) ((エトキシメトキシ)シクロドデカン);BOISIRIS(商標) ((1S,2R,5R)-2-エトキシ-2,6,6-トリメチル-9-メチレンビシクロ[3.3.1]ノナン);ボルニルアセタート ((2S,4S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イルアセタート);BUTYL BUTYRO LACTATE (1-ブトキシ-1-オキソプロパン-2-イルブチラート);ブチルシクロヘキシルアセタートパラ (4-(tert-ブチル)シクロ酢酸ヘキシル);
【0066】
カリオフィレン ((Z)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカ-4-エン);CASHMERAN(商標) (1,1,2,3,3-ペンタメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-inden-4(5H)-オン);CASSYRANE(商標) (5-tert-ブチル-2-メチル-5-プロピル-2H-フラン);シトラール (E)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエナール;CITRAL LEMAROME(商標) N ((E)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエナール);CITRATHAL(商標) R ((Z)-1,1-ジエトキシ-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン);シトロネラール (3,7-ジメチルオクタ-6-エナール);シトロネロール (3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-オール);シトロネリルアセタート (3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-イルアセタート);シトロネリルホルマート (3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-イル ホルマート);シトロネリルニトリル (3,7-ジメチルオクタ-6-エンニトリル);シトロネリルプロピオナート (3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-イルプロピオナート);CLONAL (ドデカンニトリル);CORANOL (4-シクロヘキシル-2-メチルブタン-2-オール);COSMONE(商標) ((Z)-3-メチルシクロテトラデカ-5-エノン);シクラメンアルデヒド (3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナール);CYCLOGALBANATE (アリル2-(シクロヘキシルオキシ)アセタート);シクロヘキシルサリチラート (シクロヘキシル2-ヒドロキシベンゾアート);CYCLOMYRAL (8,8-ジメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロナフタレン-2-カルバルデヒド);
【0067】
ダマセノン ((E)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン);ダマスコンアルファ ((E)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン);ダマスコンデルタ ((E)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン);DECENAL-4-TRANS ((E)-デカ-4-エナール);DELPHONE (2-ペンチルシクロペンタノン);ジヒドロアネトール (プロパン二酸1-(1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)エチル) 3-エチル エステル);ジヒドロジャスモン (3-メチル-2-ペンチルシクロペンタ-2-エノン);ジメチルベンジルカルビノール(2-メチル-1-フェニルプロパン-2-オール);ジメチルベンジルカービニルアセタート (2-メチル-1-フェニルプロパン-2-イルアセタート);ジメチルベンジルカービニルブチラート (2-メチル-1-フェニルプロパン-2-イルブチラート);ジメチルオクタノン (4,7-ジメチルオクタ-6-エン-3-オン);ジメトール (2,6-ジメチルヘプタン-2-オール);ジペンテン (1-メチル-4-(プロパ-1-エン-2-イル)シクロヘキサ-1-エン);DUPICAL(商標) ((E)-4-((3aS,7aS)-ヘキサヒドロ-1H-4,7-メタノインデン-5(6H)-イリデン)ブタナール);
【0068】
EBANOL(商標) ((E)-3-メチル-5-(2,2,3-トリメチルシクロペンタ-3-エン-1-イル)ペンタ-4-エン-2-オール);エチルカプロエート (エチルヘキサノアート);エチルカプリレート (エチルオクタノアート);エチルリナロール ((E)-3,7-ジメチルノナ-1,6-ジエン-3-オール);酢酸エチルリナリル ((Z)-3,7-ジメチルノナ-1,6-ジエン-3-イルアセタート);ETHYL OENANTHATE (ヘプタン酸エチル);エチルサフラネート (エチル2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシラート);ユーカリプトール ((1s,4s)-1,3,3-トリメチル-2-オキサビシクロ[2.2.2]オクタン);
【0069】
フェンチルアセタート ((2S)-1,3,3-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イルアセタート);フェンキルアルコール ((1S,2R,4R)-1,3,3-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール);FIXOLIDE(商標) (1-(3,5,5,6,8,8-ヘキサメチル-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-イル)エタノン);FLORALOZONE(商標) (3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール);FLORHYDRAL (3-(3-イソプロピルフェニル)ブタナール);FLOROCYCLENE(商標) ((3aR,6S,7aS)-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-1H-4,7-メタノインデン-6-イルプロピオナート);FLOROPAL(商標) (2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン);FRESKOMENTHE(商標) (2-(sec-ブチル)シクロヘキサノン);FRUITATE ((3aS,4S,7R,7aS)-エチルオクタヒドロ-1H-4,7-メタノインデンe-3a-カルボキシラート);フルトニル (2-メチルデカンニトリル);
【0070】
GALBANONE(商標) PURE (1-(3,3-ジメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタ-4-エン-1-オン);GARDOCYCLENE(商標) ((3aR,6S,7aS)-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-1H-4,7-メタノインデン-6-イルイソブチラート);ゲラニオール ((E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-オール);合成酢酸ゲラニル ((E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イルアセタート);ゲラニルイソブチラート ((E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イルイソブチラート);GIVESCONE(商標) (エチル2-エチル-6,6-ジメチルシクロヘキサ-2-エンカルボキシラート);HABANOLIDE(商標) ((E)-オキサシクロヘキサデカ-12-エン-2-オン);HEDIONE(商標) (メチル3-オキソ-2-ペンチルシクロペンタンアセタート);HERBANATE(商標) ((2S)-エチル3-イソプロピルビシクロ[2.2.1]へプタ-5-エン-2-カルボキシラート);HEXENYL-3-CIS BUTYRATE ((Z)-ヘキサ-3-エン-1-イルブチラート);HEXYL CINNAMIC ALDEHYDE ((E)-2-ベンジリデンオクタナール);ヘキシルイソブチレート (ヘキシルイソブチラート);ヘキシルサリチレート (ヘキシル2-ヒドロキシベンゾアート);
【0071】
INDOFLOR(商標) (4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d][1,3]ダイオキシン);IONONE BETA ((E)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ブタ-3-エン-2-オン);IRISONE ALPHA ((E)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-3-エン-2-オン);IRONE ALPHA ((E)-4-(2,5,6,6-テトラメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-3-エン-2-オン);ISO E SUPER(商標) (1-(2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロナフタレン-2-イル)エタノン);ISOCYCLOCITRAL (2,4,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エンカルバルデヒド);ISONONYL ACETATE (3,5,5-トリメチル酢酸ヘキシル);ISOPROPYL METHYL-2-BUTYRATE (イソプロピル2-メチルブタン酸);ISORALDEINE(商標) 70 ((E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-3-エン-2-オン);
【0072】
JASMACYCLENE(商標) ((3aR,6S,7aS)-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-1H-4,7-メタノインデン-6-イルアセタート);JASMONE CIS((Z)-3-メチル-2-(ペンタ-2-エン-1-イル)シクロペンタ-2-エノン);KARANAL(商標) (5-(sec-ブチル)-2-(2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)-5-メチル-1,3-ジオキサン);KOAVONE ((Z)-3,4,5,6,6-ペンタメチルへプタ-3-エン-2-オン);LEAF ACETAL ((Z)-1-(1-エトキシエトキシ)ヘキサ-3-エン);LEMONILE(商標) ((2E,6Z)-3,7-ジメチルノナ-2,6-ジエンニトリル);LIFFAROME(商標) GIV ((Z)-ヘキサ-3-エン-1-イル炭酸メチル);LILIAL(商標) (3-(4-(tert-ブチル)フェニル)-2-メチルプロパナール);LINALOOL (3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オール);LINALYL ACETATE (3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-イルアセタート);
【0073】
MAHONIAL(商標) ((4E)-9-ヒドロキシ-5,9-ジメチル-4-デセナール);マルトールイソブチラート (2-メチル-4-オキソ-4H-ピラン-3-イルイソブチラート);MANZANATE (エチル2-メチルペンタノアート);MELONAL(商標) (2,6-ジメチルへプタ-5-エナール);メントール (2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサノール);メンタン (2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサノン);メチルセドリルケトン (1-((1S,8aS)-1,4,4,6-テトラメチル-2,3,3a,4,5,8-ヘキサヒドロ-1H-5,8a-メタノアズレン-7-イル)エタノン);メチルノニルケトンエクストラ (ウンデカン-2-オン);METHYL OCTYNE CARBONATE (メチルノナ‐2-イノアート);METHYL PAMPLEMOUSSE (6,6-ジメトキシ-2,5,5-トリメチルヘキサ-2-エン);MYRALDENE (4-(4-メチルペンタ-3-エン-1-イル)シクロヘキサ-3-エンカルバルデヒド);NECTARYL (2-(2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)プロピル)シクロペンタノン);NEOBERGAMATE(商標) FORTE (2-メチル-6-メチレンオクタ-7-エン-2-イルアセタート);NEOFOLIONE(商標) ((E)-メチルノナ-2-エノアート);NEROLIDYLE(商標) ((Z)-3,7,11-トリメチルドデカ-1,6,10-トリエン-3-イルアセタート);酢酸ネリルHC ((Z)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イルアセタート);NONADYL (6,8-ジメチルノナン-2-オール);ノネナール-6-CIS ((Z)-ノナ‐6-エナール);NYMPHEAL(商標) (3-(4-イソブチル-2-メチルフェニル)プロパナール);
【0074】
ORIVONE(商標) (4-(tert-ペンチル)シクロヘキサノン);PARADISAMIDE(商標) (2-エチル-N-メチル-N-(m-トリル)ブタンアミド);PELARGENE (2-メチル-4-メチレン-6-フェニルテトラヒドロ-2H-ピラン);PEONILE(商標) (2-シクロヘキシリデン-2-フェニルアセトニトリル);PETALIA(商標) (2-シクロヘキシリデン-2-(o-トリル)アセトニトリル);PIVAROSE(商標) (2,2-ジメチル-2-フェニルエチルプロパノアート);PRECYCLEMONE(商標) B (1-メチル-4-(4-メチルペンタ-3-エン-1-イル)シクロヘキサ-3-エンカルバルデヒド);PYRALONE(商標) (6-(sec-ブチル)キノリン);RADJANOL(商標) SUPER ((E)-2-エチル-4-(2,2,3-トリメチルシクロペンタ-3-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オール);ラズベリーケトン (N112) (4-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン);RHUBAFURANE(商標) (2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン);ROSACETOL (2,2,2-トリクロロ-1-フェニル酢酸エチル);ROSALVA (デカ-9-エン-1-オール);ROSYFOLIA ((1-メチル-2-(5-メチルヘキサ-4-エン-2-イル)シクロプロピル)-メタノール);ROSYRANE(商標) SUPER(4-メチレン-2-フェニルテトラヒドロ-2H-ピラン);SERENOLIDE (2-(1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)エトキシ)-2-メチルプロピルシクロプロパンカルボキシラート);SILVIAL(商標) (3-(4-イソブチルフェニル)-2-メチルプロパナール);SPIROGALBANONE(商標) (1-(スピロ[4.5]デカ-6-エン-7-イル)ペンタ-4-エン-1-オン);STEMONE(商標) ((E)-5-メチルヘプタン-3-オンオキシム);SUPER MUGUET(商標) ((E)-6-エチル-3-メチルオクタ-6-エン-1-オール);SYLKOLIDE(商標) ((E)-2-((3,5-ジメチルヘキサ-3-エン-2-イル)オキシ)-2-メチルプロピルシクロプロパンカルボキシラート);
【0075】
ガンマテルピネン (1-メチル-4-プロパン-2-イルシクロヘキサ-1,4-ジエン);テルピノレン (1-メチル-4-(プロパン-2-イリデン)シクロヘキサ-1-エン);酢酸テルピニル (2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)プロパン-2-イルアセタート);テトラヒドロリナロール (3,7-ジメチルオクタン-3-オール);テトラヒドロミルセノール(2,6-ジメチルオクタン-2-オール);チベトリド (オキサシクロヘキサデカン-2-オン);2トリデセンニトリル ((E)-トリデカ-2-エンニトリル);UNDECAVERTOL ((E)-4-メチルデカ-3-エン-5-オール);VELOUTONE(商標) (2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン);VIRIDINE(商標) ((2,2-ジメトキシエチル)ベンゼン);ZINARINE(商標) (2-(2,4-ジメチルシクロヘキシル)ピリジン);
およびそれらの混合物。
【0076】
本発明に従ってカプセル化され得る香料成分の包括的なリストは、例えば“Perfume & Flavor Chemicals”, S. Arctander,Allured Publishing, 2000などの香料に関する文献に見い出されることができる。
【0077】
少なくとも1つの有益剤はまた、化粧品成分であることができる。好ましくは、化粧品成分は、計算されたオクタノール/水分配係数(ClogP)が1.5以上、より好ましくは3以上である。代替的に、好ましくは、化粧品成分のClogPは2から7までである。
【0078】
とくに有用な化粧品成分は、以下の、エモリエント、スムージング活性物質、ハイドレーティング活性物質、沈静およびリラックス活性物質、デコレーション活性物質、アンチエイジング活性物質、排出活性物質、リモデリング活性物質、スキンレベリング活性物質、防腐剤、抗酸化剤活性物質、抗菌または静菌活性物質、洗浄活性物質、潤滑活性物質、構造化活性物質、ヘアコンディショニング活性物質、美白活性物質、テクスチャー活性物質、柔軟化活性物質、抗フケ活性物質、角質除去活性物質、からなる群から選択され得る。
【0079】
とくに有用な化粧品成分は、これらに限定されないが以下を包含する:疎水性ポリマー、たとえばアルキルジメチルシロキサン、ポリメチルシルセスキオキサン、ポリエチレン、ポリイソブチレン、スチレン-エチレン-スチレンおよびスチレン-ブチレン-スチレンブロックコポリマー、鉱油、たとえば水素化されたイソパラフィン、シリコーン油、植物油、たとえばアルガン油、ホホバ油、アロエベラ油、脂肪酸および脂肪アルコールおよびそれらのエステル、糖脂質、リン脂質、スフィンゴ脂質、たとえばセラミド、ステロールおよびステロイド、テルペン、セスキテルペン、トリテルペンおよびそれらの誘導体、精油、たとえばアルニカ油、アルテミシア油、バークツリー油、バーチリーフ油、カレンデュラ油、シナモン油、エキナセア油、ユーカリ油、ジンセン油、ナツメ油、ヘリアンサス油、ジャスミン油、ラベンダー油、ロータスシード油、シソ油、ローズマリー油、サンダルウッド油、ティーツリー油、タイム油、バレリアン油、アブサン油、イランイラン油、およびユッカ油。
【0080】
結果として生じるカプセル化された組成物は、水性の懸濁媒体に懸濁されたマイクロカプセルのスラリーの形態で存在させられ、消費者製品のベースにそのまま組み込まれ得る。しかしながら、望まれる場合には、スラリーを乾燥させて、カプセル化された組成物を乾燥粉末の形態で提示され得る。マイクロカプセルのスラリーの乾燥は、従来から行われており、噴霧乾燥、蒸発、凍結乾燥、または乾燥剤の使用など、当技術分野において知られている技法に従って実施され得る。当技術分野で従来から行われているように、乾燥したマイクロカプセルは、充填剤またはフロー補助剤として作用することができる粉末状シリカなどの好適な粉末に分散または懸濁されるであろう。かかる好適な粉末は、乾燥ステップの前、間または後にカプセル化された組成物に添加され得る。
【0081】
さらなる本発明の側面は、本明細書に上記記載のとおりの方法のいずれかで得ることができるカプセル化された組成物に関する。
さらになお、本発明の別の側面は、消費者製品における有益剤の性能を向上するための、本明細書に上記記載のとおりのカプセル化された組成物の使用に関する。
【0082】
本発明はまた、本明細書に上記記載のとおりのカプセル化された組成物を含む消費者製品に関する。消費者製品は、好ましくは、ファブリックケア洗浄剤およびコンディショナー、ヘアケアコンディショナー、シャンプー、ヘビーデューティー液体洗浄剤、ハード表面クリーナー、洗浄剤粉末、石鹸、シャワーゲルおよびスキンケア製品からなる群から選択される。
【0083】
本発明に従うカプセル化された組成物は、最適な香料利益を送達するために、マイクロカプセルが適用される基材によく付着することを必要とする消費材において、香料送達ビヒクルとして用いられる場合にとくに有用である。かかる消費材は、ヘアシャンプーおよびコンディショナー、ならびに洗濯用洗剤およびコンディショナーなどの繊維処理製品を包含する。
【0084】
さらなる本発明の側面は、ポリマー型界面活性剤の少なくとも1つのアミノシランとの組み合わせによって形成されるポリマー型安定剤、具体的には本明細書に上記記載のとおりのアミノシランに関する。ポリマー型界面活性剤は、カルボン酸基を含む多糖類を含む、また具体的には本明細書に上記記載のとおりのポリマー型界面活性剤である。
【0085】
さらになお、本発明の別の側面は、本明細書に上記記載のとおりの有益剤のカプセル化における、ポリマー型安定剤の使用に関する。ポリマー型安定剤は、油/水界面を安定化し、それによりカプセル化された香料および/または化粧品組成物の調製のためのテンプレートを提供する。
【0086】
本開示は、また本発明に従うカプセル化された組成物を添加することによって、消費者製品における有益剤の性能を向上するための方法にも関する。
【0087】
さらにまた、本開示は、ここで本明細書に上記記載のとおりの、有益剤をカプセル化する方法で、ポリマー型安定剤が水中油型エマルションの油滴を安定化し、そしてカプセル化する、油相が少なくとも1つの有益剤を含む、前記方法を指す。
本発明の具体的な特色およびさらなる利点は以下の実施例で明らかにされる。
【0088】
例1 ポリマー型界面活性剤としてペクチンを含む第1のシェルを有するマイクロカプセルの形成
マイクロカプセルは、以下のステップを実施することにより得られた:
【0089】
a) 0.7gのバイポーダルアミノシラン(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン)および25gのフレグランス組成物と混和することによりコア組成物を調製すること;
b) ステップa.において得られたコア組成物を、1.4gの低メトキシル化グレードペクチン(タイプAPA220、ex Roeper)の68.6gの水中の混合物に、300ml反応器、および850rpmの撹拌スピードおよび25+/-2℃の温度において動作するピッチドビームを備えたクロスビーム撹拌器を10分間使用することによって、乳化させること;
【0090】
c) 水中の10%水酸化ナトリウム溶液で、エマルションの連続相のpHを6.5+/-0.5まで調整することおよびステップb)におけるような撹拌を維持しながら、系を25+/-2℃の温度に1時間維持すること;
d. ステップb)およびc)における撹拌を維持しながら、漸進的に温度を85℃まで2.5時間にわたり上昇させ、85℃の温度に1時間維持し、コア-シェルカプセルの形成を完了すること;
e. ステップd)において得られたコア-シェルカプセルのスラリーを室温まで冷却させること。
【0091】
スラリーの各々の固形分を、120℃において動作する熱天秤を使用することによって計測した。乾燥で誘発された重量変化率が0.1%/分以下になった時点で、天秤に堆積した初期スラリーの重量%で表される固形分を測定した。計測された固形分の、香料をカプセル化する材料の重量に基づいて計算された理論固形分に対する比率を、カプセル化収率の測定値とみなし、重量%で表す。
【0092】
得られたスラリーの固形分は5重量%、カプセルの体積平均サイズ(d50)は17±3μm、そしてカプセル化効率は16%だった。
【0093】
例2 ポリマー型界面活性剤としてペクチンおよびイソシアナートを含む第一のシェルを有するマイクロカプセルの形成
マイクロカプセルは、以下のステップを実施することにより得られた:
【0094】
a) 0.7gのバイポーダルアミノシラン(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン)および0.4gのTakenate D-110N (ex Mitsui)および25gのフレグランス組成物を混和することによりコア組成物を調製すること;
b) ステップa)において得られたコア組成物を、1.4gの低メトキシル化グレードペクチン(タイプAPA220、ex Roeper)の68.6gの水中の混合物に、300ml反応器、および850rpmの撹拌スピードおよび25+/-2℃の温度において動作するピッチドビームを備えたクロスビーム撹拌器を10分間使用することによって、乳化させること;
【0095】
c) 水中の10%水酸化ナトリウム溶液で、エマルションの連続相のpHを4.5+/-0.5まで調整することおよびステップb)におけるような撹拌を維持しながら、系を25+/-2℃の温度に1時間維持すること;
d) ステップb)およびc)における撹拌を維持しながら、漸進的に温度を85℃まで2.5時間にわたり上昇させ、85℃の温度に1時間維持し、コア-シェルカプセルの形成を完了すること;
e) ステップd)において得られたコア-シェルカプセルのスラリーを室温まで冷却させること。
【0096】
得られたスラリーの固形分は27重量%、カプセルの体積平均サイズ(d50)は15μm、そしてカプセル化効率は95+/-5%だった。
【0097】
例3 ZeMac E400および2-ヒドロキシエチルセルロースを含むマイクロカプセルの形成
マイクロカプセルは、以下(例3.1)のステップを実施することにより得られた:
【0098】
a) 1gのバイポーダルアミノシラン(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン)および0.4gのTakenate D-110N(ex Mitsui)および35.5gのフレグランス組成物を混和することによりコア組成物を調製すること;
b) ステップa)において得られたコア組成物を、1.5gのZeMac E400 (ex Vertellus)の51.1gの水中の混合物に、300ml反応器、および800rpmの撹拌スピードおよび25+/-2℃の温度において動作するピッチドビームを備えたクロスビーム撹拌器を10分間使用することによって、乳化させること;
【0099】
c) 水中の10%水酸化ナトリウム溶液で、エマルションの連続相のpHを4.4+/-0.5まで調整することおよびステップb)におけるような撹拌を維持しながら、系を25+/-2℃の温度に1時間維持すること;
d) ステップb)およびc)における撹拌を維持しながら、漸進的に温度を85℃まで2.5時間にわたり上昇させ、85℃の温度に1時間維持し、コア-シェルカプセルの形成を完了すること;
【0100】
e) 37.5gの7.2重量%の2-ヒドロキシエチルセルロース溶液を水中に添加することおよび85℃の温度で1時間攪拌を継続すること;
f) 水中で30%に希釈化されたクエン酸溶液0.8gを添加することおよび85℃の温度で1時間攪拌を継続すること;
g) ステップf)において得られたコア-シェルカプセルのスラリーを室温まで冷却させること。
【0101】
得られたスラリーの固形分は32重量%、カプセルの体積平均サイズ(d50)は15μm、そしてカプセル化効率は95+/-5%だった。
【0102】
ヘアケアコンディショナーにおける用途のためには(例3.2)、冷却の後に14.4gの水中4%ポリクオタニウム10(Ucare JR400、ex Dow Chemicals)がスラリーに添加される。
【0103】
例4 低メトキシル化グレードペクチンおよび2-ヒドロキシエチルセルロースを含むマイクロカプセルの形成
マイクロカプセルは、以下(例4.1)のステップを実施することにより得られた:
【0104】
a) 0.57gのバイポーダルアミノシラン(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン)および0.8gのTakenate D-110N (ex Mitsui)および20gのフレグランス組成物を混和することによりコア組成物を調製すること;
b) ステップa)において得られたコア組成物を、1.1gの低メトキシル化グレードペクチン(タイプAPA220、ex Roeper)の54.9gの水中の混合物に、300ml反応器、および850rpmの撹拌スピードおよび25+/-2℃の温度において動作するピッチドビームを備えたクロスビーム撹拌器を10分間使用することによって、乳化させること;
【0105】
c) 水中の10%水酸化ナトリウム溶液で、エマルションの連続相のpHを4.5+/-0.5まで調整することおよびステップb)におけるような撹拌を維持しながら、系を25+/-2℃の温度に1時間維持すること;
d. ステップb)およびc)における撹拌を維持しながら、漸進的に温度を85℃まで2.5時間にわたり上昇させ、85℃の温度に1時間維持し、コア-シェルカプセルの形成を完了すること;
【0106】
e) 水中で7.2%に希釈化された2-ヒドロキシエチルセルロース21.4gを添加することおよび85℃の温度で1時間攪拌を続けること;
f) 水中で30%に希釈化されたクエン酸溶液0.8gを添加することおよび85℃の温度で1時間攪拌を継続すること;
g) ステップf)において得られたコア-シェルカプセルのスラリーを室温まで冷却させること。
【0107】
得られたスラリーの固形分は30重量%、カプセルの体積平均サイズ(d50)は20μm、そしてカプセル化効率は90+/-5%だった。
【0108】
例4.2中で、マイクロカプセルは例4.1についてのように得られていたが、ステップe)において、2-ヒドロキシエチルセルロースは粉末として系に添加されている。このケースにおいて、2-ヒドロキシエチルセルロースの量は1.5gだった。この得られたスラリーの固形分は30%、カプセルの体積平均サイズ(d50)は17+/-3μm、そしてカプセル化効率は90+/-5%だった。
【0109】
ヘアケアコンディショナーにおける用途のためには(例4.3)、冷却の後に14.4gの水中の4%ポリクオタニウム10(Ucare JR400、ex Dow Chemicals)がスラリーに添加される。
【0110】
さらなる例において、マイクロカプセルは、以下(例4.4)のステップを実施することにより得られた:
【0111】
a) 0.66gのバイポーダルアミノシラン(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン)および0.47gのTakenate D-110N (ex Mitsui)および38.5gのフレグランス組成物を混和することによりコア組成物を調製すること;
b) ステップa)において得られたコア組成物を、1.35gの低メトキシル化グレードペクチン(タイプAPA220、ex Roeper)の66.2gの水中の混合物に、300ml反応器、および800rpmの撹拌スピードおよび25+/-2℃の温度において動作するピッチドビームを備えたクロスビーム撹拌器を10分間使用することによって、乳化させること;
【0112】
c) 水中の10%水酸化ナトリウム溶液で、エマルションの連続相のpHを6+/-1まで調整することおよびステップb)におけるような撹拌を維持しながら、系を25+/-2℃の温度に1時間維持すること;
d) ステップb)およびc)における撹拌を維持しながら、漸進的に温度を85℃まで2.5時間にわたり上昇させ、85℃の温度に1時間維持し、コア-シェルカプセルの形成を完了すること;
【0113】
e) 1.8gの2-ヒドロキシエチルセルロース溶液を添加することおよび85℃の温度で30分間攪拌を続けること;
f) 水中で30%に希釈化されたクエン酸溶液0.8gを添加することおよび85℃の温度で1時間攪拌を続けること;
g) ステップf)において得られたコア-シェルカプセルのスラリーを室温まで冷却させること。
【0114】
得られたスラリーの固形分は40重量%、カプセルの体積平均サイズ(d50)は20+/-5μm、そしてカプセル化効率は90+/-5%だった。
【0115】
例4.5中で、マイクロカプセルは例4.4についてのように得られていたが、ステップf)において、クエン酸の溶液はベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸のそれに置き換えられている。このケースにおいて、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸の量は0.3gであった。この得られたスラリーの固形分は40重量%、カプセルの体積平均サイズ(d50)は20+/-5μm、そしてカプセル化効率は95+/-5%であった。
【0116】
例4.6中で、マイクロカプセルは例4.4についてのように得られていたが、ステップf)において、クエン酸の溶液は2,5-フランジカルボン酸のそれに置き換えられている。このケースにおいて、2,5-フランジカルボン酸の量は0.15gであった。この得られたスラリーの固形分は40重量%、カプセルの体積平均サイズ(d50)は20+/-5μm、そしてカプセル化効率は95+/-5%であった。
【0117】
例5 高メトキシル化ペクチンおよび2-ヒドロキシエチルセルロースを含むマイクロカプセルの形成
マイクロカプセルは、以下(例5.1)のステップを実施することにより得られた:
【0118】
a) 0.57gのバイポーダルアミノシラン(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン)および0.8gのTakenate D-110N (ex Mitsui)および20gのフレグランス組成物を混和することによりコア組成物を調製すること;
b) ステップa)において得られたコア組成物を、1.1gの高メトキシル化グレードペクチン(タイプAPA104、ex Roeper)の54.9gの水中の混合物に、300ml反応器、および850rpmの撹拌スピードおよび25+/-2℃の温度において動作するピッチドビームを備えたクロスビーム撹拌器を10分間使用することによって、乳化させること;
【0119】
c) 水中の10%水酸化ナトリウム溶液で、エマルションの連続相のpHを6.5+/-0.5まで調整することおよびステップb)におけるような撹拌を維持しながら、系を25+/-2℃の温度に1時間維持すること;
d. ステップb)およびc)におけるような撹拌を維持しながら、漸進的に温度を85℃まで2.5時間にわたり上昇させ、85℃の温度に1時間維持し、コア-シェルカプセルの形成を完了すること;
【0120】
e) 水中で7.2%に希釈化された2-ヒドロキシエチルセルロース21.4gを添加することおよび85℃の温度で1時間攪拌を続けること;
f) 水中で30%に希釈化されたクエン酸溶液0.8gを添加することおよび85℃の温度で1時間攪拌を継続すること;
g) ステップf)において得られたコア-シェルカプセルのスラリーを室温まで冷却させること。
【0121】
得られたスラリーの固形分は30重量%、カプセルの体積平均サイズ(d50)は20μm、そしてカプセル化効率は90+/-5%だった。
【0122】
例5.2中で、マイクロカプセルは例5.1についてのように得られていたが、ステップe)において、2-ヒドロキシエチルセルロースは粉末として系に添加されている。このケースにおいて、2-ヒドロキシエチルセルロースの量は1.5gだった。この得られたスラリーの固形分は30%、カプセルの体積平均サイズ(d50)は17+/-3μm、そしてカプセル化効率は90+/-5%だった。
【0123】
ヘアケアコンディショナーにおける用途のためには(例5.3)、冷却の後に14.4gの水中の4%ポリクオタニウム10(Ucare JR400、ex Dow Chemicals)がスラリーに添加される。
【0124】
さらなる例において、マイクロカプセルは、以下(例5.4)のステップを実施することにより得られた:
【0125】
a) 0.66gのバイポーダルアミノシラン(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン)および0.48gのTakenate D-110N (ex Mitsui)および38.5gのフレグランス組成物を混和することによりコア組成物を調製すること;
b) ステップa)において得られたコア組成物を、1.35gの高メトキシル化グレードペクチン(タイプAPA104、ex Roeper)の66.2gの水中の混合物に、300ml反応器、および800rpmの撹拌スピードおよび25+/-2℃の温度において動作するピッチドビームを備えたクロスビーム撹拌器を10分間使用することによって、乳化させること;
【0126】
c) 水中の10%水酸化ナトリウム溶液で、エマルションの連続相のpHを6.5+/-0.5まで調整することおよびステップb)におけるような撹拌を維持しながら、系を25+/-2℃の温度に1時間維持すること;
d) ステップb)およびc)におけるような撹拌を維持しながら、漸進的に温度を85℃まで2.5時間にわたり上昇させ、85℃の温度に1時間維持し、コア-シェルカプセルの形成を完了すること;
【0127】
e) 1.8gの2-ヒドロキシエチルセルロースを添加することおよび85℃の温度で30分間攪拌を続けること;
f) 水中で30%に希釈化されたクエン酸溶液0.8gを添加することおよび85℃の温度で1時間攪拌を続けること;
g) ステップf)において得られたコア-シェルカプセルのスラリーを室温まで冷却させること。
【0128】
得られたスラリーの固形分は40重量%、カプセルの体積平均サイズ(d50)は20+/-5μm、そしてカプセル化効率は90+/-5%だった。
【0129】
例5.5中で、マイクロカプセルは例5.4についてのように得られていたが、ステップf)において、クエン酸の溶液はベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸のそれに置き換えられている。このケースにおいて、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸の量は0.15gであった。この得られたスラリーの固形分は40重量%、カプセルの体積平均サイズ(d50)は20+/-5μmそしてカプセル化効率は95+/-5%であった。
【0130】
例5.6中で、マイクロカプセルは例5.4についてのように得られていたが、ステップf)において、クエン酸の溶液は2,5-フランジカルボン酸のそれに置き換えられている。このケースにおいて、2,5-フランジカルボン酸の量は0.15gであった。この得られたスラリーの固形分は40重量%、カプセルの体積平均サイズ(d50)は20+/-5μm、そしてカプセル化効率は95+/-5%であった。
【0131】
例6 アラビアゴムおよび2-ヒドロキシエチルセルロースを含むマイクロカプセルの形成
マイクロカプセルは、以下(例6.1)のステップを実施することにより得られた:
【0132】
a) 1gのバイポーダルアミノシラン(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン)、1gのTakenate D-110(ex Mitsui)、2.25gのBayhydur XP2547(ex Covestro)および35.5gのフレグランス組成物を混和することによりコア組成物を調製すること;
b) ステップa)において得られたコア組成物を、5gのセネガル種由来アラビアゴム(Arabic gum senegal)の48gの水中の混合物に、300ml反応器、および300rpmの撹拌スピードおよび25+/-2℃の温度において動作するピッチドビームを備えたクロスビーム撹拌器を10分間使用することによって、乳化させること;
【0133】
c) 水中の10%ギ酸溶液で、エマルションの連続相のpHを4.4+/-0.5まで調整することおよび700rpmまで攪拌を増加しながら、系を25+/-2℃の温度に1時間維持すること;
d) ステップc)における撹拌を維持しながら、漸進的に温度を85℃まで2.5時間にわたり上昇させ、85℃の温度に1時間維持し、コア-シェルカプセルの形成を完了すること;
【0134】
e) 37.1gの1重量%の2-ヒドロキシエチルセルロース溶液を水中に添加することおよび85℃の温度で1時間攪拌を続けること;
f) ステップe)において得られたコア-シェルカプセルのスラリーを室温まで冷却させること。
【0135】
ステップg)で得られたスラリーの固形分は33.9重量%、カプセルの体積平均サイズ(d50)は11.7μm、そしてカプセル化効率は98重量%だった。
【0136】
例6.2中で、例6.1のプロセスが繰り返されたが、セネガル種由来アラビアゴムの代わりにトラガカントゴムとともにであった。さらに、トラガカントゴムの高い粘度に起因し、トラガカントゴムの分量はセネガル種由来アラビアゴムの半量だった。
【0137】
例7 アルギナートおよび2-ヒドロキシエチルセルロースを含むマイクロカプセルの形成
マイクロカプセルは、以下(例7.1)のステップを実施することにより得られた:
【0138】
a) 0.5gのバイポーダルアミノシラン(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン)および0.04gのTakenate D-110N (ex Mitsui)および17.75gのフレグランス組成物を混和することによりコア組成物を調製すること;
b) ステップa)において得られたコア組成物を、2重量%のアルギナート(Scogin XL、ex FMCcorporation)および0.1重量%のTween 85を含有する26.3gの水性溶液に、100ml反応器、および850rpmの撹拌スピードおよび25+/-2℃の温度において動作するピッチドビームを備えたクロスビーム撹拌器を10分間使用することによって、乳化させること;
【0139】
c) 水中の10%ギ酸溶液で、エマルションの連続相のpHを5.0+/-0.5まで調整することおよび700rpmまで攪拌を増加しながら、系を35+/-2℃の温度に1時間維持すること;
d) 漸進的に温度を85℃まで2.5時間にわたり上昇させること;
【0140】
e) c)における撹拌を維持しながら37.5gの7.2重量%の2-ヒドロキシエチルセルロース溶液を水中に添加することおよび85℃の温度で1時間攪拌を維持すること;
f) コア-シェルカプセルの形成を完了するために、0.8gのBayhydur XP2547を添加することおよび85℃の温度で1時間攪拌し続けること;
g) ステップf)において得られたコア-シェルカプセルのスラリーを室温まで冷却させること。
【0141】
ステップg)において得られたスラリーの固形分は22重量%、カプセルの体積平均サイズ(d50)は40μm、そしてカプセル化効率は92%だった。
【0142】
例7.2中で、マイクロカプセルは例7.1と同じ条件の下で得られたが、Takenate D-110Nはイソフタルアルデヒド(isophtaldehyde)に置き換えられている。得られたスラリーの固形分は26重量%、カプセルの体積平均サイズ(d50)は40μmそしてカプセル化効率は100%であった。
【0143】
例8 アミノプラストカプセル(比較例) WO公報2016/207187 A1、例2b中で開示された方法を実施することによってアミノプラストカプセルが得られた。 得られたスラリーの固形分は45%、カプセルの体積平均サイズ(d50)は20μmそしてカプセル化効率は100%であった。
【0144】
例9 ランドリーケアコンディショナーベースにおけるマイクロカプセルの漏出の査定
ベースは無香性の商業的に独占販売されているランドリーケアコンディショナーのベースであった。各査定について、1重量%のスラリーがパドルミキサーで攪拌している下で、ベース中に分散された。カプセル化されたコア組成物は追加的に0.02重量%のHostasol(登録商標)Yellow 3G (Clariant)を蛍光染料として含んだ。次いで試料は8週間、37℃で保管された。
カプセルからの漏出は、以下のスケールに従って、488nm励起光波長および515nm放射光波長で作動する蛍光灯顕微鏡により視覚的に査定された:
- 不良な安定性:崩壊したマイクロカプセルおよび蛍光の液滴が視認可能;
- 平均的な安定性:部分的に崩壊したマイクロカプセルが蛍光の液滴と併存している;
- 良好な安定性:すべてのカプセルが、未だに蛍光のコア組成物で満たされており、また蛍光の液滴で視認可能なものは全く無い。
代表的な漏出の値は、以下に示す表1中に与えられている。
【0145】
例10 フレグランス放出性能の査定
マイクロカプセルスラリーの放出性能が、テクスチャーアナライザー(TA XT PLUS, ex TA instruments)を使用することによって測定された。300マイクロリットルの非希薄のスラリーが、100マイクロリットルを連続した3回で濾紙の表面に堆積させられ、および終夜放置して乾燥された。次に、直径12.5マイクロメートルの平らな金属シリンダーからなる機械式センサープローブの下面が、浸透速度0.01mm/sにて堆積したマイクロカプセル上に用いられた。
プローブが濾紙上に堆積したマイクロカプセルのベッドを貫通すると、マイクロカプセルの弾性曲げの弾性率に比例して、マイクロカプセルの放出性能に反比例する背面弾性力が発生する。マイクロカプセルベッドの50%変形時の力の測定値が、マイクロカプセルの放出性能の測定値とみなされた。変形率50%に対応する変位は、マイクロカプセルとの最初の接触が起き、反発力の発現として認められる点と、プローブの動作が濾紙によって止められる点との中間点として判断された。
【0146】
表1 選択された例に対する水/エタノール/シクロヘキサン中への香料漏出および50%変形における力
【表1】
【0147】
これらの結果から本発明に従うカプセルは、アミノプラストおよびポリ尿素樹脂を基にする従来のカプセルの一つと同様のランドリーケアコンディショナーベース中で安定性を有することが結論づけられ得る。
【0148】
例11 新規および従来のマイクロカプセルの嗅覚性能の比較
マイクロカプセルの嗅覚性能が、1から5(1=殆どなし、2=弱い、3=中、4=強い、および5=極めて強い)のスケール上で臭気強度を採点した4人の専門家のパネルにより評価された。関連のあるときは、知覚された臭気の傾向についての定性的なコメントが記録された。
【0149】
ランドリーケアにおける用途のためには、試料は無香料の、商業的に独占販売されているファブリックケア柔軟剤において判定された。パドルミキサーでの緩やかな攪拌をしている下で、ファブリックケアコンディショナーベース中のスラリーのレベルがヘアケアコンディショナーベースの総重量に照らし1.5重量%であるように先述のマイクロカプセルスラリーがファブリックケアコンディショナー組成物に添加された。35gのファブリックケアコンディショナーが、720gのタオル地を含有しておりかつ総体積15lの水と動作している前面搭載式洗濯機中に配置された。「洗濯機外」の臭気強度が、タオル地を洗濯機から取り除かせた後5分以内の濡れたタオル地上で評価された。摩擦前の嗅覚判定が室温にて24時間のタオル地の乾燥後に行われた。摩擦後の判定がタオル地の一部を穏やかに摩擦することにより行われた。
【0150】
ヘアケアコンディショナーにおける用途のためには、試料は無香料のヘアケアコンディショナーにおいて判定された。パドルミキサーでの緩やかな攪拌をしている下で、ヘアケアコンディショナーベース中のスラリーのレベルがヘアケアコンディショナーベースの総重量に照らし1重量%であるように、先述のマイクロカプセルスラリーがヘアケアコンディショナー組成物に添加された。1.5gのヘアケアコンディショナーが12gの水で加湿された15gの見本の上に適用された。見本はマッサージに供され、1分間そのまま放置され、および次いで37℃の流速3.2l/minで流れる水道水の下で、見本に手で触れることなく30秒間洗浄された。摩擦前の嗅覚の評価が見本上で4時間後に行われた。この評価のために、マイクロカプセルを機械的に破壊するリスクを最小化するように見本は慎重に扱われた。摩擦後の嗅覚の判定が室温にて24時間の見本の乾燥後に行われた。この判定は各見本の一部を穏やかに摩擦することにより行われた。
【0151】
表2 調製直後および時間を経たマイクロカプセルのタオル地および毛髪の見本上の嗅覚の性能
【表2】
【0152】
結果は、本発明に従うマイクロカプセルが従来のアミノプラストをベースとしたマイクロカプセルに匹敵する香料性能をもたらすことを示す。