(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】細胞および組織増殖用バイオリアクターおよびバイオリアクターシステム
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20250120BHJP
C12M 3/06 20060101ALI20250120BHJP
【FI】
C12M1/00 C
C12M3/06
(21)【出願番号】P 2021575961
(86)(22)【出願日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 EP2020068632
(87)【国際公開番号】W WO2021001472
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-06-19
(32)【優先日】2019-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521552877
【氏名又は名称】セルヴィヴォ エーピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ウゼシンスキ,クシシュトフ ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】フェイ,ステファン ジョン
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-200468(JP,A)
【文献】特表2014-519309(JP,A)
【文献】米国特許第06642019(US,B1)
【文献】特開平06-181749(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0078854(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を含む、回転に適合されたバイオリアクタ
ーであって、
前記容器は、
-第1の末
端および第2の末
端であって、前記第1の末
端から前記第2の末
端へ前記容
器の第1の方
向に沿って延在する前記容
器の中心
軸を画定する、第1の末
端および第2の末
端、前記容
器の第1の方向に沿って延びる少なくとも1つの
壁、新鮮なまたは使用済みの培地を受け取るための体積を画定する少なくとも1つの培地導
管;
-前記少なくとも1つの
壁内に限局された空間の少なくとも一部により画定され
、新鮮培地チャンバ
ーおよび使用済み培地チャンバ
ーを含む内側チャンバー;
-前記少なくとも1つの培地導
管および前記新
鮮および/または使用済み培地チャンバ
ーと流体連通している細胞培養チャンバ
ー;および
-前記内側チャンバー内で前記使用済み培地チャンバ
ーから前記新鮮培地チャンバ
ーを分離するように、前記内側チャンバー内で、構成された可動
壁
を含む、
バイオリアクター。
【請求項2】
-前記少なくとも1つの
壁が、内
壁および外
壁を含み、前記内
壁および前記外
壁が前記
壁の間に環状隔
室を画定し、
-前記少なくとも1つの培地導
管が、前記環状隔
室であり、および
-前記内側チャンバーが、前記内
壁内に限局される空間の少なくとも一
部により画定される、
請求項1に記載のバイオリアクタ
ー。
【請求項3】
前記内壁が、前記容器の第1の方向に沿って延在し、前記外壁に接触するまで外側に向かって垂直に延在する複数の隆起部を有し、前記隆起部間の空間が、前記環状隔室内に1つまたは複数の副隔室を画定する、請求項2に記載のバイオリアクター。
【請求項4】
-前記少なくとも1つの
壁が、単一
壁であり、および
-前記少なくとも1つの培地導
管が、前記単一
壁の内側または外側に配置された少なくとも1つの導
管である、
請求項1に記載のバイオリアクタ
ー。
【請求項5】
前記細胞培養チャンバ
ーが、前記容
器の第1の末
端に離して配置され
、培地が前記少なくとも1つの培地導
管から前記細胞培養チャンバ
ー中に入ることを可能にするための入口オリフィ
ス、および培地が前記培養チャンバ
ーから前記使用済み培地チャンバ
ーに入ることを可能にするための出口オリフィスまたは
弁を備える、請求項1~
4のいずれか1項に記載のバイオリアクタ
ー。
【請求項6】
前記少なくとも1つの培地導
管が、培地が前記新鮮培地チャンバ
ーから前記少なくとも1つの培地導
管に入ることを可能にするための入口オリフィ
ス、および培地が前記少なくとも1つの培地導
管から前記細胞培養チャンバ
ーに入ることを可能にするための出口オリフィ
スを備え
、前記環状隔室
の出口オリフィスが、前記細胞培養チャンバー
の入口オリフィスに対応する、請求項1~
5のいずれか1項に記載のバイオリアクタ
ー。
【請求項7】
前記少なくとも1つの
壁の少なくとも一部が、前記細胞培養チャンバ
ーへのアクセスを提供するため
に切り離しできる、請求項1~
6のいずれか1項に記載のバイオリアクタ
ー。
【請求項8】
前記少なくとも1つの
壁の少なくとも一部が、その中に含まれる前記培地、細胞およびスフェロイドの観察を可能にするように構成された透明のガラスまたはプラスチックである、請求項1~
7のいずれか1項に記載のバイオリアクタ
ー。
【請求項9】
前記容
器が、円筒形を有し
、1つまたは複数の関連した回転要
素により回転
軸の周りの回転に適合され、前記回転
軸は前記容
器の第1の方向に沿って延びる前記中心
軸である、請求項1~8のいずれかに記載のバイオリアクタ
ー。
【請求項10】
前記可動
壁が、前記容
器の第1の方向に沿って軸方向に可動
壁を移動させるために移動要
素に連結される、請求項1~9のいずれかに記載のバイオリアクタ
ー。
【請求項11】
前記移動要
素が、ピスト
ンであり、前記可動
壁が前記容
器の第1の方向に沿って延びる前記中心
軸と同期するピストンシャフ
トを介して前記ピスト
ンに連結される、請求項10に記載のバイオリアクタ
ー。
【請求項12】
導
管が、設けられそれは前記細胞培養チャンバ
ーから前記ピストンシャフ
トを介して少なくとも前記容
器の外
側へ伸びる、請求項11に記載のバイオリアクタ
ー。
【請求項13】
前記容
器または前記容器の一部が、ガス透過性プラスチックで構成されるか、または
前記容
器が、ガスの交換のためのガス透過性
膜を含み、前記ガス透過性
膜が前記細胞培養チャンバ
ーの円周部分に沿って配置される、請求項1~12のいずれかに記載のバイオリアクタ
ー。
【請求項14】
加湿システ
ムが、前記培養チャンバ
ーと外側雰囲気の間に設けられ、前記加湿システム
が液体リザーバ
ー、蒸発チャンバ
ーおよびフィルタ
ーを含む、請求項13に記載のバイオリアクタ
ー。
【請求項15】
前記フィルタ
ーが、前記細胞培養チャンバ
ーの円周部分に沿って配置される前記ガス透過性
膜である、請求項14に記載のバイオリアクタ
ー。
【請求項16】
前記加湿システムがさらに、前記液体リザーバ
ーおよび前記蒸発チャンバ
ーと流体連通するように配置された追加のフィルタ
ーを含む、請求項14または15に記載のバイオリアクタ
ー。
【請求項17】
前記追加のフィルタ
ーが、前記容
器の円周部分に沿って
、前記液体リザーバ
ーと前記蒸発チャンバ
ーの間に配置される、請求項16に記載のバイオリアクタ
ー。
【請求項18】
前記細胞培養チャンバ
ーが、少なくとも1つの接近
口および任意選択でセンサーを含
む、請求項1~17のいずれかに記載のバイオリアクタ
ー。
【請求項19】
前記少なくとも1つの
壁が、前記新鮮培地チャンバーへの接近
口を含む、請求項1~18のいずれかに記載のバイオリアクタ
ー。
【請求項20】
追加の細胞培養チャンバ
ーが、前記細胞培養チャンバ
ーと直列接続で適合され、前記追加の細胞培養チャンバ
ーが前記新鮮培地を輸送するための導
管を有し
、前記培地を前記細胞培養チャンバ
ーから前記追加の細胞培養チャンバ
ーヘ流すのを可能にするためのオリフィ
スを有する、請求項1~19のいずれかに記載のバイオリアクタ
ー。
【請求項21】
前記バイオリアクタ
ーが、前記細胞培養チャンバ
ー中の少なくとも一部の細胞培養物が前記細胞培養チャンバ
ーを出て行くのを防ぐための少なくとも1つの膜を含む、請求項1~20のいずれか1項に記載のバイオリアクタ
ー。
【請求項22】
前記バイオリアクターが、前記細胞培養チャンバー中の少なくとも一部の細胞培養物が前記細胞培養チャンバーを出て行くのを防ぐための少なくとも1つの膜を含む、請求項5または6に記載のバイオリアクターであって、前記少なくとも1つの膜が、前記細胞培養チャンバ
ーの1つまたは複数の前記入口および/または出口オリフィ
スを覆って配置される
、バイオリアクタ
ー。
【請求項23】
1つまたは複数の追加の細胞培養チャンバ
ーが、1つまたは複数のさらなる追加の細胞培養チャンバ
ーを挿入することにより前記容
器の上または中に構築される、請求項1~22のいずれか1項に記載のバイオリアクタ
ー。
【請求項24】
少なくとも1つのセンサーが、各チャンバ
ーの含有物が独立に監視され得るような方法で前記1つまたは複数の
追加の細胞培養チャンバ
ーの上または中に取り付けられる、請求項23に記載のバイオリアクタ
ー。
【請求項25】
容器を含む、回転に適合されたバイオリアクタ
ーであって、
前記容器は、
-第1の末
端および第2の末
端であって、前記第1の末
端から前記第2の末
端へ前記容
器の第1の方
向に沿って延在する前記容
器の中心
軸を画定する、第1の末
端および第2の末
端、
-前記容
器の第1の方向に沿って延びる少なくとも1つの
壁;
-新鮮な培地を受け取るための体積を画定する少なくとも1つの培地導
管;
-前記少なくとも1つの
壁内に限局された空間の少なくとも一部により画定され
、新鮮培地チャンバ
ーおよび使用済み培地チャンバ
ーを含む内側チャンバー;
-前記使用済み培地チャンバ
ーおよび前記新鮮培地チャンバ
ーと流体連通している細胞培養チャンバ
ーであるかまたはそれを含む前記少なくとも1つの培地導
管;
-前記内側チャンバー内で、前記使用済み培地チャンバ
ーから前記新鮮培地チャンバ
ーを分離するように、前記内側チャンバー内で、構成された可動
壁、
を含む、
バイオリアクター。
【請求項26】
-前記少なくとも1つ
の壁が、内
壁および外
壁を含み、前記内
壁および前記外
壁が前記
壁の間に環状隔
室を画定し、
-前記少なくとも1つの培地導
管が、前記環状隔
室であり、および
-前記内側チャンバーが、前記内
壁内に限局される空間の少なくとも一
部により画定される、
請求項25に記載のバイオリアクタ
ー。
【請求項27】
-前記少なくとも1つの
壁が、単一
壁であり、および
-前記少なくとも1つの培地導
管が、前記単一
壁の内側または外側に配置された少なくとも1つの導
管である、
請求項25に記載のバイオリアクタ
ー。
【請求項28】
回転に適合されたバイオリアクターを含む、細胞培養物または組織を増殖させるためのバイオリアクターシステ
ムであって、
前記バイオリアクター
は容器を含み、
前記
容器は、
-第1の末
端および第2の末
端であって、前記第1の末
端から前記第2の末
端へ前記容
器の第1の方
向に沿って延在する前記容
器の中心
軸を画定する、第1の末
端および第2の末
端、前記容
器の第1の方向に沿って延びる少なくとも1つの
壁、新鮮なまたは使用済みの培
地を受け取るための体積を画定する少なくとも1つの培地導
管;
-前記少なくとも1つの
壁内に限局された空間の少なくとも一部により画定され
、新鮮培地チャンバ
ーおよび使用済み培地チャンバ
ーを含む内側チャンバー;
-前記少なくとも1つの培地導
管および前記新鮮チャンバ
ーまたは使用済み培地チャンバ
ーと流体連通している細胞培養チャンバ
ー;および
-前記内側チャンバー内で前記使用済み培地チャンバ
ーから前記新鮮培地チャンバ
ーを分離するように、前記内側チャンバー内で、構成された可動
壁、
を含
み、
-前記可動
壁が、前記容
器の第1の方向に沿って軸方向に可動
壁を移動させるために、ピスト
ンの形式の移動要
素に連結さ
れ、
前記バイオリアクターシステムは、
-前記バイオリアクタ
ーの回転を支持するおよび/または可能にするように適合された保持ローラ
ー;
-前記バイオリアクタ
ーを回転させるため
の駆動要
素;
-ピストンシャフ
トを介して前記可動
壁に連結されているピスト
ンを支持するための保持ブロッ
ク;
-前記保持ブロッ
クを動か
し、それによりピスト
ンを移動させるための駆動装置、
をさらに含む、
バイオリアクターシステ
ム。
【請求項29】
容器を含む、回転に適合されたバイオリアクタ
ーであって、
前記容器は、
-第1の末
端および第2の末
端であって、前記第1の末
端から前記第2の末
端へ前記容
器の第1の方
向に沿って延在する前記容
器の中心
軸を画定する、第1の末
端および第2の末
端、前記容
器の第1の方向に沿って延びる少なくとも1つの
壁、新鮮なまたは使用済みの培地を受け取るための体積を画定する少なくとも1つの培地導
管;
-前記少なくとも1つの
壁内に限局された空間の少なくとも一部により画定され
、新鮮培地チャンバ
ーおよび使用済み培地チャンバ
ーを含む内側チャンバー;
-前記少なくとも1つの培地導
管および前記新
鮮および/または使用済み培地チャンバ
ーと流体連通している細胞培養チャンバ
ー;および
-前記内側チャンバー内で前記使用済み培地チャンバ
ーから前記新鮮培地チャンバ
ーを分離するように、前記内側チャンバー内で、構成された可動
壁、
を含み、
前記バイオリアクターは、
-1つまたは複数の液体または加湿リザーバーまたは要
素、
-蒸発チャンバ
ーおよび前記細胞培養チャンバ
ーの壁の1つを形成するフィルタ
ー、および
-液体または水分を
前記1つまたは複数の液体または加湿リザーバーまたは要
素から前記蒸発チャンバ
ーへ輸送するように構成された、液体または水分輸送要
素、
を含む加湿システ
ムをさらに含む、
バイオリアクタ
ー。
【請求項30】
-前記少なくとも1つの
壁が、内
壁および外
壁を含み、前記内
壁および前記外
壁が前記
壁の間に環状隔
室を画定し、
-前記少なくとも1つの培地導
管が、前記環状隔
室であり、および
-前記内側チャンバーが、前記内
壁内に限局される空間の少なくとも一
部より画定される、
請求項
29に記載のバイオリアクタ
ー。
【請求項31】
-前記少なくとも1つの
壁が、単一
壁であり、および
-前記少なくとも1つの培地導
管が、前記単一
壁の内側または外側に配置された少なくとも1つの導
管である、
請求項29に記載のバイオリアクタ
ー。
【請求項32】
-円周加湿
器をさらに含み、前記円周加湿
器が、
・前記細胞培養チャンバ
ーの少なくとも一部の周りにまたは前記バイオリアクタ
ーの中心軸もしくは長手方向軸の周り
に円周に配置され、および
・ガス交換
器のキャビテ
ィの少なくとも一部中の空気またはガスを加湿するまたは湿らせるように構成された1つまたは複数の液体もしくは加湿リザーバーまたは要素を含むまたはそれらに連結される、
請求項1
3~15のいずれか1項に記載のバイオリアクタ
ー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物回転器型装置を用いる細胞培養物または組織を含むバイオリアクターの隔室の連続回転により、細胞培養物および組織を増殖するためのバイオリアクター装置およびバイオリアクターシステム、特に、微小重力条件と誤って呼ばれることが多い、全方位正常重力条件下で稼働されるバイオリアクターに関する。より具体的には、本発明は、容器の形式のバイオリアクターに関し、ここで新鮮のおよび使用済みの増殖培地が、内側チャンバー内に保持され、ピストンなどの可動壁により分離される。本発明はまた、バイオリアクター、およびピストンを移動させバイオリアクターを回転させるための駆動装置を含む、バイオリアクターシステムも含む。
【背景技術】
【0002】
細胞培養物の増殖用のバイオリアクターは、単一のもしくはいくつかの細胞型、または組織に関わらず、全方位正常重力条件、すなわち植物回転器誘導条件下での通常操作を必要とする。理由は、これが、培養または回収中の多くの細胞型の分化状態の保存、または細胞株中のインビボ様機能の(再)分化を可能にするためである。このような全方位正常重力条件は、例えば細胞培養物を含む隔室のほぼ連続的な回転により誘導され、それにより細胞が隔室壁に付着するのを防ぐ(厳密に言えば、回転は重力(求心加速度)を微小に増大させる)。好適な回転は、培養物に対し最小限の剪断力で、流体環境中の細胞相互の付着を促進する。剪断力を、必要に応じ、バイオリアクターの回転速度を変えることにより、特定細胞/組織型に対して導入できる。それにより、細胞は、通常スフェロイドまたはオルガノイドと呼ばれるコロニーへと凝集する(本開示では、スフェロイドとひとまとめにして呼ぶ)。複数組織片は同じように影響を受けるので、それらも、総称スフェロイドに含まれる。
【0003】
培地を交換するためにまたは化合物、例えば、薬物もしくは候補薬物を、隔室、例えば、インキュベーションチャンバーまたは細胞培養チャンバーに加えるために、バイオリアクター装置の回転を止めることが通常必要とされる。しかし、これは、回転の間に、スフェロイドが底部に沈殿するまたは隔室の壁に付着するという問題を生ずる。これは次に、ガス、例えば、酸素、および栄養素のスフェロイドへの可用性の低下をもたらし、したがってそれらの品質に影響する。沈殿した底部のスフェロイドは、上部にあるものよりも大きな影響を受ける。加えて、異なる使用者は、多少なりともこの操作に熟練しているので、より多くのばらつきを持ち込むことになる。このように、回転の停止は、回転バイオリアクター中の活動的な拡散環境から拡散速度が限られた静的条件への変化を生じ、スフェロイド集団に対する準最適な増殖条件をもたらす(かつスフェロイドサイズが大きくなるほど、より多くの顕著な影響が観察される)。特に、これは、望ましい表現型を有するなどの重要な特性をスフェロイドが失う原因になる場合がある。従って、回転を停止しなければならない回数を最小に減らすように、または理想的には、スフェロイドを可能な限り均一に保つために、その回転を全く止めないようにできることが望ましい。スフェロイドが非常に均一である場合、それらがそれらの周りの培地に対し「静止軌道」中にあり、そのため培地溶液中で極めて静かに混転するのみである、特定の回転速度を見つけることが可能である:これは、機械的剪断力を極端に低いレベルに減らし、すなわち培養物は、本質的に機械的に「ストレスフリー」である。
【0004】
スフェロイドの改善された均一性は、より良好な代謝性能をもたらし、これはその後、例えば、臨床試験または類似の試験に入る前に、細胞培養物の候補薬物予後のより信頼性の高いインビトロ予測的毒性学的評価を可能にする、すなわち、それは、臨床試験に着手する前に、より信頼性の高い「フィルター」をもたらす。
【0005】
米国特許第9,850,458号は、十分にアクセス可能なインキュベーションキャビティとしての蓋の提供により、この課題に対処している。しかし、この特許の教示によるスフェロイドの取り出しは、以前の技術より迅速であるが、スフェロイドの均一性は、まだ幾分損なわれており、また同時に、バイオリアクターは、スフェロイドの取り出しを可能にするために、操作者による操作を必要とする。
【0006】
EP1966367A1は、細胞培養物、組織生検材料、細胞クラスター、組織様構造物、「原組織」または類似の試料のインキュベーションのためのバイオリアクターを開示している。バイオリアクターは、微小重力条件中での使用のための回転に適合され、通常1ml未満の、小さな内部液量を有するインキュベーションキャビティを備える。少容量バイオリアクターは、供給が限られる、または高価である可能性のある、より少ない量の試薬の使用を可能にする。
【0007】
米国特許出願公開第2004/0219659号は、生物工学によって作られた増殖する組織に対し生理学的に関連する並進歪みおよび回転歪みを与える要素を含む、バイオリアクターシステムを開示している。それにより、細胞または組織に対する物理的応力が加えられる。
【0008】
米国特許出願公開第2013/0230907号は、動水圧を生成して、細胞培養物を動水圧にさらし、それにより細胞または組織に物理的応力を加えるように設計されたバイオリアクターを開示している。
【0009】
米国特許出願公開第2017/0009207号は、その中の細胞が機械および電気システムにより物理的応力に曝露されるバイオリアクターを含む装置を開示している。このように、装置は、細胞に物理的応力および/または電気的刺激を加えるように設計されている。
【0010】
米国特許出願公開第2016/0201037号は、その中でバイオリアクター装置がピストンを含む、細胞を増殖させるためのバイオリアクターを開示している。バイオリアクターは、バイオリアクターを別個のチャンバーに分割しかつ多組織試料の増殖を促進する、内側本体を含み得る。装置は、装置に付着される単一層(または複数層)として細胞を増殖させるように設計されている。従って、装置と細胞の間の接触が発生する。
【発明の概要】
【0011】
従って、スフェロイドのより良好な均一性を可能にし、同時に、動作中に細胞培養物への応力の付与を回避するバイオリアクター、ならびにバイオリアクターのより再現可能性の高い操作、すなわち、操作がより容易なバイオリアクターを提供することが、1つの目的である。
バイオリアクターの壁と細胞または組織との間の接触を最小化するバイオリアクターを提供することが、別の目的である。
単純でありかつ無菌状態に保持することが容易なバイオリアクターを提供することが、さらに別の目的である。
そこで生成されるスフェロイドの一様な懸濁液、すなわち、剪断力を最小に減らす実質的に固定された軌道を可能にするバイオリアクターを提供することが、さらなる目的である。
一定の、またはプログラム可能な培地補充を可能にするバイオリアクターを提供することが、さらなる目的である。
バイオリアクターの操作をさらに最小化する、バイオリアクターチャンバーへの必要な培地の事前導入を可能にするバイオリアクターを提供することが、またさらなる目的である。
これらの(および他の目的)の少なくとも1つまたは複数は、本明細書で開示の態様および実施形態により少なくともある程度解決される。
【0012】
従って、第1の態様では、回転に適合されたバイオリアクターが提供され、バイオリアクターは、
第1の末端および第2の末端であって、上記第1の末端から上記第2の末端へ容器の第1の方向、例えば、長さ方向、に沿って延在する容器の中心軸を画定する、第1の末端および第2の末端、容器の第1の方向に沿って延在する少なくとも1つの壁、新鮮なまたは使用済みの培地を受け取るための体積を画定する少なくとも1つの培地導管;
上記少なくとも1つの壁内に限局された空間の少なくとも一部により画定され、新鮮培地チャンバーおよび使用済み培地チャンバーを含む、内側チャンバー;
上記少なくとも1つの培地導管および上記新鮮および/または使用済み培地チャンバーと流体連通している細胞培養チャンバー;および
上記内側チャンバー中で上記使用済み培地チャンバーから上記新鮮培地チャンバーを分離するように、上記内側チャンバー中で、構成された可動壁、
を含む容器
を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、
-少なくとも1つの壁は、内壁および外壁を含み、内壁および外壁は上記壁の間に環状隔室を画定し(または作成する)、
-少なくとも1つの培地導管は、環状隔室であり、および
-内側チャンバーは、上記内壁内に限局される空間の少なくとも一部、例えば、全てにより画定される。
【0014】
環状隔室を画定するまたは作成する内壁および外壁は、従って、二重壁容器を形成し、そこで新鮮なおよび使用済みの培地(増殖培地)が、容器の内側チャンバー内に保持され、同時に可動壁により分離される。
【0015】
好ましくは、上記環状隔室は、新鮮な培地を受け取るための体積を画定する。
【0016】
好ましくは、上記培養チャンバーは、上記環状隔室および上記使用済み培地チャンバーと流体連通している。
【0017】
いくつかの代替実施形態では、
-少なくとも1つの壁は単一壁であり、および
-少なくとも1つの培地導管は、単一壁の内側または外側に配置された少なくとも1つの導管である。
【0018】
従って、第1の態様のある実施形態では、回転に適合されたバイオリアクターが提供され、バイオリアクターは、
第1の末端および第2の末端であって、上記第1の末端から上記第2の末端へ容器の第1の方向、例えば、長さ方向に沿って延在する容器の中心軸を画定する、第1の末端および第2の末端、容器の第1の方向に沿って延在する少なくとも1つの壁、新鮮な培地を受け取るための体積を画定する少なくとも1つの培地導管;
上記少なくとも1つの壁内に限局された空間の少なくとも一部により画定され、新鮮培地チャンバーおよび使用済み培地チャンバーを含む、内側チャンバー;
上記少なくとも1つの培地導管および上記使用済み培地チャンバーと流体連通している細胞培養チャンバー;および
上記内側チャンバー中で上記使用済み培地チャンバーから上記新鮮培地チャンバーを分離するように、上記内側チャンバー中で、構成された可動壁、
を含む容器
を含む。
【0019】
容器の第1の末端は、好ましくは平らであり、かつほぼ垂直(または、例えばほぼ水平であり得る、回転軸に対し、ほぼ垂直)である。容器の第2の末端は好ましくは、平らであり、かつほぼ垂直(または、例えばほぼ水平であり得る、回転軸に対しほぼ垂直)である。
【0020】
従って、バイオリアクターは、それにより細胞培養チャンバー中の細胞培養物が、好ましくは容器の壁に接触することなく、保持および懸濁され、同時に、新鮮栄養素を供給する新鮮培地供給源が設けられ、細胞廃棄物を含む使用済み培地が除去される、灌流バイオリアクターとして機能する。従来の灌流バイオリアクターとは異なり、本明細書で開示のバイオリアクターは、その構成が単純であり、新鮮培地リザーバーから細胞培養チャンバーに新鮮培地を運ぶ配管の必要がなく、細胞培養チャンバーから使用済み培地リザーバー、排出口などへ使用済み培地を運ぶ必要がない。さらに、従来の灌流バイオリアクターと対照的に、第1の態様のバイオリアクターはまた、植物回転器細胞培養環境を与えるための回転に適合され得る。
【0021】
第1の態様のバイオリアクターはまた、培地が種々の方法で交換されることを可能にする。例えば、培地は、一定の速度で供給可能であり、またはそれは、間欠的に、例えば、朝食、昼食および夕食を模倣するように1日3回供給可能であり、またはそれは、例えば培地交換を作動させる成分センサーをバイオリアクターまたはバイオリアクターシステム中に適応することにより、特定の成分を既定のレベルに保持するために供給されてよい。
あるいは、新鮮な培地は、それがバイオリアクターを満たす前に、プレ平衡化されてよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、例えば、酸素と二酸化炭素の、ガス交換は、容器プラスチック壁、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)または類似物を通して、または容器の壁、好ましくは細胞培養チャンバーの壁に取り付けた特殊フィルターを通して、起こり得る。
あるいは、新鮮な培地は、バイオリアクターを満たす前に、プレ平衡化されてよい。
【0023】
バイオリアクターはこのように単純であり、一体型であり、均一なスフェロイドを生成できる。バイオリアクターはまた、無菌状態を保持するのが容易であり、操作がより容易、すなわち、より長い期間後、例えば、通例の48時間毎程度ではなく、14日またはそれを越える日数後にのみ細胞培養物の交換または補給を可能にすることにより、操作がより容易である。この期間は、新鮮培地チャンバーを、培養中に枯渇することが予測される1種または複数の成分がより高濃度で存在する「ストック」溶液で満たすことにより延長できる。例えば、培養がグルコースを使用する場合、グルコースは多くの場合、1g/Lの生理的濃度で供給される。新鮮培地チャンバー中の培地が4.5g/Lのグルコースを含む場合、培養は、4.5倍の時間にわたり維持され得る。1g/Lおよび4.5g/Lの両方を含む培地は、いくつかの供給業者から商業的に入手できる。一例として、代謝的に非常に活性である成熟C3Aスフェロイドの場合、培地は通常、1日置きに交換される(他の細胞型は異なり得る)。10mLの細胞培養チャンバーを考慮すると、これは、14日で7回の培地交換があることを意味する。これは、70mLの新鮮培地を必要とする。従って、培地リザーバーは、少なくとも70mLである必要がある。培地が高レベルのグルコース(4.5g/L)を含む場合、70mLは63日間の培地と等価である。しかし、培地中の他の成分は、この時間中、制限的になる可能性がある。
【0024】
いくつかの実施形態では、好適な内部寸法は、連結要素の体積を考慮せずに、10mLの細胞培養チャンバーでは従って、約3~4cmの直径および1.5~0.8cmの高さであり、培地チャンバー/リザーバーでは、約3~4cmの直径および10~5cmの高さであろう。これらは、他の直径の容器について、対応して拡大縮小できる。
【0025】
典型的な流速は、これらの数値から計算できる。例えば、70mLの培地を、一定流速を用いて14日で交換する必要がある場合、流速は、約0.2mL/時間であろう。1日に3回、それぞれ30分間かかる「食事」を模倣する他の例では、流速は、それぞれの3回の「食事」の間、3.33mL/時間であろう。
【0026】
第1の態様のいくつかの実施形態では、上記細胞培養チャンバーは、容器の上記第1の末端で離して配置され、培地、例えば、液体培地が上記少なくとも1つの培地導管、例えば、上記環状隔室または上記少なくとも1つの導管から細胞培養チャンバー中に入ることを可能にするための入口オリフィス、および培地、例えば、液体培地が、上記培養チャンバーから上記使用済み培地チャンバーに入ることを可能にするための出口オリフィスまたは弁を備える。可動壁は、新鮮培地が少なくとも1つの培地導管を通って細胞培養チャンバーに流れ、同時に、オリフィスおよび特に弁(存在する場合)が2つの液体、すなわち、細胞培養物および使用済み培地の混合を防止する。
【0027】
第1の態様のバイオリアクターはまた、細胞培養チャンバーを新鮮培地チャンバー、培地導管および使用済み培地チャンバーから分離するためのフィルターの使用がオプションになることももたらす。バイオリアクターの回転は、スフェロイドを中心軸から、すなわち、細胞培養チャンバーの出口ポートから離させる傾向がある。培地の流入は、低速であっても、スフェロイドが培地導管に入るのを防ぐ。従って、スフェロイドが細胞培養チャンバーを出て行くのを防ぐためのバイオリアクター中での膜の使用が回避され、それにより遙かに単純で安価な構成をもたらす。
【0028】
さらに、第1の態様によるバイオリアクターの特定の実施形態では、バイオリアクターは、細胞培養チャンバー中の少なくとも一部の細胞培養物が上記細胞培養チャンバーを出て行くのを防ぐための膜を含む。好ましくは、膜(1つまたは複数)は、細胞培養チャンバーの入口および/または出口オリフィスを覆って、または少なくともそれらと連結して配置される。これは、細胞培養チャンバー中で成分、細胞またはスフェロイドを保持することを可能にし、また、成分または細胞、例えば、微生物、が細胞チャンバーへ入るまたはそこから出て行くのを防止する。いくつかの実施形態では、このような膜は、培地(液体培地)が上記培養チャンバーから上記使用済み培地チャンバーに入るのを可能にするために、例えば、出口オリフィスまたは弁(より詳細は下記を参照)の位置に配置される。代わりに、または追加で、このような膜は、培地(液体培地)が環状隔室または培地導管から細胞培養チャンバーに入るのを可能にするために、例えば、入口オリフィスまたは弁(細胞培養チャンバーの)の位置に配置される。さらに別の代替例、または追加例として、このような膜は、例えば、細胞培養チャンバーの細胞培養物へのアクセスを提供する(例えば、円周の)接近口などの位置に配置される。いくつかの実施形態では、単一のこのような膜、例えば、膜ディスクなどは、上記位置の2つあるいは3つ全てを覆ってよく、特に単一の膜は、培地(液体培地)が上記培養チャンバーから上記使用済み培地チャンバーに入るのを可能にするために、および培地(液体培地)が環状隔室または培地導管から細胞培養チャンバーに入るのを可能にするために、入口オリフィスまたは弁(細胞培養チャンバーの)を覆い得る。
【0029】
従って、このような膜が有利である状況が存在し得る。これらの状況は、微生物が培養される、または重力によりまたは培地の流れにより大きく影響を受けるには小さすぎるスフェロイドと共培養される場合、またはそれらが運動型であり得る場合、または使用者が細胞増殖チャンバーの内部または外側に選択的に化合物を保持することを望む場合、を含む。
【0030】
第1の態様の別の実施形態では、少なくとも1つの培地導管、例えば、上記環状隔室または上記少なくとも1つの導管は、培地(すなわち、液体、または液体培地)が、上記新鮮培地チャンバーから少なくとも1つの培地導管に入るのを可能にするために入口オリフィス、および培地が少なくとも1つの培地導管から細胞培養チャンバーに入るのを可能にするために出口オリフィスを備え、上記出口オリフィスは、細胞培養チャンバーの上記入口オリフィスに対応する。これは、細胞培養チャンバー中への新鮮培地の流れを促進する。従って、新鮮培地チャンバーは、培地、液体上記新鮮培地チャンバーからの液体培地が少なくとも1つの培地導管に入るのを可能にするための出口オリフィスを備え、この少なくとも1つの培地導管の出口オリフィスは、上記少なくとも1つの培地導管の上記入口オリフィスに対応する。
【0031】
第1の態様の別の実施形態では、上記少なくとも1つの壁の少なくとも部分は、細胞培養チャンバーへのアクセスを提供するために、好ましくは容器の上記第1の末端に位置する少なくとも1つの壁の取り外し可能な末端として、切り離しできる。これは、バイオリアクターの遙かに単純な構成、およびバイオリアクター内部への、特に細胞培養チャンバーおよびその中の細胞またはスフェロイドへのより良好なアクセスし易さに起因するより容易な保守点検を可能にする。用語「切り離しできる」は、それが可逆的に開放されるまたは取り外され得ることを意味する。特定の実施形態では、容器の上記第1の末端に位置する少なくとも1つの壁の取り外し可能な末端の平坦部分は、少なくとも1つの接近口および任意選択のセンサーを含み、上記センサーは好ましくは、上記接近口に取り付けられる。別の特定の実施形態では、センサーは、チャンバー壁の其れ自体の位置に取り付けられる。
【0032】
第1の態様の別の実施形態では、上記少なくとも1つの壁の少なくとも一部は、例えばこのような実施形態のための取り外し可能な末端に含まれる培地、細胞およびスフェロイドの観察を可能にするように構成された透明のガラスまたはプラスチックである。これは、細胞培養が外側から監視および評価されることを可能にする。ガラスまたはプラスチックは、透明であることとは別に、培地および細胞に対し生物学的および化学的に不活性でもあることが好ましい。さらに、プラスチックは好ましくは、例えば生物活性剤または候補薬剤を含む培地中のいずれかの化合物を結合、吸着、または吸収する低い親和性を有する。好適なプラスチックとして、ポリスチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレンを使用し得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、チャンバーを含む容器は、無色透明のプラスチックから作製され得、一方で全ての他の要素は、ポリプロピレン製である。
【0034】
第1の態様(上記壁の間に環状隔室を画定する内壁および外壁を有する)の他の実施形態では、上記内壁は、容器の第1の/長さ方向に沿って延在する、かつ上記外壁に接触するまで、外側に向かって垂直に、すなわち上記第1の/長さ方向に対し半径方向に垂直に延在する、複数の隆起部を有し、上記隆起部間の空間は、上記環状隔室内に1つまたは複数の副隔室を画定する。隆起部は好ましくは、平行に配置される。隆起部は、環状隔室中で培地のより良好な流れを生成するのを可能にする。理由は、これはいくつかの副隔室に分割され、それは層流条件により近づき、したがってその中を流れる培地に損傷を与える得る逆混合および乱流を回避するからである。上で記述の隆起部を備えることは、より単純な構成およびそれによるバイオリアクターの安価な製造も可能にする。
【0035】
第1の態様の別の実施形態では、容器は、円柱状または通常、円筒形を有し、1つまたは複数の結合された回転要素(例えば、駆動装置)による回転軸、例えば、水平軸の周りの回転に適合され、上記回転軸は、容器の第1の/長さ方向に沿って延在する上記中心軸である。回転は、全方位正常重力条件の提供を可能にし、細胞培養チャンバー中で形成されたスフェロイドが、容器壁に接触することなく、安定な軌道で容易に懸濁され得ることを意味する。水平回転軸は、
図1の28で示される中心軸線により画定される通りであってよい。
【0036】
第1の態様の別の実施形態では、上記可動壁は、可動壁を容器の第1の/長さ方向に沿って軸方向に、好ましくは上記細胞培養チャンバーから離れる方向に、可動壁を移動させるために、移動要素に連結される。流れを逆転する必要がある状況では、可動壁は、容器の第1の/長さ方向に沿って上記細胞培養チャンバーの方向に動かされる。特定の実施形態では、上記移動要素は、ピストンであり、上記可動壁は、例えば、または好ましくは容器の第1の/長さ方向に沿って延在する上記中心軸と同期するピストンシャフトを介して、上記ピストンに連結される。別の特定の実施形態では、導管が提供され、それは細胞培養チャンバーから上記ピストンシャフトを介して、少なくとも容器の外側に伸びる。さらに別の特定の実施形態では、ピストンシャフトは、細胞培養チャンバーから少なくとも容器の外側へ伸びる管などの導管である。これは、培養チャンバー中の細胞のより容易で直接的なサンプリングおよび監視を可能にする。従って、それは、バイオリアクターの回転の停止という手段に訴える必要なしに、このチャンバー中の培地または細胞のオンラインサンプリングを可能にする。さらに、外側から使用済み培地を収集するだけでなく、新鮮な培地、化合物、例えば、生理活性分子、薬物もしくは候補薬物、または他の溶液を導入することも可能である。
【0037】
第1の態様の別の実施形態では、容器は、0.1~200rpmの速度で回転される。容器の最適回転速度は、スフェロイドの成熟度(それらは成熟が進むと、大きくなり、「静止軌道条件」に達するために、より高いrpmを必要とするという理由による)、使用する培地の温度および粘度を含む多くの因子に依存する。「静止軌道条件」に達するためには、例えば、0.1rpmまでのrpmの微調節が必要であり得る。回転は好ましくは、振動、回転むら、および粗動を実質的に含むべきではない。
【0038】
第1の態様の別の実施形態では、容器または容器の一部は、ガス透過性プラスチックで構成されるか、または容器は酸素および二酸化炭素などのガスの交換のためのガス透過性膜を含む。特定の実施形態では、上記ガス透過性膜は、容器の上記第1のまたは第2の末端に沿って配置される。別の特定の実施形態では、上記ガス透過性膜は、細胞培養チャンバーの円周部分、すなわち、周囲に沿って、好ましくは容器の上記第1の末端に位置する外壁の上記取り外し可能な末端の円周部分に沿って、配置される。好ましくは、上記ガス透過性膜は、半透性の膜である。
容器は、好ましくは円筒形状であり、それによりその断面周囲は環状であり、その中に配置される細胞培養チャンバーも環状である一方で、、容器の断面周囲は、多角形などの、環状以外であり得る。
【0039】
第1の態様の別の実施形態では、培養チャンバーと、外側雰囲気、すなわち、容器の外側の周辺雰囲気との間に加湿システムが設けられ、上記加湿システムは、好ましくは滅菌水を含む液体リザーバー、蒸発ラビリンス(evaporation labyrinth)などの蒸発チャンバーおよびガス透過性膜、特に半透性膜などのフィルターを含む。これは、細胞培養チャンバー中へのガスの交換を容易にし、同時に、培養チャンバーからの水の減少を回避する。好ましくは、上記フィルターは、円周部分、すなわち、細胞培養チャンバーの周囲に沿って配置された上記ガス透過性膜である。ある実施形態では、上記蒸発チャンバー、例えば、蒸発ラビリンスおよび上記液体リザーバーは、ガス透過性膜と同じ方式で、容器の円周部分に沿って配置される。
【0040】
さらに別の実施形態では、加湿システムは、上記液体リザーバーおよび上記蒸発チャンバーと流体連通するように配置された追加のフィルターをさらに含み、それにより、液体リザーバーから蒸発チャンバー、例えば、蒸発ラビリンスへの蒸発を可能にする。追加のフィルターは好ましくは、容器の円周部分に沿って、および上記液体リザーバーと上記蒸発チャンバーの間に配置される。追加のフィルターは好ましくは、液体リザーバーから蒸発チャンバーへの蒸発を可能にするために高度に透過性である。追加のフィルターは、吸い上げ用の芯またはガス透過性フィルターであり得る。後者は、追加のフィルターが容器の円周部分に沿って配置される実施形態に最も好適である。このようなガス透過性フィルターはしたがって、細胞チャンバーの円周部分に沿って配置された上記半透性膜とは異なる特性を有する。
【0041】
特定の実施形態では、加湿システムは、蒸発チャンバー、例えば、蒸発ラビリンスを外側雰囲気と連結する少なくとも1つの開口をさらに含む。
【0042】
特定の実施形態では、出入り口が、空気が使用済み培地チャンバー中に吸引されることを可能にするために備えられる。これは、容器中に負圧が発生する場合に必要であり得る。
【0043】
第1の態様の別の実施形態では、細胞培養チャンバーは、少なくとも1つの接近口および任意選択のセンサーを含み、上記センサーは好ましくは、上記接近口に取りはずし可能なように取り付けられる。取り付けられることは、センサーが接近口で一体化されることを意味する。これは、細胞培養の状態または条件を連続的に測定する洗練された単純な方法である。例えば、接近口に取り付けられたセンサーは、細胞培養物のグルコースレベルを測定するように適合され、グルコースレベルが低い場合には、制御機序によりピストンを稼働させ、ピストンを引き出し、それにより、細胞培養チャンバーへの新鮮なグルコースを含む新鮮な培地の補充を可能にする。
【0044】
第1の態様の別の実施形態では、少なくとも1つのセンサーが、細胞培養チャンバーと直接接触している、容器の少なくとも1つの壁、例えば、内壁の一部に取り付けられる。
【0045】
第1の態様の別の実施形態では、上記少なくとも1つの壁、例えば、外壁は、上記新鮮培地チャンバーへの接近口を含む。これは、バイオリアクター中に新鮮な培地の供給を可能にし、それは使用の初期で特に重要である。この接近口は、新鮮培地チャンバーに直接連結され、かつ好ましくは容器の第2の末端、すなわち、細胞培養チャンバーから最も離れた位置の少なくとも1つの壁、例えば、外壁の周辺部に位置する。
【0046】
第1の態様の別の実施形態では、上記少なくとも1つの壁、例えば、外壁は、空気、液体、細胞、細胞凝集体、または生物学的に活性な分子、例えば薬物を導入または除去するための出入り口を含む。この接近口は、上記新鮮培地チャンバーへの上記接近口と同じ接近口であり得る。好ましくは、接近口は、容器の円周側または容器の少なくとも1つの壁、例えば、外壁の取り外し可能な部分に配置される。
接近口または出入り口のいずれかは好ましくは、接近口の周辺領域の、清潔、乾燥、および無菌状態での保持を促進し、気泡の除去を促進するために、その周りにカップを有する。
【0047】
第1の態様の別の実施形態では、追加の細胞培養チャンバーが、上記細胞培養チャンバーと直列に適合され、上記追加の細胞培養チャンバーは、上記新鮮培地を輸送するための導管を有し、培地を細胞培養チャンバーから上記追加の細胞培養チャンバーヘ流すのを可能にするためのオリフィスを有する。従って、さらなる、好ましくはペトリ皿形状の細胞培養部が、容器取り外し可能な末端(すなわち、第1の態様による容器)とバイオリアクターの残りの間に挿入され、そのような追加の細胞培養チャンバーは、新鮮培地をバイオリアクターの残りの部分から容器の取り外し可能な末端へ輸送するための導管を有し、かつ細胞培養チャンバーと追加の細胞培養チャンバーの間に培地を流すことを可能にする穴またはオリフィスを有する。特定の実施形態では、1つまたは複数の追加の細胞培養チャンバーが、さらなる追加の細胞培養チャンバー、好ましくは実質的にペトリ皿形状の細胞培養チャンバーを挿入することにより、容器の上にまたは中に構築される。別の特定の実施形態では、少なくとも1つのセンサーが、各チャンバーの含有物を独立に監視できるような方法で、1つまたは複数の追加の細胞培養チャンバーの上にまたは中に取り付けられる。
【0048】
連結された一連の細胞培養チャンバーについて、片方または両方の末端(すなわち、第1のおよび/または最後の末端)にある細胞培養チャンバーは、上側出入り口ではなく前または後ろに位置する二重ベント(本明細書で開示のように)を含み得、同時に、その間の任意の細胞培養チャンバーは、ガス交換器および存在する場合、加湿器のために、バイオリアクターの外側または周囲空気またはガスと交換可能にするために、上側出入り口または任意の他の好適な出入り口を含む必要があることに注意されたい。
【0049】
第2の態様では、細胞培養チャンバーが容器の環状部分(すなわち、環状隔室)中に存在するバイオリアクター(この場合、少なくとも1つの壁が、上記壁間に環状隔室を画定する内壁および外壁を含む)が、提供される。従って、回転に適合されたバイオリアクターが提供され、バイオリアクターは、
第1の末端および第2の末端であって、上記第1の末端から上記第2の末端へ容器の第1の方向、例えば、長さ方向、に沿って延在する容器の中心軸を画定する、第1の末端および第2の末端;
容器の第1の方向に沿って延在する少なくとも1つの壁;
新鮮培地を受け取るための体積を画定する少なくとも1つの培地導管;
上記少なくとも1つの壁内に限局された空間の少なくとも一部により画定され、新鮮培地チャンバーおよび使用済み培地チャンバーを含む内側チャンバー;
上記内側チャンバー中で上記使用済み培地チャンバーから上記新鮮培地チャンバーを分離するように、上記内側チャンバー中で、構成された可動壁、
を含む容器
を含み、
上記少なくとも1つの培地導管は、上記使用済み培地チャンバーおよび上記新鮮培地チャンバーと流体連通している細胞培養チャンバーであるかまたはそれを含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、
-少なくとも1つの壁は、内壁および外壁を含み、内壁および外壁は上記壁の間に環状隔室を画定(または作成)し、
-少なくとも1つの培地導管は、環状隔室であり、および
-内側チャンバーは、上記内壁内に限局される空間の少なくとも一部、例えば、全てにより画定される。
【0051】
いくつかの実施形態では、
-少なくとも1つの壁は単一壁であり、および
-少なくとも1つの培地導管は、単一壁の内側または外側に配置された少なくとも1つの導管である。
【0052】
従って、細胞培養チャンバーは、アニュラスである(または1つまたは複数の培地導管中に包含される)、すなわち、細胞培養チャンバーは、環状隔室または副隔室(または1つまたは複数の培地導管)を占める。これは、バイオリアクターのよりコンパクトな構成を可能にし、小細胞培養チャンバー体積に好適である。平均半径方向距離はより大きく、「静止軌道」回転速度を見つけるのをより容易にする。
【0053】
第3の態様では、細胞培養物または組織を増殖させるためのバイオリアクターシステムが提供され、システムは、
回転に適合されたバイオリアクターを含み、上記バイオリアクターは、
-第1の末端および第2の末端であって、上記第1の末端から上記第2の末端へ容器の第1の方向、例えば、長さ方向、に沿って延在する容器の中心軸を画定する、第1の末端および第2の末端、容器の第1の方向に沿って延在する少なくとも1つの壁、新鮮または使用済み培地を受け取るための体積を画定する少なくとも1つの培地導管;
上記少なくとも1つの壁内に限局された空間の少なくとも一部により画定され、新鮮培地チャンバーおよび使用済み培地チャンバーを含む内側チャンバー;
上記環状隔室および上記新鮮または使用済み培地チャンバーと流体連通している細胞培養チャンバー;および
上記内側チャンバー中で上記使用済み培地チャンバーから上記新鮮培地チャンバーを分離するように、上記内側チャンバー中で、構成された可動壁、
を含む容器を含み、
上記可動壁は、容器の第1の/長さ方向に沿って軸方向に可動壁を移動させるために、ピストンの形式の移動要素に連結され;
バイオリアクターシステムは、
-バイオリアクターの回転を支持し可能にするように適合された保持ローラー;
-バイオリアクターを回転させるための駆動輪などの駆動要素;
-ピストンシャフトを介して上記可動壁に連結されるピストンを支持するための保持ブロック;
-上記保持ブロックを動かし、それによりピストンを移動させるための駆動装置、をさらに含む。
【0054】
好ましくは、バイオリアクターを回転させるための、および上記保持ブロックを動かすための駆動要素および駆動装置は、シリンジポンプである。
【0055】
いくつかの実施形態では、
-少なくとも1つの壁は、内壁および外壁を含み、内壁および外壁は上記壁の間に環状隔室を画定(または作成)し、
-少なくとも1つの培地導管は、環状隔室であり、および
-内側チャンバーは、上記内壁内に限局される空間の少なくとも一部、例えば、全てにより画定される。
【0056】
いくつかの実施形態では、
-少なくとも1つの壁は単一壁であり、および
-少なくとも1つの培地導管は、単一壁の内側または外側に配置された少なくとも1つの導管である。
【0057】
第4の態様では、細胞培養物または組織を増殖させるためのバイオリアクターシステムが提供され、バイオリアクターの細胞培養チャンバーは、アニュラス、すなわち環状隔室中に存在する。従って、細胞培養物または組織を増殖させるためのバイオリアクターシステムが提供され、システムは、
回転に適合されたバイオリアクターを含み、上記バイオリアクターは、
第1の末端および第2の末端であって、上記第1の末端から上記第2の末端へ容器の第1の方向、例えば、長さ方向、に沿って延在する中心軸を画定する、第1の末端および第2の末端、外壁および内壁であって、上記壁間に環状隔室を作成するために、容器の第1の方向に沿って延在する、外壁および内壁;
上記内壁内に限局された空間により画定され、新鮮培地チャンバーおよび使用済み培地チャンバーを含む内側チャンバー;
上記使用済み培地チャンバーおよび上記新鮮培地チャンバーと流体連通している細胞培養チャンバーである上記環状隔室;
上記内側チャンバー中で上記使用済み培地チャンバーから上記新鮮培地チャンバーを分離するように、上記内側チャンバー中で、構成された可動壁、
を含む容器を含み、
上記可動壁は、容器の第1の/長さ方向に沿って軸方向に可動壁を移動させるために、ピストンの形式の移動要素に連結され;
バイオリアクターシステムは、
バイオリアクターの回転を支持し可能にするように適合された保持ローラー;
バイオリアクターを回転させるための駆動輪などの駆動要素;
ピストンシャフトを介して上記可動壁に連結されているピストンを支持するための保持ブロック;および
上記保持ブロックを動かし、それによりピストンを移動させるための駆動装置、
をさらに含む。
【0058】
第5の態様では、細胞培養物および組織を培養するためのバイオリアクターが提供され、バイオリアクターは、
-細胞培養培地を含むように構成された細胞培養チャンバー、
-細胞培養チャンバーの少なくとも一部の周りにもしくはそれに沿って、またはバイオリアクターの中心軸もしくは長手方向軸のまわりに、例えば、または、好ましくはバイオリアクターの所定の回転軸のまわりの円周に、配置された円周ガス交換器であって、細胞培養チャンバーのガス交換界面をバイオリアクターの周囲空気またはガスに連結する体積を含むキャビティを含む、円周ガス交換器
を含む。
【0059】
このように、ガス交換器は中心から外れて(しかし、通常、まだ中心軸および/または回転軸の周囲に)および長手方向軸から離れて(通常、第1と第2末端との間に延在し、回転軸に対し実質的に平行である)配置され、すなわち、ガス交換器は、筐体または任意の他の要素に隣接して長手方向に積み重ねられない。円周ガス交換器を有することにより、細胞培養チャンバー装置の長手方向の長さもまた大幅に低下され、長手方向「設置面積」/形状因子を大幅に低下させ、これは、デザイン上の考慮事項にとって有益であり得る。
【0060】
このような円周ガス交換器の提供は第1の態様に従って特に良好に機能するものの、交換機は、それから独立に使用され得ることに注意されたい。
【0061】
いくつかの実施形態では、ガス交換界面は、円周ガス透過性膜、例えば、酸素および二酸化炭素などのガスを細胞培養チャンバーの含有物と交換するように構成された、多孔性または非多孔性の半透性膜であり、ここで周方向ガス透過性膜は、細胞培養チャンバーの円周部分に沿って円周に配置される。
【0062】
いくつかの実施形態では、円周ガス透過性膜は、第1の末端と第2の末端を連結する連結壁であり、第1の末端、第2の末端、および連結壁は、細胞培養チャンバーを少なくとも部分的に画定する。
【0063】
いくつかの実施形態では、ガス交換界面または円周ガス透過性膜は、少なくとも1つの支持構造物、例えば、ガス交換界面または円周ガス透過性膜を円周ガス交換器のキャビティの空気またはガスと連結するように構成されたいくつかの開口部を含む、格子状支持構造物により支持される。
【0064】
いくつかの実施形態では、円周ガス交換器は、少なくとも1つのガスまたは空気入口および/または出口を介して、バイオリアクターの周囲空気またはガスと連結される。
【0065】
いくつかの実施形態では、バイオリアクターは、所定の回転軸の周りの回転のために構成され、少なくとも1つのガスまたは空気入口および/または出口は、例えば、または好ましくは同時に、バイオリアクターが所定の回転軸の周りを回転されるのに応答して円周ガス交換器のキャビティ中に周囲空気またはガスを吸い込み、かつ円周ガス交換器のキャビティから空気またはガスを排出し、それにより空気流を生成するように構成された、二重ベントまたは出入り口である。
【0066】
いくつかの実施形態では、バイオリアクターは、
-円周加湿器であって、
・細胞培養チャンバーの少なくとも一部の周りに、またはバイオリアクターの中心もしくは長手方向軸の周りに、例えば、または好ましくはバイオリアクターの所定の回転軸のまわりに、円周に配置され、および
・ガス交換器のキャビティの少なくとも一部中の空気またはガスを加湿するまたは湿らせるように構成された1つまたは複数の液体もしくは加湿リザーバーまたは要素を含む、またはそれらに連結される、
円周加湿器
をさらに含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の液体もしくは加湿リザーバーまたは要素は、ガス交換界面またはガス透過性膜の少なくとも一部の近くのまたはそれに隣接する空気またはガスを加湿するまたは湿らせるように構成される。
【0068】
第6の態様では、回転に適合されたバイオリアクターが提供され、バイオリアクターは、
-第1の末端および第2の末端であって、上記第1の末端から上記第2の末端へ容器の第1の方向、例えば、長さ方向、に沿って延在する容器の中心軸を画定する、第1の末端および第2の末端、容器の第1の方向に沿って延在する少なくとも1つの壁、新鮮または使用済み培地を受け取るための体積を画定する少なくとも1つの培地導管;
-上記少なくとも1つの壁内に限局された空間の少なくとも一部により画定され、新鮮培地チャンバーおよび使用済み培地チャンバーを含む内側チャンバー;
-上記少なくとも1つの培地導管および上記新鮮および/または使用済み培地チャンバーと流体連通している細胞培養チャンバー;および
-上記内側チャンバー中で上記使用済み培地チャンバーから上記新鮮培地チャンバーを分離するように、上記内側チャンバー中で、構成された可動壁、
を含む容器
を含み、
バイオリアクターは、
-1つまたは複数の液体または加湿リザーバーまたは要素、
-蒸発チャンバー、例えば、蒸発ラビリンスおよび細胞培養チャンバーの壁の1つを形成するフィルター、
-液体または水分を1つまたは複数の液体または加湿リザーバーまたは要素から蒸発チャンバーへ輸送するように構成された、液体または水分輸送要素、例えば、吸い上げ用の芯など、
を含む加湿システムをさらに含む。
【0069】
加湿された雰囲気は、培養チャンバーの壁の1つを形成する、半透性の膜などの、フィルターと直接接触する。従って、ガスは、培養チャンバーからの液体の正味の蒸発なしに、培養チャンバーと装置周辺の雰囲気の間で比較的自由に交換され得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、加湿システムは、例えば、液体リザーバーに(例えば、液体、通常、滅菌水を)充填および補給するための出入り口および蒸発チャンバーまたは蒸発ラビリンスを外側雰囲気に連結する少なくとも1つの開口出入り口を備える。いくつかの実施形態では、加湿システムは、細胞培養チャンバーと使用済み培地チャンバーの間に配置される。培地(液体培地)が上記培養チャンバーから上記使用済み培地チャンバーに入るのを可能にするための出口オリフィスまたは弁は、使用済み培地チャンバーへと例えば中央を、液体のまたは加湿するリザーバーまたは要素を通って(混合することなく)通過する。液体の使用に代えて、加湿器は、例えば、水、または、例えば、ゲル、スポンジ、粒子状物質(例えば、ウォータービーズ、アクアビーズ、屑粉、またはウォーターゲル粉末、など)などの溶質含有物質の1種または複数を含み得る。
【0071】
第1の態様のいずれかの実施形態は、本発明の第2または第3または第4または第5または第6の態様と共に使用され得る。第6の態様のいずれかの実施形態は、いずれか1つまたは複数の他の態様と共に使用され得る。
本発明の態様は、添付図面により説明される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【
図1】第1の態様によるバイオリアクターの実施形態であり、細胞培養チャンバーが容器の第1の平坦末端の位置にある。
【
図2】第1の態様による容器の内部の部材を示し、バイオリアクターを構築する単純な方法を示す。
【
図3】第1の態様によるバイオリアクターの実施形態であり、フィルターを含む加湿システムが細胞培養チャンバーと使用済み培地チャンバーの間に設けられている。
【
図4】第1の態様によるバイオリアクターの実施形態であり、フィルターを含む加湿システムが細胞培養チャンバーの円周に沿って設けられ、加湿システムは、培養チャンバーと外側雰囲気との間に設けられている。
【
図5】細胞培養チャンバー30および追加の細胞培養チャンバー80に関連する実施形態を示す。
【
図6】第2の態様によるバイオリアクターの実施形態であり、細胞培養チャンバーは容器のアニュラスである。
【
図7】第3の態様によるバイオリアクターシステムを示し、バイオリアクターそれ自体、駆動要素およびバイオリアクターを回転させるための、およびピストンを移動させるための駆動装置を含む。
【
図8】第1の態様によるバイオリアクターの代替的実施形態を概略的に示す。
【
図9】いくつかの実施形態による、および本明細書で開示のように円周ガス交換器および円周加湿器を含む、バイオリアクターの正面図および側面断面図を概略的に示す。
【
図10】
図10A-
図10E。本明細書で開示の細胞培養チャンバー装置の1つの代表的実施形態の、正面図、第1の(「右」)側面図、第1の断面図 (AA)、第2の断面図(CC)、および第3の断面図(BB)をそれぞれ概略的に示す。
【
図11】
図10A~10Eの細胞培養チャンバー装置の代表的実施形態の斜視分解図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0073】
図1を参照して、バイオリアクター10は、新鮮培地チャンバー14および使用済み培地チャンバー16を含む内側チャンバーを含む、容器12を含む。このおよび対応する実施形態では、容器12は、内壁18および外壁20も含み、両壁は、これらの壁間に環状隔室22を作成する、およびしたがって二重壁容器を形成するために、容器12の第1の方向(示した例では、長さ方向)に沿って延在する。環状隔室22は、単一導管、すなわち、単一培地導管の形式の1つの単一隔室、またはいくつかの副隔室または、例えば、
図2cに示すようないくつかの導管であり得る。容器12は、容器12の反対側に、第1の末端24、好ましくは第1の平坦末端、および第2の末端26、好ましくは第2の平坦末端を含む。第1の24末端および第2の26末端は、水平の点線により示すように、中心軸28を画定し、これは、上記第1の末端24から上記第2の末端26へ容器の長さ方向に沿って延在する。容器12は、容器の上記第1の末端24に配置された細胞培養チャンバー30、ならびに上記使用済み培地チャンバー16から新鮮培地チャンバー14を分離する、同時に内側チャンバー内に上記新鮮および使用済み培地(点付き領域により示す)の少なくとも一部を保持するために内側チャンバー内に適合された可動壁38も含む。細胞培養チャンバー30は、環状隔室22から細胞培養チャンバー30に培地(液体培地)が入ることを可能にするための入口オリフィス32、ならびに、上記培養チャンバー30から上記使用済み培地チャンバー16に培地(液体培地)が入ることを可能にするための出口オリフィスまたは弁34を有する。同様に、環状隔室22は、新鮮培地チャンバー14から環状隔室22に培地が入ることを可能にするための入口オリフィス36、および環状隔室22から細胞培養チャンバー30に培地が入ることを可能にするための出口オリフィス32を有する。環状隔室の出口オリフィスは、細胞培養チャンバー30の上記入口オリフィス32に対応する、またはそれと同期する。可動壁38は、ピストンシャフト42を介してピストン40に連結される。矢印で示されるように、ピストンが右方向に(図の向きで)移動すると、可動壁38が移動し、それにより新鮮な培地が新鮮培地チャンバー14から環状隔室22を通過して細胞培養チャンバー30中に入る。容器12は、容器の上記第1の末端24に位置する、外壁20の取り外し可能な末端46(細胞培養チャンバー30を含む)も含む。容器は、例えば、細胞培養チャンバー30の細胞培養物へのアクセスを提供する円周接近口74なども含み得る(示されるように)。
【0074】
図2は、バイオリアクターの内部部材を示し、このような部材を素早く構築することによるバイオリアクターの単純なデザインおよび構成を示す。
図2aは、容器の実施形態の内側円筒を示し、これは、内壁18、および内壁18およびそれにより容器12の第1の方向(示した例では、長さ方向である)に沿って延在し、かつそれぞれがまた、上記外壁20に接触するまで、半径方向に、外側へ垂直に、すなわち上記長さ方向に対し垂直に延在する、複数の隆起部48を含む。上記隆起部48の間の空間は、
図2cの側面図で示されるように、上記環状隔室22内に1つまたは複数の副隔室22’を画定する。
図2aは、穴(オリフィス)50も示し、これを通って、接近口52(
図2b)は使用済み培地チャンバー16に到達する。
図2bは、容器の外側円筒を示し、これは外壁20を含む。外壁20は、切り離しでき、内壁18(
図2a)の穴50と協調するように適合された接近口52を含む。接近口52は、例えば、圧力差異を取り除くための圧力均等化口としても機能する。外壁20は、新鮮培地チャンバー14への新鮮な培地の挿入を可能にするための接近口54(およびストッパー)を含む。係止フランジ56も設けられ、これは、細胞培養チャンバー30または追加の細胞培養チャンバー80の対応するフランジ58または60(
図5aまたはb)と係合する。
図2cは、内側円筒が外側円筒にはめ込まれた場合の断面である。平行に配置された隆起部48は、いくつかの環状副隔室または導管22’を作り出す。
図2dは、ピストンシャフト42を介してピストン40に連結される、可動壁38の形式の容器の内部部材を示す。バイオリアクターが構築されると、ピストンシャフト42は、外壁の平坦末端26中のオリフィス44を通過する。
【0075】
図3は、本明細書で開示の第1の態様によるバイオリアクターの実施形態を示し、加湿システムが、細胞培養チャンバーと使用済み培地チャンバーとの間に挿入される。加湿システム、すなわち加湿器は、液体リザーバー62、蒸発ラビリンス68などの蒸発チャンバーおよびフィルター72を含む。通常滅菌水である、液体は、出入り口64を介して液体リザーバー62に満たされる。この液体は、吸い上げ用の芯66を介して蒸発ラビリンス68に輸送され、そこで、蒸発チャンバーの雰囲気を加湿する。蒸発ラビリンス68は、それによりガス、例えば、酸素および二酸化炭素が交換され得る装置の周辺の雰囲気への少なくとも1つの開口出入り口70を有する。加湿された雰囲気は、培養チャンバー30の壁の1つを形成する、半透性の膜72などのフィルターと直接接触する。この方法により、ガスは、培養チャンバー30からの液体の正味の蒸発なしに、培養チャンバー30と装置周辺の雰囲気との間で比較的自由に交換され得る。実際には、水は、液体リザーバー62から1~2mL/週の大凡の速度で失われる。従って、リザーバー62は、本明細書で記載される10mLのバイオリアクターの場合、10~20mLの体積を有する必要がある。フィルター72、蒸発ラビリンス68、および液体リザーバー62は、細胞培養チャンバーを使用済み培地チャンバーに連結する導管を有する。
【0076】
図4は、第1の態様によるバイオリアクターの実施形態であり、加湿システムは、半透性の膜72’の形式のフィルターを含み、これは、細胞培養チャンバー30の周りに、すなわち、細胞培養チャンバーの円周部分に沿って配置される。加湿システムは、上記フィルター72’、滅菌水を含む液体リザーバー62’、吸い上げ用の芯などの追加のフィルターまたはガス透過性フィルター66’、蒸発ラビリンス68’の形式の蒸発チャンバーを含む。追加のフィルター66’は、液体リザーバー62’から蒸発ラビリンス68’への蒸発を可能にするために、高度に透過性である。従って、この実施形態では、
図3の実施形態の吸い上げ用の芯66をガス透過性フィルター66’で置き換えることが、より単純であろう。このガス透過性フィルター66’はしたがって、半透性膜72’とは異なる特性を有する。加湿システムはまた、液体リザーバー62’に補給するための出入り口64および蒸発ラビリンス68’を外側雰囲気に連結する少なくとも1つの開口出入り口70’を備える。バイオリアクターの細胞培養チャンバー30へのアクセスのために、出入り口74は、例えば、
図1で既に記載のように配置される。
【0077】
図4に示すバイオリアクターの実施形態は、
図1に示すものより好ましい。理由は、加湿システムの存在は、細胞培養チャンバー30(または追加の培養チャンバー80)と周辺雰囲気の間のガス交換を大きく高め、上記細胞培養チャンバー30または80からの水の損失を減らすまたは無くすると思われるためである。差異が非常に大きいので、バイオリアクターは、追加の加湿なしに、インキュベーター中で正常に使用できるであろう。これは、インキュベーター中で感染するリスクを減らせるので、極めて有利である。
【0078】
従って、円周ガス交換器および円周加湿システムは、容易に提供される。円周ガス交換器(および円周加湿システム)は、第1の態様の他の特徴とは別に提供され得ることに、注意すべきである。
図9および第5の態様によるおよび本明細書で開示の円周ガス交換器および円周加湿システムの代替的実施形態に関する関連記述も参照されたい。
【0079】
図4に示すバイオリアクターの実施形態はまた、少なくとも3つの理由で
図3のものより好ましい。第1の理由は、それが、出入り口70’を部分的にまたは完全に閉じることができそれにより、全インキュベーターのガス雰囲気を調節しなければならないのではなく、個々のバイオリアクターのガス交換を調節できる、ストッパ-またはスライドカバーを有することによりガス交換の調節がより容易であることである。第2の理由は、示したバイオリアクターは、軸28に沿ってよりコンパクトであり、最終的に製造が安価であることである。加えて、円周ガス交換器(および円周加湿器)はまた、それらが第1の/長さ方向の連結を妨害しないので、いくつかの細胞培養チャンバー/追加の細胞培養チャンバー(30、80)を直列に連結することに関連して有利である。
【0080】
図5aは、円周接近口74および平面上の接近口76を含む細胞培養チャンバー30を示す。これらの出入り口は、細胞培養チャンバー30の細胞培養物へのアクセスを提供し、細胞培養物の状態、例えば、グルコースレベルを監視するためのセンサーを備え得る。対応するフランジ56(
図2b)または78(
図5b)と係合する係止フランジ58も、提供される。
図5bは、第1の細胞培養チャンバー30と使用済みのおよび新鮮な増殖培地を含む二重壁容器との間に挿入できる、追加の細胞培養チャンバー80を示す。追加の細胞培養チャンバー80は、培地、例えば、液体培地が2つの細胞培養チャンバー30と80の間を流れることを可能にするオリフィスまたは穴82を含む。従って、これらの細胞培養チャンバーは、直列に配置されているとみなし得る。導管84も配置され、これは、新鮮培地チャンバー14から、導管22を通り、少なくとも1つの追加の細胞培養チャンバー80を経由して、細胞培養チャンバー30までの液体流を可能にする。従って、さらなる追加の細胞培養チャンバーを、その中に配置し得る。連結された一連の細胞培養チャンバーについて、片方または両方の末端(すなわち、第1のおよび/または最後の末端)にある細胞培養チャンバーは、上側出入り口74ではなく、前または後ろに位置する二重ベント(例えば、他の箇所で記載の140を参照)を含み得、同時に、その間の任意の細胞培養チャンバーは、上側出入り口74または任意の他の好適な出入り口を含む必要があることに注意されたい。
【0081】
図6は、本明細書で開示の第2の態様によるバイオリアクター10”の実施形態であり、細胞培養チャンバー30は容器12のアニュラスである。従って、環状隔室22、22”は、細胞培養チャンバー30であり、これは、上記使用済みチャンバー16および上記新鮮培地チャンバー14と流体連通している。よりコンパクトな構成が得られる。容器12は、好ましくは、バイオリアクターの開口および閉鎖のために、機構86を備える。接近口、センサー位置および加湿システムは、明確にするために省略されているが、無論、上記のものと類似の方式で含めることができる。このような実施形態はまた、第5の態様によるおよび本明細書で開示の円周ガス交換器(および、例えば、円周加湿器)と組み合わされてよい。
【0082】
図7は、本明細書で開示の第3の態様によるバイオリアクターシステム88を示す。システムは、プラットフォーム90に取り付けられ得、二重壁容器12の第1の平坦末端に細胞培養チャンバー30を含む本明細書で開示のバイオリアクター10を含む。
図1~3で例示されたバイオリアクター実施形態10の代わりに、
図4で例示されたバイオリアクター実施形態10’、
図6で例示されたバイオリアクター実施形態10”、および
図8~11で例示されたバイオリアクター実施形態100も、使用され得る。保持ローラー92および94などがそれぞれ、バイオリアクター10の回転を支持および/または可能にするために、容器12の下におよび上に設けられる。駆動輪96の形の駆動要素が、容器12に、および従ってバイオリアクター10に取り付けられ、それにより回転を提供する。この機能は、92および/または94によっても実施され得る。システムはまた、ピストンシャフト42および可動壁38を含むピストン40を支持するための保持ブロック98、および保持ブロック98を動かすための駆動装置500を含む。管などの任意の導管502が設けられ、これは、ピストンの中心軸、例えばピストンシャフト42の内部を通って、外側504に伸びる。細胞培養チャンバー30からの細胞の直接的で単純なサンプリングが、このようにして行える。
【0083】
図8は、第1の態様によるバイオリアクターの容器の代替的実施形態を概略的に示す。示されるのは、下記で説明されるものを除く、
図1の容器に対応する本明細書で開示のバイオリアクターの容器12(例えば、他の図中の10、10’、10”、100を参照)の実施形態である。明確にするために、全ての要素を
図8で再度示していない。
図8Aは、容器12の第1の端面図を示し、
図8Bは、容器12の斜視側面/上面図を示し、
図8Cは、容器12の長手方向断面図を示す。
図1と同様に、および本明細書で開示のように、容器は、第1の末端24、第2の末端26、使用済み培地チャンバー16、新鮮培地チャンバー14、ならびに本明細書で説明および開示されたように、ピストン40のピストンシャフト42に連結されかつ使用済み培地チャンバー16と新鮮培地チャンバー14を分離する可動壁38を含む。
【0084】
図8A~8Cの容器は、細胞培養チャンバーなしで示されているが、例えば、
図1(例えば、
図1の30を参照)の細胞培養チャンバーなどのものと共に、特に、本明細書で開示のおよび
図8Dで記載の、細胞培養チャンバーを含む取り外し可能な末端(例えば、
図1および
図3の46を参照)と共に、使用され得る。
図8Cに示すように、容器12は環状隔室(または副隔室)を画定する外壁および内壁(例えば、
図1の18および20を参照)を含むのではなく、容器12(示したおよび対応する実施形態の)は、少なくとも1つの単一壁18’(すなわち、二重壁ではない)および環状隔室または副隔室を置き換える少なくとも1つの培地導管22’を含む。容器が通常円筒形であるいくつかの実施形態では、容器12は、単一の一般的な円筒形壁18’を含む。
【0085】
少なくとも1つの培地導管22’のそれぞれは、(単一)壁18’を通るそれぞれのオリフィスまたは弁36’を介して新鮮培地チャンバー14と流体連結し、可動壁38の適切な移動時に、(液体)培地が新鮮培地チャンバー14からそれぞれの培地導管22’に流れるのを可能にする。それぞれの培地導管22’は、
図1に関連して記載の細胞培養チャンバー(しかし、細胞培養チャンバーの寸法は、環状隔室または副隔室ではなく、培地導管22’と整列させるために、
図1とは少し異なり得る)の入口オリフィスまたは弁(例えば、
図1の32を参照)と整列する、それに対応する、またはそれと同期する追加のオリフィスまたは弁32をさらに含む(通常、相対する末端またはオリフィス36’以外の末端に配置される)。容器12の第1の末端24は、(液体)培地を培養チャンバーから使用済み培地チャンバー16に入れることを可能にするために、オリフィス34、あるいは弁または類似物をさらに含み、オリフィスまたは弁34は、細胞培養チャンバーの出口オリフィスまたは弁(例えば、
図1の34を参照)に整列する、それに対応する、または、それと同期する。
【0086】
いくつかの実施形態では、および
図8Aに特に示される様に、(少なくとも1つの)培地導管22’は、壁18’の外表面上の、またはそれに隣接する容器12の主要部分の外側の壁18’に隣接して配置される。代替実施形態では、(少なくとも1つの)培地導管22’’は、壁18’の内表面上の、またはそれに隣接する容器12の主要部分の内側の壁18’に隣接して配置される。原理的には、内側および外側培地導管22’の混合も存在し得る。
【0087】
図8の容器12は、単一培地導管22’のみを含むように図示されているが、他の実施形態では、容器12は、複数の培地導管22’を含み得る。複数の培地導管22’を有するいくつかの実施形態では、それらは、例えば、単一壁18’の(環状の)外周部の周りに等距離で(内側および/または外側に)配置され得る。
【0088】
図8Dは、培地導管22’と整列するオリフィスまたは弁32を有する、一端で付着された細胞培養チャンバー30を含む取り外し可能な蓋など(
図1におけるような)を有する容器12を示す。
【0089】
図9は、いくつかの実施形態による、かつ本明細書で開示のように第5の態様による円周ガス交換器および円周加湿器を含む、バイオリアクター100の実施形態の正面図(図の右側に示す)および側面断面図(図の左側に示す)を概略的に示す。以下で、および本明細書では、「バイオリアクター」は同等に、「細胞培養チャンバー装置」と呼ばれる。
【0090】
示されるのは(両方の図を参照)、本明細書で開示の細胞培養チャンバー装置100である。細胞培養チャンバー装置100は、本明細書で開示の、第1の末端111、第2の末端112および末端111、112を連結する少なくとも1つの連結壁18’により画定される包囲空間30(以下でおよび本明細書では細胞培養チャンバーとも呼ばれる;例えば、他の図中の30も参照されたい)を含む。包囲空間30は、例えば、ハウジング/主ハウジング105に含まれ、ハウジング/主ハウジング105は、円筒形(一例として)であり、中心部に(一例として)包囲空間30を含む。示した、および対応する実施形態では、少なくとも1つの連結壁18’は、包囲空間30に沿って、または包囲空間30の円周部分として、すなわち、周囲またはその一部として配置される、(例えば、支持される)円周ガス透過性膜72’から構成される。円周ガス透過性膜72’は、例えば、
図4に関連して示され説明された膜(72’)に対応し、例えば、半透性の膜であり得る。
【0091】
円周ガス透過性膜72’の近くまたはその周辺の雰囲気の加湿は通常、細胞培養培地の蒸発を減らすかまたは回避し、特定の細胞培養培地では、円周ガス透過性膜72’を通るガスの交換をさらに大幅に促進し得る。細胞はCO2を生成し、これは溶液中で水と結合して重炭酸塩を形成する(これは酸性である)。雰囲気の加湿は、円周ガス透過性膜72’の外表面を湿らせ、これは、培地からのCO2の脱出を促進し、それにより、酸性化過程を遅らせる。この過程は、培地の緩衝をCO2に依存しない(例えば、HEPES、双性イオン性スルホン酸緩衝剤を含む培地)、種々のタイプの細胞培養物で起こる。最も広範に使用されるタイプの増殖培地は、培地中の重炭酸塩および雰囲気中のCO2に依存して培地のpHを緩衝する。この場合もまた、円周ガス透過性膜の外表面の加湿は、CO2の「捕捉」または「放出」を促進し、培地のpHの安定化を向上させる。加湿は、加湿インキュベーター中に配置されている細胞培養チャンバー装置100により、または以下で記載の加湿器により与えることができる。
【0092】
細胞培養チャンバー装置100は、正面図(図の右側)により示されるように、任意の好適な吸気口、導管、などであってよい細胞培養チャンバー装置100のガス交換器のガス交換吸気口および出口を含む。好ましくは、および示されるように、ガス交換吸気口および出口は、円周ガス交換器を、外側または周囲空気または細胞培養チャンバー装置100のガスに連結する二重ベントまたは類似物140の形式である。あるいは、ガス交換吸気口および出口は、
図4の70’に類似のものである。示した実施形態では、二重ベント140は、一例として、ハウジングまたは主ハウジング105の前側または横向き正面または類似位置に配置される。この詳細(および対応する実施形態)では、ガス交換器は、ガス、例えば酸素および二酸化炭素を包囲空間30/包囲空間の含有物(例えば、細胞培養培地)と交換するように構成されたガス透過性膜72’を含む。特に、酸素は、包囲空間30に供給され、二酸化炭素は、包囲空間30から除去される。示した、および対応する実施形態では、膜72’は、包囲空間30またはその1つまたは複数の部材の(少なくとも1つの)連結壁18’を構成する。
【0093】
ガス交換吸気口および出口/二重ベント140は、膜72’と流体連結し、それにより、膜72’を外側または周囲空気または細胞培養チャンバー装置100のガスと連結する。少なくともいくつかの実施形態では、二重ベント140は、コアンダ効果または原理により機能するように構成される。このような実施形態では、壁または他の好適なバリアー151(図では、直線状点線により示される)は、二重ベント140の2つのそれぞれのベントの間に配置され、この位置で相互を分離し、密閉する、すなわち、この特定の例では、それらの間の最短方向でそれらを分離および密閉する。しかし、二重ベント140の2つのベントは、細胞培養チャンバー装置100のハウジング105の内側の別の経路を介して相互に流体連結し、および、ガス交換膜72’の少なくとも一部と、例えば、1つまたは複数の導管、開放空間、キャビティ、などを介して、同様に流体連結している。細胞培養チャンバー装置100が反時計方向に回転されると、周囲空気またはガスは、
図9の正面図および側面断面図の矢印で示されるように、二重ベント140を介して細胞培養チャンバー装置100へおよびそれから、吸引される。図から分かるように、空気またはガスは、反時計方向回転中に、さらに具体的には、黒色から灰色に変化する矢印により示されるように、左(正面図の)ベント140により細胞培養チャンバー装置100中に吸引され、および、灰色から黒色になる矢印により示されるように、右(正面図の)ベント140により細胞培養チャンバー装置100の外側へ排出され、薄灰色点線環状矢印により示される方向を有する内部空気流310を生成する。これは、反時計方向回転の場合である。細胞培養チャンバー装置100が時計回りに回転される場合は、ハウジング105内の空気流310の方向は、対称性により反転する、すなわち、薄灰色点線環状矢印は、時計回りであり、空気またはガスは右ベント140により吸引され、左ベント140により排出される。
【0094】
このように、効果的な空気流310は、膜72’および周囲ガスまたは細胞培養チャンバー装置100の空気と接触させて、それにより例えば、好都合に膜72’へ酸素を加え/膜72’から二酸化炭素を除去し、およびそれにより包囲空間30の内容物へ酸素を加え/包囲空間30の内容物から二酸化炭素を除去して、容易に提供される。
【0095】
いくつかのさらなる実施形態では、空気移動または流れ310の程度は、例えば、スライダーまたは小さいもしくは異なるサイズの栓または別の好適な方式を用いて二重ベント140のベントのそれぞれの開口部のサイズを調節することにより、調節できる。
【0096】
いくつかのさらなる(および示したような)実施形態では、細胞培養チャンバー装置100は任意選択で、膜72’(少なくともその一部)の少なくとも近傍の空気またはガスを加湿するまたは湿らせるように構成された円周加湿器または加湿するまたは湿らせる要素またはシステム(本明細書では加湿器としても呼ばれる)62’をさらに含む。加湿器は、包囲空間30の含有物と周囲空気またはガスの間のガス交換を大きく高め、さらに、液体または水溶液を含む場合、包囲空間30からの水または液体の減少を減らすまたは無くする。この効果は非常に大きいので、細胞培養チャンバー装置100は通常、追加の加湿なしに、インキュベーター中で使用できるであろう。それは通常、インキュベーターでの感染のリスクを減らし、インキュベーターの単純化も可能にするので、これは有利である。
【0097】
いくつかのこのような実施形態では、円周加湿器62’は、1つまたは複数の液体または加湿リザーバーまたは要素を含む(またはそれに連結される)。円周加湿器62’の重量分布が、細胞培養チャンバー装置100の中心軸または回転軸の周りで、少なくともある程度、少なくとも幾分均一に分布されるならば、有利である。このような1つまたは複数の液体または加湿リザーバーまたは要素が、比較的大きな表面積を有する、またはもたらすならば、同様に有利である。
【0098】
少なくとも膜72’(少なくともその一部)の近傍の空気またはガスを加湿するまたは湿らせるための、いくつかの好都合な可能性がある。
【0099】
いくつかの実施形態では、円周加湿器62’は、(好ましくは無菌の)液体水または他の加湿液体を含む、要素またはリザーバー(例えば、
図3、4の62、62’を参照されたい)を含み、例えば、1つまたは複数の好適なフィルター、出口、追加の(ガス透過性および特に半透性)膜(例えば、
図4の66参照)、などが、水または液体と空気流310を相互作用させ、それにより、空気流310を加湿するまたは湿らせる。要素またはリザーバーは、例えば、単一円周装置、あるいは、いくつかの分かれた別々の装置(例えば、中心および/または回転軸の周りに均一に分布される)であってよい。
【0100】
代替実施形態では、円周加湿器62’は、水または液体の蒸発を容易に提供しかつ空気流310に効率的に影響を与える、水または、例えば、ゲル、スポンジ、粒子状物質(例えば、ウォータービーズ、アクアビーズ、屑粉、またはウォーターゲル粉末、など)などの溶質含有物質の1種または複数を含み得る。このような固体を加湿するまたは湿らせる要素は、例えば、(開口)包囲空間、壁または他の支持構造物(例えば、以下の図の145)によりハウジング105中で支持または固定される。
【0101】
ウォータービーズまたはゲルの場合には、これらは、主ハウジング/ハウジング105の内壁に(前述のように、例えば、または好ましくは中心および/または回転軸の周りに均一に)固定、接着、貼り付け、等がなされ、そのため支持構造物は必要でない。
【0102】
水または液体リザーバーを含まない実施形態(例えば、前述のウォータービーズ、ゲル、など)の場合、それらを空気流310を含む導管、キャビティ、開放空間、などに直接に配置でき、それにより空気流310の加湿するまたは湿らせる効果を大きく高め、かつ細胞培養チャンバー装置100の全体スペース/設置面積の低減を可能にする。これは、
図4および9の62’などの別々のリザーバーの必要性を避ける。
【0103】
加湿器のない実施形態の場合(例えば、加湿インキュベーターその他を使用する場合)、示した細胞培養チャンバー装置100は、図示した円周加湿器62’を備えず、結果として低減されたサイズを有し得ることに注意されたい。
【0104】
図10A~10Eは、本明細書で開示の細胞培養チャンバー装置の1つの代表的実施形態の正面図、第1の(「右」)側面図、第1の断面図 (AA)、第2の断面図(CC)、および第3の断面図(BB)を、それぞれ概略的に示す。
【0105】
図10Aに示されるのは、本明細書で開示の細胞培養チャンバー装置の代表的な好ましい実施形態の正面図である。示されるのは、細胞培養チャンバー装置100の正面図である。この詳細(および対応する実施形態)では、カバー102の床、底部、または壁(例えば、
図11の102も参照)は、細胞培養チャンバー装置100の第1の末端111(またはその一部またはウインドウ113)を構成する。カバー102の床または底部は、下記の図のいくつかからさらに明らかになるように、第1のまたは中央部ハウジング101と共に、本明細書で開示の包囲空間を形成する(例えば、
図1、3、5Aならびに
図9の7および30を参照)。いくつかの実施形態では(および
図10C、10D、10E、11、などに示すように)、第1のまたは中央部ハウジング101は、カバー102の少なくとも一部を(例えば、または好ましくは開放可能に)受け取るための、より具体的には(示したおよび対応する実施形態では)カバー102の床または底部を受け取るための中央キャビティを含む。第1のまたは中央部ハウジング101およびカバー102は例えば、解放可能に一緒にそれらを固定するために、それぞれの開放可能な固定要素(スナップフィット、差し込み、摩擦ばめ、等の要素など)を含む。あるいは、それらは、相互に開放可能でないように固定され得る、または例えば、一体的に形成され得る。
【0106】
図10A~10Eの細胞培養チャンバー装置100は、一例として、環状の第1の末端を有して実質的に円筒形に形成される。
【0107】
この詳細(および対応する実施形態)では、中央部ハウジング101は、円周ガス透過性膜(図示せず;例えば、
図4の72’ならびに
図9、10Dおよび11の62’および72’を参照)を含む円周ガス交換システムの形式のガス交換回路、要素、またはシステムを追加で含む。前述のように、カバー102の床または底部は、細胞培養チャンバー装置100の第1の末端111(またはその一部またはそのウインドウ113)を構成する。
【0108】
この詳細(および対応する実施形態)では、中央部ハウジング101は、円周加湿器(図示せず;本明細書で開示されるおよび例えば、
図4または9に関連して説明されるような)をさらに含む。細胞培養チャンバー装置100のいくつかの代替実施形態は、例えば加湿インキュベーターなどでの使用のための、いかなる加湿器も含まない。
【0109】
中央部ハウジング101は任意選択で、中央部ハウジング101の前面に位置する二重ベント140の形式で、本明細書で開示されるガス交換器のためのガス交換吸気口および出口を含む(例えば、
図9、10および11の130、140、151、310、などを参照)。二重ベント140は、例えば
図9に関連して、より詳細に説明されている。
【0110】
さらに示されるのは、AA(
図10Cに示す)、BB(
図10Eに示す)、およびCC(
図10Dに示す)と命名された3つの断面である。
【0111】
いくつかの実施形態では(および示したように)、細胞培養チャンバー装置100は、例えば包囲空間から試料を採取する(例えば、スフェロイドを取り出す)、包囲空間を空にするまたは満たすなどのために、包囲空間の内部への使用者のアクセスを提供する、閉鎖可能なおよび/または封止可能な(第1の)出入り口76を含む。示した実施形態では、閉鎖可能なおよび/または封止可能な出入り口76は、導管(包囲空間の内側から細胞培養チャンバー装置100の外側へ)および例えば、単純な栓または類似物160を含む。出入り口は(代わりにまたは追加して)有利に、細胞培養チャンバー装置100の最上部に配置される。理由は、これは、例えば、オーバーフローを可能にすることにより、泡形成を回避または低減し得るためである。このような「上側」出入り口は、例えば、
図1、3、10、および11の74として示される。
【0112】
いくつかの実施形態では(および示されるように)、細胞培養チャンバー装置100は、ここでは識別コード155および基準マーカー180である、1つまたは複数の基準および/または識別マーカーをさらに含む。識別コード155は好ましくは、細胞培養チャンバー装置100に特有である。基準マーカー180は、細胞培養チャンバー装置100の方向の特定を可能にする。基準および/または識別マーカー155、180は好ましくは、例えば好適な撮像ユニットまたはビジョンユニットまたは視覚システムにより、機械読み取り可能である。いくつかの実施形態では、細胞培養チャンバー装置は、細胞培養チャンバー(例えば、カバー102を第1のまたは中央部ハウジング101と適切に整列させる)の異なる部材を整列させるための(ある部材が別の部材により適切な配向でのみ受け取られ得ることを保障するまたは容易にする)1つまたは複数の整列化要素(例えば、ロケーションバーおよびロケーションスリットまたはロケーションスロット、など)をさらに含む。基準マーカー180は、例えば、このような整列化要素であり得る。
【0113】
従って、特に円周ガス交換システムおよび(存在する場合)円周加湿器のために、非常にコンパクトな(長手方向)細胞培養チャンバー装置100が提供される。
任意選択で、カバー102は、いくつかのレベルまたは充填速度表示器190を含み、包囲空間中に含まれる細胞培養培地の実際の体積を容易に示す。
【0114】
いくつかの実施形態では、および示されるように、細胞培養チャンバー装置100はさらに、細胞培養チャンバー装置100を転がさないで直立させることを可能にする、1本または複数(ここでは2本)の足である直立要素など501を含む。これは、出入り口、入口、などの使用をより容易にまたはより確実にし得る(例えば、本明細書の出入り口74を参照)。
【0115】
図10Bに示すのは、側面からおよび右から左へ(
図10Aの配向により)見た
図10Aの細胞培養チャンバー装置100の側面図である。示した細胞培養チャンバー装置100は、中央部ハウジング101を受け入れ(例えば、永久にまたは固定方式で)次にカバー102を受け入れる(例えば、解放可能に)、主ハウジング105を含む。さらに示されるのは、包囲空間と流体連結し、包囲空間への(追加の)アクセスを提供する(第2の)出入り口74(またはむしろ、その栓またはバルブ170)である。
【0116】
第1の広がり/長さ(
図10Bの左から右方向)と、第2の広がり/長さまたは直径(
図10Bの上からした方向)との間の比率は、約1から約3~4、例えば、約1から約3.5であるが、例えば他の実施形態の場合に本明細書で開示のように、異なってもよい。
【0117】
図10Cで示されるのは、
図10AのA-Aにより与えられる第1の断面図である。示されるのは、第1の末端111(カバー102の床または底部である)、第2の末端112(中央部ハウジング101の床または底部である)および中央部ハウジング101のキャビティの側壁により画定される包囲空間30である。さらに示されるのは、非常にコンパクトな方式で中央部ハウジング101およびカバー102を受ける、主ハウジング105である。
【0118】
前述のように、第2の出入り口74は、包囲空間30へのアクセスを提供する(第1の出入り口76に加えて)。例えば
図9に関連して説明されるように、二重ベント140は、細胞培養チャンバー装置100の外側または周囲空気またはガスを円周ガス交換システムと連結する(例えば、
図9、10、および11の130、140、310、などを参照)。
【0119】
図から分かるように、閉鎖可能なおよび/または封止可能な第1の出入り口76およびその導管は、包囲空間30の内部を細胞培養チャンバー装置100の外側に連結する。出入り口の壁は、カバー102の一部であり、包囲空間30の含有物への容易なアクセスを可能にする。類似の様式で、包囲空間30の内部へのアクセスは、第2の出入り口74(栓170と共に)を介して得られる。74/170の栓壁は、中央部ハウジング101の一部である。第1の出入り口76および第2の部材74は、細胞培養チャンバー装置100の異なる側に配置され、細胞培養チャンバー装置100のいくつかの異なる側からの包囲空間への容易なアクセスを可能にすることに留意する。
【0120】
さらに示されるのは、上で説明した二重ベント140の形式のガス交換吸気口および出口である。
図10Cの図は、左から右へ見た中央部垂直切断図である(
図10Aによる配向で)。
図10Dで示されるのは、
図10AのC-Cにより与えられ右から左へ見た、第2の断面図である。
【0121】
再度、包囲空間30、第1の透明末端111、透明または半透明の第2の末端112、中央部ハウジング101、カバー102、閉鎖可能なおよび/または封止可能な出入り口76および74、ならびに主ハウジング105が示される。
【0122】
さらに示されるのは、円周ガス交換システムのガス透過性膜72’および円周加湿器の格子状構造物130(の一部)である。
【0123】
また示されるのは、円周加湿器のいくつかの実施形態による、水、液体、または加湿要素(
図9との関連でさらに説明される)を保持および/または支持するための、壁構造要素または類似物145である。
【0124】
いくつかの実施形態では、細胞培養チャンバー装置100は、-本明細書では一例として、含まれるスフェロイドの穏やかな動きを知るためのいくつかの固定標識を使用者に与え得る多数の同心円115の形式で-1つまたは複数のマーキング115を任意にさらに含む。マーキング115は(一例として)、第2の末端112の「外側」に配置される。
【0125】
図10Dの図は、中心が左にずれた垂直切断図で、右から左へ見た図である(
図10Aによる配向で)。
図10Eで示されるのは、
図10AのB-Bにより与えられる第3の断面図である。
示されるのは、いくつかの実施形態による、水、液体、または加湿要素を保持するおよび/または支持するための、包囲空間30、第1の末端111、第2の末端112、カバー102、閉鎖可能なおよび/または封止可能な出入り口76、および2つの壁構造要素または類似物145である。
図10Eの図は、上から下へ見た中央部水平切断図である(
図10Aによる配向で)。
【0126】
図11は、
図10A~10Eの細胞培養チャンバー装置の代表的実施形態の斜視分解図を概略的に示す。
示されるのは、分解図で示す
図10A~10Eの要素である。
図11は、円周加湿器およびガス透過性膜72’格子状構造物130をより明確に示す。細胞培養チャンバー装置100の構築された状態では、ガス透過性膜72’は、格子状構造物130の内側に隣接して、およびその上に配置され、第1の末端111は、第2の末端112の反対側にあり、第2の末端112は、主ハウジング105の開口部185と整列され、第2の末端112が透明である場合その側からの包囲空間の含量物の検査も容易に可能にする。さらに示されるのは、構築された状態で、第1の出入り口74と整列するさらなる出入り口150である。
【0127】
少なくともいくつかの実施形態では、主ハウジング105、中央部ハウジング101(およびそれにより、第2の末端112)、カバー102(およびそれにより、第1の末端111)の材料は、例えば本明細書の他の箇所で開示の、例えば、同じ材料であってよい。
図10および11で示される細胞培養チャンバー装置100の実施形態は、非常にコンパクトな(特に長手方向で)自立型で完全に機能する細胞培養チャンバー装置100またはバイオリアクターを提供し、ガス交換器(および含まれる場合、加湿器)は中心軸および/または回転軸から離して配置される。加えて、細胞培養チャンバー装置100は、ペトリ皿様デザインを有し、容易でよく知られている取り扱いを可能にする。
【0128】
以下は、本願発明の例示である。
【0129】
項目1。
回転に適合されたバイオリアクター(10、10’、100)であって、
-第1の末端(24)および第2の末端(26)であって、前記第1の末端(24)から前記第2の末端(26)へ前記容器(12)の第1の方向、例えば長さ方向に沿って延在する前記容器(12)の中心軸(28)を画定する、第1の末端(24)および第2の末端(26)、前記容器(12)の前記第1の方向に沿って延びる少なくとも1つの壁(18、18’、20)、新鮮なまたは使用済みの培地を受け取るための体積を画定する少なくとも1つの培地導管(22、22’);
-前記少なくとも1つの壁(18、18’、20)内に限局された空間の少なくとも一部により画定されかつ新鮮培地チャンバー(14)および使用済み培地チャンバー(16)を含む内側チャンバー;
-前記少なくとも1つの培地導管(22、22’)および前記新鮮(14)および/または使用済み培地チャンバー(16)と流体連通している細胞培養チャンバー(30);および
-前記内側チャンバー内で前記使用済み培地チャンバー(16)から前記新鮮培地チャンバー(14)を分離するように、前記内側チャンバー内で、構成された可動壁(38)、
を含む容器(12)
を含む、バイオリアクター。
【0130】
項目2。
-前記少なくとも1つの壁(18、18’、20)が、内壁(18)および外壁(20)を含み、前記内壁(18)および前記外壁(20)が前記壁(18、20)の間に環状隔室(22)を画定し、
-前記少なくとも1つの培地導管(22、22’)が、前記環状隔室(22)であり、および
-前記内側チャンバーが、前記内壁(18)内に限局される空間の少なくとも一部、例えば全てにより画定される、
項目1に記載のバイオリアクター(10、10’、100)。
【0131】
項目3。
-前記少なくとも1つの壁(18、18’、20)が、単一壁(18’)であり、および
-前記少なくとも1つの培地導管(22、22’)が、前記単一壁(18’)の内側または外側に配置された少なくとも1つの導管(22’)である、
項目1に記載のバイオリアクター(10、10’、100)。
【0132】
項目4。
前記細胞培養チャンバー(30)が、前記容器(12)の前記第1の末端(24)に離して配置されかつ培地が前記少なくとも1つの培地導管(22、22’)、例えば前記環状隔室(22)または前記少なくとも1つの導管(22’)から前記細胞培養チャンバー(30)中に入ることを可能にするための入口オリフィス(32)、および培地が前記培養チャンバー(30)から前記使用済み培地チャンバー(16)に入ることを可能にするための出口オリフィスまたは弁(34)を備える、項目1~3のいずれか1項に記載のバイオリアクター(10、10’、100)。
【0133】
項目5。
前記少なくとも1つの培地導管(22、22’)、例えば前記環状隔室(22)または前記少なくとも1つの導管(22’)が、培地が前記新鮮培地チャンバー(14)から前記少なくとも1つの培地導管(22、22’)に入ることを可能にするための入口オリフィス(36、36’)、および培地が前記少なくとも1つの培地導管(22、22’)から前記細胞培養チャンバー(30)に入ることを可能にするための出口オリフィス(32)を備え、かつ前記環状隔室の前記出口オリフィスが、前記細胞培養チャンバーの前記入口オリフィスに対応する、項目1~4のいずれか1項に記載のバイオリアクター(10、10’、100)。
【0134】
項目6。
前記少なくとも1つの壁(18、18’、20)の少なくとも一部が、前記細胞培養チャンバー(30)へのアクセスを提供するために、好ましくは前記容器(12)の前記第1の末端(24)の位置に配置された前記少なくとも1つの壁(18、18’、20)の取り外し可能な末端(46)として、切り離しできる、項目1~5のいずれか1項に記載のバイオリアクター(10、10’、100)。
【0135】
項目7。
前記少なくとも1つの壁(18、18’、20)の少なくとも一部が、その中に含まれる前記培地、細胞およびスフェロイドの観察を可能にするように構成された透明のガラスまたはプラスチックである、項目1~6のいずれか1項に記載のバイオリアクター(10、10’、100)。
【0136】
項目8。
前記内壁(18)が、前記容器(12)の前記第1の方向に沿って延在する、かつ前記外壁(20)に接触するまで外側に向かって垂直に延在する複数の隆起部(48)を有し、かつ前記隆起部(48)間の空間が、前記環状隔室(22)内に1つまたは複数の副隔室を画定する、項目2の従属項としての項目2および3~7のいずれかに記載のバイオリアクター(10、10’、100)。
【0137】
項目9。
前記容器(12)が、円柱状または一般的に円筒形を有し、かつ1つまたは複数の関連した回転要素、例えば駆動装置により回転軸、例えば水平軸(28)の周りの回転に適合され、前記回転軸(28)は前記容器(12)の前記第1の方向に沿って延びる前記中心軸(28)である、項目1~8のいずれかに記載のバイオリアクター(10、10’、100)。
【0138】
項目10。
前記可動壁(38)が、前記容器(12)の前記第1の方向に沿って軸方向に可動壁(38)を移動させるために移動要素(40)に連結される、項目1~9のいずれかに記載のバイオリアクター(10、10’、100)。
【0139】
項目11。
前記移動要素(40)が、ピストン(40)であり、前記可動壁(38)が前記容器(12)の前記第1の方向に沿って延びる前記中心軸(28)と同期するピストンシャフト(42)を介して前記ピストン(40)に連結される、項目10に記載のバイオリアクター(10、10’、100)。
【0140】
項目12。
導管(502)が、設けられそれは前記細胞培養チャンバー(30)から前記ピストンシャフト(42)を介して少なくとも前記容器(12)の外側(504)へ伸びる、項目11に記載のバイオリアクター(10、10’、100)。
【0141】
項目13。
前記容器(12)または前記容器の一部が、ガス透過性プラスチックで構成されるか、
または
前記容器(12)が、酸素および二酸化炭素などの、ガスの交換のためのガス透過性膜(72、72’)を含み、前記ガス透過性膜(72’)が前記細胞培養チャンバー(30)の円周部分に沿って配置される、項目1~12のいずれかに記載のバイオリアクター(10、100)。
【0142】
項目14。
加湿システム(62、62’、66、66’、68、68’、72、72’)が、前記培養チャンバー(30)と外側雰囲気の間に設けられ、前記加湿システムが好ましくは滅菌水を含む、液体リザーバー(62、62’)、蒸発ラビリンス(evaporation labyrinth)(68、68’)などの、蒸発チャンバー(68、68’)、およびフィルター(66、66’、72、72’)を含む、項目13に記載のバイオリアクター(10、10’、100)。
【0143】
項目15。
前記フィルター(72、72’)が、前記細胞培養チャンバー(30)の円周部分に沿って配置される前記ガス透過性膜(72’)である、項目14に記載のバイオリアクター(10、10’、100)。
【0144】
項目16。
前記加湿システムがさらに、前記液体リザーバー(62、62’)および前記蒸発チャンバー(68、68’)と流体連通するように配置された追加のフィルター(66)を含む、項目14または15に記載のバイオリアクター(10、10’、100)。
【0145】
項目17。
前記追加のフィルター(66’)が、前記容器(12)の円周部分に沿ってかつ前記液体リザーバー(62、62’)と前記蒸発チャンバー(68、68’)の間に配置される、項目16に記載のバイオリアクター(10、10’、100)。
【0146】
項目18。
前記細胞培養チャンバー(30)が、少なくとも1つの接近口(74、76)および任意選択でセンサーを含み、前記センサーが前記接近口に取りはずし可能に取り付けられる、項目1~17のいずれかに記載のバイオリアクター(10、10’、100)。
【0147】
項目19。
前記少なくとも1つの壁(18、18’、20)が、前記新鮮培地チャンバーへの接近口(54)を含む、項目1~18のいずれかに記載のバイオリアクター(10、10’、100)。
【0148】
項目20。
追加の細胞培養チャンバー(80)が、前記細胞培養チャンバー(30)と直列接続で適合され、前記追加の細胞培養チャンバー(80)が前記新鮮培地を輸送するための導管(84)を有しかつ前記培地を前記細胞培養チャンバー(30)から前記追加の細胞培養チャンバー(80)ヘ流すのを可能にするためのオリフィス(82)を有する、項目1~19のいずれかに記載のバイオリアクター(10、10’、100)。
【0149】
項目21。
前記バイオリアクター(10、10’、100)が、前記細胞培養チャンバー(30)中の少なくとも一部の細胞培養物が前記細胞培養チャンバー(30)を出て行くのを防ぐための少なくとも1つの膜を含む、項目1~20のいずれか1項に記載のバイオリアクター(10、10’、100)。
【0150】
項目22。
前記少なくとも1つの膜が、前記細胞培養チャンバー(30)の1つまたは複数の前記入口および/または出口オリフィス(32、34、74)を覆って配置される、項目21に記載のバイオリアクター(10、10’、100)。
【0151】
項目23。
1つまたは複数の追加の細胞培養チャンバー(80)が、1つまたは複数のさらなる追加の細胞培養チャンバー(80)、好ましくは実質的にペトリ皿形状の細胞培養チャンバー(30、100)を挿入することにより前記容器(12)の上または中に構築される、項目1~22のいずれか1項に記載のバイオリアクター(10、10’、100)。
【0152】
項目24。
少なくとも1つのセンサーが、各チャンバー(30)の含有物が独立に監視され得るような方法で前記1つまたは複数の細胞培養チャンバー(80)の上または中に取り付けられる、項目23に記載のバイオリアクター(10、10’、100)。
【0153】
項目25。
回転に適合されたバイオリアクター(10、10’、10”、100)であって、
-第1の末端(24)および第2の末端(26)であって、前記第1の末端(24)から前記第2の末端(26)へ前記容器(12)の第1の方向、例えば長さ方向に沿って延在する前記容器(12)の中心軸(28)を画定する、第1の末端(24)および第2の末端(26)、
-前記容器(12)の第1の方向に沿って延びる少なくとも1つの壁(18、18’、20);
-新鮮な培地を受け取るための体積を画定する少なくとも1つの培地導管(22、22’);
-前記少なくとも1つの壁(18、18’、20)内に限局された空間の少なくとも一部により画定されかつ新鮮培地チャンバー(14)および使用済み培地チャンバー(16)を含む内側チャンバー;
-前記使用済み培地チャンバー(16)および前記新鮮培地チャンバー(14)と流体連通している細胞培養チャンバー(30)であるかまたはそれを含む前記少なくとも1つの培地導管(22、22’);
-前記内側チャンバー内で、前記使用済み培地チャンバー(16)から前記新鮮培地チャンバー(14)を分離するように、前記内側チャンバー内で、構成された可動壁(38)、
を含む容器(12)
を含む、バイオリアクター。
【0154】
項目26。
-前記少なくとも1つの壁(18、18’、20)が、内壁(18)および外壁(20)を含み、前記内壁(18)および前記外壁(20)が前記壁(18、20)の間に環状隔室(22)を画定し、
-前記少なくとも1つの培地導管(22、22’)が、前記環状隔室(22)であり、および
-前記内側チャンバーが、前記内壁(18)内に限局される空間の少なくとも一部、例えば全てにより画定される、
項目25に記載のバイオリアクター(10、10’、10”、100)。
【0155】
項目27。
-前記少なくとも1つの壁(18、18’、20)が、単一壁(18’)であり、および
-前記少なくとも1つの培地導管(22、22’)が、前記単一壁(18’)の内側または外側に配置された少なくとも1つの導管(22’)である、
項目25に記載のバイオリアクター(10、10’、10”、100)。
【0156】
項目28。
細胞培養物または組織を増殖させるためのバイオリアクターシステム(88)であって、
回転に適合されたバイオリアクター(10、100)を含み、前記バイオリアクター(10、100)が、
-第1の末端(24)および第2の末端(26)であって、前記第1の末端(24)から前記第2の末端(26)へ前記容器(12)の第1の方向、例えば長さ方向に沿って延在する前記容器(12)の中心軸(28)を画定する、第1の末端(24)および第2の末端(26)、前記容器(12)の前記第1の方向に沿って延びる少なくとも1つの壁(18、18’、20)、新鮮なまたは使用済みの培地、好ましくは新鮮な培地を受け取るための体積を画定する少なくとも1つの培地導管(22、22’);
-前記少なくとも1つの壁(18、18’、20)内に限局された空間の少なくとも一部により画定されかつ新鮮培地チャンバー(14)および使用済み培地チャンバー(16)を含む内側チャンバー;
-前記少なくとも1つの培地導管(22、22’)および前記新鮮チャンバー(14)または使用済み培地チャンバー(16)、好ましくは前記使用済み培地チャンバー(16)と流体連通している細胞培養チャンバー(30);および
-前記内側チャンバー内で前記使用済み培地チャンバー(16)から前記新鮮培地チャンバー(14)を分離するように、前記内側チャンバー内で、構成された可動壁(38)、
を含む容器(12)であって、
-前記可動壁(38)が、前記容器(12)の第1の方向に沿って軸方向に可動壁(38)を移動させるために、ピストン(40)の形式の移動要素(40)に連結される、
容器(12)を含み、
-前記バイオリアクター(10、100)の回転を支持するおよび/または可能にするように適合された保持ローラー(92、94);
-前記バイオリアクター(10、100)を回転させるための駆動輪(96)などの駆動要素(96);
-ピストンシャフト(42)を介して前記可動壁(38)に連結されているピストン(40)を支持するための保持ブロック(98);
-前記保持ブロック(98)を動かすかつそれによりピストン(40)を移動させるための駆動装置、
をさらに含む、バイオリアクターシステム(88)。
【0157】
項目29。
回転に適合されたバイオリアクター(10’)であって、
-第1の末端(24)および第2の末端(26)であって、前記第1の末端(24)から前記第2の末端(26)へ前記容器(12)の第1の方向、例えば長さ方向に沿って延在する前記容器(12)の中心軸(28)を画定する、第1の末端(24)および第2の末端(26)、前記容器(12)の前記第1の方向に沿って延びる少なくとも1つの壁(18、18’、20)、新鮮なまたは使用済みの培地を受け取るための体積を画定する少なくとも1つの培地導管(22、22’);
-前記少なくとも1つの壁(18、18’、20)内に限局された空間の少なくとも一部により画定されかつ新鮮培地チャンバー(14)および使用済み培地チャンバー(16)を含む内側チャンバー;
-前記少なくとも1つの培地導管(22、22’)および前記新鮮(14)および/または使用済み培地チャンバー(16)と流体連通している細胞培養チャンバー(30);および
-前記内側チャンバー内で前記使用済み培地チャンバー(16)から前記新鮮培地チャンバー(14)を分離するように、前記内側チャンバー内で、構成された可動壁(38)、
を含む容器(12)を含み、
-1つまたは複数の液体または加湿リザーバーまたは要素(62、62’)、
-蒸発チャンバー(68、72)、例えば蒸発ラビリンス(68)および前記細胞培養チャンバー(30)の壁の1つを形成するフィルター(72)、および
-液体または水分を1つまたは複数の液体または加湿リザーバーまたは要素(62、62’)から前記蒸発チャンバー(68、72)へ輸送するように構成された、液体または水分輸送要素(66)、例えば吸い上げ用の芯(66)、
を含む加湿システム(62、62’、66、68、72)をさらに含む、バイオリアクター(10’)。
【0158】
項目30。
-前記少なくとも1つの壁(18、18’、20)が、内壁(18)および外壁(20)を含み、前記内壁(18)および前記外壁(20)が前記壁(18、20)の間に環状隔室(22)を画定し、
-前記少なくとも1つの培地導管(22、22’)が、前記環状隔室(22)であり、および
-前記内側チャンバーが、前記内壁(18)内に限局される空間の少なくとも一部、例えば全てにより画定される、
項目25に記載のバイオリアクター(10、10’、10”、100)。
【0159】
項目31。
-前記少なくとも1つの壁(18、18’、20)が、単一壁(18’)であり、および
-前記少なくとも1つの培地導管(22、22’)が、前記単一壁(18’)の内側または外側に配置された少なくとも1つの導管(22’)である、
項目29に記載のバイオリアクター(10、10’、10”、100)。
【0160】
項目32。
細胞培養物および組織の増殖のためのバイオリアクター(10、10”、100)であって、
-細胞培養培地を含むように構成された細胞培養チャンバー(30)、
-前記細胞培養チャンバー(30)の少なくとも一部の周りにもしくはそれに沿ってまたは前記バイオリアクター(10、10”、100)の中心軸もしくは長手方向軸(28)のまわりに、例えばまたは好ましくはバイオリアクター(10、10’、100)の所定の回転軸(28)のまわりで円周に配置された円周ガス交換器(130、140、151、310)
を含み、前記円周ガス交換器(130、140、151、310)が、前記細胞培養チャンバー(30)のガス交換界面(72’)を前記バイオリアクター(10、10”、100)の周囲空気またはガスと連結する体積を含むキャビティ(310)を含む、バイオリアクター(10、10”、100)。
【0161】
項目33。
前記ガス交換界面(72’)が、酸素および二酸化炭素などの、ガスを前記細胞培養チャンバー(30)の含有物と交換するように構成された、円周ガス透過性膜(72’)、例えば半透性膜であり前記周方向ガス透過性膜(72’)が、前記細胞培養チャンバー(30)の円周部分に沿って円周に配置される、項目32に記載のバイオリアクター(10、10”、100)。
【0162】
項目34。
前記円周ガス透過性膜(72’)が、第1の末端(111)と第2の末端(112)を連結する連結壁(18’)であり前記第1の末端(111)、前記第2の末端(112)、および連結壁(18’)が、前記細胞培養チャンバー(30)を少なくとも部分的に画定する、項目33に記載のバイオリアクター(10、10”、100)。
【0163】
項目35。
前記ガス交換界面(72’)または前記円周ガス透過性膜(72’)が、前記ガス交換界面(72’)または前記円周ガス透過性膜(72’)を前記円周ガス交換器(130、140、151、310)の前記キャビティ(310)の空気またはガスと連結するように構成されたいくつかの開口部を含む、少なくとも1つの支持構造物(130)、例えば格子状支持構造物(130)により支持される、項目32~34のいずれか1項に記載のバイオリアクター(10、10”、100)。
【0164】
項目36。
前記円周ガス交換器(130、140、151、310)が、少なくとも1つのガスまたは空気入口および/または出口(140)を介して前記バイオリアクター(10、10”、100)の周囲空気またはガスと連結される、項目32~35のいずれか1項に記載のバイオリアクター(10、10”、100)。
【0165】
項目37。
前記バイオリアクター(10、100)が、所定の回転軸(28)の周りの回転のために構成されかつ前記少なくとも1つのガスまたは空気入口および/または出口(140)が、例えばまたは好ましくは同時に、前記所定の回転軸(28)の周りで回転されるバイオリアクター(10、10’、100)に応答して周囲空気またはガスを前記円周ガス交換器(130、140、151、310)の前記キャビティ(310)中に吸い込みかつ空気またはガスを前記円周ガス交換器(130、140、151、310)の前記キャビティ(310)から排出しそれにより空気流(310)を生成するように構成された二重ベントまたは出入り口(140)である、項目36に記載のバイオリアクター(10、10’、100)。
【0166】
項目38。
-円周加湿器(62’)をさらに含み、前記円周加湿器(62’)が、
・前記細胞培養チャンバー(30)の少なくとも一部の周りにまたは前記バイオリアクター(10、10’、10”、100)の中心軸もしくは長手方向軸の周りに、例えばまたは好ましくは前記バイオリアクター(10、10’、10”、100)の所定の回転軸のまわりに円周に配置され、および
・前記ガス交換器(130、140、151、310)のキャビティ(310)の少なくとも一部中の空気またはガスを加湿するまたは湿らせるように構成された1つまたは複数の液体もしくは加湿リザーバーまたは要素を含むまたはそれらに連結される、
項目13および32~37のいずれか1項に記載のバイオリアクター(10、10’、10”、100)。
【0167】
項目39。
前記1つまたは複数の液体もしくは加湿リザーバーまたは要素(62’)が、ガス交換界面(120)またはガス透過性膜(120)の少なくとも一部の近くのまたはそれに隣接する空気またはガスを加湿するまたは湿らせるように構成される、項目38に記載のバイオリアクター(10、10”、100)。