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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 11/00 20060101AFI20250120BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20250120BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20250120BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20250120BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20250120BHJP
【FI】
H02G11/00
H02G3/04 081
H02G3/30
H01B7/00 301
B60R16/02 620C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022028839
(22)【出願日】2022-02-28
(65)【公開番号】P2023124955
(43)【公開日】2023-09-07
【審査請求日】2024-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】木暮 直人
(72)【発明者】
【氏名】佐野 光
(72)【発明者】
【氏名】角谷 誠一
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-94133(JP,A)
【文献】特開2007-181265(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/148992(US,A1)
【文献】特開2007-245846(JP,A)
【文献】特開2002-154388(JP,A)
【文献】実開昭60-55231(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 11/00
H02G 3/04
H02G 3/30
H01B 7/00
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定された第一リンクに配置された第一プロテクタと、
前記第一リンクに対して相対回転可能な第二リンクに配置された第二プロテクタと、
前記第一プロテクタに固定された第一端部と、前記第二プロテクタに固定された第二端部と、を有する可撓性の筒状の外装部材と、
前記第一プロテクタ、前記第二プロテクタ、および前記外装部材のそれぞれに挿通されており、かつ前記第二リンクに配索される電線と、
を備え、
前記第二リンクは、長手方向の一端に位置する基部を有し、かつ前記基部を中心として前記第一リンクに対して相対回転可能なように前記基部が回転軸を介して前記第一リンクによって支持されており、
前記第一プロテクタは、前記回転軸の側に向けて開口した第一筒部を有し、
前記外装部材の前記第一端部は、前記第一筒部に対して固定されており、
前記外装部材は、前記第一リンクに対する前記第二リンクの相対回転によって発生する前記第一プロテクタと前記第二プロテクタとの間の線長の変化に応じて伸縮する
ことを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項2】
前記第二プロテクタは、前記回転軸の側に向けて開口した第二筒部を有し、
前記外装部材の前記第二端部は、前記第二筒部に対して固定されている
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記第一リンクに対する前記第二リンクの相対回転によって発生する前記電線の余長を収容する収容空間を有し、
前記収容空間は、前記第一リンクの側の配索経路、および前記第二リンクの側の配索経路の少なくとも一方に設けられている
請求項1または2に記載のワイヤハーネス。
【請求項4】
前記第二プロテクタは、前記回転軸の側に向けて開口した第二筒部と、前記第二リンクの内部空間に向けて開口した第三筒部と、前記第二筒部と前記第三筒部とをつなぐ筒状の屈曲部と、を有し、
前記電線は、前記屈曲部の内部において湾曲しており、
前記第二プロテクタの内部空間が前記収容空間として前記余長を収容する
請求項3に記載のワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤハーネスの余長を吸収する技術がある。特許文献1には、ベースに軸部で回動自在に支持された第一のリンクと、該第一のリンクの先端側に軸部で回動自在に支持された第二のリンクとに対し、各軸部の中心からオフセットして該第一のリンクにハーネスプロテクタを配置し、該ハーネスプロテクタ内にワイヤハーネスを摺動自在に挿通させ、該ワイヤハーネスの一方を該ベース側のハーネス固定部に固定し、該ワイヤハーネスの他方を該第二のリンク側のハーネス固定部に固定した、ワイヤハーネスの余長吸収構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-213315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リンク機構の回転動作に対するワイヤハーネスの追従性を向上させる点について、改良の余地がある。例えば、電線および外装部材を有するワイヤハーネスにおいて、回転動作に対して外装部材を独立して追従させることができれば、電線の余長吸収における自由度が向上する。
【0005】
本発明の目的は、リンク機構の回転動作に対する追従性を向上させることができるワイヤハーネスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のワイヤハーネスは、固定された第一リンクに配置された第一プロテクタと、前記第一リンクに対して相対回転可能な第二リンクに配置された第二プロテクタと、前記第一プロテクタに固定された第一端部と、前記第二プロテクタに固定された第二端部と、を有する可撓性の筒状の外装部材と、前記第一プロテクタ、前記第二プロテクタ、および前記外装部材のそれぞれに挿通されており、かつ前記第二リンクに配索される電線と、を備え、前記第二リンクは、長手方向の一端に位置する基部を有し、かつ前記基部を中心として前記第一リンクに対して相対回転可能なように前記基部が回転軸を介して前記第一リンクによって支持されており、前記第一プロテクタは、前記回転軸の側に向けて開口した第一筒部を有し、前記外装部材の前記第一端部は、前記第一筒部に対して固定されており、前記外装部材は、前記第一リンクに対する前記第二リンクの相対回転によって発生する前記第一プロテクタと前記第二プロテクタとの間の線長の変化に応じて伸縮することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るワイヤハーネスは、固定された第一リンクに配置された第一プロテクタと、第一リンクに対して相対回転可能な第二リンクに配置された第二プロテクタと、第一プロテクタに固定された第一端部と、第二プロテクタに固定された第二端部と、を有する可撓性の筒状の外装部材と、を備える。外装部材は、第一リンクに対する第二リンクの相対回転によって発生する第一プロテクタと第二プロテクタとの間の線長の変化に応じて伸縮する。本発明に係るワイヤハーネスによれば、リンク機構の回転動作に対する追従性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るワイヤハーネスを示す斜視図である。
図2図2は、半開位置のワイヤハーネスを示す平面図である。
図3図3は、全閉位置のワイヤハーネスを示す平面図である。
図4図4は、全開位置のワイヤハーネスを示す平面図である。
図5図5は、実施形態に係るワイヤハーネスの拡大斜視図である。
図6図6は、実施形態に係るワイヤハーネスの断面図である。
図7図7は、実施形態に係るワイヤハーネスの断面図である。
図8図8は、実施形態に係るワイヤハーネスの断面図である。
図9図9は、実施形態の第1変形例に係る収容空間を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係るワイヤハーネスにつき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図1から図8を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、ワイヤハーネスに関する。図1は、実施形態に係るワイヤハーネスを示す斜視図、図2は、半開位置のワイヤハーネスを示す平面図、図3は、全閉位置のワイヤハーネスを示す平面図、図4は、全開位置のワイヤハーネスを示す平面図、図5は、実施形態に係るワイヤハーネスの拡大斜視図、図6から図8は、実施形態に係るワイヤハーネスの断面図である。
【0011】
図6には、図2のVI-VI断面が示されている。図7には、図3のVII-VII断面が示されている。図8には、図4のVIII-VIII断面が示されている。
【0012】
図1に示すように、本実施形態のワイヤハーネスWHは、第一プロテクタ1と、第二プロテクタ2と、外装部材3と、電線4と、を有する。本実施形態のワイヤハーネスWHは、例えば、車両100のリンク機構100Aに適用される。例示されたリンク機構100Aは、車両100のドア150を開閉させる開閉装置を構成する。
【0013】
リンク機構100Aは、第一リンク110、第二リンク120、第三リンク130、および回転軸140,170を有する。第一リンク110、第二リンク120、および第三リンク130は、例えば、金属板から形成される。第一リンク110は、車両100の車体160に固定された部材である。第一リンク110は、略U字形状に折れ曲がっており、車幅方向Yに向けて開口している。
【0014】
第二リンク120は、第一リンク110に対して相対回転する部材である。第二リンク120は、溝形に形成されており、電線4が配索される内部空間121を有している。第二リンク120は、底壁122、第一側壁123、および第二側壁124を有する。第一側壁123および第二側壁124は、底壁122の縁から立設されている。第一側壁123および第二側壁124は、底壁122の幅方向において互いに対向している。底壁122および二つの側壁123,124によって内部空間121が形成されている。例示された第二リンク120は、第一側壁123を車両上下方向Zの上方に向け、かつ第二側壁124を下方に向けて配置されている。
【0015】
第二リンク120は、基部120aおよび先端部120bを有する。基部120aは、第二リンク120における長手方向の第一端部に位置している。先端部120bは、第二リンク120における長手方向の第二端部に位置している。基部120aは、回転軸140を介して第一リンク110によって回転自在に支持されている。より詳しくは、基部120aは、第一リンク110の内部に挿入されている。回転軸140は、第二リンク120の第一側壁123および第二側壁124を貫通しており、第二リンク120を回転自在に支持する。回転軸140の両端は、第一リンク110によって支持されている。例示された回転軸140の軸方向は、車両上下方向Zである。
【0016】
第二リンク120は、回転軸140を回転中心として第一リンク110に対して相対回転することができる。図2から図4に示すように、第二リンク120は、先端部120bを車両前後方向Xに移動させるように回転する。図1および図2は、ドア150が半開の位置にあるときのリンク機構100Aを示し、図3は、ドア150が全閉の位置にあるときのリンク機構100Aを示し、図4は、ドア150が全開の位置にあるときのリンク機構100Aを示している。
【0017】
第三リンク130は、第二リンク120の先端部120bに連結されている。第三リンク130は、回転軸170を介して第二リンク120によって回転自在に支持されている。第三リンク130は、ドア150に対して接続されている。
【0018】
第一プロテクタ1および第二プロテクタ2は、電線4を保護し、かつ電線4の経路を規制する部材である。第一プロテクタ1および第二プロテクタ2は、例えば、絶縁性の合成樹脂で成型される。図5に示すように、第一プロテクタ1は、第一リンク110に配置されている。第一プロテクタ1は、第一リンク110に対して固定されてもよく、車体160に対して固定されてもよい。例示された第一プロテクタ1は、第一リンク110に接触して配置されている。
【0019】
第一プロテクタ1は、筒状に形成された第一筒部11を有する。第一筒部11は、電線4を収容して保護し、かつ電線4の経路を規制する。平面視における第一筒部11の形状は、中間部において屈曲した略V字または略L字の形状である。第一筒部11は、第一直線部11aおよび第二直線部11bを有する。第一直線部11aおよび第二直線部11bは、それぞれ直線状に延在している。第一直線部11aおよび第二直線部11bは、平面視において交差するようにつながっている。例示された第一直線部11aおよび第二直線部11bの形状は、角筒形状である。
【0020】
第一直線部11aは、回転軸140の側に向けて開口した第一開口11cを有する。本実施形態の第一プロテクタ1は、平面視において第一直線部11aの延長線上に回転軸140が位置するように配置されている。例えば、第一プロテクタ1は、第一直線部11aの中心軸線が回転軸140の中心軸線と交差するように配置される。第一直線部11aの中心軸線と回転軸140の中心軸線とが直交してもよい。第二直線部11bは、第二開口11dを有する。例示された第二開口11dは、車両前後方向Xに向けて開口している。
【0021】
第二プロテクタ2は、第二リンク120に配置されている。第二リンク120の第一側壁123には、切り欠き123aが設けられている。切り欠き123aは、基部120aに配置され、または基部120aの近傍に配置されている。平面視における切り欠き123aの形状は、例えば、矩形である。第二プロテクタ2は、切り欠き123aに配置されており、切り欠き123aによって保持される。
【0022】
第二プロテクタ2は、第二筒部21、第三筒部22、および屈曲部23を有する。第二筒部21、第三筒部22、および屈曲部23は、それぞれ角筒状に形成されている。第二筒部21は、第二リンク120の長手方向に延在しており、かつ回転軸140の側に向けて開口している。すなわち、第二筒部21は、回転軸140の側に向く開口21aを有する。本実施形態の第二プロテクタ2は、平面視において第二筒部21の延長線上に回転軸140が位置するように第二プロテクタ2に対して固定されている。例えば、第二プロテクタ2は、第二筒部21の中心軸線が回転軸140の中心軸線と交差するように配置される。第二筒部21の中心軸線と回転軸140の中心軸線とが直交してもよい。
【0023】
第三筒部22は、第二リンク120の長手方向と直交する方向に延在しており、かつ切り欠き123aに嵌合している。例示された第三筒部22は、車両上下方向Zに延在している。第三筒部22は、第二リンク120の内部空間121に向いた開口22aを有している。開口22aは、第二側壁124と対向している。
【0024】
屈曲部23は、第二筒部21と第三筒部22との間に位置しており、第二筒部21と第三筒部22とをつないでいる。例示された屈曲部23は、直角に折れ曲がっている。つまり、本実施形態の第二プロテクタ2では、第二筒部21と第三筒部22とが直交している。
【0025】
外装部材3は、可撓性の筒状の部材であり、伸縮可能に構成されている。外装部材3は、例えば、絶縁性の合成樹脂で成型される。外装部材3は、例えば、コルゲートチューブである。例示された外装部材3は、円筒形状を有している。図6に示すように、外装部材3は、第一端部31および第二端部32を有する。第一端部31は、第一プロテクタ1の第一筒部11に対して固定される。図6に示すように、第一筒部11は、外装部材3を保持する突起15を有する。突起15は、第一直線部11aの内壁面から突出している。外装部材3の第一端部31は、第一直線部11aに挿入されて突起15によって係止される。外装部材3がコルゲートチューブである場合、突起15は外装部材3が有する環状の凹部に係合する。
【0026】
外装部材3の第二端部32は、第二プロテクタ2の第二筒部21に対して固定される。図6に示すように、第二筒部21は、外装部材3を保持する突起25を有する。突起25は、第二筒部21の内壁面から突出している。外装部材3の第二端部32は、第二筒部21に挿入されて突起25によって係止される。外装部材3がコルゲートチューブである場合、突起25は外装部材3が有する環状の凹部に係合する。
【0027】
図1図5、および図6に示すように、電線4は、第一プロテクタ1、第二プロテクタ2、および外装部材3のそれぞれに挿通されている。例示された電線4は、車体160の側の機器と、ドア150の側の機器とを接続する。電線4は、例えば、電源線および信号線が束ねられて構成される。電線4の一端は、第一プロテクタ1の第二開口11dから引き出されている。第二開口11dから引き出された電線4は、車両100の電源や制御装置に接続される。電線4の他端は、第二リンク120の内部空間121に配索され、ドア150に配置された機器に接続される。
【0028】
図6に示すように、電線4は、第一プロテクタ1の内部、外装部材3の内部、第二プロテクタ2の内部、および第二リンク120の内部空間121に配索される。電線4は、第二プロテクタ2の内部において、湾曲している。より詳しくは、電線4は、屈曲部23の内部において、屈曲部23の形状に沿って湾曲している。図6に示す電線4は、屈曲部23において、中心軸線のなす角度θが鈍角となるように曲がっている。電線4は、更に、第二プロテクタ2の開口22aにおいて湾曲している。電線4は、第二リンク120の先端部120bにおいて内部空間121から引き出され、ドア150の側の機器に接続される。
【0029】
第二プロテクタ2の第三筒部22は、内側の壁22bおよび外側の壁22cを有する。内側の壁22bおよび外側の壁22cは、第二リンク120の長手方向において互いに対向している。つまり、内側の壁22bおよび外側の壁22cは、第二リンク120が回転運動をするときの半径方向において互いに対向している。内側の壁22bは、外側の壁22cよりも回転軸140の近くに位置している。つまり、内側の壁22bは、外側の壁22cと比較して上記半径方向の中心側に位置している。
【0030】
内側の壁22bと外側の壁22cとの間の距離W1は、電線4の直径よりも大きい。従って、電線4は、第三筒部22の内部において車両上下方向Zに対して傾斜した方向に延在することができる。
【0031】
第二プロテクタ2は、第二リンク120が回動するときに発生する電線4の余長を収容できるように構成されている。図6に示すように、電線4の外周面と第二プロテクタ2の内壁面との間には、隙間G1が設けられている。隙間G1は、少なくとも第三筒部22の内壁面と電線4との間に形成される。
【0032】
電線4は、車体160の側、および第二リンク120の側、のそれぞれにおいて固定される。車体160の側における電線4の固定対象は、例えば、第一プロテクタ1である。電線4は、例えば、バンド等の結束部材やテープによって第一プロテクタ1に固定される。第二リンク120の側における電線4の固定対象は、例えば、第二プロテクタ2である。電線4は、例えば、バンド等の結束部材やテープによって第二プロテクタ2に固定される。電線4は、例えば、開口22aの部分において第二プロテクタ2に対して固定される。電線4は、外側の壁22cに対して固定されてもよい。
【0033】
ここで、本実施形態のリンク機構100Aでは、第一リンク110に対する第二リンク120の相対回転によって、第一プロテクタ1と第二プロテクタ2との間の線長が変化する。図2に示す回転位置では、第一プロテクタ1の第一開口11cと第二プロテクタ2の開口21aとが互いに対向しており、外装部材3の形状が直線形状である。この場合、第一プロテクタ1と第二プロテクタ2との間の線長が最大となる。
【0034】
これに対して、図3に示す全閉の回転位置、および図4に示す全開の回転位置では、第一開口11cの向きと開口21aの向きとが交差している。この場合、図2の回転位置と比較して、第一開口11cと開口21aとの間の直線距離が短い。つまり、全閉位置および全開位置における第一開口11cと開口21aとの間の線長は、図2の回転位置のときの線長よりも短くなる。
【0035】
本実施形態のワイヤハーネスWHでは、この線長の変化に応じて外装部材3が伸縮する。外装部材3は、弾性変形するように構成されており、軸方向に沿って伸縮可能である。外装部材3は、外装部材3の長さLが自由長L0よりも大きくなるように伸長することができる。更に、外装部材3は、外装部材3の長さLが自由長L0よりも小さくなるように収縮することができる。外装部材3は、第二リンク120の回動による第二プロテクタ2の位置変化に応じて、軸方向に伸縮しつつ撓み変形する。よって、外装部材3は、線長の変化を吸収しつつ第二リンク120の回動に追従することができる。
【0036】
本実施形態の外装部材3は、図3に示す全閉位置において外装部材3の長さが自由長L0となるように固定されている。ここで、外装部材3の長さLは、典型的には、外装部材3の中心軸線C1の長さである。この場合、図2に示す半開位置において、外装部材3の長さLが自由長L0よりも長くなる。つまり、外装部材3は、第二リンク120が図2に示す位置に向けて回動するときに、長さLを自由長L0よりも大きくしながら第二プロテクタ2に追従する。図4に示す全開位置における外装部材3の長さLは、例えば、自由長L0と同等の長さである。
【0037】
また、本実施形態のワイヤハーネスWHは、第二リンク120の回動に伴って発生する電線4の余長を収容する収容空間を有する。例示されたワイヤハーネスWHにおける収容空間は、第二プロテクタ2の内部空間である。
【0038】
図6には、第二リンク120が図2に示す半開の位置にある場合の第二プロテクタ2および電線4が示されている。電線4は、第三筒部22の内部において斜めに延在している。より詳しくは、電線4は、第二筒部21から開口22aへ近づくに従って外側の壁22cへ向かうように、車両上下方向Zに対して傾斜している。このときに、電線4は外側の壁22cに対して傾斜している。電線4と外側の壁22cとの間の隙間は、車両上下方向Zに沿って第二筒部21へ近づくに従って大きくなっている。このときの隙間G1は、外側の壁22cと電線4との間に位置している。
【0039】
図7には、第二リンク120が全閉位置にある場合の第二プロテクタ2および電線4が示されている。上記のように、全閉位置では、第一プロテクタ1と第二プロテクタ2との間の線長が短くなる。よって、第二リンク120が半開の位置から全閉位置へ向けて回転すると、図7に矢印AR1で示すように、電線4が第二プロテクタ2の内部に押し込まれる。その結果、電線4には余長が発生する。以下の説明では、電線4のうち、第二リンク120の移動によって第二プロテクタ2の内部に押し込まれる部分を余長部分41と称する。第二リンク120の回転によって発生する余長は、余長部分41の長さに相当する。
【0040】
第二プロテクタ2は、電線4の余長部分41を収容する。図7に示すように、電線4は、外側の壁22cに沿って延在するように第三筒部22に収容される。このときに、電線4は、第三筒部22において外側の壁22cと平行に延在することができる。つまり、第二リンク120が全閉位置に向けて回転するときに、電線4は、第二プロテクタ2の内部において移動し、かつ湾曲部の角度を変化させる。第二プロテクタ2は、このような電線4の移動、および電線4の屈曲角度の変化を許容できる収容空間を有している。よって、第二プロテクタ2は、電線4の余長部分41を収容して電線4を第二リンク120の回転に追従させることができる。
【0041】
図8には、第二リンク120が全開位置にある場合の第二プロテクタ2および電線4が示されている。第二リンク120が半開の位置から全開位置へ向けて回転すると、図8に矢印AR2で示すように、電線4が第二プロテクタ2の内部に押し込まれる。このときに発生する余長部分41は、第二プロテクタ2によって収容される。
【0042】
図7および図8に示すように、第二リンク120が全閉位置および全開位置にある場合には、電線4が内側の壁22bから離間している。従って、第二リンク120が半開の位置に向けて回転する場合、電線4は余長部分41を第二筒部21から繰り出しながら第二リンク120の回転に追従することができる。
【0043】
このように、本実施形態のワイヤハーネスWHは、第二リンク120の回転によって発生する電線4の余長部分41を第二プロテクタ2に収容する。よって、本実施形態のワイヤハーネスWHは、リンク機構100Aの回転動作に対する適切な追従性を有している。また、本実施形態のワイヤハーネスWHは、第二リンク120の回転に対して、外装部材3および電線4をそれぞれ独立して追従させる。外装部材3は、外装部材3の伸縮性によって第二リンク120の回転に追従する。電線4は、収容空間において形状を変化させながら第二リンク120の回転に追従する。
【0044】
本実施形態のワイヤハーネスWHでは、電線4が外装部材3に対して固定されておらず、電線4が外装部材3に対して摺動自在である。よって、電線4は外装部材3の伸縮を妨げず、外装部材3は外装部材3に対する電線4の相対移動を妨げない。つまり、外装部材3および電線4はそれぞれ高い独立性を有して第二リンク120の回転動作に追従することができる。
【0045】
なお、電線4の余長を収容する収容空間は、第一リンク110の側の配索経路に設けられてもよい。例えば、第一プロテクタ1の内部空間が収容空間として余長部分を収容してもよい。収容空間は、第一リンク110の側の配索経路、および第二リンク120の側の配索経路の何れか一方に設けられてもよく、両方の配索経路に設けられてもよい。
【0046】
以上説明したように、本実施形態のワイヤハーネスWHは、第一プロテクタ1と、第二プロテクタ2と、電線4と、を有する。第一プロテクタ1は、固定された第一リンク110に配置されている。第二プロテクタ2は、第一リンク110に対して相対回転可能な第二リンク120に配置されている。外装部材3は、可撓性の筒状の部材である。外装部材3は、第一プロテクタ1に固定された第一端部31と、第二プロテクタ2に固定された第二端部32と、を有する。電線4は、第一プロテクタ1、第二プロテクタ2、および外装部材3のそれぞれに挿通されており、かつ第二リンク120に配索される。
【0047】
第二リンク120は、長手方向の一端に位置する基部120aを有する。第二リンク120は、基部120aを中心として第一リンク110に対して相対回転可能なように、基部120aが回転軸140を介して第一リンク110によって支持されている。第一プロテクタ1は、回転軸140の側に向けて開口した第一筒部11を有する。外装部材3の第一端部31は、第一筒部11に対して固定されている。外装部材3は、第一リンク110に対する第二リンク120の相対回転によって発生する第一プロテクタ1と第二プロテクタ2との間の線長の変化に応じて伸縮する。本実施形態のワイヤハーネスWHは、外装部材3の伸縮によって、回転する第二リンク120に追従することができる。よって、本実施形態のワイヤハーネスWHは、リンク機構100Aの回転動作に対する追従性を向上させることができる。
【0048】
外装部材3は、外装部材3の内部に挿通されている電線4に対して摺動しながら伸縮することが望ましい。このような構成によれば、電線4の追従動作に対して外装部材3の追従動作を独立させることができる。
【0049】
本実施形態の第二プロテクタ2は、回転軸140の側に向けて開口した第二筒部21を有する。外装部材3の第二端部32は、第二筒部21に対して固定されている。第一プロテクタ1の第一筒部11および第二プロテクタ2の第二筒部21がそれぞれ回転軸140の側に向けて開口していることで、外装部材3の伸縮動作がスムーズになされる。
【0050】
本実施形態のワイヤハーネスWHは、電線4の余長を収容する収容空間を有する。電線4の余長は、第一リンク110に対する第二リンク120の相対回転によって発生する余長である。収容空間は、第一リンク110の側の配索経路、および第二リンク120の側の配索経路の少なくとも一方に設けられている。電線4の余長を収容するための収容空間が設けられることで、第二リンク120の回転に対する電線4の追従性が向上する。
【0051】
本実施形態の第二プロテクタ2は、回転軸140の側に向けて開口した第二筒部21と、第三筒部22と、屈曲部23と、を有する。第三筒部22は、第二リンク120の内部空間121に向けて開口している。屈曲部23は、筒状であり、第二筒部21と第三筒部22とをつないでいる。電線4は、屈曲部23の内部において湾曲している。第二プロテクタ2の内部空間が収容空間として電線4の余長を収容する。このような構成により、電線4の湾曲部を用いて容易に余長が吸収される。
【0052】
なお、第一プロテクタ1および第二プロテクタ2の形状および配置は、実施形態において例示された形状および配置には限定されない。例えば、第二リンク120と第三リンク130に対して実施形態の余長吸収構造が適用されてもよい。この場合、例えば、第三リンク130に対して第一プロテクタ1が配置され、第二リンク120の先端部120bに第二プロテクタ2が配置される。
【0053】
実施形態のワイヤハーネスWHが適用されるリンク機構100Aは、ドア150を開閉させる機構には限定されない。リンク機構100Aは、車両100に搭載される機構には限定されない。
【0054】
[実施形態の第1変形例]
実施形態の第1変形例について説明する。図9は、実施形態の第1変形例に係る収容空間を示す図である。電線4の余長が収容空間に収容される態様は、上記実施形態で例示された態様には限定されない。実施形態の第1変形例に係る収容空間24は、直線状の通路である。収容空間24は、例えば、第二プロテクタ2に設けられる。電線4は、例えば、破線で示すように予め蛇行した形状で収容空間24に配索される。電線4に余長が発生する場合、電線4は、矢印AR3で示すように蛇行の度合いが増すように変形する。これにより、電線4の余長部分41は収容空間24に収容される。
【0055】
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0056】
1:第一プロテクタ、 2:第二プロテクタ、 3:外装部材、 4:電線
11:第一筒部、 11a:第一直線部、 11b:第二直線部
11c:第一開口、 11d:第二開口
21:第二筒部、 21a:開口
22:第三筒部、 22a:開口、 22b:内側の壁、 22c:外側の壁
23:屈曲部、 24:収容空間
31:第一端部、 32:第二端部
41:余長部分
100:車両、 100A:リンク機構、 110:第一リンク
120:第二リンク、 120a:基部、 120b:先端部
121:内部空間、 122:底壁、 123:第一側壁、 123a:切り欠き
124:第二側壁
130:第三リンク
140:回転軸、 150:ドア、 160:車体、 170:回転軸
WH:ワイヤハーネス
X:車両前後方向、 Z:車両上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9