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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】分注クロージャ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/20 20060101AFI20250120BHJP
【FI】
B65D47/20 300
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022513182
(86)(22)【出願日】2020-08-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-21
(86)【国際出願番号】 IB2020057963
(87)【国際公開番号】W WO2021038458
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-06-21
(31)【優先権主張番号】62/894,058
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】524288931
【氏名又は名称】ジョンソン アンド ジョンソン コンシューマー インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】コンセイサン・グアラシ
(72)【発明者】
【氏名】ロペス・カルロス・エドゥアルド
(72)【発明者】
【氏名】シモンエス・ニベア
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第000029906976(DE,U1)
【文献】米国特許第05873494(US,A)
【文献】実開昭61-090752(JP,U)
【文献】米国特許第05695097(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収容された流体を分注するための口を有する容器のクロージャであって、
a)付随する前記容器の前記口を密封するように配置及び構成されたベースプレートと一対の開口部とを含むキャップであって、各開口部は、前記ベースプレートから延出する円筒チューブによって画定され、かつ付随する前記容器と流体連通する、キャップと、
b)閉位置と2つの開位置との間で可動である枢動可能な頂部要素であって、
i)水平ヒンジ軸を中心として枢動運動を行うように前記キャップに装着され、
ii)トッププレートと前記キャップの前記円筒チューブと整列した一対の分注経路とを含む、枢動可能な頂部要素と、を備え、各分注経路が、前記キャップの付随する前記円筒チューブの内側表面と封止係合するようなサイズにされた、前記トッププレートから延出する円筒プラグと、前記キャップの付随する前記円筒チューブの外側表面と封止係合するようなサイズにされた、前記トッププレートから延出する円筒スリーブと、前記円筒プラグと前記円筒スリーブとの間の環状空間から分注口までの通路と、を含み、前記分注口が、前記円筒チューブ、ひいては付随する前記容器と流体連通し、第2の分注口及び付随する通路が、流れ方向に垂直に、第1の分注口及び付随する通路よりも大きな断面を有する、クロージャ。
【請求項2】
前記第1の分注口及び前記第2の分注口が、ほぼ長方形の口を有する、請求項1に記載のクロージャ。
【請求項3】
流れ方向に垂直な前記第1の分注口の断面が、流れ方向に垂直な前記第2の分注口の断面の約40%~約75%の面積を有する、請求項1に記載のクロージャ。
【請求項4】
流れ方向に垂直な前記第1の分注口の断面が、流れ方向に垂直な前記第2の分注口の断面の約60%~約70%の面積を有する、請求項3に記載のクロージャ。
【請求項5】
内部に収容された流体を分注するための口を有する容器のクロージャであって、
a)外側表面と、内側表面と、付随する前記容器の前記口を封止するように配置及び構成されたベースプレートと、前記ベースプレートの上面から延出する円筒チューブによって画定され、かつ付随する前記容器と流体連通する、中央に配設された開口部と、を含むキャップと、
b)閉位置と2つの開位置との間で可動である枢動可能な頂部要素であって、
i)水平ヒンジ軸を中心として枢動運動を行うように前記キャップに装着され、
ii)以下の
A)トッププレートと、
B)枢動可能な頂部要素リムと、
C)前記キャップの前記円筒チューブの内側表面と封止係合するようなサイズにされた、前記トッププレートから延出する円筒プラグと、
D)前記キャップの付随する前記円筒チューブの外側表面と封止係合するようなサイズにされた、前記トッププレートから延出する円筒スリーブと、
E)前記円筒プラグと前記円筒スリーブとの間の環状空間から第1の分注口までの第1の通路と、
F)前記円筒プラグと前記円筒スリーブとの間の環状空間から第2の分注口までの第2の通路と、を含む、枢動可能な頂部要素と、を備え、
前記第1の分注口および前記第2の分注口が、前記円筒チューブ、ひいては付随する前記容器と流体連通し、前記第2の分注口及び付随する通路が、流れ方向に垂直に、前記第1の分注口及び付随する通路よりも大きな断面を有する、クロージャ。
【請求項6】
前記第1の分注口及び前記第2の分注口が、ほぼ長方形の口を有する、請求項5に記載のクロージャ。
【請求項7】
流れ方向に垂直な前記第1の分注口の断面が、流れ方向に垂直な前記第2の分注口の断面の約40%~約75%の面積を有する、請求項5に記載のクロージャ。
【請求項8】
流れ方向に垂直な前記第1の分注口の断面が、流れ方向に垂直な前記第2の分注口の断面の約60%~約70%の面積を有する、請求項7に記載のクロージャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体、例えば、化粧品、液体石鹸、シャンプー、サンローションなどを保持するボトル又は容器と共に使用するのに特に適した、材料を収容及び分注するための装置に関する。より詳細には、本発明は、異なる速度で容器の内容物を分注するための異なる断面の開口部を備えた双方向ディスペンサクロージャに関する。
【背景技術】
【0002】
シャンプー、ローション、又は、日焼け止めなどの液体の容器から流体を分注するためのクロージャが市販されている。知られている分注クロージャの種類としては、フラッパークロージャ、サイドポアークロージャ、スパイスクロージャ、シフター、ディスクトップクロージャ、タレットクロージャ、ヨーカークロージャ、スナップトップクロージャなどが挙げられる。ローションポンプは、健康及び美容用途でも有用である。
【0003】
クロージャは、ユーザが簡単に操作することができる液体用のディスペンサを形成する。多くの既知の分注クロージャは、ユーザがクロージャの一部を持ち上げるか又はねじることによって開かれる単一の液体分注経路を有する。
【0004】
複数の液体分注経路を有する分注クロージャも数多くある。これらのクロージャは、容器から液体を分注するときにもユーザによって操作される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
漏れ及びクロージャ内で製品が露出した状態のままであることなどの問題は、これらの問題を解決するように設計されたクロージャを必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、内部に収容された流体を分注するための口を有する容器のクロージャに関する。クロージャは、キャップと、閉位置と2つの開放位置との間で可動である枢動可能な頂部要素と、を含む。キャップは、付随する流体容器の口を封止するように配置及び構成されたベースプレートと、一対の開口部と、を含む。開口部のそれぞれは、ベースプレートから延在する円筒チューブによって画定され、かつ付随する容器と流体連通する。枢動可能な頂部要素は、水平ヒンジ軸を中心とした枢動運動を行うようにキャップに装着される。枢動可能な頂部要素は、トッププレートと、キャップの円筒チューブと整列した一対の分注経路と、を含む。各分注経路は、キャップの付随する円筒チューブの内側表面と封止係合するようなサイズにされた、トッププレートから延出する円筒プラグと、キャップの付随する円筒チューブの外側表面と封止係合するようなサイズにされた、トッププレートから延出する円筒スリーブと、円筒プラグと円筒スリーブとの間の環状空間から分注口までの通路と、を有する。各分注口は、円筒チューブ、ひいては付随する容器と流体連通する。第2の分注口及び付随する通路は、流れ方向に垂直に、第1の分注口及び付随する通路よりも大きい断面を有する。
【0007】
本発明の第2の態様は、内部に収容された流体を分注するための口を有する容器のクロージャに関する。クロージャは、キャップと、閉位置と2つの開放位置との間で可動である枢動可能な頂部要素と、を含む。キャップは、外側表面と、内側表面と、付随する流体容器の口を封止するように配置及び構成されたベースプレートと、ベースプレートの上面から延出する円筒チューブによって画定され、かつ付随する容器と流体連通する、中央に配設された開口部と、を有する。枢動可能な頂部要素は、水平ヒンジ軸を中心とした枢動運動を行うようにキャップに装着される。枢動可能な頂部要素は、枢動可能な頂部要素リムと、キャップの円筒チューブの内側表面と封止係合するようなサイズにされた、トッププレートから延出する円筒プラグと、キャップの付随する円筒チューブの外側表面と封止係合するようなサイズにされた、トッププレートから延出する円筒スリーブと、円筒プラグと円筒スリーブとの間の環状空間から第1の分注口までの第1の通路と、円筒プラグと円筒スリーブとの間の環状空間から第2の分注口までの第2の通路と、を有する。各分注口は、円筒チューブ、ひいては付随する容器と流体連通し、第2の分注口及び付随する通路は、流れ方向に垂直に、第1の分注口及び付随する通路よりも大きな断面を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の流体分注ボトルの実施形態の側面図である。
図2】枢動可能な頂部要素の実施形態及びキャップの実施形態を示す、本発明の容器クロージャの第1の実施形態の分解斜視図である。
図3図2の枢動可能な頂部要素の実施形態の底面図である。
図4図2のキャップの実施形態の断面図である。
図5図2のキャップの実施形態の平面図である。
図6】閉位置にある組み立てられた第1のクロージャの実施形態の断面図である。
図7】閉位置にある組み立てられた第1のクロージャの実施形態の平面図である。
図8】第1の開位置にある組み立てられた第1のクロージャの実施形態の断面図である。
図9】第2の開位置にある組み立てられた第1のクロージャの実施形態の断面図である。
図10】閉位置にある組み立てられた第2のクロージャの実施形態の断面図である。
図11】第1の開位置にある組み立てられた第2のクロージャの実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、異なる速度で容器の内容物を分注するための異なる断面の開口部を備えた双方向ディスペンサクロージャに関する。
【0010】
本開示の主題は、これから、代表的な実施形態が示される添付の図及び実施例を参照して、以下でより完全に説明される。しかしながら、本明細書に開示される主題は、異なる形態で具体化可能なものであり、本明細書に記載される実施形態に限定して解釈されるべきではない。本発明の主題は、本明細書に記載される特徴と一致する最も広い範囲を与えられる。これらの実施形態は、本開示が詳細かつ完全であり、また、当業者に本実施形態の範囲を完全に伝えるように提供される。別段の規定がない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、ここに記載された主題が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されている意味と同一の意味を有する。
【0011】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「容器」という用語は、ボトル、フラゴン、フラスコ、ジャグ又はバイアルとしても知られ、液体、固体、又は気体を保持又は輸送するために使用することが可能な物体である。本発明では、容器とクロージャとは独立した実体である。
【0012】
本明細書に記載の容器クロージャは、容器から流体を異なる速度で分注するためのいくつかの開口部を有する。クロージャは、キャップと、枢動可能な頂部要素の2つの部分を有する。キャップは、流体容器の開口部を封止するように構成されたベースプレートと、容器の内容物と流体連通する、ベースプレートから延在する一対の円筒チューブ開口部と、を有する。枢動可能な頂部要素は、閉鎖位置と2つの開放位置との間で可動であり、水平ヒンジ軸を中心とした枢動運動を行うようにキャップに装着され、頂部プレートと、キャップの円筒チューブと整列した一対の分注経路と、を有する。分注経路は、キャップの付随する円筒チューブの内側表面と封止係合するようなサイズにされた、トッププレートから延出する円筒プラグ(好ましくは中空)と、キャップの付随する円筒チューブの外側表面と封止係合するようなサイズにされた、トッププレートから延出する円筒スリーブと、を有する。一対の分注口につながる一対の通路が、円筒プラグと円筒スリーブとの間の環状空間によって形成され、分注口は、円筒チューブ及びそれにより付随する容器と流体連通する。容器の内容物を異なる速度で分注できるようにするため、第1の分注口及び付随する通路は、通路流れ方向に垂直に、第2の分注口及び付随する通路よりも小さな断面を有する。
【0013】
双方向ディスペンサクロージャは、物質を収容した容器、好ましくは容器の上部に取り付けられるように設計されている。物質は、石鹸、シャンプー、日焼け止め、ローション、化粧品などの消費者製品を含む液体であってよい。
【0014】
ここで、同様の参照符合がいくつかの図の全体を通じて対応する部品を示す図面を参照すると、図1は、本発明の流体分注ボトル10の実施形態の側面図を示している。分注ボトル10は、容器20及びクロージャ30を含んでいる。容器20は、異なる形状、色、及びサイズのガラス、金属、又はプラスチックで作製することができる。プラスチックとしては、これらに限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、低密度ポリエチレン(LDPE)、又はポリプロピレン(PP)が挙げられる。HDPE又はLDPEなどのプラスチックは、ボトル10がスクイズボトルである場合に特に有用である。スクイズボトルとは、例えば、ユーザの手によって加えられる圧力によって容器を搾ることによって動力を与えられる、流体を分注するタイプのボトルである。その基本的な特徴は、弾力性のある容器に加えられた手の圧力を利用してその中の流体を圧縮し、それによってボトルから流体を排出することにある。
【0015】
クロージャ30は、キャップ40及び枢動可能な頂部要素60の2つの部分を有している。図2は、枢動可能な頂部要素の実施形態60及びキャップの実施形態40を示す、容器クロージャ30の第1の実施形態の分解斜視図である。
【0016】
図2に斜視図で示され、図3に底面図で示される枢動可能な頂部要素60は、トッププレート61、枢動可能な頂部要素リム65、ロッカーアーム68、ピン69、最初の分注口86、及び第2の分注口96を有している。トッププレート61は、第1の表面62及び第2の表面63を有している。枢動可能な頂部要素リム65は、第1の表面66及び第2の表面67を有している。突起64が、枢動可能な頂部要素リム65の第2の表面67に配設されている。
【0017】
図3には、第1の通路84及び第2の通路94、並びに水平ヒンジ軸70、円筒プラグ72a、72b及び円筒スリーブ76a、76bも示されている。円筒プラグ72a、72b及び円筒スリーブ76a、76bは、トッププレート61の第2の表面63から延出している。図には、第2の分注口96及び付随する第2の通路94が、通路流れ方向に垂直に、第1の分注口86及び付随する第1の通路84よりも大きな断面を有していることも示されている。
【0018】
第1の通路84及び第2の通路94はほぼ長方形の断面を有するものとして示されているが、他の四辺形(例えば、台形、正方形など)、三角形の連続曲線(例えば、円形、楕円形など)、及びスロット(幅寸法が高さ寸法よりも大幅に大きく、湾曲した又は概ね四角とされた端部を有する)を含む他の断面も想到される。
【0019】
断面積は、容器の内容物を所望の速度で分注するように選択することができる。例えば、第1の分注口86及び付随する第1の通路84は、第2の分注口96及び付随する第2の通路94の対応する断面積のおよそ40%~75%の断面積を有することができる。好ましくは、第1の分注口86及び付随する第1の通路84の断面積は、第2の分注口96及び付随する第2の通路94の対応する断面積のおよそ60%~70%である。
【0020】
好ましい一実施形態では、第1の分注口86は2mm×4mmの矩形断面を有し、第2の分注口96は2mm×6mmの矩形断面を有する。したがって、第1の分注口86の断面積は、第2の分注口96の対応する断面積の約67%である。
【0021】
水平ヒンジ軸70は、以下に示すように、枢動可能な頂部要素60の枢動軸を与える。
【0022】
図2に斜視図で、図4に断面図で、図5に平面図で示されるキャップ40は、外側表面41、内側表面42、ベースプレート44、ロッカーアームスタビライザ47、及びピン受け48を有している。突起ガイド43は、キャップ40の内側表面42に配設された止まり穴である。ロッカーアームスタビライザ47は、第1の分注口86及び第2の分注口96を解放する開放運動の支持点として作用するロッカーアーム68の枢動経路を案内かつ制限する。ベースプレート44は、上面45及び下面46、ベースプレート44の上面45から延出する一対の円筒チューブ50a、50b、容器封止リング56、及びスナップ嵌め部57を有している。開口部53a及び53bが、それぞれ、円筒チューブ50a及び円筒チューブ50bによって画定されている。
【0023】
図2及び図3に見られるように、枢動可能な頂部要素60は、各分注口(86、96)に隣接して配設された突起64を含む。キャップ40は、キャップ内側表面42に配設された突起ガイド43を含む。この実施形態では、突起ガイド43は、2個の横辺と2個の縦辺を有するレーストラック形状となっている。
【0024】
キャップ40と枢動可能な頂部要素60とが互いに連結されてクロージャ30を形成する際、突起64はそれぞれの突起ガイド43の中に配設される。突起ガイド43の長さは、枢動可能な頂部要素60の運動時の突起64の変位を可能とするうえで充分な長さであり、枢動可能な頂部要素60の運動に対する案内を与えるように機能する。更に、突起ガイド43の端部は、枢動可能な頂部要素60がその開位置に達した際の係止ブロックとなる。
【0025】
クロージャ30は、容器20の頂部に取り付けられるような設計となっている。封止リング56及びスナップ嵌め部57は、ベースプレート44の下面46から延出している。スナップ嵌め部57は、クロージャ30を容器20に取り付けるための手段であり、封止リング56は、容器20内に配置された物質(例えば、液体)の漏れを防止するための手段である。スナップ嵌め部は、ここではクロージャ30を容器20に取り付けるための手段として説明されているが、ねじ山又は接着剤などの他の手段を用いることもできる。クロージャ30と容器20との間の封止は、いくつかの実施形態ではガスケットを含み得る。
【0026】
ベースプレート44の上面45から延出する円筒チューブ50a、50bは、それぞれ、外側表面51a及び51b、並びに内側表面52a及び52bを有する。上記に述べたように、円筒チューブ50a、50bは、ベースプレート44を通る一対の開口部53a、53bを画定する。開口部53a、53bは、容器20の内容物と流体連通する。
【0027】
図6及び7は、組み立てられたクロージャ30の第1の実施形態の図を示す。図6は、クロージャ30が閉位置にあるときの組み立てられたクロージャ50の断面図であり、図7は、組み立てられたクロージャ30の平面図である。各図は、トッププレート61の第2の表面63から延出する、キャップ40の付随する円筒チューブ50a、50bの内側表面52a及び52bとそれぞれ封止係合するようなサイズにされた円筒プラグ72a、72bを示している。やはりトッププレート61の第2の表面63から延出する円筒スリーブ76a、76bは、キャップ40の付随する円筒チューブ50a、50bの外側表面51a及び51bとそれぞれ封止係合するようなサイズにされている。その結果、クロージャ30が閉位置にあるとき、容器20内に配置された物質が流体分注ボトル10から分注される経路はなくなる。
【0028】
図8及び9は、組み立てられたクロージャ30の第1の実施形態の断面図を示す。図8は、クロージャ30が第1の開位置にあるときの組み立てられたクロージャ30の断面図である。図9は、クロージャ30が第2の開位置にあるときの組み立てられたクロージャ30の断面図である。各開位置で、枢動可能な頂部要素60は、水平ヒンジ軸70を中心として枢動されている。第1の開位置では、枢動は時計方向であり、第2の開位置では、枢動は反時計方向である。
【0029】
図8(第1の開位置)において、第1の通路84及び第1の分注口86に付随する円筒プラグ72aは、円筒プラグ72aが円筒チューブ50aの内側表面52aと封止係合しなくなるように変位されている。円筒スリーブ76a、76bは、それぞれ、円筒チューブ50a、50bの外側表面51a、51bと封止係合したままである。また、第2の通路94及び第2の分注口96に付随する円筒プラグ72bも、円筒チューブ50bの内側表面52bと封止係合したままである。第1の環状空間82が形成されている。その結果、クロージャ30が第1の開位置にあるとき、第1の分注経路80が与えられ、容器20内に配置された物質は第1の通路84を通って、第1の分注口86を通じて流体分注ボトル10から分注される。
【0030】
図9(第2の開位置)において、第2の通路94及び第2の分注口96に付随する円筒プラグ72bは、円筒プラグ72bが円筒チューブ50bの内側表面52bと封止係合しなくなるように変位されている。円筒スリーブ76a、76bは、それぞれ、円筒チューブ50a、50bの外側表面51a、51bと封止係合したままである。また、第1の通路84及び第1の分注口86に付随する円筒プラグ72aも、円筒チューブ50aの内側表面52aと封止係合したままである。第2の環状空間92が形成されている。その結果、クロージャ30が第2の開位置にあるとき、第2の分注経路90が与えられ、容器20内に配置された物質は第2の通路94を通って、第2の分注口96を通じて流体分注ボトル10から分注される。
【0031】
前に述べたように、第2の分注口96及び付随する第2の通路94は、通路流れ方向に垂直に、第1の分注口86及び付随する第1の通路84よりも大きな断面を有している。これにより、クロージャ30が第2の開位置にあるときにクロージャが第1の開位置にあるときよりもより多くの物質が流体分注ボトル10から分注されることを可能とする。流体分注ボトル10がスクイズボトルである場合、クロージャ30が第2の開位置にあるときにクロージャ30が第1の開位置にあるときと比較して、容器20に加えられる同程度の手の圧力によって、流体分注ボトル10からより多くの物質が分注される。
【0032】
いくつかの実施形態では、クロージャが第2の開位置にあるときにクロージャ30が第1の開位置にあるときと比較してより多くの物質が流体分注ボトル10から分注されることを示すために、枢動可能な頂部要素60のトッププレート61の第1の表面62の第1の分注口86及び第2の分注口96の近くに標示を配置することができる。
【0033】
図10及び図11は、組み立てられた第2のクロージャの実施形態の図を示す。図10は、閉位置にある組み立てられたクロージャ130の断面図であり、図11は、第1の開位置にある組み立てられたクロージャ130の断面図である。第1の実施形態と同様、クロージャ130は、キャップ140及び枢動可能な頂部要素を有している。
【0034】
キャップ140は、外側表面141、内側表面142、及びベースプレート144を有している。ベースプレート144は、上面145及び下面146、ベースプレート144の上面145から延出する円筒チューブ150、ベースプレート144の外側表面141から延出する突起158a、158b、容器封止リング156、及びスナップ嵌め部157を有している。開口部153が、円筒チューブ150によって画定されている。
【0035】
封止リング156及びスナップ嵌め部157が、ベースプレート144の下面146から延出している。スナップ嵌め部157はクロージャ130を容器に取り付け、封止リング156は、容器内に配置された物質(例えば、液体)の漏れを防止する。スナップ嵌め部については本明細書で説明したが、ねじ山又は接着剤を用いてクロージャ130を容器に取り付けてもよく、実施形態によっては、クロージャ130と容器との間の封止はガスケットを含んでもよい。
【0036】
ベースプレート144の上面145から延出する円筒チューブ150aは、外側表面151a及び内側表面152aを有している。上記に述べたように、円筒チューブ150が、ベースプレート144を通る開口部153を画定している。開口部153は、容器20の内容物と流体連通している。
【0037】
キャップ140の枢動可能な頂部要素部分は、トッププレート161、枢動可能な頂部要素リム165、ピン169、第1の分注口186、第1の通路184、及び第2の通路194を有している。枢動可能な頂部要素は、ロッカーアーム及び第2の分注口(図示せず)も有している。
【0038】
トッププレート161は、第1の表面162及び第2の表面163を有している。円筒プラグ172及び円筒スリーブ176が、トッププレート161の第2の表面163から延出している。枢動可能な頂部要素リム165は、一対の切欠き167a、bを有している。
【0039】
図には示されていないが、第2の分注口及び付随する第2の通路194は、流れ方向に垂直に、第1の分注口186及び付随する第1の通路184よりも大きな断面を有している。
【0040】
枢動可能な頂部要素の枢動軸を与える水平ヒンジ軸もやはり図に示されていない。各開位置で、枢動可能な頂部要素は水平ヒンジ軸を中心として枢動される。第1の開位置では、枢動は時計方向であり、第2の開位置では、枢動は反時計方向である。
【0041】
図10は、閉位置にある組み立てられたクロージャ130の第2の実施形態の断面図を示す。図は、トッププレート161の第2の表面163から延出する円筒プラグ172が、キャップ140の円筒チューブ150の内側表面152と封止係合するようなサイズにされていることを示す。やはりトッププレート161の第2の表面163から延出する円筒プラグ176は、キャップ140の円筒チューブ150の外側表面151と封止係合するようなサイズにされている。その結果、クロージャ130が閉位置にあるとき、容器内に配置された物質が流体分注ボトルから分注される経路はなくなる。
【0042】
図11は、クロージャ130が第1の開位置にあるときの第2の実施形態の組み立てられたクロージャ130の断面図を示す。この開位置では、枢動可能な頂部要素は、水平ヒンジ軸(図には示されていない)を中心に枢動されている。第1の開位置では、枢動は時計方向である。第2の開位置では、枢動は反時計方向となる。
【0043】
図11において、第1の通路184及び第1の分注口186に付随する円筒プラグ172は、円筒プラグ172が円筒チューブ150の内側表面152と封止係合しなくなるように変位されている。円筒スリーブ176は、円筒チューブ150の外側表面151と封止係合したままである。第1の環状空間182が形成されている。その結果、クロージャ130が第1の開位置にあるとき、第1の分注経路が与えられ、容器内に配置された物質は第1の通路184を通って、第1の分注口186を通じて流体分注ボトルから分注される。
【0044】
図に示されていないが、第2の実施形態の組み立てられたクロージャ130は、第2の開位置へと反時計方向に枢動させることで、第2の分注経路となる第2の環状空間を形成することができ、容器内に配置された物質は第2の通路194を通って、第2の分注口を通じて流体分注ボトルから分注される。
【0045】
本発明の組成物、形態、及び製造方法を例示する以下の具体的な実施例を参照することで本発明を更に深く理解できるであろう。当業者には組成物、形態、及び製造方法の多くの変例が自明であることが理解されるであろう。以下の実施例はあくまで例示的なものに過ぎず、部及び比率(%)は特に断らない限り重量に基づいている。
【実施例
【0046】
実施例1:流体分注ボトルの形成及び組み立て
本発明のクロージャに嵌合するようなサイズの開口部を有する容器を、ブロー成形によって形成した。容器は、高密度ポリエチレン(HDPE)で作製した。成形容器の容量は200mLとした。
【0047】
本発明の第1の実施形態の容器クロージャを射出成形によって作製した。キャップと枢動可能な頂部要素をポリプロピレン(PP)から別々に成形し、次いで手動で組み立てて容器クロージャを形成した。第1の分注口は、2mm×4mmの長方形の断面を有していた。第2の分注口は、2mm×6mmの長方形の断面を有していた。容器とクロージャとを手作業で組み立てて流体分注ボトルを形成した。
【0048】
〔実施の態様〕
(1) 内部に収容された流体を分注するための口を有する容器のクロージャであって、
a)付随する流体容器の前記口を密封するように配置及び構成されたベースプレートと一対の開口部とを含むキャップであって、各開口部は、前記ベースプレートから延出する円筒チューブによって画定され、かつ前記付随する容器と流体連通する、キャップと、
b)閉位置と2つの開位置との間で可動である枢動可能な頂部要素であって、
i)水平ヒンジ軸を中心として枢動運動を行うように前記キャップに装着され、
ii)トッププレートと前記キャップの前記円筒チューブと整列した一対の分注経路とを含む、枢動可能な頂部要素と、を備え、各分注経路が、前記キャップの付随する前記円筒チューブの内側表面と封止係合するようなサイズにされた、前記トッププレートから延出する円筒プラグと、前記キャップの付随する前記円筒チューブの外側表面と封止係合するようなサイズにされた、前記トッププレートから延出する円筒スリーブと、前記円筒プラグと前記円筒スリーブとの間の環状空間から分注口までの通路と、を含み、前記分注口が、前記円筒チューブ、ひいては前記付随する容器と流体連通し、第2の分注口及び付随する通路が、流れ方向に垂直に、第1の分注口及び付随する通路よりも大きな断面を有する、クロージャ。
(2) 前記第1の分注口及び前記第2の分注口が、ほぼ長方形の口を有する、実施態様1に記載のクロージャ。
(3) 流れ方向に垂直な前記第1の分注口の断面が、流れ方向に垂直な前記第2の分注口の断面の約40%~約75%の面積を有する、実施態様1に記載のクロージャ。
(4) 流れ方向に垂直な前記第1の分注口の断面が、流れ方向に垂直な前記第2の分注口の断面の約60%~約70%の面積を有する、実施態様3に記載のクロージャ。
(5) 内部に収容された流体を分注するための口を有する容器のクロージャであって、
a)外側表面と、内側表面と、付随する流体容器の前記口を封止するように配置及び構成されたベースプレートと、前記ベースプレートの上面から延出する円筒チューブによって画定され、かつ前記付随する容器と流体連通する、中央に配設された開口部と、を含むキャップと、
b)閉位置と2つの開位置との間で可動である枢動可能な頂部要素であって、
i)水平ヒンジ軸を中心として枢動運動を行うように前記キャップに装着され、
ii)以下の
A)トッププレートと、
B)枢動可能な頂部要素リムと、
C)前記キャップの前記円筒チューブの前記内側表面と封止係合するようなサイズにされた、前記トッププレートから延出する円筒プラグと、
D)前記キャップの付随する前記円筒チューブの前記外側表面と封止係合するようなサイズにされた、前記トッププレートから延出する円筒スリーブと、
E)前記円筒プラグと前記円筒スリーブとの間の環状空間から第1の分注口までの第1の通路と、
F)前記円筒プラグと前記円筒スリーブとの間の環状空間から第2の分注口までの第2の通路と、を含む、枢動可能な頂部要素と、を備え、
前記分注口が、前記円筒チューブ、ひいては前記付随する容器と流体連通し、前記第2の分注口及び付随する通路が、流れ方向に垂直に、前記第1の分注口及び付随する通路よりも大きな断面を有する、クロージャ。
【0049】
(6) 前記第1の分注口及び前記第2の分注口が、ほぼ長方形の口を有する、実施態様5に記載のクロージャ。
(7) 流れ方向に垂直な前記第1の分注口の断面が、流れ方向に垂直な前記第2の分注口の断面の約40%~約75%の面積を有する、実施態様5に記載のクロージャ。
(8) 流れ方向に垂直な前記第1の分注口の断面が、流れ方向に垂直な前記第2の分注口の断面の約60%~約70%の面積を有する、実施態様7に記載のクロージャ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11