(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】シャフト内で変位および固定するための取付フレーム
(51)【国際特許分類】
B66B 7/00 20060101AFI20250120BHJP
【FI】
B66B7/00 J
(21)【出願番号】P 2022527111
(86)(22)【出願日】2020-11-03
(86)【国際出願番号】 EP2020080814
(87)【国際公開番号】W WO2021094138
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-11-02
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390040729
【氏名又は名称】インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カンブルッツイ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ジーモンズ,オリバー
(72)【発明者】
【氏名】ツィマーリ,フィリップ
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-509955(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0208438(US,A1)
【文献】特開平05-105362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/00- 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト内で変位および固定するための取付フレームであって、
主フレーム(30)と、
支持構成要素(44)であって、取付フレーム(24)が変位方向(27)に変位されるときに、取付フレーム(24)を、支持面(54)を介してシャフト(16)の第1のシャフト壁(18)に対して支持するための支持面(54)を有する支持構成要素(44)と、
一次固定構成要素(46)であって、取付フレーム(24)がシャフト(16)内に固定されるときに、取付フレーム(24)を、固定面(74)を介して第1のシャフト壁(18)に対して支持するための固定面(74)を有する一次固定構成要素(46)と、
二次固定構成要素(56)であって、取付フレーム(24)がシャフト(16)内に固定されるときに、取付フレーム(24)を、接触部(64)を介してシャフト(16)の第2のシャフト壁(20)に対して支持するための接触部(64)を有し、第2の壁は固定方向(40)に第1のシャフト壁(18)と対向している、二次固定構成要素(56)と、
を備え、
支持構成要素(44)および一次固定構成要素(46)は、主フレーム(30)の第1の側面(45)に配置されており、
二次固定構成要素(56)は、主フレーム(30)の第2の側面(47)に配置されており、第2の側面は、固定方向(40)に第1の側面(45)の反対側にあり、
一次固定構成要素(46)は、主フレーム(30)に対して不動となるように主フレーム(30)上に配置され、
二次固定構成要素(56)の接触部(64)は、主フレーム(30)に対して固定方向(40)に移動可能であり、かつ、固定位置および変位位置をとることができるように主フレーム(30)上に配置され、接触部(64)は、変位位置よりも固定位置において主フレーム(30)から固定方向(40)に外側に離間されており、
支持構成要素(44)は、主フレーム(30)に対して固定方向(40)に少なくとも部分的に移動可能であり、かつ、固定位置および変位位置をとることができように主フレーム(30)上に配置され、固定位置において主フレーム(30)から固定方向(40)に一次固定構成要素(46)の固定面(74)よりも外側に離間される支持面(54)の部分はなく、支持面(54)は、変位位置において固定面(74)よりも主フレーム(30)から固定方向(40)に外側に離間されていること、
を特徴とする、取付フレーム。
【請求項2】
エネルギ貯蔵部(52)は、支持構成要素(44)を変位位置に向かって押すように設計および配置されることを特徴とする、請求項1に記載の取付フレーム。
【請求項3】
主フレーム(30)は多部品型であり、主フレーム(30)の2つの部分(36a,38a、36b、38b)は、固定方向(40)に互いに対して移動可能であるように設計されていること、を特徴とする、請求項1または2に記載の取付フレーム。
【請求項4】
キャリア手段(22)に取付装置(24)を懸架するための懸架装置(13)は主フレーム(30)上に配置され、懸架装置(13)は固定方向(40)に移動可能に設計されていること、を特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の取付フレーム。
【請求項5】
取付フレーム(24)は、変位方向(27)に互いに離間して配置された、2つの支持構成要素(44)と、2つの一次固定構成要素(46)とを有し、一次固定構成要素(46)は、支持構成要素(44)に対して変位方向(27)に外側に配置されていること、を特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の取付フレーム。
【請求項6】
安定化要素(6)は主フレーム(30)の第1の側面(45)に配置され、安定化要素によって、主フレーム(30)は、少なくとも支持構成要素(44)の固定位置において、第1のシャフト壁(18)に対して支持されることができること、を特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の取付フレーム。
【請求項7】
主フレーム(30)は変位方向(27)に延在する長手方向梁(42)を有し、安定化要素(6)は長手方向梁(42)上に配置されること、を特徴とする、請求項6に記載の取付フレーム。
【請求項8】
安定化要素(6)は、
エネルギ貯蔵部(8)によって主フレーム(30)から第1のシャフト壁(18)に向かって押しやられるローラ(7)と、
ローラ(7)を主フレーム(30)に対する位置に固定することができる制御可能な固定要素(9)と、
を有すること、を特徴とする、請求項6または7に記載の取付フレーム。
【請求項9】
二次固定構成要素(56)の接触部(64)は、変位方向(27)に細長い形状を有すること、を特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の取付フレーム。
【請求項10】
二次固定構成要素(56)の接触部(64)は、多部品型である、ことを特徴とする、請求項9に記載の取付フレーム。
【請求項11】
二次固定構成要素(56)は、接触部(64)を固定位置から変位位置に、およびその逆に移動させることができるアクチュエータ(60)を有し、
二次固定構成要素(56)は、二次固定構成要素(56)のアクチュエータ(60)とは独立して、固定方向(40)における接触部(64)と主フレーム(30)との間隔も変更可能であるように設計されていること、を特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の取付フレーム。
【請求項12】
シャフトの自動取付ステップを実行するための取付装置であって、
請求項1から11のいずれか一項に記載の取付フレーム(24)と、
メカトロニクス設備構成要素(28)と、
を備える、取付装置。
【請求項13】
シャフト内で自動取付ステップを実行するための取付システムであって、
請求項12に記載の取付装置(26)と、
取付装置(26)をシャフト(16)内で変位させるための変位構成要素(12)と、
を備える、取付システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の、シャフト内で変位および固定するための取付フレームに関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2017/016780号は、エレベータ設備のエレベータシャフト内で変位および固定するための、キャリア構成要素の形態のシャフト内で変位および固定するための取付フレームを記載している。取付フレームは、ラックの形態の主フレームを有する。支持ローラの形態の複数の支持構成要素は、主フレームの第1の側面に配置され、このローラを介して、取付フレームは、変位方向、したがって垂直方向の変位中に、エレベータシャフトの第1のシャフト壁に対して支持される。伸長可能なラムの形態の一次固定構成要素もまた、主フレームの第1の側面に配置され、このラムにより、固定中に取付フレームが第1のシャフト壁に対して支持される。固定方向、したがって水平方向において主フレームの第1の側面と対向する主フレームの第2の側面には、変位方向に細長い、不動である接触部を有する二次固定構成要素がある。取付フレームは、固定中に、接触部を介して、固定方向において第1のシャフト壁に対向する第2のシャフト壁に対して支持されることができる。
【0003】
取付フレームをシャフト内に固定するために、伸長可能なラムの形態の一次固定構成要素は伸長される、すなわち、第1のシャフト壁に向かって主フレームから離れるように変位される。ラムは、最初に、第1のシャフト壁と接触するまで、支持ローラの形態の支持構成要素を越えて伸長されなければならない。取付フレームをシャフト内で変位させるために、二次固定構成要素の接触部と第2のシャフト壁との間は離間されていなければならないため、ラムが最初にシャフト壁と接触した後、ラムは、二次固定構成要素を有する主フレームを第2のシャフト壁に向かって変位させるためにさらに延長されなければならない。二次固定構成要素の接触部が第2のシャフト壁にしっかりと押し付けられるとすぐに、取付フレームはシャフト内に取り付けまたは補強され、それにより固定される。
【0004】
取付フレームをシャフト内に固定するために説明した手順の結果、取付フレームが固定状態にあるとき、主フレームは第1のシャフト壁から比較的大きな間隔を有する。したがって、国際公開第2017/016780号に記載されているように、整備士による手動であろうと、メカトロニクス設備構成要素によるものであろうと、取付フレームの領域内で、特にシャフト内の設置ステップの形態で作業を行う必要がある場合、主フレームは、取付フレームが固定状態にあるときに、可能な作業領域を制限する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
対照的に、本発明の目的は、特に、固定状態において、シャフト内で作業を実行するための可能な限り最大の作業領域を可能にする、シャフト内で変位および固定するための取付フレームを提案することである。この問題は、本発明によれば、請求項1の特徴を有する取付フレームによって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
シャフト内で変位および固定するための、本発明による取付フレームは、主フレームと、取付フレームが変位方向に移動されるときに、取付フレームを、支持面を介してシャフトの第1のシャフト壁に対して支持するための支持面を有する支持構成要素と、を有する。取付フレームはまた、取付フレームがシャフト内に固定されるときに、取付フレームを、固定面を介して第1のシャフト壁に対して支持するための固定面を有する一次固定構成要素と、取付フレームがシャフト内に固定されるときに固定方向において第1のシャフト壁に対向する、シャフトの第2のシャフト壁に対して取付フレームを、接触部を介して支持するための接触部を有する二次固定構成要素とを有する。支持構成要素および一次固定構成要素は、主フレームの第1の側面に配置され、二次固定構成要素は、固定方向において第1の側面と対向する、主フレームの第2の側面に配置される。
【0008】
本発明によれば、一次固定構成要素は、主フレームに対して不動となるように主フレーム上に配置される。さらに、二次固定構成要素の接触部は、主フレームに対して固定方向に移動可能であり、固定位置および変位位置をとることができるように主フレーム上に配置され、接触部は、変位位置よりも固定位置において主フレームから固定方向に外側に、すなわち第2のシャフト壁に向かって離間されている。さらに、支持構成要素は、主フレームに対して固定方向に少なくとも部分的に移動可能であるように、また固定位置および変位位置をとることができように主フレーム上に配置される。固定位置において、一次固定構成要素の固定面よりも、主フレームから固定方向に外側に、すなわち第1のシャフト壁に向かって離間している支持面の部分はなく、支持面は、変位位置において、固定面よりも主フレームから固定方向に外側に、すなわち第1のシャフト壁に向かって離間している。
【0009】
言い換えると、取付フレームがシャフト内で変位方向に変位されると、固定方向に変位可能な支持構成要素は、少なくとも部分的に一次固定構成要素を超えて第1のシャフト壁に向かって突出し、その結果、取付フレームは、変位中に支持構成要素の支持面を介して第1のシャフト壁に対して支持されることができる。したがって、支持構成要素は、取付フレームの変位中に変位位置にある。二次固定構成要素の接触部を第2のシャフト壁に向かって延伸することによって取付フレームがシャフト内に固定されると、主フレームは第1のシャフト壁に向かって変位され、支持構成要素は主フレームに向かってそれまで後退し、その後に到達する支持構成要素の固定位置において、一次固定構成要素の固定面は第1のシャフト壁と接触することができ、したがって、取付フレームは、二次固定構成要素の接触部および一次固定構成要素を介して第1のシャフト壁と第2のシャフト壁との間に締結または固定される。これにより、取付フレームが固定状態にあるとき、主フレームの第1の側面は第1のシャフト壁から非常に小さい間隔にあり、したがって、取付フレームの領域内の作業領域を最小限に制限するだけである。したがって、本発明による取付フレームは、取付フレームの領域内のシャフト内の作業のための特に大きな作業空間を可能にする。
【0010】
取付フレームは、例えば産業用ロボットの形態のメカトロニクス設備構成要素を保持するために使用することができる。メカトロニクス設備構成要素を使用して、取付フレームが固定状態にあるときに、自動取付ステップがシャフト内で実行されることができる。メカトロニクス設備構成要素は、例えば、国際公開第2017/016780号の自動設置構成要素に従って設計されることができる。しかしながら、取付フレームはまた、例えば、設備プラットフォームを担持することができ、または整備士が、手で若しくはシャフト内の工具を用いて取付ステップを実行することができる、設備プラットフォームとして設計することもできる。
【0011】
シャフトは、ここでは、シャフト壁によって区切られた細長い空間として理解されるべきである。特に、シャフトは主に矩形の断面を有するが、他の断面も考えられる。特に、シャフトは、主に垂直方向に延在し、したがって、変位方向も主に垂直方向に延在し、固定方向は、したがって主に水平方向に延在する。シャフトは、特に建物に配置されるが、例えば、橋、柱内または船にも配置されることができる。シャフト壁は、特に補強材で強化されたコンクリートからなる。しかしながら、これらは、例えば、金属製であってもよい。シャフトは、特にエレベータ設備のエレベータシャフトとして使用され、エレベータ設備の動作中に、人および/または物体を輸送するためのかごが変位方向に変位される。シャフトは、他の目的にも役立つことができ、例えば、換気用シャフトとして、またはパイプ、電気ケーブルなどを収容するために使用することができる。
【0012】
取付フレームは、シャフト内で変位方向に変位することができ、したがって、様々なポイント、特にシャフト内の様々な高さに配置することができる。この目的のために、取付フレームは、特にウインチの形態の変位構成要素から、特にキャリア手段、例えばケーブル、チェーン、またはベルトの形態のキャリア手段を介して懸架される。キャリア手段は、ウインチによって巻き取り可能または巻き下ろし可能であり、したがって、取付フレームは、シャフト内で変位可能である。特に、キャリア手段は、第1のシャフト壁に向かって垂直に対して傾斜する角度を有する。したがって、取付フレームは変位中に支持構成要素を介して、第1のシャフト壁に対して実際に支持され、取付フレームがシャフト壁に衝突し、したがって取付フレームおよびシャフト壁を損傷させる可能性がある、シャフト内で自由に懸架されないことを保証することができる。特に、取付フレームは、変位中の取付フレームの第1のシャフト壁への傾斜を打ち消す補償要素を有する。補償要素は、特に国際公開第2018/162350号の補償要素に従って設計されている。
【0013】
主フレームは、例えば、単純なプラットフォーム、フレーム、足場、自動車などとして設計されることができる。これは、特に金属、例えば金属形態で作られる。
【0014】
支持構成要素は、特に、第1のシャフト壁に沿って変位方向に転動することができるローラを有する。次いで、シャフト壁上のローラの静止面が、支持構成要素の支持面を形成する。ローラはまた、第1のシャフト壁に垂直な旋回軸線を中心に旋回可能であるように設計することができ、その結果、第1のシャフト壁に沿って変位方向に対して横方向に転動することも可能である。支持構成要素はまた、例えば、摺動要素、例えばセラミック製の直方体を有することができる。この場合、摺動要素は、第1のシャフト壁に沿ってその支持面上を摺動することができる。特に、取付フレームは、複数の、具体的には4つの支持構成要素を有する。これらは、特に、縁部が変位方向、ならびに変位方向および固定方向に垂直な横方向に延在する、矩形の角部を形成するように配置される。
【0015】
支持構成要素は、固定方向において、主フレームに対して少なくとも部分的に移動可能であるように、主フレーム上に配置される。これは、それが主フレームに直接的または間接的に固定され、例えばねじ止めされ、支持構成要素の少なくともいくつかの部品が主フレームに対して移動可能であることを意味する。支持構成要素がローラを有する場合、ローラがシャフト壁上を転動するときに、その周りを回転することができる軸が特に設けられ、したがってローラは、主フレームに対して固定方向に移動可能であるように配置される。軸は、例えば、固定方向に移動できるように主フレームにしっかりと固定されたホルダに配置されることができる。支持構成要素が摺動要素を有する場合、前述の直方体は、例えば、固定方向に移動されることができるように主フレームにしっかりと固定されたホルダ上に配置されることができる。支持構成要素は、特に、取付フレームが固定状態にあるとき、すなわちその固定位置にあるときにも、支持面を介して第1のシャフト壁と接触するように設計および配置される。
【0016】
一次固定構成要素は、主フレームに対して不動となるように主フレーム上に配置される。これは、それが移動の可能性なしに主フレームに直接的または間接的に固定される、例えばねじ止めされることを意味する。「不動であるように配置された」とは、ここでは、主フレームに対して、例えあったとしても最小限にしか移動することができないことを意味すると理解されるべきである。一次固定構成要素の変形は、特に、主フレームに対する一次固定構成要素の移動ではない。次いで、一次固定構成要素は、少なくとも取付フレームが使用される、すなわち例えばシャフト内で変位または固定されるときに不動になるように、主フレーム上に配置される。取付フレームの搬送に備えて、主フレームに対する一次固定構成要素の位置を変更することが可能である。
【0017】
一次固定構成要素の固定面は、特にゴム緩衝材によって形成される。ゴム緩衝材は、例えば金属ホルダを介して主フレームにねじ止めされる。特に、取付フレームは、複数の、具体的には4つの一次固定構成要素を有する。特に、正確に1つの一次固定構成要素が各支持構成要素に割り当てられる。これらの固定構成要素は、特に変位構成要素と同様に配置され、その結果、それらは矩形の角部を形成し、その縁部は、変位方向ならびに変位方向および固定方向に垂直な横方向に延在する。
【0018】
二次固定構成要素は、例えば電気スピンドルドライブまたは油圧もしくは空気圧ピストンシリンダユニットの形態の、少なくとも1つの制御可能なアクチュエータを有し、それによって接触部は外側に、すなわち主フレームから離れて第2のシャフト壁に向かって変位されることができる。アクチュエータおよび二次固定装置の関連する部品は、不動となるように主フレームに固定され、例えばねじ止めされる。二次固定構成要素はまた、2つ以上の接触部を有することができる。取付フレームはまた、各々が少なくとも1つの接触部を有する2つ以上の二次固定構成要素を有することが可能である。アクチュエータは、特に変位構成要素または任意のメカトロニクス設備構成要素を制御するなどの、他のタスクを実行することもできる制御装置によって制御される。
【0019】
本発明の一実施形態では、取付フレームは、支持構成要素を変位位置に向かって押すように設計および配置されたエネルギ貯蔵部を有する。これは、エネルギ貯蔵部が支持構成要素に力を及ぼし、支持構成要素を可能な限り変位位置に至らせることを意味する。したがって、制御可能なアクチュエータが支持構成要素の位置を変更する必要はない。したがって、取付フレームは、特に簡単で安価な方法で設計される。エネルギ貯蔵部はまた、支持構成要素の一部として見ることもできる。
【0020】
前記エネルギ貯蔵部は、例えば、ばね、特に巻きばねとして設計される。前記ばねは、一方の側で主フレーム上に、および主フレームに対して移動可能な支持構成要素の一部、すなわち、例えば他方の側でローラの軸上に、少なくとも間接的に支持される。ばねは、それが支持構成要素を支持位置に押し込むように、すなわち、特に、ばねは、前記ローラが第1のシャフト壁に向かって一次固定構成要素を少なくとも部分的に越えて突出するように、前記ローラを主フレームから十分遠くに押すように付勢される。エネルギ貯蔵部は、エネルギ貯蔵部が、シャフト内の変位中に支持構成要素を変位位置に保持することができ、また、アクチュエータによって二次固定構成要素の接触部を延長し、したがって主フレームを第1のシャフト壁に向かって変位させることによって、エネルギ貯蔵部が変位位置から固定位置に移動されることができるように設計される。したがって、エネルギ貯蔵部は、シャフトの変位中に生じる支持力を打ち消すことができるが、二次固定構成要素のアクチュエータによって過電力になる可能性がある。
【0021】
しかしながら、エネルギ貯蔵部の代わりに、支持構成要素の位置を変更するために制御可能なアクチュエータを設けることも考えられる。
【0022】
本発明の一実施形態では、主フレームは多部品型であり、主フレームの2つの部品は、固定方向に互いに対して移動可能であるように設計される。したがって、主フレームの伸長部は固定方向に変更されることができ、したがってシャフトの寸法に適合されることができる。したがって、取付フレームは、異なる設計のシャフトにおいて使用されることができ、したがって特に可撓性である。
【0023】
2つの部品は、特に、第1の部品が第2の部品内に異なる程度まで押し込まれ、例えばボルトによって所望の位置に固定されることを可能にすることによって、互いに対して移動可能にされる。この目的のために、2つの部品は、例えば金属形態として設計され、第2の部品の内側輪郭は、第1の部品を収容することができるように第1の部品の外側輪郭に適合される。金属形態は、例えば、矩形または円形の断面を有することができる。主フレームの適合、すなわち主フレームの前述の部品の互いに対する移動は、特に手で、したがってアクチュエータなしで行われる。適合は、特に、取付フレームが最初にシャフト内で変位する前の準備段階において行われる。
【0024】
本発明の一実施形態では、取付装置をキャリア手段から懸架するための懸架装置が主フレーム上に配置される。懸架装置は、固定方向に移動可能に設計されている。このようにして、例えば異なる設計のシャフトに対する調整に起因して、取付フレームの異なる構成であっても、取付フレームの最適な懸架を常に達成することができる。特に、懸架装置は、取付フレームまたは取付装置の重心が、懸架装置の下に正確に配置されるように調整されることができる。
【0025】
懸架装置は、例えば、整備士によって手で、特にシャフトの外側で動かすことができる。例えば、これによって移動を実行することができる電気スピンドルドライブまたは油圧もしくは空気圧ピストンシリンダユニットの形態の制御可能なアクチュエータを、主フレーム上に配置することも可能である。次いで、傾斜センサを主フレーム上に配置することもでき、例えば、傾斜センサによって、水平に対する主フレームの傾斜を測定することができる。次いで、アクチュエータは、主フレームが水平に対して傾斜しないように、制御装置によって制御されることができる。
【0026】
懸架装置は、例えば、貫通開口部を有する金属製のタブまたはベイルとして設計されることができる。懸架装置は、例えば、固定方向に対して主フレーム上の異なるポイントに固定されることができ、したがって、固定方向に主フレームに対して移動可能に設計される。
【0027】
本発明の一実施形態では、取付フレームは、それぞれ変位方向に互いに離間して配置された、2つの支持構成要素および2つの一次固定構成要素を有する。一次固定構成要素は、支持構成要素に対して変位方向に外側に配置されている。これにより、取付フレームを固定するときに特に安定した支持が可能になる。既に上で説明したように、取付フレームは、特に4つの一次固定構成要素と、各一次固定構成要素のための関連する支持構成要素とを有する。特に、一次固定構成要素および支持構成要素は、それぞれが矩形の角部を形成するように配置され、矩形の角部の縁部は、変位方向、ならびに変位方向および固定方向に垂直な横方向に延在する。
【0028】
本発明の一実施形態では、安定化要素は主フレームの第1の側面に配置され、安定化要素によって、取付フレームは、少なくとも支持構成要素の固定位置において、第1のシャフト壁に対して支持されることができる。これは、有利には、主フレーム全体を非常に剛性にする必要なしに、力が加えられたときに主フレームがそれほど容易に変形しないことを確実にする。剛性の設計は、重量と複雑さの両方を増加させ、したがって主フレームの高価な製造を必要とする。
【0029】
2つ以上の安定化要素を主フレーム上に配置することも可能である。安定化要素は、例えば、第1のシャフト壁に対して支持されることができるローラまたはゴム要素を有することができる。
【0030】
本発明の一実施形態では、主フレームは、変位方向に延在する長手方向梁を有し、この梁上に安定化要素が配置される。変位方向に延在し、したがって固定方向に垂直な長手方向梁は、力が加えられたときに特に変形しやすい。したがって、安定化要素を長手方向梁上に設けることが特に効果的である。
【0031】
安定化要素は、特に、シャフト床に向けられた長手方向バーの端部に配置され、長手方向梁の変形に対して特に効果的に作用する。前記端部には、特に、梁が配置され、これは、シャフト内に突出し、取付フレームがシャフト内で使用されるときに、ねじまたはアンカーボルトなどの取付材料を有するマガジンを担持することができる。例えばメカトロニクス設備構成要素を用いて取付材料を取り上げるとき、力は、梁上の第1のシャフト壁に向かって、したがって長手方向バーに作用することができ、長手方向バーは、第1のシャフト壁に対して安定化要素を介して支持されることができる。
【0032】
本発明の一実施形態では、安定化要素は、ローラを有し、ローラは、エネルギ貯蔵部、特にばねの形態のエネルギ貯蔵部によって、主フレームから第1のシャフト壁に向かって押し出される。安定化要素はまた、ローラを主フレームに対する位置に固定することができる制御可能な固定要素を有する。これにより、安定化要素の、特に単純で費用効果の高い設計が可能になる。
【0033】
このようにして、前記ローラは、取付フレームが変位されている間に第1のシャフト壁上を転動することができる。取付フレームがシャフト内に固定されると、二次固定構成要素と支持構成要素との接触部がそれらの固定位置にされ、次いでローラがばねに押し付けられて主フレームに向かう。主フレームが固定されると、固定要素を有するローラは、主フレームに対して所定の位置に保持され、その結果、特に上述の長手方向梁の形態の主フレームは、第1のシャフト壁に向かって揺動することができない。
【0034】
固定要素は、例えば、圧縮空気が加えられたときに構成要素に保持力を及ぼす、いわゆる空気圧ブレーキとして設計される。さらに、他の固定要素、例えば電気的または油圧的に作動される固定要素も可能である。
【0035】
安定化要素は、これによって安定化要素の構成要素を、第1のシャフト壁に対して変位させることができる、例えば、電気スピンドルドライブまたは油圧もしくは空気圧ピストンシリンダユニットの形態のアクチュエータを有することも可能である。
【0036】
本発明の一実施形態では、二次固定構成要素の接触部は、変位方向に細長い形状を有する。これは、前記壁が開口部、例えばエレベータシャフトのドア開口部を有する場合でも、第2のシャフト壁に対する支持を可能にする。特に、変位方向において、接触部は、第2のシャフト壁の開口部の最大伸長部よりも大きい伸長部を有する。接触部は、特に主にバー状の基本形状を有する。
【0037】
接触部は、特に多部品型である。これは、接触部の少なくとも一部を容易に取り外して取り付けることができることを意味する。特に、上記の取り付けおよび取り外しにより、接触部の変位方向への伸長部が変化する。したがって、取付フレームを搬送するために上述の部品を取り外すことができ、その結果、取付フレームを容易に搬送することができる。さらに、接触部は、相応に取付部分を選択することによって、異なる設計のシャフト、特にドア開口部の異なる高さに適合させることができる。特に、接触部は、取付フレームがシャフトに導入された後にのみ組み立てることができるように設計される。これは、例えば、シャフトにアクセスし、したがってドア開口部を介して取付フレームにアクセスする整備士によって行うことができる。
【0038】
接触部は、特に3つの部分からなり、中間部品は二次固定構成要素の残りの部分にしっかりと接続されている。端部品は、中間部品の上部および底部で取り外しおよび再取り付けすることができる。中間部品を取り外すことも可能である。
【0039】
本発明の一実施形態では、二次固定構成要素は、接触部を固定位置から変位位置に、およびその逆に移動させることができる、既に上述したアクチュエータを有する。二次固定構成要素は、固定方向における接触部と主フレームとの間の間隔もまた、二次固定構成要素のアクチュエータとは無関係に変更されることができるように設計される。これにより、取付フレームが固定状態のときに、主フレームをシャフト内の固定方向の所望の位置に位置決めすることができる。これは、メカトロニクス設備構成要素が主フレーム上に配置されるのに特に有利である。したがって、メカトロニクス設備構成要素もまた、シャフトにおける固定方向の所望の位置に位置決めされることができる。したがって、特に、メカトロニクス設備構成要素は、与えられたすべての取付ステップを実行することができ、特に、これに必要なシャフト壁上の位置に到達することができるように、配置されることができる。取付フレームの固定状態では、主フレームは、例えば、メカトロニクス設備構成要素が、固定方向においてシャフトの中心に配置されるように、位置決めされるべきである。固定方向を横断する水平方向の位置合わせは、上述の準備段階中に取付フレームをシャフト内に適切に位置決めすることによって設定することができる。
【0040】
この目的のために、二次固定構成要素の接触部は、特に固定方向に互いに対して移動可能であるように設計された2つの部品を介して、前述のアクチュエータに接続される。互いに対して移動可能である上述の部品の設計は、上述の可動部分と同様の主フレームの可動部分によって達成することができる。
【0041】
説明した取付フレームは、シャフトの自動取付ステップを実行するための取付装置の一部として特に有利に使用されることができる。取付装置はまた、既に上述したように、メカトロニクス設備構成要素を有する。
【0042】
説明した取付装置は、シャフトの自動取付ステップを実行するための取付システムの一部として特に有利に使用されることができる。取付システムはまた、既に上述したように、取付装置をシャフト内で変位させるための変位構成要素を有する。
【0043】
本発明のさらなる利点、特徴、および詳細は、同一または機能的に同一の要素に同一の参照符号が付されている実施形態の以下の説明において、および図面を参照して見出すことができる。図面は単に概略的なものであり、縮尺通りではない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】支持構成要素が変位位置にあり、二次固定構成要素の接触部が変位位置にある取付フレームを有するシャフト内の取付システムの側面図である。
【
図2】
図1の取付システムの取付装置の上面図である。
【
図3】支持構成要素が固定位置にあり、二次固定構成要素の接触部が固定位置にある取付フレームを有する
図1の取付システムの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
まず、
図1および
図2について説明する。
図1によれば、自動取付ステップを実行するための取付システム10は、ウインチ12の形態の変位構成要素を有し、ウインチは、エレベータシャフト16の形態のシャフトのシャフト天井14に配置される。エレベータシャフト16は、合計4つのシャフト壁によって画定され、そのうちの第1のシャフト壁18と、固定方向40において前記第1のシャフト壁の反対側に位置する第2のシャフト壁20のみが
図1に示されている。
図2はまた、第3のシャフト壁19と、第3のシャフト壁19の反対側に位置する第4のシャフト壁21とを示す。
図2によれば、エレベータシャフト16は、主に矩形の断面を有し、主に垂直方向に延び、シャフト天井14によって上部が区切られている。シャフト天井14に対向するシャフト床は図示されていない。第2のシャフト壁20は、エレベータ設備がエレベータシャフト16に設置されるときにシャフトドアが挿入される、ドア開口部23の形態の開口部を有する。
【0046】
ウインチ12は、ケーブル22の形態のキャリア手段を介して、エレベータシャフト16において自動取付ステップを実行するための取付装置26の取付フレーム24に接続されている。この目的のために、取付フレーム24は、ベイルの形態の懸架装置13を介してケーブル22上に懸架される。ケーブル22は、ウインチ12によって巻き取りまたは巻き戻しすることができ、取付フレーム24、したがって、取付装置26は、エレベータシャフト16内で変位することができ、すなわち、引き上げおよび下げられることができる。したがって、取付フレーム24、したがって取付装置26は、エレベータシャフト16内で垂直に延在する変位方向27に変位することができる。産業用ロボット28の形態のメカトロニクス設備構成要素が取付フレーム24上に配置され、それによって構成要素の自動取付ステップをエレベータシャフト16内で実行することができる。産業用ロボット28は、例えば、国際公開第2017/016780号に記載されている産業用ロボットのように設計されており、例えば、そこに記載されている取付ステップを自動的に行うことができる。
【0047】
したがって、取付フレーム24および産業用ロボット28は、自動取付ステップを実行するための取付装置26を形成する。したがって、取付装置26、ケーブル22、およびウインチ12は、自動取付ステップを実行するための取付システム10を形成する。
【0048】
取付フレーム24は、多部品型の主フレーム30を有する。主フレーム30は、産業用ロボット28が下方に垂れ下がるように配置される主に直方体の中間部分32を有する。上述した懸架装置13は、中間部分32に配置され、したがってシャフト天井14に向かって上部の主フレーム30に配置される。懸架装置13は、固定方向(40)に対して中間部分32上の異なるポイントに固定されることができ、したがって、固定方向40に主フレーム30に対して移動可能に設計される。中間部分32は、制御装置および/または圧縮空気を供給するための圧縮機など、取付装置26または取付フレーム24の他の構成要素(図示せず)を収容することができる。中間部分32は、ハウジング(図示せず)によって外部から閉鎖されることができる。第2のシャフト壁20を向いた中間部分32の側面は、主フレーム30の第2の側面47を構成する。
【0049】
中間部分24は、変位方向27に互いに離間している、2つの水平に延在する横方向バー34aおよび34bに隣接している。横方向バー34a、34bは、2つの部分から構成され、中間部分32に向かって配置された第1の部分36a、36bは、第1のシャフト壁18に向かって配置された第2の部分38a、38bに押し込まれることができる。2つの部分36aおよび38aまたは36bおよび38bは、ボルト(図示せず)によって互いに対して固定されることができる。したがって、第1のシャフト壁18および第2のシャフト壁20に対して水平かつ垂直に延在する主フレーム30の固定方向40への伸長部を変更することができる。
【0050】
2つの横方向バー34a、34bは、第1のシャフト壁18に向かって変位方向27に延在する長手方向バー42に連結されている。長手方向バー42は、主フレーム30の第1の側面45を形成する。長手方向バー42の下端部には、2つの水平梁43があり、2つの水平梁43は、エレベータシャフト16内に突出し、取付装置26が動作しているときに、ねじまたはアンカーボルトなどの取付材料を有する1つ以上のマガジンを運ぶことができる
。したがって、主フレーム30は、中間部分32、2つの横方向バー34a、34b、長手方向バー42、および梁43から構成される。主フレーム30の上述の部分は、適切な方法、例えば、プラグ、ねじ、または溶接で互いに接続される。それらはそれぞれ、例えば、適切な金属形態で作られる。
【0051】
支持構成要素44および一次固定構成要素46からなる合計4対が、長手方向バー42上で第1のシャフト壁18に向かって配置される。支持構成要素44および一次固定構成要素46は、それぞれが矩形の角部を形成するように配置され、矩形の角部の縁部は、変位方向27、ならびに変位方向27および固定方向40に垂直な横方向に延在し、一次固定構成要素46は、支持構成要素44よりも変位方向27に外側に配置される。
【0052】
一次固定構成要素46は、長手方向バー42に対して不動であるように前記バー上に配置されたゴム緩衝材として設計されている。したがって、それらはまた、前記主フレームに対して不動であるように主フレーム30上に配置される。各支持要素44は、軸(図示せず)を中心に回転することができ、第1のシャフト壁18に沿って変位方向27に転動することができるローラ48を有する。ローラ48の前記軸は、固定方向40に移動可能であるようにホルダ50を介して長手方向バー42に締結される。この目的のために、ホルダ50は、対応するスロット(図示せず)を有することができる。螺旋ばね52の形態のエネルギ貯蔵部が、長手方向バー42とローラ48の軸との間に、ローラ48を第1のシャフト壁18に押し付けるように配置され、それにより、ローラ48と、したがって支持構成要素44とは、支持面54を介して第1のシャフト壁18に対して接触しているか、または支持されている。
【0053】
安定化要素6はまた、長手方向バー42の下端部に、第1のシャフト壁18に向かって配置されている。安定化要素6は、ばね8の形態のエネルギ貯蔵部を介して長手方向バー42によって第1のシャフト壁18に押し付けられるローラ7を有する。取付フレーム24がエレベータシャフト16内で変位すると、安定化要素6のローラ7は、第1のシャフト壁18に対して転動する。安定化要素6はまた、空気圧ブレーキ9の形態の固定要素を有し、空気圧ブレーキ9には圧縮空気が供給されることができ、したがって圧縮空気ライン(図示せず)を介して作動されることができる。作動状態では、空気圧ブレーキ9は、ローラ7を長手方向バー42に対して、したがって主フレーム30に対して固定する。エレベータシャフト16内で変位可能な
図1および
図2に示す取付装置24の状態では、空気圧ブレーキ9は作動していないため、ローラ7は、ばね8の力に抗して長手方向バー42に向かって変位することができる。
【0054】
主フレーム30の中間部分32には、第2のシャフト壁20に向かって二次固定構成要素56が配置されている。中間部分32には、固定方向40に延在する作動ボルト58が取り付けられており、動ボルト58は中間部分32から第2のシャフト壁20に向かって突出している。作動ボルト58は、電気スピンドルドライブ60の形態の2つのアクチュエータによって固定方向40に変位されることができ、すなわち中間部分32から伸長され、かつ中間部分32に引き込まれることができる。作動ボルト58は、やはり固定方向40に延びる中間部品62を介して、変位方向27に細長い接触要素64に接続されている。作動ボルト58は、中間部品62に挿入され、ボルト(図示せず)によって中間部品62に対して様々な位置に固定されることができる。このようにして、接触部64と中間部分32、したがって主フレーム30との間の固定方向40における間隔も、二次固定構成要素56のスピンドルドライブ60とは無関係に変更することができる。
【0055】
接触部64は、特に多部品型である。中間部品66は、中間部品62にしっかりと接続されている。中間部品66は、容易に取り付けおよび取り外しが可能な端部品68に、上部および底部で変位方向27に隣接している。
【0056】
図1および
図2では、4つの支持構成要素44が変位位置にある。ローラ48は、一次固定構成要素46よりも第1のシャフト壁18に向かって突出している。したがって、ローラ48上の支持面54は、一次固定構成要素46全体よりも主フレーム30から固定方向40の外側、すなわち第1のシャフト壁18に向かって配置される。さらに、二次固定構成要素56の接触部64は変位位置にある。そのため、接触部64は、第2のシャフト壁20にしておらず、むしろ、固定方向40において第2のシャフト壁20から離間している。
【0057】
取付フレーム24、したがって取付装置26のこの状態では、前記フレームは、ウインチ12およびケーブル22によってエレベータシャフト16内で変位方向27に変位することができ、したがって異なる高さに位置決めされることができる。取付フレーム24は、ローラ48の支持面54を介して第1のシャフト壁18に支持されている。ローラ48は、第1のシャフト壁18上を転動する。
【0058】
取付フレーム24、したがって取付装置26をエレベータシャフト16内に固定するために、二次固定構成要素56の接触部64は、2つのスピンドルドライブ60によって第2のシャフト壁20に向かって外側に、すなわち主フレーム30から離れるように変位される。接触部64が第2のシャフト壁20に達していない限り、支持要素44は、
図1および
図2に示す変位位置に留まる。接触部64が第2のシャフト壁20に接触し、作動ボルト58が中間部分32からさらに延長されると、主フレーム30の全体が、その上に不動であるように配置されたすべての部分と共に、第1のシャフト壁18に向かって変位する。次いで、支持要素44の巻きばね52は、一次固定構成要素46が固定面74を介して第1のシャフト壁18に当接するまで圧縮される(
図3参照)。したがって、取付フレーム24は、第1のシャフト壁18と第2のシャフト壁20との間に取り付けまたは補強され、したがって固定される。
【0059】
取付フレーム24が上述のように固定されると、安定化要素6のローラ7もまた、ばね8の力に抗して長手方向バー42に向かって、したがって主フレーム30に向かって変位する。
【0060】
図3では、取付フレーム24が固定状態で示されている。二次固定構成要素56の接触部64は、ここではその固定位置にあり、その固定位置では第2のシャフト壁20と接触しており、したがって変位位置よりも主フレーム30から第2のシャフト壁20に向かってさらに外側に離間されている。さらに、支持構成要素44はその固定位置にあり、一次固定構成要素46の固定面74よりも主フレーム30から固定方向40の外側に、すなわち第1のシャフト壁18に向かって離間されている支持面54の部分はない。この状態では、ローラ48も第1のシャフト壁18に接触しているため、支持面54および固定面74は、主フレーム30から固定方向40の外側に同じ量だけ離間されている。
【0061】
取付フレーム24が固定状態にあるとき、安定化要素6の空気圧ブレーキ9もまた圧縮空気を加えることによって作動される。したがって、ローラ7は、長手方向バー42に対して、したがって主フレーム30に対して固定され、それにより、もはや長手方向バー42に向かってそれ以上変位することはできない。したがって、第1のシャフト壁18に向かって長手方向バー42に作用する力は、安定化要素6のローラ7を介して第1のシャフト壁18に対して支持されることができる。安定化要素6の空気圧ブレーキ9は、取付フレーム24が実際にエレベータシャフト16への取り付け作業に使用されるときにのみ作動することも可能である。
【0062】
最後に、「有する(having)」、「備える(comprising)」などの用語は、他の要素またはステップを排除するものではなく、「a」または「an」などの用語は、複数を排除するものではないことに留意されたい。さらに、上記の実施形態の1つを参照して説明した特徴またはステップは、上記の他の実施形態の他の特徴またはステップと組み合わせて使用することもできることに留意されたい。特許請求の範囲における参照符号は、限定的であると見なされるべきではない。