(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】干渉環境における超音波センサシステムによる測定
(51)【国際特許分類】
G01S 15/931 20200101AFI20250120BHJP
G01S 7/524 20060101ALN20250120BHJP
【FI】
G01S15/931
G01S7/524 R
(21)【出願番号】P 2022533495
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(86)【国際出願番号】 EP2020084205
(87)【国際公開番号】W WO2021110715
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-08-03
(31)【優先権主張番号】102019133426.8
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508108903
【氏名又は名称】ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】ラフィ、カレイシヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、フランソワ、バリアント
(72)【発明者】
【氏名】アント、ジョイズ、イエスアディマイ、ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】モハメド、エラミール、モハメド
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル、クンツ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、イリング
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/057864(WO,A1)
【文献】特開2009-250672(JP,A)
【文献】西独国特許出願公開第03806847(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/52 - 7/64
15/00 - 15/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の干渉環境、例えば磁場または電場、における超音波センサシステムによる測定方法であって、以下の方法ステップ、すなわち、
前記超音波センサシステムによって、第1の周波数範囲を有する超音波および前記第1の周波数範囲とは異なる第2の周波数範囲を有する超音波を放射するステップ(100)と、
前記超音波センサシステムによって、前記超音波によって生成されたエコーを受信するステップ(200)と、
前記超音波センサシステムによって、前記エコーに対応する信号を制御システムに出力するステップ(300)と、
検出システムによって、前記信号内のノイズを検出するステップ(400)と、
前記制御システムによって、前記信号内の前記検出されたノイズに基づいて前記第1の周波数範囲内または前記第2の周波数範囲内に干渉があるかどうかを判定するステップ(500)と、
前記第1の周波数範囲または前記第2の周波数範囲のいずれかで前記干渉が判定された場合、前記超音波センサシステムによって、干渉がないと判定された前記第1または前記第2の周波数範囲のいずれかで超音波を放射するステップ(600)と、
前記第1の周波数範囲内及び前記第2の周波数範囲内のいずれにおいても干渉がないと判定された場合、前記超音波センサシステムによって、前記第1および前記第2の周波数範囲で超音波を放射するステップ(800)と、を含む、方法。
【請求項2】
前記制御システムによって前記第1の周波数範囲内または前記第2の周波数範囲内に干渉があるかどうかを判定する前記ステップ(500)は、前記超音波センサシステムの集積回路IC内のノイズ定量化を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御システムによって前記第1の周波数範囲内または前記第2の周波数範囲内に干渉があるかどうかを判定する前記ステップ(500)は、前記超音波センサシステムの受信機利得における低下の検出を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記制御システムによって前記第1の周波数範囲内または前記第2の周波数範囲内に干渉があるかどうかを判定する前記ステップ(500)は、ノイズパターンの認識に基づいて実行される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
干渉環境における測定のための車両用超音波センサシステムであって、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法を実行するように設計された、超音波センサシステム。
【請求項6】
車両の干渉環境における超音波センサシステムによる測定装置であって、前記装置は、
少なくとも1つの周波数範囲を有する超音波を放射し、前記超音波によって生成されたエコーを受信し、前記エコーに対応する信号を制御システムに出力するように構成された超音波センサシステムと、
前記信号内のノイズを検出するように構成された検出システムと、
前記信号内の前記ノイズに基づいて前記第1の周波数範囲内または前記第2の周波数範囲内に干渉があるかどうかを判定するように構成された前記制御システムとを備え、
前記超音波センサシステムは、前記干渉が判定された場合、干渉がないと判定された少なくとも1つの周波数範囲を有する超音波を放射するように設計され、または、
前記装置は、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法ステップのうちの1つに対応する手段を備える、装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置を有するか、または、請求項5に記載の超音波センサシステムを有する、車両。
【請求項8】
コンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムがコンピュータによって実行されると、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法を前記コンピュータに実行させるコマンドを含む、コンピュータプログラム。
【請求項9】
コンピュータによって実行されると、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法を前記コンピュータに実行させるコマンドを含むコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の干渉環境における超音波センサシステムによる測定方法に関する。
【0002】
本発明はまた、車両の干渉環境における超音波センサシステムによる測定装置に関する。
【0003】
さらに、本発明は、当該装置を有する車両に関する。
【0004】
本発明はさらに、コンピュータプログラムがコンピュータによって実行されると、本方法のステップをコンピュータに実行させるコマンドを含むコンピュータプログラムに関する。
【0005】
本発明はさらに、コンピュータプログラムを送信するデータキャリア信号に関する。
【0006】
本発明はさらに、コンピュータによって実行されると、本方法のステップをコンピュータに実行させるコマンドを含むコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0007】
自動運転が発達し、車に搭載されるセンサの数が多いほど、センサ間のクロストークの可能性が高くなる。特に、キロヘルツ範囲のキーレスエントリなどの短距離通信用の車両アンテナは、それらが互いに近接している場合、超音波駐車支援センサと干渉する可能性がある。さらに、世界中の車両規格は、イミュニティ試験に関してますます厳しくなっている。外部磁気ノイズは、例えば、誘導充電中の駐車車両の隣に駐車するときに、信号機またはゲートで発生する。
【0008】
例えば電場または磁場の影響下での干渉環境における測定のためにシールドプレートを有する超音波センサを使用することが既知の慣行である。プレートは、電気的干渉には良好に作用するが、キロヘルツ単位、例えば40~60kHzの超音波周波数には良好に作用しない。磁気シールドは、磁化可能な材料から作られなければならず、これは通常、著しく高価である。
【発明の概要】
【0009】
したがって、上述の従来技術から進めて、本発明は、改良された方法、改良された装置、改良された車両、改良されたコンピュータプログラム、改良されたデータキャリア信号、および改良されたコンピュータ可読媒体を特定する目的に基づく。
【0010】
特に、キロヘルツ単位の周波数範囲での信頼性の高い検出を大幅に、そして同時にコスト効率よく改善する。
【0011】
この目的は、本発明によれば、独立請求項の特徴によって達成される。本発明の有利な構成は、従属請求項に記載されている。
【0012】
したがって、本発明によれば、干渉環境における超音波センサシステムによる測定方法が規定される。この方法は、車両を対象としている。本方法は、以下の方法ステップ、すなわち、超音波センサシステムによって、少なくとも1つの周波数範囲を有する超音波を放射するステップと、前記超音波センサシステムによって、前記超音波によって生成されたエコーを受信するステップと、前記超音波センサシステムによって、前記エコーに対応する信号を制御システムに出力するステップと、検出システムによって、前記信号内のノイズを検出するステップと、前記制御システムによって、前記信号内の前記ノイズに基づいて前記少なくとも1つの周波数範囲内に干渉があるかどうかを判定するステップと、前記干渉が判定された場合、前記超音波センサシステムによって、干渉がないと判定された少なくとも1つの周波数範囲を有する超音波を放射するステップとを含む。
【0013】
好ましくは、本発明による方法の最後のステップは、車両内で実行される。
【0014】
方法ステップの順序は、技術的に有用であれば、所望に応じて変更することができる。上述の方法ステップの順序が好ましい、すなわち、超音波センサシステムによって、少なくとも1つの周波数範囲を有する超音波を放射するステップの後、超音波によって生成されたエコーが超音波センサシステムによって受信される。
【0015】
エコーを受信するステップの後、エコーに対応する信号が超音波センサシステムによって制御システムに出力される。
【0016】
信号を出力するステップの後、信号内のノイズが検出システムによって検出される。
【0017】
信号内のノイズを検出するステップの後、制御システムは、信号内のノイズに基づいて少なくとも1つの周波数範囲内に干渉があるかどうかを判定するために使用される。
【0018】
干渉があるかどうかを判定するステップの後、干渉が判定された場合、干渉がないと判定された少なくとも1つの周波数範囲を有する超音波が超音波センサシステムによって放射される。
【0019】
干渉は、超音波センサシステムの集積回路、または超音波センサシステムと相互作用する構成要素内のノイズであり得る。ノイズは、例えば、測定信号をカバーする。代替的または追加的に、ノイズはまた、干渉環境、例えば磁場の影響下にある1つの(複数の)センサによって直接引き起こされている可能性もある。測定可能であるが、周波数範囲におけるセンサの測定能力に影響を及ぼさない干渉も存在し得る。
【0020】
本発明によれば、干渉環境における超音波センサシステムによる測定装置も規定される。この装置は、車両に適している。装置は、少なくとも1つの周波数範囲を有する超音波を放射し、前記超音波によって生成されたエコーを受信し、前記エコーに対応する信号を制御システムに出力するように構成された超音波センサシステムと、前記信号内のノイズを検出するように構成された検出システムと、前記信号内の前記ノイズに基づいて前記少なくとも1つの周波数範囲内に干渉があるかどうかを判定するように構成された前記制御システムとを備え、前記超音波センサシステムは、前記干渉が判定された場合、干渉がないと判定された少なくとも1つの周波数範囲を有する超音波を放射するように設計される。
【0021】
装置は、好ましくは、有利な実施形態のうちの1つによる以下に記載される方法ステップのうちの1つに対応する手段を有する。
【0022】
さらに、本発明によれば、当該装置を有する車両が規定される。車両は、好ましくは運転者の自車両である。
【0023】
さらに、本発明によれば、コンピュータプログラムがコンピュータによって実行されると、本方法のステップをコンピュータに実行させるコマンドを含むコンピュータプログラムが規定される。コンピュータプログラムは、特定のクラスの問題を解決するように設計された特定のタスクを実行するための命令の集合である。プログラムの命令は、コンピュータによって実行されるように設計されており、コンピュータが機能するためには、コンピュータがプログラムを実行できることが必要である。
【0024】
さらに、本発明によれば、コンピュータプログラムを送信するデータキャリア信号が規定される。
【0025】
さらに、本発明によれば、コンピュータによって実行されると、本方法のステップをコンピュータに実行させるコマンドを含むコンピュータ可読媒体が規定される。
【0026】
したがって、本発明の基本概念は、少なくとも2つの異なる周波数で超音波信号を送信することができる超音波センサが使用されることである。2つの異なる周波数で送受信することができる超音波センサのこの能力は、現在、低周波磁場に対するロバスト性を改善するために使用されている。
【0027】
まず、超音波センサ周波数の範囲に干渉があることを検出する必要がある。この場合、超音波センサは他の周波数に切り替えられる。驚くべきことに、磁場との適合性のために、2つの周波数(チャネル)が同時に干渉を受けることはなかったことが分かった。これにより、周波数(送信チャネル)を切り替えることにより、超音波センサの故障を防止することができる。
【0028】
本発明の文脈において、周波数/周波数範囲および周波数チャネル/チャネルは同じ意味で使用される。
【0029】
本発明は、超音波測定が、特に安価に、特に磁場または電場が支配的な干渉環境においてさらなる保護手段なしに、例えば測定値がこれらの影響を受けることなく、実行され得るという利点を有する。磁場は、非常に強くてもよく、例えば、最大10A/mの強度を有してもよい。このような強い磁場であっても、驚くべきことに、本発明は常に少なくとも1つの(周波数)チャネル上に検出可能な測定範囲を提供し、キロヘルツ範囲の超音波による測定が常に可能であることが分かった。したがって、例えば超音波に基づくキーレスセンサおよびパーキングセンサなどの複数のセンサのコンパクトな設置が、両方のセンサの機能を維持しながら、有利に可能である。この解決策は、特に安価で堅牢でコンパクトな方法で実施可能である。また、車体への設置時に生じる重量も少ない。
【0030】
本発明の有利な実施形態によれば、方法は、超音波センサシステムによって、第1の周波数範囲を有する超音波および第2の周波数範囲を有する超音波を放射する方法ステップを含むようになっている。これは、有利には、2つの周波数範囲のうちのどれが外部の影響による影響を受けにくいかをチェックするための開始点を直接作り出す。
【0031】
本発明の有利な実施形態によれば、本方法は、制御システムによって、信号内の検出されたノイズに基づいて第1の周波数範囲内または第2の周波数範囲内に干渉があるかどうかを判定する方法ステップと、第1の周波数範囲または第2の周波数範囲のいずれかで干渉が判定された場合、超音波センサシステムによって、干渉がないと判定された第1の周波数範囲または第2の周波数範囲のいずれかで超音波を放射する方法ステップとを含むようになっている。したがって、有利には、2つの周波数範囲のうちのどれが外部の影響によってほとんどまたは全く影響されないかをチェックすることが可能である。特に、両方のチャネルに干渉がある場合、干渉の影響を受けない周波数範囲が選択される。
【0032】
本発明の有利な実施形態によれば、本方法は、第1の周波数範囲内及び第2の周波数範囲内のいずれにおいても干渉がないと判定された場合、超音波センサシステムによって、第1の周波数範囲または第2の周波数範囲のいずれかで超音波を放射する方法ステップ、または超音波センサシステムによって、第1および第2の周波数範囲で超音波を放射する方法ステップを含むようになっている。超音波センサシステムの2チャネル動作が特に好ましい。この場合、干渉が発生しているかどうかについて両方のチャネルを監視することも可能である。超音波センサシステムが一方のチャネルに切り替えられる場合、他方のチャネルは、干渉をもはや受けていないかどうかを判定するために定期的にチェックされることが好ましい。
【0033】
本発明の有利な実施形態によれば、制御システムによって少なくとも1つの周波数範囲内に干渉があるかどうかを判定するステップは、超音波センサシステムの集積回路IC内のノイズ定量化を含むようになっている。例として、このようなノイズ定量化は、連続波ノイズビット(CWNビット)および広帯域ノイズビットを使用して行うことができる。これにより、干渉の有無を簡単にチェックできるという利点がある。
【0034】
本発明の有利な実施形態によれば、制御システムによって少なくとも1つの周波数範囲内に干渉があるかどうかを判定するステップは、超音波センサシステムの受信機利得における低下の検出を含むようになっている。このような低下は、クランプとも呼ばれる。
【0035】
本発明の有利な実施形態によれば、制御システムによって少なくとも1つの周波数範囲内に干渉があるかどうかを判定するステップは、ノイズパターンの認識に基づいて実行されるようになっている。特に、例えば、干渉があるかどうかを検出するために以前に訓練されたパターンを使用することが可能である。その結果、干渉のより簡単な検出も改善される。
【0036】
本発明は、添付の図面を参照して、好ましい実施形態に基づいて以下により詳細に説明される。示される特徴はそれぞれ、個別におよび組み合わせて本発明の態様を表すことができる。異なる例示的な実施形態の特徴は、1つの例示的な実施形態から別の例示的な実施形態に移されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本方法の例示的な実施形態のフローチャートである。
【
図2】本発明による装置が故障に応じて動作し得る可能なモードの関係図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、本方法の例示的な実施形態のフローチャートを示す。
【0039】
「100」と番号付けされた方法ステップによれば、少なくとも1つの周波数範囲を有する超音波が超音波センサシステムによって放射される。
【0040】
「200」と番号付けされた方法ステップによれば、超音波によって生成されたエコーが、超音波センサシステムによって受信される。
【0041】
「300」と番号付けされた方法ステップによれば、エコーに対応する信号が超音波センサシステムによって制御システムに出力される。
【0042】
「400」と番号付けされた方法ステップによれば、信号内のノイズが、検出システムによって検出される。
【0043】
「500」と番号付けされた方法ステップによれば、制御システムは、信号内のノイズに基づいて少なくとも1つの周波数範囲内に干渉があるかどうかを判定するために使用される。これの直後に、複数の選択肢の間の決定が続く。
【0044】
1つの可能な選択肢は、「600」と番号付けされたステップである。これは、干渉がある場合に(選択肢「Y」に従って)選択される。「600」と番号付けされた方法ステップによれば、干渉が判定された場合、干渉がないと判定された少なくとも1つの周波数範囲を有する超音波が超音波センサシステムによって放射される。
【0045】
1つの可能な選択肢は、「700」と番号付けされたステップである。これは、干渉がないと判定された場合に(選択肢「N」に従って)選択される。「700」と番号付けされた方法ステップによれば、第1の周波数範囲及び第2の周波数範囲のいずれにおいても干渉がないと判定された場合、第1または第2の周波数範囲のいずれかの超音波が超音波センサシステムによって放射される。
【0046】
あるいは、「800」と番号付けされた方法ステップによれば、第1の周波数範囲内及び第2の周波数範囲内のいずれにおいても干渉がないと判定された場合、第1および第2の周波数範囲の超音波が超音波センサシステムによって放射される。
【0047】
図2は、本発明による装置が故障に応じて動作し得る可能なモードの関係図を示す。ここで、装置は、デュアルチャープ動作モードを有する超音波センサシステムを備える。これは、システムが2つの異なるチャネルに従って超音波範囲内の2つの異なる周波数範囲で動作することを意味する。
【0048】
装置は、より高い励起周波数およびより低い励起周波数を有する2つの交互のチャネルで動作する単一のセンサに基づいており、狭帯域連続波(CW)磁気ノイズの存在下で単一のチャネルを使用してセンサの干渉のない動作、いわゆる「チャネルスイッチング」を保証する。
【0049】
「チャネルスイッチング」のトリガ条件は、以下の基準/措置のうちの少なくとも1つに基づいて装置内で定義される。
-連続波ノイズビット(CWNビット)および広帯域ノイズビットを使用する超音波センサシステムの集積回路ICにおけるノイズ定量化、
-超音波センサシステムの受信機利得の低下の検出、または
-ノイズパターンの認識。
【0050】
干渉環境の強度、例えば印加される外部磁気ノイズに応じて、3つの異なる機能状態が存在する。
-完全な機能を有するノイズモード(
図2の文字A*またはAのボックスを参照):両方のチャネルがOK(A*)であるか、または一方のチャネルの電力が低下している(A)、
-機能が制限された劣化ノイズモード(
図2の文字Bのボックスを参照):一方のチャネルは完全に動作不能であるが、他方のチャネルは完全な機能を有する、または
-動作なしのブラインドモード(
図2の文字Cのボックスを参照):両方のチャネルが干渉を受ける。
【0051】
通常モードは、例えばノイズの形態の干渉がないと判定されるモードに対応する。この場合、超音波センサシステムは通常通りに動作する。
図2において、通常モードを「A*」と表記する。
【0052】
符号「14」を付した矢印に従って、通常モードA*からモードAに切り替えることができる。これは、広帯域ノイズ(WBN)または連続波ノイズ(CWN)が周囲ノイズ、すなわち超音波センサシステムの実際の検出プロセスによって生成される信号ノイズよりも大きい場合に起こり得る。
【0053】
広帯域ノイズがなく、連続波ノイズが周囲ノイズよりも大幅に小さい場合、モードAから通常モードA*に切り替えることが可能である。これは、符号「12」を付した矢印に対応する。
【0054】
2つの利用可能な周波数チャネルの一方のみが空いており、他方のチャネルが完全にクランプ(以下の説明を参照)されている場合、モードAからモードBに切り替えることが可能である。このような切り替えは、符号「16」を付した矢印によって表される。両方のチャネルが利用可能であると判定された場合、モードBからモードAに変更することも可能である。これは、符号「18」を付した矢印によって表される。
【0055】
2つの利用可能な周波数チャネルのいずれも空いていなければ、モードBからモードCに切り替えることが可能である。このような切り替えは、符号「20」を付した矢印によって表される。両方のチャネルが利用可能であると判定された場合、モードCからモードBに変更することも可能である。これは、符号「22」を付した矢印によって表される。
【0056】
広帯域ノイズを示すためのビットは、略して「WBNビット」と呼ばれ、ノイズレベルが、集積回路(IC)のアナログ入力仕様によって規定される動作周波数外(帯域外)の特定の閾値を上回る場合に設定される。これは、ICのアナログ入力が飽和しており、適切な信号処理が不可能であることを意味する。言い換えれば、エコーが失われ、障害物が検出されない可能性がある。
【0057】
これを回避するために、ノイズの多い状態がセンサによって制御ユニットに報告され、WBNビットが消滅するまでノイズ監視中にシステム感度(利得)が低減される。この感度の低下、いわゆる「クランプ」は、動的利得を制限し、検出範囲を減少させる。これは、
図2の参照番号「10」を使用して表される。チャネルの最大許容クランプを超える場合、システムはノイズ低減モードに変化する。そうでなければ、システムは、センサの干渉を受けたチャネル上での3回目の測定ごとに周期的なクランプを用いて(A*に従って)ノイズモードのままである。
【0058】
連続波ノイズ(CWN)は、送信段階の前に動作周波数(帯域内ノイズ)付近のノイズ監視ウィンドウ中に測定され(例えば、4ビットの場合、0から14までの値が使用される)、これらは、各チャネルの相関後の信号にオーバーレイされた狭帯域CWノイズを定量化するために使用される。CWNは、送信前のノイズ監視ウィンドウ中に測定され、各個々のセンサの測定値は、高チャネルおよび低チャネルについて別々に評価される。
【0059】
ノイズ検出の別の基準は、信号内の既知の物体形状をノイズと区別するために生データの統計的分析に基づく。したがって、増加したノイズ信号を包絡線内で検出することができ、前記信号は、モードAに変化(
図2の符号「14」を付した矢印)する前に追加の基準としてチェックする必要がある。
【符号の説明】
【0060】
10 クランプ
12 モードAからモードA*への切り替え
14 モードA*からモードAへの切り替え
16 モードAからモードBへの切り替え
18 モードBからモードAへの切り替え
20 モードBからモードCへの切り替え
22 モードCからモードBへの切り替え
100 超音波センサシステムが、少なくとも1つの周波数範囲を有する超音波を放射する
200 超音波センサシステムが、超音波によって生成されたエコーを受信する
300 超音波センサシステムが、エコーに対応する信号を制御システムに出力する
400 検出システムが、信号内のノイズを検出する
500 制御システムは、信号内のノイズに基づいて少なくとも1つの周波数範囲内に干渉があるかどうかを判定する
600 干渉が判定された場合、超音波センサシステムは、干渉がないと判定された少なくとも1つの周波数範囲を有する超音波を放射する
700 第1の周波数範囲内及び第2の周波数範囲内のいずれにおいても干渉がないと判定された場合、超音波センサシステムは、第1または第2の周波数範囲のいずれかの超音波を放射する
800 第1の周波数範囲内及び第2の周波数範囲内のいずれにおいても干渉がないと判定された場合、超音波センサシステムは、第1および第2の周波数範囲で超音波を放射する
A 干渉にもかかわらず完全な機能を有するノイズモード
A* 干渉なしで完全な機能を有する通常モード
B 劣化ノイズモード(=1チャネルのノイズモード)
C ブラインドモード(両方のチャネルが干渉を受ける)
Y 干渉の場合の選択肢
N 判定された干渉がない場合の選択肢