(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】リトラクタ部材、並びに関連するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/02 20060101AFI20250120BHJP
【FI】
A61B17/02
(21)【出願番号】P 2022537554
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 EP2020086658
(87)【国際公開番号】W WO2021122904
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-12-06
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514046806
【氏名又は名称】メドス・インターナショナル・エスエイアールエル
【氏名又は名称原語表記】Medos International SARL
【住所又は居所原語表記】Chemin-Blanc 38, CH-2400 Le Locle, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ブールマン・エリック
(72)【発明者】
【氏名】チャン・クララ
(72)【発明者】
【氏名】ガマシュ・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ロメリ・ロマン
(72)【発明者】
【氏名】マグワイア・ポール・エス
(72)【発明者】
【氏名】パイバ・ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】リヒター・イェルン
(72)【発明者】
【氏名】トーメン・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】フェルミケ・ジョン・シー
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0016223(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0183476(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0008253(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/02
A61B 17/34
A61B 17/56
A61B 17/70
A61B 17/80
A61B 90/57
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセス部材のチャネルを通して挿入され、かつ前記チャネルを通してアクセス可能な治療部位において軟組織を移動させるように構成されているリトラクタ部材であって、
長手方向に沿って互いから離間された近位端及び遠位端を有する、本体であって、前記遠位端が、リトラクタブレードを画定し、前記本体が、前記長手方向に実質的に垂直な横断方向に沿って互いに反対の第1の表面及び第2の表面を画定する、本体と、
前記本体を前記アクセス部材の一部分に選択的に取り付けるように構成された取り付けデバイスであって、そのため、前記本体が、
前記チャネルを通って延在可能であり、前記本体が前記アクセス部材の前記一部分に取り付けられている間に、前記長手方向に沿って前記アクセス部材に対して並進可能である、取り付けデバイスと、を備
え、
前記取り付けデバイスが、前記本体とは別個の取り付け部材を備え、前記取り付け部材が、
前記取り付け部材が前記本体に沿って、かつ前記チャネル内を並進することを可能にするように、前記本体の相補的なスライド形成物にスライド可能に係合するように構成されたスライド形成物と、
前記スライド形成物から離れて円周方向に延在するロック部材であって、前記ロック部材が、順応性であり、前記チャネル内に配置されたときに、前記アクセス部材の中心軸に向かって内向きに屈曲されるように構成されており、そのため、前記ロック部材の戻り力が、前記本体を前記アクセス部材の前記一部分に取り付けるように、前記ロック部材を前記アクセス部材の内側表面に係合させる、ロック部材と、を備える、リトラクタ部材。
【請求項2】
前記本体が、前記長手方向及び前記横断方向に実質的に垂直な横方向に沿って互いから離間された第1の側部及び第2の側部を有し、前記取り付けデバイスが、前記近位端と前記遠位端との中間に位置する前記本体の長手方向部分において、前記第1の側部及び前記第2の側部のうちの少なくとも1つから延在し、そのため、前記取り付けデバイスが、前記リトラクタ部材を前記アクセス部材の
前記内側表面に固定するために前
記チャネル内に存在するように構成されている、請求項1に記載のリトラクタ部材。
【請求項3】
前記取り付けデバイスが、前記長手方向部分において、それぞれ、前記第1の側部及び前記第2の側部から各々円周方向に延在する一対のウィングを備え、前記一対のウィングが、順応性であり、前記一対のウィングが前記チャネル内に配設されたときに、前記アクセス部材の前記内側表面によってニュートラル構成から屈曲構成に互いに向かって内向きに屈曲するように構成されており、そのため、前記一対のウィングの戻り力が、前記本体を前記アクセス部材の前記一部分に取り付けるように、前記一対のウィングを前記アクセス部材の前記内側表面に係合させる、請求項2に記載のリトラクタ部材。
【請求項4】
前記長手方向部分において、かつ前記長手方向に直交する平面において、前記本体の前記第2の表面が、第1の半径を画定し、前記ウィングの外側表面が、前記一対のウィングが前記ニュートラル構成にあるときに、前記第1の半径よりも大きい別の半径を画定する、請求項3に記載のリトラクタ部材。
【請求項5】
前記本体が、前記一対のウィングから前記近位端まで延在する近位本体部分と、前記長手方向に沿って前記一対のウィングから前記遠位端まで延在する遠位本体部分と、を画定し、前記遠位本体部分及び前記近位本体部分が、互いから少なくとも部分的に円周方向にオフセットされている、請求項3又は4に記載のリトラクタ部材。
【請求項6】
前記遠位本体部分及び前記近位本体部分が、互いから完全に円周方向にオフセットされている、請求項5に記載のリトラクタ部材。
【請求項7】
前記本体の前記相補的なスライド形成物が、ガイドスロットを備え、前記ロック部材が、前記本体
の外側表面と前記アクセス部材の
前記内側表面との間で環状にスライドするように構成されている円周方向壁を備え、前記取り付け部材の前記スライド形成物が、前記ガイドスロット内に存在するように構成されているスライダを備え、前記スライダが、前記横断方向に沿って前記円周方向壁から内向きに延在する、請求項1に記載のリトラクタ部材。
【請求項8】
前記本体が、内部チャンバを画定し、各々前記内部チャンバと流体連通する、近位ポート及び複数の真空ポートを更に画定し、前記複数の真空ポートが、前記第2の表面において画定され、前記近位ポートが、真空源に接続可能であり、
前記取り付けデバイスが、前記複数の真空ポートのうちの1つに各々配設された複数のリングシールを備え、前記複数のリングシールが、真空圧力が前記内部チャンバ内に供給されるときに、前記アクセス部材の内壁表面に封止係合するように構成されている、請求項1に記載のリトラクタ部材。
【請求項9】
前記取り付けデバイスが、挿入構成から展開構成に移行するように構成されているワイヤを備え、前記ワイヤが、前記挿入構成にあるときに、細長い挿入デバイスに収容されるように構成されており、前記ワイヤが、前記展開構成にあるときに、前記本体を前記アクセス部材の内壁表面に向かって押し付けるように、前記内壁表面の周りに円周方向に少なくとも部分的に延在するように、外向きに跳ねるように更に構成されている、請求項1に記載のリトラクタ部材。
【請求項10】
前記本体が、前記長手方向及び前記横断方向に対して実質的に垂直な横方向に沿って互いから離間された第1の側部及び第2の側部を有し、前記第1の表面が、前記長手方向に直交する平面において、前記第1の側部と前記第2の側部との間で弧状かつ凹状であり、前記第2の表面が、前記平面において、前記第1の側部と
前記第2の側部との間で弧状かつ凸状である、請求項1に記載のリトラクタ部材。
【請求項11】
少なくとも前記近位端及び前記遠位端のうちの1つにおいて、前記本体が、フレア状である端部分を画定し、そのため、前記端部分が、前記端部分から、前記近位端及び前記遠位端のうちの反対のものに向かって延在する、前記本体の隣接部分の最大横寸法よりも大きい最大横寸法を画定する、請求項
10に記載のリトラクタ部材。
【請求項12】
少なくとも前記近位端及び前記遠位端のうちの1つにおいて、前記本体が、端部分から、前記近位端及び前記遠位端のうちの反対のものに向かって延在する、前記本体の隣接部分から角度的にオフセットされている前記端部分を画定する、請求項
10又は
11に記載のリトラクタ部材。
【請求項13】
前記端部分が、前記本体の前記隣接部分から角度的にオフセットされている、請求項
12に記載のリトラクタ部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の解剖学的構造内の外科治療部位において軟組織を引き込むためのリトラクタ部材、並びにアクセスチューブに対してリトラクタ部材を位置付けることに関連するシステム及び方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
アクセスチューブ及び/又はリトラクタを使用して、患者の解剖学的構造内の外科治療部位にアクセスポータル又は「作業チャネル」を医師に提供することができる。減圧、融合、外部固定などの脊椎処置を含む、様々な低侵襲処置は、そのようなアクセスポータルを介して実行されることがある。これらの処置で使用されるアクセスチューブは、しばしば、非限定的な例として、椎弓根アンカーなどを含む、動作台装着デバイス及び/又は骨アンカーなどの解剖学的装着デバイスなどの外部デバイスを介して、治療部位に対して所定の位置に固定されなければならない。アクセスチューブが患者の解剖学的構造に対して位置付けられると、作業チャネルを標的治療部位に開放するようにし、リトラクタ部材(「リトラクタブレード」又は単に「ブレード」とも称される)を、作業チャネルを通して挿入し、治療部位における軟組織に係合し、軟組織をアクセスチューブの壁に向かって引っ張るように操作することができる。追加のリトラクタ部材を、必要に応じて作業チャネルを通して挿入して、治療部位において追加の軟組織をアクセスチューブの壁に向かって引っ張ることができる。このようにして、軟組織を治療部位から引き込むことができ、医師に、出口神経の視覚化を含む治療部位へのアクセス及び視覚化の向上を提供する。しかしながら、外科処置の間、軟組織の一部は、アクセスチューブの遠位開口部に移動又は「忍び寄る」傾向があり、これは、出口神経の視覚化を含む治療部位の視覚化を妨げる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の一実施形態によれば、アクセス部材のチャネルを通して挿入され、チャネルを通してアクセス可能な治療部位における軟組織を移動させるように構成されているリトラクタ部材は、長手方向に沿って互いから離間された近位端及び遠位端を有する本体を含む。遠位端は、リトラクタブレードを画定し、本体は、長手方向に実質的に垂直な横断方向に沿って互いに反対の第1の表面及び第2の表面を画定する。リトラクタは、本体が、作業チャネルを通って延在可能であり、本体がアクセス部材の一部分に取り付けられている間に、長手方向に沿ってアクセス部材に対して並進可能であるように、本体をアクセス部材の一部分に選択的に取り付けるように構成されている、取り付けデバイスを含む。
【0004】
本体は、長手方向及び横断方向に実質的に垂直な横方向に沿って互いから離間された第1の側部及び第2の側部を有し得、取り付けデバイスは、近位端と遠位端の中間に位置する本体の長手方向部分において、第1の側部及び第2の側部のうちの少なくとも1つから延在し得、そのため、取り付けデバイスは、リトラクタ部材をアクセス部材の内側表面に固定するために作業チャネル内に存在するように構成されている。
【0005】
取り付けデバイスは、長手方向位置において、それぞれ、第1の側部及び第2の側部から各々円周方向に延在する一対のウィングを備え得、一対のウィングは、順応性であり、一対のウィングがチャネル内に配設されたときに、アクセス部材の内側表面によってニュートラル構成から屈曲構成に互いに向かって内向きに屈曲するように構成されており、そのため、一対のウィングの戻り力は、本体をアクセス部材の一部分に取り付けるように、一対のウィングをアクセス部材の内側表面に係合させる。
【0006】
長手方向部分において、かつ長手方向に直交する平面において、本体の第2の表面は、第1の半径を画定し得、ウィングの外側表面は、一対のウィングがニュートラル構成にあるときに、第1の半径よりも大きい別の半径を画定し得る。
【0007】
本体は、一対のウィングから近位端まで延在する近位本体部分と、長手方向に沿って一対のウィングから遠位端まで延在し得る遠位本体部分と、を画定し得、遠位本体部分及び近位本体部分は、互いから少なくとも部分的に円周方向にオフセットされ得る。
【0008】
遠位本体部分及び近位本体部分は、互いから完全に円周方向にオフセットされ得る。
【0009】
取り付けデバイスは、本体とは別個の取り付け部材を備え得、取り付け部材は、
取り付け部材が本体に沿ってチャネル内に並進することを可能にするように、本体の相補的なスライド形成物とスライド可能に係合するように構成されたスライド形成物と、
スライド形成物から離れて円周方向に延在するロック部材であって、ロック部材が、順応性であり、チャネル内に配置されたときに、アクセス部材の中心軸に向かって内向きに屈曲されるように構成され得、そのため、ロック部材の戻り力が、本体をアクセス部材の一部分に取り付けるように、ロック部材をアクセス部材の内側表面に係合させる、ロック部材と、を備える。
【0010】
本体の相補的なスライド形成物は、ガイドスロットを備え得、ロック部材は、本体の外側表面とアクセス部材の内側表面との間で環状にスライドするように構成されている円周方向壁を備え得、取り付け部材のスライド形成物は、ガイドスロット内に存在するように構成されているスライダを備え得、スライダは、横断方向に沿って円周方向壁から内向きに延在し得る。
【0011】
取り付けデバイスは、本体とは別個の取り付け部材を備え得、取り付け部材の少なくとも一部分は、磁性材料を含み得、本体は、取り付け部材の少なくとも一部分の磁性材料への選択的取り付けのために各々構成されている1つ又は2つ以上の磁石を備え得る。
【0012】
本体は、内部チャンバを画定し得、各々内部チャンバと流体連通する、近位ポート及び複数の真空ポートを更に画定し得、複数の真空ポートは、第2の表面において画定され得、近位ポートは、真空源に接続可能であり、
取り付けデバイスは、複数の真空ポートのうちの1つに各々配設された複数のリングシールを備え得、複数のリングシールは、真空圧力が内部チャンバ内に供給されるときに、アクセス部材の内壁表面に封止係合するように構成され得る。
【0013】
取り付けデバイスは、挿入構成から展開構成に移行するように構成されているワイヤを備え得、ワイヤは、挿入構成にあるときに、細長い挿入デバイスに収容されるように構成され得、ワイヤは、展開構成にあるときに、本体をアクセス部材の内壁表面に向かって押し付けるように、内壁表面の周りに円周方向に少なくとも部分的に延在するように、外向きに跳ねるように更に構成され得る。
【0014】
本体は、長手方向及び横断方向に対して実質的に垂直な横方向に沿って互いから離間された第1の側部及び第2の側部を有し得、第1の表面は、長手方向に直交する平面において第1の側部と第2の側部との間で弧状かつ凹状であり得、第2の表面は、平面において第1の側部と第2の側部との間で弧状かつ凸状であり得る。
【0015】
近位端及び遠位端のうちの1つにおいて少なくとも、本体は、フレア状の端部分を画定し得、そのため、端部分は、端部分から近位端及び遠位端のうちの反対のものに向かって延在する本体の隣接部分の最大横寸法よりも大きい最大横寸法を画定する。
【0016】
近位端及び遠位端のうちの1つにおいて少なくとも、本体は、端部分から近位端及び遠位端のうちの反対のものに向かって延在する本体の隣接部分から角度的にオフセットされた端部分を画定し得る。
【0017】
端部分は、本体の隣接部分から角度的にオフセットされ得る。
【0018】
本体の少なくとも近位部分は、本体がアクセス部材の一部分に取り付けられた後、アクセス部材の中心軸から離れる方向に曲げられるように塑性変形可能であり得る。
【0019】
本体は、遠位端において少なくとも1つの導電性センサを含み得、少なくとも1つの導電性センサは、少なくとも1つの導電性センサから離間されており、かつ少なくとも1つのセンサによって取得されたセンサ情報を制御ユニットに通信するように構成され得る、導線と電気通信し得る。
【0020】
本体が導電性材料で形成され得、リトラクタ部材は、本体の主要部分を覆う電気絶縁物を更に含み得、本体は、遠位端において遠位露出部分を含み得、遠位露出部分は、少なくとも1つの導電性センサを画定し得、本体は、近位端において近位露出部分を更に含み得、近位露出部分は、導線を画定し得る。
【0021】
本体は、電気絶縁性材料で形成され得、少なくとも1つの導電性センサは、遠位端において本体に埋め込まれ得る。
【0022】
本開示の別の実施形態によれば、軟組織を引き込むためのシステムは、近位端と、アクセス部材の近位端から遠位端まで延びる壁とを有するアクセス部材を含む。壁は、中心軸に直交する平面において中心軸を中心として延在し、そのため、壁の内側表面は、中心軸に沿って配向された軸方向に沿って延在するチャネルを画定する。システムは、近位端と、軟組織と係合するように構成され、かつリトラクタ本体の近位端から長手方向に沿って離間されている遠位端とを有するリトラクタ本体を含む。リトラクタ本体は、第1の表面と、長手方向に対して実質的に垂直な横断方向に沿って互いに反対の第2の表面と、を画定する。このシステムは、リトラクタ本体に連結され、アクセス部材の近位端及び遠位端にそれぞれ装着されるように構成されている近位マウント及び遠位マウントを含む取り付けデバイスを含む。近位マウント及び遠位マウントのうちの少なくとも1つは、近位マウント及び遠位マウントが第1の距離だけ互いから長手方向に離間されたロック解除構成と、近位マウント及び遠位マウントが第1の距離よりも小さい第2の距離だけ互いから長手方向に離間されたロック構成との間で移動するように構成されている。第2の距離は、軸方向に沿ったアクセス部材の近位端と遠位端との間の距離に対応する。
【0023】
近位マウント及び遠位マウントは各々、アクセス部材のそれぞれの近位端及び遠位端をフックするように構成されているフックを備え得る。
【0024】
リトラクタ本体は、少なくとも取り付けデバイスがロック構成にあるときに、近位マウント及び遠位マウントに対して長手方向に並進可能であり得る。
【0025】
システムは、近位マウント及び遠位マウントのうちの少なくとも1つをロック解除構成からロック構成に作動させるように構成されたアクチュエータを更に備え得る。
【0026】
アクチュエータは、遠位マウントから、近位マウントのレセプタクルを通って、長手方向に沿って配向された近位方向に近位マウントから離間された制御部材まで延在する少なくとも1つの細長い部材を備え得、制御部材は、ロック解除構成からロック構成に近位マウント及び遠位マウントのうちの少なくとも1つを作動させるように操作されるように構成され得る。
【0027】
リトラクタ本体は、長手方向に沿って延在するスロットを画定し得、近位マウント及び遠位マウントの各々は、スロット内に延在し、かつリトラクタ本体に対するそれぞれのマウントの長手方向移動をガイドするように、スロットに沿って長手方向にスライドするように構成され得るスライド部材を含み得る。
【0028】
リトラクタ本体は、スロットに沿って長手方向に配置された一連のラチェット溝を更に画定し得、近位マウントは、一連のラチェット溝に係合するように構成されている歯を有する可撓性部材を含み得、可撓性部材は、1)歯が、近位マウントとリトラクタ部材との間の相対的な長手方向位置を保持するようにラチェット溝のうちの1つの中に存在するニュートラル構成と、2)歯が、一連のラチェット溝の各々から離れた係合解除構成との間を反復するように構成され得る。
【0029】
近位マウントは、ハンドル部分を含み得る。
【0030】
システムは、取り付けデバイスに解放可能に連結された器具を更に備え得、器具は、
器具の後端から器具の前端まで延在するハンドルと、
器具の前端において少なくとも部分的に位置する連結機構であって、連結機構が、1)器具が、リトラクタ本体に堅固に連結されている連結構成と、2)器具が、リトラクタ本体から連結解除され、取り外し可能である連結解除構成との間を反復するように構成されている、連結機構と、を備え得る。
【0031】
連結機構は、近位マウント及び遠位マウントのうちの少なくとも1つをロック解除構成からロック構成に作動させるように、アクチュエータを移動させるように更に構成され得る。
【0032】
近位マウントは、マウントベースと、係合部材と、を備え得、アクチュエータは、マウントベースと係合部材との間に延在し得、ロック解除構成とロック構成との間でマウントベースに対する係合部材の長手方向移動を作動させるように構成され得る。
【0033】
アクチュエータは、係合部材をロック構成に作動させるように、長手方向に沿った付勢方向にマウントベースから離れる方向に係合部材を付勢する少なくとも1つのばねを有する付勢機構を含み得る。
付勢機構は、係合部材をマウントベースに向かって移動させ、付勢方向とは反対の方向にロック解除構成に移動させるように構成されている戻り部材を更に備え得る。
連結機構は、付勢方向の反対方向に戻り部材を移動させるように構成されている移動部材を備え得る。
【0034】
リトラクタ本体は、アパーチャを含み得、連結機構は、1)連結機構が連結構成にあるときにリトラクタ部材に連結するようにアパーチャ内に存在し、かつ2)連結機構が連結解除構成にあるときにリトラクタ部材から連結解除するようにアパーチャから離れて移動するように構成されているピンを備え得る。
【0035】
連結機構は、ピンに接続されており、かつ、ピンがアパーチャ内に存在する第1の位置と、ピンがアパーチャから離れている第2の位置との間で反復するように構成され得る、ボタンを含み得る。
【0036】
アクチュエータは、近位マウント及び遠位マウントのうちの少なくとも1つを作動させるように、近位マウントと遠位マウントとの間に張力を選択的に加えるように構成されている引張部材であり得る。
【0037】
本開示の追加の実施形態によれば、軟組織を引き込むためのシステムは、近位端と、アクセス部材の近位端から遠位端まで延びる壁とを有するアクセス部材を含む。壁は、中心軸に直交する平面において中心軸を中心として延在し、そのため、壁の内側表面は、中心軸に沿って配向された軸方向に沿って延在するチャネルを画定する。システムは、近位端と、軟組織と係合するように構成され、かつリトラクタ本体の近位端から長手方向に沿って離間されている遠位端とを有するリトラクタ本体を含む。リトラクタ本体は、第1の表面と、長手方向に対して実質的に垂直な横断方向に沿って互いに反対の第2の表面と、を画定する。アクセス部材及びリトラクタ本体のうちの少なくとも一方は、1つ又は2つ以上の開口部を画定し得る一方で、アクセス部材及びリトラクタ本体のうちの他方は、1つ又は2つ以上の開口部と相補的な1つ又は2つ以上の突出部を含み、1つ又は2つ以上の突出部は、リトラクタ本体をアクセス部材に連結するように、1つ又は2つ以上の開口部内に挿入するように構成されている。
【0038】
1つ又は2つ以上の突出部の各々は、ステム及びステムから外向きに延在するヘッドを画定し得、ヘッドは、ステムよりも広い。
【0039】
1つ又は2つ以上の開口部は、壁内にその内側表面から外向きに延在する開口部のアレイを備え得、アレイは、複数の列を画定し得、列の各々は、複数の開口部の長手方向に整列したサブセットを含み、列は、壁に沿って互いに円周方向に離間され得る。
1つ又は2つ以上の突出部は、横断方向に沿ってリトラクタ部材の第2の表面から各々延在し、かつ長手方向に沿って互いに整列した複数の突出部を含み得、複数の突出部は、ヘッドが軸方向に沿って壁の少なくとも一部分に重なるように、列のうちの少なくとも1つ内に選択的に存在するように構成され得る。
【0040】
リトラクタ本体は、長手方向及び横断方向に沿って延在する平面において互いから角度的にオフセットされるように構成されている近位部分及び遠位部分を有し得、1つ又は2つ以上の開口部のうちの少なくとも1つは、第1の表面から第2の表面まで近位部分を通って延在し得る。
1つ又は2つ以上の突出部は、アクセス部材の近位表面から長手方向に沿って延在する複数の突出部を含み得、近位表面は、アクセス部材の近位端に位置し得、複数の突出部は、近位表面に沿って互いから円周方向に離間され得る。
【図面の簡単な説明】
【0041】
前述の概要、並びに本出願の例示的な実施形態の以下の詳細な説明は、添付される図面とともに読まれることで、よりよく理解されるであろう。本出願の構造を例示する目的で、例示的な実施形態を図面に示す。しかしながら、本出願が示される正確な配置及び手段に限定されないことを、理解しなければならない。図中:
【
図1A】本開示の一実施形態による、外科用アクセスシステムを含む脊椎外科システムの斜視図である。
【
図1B】
図1Aに例示する脊椎外科システムの別の斜視図であり、外科用アクセスシステムの管状アクセス部材の作業チャネルを示す。
【
図1C】
図1Bに例示する外科用アクセスシステムの斜視図であり、アクセス部材の作業チャネル内に配設されたリトラクタを示し、リトラクタの近位部分はリトラクタの遠位部分に対して、かつ作業チャネルから離れる方向に曲げられている。
【
図1D】アクセス部材の内壁表面に固設されたリトラクタを有する、
図1Cに例示するアクセス部材の部分上面図である。
【
図2A】本開示の一実施形態による、直線端を有し、
図1A~
図1Cに例示するアクセス部材の内壁表面にリトラクタを固定するための可撓性取り付けばねを含むリトラクタの斜視図である。
【
図2B】本開示の一実施形態による、角度的にオフセットされた端部を有し、そうでなければ
図2Aに例示するリトラクタと同様であるリトラクタの斜視図である。
【
図2D】本開示の一実施形態による、フレア状の端部を有し、そうでなければ
図2Aに例示するリトラクタと同様であるリトラクタの斜視図である。
【
図2E】本開示の一実施形態による、フレア状で角度のあるオフセット端部を有し、そうでなければ
図2Aに例示するリトラクタと同様であるリトラクタの斜視図である。
【
図2F】取り付けスプリングに沿って互いに円周方向にオフセットされた可撓性取り付けばね並びに近位及び遠位部分を有するリトラクタの斜視図である。
【
図2G】複数のアパーチャを画定するリトラクタの斜視図である。
【
図3A】アクセス部材及びリトラクタを有する外科用アクセスシステムの斜視図であり、リトラクタは、別個の取り付けスプリングの動きをガイドするためのガイド特徴を有する。
【
図3B】アクセス部材から離れた位置でリトラクタのガイド特徴に接続された取り付けばねを示す、
図3Aに例示する外科用アクセスシステムの斜視図である。
【
図3C】取り付けばねがアクセス部材の内壁表面に対してリトラクタをしっかりと押し付けている、ガイド特徴に沿ってアクセス部材の作業チャネル内の位置まで遠位に前進した取り付けばねを示す、
図3Bに例示する外科用アクセスシステムの斜視図である。
【
図3D】本開示の一実施形態による、アクセス部材、リトラクタ、及びリトラクタに磁気的に取り付けるための1つ又は2つ以上の磁石を担持する別個の取り付けばねを有する外科用アクセスシステムの部分断面斜視図である。
【
図4A】本発明の一実施形態による、作業チャネルを介してアクセス可能な軟組織と係合して引き込むためにリトラクタを操作することができる、リトラクタの取り付けデバイスとの連結構成における器具を含む外科用アクセスシステムの斜視図であり、アクセス部材とのロック構成における取り付けデバイスを更に例示し、取り付けデバイスは、アクセス部材の選択された円周位置にリトラクタを取り付けるために器具によって動作可能であり、取り付けデバイスは、更に、取り付けデバイスがロック構成にある間、アクセス部材に対するリトラクタの長手方向の並進を可能にするように更に構成されている。
【
図4B】連結及びロック構成における
図4Aに例示する外科用アクセスシステムの別の斜視図である。
【
図4C】
図4Aに例示する器具の一部分の側面図であり、取り付けデバイスとの連結構成における器具の連結機構の一部分を示し、アクセス部材とのロック構成における取り付けデバイスの近位マウントを更に示す。
【
図4D】
図4Cに例示する器具の一部分の側面図であり、器具が取り付けデバイスから連結解除された連結解除構成における連結機構の一部分を示し、アクセス部材とのロック構成のままである近位マウントを更に示す。
【
図4E】
図4Aに例示する外科用アクセスシステムの断面側面図であり、アクセス部材に対するロック構成とロック解除構成との間の近位マウントの反復を示す。
【
図4F】
図4Aに例示する取り付けデバイスの付勢機構の斜視図である。
【
図4G】
図4Aに例示する器具の連結機構の断面側面図である。
【
図4I】
図4Aに例示する器具から連結解除された取り付けデバイスの断面斜視図であり、取り付けデバイス及びアクセス部材に対して長手方向に並進可能であるリトラクタを示す。
【
図4J】
図4Iに例示する取り付けデバイスの斜視図であり、アクセス部材に対するリトラクタの並進をガイドするためのガイド特徴を示す。
【
図5A】器具がリトラクタに直接連結し、リトラクタが、リトラクタをアクセス部材の選択された円周位置に取り付けるための取り付けデバイスを担持し、取り付けデバイスが、器具から独立して動作可能である、リトラクタに解放可能に連結された器具の別の実施形態の斜視図である。
【
図5B】
図5Aに例示する切断線5B-5Bに沿って取られた器具の連結機構の断面斜視図である。
【
図6A】リトラクタが、リトラクタをアクセス部材の選択された円周位置に取り付けるための引張アクチュエータを使用する取り付けデバイスを含む、リトラクタに解放可能に連結された器具の別の実施形態の側面図である。
【
図6B】遠位マウントが、引張アクチュエータによって作動される、
図6Aに例示する取り付けデバイスの遠位マウントの背面図である。
【
図6D】外科用アクセスシステムの側面図であり、アクセス部材に取り付けられた
図6Aの器具、リトラクタ、及び取り付けデバイスを示す。
【
図6E】
図6Aに例示する取り付けデバイスの近位マウントの斜視図であり、引張アクチュエータを受容するための受容形成物を有する近位マウントを示す。
【
図6F】
図6Bに例示する遠位マウント及びリトラクタブレードの底面図である。
【
図7A】本開示の一実施形態による、ハンドル部材を有し、ラチェット機構を使用する取り付けデバイスを有するリトラクタの斜視図である。
【
図7B】
図7Aに例示するハンドル部材の別の実施形態の斜視図である。
【
図7C】
図7Aに例示する切断線7C-7Cに沿って取られた取り付けデバイスの断面斜視図である。
【
図7D】
図7Aに例示するリトラクタ及び取り付けデバイスの斜視図である。
【
図7E】
図7Dに例示する切断線7E-7Eに沿って取られたリトラクタ及び取り付けデバイスの断面斜視図である。
【
図7G】ハンドル部材が視認性の目的で区切られている、
図7Aに例示するラチェット機構の爪の背面図である。
【
図7H】
図7Gに例示する切断線7H-7Hに沿って取られた爪の断面斜視図である。
【
図8A】本開示の一実施形態による、リトラクタをアクセス部材の選択された円周位置に取り付けるための吸引取り付けデバイスを有するリトラクタの断面図である。
【
図8C】
図8Bに示す切断線8C-8Cに沿って取られたリトラクタの断面端面図である。
【
図9A】本開示の一実施形態による、リトラクタをアクセス部材の選択された円周位置に取り付けるための選択的嵌合係合のために構成されている突出部及び相補的開口部を含む取り付けデバイスを有する外科用アクセスシステムの分解部分断面図である。
【
図9B】
図9Aに例示する突出部と開口部との間の嵌合係合を示す断面側面図である。
【
図9C】
図9Aに例示する突出部と開口部との間の代替的な嵌合係合を示す断面側面図である。
【
図9D】近位表面と、リトラクタにおける相補的開口部との選択的嵌合係合のために近位表面に沿って円周方向に配置された一連の突出部と、を有するアクセス部材の斜視図である。
【
図9E】
図9Dに例示するアクセス部材との嵌合係合の近くのリトラクタの断面側面図である。
【
図10A】本開示の一実施形態による、挿入構成に示される可撓性ワイヤ取り付けデバイスをアクセス部材の作業チャネルに挿入するための導入器を含む外科用アクセスシステムの部分断面図である。
【
図10B】
図10Aに例示する外科用アクセスシステムの断面図であり、可撓性ワイヤ取り付けデバイスがリトラクタをアクセス部材の内壁表面に固定する展開構成にある可撓性ワイヤ取り付けデバイスを示す。
【
図10C】挿入構成において導入器に装填された可撓性ワイヤ取り付けデバイスの別の実施形態の正面図である。
【
図10D】展開構成において示されている
図10Cに例示する可撓性ワイヤ取り付けデバイスの正面図である。
【
図11A】電気絶縁性シースを有し、外科治療部位において電気情報を取得するためのセンサも有するリトラクタの正面平面図である。
【
図11B】電気絶縁性材料で構成され、外科治療部位において電気情報を取得するためのセンサを有するリトラクタの正面平面図である。
【
図12A】本開示の別の実施形態による、テザーを含むリトラクタを担持する器具の斜視図である。
【
図12C】本開示の別の実施形態による、代替的なテザーを有するリトラクタの斜視図である。
【
図12D】本開示の一実施形態による、外科用アクセスシステムは、テザーに接続するための受容形成物を有する、
図12Aに示すリトラクタを使用する外科用アクセスシステムの斜視図である。
【
図12E】本開示の別の実施形態による、テザーに接続するための保持クリップを有する、
図12Dに示す外科用アクセスシステムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本開示は、本開示の一部を形成する、添付図面及び実施例に関連する以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解することができる。本開示は、本明細書に説明及び/又は図示される特定の装置、方法、用途、条件又はパラメータに限定されるものではなく、本明細書で使用される専門用語は実施例を用いて具体的な実施形態を説明する目的のためだけのものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。また、添付の請求項を含む明細書において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は複数を含み、特定の数値への言及は、文脈により明確に別様に指示されない限り、少なくともこの特定の値を含む。
【0043】
「複数」という用語は、本明細書で使用される場合、1つよりも多いことを意味する。値の範囲が表されている場合、別の実施形態においては、ある特定の値から、及び/又は他の特定の値までが含まれる。同様に、先行する「約」によって値が近似の形式で表現された場合、その特定値により別の実施形態が形成されることが理解されるであろう。範囲はいずれも包括的であり、組み合わせが可能である。
【0044】
寸法、角度、及び他の形状に関して本明細書で使用される場合、「約」及び「実質的に」という用語は、製造公差を考慮する。更に、「約」及び「実質的に」という用語は、規定の寸法又は角度よりも10%大きい又は小さいものを含むことができる。更に、「約」及び「実質的に」という用語は、規定された特定の値にも等しく適用することができる。
【0045】
以下に説明される実施形態は、アクセスチューブなどのアクセス部材を含む外科用アクセスシステムで使用するためのリトラクタ部材(本明細書では「リトラクタ」とも称される)に関する。特に、以下に説明される実施形態は、作業チャネルから遠位に位置する外科治療部位において軟組織と係合して引き込むために、アクセス部材の作業チャネルを通した挿入のために構成されているリトラクタに関する。より具体的には、以下に説明される実施形態は、アクセスチューブの円周位置へのリトラクタの選択的な取り付けを可能にする様々な取り付けデバイスを含み、それによって軟組織を後退位置に固定する。アクセス部材を参照して本明細書で使用される場合、「円周方向」という用語は、概して、アクセス部材の中心軸を中心に回転する方向を指し、具体的には、(1)中心軸に垂直な径方向、及び(2)中心軸が延在する軸方向の両方からオフセットした方向成分を有する任意の方向を指す。したがって、アクセス部材を参照して本明細書で使用される「円周方向」という用語は、アクセス部材の中心軸の周りに少なくとも部分的に回転する、線、弧、円、楕円、多角形、又は不規則な形状のいずれかに沿った方向を指す。
【0046】
以下に説明される取り付けデバイスのいくつかは、リトラクタ上に完全に位置するが、他のものは、リトラクタ及びアクセス部材の相補的な構成要素又は特徴に使用され、更に他のものは、外科用アクセスシステムの別個の構成要素に使用される。追加的に、以下に説明される取り付けデバイスの大部分は、リトラクタが、アクセス部材に対して、部材の中心軸に沿って配向された軸方向に沿って並進する方法、内壁表面に沿って円周方向に中心軸を中心として回転(すなわち回転(revolution))する方法で移動する一方で、アクセス部材の内壁表面に依然として固定されたままにすることを可能にする。これらの移動により、医師は、患者の解剖学的構造(例えば、異なる患者の解剖学的構造間の変動)の変動を説明するために、必要に応じて、作業チャネル内のリトラクタ位置を調整することが可能となる。前述の方法のいずれかで可動であるそのようなリトラクタ及び相補的な取り付けデバイスも、外科処置中に再位置決めされて、必要に応じて軟組織の引き込みを調整する一方で、内壁表面に依然としてとして取り付けられたままにし、医師が満足するようにリトラクタを再位置決めしたときに、意思がリトラクタを解放した後、取り付けデバイスがリトラクタをアクセス部材に対して保持するようにする。
【0047】
以下に説明される追加の実施形態では、リトラクタは、リトラクタの近位端に連結され、かつリトラクタを操作して軟組織と係合するように構成されている器具を含む外科用アクセスシステムの一部として使用される。以下に説明される器具は、必要に応じてリトラクタと選択的に連結及び連結解除するように構成されている。更なる実施形態では、上で説明されるように、挿入器具はまた、取り付けデバイスがアクセス部材に取り付けられていない非取り付け構成から、取り付けデバイスがリトラクタをアクセス部材に取り付ける取り付け構成に作動させるように構成されている。
【0048】
ここで
図1Aを参照すると、脊椎処置のための外科用アクセスシステム100の例示的な実施形態は、患者内の外科治療部位へのアクセスを提供するためのアクセス部材102と、アクセス部材102を通って延在し、かつ治療部位において軟組織と係合するように構成されたリトラクタ部材2と、を含む。アクセス部材102は、管状であり得る本体103を有し、患者の解剖学的構造に対する生体外から、患者の解剖学的構造内の生体内のターゲット位置に遠位に延在するように構成されている。非限定的な例として、アクセス部材102は、スキンライン90を通って、意図された外科治療部位に、又はそれに隣接して標的位置に延在するように構成され得る。アクセス部材102は、本明細書において「作業チャネル」106とも称される、内部ポート又はチャネル106を画定するシールド又は壁104を含み、作業チャネル106は、アクセス部材102の中心軸108に沿って細長く、軸方向Xに沿って生体外の位置から標的位置まで開放されている(すなわち、中心軸108に沿って配向された方向)。アクセス部材102は、軸方向Xに沿って近位端110から遠位端112まで延在する。例示の例では、中心軸108は、脊椎アプローチ軸を画定し、これは、Kambinの三角形などを介して、経椎間孔的アプローチに沿って配向される。この例では、アクセス部材102の標的位置は、隣接する椎体94のファセットライン92にあり、治療部位は、椎間板空間96を含む。しかしながら、経椎弓間アプローチ、横方向アプローチ、及び前方アプローチなど他のアプローチが本開示の範囲内であると理解されたい。アクセス部材102が治療部位に延在するように適切な深さ及び配向に位置決めされた状態で、中心軸108は治療部位と交差する。このようにして、器具を、必要に応じて、アクセス部材102を通して治療部位に向かって遠位に前進させることができる。特定の器具の治療部位を準備するために、1つ又は2つ以上のリトラクタ部材2を、例えば、中心軸108に沿って、作業チャネル106に通して挿入することができ、例えば、軟組織を中心軸108から離れる方向であり、かつこれに実質的に垂直な半径方向R(したがって、軸方向Xに実質的に垂直である)に沿って引っ張るか、又は他の方法で移動させることによって、軟組織(出口神経の近くの軟組織を含む)と係合し、引きこむように操作することができる。係合した軟組織の一部分が作業チャネル内に延在する場合、引き込みは、そのような軟組織をアクセス部材102の壁104に向かって移動させる。軟組織の引き込みは、とりわけ、医師が脊椎処置中に出口神経の損傷又は接触を回避することができるように、出口神経の視覚化を露出及び提供するために使用され得る。
【0049】
外科用アクセスシステム100は、脊椎外科システムなどの一次外科システム200のサブシステムとして使用することができる。描写される脊椎外科処置に関して、脊椎外科システム200は、とりわけ、図示のように、対側椎弓根アンカー206などの椎弓根アンカーなどのアンカーにアクセス部材102を接続するための1つ又は2つ以上のアーム204を有するコネクタ202を含むことができる。このようにして、アクセス部材102及びその作業チャネル106の位置は、アンカー206及びコネクタ202を介してなど、患者の解剖学的構造に対して固設され得る。脊椎外科システム200は、「MULTI-SHIELD SPINAL ACCESS SYSTEM」と題する、2018年1月11日に公開された米国特許公開第2018/0008253(A1)号(「’253文献」)、及び「CONTROL MEMBER FOR ADJUSTING ACCESS TUBE POSITION,AND RELATED SYSTEMS AND METHODS」と題する、2019年11月22日に出願された米国特許出願第16/692,342号(「’342文献」)により完全に説明されているように構成することができ、各文献の開示全体が本明細書において参照により組み込まれる。
【0050】
ここで、
図1B~
図1Dを参照すると、アクセス部材102の壁104は、半径方向Rに沿って互いから離間された外壁表面114及び内壁表面116を画定する。図示のように、外壁表面114は、中心軸108に直交する平面において楕円形の輪郭を有することができる。追加的に、壁104はまた、軸方向Xに沿って二次チャネル107を画定することができる。例えば、内壁表面116は、作業チャネル106と二次チャネル107との間に区画を画定するように、中心軸108に向かって概ね半径方向に延在する1つ又は2つ以上の突起部117を画定することができる。例示する実施形態では、二次チャネル107は、非限定的な例として、カメラ又は他のタイプの画像センサなどの1つ又は2つ以上の光学機器を受信することができる。そのような実施形態では、作業チャネル107と二次チャネル107との間の区画は、光学器具と作業チャネル106を通って延在する任意の器具との間の機械的干渉を防止するのに役立つ。二次チャネル107は、好ましくは、少なくとも半径方向Rに沿った方向成分を有する方向に沿って、作業チャネル106に開放されている。図示のように、壁104は、中心軸108を中心として全周で延在し、それによって、アクセス部材102をその管状構成に提供することができる。しかしながら、壁104は、作業チャネル106及び任意選択的に二次チャネル107も提供し続けながら、中心軸108を中心として全周未満に延在することができると理解されたい。
【0051】
図1Cの図に示すように、リトラクタ部材2(本明細書では「リトラクタ」2とも称される)は、長手方向Lに沿って互いから離間された近位端4から遠位端6まで延在するリトラクタ本体3を有する。リトラクタ本体3は、非限定的な例として、リトラクタ2全体をモノリシックな様式で画定することができるか、又はリトラクタ2の1つ若しくは2つ以上の別個であるが接続された(又は接続可能な)部分と組み合わせて、リトラクタ2の一部分、例えば、その主要な部分を画定することができると理解されたい。遠位端6は、ブレード状の形状を有することができ、したがって、「リトラクタブレード」又は単に「ブレード」と称され得る。リトラクタ2は、軸方向Xに沿ったアクセス部材102の長さよりも長い長手方向Lに沿った長さを有する。このようにして、リトラクタ2は、作業チャネル106を通して治療部位に挿入することができ、その近位端4によって操作することができ、治療部位における、又はその近くで必要に応じて軟組織と係合するように、遠位端6の配置を制御するようにする。近位端4はまた、ブレード状の形状を有することができ、したがって、「リトラクタブレード」又は「ブレード」と称され得ると理解されたい。そのような対向するブレード構成は、アクセス部材102を通して特定の端部を挿入する必要がないため、有利であり得る。
【0052】
軟組織が係合された状態で、リトラクタ2を内壁表面116に移動させ、以下でより詳細に説明する取り付けデバイスによってそれに取り付けることができる。
図1Dに示すように、リトラクタ本体3は、長手方向Lに実質的に垂直な横断方向Tに沿って互いから離間された第1又は「内側」表面10と、第2又は「外側」表面12とを有する。リトラクタ本体3の外側表面12は、好ましくは、長手方向Lに直交する平面において弧状かつ凸状である。追加的に、外側表面12は、好ましくは、内壁表面116の半径R2に実質的に等しい半径R1を画定する。このようにして、リトラクタ本体3は、作業チャネル106の閉塞を回避するために、内壁表面116に対して、それに接続するために同一平面において移動することができる。リトラクタ本体3が内壁表面116に対して同一平面上にあるとき、横断方向Tは、アクセス部材102の半径方向Rに沿って実質的に配向されると理解されたい。リトラクタ本体3の内側表面10は、好ましくは、直交平面において弧状かつ凹状であり、好ましくは、直交平面内の凸状外側表面12と平行又は同心の様式で延在する。
【0053】
リトラクタ2は、生体適合性(すなわち、「バイオ材料」)で形成されており、近位端4での操作が遠位端6における軟組織の引き込みを引き起こすように(又は反対の端が作業チャネル106を通して挿入される場合も同様に)十分に剛性である。材料はまた、好ましくは、プラスチック変形を介してなどの変形性を有するリトラクタ本体3を提供し、
図1Cの図に示すように、リトラクタ本体3の第1の部分3aをリトラクタ本体の第2の部分3bに対して曲がることを可能にする。このようにして、リトラクタ本体3が軟組織の十分な引き込みを達成した(また、以下により詳細に説明されるように、リトラクタ本体3が取り付けデバイスによってアクセス部材102に固定された)ときに、医師は、第1の部分3aを中心軸108から離れる方向にどけるように曲げることができ、例えば、近位方向Pにおけるリトラクタ本体3のプロファイルを低減する。そのようなリトラクタ本体材料は、非限定的な例として、金属(例えば、300シリーズ及び/若しくは400シリーズステンレス鋼などのステンレス鋼)、ポリマー(例えば、ポリフェニルスルホン(polyphenylsulfone、PPSU))、並びに/又は複合材料(例えば、炭素繊維)であり得る。
【0054】
ここで
図2A~
図2Fを参照すると、リトラクタ本体3の異なる変形が示されており、各々は、リトラクタ本体3をアクセス部材102の壁104に連結するための一体型取り付けデバイス14を含む。例えば、取り付けデバイス14は、医師によって選択されるように、リトラクタ本体3を内壁表面116の周部分に取り付けるように構成されている。特に、これらの変形の各々に示される取り付けデバイス14は、作業チャネル106の外側に配設されたときのニュートラル構成から、作業チャネル106内に挿入されたときの屈曲構成に屈曲するように構成されている少なくとも1つの順応性部材16を含む。順応性部材16はまた、「ロックばね」又は「ロックリング」と称され得る。屈曲構成にあるときに、順応性部材16は、リトラクタ本体3を内壁表面116に向かって押し付けるのに十分な、内壁表面116に対する戻り力(「ロック力」とも称され得る)を付与し、リトラクタ本体3を壁104に対して所定の位置に効果的に固定する。順応性部材16は、ロック力が、リトラクタ本体3の遠位端6によって係合された軟組織の引き込みを維持するのに十分であるように構成されているが、それにより、医師が更にリトラクタ本体3を軸方向Xに沿って並進させること、中心軸108を中心として、リトラクタ本体3を回転させること、又は前述の運動の任意の組み合わせを行うことなど、軟組織との係合を調整するためのリトラクタ本体3の後続の操作をそれほど防止しないことを理解されたい。更に、本実施形態の順応性部材16は、医師がその近位端4を操作し終わったら(順応性部材16が作業チャネル106内に存在する限り)、作業チャネル106内の所定の位置にリトラクタ本体3を効果的に自動的に固定するように構成されている。
【0055】
リトラクタ本体3の各々は、長手方向L及び横断方向Tに実質的に垂直な横方向Aに沿って互いから離間された第1の側部20及び第2の側部22を画定する。取り付けデバイス14の適合部材16は、リトラクタ本体3の近位端部4及び遠位端部6の中間であるリトラクタ本体3の長手方向部分3cにおいて第1及び第2の側部20、22から円周方向外向きに延在する一対の順応性部材16又は「ウィング」を含むことができる。したがって、遠位部分3cはまた、リトラクタ本体3’の「中間」部分3cとも称され得る。リトラクタ本体3はまた、近位方向Pに沿って中間部分3cから近位端4まで延在する近位本体部分3dと、遠位方向Dに沿って中間本体部分3cから遠位端6まで延在する遠位本体部分3eとを画定する。近位方向及び遠位方向P、Dは、双方向である長手方向Lの各一方向成分であると理解されたい。ウィング16の半径方向外側表面は、ニュートラル構成にあるときに、内壁表面116の半径R2よりわずかに大きい半径R3を画定する。このようにして、ウィング16を作業チャネル106内に挿入することにより、ウィング16を中心軸108に向かって内向きに(及び互いに向かって)屈曲させ、それによってロック力を提供する。ウィング16の一方又は両方は、リトラクタ本体3のそれぞれの第1又は第2の側部20、22と隣接する螺旋状端面18を画定することができる。例示する実施形態では、螺旋状端面18は、各ウィング16の近位表面を画定するが、ウィング16の一方又は両方の遠位表面はまた、同様に、それぞれの第1又は第2の側部20、22に螺旋状に延在することができる。
【0056】
図2B及び
図2Cの図に示されるように、リトラクタ本体3は、「L-T平面」と称され得る長手方向L及び横断方向Tに沿って延在する平面において測定されるように、隣接部分3hから鋭角α1で角度的にオフセットされた近位端部分3fを画定することができる。隣接部分3hは、リトラクタ本体3の端部分3fから反対の端部6に向かって延在する本体3の一部分として特徴付けることができる。リトラクタ本体3は、代替的又は追加的に、L-T平面において隣接部分3hから鋭角a2で角度的にオフセットされた遠位端部分3gを画定することができる。リトラクタ本体3が、隣接部分3hから角度的にオフセットされた近位端部分3f及び遠位端部分3gを有する実施形態では、鋭角オフセット角度a1、a2は、示されるように実質的に同等であり得るか、又は互いに異なり得る。
【0057】
図2Dに示すように、近位端部分3f及び遠位端部分3gの一方又は両方は、隣接部分3hの最大横寸法A3よりも大きい最大横寸法A1、A2を画定するように、横方向Aに沿って外向きにフレアされ得る。近位端部分3f及び遠位端部分3gの両方が横方向Aに沿って外向きにフレア状になる実施形態では、端部分3f、3gの最大横寸法A1、A2は、示されるように実質的に同等であり得るか、又は互いに異なり得る。
【0058】
図2Eに示すように、近位端部分3f及び遠位端部分3gの一方又は両方は、隣接部分3hから角度的にオフセットされ、かつ隣接部分3hに対して横方向Aに沿って外向きにフレア状にされ得る。例えば、近位端部分3f及び遠位端部分3gの両方は、隣接部分3hから同じ鋭角又は異なる鋭角で角度的にオフセットされ得、また、同じ又は異なる最大横寸法を画定するように外向きにフレア状にされ得る。リトラクタ本体3は、前述の任意の組み合わせ(すなわち、直線、角度付き、及びフレア状)である近位端部分3f及び遠位端部分3gを有することができると理解されたい。
【0059】
ここで
図2Fを参照すると、近位本体部分3d及び遠位本体部分3eは、少なくとも部分的に、かつ任意選択的に互いから完全に円周方向にオフセットされ得る。そのような実施形態では、近位本体部分3dは、近位端4から遠位方向Dにロックばね16まで延在することができ、遠位本体部分3eは、ロックばね16から遠位方向Dに遠位端6まで延在することができる。追加的に、そのような実施形態では、ロックばね16は、近位本体部分3d及び遠位本体部分3eを一緒に接続する相互接続部分16aを含むことができる。
【0060】
図2Gに示すように、リトラクタ本体3は、そのそれぞれの本体部分の可撓性を増加させるための1つ又は2つ以上の特徴を含むことができる。非限定的な例として、リトラクタ本体3は、
図1Cの図を参照して上で説明されるように、壁104に固定されると、本体3の近位部分3aをどかすように曲げるためなど、L-T平面における塑性変形を促進するために、横断方向Tに沿って延在するアパーチャ24を画定することができる。例えば、アパーチャ24は、リトラクタ本体3の曲げ強化領域を効果的に画定することができる。追加的又は代替的に、ウィング16の一方又は両方は、上で説明されるニュートラル構成と屈曲構成との間で弾性変形するためなど、ウィング16の可撓性を増加させるためのアパーチャ26を画定することができる。可撓性の増加のためにアパーチャ24、26を使用する1つの利点は、より強い材料を使用してリトラクタ本体3を形成できることである。更に、アパーチャ26は、楕円形とすることができ、これは、リトラクタ本体3の同じ場所又はその近くに課される複数の曲げからの材料の疲労を軽減することができる。追加的に、近位端4、6の一方又は両方において、リトラクタ本体3は、外科用アクセスシステム100のワイヤ、可撓性チューブ、又は他の構成要素又は器具への接続のための端部形成物27を画定することができる。そのような端部形成物27の非限定的な例は、アパーチャ28と、例えば長手方向Xに沿って、アパーチャ27にわたって延在する突起部29と、を含むことができる。
【0061】
前述の実施形態のいずれかのロックばね16は、遠位端6によって係合された軟組織、及び/又はリトラクタ2と接触している他の周囲の組織に応答する偏向を補償するために、リトラクタ本体3に沿った異なる長手方向位置に提供され得ると理解されたい。例えば、
図2A~
図2Gを参照して上で説明されるリトラクタ2の任意の組み合わせを、各リトラクタ2の複数のバージョンを含むキットに提供することができ、それぞれのロックばね16は、リトラクタ本体3に沿って異なる長手方向位置に位置する。
【0062】
図2A~
図2Gを参照して上で説明されるリトラクタ2の設計は、複数のリトラクタ2、例えば2つ以上のリトラクタ2を作業チャネル106内に挿入し、軟組織を引き込むために内壁表面116に固定することを可能にすることを更に理解されたい。すでに第1のリトラクタ2が取り付けられた作業チャネル106に第2のリトラクタ2が挿入されるときに、医師は、両方が作業チャネル106内で固定されるときに、第2のリトラクタ2を、そのロックばね16が第1のリトラクタ2のものから長手方向にオフセットされるものを選択することができ、それによってロックばね16間の干渉を回避する。追加的又は代替的に、医師は、第1のものと同じ設計を有するように第2のリトラクタ2を選択することができ、第2のリトラクタ2の反対端をチャネル106に挿入することを選択することができ(すなわち、第2のリトラクタ2を第1のリトラクタ2に対して反転させることができ)、ロックばね16が互いに干渉しないようにする。
【0063】
ここで、
図3A~
図3Cを参照すると、他の実施形態では、取り付けデバイス14は、リトラクタ2が作業チャネル106を通して挿入される前、その間、又はその後、リトラクタ2とは別個であり、かつこれに接続可能である、取り付け部材17を含むことができる。そのような実施形態では、リトラクタ2及び取り付け部材17は、相補的な装着形成物を有することができる。例えば、取り付け部材17は、リトラクタ本体3のガイドスロット32などの相補的なスライド形成物とスライド可能に係合するように構成されているスライダ30などのスライド形成物を含むことができる。本実施形態のガイドスロット32は、必要に応じて、リトラクタ本体3に沿ったスライダ30の並進、長手方向の移動(したがって、取り付け部材17)を作業チャネル106の内外にガイドする。スライダ30及びガイドスロット32は、好ましくは、スライダ30が、ガイドスロット32の少なくとも1つの位置、例えばその近位端においてガイドスロット32内に入り、ガイドスロット32から脱出することを可能にする相補的な形状を有する。例えば、ガイドスロット32の近位端は、その中へのスライダ30の進入及び脱出を可能にする拡幅部分又は開口部を有することができ、一方、ガイドスロット32の残りは、スライダ30をその中に保持するように構成されている。ガイドスロット32の遠位端は、スライダ30(したがって、取り付け部材17)が遠位方向Dでオーバー並進するのを防止する物理的停止を効果的に提供することができる。
【0064】
上で説明される実施形態と同様に、取り付け部材17は、上で説明されるように同様に構成され得るロックばね16などのロック部材を含む。ロックばね16は、1つ又は2つ以上の順応性ウィングを画定することができ、これらの各々は、スライド形成物30から離れて円周方向に延在する円周方向壁と称され得、ロック部材16が作業チャネル106に配設されて、ロック力を供給しているときにアクセス部材102の中心軸108に向かって内向きに屈曲されるように構成されている。作業チャネル106内にあるときに、ロックばね16は、リトラクタ本体3の外側表面12とアクセス部材102の内側表面116との間で環状にスライドするように位置決めされ得る。スライダ30は、ロックばね16からガイドスロット32内に、横断方向Tに沿って(すなわち、アクセス部材102の中心軸108に向かって)内向きに延在することができる。他の実施形態では、スライダ30は、ロックばね16から横断方向外向きに延在することができ、その実施形態では、リトラクタ本体3は、ロックばね16と内壁表面116との間に環状に位置決めされ得る。取り付け部材17は、近位延長部34などのグリップ部材を含み、医師が、リトラクタ本体3に対して長手方向Lに沿って取り付け部材17を操作することを可能にする。近位延長部34は、
図1Cを参照して上で説明される方式と同様に、近位方向Pにおけるそのプロファイルを低減するように、中心軸108から離れてどくように曲げられるように構成され得ると理解されたい。
【0065】
本実施形態のリトラクタ本体3は、作業チャネル106を通して自由に挿入されて、軟組織に係合することができ、そのように係合されると、ロックばね16が作業チャネル106内の所望の長手方向位置であって、ロック力を提供する位置まで、遠位方向Dに沿ってガイドスロット32に沿って前進させることができる取り付け部材17を受容することができる。その後、取り付け部材17の長手方向位置は、周囲の組織に応答するリトラクタのたわみを低減するなど、必要に応じて調整することができる。更に、リトラクタ本体3の遠位端6と軟組織との間の係合に対する後続の調整が所望される場合、取り付け部材17は、任意選択的にガイドスロット32と係合したままで、作業チャネル106から近位に引き抜くことができ、軟組織への調整が完了した後など、必要に応じて作業チャネル106内で再変換することができる。このようにして、軟組織の引き込みを再調整する間、取り付け部材17を作業チャネル106から引き抜き、医師が、必要に応じてリトラクタ本体3をより自由に操作することを可能にする。
【0066】
ここで
図3Dの図を参照すると、他の実施形態では、別個の取り付け部材17及びリトラクタ2は、作業チャネル106内で互いに磁気的に取り付けるように構成され得る。例えば、取り付け部材17のロックばね16の少なくとも一部分は、鉄(例えば、磁気)材料で構成することができ、リトラクタ2は、取り付け部材17(又はその鉄部分)への選択的な取り付けのための一連の磁石35を含むことができる。ロックばね16及びその近位延長部34を含む取り付け部材17は、他の方法で
図3A~
図3Cを参照して上で説明されるように、同様に構成され得る。本実施形態では、取り付け部材17を作業チャネル106内に挿入することができ、その後、作業チャネル106を通して、リトラクタ2を挿入して、軟組織を引き込むことができる。軟組織が係合した状態で、医師は、リトラクタ2を内壁表面116に向かって(したがって、ロックばね16に向かって)移動させることができ、磁石35のうちの選択された1つをロックばね16(又は少なくともその鉄部分)と磁気的に係合させることができ、それによってリトラクタを内壁表面116に取り付ける。追加の実施形態では、リトラクタ2は、鉄材料で構成することができ、ロックばね16は、1つ又は2つ以上の磁石を担持することができる。更なる実施形態では、リトラクタ2及びロックばね16は、それらの間の取り付けのために反対の極性磁石を担持することができる。
【0067】
ここで、
図4A~
図4Dを参照すると、外科用アクセスシステム100は、リトラクタ本体3に、その遠位端6で軟組織と係合して引き込むためなど、リトラクタ本体3を操作するために解放可能に連結された器具300を含むことができる。器具300は、器具300の後端304から器具300の前端306における連結機構308まで前方方向FDに沿って延在するハンドル302を含む。連結機構300は、器具300をリトラクタ本体3に解放可能に連結する。例えば、連結機構308は、以下でより詳細に説明されるように、器具300がリトラクタ本体3に堅固に連結されている連結構成(
図4A~
図4Cに示す)と、器具300がリトラクタ本体3から連結解除され、かつ取り外し可能である、連結解除構成(
図4Dに示す)とを反復するように構成されている。
【0068】
器具300はまた、リトラクタ本体3に連結された取り付けデバイス314を動作させるように構成され得る。上記のように、取り付けデバイス314は、リトラクタ本体3の遠位端6が、それによって引き込まれる軟組織と係合した後に、リトラクタ本体3を、アクセス部材102に、特に内壁表面116に取り付けるように構成されている。本実施形態では、取り付けデバイス314は、アクセス部材壁104の近位端110及び遠位端112にそれぞれ装着されるように構成されている近位マウント316及び遠位マウント318を有することができる。近位マウント316は、器具300の前端306に画定された1つ又は2つ以上の相補的な嵌合表面307と係合するように構成されている1つ又は2つ以上の嵌合表面317を画定する。嵌合表面307、317は、
図4Dに示すように、それぞれ軸方向及び長手方向と整列させることができ、器具300は、連結解除構成にあるときに、長手方向Lに沿って近位マウント316から持ち上げられることを可能にする。
【0069】
ここで
図4Eを参照すると、近位マウント316及び遠位マウント318は各々、取り付けデバイス314を(したがって、リトラクタ本体3も)壁104に固定する方式、アクセス部材102と、その近位端110及び遠位端112などにおいて係合するように構成されている係合部材320a、320bを含むことができる。示されるように、係合部材320a、320bの各々は、アクセス部材102のそれぞれの近位端110及び遠位端112にフック又は他の方法でラッチするように構成されているフックとすることができる。追加的に、近位マウント316及び遠位318の少なくとも1つ、例えばその係合部材320a、320bは、近位マウント316及び遠位マウント318が第1の距離L1だけ互いから長手方向に離間されたロック解除構成と、近位マウント及び遠位マウントが第1の距離L1よりも小さい第2の距離L2だけ互いから長手方向に離間されたロック構成との間で移動するように構成され得る。特に、第2の距離L2は、軸方向Xに沿った壁104の近位端110と遠位端112との間の距離に対応する。このようにして、近位マウント116及び遠位マウント118は、アクセス部材102に対して、リトラクタ本体3をそこに取り付けるための安全なグリップを達成するように構成され得る。
【0070】
外科用アクセスシステム100は、近位マウント316及び遠位マウント318の少なくとも1つをロック解除構成からロック構成に作動させるように構成されているアクチュエータ330を含む。例えば、近位マウント316は、係合部材320aに連結されるマウントベース322を含むことができる。例示する実施形態では、アクチュエータ330は、マウントベース322と係合部材320aとの間に延在し、これらを一緒に接続する。追加的に、アクチュエータ330は、ロック解除構成とロック構成との間のマウントベース322に対する係合部材320aの長手方向の移動を作動させるように構成されている。
【0071】
ここで
図4Fを参照すると、アクチュエータ330は、近位マウント316及び遠位マウント318の一方又は両方をロック構成又はロック解除構成のいずれかに付勢するための付勢機構331を含むことができる。例示する実施形態では、付勢機構331は、係合部材320aに付勢力を、マウントベース322から離れるように遠位方向Dなどの付勢方向に加えて、それによって係合部材320aをロック構成に作動させる一対のばね334などの少なくとも1つのばね334を含むばねアセンブリ332を含む。ばねアセンブリ332はまた、図示のようにばね334を通って中央に延在し、かつ長手方向Lに沿って、マウントベース322に向かい、またそこから離れるように係合部材320aの移動をガイドするように構成されている一対のガイドロッド336又はダボなどの1つ若しくは2つ以上のスプリングガイド部材336を含むことができる。
【0072】
器具300の連結機構308は、ロック構成とロック解除構成との間の近位マウント316及び遠位マウント318の一方又は両方の作動を引き起こすか、又は少なくともそれに寄与する方式でアクチュエータ330を移動させるように構成され得る。例えば、例示する実施形態では、連結機構308は、以下により詳細に説明されるように、マウントベース322に対する係合部材320aの移動を引き起こす方式で近位マウント316の係合部材320aに動作可能に接続されるように構成されている、一対のアーム340などの1つ又は2つ以上の移動部材を含むことができる。図示のように、アーム340は、横方向Aに沿って互いから離間され得、例えば、前方方向FDに沿った方向成分及び/又は前方方向FDとは反対の後方方向RDを少なくとも有するアーム並進方向に沿って、ハンドル302に対して並進可能であり得る。アーム340は、ハンドル302の本体305に画定されたガイドスロット342などの相補的なガイド形成物に沿って乗ることができる。ガイドスロット342及びアーム340は、図示のように、相補的なダブテール形状を有することができる。
【0073】
ここで
図4Gを参照すると、アーム340は、前方方向FD又は後方方向RDのいずれかに沿って付勢される中央アーム346にアーム340を連結することもできるヨーク部材344によって一緒に連結され得る。例示する実施形態では、連結機構308は、ハンドル本体305内の中央に画定されたスロット350に存在することができる、ばねなどのアーム付勢部材348を含む。描かれている付勢部材348は、中央アーム346に係合する圧縮ばねであり、中央アーム346、またアーム340をリトラクタ本体3との連結構成に向けて前方方向FDに付勢するようにする。本実施形態では、連結構成にあるときに、アーム340の遠位端341は、器具300をリトラクタ本体3に堅固に連結するマウントベース322と係合し、それに連結する。図示のように、連結構成にあるときに、アーム340の遠位端341は、マウントベース322における相補的な形状のレセプタクル326内に延在することができる(
図4Cの図も参照)。アーム340はまた、後方方向RDに並進して、アーム340の遠位端341をマウントベース322のレセプタクル326から引き出し、それによって器具300を連結解除構成に移動させるように構成されている。このようにして、アーム340は、連結機構308を連結構成と連結解除構成との間で反復するために、前方方向FD及び後方方向RDに並進させることができる。アームの外側表面は、アーム340の手動引き込みを容易にするために、鋸歯などのグリップ強化特徴部352を含むことができる。
図4Dに示すように、アーム340の遠位端341がマウントベース322のレセプタクル326から離れているときに、器具300は、アクセス部材102に取り付けられたままである取り付けデバイス314から離れる方向に移動され得る。
【0074】
ここで
図4Hの図を参照すると、連結機構308は、マウントベース322と連結構成にあるが、器具300はまた、係合部材320aを、ロック解除構成などに対して、マウントベース322に対して移動させるためにアクチュエータ330と係合するように構成され得る。図示のように、中央アーム346は、付勢機構331の戻り部材335に動作可能に接続され得る。戻り部材335は、係合部材320aをロック解除構成に移動させるように、係合部材320aを、遠位方向Dと反対の近位方向Pなどの付勢方向と反対の方向にマウントベース322に向かって移動させるように構成されている。戻り部材335は、近位マウント316の係合部材320aから近位に延在し、器具300の前端306の開口部309を通って、ハンドル本体305内に画定されたチャンバ311内に延在する細長い部材であり得る。開口部309は、ハンドル本体305と近位マウント316の基部部材322との間に画定され得る。戻り部材335は、図示のように、係合部材320aとモノリシックであり得るか、又は代替的に、係合部材320aに接続された別個の部材であり得る。
【0075】
器具300は、中央アーム346を戻り部材335に接続するコネクタ337を含むことができる。コネクタ337の前端337aは、図示のように、連結機構308が連結構成にあるときに、戻り部材335によって画定された凹部339内に存在するように構成され得る。コネクタ337の前端337a及び凹部339は、前端337aが凹部339内に存在するときに、コネクタ337が、戻り部材335をロック解除構成で(付勢力に対して)保持するように、相補的な形状を有することができる。器具300は、ロック構成とロック解除構成との間で近位マウント316の係合部材320aを反復させるように構成されている、ボタン360などの第2のアクチュエータを含むことができる。ボタン360は、近位マウント316がロック構成にある第1又はニュートラルボタン位置と、近位マウント316がロック解除構成にある第2又は押下ボタン位置との間で反復するように構成され得る。特に、ボタン360は、ハンドル本体305内に画定されたボタンばねレセプタクル364内に存在することができるばね362などのボタン付勢部材によって、ニュートラル及び押下ボタン位置のうちの1つに付勢され得る。
【0076】
ボタン360は、中央アーム346にまたがる一対の脚部366などの1つ又は2つ以上の延長部又は脚部366を含むことができる。ボタン脚部366のうちの少なくとも1つは、コネクタ337内に画定された相補的な溝369に沿って乗るように構成されているカム突出部367を含むことができる。コネクタ337は、ピンジョイント347を介して中央アーム346に枢動可能に連結することができ、ボタン360が押下されると、カム367及び溝369の係合は、ピンジョイント347を中心として、コネクタ337を枢動し、コネクタ337の前端337aが付勢力に対して戻り部材335を近位方向Pに引っ張って、それによって近位マウント316の係合部材320aにロック解除構成に移動させるようにする。追加的に、ボタン360がそのニュートラル位置まで反復すると、カム367及び溝369の係合は、ピンジョイント347を中心として、コネクタ337を反対に枢動させ、それによって付勢機構331が係合部材320aをロック構成に戻すことを可能にする。したがって、医師は、ボタン360を動作させて、必要に応じて近位マウント316をロック構成とロック解除構成との間で移動させることができる。コネクタ337の前端337aは、器具300が連結解除構成にあるときに、後方方向RDにおいてレセプタクル339から離れているように構成されていることを理解されたい。したがって、アーム340を前方方向FD及び公報方向RDに移動させて、連結構成と連結解除構成との間で連結機構308を反復させると、コネクタ337を戻り部材335に係合及び係合解除する。
【0077】
ここで、治療部位において軟組織を引き込むための器具300の動作について説明する。器具300を使用して、作業チャネル106を通して、リトラクタ本体3を挿入して、軟組織と係合して引き込むことができる。特に、医師は、リトラクタ本体3を操作して、ハンドル302を介して軟組織と係合して引き込むことができる。軟組織が係合されると、医師は、器具300を使用して、軟組織を壁104に向かって引っ張ることができる。取り付けデバイス314の設計により、医師が、最初に近位マウント316又は遠位マウント318をアクセス部材102のそれぞれの近位端110又は遠位端112に固定するかどうかを選択することを可能にする。選択されたマウント316、318は、端部110、112をマウント316、318のフック320a、320bと係合することによって、アクセス部材102のそれぞれの端部110、112に固定される。選択されたマウント316、318をアクセス部材102のそれぞれの端部110、112に固定するために、医師はボタン360を押して、近位マウント316の係合部材320をロック解除構成に移動させることができる。マウント316、318のうちの一方が固定された状態で、医師は、任意選択的に、固定マウント316、318を枢軸又は支点として使用して、近位マウント316及び遠位マウント318の他方をアクセス部材102のそれぞれの端部110、112と整列させることができると理解されたい。両方のマウント316、318がアクセス部材102の端部110、112と整列した状態で、医師は、ボタン360を解放することができ、それによって、マウント316、318の両方がロック構成でアクセス部材102の端部110、112に固定されるまで、マウント316、318間の長手方向距離を低減する方式で、付勢機構331が近位係合部材320aをマウントベース322から離れる方向に付勢することを可能にする。
【0078】
ここで、
図4I~
図4Kを参照すると、取り付けデバイス314は、壁104に取り付けられている間、アクセス部材102に対して長手方向Lに沿ったリトラクタ本体3の並進を可能にするように構成され得る。例えば、取り付けデバイス314は、近位マウント316から遠位マウント318まで作業チャネル106内に延在する、一対のロッドなどの1つ又は2つ以上の細長い部材370を含むことができる。ロッド370は、リトラクタ本体3がロッド370の間に延在することができるように、横方向Aに沿って互いから離間される。近位マウント316及び遠位マウント318の一方又は両方は、リトラクタ本体3の側部20、22と係合するガイドシュー372などのガイド特徴を含むことができる。例えば、ガイドシュー372及びリトラクタ本体3の側部20、22は、長手方向Lに沿ってリトラクタ本体3の並進をガイドするために相補的な形状を有することができる。近位マウント316及び遠位マウント318の一方又は両方はまた、長手方向Lに沿ってその並進移動3を更にガイドするためのリトラクタ本体3との相補的な形状を有するガイドチャネル374を画定することができる。
【0079】
取り付けデバイス314は、リトラクタ本体3と取り付けデバイス314との間の相対的な長手方向位置を保持するための保持機構を含むことができる。例えば、
図4Hに示すように、基部部材322は、爪380の遠位の自由端に歯382を有する可撓性タブ又は爪380を含むことができる。歯382は、リトラクタ本体3がマウントベース322に対して並進するときに、リトラクタ本体3の外側表面12に画定された相補的なラチェット溝384の長手方向シリーズに連続的に係合するように構成されている。歯382及びラチェット溝384は、所望されるように、医師がリトラクタ本体3を取り付けデバイス314に対して長手方向に手動で並進させることを可能にする相補的な形状を有することができるが、医師がリトラクタ本体3を操作することを止めた後、リトラクタ本体3と取り付けデバイス314との間の相対的な長手方向位置を保持するのに十分な抵抗を提供する。歯382及びラチェット溝384の相補的な形状は、取り付けデバイス314とリトラクタ本体3との間の相対的な長手方向の移動に対する所望の量の抵抗を提供するように必要に応じて調整され得ると理解されたい。
【0080】
ここで
図5Aを参照すると、リトラクタ本体3に解放可能に連結された器具400を含む外科用アクセスシステム100の別の実施形態が示されている。上で説明される実施形態と同様に、器具400は、器具がリトラクタ本体3に連結されている連結構成と、器具400がリトラクタ本体3から連結解除され、取り外し可能である、連結解除構成との間で反復するように構成されている。簡潔にするために、以下の開示は、主に、この実施形態と
図4A~
図4Kを参照して上で説明される実施形態との間の相違点に注目する。
【0081】
本実施形態では、リトラクタ本体3は、器具400の動作とは無関係に、ロック構成とロック解除構成との間で動作可能である取り付けデバイス414を担持する。図示のように、取り付けデバイス414は、アクセス部材102の近位端110、遠位端112に係合するためのフックのような形状を各々有することができる近位マウント416及び遠位マウント418を含む。細長いアクチュエータ430は、遠位マウント418から近位に、近位マウント416によって画定されたレセプタクルを通って、近位マウント416から近位方向Pに離間された制御部材435まで延在する。細長いアクチュエータ430は、遠位マウント418に堅固に連結され、リトラクタ本体3及び近位マウント416に対して遠位マウント418をスライドさせて、アクセス部材102に取り付けるために、必要に応じて近位マウント416と遠位マウント418との間の長手方向の距離を調整するように構成され得るロッドとすることができる。制御部材435は、長手方向Lに沿った細長いアクチュエータ430のプッシュプッシュ動作を可能にするフィンガータブであり得る。
【0082】
器具400を使用して、作業チャネル106を通して、リトラクタ本体3を挿入して、軟組織と係合して引き込むことができる。上記のように、軟組織が係合されると、医師は、器具400を使用して、軟組織を壁104に向かって引っ張って、近位又は遠位のマウント416、418のいずれかを、最初に、端部110、112をマウント416、418のフックにフックすることによってアクセス部材102のそれぞれの近位端110又は遠位端112に固定することを選択することができる。この位置から、医師は、近位マウント416及び遠位マウント418の他方をアクセス部材102のそれぞれの端部110、112と整列させて、次いで、両方のマウント416、418がロック構成においてアクセス部材102の端部110、112に固定されるまで、マウント416、418間の長手方向距離を低減するように制御部材435を動作させることができる。近位マウント316及び遠位マウント318は、各々、好ましくは、少なくとも器具400が取り付けデバイス414から連結解除された後、長手方向Lに沿ってリトラクタ本体3の並進運動を更にガイドするために、リトラクタ本体3との相補的な形状を有するガイドチャネル474(
図5Bに示される)を画定する。
【0083】
ここで
図5Bを参照すると、器具400は、リトラクタ本体3に直接連結する連結機構408を含む。特に、器具400は、その前端406において装着スリーブ410を有する器具本体405を有する。装着スリーブ410は、近位方向Pに沿ってリトラクタ本体3の近位部分を受容するように構成されたているレセプタクル411を画定する。追加的に、連結機構408は、ピン軸435に沿って器具本体405内に画定されたピンレセプタクル424内に存在するロックピン422を含む。ピン軸425は、横断方向Tに沿って配向され得る。ピンレセプタクル424は、装着スリーブ410の前部分内に画定されたロック穴426と整列する。本実施形態では、リトラクタ本体3は、横断方向Tに沿って内側表面10から外側表面12まで延在するロックアパーチャ7を画定する。リトラクタ本体3の近位端4は、ロックアパーチャ7がロックピン422と整列するまで、装着スリーブ410内の近位方向Pに沿って挿入され得る。一旦整列されると、ロックピン422は、ピン422がロックアパーチャ7から離れている連結解除構成から、ロックピン422がリトラクタ本体3のロックアパーチャ7を通ってロック穴426に延在する連結構成に前進させることができる。
【0084】
ロックピン422は、ボタン軸465に沿った第1のボタン位置と第2のボタン位置との間のボタン460の移動によって、連結構成と連結解除構成との間で反復され得る。ボタン軸465は、ピン軸425に対してある角度で配向され得る。図示のように、ボタン460及びピン422は、ピン422から横方向に延在し、ボタン460の本体469に画定されたカム溝467に延在することができる相補的なカム機構を画定することができ。このようにして、その軸465に沿ったボタン460の反復運動は、連結構成と連結解除構成との間で、その軸425に沿ったロックピン422の反復運動を駆動することができる。ばねなどの付勢部材は、ボタン460と器具本体305との間に延在することができ、これは、カム機構と相補的な形式で動作して、連結構成と連結解除構成との間でロックピン422を効果的にトグルすることができると理解されたい。
【0085】
ここで
図6A~
図6Fを参照すると、上で説明される器具400は、遠位マウント418を近位マウント416に向かって引っ張り、取り付けデバイス414をロック構成に移動させるために、縫合糸部材431などの引張アクチュエータを使用するように構成され得る。そのような実施形態では、遠位マウント418は、縫合糸部材431の少なくとも一部分を受容するための1つ又は2つ以上の受容形成物を含むことができる。そのような受容形成物は、横方向Aに沿って互いから離間された一対のアパーチャ470などの遠位マウント418によって画定される1つ又は2つ以上のアパーチャ470を含むことができる。一対のアパーチャ470は、横断方向Tに沿った方向成分を少なくとも有する方向に沿って遠位マウント418の後方部分を通って延在することができる。縫合糸部材431は、近位マウント416に動作可能に連結され得る一対の縫合糸尾部434などの1つ又は2つ以上の縫合糸尾部434を画定するようにアパーチャ470に通され得る。近位マウント416は、縫合糸チャネル、クリートなどの1つ又は2つ以上の追加の受容形成物437を、1つ又は2つ以上の縫合糸テール434を受容しそれに固定するために含むことができる。器具400はまた、近位マウント416から延在する1つ又は2つ以上の縫合糸尾部434の自由端を受容及び/又は固定するための、チャネル、クリートなどの追加の受容形成物を含むことができ、医師が、1つ又は2つ以上の縫合糸テール434を、安全だがロック解除された構成において器具400に対して締め付けることを可能にする。
【0086】
図6Eに示すように、近位マウント416の1つ又は2つ以上の受容形成物437は、それぞれの縫合糸尾部434が摩擦を介してそれをロックすることができるように構成され得る。縫合糸部材431は、その第1の端439aから、近位マウント416における第1の受容形成物437を通って、長手方向Lに沿ってリトラクタ本体3に並んで、遠位マウント418におけるアパーチャ470を通って、再度リトラクタ本体3に並んで、近位マウント416に向かうように戻って、近位マウント416における第2の受容形成物437を通って、第1の端439aと反対の縫合糸部材431の第2の端439bまで延在することができる。このようにして、第2の端439bに隣接する縫合糸尾部434は、医師によって操作されて、縫合糸部材431に張力をかけ、遠位マウント418を近位マウント416に向かって引っ張り、それによって取り付けデバイス414をロック構成に移動させることができる。ロック構成にあると、第2の端部439bに隣接する縫合糸尾部434を第2の受容形成物437に固定することができ、それによって取り付けデバイス414をロック構成にロックすることができる。縫合糸部材431の第1の端439aは、第1の端部439aを第1の受容形成物437において保持するための結び目に結び付けるか、又は他の方法で構成することができると理解されたい。更に、縫合糸部材431の第2の端部439bは、縫合糸部材431に張力をかけて医師を支援するために、剛性リング又はループなどの引張部材に任意選択的に連結され得る。
【0087】
ロック解除構成では、器具400を使用して、作業チャネル106を通して、リトラクタ本体3を挿入して、軟組織と係合して引き込むことができる。軟組織が係合されると、医師は、器具400を使用して、軟組織を壁104に向かって引っ張ることができる。このプロセスの間、医師は、端部をマウント416、418のフックにフックするなどによって、近位マウント416及び遠位マウント418のうちの少なくとも1つをアクセス部材102のそれぞれの近位端110及び/又は遠位端112に固定することを選択することができる。上記のように、取り付けデバイス414の設計は、医師が近位マウント416又は遠位マウント418のいずれかを最初にそれぞれの端部110、112にフックすることを可能にする。この位置から、医師は、近位マウント416及び遠位マウント418の他方をアクセス部材102のそのそれぞれの端部と整列させて、次いで、第2の端部439bに隣接して自由縫合糸尾部434を引っ張ることなどによって、
図6Dに示すように、近位マウント416及び遠位マウント418がロック構成でアクセス部材102の端部110、112に固定されるまで、縫合糸部材431に引張力を加えることができる。この位置から、医師は、自由縫合糸尾部434を近位マウント416の第2の受容形成物437に固設することができ(両方の縫合糸434が近位マウント416に固定されるようにする)、それによってマウント416、418をロック構成に維持することができる。医師はまた、器具400の受容形成物から縫合糸尾部434の端部439a、bの一方又は両方を取り外すことができ、器具400が、ロック構成に固定された近位マウント416及び遠位マウント418で近位マウント416から連結解除することを可能にする。
【0088】
上で説明されるものと同様に、近位マウント416及び遠位マウント418は、各々、好ましくは、器具400が近位マウント416から連結解除された後、マウント416、418に対して長手方向Lに沿ってリトラクタ本体3の並進運動をガイドするために、リトラクタ本体3を有する相補的な形状を有するガイドチャネルを画定する。例えば、
図6Fに示すように、近位マウント416及び遠位マウント418の一方又は両方は、リトラクタ本体3をチャネル474内に保持するキーストン様チャネル側壁475を有するチャネル474を画定することができ、その一方で、マウントに対するリトラクタ本体3の長手方向の並進を可能にする。追加的に、リトラクタ本体3の外側表面12は、縫合糸部材431を受容するように構成されている長手方向チャネル又は溝492を任意選択的に画定することができる。本実施形態の器具400は、リトラクタ本体3に直接連結し、かつそこから連結解除することを選択的に行うために、
図5Bを参照して上で説明される連結機構408と同じ又は同様の連結機構を使用することができることも理解されたい。そのような実施形態では、近位マウント416は、連結機構の装着スリーブ410に堅固に固設され得る。更に、
図6A~
図6Fを参照して上で説明される器具400は、非限定的な例として、代替的に、弾性バンドなどの弾性部材である引張アクチュエータを使用するように構成され得ることが更に理解されよう。
【0089】
ここで
図7A~
図7Cを参照すると、外科用アクセスシステム100は、近位マウント716及び遠位マウント718を有し、ロック構成でマウント716、718をアクセス部材102に固定するために、ラチェット又はラチェット様機構などの保持機構を使用する取り付けデバイス714を含むことができる。
図4A~
図6Dを参照して上で悦明される実施形態と同様に、本実施形態の近位マウント716及び遠位マウント718の一方又は両方は、ロック解除構成とロック構成との間を反復するように構成されている。追加的に、上記のように、マウント716、718は、ロック構成にあるときにアクセス部材102のそれぞれの近位端110及び遠位端112にフックするか、ラッチするか、又はその他の方法で固定するように構成されているフックなどの係合部材720a、720bを含む。簡潔にするために、以下の開示は、主に、本実施形態と
図4A~
図6Dを参照して上で説明される実施形態との間の相違点に注目する。
【0090】
図7Aに示されるように、近位マウント716及び遠位マウント718の各々は、長手方向Lに沿って細長く、マウント716、718に対するリトラクタ本体3の並進運動をガイドするためにリトラクタ本体3の外側表面12とコンフォーマルな形状になっている細長い本体部分719を含むことができる。細長い本体部分719a、719bは、作業チャネル106内に延在し、リトラクタ本体3とアクセス部材102の内壁表面116との間に存在するように構成されている。近位マウント716はまた、細長い本体部分719aから延在し、医師が治療部位において軟組織と係合するためにリトラクタ本体3を操作することを可能にするように構成された細長いハンドル部分702を含むことができる。例えば、細長いハンドル部分702は、医師の人差し指による操作のために構成され得る。
図7Bに示すように、ハンドル部分702は、他の実施形態において円形の形状を有することができる。更に他の実施形態では、ハンドル部分702は、細長い(
図7A)及び円形(
図7B)構成のうちの少なくとも1つと他の構成との間で偏向するように構成され得る。
【0091】
取り付けデバイス714は、遠位マウント718から近位に、近位マウント716を通って、及び/又はこれに並んで、近位マウント716から近位方向Pに離間された制御部材735まで延在する細長いアクチュエータ730を含む。図示のように、細長いアクチュエータ430は、遠位マウント718に堅固に連結され、遠位マウント718をリトラクタ本体3に沿って、かつ近位マウント716に対して並進させて、
図5Aを参照して上で説明されるものと同様に、ロック構成とロック解除構成との間でマウント716、718を反復するように構成され得る、一対のロッド731であり得る。上記のように、制御部材735は、長手方向Lに沿ったアクチュエータロッド731のプッシュプッシュ動作を可能にするフィンガータブであり得る。例えば、制御部材735は、医師の親指による操作のために構成され得、その一方で、ハンドル部分702は、医師の人差し指による操作のために構成され得る。
図7Cに示すように、アクチュエータロッド731は、リトラクタ本体3の外側表面12に画定されたガイドチャネル737を通って延在することができる。作動ロッド731はまた、近位マウント716の細長い本体部分719aによって画定される相補的なガイドチャネル739を通って延在することができる。このようにして、アクチュエータロッド731は、近位マウント716に対して遠位マウント716を並進させることができる。
【0092】
ここで、
図7D及び
図7Eの図を参照すると、リトラクタ本体3及び近位マウント716、718は、リトラクタ本体3をアクセス部材102に対して並進させるためなど、マウント716、718に対するリトラクタ本体3、及びその逆の並進移動をガイドするためのガイド特徴を含むことができる。例えば、リトラクタ本体3は、長手方向Lに沿って細長いスロット740を画定することができる。マウント716、718は各々、それぞれの細長い本体部分719a、719bから、及びスロット740内に延在し、スロットに沿って長手方向に乗るように構成されているスライド部材742を含むことができる。スロット740内で、リトラクタ本体3は、互いに向かって内向きに傾斜した側壁744を画定することができ、スライド部材742は、側壁744の傾斜した形状とダブテール様式で相補的なフレア状の形状を有することができる。このようにして、側壁744は、スロット740内にスライド部材742を保持することができ、したがって、リトラクタ本体3の外側表面12と係合した近位マウント716及び遠位マウント718も保持する。
【0093】
ここで、
図7F~
図7Hを参照すると、近位マウント716と遠位マウント718との間の相対的な長手方向位置を選択的に保持するための保持機構が説明される。リトラクタ本体3は、例えば、スロット740と並んで長手方向に配置され、近位マウント716及び遠位マウント718のうちの少なくとも1つの少なくとも1つの相補的なラチェット歯752と係合するように構成されている一連のラチェット溝750を画定することができる。ラチェット溝750は、リトラクタ本体3の外側表面12において画定され得、また、スロット740内の側壁744によって少なくとも部分的に画定され得る。
【0094】
図7G及び
図7Hに示すように、ラチェット歯752は、可撓性タブ754から延在することができ、これはまた、「爪」と称され得、近位マウント716の細長い本体部分719aによって画定され得る。ラチェット歯752は、近位マウント716がリトラクタ本体3に対して長手方向に並進するときに、連続してラチェット溝750の少なくとも1つ及び最大各々に選択的に係合するように構成されている。ラチェット歯752は、爪754の第2の端部758と反対の爪754の第1の端部756に位置することができる。第2の端部758は、近位マウント716のフック320aを含むことができる。爪754は、細長い本体部分719aによって画定される切り欠き760の凹部内に存在することができる。爪754は、横方向Aに沿って互いに向かい合う一対のアーム762によって、細長い本体部分719aの残りの部分に接続され得る。一対のアーム762は、爪752に、長手方向及び横断方向Tによって画定される平面に沿って回転のための可撓性を提供することができる。このようにして、爪754は、歯752が、ラチェット溝750のうちの1つの中に存在し、近位マウント716とリトラクタ本体3との間の相対的な長手方向位置を保持するようにするニュートラル構成又は係合構成(
図7Gに図示)と、歯752がラチェット溝750の各々から離れている屈曲又は係合解除構成との間で反復するように構成され得る。
【0095】
歯752及びラチェット溝750は、リトラクタ本体3に対する近位マウント716の近位又は遠位の移動に対する実質的に同等の抵抗を提供する相補的な機械的形状を有することができる。歯752及びラチェット溝750の相補的な形状は、近位マウント716とリトラクタ本体3との間の相対的な長手方向の移動に対する所望の量の抵抗を提供するように必要に応じて調整され得ると理解されたい。他の実施形態では、歯752及びラチェット溝750は、係合構成においてリトラクタ本体3に対する近位マウント716の近位移動を防止する相補的な形状を有することができる。そのような実施形態では、爪754は、任意選択的に、爪754を係合解除構成に手動で回転させるための係合解除特徴を含むことができる。前述の実施形態の保持機構は、歯752がラチェット溝750の内外に連続的に「クリック」するときに、近位マウント716とリトラクタ本体3との間の相対的な長手方向の移動に関する可聴及び/又は触覚フィードバックを提供することができると理解されたい。他の実施形態では、互いに対する近位マウント716及び遠位マウント718の制御された移動は、摩擦ベースの保持機構で使用され得ると理解されたい。
【0096】
ここで、本実施形態のリトラクタ2の動作について説明する。ハンドル部分702を使用して、作業チャネル106を通して、リトラクタ本体3を挿入して、軟組織と係合して引き込むことができる。軟組織が係合されると、医師は、ハンドル部分702を使用して、軟組織を壁104に向かって引っ張って、近位又は遠位のマウント716、718のいずれかを、最初に、端部110、112をマウント716、718のフックにフックすることによってアクセス部材102のそれぞれの近位端110又は遠位端112に固定することを選択することができる。この位置から、医師は、近位マウント716及び遠位マウント718の他方をアクセス部材102のそれぞれの端部110、112と整列させて、次いで、制御部材735を動作させて、マウント716、718間の長手方向距離を低減し、それによって両方のマウント716、718がロック構成においてアクセス部材102の端部110、112に固定されるまでラチェット歯752をラチェット溝750と連続的に係合させることができる。
【0097】
それぞれの取り付けデバイス314、414、714がアクセス部材102の端部110、112に取り付けられる、
図4A~
図7Hを参照して上で説明される実施形態の各々は、複数のリトラクタ2をアクセス部材102の様々な選択された円周位置に同時に取り付けることを可能にすることを理解されたい。
【0098】
ここで、
図8A~
図8Cを参照すると、外科用アクセスシステム100は、リトラクタ本体3をアクセス部材102の内壁116の周部分に選択的に取り付けるように構成されている吸引取り付けデバイス814を含むことができる。例えば、リトラクタ本体3は、リトラクタ本体3の外側表面12に画定された複数の真空ポート818と流体連通する内部チャンバ816を画定することができる。内部チャンバ816はまた、管822に接続可能な近位ポート820と流体連通もしており、管822は真空ポンプなどの真空源824に接続可能である。複数のリングシール826は、真空ポート818に位置し、リングシール826が内壁表面116と接触し、真空源824が内部チャンバ816に、したがって真空ポート818に真空圧力を供給するときに、内壁表面116との封止係合を提供するように構成されている。吸引取り付けデバイス814は、リトラクタ本体3が吸引取り付けデバイス814を介してアクセス部材102に取り付けられたままである間に、リトラクタ本体3がアクセス部材102に対して少なくとも長手方向に並進することを可能にする調整された十分な吸引力を提供するように構成され得る。本実施形態は、複数のリトラクタ2を、内壁表面116の様々な選択された円周位置に同時に吸引を介して取り付けることを可能にすると理解されたい。
【0099】
ここで、
図9A~
図9Cを参照すると、外科用アクセスシステム100は、リトラクタ本体3をアクセス部材102の周部分に選択的に取り付けるために、突出部920と開口部922との間の嵌合係合を使用する取り付けデバイス914を含むことができる。例えば、内壁表面116及びリトラクタ本体3のうちの少なくとも1つは、1つ又は2つ以上の開口部922を画定することができ、内壁表面116及びリトラクタ本体3の他方は、1つ又は2つ以上の開口部922と相補的な1つ又は2つ以上の突出部920を含むことができる。言い換えれば、1つ又は2つ以上の突出部920は、リトラクタ本体3をアクセス部材102に連結するように、1つ又は2つ以上の開口部922内に挿入するように構成されている。
【0100】
図9Aに示すように、アクセス部材102の壁104は、開口部922のアレイ924を画定することができ、リトラクタ2は、開口部922の選択的なもの内に係合するための一連の突出部920を含むことができる。突出部920は、リトラクタ本体3によって画定され、及びリトラクタ本体3とモノリシックにすることができるか、又はリトラクタ本体3に接続可能なインサートによって担持することができる。突出部920は、リトラクタ本体3の外側表面12から外向きに延在し、長手方向Lに沿って互いに整列されている。開口部922は各々、その内側表面116から壁内に外向きに延在することができる。アレイ924は、開口部922の1つ又は2つ以上の列926と、開口部922の1つ又は2つ以上の列928と、を含むことができる。各列926では、開口部は、長手方向Lに沿って互いに整列することができる。したがって、各列926は、アレイ924内の開口部922の長手方向に整列したサブセットを画定するものとして特徴付けられ得る。列926は、壁104に沿って互いから円周方向に離間される。各列928において、開口部922は、横方向Aに沿って整列され得る。したがって、各列928は、アレイ924内の開口部922の横方向に整列されたサブセットを画定するものとして特徴付けられ得る。行928は、アクセス部材2の軸方向Xに沿って(また、リトラクタ2がアクセス部材102に取り付けられたときにリトラクタ2の長手方向Lに沿って)互いから離間される。
図9Aに例示する実施形態では、突出部920は、リトラクタ本体3をアクセス部材102の周部分に選択的に取り付けるために、列926のいずれか1つ内に挿入のために構成されている。リトラクタ2は、列926における開口部922の数よりも少ない突出部920を有することができると理解されたい。そのような実施形態では、リトラクタ2はまた、選択された深さ(すなわち、選択された長手方向位置)においてアクセス部材102に選択的に取り付けられ得る。
【0101】
突出部920は、任意選択的に、リトラクタ2から延在するステム930と、ステム930の外側端部に位置し、ステム930よりも広いヘッド932とを画定することができる。
図9Bに示すように、開口部922は、内壁表面116から外壁表面114まで壁104を通って半径方向に延在することができる。そのような実施形態では、突出部920は、ステム930が開口部922を通って延在し、リトラクタ本体3がアクセス部材102に取り付けられたときに、ヘッド932の少なくとも一部分が外壁表面114の半径方向外向きに位置するように構成され得る。図示のように、ステム930は、ヘッド932全体が壁102の半径方向外向きに位置するように十分に長くすることができる。そのような実施形態では、ヘッド932の少なくとも一部分は、リトラクタ2がアクセス部材壁104に取り付けられたときに、アクセス部材102の軸方向Xに沿って(したがって、リトラクタ2の長手方向Lにも沿って)壁104の少なくとも一部分と重なり合うことができる。したがって、突出部920及び開口部922は、横断方向Tに沿ったアクセス部材壁104からのリトラクタ2の不注意な取り外しに抵抗するように協働的に構成され得る。
【0102】
他の実施形態では、
図9Cに示すように、開口部922は、内壁表面116から延在し、外壁表面114の半径方向内向きの位置で終端することができる。そのような実施形態では、開口部922は、上記のように、嵌合ヘッド932の一部分を受容するように構成されている軸方向レセプタクル934を含むことができ、そのため、ヘッド932の少なくとも一部分が、それぞれ軸方向X及び長手方向Lに沿って壁104の少なくとも一部分と重なる。リトラクタ2の頑丈で選択的な取り付け部をアクセス部材壁104に提供するための他の相補的な突出部920及び開口部922の形状は、本開示の範囲内であると理解されたい。他の実施形態では、突出部920は、アクセス部材102の内壁表面116から内向きに延在することができ、開口部922は、リトラクタ本体3内に画定され得ると理解されたい。
【0103】
本実施形態の外科用アクセスシステム100を使用する外科処置では、医師は、作業チャネル106を通して、リトラクタ本体3を挿入して、軟組織と係合して引き込むことができる。軟組織が係合されると、医師は、リトラクタ2の近位端4を操作して、軟組織を壁104に向かって引っ張ることができる。特に、医師は、リトラクタ2の突出部920と連結するための所望の引き込み方向と実質的に半径方向に整列する、内壁表面116における開口部922の列926を識別することができる。次いで、医師は、アクセス部材102に対してリトラクタ2の所望の長手方向位置において列926の選択開口部922内にリトラクタ2の突出部920を挿入し、それによって内壁表面116の選択された円周方向及び長手方向位置においてリトラクタ2を内壁表面116に固設することができる。必要に応じて軟組織を引き込むための同様の方式で、複数のリトラクタ2が内壁表面116に固設され得ると理解されたい。
【0104】
ここで、
図9D及び
図9Eを参照すると、1つ又は2つ以上の突出部920がアクセス部材102の近位表面111から近位に延在する追加の実施形態が示されている。近位表面111は、アクセス部材102の近位端110を画定することができる。そのような実施形態では、1つ又は2つ以上の突出部920は、近位表面111に沿って互いに円周方向に離間された複数の突出部920を含むことができる。近位表面111は、アクセス部材102の近位端110に位置するフランジ113によって画定され得る。本実施形態では、リトラクタ本体3は、内側表面10から外側表面12まで延在する1つ又は2つ以上の開口部922を画定する。特に、本実施形態のリトラクタ本体3は、
図1Cの図を参照して上で説明されるように、リトラクタ本体3の第1又は近位部分3aがリトラクタ本体3の第2又は遠位部分3bに対して角度的にオフセットされるように、予め曲がっているか、又は曲げることができる。近位部分3aは、軸方向Xに沿って延在する少なくとも1つの開口部922を画定し、したがって、リトラクタ本体3をアクセス部材102の関連する選択された周部分に取り付けるために突出部920のうちの選択された1つと嵌合することができる。図示のように、リトラクタ本体3の近位部分3a及び遠位部分3bは、L-T平面において互いから角度的にオフセットされ得、そのため、遠位部分3bは、実質的に軸方向Xに沿って作業チャネル106を通って延在し、その一方で近位部分3aは、半径方向Rに沿って(又は少なくとも半径方向Rに沿った方向成分を有する方向に沿って)細長い。
【0105】
リトラクタ本体3が予め曲がっている実施形態では、近位部分3aは、単一の開口部922を画定する。リトラクタ本体3が曲げることができる実施形態では、リトラクタ本体3は、長手方向Lに沿って直列に離間された複数の開口部922を画定することができ、医師が、選択した長手方向位置においてリトラクタ本体3を曲げて、近位部分3a及び遠位部分3bのそれぞれの長さを画定し、それによってリトラクタ本体3に取り付けられたときに遠位部分3bの挿入深さを画定する。上記のように、突出部920は、ステム930及びヘッド932を有することができ、リトラクタ本体3がアクセス部材102に取り付けられるときに、ヘッド932が半径方向Rに沿ってリトラクタ本体3の少なくとも一部分と重なることができるように、開口部922と協調して構成され得ると理解されたい。そのような重なりは、リトラクタ本体3とアクセス部材102との間の取り付けの頑丈さを増加させることができる。
【0106】
図9D及び
図9Eに示される実施形態の使用中、医師は、リトラクタ2の開口部922と連結するための所望の引き込み方向と実質的に半径方向に整列する近位表面111の突出部920を識別することができる。医師は、作業チャネル106を通して、リトラクタ本体3を挿入し、半径方向Rに軟組織と係合して引き込み、リトラクタ本体3の遠位部分3bを内壁表面に向かわせることができる。リトラクタ本体3が予め曲がっている実施形態では、前述の工程はまた、曲げられた近位部分3aにおける開口部922を選択された突出部920と整列させる。リトラクタ本体3を曲げることが可能である実施形態では、医師は、選択された長手方向位置でリトラクタ本体3を曲げて、遠位部分3bをアクセス部材102に対して所望の軸方向深さに提供することができる。いずれの実施形態においても、遠位部分3bが軟組織と係合し、内壁表面116の選択周部分に向かって移動すると、医師は、近位部分3aを移動させることができ、開口部922が選択された突出部920を受容し、それによって、所望されるように、リトラクタ本体3をアクセス部材102に取り付けるようにする。必要に応じて軟組織を引き込むための同様の方式で、複数のリトラクタ2がアクセス部材102に固設され得ると理解されたい。
【0107】
ここで、
図10A及び
図10Bを参照すると、外科用アクセスシステム100の取り付けデバイス1014は、第1又は挿入構成でアクセス部材102の作業チャネル106に挿入され、次いで、リトラクタ本体3を内壁表面116に対して押し付け、そこに固定するために、第2又は展開構成に変形するように構成された可撓性ワイヤ1050を含むことができる。例えば、ワイヤ1050は、例えば、1つ又は2つ以上のコイルなどのニュートラル形状に予め形成され得、例えば、次いで、ワイヤ1050を挿入構成で維持する導入器具1070(本明細書では導入器1070とも称される)に装填され得る。導入器1070、又はその少なくともその端部分は、作業チャネル106内に挿入され得、ワイヤ1050は、導入器1070から作業チャネル106内に展開(すなわち、排出)され得、ワイヤ1050は、その挿入構成から展開構成に弾性変形する。この変形は、ワイヤ1050に、内壁表面116の周りに円周方向に延在する1つ又は2つ以上のコイルを形成させ、ワイヤ1050がそのニュートラル構成に戻るように試みたときに、リトラクタ本体3を内壁表面116に対してしっかりと押す半径方向外向きばね力Fを発揮することができる。他の実施形態では、ワイヤ1050は、ニュートラル構成にあるときに螺旋ばねとして構成することができ、挿入構成にあるときにそのばね直径を低減するように螺旋状に更にねじることができる。作業チャネル106内の所望の位置に挿入されると、ワイヤ1050は、作業チャネル106内で展開構成に拡張するように解放され得る。ワイヤ1050は、非限定的な例として、ニチノールなどの生体適合性でもある形状記憶材料で構成することができると理解されたい。
【0108】
ワイヤ1050は、展開構成で実質的に純粋にコイル状の形状を有することができる。他の実施形態では、
図10C及び
図10Dの図に示されるように、ワイヤ1050は、展開構成にある代替形状を有することができる。例えば、ワイヤ1050は、展開構成にあるときに、ワイヤ1050が、リトラクタ本体3の長さに沿って係合するように構成された長手方向部分1052と、アクセス部材102の内壁表面116と係合するように構成された1つ又は2つ以上のアーム部分1054とを画定することができるように構成され得る。他の展開構成も本開示の範囲内であると理解されたい。
【0109】
先行の実施形態のいずれかのリトラクタ本体3は、非限定的な例として、金属、ポリマー、複合材料、又は前述の任意の組み合わせを含む生体適合性材料で構成され得る。
【0110】
上で説明されるリトラクタ2及び取り付けデバイス14、314、414、714、814、914は、円周方向及び長手方向を含むアクセス部材102に対するリトラクタ2の選択的配置を可能にし、したがって、軟組織の引き込みを微制御するための患者の解剖学的構造と同様に、リトラクタ2の選択的配置を可能にすると理解されたい。このような軟組織引き込みの微制御は、とりわけ、治療部位における軟組織の切除(除去)の必要性を低減するため、特に有益である。
【0111】
ここで、
図11A及び
図11Bを参照すると、上で説明される実施形態のいずれかのリトラクタ部材2は、導電性であり、かつリトラクタ2の遠位端12に、又はそれに隣接して位置する少なくとも1つのセンサ1102を含むことができる。センサ1102は、’253参照においてより完全に説明されているように、神経組織周りに(例えば、回避する)リトラクタ2をナビゲートし、リトラクタ2で神経組織を安全に引き込む、及び/又は治療部位における神経組織の健康を評価するために、治療部位における神経監視(例えば、神経組織の存在、近接、健康、及び/又は他の属性を検出するために)に使用され得る。センサ1102は、単一のセンサ又は複数のセンサを含むことができると理解されたい。センサ1102は、リトラクタ2の近位端10に、又はそれに隣接して位置する導線1104と電気通信することができ、センサによって取得された電気情報を制御ユニット1106に送信するように構成されており、これは、電気情報を解釈するためのプロセッサ1108を使用することができる。
【0112】
図11Aに示すように、センサ1102を使用する1つのそのような実施形態では、リトラクタ2は、導電性材料で構成されたリトラクタ本体3を含むことができる。リトラクタ2はまた、リトラクタ本体3の主要部分3iの上に配設された電気絶縁性シース1110を含むことができる。シース1110は、センサ1102を画定するリトラクタ本体3の露出部分3jを提供するように構成され得る。露出部分3jは、シース1110から遠位端12まで延在することができる。シース1110はまた、シース1110から近位端10まで延在することができる、導線1104を画定するリトラクタ本体3の別の露出部分3kを提供するように構成され得る。シース1110の代替として、リトラクタ本体3は、露出部分がセンサ1102を画定又は担持することができる遠位端12に、又はそれに隣接してリトラクタ本体3の露出部分を提供するように形成又は仕上げられ得る、絶縁性材料の層でコーティングすることができると理解されたい。コーティングはまた、導線1104を提供するために、近位端12に、又はそれに隣接してリトラクタ本体3の追加の露出部分を提供するように構成され得る。
【0113】
図11Bに示すように、センサ1102を使用する別の実施形態では、リトラクタ2は、電気絶縁性材料で構成されているリトラクタ本体3を含むことができ、センサ1102は、その遠位端12に、又はそれに隣接してリトラクタ本体3の上に配設されるか、又はその中に埋め込まれ得る。導線1104はまた、その近位端10などのリトラクタ本体3の上に配置されるか、又はその中に埋め込まれ得る。リトラクタ2は、センサ1102から導線1104まで、リトラクタ本体3に沿って又はそれを通って延在するワイヤ又はトレースなどの電気伝達要素を含むことができる。
【0114】
上で説明される絶縁材料は、非限定的な例として、パリレン、シリコーンゴム、フルオロポリマー、及びエラストマーを含むことができる。センサ1102を使用する他の実施形態では、センサ1102は、制御ユニット1106及び/又はプロセッサ1108と無線通信することができると理解されたい。
【0115】
ここで、
図12A~
図12Eを参照すると、更に他の実施形態では、外科用アクセスシステム100の取り付けデバイス1214は、リトラクタ本体3の近位端4から延在するテザー1211を含むことができる。
図12Aに示すように、リトラクタ本体3は、長手方向Lに沿って延在し、リトラクタ本体3の外側部をブラケットすることなどによってリトラクタ本体3を担持する遠位の細長い部分1205を含むことができる器具1200によって担持され得る。遠位の細長い部分1205は、アクセス部材102内に挿入して、軟組織をリトラクタ本体3と係合するように構成されている。リトラクタ本体3は、リトラクタ本体3の外側表面12から延在することができるフックなどの遠位マウント1218を画定することができる。追加的に、近位端1218は、アクセス部材102の遠位端112に係合するように構成され得る。追加的又は代替的に、遠位マウント1218は、
図12D及び
図12Eに示すように、アクセス部材102の壁104に画定された複数のスロット1220のうちのいずれかと選択的に係合するように構成され得る。
【0116】
テザー1211は、非限定的な例として、ワイヤ、縫合糸部材、ストリング、又はコードであり得る。代替的に、
図12Cに示すように、テザー1211は、弾性バンドなどのバンドであり得る。テザー1211は、アクセス部材102によって画定されるか、又はそれによって担持される1つ若しくは2つ以上の受容形成物1215に固定するように構成され得る。受容形成物1215は、アクセス部材102の外部に画定され得るか、又はそれによって担持され得る、レセプタクル、チャネル、クリートなどであり得る。代替的に、
図12Dに示すように、受容形成物1215は、任意選択的に、アクセス部材102に接続されたアクセス部材ホルダ1260に画定されるか、又はそれによって担持され得る。
図12Eに示すように、受容形成物1215に代えて、又はそれに加えて、テザー1211は、例えば、ばねクリップ1270などの締結具でアクセス部材102の近位端110に固設され得る。
【0117】
本開示を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更、代用、及び改変を行い得る点を理解されたい。例えば、本明細書に説明される様々な実施形態の特徴は、本明細書に説明される他の実施形態のうちの1つ以上、最大ではそのすべてに組み込むことができる。更に、本開示の範囲は、本明細書に説明される特定の実施形態に限定されるものではない。当業者がそのプロセスから容易に理解するように、本明細書において説明される対応する実施形態と実質的に同じ機能を実施する、又は実質的に同じ結果を達成する、現在存在する又は後に開発される機械、製造法、組成物、手段、方法、又は工程は、本開示に従って利用され得る。
【0118】
〔実施の態様〕
(1) アクセス部材のチャネルを通して挿入され、かつ前記チャネルを通してアクセス可能な治療部位において軟組織を移動させるように構成されているリトラクタ部材であって、
長手方向に沿って互いから離間された近位端及び遠位端を有する、本体であって、前記遠位端が、リトラクタブレードを画定し、前記本体が、前記長手方向に実質的に垂直な横断方向に沿って互いに反対の第1の表面及び第2の表面を画定する、本体と、
前記本体を前記アクセス部材の一部分に選択的に取り付けるように構成された取り付けデバイスであって、そのため、前記本体が、作業チャネルを通って延在可能であり、前記本体が前記アクセス部材の前記一部分に取り付けられている間に、前記長手方向に沿って前記アクセス部材に対して並進可能である、取り付けデバイスと、を備える、リトラクタ部材。
(2) 前記本体が、前記長手方向及び前記横断方向に実質的に垂直な横方向に沿って互いから離間された第1の側部及び第2の側部を有し、前記取り付けデバイスが、前記近位端と前記遠位端との中間に位置する前記本体の長手方向部分において、前記第1の側部及び前記第2の側部のうちの少なくとも1つから延在し、そのため、前記取り付けデバイスが、前記リトラクタ部材を前記アクセス部材の内側表面に固定するために前記作業チャネル内に存在するように構成されている、実施態様1に記載のリトラクタ部材。
(3) 前記取り付けデバイスが、前記長手方向部分において、それぞれ、前記第1の側部及び前記第2の側部から各々円周方向に延在する一対のウィングを備え、前記一対のウィングが、順応性であり、前記一対のウィングが前記チャネル内に配設されたときに、前記アクセス部材の前記内側表面によってニュートラル構成から屈曲構成に互いに向かって内向きに屈曲するように構成されており、そのため、前記一対のウィングの戻り力が、前記本体を前記アクセス部材の前記一部分に取り付けるように、前記一対のウィングを前記アクセス部材の前記内側表面に係合させる、実施態様2に記載のリトラクタ部材。
(4) 前記長手方向部分において、かつ前記長手方向に直交する平面において、前記本体の前記第2の表面が、第1の半径を画定し、前記ウィングの外側表面が、前記一対のウィングが前記ニュートラル構成にあるときに、前記第1の半径よりも大きい別の半径を画定する、実施態様3に記載のリトラクタ部材。
(5) 前記本体が、前記一対のウィングから前記近位端まで延在する近位本体部分と、前記長手方向に沿って前記一対のウィングから前記遠位端まで延在する遠位本体部分と、を画定し、前記遠位本体部分及び前記近位本体部分が、互いから少なくとも部分的に円周方向にオフセットされている、実施態様3又は4に記載のリトラクタ部材。
【0119】
(6) 前記遠位本体部分及び前記近位本体部分が、互いから完全に円周方向にオフセットされている、実施態様5に記載のリトラクタ部材。
(7) 前記取り付けデバイスが、前記本体とは別個の取り付け部材を備え、前記取り付け部材が、
前記取り付け部材が前記本体に沿って、かつ前記チャネル内を並進することを可能にするように、前記本体の相補的なスライド形成物にスライド可能に係合するように構成されたスライド形成物と、
前記スライド形成物から離れて円周方向に延在するロック部材であって、前記ロック部材が、順応性であり、前記チャネル内に配置されたときに、前記アクセス部材の中心軸に向かって内向きに屈曲されるように構成されており、そのため、前記ロック部材の戻り力が、前記本体を前記アクセス部材の前記一部分に取り付けるように、前記ロック部材を前記アクセス部材の前記内側表面に係合させる、ロック部材と、を備える、実施態様1に記載のリトラクタ部材。
(8) 前記本体の前記相補的なスライド形成物が、ガイドスロットを備え、前記ロック部材が、前記本体の前記外側表面と前記アクセス部材の内側表面との間で環状にスライドするように構成されている円周方向壁を備え、前記取り付け部材の前記スライド形成物が、前記ガイドスロット内に存在するように構成されているスライダを備え、前記スライダが、前記横断方向に沿って前記円周方向壁から内向きに延在する、実施態様7に記載のリトラクタ部材。
(9) 前記取り付けデバイスが、前記本体とは別個の取り付け部材を備え、前記取り付け部材の少なくとも一部分が、磁性材料を含み、前記本体が、前記取り付け部材の前記少なくとも一部分の前記磁性材料への選択的取り付けのために各々構成されている1つ又は2つ以上の磁石を備える、実施態様1に記載のリトラクタ部材。
(10) 前記本体が、内部チャンバを画定し、各々前記内部チャンバと流体連通する、近位ポート及び複数の真空ポートを更に画定し、前記複数の真空ポートが、前記第2の表面において画定され、前記近位ポートが、真空源に接続可能であり、
前記取り付けデバイスが、前記複数の真空ポートのうちの1つに各々配設された複数のリングシールを備え、前記複数のリングシールが、真空圧力が前記内部チャンバ内に供給されるときに、前記アクセス部材の内壁表面に封止係合するように構成されている、実施態様1に記載のリトラクタ部材。
【0120】
(11) 前記取り付けデバイスが、挿入構成から展開構成に移行するように構成されているワイヤを備え、前記ワイヤが、前記挿入構成にあるときに、細長い挿入デバイスに収容されるように構成されており、前記ワイヤが、前記展開構成にあるときに、前記本体を前記アクセス部材の内壁表面に向かって押し付けるように、前記内壁表面の周りに円周方向に少なくとも部分的に延在するように、外向きに跳ねるように更に構成されている、実施態様1に記載のリトラクタ部材。
(12) 前記本体が、前記長手方向及び前記横断方向に対して実質的に垂直な横方向に沿って互いから離間された第1の側部及び第2の側部を有し、前記第1の表面が、前記長手方向に直交する平面において、前記第1の側部と前記第2の側部との間で弧状かつ凹状であり、前記第2の表面が、前記平面において、前記第1の側部と第2の側部との間で弧状かつ凸状である、実施態様1に記載のリトラクタ部材。
(13) 少なくとも前記近位端及び前記遠位端のうちの1つにおいて、前記本体が、フレア状である端部分を画定し、そのため、前記端部分が、前記端部分から、前記近位端及び前記遠位端のうちの反対のものに向かって延在する、前記本体の隣接部分の最大横寸法よりも大きい最大横寸法を画定する、実施態様12に記載のリトラクタ部材。
(14) 少なくとも前記近位端及び前記遠位端のうちの1つにおいて、前記本体が、端部分から、前記近位端及び前記遠位端のうちの反対のものに向かって延在する、前記本体の隣接部分から角度的にオフセットされている前記端部分を画定する、実施態様12又は13に記載のリトラクタ部材。
(15) 前記端部分が、前記本体の前記隣接部分から角度的にオフセットされている、実施態様14に記載のリトラクタ部材。
【0121】
(16) 少なくとも前記本体の近位部分は、前記本体が前記アクセス部材の前記一部分に取り付けられた後、前記アクセス部材の中心軸から離れる方向に曲げられるように塑性変形可能である、実施態様1に記載のリトラクタ部材。
(17) 前記本体が、前記遠位端において少なくとも1つの導電性センサを含み、前記少なくとも1つの導電性センサが、前記少なくとも1つの導電性センサから離間されており、かつ前記少なくとも1つのセンサによって取得されたセンサ情報を制御ユニットに通信するように構成されている、導線と電気通信している、実施態様1に記載のリトラクタ部材。
(18) 前記本体が、導電性材料で形成されており、前記リトラクタ部材が、前記本体の主要部分を覆う電気絶縁物を更に備え、前記本体が、前記遠位端において遠位露出部分を含み、前記遠位露出部分が、前記少なくとも1つの導電性センサを画定し、前記本体が、前記近位端において近位露出部分を更に含み、前記近位露出部分が、前記導線を画定する、実施態様17に記載のリトラクタ部材。
(19) 前記本体が、電気絶縁性材料で形成されており、前記少なくとも1つの導電性センサが、前記遠位端において前記本体に埋め込まれている、実施態様17又は18に記載のリトラクタ部材。
(20) 軟組織を引き込むためのシステムであって、
アクセス部材であって、近位端と、前記アクセス部材の前記近位端から遠位端まで延在する壁と、を有し、前記壁が、中心軸を中心として、前記中心軸に直交する平面において延在し、そのため、前記壁の内側表面が、前記中心軸に沿って配向された軸方向に沿って延在するチャネルを画定する、アクセス部材と、
長手方向に沿って互いから離間された近位端及び遠位端を有する、リトラクタ本体であって、前記遠位端が、軟組織に係合するように構成されており、前記本体が、前記長手方向に実質的に垂直な横断方向に沿って互いに反対の第1の表面及び第2の表面を画定する、リトラクタ本体と、
前記リトラクタ本体に連結された取り付けデバイスであって、前記取り付けデバイスが、前記アクセス部材の前記近位端及び前記遠位端にそれぞれ装着されるように構成されている近位マウント及び遠位マウントを備え、前記近位マウント及び前記遠位マウントのうちの少なくとも1つは、1)前記近位マウント及び前記遠位マウントが第1の距離だけ互いから長手方向に離間されているロック解除構成と、2)前記近位マウント及び前記遠位マウントが前記第1の距離よりも少ない第2の距離だけ互いから長手方向に離間されているロック構成との間で移動するように構成されており、前記第2の距離が、前記軸方向に沿った前記アクセス部材の前記近位端と前記遠位端との間の距離に対応する、取り付けデバイスと、を備える、システム。
【0122】
(21) 前記近位マウント及び前記遠位マウントが、各々前記アクセス部材のそれぞれの前記近位端及び前記遠位端をフックするように構成されているフックを備える、実施態様20に記載のシステム。
(22) 前記リトラクタ本体が、少なくとも前記取り付けデバイスが前記ロック構成にあるときに、前記近位マウント及び前記遠位マウントに対して長手方向に並進可能である、実施態様20又は21に記載のシステム。
(23) 前記近位マウント及び前記遠位マウントのうちの前記少なくとも1つを前記ロック解除構成から前記ロック構成に作動させるように構成されているアクチュエータを更に備える、実施態様20~22のいずれかに記載のシステム。
(24) 前記アクチュエータが、前記遠位マウントから、前記近位マウントのレセプタクルを通って、かつ前記長手方向に沿って配向された近位方向において前記近位マウントから離間された制御部材まで延在する、少なくとも1つの細長い部材を備え、前記制御部材が、前記ロック解除構成から前記ロック構成に、前記近位マウント及び前記遠位マウントのうちの前記少なくとも1つを作動させるように操作されるように構成されている、実施態様23に記載のシステム。
(25) 前記リトラクタ本体が、前記長手方向に沿って延在するスロットを画定し、前記近位マウント及び前記遠位マウントの各々が、前記スロット内に延在し、かつ前記リトラクタ本体に対するそれぞれの前記マウントの長手方向移動をガイドするように、前記スロットに沿って長手方向にスライドするように構成されている、スライド部材を含む、実施態様23又は24に記載のシステム。
【0123】
(26) 前記リトラクタ本体が、前記スロットに沿って長手方向に配置された一連のラチェット溝を更に画定し、前記近位マウントが、前記一連のラチェット溝に係合するように構成されている歯を有する可撓性部材を含み、前記可撓性部材は、1)前記歯が、前記近位マウントと前記リトラクタ部材との間の相対的な長手方向位置を保持するように、前記ラチェット溝のうちの1つの中に存在する、ニュートラル構成と、2)前記歯が、前記一連のラチェット溝の各々から離れている、係合解除構成との間を反復するように構成されている、実施態様25に記載のシステム。
(27) 前記近位マウントが、ハンドル部分を含む、実施態様20~25のいずれかに記載のシステム。
(28) 前記取り付けデバイスに解放可能に連結された器具を更に備え、前記器具が、
前記器具の後端から前記器具の前端まで延在するハンドルと、
前記器具の前記前端において少なくとも部分的に位置する連結機構であって、前記連結機構は、1)前記器具が、前記リトラクタ本体に堅固に連結されている、連結構成と、2)前記器具が、前記リトラクタ本体から連結解除され、取り外し可能である、連結解除構成との間を反復するように構成されている、連結機構と、を備える、実施態様23~27のいずれかに記載のシステム。
(29) 前記連結機構が、前記近位マウント及び前記遠位マウントのうちの前記少なくとも1つを前記ロック解除構成から前記ロック構成に作動させるように、前記アクチュエータを移動させるように更に構成されている、実施態様28に記載のシステム。
(30) 前記近位マウントが、マウントベースと、係合部材と、を備え、前記アクチュエータが、前記マウントベースと前記係合部材との間に延在し、前記ロック解除構成と前記ロック構成との間で、前記マウントベースに対する前記係合部材の長手方向移動を作動させるように構成されている、実施態様28又は29に記載のシステム。
【0124】
(31) 前記アクチュエータが、前記係合部材を前記ロック構成に作動させるように、前記長手方向に沿った付勢方向において、前記マウントベースから離れて前記係合部材を付勢する、少なくとも1つのばねを有する、付勢機構を備え、
前記付勢機構が、前記係合部材を前記マウントベースに向かって、かつ前記付勢方向とは反対の方向に前記ロック解除構成に移動させるように構成されている、戻り部材を更に備え、
前記連結機構が、前記付勢方向とは反対の前記方向において、前記戻り部材を移動させるように構成されている、移動部材を備える、実施態様30に記載のシステム。
(32) 前記リトラクタ本体が、アパーチャを備え、前記連結機構が、1)前記連結機構が前記連結構成にあるときに、前記リトラクタ部材に連結するように前記アパーチャ内に存在するように、かつ2)前記連結機構が前記連結解除構成にあるときに、前記リトラクタ部材から連結解除するように前記アパーチャから離れて移動するように構成されている、ピンを備える、実施態様28~31のいずれかに記載のシステム。
(33) 前記連結機構が、前記ピンに接続されており、かつ、前記ピンが前記アパーチャ内に存在する第1の位置と、前記ピンが前記アパーチャから離れている第2の位置との間で反復するように構成されている、ボタンを含む、実施態様32に記載のシステム。
(34) 前記アクチュエータが、前記近位マウント及び前記遠位マウントのうちの前記少なくとも1つを作動させるように、前記近位マウントと前記遠位マウントとの間に張力を選択的に加えるように構成されている、引張部材である、実施態様23~33のいずれかに記載のシステム。
(35) 軟組織を引き込むためのシステムであって、
アクセス部材であって、近位端と、前記アクセス部材の前記近位端から遠位端まで延在する壁と、を有し、前記壁が、中心軸を中心として、前記中心軸に直交する平面において延在し、そのため、前記壁の内側表面が、前記中心軸に沿って配向された軸方向に沿って延在するチャネルを画定する、アクセス部材と、
長手方向に沿って互いから離間された近位端及び遠位端を有する、リトラクタ本体であって、前記遠位端が、軟組織に係合するように構成されており、前記リトラクタ本体が、前記長手方向に実質的に垂直な横断方向に沿って互いに反対の第1の表面及び第2の表面を画定する、リトラクタ本体と、を備え、
前記アクセス部材及び前記リトラクタ本体のうちの少なくとも一方が、1つ又は2つ以上の開口部を画定し、前記アクセス部材及び前記リトラクタ本体のうちの他方が、前記1つ又は2つ以上の開口部と相補的な1つ又は2つ以上の突出部を備え、前記1つ又は2つ以上の突出部が、前記リトラクタ本体を前記アクセス部材に連結するように、前記1つ又は2つ以上の開口部内に挿入するように構成されている、システム。
【0125】
(36) 前記1つ又は2つ以上の突出部の各々が、ステムと、前記ステムから外向きに延在するヘッドと、を画定し、前記ヘッドが、前記ステムよりも広い、実施態様35に記載のシステム。
(37) 前記1つ又は2つ以上の開口部が、前記壁内にその内側表面から外向きに延在する開口部のアレイを備え、前記アレイが、複数の列を画定し、前記列の各々が、前記複数の開口部の長手方向に整列したサブセットを備え、前記列が、前記壁に沿って互いから円周方向に離間されており、
前記1つ又は2つ以上の突出部が、前記横断方向に沿って前記リトラクタ部材の前記第2の表面から各々延在し、かつ前記長手方向に沿って互いに整列した複数の突出部を備え、前記複数の突出部が、前記列のうちの少なくとも1つ内に選択的に存在するように構成されており、そのため、前記ヘッドが、前記軸方向に沿って前記壁の少なくとも一部分に重なる、実施態様35又は36に記載のシステム。
(38) 前記リトラクタ本体が、前記長手方向及び前記横断方向に沿って延在する平面において互いから角度的にオフセットされるように構成されている近位部分及び遠位部分を有し、前記1つ又は2つ以上の開口部のうちの少なくとも1つが、前記第1の表面から前記第2の表面まで前記近位部分を通って延在し、
前記1つ又は2つ以上の突出部が、前記アクセス部材の近位表面から前記長手方向に沿って延在する複数の突出部を備え、前記近位表面が、前記アクセス部材の前記近位端に位置し、前記複数の突出部が、前記近位表面に沿って互いから円周方向に離間されている、実施態様35又は36に記載のシステム。