IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スリーディー システムズ ゲー・エム・ベー・ハーの特許一覧

特許7622083層状の材料被着により三次元成形品を製造する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】層状の材料被着により三次元成形品を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/40 20170101AFI20250120BHJP
   B29C 64/188 20170101ALI20250120BHJP
   B29C 64/141 20170101ALI20250120BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20250120BHJP
   B29C 64/336 20170101ALI20250120BHJP
【FI】
B29C64/40
B29C64/188
B29C64/141
B33Y10/00
B29C64/336
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2022549619
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 EP2021054222
(87)【国際公開番号】W WO2021165503
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2023-10-13
(31)【優先権主張番号】102020001068.7
(32)【優先日】2020-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】524134948
【氏名又は名称】スリーディー システムズ ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハンス マテア
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-128884(JP,A)
【文献】特表2017-515700(JP,A)
【文献】特開2017-105090(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0299973(US,A1)
【文献】国際公開第2020/094246(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
層状の材料被着により三次元成形品(1)を製造する方法であって、前記成形品(1)の幾何学形状データと、前記三次元成形品(1)を支持する基底面(3)を備えた支持体部分(2)と、硬化可能な液状、流動性または粉末状の第1の材料(4)と、粉末状の、熱可塑性の粉末粒子を含む第2の材料(5)と、硬化した前記第1の材料(4)が溶解可能な溶媒と、を準備し、
a)ネガ型層(12)を形成するために、前記流動性、液状または粉末状の第1の材料(4)の部分材料を、前記幾何学形状データに相応して前記基底面(3)および/または該基底面(3)上に位置する硬化した材料層に被着し、これにより前記ネガ型層(12)は、その前記基底面(3)とは反対側の表面に、製造しようとする成形品層(16)のネガ形状を有する少なくとも1つのキャビティ(13)を有することになり、
b)前記ネガ型層(12)を硬化させ、
c)少なくとも、前記基底面(3)または該基底面(3)上に位置する硬化した前記材料層により形成された前記キャビティ(13)の底部を、第1の極性の電位に帯電させ、
d)前記第2の材料の粉末粒子を、前記第1の極性とは反対の第2の極性を有する電位に帯電させ、粒子担体の担体表面に面状に被着し、
e)上に前記粉末粒子が位置する前記担体表面を、少なくとも1つの前記キャビティ(13)の方に向け、該キャビティ(13)に対して位置決めし、これにより前記粉末粒子を前記担体表面から前記キャビティ(13)内へ転移させ、該キャビティ(13)内で前記ネガ形状に適合するポジ形状を備えた成形品層(16)を形成し、
f)このようにして得た前記成形品層(16)を、熱作用により焼結させて硬化させ、
g)硬化した前記ネガ型層(12)および/または硬化した前記成形品層(16)の、前記基底面(3)から所定の距離に配置された平面を越えて突出している領域を、材料除去により除去し、これにより、前記ネガ型層(12)と前記成形品層(16)とにわたり延在する平坦な表面を形成し、
h)ステップa)~g)を少なくとも1回繰り返し、かつ
i)その後、ネガ型層(12)を溶媒に接触させ、硬化した前記第1の材料(4)を溶媒に溶かす、
方法。
【請求項2】
前記第1の材料(4)の前記部分材料を、材料被着印刷法により、前記基底面および/または該基底面上に位置する硬化した前記ネガ型層(12)および/または硬化した前記成形品層(16)に被着し、前記第1の材料(4)は、前記ネガ型層(12)を硬化させるためにエネルギが加えられる、エネルギの作用によって硬化可能な材料である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記材料被着印刷法はインクジェット印刷法である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記第1の材料(4)は、インクジェット印刷に適した、1000mPa・s未満の作業粘度を有しており、少なくとも180dpiの解像度を有する液滴の形態で、前記基底面および/または該基底面上に位置する前記三次元成形品(1)の前記硬化した材料層に被着される、請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
前記第1の材料(4)は、インクジェット印刷に適した、100mPa・s未満の作業粘度を有している、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記第1の材料(4)は、インクジェット印刷に適した、30mPa・s未満の作業粘度を有している、請求項4記載の方法。
【請求項7】
前記第1の材料(4)は、インクジェット印刷に適した、20mPa・s未満の作業粘度を有している、請求項4記載の方法。
【請求項8】
前記液滴は、少なくとも360dpiの解像度を有している、請求項4から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記液滴は、少なくとも720dpiの解像度を有している、請求項4から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記液滴は、少なくとも1440dpiの解像度を有している、請求項4から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
請求項1のステップg)において、硬化した前記ネガ型層(12)および/または硬化した前記成形品層(16)の、前記平面を越えて突出している前記領域を、切削式または粒子除去式の材料除去により除去する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
硬化した前記ネガ型層(12)および/または硬化した前記成形品層(16)の、前記平面を越えて突出している前記領域を、フライス加工、研削、レーザ加工、クリーニングおよび/または研磨により除去する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記粉末粒子を、請求項1のステップd)において摩擦帯電式に帯電させる、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記粒子担体は、上に絶縁層(44)が位置する導電層(43)を有しており、該導電層(43)に第1の極性の電位を印加し、これにより、前記担体表面に位置する粒子を、前記絶縁層(44)を通じて静電気によって前記導電層(43)に引き付ける、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記粒子担体は、上に活性層が位置する導電層を有しており、該導電層の導電率は、光線に露光させることにより可変であり、前記活性層を、電子写真法により所定の電位でもって選択的に構造化し、その後、前記活性層を前記第2の材料の粉末粒子に接触させ、これにより該第2の材料の粉末粒子を、前記電位による前記活性層の構造化に応じて前記活性層に付着させ、このようにして前記粉末粒子により構造化された前記活性層を前記キャビティ(13)のところに位置決めし、これにより前記粉末粒子を前記キャビティ(13)内に転移させる、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
請求項1のステップd)において、前記粉末粒子を、該粉末粒子が充填されたリザーバ(7)と、前記粉末粒子に接触していて該粉末粒子を帯電させるように構成された、前記粉末粒子に対して動かされる撹拌工具(25)とを有する摩擦帯電式の帯電装置(19)により帯電させる、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
粒子担体としてコーティングローラ(21A,21B)を使用し、該コーティングローラ(21A,21B)の周面は、前記粉末粒子用の担体表面として働き、前記周面を第1の位置で前記第2の極性の電位を有する前記粉末粒子に接触させ、前記コーティングローラ(21A,21B)を、活性の前記周面が前記粉末粒子で面状にコーティングされるように、前記コーティングローラ(21A,21B)のローラ軸線を中心として前記第1の位置に対して回転させ、前記周面を、該周面の周方向において前記第1の位置に対してずらされた、前記粉末粒子でコーティングされた第2の位置において前記キャビティ(13)の方に向けかつ該キャビティ(13)に対して近接させ、これにより、前記粉末粒子を前記周面から前記キャビティ(13)内に転移させ、前記成形品層(16)を形成する、請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記コーティングローラ(21A,21B)の前記周面の、回転方向において前記第2の位置の下流側でありかつ前記第1の位置の上流側に位置する部分に付着した前記粉末粒子を、前記周面から除去して前記リザーバ(7)内へ搬送し戻す、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記コーティングローラ(21B)として円筒形のローラを使用し、前記基底面(3)を有する前記支持体部分(2)を
i)第1の材料層の被着のために、出発位置を起点として前記コーティングローラ(21B)に対して前進搬送方向に移動させ、
ii)その後、前記コーティングローラ(21B)に対して前記出発位置に戻るように移動させ、
iii)次いで第2の材料層の被着のために、再び前記コーティングローラ(21B)に対して前記前進搬送方向に移動させ、
かつ前記ステップi)~iii)の最中かつ/または前記ステップi)~iii)の間に、前記支持体部分(2)を前記コーティングローラ(21B)に対して下降させる、請求項17または18記載の方法。
【請求項20】
前記基底面(3)を有する前記支持体部分(2)を、材料被着中に、かつ前記材料(4,5)の硬化中に、前記コーティングローラ(21A)の円筒軸線に対して横方向に配置された回転軸線(11)を中心として前記コーティングローラ(21A)に対して回転させ、回転運動中に、前記コーティングローラ(21A)に対して下降させ、前記コーティングローラ(21A)は円錐状のローラとして構成されており、該円錐状のローラのローラ横断面は、その前記回転軸線(11)から遠い方の端部を起点として、その前記回転軸線(11)の近くに配置された他方の端部に向かって減少している、請求項17または18記載の方法。
【請求項21】
前記粉末粒子用の供給ローラ(20A)を準備し、該供給ローラ(20A)の周面を、ローラギャップ(24)を介して前記コーティングローラ(21A,21B)の前記周面から離間させ、前記供給ローラ(20A)はその周面に、上に絶縁層が位置する導電性の供給ローラ層を有しており、前記供給ローラ層に前記第1の極性の電位を印加し、これにより、前記供給ローラ(20A)の前記周面に位置する粒子を静電気によって前記供給ローラ(20A)に引き付け、該供給ローラ(20A)の前記周面を、前記ローラギャップ(24)から離れた位置で前記粉末粒子に接触させかつ前記供給ローラ(20A)をその軸線を中心として回転させ、これにより、前記供給ローラ(20A)の前記周面に位置する前記粉末粒子を前記ローラギャップ(24)内に到達させ、前記供給ローラ層に印加する電位と、前記コーティングローラ(21A,21B)の前記導電層(43)に印加する電位とを、前記粉末粒子を前記ローラギャップ(24)内で前記供給ローラ(20A)の前記周面から前記コーティングローラ(21A,21B)の前記周面に転移させるように選択する、請求項17から20までのいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
導磁性の担体粒子を準備して、前記第2の材料(5)の前記粉末粒子に接触させ、これにより前記粉末粒子を前記担体粒子に解離可能に付着させ続け、前記粉末粒子用の磁性の供給ローラを準備し、該供給ローラの周面を、ローラギャップ(24)を介して前記コーティングローラ(21A,21B)の前記周面から離間させ、前記粉末粒子が付着した前記磁性の担体粒子を、前記ローラギャップ(24)から離れた位置において前記供給ローラ(20)の前記周面に接触させ、これにより、前記担体粒子を磁気によって、前記供給ローラ(20B)の前記周面に付着させ続け、前記供給ローラ(20B)を、その軸線を中心として回転させ、これにより、前記供給ローラ(20B)の前記周面に位置する、前記粉末粒子が付着した前記担体粒子を、まず掻取り装置(37)の傍らを通過させて、前記粉末粒子で被覆された前記担体粒子を掻き取りかつ前記掻取り装置(37)の通過後に前記ローラギャップ(24)内に到達させ、前記コーティングローラ(21A,21B)の電位を、前記担体粒子に付着している前記粉末粒子の電位とは異なるように選択し、これにより、前記ローラギャップ(24)内で前記粉末粒子を前記担体粒子から剥離させ、前記コーティングローラ(21A,21B)の前記周面に転移させる、請求項17から21までのいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
導磁性の担体粒子を準備して、前記第2の材料(5)の前記粉末粒子に接触させ、これにより前記粉末粒子を前記担体粒子に解離可能に付着させ続け、前記粉末粒子を充填しようとする前記キャビティ(13)の前記底部から転移ギャップ(47)を介して離間した磁性の周面を備えるコーティングローラ(21B)を準備し、前記粉末粒子が付着した前記磁性の担体粒子を、前記キャビティ(13)から離れた位置で前記コーティングローラ(21B)の前記周面に接触させ、これにより、前記担体粒子を磁気によって前記コーティングローラ(21B)の前記周面に付着させ続け、該コーティングローラ(21B)をその軸線を中心として回転させ、これにより、前記コーティングローラ(21B)の前記周面に位置する、前記粉末粒子が付着した前記担体粒子を、まず掻取り装置(37’)の傍らを通過させて、前記粉末粒子で被覆された前記担体粒子を掻き取りかつ前記掻取り装置(37’)の通過後に前記転移ギャップ(47)内に到達させ、前記キャビティ(13)の前記底部の電位を、前記担体粒子に付着している前記粉末粒子の電位とは異なるように選択し、これにより、前記転移ギャップ内で前記粉末粒子を前記担体粒子から剥離させ、前記キャビティ(13)の前記底部に転移させる、請求項17から20までのいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
前記第1の材料として導電性の材料を使用し、前記第2の材料として電気的に絶縁性の材料を使用し、少なくとも、前記粒子担体の前記担体表面に対して最も近くに配置された硬化したネガ型層(12)を、前記粒子担体の導電性の領域の電位と、前記粒子担体上に位置する前記第2の材料の前記粉末粒子の電位とは異なる電位に設定し、これにより、前記粒子担体の前記担体表面に前記ネガ型層(12)を位置決めしたときに、前記粒子担体の担体表面に前記キャビティ(13)が位置決めされた場合に前記ネガ型層(12)の少なくとも1つのキャビティ(13)内へ単位面積当たりに転移されるよりも少ない前記粉末粒子を前記ネガ型層(12)に転移させる、請求項1から23までのいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
前記粒子担体の前記担体表面に前記ネガ型層(12)を位置決めしたときに、前記粒子担体の担体表面に前記キャビティ(13)が位置決めされた場合に前記ネガ型層(12)の少なくとも1つのキャビティ(13)内へ単位面積当たりに転移されるよりも単位面積当たり50%少ない前記粉末粒子を前記ネガ型層(12)に転移させる、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記粒子担体の前記担体表面に前記ネガ型層(12)を位置決めしたときに、前記粒子担体の担体表面に前記キャビティ(13)が位置決めされた場合に前記ネガ型層(12)の少なくとも1つのキャビティ(13)内へ単位面積当たりに転移されるよりも単位面積当たり70%少ない前記粉末粒子を前記ネガ型層(12)に転移させる、請求項24記載の方法。
【請求項27】
前記粒子担体の前記担体表面に前記ネガ型層(12)を位置決めしたときに、前記粒子担体の担体表面に前記キャビティ(13)が位置決めされた場合に前記ネガ型層(12)の少なくとも1つのキャビティ(13)内へ単位面積当たりに転移されるよりも単位面積当たり90%少ない前記粉末粒子を前記ネガ型層(12)に転移させる、請求項24記載の方法。
【請求項28】
粉末状の前記第2の材料(5)は光重合開始剤を含んでおり、熱可塑性の前記粉末粒子はポリマーおよび/またはコポリマーを有しており、前記光重合開始剤は、焼結後に前記ポリマーを架橋させるために電磁放射線の照射によって活性化される、請求項1から27までのいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
前記支持体部分(2)は前記基底面(3)に、該基底面(3)を上から見て互いに側方にずらされた、櫛状に互いに係合し合う少なくとも2つの電極(47A,47B)を有しており、該電極(47A,47B)に電圧を印加し、これにより前記キャビティ(13)の底部に第1の極性を有する電位を生じさせる、請求項1から28までのいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
前記電極に印加される電圧を、最初の前記ネガ型層(12)の被着と最後の前記ネガ型層(12)の被着との間に少なくとも一度は絶対値を増大させる、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記キャビティ(13)の前記底部の高さにおける電位に関する測定信号を検出し、目標値または目標値範囲と比較し、前記測定信号と前記目標値または前記目標値範囲との間に差異が生じた場合には、該差異を縮小する意味で、前記電極(47A,47B)に印加する電圧を変化させる、請求項29または30記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、層状の材料被着により三次元成形品を製造する方法であって、成形品の幾何学形状データと、三次元成形品を支持する基底面を備えた支持体部分と、硬化可能な液状、流動性または粉末状の第1の材料と、粉末状の、好適には熱可塑性の粉末粒子を含む第2の材料と、硬化した第1の材料が溶解可能な溶媒とを準備する、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
実地から周知のこのような方法では、第1および第2の材料として、紫外線の作用によって硬化可能な液状のポリマーが使用される。従来周知の方法では、インクジェットプリンタを用いて、第1および第2の材料の液滴状の材料部分を基底面のそれぞれ異なる箇所に吹き付けることにより、支持体部分の基底面に、まず第1の材料層を被着する。それぞれ異なる材料から成る材料液滴が基底面に被着される箇所は、製造しようとする成形品のために提供された幾何学形状データに応じて、材料層の、第2の材料から成る領域が、製造しようとする成形品の最下層を形成するように選択される。第1の材料は支持材料として用いられ、支持材料は、第2の材料が被着されない箇所において基底面に被着され、これらの箇所を覆うように、第2の材料の別の材料層が被着された後の成形品は張出し部を有しており、張出し部は、全ての材料層が硬化するまで、支持材料によって支持されることが望ましい。その後、このようにして得られた最下位の材料層に、別のステップにおいて紫外線を照射し、これにより、第1および第2の材料に含まれるポリマーを架橋によって硬化させる。
【0003】
最下位の材料層を仕上げた後に、成形品の全ての層が形成されかつ硬化されるまで、最下位の材料層に相応して別の材料層を被着しかつ硬化させる。その後、このようにして得られた積層体を、第一の材料が溶媒中に溶解するまで、溶媒に接触させる。第2の材料は、溶媒に溶けない。
【0004】
従来周知の方法は、たしかに、プロトタイプとしてのまたは少ない個数の三次元成形品を比較的廉価に製造することを可能にする。UV架橋可能なポリマーの使用および印刷時の高解像度により、良質な表面が可能になる。しかし、高解像度の3Dプリントには、微細なノズルを通してポリマーを基底面または基底面上に位置する硬化した材料層に被着することができるようにするために、極めて低い粘度のポリマーが必要とされている。
【0005】
インクジェット印刷法(インクジェット法)では、ノズルは一般に25mPa・sの最大粘度を処理することができる。より高い粘度は、通常は噴射不能である。このような材料から作成された物品には最小限の荷重しかかけることができず、鑑賞用物品としてしか用いることができない。
【0006】
国際公開第2015/105047号から公知の三次元成形品を製造する方法では、個々の材料層が、それぞれ少なくとも3つの異なる材料から製造される。個々の材料層の製造では、その都度まずインク吐出ステップが実行され、インク吐出ステップでは、第1の材料と、第1の材料とは異なる第2の材料とが、インクジェット印刷により、基底面または基底面上に位置する硬化した材料層に被着される。第1の材料は、溶媒に溶ける犠牲層の形成に用いられ、犠牲層は、その上に被着されるべき別の層を支持するものである。
【0007】
第二の材料は、成形品の外面に隣接する、成形品の部分領域の形成のために使用され、溶媒には溶けない。第2の材料は、所定の幾何学形状データに基づき、基底面または基底面上に位置する硬化した材料層に被着され、これにより第2の材料は、製造しようとする成形品の内部体積において、成形品の表面に対して間隔をあけて位置するキャビティを画定することになる。
【0008】
第1および第2の材料を基底面または基底面上に位置する硬化した材料層に被着した後に、第1および第2の材料を硬化させる硬化ステップを実施する。これにより、製造しようとする成形品の犠牲層と外層とが得られる。
【0009】
その後、キャビティに、水溶性の樹脂と多孔質の粉末粒子とを含む材料組成物を充填する。材料組成物が固体の状態にある場合には、キャビティ内に充填する前に、材料組成物を加熱によって流動可能な状態にする。材料組成物は、ドクタブレードを用いて、スクリーン印刷またはスピンコーティングにより、キャビティ内に導入することができる。キャビティ内に充填された材料組成物は、第2の材料の層によって平坦化され、これにより、均一な厚さを備えた材料層が得られる。
【0010】
その後、硬化可能な樹脂を含みかつ第1の材料と一致していてよいバインダインクを、キャビティ内に位置する材料組成物に追加する。このとき、バインダインクは粉末粒子の孔内に侵入する。次いで、樹脂を硬化させる。この場合、硬化した樹脂が粉末粒子の孔内に固定された、結合された粉末層が形成される。公開された文献によれば、これにより、結合された粉末層の高度な機械成形品が可能になる。さらに、結合された粉末層は、樹脂により、製造しようとする成形品の第2の材料から成る外層に結合されて一体的な層を形成する。
【0011】
この従来公知の方法では、上述したステップを繰り返し、相応して別の材料層を形成する。成形品に必要な全ての材料層を仕上げて硬化させた後で、第1の材料を溶媒に溶解させ、犠牲層を除去する。
【0012】
成形品の外層は、インクジェット印刷法で材料液滴を被着することにより形成され、成形品の内部だけを、硬化される粉末から形成するため、この方法により、成形品全体が硬化される粉末層から形成される方法に比べ、成形品の表面幾何学形状の、より微細な構成が可能になる。公開された文献によれば、この方法によりさらに、成形品の表面の正確な色彩構成が可能になる。
【0013】
しかしながらこの方法は、成形品の外面層を形成するために、粉末を含む材料組成物に追加して別の材料を必要とし、かつ構造化して被着せねばならないため、比較的手間がかかるという欠点を有している。さらに、この方法では粉末粒子と結合する液体硬化剤が使用される。つまり、成形品の内部体積が様々な材料から成っており、これにより、成形品の機械的な強度が弱められる。
【0014】
この方法を使用した場合に製造される成形品の機械的な特性にも言及しておく。なぜなら、この物品は、同種の強い材料から成っているのではなく、弱い層(UV架橋可能な材料)と、粉末を含むより強い層とから成っているからである。大きな形状では、このことが重要でない場合もある。部品が小さくなるにつれて、保護層に対する物品の比が小さくなり、ひいては物品の機械的な安定性等の特性も低下する。さらに、粉末材料は純粋な熱可塑性樹脂ではなく混合物から成っており、これにより、純粋な熱可塑性樹脂ほど荷重をかけることができない。
【0015】
米国特許第9423756号明細書からさらに公知の、層状の材料被着により三次元成形品を製造する方法では、製造しようとする成形品の個々の材料層を、電子写真印刷装置を用いて、支持体ローラの基底面および/またはこの基底面上に位置する硬化した材料層に被着することができる。印刷装置は、モータによりそのローラ軸線を中心として第1および第2の回転方向に回転可能な感光性の画像ローラを有している。画像ローラは、周面を感光性のコーティングによりコーティングされたローラ体を有しており、このコーティングは、以下では活性層とも呼ばれる。この活性層は、暗所では電気を絶縁し、光が入射すると導電する材料から成っている。
【0016】
画像を活性層に転写するために、画像ローラは、活性層を帯電させる第1および第2の電荷発生装置と、画像変換器と、第1および第2の静電気・磁気現像ステーションと、第1および第2のクリーニング装置と協働する。第1の現像ステーションは、支持層の形成に用いられる第1の粉末状の材料を含んでおり、支持層は溶媒中に溶解可能であり、成形品の製造後に溶媒に溶かされる。第2の現像ステーションは、第2の粉末粒子を含む材料を含んでおり、この材料は、溶媒に溶けない成形品層の形成に用いられる。
【0017】
電荷発生装置と、画像変換器と、現像ステーションと、クリーニング装置とは、画像ローラの周囲に位置決めされており、これにより、活性層を第1の粉末状の材料でコーティングするために画像ローラを第1の回転方向に回転させると、活性層の周面は、第1の電荷発生装置から画像変換器へ、画像変換器から第1の現像ステーションへ、次いで第2のクリーニング装置へと移動する。画像ローラが反対の第2の回転方向に回転すると、活性層を第2の材料でコーティングするために、活性層の周面は、第2の電荷発生装置から画像変換器へ、画像変換器から第2の現像ステーションへ、次いで第1のクリーニング装置へと移動する。
【0018】
電荷生成装置により、まず暗所で、活性層上に全面的かつ均一に電荷が形成される。その後、活性層は、画像変換器により、メモリに格納された成形品用の幾何学形状データに応じて選択的に電磁放射線で画素毎に露光される。露光された箇所では、活性層は導電性になり、これにより、そこに位置する電荷がローラ体内へ導出され、ひいては活性層が電気的に構造化されることになる。
【0019】
画像変換器の後方の画像ローラの回転方向において、活性層の表面は、第1または第2の現像ステーションの傍らを通過し、これにより活性層が、予めその表面に形成された電荷分布に相応して、相応する現像ステーションの粉末状の材料によってコーティングされる。粉末状の材料は、現像ステーションにおいて、活性層の電位とは異なる電位に摩擦帯電式に帯電させられ、これにより、活性層はその、その時々の電位に依存して選択的に粉末状の材料でコーティングされる。
【0020】
感光性の画像ローラがそれぞれ選択的に第1および第2の材料でコーティングされた後、活性層に被着されたコーティングは、活性層から、別のモータにより画像ローラと同期して、画像ローラの回転方向とは反対に駆動される移しローラの周面に転移される。ここでも、粉末状の第1または第2の材料の転移は、材料と、移しローラの周面との間で異なる電荷に基づき行われる。画像ローラと移しローラとの同期が高い精度でもって行われないと、絶対的な位置決めが失われる。これは、数千の層を有する構造の場合、成形品の極めて不規則な輪郭を生じさせ、視覚的な均質性を悪化させる。
【0021】
最後に、粉末状の材料は、移しローラの周面から、基底面または基底面上に位置する最上位の硬化した材料層に移され、その後、熱作用に基づき定着される。これらの各層の位置決め精度は極めて重要である。なぜなら、画像ローラに正確に選択的に形成された層は、直接、先行の層に被着されるのではなく、まず移しローラに転移された後に初めて、既存の層に転移されねばならないからである。歪みや温度差に晒されるこれらの機械的なコンポーネントの同期は、十分に正確ではない。さらに、これらのコンポーネントが摩耗することにより、時と共に、重なり合う層の精度がより一層悪化する。
【0022】
上述したステップは、成形品の全ての材料層が重なり合って積層されるまで繰り返される。その後、このようにして得られた層ユニットを溶媒に溶かし、支持材料として用いられる第1の材料を除去する。
【0023】
この従来公知の方法を実施するためには、以下のコンポーネント、すなわち:
-高価で摩耗を伴う、したがって寿命の短い感光性の画像ローラ、
-高価な画像変換器、一般にレーザスキャナ、またはLEDスキャナ、
-それぞれ活性層を帯電させるためのコロナ帯電/コロナ放電手段を備えた、手間がかかりかつ摩耗を伴う、したがって寿命の短い電荷発生装置、
-高価で摩耗を伴う、したがって寿命の短い現像ユニット
が必要とされる。
【0024】
これらのコンポーネントは全て、比較的耐用年数が短く、しばしば交換しなければならない消耗材である。特に画像ローラは、その感光層が摩耗する。粉末状の材料の性質も同様に極めて複雑である。それというのも、粉末状の材料は、粉末状の材料を電荷により制御可能にするために、成形品用の構成材料、流動性を改良する添加剤および第2の材料の帯電性を改良する添加剤等の、多数の成分を含む必要があるからである。磁気担体粒子は、トナーの種類に正確に適合していなければならず、担体粒子を含めた機能トナーの製造には手間がかかる。
【0025】
さらに、この従来公知の方法は、多数の材料層が重なり合って印刷される成形品において、材料層の層厚さに製造誤差が生じることがあるため、印刷された成形品の寸法精度が維持され得るということは困難でしかない、という欠点を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
したがって、本発明の課題は、層状の材料被着によって簡単かつ廉価に、高い機械的な安定性と強度とを有する成形品の、形状が正確で極めて精密な製造を可能にする、冒頭で述べた形式の方法を提供することにある。特に、この方法は、成形品の高い表面精度および長期安定性の成形品をも可能にすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0027】
この課題は、請求項1記載の特徴によって解決される。これは、層状の材料被着により三次元成形品を製造する方法において、成形品の幾何学形状データと、三次元成形品を支持する基底面を備えた支持体部分と、硬化可能な液状または流動性の第1の材料と、粉末状の、熱可塑性の粉末粒子を含む第2の材料と、硬化した第1の材料が溶解可能な溶媒と、を準備し、
a)ネガ型層を形成するために、流動性、液状または粉末状の第1の材料の部分材料を、幾何学形状データに相応して基底面および/または基底面上に位置する硬化した材料層に被着し、これによりネガ型層は、その基底面とは反対側の表面に、製造しようとする成形品層のネガ形状を有する少なくとも1つのキャビティを有することになり、
b)ネガ型層を硬化させ、
c)少なくとも、基底面または基底面上に存在する硬化した材料層により形成されたキャビティの底部を、第1の極性の電位に帯電させ、
d)第2の材料の粉末粒子を、第1の極性とは反対の第2の極性を有する電位に帯電させ、粒子担体の担体表面に面状に被着し、
e)上に粉末粒子が位置する担体表面を、少なくとも1つのキャビティの方に向け、キャビティに対して位置決めし、これにより粉末粒子を担体表面からキャビティ内へ転移させ、キャビティ内で、ネガ形状に適合するポジ形状を備えた成形品層を形成し、
f)このようにして得た成形品層を、熱作用により焼結させて硬化させ、
g)硬化したネガ型層および/または硬化した成形品層の、基底面から所定の距離に配置された平面を越えて突出している領域を、材料除去により除去し、これにより、ネガ型層と成形品層とにわたり延在する平坦な表面を形成し、
h)ステップa)~g)を少なくとも1回繰り返し、かつ
i)その後、ネガ型層を溶媒に接触させ、硬化した第1の材料を溶媒に溶かす
ことを想定している。
【0028】
つまり本発明では、異なる特性を有する複数の材料を異なる印刷法で処理し、基底面または基底面上に位置する、三次元成形品の硬化した材料層に層状に被着する、ハイブリッド法が想定されている。
【0029】
特に強調すべきは、第1および第2の材料の層の形成における精度である。例えば、ネガ型はインクジェットにより、粉末はコーティングローラにより、両方共中間支持体無しで位置決めされる。これは、あらゆる方向への100%の形状制御を可能にする。
【0030】
第1の材料は、極めて低粘度または薄い液状または高流動性であってよい。なぜならば、第1の材料は、第2の材料のためのネガ型を形成するためにだけ用いられるからである。基底面または基底面上に位置する既に硬化した材料層に被着される最中に第1の材料が有している低粘度または高流動性に基づき、第1の材料の、相応する少量の複数の部分材料を、基底面または基底面上に位置する、三次元成形品の硬化した材料層に被着することにより、型を、高い解像度と表面品質とを有するデジタル印刷法を用いて印刷することができる。
【0031】
ネガ型の、第1の材料から成る材料層の機械的な安定性および強度には、低い要求のみが課せられる。なぜなら、ネガ型は第2の材料を支持するだけで済み、場合により、第2の材料を被着するために想定された印刷法において第1の材料に加えられた力を支持すれば済むからである。第1の材料の硬化により、第1の材料は、第2の材料のための賦形体として使用可能であるために十分な強度を達成する。硬化した状態にある第1の材料の機械的な強度が、第2の材料の硬化した層から形成された成形品の機械的な安定性に影響を及ぼすことはない。なぜならば、硬化した第1の材料は、全ての材料層の被着後に溶媒に溶かすことにより、成形品から除去されるからである。硬化した第2の材料は、溶媒には不溶である。
【0032】
粉末状の第2の材料は、成形品用の本来の構成材料であり、別の特性、とりわけ硬化した状態では第1の材料よりも高い強度を有していてよい。熱可塑性の粉末粒子とは、エネルギ供給によって液化可能な粉末状の粒子を意味する。
【0033】
第2の材料は、第1の材料から正確に形成された、予め硬化したネガ型の型を取ることにより幾何学形状的に成形されるため、粉末状の第2の材料は簡単に、粒子担体の担体表面に全面的にまたは非選択的に被着することができる。その後、粒子担体は、ネガ型層のキャビティに位置決めされ、これにより粉末状の第2の材料は、担体表面からキャビティ内へ転移し、キャビティを全面的に完全に満たす。第2の材料は、全面的に、つまり非選択的に粒子担体に被着されるため、キャビティに対する粒子担体の位置決めの際に、第2の材料の、担体表面上に存在する構造化された領域を、キャビティに対して位置決めする必要はない。これは、当該方法の簡単な実施を可能にする。硬化したネガ型の型を取る際には、ネガ型の、成形品の材料層が延在している平面に対して横方向に配置された少なくとも1つの境界面が、第2の材料に型取りされるかまたは第2の材料に転移される。
【0034】
キャビティの、基底面または基底面上に位置する硬化した材料層により形成された底部は、コロナ帯電および/または帯電プレートを介して、第1の極性の電位または静電位に帯電させることができる。帯電プレートは、好適には基底面のすぐ下で基底面に対して平行に配置され、この場合、基底面と帯電プレートとの間に絶縁層が設けられる。
【0035】
個々の成形品層は、その、基底面または基底面上に位置する硬化した材料層への被着後に、熱作用によってそれぞれ焼結されるので、成形体を、1つの均質な材料から製造することができる。焼結の際に、粉末状の第2の材料中に含まれる粉末粒子が互いに融合し、これにより、一体的な成形品が形成される。焼結により、硬化したネガ型の、成形品の材料層が延在する平面に対して横方向に配置された少なくとも1つの境界面が、成形品層に極めて正確に型取りされる。これにより、平滑なまたはテクスチャを有する機械的に安定的な表面を有する三次元成形体を製造することすら可能である。焼結によって第2の材料を硬化させることでさらに、長期間安定性の成形品が可能になる。熱可塑性の粉末粒子として、部分結晶質の、好適には非晶質の、熱可塑性の粉末粒子が使用される。非晶質の粉末粒子は、焼結に際して、結晶質の粉末粒子よりも大抵は小さい収縮特性を有している。非晶質の粉末粒子は、プリンタ内で室温で処理されてよい、すなわち、第2の材料または構成材料を、融点の直下の温度にもたらす必要はない。
【0036】
焼結の際に、第2の材料は、好適には熱線を照射され、熱線は、好適には少なくとも1つのフラッシュランプによって発生される。エネルギを極めて迅速に供給可能な他のエネルギ供給手段が使用されてもよい。フラッシュランプを使用すると、第2の材料は迅速に、焼結に必要とされる温度に加熱される。フラッシュが消えると、材料は再び急速に冷える。これにより、最上部の材料層およびその下の材料層への十分に高いエネルギ導入が保証され、成形品または基底面が不必要に加熱されることはないが、最後の2つの層は互いに熱的に結合する。
【0037】
第1および第2の材料は、好適には、第2の材料が、熱処理の際に発生された熱線を第1の材料よりも強力に吸収するように選択される。これは、第2の材料が例えば第1の材料よりも多吸収性の、より暗色の材料から成っていることによって達成することができる。特に、第2の材料は黒色でありかつ第1の材料は白色または透明であってよい。これにより、第2の材料の熱処理の際に、第1の材料の熱負荷が低減される。
【0038】
本発明による方法では、好適には、個々の各材料層の印刷後に、硬化したネガ型層および/または硬化した成形品層の、それぞれ基底面に対して所定の距離に、好適には基底面に対して平行に配置された平面を越えて突出している領域を、材料除去により除去して平坦な表面を形成するため、成形品の個々の層は、互いに正確に平行に延在しているかまたは所定の配置で互いに配置されており、所定の層厚さを有している。さらに、キャビティに第2の材料を充填する際、第1の材料の最上位の硬化した層の表面に、第2の材料がこの表面と接触すると生じ得る「汚れ」が、材料除去により除去される。すなわち、平面を越えて突出している領域を除去することで、硬化した第1および第2の材料から成る混合層が常に所望の厚さを有することになり、第1の材料の表面に、溶媒に不溶の第2の材料が存在しなくなる。これは、成形品が数千の材料層を有する場合であっても、成形品の極めて正確で歪みの少ない製造を可能にする。
【0039】
本発明の1つの好適な構成では、第1の材料の部分材料は、材料被着印刷法、好適にはインクジェット印刷法により、基底面および/または基底面上に位置する硬化したネガ型層および/または硬化した成形品層に被着され、この場合、第1の材料は、エネルギの作用により硬化可能な材料であり、この材料にエネルギを加えて、ネガ型層を硬化させる。この場合、エネルギは、第1の材料中に含まれるポリマーおよび/またはコポリマーを横架橋により硬化させる電磁放射線、特に紫外線であってよい。この場合、第1の材料は、好適には光重合開始剤を含んでいる。しかしまた、第1の材料を、電子ビームの照射により硬化させることも可能である。さらに第1の材料を、電子写真法により、基底面および/または基底面上に位置する硬化した材料層に選択的に被着することもできる。
【0040】
本発明の1つの有利な構成では、第1の材料は、インクジェット印刷に適した、1000mPa・s未満、特に100mPa・s未満、場合により30mPa・s未満、好適には20mPa・s未満の作業粘度を有しており、少なくとも180dpi、特に少なくとも360dpi、好適には少なくとも720dpiまたは1440dpiの解像度を有する液滴の形態で、基底面および/または基底面上に位置する、三次元成形品の硬化した材料層に被着される。これは、ネガ型ひいては成形品の高い表面品質を可能にする。
【0041】
請求項1記載のステップg)に記載した平面を越えて突出している、硬化したネガ型層および/または硬化した成形品層の領域が、切削式または粒子除去式の材料除去により、特にフライス加工、研削、レーザ加工およびクリーニングおよび/または研磨により除去されると有利であるということが判った。これは、個々の材料層の平滑化において、その都度迅速な作業進行と、正確に平坦にかつ基底面に対して平行に配置された材料層表面の形成とを可能にする。
【0042】
本発明の1つの好適な実施形態では、請求項1のステップd)において、粉末粒子を摩擦帯電式に帯電させる。このために、粉末粒子を、粉末粒子よりも高い保持力を有する材料(担体)に接触させ、その後、電位差に基づき、粉末粒子を材料から分離させる。好適には、粉末粒子を容器内で撹拌することで材料と擦り合わせ、これにより、粉末粒子を摩擦帯電式に帯電させる。
【0043】
有利には、粒子担体は、上に絶縁層が位置する導電層を有しており、この場合、導電層には第1の極性の電位が印加され、これにより、担体表面に位置する粒子は、絶縁層を通じて静電気によって導電層に引き付けられる。絶縁層は、好適にはセラミックまたはその他の耐摩耗性の材料から成る。絶縁層は、長い耐用年数と、印刷時の粒子担体の少ない摩耗とを可能にする。粒子担体の表面は、非感光性の材料から成っていてよい、すなわち、表面の電気的な特性は、表面が暗所に位置しているか、または光等の電磁放射線の照射に晒されているかに左右されない。これは、当該方法の簡単な実施を可能にする。
【0044】
本発明の1つの別の実施形態では、粒子担体は、上に活性層が位置する導電層を有しており、導電層の導電率は、光線に露光させることによって可変であり、この場合、活性層を、電子写真法により所定の電位でもって選択的に構造化し、その後、活性層を第2の材料の粉末粒子に接触させ、これにより第2の材料の粉末粒子を、電位による活性層の構造化に応じて活性層に付着させ、このようにして粉末粒子によって構造化された活性層をキャビティのところに位置決めし、これにより粉末粒子をキャビティ内に転移させる。つまり、粒子担体の表面は、電子写真式に構造化されて粉末粒子によりコーティングされてもよい。これにより、ネガ層のキャビティの充填後に粒子担体上に残留する残りの粉末粒子の量を減らすことができる。
【0045】
好適には、請求項1のステップd)において、粉末粒子を摩擦帯電式の帯電装置により帯電させ、この帯電装置は、粉末粒子で満たされたリザーバと、粉末粒子と接触状態にある撹拌ツールとを有しており、撹拌ツールは、粉末粒子が帯電するように構成されておりかつ粉末粒子に対して動かされる。これにより、粉末粒子を簡単に帯電させることができる。
【0046】
本発明の1つの有利な構成では、粒子担体としてコーティングローラを使用し、コーティングローラの周面は、粉末粒子用の担体表面として働き、この場合、周面を、第1の位置で、第2の極性の電位を有する粉末粒子に接触させ、コーティングローラを、周面が粉末粒子で面状にコーティングされるように、コーティングローラのローラ軸線を中心として第1の位置に対して回転させ、周面を、周面の周方向において第1の位置に対してずらされた、粉末粒子でコーティングされた第2の位置においてキャビティの方に向けかつキャビティに対して密に位置決めし、これにより、粉末粒子を周面からキャビティ内に転移させ、成形品層を形成する。このようなコーティングローラを用いて、コーティングローラの表面に位置する粉末状の材料を、基底面または基底面の上に位置する硬化した材料層に直接に、連続的に、高い精度で被着することができる。中間支持体が存在しないことにより、最高の位置決め精度が達成可能である。
【0047】
有利なのは、コーティングローラの周面の、回転方向において第2の位置の下流側でありかつ第1の位置の上流側に位置する部分に付着した粉末粒子を、周面から除去してリザーバ内へ搬送し戻す場合である。つまり、コーティングローラの周面は、第2の位置の通過後またはキャビティの通過後にクリーニングされてから、再び第1の位置に位置決めされる。周面のクリーニングにより、粉末粒子内に含まれかつ/または粉末粒子にコーティングとして被着された電荷分離物質の、周面における蓄積が阻止される。
【0048】
本発明の1つの実施形態では、コーティングローラとして円筒形のローラを使用し、この場合、基底面を有する支持体部分を
i)第1の材料層の被着のために、出発位置を起点としてコーティングローラに対して前進搬送方向に移動させ、
ii)その後、コーティングローラに対して出発位置に戻るように移動させ、
iii)次いで第2の材料層の被着のために、再びコーティングローラに対して前進搬送方向に移動させ、
かつステップi)~iii)の最中かつ/またはステップi)~iii)の間に、支持体部分をコーティングローラに対して下降させる。つまり、成形品を層状に形成する間に、基底面を、コーティングローラの円筒形の周面の円筒軸線に対して、例えば2つの終端位置の間で往復移動させる。当該方法のこの実施形態は、好適には、成形品の幾何学形状データが直交座標系で存在する場合に使用される。
【0049】
本発明の1つの改良では、基底面を有する支持体部分を、材料被着中に、かつ場合により材料の硬化中に、コーティングローラの円筒軸線に対して横方向に配置された回転軸線を中心として、コーティングローラに対して回転させ、場合により回転運動中にコーティングローラに対して下降させ、この場合、コーティングローラは、円錐状のローラとして構成され、円錐状のローラのローラ横断面は、その、回転軸線から遠い方の端部を起点として、その、回転軸線の近くに配置された他方の端部に向かって減少している。この構成は、基底面が、成形品の製造プロセス全体にわたり回転軸線を中心として連続的に回転可能であるという利点を有しており、これは途切れのない印刷を可能にする。基底面を印刷中に2つの終端位置の間で往復運動させる方法に比べ、基底面の回転運動に基づきより迅速な印刷進行と、当該方法を実施するために使用される3Dプリンタにおけるより少ない摩耗とが可能になる。
【0050】
コーティングローラが感光層を有する画像ローラとして形成された米国特許第9423756号明細書から公知の方法では、周面の帯電に問題が生じる恐れがあるため、画像ローラの円錐状の構成は有意ではないと考えられる。ローラ周面は、画像ローラの周面において均一な電位を達成するために、コロナに沿って一定の直径を有していなければならない。さらに、現像ユニットの形成も複雑になる恐れがある。なぜならば、市販の現像ユニットの周速度は、マグネットローラの始端と終端とにおいてそれぞれ異なると考えられるからである。また、レーザビーム/発光ダイオードビームによる画像ローラの感光層の放電も、ローラの各端部においてそれぞれ異なるエネルギでもって行われると考えられ、これは、異なる厚さのトナー層を意味すると考えられる。
【0051】
したがって、米国特許第9423756号明細書から公知の方法は、専ら直交座標系においてのみ適用可能である。
【0052】
本発明の有利な構成では、粉末粒子用の供給ローラを準備し、供給ローラの周面を、内部で粉末粒子が付着した担体がコーティングローラの周面に接触するローラギャップを介してコーティングローラの周面から離間させ、この場合、供給ローラはその周面に、上に絶縁層が位置する導電性の供給ローラ層を有しており、供給ローラ層に、第2の極性の電位を印加し、これにより、供給ローラの周面に位置する粒子を静電気により供給ローラに引き付け、供給ローラの周面を、ローラギャップから離れた位置で粉末粒子に接触させかつ供給ローラをその軸線を中心として回転させ、これにより、供給ローラの周面に位置する粉末粒子をコーティングローラの周面に到達させ、この場合、供給ローラ層に印加する電位と、コーティングローラの導電層に印加する電位とを、粉末粒子がローラギャップ内で供給ローラの周面からコーティングローラの周面に転移するように選択する。これにより、所定の層厚さを有する粉末状の第2の材料をコーティングローラの周面に転移させることができる。
【0053】
本発明の1つの好適な実施形態では、導磁性でありかつ好適には摩擦帯電式に帯電可能な担体粒子を準備して、第2の材料の粉末粒子に接触させ、これにより粉末粒子を担体粒子に解離可能に付着させ続け、粉末粒子用の磁性の供給ローラを準備し、供給ローラの周面を、ローラギャップを介してコーティングローラの周面から離間させ、粉末粒子が付着した磁性の担体粒子を、ローラギャップから離れた位置において供給ローラの周面に接触させ、これにより、担体粒子を磁気により、供給ローラの周面に付着させ続け、供給ローラを、その軸線を中心として回転させ、これにより、供給ローラの周面に位置する、粉末粒子が付着した担体粒子を、まず掻取り装置の傍らを通過させて、粉末粒子で被覆された担体粒子を掻き取りかつ掻取り装置の通過後にローラギャップ内に到達させ、コーティングローラの電位を、担体粒子に付着している粉末粒子の電位とは異なるように選択し、これにより、ローラギャップ内で粉末粒子を担体粒子から剥離させ、コーティングローラの周面に転移させる、ということが想定されている。この場合、導磁性の担体粒子は、磁性の供給ローラと組み合わせられて、粉末状の第2の材料の、コーティングローラへの所定の層厚さでの均一な被着を可能にする。粉末粒子がローラギャップ内で担体粒子から剥離した後に、担体粒子を再び粉末粒子で被覆してから再利用することができる。粉末粒子は、好適には静電気力を介して担体粒子に付着する。
【0054】
当該方法の1つの別の好適な構成では、導磁性の担体粒子を準備して、第2の材料の粉末粒子に接触させ、これにより粉末粒子を担体粒子に解離可能に付着させ続け、粉末粒子を充填しようとするキャビティの底部から転移ギャップを介して離間した磁性の周面を備えるコーティングローラを準備し、粉末粒子が付着した磁性の担体粒子を、キャビティから離れた位置でコーティングローラの周面に接触させ、これにより、担体粒子を磁気によりコーティングローラの周面に付着させ続け、コーティングローラを、その軸線を中心として回転させ、これにより、コーティングローラの周面に位置する、粉末粒子が付着した担体粒子を、まず掻取り装置の傍らを通過させて、粉末粒子で被覆された担体粒子を掻き取りかつ掻取り装置の通過後に転移ギャップ内に到達させ、キャビティの底部の電位を、担体粒子に付着している粉末粒子の電位とは異なるように選択し、これにより、転移ギャップ内で粉末粒子を担体粒子から剥離させ、キャビティの底部に転移させる。つまり、粉末粒子は、現像装置のマグネットローラからネガ型のキャビティ内へ直接に転移されてもよい。これにより、追加的なコーティングローラと、粉末粒子リザーバへの粉末粒子の戻し案内とが省かれるため、当該方法を簡単に実施することができる。
【0055】
本発明の1つの改良では、第1の材料として導電性の材料を使用し、第2の材料として電気的に絶縁性の材料を使用し、少なくとも、粒子担体の担体表面に対して最も近くに配置された硬化したネガ型層を、粒子担体の導電性の領域の電位と、粒子担体上に位置する第2の材料の粉末粒子の電位とは異なる電位に設定し、これにより、粒子担体の担体表面にこのネガ型層を位置決めしたときに、粒子担体の担体表面にキャビティが位置決めされた場合にこのネガ型層の少なくとも1つのキャビティ内へ単位面積当たりに転移されるよりも少ない、特に単位面積当たり50%少ない、場合により70%少ない、好適には90%少ない粉末粒子をネガ型層に転移させる。つまり、粒子担体の導電性の領域、ネガ型層および粉末粒子の電位をそれぞれ異なるように選択し、これにより、粉末状の第2の材料が、粒子担体の担体表面から実質的にキャビティ内へのみ転移し、最上位のネガ型層の表面には転移しないようにする。この場合、粒子担体またはコーティングローラの、粉末粒子で面状に被覆された担体表面からネガ型層に供給されなかった材料を、場合により、別の成形品層のコーティングに使用することができる。これにより、成形体の製造に必要な第2の材料の量が相応に減少する。
【0056】
本発明の1つの改良では、粉末状の第2の材料は光重合開始剤を含んでおり、この場合、熱可塑性の粉末粒子は、ポリマーおよび/またはコポリマーを有しており、光重合開始剤は、焼結後にポリマーを架橋させるために電磁放射線の照射によって活性化される。有利には、この方法により、熱可塑性の粒子から熱硬化性樹脂を製造することができる。これにより、第2の材料の耐熱性が向上する。これに対して、純粋な熱可塑性樹脂の場合には耐熱性に問題がある。
【0057】
本発明の1つの特に有利な構成では、支持体部分は基底面に、基底面を上から見て互いに側方にずらされた、好適には櫛状に係合し合う少なくとも2つの電極を有しており、この場合、電極に電圧を印加し、これによりキャビティの底部に、第1の極性を有する電位を発生させる。これにより、キャビティにおける第2の材料の粉末粒子を特に良好に粒子担体から剥離させ、キャビティの底部に定着させることができる。
【0058】
有利なのは、電極に印加される電圧を、最初のネガ型層の被着と最後のネガ型層の被着との間に少なくとも一度は絶対値を増大させる場合である。これにより、基底面に被着される材料層の数の増大に伴って生じる、ネガ型層のキャビティの底部に印加される静電位の絶対値の減少を阻止することができる。
【0059】
本発明の1つの好適な実施形態では、キャビティの底部の高さにおける電位に関する測定信号を検出し、目標値または目標値範囲と比較し、測定信号と目標値または目標値範囲との間に差異が生じた場合には、差異を縮小する意味で、電極に印加する電圧を変化させる。これにより、キャビティの底部における電位を、印刷プロセス全体にわたり十分一定に保つことができる。
【0060】
以下に、本発明の実施例をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】層状の材料被着により三次元成形品を製造する極座標構成の装置を概略的に示す図であって、この装置は、液状の材料を供給する第1の供給装置と、粉末状の材料を供給する第2の供給装置とを有している。
図2A】層状に製造される成形品のそれぞれ異なる製造方法ステップにわたり成形品を横断して示す図である。
図2B】層状に製造される成形品のそれぞれ異なる製造方法ステップにわたり成形品を横断して示す図である。
図2C】層状に製造される成形品のそれぞれ異なる製造方法ステップにわたり成形品を横断して示す図である。
図2D】層状に製造される成形品のそれぞれ異なる製造方法ステップにわたり成形品を横断して示す図である。
図2E】層状に製造される成形品のそれぞれ異なる製造方法ステップにわたり成形品を横断して示す図である。
図2F】層状に製造される成形品のそれぞれ異なる製造方法ステップにわたり成形品を横断して示す図である。
図3図1に示した装置の部分平面図であり、この場合、第2の供給装置の上方に配置されたカバーが取り外されている。
図4】円錐形のコーティングローラを示す図である。
図5】硬化した材料層に粉末状の材料の層を被着中の、第2の供給装置の第1の実施例を示す側面図である。
図6】材料層の平面フライス加工、研削または研磨中の、切削式かつ/または粒子除去式の平滑化ユニットを示す側面図である。
図7】第1の材料の材料層と第2の材料の材料層とから成る積層体を示す立体図である。
図8】溶媒を用いて第1の材料の材料層を除去した後の成形品を示す立体図である。
図9】全ての材料層を被着した後の別の成形品を示す横断面図である。
図10】第1の材料の材料層を除去した後の、図9に示した成形品を示す横断面図である。
図11】硬化した材料層に粉末状の材料の層を被着中の、第2の供給装置の第2の実施例を示す側面図である。
図12】三次元成形品を製造中の、直交座標構成の装置を示す側面図である。
図13】円筒形のコーティングローラを示す図である。
図14図12に示した装置の第2の供給装置を示す平面図である。
図15】三次元成形品を製造中の、別の直交座標構成の装置を示す側面図である。
図16図15と同様の図であるが、粉末状の材料はそれぞれ、キャビティの領域においてのみ、成形品の材料層に被着される。
図17】材料層が被着される基底面に電界を発生させる帯電プレートを有する装置を示す縦断面図である。
図18】帯電プレートとして形成された支持体部分を示す平面図である。
図19】材料層が被着される基底面に電界を発生させる帯電プレートを有する装置を示す縦断面図である。
図20】三次元成形品を製造する装置を示す部分平面図であって、この装置は、粉末粒子をクリーニング装置から現像ユニットへ搬送可能なスクリュコンベア装置を有している。
【発明を実施するための形態】
【0062】
層状の材料被着により三次元成形品1を製造する方法では、ソフトウェアを実行するコンピュータと通信する制御ユニットから、成形品1の幾何学形状データが提供される。さらに、成形品1を支持する、水平面内に配置された基底面3を備えたプレート状の導電性の支持体部分2を準備する。
【0063】
当該方法の第1の実施例は、図1に示す装置を用いて実施される。この装置では、基底面3が実質的に円環ディスクの形状を有している。しかしまた、基底面3が特に中実円板の形状を有しているかまたは矩形に形成されていてよい別の構成も考えられる。
【0064】
第1の実施例では、硬化可能な液状の第1の材料4と、第1の材料4とは異なる、粉末状の硬化可能な熱可塑性粉末粒子を含む第2の材料5と、硬化される第1の材料4のための溶媒としての水とを準備する。硬化される第2の材料5は、溶媒に不溶である。第2の材料5は、その中に含まれる固体粒子に基づき、硬化した状態では、硬化した第1の材料4よりも高い強度を有している。第1の材料4は、光重合開始剤を含みかつ紫外線の照射によって架橋可能なポリマーである。
【0065】
液状の第1の材料4は第1のリザーバ6内に配置されており、粉末状の第2の材料5は第2のリザーバ7内に配置されている。第1のリザーバ6は、導管を介して第1の材料4用の第1の供給装置8に接続されている。第1のリザーバ6は、実質的に閉じた容器として形成されており、第2のリザーバ7は、槽として形成されている。
【0066】
第1の供給装置8は、一列に配置された複数のノズル(詳細には図示せず)を備えた第1のインクジェット印刷ヘッドを有しており、これらのノズルは、第1の材料4の部分材料を、基底面3または基底面3上に位置する、第1の材料4および/または第2の材料5の硬化される材料層に供給するように向けられている。ノズル列は、基底面3の平面に対して平行に配置されており、基底面3の周方向に対して横方向に、好適には基底面3の中心に対して実質的に半径方向に延在している。
【0067】
支持体部分2と第1の供給装置8とは、位置決め装置9を介して矢印10の方向に互いに相対回動可能であり、かつ回転軸線11に対して平行に摺動可能である。この場合、基底面3に位置しかつ回転軸線11から離れた点は、螺旋状またはつる巻線状の軌道曲線に沿って移動する。
【0068】
第1の供給装置8と第1の位置決め装置9とは、製造しようとする成形品1の幾何学形状データを格納するデータメモリを有する制御装置(詳細には図示せず)に接続されている。制御装置により、第1の材料4の部分材料の供給および第1の位置決め装置9を、幾何学形状データに応じて制御することができ、これにより、流動性の第1の材料4から成る複数のネガ型層12を、基底面または予め基底面に被着された第1の材料4および/または第2の材料5の硬化した材料層に被着することができる(図2A)。この場合、ネガ型層12はそれぞれ、製造しようとする成形品1の材料層のネガ形状を有する少なくとも1つのキャビティ13を有している。キャビティ13はそれぞれ、関係するネガ型層12の層厚さ全体にわたり、基底面3またはネガ型層12の下に位置する硬化した材料層まで延びている。
【0069】
矢印10の方向において第1の供給装置8の下流側には硬化装置14が配置されており、硬化装置14により、基底面3または基底面3上に位置する硬化した材料層に被着された液状の第1の材料4を硬化させる。このために、硬化装置14は第1のUV放射線源(詳細には図示せず)を有しており、第1のUV放射線源を介して、第1の材料の、硬化させようとする材料層に紫外線を放射することができ、これにより、第1の材料に含まれる光架橋剤が活性化され、第1の材料4に含まれるポリマーが架橋される。
【0070】
矢印10の方向において硬化装置14の下流側には第2の供給装置15が配置されており、第2の供給装置15を介して、予め硬化された各ネガ型層12のキャビティ13に第2の材料5が充填され、これにより、成形品層16が形成される(図2B)。
【0071】
第2の供給装置15はコロナ帯電装置17を有しており、コロナ帯電装置17は、矢印10の方向において硬化装置14の下流側に配置されており、複数のコロナワイヤ18を有している。コロナワイヤ18には負の電位が印加され、この電位は、基底面3の、第1の供給装置8のところに位置決めされた部分の電位とは異なっており、キャビティ13の底部と、場合により第1の材料4の材料層の、コロナワイヤ18に面した表面とを帯電させるために用いられる。コロナワイヤ18に印加される電位に基づき、コロナワイヤ18と、基底面3の、コロナワイヤ18とは反対側に位置する表面領域との間の空間内の空気がイオン化される。基底面3上かつ/または基底面3上に位置する硬化した材料層上の第1の材料4の材料層が、コロナワイヤ18の下を矢印10の方向に通過すると、キャビティ13の底部と、場合により、第1の材料4から成る材料層の、コロナワイヤ18に面した表面とが、第1の正の電位に帯電させられる。コロナワイヤ18と支持体部分2の電位との間の電位差は、例えば5KVであってよい。
【0072】
図3に見られるように、第2の供給装置15は、自体公知の摩擦帯電式の帯電装置19(概略的にのみ図示)と、この帯電装置19と協働する円錐形の供給ローラ20Aと、円錐形のコーティングローラ21Aとを有している。
【0073】
供給ローラ20Aとコーティングローラ21Aとは、それぞれ円錐台形に形成されており、その周面に対応して配置された仮想の円錐の先端が支持体部分2の回転軸線11上に位置するように配置されている。供給ローラ20Aとコーティングローラ21Aとは、それぞれその長手方向中心軸線を中心として回転可能に配置されている。図3では、供給ローラ20Aとコーティングローラ21Aとが、それぞれその軸線方向端部に軸端を有しており、軸端において、供給ローラ20Aとコーティングローラ21Aとは定置の軸受(詳細には図示せず)に回転可能に支持されていることが判る。供給ローラ20Aとコーティングローラ21Aとがそれぞれ回転可能に支持されている回転軸22,23は、供給ローラ20Aの周面と、コーティングローラ21Aの周面との間にローラギャップ24が形成されているように配置されており、ローラギャップ24は、回転軸22,23間に形成される平面内で一定のギャップ幅を有している。
【0074】
供給ローラ20Aは、そのローラコアにより形成された導電性の供給ローラ層を有しており、供給ローラ層上には、供給ローラ20Aの周面を形成する電気的な絶縁層が配置されている。相応して、コーティングローラ21Aは、そのローラコアにより形成された導電層43を有しており、導電層43は、その周面を電気的な絶縁層44により被覆されている。
【0075】
図3に示す実施例では、摩擦帯電式の帯電装置19は、第2のリザーバ7内に配置され回転駆動される撹拌ツール25を有しており、撹拌ツール25により、第2のリザーバ7内に位置する第2の材料5の粉末粒子が渦動させられ、これにより、粉末粒子は相互に、撹拌ツール25にかつ第2のリザーバ7の壁に強力に擦りつけられる。このとき、粉末粒子は摩擦帯電式に第2の正の電位に帯電させられる。図3に示す装置の摩擦帯電式の帯電装置19は、図5に示す装置の摩擦帯電式の帯電装置19に相当する。
【0076】
第2のリザーバ7内で、帯電した粉末粒子は、ローラギャップ24から離れた接触箇所において、供給ローラ20Aの周面に接触する。供給ローラ20Aの導電性のローラコアは、粉末粒子が供給ローラ20Aの周面に静電によって引き付けられるように選択される、第2の電位とは異なる第3の負の電位に設定される。第3の電位は、第1の調整部材26によって調整することができる。
【0077】
供給ローラ20Aは、そのローラ軸線上に位置する回転軸22を中心として回転し、これにより、供給ローラ20Aの周面に位置する粉末粒子はローラギャップ24内に流入する。ローラギャップ24への経路において、粉末粒子は、ギャップにより規定されたギャップ幅を通って移動する。これにより、供給ローラ20Aの周面が第2の材料5でコーティングされる材料厚さが確定される。余剰の材料粒子は、ギャップのところで供給ローラ20Aから掻き取られる。
【0078】
コーティングローラ21Aの導電層43には、ローラギャップ24内の粉末粒子が供給ローラ20Aの周面から剥離し、ローラギャップ24の全長にわたり非選択的にコーティングローラ21Aの周面に転移するように第3の電位に適合された、第4の電位が印加される。これにより、コーティングローラ21Aの周面は粉末粒子によって非選択的にまたは途切れずにコーティングされる。第4の電位は、第2の調整部材27により、好適には負の電位値と正の電位値との間に、特に-1000V~+1000Vに調整されることができる。
【0079】
コーティングローラ21Aの回転軸線23を中心としたコーティングローラ21Aの回転運動と、回転軸線11を中心とした基底面3の回転運動とにより、コーティングローラ21Aの周面に位置する粉末粒子は、ローラギャップ24に対して周面の周方向にずらされておりかつ第1の材料4の材料層のキャビティ13に面した材料供給位置に到達する。この場合、粉末粒子は、キャビティ13に対して密に位置決めされ、これにより粉末粒子は、第4の電位と第1の電位との間の電位差に基づき生じる力によってコーティングローラ21Aの周面から剥離され、キャビティ13内へ転移し、成形品層16を形成する。この場合、キャビティ13は第2の材料5で完全に満たされる。
【0080】
材料供給位置においてコーティングローラ21Aの周面から剥離されない粉末粒子は、クリーニング装置39によりコーティングローラ21Aの周面から除去される。クリーニング装置39は、コーティングローラ21Aの周面に作用するスクレーパ40と、コーティングローラ21Aの回転軸線に対して平行に配置された軸線を中心として、コーティングローラ21Aの回転方向とは反対の方向に回転駆動されるクリーニングローラ41とを有している。スクレーパ40およびクリーニングローラ41は、コーティングローラ21Aの回転方向において材料供給位置の下流側でありかつ供給ローラ20Aの上流側に配置されている。材料粒子を除去するために、クリーニングローラ41はその外周面において、コーティングローラ21Aの周面に当て付けられる。スクレーパ40とクリーニングローラ41とは捕集容器内に配置されており、捕集容器内には、コーティングローラ21Aの周面から除去された材料粒子が供給される。捕集容器の底部にはスクリュコンベア42が位置しており、スクリュコンベア42により、粉末粒子をクリーニング装置39から第2のリザーバ7内へ搬送し戻すことができ、これにより、粉末粒子を新たな使用に供給することができる(図5図11図12図17および図19)。
【0081】
矢印10の方向において、キャビティ13が第2の材料5で満たされた材料供給位置の下流側には熱処理ステーション28が配置されており、熱処理ステーション28は、例えば赤外線放射器および/またはフラッシュランプを有していてよい。熱処理ステーション28を通過する際に、予めキャビティ13内に充填された第2の材料5が熱的に焼結され、このとき、第2の材料5に含まれる粉末粒子は互いに融合し、場合により、その下に位置する、第2の材料5から成る層と融合する。
【0082】
必要に応じて、矢印10の方向において熱処理ステーション28の下流側に架橋装置29が配置されていてもよく、架橋装置29では、第2の材料5に含まれるポリマーおよび/またはコポリマーが、紫外線の照射によりかつ/または電子ビームの照射により架橋され、熱硬化性樹脂が形成される。
【0083】
その後、引き続く方法ステップでは、硬化したネガ型層12および/または硬化した成形品層16の領域および/またはネガ型層に配置された硬化した第2の材料5が、切削式または粒子除去式のフライス加工、研削、または研磨装置30により除去される(図2C図6)。この場合、硬化した第1の材料4および/または第2の材料5の、基底面に対して所定の距離に、基底面に対して平行に配置された平面を越えて突出している領域が、切削式の材料除去により除去され、次いで吸込みノズル31により吸い出される。必要に応じて、吸込みノズル31の下流側に表面クリーニング装置32が配置されていてもよい。表面クリーニング装置32は、最後に被着された成形品の材料層にブラシ掛けする回転ブラシを有していてよい。
【0084】
相応して、硬化したネガ型層12および成形品層16の表面に、別のネガ型層12(図2D)および別の成形品層16(図2E図2F)を被着する。これらのステップは、製造しようとする成形品の全ての成形品層16が形成された状態(図7および図8)になるまで繰り返される。
【0085】
引き続く方法ステップでは、ネガ型層12を溶媒33に接触させ、これにより、硬化した第1の材料4を完全に溶媒に溶かす。これは例えば、ネガ型層12と成形品層16とから成る積層体を所定の時間、容器34内の溶媒33中に浸漬させ、場合により超音波で処理することによって達成することができる。その後、完成した成形品(図8)を溶媒33から取り出して乾燥させる。
【0086】
図9および図10に見られるように、本発明による方法を用いて、張出し部35と中空室36とを備えた成形品も製造することができる。
【0087】
第2の実施例では、非磁性トナーの代わりに磁性トナーが使用される。この方法は、図5に示した摩擦帯電式の帯電装置19の代わりに、図11に示す摩擦帯電式の帯電装置19’が使用され、かつ、円錐形の供給ローラ20Aの代わりに、周面が磁性の相応する円錐形の供給ローラが使用されるという点で、図1および図3に示した装置とは異なる装置を用いて実施される。磁場は、供給ローラ20Aの内部に配置された定置の永久磁石により形成される。その他の点では、第2の実施例に用いられる装置は、図1および図3に示した装置に相当する。この点において、第1の実施例の説明は、第2の実施例にも相応に当てはまる。
【0088】
第2の実施例では、導磁性の担体粒子を準備し、第2のリザーバ7内で第2の材料5の粉末粒子に接触させ、これにより、粉末粒子が担体粒子に解離可能に付着し続けるようにする。粉末粒子が付着した導磁性の担体粒子を、ローラギャップから離れた位置で供給ローラの周面に接触させ、これにより、担体粒子は磁気的に、供給ローラの円錐周面形の周面に付着したままになる。
【0089】
供給ローラがその軸線を中心として回転すると、供給ローラの周面に位置する担体粒子は、担体粒子に付着している粉末粒子と共に、まず掻取り装置37の傍らを通過し、掻取り装置37において、粉末粒子でコーティングされた担体粒子は、供給ローラの円錐形の周面から除去される。図11に見られるように、これにより、掻取り装置37の下流側の周面は、担体粒子と担体粒子上に位置する粉末粒子とを含む、所定の層厚さの層でコーティングされる。掻取り装置37を通過した後に、粉末粒子でコーティングされた担体粒子は、円錐形の供給ローラと円錐形のコーティングローラ21Aとの間に形成されたローラギャップ内に流入する。
【0090】
コーティングローラ21Aの導電性のローラコアには、担体粒子に付着している粉末粒子の電位とは異なる電位が印加され、この電位は、ローラギャップ内で粉末粒子が担体粒子から剥離してコーティングローラ21Aの周面に転移するように選択される。担体粒子、供給ローラの周面に留まり、供給ローラの回転運動に基づき、再び撹拌ツール25の作用領域に到達し、そこで担体粒子は再び第2の材料の粉末粒子(トナー)でコーティングされる。
【0091】
第3の実施例を実施するためには図12に示す装置が使用され、この装置では、個々の加工ステーション、つまり、第1の供給装置8、硬化装置14、第2の供給装置15、熱処理ステーション28、場合により架橋装置29、切削式または粒子除去式のフライス加工、研削または研磨装置30、および場合により表面クリーニング装置32が、直線上に連続して配置されている。図12に示す装置では、供給ローラ20Bもコーティングローラ21Bも、それぞれ円筒形に形成されている(図13)。コーティングローラ21Bは導電層43(ローラコア)を有しており、導電層43は、その周面を電気的な絶縁層44でコーティングされている。
【0092】
第1および第2の実施例とは異なり、第3の実施例では、基底面3を有する支持体部分2は、回転されるのではなく、材料層を被着するために
a)出発位置から搬送方向38に終端位置へ移動され、かつ
b)その後、-別の材料層を被着しようとする場合には-終端位置から搬送方向38とは反対の方向に、出発位置へ戻される。
【0093】
さらに、支持体部分2は、ステップa)およびステップb)の最中かつ/またはステップa)とステップb)との間に、コーティングローラに対して下降する。成形品1の全ての材料層が積層されるまで、材料層を被着する度に、上述したステップを繰り返す。
【0094】
その他の点では、第3の実施例は第1の実施例に相応する。したがって、この点において、第1の実施例に関する説明は、第3の実施例に関しても相応に当てはまる。
【0095】
第4の実施例では、非磁性トナーの代わりに磁性トナーが使用される。この方法は、図12に示した摩擦帯電式の帯電装置19の代わりに、円筒形の供給ローラと円筒形のコーティングローラとを有する、図11と同様の摩擦帯電式の帯電装置19’が使用される点で、図12に示した装置とは異なる装置を用いて実施される。この場合、円筒形の供給ローラは、その周面において磁性を有する。その他の点では、第4の実施例に用いられる装置は、図12に示した装置に相当する。この点において、第3の実施例の説明は第4の実施例にも相応に当てはまる。帯電装置19’の説明については、第2の実施例の説明を参照されたい。
【0096】
第1~第4の実施例および図15に示す第5の実施例では、粉末状の第2の材料5は、コーティングローラ21Bにより、それぞれキャビティ13内へ面状にもたらされ、かつネガ型層12の、コーティングローラ21Bに面した表面に全面的に被着される。ネガ型層12に被着された第2の材料5は硬化後に、切削式または粒子除去式のフライス加工、研削または研磨装置30によって完全に除去される。同時に、キャビティの領域に被着されかつ基底面に対して所定の距離に配置された平面を越えて突出した材料が除去され、これにより、キャビティ13およびネガ型層12にわたり一貫して延びる、正確に平坦な表面が達成される。
【0097】
図16に示す第6の実施例では、粉末状の第2の材料5は、その周面が全面的に第2の材料で被覆されたコーティングローラ21Bにより、キャビティ13が位置する場所にのみ被着される。これに対して、ネガ型層12の表面は、第2の材料5でコーティングされない。これにより、第2の材料5の材料消費量が相応に減少する。
【0098】
これは、第1の材料4として導電性の材料が使用されかつ第2の材料5として電気的に絶縁性の材料が使用され、ネガ型層12が、コーティングローラ21Bの周面上に位置する第2の材料の粉末粒子の電位と、コーティングローラ21Bの導電層43の電位とは異なる電位に設定され、これにより、コーティングローラ21Bの周面に対してネガ型層12が位置決めされても、実際には粉末粒子が周面からネガ型層12に転移されることはない、ということにより達成される。図16に示す実施例では、ネガ型層12は接地電位に設定され、コーティングローラ21Bの導電層43は負の電位に設定され、第2の材料5の粉末粒子は正の電位に帯電させられる。
【0099】
図17に示す第7の実施例では、基底面3における電位が、コーティングローラの下側で支持体部分2内に組み込まれた電極47A,47Bを有する、帯電プレートとして形成された支持体部分2によって発生される。これにより、コロナ帯電が省かれるか、またはこれに対して任意には、コロナ帯電が切り換えられる。
【0100】
図18に見られるように、電極47A,47Bはそれぞれ櫛状に形成されている。各電極47A,47Bは、1つの長手方向ウェブ48A,48Bを有しており、長手方向ウェブ48A,48Bには、それぞれ互いに平行に延びる複数の横方向ウェブ49A,49Bが配置されている。電極47A,47Bは基底面3に対して平行に延びており、基底面3にすぐ隣接しているか、または基底面3に対して密に隣接している。電極47A,47Bの間かつ/または下には、電気的な絶縁材料、例えば注型用コンパウンドまたはガラスが配置されている。
【0101】
電極47A,47B間には一定の電圧が印加され、この電圧は、第4の調整部材51により、好適には0~-45kVの値に調整可能である。電極48Bは、接地電位に位置している。電圧によって生じた電界は、ネガ型層12と成形品層16とを貫通する。第1の材料4および第2の材料5はそれぞれ、電界内でその電気力線に対してほぼ平行に向けられた双極子を含んでいる。これにより、コーティングローラ21Bの周面に位置する粉末粒子が転移ギャップ47に到達し、静電気によってキャビティ13の底部に引き付けられ、これにより粉末粒子は、コーティングローラ21Bの周面から剥離し、キャビティ13の底部に堆積する。
【0102】
必要に応じて、キャビティ13の底部における電位を、例えばプローブ(詳細には図示せず)により測定し、目標値と比較することができる。このとき、測定値と目標値との間に差異が確認された場合には、支持体部分2の電極47A,47Bに印加する電位を、差異の減少の意味で変化させる。つまり、キャビティ13の底部における電位を、目標値に調整可能である。これにより、キャビティ13の底部と電極47A,47Bとの間の間隔が拡大すると、基底面3に被着された材料層またはネガ型層の数の増大に伴い、キャビティ13の底部における電位の絶対値が減少することが回避される。
【0103】
その他の点では、第7の実施例は実質的に、図11に示した実施例に相当する。この点において、第2の実施例の説明は第7の実施例にも相応に当てはまる。第7の実施例においてコーティングローラおよび供給ローラは、円錐形または円筒形に形成されていてよい。
【0104】
図19に示す第8の実施例では、リザーバ7内に導磁性の担体粒子を供給し、リザーバ7内に位置する撹拌ツール25によって第2の材料5の粉末粒子と接触させ、これにより、粉末粒子は担体粒子に解離可能に付着し続ける。転移ギャップ47により、粉末粒子で満たされるべきキャビティ13の底部から離間した、磁性の周面を備えるコーティングローラ21Bを準備する。
【0105】
粉末粒子が付着した磁性の担体粒子を、キャビティ13から離れた位置でコーティングローラ21Bの周面に接触させ、これにより、粉末粒子で被覆された担体粒子は、磁気によってコーティングローラ21Bの周面に付着し続ける。
【0106】
コーティングローラ21Bを、その回転軸線22を中心として回転させ、これにより、コーティングローラ21Bの周面に位置する、粉末粒子が付着した担体粒子を、まず掻取り装置37’の傍らを通過させ、粉末粒子で被覆された担体粒子を掻き取り、掻取り装置37’を通過した後で、転移ギャップ47内に到達させる。電極47A,47B間に印加される電界に基づき、担体粒子上に位置しコーティングローラの周面に接して転移ギャップ47内に到達した粉末粒子は、静電気によってキャビティ13の底部に引き付けられ、これにより粉末粒子は、担体粒子から剥離し、キャビティ13の底部に堆積する。
【0107】
その他の点では、第8の実施例は実質的に第7の実施例に相応する。この点において、第7の実施例の説明は、第8の実施例にも相応に当てはまる。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20