(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】コネクタおよびコネクタアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/629 20060101AFI20250120BHJP
H01R 13/639 20060101ALI20250120BHJP
【FI】
H01R13/629
H01R13/639 Z
(21)【出願番号】P 2022559661
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2021057229
(87)【国際公開番号】W WO2021197881
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-11-28
(31)【優先権主張番号】102020204060.5
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ローベルト トルノ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィエト グエン タン
(72)【発明者】
【氏名】ゲオアク ヴァレンシュタイナー
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-533684(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0211286(US,A1)
【文献】特開2018-181625(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0301850(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0295352(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0197081(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
差込み方向(Z)に沿って対向コネクタに差し合わせるためのコネクタ(1)であって、該コネクタ(1)は、
少なくとも1つのコンタクト要素(3)を収容するために構成されているコネクタケーシング(2)と、
第1の位置(P1)と第2の位置(P2)との間で旋回可能であるレバー装置(4)と、
前記コネクタケーシング(2)に配置されているカバー(5)と、
一対のブロック要素(22)を備えたCPA(20)と
を有し、
前記レバー装置(4)は、前記第2の位置(P2)において係止構造体(6)に解除可能に係止されており、
前記CPA(20)は、前記カバー(5)に配置されており、
前記CPA(20)は、
一対の前記ブロック要素(22)の延在方向と同一の移動方向(V)に沿ってロック解除位置(EL)とロック位置(SL)との間で移動可能であり、
前記CPA(20)は、ロック要素(21)を有し、該ロック要素(21)は、前記CPA(20)の前記ロック位置(SL)において、前記レバー装置(4)と前記係止構造体(6)との間の係止を解除するための前記係止構造体(6)の移動を阻止し、
一対の前記ブロック要素(22)と前記カバー(5)とは、前記ロック解除位置(EL)から前記ロック位置(SL)への前記CPA(20)の移動が前記レバー装置(4)の位置に依存しているように、互いに連携するように構成されており、
前記レバー装置(4)の前記第1の位置(P1)において、前記CPA(20)は前記ロック解除位置(EL)から前記ロック位置(SL)へと移動可能ではなく、
前記レバー装置(4)は、解錠要素(7)を有し、
該解錠要素(7)は、前記レバー装置(4)の前記第2の位置(P2)において、
一対の前記ブロック要素(22)を、前記移動方向(V)
を横切る方向に
、互いに離間するように移動させ、これにより前記CPA(20)は、前記ロック位置(SL)に移動可能である、コネクタ(1)。
【請求項2】
前記ブロック要素(22)は、前記移動方向(V)
を横切る方向に弾性的かつ可逆的に変位可能であり、かつブロック構造体(23)を有し、
前記カバー(5)に、対向構造体(50)が形成されており、該対向構造体(50)は、
前記CPA(20)が前記ロック解除位置(EL)に位置しており、
前記CPA(20)が前記ロック位置(SL)の方向に移動させられ、かつ
前記ブロック要素(22)が変位させられていない、
場合に、前記ブロック構造体(23)と協働し、かつ前記ロック位置(SL)への前記CPA(20)の移動をブロックし、
前記移動方向(V)
を横切る方向の前記ブロック要素(22)の変位時に、前記ブロック構造体(23)と前記対向構造体(50)とは、もはや協働せず、かつ前記ロック位置(SL)への前記CPA(20)の移動が可能である、請求項1記載のコネクタ(1)。
【請求項3】
前記対向構造体(50)は、第1の面(F1)を有し、該第1の面(F1)は、前記CPA(20)に面していて、第1の面法線(N1)を有し、該第1の面法線(N1)は、前記移動方向(V)に沿って延びており、
前記第1の面(F1)は、基部(51)を起点として、前記ブロック要素(22)が変位させられていない場合に、前記ブロック構造体(23)の移動経路(VW)内に突入しており、
前記ブロック構造体(23)は、第2の面法線(N2)を備えた第2の面(F2)を有し、前記第2の面法線(N2)は、前記移動方向(V)に沿って見て、前記第1の面法線(N1)に対して第1の角度(α)だけ前記基部(51)から離れる方向に傾斜しており、前記第1の角度(α)は、2°~15°の範囲にある、請求項2記載のコネクタ(1)。
【請求項4】
前記対向構造体(50)は、第3の面(F3)を有し、該第3の面(F3)は、前記CPA(20)とは反対に向いていて、第3の面法線(N3)を有し、該第3の面法線(N3)は、前記移動方向(V)に対して30°~60°の間の第2の角度(β)で延びており、
前記ブロック構造体(23)は、第4の面(F4)を有し、該第4の面(F4)は、前記CPA(20)に面していて、かつ第4の面法線(N4)を有し、
前記第4の面法線(N4)は、前記第3の面法線(N3)に対して平行に延びており、
前記第4の面(F4)は、乗上げ斜面(28)として構成されている、請求項2または3記載のコネクタ(1)。
【請求項5】
前記解錠要素(7)は、前記レバー装置(4)から突出するピン(70)として形成されており、該ピン(70)は、前記レバー装置(4)の前記第2の位置(P2)において、前記ブロック要素(22)を前記移動方向(V)
を横切る方向に変位させる、請求項1から4までのいずれか1項記載のコネクタ(1)。
【請求項6】
前記ブロック要素(22)は、前記移動方向(V)
を横切る方向に突出する鼻状構造体(27)を有し、該鼻状構造体(27)は、前記第1の位置(P1)から前記第2の位置(P2)への前記レバー装置(4)の運動時に、前記解錠要素(7)の軌道(T)内に突入し、前記鼻状構造体(27)は、乗上げ斜面(28)を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載のコネクタ(1)。
【請求項7】
前記CPA(20)は、中央要素(24)を有し、
前記ブロック要素(22)は、アーム(25)として形成されており、該アーム(25)は、前記中央要素(24)から前記移動方向(V)に沿って突出しており、
前記アーム(25)は、前記移動方向(V)
を横切る方向に弾性的かつ可逆的に変位可能であり、
前記アーム(25)は、該アーム(25)の自由端(26)の領域において、前記移動方向(V)
を横切る方向に突出する鼻状構造体(27)を有し、該鼻状構造体(27)は、前記第1の位置(P1)から前記第2の位置(P2)への前記レバー装置(4)の運動時に前記解錠要素(7)の軌道(T)内に突入し、
前記鼻状構造体(27)は、乗上げ斜面(28)を有している、請求項1から6までのいずれか1項記載のコネクタ(1)。
【請求項8】
コネクタアセンブリ(100)であって、該コネクタアセンブリ(100)は、
請求項1から
7までのいずれか1項記載のコネクタ(1)と、
少なくとも1つの対向コンタクト要素(62)を収容するために構成されている対向コネクタケーシング(61)を備えた対向コネクタ(60)と
を有している、コネクタアセンブリ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、コネクタおよびこのようなコネクタを備えたコネクタアセンブリに関する。
【0002】
先行技術
先行技術に基づいて、例えば自動車用途において、対向コネクタに差し合わせるための電気的なコネクタが知られている。コネクタは、複数のコンタクト要素を収容するためのコネクタケーシングと、カバーとを有している。操作力を低減するために、対向コネクタとコネクタとを差し合わせ、かつ/または解除する際の操作力を低減するためのレバー装置がさらに設けられていることが多く、レバー装置は、第1の(解錠された、または開かれた)位置と第2の(錠止された、または閉じられた)位置との間で旋回可能である。第2の位置では、つまりコネクタと対向コネクタとの間の差込み結合部が閉じられている場合、レバー装置は、コネクタの意図しない開放を阻止するために、係止構造体、例えば、弾性的かつ可逆的に移動可能な係止突起において解除可能に係止されていてもよい。コネクタと対向コネクタとから成る集合体はコネクタアセンブリと呼ぶことができる。
【0003】
独国特許出願公開第102015222124号明細書に基づいて、このようなコネクタおよびコネクタアセンブリが公知である。
【0004】
発明の開示
本発明は、例えば困難な設置条件下では、組立工にとって、コネクタがいつ完全に閉じられたか、または閉じられたかどうかは常に視覚的に認識可能また触覚的に知覚可能ではないという認識に基づいている。基本的には、まず第2の位置において係止構造体におけるレバー装置の係止が行われるものの、係止構造体が意図せず解除され、これにより第1の位置の方向へのレバー装置の意図しない移動が行われてしまうことも起こり得る。このことは、コネクタの望ましくない解除と、コンタクト要素と対向コンタクト要素との間の電気的な接触接続の望ましくない解除とをもたらす。
【0005】
したがって、例えば触覚的なフィードバックによって、困難な設置状況下でも、コネクタがいつ正しく、または完全に閉じられたか、もしくは閉じられたかどうかを組立工が明確に認識できるコネクタを提供する需要が存在し得る。同時に、意図しないロック解除もしくは係止解除に抗する、(例えば係止構造体による)コネクタが閉じられている第2の位置におけるレバー装置の固定をさらに確実にする需要がある。さらに、このような触覚的なフィードバックを与えることができる、もしくは意図しない係止解除を阻止する要素は、既にコネクタが閉じる前に意図せずに作動しない、もしくは作動させることができないことを確保することが望ましい。
【0006】
本発明の利点
この需要は、独立請求項による本発明の対象によって満たすことができる。本発明の有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、差込み方向に沿って対向コネクタと差し合わせるためのコネクタが提案される。
【0008】
コネクタは、少なくとも1つのコンタクト要素、特に複数のコンタクト要素を収容するために構成されているコネクタケーシングを含んでいる。さらに、コネクタは、第1の位置と第2の位置との間で旋回可能なレバー装置を有している。さらに、コネクタは、カバーを有している。さらにコネクタは、少なくとも1つのブロック要素を備えた、いわゆるコネクタ位置保証(CPA)を有し、CPAは接触接続位置保証要素と呼ぶこともできる。レバー装置は、第2の位置において係止構造体に解除可能に係止されている。CPAはカバーに配置されている。CPAは、移動方向に沿ってロック解除位置とロック位置との間で移動可能であり、CPAは、ロック要素を有し、このロック要素は、CPAのロック位置において、レバー装置と係止構造体との間の係止を解除するための係止構造体の移動を阻止する。ブロック要素とカバーとは、ロック解除位置からロック位置へのCPAの移動がレバー装置の位置に依存しているように、互いに連携するように構成されている。レバー装置の第1の位置では、CPAはロック解除位置からロック位置へと移動可能ではなく、レバー装置は、解錠要素を有し、解錠要素は、レバー装置の第2の位置において、ブロック要素を移動させ、これによりCPAはロック位置へと移動可能である。
【0009】
ブロック要素は、解錠要素によって、例えば移動方向に対して横方向もしくは垂直方向に移動または変位させることができる。ブロック要素は、例えば、弾性的かつ可逆的に変位可能である。
【0010】
これにより有利には、レバー装置の第2の位置への到達を触覚的なフィードバックにより認識することができるようになる。なぜならば、次いでCPAは、ロック解除位置からロック位置へと移動可能(例えば、摺動可能、回転可能、旋回可能等)であるからである。同時に、CPAは、ロック位置において意図しない作動に対して係止構造体を固定し、これによってコネクタの意図しない解除を阻止する。さらに有利には、コネクタが接続されていない状態で(レバー装置が第1の位置にある)、CPAを意図せずにロック位置に移動させることはできないことが確実にされる。レバー装置が第2の位置に接近する、または完全に到達した場合、例えば、第1の位置から第2の位置への経路の少なくとも90%または少なくとも95%が経過した後に、CPAをようやくロック位置に移動させることができることが規定されていてもよい。これにより、例えば視界の悪い状態でCPAの位置を触覚的に確認する際に、有利には、誤った触覚的な信号が組立工に与えられない。CPAをカバーに配置することにより、有利には、モジュール構造が可能である。なぜならば、カバーにおける配置とロック解除位置からロック位置への移動経路とが保証されている限り、種々異なるカバー形状もしくはカバー種類のために同一のCPAを使用することができるからである。さらに有利には、これにより、使用目的(例えば、安全性が重要なコネクタと、安全性が重要ではないコネクタ)に応じて、CPAを単純に省略することができ、これによりコストが削減可能である。このことは、コネクタが閉じているかどうかの触覚的な確認が、対向コネクタに対するコネクタケーシングの相対位置に直接依存するのではなく、むしろ間接的な指標、すなわちレバー装置の位置が使用されるので有利に可能であり、このことは、有利にはレバー装置の解錠要素およびCPAのブロック構造体により生じる。したがって、例えば安全性が重要ではない用途では、カバーに配置されたCPAを問題なく省略することができ、この場合にコネクタケーシングを変更する必要はない。
【0011】
本出願の文脈では、「有する」という用語は、基本的に「含む」という用語と同義に理解されるものとする。
【0012】
解除可能な係止とは、レバー装置が、例えば係止要素の操作もしくは作動によって、破壊されることなしに係止状態から解除することができると理解されるものとする。
【0013】
カバーは、例えば、コネクタケーシングに配置されていてもよい。カバーは、例えば、クリップ結合部によりコネクタケーシングに配置されている、もしくは着脱可能に取り付けられていてもよい。カバーは、コンタクト要素を例えば埃や汚れから保護することができる。カバーは、例えば、コンタクト要素に取り付けられた(例えば、圧着された)線路のためのケーブルガイドとして働くことができる。
【0014】
レバー装置の第1の位置は、例えば、開いた位置もしくは解錠位置であってもよい。この第1の位置では、例えば、コネクタと対向コネクタとの間の差込み結合部が閉じていなくてもよい、もしくはコネクタと対向コネクタとが差し合わされていない。第2の位置は、例えば、閉じられた位置または錠止された位置であってもよい。この第2の位置では、例えば、差込み結合部が閉じられていてもよく、これにより、コンタクト要素が対向コネクタの対向コンタクト要素と電気的に接触接続されている。コネクタと対向コネクタとは終端位置で差し合わせられていてもよい。
【0015】
レバー装置は、例えば、対向コネクタとコネクタとの差合せ時および/または解除時の操作力を軽減するように構成されていてもよい。レバー装置は、例えば、コネクタケーシングおよび/またはカバーにおいて回転自在に支承されていてもよい。
【0016】
CPAは、対向コネクタにおけるコネクタのコンタクト位置を固定するために適している、もしくは固定するために構成されている。
【0017】
コネクタケーシングの内部には、単独のコンタクト要素もしくは複数のコンタクト要素が配置されていてもよい。
【0018】
以下では、常に複数のコンタクト要素を想定しているが、唯1つのコンタクト要素しか存在していない場合も常に含まれている。このことは、対向コネクタと、単独の対向コンタクト要素もしくは複数の対向コンタクト要素についても同様に適用される。
【0019】
コンタクト要素は例えばコンタクト室内に配置されていてもよく、コンタクト室は、コネクタケーシングの内部に形成されている、もしくはコネクタケーシングの内部に配置されている。コンタクト要素は、例えば、線路に接続されていてもよい。コンタクト要素は、例えば、ソケットコンタクトもしくは雌型コンタクトとして形成されていてもよい。対向コネクタの対向コンタクト要素は、例えば、雄型コンタクトであってもよく、例えばピンまたはコンタクトブレードであってもよい。基本的には、コンタクト要素が雄型コンタクト、対向コンタクト要素が雌型コンタクトであってもよい。
【0020】
CPAは、カバーに沿って移動可能に配置されていてもよい。CPAは、例えば、カバーの、対向コネクタと反対側の面に配置されていてもよい。
【0021】
CPAは、まさに1つのブロック要素を有していてもよい。これにより、有利には特に簡単かつ廉価に形成されたCPAが提供可能である。
【0022】
しかしCPAが、2つ以上のブロック要素を有していてもよい。複数のブロック要素が設けられている場合、これらのブロック要素は、例えば、互いに平行に形成されていてもよい。複数のブロック要素が設けられている場合、これらのブロック要素とカバーとは、例えば、ロック解除位置からロック位置へのCPAの移動がレバー装置の位置に依存するように、互いに連携するように形成されている。CPAは、レバー装置の第1の位置では、ロック解除位置からロック位置へと移動可能ではない。レバー装置の第2の位置において、少なくとも1つの解錠要素はブロック要素を移動させ、これにより、CPAがロック位置へと移動可能である。有利には、複数のブロック要素により、複数のブロック要素のうちの1つが故障もしくは損傷した場合に、冗長性が提供される。
【0023】
レバー装置には、まさに1つの解錠要素が配置されていてもよい。しかし、これは少なくとも1つの解錠要素であってもよい。例えば、CPAの各ブロック要素のために、1つの解錠要素が設けられている。
【0024】
係止構造体は、例えば、カバーに形成されていてもよい。係止構造体は、例えば、一種の押圧ボタンとして形成されていてもよく、この押圧ボタンは、例えば、CPAの移動方向に対して横方向に弾性的かつ可逆的にカバーに向かって、または半径方向外方に向かって(例えば延在方向に対して横方向に)移動可能である。これにより、有利には特に簡単かつ良好に操作可能な係止構造体が提供可能である。
【0025】
係止構造体は、例えば、カバーから離間して形成されていてもよい。例えば、カバーが、係止構造体に対峙する開口を有することが規定されていてもよい。したがって、係止構造体は、係止を解除するために、この開口を通して押圧することができる。この場合、離間とは、例えば、係止構造体の、開口に面した側と、開口の縁部を通った面との間の距離であると理解される。開口が設けられている場合、開口は単に部分的に係止構造体の面の下側に延びていてもよい。例えば、カバーの方向への係止構造体の移動により、係止が解除され得ることが規定されていてもよい。例えば、CPAのロック要素が、カバー(もしくはカバーに設けられた開口)と係止構造体との間のCPAのロック位置に配置されていることが規定されていてもよい。これにより、ロック要素が係止構造体とカバーとの間に移動させられている限り、係止構造体は、有利にはカバーもしくは開口の方向にもはや移動させられ得ない。したがって有利には、レバー装置の係止を簡単な手段で確保することができる。
【0026】
CPAは、例えば、そのカバーに面した側に、移動方向に沿って延びる第1のガイド要素を有していてもよい。カバーは、例えば、そのCPAに面した側に、第2のガイド要素を有していてもよい。例えば、第1のガイド要素と第2のガイド要素とが互いに結合されていることが規定されていてもよい。これにより有利には、CPAの安全かつ確実な移動が確保される。CPAの作動時の引っ掛かりの恐れは有利に減じられる。さらに有利には、一種の鍵錠原理(ポカヨケ)で、間違ったCPAが組み付けられないことが確保される。
【0027】
第1のガイド要素は例えば溝として形成されていてもよく、第2のガイド要素はカバーからCPAに向かって突出したレールとして形成されていてもよい。代替的には、例えば、第1のガイド要素が、カバーに向かって突出するレールであってもよく、第2のガイド要素が溝であってもよい。これにより、有利には、ガイド要素の特に簡単、安全、廉価かつ信頼性の高い構成が可能である。ガイド要素のための別の実施形態、例えばスライドガイド、ガイド面、ピン、玉軸受けの玉等も可能であると理解される。
【0028】
CPAの機能には、レバー装置を第1の位置から解放するための機能も含まれていてもよいと理解される。CPAは、コネクタが対向コネクタ上に正しい、もしくは定義された位置で被せ嵌められていない、もしくは位置決めされていない限り、第1の位置から第2の位置へのレバー装置の移動を阻止する。本出願の文脈において、この機能は、基本的に、記載されたCPAによっても満たすことができるが、コネクタもしくはコネクタアセンブリにおいても、例えばコネクタのケーシングに設けられた、本明細書に記載されたCPAとは別の機能要素によって実現されていてもよい。例えば、レバー装置が第2の位置にある場合に初めて、コンタクト要素と対向コンタクト要素との電気的な接触接続が行われることが規定されていてもよい。
【0029】
1つの改良形では、ブロック要素が、移動方向に対して横方向に弾性的かつ可逆的に変位可能であり、ブロック構造体を有し、カバーに、対向構造体が形成されており、対向構造体は、CPAがロック解除位置にあり、(特に同時に)CPAがロック位置の方向に移動させられ、(特に同時に)ブロック要素が変位させられていない場合に、ブロック構造体と協働してロック位置へのCPAの移動をブロックし、ブロック要素が移動方向に対して横方向に変位した場合に、ブロック構造体と対向構造体とがもはや協働せず、ロック位置へのCPAの移動が可能であることが規定されている。
【0030】
これにより、有利には簡単な手段でCPAの移動がロックまたは解放される。
【0031】
ブロック要素の弾性的かつ可逆的な構成は、本発明の本質的な特徴ではない。ブロック要素の別の実施形態、例えばCPAの移動の、電気的に作動する、または磁気的に作用するロックもしくは解放も基本的に可能である。しかし、このような構成は、例えば配線のように比較的多くの手間をかける必要がある場合がある。
【0032】
ブロック構造体と対向構造体との協働は、例えば、形状結合式に行うことができる。ブロック構造体と対向構造体とがもはや協働しない場合、このことは例えば、ブロック構造体と対向構造体とが係合していないことにより生じていることがある。この場合、例えば、係止突起がアンダカット部との係合からずらされてしまっていることがある。
【0033】
1つの改良形では、対向構造体が、第1の面を有し、第1の面がCPAに面していて、第1の面法線を有し、第1の面法線が、実質的に移動方向に沿って延びており、第1の面は、ブロック要素が変位していない場合に、基部からブロック構造体の移動経路内に突入しており、ブロック構造体が、第2の面法線を備えた第2の面を有し、第2の面法線が、移動方向に沿って見て、第1の面法線に対して第1の角度だけ基部から離れるように傾斜していることが規定されている。
【0034】
これにより、ロック位置の方向へのCPAの移動時に、レバー装置もしくはレバー要素がまだ第2の位置に位置していないと、ブロック構造体が対向構造体と係合し、CPAのさらなる運動をブロックするようになる。この場合、例えば、第1の面と第2の面とが互いに接触する。第1の面と第2の面とは、例えば、形状結合式に協働することができる。両面法線が互いに対して傾くことにより、有利には、移動方向で増大する力で、ブロック構造体が基部の方向に移動させられ、これにより第1の面および第2の面の重なりが増大する。
【0035】
換言すると、面法線が互いに傾くことにより、ブロック要素を、対向構造体への衝突時に、移動方向に対して横方向に、つまり解錠(係合解除)に必要となる方向とは反対の方向に移動させる一種の乗上げ斜面が提供される。したがって、有利には一種のセルフロックが生じる。
【0036】
第1の角度は、例えば、2°~15°の範囲であってもよい。
【0037】
傾きは、ブロック構造体と対向構造体とが互いに対して力を加えず、つまりせいぜい緩く互いに接触している状態に適用されると理解される。両構造体が互いに押し付けられた状態では、傾斜はまさに、ブロック構造体が対向構造体の方向に移動させられ、これによりセルフロックが促進されることを引き起こす。
【0038】
本出願の文脈では、面法線の配向は、互いに面している面が面法線とほぼ同一の方向を有している場合も、例えば常に移動方向で観察される。
【0039】
「実質的に移動方向に沿って」とは、移動方向からの±10°の逸脱を含んでいる。
【0040】
1つの改良形では、解錠要素が、レバー装置から突出するピンとして形成されていて、ピンは、レバー装置の第2の位置において、ブロック要素を移動方向に対して横方向に変位させることが規定されている。これにより、特に簡単かつ廉価に製造可能な解錠要素が提供されている。さらに有利には、これにより一種のポカヨケ解決手段を提供することができる。なぜならば、正しいレバーだけが正しい箇所において解錠要素、ひいてはピンを有することとなり、これにより、CPAのブロック要素を解錠することができるからである。
【0041】
解錠要素は、例えば、CPAがロック解除位置にある場合に、CPAのブロック要素を解錠する(すなわち、例えば、移動方向に対して横方向に変位させる)ことができる。
【0042】
例えば永久磁石、リードコンタクト等の、解錠要素の別の形態もしくは構成も可能であると理解される。
【0043】
ブロック要素が、移動方向に対して横方向に突出する鼻状構造体を有していて、この鼻状構造体が、第1の位置から第2の位置へのレバー装置の運動時に、解錠要素の軌道内に突入することにより、有利には、CPAを解錠するための特に簡単かつ安全な可能性が提供される。
【0044】
鼻状構造体とは、ブロック要素から突出した要素であると理解される。この要素は、例えば、その外側に、人の鼻に似た形状を有していてもよい。形状は、例えば、ほぼ三角形に対応しており、外側は例えば丸み付け部を有していてもよい。
【0045】
特に有利なのは、鼻状構造体の鼻背が軌道内に突入していることである。
【0046】
鼻状構造体は、例えば、解錠要素のための乗上げ斜面(これは、例えば、鼻背であってもよい)を有することができる。これにより、ブロック要素の解錠工程が、有利には特に信頼性が高く、スムーズに実行可能となる。
【0047】
1つの改良形では、対向構造体が、第3の面を有し、第3の面が、CPAとは反対に向いていて、第3の面法線を有し、第3の面法線が、移動方向に対して30°~60°の第2の角度で延びており、ブロック構造体が、第4の面を有し、第4の面が、CPA(つまり、移動方向とは実質的に逆方向)に面していて、かつ第4の面法線を有し、第4の面法線が、第3の面法線に対して実質的に平行に延びていることが規定されている。
【0048】
第3の面法線および第4の面法線の方向については、ここでも同様に、これらの面が互いに面している場合も、面法線が、本出願の文脈において、移動方向に沿った方向(またはこの方向で定義される半球体内)を指していることが適用される。
【0049】
これにより有利には一方では、カバーにおけるそのロック位置でのCPAのある程度の錠止もしくは係止が引き起こされ、したがって、CPAは、単独ではロック位置から外れることができない。このロック効果は、例えば、ブロック要素の弾性的かつ可逆的な構成により助長されていてもよい。同時に、移動方向に対する第3の面法線および第4の面法線の配向および互いに対する第3の面法線および第4の面法線の配向により、有利には、例えば差込み結合部が解除されなければならず、そのために第2の位置におけるレバー装置の係止を解除しなければならない場合に、ロック位置からロック解除位置へのCPAの移動が是認できる力消費で可能であるようになる。
【0050】
第4の面は、例えば、レバー装置の解錠要素のための乗上げ斜面として構成されていてもよい。
【0051】
1つの改良形では、CPAが中央要素を有し、ブロック要素が、アームとして形成されており、アームが、中央要素から実質的に移動方向に沿って突出していることが規定されている。アームは、例えば、移動方向に対して横方向に弾性的かつ可逆的に変位可能であってもよい。
【0052】
これにより、有利には特に簡単かつ廉価に製造可能なCPAを提供することができる。
【0053】
アームは、例えば、その自由端の領域において、移動方向に対して横方向に突出する鼻状構造体を有していてもよく、この鼻状構造体は、第1の位置から第2の位置へのレバー装置の運動時に解錠要素の軌道内に突入する。鼻状構造体は、例えば、解錠要素のための乗上げ斜面を有していてもよい。
【0054】
本発明の第2の態様によれば、コネクタアセンブリが提案される。
【0055】
コネクタアセンブリは、上述したようなコネクタを有している。さらにコネクタアセンブリは、少なくとも1つの対向コンタクト要素、特に複数の対向コンタクト要素を収容するための構成されている対向コネクタケーシングを備えた対向コネクタを有している。
【0056】
これにより、有利には、困難な組付け状況でも、組立工にいつ差込み結合部が閉じられた、もしくは閉じられたかどうかの確実な(触覚的な)フィードバックを与えるコネクタアセンブリが提供される。さらに有利なことに、第2の位置におけるレバー装置の係止の意図しない解除が阻止される。最後に、有利にはCPAが意図せずに早期にロック位置へと移動させられ得ないようになる。
【0057】
CPAは、例えば、ロック解除位置からロック位置へ、またはロック位置からロック解除位置への移動を引き起こすために、摺動可能および/または回転可能および/または旋回可能であってもよい。
【0058】
対向コネクタは、例えば、自動車のための制御機器に配置されていてもよい。
【0059】
本発明の別の特徴および利点は、添付の図面を参照した例示的な実施形態の以下の説明から当業者にとって明らかになるが、これらの例示的な実施形態は本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】先行技術によるコネクタアセンブリの概略図である。
【
図2】コネクタアセンブリのコネクタの概略的な斜視図である。
【
図3a】
図2に示したコネクタのCPAおよびカバーを示す図である。
【
図3b】
図2に示したコネクタのCPAおよびカバーを示す図である。
【
図4a】
図2に示したコネクタのCPAおよびカバーを示す別の図である。
【
図4b】
図2に示したコネクタのCPAおよびカバーを示す別の図である。
【
図5a】
図2に示したコネクタのレバー装置を異なる視点で示す概略図である。
【
図5b】
図2に示したコネクタのレバー装置を異なる視点で示す概略図である。
【
図6a】CPAのブロック構造体およびカバーに設けられた対向構造体を、CPAのロック解除位置における協働前に示す拡大図である。
【
図6b】CPAのブロック構造体およびカバーに設けられた対向構造体を、CPAのロック解除位置における協働時に示す拡大図である。
【
図7a】ロック位置におけるカバーおよびCPAを上から見た平面図である。
【
図7b】7aに示したブロック構造体および対向構造体の拡大図である。
【
図8a】コネクタと対向コネクタとの結合工程を種々異なる状態においてそれぞれ側面図および平面図で示す、コネクタを示す図である。
【
図8b】コネクタと対向コネクタとの結合工程を種々異なる状態においてそれぞれ側面図および平面図で示す、コネクタを示す図である。
【
図8c】コネクタと対向コネクタとの結合工程を種々異なる状態においてそれぞれ側面図および平面図で示す、コネクタを示す図である。
【
図9a】ロック解除位置におけるCPAのブロック要素の解錠時に、
図8a~
図8cに示したレバー装置の解錠要素の協働を示す概略図である。
【
図9b】ロック解除位置におけるCPAのブロック要素の解錠時に、
図8a~
図8cに示したレバー装置の解錠要素の協働を示す概略図である。
【
図9c】ロック解除位置におけるCPAのブロック要素の解錠時に、
図8a~
図8cに示したレバー装置の解錠要素の協働を示す概略図である。
【0061】
図1aおよび1bは、先行技術によるコネクタアセンブリ100の概略図を非結合状態(
図1a)および結合状態(
図1b)で示している。コネクタアセンブリ100は、コネクタケーシング2を備えたコネクタ1と、対向コネクタケーシング61を備えた対向コネクタ60とを有している。コネクタ1は、差込み方向Zに沿って対向コネクタ60と差し合わせるために適している、もしくはそのように構成されている。
【0062】
対向コネクタケーシング61は、本実施例ではピンまたはコンタクトブレードとして形成された複数の対向コンタクト要素62を収容するために構成されているが、
図1には、見やすくするめに唯1つの対向コンタクト要素62しか図示されていない。
【0063】
コネクタケーシング2は、本実施例では例えばソケットコンタクト要素として形成されていてコネクタケーシング2の内部のコンタクト室10に配置されている、複数のコンタクト要素3を収容するために構成されている。
【0064】
さらにコネクタ1は、コネクタケーシング3の、対向コネクタ60とは反対の側にカバー5を有している。
【0065】
さらにコネクタ1は、差込み工程中に発生する操作力を低減するためのレバー装置4を有しており、レバー装置4は、第1の位置P1(図la)と第2の位置P2(図lb)との間で旋回可能である。第1の位置P1から第2の位置P2への旋回は、軸線Aを中心として行われ、1つの回転方向Dを定義する。第1の位置P1は、開いた位置または解錠位置と呼ぶことができる。第2の位置P2は、閉じられた位置または錠止位置と呼ぶことができる。第2の位置P2において、レバー装置4は、係止突起として形成された係止構造体6において解除可能に係止されている。
【0066】
より良好な配向のために直交座標系が与えられている。差込み方向Zは、方向Yに対して垂直であり、方向Yは、本実施例では軸線Aの方向に相当する。コネクタケーシング2の長手方向は、本実施例ではY方向および差込み方向Zに対して垂直に延びている方向Xに沿って延びている。
【0067】
図2は、コネクタアセンブリ100のコネクタ1の概略的な斜視図であり、以下では
図3a~
図5bも参照しながらコネクタ1の詳細を説明する。
【0068】
図2は、図laおよび
図1bに示したコネクタ1とは異なり、
図2に図示したコネクタ1が、少なくとも1つのブロック要素22(例えば、
図3a参照)を備えたCPA20を有していることを示している。ブロック要素22は、単に例示的に、アーム25として形成されていてもよい。ブロック要素22は、例えば、中央要素24に配置されていてもよい。中央要素24は、例えば、ブロック要素22の延在方向に対して横方向に延びていてもよい。CPA20は、コネクタ1が組み付けられた状態において、カバー5に配置されていて、ロック解除位置ELとロック位置SLとの間で移動方向Vに沿って移動可能(ここでは、摺動可能)である。CPA20は、CPA20のロック位置SLにおいて、レバー装置4と係止構造体6との間の係止を解除するための係止構造体6の移動、つまりここではカバー5の方向への係止構造体6の移動を阻止するロック要素21(例えば
図3a参照)を有している。ブロック要素22とカバー5とは、ロック解除位置ELからロック位置SLへの(
図3bでは、例えば左から右への)CPA20の移動がレバー装置4の位置に依存しているように、互いに連携するように構成されている(これに関しては
図8a~
図9c参照)。レバー装置4の第1の位置P1では、CPA20は、ロック解除位置ELからロック位置SLへと移動させることができない。レバー装置4(
図2、
図5a、
図5b)は、本実施例ではピン70または棒等として形成されている解錠要素7を有しており、解錠要素7は、レバー装置4の第2の位置P2において、特に移動方向Vに対して横方向に(本実施例では、カバー5の中心から見て半径方向外方に)ブロック要素22を移動させ、これにより、CPA20がロック位置SLに移動可能である。半径方向外方へのこの移動は、本実施例ではY軸線上の移動に相当する。しかし、差込み方向Zに沿った移動、または差込み方向Zとは逆方向の移動が規定されていてもよい。
【0069】
CPA20は、本実施例では例示的に、カバー5に面した側に、移動方向Vに沿って延びる第1のガイド要素29を有している。カバー5は、本実施例では例示的に、CPA20に面した側に、第2のガイド要素30を有していて、第1のガイド要素29と第2のガイド要素30とは互いに結合されている。本実施例では、第1のガイド要素29は単に例示的には溝31であり、第2のガイド要素は、カバー5からCPA20に向かって突出するレール32である。
【0070】
カバー5は、本実施例では、例えば、クリップ結合部によりコネクタケーシング2に取り付けられている。カバー5は、例えば、射出成形部材として製造されていてもよい。カバー5は、例えば、プラスチックから成っている、もしくはプラスチックを有していてもよい。
【0071】
図3aは、CPA20が本実施例では、本実施例において例示的に互いに平行に形成されている2つのブロック要素22を有していることを示している。各ブロック要素22は、ロック解除位置ELからロック位置SLへのCPA20の移動がレバー装置4の位置に依存しているように、カバー5と連携するように構成されている(
図8a~
図9c参照)。
【0072】
各ブロック要素22は、移動方向Vに対して横方向に弾性的かつ可逆的に変位可能であり、ブロック構造体23を有している。カバー5には対向構造体50が形成されており、この対向構造体50は、本実施例では単に例示的に形状結合式にブロック構造体23と協働し、ロック位置SLへのCPA20の移動をブロックする。このブロックは、
-CPA20が、ロック解除位置ELに位置しており、
-CPA20が、ロック位置SLの方向に移動させられ、かつ
-ブロック要素22が、変位させられていない(本実施例では半径方向外方に変位させられていない)
場合に生じる。
【0073】
移動方向Vに対して横方向の(本実施例では半径方向外方への)ブロック要素22の変位時に、ブロック構造体23と対向構造体50とは、もはや協働せず(例えば
図9c参照)、次いでブロック構造体23と対向構造体50とは係合解除され、ロック位置SLへのCPA20の移動が可能になる。以下に、例示的に
図3a、
図3b、
図6a、
図6bにつき、これらの図面に例示的に図示された幾何学的な構成およびブロック構造体23とそれぞれの対向構造体50との協働に関して言及する。説明は、ブロック構造体23と対向構造体50とから成る単独の対に限定する。
【0074】
図3bおよび
図6aは、対向構造体50が、第1の面F1を有していて、第1の面F1が、CPA20に面していて、実質的に移動方向Vに沿って延びる第1の面法線N1をしていることを示している。上述したように、面法線の方向は、本実施例では常にできるだけ移動方向Vに沿って示される。第1の面F1は、基部51を起点として、ブロック要素22が変位させられていない場合に、ブロック構造体23の移動経路VW(
図6aも参照)内に突入する。
【0075】
図3aおよび
図6aは、ブロック構造体23が、第2の面法線N2を有する第2の面F2を有しており、第2の面法線N2が、移動方向Vに沿って見て、第1の面法線N1に対して第1の角度αだけ基部51から離れる方向に傾斜していることを示している。第1の角度αは、例えば、2°~15°の範囲であってもよい。
【0076】
図6aおよび
図6bは、2つの面法線N1,N2の互いに対する傾斜の効果を示している。第1の面F1がまだ第2の面F2に完全に接触していない限り、傾斜は、両方の面F1,F2が互いに最初に機械的に接触するところから、乗上げ斜面もしくは走入斜面のように作用する。傾斜の方向(第1の角度α)により、ブロック要素22は、基部51の方向(本実施例では半径方向内方)に、したがって解錠方向(本実施例では半径方向外方)に対して逆方向に押圧される。これにより、レバー装置4が第2の位置P2に位置していないにもかかわらず、移動方向Vに沿ってCPA20への圧力が増大することにより、ブロック要素22が半径方向外方に向かってはね上がって、CPA20がロック位置SLに移動させられることが阻止される。
【0077】
この力を加えられたこの状態(
図6b)では、両方の面法線N1,N2は平行に延びている。
【0078】
図5aおよび
図5bでは、2つの解錠要素7がレバー装置4上に配置されており、本実施例では例示的に、レバー装置4から突出するピン70としてそれぞれ形成されていることが良好に確認される。両解錠要素7,70は、特にCPA20がロック解除位置ELに位置している場合に、レバー装置4の第2の位置P2において、ブロック要素22もしくはそれぞれ対応するブロック要素22を移動方向Vに対して横方向に変位させる。
【0079】
レバー装置4は、本実施例では2つのレバーアーム41と、これら2つのレバーアーム41を結合する結合要素42とを有している。したがって、レバー装置4は、(逆)U字形の形状を有している。
【0080】
図3a、
図3b、
図4b、
図6a、
図6b、
図7aおよび
図7bにおいて、ブロック要素22が、移動方向Vに対して横方向に突出する鼻状構造体27を有しており、この鼻状構造体27は、第1の位置P1から第2の位置P2へのレバー装置4の運動時に解錠要素7の軌道T内に突入することが良好に確認される。半径方向外方へのブロック要素22の変位を容易に、スムーズに、かつ軽く行うことができるように、鼻状構造体27は、本実施例では例示的に、解錠要素7のための乗上げ斜面28を有している-この乗上げ斜面28は、本実施例では例示的に、鼻状構造体27の鼻背に相当している。
【0081】
対向構造体50は、本実施例では例示的に、第3の面F3を有しており、第3の面F3は、CPA20とは反対に向いていて、第3の面法線N3を有している。第3の面法線N3は、例えば、移動方向Vに対して30°~60°の第2の角度βで延びている。ブロック構造体23は、第4の面F4を有しており、第4の面F4は、CPA20に面していて(つまり、差込み方向とは逆の半球内に向いている)、第4の面法線N4を有している。第4の面法線N4は、第3の面法線N3と実質的に平行に延びている。第4の面F4は、レバー装置4の解錠要素7のための乗上げ斜面28として構成されていてもよい。
【0082】
CPA20は、移動方向Vに対して横方向で第1の厚さd1を有している。この第1の厚さd1は、特にブロック要素22または鼻状構造体27において形成されている。例えば、第1の厚さd1は、解錠要素7と相互作用する構造体に形成されている。
【0083】
対向構造体は、移動方向Vに対して横方向で第2の厚さd2を有している。第2の厚さd2は、例えば、第1の厚さd1よりも小さくてもよい。第1の厚さd1と第2の厚さd2とは、例えば、解錠要素7が、レバー装置の第2の位置P2において、鼻状構造体27もしくはCPA20と(機械的に)接触し、ブロック要素22の移動を引き起こすように形成されていてもよい。しかし同時に、解錠要素7は、対向構造体50を超えて旋回することができる。なぜならば、第2の厚さd2が対応して小さく形成されているので、対向構造体が解錠要素7の軌道内に突入しないからである。例えば、第2の厚さd2は、第1の厚さd1の最大75%、好適には最大50%であってもよい。CPA20または鼻状構造体27もしくはブロック要素22の第1の厚さd1は、例えば1mm~10mmの範囲、例えば2mmまたは3mmであってもよい。
【0084】
ここに図示された実施例では、CPA20は、コーム状もしくはフォーク状に形成されており、本実施例では2つの歯を有している。このためには、CPA20は中央要素24を有しており、各ブロック要素22は、中央要素24から実質的に移動方向Vに沿って突出するアーム25として形成されている。各アーム25は、自由端26を有している。本実施例では例示的に、各アーム25は、移動方向Vに対して横方向に弾性的に可逆的に変位可能である。本実施例では、カバーの中心から見て、それぞれ半径方向外方に向かって変位可能である。
【0085】
各アーム25は、本実施例では例示的に、その自由端26の領域(例えば、アーム25の長さの少なくとも60%、しかし本実施例では自由端26の最も外側の端部ではなく、アーム25の長さの約85%~90%)において、移動方向Vに対して横方向に突出する鼻状構造体27を有している。この鼻状構造体27は、第1の位置P1から第2の位置P2へのレバー装置4の運動時に、解錠要素7の軌道T内に突入している。各鼻状構造体27は、本実施例では解錠要素7のための乗上げ斜面28を有している。
【0086】
図3bおよび
図4aは、係止構造体6がカバー5から離間して形成されており、カバー5の方向、本実施例では例えばほぼ差込み方向Zの方向に係止構造体6を移動させることによって、係止を解除することができることを示している。この離間は、例えば、カバー表面の仮想の延長部に対する係止構造体6の下面の間隔として形成されていてもよいと理解される。CPA20のロック要素21は、CPA20のロック位置SLにおいて、少なくとも部分的にカバー5と係止構造体6との間に配置されている。
【0087】
図4aおよび
図4bは、CPA20が、カバー5に面している側において第1のガイド要素29を有しており、この第1のガイド要素29が、移動方向Vに沿って延びていることを再び詳細に示している。カバー5は、CPA20に面している側において、第2のガイド要素30を有しており、第1のガイド要素29と第2のガイド要素30とは互いに結合されている。
図4bは、CPA20の下面を示している。本実施例では、第1のガイド要素29は、専ら例示的に溝31であり、第2のガイド要素は、カバー5からCPA20に向かって突出するレール32である。逆の構成も可能であると理解される。この場合、第1のガイド要素29は、カバー5に向かって突出するレールであり、第2のガイド要素30は、溝であるだろう。最終的には、ガイド要素29,30のさらに別の構成、例えば、スライドガイド構造体、ガイド面、玉軸受けの玉のような構成も可能である。
【0088】
さらに、本実施例では、カバー5に2つのストッパ構造体52が形成されている。これらのストッパ構造体52は、上方(差込み方向Zとは反対方向)に突出したピンもしくは棒として形成されている。ストッパ構造体52は、第2のガイド要素30の両側に形成されている。これらのストッパ構造体52は、CPAがロック位置SLに移動させられた場合に、CPA20の中央要素24と協働する(ストッパ構造体52と中央要素24とは、図面でY方向に沿って見て、アーム25と中央要素24の間の領域で係合する)。ストッパ構造体52は、CPA20の移動を停止させ、CPA20がロック位置SLにあることを組立工に触覚的に示す。
【0089】
図8a~
図8cに、コネクタ1と対向コネクタ60との差し合わせて閉じた差込み結合部を形成する場合の種々異なる状態が図示されている。各部分図において、上側の図にはコネクタ1の側面図が図示されており、下側の図にはコネクタ1の平面図が図示されている。
【0090】
図8aは出発状態である。コネクタ1は、本実施例では、例えば、ちょうど対向コネクタ60上に被せ嵌められたところであり(例えば、
図1aの状況に類似)、レバー装置4は第1の位置P1にあり、CPA20はロック解除位置ELにある。
【0091】
図8bは、レバー装置4が第2の位置P2に移動させられているが、CPA20がまだロック解除位置ELに位置している状態を示している。したがって、差込み結合部も(その終端位置において)既に閉じられており、レバー装置4は既に係止構造体6で係止されている。レバー装置4の解錠要素7,70は、ブロック要素22を既に対向構造体50から係合解除させていて(半径方向外方に突出する矢印を参照)、これにより、CPA20は、基本的に、ロック位置SLに移動させることができるようになっている。
【0092】
図8cは、CPA20が、移動方向Vに沿った移動によりロック位置SLに移行させられている状態を示している。
【0093】
図9aは、第1の位置P1から第2の位置P2への移動時のレバー装置4の解錠要素7,70の軌跡Tを概略的に示している。
【0094】
図9bは、レバー装置4が第2の位置P2に到達する直前の状態を断面図で示している。解錠要素7,70は、ちょうど鼻状構造体27の乗上げ斜面28に接触したところである。
【0095】
図9cは、レバー装置4が第2の位置P2に到達した状態を断面図で示している。本実施例では、解錠要素7,70が、対向構造体50の第1の面F1に接触している。解錠要素7,70は、ブロック要素22もしくはアーム25を半径方向外方に向かって(移動方向Vに対して横方向)に押圧するので、ロック位置SLに向かう移動方向に沿ったCPA20の移動をもはや妨げない。いま、CPA20を移動方向Vに沿って移動させると、アーム25は、対向構造体50を乗り越えた後、再び半径方向内方に向かって弾性的かつ可逆的にスナップし、次いで第4の面F4で対向構造体50の第3の面F3に接触する(
図7b)(このことは、CPA20の両アーム25もしくはブロック要素22にも当てはまる)。
【0096】
これにより、有利には廉価かつ簡単に、かつモジュールコンセプト(CPA20は任意のカバー5に配置可能である)で、(例えば安全性が重要もしくは安全性が重要ではない自動車用途、または例えば安全性が重要もしくは安全性が重要ではない航空機用途の)コネクタ1と対向コネクタ60との正しい差合せを触覚的に確認し、係止構造体60を意図しない係止解除から保護することができる。さらに、これにより、有利にはロック位置SLへのCPA20の意図しない早期の、かつ誤った移動が阻止される。