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特許7622107電気化学セルシステム及び電気化学セルシステムの運転方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】電気化学セルシステム及び電気化学セルシステムの運転方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0662 20160101AFI20250120BHJP
   H01M 8/249 20160101ALI20250120BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20250120BHJP
   H01M 8/0444 20160101ALI20250120BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20250120BHJP
   H01M 8/04858 20160101ALI20250120BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20250120BHJP
【FI】
H01M8/0662
H01M8/249
H01M8/0438
H01M8/0444
H01M8/04537
H01M8/04858
H01M8/12 101
H01M8/12 102B
H01M8/12 102A
H01M8/12 102Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023011287
(22)【出願日】2023-01-27
(65)【公開番号】P2024106827
(43)【公開日】2024-08-08
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】一橋 友介
(72)【発明者】
【氏名】寺本 雄一
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-521464(JP,A)
【文献】特開2020-30889(JP,A)
【文献】特開2020-30890(JP,A)
【文献】特開2021-48078(JP,A)
【文献】特開2022-73312(JP,A)
【文献】特開2022-73338(JP,A)
【文献】国際公開第2020/153306(WO,A1)
【文献】特開2021-34190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04-8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料極に供給される燃料ガスと空気極に供給される酸化性ガスとを反応させることで発電する燃料電池を複数有する電気化学セルシステムであって、
第1燃料電池と
前記第1燃料電池から排出された排燃料ガスが供給される第2燃料電池と、
前記第2燃料電池から排出された排燃料ガスの状態量を検出する検出部と、
前記検出部が検出した結果に基づいて、前記第1燃料電池及び前記第2燃料電池の電流指令値を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、電気化学セルシステムの燃料利用率が規定範囲内となり、かつ、前記第2燃料電池から排出された排燃料ガス中の二酸化炭素濃度が第1閾値以上となり、かつ、前記電気化学セルシステムに要求される発電量を満たすように、電流指令値を制御する電気化学セルシステム。
【請求項2】
前記制御部は、前記検出部が検出した排燃料ガス中の二酸化炭素濃度が前記第1閾値よりも高い値である第2閾値以下となるように前記第1燃料電池及び前記第2燃料電池の電流指令値を制御する請求項1に記載の電気化学セルシステム。
【請求項3】
前記検出部は、前記第2燃料電池から排出された排燃料ガスの密度を検出し、
前記制御部は、排燃料ガスの密度に基づいて排燃料ガス中の二酸化炭素濃度を推定する推定部を有し、前記推定部が推定した二酸化炭素濃度に基づいて前記第1燃料電池及び前記第2燃料電池の電流指令値を制御する請求項1に記載の電気化学セルシステム。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1燃料電池の出力と前記第2燃料電池の出力との比率に基づいて、前記第1燃料電池の電流指令値を補正する請求項1に記載の電気化学セルシステム。
【請求項5】
前記制御部は、前記燃料利用率が90%以上であって94%以下の範囲となるように前記第1燃料電池及び前記第2燃料電池の電流指令値を制御する請求項1に記載の電気化学セルシステム。
【請求項6】
前記第2燃料電池から排出された排燃料ガスから水分を除去する気液分離部を備え、
前記検出部は前記気液分離部で水分を除去された排燃料ガスの組成を検出する請求項1に記載の電気化学セルシステム。
【請求項7】
前記制御部は、排燃料ガス中の二酸化炭素濃度が80%以上となるように前記第1燃料電池及び前記第2燃料電池の電流指令値を制御する請求項6に記載の電気化学セルシステム。
【請求項8】
前記制御部は、排燃料ガス中の水素濃度が14%以上であって17%以下の範囲となるように前記第1燃料電池及び前記第2燃料電池の電流指令値を制御する請求項6に記載の電気化学セルシステム。
【請求項9】
燃料極に供給される燃料ガスと空気極に供給される酸化性ガスとを反応させることで発電する燃料電池を複数有する電気化学セルシステムの運転方法であって、
前記電気化学セルシステムは、
第1燃料電池と
前記第1燃料電池から排出された排燃料ガスが供給される第2燃料電池と、
前記第2燃料電池から排出された排燃料ガスの状態量を検出する検出部と、
前記検出部が検出した結果に基づいて、前記第1燃料電池及び前記第2燃料電池の電流指令値を制御する制御部と、を備え、
電気化学セルシステムの燃料利用率が規定範囲内となり、かつ、前記第2燃料電池から排出された排燃料ガス中の二酸化炭素濃度が第1閾値以上となり、かつ、前記電気化学セルシステムに要求される発電量を満たすように、前記制御部が電流指令値を制御する制御工程を備える電気化学セルシステムの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気化学セルシステム及び電気化学セルシステムの運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料ガスと酸化性ガスとを化学反応させることにより発電する燃料電池は、優れた発電効率及び環境対応等の特性を有している。このうち、固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)は、電解質としてイットリア安定化ジルコニアなどのセラミックスが用いられ、水素、都市ガス、天然ガス、石油、メタノール、及び炭素含有原料をガス化設備により製造したガス化ガス、バイオマスを原料としたバイオガス等のガスなどを燃料ガスとして供給して、およそ700℃~1000℃の高温雰囲気で反応させて発電を行う。
また、水を電気化学的に分解して水素および酸素を製造する電解セルは二酸化炭素の排出を伴わない水素製造法であり優れた環境特性を有している。このうち、固体酸化物形電解セル(Solid Oxide Electrolysis Cell:SOEC)は、電解質としてイットリア安定化ジルコニアなどのセラミックスが用いられ、高温の水蒸気を原料とするため他の電解セルに比べ高い効率で水素の製造が可能である。また、脱炭素化を目的として二酸化炭素(CO2)を原料とし電解水素を還元剤として利用し、直接一酸化炭素(CO)を製造する共電解も可能である。
さらに固体酸化物形電気化学セルには燃料電池としての発電機能と、外部から電力と高温水蒸気を供給して逆反応により水素および酸素を製造する機能を備えたリバーシブル固体酸化物形電気化学セル(Reversible Solid Oxide Electrochemical Cell:RSOC)として使用可能なものもある。
【0003】
SOFCを用いる発電システムとして、複数のSOFCを直列に接続するカスケード式の発電システムが知られている(例えば、特許文献1)。カスケード方式の発電システムでは、前段のSOFCに燃料ガスと空気とを供給して発電を行うとともに、前段のSOFCから排出された燃料ガス(排燃料ガス)を後段のSOFCに供給して発電を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-199979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
SOFCを用いた発電システムとして、SOFCから排出された排燃料ガスと空気とを混合して、外部改質器やマイクロガスタービン等の燃焼器等で再利用することで、熱効率を向上させる発電システムが知られている。このような発電システムでは、外部改質器や燃焼器に導入される排燃料ガスに空気を混合させることから、発電システムから排出されるガスに含まれる二酸化炭素濃度が低くなる。
一方で、SOFCを用いた発電システムでは、排出されるガス中から二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置を設ける場合がある。二酸化炭素回収装置では、ガス中の二酸化炭素の濃度が低いと二酸化炭素の回収効率が低下する。
また、発電システムの燃料利用率を増加させることで,排ガスに含まれる二酸化炭素濃度を増加させることができるが,SOFCへ供給する燃料ガスの組成が変動する場合や,電力需要に追従するために発電量を変化させる際には、燃料利用率の制御が困難な場合があった。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、排ガスから二酸化炭素を回収し易くすることができる電気化学セルシステム及び電気化学セルシステムの運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の電気化学セルシステム及び電気化学セルシステムの運転方法は以下の手段を採用する。
本開示の一態様に係る電気化学セルシステムは、燃料極に供給される燃料ガスと空気極に供給される酸化性ガスとを反応させることで発電する燃料電池を複数有する電気化学セルシステムであって、第1燃料電池と前記第1燃料電池から排出された排燃料ガスが供給される第2燃料電池と、前記第2燃料電池から排出された排燃料ガスの状態量を検出する検出部と、前記検出部が検出した結果に基づいて、前記第1燃料電池及び前記第2燃料電池の電流指令値を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、電気化学セルシステムの燃料利用率が規定範囲内となり、かつ、前記第2燃料電池から排出された排燃料ガス中の二酸化炭素濃度が第1閾値以上となり、かつ、前記電気化学セルシステムに要求される発電量を満たすように、電流指令値を制御する。
【0008】
本開示の一態様に係る電気化学セルシステムの運転方法は、燃料極に供給される燃料ガスと空気極に供給される酸化性ガスとを反応させることで発電する燃料電池を複数有する電気化学セルシステムの運転方法であって、前記電気化学セルシステムは、第1燃料電池と前記第1燃料電池から排出された排燃料ガスが供給される第2燃料電池と、前記第2燃料電池から排出された排燃料ガスの状態量を検出する検出部と、前記検出部が検出した結果に基づいて、前記第1燃料電池及び前記第2燃料電池の電流指令値を制御する制御部と、を備え、電気化学セルシステムの燃料利用率が規定範囲内となり、かつ、前記第2燃料電池から排出された排燃料ガス中の二酸化炭素濃度が第1閾値以上となり、かつ、前記電気化学セルシステムに要求される発電量を満たすように、前記制御部が電流指令値を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、排ガスから二酸化炭素を回収し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係る電気化学セルスタックの一態様を示すものである。
図2】本開示の一実施形態に係る電気化学セルモジュールの一態様を示すものである。
図3】本開示の一実施形態に係る電気化学セルカートリッジの断面の一態様を示すものである。
図4】本開示の一実施形態に係るSOFC発電システムの概略構成図である。
図5】排燃料ガスの密度と、燃料利用率、二酸化炭素濃度及び水素濃度との対応を示したマップである。
図6】本開示の一実施形態に係る制御装置が行う処理を示すフローチャートである。
図7】本開示の一実施形態に係る制御装置が行う処理を示す図である。
図8】本開示の一実施形態に係るSOFC発電システムにおける排燃料ガス密度とボトミングSOFC及びトッピングSOFCの電流値との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示に係る電気化学セルシステム及び電気化学セルシステムの運転方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
以下においては、説明の便宜上、紙面を基準として「上」及び「下」の表現を用いて説明した各構成要素の位置関係は、各々鉛直上方側、鉛直下方側を示すものである。また、本実施形態では、上下方向と水平方向で同様な効果を得られるものは、紙面における上下方向が必ずしも鉛直上下方向に限定することなく、例えば鉛直方向に直交する水平方向に対応してもよい。
また、以下においては、固体酸化物形電気化学セルのセルスタックとして筒状の円筒形固体酸化物形燃料電池(SOFC)を例として説明するが、必ずしもこの限りである必要はなく、例えば平板形のセルスタックであってもよい。基体上に電気化学セルを形成するが、基体ではなく電極(燃料極もしくは空気極)が厚く形成されて、基体を兼用したものでも良い。
【0013】
まず、図1を参照して本実施形態に係る一例として、基体管を用いる円筒形セルスタックについて説明する。基体管を用いない場合は、例えば燃料極を厚く形成して基体管を兼用してもよく、基体管の使用に限定されることはない。また、本実施形態での基体管は円筒形状を用いたもので説明するが、基体管は筒状であればよく、必ずしも断面が円形に限定されなく、例えば楕円形状でもよい。円筒の周側面を垂直に押し潰した扁平円筒(Flat tubular)等のセルスタックでもよい。ここで、図1は、実施形態に係るセルスタックの一態様を示すものである。セルスタック101は、一例として円筒形状の基体管103と、基体管103の外周面に複数形成された電気化学単セル105と、隣り合う電気化学単セル105の間に形成されたインターコネクタ107とを備える。電気化学単セル105は、燃料極109と固体電解質膜111と空気極113とが積層して形成されている。また、セルスタック101は、基体管103の外周面に形成された複数の電気化学単セル105の内、基体管103の軸方向において最も端の一端に形成された電気化学単セル105の空気極113に、インターコネクタ107を介して電気的に接続されたリード膜115を備え、最も端の他端に形成された電気化学単セル105の燃料極109に電気的に接続されたリード膜115を備える。
【0014】
基体管103は、多孔質材料からなり、例えば、CaO安定化ZrO(CSZ)、CSZと酸化ニッケル(NiO)との混合物(CSZ+NiO)、又はY安定化ZrO2(YSZ)、又はMgAlなどを主成分とされる。この基体管103は、電気化学単セル105とインターコネクタ107とリード膜115とを支持すると共に、基体管103の内周面に供給される燃料ガスを基体管103の細孔を介して基体管103の外周面に形成される燃料極109に拡散させるものである。
【0015】
燃料極109は、Niとジルコニア系電解質材料との複合材の酸化物で構成され、例えば、Ni/YSZが用いられる。燃料極109の厚さは50μm~250μmであり、燃料極109はスラリーをスクリーン印刷して形成されてもよい。この場合、燃料極109は、燃料極109の成分であるNiが燃料ガスに対して触媒作用を備える。この触媒作用は、基体管103を介して供給された燃料ガス、例えば、メタン(CH)と水蒸気との混合ガスを反応させ、水素(H)と一酸化炭素(CO)に改質するものである。また、燃料極109は、改質により得られる水素(H)及び一酸化炭素(CO)と、固体電解質膜111を介して供給される酸素イオン(O2-)とを固体電解質膜111との界面付近において電気化学的に反応させて水(HO)及び二酸化炭素(CO)を生成するものである。なお、電気化学単セル105は、この時、酸素イオンから放出される電子によって発電する。
固体酸化物形電気化学セルの燃料極109に供給し利用できる燃料ガスとしては、水素(H)および一酸化炭素(CO)、メタン(CH)などの炭化水素系ガス、都市ガス、天然ガスのほか、石油、メタノール、及び石炭などの炭素含有原料をガス化設備により製造したガス化ガス、バイオマスを原料としたバイオガスなどが挙げられる。
【0016】
固体電解質膜111は、ガスを通しにくい気密性と、高温で高い酸素イオン導電性とを備えるYSZが主として用いられる。この固体電解質膜111は、空気極で生成される酸素イオン(O2-)を燃料極に移動させるものである。燃料極109の表面上に位置する固体電解質膜111の膜厚は10μm~100μmであり固体電解質膜111はスラリーをスクリーン印刷して形成されてもよい。
【0017】
空気極113は、例えば、LaSrMnO系酸化物、又はLaCoO系酸化物で構成され、空気極113はスラリーをスクリーン印刷またはディスペンサを用いて塗布される。この空気極113は、固体電解質膜111との界面付近において、供給される空気等の酸化性ガス中の酸素を解離させて外部より供給された電子と結合し酸素イオン(O2-)を生成するものである。
空気極113は2層構成とすることもできる。この場合、固体電解質膜111側の空気極層(空気極中間層)は高いイオン導電性を示し、触媒活性に優れる材料で構成される。空気極中間層上の空気極層(空気極導電層)は、SmをドープしたセリアやSr及びCaドープLaMnOで表されるペロブスカイト型酸化物で構成されても良い。こうすることにより、発電性能をより向上させることができる。
酸化性ガスとは、酸素を略15%~30%含むガスであり、代表的には空気が好適であるが、空気以外にも燃焼排ガスと空気の混合ガスや、酸素と空気の混合ガスなどが使用可能である。
【0018】
インターコネクタ107は、SrTiO系などのM1-xTiO(Mはアルカリ土類金属元素、Lはランタノイド元素)で表される導電性ペロブスカイト型酸化物から構成され、スラリーをスクリーン印刷する。インターコネクタ107は、燃料ガスと酸化性ガスとが混合しないように緻密な膜となっている。また、インターコネクタ107は、酸化雰囲気と還元雰囲気との両雰囲気下で安定した耐久性と電気導電性を備える。このインターコネクタ107は、隣り合う電気化学単セル105において、一方の電気化学単セル105の空気極113と他方の電気化学単セル105の燃料極109とを電気的に接続し、隣り合う電気化学単セル105同士を直列に接続するものである。
【0019】
リード膜115は、電子伝導性を備えること、及びセルスタック101を構成する他の材料との熱膨張係数が近いことが必要であることから、Ni/YSZ等のNiとジルコニア系電解質材料との複合材やSrTiO系などのM1-xTiO(Mはアルカリ土類金属元素、Lはランタノイド元素)で構成されている。このリード膜115は、インターコネクタ107により直列に接続される複数の電気化学単セル105で発電された直流電力をセルスタック101の端部付近まで導出するものである。
【0020】
燃料極109、固体電解質膜111及びインターコネクタ107のスラリーの膜が形成された基体管103を、大気中にて共焼結する。焼結温度は、例えば1350℃~1450℃とされる。
つぎに、共焼結された基体管103上に、空気極113のスラリーの膜が形成された基体管103が、大気中にて焼結される。焼結温度は、例えば1100℃~1250℃とされる。ここでの焼結温度は、基体管103~インターコネクタ107を形成した後の共焼結温度よりも低温とされる。
【0021】
次に、図2図3とを参照して本実施形態に係る電気化学セルカートリッジ及び電気化学セルモジュールについて説明する。ここで、図2は、本実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)モジュールの一態様を示すものである。また、図3は、本実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)カートリッジの一態様の断面図を示すものである。
【0022】
SOFCモジュール(電気化学セルモジュール)201は、図2に示すように、例えば、複数のSOFCカートリッジ(電気化学セルカートリッジ)203と、これら複数のSOFCカートリッジ203を収納するモジュール容器205とを備える。なお、図2には円筒形のSOFCのセルスタック101を例示しているが、必ずしもこの限りである必要はなく、例えば平板形のセルスタックであってもよい。また、SOFCモジュール201は、燃料ガス供給管207と複数の燃料ガス供給枝管207a及び燃料ガス排出管209と複数の燃料ガス排出枝管209aとを備える。また、SOFCモジュール201は、酸化性ガス供給管(不図示)と酸化性ガス供給枝管(不図示)及び酸化性ガス排出管(不図示)と複数の酸化性ガス排出枝管(不図示)とを備える。
【0023】
燃料ガス供給管207は、モジュール容器205の内部に設けられ、SOFCモジュール201の発電量に対応して所定ガス組成と所定流量の燃料ガスを供給する燃料ガス供給部に接続されると共に、複数の燃料ガス供給枝管207aに接続されている。この燃料ガス供給管207は、上述の燃料ガス供給部から供給される所定流量の燃料ガスを、複数の燃料ガス供給枝管207aに分岐して導くものである。また、燃料ガス供給枝管207aは、燃料ガス供給管207に接続されると共に、複数のSOFCカートリッジ203に接続されている。この燃料ガス供給枝管207aは、燃料ガス供給管207から供給される燃料ガスを複数のSOFCカートリッジ203に略均等の流量で導き、複数のSOFCカートリッジ203の発電性能を略均一化させるものである。
【0024】
燃料ガス排出枝管209aは、複数のSOFCカートリッジ203に接続されると共に、燃料ガス排出管209に接続されている。この燃料ガス排出枝管209aは、SOFCカートリッジ203から排出される排燃料ガスを燃料ガス排出管209に導くものである。また、燃料ガス排出管209は、複数の燃料ガス排出枝管209aに接続されると共に、一部がモジュール容器205の外部に配置されている。この燃料ガス排出管209は、燃料ガス排出枝管209aから略均等の流量で導出される排燃料ガスをモジュール容器205の外部に導くものである。
【0025】
モジュール容器205は、内部の圧力が大気圧~約3MPa、内部の温度が大気温度~約550℃で運用されるので、耐圧性と酸化性ガス中に含まれる酸素などの酸化剤に対する耐食性を保有する材質が利用される。例えばSUS304などのステンレス系材が好適である。
【0026】
ここで、本実施形態においては、複数のSOFCカートリッジ203が集合化されてモジュール容器205に収納される態様について説明しているが、これに限られず例えば、SOFCカートリッジ203が集合化されずにモジュール容器205内に収納される態様とすることもできる。
【0027】
SOFCカートリッジ203は、図3に示す通り、複数のセルスタック101と、発電室215と、燃料ガス供給ヘッダ217と、燃料ガス排出ヘッダ219と、酸化性ガス(空気)供給ヘッダ221と、酸化性ガス排出ヘッダ223とを備える。また、SOFCカートリッジ203は、上部管板225aと、下部管板225bと、上部断熱体227aと、下部断熱体227bとを備える。なお、本実施形態においては、SOFCカートリッジ203は、燃料ガス供給ヘッダ217と燃料ガス排出ヘッダ219と酸化性ガス供給ヘッダ221と酸化性ガス排出ヘッダ223とが図3のように配置されることで、燃料ガスと酸化性ガスとがセルスタック101の内側と外側とを対向して流れる構造となっているが、必ずしもこの必要はなく、例えば、セルスタック101の内側と外側とを平行して流れる、または酸化性ガスがセルスタック101の長手方向と直交する方向へ流れるようにしても良い。
【0028】
発電室215は、上部断熱体227aと下部断熱体227bとの間に形成された領域である。この発電室215は、セルスタック101の電気化学単セル105が配置された領域であり、燃料ガスと酸化性ガスとを電気化学的に反応させて発電を行う領域である。また、この発電室215のセルスタック101長手方向の中央部付近での温度を、温度計測部(温度センサや熱電対など)で監視してもよく、SOFCモジュール201の定常運転時に、およそ700℃~1000℃の高温雰囲気となる。
【0029】
燃料ガス供給ヘッダ217は、SOFCカートリッジ203の上部ケーシング229aと上部管板225aとに囲まれた領域であり、上部ケーシング229aの上部に設けられた燃料ガス供給孔231aによって、燃料ガス供給枝管207aと連通されている。また、複数のセルスタック101は、上部管板225aとシール部材237aにより接合されており、燃料ガス供給ヘッダ217は、燃料ガス供給枝管207aから燃料ガス供給孔231aを介して供給される燃料ガスを、複数のセルスタック101の基体管103の内部に略均一流量で導き、複数のセルスタック101の発電性能を略均一化させるものである。
【0030】
燃料ガス排出ヘッダ219は、SOFCカートリッジ203の下部ケーシング229bと下部管板225bとに囲まれた領域であり、下部ケーシング229bに備えられた燃料ガス排出孔231bによって、図示しない燃料ガス排出枝管209aと連通されている。また、複数のセルスタック101は、下部管板225bとシール部材237bにより接合されており、燃料ガス排出ヘッダ219は、複数のセルスタック101の基体管103の内部を通過して燃料ガス排出ヘッダ219に供給される排燃料ガスを集合して、燃料ガス排出孔231bを介して燃料ガス排出枝管209aに導くものである。
【0031】
SOFCモジュール201の発電量に対応して所定ガス組成と所定流量の酸化性ガスを酸化性ガス供給枝管へと分岐して、複数のSOFCカートリッジ203へ供給する。酸化性ガス供給ヘッダ221は、SOFCカートリッジ203の下部ケーシング229bと下部管板225bと下部断熱体227bとに囲まれた領域であり、下部ケーシング229bの側面に設けられた酸化性ガス供給孔233aによって、図示しない酸化性ガス供給枝管と連通されている。この酸化性ガス供給ヘッダ221は、図示しない酸化性ガス供給枝管から酸化性ガス供給孔233aを介して供給される所定流量の酸化性ガスを、後述する酸化性ガス供給隙間235aを介して発電室215に導くものである。
【0032】
酸化性ガス排出ヘッダ223は、SOFCカートリッジ203の上部ケーシング229aと上部管板225aと上部断熱体227aとに囲まれた領域であり、上部ケーシング229aの側面に設けられた酸化性ガス排出孔233bによって、図示しない酸化性ガス排出枝管と連通されている。この酸化性ガス排出ヘッダ223は、発電室215から、後述する酸化性ガス排出隙間235bを介して酸化性ガス排出ヘッダ223に供給される排酸化性ガスを、酸化性ガス排出孔233bを介して図示しない酸化性ガス排出枝管に導くものである。
【0033】
上部管板225aは、上部ケーシング229aの天板と上部断熱体227aとの間に、上部管板225aと上部ケーシング229aの天板と上部断熱体227aとが略平行になるように、上部ケーシング229aの側板に固定されている。また上部管板225aは、SOFCカートリッジ203に備えられるセルスタック101の本数に対応した複数の孔を有し、該孔にはセルスタック101が夫々挿入されている。この上部管板225aは、複数のセルスタック101の一方の端部をシール部材237a及び接着部材のいずれか一方又は両方を介して気密に支持すると共に、燃料ガス供給ヘッダ217と酸化性ガス排出ヘッダ223とを隔離するものである。
【0034】
上部断熱体227aは、上部ケーシング229aの下端部に、上部断熱体227aと上部ケーシング229aの天板と上部管板225aとが略平行になるように配置され、上部ケーシング229aの側板に固定されている。また、上部断熱体227aには、SOFCカートリッジ203に備えられるセルスタック101の本数に対応して、複数の孔が設けられている。この孔の直径はセルスタック101の外径よりも大きく設定されている。上部断熱体227aは、この孔の内面と、上部断熱体227aに挿通されたセルスタック101の外面との間に形成された酸化性ガス排出隙間235bを備える。
【0035】
この上部断熱体227aは、発電室215と酸化性ガス排出ヘッダ223とを仕切るものであり、上部管板225aの周囲の雰囲気が高温化し強度低下や酸化性ガス中に含まれる酸化剤による腐食が増加することを抑制する。また、上部管板225a等が発電室215内の高温に晒されて温度差による上部管板225a等の熱変形を抑制するために、Ni基合金などの高温耐久性のある金属材料を用いてもよい。また、上部断熱体227aは、発電室215を通過して高温に晒された排酸化性ガスを、酸化性ガス排出隙間235bを通過させて酸化性ガス排出ヘッダ223に導くものである。
【0036】
本実施形態によれば、上述したSOFCカートリッジ203の構造により、燃料ガスと排酸化性ガスとがセルスタック101の内側と外側とを対向して流れるものとなっている。このことにより、排酸化性ガスは、基体管103の内部を通って発電室215に供給される燃料ガスとの間で熱交換がなされ、金属材料から成る上部管板225a等が座屈などの変形をしない温度に冷却されて酸化性ガス排出ヘッダ223に供給される。また、燃料ガスは、発電室215から排出される排酸化性ガスとの熱交換により昇温され、発電室215に供給される。その結果、ヒーター等を用いることなく発電に適した温度に予熱昇温された燃料ガスを発電室215に供給することができる。
【0037】
下部管板225bは、下部ケーシング229bの底板と下部断熱体227bとの間に、下部管板225bと下部ケーシング229bの底板と下部断熱体227bとが略平行になるように下部ケーシング229bの側板に固定されている。また下部管板225bは、SOFCカートリッジ203に備えられるセルスタック101の本数に対応した複数の孔を有し、該孔にはセルスタック101が夫々挿入されている。この下部管板225bは、複数のセルスタック101の他方の端部をシール部材237b及び接着部材のいずれか一方又は両方を介して気密に支持すると共に、燃料ガス排出ヘッダ219と酸化性ガス供給ヘッダ221とを隔離するものである。
【0038】
下部断熱体227bは、下部ケーシング229bの上端部に、下部断熱体227bと下部ケーシング229bの底板と下部管板225bとが略平行になるように配置され、下部ケーシング229bの側板に固定されている。また、下部断熱体227bには、SOFCカートリッジ203に備えられるセルスタック101の本数に対応して、複数の孔が設けられている。この孔の直径はセルスタック101の外径よりも大きく設定されている。下部断熱体227bは、この孔の内面と、下部断熱体227bに挿通されたセルスタック101の外面との間に形成された酸化性ガス供給隙間235aを備える。
【0039】
この下部断熱体227bは、発電室215と酸化性ガス供給ヘッダ221とを仕切るものであり、下部管板225bの周囲の雰囲気が高温化し強度低下や酸化性ガス中に含まれる酸化剤による腐食が増加することを抑制する。下部管板225b等はインコネルなどの高温耐久性のある金属材料から成るが、下部管板225b等が高温に晒されて下部管板225b等内の温度差が大きくなることで熱変形することを防ぐものである。また、下部断熱体227bは、酸化性ガス供給ヘッダ221に供給される酸化性ガスを、酸化性ガス供給隙間235aを通過させて発電室215に導くものである。
【0040】
本実施形態によれば、上述したSOFCカートリッジ203の構造により、排燃料ガスと酸化性ガスとがセルスタック101の内側と外側とを対向して流れるものとなっている。このことにより、基体管103の内部を通って発電室215を通過した排燃料ガスは、発電室215に供給される酸化性ガスとの間で熱交換がなされ、金属材料から成る下部管板225b等が座屈などの変形をしない温度に冷却されて燃料ガス排出ヘッダ219に供給される。また、酸化性ガスは排燃料ガスとの熱交換により昇温され、発電室215に供給される。その結果、ヒーター等を用いることなく発電に必要な温度に昇温された酸化性ガスを発電室215に供給することができる。
【0041】
発電室215で発電された直流電力は、複数の電気化学単セル105に設けたNi/YSZ等からなるリード膜115によりセルスタック101の端部付近まで導出した後に、SOFCカートリッジ203の集電部材(不図示)に集電板(不図示)を介して集電して、各SOFCカートリッジ203の外部へと取り出される。前記集電部材によってSOFCカートリッジ203の外部に導出された直流電力は、各SOFCカートリッジ203の発電電力を所定の直列数および並列数へと相互に接続され、SOFCモジュール201の外部へと導出されて、図示しないパワーコンディショナ等の電力変換装置(インバータなど)により所定の交流電力へと変換されて、電力供給先(例えば、負荷設備や電力系統)へと供給される。
【0042】
次に、本実施形態に係るSOFC発電システムについて説明する。
SOFC発電システム(電気化学セルシステム)10は、図4に示すように、複数のSOFC11を備えている。具体的には、SOFC発電システム10は、複数のSOFC11を、前段側と後段側とにカスケード(直列に)配置されている。以下の説明では、前段側(上流側)に配置されるSOFC11をトッピングSOFC(第1燃料電池)11aと称し、後段側(下流側)に配置されるSOFCをボトミングSOFC(第2燃料電池)11bと称する。また、トッピングSOFC11aとボトミングSOFC11bとを区別して説明する必要のない場合には、単にSOFC11と称する。
また、以下の説明及び図面では、トッピングSOFC11aをトッピングモジュール(TM)と称し、ボトミングSOFC11bをボトミングモジュール(BM)と称する場合がある。
【0043】
SOFC11は、還元剤として燃料ガスと、酸化剤(酸化性ガス)として空気とが供給されることで、所定の作動温度にて反応して発電を行う。このSOFC11は、上述のように、SOFCモジュールから構成され、SOFCモジュールのモジュール容器205内に設けた複数のセルスタック101の集合体が収容されており、セルスタック101には、燃料極109と空気極113と固体電解質膜111を備えている(図1から図3参照)。
SOFC11は、空気極113に空気が供給され、燃料極109に燃料ガスが供給されることで発電して、図示しない電力変換装置により所定の交流電力へと変換される。
【0044】
SOFC11に供給される燃料ガスは、可燃性ガスであり、例えば、液化天然ガス(LNG)を気化させたガスあるいは天然ガス、都市ガス、水素(H2)及び一酸化炭素(CO)、メタン(CH4)等の炭化水素ガス、及び炭素質原料(石油や石炭等)のガス化設備により製造されたガス、及びバイオマスを原料としたバイオガス等が用いられる。燃料ガスとは、予め発熱量が略一定に調整された燃料ガスを意味する。
【0045】
SOFC11の空気極113の上流端(空気入口)には、酸化性ガス(空気)を供給する酸化性ガス供給ライン12が接続されている。酸化性ガス供給ライン12には、空気を流通させるための空気ブロワ12aが設けられている。また、酸化性ガス供給ライン12には、空気ブロワ12aよりも下流側に、第1熱交換器30が設けられている。第1熱交換器30は、酸化性ガス供給ライン12を流通する空気と、後述する第3燃料ガスライン23から排出される燃料ガスとの間で熱交換を行い、空気を加熱するとともに、燃料ガスを冷却する。酸化性ガス供給ライン12は、第1熱交換器30よりも下流側で、トッピングSOFC11aに空気を供給するトッピング側供給ライン12bと、ボトミングSOFC11bに空気を供給するボトミング側供給ライン12cとに分岐している。
【0046】
SOFC11の空気極113の下流端(空気出口)には、反応に用いられた排空気を排出する排酸化性ガス排出ライン13が接続されている。排酸化性ガス排出ライン13は、トッピングSOFC11aから排空気を排出するトッピング側排出ライン13aと、ボトミングSOFC11bから排空気を排出するボトミング側排出ライン13bと、を有している。トッピング側排出ライン13aの下流端とボトミング側排出ライン13bの下流端とは合流している。トッピング側排出ライン13aとボトミング側排出ライン13bとが合流した後のラインは、排酸化性ガス排出ライン13とされている。
【0047】
トッピングSOFC11aの燃料極109aの上流端(燃料ガス入口)には、燃料ガスを供給する第1燃料ガスライン20の下流端が接続されている。第1燃料ガスラインの上流端には、燃料ガス供給部が接続されている。また、第1燃料ガスラインには、燃料極109に供給する燃料ガスの流量を調整するための燃料ガス制御弁20aが設けられている。
【0048】
また、トッピングSOFC11aの燃料極109aの下流端(燃料ガス出口)には、反応に用いられた後の燃料ガスを排出する第2燃料ガスライン21の上流端が接続されている。第2燃料ガスライン21の下流端は、ボトミングSOFC11bの燃料極109bの上流端(燃料ガス入口)に接続されている。第2燃料ガスライン21は、トッピングSOFC11aから排出された燃料ガスを、ボトミングSOFC11bの燃料極109に供給する。また、第2燃料ガスライン21からは、トッピングSOFC11aの燃料極109aの下流端(燃料ガス出口)から排出された燃料ガスを、トッピングSOFC11aの燃料極109aの上流端(燃料ガス入口)に再循環させるための再循環ライン22が分岐している。再循環ライン22の下流端は、第1燃料ガスライン20の燃料ガス制御弁20aの下流側に接続されている。また、第2燃料ガスライン21には、第2燃料ガスライン21及び再循環ライン22に燃料ガスを流通させるための燃料ガスブロワ21aが設けられている。燃料ガスブロワ21aは、第2燃料ガスライン21の、再循環ライン22の分岐点よりも上流側に設けられている。
【0049】
ボトミングSOFC11bの燃料極109bの下流端(燃料ガス出口)には、反応に用いられた後の燃料ガスを排出する第3燃料ガスライン23の上流端が接続されている。第3燃料ガスライン23は、ボトミングSOFC11bから排出された燃料ガス(以下、ボトミングSOFC11bから排出された燃料ガスのことを「排燃料ガス」と称する。)を、二酸化炭素回収装置33へ導く。第3燃料ガスライン23には、上流側から順番に第1熱交換器30,第2熱交換器31及び検出部32が設けられている。検出部32では流通する排燃料ガスの状態量(組成など)が検出される。なお、検出部32を密度計とし、予め準備された排燃料ガスの組成と密度の関係から排燃料ガスの組成を求めてもよい。検出部32として密度計を用いることにより、迅速な計測が可能となり、また検出部32のコストを抑制することができる。
【0050】
第1熱交換器30は、上述のように、酸化性ガス供給ライン12を流通する空気と、ボトミングSOFC11bから排出される排燃料ガスとの間で熱交換することで、空気を加熱するとともに、排燃料ガスを冷却する。このとき、排燃料ガス中の水分は凝縮し、凝縮した水分(ドレン)は、第1ドレンライン24によって第1熱交換器30から排出される。このように、第1熱交換器30は、排燃料ガスを冷却するとともに、排燃料ガス中の水分を取り除いている。
【0051】
第2熱交換器31は、第1熱交換器30から排出された排燃料ガスと、冷媒ライン25によって供給される冷媒との間で熱交換することで、排燃料ガスを冷却する。このとき、排燃料ガス中の水分は凝縮し、凝縮した水分(ドレン)は、第2ドレンライン26によって第2熱交換器31から排出される。このように、第2熱交換器31は、排燃料ガスを冷却するとともに、排燃料ガス中の水分を取り除いている。
【0052】
検出部32は、第2熱交換器31から排出された排燃料ガスの組成を検出する。検出部32は、第1熱交換器30及び第2熱交換器31の下流側に設けられているので、第1熱交換器30及び第2熱交換器31で水分を除去された排燃料ガスの組成を検出する。検出部32は、検出した情報を制御装置40へ送信する。
【0053】
本実施形態に係るSOFC発電システム10は、上述のように、トッピングSOFC11a及びボトミングSOFC11bを備え、ボトミングSOFC11bがトッピングSOFC11aよりも後段側に配置されている。ボトミングSOFC11bには、トッピングSOFC11aから排出された燃料ガスが供給される。すなわち、トッピングSOFC11aで使用され燃料成分(炭化水素、水素、一酸化炭素)が少なくなった燃料ガスを、ボトミングSOFC11bに供給して再利用する。また、トッピングSOFC11aからボトミングSOFC11bへの系統(第2燃料ガスライン21)から分岐し、再循環ライン22を介してトッピングSOFC11aへ、水蒸気を含む燃料ガスの再循環を行い、トッピングSOFC11aでの燃料ガスの内部改質に必要となる、燃料ガス中の炭素に対する水蒸気のモル比率(S/C:スチームカーボン比)を確保する。なお、ボトミングSOFC11bには、トッピングSOFC11aから排出された水蒸気を含む燃料ガスが供給されるため、内部改質に必要なS/Cが確保される。前段側のSOFCから排出された燃料ガスを、後段側のSOFCで再利用するカスケード接続とすることにより、トッピングSOFC11a及びボトミングSOFC11bのS/Cを適切な値に維持しつつ、SOFC発電システム10全体の燃料利用率を向上させることで、燃料ガスを効率よく発電に使用することにより、発電システム効率を向上させることができる。ここで燃料利用率とは、SOFC発電反応で消費される燃料成分量÷SOFCに供給される燃料成分量で求められる。発電反応で消費される燃料成分量は電流指令から算出できる。燃料成分量とは炭化水素のみに限らず水素などを含むSOFC燃料電池に供給できる成分である。
また、本実施形態では、トッピングSOFC11aの出力とボトミングSOFC11bの出力との比(以下、「出力比」と称する。)は、10:1程度とされている。すなわち、トッピングSOFC11aの出力は、ボトミングSOFC11bの出力の10倍程度とされている。出力比は狙いの燃料利用率への追従性向上を図る目的で設ける。具体的には、システムに投入する燃料流量をトッピングSOFC11aでの電流値見合いをする際に、システムでの燃料利用率の調整にはボトミングSOFC11bの電流値補正する必要がある。さらに電力需要を追従する際にはボトミングSOFC11bの電流値補正による出力が変動した分、トッピングSOFC11aの電流値も補正する必要がある。出力比が大きいほどトッピングSOFC11aの電流値の補正量が小さくシステムに供給される燃料流量への補正も小さいことから、ボトミングSOFC11bの電流指令値での補正によるシステム燃料利用率の微調整が可能である。
【0054】
SOFC発電システム10は、制御装置(制御部)40を備えている。制御装置40は、検出部32の検出結果を受信する。また、制御装置40は、SOFC発電システム10に設けられた各弁の操作を行う。また、制御装置40は、トッピングSOFC11a及びボトミングSOFC11bの制御を行う。
【0055】
制御装置(Controller)は、例えば、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)、主記憶装置(Main Memory)、二次記憶装置(Secondary storage:メモリ)等を備えている。更に、制御装置は、他の装置と情報の送受信を行うための通信部を備えていてもよい。
主記憶装置は、例えば、キャッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の書き込み可能なメモリで構成され、CPUの実行プログラムの読み出し、実行プログラムによる処理データの書き込み等を行う作業領域として利用される。
二次記憶装置は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体(non-transitory computer readable storage medium)である。二次記憶装置は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどである。
各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で二次記憶装置に記憶されており、このプログラムをCPUが主記憶装置に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、二次記憶装置に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0056】
制御装置40は、検出部32の検出結果に基づいて、トッピングSOFC11a及びボトミングSOFC11bの発電量(電流指令値)を制御する電流指令値制御部を有する。電流指令値制御部は、検出部32の検出結果に基づいて、電流指令値を決定し、決定した電流指令値となるようにトッピングSOFC11a及びボトミングSOFC11bの電流値を設定する。
目標負荷(電力需要)に応じて電流指令値が設定され、出力される電流値に対応した各種制御(燃料ガス供給量や燃料極系統と空気極系統の差圧、SOFC供給空気温度燃料ガスの再循環流量などの制御)が行われる。
【0057】
電流指令値制御部は、SOFC発電システム10全体(トッピングSOFC11a及びボトミングSOFC11b)の燃料利用率が規定範囲内となり、かつ、ボトミングSOFC11bから排出された排燃料ガスに含まれる二酸化炭素の濃度が第1閾値以上となり、かつ、SOFC発電システム10に要求される発電量を満たすように、電流指令値を制御する。
また、電流指令値制御部は、排燃料ガス中の二酸化炭素濃度が第2閾値以下となるようにトッピングSOFC11a及びボトミングSOFC11bの電流指令値を制御する。
【0058】
具体的には、電流指令値制御部は、SOFC発電システム10全体の燃料利用率が、90%以上であって94%以下の範囲となるように、トッピングSOFC11a及びボトミングSOFC11bの電流指令値を制御する。燃料利用率(Uf)は、第1燃料ガスライン20の再循環ライン22が合流する地点よりも上流側の地点(図4の地点P0)における燃料ガスの組成と、第3燃料ガスライン23の第1熱交換器30よりも上流側の地点(図4の地点P1)における燃料ガスの組成と、に基づいて算出される。
【0059】
また、電流指令値制御部は、ボトミングSOFC11bから排出され、第1熱交換器30及び第2熱交換器31で水分を除去された後の排燃料ガスに含まれる二酸化炭素の濃度を、検出部32により検出し、該二酸化炭素濃度が80体積%以上となるように、トッピングSOFC11a及びボトミングSOFC11bの電流指令値を制御する。
また、電流指令値制御部は、ボトミングSOFC11bから排出され、第1熱交換器30及び第2熱交換器31で水分を除去された後の排燃料ガスに含まれる水素の濃度を、検出部32により検出し、該水素濃度が14体積%以上であって17体積%以下の範囲となるように、トッピングSOFC11a及びボトミングSOFC11bの電流指令値を制御する。
【0060】
また、電流指令値制御部は、トッピングSOFC11aとボトミングSOFC11bとの出力比に基づいて、トッピングSOFC11aの電流指令値を補正し、補正した電流指令値でトッピングSOFC11aの電流設定を行う。具体的には、電流指令値制御部は、トッピングSOFC11aとボトミングSOFC11bとの出力比がn:1程度の場合、トッピングSOFC11aの電流指令値の補正量を、ボトミングSOFC11bの電流指令値の補正量の1/nとする。例えば、トッピングSOFC11aとボトミングSOFC11bとの出力比が10:1の場合には、トッピングSOFC11aの電流指令値の補正量を、ボトミングSOFC11bの電流指令値の補正量の1/10とする。トッピングSOFC11aよりもボトミングSOFC11bは電流補正幅が大きく制御性が良くなる。
【0061】
制御装置40は、主記憶装置又は二次記憶装置が排燃料ガスの密度と排燃料ガスの組成(排燃料ガス中の二酸化炭素濃度及び水素濃度)との対応を規定したマップを記憶してもよい。この場合、制御装置40は、検出部32で計測された排燃料ガスの密度から、マップに基づいて排燃料ガス中の二酸化炭素濃度及び水素濃度を推定する推定部を有する。
【0062】
具体的には、制御装置40は、図5に示す、排燃料ガスの密度と排燃料ガス中の二酸化炭素濃度、水素濃度及び燃料利用率との対応を規定したマップを記憶してもよい。図5は、横軸が排燃料ガスの密度を示し、縦軸が二酸化炭素濃度、水素濃度及び燃料利用率を示している。すなわち、図5のマップは、各密度値(1.34kg/Nm程度から1.67kg/Nm程度までの間)における排燃料ガス中の二酸化炭素濃度、水素濃度及び燃料利用率の推定値を定めている。なお、図5における二酸化炭素濃度及び水素濃度は、第1熱交換器30及び第2熱交換器31で水分を除去された後の排燃料ガスにおける濃度である。
【0063】
図5に示すマップは、排燃料ガスの密度が増大するにしたがって、排燃料ガス中の二酸化炭素濃度も増大する。また、排燃料ガスの密度が増大するにしたがって燃料利用率も増大している。また、排燃料ガスの密度が増大するにしたがって排燃料ガス中の水素濃度は減少している。推定部は、図5のマップに基づいて、検出部32で計測された排燃料ガスの密度から二酸化炭素濃度を推定する。
【0064】
本実施形態では、炭化水素を主性分とする燃料ガスを供給する場合に、二酸化炭素濃度が80%程度(第1閾値)と推定される排燃料ガスの密度を下限値X1として設定している。また、水素濃度が14%程度と推定される排燃料ガスの密度を上限値X2として設定している。推定部は、排燃料ガスの密度がX1となった場合に、排燃料ガス中の二酸化炭素濃度が80%程度(第1閾値)となり、水素濃度が17%程度となったと推定する。また、排燃料ガスの密度がX2となった場合に、排燃料ガス中の二酸化炭素濃度が82%程度(第2閾値)となり、水素濃度が14%程度となったと推定する。
排燃料ガスの密度の下限値X1は、排燃料ガス中から二酸化炭素を効率よく回収することができる二酸化炭素濃度の下限値(二酸化炭素回収装置33の方式、仕様に依存する)に対応する密度であってもよい。また、排燃料ガスの密度の上限値X2は、トッピングSOFC11a及びボトミングSOFC11bにおいて、セルスタック101等の損傷を抑制することができる二酸化炭素濃度及び水素濃度の上限値に対応する密度であってもよい。
【0065】
次に、制御装置40が行う処理について図6のフローチャートを用いて説明する。
処理を開始すると制御装置40は、SOFC発電システム10に対する電力需要(要求される発電量)Dを受信する。電力需要Dは、制御装置40の外部から入力される(ステップS1)。次に、制御装置40は、SOFC発電システム10の送電端出力が電力需要Dを満たすように、燃料流量、トッピングSOFC11a(トッピングモジュール(TM))及びボトミングSOFC11b(ボトミングモジュール(BM))の電流値を設定する(ステップS2)。
【0066】
次に、制御装置は、排燃料ガスの密度がX1以下か否かを判定する(ステップS3)。なお、ステップS3では、検出部32の出力から排燃料ガス中の二酸化炭素濃度を推定し、推定した二酸化炭素濃度が所定の値以下であるか否かを判定してもよい。
ステップS3で排燃料ガスの密度がX1以下と判断した場合には、ステップS4に進む。ステップS4では、ボトミングSOFC11bの出力がΔP増加するように、電流設定値をΔI増加させる。換言すれば、ステップS4では、ステップS2で設定したボトミングSOFC11bの電流設定値を補正する。また、ステップS4では、燃料利用率が規定の範囲内となるように、ボトミングSOFC11bの電流設定値を補正する。
【0067】
次に、ステップS5に進み、SOFC発電システム10に対する電力需要Dを満たす送電端出力を維持すために、ボトミングSOFC11bの出力を増加させた分、トッピングSOFC11aの出力を低減させる。具体的には、トッピングSOFC11aの出力がΔP低減するように、電流設定値をΔI/n低減させる。電流設定値の補正値は、トッピングSOFC11aとボトミングSOFC11bとの出力比に基づいた値とされている。このように、ステップS5では、ステップS2で設定したトッピングSOFC11aの電流設定値を補正する。
【0068】
ステップS5を終えると、制御装置40は、ステップS10に進む。ステップS10では、変更後の電流設定値に応じた燃料流量に変更する。具体的には、制御装置40は、燃料ガス制御弁20aを制御して、第1燃料ガスライン20を流通する燃料ガスの流量を調整する。ステップS10を終えると、制御装置40はステップS3に戻る。
【0069】
ステップS3で排燃料ガスの密度がX1よりも大きいと判断した場合には、ステップS6に進む。ステップS6では、排燃料ガスの密度がX2以上か否かを判定する。なお、ステップS6では、検出部32の出力から排燃料ガス中の二酸化炭素濃度及び/又は水素濃度を推定し、推定した二酸化炭素濃度及び/又は水素濃度が所定の値以上であるか否かを判定してもよい。
ステップS6で排燃料ガスの密度がX2以上と判断した場合には、ステップS7に進む。ステップS7では、ボトミングSOFC11bの出力がΔP’低減するように、電流設定値をΔI’低減させる。換言すれば、ステップS4では、ステップS2で設定したボトミングSOFC11bの電流設定値を補正する。また、ステップS7では、燃料利用率が規定の範囲内となるように、ボトミングSOFC11bの電流設定値を補正する。
【0070】
次に、ステップS8に進み、SOFC発電システム10に対する電力需要Dを満たす送電端出力を維持するために、ボトミングSOFC11bの出力を低減させた分、トッピングSOFC11aの出力を増加させる。具体的には、トッピングSOFC11aの出力がΔP’増加するよう、電流設定値をΔI’/n増加させる。電流設定値の補正値は、トッピングSOFC11aとボトミングSOFC11bとの出力比に基づいた値とされている。このように、ステップS8では、ステップS2で設定したトッピングSOFC11aの電流設定値を補正する。
【0071】
ステップS8を終えると、制御装置40は、ステップS10に進む。ステップS10では、変更後の電流設定値に応じた燃料流量に変更する。具体的には、制御装置40は、燃料ガス制御弁20aを制御して、第1燃料ガスライン20を流通する燃料ガスの流量を調整する。ステップS10を終えると、制御装置40はステップS3に戻る。
【0072】
ステップS6で排燃料ガスの密度がX2よりも小さいと判断した場合には、ステップS9に進む。ステップS9では、現状のトッピングSOFC11a及びボトミングSOFC11bの出力(電流設定値)で運転を継続する。ステップS9を終えると、ステップS1に戻る。
【0073】
次に、制御装置40が行う処理について図7を用いて説明する。
まず、制御装置40が、SOFC発電システム10に対する電力需要(要求される発電量)を受信する(ステップS11)。制御装置40は、電力需要に基づいてトッピングSOFC11aの電流設定値及びボトミングSOFC11bの電流設定値を設定する(ステップS12及びステップS13)。
【0074】
一方で、ボトミングSOFC11bから排出され、第1熱交換器30及び第2熱交換器31で水分を除去された排燃料ガスの組成(以下では、例えば、密度)を検出部32が計測する。検出部32は計測結果を制御装置40へ送信する。制御装置40では、検出部32から受信した計測結果に基づいて、図5のマップを用いて排燃料ガス中の水素濃度及び二酸化炭素濃度を推測する(ステップS14)。制御装置40は、二酸化炭素濃度に基づいて、ステップS12及びステップS13で設定したトッピングSOFC11a及びボトミングSOFC11bの電流値に補正が必要であるか否かを判断する(ステップS15)。
【0075】
補正が必要である場合には、ボトミングSOFC11bの出力(電流設定値)を補正する。具体的には、ボトミングSOFC11bの出力をΔP増加させる(ステップS16)ための、ボトミングSOFC11bの電流設定値に対する補正値ΔIを決定する(ステップS17)。次に、ステップS12で設定した電流設定値に対して、ステップS17で決定した補正値ΔIを加算し、ボトミングSOFC11bの補正後電流設定値を決定する。ボトミングSOFC11bの補正後電流設定値が、ボトミングSOFC11bのPCS37(Power Conditioning System)に送信され、ボトミングSOFC11bの電流値が補正後電流設定値となるよう制御される(ステップS18)。
【0076】
ステップS16からステップS18で、ボトミングSOFC11bの出力を補正する場合には、SOFC発電システム10に対する電力需要Dを満たす出力を維持するために、ボトミングSOFC11bの出力を増加させた分、トッピングSOFC11aの出力を低減させる。具体的には、トッピングSOFC11aの出力をΔP低減させる(ステップS19)ための、トッピングSOFC11aの電流設定値に対する補正値ΔI/nを決定する(ステップS20)。次に、ステップS13で設定した電流設定値に対して、ステップS20で決定した補正値ΔI/nを加算し、トッピングSOFC11aの補正後電流設定値を決定する。トッピングSOFC11aの補正後電流設定値がトッピングSOFC11aのPCS36に送信され、トッピングSOFC11aの電流値が補正後電流設定値となるよう制御される(ステップS21)。また、トッピングSOFC11aの補正後電流設定値に基づいて、第1燃料ガスライン20を流通する燃料ガスの流量が設定され(ステップS22)、燃料ガス制御弁20aの開度を調整することで、第1燃料ガスライン20を流通する燃料ガスの流量が調整される。
【0077】
次に、排燃料ガス密度の変化と、ボトミングSOFC11b及びトッピングSOFC11aの電流値との関係について図8を用いて説明する。図8では、横軸は時間の流れを示し、縦軸は(a)では排燃料ガス密度、(b)では二酸化炭素濃度、(c)ではボトミングSOFC11bの電流値、(d)ではトッピングSOFC11aの電流値を示している。
【0078】
図8に示すように、検出部32が計測する排燃料ガスの密度が減少すると、推定される排燃料ガス中の二酸化炭素濃度も減少する(T1)。これに伴って、ボトミングSOFC11bの電流設定値が増加するとともに、トッピングSOFC11aの電流設定値が減少する。また、検出部32が計測する排燃料ガスの密度の減少が止まると推定される排燃料ガス中の二酸化炭素濃度も減少も止まる(T2)。これに伴って、ボトミングSOFC11bの電流設定値の増加及びトッピングSOFC11aの電流設定値の減少も止まる。
検出部32が計測する排燃料ガスの密度が増加に転ずると、推定される排燃料ガス中の二酸化炭素濃度も増加する(T3)。これに伴って、ボトミングSOFC11bの電流設定値が減少するとともに、トッピングSOFC11aの電流設定値が増加する。また、検出部32が計測する排燃料ガスの密度の増加が止まると推定される排燃料ガス中の二酸化炭素濃度も増加も止まる(T4)。これに伴って、ボトミングSOFC11bの電流設定値の減少及びトッピングSOFC11aの電流設定値の増加も止まる。
【0079】
一方で、検出部32が計測する排燃料ガスの密度が増加すると、推定される排燃料ガス中の二酸化炭素濃度も減少する(T5)。これに伴って、ボトミングSOFC11bの電流設定値が減少するとともに、トッピングSOFC11aの電流設定値が増加する。また、検出部32が計測する排燃料ガスの密度の増加が止まると推定される排燃料ガス中の二酸化炭素濃度も増加も止まる(T6)。これに伴って、ボトミングSOFC11bの電流設定値の減少及びトッピングSOFC11aの電流設定値の増加も止まる。
検出部32が計測する排燃料ガスの密度が減少に転ずると、推定される排燃料ガス中の二酸化炭素濃度も減少する(T7)。これに伴って、ボトミングSOFC11bの電流設定値が増加するとともに、トッピングSOFC11aの電流設定値が減少する。また、検出部32が計測する排燃料ガスの密度の減少が止まると推定される排燃料ガス中の二酸化炭素濃度も減少も止まる(T8)。これに伴って、ボトミングSOFC11bの電流設定値の増加及びトッピングSOFC11aの電流設定値の減少も止まる。
なお、図8に水素濃度の挙動は記載していないが、検出部32が計測する排燃料ガスの密度が減少すると推定される排燃料ガス中の水素濃度は増加し、検出部32が計測する排燃料ガスの密度が増加すると水素濃度は増加する。
【0080】
本実施形態によれば以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、制御装置40がトッピングSOFC11a及びボトミングSOFC11bの燃料ガスの利用率である燃料利用率が規定範囲内となり、かつ、ボトミングSOFC11bから排出された排燃料ガス中の二酸化炭素濃度が第1閾値(詳細には、80%程度)以上となるように、トッピングSOFC11aとボトミングSOFC11bの電流指令値を制御している。これにより、ボトミングSOFC11bから排出された排燃料ガス中の二酸化炭素濃度を増大させることができる。したがって、排燃料ガスから二酸化炭素を回収し易くすることができる。
【0081】
特に、供給される燃料ガスの組成が頻繁に変動する場合や、電力需要に追従するために発電出力を変化する際の過渡状態においては、燃料利用率の安定的な制御が困難であったが、本実施形態では燃料利用率を安定的に制御することができる。
【0082】
また、本実施形態では、制御装置40がSOFC発電システム10に要求される発電量を満たすように、トッピングSOFC11aとボトミングSOFC11bの電流指令値を制御している。これにより、SOFC発電システム10に対する要求発電量を満たすことができる。
【0083】
また、本実施形態では、制御装置40が、検出部32が検出した排燃料ガスの二酸化炭素濃度が第2閾値以下(詳細には、82%程度)となるようにトッピングSOFC11a及びボトミングSOFC11bの電流指令値を制御している。これにより、排燃料ガス中の二酸化炭素濃度が過剰に高まること(換言すれば、排燃料ガス中の燃料ガス成分が過剰に低減すること)を抑制することができる。したがって、ボトミングSOFC11bにおいて過剰に燃料ガス成分が低減することによるボトミングSOFC11bの損傷を抑制することができる。
【0084】
また、排燃料ガスの密度は比較的検出し易く、また連続的な検出も比較的容易である。本実施形態では、排燃料ガスの密度を検出し、排燃料ガスの密度から推定部が推定した二酸化炭素の濃度に基づいてトッピングSOFC11a及びボトミングSOFC11bの電流指令値を制御装置40が制御する。これにより、燃料ガスの組成が頻繁に変動する場合においても、制御装置40がトッピングSOFC11a及び前記ボトミングSOFC11bの電流指令値を比較的容易に制御することができる。
【0085】
また、本実施形態では、制御装置40がトッピングSOFC11aとボトミングSOFC11bとの出力比率に基づいてトッピングSOFC11aとボトミングSOFC11bの電流指令値を補正している。これにより、SOFC発電システム10に対する要求発電量をより好適に満たすことができる。
【0086】
また、本実施形態では、制御装置40が、燃料利用率が90%以上であって94%以下の範囲となるようにトッピングSOFC11a及びボトミングSOFC11bの電流指令値を制御する。これにより、トッピングSOFC11a及びボトミングSOFC11bで好適に燃料ガス成分を消費することができるので、ボトミングSOFC11bから排出された排燃料ガス中の二酸化炭素濃度をより好適に増大させることができる。したがって、排燃料ガスから二酸化炭素を回収し易くすることができる。
【0087】
また、本実施形態では、検出部32が第1熱交換器30及び第2熱交換器31で水分を除去された排燃料ガスの密度を検出する。これにより、より正確に排燃料ガスの密度を検出することができる。
【0088】
本実施形態では、制御装置40は、排燃料ガス中の水素濃度が14%以上であって17%以下の範囲となるようにトッピングSOFC11a及びボトミングSOFC11bの電流指令値を制御する。これにより、トッピングSOFC11a及びボトミングSOFC11bで好適に燃料ガス成分である水素を消費することができるので、ボトミングSOFC11bから排出された中の二酸化炭素濃度をより好適に増大させることができる。したがって、排燃料ガスから二酸化炭素を回収し易くすることができる。
また、排燃料ガス中の水素濃度の過剰な減少を抑制することができる。したがって、ボトミングSOFC11bにおいて、水素濃度が過剰に低減することによるセルスタック101等の損傷を抑制することができる。
【0089】
このように、本実施形態では、ボトミングSOFC11bでは発電出力のみを重視するのではなく、電力需要を満たす範囲で排燃料中の二酸化炭素濃度を増加させるように電流値を制御している。これにより、複数のSOFC11を直列に接続したカスケード式のSOFC発電システム10において、ボトミングSOFC11bから排出される排燃料ガスの二酸化炭素濃度を好適に増加させることができる。
【0090】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。
【0091】
例えば、トッピングSOFC11aは並列に接続した複数のSOFCを有していてもよい。
【0092】
また、SOFC11を3段以上直列に接続してもよい。その場合には、最下流に配置されたSOFC11から排出された排燃料ガスの組成を検出し、検出された組成に基づいて全てのSOFC11の電流指令値を制御する。
【0093】
また、上記実施形態では、ボトミングSOFC11bから排出された排燃料ガスの密度を計測する検出部32を設け、検出した密度に基づいて排燃料ガス中の二酸化炭素濃度を推定する例について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、検出部32に代えて、ボトミングSOFC11bから排出された排燃料ガス中の二酸化炭素濃度を計測する二酸化炭素濃度計を設けてもよい。また、二酸化炭素濃度計に代えて(もしくは加えて)、排燃料ガス中の水素濃度を計測する水素濃度計を設けてもよい。
このように、排燃料ガス中の二酸化炭素濃度を計測することで、排燃料ガス中の二酸化炭素濃度をより正確に把握することができる。これにより、排燃料ガス中の二酸化炭素濃度をより正確に調整することができる。したがって、排燃料ガス中の二酸化炭素濃度をより好適に増大させて、排燃料ガスから二酸化炭素を回収し易くすることができる。
【0094】
また、上記実施形態では、ボトミングSOFC11bにおける発電出力は重視していないので、ボトミングSOFC11bでは低温発電が可能であって、高耐久のセルを用いることが望ましい。
【0095】
また、ボトミングSOFC11bから排出された高濃度の二酸化炭素は、自着火防止として、SOFC11に供給される燃料ガスに混合してもよい。
【0096】
以上説明した実施形態に記載の電気化学セルシステム及び電気化学セルシステムの運転方法は、例えば以下のように把握される。
【0097】
本開示の第1態様に係る電気化学セルシステムは、燃料極に供給される燃料ガスと空気極に供給される酸化性ガスとを反応させることで発電する燃料電池(11)を複数有する電気化学セルシステム(10)であって、第1燃料電池(11a)と前記第1燃料電池(11a)から排出された排燃料ガスが供給される第2燃料電池(11b)と、前記第2燃料電池(11b)から排出された排燃料ガスの状態量を検出する検出部(32)と、前記検出部(32)が検出した結果に基づいて、前記第1燃料電池(11a)及び前記第2燃料電池(11b)の電流指令値を制御する制御部(40)と、を備え、前記制御部(40)は、電気化学セルシステムの燃料利用率が規定範囲内となり、かつ、前記第2燃料電池(11b)から排出された排燃料ガス中の二酸化炭素濃度が第1閾値以上となり、かつ、前記電気化学セルシステム(10)に要求される発電量を満たすように、電流指令値を制御する。
【0098】
上記構成では、制御部が電気化学セルシステムの燃料利用率が規定範囲内となり、かつ、第2燃料電池から排出された排燃料ガス中の二酸化炭素濃度が第1閾値以上となるように、第1燃料電池と第2燃料電池の電流指令値を制御している。これにより、第2燃料電池から排出された排燃料ガス中の二酸化炭素濃度を増大させることができる。したがって、排燃料ガスから二酸化炭素を回収し易くすることができる。
また、上記構成では、制御部が電気化学セルシステムに要求される発電量を満たすように、第1燃料電池と第2燃料電池の電流指令値を制御している。これにより、電気化学セルシステム全体における要求発電量を満たすことができる。
なお、排燃料ガスの状態量の例として、例えば、排燃料ガスの密度や排燃料ガス中の二酸化炭素濃度や排燃料ガス中の水素濃度等が挙げられる。
【0099】
本開示の第2態様に係る電気化学セルシステムは、上記第1態様において、前記制御部(40)は、前記検出部(32)が検出した排燃料ガス中の二酸化炭素濃度が前記第1閾値よりも高い値である第2閾値以下となるように前記第1燃料電池(11a)及び前記第2燃料電池(11b)の電流指令値を制御する。
【0100】
上記構成では、制御部が、検出部が検出した排燃料ガスの二酸化炭素濃度が第2閾値以下となるように第1燃料電池及び第2燃料電池の電流指令値を制御している。これにより、排燃料ガス中の二酸化炭素濃度が過剰に高まること(換言すれば、排燃料ガス中の燃料ガス成分が過剰に低減すること)を抑制することができる。したがって、第2燃料電池において過剰に燃料ガス成分が低減することによる第2燃料電池の損傷を抑制することができる。
【0101】
本開示の第3態様に係る電気化学セルシステムは、上記第1態様または第2態様において、前記検出部(32)は、前記第2燃料電池(11b)から排出された排燃料ガスの密度を検出し、前記制御部(40)は、排燃料ガスの密度に基づいて排燃料ガス中の二酸化炭素濃度を推定する推定部を有し、前記推定部が推定した二酸化炭素濃度に基づいて前記第1燃料電池(11a)及び前記第2燃料電池(11b)の電流指令値を制御する。
【0102】
排燃料ガスの密度は比較的検出し易い。上記構成では、排燃料ガスの密度を検出し、排燃料ガスの密度から推定部が推定した二酸化炭素の濃度に基づいて第1燃料電池及び第2燃料電池の電流指令値を制御部が制御する。これにより、制御部が第1燃料電池及び前記第2燃料電池の電流指令値を比較的容易に制御することができる。
【0103】
本開示の第4態様に係る電気化学セルシステムは、上記第1態様から第3態様のいずれかにおいて、前記制御部(40)は、前記第1燃料電池(11a)の出力と前記第2燃料電池(11b)の出力との比率に基づいて、前記第1燃料電池(11a)の電流指令値を補正する。
【0104】
上記構成では、制御部が第1燃料電池と第2燃料電池との出力比率に基づいて第1燃料電池の電流指令値を補正している。これにより、第1燃料電池の電流指令値を出力比率に基づいた値にすることができる。したがって、電気化学セルシステム全体における要求発電量をより好適に満たすことができる。
【0105】
本開示の第5態様に係る電気化学セルシステムは、上記第1態様から第4態様のいずれかにおいて、前記制御部(40)は、前記燃料利用率が90%以上であって94%以下の範囲となるように前記第1燃料電池(11a)及び前記第2燃料電池(11b)の電流指令値を制御する。
【0106】
上記構成では、制御部が、燃料利用率が90%以上であって94%以下の範囲となるように第1燃料電池及び第2燃料電池の電流指令値を制御する。これにより、第1燃料電池及び第2燃料電池で好適に燃料ガス成分を消費することができるので、第2燃料電池から排出された排燃料ガス中の二酸化炭素濃度をより好適に増大させることができる。したがって、排燃料ガスから二酸化炭素を回収し易くすることができる。
【0107】
本開示の第6態様に係る電気化学セルシステムは、上記第1態様から第5態様のいずれかにおいて、前記第2燃料電池(11b)から排出された排燃料ガスから水分を除去する気液分離部(30,31)を備え、前記検出部(32)は前記気液分離部(30,31)で水分を除去された排燃料ガスの組成を検出する。
【0108】
上記構成では、検出部が気液分離部で水分を除去された排燃料ガスの組成を検出する。これにより、より正確に排燃料ガスの組成を検出することができる。
【0109】
本開示の第7態様に係る電気化学セルシステムは、上記第6態様において、前記制御部(40)は、排燃料ガス中の二酸化炭素濃度が80%以上となるように前記第1燃料電池(11a)及び前記第2燃料電池(11b)の電流指令値を制御する。
【0110】
上記構成では、制御部が、排燃料ガス中の二酸化炭素濃度が80%以上となるように第1燃料電池及び第2燃料電池の電流指令値を制御する。これにより、第2燃料電池から排出された排燃料ガス中の二酸化炭素濃度をより好適に増大させることができる。したがって、排燃料ガスから二酸化炭素を回収し易くすることができる。
また、排燃料ガスに含まれる成分の中で二酸化炭素は比較的に制御性が良いため、制御部はより好適に制御を行うことができる。
【0111】
本開示の第8態様に係る電気化学セルシステムは、上記第6態様または第7態様において、前記制御部(40)は、排燃料ガス中の水素濃度が14%以上であって17%以下の範囲となるように前記第1燃料電池(11a)及び前記第2燃料電池(11b)の電流指令値を制御する。
【0112】
上記構成では、制御部は、排燃料ガス中の水素濃度が14%以上であって17%以下の範囲となるように第1燃料電池及び第2燃料電池の電流指令値を制御する。これにより、第1燃料電池及び第2燃料電池で好適に燃料ガス成分である水素を消費することができるので、第2燃料電池から排出された中の二酸化炭素濃度をより好適に増大させることができる。したがって、排燃料ガスから二酸化炭素を回収し易くすることができる。
また、排燃料ガス中の水素濃度の過剰な減少を抑制することができる。したがって、第2燃料電池において過剰に水素濃度が低減することによる損傷を抑制することができる。
また、排燃料ガスに含まれる成分の中で水素は比較的に制御性が良いため、制御部はより好適に制御を行うことができる。
【0113】
本開示の第1態様に係る電気化学セルシステムの運転方法は、燃料極に供給される燃料ガスと空気極に供給される酸化性ガスとを反応させることで発電する燃料電池を複数有する電気化学セルシステム(10)の運転方法であって、前記電気化学セルシステム(10)は、第1燃料電池(11a)と前記第1燃料電池(11a)から排出された排燃料ガスが供給される第2燃料電池(11b)と、前記第2燃料電池(11b)から排出された排燃料ガスの状態量を検出する検出部(32)と、前記検出部(32)が検出した結果に基づいて、前記第1燃料電池(11a)及び前記第2燃料電池(11b)の電流指令値を制御する制御部(40)と、を備え、電気化学セルシステムの燃料利用率が規定範囲内となり、かつ、前記第2燃料電池(11b)から排出された排燃料ガス中の二酸化炭素濃度が第1閾値以上となり、かつ、前記電気化学セルシステム(10)に要求される発電量を満たすように、前記制御部(40)が電流指令値を制御する制御工程を備える。
【符号の説明】
【0114】
10 :SOFC発電システム
12 :酸化性ガス供給ライン
12a :空気ブロワ
12b :トッピング側供給ライン
12c :ボトミング側供給ライン
13 :排酸化性ガス排出ライン
13a :トッピング側排出ライン
13b :ボトミング側排出ライン
20 :第1燃料ガスライン
20a :燃料ガス制御弁
21 :第2燃料ガスライン
21a :燃料ガスブロワ
22 :再循環ライン
23 :第3燃料ガスライン
24 :第1ドレンライン
25 :冷媒ライン
26 :第2ドレンライン
30 :第1熱交換器
31 :第2熱交換器
32 :検出部
33 :二酸化炭素回収装置
40 :制御装置
101 :セルスタック
103 :基体管
105 :電気化学単セル
107 :インターコネクタ
109 :燃料極
111 :固体電解質膜
113 :空気極
115 :リード膜
201 :SOFCモジュール
203 :SOFCカートリッジ
205 :モジュール容器
207 :燃料ガス供給管
207a :燃料ガス供給枝管
209 :燃料ガス排出管
209a :燃料ガス排出枝管
215 :発電室
217 :燃料ガス供給ヘッダ
219 :燃料ガス排出ヘッダ
221 :酸化性ガス供給ヘッダ
223 :酸化性ガス排出ヘッダ
225a :上部管板
225b :下部管板
227a :上部断熱体
227b :下部断熱体
229a :上部ケーシング
229b :下部ケーシング
231a :燃料ガス供給孔
231b :燃料ガス排出孔
233a :酸化性ガス供給孔
233b :酸化性ガス排出孔
235a :酸化性ガス供給隙間
235b :酸化性ガス排出隙間
237a :シール部材
237b :シール部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8