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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】ロータ及びロータの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/03 20250101AFI20250120BHJP
   H02K 1/276 20220101ALI20250120BHJP
   H02K 1/278 20220101ALI20250120BHJP
【FI】
H02K15/03 Z
H02K1/276
H02K1/278
【請求項の数】 5
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023071298
(22)【出願日】2023-04-25
(65)【公開番号】P2023162150
(43)【公開日】2023-11-08
【審査請求日】2023-04-26
(31)【優先権主張番号】10 2022 110 023.5
(32)【優先日】2022-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D-70435 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン ブラウンベック
(72)【発明者】
【氏名】パトリック クネヒト
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ヴルスター
(72)【発明者】
【氏名】トビアス エンゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス ランゲ
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102019127583(DE,A1)
【文献】特開昭63-161848(JP,A)
【文献】特開昭57-208842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 15/03
H02K 1/276
H02K 1/278
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータシャフト(2)と、内側積層コア(3)と、外側積層コア(4)と、前記内側積層コア(3)と前記外側積層コア(4)との間に組み立て状態で配置された埋込磁石(5)と、前記外側積層コア(4)に組み立て状態で配置された表面磁石(6)と、を有する、電動モータのロータ(1)を製造するため方法であって、
前記内側積層コア(3)が、前記ロータシャフト(2)に押し付けられ、かつ直角度及び同軸度について整合され、
前記ロータ(1)が、前記埋込磁石(5)及び前記外側積層コア(4)を前記内側積層コア(3)に、かつ前記表面磁石(6)を前記外側積層コア(4)に配置することによって構成され
さらに、シリンダ(19)が、加熱され、かつ前記ロータ(1)が、前記ロータシャフト(2)、前記内側積層コア(3)、前記埋込磁石(5)、前記外側積層コア(4)、及び前記表面磁石(6)と共に、前記シリンダ(19)の中に挿入されており、
温度均一化するのを待ち、その間に前記シリンダ(19)が収縮し、かつ前記ロータ(1)の全体的な同心性を強制し、それによって、前記ロータ(1)の全体的な同心性が形成され、
前記ロータ(1)が、プラスチックでオーバーモールドされ、それによって、前記内側積層コア(3)、前記埋込磁石(5)、前記外側積層コア(4)及び前記表面磁石(6)の間の間隙(9)も充填され、
前記シリンダ(19)が加熱され、かつ前記ロータ(1)から取り外される、方法。
【請求項2】
前記内側積層コア(3)を装備する前記ロータシャフト(2)が、二部品式ツール(7)の第1の部分(10)の中に挿入され、前記第1の部分(10)が、前記ロータシャフト(2)に対する第1のレセプタクル(11)及び前記内側積層コア(3)の少なくとも一部分に対する第2のレセプタクル(12)を備え、前記第1のレセプタクル(11)及び前記第2のレセプタクル(12)は、前記ロータシャフト(2)及び前記内側積層コア(3)が直角及び同軸に整合されるように、構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記二部品式ツール(7)の第2の部分(13)が、前記ロータシャフト(2)に対する第3のレセプタクル(14)及び前記内側積層コア(3)の残りの部分に対する第4のレセプタクル(15)を備え、それらが前記ロータシャフト(2)及び前記内側積層コア(3)に押し付けられ、前記ロータシャフト(2)及び全ての内側積層コア(3)が直角及び同軸に整合されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記二部品式ツール(7)の前記第1の部分(10)及び前記第2の部分(13)が、前記第1の部分(10)と前記第2の部分(13)との間に位置した形状適合接続部(16)を介して接続され、前記第1の部分(10)及び前記第2の部分(13)が互いに接続され、そこに内側積層コア(3)が押し付けられたロータシャフト(2)が配置されると、前記形状適合接続部(16)が、前記内側積層コア(3)の同軸整合及び直角度を強制することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記形状適合接続部(16)が、位置合わせ用ピン(17)及び関連付けられた開口部(18)を備え、閉じられた形状適合接続部(16)は、前記位置合わせ用ピン(17)が関連付けられた開口部(18)と係合することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータのロータを製造する方法に関する。本発明はまた、この方法に従って製造されるロータに関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石を誘導加熱するための装置は、磁気ポケットのコーティング及び/又はグルーを活性化することによって、ロータの磁気ポケットにおける永久磁石の固定嵌合を達成することができるように、独国特許出願公開第102016221291(A1)号明細書から既知である。
【0003】
独国特許出願公開第102019212205(A1)号明細書は、モータ軸の周りに延在する積層コアを備える、電気機械のロータを開示する。外側公差補償層は、積層コアの半径方向外周面に適用され、外側公差補償層の外面の円筒性公差は、積層コアの半径方向外周面の円筒性公差よりも小さい。
【0004】
ロータシャフトにロータを組み立てるための自動化ツールは、中国実用新案第204089522(U)号明細書から既知である。
【0005】
電動モータのロータの組み立てのための更なる装置は、特開2006-081360号公報及び特開2006-180679号公報から既知である。
【0006】
自動車の電動化の増加は、自動車を駆動するための電動モータの使用の増加も意味する。このような電動モータは多くの場合、PSMモータとして構成され、積層コアは、通常、このような電動モータ用のロータのロータシャフトに接合される。積層コアが分けられている場合、すなわち分割される場合、このようなロータの組み立てには特に高い製造コストが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】独国特許出願公開第102016221291(A1)号明細書
【文献】独国特許出願公開第102019212205(A1)号明細書
【文献】中国実用新案第204089522(U)号明細書
【文献】特開2006-081360号公報
【文献】特開2006-180679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって本発明は、複数部分積層コアを有するモータが特に極めて正確に製造され得る、電動モータのロータを製造する方法を提供するという課題に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、この課題は、独立請求項1の主題によって解決される。有利な実施形態は、従属クレームの主題である。
【0010】
本発明は、複数部分からなる積層コアを用いてロータを製造するための方法を提供するという全般的な考えに基づくものであり、この方法において、ロータシャフト上の積層コアの直角度及び同軸度の両方、並びにロータの全体的な同心性を形成できる。本発明による方法では、電動モータのロータは、ロータシャフト、内側積層コア、例えば、スター型内側積層コア、外側積層コア、内側積層コアと外側積層コアとの間に組み立てられた状態で配置された埋込磁石、及び外側積層コアの外側上で組み立てられた状態で配置された表面磁石を用いて製造される。内側積層コアは、まず、例えば、ロータシャフトに押し付けられ、かつ直角度及び同軸度について整合される。次いで、ロータは、埋込磁石及び外側積層コアを内側積層コアに、かつ表面磁石を外側積層コアに配置することによって、構成される。次に、ロータの全体的な同心性又は一般的な同心性が形成される。本発明による方法において、ロータシャフトについて内側積層コアの直角度及び同軸度の両方を最初に調整し、更に、ロータの同心性を調整し、それによって、特に外側積層コア、内側積層コア、埋込磁石、又は表面磁石などの個々の構成要素の公差を調整するので、良好な補償を得ることができ、それによって、全体的に著しく改善された再現性の高い生産品質を達成することができる。本発明による方法では、部品公差はすべてツール(工具)に依存する。すなわち、部品公差は、プラスチックが充填された後のロータ全体に関係する。ここで、「ツール(工具)に依存する」とは、例えば、プラスチック製の外側ハウジングがツールの内面によって制限されることを意味する。 これにより、外側ハウジングにツール表面の正確な公差が与えられる。 たとえば、ツールの表面が研磨されている場合、プラスチックのハウジングの表面粗さも非常に低くなる。
【0011】
本発明による方法の有利な更なる展開において、内側積層コアを装備する、ロータシャフトは、二部品式ツールの第1の部分の中に押し付けられるか、又は挿入され、この第1の部分は、ロータシャフトに対する第1のレセプタクル及び内側積層コアの少なくとも一部に対する第2のレセプタクルを備える。第1のレセプタクル及び第2のレセプタクルは、ロータシャフト及び内側積層コアが、ロータシャフトへ直角に、同時に、それに対して同軸に、整合されるように設計される。この目的のために、ロータシャフトを、例えば、垂直に、ツールにクランプすることができ、内側積層コアを、最初にロータシャフトに押し付けることができる。内側積層コアをロータシャフトに整合させることによって、内側積層コアはロータシャフトに直角に配置される。こうして、内側積層コアを装備するロータシャフトは、二部品式ツールの第1の部分の中に挿入され、すなわち、第1のレセプタクルにロータシャフトが挿入され、及び第2のレセプタクルに内側積層コアが挿入される。
【0012】
続いて、ロータシャフト用の第3のレセプタクル、すなわち、ロータシャフトの他方の端、及び内側積層コアの残りの部分用の第4のレセプタクルを含む、二部品式ツールの第2の部分が、残りの内側積層コアも、ロータシャフトに対して直角かつ同軸に整合されるように、ロータシャフト及び内側積層コアに押し付けられる。第2のツールの第2の部分は、まず、その第4のレセプタクルを有する残りの積層コアに押し付けられ、ここで、ロータシャフトは、オーバーライドが増えるにつれて第3のレセプタクルと係合する。
【0013】
二部品式ツールの第1及び第2の部分の互いに非常に正確な整合、及びそれゆえ、ロータシャフト上の全ての積層コアの非常に正確な同軸度及び直角度を達成するために、二部品式ツールの第1の部分及び第2の部分は、第1の部分と第2の部分との間に位置する形状適合接続部を介して互いに接続されている。第1の部分及び第2の部分が互いに接続され、その中に内側積層コアが押し付けられたロータシャフトが配置されると、形状適合接続部は、ロータシャフトに対して内側積層コアの同軸整合及び直角度を強制する。直角整合及び同軸度は、特に、2つの隣接する積層コアの間に存在する間隙を低減するためにも必要である。
【0014】
本発明による方法の更に有利な実施形態では、形状適合接続部は、位置合わせ用ピン及び関連付けられた開口部を含み、形状適合接続の場合、位置合わせ用ピンは関連付けられた開口部と係合する。例えば、二部品式ツールの第2の部分に面する第1の部分の前面エッジに位置合わせ用ピンを配置することができるが、関連付けられた開口部は、第1の部分に面する二部品式ツールの第2の部分の前面エッジに提供され、それに伴い、位置合わせ用ピンは、ツールが閉じているときに遊びのない態様で係合し、それによって二部品式ツールの2つの部分の非常に正確な同軸接続を強制する。当然ながら、このような位置合わせ用ピンの代わりに、例えば、リング溝及び/又はリングばねなどの他の溝及びばねの輪郭を提供することができ、これは、ツールが閉じているときに、二部品式ツールの2つの部分を正確に同軸に整合させるだけにならなければならない。
【0015】
ツールが閉じているときに、内側積層コアが受容される、中空円筒型の第2及び第4のレセプタクルは、これらのパケットのロータシャフトに対する直角度を強制することができる。このプロセスステップでは、全てのキャビティをプラスチックで鋳造することもできる。したがって、ロータ組立体は、その後脱型される際、それ自体が中で固定され、動くことはなくなる。公差は保持される。
【0016】
本発明による方法の更に有利な実施形態では、全体的な同心性を形成するために、シリンダを最初に加熱し、ロータシャフト、内側積層コア、埋込磁石、外側積層コア、及び表面磁石を有するロータをこのシリンダに挿入する。その後、温度均一化されるのを待ち、その間シリンダがロータの方に収縮し、それによってロータの全体的な同心性が確立し、又は強制される、次に、全てのキャビティをプラスチックで鋳造する。したがって、ロータ組立体は、その後脱型される際、それ自体が中で動くことはない。公差は保持される。全体的な同心性が達成されると、シリンダは加熱され、ロータから取り外される。純粋に理論上、任意選択的に加熱されたシリンダに挿入され、温度が均一化するのを待って冷却することも可能である。シリンダ又はロータのみを温度制御することができるか、又は両方の構成要素が、異なる方向に冷却され、すなわち、ロータが、ロータシャフト、内側積層コア、外側積層コア、埋込磁石及び表面磁石と共に冷却され、シリンダが、それぞれの場合、別のものへの挿入前に加熱される。ツールの内側輪郭、すなわち、シリンダの内側ハウジング表面は、温度均一化によってロータに押し付けられる。これにより、製造の観点から技術的にシンプルであり、同時に非常に正確な、同心性又は全体的な同心性をを作り出すことが可能となる。
【0017】
本発明による方法の代替的な実施形態では、スリーブツールが、ロータシャフト、内側積層コア、埋込磁石、外側積層コア、及び表面磁石と共にロータの周りに配置され、かつスリーブツールの内径が、ロータの全体的な同心性が達成されるまで縮小される。次に、全てのキャビティをプラスチックで鋳造する。したがって、ロータ組立体は、その後脱型される際に、それ自体は中で動かなくなる。公差は保持される。次に、スリーブツールの内径を拡大し、スリーブツールをロータから取り外す。スリーブツールは、概してホースクリップとして機能し、収縮することによって内径を縮小させることができ、それによってスリーブツール又は締付ツールの丸みをロータに強制する。スリーブツール又はスリーブツールのスリーブは、ねじによって、ホースクランプに類似して閉じることができる。例えば、油圧シリンダ又は空気シリンダが代替手段として考えることができる。
【0018】
本発明による方法の更なる代替的な実施形態では、シリンダには半径方向内向きに調整可能なプランジャが提供され、その中にロータシャフト、内側積層コア、埋込磁石、外側積層コア、及び表面磁石を備えたロータが押し付けられる。その後、例えば、対応する油圧又は空気圧によって、プランジャを半径方向内側に調整し、それによってロータの全体的な同心性を強制する。プランジャは、常に同じ距離に到着するように特別に設計することができる。次に、全てのキャビティをプラスチックで鋳造する。したがって、ロータ組立体は、その後脱型される際に、それ自体が中で動くことはない。公差は保持される。次に、プランジャを半径方向外側に調整し、ロータをシリンダ又はツールから取り外すことができる。これはまた、全体の同心性の比較的シンプルな調整を確実にするものであり、これは、完全な機能、特に電動モータのステータに対するギャップ寸法(クリアランス)を一定にすることを保証する。
【0019】
個々の部分の所望されない変形を防止するために、ロータは、脱型する前にプラスチックでオーバーモールドされるか、又はプラスチックがロータ内に注入され、それによって、内側積層コア、埋込磁石、外側積層コア、及び表面磁石の間の間隙も少なくとも部分的に充填される。この場合、好ましくは、全てのキャビティが充填され、当然ながら、オーバーモールドプロセスの代替として、トランスファー成形又は真空鋳造によって実施することができる。プラスチック又は接着剤を用いた鋳造はまた、個々のロータ部分、例えば、埋込磁石、表面磁石、及び外側積層コアを一緒に固定する。ツール又はオーバーモールドツールから取り外した後、ロータの全体的な同心性はツールから外れ、したがってプロセスセーフである。ツールは、キャビティを閉じる。その結果。プラスチックは、金型に流れ込み、ツールの表面構造、丸み、又はそれらの表面などを受け継ぐ。したがって、ツールの精密な製造により、プラスチックの非常に正確な表面及び真円度を達成することができる。
【0020】
本発明は更に、このような方法によってロータを製造することで、複数部分からなる積層コアを用いて極めて高品質なロータ自体を製造することができるという全般的な考えに基づいている。
【0021】
本発明の更に重要な特徴及び利点は、サブクレーム、図面、及び図面を参照する図面の添付説明から生じる。
【0022】
言うまでもなく、上述した特徴及び以下でこれから考察される特徴は、本発明の範囲を離れることなく、それぞれ指定された組み合わせだけでなく、他の組み合わせ、又はそれ自体で使用することができる。例えば、デバイス、装置、又は組み立て品のような上位ユニットの構成要素であって、上記で言及され、かつ以下で言及される個別に指定されるものは、図面において異なって図示されているとしても、このユニットの別個の構成要素、又はこのユニットの統合された領域若しくはセクションを構成することができる。
【0023】
本発明の好ましい例示的な実施形態は、図面に記載され、以下の説明で更に詳細に説明され、同一の参照番号は、同一、類似、又は機能的に同一の構成要素を指す。
【0024】
以下は、各事例で概略的に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】電動モータのロータを製造するための本発明による方法の可能なシーケンスである。
図2】分解図面に示される個々の部分を有する、本発明による方法に従って製造される電動モータのロータを示す。
図3】内側積層コアがロータシャフトに押し付けられる、本発明による方法の方法ステップである。
図4】内側積層コア及びロータシャフトの直角及び同軸整合のための方法ステップを示す図であて、二部品式ツールがまだ開いている状態を示す。
図5図4に対して、二部品式ツールが閉じている状態を示す。
図6a】加熱されたシリンダを用いて全体的な同心性を形成するための方法ステップである。
図6b図6aに対して、シリンダが冷却され、ロータの方に収縮している状態を示す。
図7a】ロータの全体的な同心性を形成するための方法ステップを示す図であって、スリーブツールがまだ開いている場合を示す。
図7b図7aに対して、スリーブツールが閉じている場合を示す。
図8a】シリンダの中に挿入されたロータを示す。
図8b】ロータが半径方向内側向きに調整可能なプランジャによる動かされる状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1によると、ロータシャフト2、内側積層コア3、外側積層コア4、並びに埋込磁石5及び表面磁石6を備えるロータ1(図2を参照)を製造するための本発明による方法において、ロータシャフト2に対する内側積層コア3の直角度及び同軸度の両方、並びにロータ1の全体的な同心性も形成される。本発明による方法では、図3に示されるように、個々のロータシートからなり得る内側積層コア3を、まずロータシャフト2に押し付ける。これは、図1に従って、方法ステップAで実施される。ロータシャフト2上のそれらの直角度及び同軸度に対する積層コア3の整合は、例えば、以下の段落で説明される、図4及び5に示す二部品式ツール7によって実施することができる。
【0027】
次に、ロータ1は、埋込磁石5及び外側積層コア4を内側積層コア3に配置し、表面磁石6をそれぞれ関連付けられた外側積層コア4に配置することによって構成される。
【0028】
図2及び図6~8によれば、内側積層コア3は、星形の断面を有し、外側積層コア4は、実質的に三角形の断面を有する。図2に示されるように、凹部8が、外側積層コア4の外表面上に配置され、表面磁石6の形状に相補的になるように構成され、表面磁石6が好ましくは、外側積層コア4上のそれぞれに関連付けられた凹部8で形状適合態様で受容されることが分かる。図2に従って示されるロータ1の組み立てでは、例えば、図1による方法ステップBでは、内側積層コア3は、典型的には最初にロータシャフト2に押し付けられ、その後、埋込磁石5、外側積層コア4、及び表面磁石6の装着が実施される。この場合、「埋め込まれた」とは、埋込磁石5が、内側積層コア3と外側積層コア4との間に隠されるように配置されることを意味する。更なる後続の方法ステップCでは、例えば、図6~8に示すツールによって、ロータ1の全体的な同心性が強制される。
【0029】
全体的な同心性が形成された後、ロータ1は更にプラスチックでオーバーモールドされ、間隙9(図2参照)はプラスチック又は接着剤で充填される。これはまた、埋込磁石5、外側積層コア4、及び表面磁石6を固定するのに役立つ。ロータ1の完全な被覆、例えば、方法ステップDでは、プラスチック及びそれゆえ保護層によるコーティングもまた、想定可能である。
【0030】
図1によると、単に例として、合計で4つの方法ステップA~Dが示され、本発明による方法の改良に役立つ中間ステップも、非常に理解しやすい態様で提供することができる。
【0031】
有利な更なる展開では、内側積層コア3を備えたロータシャフト2は、図4に示されるように、二部品式ツール7の第1の部分10に挿入される。第1の部分10は、ロータシャフト2用の第1のレセプタクル11と、内側積層コア3の少なくとも一部分用の第2のレセプタクル12とを有する。第1のレセプタクル11及び第2のレセプタクル12は、ロータシャフト2及び内側積層コア3が、第2のレセプタクル12と係合する限りにおいて、ロータシャフト2及び内側積層コア3が直角及び同軸に整合されるように構成されている。
【0032】
二部品式ツール7はまた、ロータシャフト2用の第3のレセプタクル14と、第2のレセプタクル12に収容することができない積層コア3の残りの部分用の第4のレセプタクル15とを有する第2の部分13を有する。
【0033】
後続の方法ステップでは、図5における二部品式ツール7の第2の部分13は、ロータシャフト2及び残りの内側積層コア3に、ロータシャフト2及び内側積層コア3の全てが直角かつ同軸に整合されるように押し付けられる。この場合、「直角」は、内側積層コア3のディスク平面が、ロータシャフト2の軸に直交して走ることを単に意味する。
【0034】
二部品式ツール7の2つの部分13及び10が一緒に動かされるときに、これらの間の所定の接続を得るために、二部品式ツール7の第1の部分10及び第2の部分13は、第1の部分10と第2の部分13との間に位置する形状適合接続部16を介して接続され、第1の部分10及び第2の部分13が互いに接続され、ロータシャフト2が内側積層コア3に配置されて押し付けられると、形状適合接続部16が、内側積層コア3の同軸整合及び直角度を強制する。形状適合接続部16は、例えば、位置合わせ用ピン17並びに関連付けられた開口部18を備えることができ、位置合わせ用ピン17は、形状適合接続部16が閉じているときに関連付けられた開口部18と係合する。当然ながら、外側リング溝又はリングばねなどの他の形状適合接続もまた、想定可能である。
【0035】
ロータ1の全体的な同心性を最高品質と精度で保証できるようにするために、図6~8に示すツールを代替的に使用することができる。
【0036】
図6aによると、例えば、シリンダ19が加熱され、それによって、温度により膨張する。次に、ロータシャフト2、内側積層コア3、埋込磁石5、外側積層コア4及び表面磁石6を有するロータ1をシリンダ19に挿入し、図6bに示されるように、温度均一化を待って、シリンダ19がロータ1の方に収縮する。次に、シリンダ19は再び加熱され、ロータ1は、取り外され得る。
【0037】
理論的には、損傷が発生しないことを条件として、ロータ1からまだ温かいシリンダ19への押し出しも想定可能である。当然ながら、シリンダ19を加熱することに加えて、又は代替的に、ロータ1も冷却することができる。
【0038】
図7a及び7bによると、スリーブツール20が示されており、ロータシャフト2、内側積層コア3、埋込磁石5、外側積層コア4、及び表面磁石6と共に再びロータ1の周りに配置されており、図7aによると、全体的な同心性を確立するために、その後、スリーブツール20の内径は、ロータ1の全体的な同心性が達成されるまで縮小される。内径は、例えば、ホースクリップに類似したボルト、又は油圧調整によって縮小することができる。ロータ1を取り外すために、スリーブツール20の内径が再び拡大される。
【0039】
図8a及び8bに従って示されるツールは、特に図8bに関して、半径方向内側に調整可能なプランジャ21を有するシリンダ19’であり、ロータシャフト2、内側積層コア3を有するロータ1、及び少なくとも埋込磁石5は、シリンダ19’に挿入される。当然のことながら、ロータ1はすでに組み立てられており、その結果、外側積層コア4並びに表面磁石6も有する。ロータ1の全体的な同心性を強制するために、プランジャ21は半径方向内側に調整され、それによってロータ1は半径方向内側に均一に圧縮される。ロータ1の全体的な同心性が形成されると、プランジャ21は、半径方向外側に調整され、ロータ1は、シリンダ19’から取り外され得る。
【0040】
全体として、本発明による方法を用いて、ロータ1は、自動化態様で、かつ迅速に、更に改善された全体的な同心性、直角度、及び同軸度で、比較的単純に製造することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b