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特許7622139サンプルを調製するためのガラス化デバイス及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】サンプルを調製するためのガラス化デバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20250120BHJP
   C12N 1/04 20060101ALN20250120BHJP
   C12N 5/075 20100101ALN20250120BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12N1/04
C12N5/075
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023094705
(22)【出願日】2023-06-08
(62)【分割の表示】P 2019557379の分割
【原出願日】2018-04-20
(65)【公開番号】P2023123549
(43)【公開日】2023-09-05
【審査請求日】2023-07-05
(31)【優先権主張番号】62/488,655
(32)【優先日】2017-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516008497
【氏名又は名称】フジフイルム アーバイン サイエンティフィック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】リン、 サブリナ シー.
(72)【発明者】
【氏名】ニー、 シャオ-ツー
【審査官】三須 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-517269(JP,A)
【文献】国際公開第2013/098825(WO,A1)
【文献】国際公開第02/055673(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/001933(WO,A1)
【文献】特表2007-520693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M
C12N
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力ポートを有する入力部と、
サンプル室と、
前記サンプル室と流体連通する廃棄容器と、
前記サンプル室内にサンプルを保持しながら、前記入力ポートを通って導入される流体が前記サンプル室から前記廃棄容器内へと選択的に通過することを可能にするフィルタ機構と、
を備え、
前記入力ポートは、凹所と、前記凹所と前記サンプル室との間に流体連通をもたらす入力チャネルとを備え、
前記サンプル室、廃棄容器及びフィルタ機構は、前記サンプル室から前記フィルタ機構を通って前記廃棄容器へと毛細管現象によって流体を引き込むように構成される、ガラス化デバイス。
【請求項2】
前記入力ポートは、前記入力ポートに形成された泡を前記入力チャネルの上に維持するために、前記入力チャネルの一部として前記凹所の端部において形成された隆起部を備える、請求項1に記載のガラス化デバイス。
【請求項3】
前記凹所は、第1の凹部及び第2の凹部を備えており、前記第2の凹部は、前記入力チャネルの近くで前記凹所の端部に配置され、かつ前記第1の凹部より低く、かつ前記入力チャネルの開口に対して高度が高い、請求項1に記載のガラス化デバイス。
【請求項4】
前記第1の凹部と前記第2の凹部との間にランプ部をさらに備える、請求項に記載のガラス化デバイス。
【請求項5】
前記凹所は、前記凹所の端部に設けられた前記入力チャネルの開口に向かうように形成された狭い部分をさらに備える、請求項1に記載のガラス化デバイス。
【請求項6】
前記凹所の底は、前記入力チャネルに向かって下方に傾斜している、請求項に記載のガラス化デバイス。
【請求項7】
前記凹所は、トラフを含む、請求項1に記載のガラス化デバイス。
【請求項8】
前記入力部に結合されるハンドル部をさらに備え、前記サンプル室、前記廃棄容器及び前記フィルタ機構は、前記ハンドル部の中に配置される、請求項1に記載のガラス化デバイス。
【請求項9】
前記サンプル室を露出させ、かつ前記サンプル室内の前記サンプルに近接して液体窒素が流れ込むことを可能にするために、前記サンプル室の位置にある前記ハンドル部の壁に第1の開口をさらに備える、請求項に記載のガラス化デバイス。
【請求項10】
前記サンプル室の位置にある前記ハンドル部の壁において及び前記第1の開口から直径方向の反対側に第2の開口をさらに備える、請求項に記載のガラス化デバイス。
【請求項11】
前記サンプル室は、前記ハンドル部の壁における前記第1の開口又は前記第2の開口の少なくとも1つが観察窓を形成するように、透明材料から作られる、請求項10に記載のガラス化デバイス。
【請求項12】
記廃棄容器の遠位端にあるキャップをさらに備える、請求項に記載のガラス化デバイス。
【請求項13】
前記キャップは、前記廃棄容器の位置を前記ハンドル部の軸中心線に維持するようにさらに構成される、請求項12に記載のガラス化デバイス。
【請求項14】
少なくとも1つの観察窓をさらに備え、前記観察窓は、前記サンプル室内のサンプルが前記観察窓を介して観察可能であるように構成される、請求項1に記載のガラス化デバイス。
【請求項15】
前記フィルタ機構は、焼結ポリエチレンビーズ、ポリマーメッシュ、及び繊維紙から成るグループから選択される濾過材から作られる、請求項1に記載のガラス化デバイス。
【請求項16】
前記フィルタ機構は、前記サンプル室から吸収性フィルタ機構を通って前記廃棄容器へと毛細管現象によって流体を引き込むように構成される吸収材から作られる、請求項1に記載のガラス化デバイス。
【請求項17】
前記廃棄容器は、前記廃棄容器が最大容積に到達せずかつ空にする必要もないように、ガラス化されるサンプルの事前処理及び調製の間に使用される全ての廃棄流体を保持する容積を有するようなサイズに構成される、請求項1に記載のガラス化デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般には、サンプルを調製するためのガラス化デバイス及び方法に関する。
【0002】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2017年4月21日に提出された米国仮出願第62/488,655号へ
の米国特許法第119条(e)の定めによる利益及び優先権を主張し、その全体が参照に
より本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
ヒト卵母細胞凍結保存(卵子凍結保存)とは、女性の生殖能力を保存するために使用さ
れる技術の1つである。女性の卵母細胞が摘出され、凍結され、かつ保存される。将来的
に、卵子は解凍され、受精され、かつ胚として子宮に移植される。代替的に、受精した胚
が凍結及び保存されて、後に解凍されて女性の子宮に移植されてもよい。
【0004】
ガラス化とは、例えば、液体窒素を使用して生物標本を数秒以内に凍結する高速凍結過
程である。卵母細胞又は胚のガラス化は、卵母細胞及び胚の生殖能力及び生存能力の保存
に関して、緩慢凍結法によって得られるものよりもはるかに優れた結果をもたらすことが
示されている。
【0005】
ガラス化によって保存される生物試料は、典型的には、小さなサイズを有しており、非
常に繊細で、マイクロピペット法による移植中等の人間の操作中に活性消失及び損傷を受
けやすい。従来、サンプルは、保持されるガラス化ツールに移植されて液体窒素に露出さ
れる前に、様々な薬剤及び溶液を使用してガラス化のために事前処理及び調製される。同
様に、解凍するために、凍結されたサンプルは、様々な温薬剤又は温溶液によって処理さ
れる。各操作ステップは、マイクロピペットを使用して卵母細胞又は胚等の試料をある溶
液から別の溶液に移すことを含む。すなわち、従来の過程及びツールはサンプル損傷の実
質的なリスクを抱えており、このような操作に関連付けられる様々な人為的エラーを回避
することができない。
【0006】
したがって、この分野では、サンプル損傷及び人為的エラーのリスクを実質的に減らす
ことができる生物試料のガラス化のための新たなガラス化デバイス及びそれに関連する過
程が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本開示の一態様は、ガラス化デバイスに関する。いくつかの実施形態では、デバイスは
、入力ポートを有する入力部と、サンプル室と、前記サンプル室と流体連通する廃棄容器
と、前記サンプル室内にサンプルを保持しながら、前記入力ポートから導入される流体を
前記サンプル室から前記廃棄容器へと選択的に通過させるフィルタ機構とを備える。いく
つかの実施形態では、前記サンプル室、廃棄容器及びフィルタ機構は、前記サンプル室か
ら前記フィルタ機構を通って前記廃棄容器へと毛細管現象によって流体を引き込むように
構成される。
【0008】
前記ガラス化デバイスは、少なくとも1つの観察窓をさらに備え、前記観察窓は、前記
サンプル室内のサンプルが前記観察窓を通して観察可能であるように構成される。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記ガラス化デバイスは、前記入力ポートを閉じるために前
記入力部に可逆的に結合することが可能なキャップをさらに備える。いくつかの実施形態
では、前記キャップは、前記キャップが前記入力部に結合されるときに前記ガラス化デバ
イス内の流体の流れを妨げるように前記入力ポートを密封するように構成される。いくつ
かの実施形態では、前記フィルタ機構は、毛細管現象を促進するために複数のマイクロ流
体チャネルを形成するようにサイズが決められかつ構成される複数の細孔を有するフィル
タを備える。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記サンプル室は、液体窒素に耐性のある材料を備える。い
くつかの実施形態では、前記サンプル室は、熱伝導性材料を備える。いくつかの実施形態
では、前記サンプル室は、アクリル系材料、ポリプロピレン系材料、ポリカーボネート系
材料、及びコポリエステル系材料の少なくとも1つから形成される。いくつかの実施形態
では、前記サンプル室は、0.002インチ以下の厚みの壁の有する。
【0011】
本開示の別の態様は、サンプルを調製する方法に関する。いくつかの実施形態では、前
記方法は、フィルタ機構に隣接するサンプル室内へサンプルを送達するステップと、前記
フィルタ機構が前記サンプル室内に前記サンプルを保持しながら、前記サンプル室を通し
て廃棄容器内へと流体力によって第1の流体を押し込むことによって前記第1の流体で前
記サンプルを処理するステップを含む。前記廃棄容器内へと前記第1の流体を押し込むこ
とによって毛細管現象が開始され、後続の流体が前記サンプル室を通して前記廃棄容器内
へと引き込まれる。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記方法は、前記フィルタ機構が前記サンプル室内に前記サ
ンプルを保持しながら、前記サンプル室を通して前記廃棄容器内へと毛細管現象によって
第2の流体を引き込むことによって前記第2の流体で前記サンプルを処理するステップを
さらに含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、前記サンプル室における観察窓を通
して前記サンプル室内の前記サンプルを観察するステップをさらに含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記方法は、キャップを結合することにより前記サンプル室
内に流体を流すための入力ポートを密封するステップをさらに含む。いくつかの実施形態
では、前記方法は、前記サンプル室内の前記サンプルをガラス化するステップをさらに含
む。いくつかの実施形態では、前記サンプルは、前記サンプル室を液体窒素と接触させる
ことによりガラス化される。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記方法は、前記サンプル室を温溶液と接触させることによ
り前記サンプルを解凍するステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示のいくつかの実施形態によるガラス化デバイスの一部の斜視図である。
【0016】
図2A】本開示のいくつかの実施形態によるガラス化デバイスのキャップの斜視図である。
【0017】
図2B】本開示のいくつかの実施形態による図2Aのキャップの断面図である。
【0018】
図2C】本開示のいくつかの実施形態による図2Aのキャップの正面図である。
【0019】
図3】本開示のいくつかの実施形態によるキャップによって覆われたガラス化デバイスの入力部の斜視図である。
【0020】
図4A】本開示のいくつかの実施形態によるガラス化デバイスの前部の斜視図である。
【0021】
図4B】本開示のいくつかの実施形態によるガラス化デバイスの前部の上面図である。
【0022】
図5A】キャップがデバイスの入力部に結合されている本開示のいくつかの実施形態によるガラス化デバイスの一部の縦断面図である。
【0023】
図5B】本開示のいくつかの実施形態によるガラス化デバイスの入力部の断面図である。
【0024】
図5C】本開示のいくつかの実施形態による図5Bのキャップ部の正面図である。
【0025】
図6A】本開示のいくつかの実施形態によるガラス化デバイスの入力部の一部の斜視図である。
【0026】
図6B】本開示のいくつかの実施形態による濾過格子の一部の側面図である。
【0027】
図7図7A-7Cは、本開示のいくつかの実施形態によるガラス化デバイスの入力部の様々な実施形態の部分図である。
【0028】
図8図8A-8Bは、本開示のいくつかの実施形態によるガラス化デバイスの入力部の様々な実施形態の上面図である。
【0029】
図9A】本開示のいくつかの実施形態によるガラス化デバイスの一部の上面図である。
【0030】
図9B図9Aの線A-Aに沿って取られたガラス化デバイスの断面図である。
【0031】
図9C】本開示のいくつかの実施形態による図9Bに示されたエリアDの拡大図である。
【0032】
図10A】本開示のいくつかの実施形態によるガラス化デバイスの入力部の一部の斜視図である。
【0033】
図10B】本開示のいくつかの実施形態による図10Aのガラス化デバイスの断面図である。
【0034】
図10C】本開示のいくつかの実施形態による図10Aのガラス化デバイスの正面図である。
【0035】
図11A】本開示のいくつかの実施形態によるガラス化デバイスを使用して胚試料を凍結するための例示的な手順を示す。
【0036】
図11B】本開示のいくつかの実施形態によるガラス化デバイスを使用して胚試料を解凍するための例示的な手順を示す。
【0037】
図12図12A-12Bは、本開示によるガラス化デバイスの複数のユニットを積み重ねるための例示的な実施形態を示す。
【0038】
図13A】本開示のいくつかの実施形態によるガラス化デバイスの斜視図である。
【0039】
図13B】本開示のいくつかの実施形態による図13Aのガラス化デバイスの入力部の斜視図である。
【0040】
図14A】入力部にキャップを備えた本開示のいくつかの実施形態による図13Aのガラス化デバイスの上面図である。
【0041】
図14B】キャップが取り除かれている本開示のいくつかの実施形態による図13Aのガラス化デバイスの上面図である。
【0042】
図14C図14Bの線A-Aに沿った断面図である。
【0043】
図14D】本開示のいくつかの実施形態による図13Aのガラス化デバイスの断面図である。
【0044】
図15A】本開示のいくつかの実施形態による図13Aのガラス化デバイスの部分断面図である。
【0045】
図15B】本開示のいくつかの実施形態による図13Aのガラス化デバイスの部分断面図である。
【0046】
図16】本開示のいくつかの実施形態によるガラス化デバイスの上面斜視図である。
【0047】
図17】本開示のいくつかの実施形態による図16のガラス化デバイスの断面図である。
【0048】
図18】本開示のいくつかの実施形態による図16のガラス化デバイスの入力部の斜視図である。
【0049】
図19】本開示のいくつかの実施形態による図18に示された入力部の一部の断面図である。
【0050】
図20】本開示のいくつかの実施形態による図16のガラス化デバイスの一部の断面図である。
【0051】
図21】本開示のいくつかの実施形態による図16のガラス化デバイスの一部の断面図である。
【0052】
図22図22A-22Dは、本開示のいくつかの実施形態による図16のガラス化デバイスの入力部の代替的な実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本明細書では、例えば、液体窒素を使用してサンプルを急速凍結するためのデバイス及
び方法が提供される。好ましい所定の実施形態では、毛細管現象によって生成される力等
の低圧力を使用して、デバイスにおける(複数の)サンプルに損傷を与えることなくデバ
イスを通して流体を押し込む又は引き込むことができる。
【0054】
図1を参照すると、本開示の一実施形態によるガラス化デバイス101の斜視図が示さ
れている。ガラス化デバイス101は、伸長形状及び2つの端部を備える。一方の端部に
おいて、デバイス101は、取り外し可能なキャップ103に可逆的に結合される入力部
(図示せず)を備える。他方の端部において、デバイス101は、ハンドル102を備え
る。キャップ103は、入力部に結合され、キャップ103の長手軸の周囲を回転可能で
ある。ガラス化デバイス101は、閉鎖構成及び少なくとも1つの開放構成を有する。い
くつかの実施形態では、閉鎖構成と開放構成との切り替えは、キャップ103を回転させ
ることにより実現される。いくつかの実施形態では、キャップ103と入力部との結合は
可逆的であってもよく、キャップ103は、ユーザの必要に応じて入力部から取り外すこ
とができる。
【0055】
図2Aは、キャップ103の斜視図を示す。キャップ103は、開放端103a及び閉
鎖端103bを有する。いくつかの実施形態では、キャップ103は、少なくとも1つの
入力ポート104及び少なくとも1つの観察窓105を備える。いくつかの実施形態では
、キャップ103は、1つ以上の開口(図示せず)をさらに備える。いくつかの実施形態
では、閉鎖端103bには、キャップ103の保持及び回転を容易にするためのグリップ
106が形成される。
【0056】
図2Bは、本開示の1つの例示的な実施形態によるキャップ103を示す。キャップ1
03は、複数の凹所及び/又は開口を備えた略中空シリンダの形状となる。キャップ10
3は、開放端103a及び閉鎖端103bを有する。図2Bは、閉鎖端103bから取っ
たキャップ103の正面図である図2Cの線A-Aに沿ったキャップ103の断面を示す
。この図に示されているように、キャップ103は、開放端103a、閉鎖端103b及
び空洞103cを有する。キャップ103の外側と空洞103cを接続する少なくとも1
つの入力ポート104がある。この例示的な実施形態では、入力ポート104は、キャッ
プ103の壁面にある凹所104aと、キャップ103の長手軸と鋭角を成す入力チャネ
ル104bとを備える。それにより入力ポート104から送達された溶液等の流動剤が、
空洞103c内に設けられるサンプルエリアに直接的に流れる。いくつかの実施形態では
、キャップ103の長手軸と入力チャネル104bとの角度は、約20°から約70°の
範囲内である。いくつかの実施形態では、この角度は、20°、30°、40°、50°
、60°又は70°である。
【0057】
いくつかの実施形態では、キャップ103は、壁面に少なくとも1つの観察窓105も
備える。いくつかの実施形態では、デバイスのユーザが空洞103c内に位置するサンプ
ルの状態を調べるために容易に中を見ることができるように、観察窓105は透明材料か
ら作られる。様々な実施形態において、観察窓105は、キャップ103の残りの部分と
比較して同じ又は異なる材料から作られてもよい。いくつかの実施形態では、観察窓10
5のエリアの厚みが壁の平均的な厚みよりも小さくなるように、観察窓105は壁面にお
いて凹所を形成してもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、キャップ103は、1つ以上の開口をさらに備える。図2B
に示された例示的な実施形態では、キャップ103は、外側と空洞103cを接続する2
つの開口107、108を有する。いくつかの実施形態では、キャップ103が液体窒素
と接触している場合、液体窒素は、開口から空洞103cに流れ込んで、そこに位置して
いるサンプルの近傍に入る。いくつかの実施形態では、キャップ103におけるこのよう
な開口の数は2つに限定されない。様々な実施形態では、キャップ103は、1つ、2つ
又は3つ以上の開口を有してもよい。いくつかの実施形態では、キャップ103において
複数の開口を有することは、液体窒素が一方の開口から入りながら、空洞103cに閉じ
込められた空気が他方の開口から逃れることができるので、液体窒素がサンプルエリアの
近傍に速く流れること、すなわちサンプルの高速ガラス化を可能にすると考えられる。
【0059】
図2Bに示された例示的な実施形態では、2つの矢印Bの間の距離によって測定される
グリップ106の厚みは、約0.06インチから約0.12インチまでの範囲を取る。1
つの例示的な実施形態では、グリップ106の厚みは、0.114インチである。
【0060】
いくつかの実施形態では、2つの矢印Dの間の距離によって測定される空洞103cの
直径は、約0.06インチから約0.13インチまでの範囲を取る。1つの例示的な実施
形態では、直径は0.126インチである。いくつかの実施形態では、空洞103cは、
ガラス化デバイスのテーパ状入力部を収容するように構成される。例えば、いくつかの実
施形態では、入力部は約1°の抜き勾配を有し、キャップ103は空洞103c内に一致
する1°の抜き勾配を有する。キャップ103が入力部に結合されると、テーパ形状によ
って、2つの部分を係合する及び/又は密封するのを支援する楔力がもたらされる。様々
な実施形態では、入力部及びキャップ103は、1°から5°の範囲内で一致する抜き勾
配を有してもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、距離Eによって測定されるキャップ103の長さは、約0.
3インチから約0.7インチまでの範囲を取る。1つの例示的な実施形態では、キャップ
103の長さは、0.64インチである。
【0062】
図3は、ガラス化デバイス101の前部の斜視図を示しており、これはデバイスの入力
部110とキャップ103との結合を示している。この図には、特に、ガラス化デバイス
101の第1の開放構成が示されている。入力ポート104がサンプル室111と流体連
通しかつ観察窓105がサンプル室111の上になるように、キャップ103は入力部1
10に対して配置される。いくつかの実施形態では、入力部110は、廃棄物を保管しか
つ処分するための廃棄容器112a及び廃棄チャネル113をさらに備える。
【0063】
第1の開放構成を用いて、ユーザは、観察窓105を介してサンプル室111内の内容
物及び/又は活動を監視しながら、入力ポート104からサンプル室111内に、サンプ
ル又はサンプルを調製若しくは処理するための溶液等の流動剤を送達してもよい。廃棄容
器112aは、サンプル室111と流体連通している。次に、廃棄物は、廃棄容器112
aの中に集められて、廃棄チャネル113から処分される。様々な実施形態において、サ
ンプル室111は、廃棄容器112に到達するように廃棄物を通過させながら、サンプル
を保管するための異なる機構を備えてもよい。
【0064】
図4A及び4Bは、第2の開放構成にあるガラス化デバイス101の斜視図及び上面図
をそれぞれ示す。この構成では、キャップ103における1つ以上の開口107、108
がサンプル室111の上になるように、キャップ103は入力部110に対して配置され
る。すなわち、この構成を用いて、ユーザは、少なくとも1つの開口107、108を通
してサンプル室111からサンプルを操作及び/又は取得し得る。様々な実施形態におい
て、キャップ103における開口107、108の寸法は、同じであるか又は異なっても
よい。理論に制限されることなく、少なくとも1つの開口107がそこからサンプルを操
作及び取得することを容易にすることができる十分な大きさを有すると考えられる。選択
的に、(複数の)開口を通る液体窒素の流れがサイズによって妨げられない限り、(複数
の)他の開口108はより小さくてもよい。
【0065】
図5Aは、図3の第1の開放構成で示されたガラス化デバイス101の断面図を示す。
図5Aの断面図で示されるように、入力部110は、廃棄容器112a/112bと流体
連通しているサンプル室111を備える。いくつかの実施形態では、廃棄容器112bは
、デバイスのハンドル102内に延びる。図5Aに示されているように、サンプル室11
1は入力部110に設けられ、入力部の廃棄容器112aは廃棄チャネル113を通って
ハンドル102の内側に設けられた廃棄容器112bに接続される。いくつかの実施形態
では、デバイスは、流体廃棄物をハンドル102内の廃棄容器112bの中に処分する。
いくつかの実施形態では、デバイスは、廃棄物が廃棄容器112a/112bからサンプ
ル室111に戻ることを防ぐ逆止め弁等の機構をさらに備える。いくつかの実施形態では
、デバイスは、流体が廃棄容器112bに入ると閉じ込められた空気が放出されることを
可能にし、かつ液体窒素が廃棄容器112bに入ることを防ぐフィルタ等の機構をハンド
ル102内にさらに備える。
【0066】
いくつかの実施形態では、入力部110は、サンプル室111に近接する少なくとも1
つの凹所114をさらに備える。図5Aに示された例示的な実施形態では、特に、凹所1
14は、薄い壁150よってサンプル室111から分けられている。いくつかの実施形態
では、キャップ103は、少なくとも1つの開口107、108をさらに備える。閉鎖構
成においてキャップは入力部に結合されている場合、液体窒素が開口を通って凹所に流れ
込むことができるように、開口107、108と凹所114との間は流体連通している。
いくつかの実施形態では、デバイスは、閉鎖構成において液体窒素に浸されるように構成
される。すなわち、キャップ上の開口によって、液体窒素が入力部110の凹所114に
流れ込むことが可能になり、それによりそこに保持されたサンプルを高速で凍結するため
にサンプル室111の近傍に入ることができる。いくつかの実施形態では、キャップ10
3は少なくとも2つの開口107、108を備え、これらによって、液体窒素が一方の開
口から入って凹所に閉じ込められた空気が他方の開口から逃れるので、液体窒素はより簡
単に凹所114に流れ込むことが可能になる。
【0067】
いくつかの実施形態では、その縦軸に沿った異なる位置において入力部110の寸法は
同じであるか又は異なってもよい。特に、いくつかの実施形態では、入力部110はテー
パ状である。いくつかの実施形態では、キャップ103の内部空間も、入力部110の形
状に適合するようにテーパ状である。テーパ形状は、キャップ103と係合して入力部1
10を密封するのを支援する楔力をもたらす。いくつかの実施形態では、入力部110及
びキャップ103は、1°から5°の範囲内で一致する抜き勾配を有する。
【0068】
図5Bは、入力部110の正面図である図5Cの線A-Aに沿った入力部110の断面
を示す。図示のように、この例示的な実施形態では、入力部110の寸法は、それがハン
ドル102と接続される場所(入力部110の基部)から入力部110の他方端(入力部
110の前端)に向かって徐々に小さくなる。特に、2つの矢印Dの間の距離で測定され
る基部の寸法は、約0.1インチから約0.2インチの範囲に入っている。1つの例示的
な実施形態では、入力部110の基部における寸法は、0.127インチである。2つの
矢印Bの間の距離で測定される入力部の前端の寸法は、約0.1インチから約0.2イン
チの範囲に入っている。1つの例示的な実施形態では、前端における寸法は、約0.11
6インチである。
【0069】
いくつかの実施形態では、2つの矢印Eの間の距離で測定される入力部110の長さは
、約0.1インチから約0.4インチの範囲に入っている。1つの例示的な実施形態では
、入力部110の長さは、約0.351インチである。いくつかの実施形態では、図5B
における距離Fで測定されるハンドル102及び入力部110を含むデバイスの長さは、
約0.5インチから約3インチの範囲に入っている。
【0070】
図6A及び6Bは、ガラス化デバイスの入力部の例示的な一実施形態を示している。特
に、図6Aは、入力部110の部分構造の斜視図を示している。ハンドル102の一部、
廃棄容器112a及び廃棄チャネル113の開口が示されており、これらは入力部110
上に設けられている。また、サンプル室111と廃棄容器112aとを分離するブロック
115も入力部110上に設けられている。いくつかの実施形態では、キャップ(図示せ
ず)が入力部110に結合されているとき、ブロック115の上端がキャップの内壁と係
合する。いくつかの実施形態では、図6Aに示されているように、キャップ(図示せず)
が入力部110に結合されているとき、ブロック115の上端は、サンプル室111と廃
棄容器112との流体連通を維持する濾過格子151等のフィルタ機構を備える。
【0071】
図6Bは、図6Aに示された濾過格子151の部分構造を示す拡大図である。また、デ
バイスのハンドル102及び入力部110の部分構造も示されている。この実施形態では
、濾過格子151は、交互に並んだ複数の低部151a及び高部151bを備える。すな
わち、入力部110がキャップ(図示せず)と係合しているとき、高部151bの上端が
キャップの内壁と係合して、廃棄容器112aとサンプル室111とを流体連通するよう
に接続するチャネルを低部151aに形成する。
【0072】
いくつかの実施形態では、キャップが付いているとき、マイクロピペット等の流体送達
デバイスがチャネルを通して廃棄流体を廃棄容器に押し込むために使用される一方で、サ
ンプルエリアにおいて卵母細胞又は胚等のサンプルは保持され得る。すなわち、いくつか
の実施形態では、濾過格子151の寸法は、ガラス化デバイスと共に使用されるサンプル
のタイプに依存する。いくつかの実施形態では、寸法は、チャネルが廃棄物を通過させる
がサンプルを保持するように選択される。例えば、サンプルがヒト卵母細胞又は胚である
実施形態では、各チャネルの寸法(チャネルの形状に依存する直径、幅又は長さ等)は、
0.0005から0.0015インチの範囲に入っている。
【0073】
さらに、理論によって制約されることを意図せずに、チャネルの寸法はサンプル室に位
置しているサンプルに対する液体圧にも影響を及ぼすと考えられる。チャネルの数は重要
ではなく、デバイスは1つ又は複数のチャネルで動作する。いくつかの実施形態では、複
数チャネル設計が背圧を減少させることを支援して、これがサンプルエリアにおけるサン
プルに対するより少ない応力及び迅速な流体充填を可能にすると考えられる。
【0074】
いくつかの実施形態では、濾過格子151は、サンプル室と廃棄容器とを接続する単一
のチャネルを形成し、流路面積(チャネルの縦軸に垂直な断面積として定義される)は、
約7×10-7平方インチから1.5×10-6平方インチの範囲に入っている。他の実
施形態では、濾過格子151は、サンプル室と廃棄容器とを接続する複数のチャネルを形
成し、全てのチャネルを結合した合計流路面積は、約7×10-7平方インチから1.5
×10-6平方インチの範囲に入っている。
【0075】
ここで理解されるように、いくつかの実施形態では、濾過格子151は、サンプル室1
11に保持された特定のサンプルから流体廃棄物を分離することを容易にする。いくつか
の実施形態では、濾過格子151は、サンプル室から廃棄物を除去することを容易にする
。特に、いくつかの実施形態では、流体廃棄物が濾過格子151によって形成されたチャ
ネルを通って廃棄容器112aに流れ込む一方で、チャネルの直径よりも大きな粒子サイ
ズを有するサンプルはサンプル室111内に保持される。本願のデバイス内の流体の流れ
は、様々な機構によって駆動され得る。例えば、いくつかの実施形態では、キャップが入
力部と係合している場合、マイクロピペット等の流体送達デバイスは、入力ポートを介し
てサンプル室に液体圧を伝達して、廃棄容器に向かって流体を押し込むことができる。代
替的な実施形態では、吸引機構によって、流体の流れを廃棄容器に向かって引き込んでも
よい。さらに、いくつかの実施形態では、濾過格子151によって形成されるマイクロ流
体チャネルは、廃棄容器に向かって液体廃棄物を引き込むことを容易にする毛細管吸い上
げ力を提供するように構成される。ピペット等を使用することによる流体力で第1の溶液
が入力ポート104を通って導入されると毛細管現象が開始される。流体は、サンプル室
111から濾過格子151を通って廃棄容器112に押し込まれる。デバイス全体を通る
特定サイズのマイクロ流体チャネルと組み合わせて、廃棄容器112内の流体の存在は、
毛細管現象を用いてデバイス101を通して後続の流体を引き込むのに十分に強い力を生
成する。
【0076】
図7A-7Cは、ガラス化デバイスの追加の例示的な実施形態を示す。特に、図7A
、入力部710の部分構造の斜視図である。この実施形態では、島部719がサンプル室
711と廃棄容器712とを分離している。島部719の両側におけるバイパスチャネル
718によって、サンプル室711と廃棄容器とが流体連通するように接続されている。
いくつかの実施形態では、島部719は、その中にサンプルを捕捉して保持するように構
成される捕捉ポケット716をさらに備える。捕捉ポケット716は、サンプル室711
に向かう開放端、及び廃棄容器712に向かう閉鎖端を有する。図示されているように、
いくつかの実施形態では、捕捉ポケット716は、「U字」形状になっている。
【0077】
いくつかの実施形態では、島部719の上端は、複数の濾過チャネル717等のフィル
タ機構をさらに備え、これは一方端が捕捉ポケット716と接続され、他方端が廃棄容器
712と接続される。キャップ(図示せず)が入力部710と結合されているとき、島部
719の上面はキャップの内壁と係合し、濾過チャネル717は、捕捉ポケット716と
廃棄容器712とを流体連通するように接続する。
【0078】
本開示によれば、濾過チャネル及びバイパスチャネルの寸法が変更されてもよい。図7
Bは、バイパスチャネル718が底部に沿って部分的に埋められて、それによってチャネ
ル718をより小さな寸法に制限する例示的な実施形態を示している。理論によって制約
されることを意図せずに、バイパスチャネル718及び濾過チャネル717の寸法は、捕
捉ポケット716に位置するサンプル上の流体の流量と共にサンプルに対する液体圧に影
響を及ぼすと考えられる。バイパスチャネル718又は濾過チャネル717の数を定義す
ることは重要ではない。本願のデバイスは、少なくとも1つのバイパスチャネル718及
び少なくとも1つの濾過チャネル717によって動作することができる。本明細書で用い
られる場合、チャネルの流路面積は、チャネルの縦軸に垂直な断面積として定義される。
いくつかの実施形態では、(複数の)バイパスチャネルの合計流路面積は、約5×10
平方インチから約2×10-5平方インチの範囲に入っている。いくつかの実施形態で
は、(複数の)濾過チャネルの合計流路面積は、約7×10-7平方インチから約1.5
×10-6平方インチの範囲に入っている。
【0079】
いくつかの実施形態では、バイパスチャネルの合計流路面積と濾過チャネルの合計流路
面積との比率は、捕捉ポケットにおけるサンプルに対する最適な流れ及び液体圧を達成す
るように選択される。バイパス対濾過の高い比率は、より多くの流体がバイパスチャネル
を流れる(すなわち、捕捉ポケットをバイパスする)ように駆動し、そのため捕捉ポケッ
トにおけるサンプルはより少ない流体処置を受けると考えられる。より低い比率は、より
多くの流体が捕捉ポケット及び濾過チャネルを流れるように駆動し、それによりサンプル
に対するより高い液体圧をもたらす。したがって、いくつかの実施形態では、バイパス対
濾過の比率は、約6:1から約4:1の範囲に入っている。特に、いくつかの実施形態で
は、バイパス対濾過の比率は、約5:1である。
【0080】
いくつかの実施形態では、濾過チャネルの寸法は、ガラス化デバイスと共に使用される
サンプルのタイプにも基づいて選択される。特に、いくつかの実施形態では、濾過チャネ
ルの寸法は、それが廃棄物を通過させるがサンプルを捕捉ポケット内に保持するように選
択される。例えば、サンプルがヒト卵母細胞又は胚である実施形態では、各濾過チャネル
の直径は、0.0005から0.0015インチの範囲に入っている。
【0081】
本開示によれば、捕捉ポケットのサイズは変更されてもよい。例えば、図7Cは、図7
Aに示された実施形態と比較して捕捉ポケット916の長さが増している例示的な実施形
態を示している。他の実施形態では、捕捉ポケット716の厚み及び/又は幅が変更され
てもよい。いくつかの実施形態では、捕捉ポケットの容積は、ヒト又は動物の数個の卵母
細胞又は胚を保持するのに十分なものある。いくつかの実施形態では、入力部910にお
けるサンプル室711のサイズが変更されてもよい。例えば、図8A及び8Bは2つの例
示的な実施形態を示しており、図8Aでは、図8Bと比較してサンプル室811を収容す
る入力部810の長さが長くなっている。
【0082】
図9A-9Cは、本開示によるガラス化デバイスの一実施形態の概略図である。図9A
は、ハンドル902、入力部910、及び入力部910に設けられる様々な構造であって
、サンプル室911、廃棄容器912、廃棄チャネル913の開口及び島部919を含む
ものを示している。この実施形態では、島部919は、U字状捕捉ポケット916、及び
U字状ポケットを廃棄容器912と接続する複数の濾過チャネル917等のフィルタ機構
を有している。図9Bは、図9Aの線A-Aに沿った断面図を示している。この断面図に
は、ハンドル902、入力部910及び入力部910に設けられる様々な構造であって、
凹所914、捕捉ポケット916及び複数の濾過チャネル917を含むものが示されてい
る。図9Cは、図9Bに示されたエリアDの拡大図である。この図面から見られるものに
は、バイパスチャネル918がさらに含まれている。
【0083】
いくつかの実施形態では、図9Aの2つの矢印Dの間の距離によって測定されるU字状
捕捉ポケット916の長さは、約0.02インチから約0.04インチまでの範囲を取る
。1つの例示的な実施形態では、捕捉ポケット916の長さは、0.038インチである
【0084】
いくつかの実施形態では、図9Aの2つの矢印Bの間の距離によって測定される捕捉ポ
ケット916の幅は、約0.005インチから約0.02インチまでの範囲を取る。1つ
の例示的な実施形態では、捕捉ポケット916の幅は、0.015インチである。
【0085】
いくつかの実施形態では、図9Aの2つの矢印Cの間の距離によって測定される島部9
19の長さは、約0.03インチから約0.07インチまでの範囲を取る。1つの例示的
な実施形態では、島部919の長さは、0.68インチである。
【0086】
いくつかの実施形態では、図9Cの2つの矢印Eの間の距離によって測定される捕捉ポ
ケット916の深さは、約0.01インチから約0.03インチまでの範囲を取る。1つ
の例示的な実施形態では、捕捉ポケット916の深さは、0.021インチである。
【0087】
いくつかの実施形態では、図9Cの2つの矢印Fの間の距離によって測定されるバイパ
スチャネル918の深さは、約0.001インチから約0.005インチまでの範囲を取
る。1つの例示的な実施形態では、バイパスチャネル918の深さは、0.005インチ
である。
【0088】
いくつかの実施形態では、ガラス化デバイスが第1の開放構成にある場合、キャップの
入力ポートは、入力ポートの少なくとも一端が捕捉ポケットにごく接近するように入力部
に対して配置される。すなわち、ユーザは、例えば、マイクロピペットを使用して、入力
ポートを介して捕捉ポケット内に容易にサンプルを送達することができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、濾過格子717、917は、捕捉ポケット716、916に
保持された特定のサンプルから流体廃棄物を分離することを容易にする。特に、いくつか
の実施形態では、流体廃棄物が濾過格子717、917を通って廃棄容器712、912
に流れ込む一方で、チャネルの直径よりも大きな粒子サイズを有するサンプルは捕捉ポケ
ット716、916内に保持される。流体廃棄物の流れは、様々な機構によって駆動され
得る。例えば、いくつかの実施形態では、キャップが入力部と係合している場合、マイク
ロピペット等の流体送達デバイスは、入力ポートを介してサンプル室に液体圧を伝達して
、廃棄容器に向かって流体の流れを押し込むことができる。代替的な実施形態では、吸引
機構によって、流体の流れを廃棄容器に向かって引き込んでもよい。さらに、いくつかの
実施形態では、マイクロ流体チャネルが、廃棄容器に向かって液体廃棄物を引き込むこと
を容易にする毛細管吸い上げ力を提供するように構成される。ピペット等を使用すること
によって、第1の溶液が流体力でサンプル室711、911に導入されると毛細管現象が
開始される。流体は、サンプル室711、911から濾過格子717、917を通って廃
棄容器712、912及び廃棄チャネル713、913に押し込まれる。デバイス全体を
通る特定サイズのマイクロ流体チャネルと組み合わせて、廃棄チャネル713、913内
の流体の存在は、毛細管現象を用いてデバイス701、901を通して後続の流体を引き
込むのに十分に強い力を生成する。
【0090】
図10A-10Cは、本開示によるガラス化デバイスのさらなる実施形態を示す。特に
図10Aは、デバイスの部分構造の斜視図であり、これはハンドル1002及び入力部
1010を示している。入力部1010は、サンプル室1011、フィルタ1021を含
むフィルタ機構、及びサンプル室1011とフィルタ1021との間に配置されるランプ
1020を備える。図10Bは、入力部1010及びハンドル1002を示す図10C
線A-Aに沿って取られた図10Aに示された実施形態の断面図である。図10Bには、
ハンドル1002に設けられた廃棄容器1012に連結される廃棄チャネル1013を覆
うフィルタ1021が示されている。
【0091】
いくつかの実施形態では、図10Bの2つの矢印Bの間の距離で測定されるフィルタ1
021の厚みは、約0.01インチから約0.03インチの範囲に入っている。1つの例
示的な実施形態では、フィルタ1021の厚みは、0.22インチである。
【0092】
ランプ1020は、フィルタ1021とサンプル室1011を接続する。図10Bは、
上を向いたサンプル室1021と水平に配置されたガラス化デバイス(キャップなし)を
示している。図示のように、ランプ1020は、サンプル室1011の表面に対する傾斜
角を有し、サンプル室1011の一端から上向きに延びている。いくつかの実施形態では
、廃棄物を収集するために、マイクロピペットを使用して、ランプ1020を通ってフィ
ルタ1021に向かって流れるようにサンプル室1011内の流体を押し込む。流体廃棄
物がフィルタ1021を通って廃棄容器1012に流れ込む一方で、より大きなサイズの
サンプルが流れ込むことを防ぐ。すなわち、サンプルはサンプル室内に保持される。理論
によって制約されることを意図せずに、重力がサンプルに作用して、それらをランプ10
20の下に引っ張ってフィルタ1021から引き離すので、ランプ1020によって、卵
母細胞又は胚等のサンプルのフィルタ1021への付着を防ぐことが支援されると考えら
れる。
【0093】
代替的に又は追加的に、いくつかの実施形態では、ランプ1020によって少なくとも
1つのマイクロ流体チャネルが形成され、それによってサンプル室1011からフィルタ
1021に向かって液体廃棄物を移動させるための毛細管吸い上げ力が提供される。ピペ
ット等を使用することによる流体力で第1の溶液がサンプル室1011に導入されると毛
細管現象が開始される。流体は、サンプル室1011からランプに沿って廃棄容器101
2へと押し込まれる。デバイス全体を通る特定サイズのマイクロ流体チャネルと組み合わ
せて、廃棄容器1012内の流体の存在は、毛細管現象を用いてデバイス1001を通し
て後続の流体を引き込むのに十分に強い力を生成する。代替的に又は追加的に、いくつか
の実施形態では、フィルタ1021はスポンジ又はフィルタ紙等の吸収材から作られるの
で、サンプル室1011からの液体廃棄物の除去を容易にする吸い上げ力も提供される。
【0094】
いくつかの実施形態では、フィルタ1021は、サンプルが通過することを防ぎながら
、廃棄物を廃棄チャネル1013へと選択的に通過させる。例えば、いくつかの実施形態
では、フィルタ1021は、廃棄物及びサンプルをそれらの各サイズに基づいて分離する
機構を備える。いくつかの実施形態では、この機構は、液体成分を通過させるが、混合物
の個体成分を保持する。いくつかの実施形態では、フィルタ1021は、卵母細胞又は胚
等の個体サンプルの通過を阻止するのに十分に小さい細孔を有する。様々な実施形態では
、細孔のサイズは、サンプルのタイプに依存して変化してもよい。いくつかの実施形態で
は、フィルタ1021は、濾過材から作られる。本開示との関連で使用され得る適切な濾
過材には、限定されないが、焼結ポリエチレンビーズ、ポリマーメッシュ、及び繊維紙が
含まれる。いくつかの実施形態では、濾過材は、フィルタ1021に対するサンプルの粘
着を妨げる。
【0095】
いくつかの実施形態では、ガラス化デバイスは、閉鎖構成(図示せず)をさらに有する
。閉鎖構成では、キャップは、キャップ上の開口がサンプル室と流体連通せず、サンプル
室がキャップの壁によって密封されるように入力部に対して配置される。いくつかの実施
形態では、閉鎖構成では、キャップ上の1つ以上の凹所又は開口は、サンプル室にごく近
接して配置される。いくつかの実施形態では、閉鎖構成では、キャップの1つ以上の開口
は、入力部上の凹所と流体連通している。
【0096】
閉鎖構成におけるガラス化デバイスは、サンプル室の内容物を直接的に流体に晒すこと
なく流体に沈められてもよい。いくつかの実施形態では、ガラス化デバイスは、サンプル
室に保持されたサンプルのガラス化のために少なくとも入力部及びキャップ部を液体窒素
に浸からせるように構成される。いくつかの実施形態では、デバイスは、その中に保持さ
れたサンプルを解凍するために温媒体に浸かるようにさらに構成される。こうした実施形
態では、液体窒素又は温媒体は、キャップ上の開口等を通してサンプルに容易に接近する
ことができるが、デバイスが閉鎖構成にあるときはサンプルに直接的に接触しない。いく
つかの実施形態では、デバイスの少なくとも入力部及びキャップ部は、液体窒素に耐性が
ある材料から作られる。いくつかの実施形態では、サンプルの迅速なガラス化及び解凍を
達成することができるように、材料は熱伝導性を有する。本開示との関連で使用され得る
例示的な材料には、限定されないが、アクリル系材料、ポリプロピレン系材料、ポリカー
ボネート系材料、及びコポリエステル系材料が含まれる。
【0097】
いくつかの実施形態では、開放構成と閉鎖構成との切り替えは、その縦軸に沿ってキャ
ップを、例えば、約10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°
、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、
170°、又は180°回転させることにより行われる。特に、図2Bに示された例示的
な実施形態を再び参照すると、入力ポート104及び開口107、108は、キャップ1
03の反対側に設けられている。この実施形態では、第1の開放構成と閉鎖構成との切り
替えは、その縦軸に沿って約90°キャップ103を回転させることにより行われてもよ
く、第1の開放構成と第2の開放構成との切り替えは、その縦軸に沿って約180°キャ
ップ103を回転させることにより行われ得る。いくつかの実施形態では、キャップ10
3は、キャップの保持及び回転を容易にするグリップ106をさらに備える。
【0098】
図11A及び11Bは、本願のガラス化デバイスを使用して胚を凍結及び解凍するため
の例示的な手順を示している。図11Aに示されているように、凍結するには、デバイス
は最初に第1の開放構成で配置される。キャップ上の入力ポートを通して培養基がサンプ
ル室に送達され、その後で胚試料がサンプル室に送達される。次に、入力ポートを通して
適切な平衡化溶液が追加され、胚は、廃棄物が収集される前の所定期間にわたり平衡化溶
液で平衡化させられる。その後、入力ポートを通してガラス化溶液が追加され、胚は、廃
棄物が収集される前の所定期間にわたりガラス化溶液で培養される。次に、キャップは閉
鎖構成になるように回転させられて、デバイスの入力部は、胚のガラス化のために迅速に
液体窒素タンクの中に入れられる。
【0099】
図11Bに示されているように、解凍するには、閉鎖構成で凍結されたデバイスが、迅
速に37°Cの加温水槽に入れられて、所定期間にわたり培養される。次に、キャップが
第1の開放構成になるように回転させられる。37°Cの解凍溶液が入力ポートを通して
サンプル室に適用されて、胚を所定期間にわたり温めることができる。次に、室温の希釈
溶液が追加されて、胚は、廃棄物が収集される前の所定期間にわたり希釈溶液で平衡化さ
せられる。その後、サンプル室に室温の洗浄溶液が追加されて、胚は、廃棄物が収集され
る前の所定期間にわたり平衡化させられる。37°Cの培養基がサンプル室に追加される
前に、洗浄ステップは必要に応じて反復されてもよい。次に、キャップは第2の開放構成
になるように回転させられて、胚はキャップ上の開口を通して回収される。
【0100】
本デバイスを使用してサンプルを凍結及び/又は解凍するための手順は、調製されたサ
ンプルの品質を損なわずにマイクロピペット操作の数を少なくとも4倍減らすことができ
ると考えられる。さらに、組み込み廃棄物収集機構によって、各湿潤ステップで持ち越さ
れる溶液の量が減少し、ユーザごとに一貫性が向上する。すなわち、本デバイスの利点は
、脆弱なサンプルのヒトによる操作に関連付けられる損傷の危険性を低下させることと共
に、サンプル調製に関連付けられる人的エラーを減らすことにより、サンプル品質の一貫
性を向上させることを含んでいる。
【0101】
上記の凍結及び解凍の手順は、単なる例示であって、本ガラス化デバイスの使用を記載
された特定の例示に限定することを意図していない。例えば、本デバイスとの関連で使用
され得るサンプルは、胚試料に限定されておらず、例えば、卵母細胞、体細胞及び他の適
切なサンプルタイプも含んでいる。さらに、サンプルを処理するために使用される化学物
質は、上記のものに限定されるのではなく、本デバイスは多用途であり、市販の異なるガ
ラス化キットと共に使用され得ると考えられる。さらに、本デバイスは、凍結及び解凍と
関わりなくサンプルの処理及び保存に使用されてもよい。当業者であれば、本開示の原理
から逸脱することなくさらなる修正及び変形を構想することが可能であり、このように修
正及び変形された実施形態も本願の範囲に含まれる。
【0102】
図12A及び図12Bは、本開示によるガラス化デバイスの複数のユニットが、例えば
、利便性のある保管又は搬送のために互いに積み重ねられ得る例示的な実施形態を示して
いる。図12Aは、ガラス化デバイス1201の各ユニットが一方端においてプラグ12
02を他方端においてレセプタクルを有する例示的な実施形態を示している。あるユニッ
トのプラグ1202が別のユニットのレセプタクル1203と係合し、それにより2つの
ユニットを互いに積み重ねることができる。図12Bは、ガラス化デバイス1201の各
ユニットが両端において磁石1202、1203を有する別の例示的な実施形態を示して
いる。磁石1202、1203は互いに係合し、それにより複数のユニットが互いに積み
重なる。
【0103】
図13Aは、本開示によるガラス化デバイスの代替的な実施形態を示す。図示のように
、ガラス化デバイス1301は、ハンドル部1302及び入力部1310を有する細長部
材を含んでいる。入力部1310は、キャップ1303に可逆的に結合され得る。いくつ
かの実施形態では、入力部1310は、円筒形であり、キャップ1303内の円筒の空洞
と係合し得る。いくつかの実施形態では、入力部1310は、ハンドル1302の近位端
におけるより大きな寸法、ハンドル1302の遠位端におけるより小さな寸法を有するテ
ーパ状である。いくつかの実施形態では、入力部1310は、約1°から約5°の抜き勾
配でテーパ状になっている。いくつかの実施形態では、キャップ1303内の空洞も一致
する抜き勾配でテーパ状になっており、それにより入力部1310及びキャップ1303
のテーパ形状が2つの部分を互いに係合及び/又は密封するのを支援する楔力がもたらさ
れる。いくつかの実施形態では、入力部1310は、キャップ1303が入力部1310
に向かってさらに移動することを防ぐためのキャップストッパ1323をさらに備えてお
り、それによりキャップ1303が観察窓1305又は凹所1314を覆ってしまうこと
を防ぐ。いくつかの実施形態では、キャップ1303は、キャップ1303の保持及び回
転を容易にするためのグリップ1306をさらに備える。
【0104】
図13Bは、ガラス化デバイスの入力部1310の斜視図である。いくつかの実施形態
では、入力部1310は、ハンドル1302内に含まれている廃棄容器(図示せず)と流
体連通するサンプル室(図示せず)を含んでいる。入力ポート1304は、外側とサンプ
ル室を接続する。入力部は観察窓1305をさらに備えており、サンプル室の少なくとも
一部が観察窓1305を通して外側から可視であり得る。いくつかの実施形態では、入力
部1310は、サンプル室にごく近接している1つ以上の凹所1314をさらに備える。
いくつかの実施形態では、液体窒素と接触しているとき、凹所1314によって、その中
に保持されたサンプルを良好にガラス化するために液体窒素がサンプル室にごく近接する
ことが可能になる。いくつかの実施形態では、入力部1310は、入力ポート1304の
開口に隣接する凹所1315をさらに備える。凹所1315によって、マイクロピペット
等のサンプル送達ツールがより簡単に入力ポート1304の開口に接近することが可能に
なる。凹所1315は、キャップ1303が入力部1310上に押し込まれるときに、空
気がサンプル室に入って気泡になることも防ぐ。
【0105】
図14A-14Dは、ハンドル1302、入力部1310及びキャップ1303を示す
ガラス化デバイス1301を示している。図14Aの上面図に示されているように、ハン
ドル部1302に遠位の入力部1310の部分がキャップ1303に挿入されている。い
くつかの実施形態では、キャップストッパ1323は、キャップ1303が観察窓130
5を遮るのを防ぐことを支援する。特に、いくつかの実施形態では、キャップストッパ1
303は、観察窓1305よりもハンドル1302に対して遠位に設けられている。いく
つかの実施形態では、キャップは、キャップ1303の保持及び取り扱いを容易にするた
めのグリップ1306をさらに備える。図14Bも、ガラス化デバイス1301の上面図
を示している。この図では、キャップ1303が入力部1310から取り外され、入力ポ
ート1304が露出している。
【0106】
図14Cは、図14Bの線A-Aに沿った断面を示している。図示のように、入力部1
310は、入力ポート1304を介して外側と接続されているサンプル室1311を備え
る。サンプル室1311は、サンプルを置くことができる少なくとも1つの表面1321
を備える。サンプル室1311内の活動及び/又は内容物を外側から見ることができるよ
うに、観察窓1305がサンプル室1311の上に置かれる。凹所1314は、サンプル
室1311にごく近接している。この例示的な実施形態では、サンプル室1311及び凹
所1314は、例えば、サンプル室1311内のサンプルと凹所1314内の液体窒素と
の間で高速熱伝導を可能にする薄い壁で分離されている。いくつかの実施形態では、入力
部1310は、入力ポート1304の開口に隣接する凹所1315をさらに備える。
【0107】
サンプル室1311は、デバイスのハンドル1302の部分に延びる廃棄容器1312
と流体連通している。フィルタ機構1320が、サンプル室1311と廃棄容器1312
との間に配置されている。いくつかの実施形態では、フィルタ機構1320は、サンプル
室1311内にサンプルを保持しながら、廃棄物を廃棄容器1312へと選択的に通過さ
せる。いくつかの実施形態では、フィルタ機構1320は、廃棄物及びサンプルをそれら
の各サイズに基づいて分離する。いくつかの実施形態では、フィルタ機構1320は、液
体成分を通過させるが、混合物の個体成分を保持する。いくつかの実施形態では、フィル
タ機構1320は、卵母細胞又は胚等の個体サンプルの通過を阻止するのに十分に小さい
細孔を有する。様々な実施形態では、細孔のサイズは、サンプルのタイプに依存して変化
してもよい。
【0108】
いくつかの実施形態では、フィルタ機構1320はメッシュである。いくつかの実施形
態では、メッシュを通る穴は、吸い上げ力が毛細管現象によって流体を引き込むことを可
能にするのに十分に小さな穴である。いくつかの実施形態では、使用中に、メッシュを通
るように液体を押し込むための流体圧が最初にサンプル室1311に提供される。廃棄容
器1312内の流体の存在は、毛細管現象を用いてデバイス1301を通して後続の流体
を引き込むのに十分に強い力を生成する。さらに、メッシュを通って流れて穴を湿らせる
液体は、流体圧がなくても液体及び/又は後続のさらなる液体をメッシュを通過させるよ
うに吸い上げ力を増大させてもよい。本開示によれば、フィルタ機構1320に適切な材
料には、限定されないが、焼結ポリエチレンビーズ、ポリマーメッシュ、及び繊維紙が含
まれる。いくつかの実施形態では、材料は、円滑面を有し、サンプルの粘着又は付着を防
ぐ。
【0109】
図14Dは、デバイス全体の断面図を示している。キャップ1303は、入力部131
0を収容するための内部の空洞1324を有する。いくつかの実施形態では、キャップ1
303が入力部1310に結合されると、入力ポート1304は密封される。キャップ1
303が入力部1310上に押し込まれると、凹所1315にエアポケットが形成される
。すなわち、キャップ1303が入力部1310に結合されたときに、凹所1315は空
気が入力ポート1304に押し込まれてサンプル室1311で気泡になることを防ぐ。い
くつかの実施形態では、入力部1310は、キャップ1303が観察窓1305を遮るの
を防ぐためのキャップストッパ1323をさらに備える。いくつかの実施形態では、デバ
イスは、廃棄物が廃棄容器1312からサンプル室1311に戻ることを防ぐ機構をさら
に備える。いくつかの実施形態では、デバイスは、廃棄物が入ると廃棄容器1312内の
空気を放出させて、液体窒素が廃棄容器1312に入ることを防ぐフィルタ1322等の
機構をさらに備える。いくつかの実施形態では、フィルタ1322は、液体廃棄物が廃棄
容器1312から漏出することも防ぐ。いくつかの実施形態では、フィルタ1322は、
液体が通過することを防ぐのに十分に小さいが、空気を通過させるのに十分に大きい細孔
サイズを有する。いくつかの実施形態では、フィルタ1322は、約20ミクロンの細孔
サイズを有する。いくつかの実施形態では、フィルタ1322は、PTFE、ポリエチレ
ン又はポリプロピレンから作られる。
【0110】
図15A及び15Bは、ガラス化デバイス1301の代替的な実施形態の斜視図を示す
。デバイスの長手軸に沿った断面も示されている。特に、図15Aには、ハンドル130
2(部分的に示す)及び入力部1310(部分的に示す)を含むガラス化デバイス130
1の部分構造が示されている。入力部1310は、サンプル室1311を備える。入力ポ
ート1304は、サンプル室を外側と接続する。入力部1310は、ハンドル1302内
に延びる廃棄容器1312をさらに備える。この例示的な実施形態では、メッシュ等のフ
ィルタ機構1320が、サンプル室1311と廃棄容器1312との間に配置されている
。ユーザがサンプル室1311内の活動及び/又は内容物を観察窓1305を通して見る
ことができるように、観察窓1305がサンプル室1311の上に置かれる。入力部13
10は、サンプル室1311に近接する少なくとも2つの凹所1314をさらに備える。
液体窒素と接触すると、凹所1314によって、ガラス化効果を向上させるために液体窒
素がサンプル室1311に近接することが可能になる。キャップ(図示せず)が入力部1
310と係合すると、入力ポート1304は密封される。いくつかの実施形態では、入力
部1310は、入力ポート1304の開口の付近に凹所1315をさらに備える。凹所1
315によって、マイクロピペット等のサンプル送達ツールがより簡単に入力ポート13
04の開口に接近することが可能になる。凹所1315は、キャップが入力部1310上
に押し込まれるときに、空気がサンプル室1311に入って気泡になることも防ぐ。
【0111】
図15Aに示されているように、サンプル室1311は、サンプルが配置され得る少な
くとも1つの表面1321を有する。サンプル受容面1321は、サンプルを表面132
1に送達することを容易にするために入力ポート1304に対して所定の角度を成しても
よい。いくつかの実施形態では、入力ポート1304とサンプル受容面1321との間の
角度は、約20°から約70°の範囲内である。本開示によれば、サンプルを容易に送達
することができる限り、サンプル受容面1321及び入力ポート1304の寸法は重要で
はない。図15Bは、サンプル受容面1321の面積が削減された代替的な実施形態を示
している。この例示的な実施形態では、入力ポート1304は、2つのセグメントを有し
ている。入力ポート1304の開口に隣接する第1のセグメントは、サンプル室に隣接す
る第2のセグメントと比較してより大きな直径を有する。他の実施形態では、入力ポート
1304は、開口において直径が大きいがサンプル室1311に向かって直径が小さくな
るテーパ状であってもよい。
【0112】
図16-21は、本開示によるガラス化デバイスの代替的な実施形態を示す。図16
、ガラス化デバイス1601の斜視図である。ガラス化デバイス1601は、2つの端部
を備えた細長形状を含む。一方の端部において、デバイス1601は、取り外し可能なキ
ャップ1603に可逆的に結合することができる入力部(図示せず)を備える。いくつか
の実施形態では、入力部1610は、円筒形であり、キャップ1603内の円筒の空洞と
係合し得る。デバイスは、第2の端部において、ハンドル部1602及びキャップ163
0をさらに含む。デバイス1601は、少なくとも1つの観察窓1605も含む。ガラス
化デバイスは、(図16に示された)閉鎖構成及び(図18-19に示された)開放構成
を有する。閉鎖構成及び開放構成に切り替えることは、それぞれ入力部1610とキャッ
プ1603を結合又は外すことにより行われる。図示の実施形態では、キャップ1603
は、キャップ1603の保持及び取り扱いを容易にするためのグリップを形成する複数の
隆起を有する。
【0113】
図17は、キャップ1603が入力部1610結合された閉鎖構成におけるガラス化デ
バイス1601の縦断面図である。この構成では、入力ポート1604、そしてサンプル
室1611はキャップ1603の壁によって密封されている。閉鎖構成におけるガラス化
デバイス1601は、上記のようにサンプル室1611の内容物を直接的に流体に晒すこ
となく流体に沈められてもよい。
【0114】
開放構成のときに、入力ポート1604は、サンプル室1611に送達されるサンプル
及び流動剤を受け入れるように構成される。入力ポート1604は、サンプル室1611
と流体連通しており、サンプル室はフィルタ1621を含むフィルタ機構を介して廃棄容
器1612と流体連通している。観察窓1605は、サンプル室1611の周囲のエリア
に設けられる。開口1607は、観察窓1605の直径方向の反対側のハンドル部160
2に形成される。
【0115】
図18は、ガラス化デバイス1601のハンドル1602の一部及び入力部1610を
示している。ガラス化デバイス1601は、入力ポート1604が露出されるように開放
構成(キャップ1603が取り外されている)で示されている。入力ポート1604は、
入力部1610の壁にあるトラフ状凹所1604a及びサンプル室1611に通じる入力
チャネル1604bを備える。凹所1604aによって、マイクロピペット等のサンプル
送達ツールがより簡単に入力チャネル1604bの開口に接近することが可能になる。凹
所1604aによって送達される流動剤は、入力チャネル1604bを介してサンプル室
1611におけるサンプルに直接的に流れる。
【0116】
観察窓1605は、デバイスのユーザがサンプル室1611内に位置するサンプルの状
態を観察及び検査することを可能にする。いくつかの実施形態では、観察窓1605は、
サンプル室1611の外壁が露出されるように、壁にある開口によって形成されてもよい
。他の実施形態では、デバイスのユーザがサンプル室1611内に位置するサンプルの状
態を検査するために容易に中を見ることができるように、観察窓1605は透明材料から
作られる。様々な実施形態において、観察窓1605は、デバイス1601の残りの部分
と同じ又は異なる材料から作られてもよい。サンプル室1611は、室内のサンプルを観
察することを可能にするために透明材料によって囲まれる。いくつかの実施形態では、サ
ンプル室1611の壁は、0.005インチよりも薄く、好ましくは、0.002インチ
以下の薄さであり、それによりサンプルが好ましい速度で解凍することを可能にする。
【0117】
図19は、図18に示されたハンドル1602の一部及び入力部1610の断面図であ
る。この図では、観察窓1605の直径方向の反対側に開口1607が示されている開口
1607は、サンプル室1611を取り囲む空間を露出させる。入力部1610が液体窒
素に沈められると、例えば、液体窒素は、開口1607を通って、サンプル室1611内
のサンプルに近接して流れ込む。いくつかの実施形態では、このような開口の数は1つに
限定されない。様々な実施形態において、観察窓1605も、同様の開口として機能する
。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの開口を有することは、液体窒素が一方の開
口から入り、サンプル室1611を取り囲む空間に閉じ込められた空気が他方の開口から
逃れることができるので、液体窒素がサンプルエリアの近傍に速く流れること、すなわち
サンプルの高速ガラス化を可能にすると考えられる。
【0118】
ユーザは、観察窓1605を介してサンプル室1611内の内容物及び/又は活動を監
視しながら、入力ポート1604からサンプル室1611内に、サンプル又はサンプルを
調製若しくは処理するための溶液等の流動剤を送達してもよい。次に、廃棄物は、廃棄容
器1612内に収集される。様々な実施形態において、デバイス1601は、廃棄容器1
612に到達するように廃棄物を通過させながら、サンプルを保管するためのフィルタ機
構等の機構を備える。例えば、この実施形態では、フィルタ1621が廃棄容器1612
からサンプル室1611を分離している。
【0119】
フィルタ1621の詳細が、図20の斜視断面図に示されている。いくつかの実施形態
では、フィルタ1621は、サンプルが通過することを防ぎながら、廃棄物を廃棄容器1
612内へと選択的に流れ込ませる。例えば、いくつかの実施形態では、フィルタ162
1は、廃棄物及びサンプルをそれらの各サイズに基づいて分離する濾過機構を備える。い
くつかの実施形態では、濾過機構は、液体成分を通過させるが、混合物の個体成分を保持
する。すなわち、サンプルはサンプル室1611内に保持される。いくつかの実施形態で
は、フィルタ1621は、卵母細胞又は胚等の個体サンプルの通過を阻止するのに十分に
小さい細孔を有する。様々な実施形態では、細孔のサイズは、サンプルのタイプに依存し
て変化してもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ1621は、複数の細孔、例えば
、射出成形されたコンポーネントに設けられたレーザドリル穴を有する。細孔のサイズ、
数及び/又は配置は、(以下に記載の)毛細管現象を促進するように選択される。いくつ
かの実施形態では、フィルタ1621のコンポーネントは、細孔の中心間に0.003の
間隔で約0.002インチの直径を有する7x9配列の細孔を含む。他の実施形態では、
フィルタ1621は、配列の異なる数の細孔、異なる直径の細孔、及び/又は細孔間の異
なる間隔を有してもよい。
【0120】
他の実施形態では、フィルタ1621は、濾過材から作られる。本開示との関連で使用
され得る適切な濾過材には、限定されないが、焼結ポリエチレンビーズ、ポリマーメッシ
ュ、及び繊維紙が含まれる。いくつかの実施形態では、濾過材は、フィルタ1621に対
するサンプルの粘着を妨げる。
【0121】
ガラス化デバイス1601は、毛細管現象によって入力ポート1604からフィルタ機
構を通じて廃棄容器1612へと流体を引き込むようなサイズであり、かつそのように構
成される。このようにして、サンプルは、外力の支援がなくても又は外力に対抗さえして
、入力ポート1604からサンプル室1611を通じて廃棄容器1612へと流れる。い
くつかの実施形態では、入力ポート1604、サンプル室1611、フィルタ1621に
おける細孔、及び/又は廃棄容器1612を通過する小通路によってマイクロ流体チャネ
ルが形成され、それにより液体廃棄物をサンプル室1611からフィルタ1621に向か
って移動させる毛細管吸い上げ力が提供される。ピペット等を使用することによる流体力
で第1の溶液が入力ポート1604を通って導入されると毛細管現象が開始される。流体
は、サンプル室1611からフィルタ1621の細孔を通過して廃棄容器1612へと押
し込まれる。デバイス全体を通る特定サイズのマイクロ流体チャネルと組み合わせて、廃
棄容器1612内の流体の存在は、毛細管現象を用いてデバイス1621を通して後続の
流体を引き込むのに十分に強い力を生成する。追加的に、いくつかの実施形態では、フィ
ルタ1621は、湿るとサンプル室1611からの液体廃棄物の除去を容易にする吸い上
げ力をもたらすスポンジ、フィルタ紙又はメッシュ等の吸収材から作られる。いくつかの
実施形態では、液体が材料を通って流れて穴を湿らせると、毛細管現象が開始され、吸い
上げ力は、流体圧がなくても液体及び/又は後続のさらなる液体が材料を通過することを
支援する。
【0122】
液体廃棄物は、ハンドル部1602に保持される廃棄容器1612に収集される。いく
つかの実施形態では、廃棄容器は、ガラス化されるサンプルの事前処理及び調製の間に使
用される全ての廃棄流体を保持するための容積を有するようなサイズであり、かつそのよ
うに構成され、そのため廃棄容器1612は最大容積に到達せずかつ空にする必要もない
。廃棄容器1612は、図21に示されているように、入力部1610の反対の端部にお
いてキャップ1630を有し、これは流体がサンプル室1611から引き込まれるときに
容器を放出させる。さらに、キャップ1630は、(凍結のための)液体窒素及び(解凍
のための)温水が廃棄容器1612の周囲を通過するように廃棄容器の周囲に等しい隙間
を提供するために、廃棄容器1612の位置をデバイス1601の軸中心線に維持するの
に役立つ。いくつかの実施形態では、キャップ1630は、複数の色で成形することによ
りユーザに独自の色識別性を提供し、デバイス1621の様々なサイズ、使用等に関して
独自である。
【0123】
デバイス1621は、液体窒素に沈めるためにサンプル室1611を密封するようにさ
らに構成される。特に、キャップ1603は、デバイス1621の入力部1610の端部
を密封し、他方の端部はプラグとして作用する廃棄容器1612内の凍結溶液によって密
封される。
【0124】
図22A-22Dは、ガラス化デバイス1601の入力部1610の代替的な実施形態
を示す。こうした図面に示されているように、入力部1610は、サンプルの凍結又は解
凍時に気泡が試料室1611へ通過することを防ぐ又は制限するための様々な設計特性を
有する入力ポート1604を含む。溶液が導入された後でキャップ1603がデバイス1
621上に配置されると、液面が入力ポート1604の上端を下回るときにキャップ16
03の下に気泡が形成される。結果として、気泡は、入力チャネル1604bの開口に向
かって押される。気泡はサンプル室1611内のサンプルを損傷させる可能性があるので
図22A-22Dの特徴は、サンプルの損傷の可能性を制限することを支援する。
【0125】
図22Aでは、入力ポート1604は、隆起部1622によって入力凹所1604aの
端部から分離された入力チャネル1604bへの開口を有する。キャップ(図示せず)が
入力部1610上に配置されると、形成された全ての気泡は、隆起部1622の上の入力
チャネル1604bより上に残る。凍結されると、凍結された液体の収縮によって、気泡
が室内に吸い込まれる可能性はない。したがって、解凍されると、室内は気泡がない状態
に維持される。
【0126】
図22Bでは、入力ポート1604は、入力チャネル1604bの開口に対して異なる
高さの部分を含む。第2の凹部1624は、入力ポートの凹所1604aより低いが、入
力チャネル1604bの開口に対しては高度が高い。このようにして、液面は、より少な
い液体量によって第2の凹部1624より上(かつ入力チャネル1604bへの開口より
上)に維持される。入力ポートの凹所1604aと第2の凹部1624とを分離するラン
プ部が、液面を入力チャネル1604bの開口より上に維持するのに役立つ。このように
して、解凍のために大量の流体を必要とする凹所1604aの深さが全て同じである場合
よりも解凍過程は速い可能性がある。解凍により多くの時間がかかれば、試料の生存能力
を危険に晒す可能性がある。
【0127】
図22C-22Dに関して、入力ポートの凹所1604aは、狭い部分1626を含む
。ポートの凹所1604aと同等の幅の気泡が、狭い部分1626を押し通されることは
ない。したがって、気泡は、入力チャネル1604bの開口から遠ざけられる。さらに、
図22Cでは、入力凹所1604aは傾斜しており、凹所1604aに存在する最小量の
流体が使用されることを可能にしながら、液面が低く下がり過ぎない(すなわち、入力チ
ャネル1604bへの開口よりも上に維持される)ことも確実にする。液体をより少なく
することで、温溶液が試料により迅速に到達することが可能になり、それにより試料の生
存能力を促進する。
【0128】
図22Dでは、入力凹所1604a内にトラフ1628がある。解凍後に入力チャネル
1604bの開口の近くに気泡が閉じ込められていても、トラフ1628は、液体が流れ
ることが可能な通路を提供する。トラフ1628は常に液体で満たされていることが意図
される。したがって、液体が流れるための通路を有することにより、気泡が形成されてい
ても、試料の解凍時に非常に重要となる液体の動きがある。気泡が流路の障害になる場合
、試料の生存能力が損なわれる。
【0129】
いくつかの実施形態では、デバイスの少なくとも入力部及びキャップ部は、液体窒素に
耐性がある材料から作られる。いくつかの実施形態では、サンプルの迅速なガラス化及び
解凍を達成することができるように、材料は熱伝導性を有する。本開示との関連で使用さ
れ得る例示的な材料には、限定されないが、アクリル系材料、ポリプロピレン系材料、ポ
リカーボネート系材料、及びコポリエステル系材料が含まれる。
【0130】
開示された様々な実施形態による上記のガラス化デバイスは、類似の特徴を含み、類似
の原理に従って動作し、同じ参照番号は同じ要素を意味する。所定のコンポーネント又は
詳細は所定の実施形態の記載から省略されてもよく、類似の要素がガラス化デバイスの他
の実施形態と関連して先に記載されたものと同じ機能を実行し又は同じ特徴を含むことが
理解されるべきである。
【0131】
(均等物)
本技術は、現在の技術の個別の態様の1つの例示として意図されているこの出願に記載
された特定の実施形態に関して限定されない。その精神及び範囲から逸脱することなく本
技術の多くの修正及び変形を行うことが可能であり、それは当業者には明らかであろう。
本明細書で列挙されたものに加えて、本技術の範囲内で機能的に均等な方法及び装置も、
当業者には先の記載から明らかであろう。このような修正及び変形が、本技術の範囲内に
含まれることが意図される。本技術は、特定の方法、試薬、化合物組成又は当然に変化し
得る生物系に限定されないことが理解されるべきである。また、本明細書で使用される用
語は、単に特定の実施形態を記載すること目的としており、限定を意図していないことが
理解されるべきである。
【0132】
当業者には理解されるように、いかなる及び全ての目的に対して、特に、記載された説
明を提供することに関して、本明細書に開示の全ての範囲は、その任意の及び全の可能な
部分範囲及び部分範囲の組み合わせも含んでいる。列挙されたいずれの範囲も、同じ範囲
が少なくとも等しく半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1等に分割されるこ
とを十分に記載し及び可能にしていると容易に理解され得る。非限定的な例として、本明
細書で検討された各範囲は、下部3分の1、中部1及び上部3分の1等に容易に分割され
得る。当業者には理解されるように、「まで」、「少なくとも」、「より大きな」、「よ
り少ない」等の全ての言葉は、記載された数を含みかつ上記のように後で部分範囲に分割
され得る範囲も意味する。最後に、当業者には理解されるように、範囲はそれぞれ個別の
要素を含む。
【0133】
全ての数字表示、例えば、範囲を含むpH、温度、時間、濃度、量、及び分子量は、必
要に応じて、(+)又は(-)10%、1%又は0.1%変化する近似値である。常に明
示されている訳ではないが、全ての数字表示の前に「約」という言葉が伴い得ることが理
解されるべきである。また、常に明示されている訳ではないが、本明細書に記載の試薬は
単なる例示であり、当技術分野ではこれらの均等物が知られていることが理解されるべき
である。

図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22A-B】
図22C-D】