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  • 特許-異径車輪用アタッチメント 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】異径車輪用アタッチメント
(51)【国際特許分類】
   E01C 23/12 20060101AFI20250120BHJP
【FI】
E01C23/12 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023189633
(22)【出願日】2023-11-06
【審査請求日】2024-11-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590002482
【氏名又は名称】株式会社NIPPO
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 雅嘉
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0082513(US,A1)
【文献】特開2012-158892(JP,A)
【文献】特開2014-227724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランブルストリップスを施工する際に用いられる路面切削機が有する異径車輪に取付けられる異径車輪用アタッチメントであって、
円筒状のアタッチメント本体と、前記アタッチメント本体に内接して固定され、前記異径車輪の寸法形状にあわせた空洞を有する内接体と、を備え、
前記内接体は、前記異径車輪に外嵌され、
前記アタッチメント本体は、前記異径車輪の車軸端に連結可能に形成される、
異径車輪用アタッチメント。
【請求項2】
前記アタッチメント本体は、前記異径車輪の車軸端の締結部に、前記異径車輪と一体に回転可能に連結される、
請求項1に記載の異径車輪用アタッチメント。
【請求項3】
前記アタッチメント本体は、外側端板を備え、
前記外側端板は、ワッシャを介して、前記車軸端の締結部に、前記異径車輪と一体に回転可能に連結される、
請求項1に記載の異径車輪用アタッチメント。
【請求項4】
前記外側端板は、前記車軸端が挿通される車軸孔が形成され、
前記車軸孔の径は、前記車軸端の前記締結部の径よりも所定寸法だけ大きく形成され、
前記所定寸法の間で、前記アタッチメント本体は前記車軸端に対して揺動可能に支持される、
請求項3に記載の異径車輪用アタッチメント。
【請求項5】
前記内接体は、前記異径車輪の辺の数に対応した板状部材を有する、
請求項1に記載の異径車輪用アタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異径車輪用アタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、交通安全施設として、道路の中央や路肩の路面上にランブルストリップス(波条の凹凸)を施工することがある。この施工に用いられる路面切削機は、片側の側面下部に例えば五角形状の異径車輪を備え、この異径車輪の回転により、路面切削機を上下動させて、同路面上にランブルストリップスを施工する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-16459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構成では、ランブルストリップスの施工を終えたのちに、つぎの施工区間に、同路面切削機を移動させる場合、異径車輪が路面にあたることにより、同路面切削機の車体に大きな振動が生じるという課題がある。
そこで、本発明の目的は、上述した課題を解消し、路面切削機に大きな振動を生じさせることなく、同路面切削機を移動できる、異径車輪用アタッチメントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ランブルストリップスを施工する際に用いられる路面切削機が有する異径車輪に取付けられる異径車輪用アタッチメントであって、円筒状のアタッチメント本体と、前記アタッチメント本体に内接して固定され、前記異径車輪の寸法形状にあわせた空洞を有する内接体と、を備え、前記内接体は、前記異径車輪に外嵌され、前記アタッチメント本体は、前記異径車輪の車軸端に連結可能に形成される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、異径車輪の寸法形状に沿った内接体が異径車輪に嵌められ、アタッチメント本体が路面と設置する。よって、異径車輪による路面切削機に大きな振動を生じさせることなく、同路面切削機を移動できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、路面切削機の側面図である。
図2図2は、異径車輪用アタッチメントを取付けた状態を示す側面図である。
図3図3は、異径車輪とアタッチメントとの分解斜視図である。
図4図4は、異径車輪の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
[路面切削機]
図1は、路面切削機1の側面図である。
路面切削機1は、車体2と、駆動源のエンジン(図示せず)を備える4輪の自走車両として構成される。4輪は、2つの前輪と2つの後輪とで構成される。2つの前輪と、図1の紙面の裏に隠れる不図示の後輪とは、円形状のタイヤであり、以下、本明細書では、これらを、単に車輪6と呼称する。残りの後輪の一つは、本実施形態による略五角形状の異径車輪10である。路面切削機1は運転席3を備え、運転席3の前に操舵ハンドル4が設けられる。運転席3の下方には切削部5が設けられる。切削部5は、駆動ロータ(図示せず)に形成される回転刃であり、路面を切削する。
【0009】
異径車輪10は、車輪支持部材7と連結されており、車輪支持部材7の上部は、油圧シリンダ8のロッド端に連結される。車輪支持部材7の下部には、異径車輪10が連結されている。異径車輪10は、切削部5に隣接して配置される。
【0010】
異径車輪10は、側面視で略五角形状であり、五つの頂点部10Aと、五つの頂点部10Aを直線的に結ぶ五つの辺部10Bと、を有する。異径車輪10は車軸11に支持される。異径車輪10の高さは油圧シリンダ8のロッドを伸縮させて調整できる。異径車輪10の形態は側面視で略五角形状に限定されず、多角形状であればよい。
【0011】
路面切削機1は自走させると、頂点部10Aと辺部10Bが交互に路面に接地し、これにより、路面切削機1は上下動する。異径車輪10の頂点部10Aが接地すると、路面を切削する切削部5は路面から離れ、辺部10Bが接地すると、路面を切削する切削部5は路面に食い込み、これらの動作が繰り返され、道路の中央や路肩の路面上にランブルストリップス(波条の凹凸)が施工される。
【0012】
[異径車輪用アタッチメントの構成]
図2は、図1に示す路面切削機1の異径車輪10に、異径車輪用アタッチメント20を取付けた状態を示す側面図である。図3は、異径車輪10と異径車輪用アタッチメント20との分解斜視図である。図4は、異径車輪10の側面断面図である。図4では、異径車輪10の輪郭を仮想線で示している。
路面切削機1は、施工区間以外では、異径車輪10に異径車輪用アタッチメント20を取り付けて走行させる。
異径車輪10は、図3に示すように、車軸11の車軸端に、軸線方向に延びるねじ棒(締結部)12を備える。ねじ棒12は、プレート13に一体形成され、プレート13はボルト14により異径車輪10の側面に固定されている。
【0013】
異径車輪用アタッチメント20は、アタッチメント本体21を備える。アタッチメント本体21は、図4に示すように、金属製の環状体30と、環状体30の外周部に接着されたゴム部材33とを備える。アタッチメント本体21の外径は、前輪及び一つの後輪を含む上述した車輪6の外径と等しい。
環状体30は、異径車輪10側が開口する円筒状に形成され、環状体30の異径車輪10と反対側の側面には、外側端板22が溶接される。外側端板22は、中心に車軸孔23が形成されている。車軸孔23には、ねじ棒12が挿通される。車軸孔23の径は、ねじ棒12の径よりも大きな径で形成される。
【0014】
環状体30の内周部には、図4に示すように、異径車輪10の外形状にあわせた空洞OQを形成する内接体32を備える。内接体32の空洞OQは、異径車輪10の外形状よりも若干広く形成され、異径車輪10は、空洞OQ内で揺動自在である。内接体32は、5枚の板状部材29と、環状体30の内周部の一部(内接部31)とにより形成される。なお、異径車輪10が多角形状の場合、辺の数に対応した板状部材29が必要となる。内接部31は内周部のうち、異径車輪10の頂点部10Aが位置する部分である。5枚の板状部材29は、環状体30の内周部に等しい間隔をあけて溶接される。板状部材29は、環状体30の高さ方向全体に亘って設けられる。
【0015】
異径車輪用アタッチメント20を異径車輪10に取付ける場合、図3に示すように、異径車輪10側のねじ棒12に、第1ワッシャ25Aを嵌め、異径車輪10に異径車輪用アタッチメント20を嵌め、外側端板22から突出したねじ棒12に、第2ワッシャ25Bを嵌め、ねじ棒12に固定部材26の雌ねじ部27を螺合させて、異径車輪10に異径車輪用アタッチメント20を取り付ける。固定部材26は、一対の棒部28を備える。棒部28は長く形成され、貫通孔24に差し込んだ工具(図示せず)で棒部28をこじれば、固定部材26を強く締結できる。また、棒部28をハンマー等で打撃することで、固定部材26を締結してもよい。
外側端板22に6つの貫通孔24が形成されているため、異径車輪用アタッチメント20を軽量化できる。
【0016】
[異径車輪用アタッチメントの作用]
図2に示すように、異径車輪用アタッチメント20が取り付けられた状態の路面切削機1が自走すると、アタッチメント本体21の外径が、上述の車輪6の外径と等しく形成されているため、振動が少なく、円滑な自走が確保される。
この場合、アタッチメント本体21に対しては、異径車輪10を介して、路面切削機1からの負荷がかかる。
【0017】
路面切削機1の自走時に、図3に示すように、異径車輪10の辺部10Bが真下に移動した場合、該辺部10Bが真下の板状部材29に載り、異径車輪10からの負荷は、板状部材29と、板状部材29の両側の内接部31と、の三点に分散して掛かり、路面切削機1からの負荷が吸収される。
頂点部10Aが真下に移動すると、図示は省略したが、異径車輪10からの負荷は、内接部31と、内接部31に隣接する2つの板状部材29との三点に分散して掛かり、路面切削機1からの負荷が吸収される。
【0018】
このとき、内接体32の空洞OQは、異径車輪10の形状に対し余裕をもたせてやや広く形成されるため、アタッチメント本体21は、異径車輪10に対して上下左右に揺動する。よって、異径車輪10の少なくとも上部は内接体32に当接しない。この構成によれば、アタッチメント本体21に過剰な負荷がかかるのを抑制し、車体2にかかる振動を抑制し、路面切削機1を自走できる。
【0019】
アタッチメント本体21の車軸孔23の径が、異径車輪10側のねじ棒12の径よりも所定寸法だけ大きく形成され、かつ、内接体32の空洞OQは、異径車輪10の寸法形状よりも若干大きく形成されているため、これらの寸法の差の分だけ、アタッチメント本体21は異径車輪10に対して揺動できる。
さらに、車軸孔23の内周面とねじ棒12の外周面とのすき間が、内接体30の内周面と異径車輪10の外周面とのすき間より大きいため、ねじ棒12及び車軸11への負荷を抑制できる。
【0020】
このため、異径車輪10の回転に合わせてアタッチメント本体21は回転するが、異径車輪用アタッチメント20を取り付けていない場合に比べて、異径車輪10にかかる大きな負荷が、アタッチメント本体21にかかり難くなり、アタッチメント本体21にかかる負荷を軽減できる。
【0021】
さらに、アタッチメント本体21の環状体30には、車軸11の周方向全体に亘ってゴム部材33が張り付けられている。これにより、路面切削機1が自走するとき、アタッチメント本体21が路面から受ける負荷を軽減でき、車体2にかかる振動を抑制して路面切削機1を自走させることができる。
【0022】
[異径車輪用アタッチメントの効果]
以上説明したように、本実施の形態における異径車輪用アタッチメント20は、ランブルストリップスを施工する際に用いられる路面切削機1が有する異径車輪10に取付けられる異径車輪用アタッチメント20であって、円筒状のアタッチメント本体21と、アタッチメント本体21に内接して固定され、異径車輪10の寸法形状にあわせた空洞OQを有する内接体32と、を備え、内接体32は、異径車輪10に外嵌され、アタッチメント本体21は、異径車輪10のねじ棒(締結部)12に連結可能に形成される。
この構成によれば、異径車輪10の寸法形状に沿った内接体32が異径車輪10に嵌められ、アタッチメント本体21が路面と設置する。よって、異径車輪10による路面切削機1に大きな振動を生じさせることなく、路面切削機1を移動できる。
【0023】
また、アタッチメント本体21は、異径車輪10のねじ棒12に、異径車輪10と一体に回転可能に連結される。
この構成によれば、アタッチメント本体21が異径車輪10との車軸が重複し、一体に回転できるため、路面切削機1に大きな振動を生じさせることなく、路面切削機1を移動できる。
【0024】
また、アタッチメント本体21は、外側端板22を備え、外側端板22、第1ワッシャ25A及び第2ワッシャ25Bを介して、ねじ棒12に、異径車輪10と一体に回転可能に連結される。
この構成によれば、アタッチメント本体21の異径車輪10からの着脱が容易である。
【0025】
また、外側端板22は、ねじ棒12が挿通される車軸孔23が形成され、車軸孔23の径は、ねじ棒12の径よりも所定寸法だけ大きく形成され、所定寸法の間で、アタッチメント本体21はねじ棒12に対して揺動可能に支持される。
この構成によれば、アタッチメント本体21がねじ棒12、すなわち異径車輪10の車軸11に対して所定寸法の分だけ揺動可能なため、アタッチメント本体21にかかる負荷を軽減できる。
【0026】
また、内接体32は、異径車輪10の辺部10Bの数に対応した板状部材29を有する。
この構成によれば、異径車輪10の辺部10Bを板状部材29により支えることができるため、路面切削機1の安定度が向上する。
【0027】
また、本実施の形態によれば、内接体32は、5枚の板状部材29と、環状体30の内周部の一部(内接部31)とにより形成される。
内接部31は、環状体30の内周部の一部であり、内接体32は、実質、5枚の板状部材29だけで構成することとなり、アタッチメント本体21の重量が軽くなり、アタッチメント本体21の着脱が容易になる。
また、4つの車輪6を備える従来の路面切削機と比較しても、それと同様に、路面切削機1を円滑に移動できる。
【符号の説明】
【0028】
1 路面切削機
2 車体
5 切削部
6 車輪
10 異径車輪
10A 頂点部
10B 辺部
11 車軸
12 ねじ棒(締結部)
20 異径車輪用アタッチメント
21 アタッチメント本体
22 外側端板
23 車軸孔
24 貫通孔
25A 第1ワッシャ(ワッシャ)
25B 第2ワッシャ(ワッシャ)
26 固定部材
29 板状部材
30 環状体
31 内接部
32 内接体
33 ゴム部材
OQ 空洞
【要約】
【課題】路面切削機に大きな振動を生じさせることなく、同路面切削機を移動できる、異径車輪用アタッチメントを提供する。
【解決手段】異径車輪用アタッチメント20は、ランブルストリップスを施工する際に用いられる路面切削機1が有する異径車輪10に取付けられる異径車輪用アタッチメント20であって、円筒状のアタッチメント本体21と、アタッチメント本体21に内接して固定され、異径車輪10の寸法形状にあわせた空洞OQを有する内接体32と、を備え、内接体32は、異径車輪10に外嵌され、アタッチメント本体21は、異径車輪10のねじ棒(車軸端)12に連結可能に形成される。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4