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特許7622209変換機械のための較正システム及び較正方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】変換機械のための較正システム及び較正方法
(51)【国際特許分類】
   B26D 5/00 20060101AFI20250120BHJP
   B65H 9/00 20060101ALI20250120BHJP
   B26D 7/22 20060101ALI20250120BHJP
   B26D 5/34 20060101ALI20250120BHJP
   B26F 1/38 20060101ALI20250120BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20250120BHJP
【FI】
B26D5/00 H
B65H9/00
B26D7/22 B
B26D5/34 A
B26F1/38 A
B26D7/06 C
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023521542
(86)(22)【出願日】2021-10-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 EP2021077610
(87)【国際公開番号】W WO2022074071
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-06-05
(31)【優先権主張番号】20315427.3
(32)【優先日】2020-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】522462649
【氏名又は名称】ボブスト リヨン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】アモロス ロベール
(72)【発明者】
【氏名】シャルパン ステファーヌ
【審査官】飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-077589(JP,A)
【文献】特開2015-066665(JP,A)
【文献】特開2017-080840(JP,A)
【文献】特開2012-116597(JP,A)
【文献】特開2012-158174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 5/00
B65H 9/00
B26D 7/22
B26D 5/34
B26F 1/38
B26D 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転式打抜ツール(18’)と、各々が、変換機械(20)を通る運搬方向(D)における進行経路(P)に沿ってシート(1)を搬送するように構成された少なくとも1つの移送ユニット(25)に作動的に接続される、複数の個々に制御可能な移送ドライブ(24)と、を備える変換機械(20)であって、
前記変換機械(20)は、較正システム(30)を更に備え、
前記較正システム(30)は、
前記変換機械(20)を通過するシート上のしるし(42)の実際の画像(Im1)を捕捉するように構成された画像センサ(33)と、
前記シート(1)の前方前縁(6)の位置を検出するように構成された給送センサ(32’)と、
横座標(y0)及び縦座標(x0)を備える前記しるし(42)内の予め決められた基準点(P0)の最適位置を格納するように構成されたメモリ(36)と、
データを前記画像センサ(33)から受信して前記しるし(42)内の検出基準点(P1)の横座標(y1)及び縦座標(x1)を決定し、かつ前記予め決められた基準点(P0)の前記位置に対する前記検出基準点(P1)の前記位置からの縦しるし変位(Δxi)及び横しるし変位(Δyi)を備える偏差を計算し、前記前方前縁(6)の測定された位置を最適見当位置と比較することによって給送見当変位(Δxr 0 )を計算し且つ前記縦しるし変位(Δxi)と前記給送見当変位(Δxr 0 )との和である初期合計縦変位(Δx 0 を計算するように構成された制御ユニット(34)と、
を備え、
前記制御ユニット(34)は、前記縦しるし変位(Δxi)及び前記横しるし変位(Δyi)のうちの少なくとも一方が予め決められた公差閾値(Txi、Tyi)を超えるときに、前記メモリ(36)に格納された補正プログラムを実行するように更に構成される、
ことを特徴とする変換機械(20)。
【請求項2】
前記制御ユニット(34)は、横しるし変位(Δyi)が横公差閾値(Tyi)を超える場合にエラー信号を出すように構成される、
請求項1に記載の変換機械。
【請求項3】
前記エラー信号は、前記横しるし変位(Δyi)が前記横公差閾値(Tyi)を超える場合に前記シート(1)を放出するために放出機モジュール(27)を起動するように構成される、
請求項2に記載の変換機械。
【請求項4】
給送機モジュール(23)の作動が、前記横公差閾値(Tyi)を超える横しるし変位(Δyi)を有する少なくとも1つのシート(1)の検出時に一時停止される、
請求項2又は3に記載の変換機械。
【請求項5】
前記較正システム(30)は、前記運搬方向(D)における前記進行経路(P)に沿って配置されて見当変位(Δxr)を検出するように構成された複数(n)の移送センサ(32)を更に備える、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の変換機械。
【請求項6】
前記移送ドライブ(24)の前記作動は、前記初期合計縦変位(Δx0)が前記縦公差閾値(Txi)を超える場合に修正され、
前記シート(1)の縦位置は、前記移送ユニット(25)の速度を修正することによって補正される、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の変換機械。
【請求項7】
前記制御ユニット(34)は、前記初期合計縦変位(Δx0)が最大縦補正限界(Tx_max)よりも低い場合に前記移送ドライブ(24)の前記作動を修正のみするように構成される、
請求項に記載の変換機械。
【請求項8】
前記補正プログラムは、前記初期合計縦変位(Δx0)が前記最大縦補正限界(Tx_max)よりも高い場合に給送機モジュール(23)を一時停止し、かつ前記回転式打抜ツール(18’)の角度位置(α)が修正されたときに前記給送機モジュール(23)を再起動のみするように構成される、
請求項に記載の変換機械。
【請求項9】
移送ユニット(25)のハウジングが、捕捉された前記画像(Im 1 )に対して物理的かつ固定的な基準となる、変換機械(20)の運搬方向(D)に延びる線状の基準マーク(35)を備え、
前記基準マーク(35)は、前記画像センサ(33)によって視覚的に検出可能である、
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の変換機械。
【請求項10】
前記制御ユニット(34)は、前記初期合計縦変位(Δx 0 )に対応する初期補正(Δc0)を計算するように構成され、
前記制御ユニットは、前記初期補正(Δc0)が前記複数の移送ユニット(25)にわたって均等に分配されるように、複数の分数補正(Δcf)を計算するように更に構成される、
請求項に記載の変換機械。
【請求項11】
前記較正システム(30)は、前記運搬方向(D)における前記進行経路(P)に沿って配置されて見当変位(Δxr)を検出するように構成された複数の移送センサ(32)を備え、
移送センサ(32)によって検出された各見当変位(Δxr)は、それぞれのその後の分数補正(Δcf)に追加される、
請求項10に記載の変換機械(20)。
【請求項12】
前記メモリ(36)は、第1の作動モード及び第2の作動モードでの前記制御ユニット(34)に対する命令を備え、
前記第1の作動モードでの前記制御ユニット(34)は、前記画像センサ(33)を無効にして各移送センサ(32)によって検出された各見当変位(△xr)の補正を提供のみするように構成され、各それぞれの補正は、前記移送センサと最も近くの下流に位置付けられた印刷ユニットとの間に位置付けられた各それぞれの最も近くの下流に位置付けられた移送(25)にのみ達成され、
前記第2の作動モードでの前記制御ユニットは、前記画像センサ(33)を起動して複数の分配分数補正(Δcf)を提供するように構成される、
請求項11に記載の変換機械(20)。
【請求項13】
前記メモリ(36)は、一時的メモリを備えるとともに、変換機械(20)に存在する複数のシート(1)に対する複数のデータ位置を備え、
各データ位置は、前記シート(1)の場所における前記検出基準点(P 1 )の前記横座標(y1)及び前記縦座標(x1)である位置情報及び前記運搬方向(D)に関する前記分数補正(Δcf)を含有する、
請求項12に記載の変換機械(20)。
【請求項14】
変換機械(20)を較正する方法であって、
A)前記変換機械(20)を通る運搬方向(D)に沿ってシート(1)を搬送する段階と、
B)前記シート(1)上のしるし(42)の実際の画像(Im1)を捕捉し、シート(1)の前方前縁(6)の位置を検出する段階と、
C)前記しるし(42)内の検出基準点(P1)の横座標(y1)及び縦座標(x1)を決定する段階と、
D)予め決められた基準点(P0)の最適位置の横座標(y0)及び縦座標(x0)をメモリ(36)から読み出す段階と、
E)前記予め決められた基準点(P0)の前記最適位置に対する前記検出基準点(P1)の前記位置からの、縦しるし変位(Δxi)及び横しるし変位(Δyi)を備える偏差を計算し、前記前方前縁(6)の前記測定された位置を最適見当位置と比較することによって給送見当変位(Δxr 0 )を計算し且つ前記縦しるし変位(Δxi)と前記給送見当変位(Δxr 0 )との和である初期合計縦変位(Δx 0 )を計算する段階と、
F)前記縦しるし変位(Δxi)及び前記横しるし変位(Δyi)のうちの少なくとも一方が予め決められた公差閾値(Txi、Tyi)を超えるときに補正プログラムを開始する段階と、を備える、
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
各々が、前記変換機械(20)を通る前記運搬方向(D)における進行経路(P)に沿って前記シート(1)を搬送するように構成された少なくとも1つの移送ユニット(25)に作動的に接続される、複数の個々に制御可能な移送ドライブ(24)の作動は、前記初期合計縦変位(Δx0)が縦公差閾値(Txi)を超える場合に修正され、
前記シート(1)の位置は、前記移送ドライブ(24)の速度を修正することによって補正される、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第1の作動モードと第2の作動モード間で作動のモードを選択する段階が、前記段階A)の前に実行され、
前記第1の作動モードでの方法が、段階B)からF)を除外し、
前記方法は、その代わりに
前記シートを印刷する段階と、
複数の移送センサ(32)によって見当変位(△xr)を検出する段階と、
各それぞれの移送センサ(32)と各最も近くの下流に位置付けられた印刷ユニット(22aから22d)との間の各見当変位(△xr)を補正する段階、と、を備え、
前記第2の作動モードでの方法は、請求項15に定められた全ての段階A)からF)のみを含む、
請求項14又は15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み箱又はフラットパック箱の生成に適する変換機械に関する。特に、本発明は、変換機械のための較正システム及び変換機械内側の印刷画像を位置合わせする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
折り畳み箱又はフラットパック箱は、打抜機を備える変換機械内で生成することができる。これらのタイプの機械は、段ボール又は板紙のシート基板を印刷し、折り目付けし、かつ切断する。シート基板は、シート給送型機械に対して、最初に変換機械の給送機モジュールの中に入れられ、次いで、異なる加工ステーションで一連の作動を受ける。一部のタイプの変換機械には、シートを切断するための刃先が設けられた回転式打抜機が装備される。
【0003】
しかし、変換機械内でシート基板を印刷する代わりに、場合によって、事前印刷された画像を有するシートを変換機械の給送機モジュールに提供することができる。
【0004】
画像が打抜機に対して正しくかつ一定の位置に到着するように各シートを給送する必要性がある。位置のばらつきは、折り目線及び切断線が印刷画像に対して一貫した距離に置かれず、最終的な箱は同じ位置に画像を持たないことになるという結果をもたらす。
【0005】
従来技術の変換機械では、制御されるのは、印刷パターンの位置ではなくシートの位置である。そのような制御は、見当制御と称される。見当は、変換機械内のシートの位置合わせであり、かつ異なる加工ステーション内の回転ツールの角度位置に関連する。見当制御システムは、光検出器を備え、かつシートの前方前縁を基準として使用する。このタイプのシステムは、多くの場合に、変換機械自体が印刷作動を達成しているときに画像に対する切断部の許容可能な精度を提供する。
【0006】
事前印刷シートが給送される変換機械に対して、シート上の印刷パターンの場所は、印刷見当検出が見当制御システムによって決定されていないので変換機械に対して不明である。これは、多くの場合に、印刷が完成箱上の一貫した位置に置かれないことをもたらす。
【0007】
見当は、印刷シリンダ及び回転ダイのような回転ツールの角度位置を調節することのような異なる加工ステーションを互いに調節することによって設定することができる。欧州特許出願公開第0615941号明細書は、そのような配置の例を開示している。
【0008】
英国特許出願公開第2491080号明細書は、画像が基準マークから取られ、かつツールが基板上で作動する場所を制御するように補正が加工ツール上で直接に達成される較正デバイスを開示している。
【0009】
米国特許出願公開第2012/0194791号明細書に説明されているような他のタイプの変換機械に対して、連続ウェブ基板が変換機械に供給される。米国特許出願公開第2012/0194791号明細書に説明されているように、ウェブの位置の代わりに回転ツールの時限角度位置を調節することが一般的である。
【0010】
欧州特許出願公開第3332927号明細書は、シートの向きを決定するために基準マークが交差点上に位置決めされたかを検出するようになったデバイスを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】欧州特許出願公開第0615941号明細書
【文献】英国特許出願公開第2491080号明細書
【文献】米国特許出願公開第2012/0194791号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3332927号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記に言及した問題に鑑みて、本発明の目的は、印刷画像が全ての箱上の実質的に同じ位置に置かれることを保証することである。本発明の目的は、請求項1に記載の変換機械及び請求項15に記載の方法によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の形態により、回転式打抜ツールと、複数の個々に制御可能な移送ドライブと、を備える変換機械を提供し、各移送ドライブは、変換機械を通る運搬方向において進行経路に沿ってシートを搬送するように構成された少なくとも1つの移送ユニットに作動的に接続され、変換機械は、更に、変換機械を通過するシート上のしるしの実際の画像を捕捉するように構成された画像センサと、横座標と縦座標とを備えるしるし内の予め決められた基準点の最適位置を格納するように構成されたメモリと、データを画像センサから受信してしるし内の検出基準点の横座標及び縦座標を決定し、かつ予め決められた基準点の位置に対する検出基準点の位置からの縦しるし変位及び横しるし変位を備える偏差を計算するように構成された制御ユニットと、を備える較正システムを更に備え、制御ユニットは、縦しるし変位及び横しるし変位のうちの少なくとも一方が予め決められた公差閾値を超えるときに、メモリに格納された補正プログラムを実行するように更に構成される。
【0014】
変換機械の進行経路は、給送機モジュールから回転式打抜ツールまでの方向に延びる。縦画像変位は、シートの搬送の方向にある。
【0015】
検出基準点の位置は、しるし内の予め決められた基準点と同じ位置に対応する場合がある。検出基準点及び予め決められた基準点の両方は、シート上の印刷画像に対して同じ空間縦及び横座標を有する。しかし、検出された及び予め決められた基準点は、変換機械及び予め定められた座標系に対して同じ位置にないことになる。予め定められた座標系は、画像センサによって定めることができる。
【0016】
公差閾値は、距離とすることができ、かつミリメートルで定められる場合がある。実施形態では、縦公差閾値は、「0」に設定することができる。そのようにして、補正プログラムは、縦しるし変位が許容可能ではないので最高レベルの補正に設定される。
【0017】
しるし内の予め決められた基準点は、しるしの2次元形状の理論的重心点とすることができる。理論的重心は、すなわち、2次元しるし内の中心に位置付けられた点とすることができる。
【0018】
画像センサは、画像センサから分離した又はその中に一体化された、好ましくは画像センサの上流に位置付けられた光検出器による前方前縁の検出によって起動することができる。これに代えて、画像センサを起動するトリガ信号を制御ユニットによって提供することができる。例えば、制御ユニットは、シート位置を給送機モジュールから読み出すことによって起動の時間を決定することができ、又は給送機モジュール及び/又は移送ユニットからの作動パラメータに基づいて起動の時間を計算することができる。
【0019】
画像センサは、しるしによって反射された光強度を測定するように構成された光センサとすることができる。
【0020】
一実施形態では、制御ユニットは、横しるし変位が横公差閾値を超える場合にエラー信号を出すように構成される。エラー信号は、横しるし変位が横公差閾値を超える場合に放出機モジュールを起動してシートを放出するように構成される場合がある。
【0021】
一実施形態では、給送機モジュールの作動は、横公差閾値を超える横しるし変位を有する少なくとも1つのシートの検出時に一時停止される。
【0022】
一実施形態では、較正システムは、シートの前方前縁の位置を検出するように構成された給送センサを更に備え、制御ユニットは、前方前縁の測定位置を最適見当位置と比較することによって給送見当変位を計算するように更に構成される。
【0023】
制御ユニットは、前方前縁の測定位置を最適見当位置と比較することによって給送見当変位を計算するように構成される場合があり、制御ユニットは、縦しるし変位と給送見当変位との和に対応する初期合計縦変位を計算するように更に構成される。
【0024】
一実施形態では、較正システムは、運搬方向における進行経路に沿って配置されて見当変位を検出するように構成された複数の移送センサを備える。
【0025】
制御ユニットは、移送センサによって検出された追加の見当変位を追加することによって各移送センサでの合計縦変位を再計算するように構成される場合がある。
【0026】
一実施形態では、移送ドライブの作動は、初期合計縦変位が縦公差閾値を超える場合に修正され、シートの縦位置は、移送ドライブの速度を修正することによって補正される。
【0027】
各移送ドライブは、変換機械の第1の移送ユニット及び第2の移送ユニットに作動的に接続され、かつその作動を調和的に制御するように構成することができる。較正システムは、運搬方向における第2の移送ユニットに位置付けられる場合がある移送センサを更に備えるのがよい。そのようにして、第2の移送ユニットの速度の変化は、フレキソ印刷ユニットである場合がある最も近くの下流に位置付けられたモジュールにシートが到着する前にシートの位置を変化させる。
【0028】
一実施形態では、制御ユニットは、初期合計縦変位が最大縦補正限界よりも低い場合に移送ドライブの作動を修正のみするように構成される。
【0029】
一実施形態では、補正プログラムは、初期合計縦変位が最大縦修正限界よりも高い場合に給送機モジュールを一時停止するようにかつ回転式打抜ツールの角度位置が修正されたときに給送機モジュールを再起動のみするように構成される。
【0030】
一実施形態では、移送ユニットのハウジングは、好ましくは線として提供されて変換機械の運搬方向に延びる基準マークを備え、基準マークは、画像センサによって視覚的に検出可能である。一実施形態では、基準マークは、第1の移送ユニット内とすることができる。
【0031】
一実施形態では、制御ユニットは、縦しるし変位と給送見当変位との和である初期補正を計算するように構成され、制御ユニットは、初期補正が複数の移送ユニットにわたって均等に分配されるように複数の分数補正を計算するように更に構成される。
【0032】
較正システムは、好ましくは、複数の移送ユニットに作動的に接続された複数の個々に制御可能な移送ドライブに接続される。
【0033】
一実施形態では、較正システムは、運搬方向における進行経路に沿って配置されて見当変位を検出するように構成された複数の移送センサを備え、移送センサによって検出された各見当変位は、各その後の分数補正に追加される。
【0034】
一実施形態では、メモリは、第1の作動モード及び第2の作動モードでの制御ユニットに対する命令を備え、第1の作動モードでの制御ユニットは、画像センサを無効にして各移送センサによって検出された各見当変位の補正を提供のみするように構成され、各それぞれの補正は、移送センサと最も近くの下流に位置付けられた印刷ユニットとの間に位置付けられた各それぞれの最も近くの下流に位置付けられた移送にのみ達成され、第2の作動モードでの制御ユニットは、画像センサを起動して複数の分配分数補正を提供するように構成される。
【0035】
作動モードの選択は、ユーザインタフェース上で入力されるのがよい。第1の作動モードで実行される分数補正はない。第1の作動モードでの制御ユニットは、見当変位検出と最も近くの下流に位置付けられた印刷ユニットとの間に即時補正を提供するように構成される。
【0036】
一実施形態では、メモリは、一時的メモリを備え、かつ変換機械に存在する複数のシートに対する複数のデータ位置を備え、各データ位置は、シートの場所に関する位置情報と縦方向に必要な分数補正とを含有する。
【0037】
本発明の第2の形態により、変換機械(20)を較正する方法を提供し、本方法は、以下の段階を備える:
A)変換機械を通る運搬方向に沿ってシートを搬送する段階、
B)上記シート上のしるしの実際の画像を捕捉する段階、
C)しるし内の検出基準点の横座標及び縦座標を決定する段階、
D)予め決められた基準点の最適位置の横座標及び縦座標をメモリから読み出す段階、
E)予め決められた基準点の最適位置に対する検出基準点の位置からの縦しるし変位及び横しるし変位を備える偏差を計算する段階、
F)縦しるし変位及び横しるし変位のうちの少なくとも一方が予め決められた公差閾値を超えるときに補正プログラムを開始する段階。
【0038】
一実施形態では、移送ドライブの作動は、初期合計縦変位が縦公差閾値を超える場合に修正され、シートの位置は、移送ドライブの速度を修正することによって補正される。
【0039】
一実施形態では、本方法は、段階A)の前に実行される第1の作動モードと第2の作動モード間で作動モードを選択する段階を更に備え、第1の作動モードでの本方法は、段階B)からF)を除外し、本方法は、代わりに以下の段階:
・シートを印刷する段階、
・複数の移送センサによって見当変位を検出する段階、及び
・各それぞれの移送センサと各最も近くの下流に位置付けられた印刷ユニットとの間の各見当変位を補正する段階、を備え、
第2の作動モードでの本方法は、直前の形態の本方法に定められるような全ての段階A)からF)のみを含む。
【0040】
従って、第1の作動モードでは、各見当変位は、印刷ユニット上流のある距離に位置付けられたそれぞれの移送センサを用いて検出され、移送センサと印刷ユニット間に位置付けられた移送ユニットは、その搬送速度の加速又は減速によってシートの位置を変えている。画像センサは、好ましくは、第1のモードでは無効化される。
【0041】
更に別の利点及び特徴は、本発明の例示的実施形態の以下の説明から及び類似の特徴が同じ参照番号を用いて示される添付図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1a】段ボール基板の平面図である。
図1b】段ボール基板の平面図である。
図1c】箱の概略斜視図である。
図1d】箱の概略斜視図である。
図2】本発明による回転式打抜機の概略断面図である。
図3】本発明による較正システムの概略図である。
図4】例示的回転式打抜機配置の概略斜視図である。
図5】本発明による移送ユニットの例示的な図である。
図6】本発明の較正システムによって捕捉された変位の概略図である。
図7a】本発明の較正システムの画像捕捉の概略図である。
図7b】本発明の較正システムの画像捕捉の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1aは、段ボール又は板紙で生成され、図1dに示す箱のような箱1’’を生成するのに使用されるシート1を示す図である。図1aに示すように、シート1は、前縁6と、後縁8と、第1の側縁2と、第2の側縁4と、を有する。シート1は、印刷されたパターン又は画像12を更に備える。
【0044】
箱1’は、箱1’’が3次元形状に組み立てられて内容物を提供される前に、典型的には、図1bに示すフラットパック箱1’又は図1cに示す折り畳み箱1’のような中間ブランク1’として提供される。フラットパック箱1’は、切断及び折り目付けされたシート1であり、シート1は、単層として提供される。折り畳み箱1は、変換機械内で更に折り畳まれて糊付けされた平坦な箱である。
【0045】
シート1は、フラットパック箱1’又は折り畳み箱1’を生成するために、シート1が中間ブランク1を形成するために切断及び折り目付けされる変換機械内の一連の加工作動を受ける。
【0046】
図1bは、本発明による変換機械20から得ることができる中間ブランク1’の例を示している。中間ブランク1’には、典型的に、第1の群の折り目付け線13と、第1の群の折り目付け線13に対して横断方向の第2の群の折り目付け線14と、が設けられる。これらの折り目線13,14はまた、「折り畳み線」と称することができ、シート1を3次元箱1’’に折り畳むことを可能にする。中間ブランク1’には、箱1’’のフラップを形成する切断部11も設けられる。
【0047】
ここで本発明によるかつ図1bの中間ブランク1’を生成するように構成された変換機械20を示す図2を参照する。図に見られるように、変換機械20は、給送機モジュール23、1又は複数のフレキソ印刷ユニット22a、22b、22c、22dを備えるフレキソ印刷モジュール22と、回転式打抜モジュール26の形態にある一連の加工ステーションと、を備える。変換機械20は、乾燥機モジュール又は放出機モジュールのような任意的なモジュール27を更に備えることができる。
【0048】
図4に示すように、回転式打抜モジュール26は、打抜シリンダ18と、その間のクリアランスにシート1を受け入れるようになったアンビル19と、を備える。回転式打抜モジュール26は、シート1を切断し、任意的に折り目付けするように構成される。
【0049】
変換機械20は、変換機械20の全体的な作動を制御するように構成された主制御ユニット(ECU)21と、作動データを表示し、オペレータ入力を受信するように構成されたオペレータインタフェース又はディスプレイ29と、を更に備える。
【0050】
給送機モジュール23は、段ボールシート1のスタックを受け入れ、かつそれらを回転式打抜モジュール26に向けて運搬方向Dに延びる進行経路Pに沿って1つずつ給送するように構成される。シート1は、ブランク(すなわち、印刷なし)とすることができ、又は事前印刷されたパターン12が設けられる場合がある。
【0051】
フレキソ印刷モジュール22は、給送機モジュール23の後に置かれ、少なくとも1つのフレキソ印刷ユニット22aを備える。典型的には、複数のフレキソ印刷ユニット22a、22b、22c、22dは、異なる色のインクによる印刷工程を可能にするために提供される。
【0052】
シート1は、最終の箱1’の内側の格納に関して計画された内容物に関連する事前印刷された画像12、例えば、装飾品、パターン、銘柄、又は企業名を備える。フレキソ印刷モジュール22は、シート1を印刷するためにデフォルトの位置に構成することができる。しかし、シート1が給送機モジュール23に置かれたときに既に事前印刷されていた場合に、変換機械20内のフレキソ印刷ユニット22a、22b、22c、22dは、印刷シリンダがアイドル状態であり、シート1と接触しないように無効化することができる。これは、例えば、印刷ロール及びカウンターシリンダを非活性化して離間させることによって行うことができる。そのようにして、シート1は、印刷シリンダに接触せずに通過することができる。
【0053】
変換機械20が画像12の印刷とシート1の切断の両方を行う場合に、典型的にエラーがより少ない。これは、変換機械20の制御システムが印刷作動及び切断作動を検出して位置合わせすることができることに起因する。印刷作動と裁断作動の位置合わせ及び関連する設定もオペレータによって修正することができる。その結果、その場合に、同じ機械内のフレキソ印刷モジュール22によって生成された印刷画像に対して回転式切断ツールを調節し、及び印刷画像12の位置が回転式切断ツールに対して位置決めされることが保証することがより容易である場合がある。
【0054】
給送機モジュール23に導入されるシート1の寸法にはばらつきがあり、シート縁部2、4、6、8は、互いに対して必ずしも直角ではない。これらのばらつきは、段ボールシート1又は板紙シート1を切断する工程に起因する。しわ寄せ機械内で段ボールシート1を生成する標準的な工程では、外部事前印刷層は、段ボールの一部を形成するために外側層として接合する。次いで、連続ウェブは、しわ寄せ機械内で別々のシート1に切断される。その結果、切断縁部から印刷画像までの距離に偏差があり、最初のシート1上の画像12は、次のシート1上と必ずしも同じ位置に位置付けられない。多くの場合に、しわ寄せ機械内で得られたシート1は、4mmまで又はそれよりも大きい長さ方向偏差を有する。
【0055】
従来技術の変換機械では、回転式打抜ツールがシートに衝突する必要がある位置は、シートの前方前縁の位置によって定められ、変換機械の移送ドライブによって(必要に応じて)補正される。これが、見当を補正する典型的な方法である。見当は、変換機械内のシートの位置合わせであり、変換機械の異なる加工ステーションのツール(例えば、回転式打抜ツール)の角度位置に関連する。
【0056】
見当は、回転式ツール(印刷シリンダ、回転式打抜シリンダのような)の角度位置を調節するような異なる加工ステーションを互いに対して調節することによって設定することができる。見当は、「正しい/見当通り」とすることができ、又は異なる作動の不整合を意味する見当変位エラーがある可能性がある。
【0057】
回転式打抜モジュールを有する変換機械は、高速で作動し、時には約15枚のシートが変換機械の内側で同時に移動中である。比較では、これに対してプラテンプレス打抜機は、内側に一度に1枚が移動中であるに過ぎない。その結果、回転式打抜変換機械の内側のシートの速度及び数は、各個々のシートに対して見当変位を補正することを困難にする。
【0058】
図2及び図3に示すように、本発明の変換機械20は、較正システム30を備える。較正システム30は、各シート1上の印刷画像12の位置を検出し、各シート1上の画像12が回転式打抜ツール18’に対して一定の位置に到達するように、変換機械20が各シート1の位置を補正することを可能にするように構成される。従って、本発明の較正システム30は、変換機械20の給送機モジュール26内のシート1上に既に存在する事前印刷された画像12の位置を検出するように構成される。
【0059】
図3で最も良く見られるように、較正システム30は、光学感知配置31、較正制御ユニット又は制御ユニット34と、変換機械20の作動を修正する命令を有する少なくとも1つの補正プログラムを含有するメモリ36と、を備える。光学感知配置31は、見当検出システム31aと、画像検出システム31bと、を備える。
【0060】
図2及び図5で最も良く見られるように、変換機械20は、各々がローラ25’又はベルトのような駆動要素25’を備える移送ユニット25に作動的に接続される複数の個々に制御可能な移送ドライブ24を備える搬送システムを有する。駆動要素25’は、変換機械20を通る運搬方向Dにおける進行経路Pに沿ってシート1を前方に搬送する。真空吸引開口25’’は、ローラ25’の周りに位置付けられ、駆動ローラ25’に対してシートを確実に保持するように置かれる。
【0061】
移送ユニット25は、給送機モジュール23、フレキソ印刷ユニット22a、22b、22c、22d間のような異なる加工ステーション間で、かつ回転式打抜モジュール26まで制御方式でシート1を搬送する制御可能な搬送セグメントである。移送ユニット25は、駆動ローラ25’の速度を調節することにより、縦方向、すなわち、主運搬方向Dの変位エラーを補正することができる。
【0062】
一般的に変換機械は、寸法及び印刷画像12の点で様々なタイプの箱1’’を有する一連の加工バッチを生成するのに使用される。回転式打抜ツール18’は、新しい加工バッチに対して、箱の寸法及び構成が変わる場合に変更しなければならない。各別々の加工バッチに対して、画像又はパターン12に対する折り目線13、14及び切断線11の位置を定めるジョブ仕様が提供される。仕様には、理想的な直線シートの縁部2、4、6、8から定められる理論的な距離が含まれるが、典型的には実際のシート1の縁部に対しては定められない。従って、画像12がシート1の縁部2、4、6、8から一貫した距離に置かれない場合に、画像12は、完成したフラットパック箱1又は折り畳み箱1のいずれの上でも一貫した位置に置かれないことになる。
【0063】
ジョブ仕様を受信すると、オペレータは、最初に、18’打抜シリンダ18の回転式打抜ツールを変更することによって変換機械20を構成し、次いで、給送機モジュール23内のシート1の横位置を調節し、縦見当を設定する。
【0064】
図6図7a、及び図7bで最も良く見られるように、本発明の光学感知配置31は、シート1上のしるし42の横方向y及び縦方向xの変位を検出することにより、シート1上の画像12の横画像変位Δyi及び縦画像変位Δxiを決定するように構成される。横方向y及び縦方向xは、互いに垂直であり、縦方向xは、シート1の運搬方向Dと一致する。
【0065】
しるし42は、印刷画像12に対して予め定められた空間的なリンクを有する位置に設けられた基準マークである。換言すると、しるし42は、横方向y及び縦方向xに画像12から予め定められた距離に置かれる。従って、しるし42は、印刷画像12から予め決められた座標に置かれる。事前印刷されたシート1に対して、しるし42は、シート1上に設けられ、好ましくは、しるし42は、画像12と共にかつ同時に印刷される。それによってしるし42と画像12の間の一定の空間的相関が保証される。その結果、しるし42の決定された横Δyi及び縦しるし変位Δxiは、印刷画像12の横Δyi及び縦変位Δxiに等しい。
【0066】
しるし42は、好ましくは、シート1のマージンに及び画像12の装飾パターンの外側に置かれる。しるし42は、有利なことに、回転式打抜モジュール26によってデブリとして切り取ることができるように、シート1上の箱の周囲線の外側に配置することができる。しるし42は、好ましくは、シート1の前方前縁6の近くに置かれる。
【0067】
しるし42の合計縦変位Δxは、変換機械20を通るシート1の運搬方向Dと一致する。初めは、合計縦変位Δxは、給送機モジュール23内の初期給送見当変位Δxr0、及びシート1の前方前縁6に対するしるし42の縦しるし変位Δxiに依存する。しかし、同じシート1上の画像12の縦しるし変位Δxiは、一定である。しかし、上述のように、縦しるし変位Δxiは、異なるシート1間で変化する。
【0068】
給送機モジュール23内のしるし42の初期合計縦変位Δx0は、従って、次のように表すことができる。
Δx0=Δxi+Δxr0
【0069】
合計縦変位Δxは、次いで、シート1が経路Pに沿って運搬方向Dに搬送されるときに変化する。その結果、前方前縁6の位置が移送センサ32によって検出される度に、その後の合計縦変位Δxnは、各移送センサnで得ることができる。この検出エラーは、各移送センサ32で異なる。これは、以下の関係で表すことができる。
Δxn=Δx0+Δxrn
【0070】
従って、移送センサ32の番号nでの合計縦変位Δxnは、検出された見当変位Δxrn及び初期合計縦変位Δx0の和である。
【0071】
印刷画像12の横変位Δyは、事前印刷されたシート1の横側面2,4に対する印刷画像12のばらつきにほとんど固有のエラーである。
【0072】
横変位Δyはまた、適切に設定されていない変換機械20の側面ガイドから生じる可能性があるが、これは、典型的には、機械オペレータによって補正される。従って、横変位Δyは、ほとんど静的なエラーであり、必ずしも見当変位エラーに依存する動的エラーではない。印刷画像12の横変位Δyがシート1上の印刷画像12の変位によってのみ引き起こされるときに、以下の関係が適用される。
Δy=Δyi
【0073】
図2及び図3に見られるように、光学感知配置31は、見当検出システム31aと、画像検出システム31bと、を備える。画像検出システム31bは、変換機械20を通過するシート1上のしるし42の実際の画像Im1を捕捉するように構成された画像検出センサ33(本明細書では画像センサとも称する)を備える。見当検出システム31aは、給送センサ32’、及び一連の下流に位置付けられた移送センサ32を備える。
【0074】
センサ32’、32、33からの情報は、しるし42の合計縦変位Δx及び横変位Δyを連続的に決定するために統合される。従って、本発明の光学感知配置31は、シート1上の印刷画像12の印刷不整合も変換機械20内側のシート1の見当変位も検出するように構成される。これらの光学検出システム31a,31bの統合により、しるし42の位置は、シート1が変換機械20内の異なる加工ステーションを通過するときに連続的に決定することができる。
【0075】
画像検出センサ33は、カメラセンサ33のような光センサ33とすることができる。画像検出センサ33は、しるし42の実際の画像Im1を捕捉するように構成される。画像検出センサ33は、一定の位置(すなわち、基準位置)で好ましくは給送機移送ユニット25の端部に置かれる。それによってしるし変位Δxi,Δyiの早期の検出が可能である。その結果、補正は、下流に位置付けられた移送ユニット25に適用することができる。これを更に以下でより詳細に説明する。任意的に、画像検出センサ33は、ガイドレールに取り付けられ、しるし42に位置合わせするために変位することができる。これは、しるし42の位置が、例えば異なるシートフォーマット間で有意に変化する場合に有利である。
【0076】
図6で最も良く見られるように、画像検出センサ33は、しるし42が位置付けられたシート1の一部の写真Im1を撮るように構成される。しるし42内の検出基準点P1の横座標y1及び縦座標x1の両方は、画像センサ33からデータを受信するように構成された制御ユニット34により、画像Im1から決定することができる。制御ユニット34は、メモリ36に格納された画像認識プログラムを用いてしるし42内の検出基準点P1の横座標y1及び縦座標x1を決定することができる。
【0077】
メモリ36は、更に、しるし42内の予め決められた基準点P0の最適な位置を格納するように構成される。予め決められた基準点P0の最適な位置は、横座標y0と縦座標x0とを備える。準点P0及び基準点P1は、しるし42の同じ位置に幾何学的に位置付けられるが、異なる空間座標を有することになる。予め決められた基準点P0の最適な位置は、基準画像Im0から決定することができる。基準画像Im0は、機械学習処理によって得ることができる。例えば、しるし42を伴う第1のシート1は、典型的には、変換機械20に投入される。画像検出センサ33は、起動されると、しるし42の画像Im0を捕捉する。制御ユニット34は、次いで、横座標y0及び縦座標x0を備えるしるし42内の基準点P0の最適位置を計算し、座標をメモリ36に入力する。座標は、画像検出センサ33の座標系によって定めることができる。次いで、回転式打抜ツール18’の角度位置αは、予め決められた基準点P0の最適位置に基づいて選択することができる。基準画像Im0は、異なる加工バッチに対して又はジョブ仕様が変更されたときにリセットすることができる。従って、変換機械20は、基準画像Im0及び予め決められた基準点P0の最適位置に基づいて較正される。
【0078】
光センサ(図示せず)は、画像検出センサ33を起動するために前方前縁6の通過を検出するのに使用することができる。これに代えて、画像検出センサ33を起動するトリガ信号は、制御ユニット34によって供給することができる。例えば、制御ユニット34は、給送機モジュール23からシート位置を読み出すことにより、又は給送機モジュール23及び/又は移送ユニット25からの作動パラメータに基づいて起動の時間を計算することによって起動の時間を決定することができる。
【0079】
捕捉された画像Im1上のしるし42の縦しるし変位Δxi及び横しるし変位Δyiを備える偏差は、画像処理により、検出基準点P1の座標x1,y1と予め決められた基準点P0の座標x0,y0とを比較するときに制御ユニット34によって決定することができる。カメラセンサ33は、システムが画像Im1内の実際の基準点P1の座標x1,y1を基準位置P0の予め決められた基準縦座標x0及び横座標y0と比較することによって作用するので、しるし42の特定の形状が必要ないという意味で利点をもたらす。従って、以下の関係が適用される。
Δxi=x1-x0
Δyi=y1-y0
【0080】
任意的に、図6に概略的に示すように、基準マーク35は、給送機移送ユニット25の外部ハウジングに設けることができ、画像検出センサ33の視野に位置付けることができる。給送機移送ユニット25は、従って、シート1を確実にかつ基準マーク35と画像Im1が画像検出センサ33によって捕捉される間に保持するように構成される。
【0081】
基準マーク35は、縦方向(すなわち、運搬方向D)に延びる線として設けることができる。基準線35は、捕捉された画像Im1に対して物理的かつ固定的な基準をもたらす。基準マーク35は、カメラの移動に起因する捕捉画像Im1内の変位がある場合に、カメラの捕捉/読取エラーを検出及び補正するために追加の物理的基準情報を提供する。例えば、カメラは、振動によって変位した場合に捕捉エラーを引き起こす場合がある。
【0082】
図7A及び図7Bに示すように、しるし42内の検出基準点P1及び予め決められた基準点P0は、形状の理論的重心点とすることができる。理論的重心点は、従って、2次元のしるし42内の中心に位置付けられた点とすることができる。
【0083】
しるし42の実際の位置は、異なるシート1間で変化する。制御ユニット34は、各シート1に対して検出基準点P1の実際の位置x1,y1座標と予め決められた基準点P0の予め決められた座標x0,y0との間の縦しるし変位Δxi及び横しるし変位Δyiを計算するように構成される。
【0084】
これに代えて、カメラセンサ33の代わりに、光検出器33を使用することができる。そのような光検出器33は、捕捉された光の違いを検出するように構成される。光検出器33は、光信号を射出し、戻り信号を捕捉することができる。光学感知配置31が横方向y及び縦方向xでの変位を測定することを可能にするために、シート1ば、2次元の光学可読しるし42を備えることができる。
【0085】
しるし42は、光検出器が横変位Δy及び縦変位Δxを決定することを可能にするために、変化する縦延長部を有する不均一な形状の本体を備えることができる。従って、しるし42の厚みは、シート1が横に変位した場合に変化する。しるし42の厚みは、光検出器33によって検出可能であり、従って、シート1の横位置を示している。
【0086】
しるし42は、運搬方向Dに傾斜した後縁を備えることができる。後縁は、一定の傾斜kを有することができ、一定の傾斜kにより、しるし42内の測定位置と横及び縦変位との関数的関係が得られる。
【0087】
図2及び図6で最も良く見られるように、見当検出システム31aは、給送センサ32’を備え、給送センサ32’は、好ましくは光センサであり、シート1の前方前縁6を検出するように構成される。有利なことに、給送センサ32’は、画像検出センサ33の近くで移送ユニット25に置かれる。そのようにして、しるし42の位置及び前方前縁6の位置は、初期合計縦変位Δx0(これは給送機モジュール23からの給送見当変位Δxr0を備える)を決定するために検出される。給送センサ32’は、給送機モジュール23の直後に、例えば、給送機モジュール23と第1のフレキソ印刷ユニット22aの間に配置することができる。
【0088】
しかし、望ましくない見当変位Δxrの点内の見当エラーは、頻繁であり、変換機械20上の初期設定だけでなく、変換機械20を通過するときのシート1のいずれの移動にも依存する。従って、見当変位Δxrnは、移送センサ32の各々によって再評価される。
【0089】
従って、検出位置n内の再評価された(すなわち、再計算された)合計縦変位Δxnは、次のように表すことができる。
Δxn=(Δxr0+Δxi)+Δxrn
【0090】
検出位置は、移送センサ32の場所である。従って、見当検出装置31aには、複数の位置でシート1の前方前縁6を検出するように構成された複数のn個の移送センサ32を備えることが有利である。給送センサ32’の後に、複数の移送センサ32は、移送ユニット25の近くに変換機械20を通って下流に位置付けられ、移送ユニット25内の前方前縁6の通過を検出するように構成される。
【0091】
給送センサ32’は、給送機モジュール23の内側又はその後に位置付けられるのがよい。給送センサ32’は、好ましくは、光検出器(例えば、高速セル)のような光検出器であり、前方前縁6の通過を検出するように構成される。給送センサ32’は、移送センサ32と同じタイプとすることができる。
【0092】
給送機モジュール23は、有利なことに、一般的なカウンターを備えることができる。一般的なカウンターは、主制御ユニット21に又は給送機モジュール23に直接に接続された移送ドライブに備えることができる。一般的なカウンターは、理論的な搬送速度を計算し、移送センサ32が前方前縁6を検出する度に(同時に機械の内側にある複数のシートの中で)どのシート1が検出されるかを決定するように構成される。
【0093】
メモリ36は、好ましくは、しるし42の許容可能な横変位Δyiの観点から公差閾値Tyiを備える。そのようにして、箱1’’の品質が依然として許容可能にある許容可能な変位距離を設定することができる。閾値Tyiは、従って、補正が不要である許容可能な横変位Δyiを定める。
【0094】
公差閾値Tyiは、オペレータがオペレータインタフェース29上で選択することができる。必要とされる精度のレベルは、生成される箱の種類によって変化する場合がある。典型的には、高級包装に対して必要とされる精度は、一部のより基本的な箱よりも高い。
【0095】
公差閾値Tyiは、例えば、0.1mmの精度で設定することができる。シート1は、実際のしるし変位Δyが公差閾値Tyiよりも大きい場合に、廃棄又は放出されるようにメモリ36にタグ付けすることができる。任意的に、補正プログラムは、特定のシート1に対して無効化することができる。別の実施形態では、較正システム30は、変換機械20の給送機モジュール23を自動的に一時停止することができる。
【0096】
初期合計縦変位Δx0は、閾値Txiを更に備えることができる。一部の場合に、初期合計縦変位Δx0は、移送ドライブ24が補正可能な最大縦補正限界Tx_maxよりも大きい場合がある。較正システム30は、検出された合計縦変位Δx0が縦最大補正限界Tx_maxよりも大きい場合に、機械20の給送を自動的に一時停止することができる。
【0097】
給送が一時停止されたとき(及び機械が空であるとき)に、回転式打抜モジュール26上で見当補正を適用することができる。回転式打抜ツール18’の刃先は、回転式打抜ツール18’の角度位置αを修正することにより画像12に対して位置決めすることができる。従って、角度位置αを修正することにより、縦方向xにより大きい補正距離をもたらすことができる。給送は、制御ユニット34が修正された見当設定をメモリ36に入力したときに自動的に再開することができる。従って、較正システム30は、給送を自動的に一時停止し、回転式打抜シリンダ18の角度αを修正して給送を再開することができる。
【0098】
制御ユニット34は、更に、縦しるし変位Δxi及び横しるし変位Δyiのうちの少なくとも一方が予め決められた公差閾値Txi,Tyiを超える場合に、メモリ36に格納された補正プログラムを実行するように構成される。プログラムは、少なくとも1つの移送ユニット25の速度を変更することができるように移送ドライブ24のための命令を備える。好ましくは、複数の移送ユニット25の速度が修正される。補正プログラムは、初期縦変位Δx0が縦公差閾値Txiよりも大きくかつ最大補正値Tx_maxより小さい場合に、制御ユニット34によって開始することができる。縦公差閾値Txiは、補正プログラムが最高レベルの補正値に設定されるように「0」に設定することができる。
【0099】
各シート1は、変換機械20に同時に複数のシート1が存在するので、しるし42の縦Δxi及び横変位Δyiの観点から個々に解析される。その結果、各移送ドライブ24は、各シート1に加速度及び減速度を与えることにより、異なる速度を適用するように構成される。制御ユニット34はまた、所与の時点に各それぞれのシート1がどの移送ユニット25と接触しているかを決定するように構成される。これは、各シート1に対して適合された変位補正を提供することができるのに必要であり、この変位補正は、各シート1の特定の変位エラーΔxに基づいている。
【0100】
較正システム30は、縦しるし変位Δxi及び見当変位Δxrの両方を補正するように構成される。従って、初期補正Δc0は、較正システム30によって行われ、かつ縦しるし変位Δxi及び給送見当変位Δxr0の和に等しい。これは、以下の関係で表すことができる。
Δc0=Δxi+Δxr0
同等に
Δc0=Δx0
【0101】
大きい変位エラーを1つの単一段階で補正することは、約5から6m/sとすることができるシート1の高速に起因して、困難である可能性がある。
【0102】
一連の連続した縦補正は、変換機械20が一連の独立制御可能移送ドライブ24を備えるので、第1のフレキソ印刷ユニット22a又は第2のフレキソ印刷ユニット22bの直前に位置付けられた移送ユニット25から回転式打抜モジュール26に至るまで移送ユニット25によって実質的に達成することができる。それによって変換機械20を通るシート1の搬送が均一であり、かつ急激な加速及び減速を回避することができるように全てのシート1の分散補正が可能である。それによって変換機械20全体を通してシート1の滑らかな搬送が可能である。
【0103】
この主旨で、較正システム30は、初期合計縦変位Δx0を、補正を達成することができる移送ドライブ24の数Nで割ることにより、各移送ドライブ24に対して分数補正Δcfを計算することができる。これは、以下の関係で表すことができる。
【0104】
従って、初期給送機見当変位Δxr0値は、しるし変位Δxiに追加することができる。これは、しるし変位Δxi及び見当変位Δxrの組合せの点内の最大変位が給送機モジュール23で発生することが多いので有利である。
【0105】
各移送センサ32は、変換機械20全体を通して連続的な見当変位Δxrが存在するので、見当変位Δxrnを計算するように構成することができる。新しい見当変位Δxrnは、好ましくは、分数補正Δcfに追加され、最も近くの下流に位置付けられた移送ユニット25に適用することができる。各移送ドライブ24に適用される実際の補正は、次いで、進行経路Pに沿って生じる見当位置の変化を受け入れられることができる。これは、以下の関係で表すことができる。
Δcf1=Δcf+Δxr1

Δcfn=Δcf+Δxrn
【0106】
前方前縁6の検出は、シート1に接触する移送ユニット25の速度を管理する移送ドライブ24に送ることができる。これに代えて、同じ補正は、2つの移送ユニット25が作動的かつ機械的に接続されたセグメントとして構成された場合に2つの移送ユニット25に達成することができる。制御ユニット34は、シート1に対して必要な補正Δcfnを実質的に行うのに要求される移送ドライブ24の加速度又は減速度を計算する。
【0107】
少なくとも1つ、好ましくは複数の移送ドライブ24の速度は、しるし42の縦位置を補正するように修正される。
【0108】
各シート1の存在は、見当検出システム31aで決定することができる。上述のように、見当検出システム31aは、一般的なカウンターと共に、どの移送ユニット25がどのシート1に接触しているかを決定することができる。それによって較正システム30は、特定の補正を各シート1に適用することができる。
【0109】
本発明者は、更に、較正システム30には第1の作動モード及び第2の作動モードを備えることができることを見出した。作動モードの選択は、オペレータインタフェース29上で入力することができる。
【0110】
第1の作動モードは、好ましくは、変換機械20のフレキソ印刷モジュール22が起動され、シート1を印刷するように構成されたデフォルト作動モードに対応することができる。第1の作動モードでは、各移送センサ32によって(及び任意的に同じく給送センサ32’によって)検出された各見当変位エラーΔxrは、各それぞれのセンサ32、32’と最も近くの下流に位置付けられた印刷ユニットとの間に位置付けられたそれぞれの移送ユニット25に全体的に(又は最大値に対して)補正される。その結果、フレキソ印刷ユニット22aから22dからの印刷されたモチーフは互いに位置合わせされる。
【0111】
第2の作動モードでは、フレキソ印刷モジュール22は無効化され、較正システム30は、従って、フレキソ印刷モジュール22を通る全距離を補正距離として使用するように構成される。それによって事前印刷されたシート1の場合に典型的に遭遇される大きい縦変位エラーの補正が可能である。上述のように、これらの大きい縦変位エラーは、初期給送見当変位Δxr0及び縦画像変位Δxiに対応する。第2の作動モードでは、変換機械20は、シート1を打ち抜くようにのみ構成される場合がある。
【0112】
メモリ36は、各シート1の縦Δxi、横変位Δyi、初期給送機見当変位Δxr0を格納するための一連の開放位置を含む一時的再書込可能メモリ36を更に備えることができる。
【0113】
これは、必要とされる分数補正Δcfnが、前方前縁6の位置が移送センサ32によって検出される度に更新されることを可能にする。
【0114】
同じく横補正は、予め決められた横公差閾値Tyiを超える場合に必要とされる。予め決められた横公差閾値Tyは、上述のようにオペレータによって設定することができる。典型的な公差閾値Tyiは、0.5-20mmのエラーとすることができる。横閾値Tyよりも大きい横変位Δyが検出されたときに、シート1は、制御ユニット34によって放出されると決定される場合がある。給送機モジュール23は、好ましくは、エラーシート1の処理を避けるために一時停止される。好ましくは変換機械20が空であるときに横補正を打抜シリンダ18に適用することができるように、給送を一時停止することができる。給送機モジュール23は、この補正後に給送を自動的に再開することができる。
【0115】
較正制御ユニット34は、従って、横画像変位Δyi、縦画像変位Δxi及び見当変位Δxrを決定し、更に、変換機械20の全体的な作動を制御するために計算された補正を主制御ユニット21に伝達するように構成される。
【0116】
本発明の較正システム30を用いると、画像検出システム31bは、シート1上のしるし12の縦Δxiと横変位Δyiを1回決定することのみを必要とする。その後に、見当検出システム31aは、前方前縁6の通過を連続的に検出することによってしるし42の位置を識別することができる。
図1a
図1b
図1c
図1d
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b