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特許7622220電解銅箔及びその製造方法、負極板、二次電池、電池モジュール、電池パック並びに電力消費装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】電解銅箔及びその製造方法、負極板、二次電池、電池モジュール、電池パック並びに電力消費装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/66 20060101AFI20250120BHJP
【FI】
H01M4/66 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023531543
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 CN2022093668
(87)【国際公開番号】W WO2023035661
(87)【国際公開日】2023-03-16
【審査請求日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】202111062005.3
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】524304976
【氏名又は名称】香港時代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY (HONG KONG) LIMITED
【住所又は居所原語表記】LEVEL 19, CHINA BUILDING, 29 QUEEN’S ROAD CENTRAL, CENTRAL, CENTRAL AND WESTERN DISTRICT, HONG KONG, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼宇▲クン▼
(72)【発明者】
【氏名】葛▲銷▼明
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-053993(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112317972(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106544704(CN,A)
【文献】特開2013-133514(JP,A)
【文献】特開2014-009365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/64-4/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解銅箔を製造するための方法であって、
陽極とめっきすべき陰極とを、めっき槽の、双晶成長剤を含むめっき液に置くことであって、双晶成長剤は、ゼラチンとポリエチレンイミンのうちの一つ又は二つを含むステップS10と、
めっき液に、ランダムに交互変換するf11周波数超音波とf12周波数超音波のうちの一つ又は二つ、及びf21周波数超音波とf22周波数超音波のうちの一つ又は二つが伴う条件で直流めっきを行って、電解銅箔を得て、40kHz<f11≦100kHz、15kHz<f12≦40kHz、0kHz<f21≦15kHz、f22=0kHzであるステップS20とを含み、
めっきして前記電解銅箔を得る過程において、f11周波数超音波とf12周波数超音波の条件での総めっき時間の占有率は、70%~90%であり、f21周波数超音波とf22周波数超音波の条件での総めっき時間の占有率は、10%~30%であり、
めっきして前記電解銅箔を得る過程において、超音波の変換回数は、2回以上であり、且つ1分間あたりの超音波変換回数は、25回以下である、電解銅箔を製造するための方法。
【請求項2】
っきして前記電解銅箔を得る過程において、f11周波数超音波とf12周波数超音波の条件での総めっき時間の占有率は、75%~85%であり、f21周波数超音波とf22周波数超音波の条件での総めっき時間の占有率は、15%~25%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
めっきして前記電解銅箔を得る過程において、
f11周波数超音波の条件でのめっき時間の占有率は、40~90%であり、及び/又は、
f12周波数超音波の条件でのめっき時間の占有率は、0~50%であり、及び/又は、
f21周波数超音波の条件でのめっき時間の占有率は、0~30%であり、及び/又は、
f22周波数超音波の条件でのめっき時間の占有率は、0~10%である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
直流めっきの電流密度は、2A/dm~80A/dmある、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記めっき液は、硫酸-硫酸銅めっき液であり、前記めっき液は、銅イオンと、硫酸と、塩素イオンとをさらに含み、
記めっき液における銅イオンの濃度は、50g/L~100g/Lであり
記めっき液における硫酸の濃度は、40g/L~70g/Lであり
記めっき液における塩素イオンの質量濃度は、20ppm~50ppmであり
記めっき液における双晶成長剤の質量濃度は、50ppm~110ppmである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記めっき液は、レベリング剤と光沢剤とをさらに含み、
記レベリング剤は、ポリペプチドタンパク質を含み、前記光沢剤は、ポリジチオジプロパンスルホン酸ナトリウムと3-メルカプト-1-プロパンスルホン酸ナトリウムのうちの一つ又は複数を含み、
記めっき液におけるレベリング剤の濃度は、20ml/L~40ml/Lであり
記めっき液における光沢剤の濃度は、10ml/L~30ml/Lである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
負極板の製造における、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法の使用
【請求項8】
次電池の製造における、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法の使用
【請求項9】
池モジュールの製造における、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法の使用
【請求項10】
池パックの製造における、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法の使用
【請求項11】
力消費装置の製造における、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法の使用
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年09月10日に提出された、名称が「電解銅箔及びその製造方法、負極板、二次電池」の中国特許出願番号202111062005.3の優先権を主張しており、同出願の内容の全ては、ここに参照として取り込まれる。
【技術分野】
【0002】
本出願は、二次電池の技術分野に属し、具体的には電解銅箔及びその製造方法、負極板、二次電池、電池モジュール、電池パック並びに電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0003】
銅箔は、二次電池の負極集電体として使われることが多く、現在使用されている銅箔は、主に圧延プロセスによる圧延銅箔と、めっきプロセスによる電解銅箔とを含む。圧延銅箔は、生産技術に対する要求が高く、プロセスが複雑で、コストが高く、大規模生産に適さないため、人々は、研究の重点を徐々に電解銅箔に移している。しかし、現在の二次電池の高質量エネルギー密度の要求を満たすためには、電解銅箔の厚さをより薄くするとともに、十分な引張強さと硬度を確保する必要がある。従来の電解銅箔は、その力学的性能がすでに高質量エネルギー密度の二次電池の要求を満たすことができず、負極板の冷間プレスプロセスにおいて、シワや箔切れなどがしょっちゅう発生し、二次電池の生産効率に大きく影響している。
【発明の概要】
【0004】
本出願の目的は、電解銅箔の生産効率を高めると同時に、電解銅箔により高い等方性と双晶含有量、及びより優れた導電性と力学的性能を備えさせるための電解銅箔及びその製造方法、負極板、二次電池、電池モジュール、電池パック並びに電力消費装置を提供することである。
【0005】
本出願の第1の態様によれば、電解銅箔を製造するための方法を提供し、前記方法は、、陽極とめっきすべき陰極とを、めっき槽の、双晶成長剤を含むめっき液に置くステップS10と、めっき液に、f11周波数超音波とf12周波数超音波のうちの一つ又は二つと、f21周波数超音波とf22周波数超音波のうちの一つ又は二つとがランダムに交互切り替わる条件で直流めっきを行って、電解銅箔を得て、f11>40kHz、15kHz<f12≦40kHz、0kHz<f21≦15kHz、f22=0kHzであるステップS20とを含む。
【0006】
本出願の電解銅箔の製造方法は、高電流密度で、異なる方向にいずれも(111)結晶面高度選択配向性を有するナノ銅組織を成長させることができ、生産効率を高めると同時に、電解銅箔により高い等方性と双晶含有量、及びより優れた導電性と力学的性能を備えさせる。
【0007】
本出願の任意の実施形態では、40kHz<f11≦100kHzである。
【0008】
本出願の任意の実施形態では、めっきして前記電解銅箔を得る過程において、f11周波数超音波とf12周波数超音波の条件での総めっき時間の占有率は、70%~90%であり、f21周波数超音波とf22周波数超音波の条件での総めっき時間の占有率は、10%~30%である。
【0009】
本出願の任意の実施形態では、めっきして前記電解銅箔を得る過程において、f11周波数超音波とf12周波数超音波の条件での総めっき時間の占有率は、75%~85%であり、f21周波数超音波とf22周波数超音波の条件での総めっき時間の占有率は、15%~25%である。
【0010】
f11周波数超音波とf12周波数超音波の条件での総めっき時間は、適切な範囲内にあり、電解銅箔における双晶化結晶粒の体積占有率は、より高く、且つ(111)結晶面の体積占有率も、より高い。
【0011】
本出願の任意の実施形態では、めっきして前記電解銅箔を得る過程において、f11周波数超音波の条件でのめっき時間の占有率は、40~90%である。任意選択的に、f11周波数超音波の条件でのめっき時間の占有率は、40%~50%である。f11周波数超音波の条件でのめっき時間の占有率は、適切な範囲内にあり、電解銅箔における双晶化結晶粒の体積占有率は、より高く、且つ(111)結晶面の体積占有率も、より高い。
【0012】
本出願の任意の実施形態では、めっきして前記電解銅箔を得る過程において、f12周波数超音波の条件でのめっき時間の占有率は、0~50%である。任意選択的に、f12周波数超音波の条件でのめっき時間の占有率は、40%~50%である。
【0013】
本出願の任意の実施形態では、めっきして前記電解銅箔を得る過程において、f21周波数超音波の条件でのめっき時間の占有率は、0~30%である。任意選択的に、f21周波数超音波の条件でのめっき時間の占有率は、5%~25%である。
【0014】
本出願の任意の実施形態では、めっきして前記電解銅箔を得る過程において、f22周波数超音波の条件でのめっき時間の占有率は、0~10%である。任意選択的に、f22周波数超音波の条件でのめっき時間の占有率は、5%~10%である。
【0015】
本出願の任意の実施形態では、直流めっきの電流密度は、2A/dm~80A/dmである。任意選択的に、直流めっきの電流密度は、15A/dm~80A/dmである。本出願の電解銅箔は、高電流密度でのめっきを実現することもでき、これによりめっき時間を短縮し、生産効率を向上させる。
【0016】
本出願の任意の実施形態では、双晶成長剤は、ゼラチンとポリエチレンイミンのうちの一つ又は二つを含む。
【0017】
本出願の任意の実施形態では、前記めっき液は、硫酸-硫酸銅めっき液であり、前記めっき液は、銅イオンと、硫酸と、塩素イオンとをさらに含む。
【0018】
本出願の任意の実施形態では、前記めっき液における銅イオンの濃度は、50g/L~100g/Lである。任意選択的に、前記めっき液における銅イオンの濃度は、70g/L~80g/Lである。銅イオンの濃度は、適切な範囲内にあり、高電流密度でのめっきを実現できるとともに、めっきの効果及びめっき層の品質を向上させることもできる。
【0019】
本出願の任意の実施形態では、前記めっき液における硫酸の濃度は、40g/L~70g/Lである。任意選択的に、前記めっき液における硫酸の濃度は、50g/L~60g/Lである。硫酸の濃度は、適切な範囲内にあり、めっきの効果及びめっき層の品質は、より高い。
【0020】
本出願の任意の実施形態では、前記めっき液における塩素イオンの質量濃度は、20ppm~50ppmである。任意選択的に、前記めっき液における塩素イオンの質量濃度は、30ppm~40ppmである。塩素イオンの濃度は、適切な範囲内にあり、めっき層は、より高いレベリング性能と光沢度を有する。
【0021】
本出願の任意の実施形態では、前記めっき液における双晶成長剤の質量濃度は、50ppm~110ppmである。任意選択的に、前記めっき液における双晶成長剤の質量濃度は、70ppm~90ppmである。双晶成長剤の濃度は、適切な範囲内にあり、めっき層の品質を向上させると同時に、電解銅箔の等方性と双晶含有量を向上させることができる。
【0022】
本出願の任意の実施形態では、前記めっき液は、レベリング剤と光沢剤とをさらに含む。
【0023】
本出願の任意の実施形態では、レベリング剤は、ポリペプチドタンパク質を含む。
【0024】
本出願の任意の実施形態では、光沢剤は、ポリジチオジプロパンスルホン酸ナトリウムと3-メルカプト-1-プロパンスルホン酸ナトリウムのうちの一つ又は複数を含む。
【0025】
本出願の任意の実施形態では、前記めっき液におけるレベリング剤の濃度は、20ml/L~40ml/Lである。任意選択的に、前記めっき液におけるレベリング剤の濃度は、25ml/L~35ml/Lである。レベリング剤の濃度は、適切な範囲内にあり、めっき液のミクロ分散能力を改善し、めっき層の表面をより平滑にすることができる。
【0026】
本出願の任意の実施形態では、前記めっき液における光沢剤の濃度は、10ml/L~30ml/Lである。任意選択的に、前記めっき液における光沢剤の濃度は、15ml/L~25ml/Lである。光沢剤の濃度は、適切な範囲内にあり、めっき層の光沢度及び光沢範囲を改善することができる。
【0027】
本出願の第2の態様によれば、電解銅箔を提供し、該電解銅箔は、本出願の第1の態様に記載の方法によって製造して得られる。
【0028】
本出願の任意の実施形態では、電解銅箔(111)結晶面の体積占有率≧60%である。任意選択的に、電解銅箔(111)結晶面の体積占有率≧80%である。
【0029】
本出願の任意の実施形態では、電解銅箔における双晶化結晶粒の体積占有率≧60%である。任意選択的に、電解銅箔における双晶化結晶粒の体積占有率≧80%である。
【0030】
本出願の任意の実施形態では、電解銅箔の常温引張強さ≧50kg/mmである。任意選択的に、電解銅箔の常温引張強さ≧60kg/mmである。
【0031】
本出願の任意の実施形態では、電解銅箔のビッカース硬さ≧180である。任意選択的に、電解銅箔のビッカース硬さ≧190である。
【0032】
本出願の第3の態様によれば、負極板を提供し、該負極板は、本出願の第1の態様の方法によって製造される電解銅箔、又は本出願の第2の態様による電解銅箔を含む。
【0033】
本出願の任意の実施形態では、前記負極板は、前記電解銅箔の少なくとも一つの表面に設置される負極膜層をさらに含み、前記電解銅箔と前記負極膜層との間の接着力は、10N/m~20N/mである。
【0034】
本出願の第4の態様によれば、二次電池を提供し、該二次電池は、本出願の第3の態様による負極板を含む。
【0035】
本出願の第5の態様によれば、電池モジュールを提供し、該電池モジュールは、本出願の第4の態様による二次電池を含む。
【0036】
本出願の第6の態様によれば、電池パックを提供し、該電池パックは、本出願の第4の態様による二次電池と、第5の態様による電池モジュールとのうちの一つを含む。
【0037】
本出願の第7の態様によれば、電力消費装置を提供し、該電力消費装置は、本出願の第4の態様による二次電池と、第5の態様による電池モジュールと、第6の態様による電池パックとのうちの少なくとも一つを含む。
【0038】
本出願の電池モジュール、電池パック及び電力消費装置は、本出願による二次電池を含むため、少なくとも前記二次電池と同じ優位性を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本出願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では、本出願の実施例で使用する必要がある図面を簡単に説明するが、明らかなことに、以下に説明する図面は、本出願のいくつかの実施形態に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労力を支払うことなく、図面に基づいて他の図面を入手することができる。
図1】本出願の二次電池の一実施形態の概略図である。
図2】本出願の二次電池の一実施形態の分解概略図である。
図3】本出願の電池モジュールの一実施形態の概略図である。
図4】本出願の電池パックの一実施形態の概略図である。
図5図4の分解図である。
図6】本出願の二次電池が電源として用いられる電力消費装置の一実施形態の概略図である。
図7】本出願の電解銅箔の装置の概略図である。
図8】負極板接着力のテスト概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下は、本出願の電解銅箔及びその製造方法、負極板、二次電池、電池モジュール、電池パック並びに電力消費装置を具体的に開示した実施形態を、図面を適宜参照して詳細に説明する。しかし、必要のない詳細な説明を省略する場合がある。例えば、周知の事項に対する詳細な説明、実際に同じである構造に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に長くなることを回避し、当業者に容易に理解させるためである。なお、図面及び以下の説明は、当業者に本出願を十分に理解させるために提供するものであり、特許請求の範囲に記載された主題を限定するためのものではない。
【0041】
本出願に開示される「範囲」は、下限及び上限の形式で限定され、所定範囲は、特定の範囲の境界を限定する1つの下限と1つの上限を選定することによって限定される。このように限定される範囲は、端値を含んでもよく含まなくてもよく、任意に組み合わせてもよく、即ち、任意の下限と任意の上限とを組み合わせて1つの範囲を形成してもよい。例えば、特定のパラメータについて60~120と80~110の範囲が列挙されている場合、60~110と80~120の範囲も予想されると理解される。なお、最小範囲値1と2、最大範囲値3、4と5が列挙されている場合、以下の1~3、1~4、1~5、2~3、2~4と2~5は全て予想されている。本出願において、別段の記載がない限り、数値範囲「a~b」は、aないしbの間の全ての実数の組み合わせを表す短縮表現であり、ここで、aとbはいずれも実数である。例えば、数値範囲「0~5」は、本明細書で「0~5」の間の全ての実数がリストアップされていることを意味し、「0~5」はこれら数値の組み合わせの省略表示にすぎない。また、あるパラメータ≧2の整数であると記述している場合、該パラメータは例えば、整数2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12などであることを開示していることに相当する。
【0042】
特に説明されていない限り、本出願の全ての実施形態及び選択可能な実施形態は、互いに組み合わせて新たな技術案を形成してもよい。
【0043】
特に説明されていない限り、本出願の全ての技術的特徴及び選択可能な技術的特徴は、互いに組み合わせて新たな技術案を形成してもよい。
【0044】
特に説明されていない限り、本出願の全てのステップは、順次行われてもよく、ランダムに行われてもよく、好ましくは、順次行われる。例えば、前記方法がステップ(a)と(b)とを含むことは、前記方法が順次行われるステップ(a)と(b)とを含んでもよく、順次行われるステップ(b)と(a)とを含んでもよいことを表す。例えば、以上に言及された前記方法がステップ(c)をさらに含むことは、ステップ(c)が任意の順で前記方法に追加されてもよいことを表し、例えば、前記方法は、ステップ(a)、(b)と(c)を含んでもよく、ステップ(a)、(c)と(b)を含んでもよく、ステップ(c)、(a)と(b)などを含んでもよい。
【0045】
特に説明されていない限り、本出願で言及した「含む」と「包含」は、開放型を表し、閉鎖型であってもよい。例えば、前記「含む」と「包含」は、リストアップされていない他の成分をさらに含み又は包含してもよく、リストアップされた成分のみを含み又は包含してもよいことを表してもよい。
【0046】
特に説明されていない限り、本出願において、用語「又は」は包括的である。例えば、「A又はB」という語句は、「A、B、又はAとBの両方」を表す。より具体的には、以下のいずれか一つの条件は、いずれも「A又はB」という条件を満たす。Aが真であり(又は存在し)且つBが偽であり(又は存在せず)、Aが偽であり(又は存在せず)且つBが真であり(又は存在し)、又はAとBがいずれも真である(又は存在する)。
【0047】
電解銅箔の製造方法
直流めっきプロセスによって製造される電解銅箔は、優れた力学的性能を有するが、得られた電解銅箔は、(111)結晶面に優先配向しやすいため、電解銅箔は、全体的に異方性を呈するか、又は局所において異方性を呈し、且つ電解銅箔には、力学的性能が相対的に弱い方向が必ず存在する。電解銅箔全体及び局所の異方性を除去するために、従来技術において一般に採用される方法として、非常に小さい電流密度(例えば2A/dm~8A/dm)でめっきを行うことによって、めっき過程においてナノ銅結晶粒が様々な方向に成長できるように確保する。しかし該方法は、要するめっき時間が非常に長く、生産効率が低く、大規模生産に適さない。
【0048】
発明者が鋭意研究した結果、新たな電解銅箔の製造方法を提供し、それは、高電流密度で、異なる方向にいずれも(111)結晶面の高い優先配向性を有するナノ銅組織を成長させることができ、生産効率を高めると同時に、得られる電解銅箔により高い等方性と双晶含有量、及びより優れた導電性と力学的性能を備えさせる。
【0049】
具体的には、本出願の電解銅箔の製造方法は、、陽極とめっきすべき陰極とを、めっき槽の、双晶成長剤を含むめっき液に置くステップS10と、、めっき液に、f11周波数超音波とf12周波数超音波のうちの一つ又は二つと、f21周波数超音波とf22周波数超音波のうちの一つ又は二つがランダムに交互変換する条件で直流めっきを行って、電解銅箔を得て、f11>40kHz、15kHz<f12≦40kHz、0kHz<f21≦15kHz、f22=0kHzであるステップS20とを含む。
【0050】
本出願の製造方法によって得られる電解銅箔の各方向における力学的性能は、いずれも普通の銅箔より著しく優れており、且つ得られた電解銅箔は、より高い等方性を有し、力学的性能の弱い方向がない。
【0051】
双晶粒界は、特殊な低エネルギー界面であり、その界面エネルギーは、およそ普通の大角粒界の1/10であるため、材料に双晶を導入して高い強度を得ると同時に、良好な導電性を得ることができる。双晶とは、一つの双晶面に沿って鏡像である対称関係を構成する二つの結晶粒又は一つの結晶粒の二つの部分を指し、互いに双晶となる二つの部分の結晶体の相対的配向関係及び双晶面指数、双晶方向は、いずれも固定されている。
【0052】
普通の結晶粒(非双晶化結晶粒)と双晶化結晶粒は、いずれも等軸晶と柱状晶を含む。等軸晶の粒界面積が大きく、不純物と欠陥の分布が分散しており、且つ等軸晶の方位が異なるため、等軸晶は、より均一で安定しており、且つ方向性がない。しかし、等軸晶にはデンドライトが発達し、ミクロスフェアが多く、凝固後の結晶構造が緻密性に劣っている。等軸晶を微細化することで不純物と欠陥の分布をより分散させ、結晶体の性能をさらに向上させることができ、且つ結晶粒が細かいほど、総合的な性能がよくなり、疲労強度も高くなる。柱状晶の成長過程において、凝固領域が狭く、その横方向の成長が阻害されるため、デンドライトの成長は、十分に発展することができず、枝が少なく、結晶後のミクロスフェアと結晶間の不純物がいずれも少なく、結晶構造が緻密である。しかし、柱状晶は、粗大であり、粒界面積が小さく且つ方位が一致するため、顕著な方向性を示し、即ち縦方向の性能が良好で、横方向の性能が劣っている。
【0053】
めっき過程において、めっき液における双晶成長剤は、ナノ銅結晶粒の(111)結晶面以外の他の結晶面(例えば(101)結晶面、(001)結晶面)と迅速に粘着し、それによってめっき過程において、ナノ銅結晶粒は、(111)結晶面の最密堆積面に沿って成長し、ナノ銅結晶粒が他の結晶面に沿って成長することを抑制し、これにより電解銅箔は、より優れた導電性と力学的性能を有することができる。
【0054】
めっき過程において、異なる周波数の超音波(f11周波数超音波とf12周波数超音波のうちの一つ又は二つ、及びf21周波数超音波とf22周波数超音波のうちの一つ又は二つ)に伴って、ナノ銅結晶粒は、異なる方向に沿って成長し、局所の異方性を除去し、より高い等方性と双晶含有量を有するナノ銅組織を成長させ、これにより得られる電解銅箔の各方向における力学的性能は、いずれも普通の銅箔より著しく優れている。
【0055】
めっき過程において、異なる周波数の超音波に伴って、めっきして得られるナノ銅結晶粒の大きさは、より小さく且つより均一であり、電解銅箔における双晶化結晶粒(双晶化等軸晶と双晶化柱状晶を含む)の体積占有率はより高く、且つ(111)結晶面の体積占有率もより高く、電解銅箔は、より高い等方性、より優れた導電性と力学的性能を有する。
【0056】
f11周波数超音波、f12周波数超音波に伴ってめっきする過程においては、双晶化等軸晶が生成する傾向がより強く、f21周波数超音波、f22周波数超音波に伴ってめっきする過程においては、双晶化柱状晶が生成する傾向がより強い。異なる周波数の超音波が変換する(即ち周波数変換)とき、一般的な結晶粒(即ち非双晶化結晶粒)の成長を抑制するとともに、双晶化結晶粒(双晶化等軸晶と双晶化柱状晶を含む)の成長を促進することができる。なお、めっき過程において、異なる周波数の超音波の変換(即ち周波数変換)は、めっき液における双晶成長剤と、ナノ銅結晶粒の(111)結晶面以外の他の結晶面(例えば(101)結晶面、(001)結晶面)との粘着をよりよく促進するとともに、ナノ銅結晶粒のために、(111)結晶面に沿って成長するためのよりよい環境を提供することができる。そのため、電解銅箔は、より高い等方性と双晶含有量を有するだけでなく、より優れた導電性と力学的性能をさらに有する。
【0057】
超音波の周波数が高すぎると、双晶成長剤と、ナノ銅結晶粒の(111)結晶面以外の他の結晶面(例えば(101)結晶面、(001)結晶面)との粘着を不十分にし、電解銅箔の等方性と双晶化結晶粒含有量の低下を引き起こす可能性がある。いくつかの実施形態では、任意選択的に、40kHz<f11≦100kHzである。特に、40kHz<f11≦60kHzである。
【0058】
本出願では、「周波数変換」とは、f11周波数超音波、f12周波数超音波、f21周波数超音波、f22周波数超音波のうちの任意の二つの周波数間の変換を指す。例えば、f11周波数超音波とf12周波数超音波との間の変換、f11周波数超音波とf21周波数超音波との間の変換、f11周波数超音波とf22周波数超音波との間の変換、f12周波数超音波とf21周波数超音波との間の変換、f12周波数超音波とf22周波数超音波との間の変換、f21周波数超音波とf22周波数超音波との間の変換である。且つ本出願の「周波数変換」は、一方のf11周波数超音波から他方のf11周波数超音波への変換、一方のf12周波数超音波から他方のf12周波数超音波への変換、一方のf21周波数超音波から他方のf21周波数超音波への変換を含まない。
【0059】
「周波数変換総回数」とは、めっき過程において、f11周波数超音波、f12周波数超音波、f21周波数超音波、f22周波数超音波のうちの任意の二つの周波数の間で変換する総回数を指す。
【0060】
いくつかの実施形態では、電解銅箔の異方性をさらに除去するために、めっきして前記電解銅箔を得る過程において、超音波の変換回数(即ち周波数変換回数)は、2回以上であってもよい。周波数変換回数が増加すると、電解銅箔における非双晶化結晶粒の含有量は、低くなる。しかし、周波数変換回数も、多すぎるとよくない。任意選択的に、1分間あたりの超音波変換回数(即ち周波数変換回数)は、25回以下である。特に、1分間あたりの超音波変換回数(即ち周波数変換回数)は、2回以上で且つ10回以下である。
【0061】
いくつかの実施形態では、めっきして前記電解銅箔を得る過程において、f11周波数超音波とf12周波数超音波の条件での総めっき時間の占有率は、70%~90%であり、f21周波数超音波とf22周波数超音波の条件での総めっき時間の占有率は、10%~30%である。
【0062】
f11周波数超音波とf12周波数超音波の条件での総めっき時間は、適切な範囲内にあり、電解銅箔における双晶化結晶粒の体積占有率は、より高く、且つ(111)結晶面の体積占有率も、より高い。
【0063】
いくつかの実施形態では、任意選択的に、f11周波数超音波とf12周波数超音波の条件での総めっき時間の占有率は、75%~85%であり、f21周波数超音波とf22周波数超音波の条件での総めっき時間の占有率は、15%~25%である。
【0064】
いくつかの実施形態では、f11周波数超音波の条件でのめっき時間の占有率は、40%~90%である。任意選択的に、f11周波数超音波の条件でのめっき時間の占有率は、40%~50%である。f11周波数超音波の条件でのめっき時間の占有率は、適切な範囲内にあり、電解銅箔における双晶化結晶粒の体積占有率は、より高く、且つ(111)結晶面の体積占有率も、より高い。
【0065】
いくつかの実施形態では、f12周波数超音波の条件でのめっき時間の占有率は、0~50%である。任意選択的に、f12周波数超音波の条件でのめっき時間の占有率は、40%~50%である。
【0066】
いくつかの実施形態では、f21周波数超音波の条件でのめっき時間の占有率は、0~30%である。任意選択的に、f21周波数超音波の条件でのめっき時間の占有率は、5%~25%である。
【0067】
いくつかの実施形態では、f22周波数超音波の条件でのめっき時間の占有率は、0~10%である。任意選択的に、f22周波数超音波の条件でのめっき時間の占有率は、5%~10%である。
【0068】
いくつかの実施形態では、直流めっきは、めっき液に、ランダムに交互変換するf11周波数超音波、f12周波数超音波、f21周波数超音波、f22周波数超音波が伴う条件で行われる。めっきして前記電解銅箔を得る過程において、f11周波数超音波の条件でのめっき時間の占有率は、40%~50%であり、f12周波数超音波の条件でのめっき時間の占有率は、40%~50%であり、f21周波数超音波の条件でのめっき時間の占有率は、5%~25%であり、f22周波数超音波の条件でのめっき時間の占有率は、5%~10%である。
【0069】
いくつかの実施形態では、直流めっきの電流密度は、2A/dm~80A/dmである。
【0070】
本出願の、より高い等方性と双晶含有量、及びより優れた導電性と力学的性能を有する電解銅箔は、高電流密度でのめっきを実現することもでき、これによりめっき時間を短縮し、生産効率を向上させる。いくつかの実施形態では、直流めっきの電流密度は、15A/dm~80A/dmである。例えば、直流めっきの電流密度は、15A/dm~80A/dm、15A/dm~70A/dm、15A/dm~60A/dm、15A/dm~50A/dm、15A/dm~40A/dm、20A/dm~80A/dm、20A/dm~70A/dm、20A/dm~60A/dm、20A/dm~50A/dm、20A/dm~40A/dm、30A/dm~80A/dm、30A/dm~70A/dm、30A/dm~60A/dm、30A/dm~50A/dm、又は30A/dm~40A/dmである。
【0071】
いくつかの実施形態では、双晶成長剤は、ゼラチンとポリエチレンイミンのうちの一つ又は二つを含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、前記めっき液は、硫酸-硫酸銅めっき液であり、前記めっき液は、双晶成長剤と、銅イオンと、硫酸と、塩素イオンとを含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、前記めっき液における双晶成長剤の質量濃度は、50ppm~110ppmである。任意選択的に、前記めっき液における双晶成長剤の質量濃度は、70ppm~90ppmである。双晶成長剤の濃度が高いとき、めっき効果及びめっき層の品質が悪くなり、双晶成長剤の濃度が低いとき、銅結晶粒が(101)結晶面、(001)結晶面に沿って成長することを抑制できず、電解銅箔における双晶化結晶粒の含有量が低くなる。双晶成長剤の濃度が適切な範囲内にあると、めっき層の品質を向上させると同時に、電解銅箔の等方性と双晶含有量を向上させることができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、前記めっき液における硫酸の濃度は、40g/L~70g/Lである。任意選択的に、前記めっき液における硫酸の濃度は、50g/L~60g/Lである。硫酸の濃度が高いとき、めっき液への硫酸銅の溶解度が低下し、二相の界面で飽和に達しやすくなり、余分な銅イオンと硫酸イオンは、硫酸銅を形成し、且つ陽極で結晶として析出し、陽極の正常な溶解過程を阻害し、陽極は、不動態化しやすくなり、硫酸の濃度が低いとき、めっき層が粗く、陽極はまた不動態化しやすくなる。硫酸の濃度が適切な範囲内にあると、めっきの効果及びめっき層の品質は、より高くなる。
【0075】
いくつかの実施形態では、前記めっき液における銅イオンの濃度は、50g/L~100g/Lである。任意選択的に、前記めっき液における銅イオンの濃度は、70g/L~80g/Lである。銅イオンの濃度が高いとき、硫酸銅は、結晶として析出しやすくなり、銅イオンの濃度が低いとき、めっき液の導電率が低く、めっき時に使用できる電流密度も低くなる。銅イオンの濃度が適切な範囲内にあると、高電流密度でのめっきを実現できるとともに、めっきの効果及びめっき層の品質を向上させることもできる。
【0076】
めっき液を調製する過程において、銅イオンの供給源として、銅塩、例えば硫酸銅であってもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、前記めっき液における塩素イオンの質量濃度は、20ppm~50ppmである。任意選択的に、前記めっき液における塩素イオンの質量濃度は、30ppm~40ppmである。塩素イオンの濃度が高いとき、めっき層にハードスポットや、しま模様、枝状模様などが生じやすくなり、めっき層のレベリング性能に影響を及ぼし、塩素イオンの濃度が低いとき、めっき層の光沢度が低下する。塩素イオンの濃度が適切な範囲内にあると、めっき層は、より高いレベリング性能と光沢度を有する。
【0078】
めっき液を調製する過程において、塩素イオンの供給源として、塩酸、塩化ナトリウム、塩化カリウムであってもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、前記めっき液は、溶媒水をさらに含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、前記めっき液は、レベリング剤と光沢剤とをさらに含む。レベリング剤は、めっき液のミクロ分散能力を改善し、めっき層の表面をより平滑にすることができ、光沢剤は、めっき層の光沢度及び光沢範囲を改善することができる。
【0081】
任意選択的に、前記レベリング剤は、ポリペプチドタンパク質を含む。
【0082】
任意選択的に、前記光沢剤は、ポリジチオジプロパンスルホン酸ナトリウムと3-メルカプト-1-プロパンスルホン酸ナトリウムのうちの一つ又は複数を含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、前記めっき液におけるレベリング剤の濃度は、20ml/L~40ml/Lである。任意選択的に、前記めっき液におけるレベリング剤の濃度は、25ml/L~35ml/Lである。レベリング剤の含有量が少ないとき、めっきして得られる電解銅箔の表面は、平滑さが足りなく、微細なピットが生じやすく、レベリング剤の含有量が多いとき、電解銅箔の脆性が増やし、靭性が低下しやすくなる。
【0084】
いくつかの実施形態では、前記めっき液における光沢剤の濃度は、10ml/L~30ml/Lである。任意選択的に、前記めっき液における光沢剤の濃度は、15ml/L~25ml/Lである。光沢剤の含有量が少ないとき、めっきして得られる電解銅箔は、光沢度が低く、光沢範囲が小さく、光沢剤の含有量が多いとき、電解銅箔の脆性が増やし、靭性が低下しやすくなる。
【0085】
いくつかの実施形態では、直流めっきの温度は、室温であり、例えば25℃±5℃である。
【0086】
いくつかの実施形態では、前記陽極は、高純度鋳造銅であり、任意選択的に、高純度鋳造銅の外面をさらにチタンバスケットで包んでもよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、前記陰極は、高純度チタン板であり、チタン板の主要成分は、チタンである。当然ながら、めっき堆積の基底として、他の材質の陰極、例えば金属銅、金属ニッケルなどを使用してもよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、ステップS10を実行する前に、前記電解銅箔の製造方法は、陰極に対して脱脂、酸洗浄、水洗浄の処理を行って、表面の油汚れ、酸化物層などを除去するステップをさらに含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、ステップS10を実行する前に、前記電解銅箔の製造方法は、超音波発生器をめっき槽の下方に外付けするステップをさらに含む。本出願の超音波発生器は、直接に元のめっき槽の下方に置かれてもよく、めっき槽の槽本体を交換する必要がないため、工程が簡略化され、生産効率が向上する。超音波発生器の数は、1個であってもよく、複数個、例えば2個又は3個であってもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、前記電解銅箔の製造方法は、めっき堆積済みの電解銅箔と陰極とを分離するステップをさらに含む。
【0091】
本出願の製造方法で得られる電解銅箔は、より高い等方性を有する。
【0092】
いくつかの実施形態では、電解銅箔(111)結晶面の体積占有率≧60%である。任意選択的に、電解銅箔(111)結晶面の体積占有率≧70%である。さらに任意選択的に、電解銅箔(111)結晶面の体積占有率≧80%である。
【0093】
いくつかの実施形態では、電解銅箔における双晶化結晶粒の体積占有率≧60%である。任意選択的に、電解銅箔における双晶化結晶粒の体積占有率≧70%である。さらに任意選択的に、電解銅箔における双晶化結晶粒の体積占有率≧80%である。
【0094】
本出願の製造方法で得られる電解銅箔は、優れた導電性と力学的性能を有する。
【0095】
いくつかの実施形態では、前記電解銅箔の常温引張強さ≧50kg/mmである。任意選択的に、前記電解銅箔の常温引張強さ≧55kg/mmである。さらに任意選択的に、前記電解銅箔の常温引張強さ≧60kg/mmである。
【0096】
いくつかの実施形態では、前記電解銅箔のビッカース硬さ≧180である。任意選択的に、前記電解銅箔のビッカース硬さ≧185である。さらに任意選択的に、前記電解銅箔のビッカース硬さ≧190である。
【0097】
いくつかの実施形態では、前記電解銅箔の厚さは、4μm~20μmである。
【0098】
二次電池
二次電池は、充電電池又は蓄電池とも呼ばれ、電池が放電した後、充電の方式によって活物質を活性化して使用し続ける可能な電池を指す。
【0099】
二次電池は、一般的には、正極板と、負極板と、セパレータと、電解質とを含む。電池の充放電過程において、活性イオン(例えばリチウムイオン、ナトリウムイオン)は、正極板と負極板との間を往復して吸蔵し放出する。セパレータは、正極板と負極板との間に設置され、主に正負極の短絡を防止する役割を果たすとともに、活性イオンを通過させることができる。電解質は、正極板と負極板との間で、主に活性イオンを伝導する役割を果たす。
【0100】
[負極板]
二次電池は、負極板を含み、負極板は、一般的には、負極集電体と、負極集電体の少なくとも一つの表面に設置され、且つ負極活物質を含む負極膜層とを含む。例えば、負極集電体は、それ自体の厚さ方向において対向する二つの表面を有し、負極膜層は、負極集電体の対向する二つの表面のいずれか一つ又は両者上に積層して設けられている。
【0101】
本出願の負極板において、負極膜層は、一般的には、負極活物質と、任意選択的な接着剤と、任意選択的な導電剤と、他の任意選択的な助剤とを含む。負極膜層は、一般的には、負極スラリーを負極集電体上に塗布して、乾燥、冷間プレスを経て形成される。負極スラリーは、一般的には、負極活物質と、任意選択的な導電剤と、任意選択的な接着剤と、任意選択的な助剤などを溶媒に分散させて均一に撹拌して形成される。溶媒は、N-メチルピロリドン(NMP)又は脱イオン水であってもよいが、これらに限らない。導電剤及び接着剤の種類と含有量について、具体的に制限せず、実際の需要に応じて選択することができる。例示的に、導電剤は、超伝導カーボン、カーボンブラック(例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラックなど)、カーボンスポット、カーボンナノチューブ、グラフェン及びカーボンナノファイバーのうちの一つ又は複数を含んでもよい。例示的に、接着剤は、スチレンブタジエンゴム(SBR)、水溶性不飽和樹脂(SR-1B)、水性アクリル樹脂(例えば、ポリアクリル酸PAA、ポリメタクリル酸PMAA、ポリアクリル酸ナトリウムPAAS)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸ナトリウム(SA)及びカルボキシメチルキトサン(CMCS)のうちの一つ又は複数を含んでもよい。他の任意選択的な助剤は、増粘剤(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウムCMC-Na)、PTCサーミスタ材料などを含んでもよい。
【0102】
いくつかの実施形態では、負極活物質の種類は、具体的に制限されず、当分野でよく知られている二次電池用の負極活物質を採用してもよい。例示的に、負極活物質は、黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、メソカーボンマイクロビーズ、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、ケイ素系材料、スズ系材料、チタン酸リチウムのうちの一つ又は複数を含んでもよい。ケイ素系材料は、単体ケイ素、シリコン酸化物、ケイ素炭素複合体、ケイ素窒素複合体、ケイ素合金材料のうちの一つ又は複数を含んでもよい。スズ系材料は、単体スズ、スズ酸化合物、スズ合金材料のうちの一つ又は複数を含んでもよい。本出願は、これらの材料に限定されず、さらに二次電池の負極活物質として使用可能な他の従来周知の材料を使用してもよい。これらの負極活物質は、一つのみを単独に使用してもよく、二つ以上を組み合わせて使用してもよい。
【0103】
本出願の負極板において、負極集電体は、本出願の製造方法によって得られる電解銅箔を採用してもよい。
【0104】
いくつかの実施形態では、負極集電体と負極膜層との間の接着力は、10N/m~20N/mである。
【0105】
負極集電体が、本出願の第1の態様で製造された電解銅箔、又は本出願の第2の態様による電解銅箔を採用するとき、負極板の接着力は、負極集電体の負極板として普通の銅箔を採用する場合の接着力よりも著しく高い。可能性のある原因として、本出願の製造方法によって得られる電解銅箔は、結晶粒の大きさがより細かいため、電解銅箔表面の化学結合がより多く、負極活物質などとの接着力がより強い。
【0106】
[正極板]
本出願は、正極板を提供し、それは、正極集電体と、正極集電体の少なくとも一つの表面に設置され、且つ正極活物質を含む正極膜層とを含む。例えば、正極集電体は、それ自体の厚さ方向において対向する二つの表面を有し、正極膜層は、正極集電体の対向する二つの表面のいずれか一つ又は両者上に設置されている。
【0107】
本出願の正極板において、正極膜層は、一般的には、正極活物質と、任意選択的な接着剤と、任意選択的な導電剤とを含む。正極膜層は、一般的には、正極スラリーを正極集電体上に塗布して、乾燥、冷間プレスを経て形成される。正極スラリーは、一般的には、正極活物質と、任意選択的な導電剤と、任意選択的な接着剤と、任意の他の成分とを溶媒に分散させて均一に撹拌して形成される。溶媒は、N-メチルピロリドン(NMP)であってもよいが、これに限らない。例示的に、正極膜層に用いる接着剤は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-プロピレン三元共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン三元共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、含フッ素アクリル酸エステル樹脂のうちの一つ又は複数を含んでもよい。例示的に、正極膜層に用いる導電剤は、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンスポット、カーボンナノチューブ、グラフェンカーボンナノファイバーのうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0108】
本出願の正極板において、正極集電体は、金属箔シート又は複合集電体を採用してもよい。金属箔シートの例として、正極集電体は、アルミ箔を採用してもよい。複合集電体は、高分子材料基材と、高分子材料基材の少なくとも一つの表面に形成された金属材料層とを含んでもよい。例示的に、金属材料は、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀、銀合金のうちの一つ又は複数から選択されてもよい。例示的に、高分子材料基材は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリステレン(PS)、ポリエチレン(PE)などから選択されてもよい。
【0109】
本出願の正極板において、正極膜層は、正極活物質を含み、正極活物質は、当分野でよく知られている二次電池用の正極活物質を採用してもよい。
【0110】
説明すべきこととして、本出願の二次電池は、リチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池であってもよい。
【0111】
本出願の二次電池がリチウムイオン電池であるとき、任意選択的に、正極活物質は、リチウム遷移金属酸化物、オリビン型構造のリチウム含有リン酸塩、及びそれぞれの変性化合物のうちの一つ又は複数を含んでもよい。リチウム遷移金属酸化物の例としては、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルト酸化物、リチウムマンガンコバルト酸化物、リチウムニッケルマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物、及びこれらの変性化合物のうちの一つ又は複数を含んでもよいが、これらに限定されない。オリビン型構造のリチウム含有リン酸塩の例としては、リン酸鉄リチウム、リン酸鉄リチウムと炭素との複合材料、リン酸マンガンリチウム、リン酸マンガンリチウムと炭素との複合材料、リン酸マンガン鉄リチウム、リン酸マンガン鉄リチウムと炭素との複合材料、及びそれぞれの変性化合物のうちの一つ又は複数を含んでもよいが、これらに限定されない。本出願は、これらの材料に限定されず、さらにリチウムイオン電池の正極活物質として使用可能な他の従来周知の材料を使用してもよい。これらの正極活物質は、一つのみを単独に使用してもよく、二つ以上を組み合わせて使用してもよい。
【0112】
例えば、リチウムイオン電池の正極活物質は、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、LiNi1/3Co1/3Mn1/3(NCM333)、LiNi0.5Co0.2Mn0.3(NCM523)、LiNi0.6Co0.2Mn0.2(NCM622)、LiNi0.8Co0.1Mn0.1(NCM811)、LiNi0.85Co0.15Al0.05、LiFePO(LFP)及びLiMnPOのうちの一つ又は複数から選択されてもよい。
【0113】
本出願の二次電池がナトリウムイオン電池であるとき、任意選択的に、前記正極活物質は、遷移金属酸化物NaMO(Mは、遷移金属であり、任意選択的に、Mn、Fe、Ni、Co、V、Cu、Crのうちの一つ又は複数から選択され、0<x≦1)、ポリアニオン材料(例えばリン酸塩、フルオロリン酸塩、ピロリン酸塩、硫酸塩など)、プルシアンブルー材料などから選択されてもよいが、本出願は、これらの材料に限定されず、ナトリウムイオン電池の正極活物質として使用可能な他の材料を使用してもよい。これらの正極活物質は、一つのみを単独に使用してもよく、二つ以上を組み合わせて使用してもよい。
【0114】
任意選択的に、ナトリウムイオン電池の正極活物質は、NaFeO、NaCoO、NaCrO、NaMnO、NaNiO、NaNi1/2Ti1/2、NaNi1/2Mn1/2、Na2/3Fe1/3Mn2/3、NaNi1/3Co1/3Mn1/3、NaFePO、NaMnPO、NaCoPO、プルシアンブルー材料、及び一般式がA(PO3-xである材料のうちの一つ又は複数から選択されてもよい。Aは、H、Li、Na、K及びNH のうちの一つ又は複数から選択され、Mは、遷移金属カチオンであり、任意選択的に、V、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びZnのうちの一つ又は複数から選択され、Yは、ハロゲンアニオンであり、任意選択的に、F、Cl及びBrのうちの一つ又は複数から選択され、0<a≦4、0<b≦2、1≦c≦3、0≦x≦2である。
【0115】
いくつかの実施形態では、上記各正極活物質の変性化合物は、正極活物質に対してドーピング変性、表面被覆変性、又はドーピングと同時に表面被覆変性を行ったものであってもよい。
【0116】
[電解質]
電解質は、正極板と負極板との間で活性イオンを伝導する役割を果たす。本出願の二次電池は、電解質の種類に対して具体的な制限がなく、需要に応じて選択することができる。例えば、電解質は、固体電解質及び液体電解質(即ち電解液)のうちの少なくとも一つから選択されてもよい。
【0117】
いくつかの実施形態では、電解質は、電解液を採用する。電解液は、電解質塩と、溶媒とを含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、電解質塩の種類に対して具体的に制限せず、実際の需要に応じて選択することができる。本出願の二次電池がリチウムイオン電池であるとき、任意選択的に、電解質塩は、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF)、リチウムビスフルオロスルホンイミド(LiFSI)、リチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド(LiTFSI)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiTFS)、リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(LiDFOB)、リチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBOB)、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO)、リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(LiDFOP)及びリチウムテトラフルオロ(オキサラト)ホスフェート(LiTFOP)のうちの一つ又は複数から選択されてもよい。本出願の二次電池がナトリウムイオン電池であるとき、任意選択的に、電解質塩は、NaPF、NaClO、NaBCl、NaSOCF及びNa(CH)CSOのうちの一つ又は複数から選択されてもよい。
【0119】
いくつかの実施形態では、溶媒の種類に対して具体的に制限せず、実際の需要に応じて選択することができる。例示的に、溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、メチルエチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、ブチレンカーボネート(BC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ぎ酸メチル(MF)、酢酸メチル(MA)、酢酸エチル(EA)、酢酸プロピル(PA)、プロピオン酸メチル(MP)、プロピオン酸エチル(EP)、プロピオン酸プロピル(PP)、酪酸メチル(MB)、酪酸エチル(EB)、1,4-ブチロラクトン(GBL)、スルホン(SF)、ジメチルスルホン(MSM)、メチルエチルスルホン(EMS)及びジエチルスルホン(ESE)のうちの一つ又は複数から選択されてもよい。
【0120】
いくつかの実施形態では、任意選択的に、溶媒は、非水溶媒である。
【0121】
いくつかの実施形態では、電解液には、任意選択的に、添加剤がさらに含まれる。例えば、添加剤は、負極被膜形成添加剤を含んでいてもよいし、正極被膜形成添加剤を含んでいてもよいし、電池の何らかの性能を改善できる添加剤、例えば、電池の過充電性能を改善する添加剤、電池の高温性能を改善する添加剤、電池の低温性能を改善する添加剤などを含んでいてもよい。
【0122】
[セパレータ]
電解液を用いる二次電池、及び固体電解質を用いるいくつかの二次電池には、セパレータがさらに含まれる。セパレータは正極板と負極板との間に設置され、隔離する役割を果たす。本出願は、セパレータの種類に対して特に制限せず、よく知られている、良好な化学的安定性と機械的安定性を有する任意の多孔質構造のセパレータを選択してもよい。いくつかの実施形態では、セパレータの材質は、ガラス繊維、不織布、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリビニリデンフルオロライドのうちの一つ又は複数から選択されてもよい。セパレータは、単層薄膜であってもよく、多層複合薄膜であってもよい。セパレータが多層複合薄膜である場合、各層の材料は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0123】
いくつかの実施形態では、正極板と負極板とセパレータは、捲回プロセス又は積層プロセスによって電極アセンブリを製造してもよい。
【0124】
いくつかの実施形態では、二次電池は、外装を含んでもよい。該外装は、上記電極アセンブリと電解質のパッケージングに用いられてもよい。
【0125】
いくつかの実施形態では、二次電池の外装は、硬質シェル、例えば硬質プラスチックシェル、アルミニウムシェル、スチールシェルなどであってもよい。二次電池の外装は、軟包装、例えば袋型軟包装であってもよい。軟包装の材質は、プラスチック、例えばポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンサクシネート(PBS)などのうちの一つ又は複数であってもよい。
【0126】
本出願は、二次電池の形状に対して特に制限せず、それは、円柱形、四角形又は他の任意の形状であってもよい。図1は、一例としての四角形構造の二次電池5である。
【0127】
いくつかの実施形態では、図2を参照すると、外装は、筐体51とカバープレート53とを含んでもよい。筐体51は、底板と底板上に接続された側板とを含んでもよく、底板と側板とで取り囲んで収容キャビティを形成する。筐体51は、収容キャビティに連通する開口を有し、カバープレート53は、前記開口をカバーして前記収容キャビティを密閉するためのものである。正極板と負極板とセパレータは、捲回プロセス又は積層プロセスによって電極アセンブリ52を形成することができる。電極アセンブリ52は、前記収容キャビティにパッケージングされる。電解液は、電極アセンブリ52に浸潤する。二次電池5に含まれる電極アセンブリ52の数は、一つ又は複数であってもよく、需要に応じて調節することができる。
【0128】
いくつかの実施形態では、二次電池は、電池モジュールに組み立てることができ、電池モジュールに含まれる二次電池の数は、複数であってもよく、具体的な数は、電池モジュールの応用と容量に基づいて調節を行うことができる。
【0129】
図3は、一例としての電池モジュール4である。図3を参照すると、電池モジュール4において、複数の二次電池5は、電池モジュール4の長手方向に沿って順に並べて設置されてもよい。無論、任意の他の方式に従って配置してもよい。さらに、該複数の二次電池5を締め具で固定してもよい。
【0130】
任意選択的に、電池モジュール4は、収容空間を有するハウジングをさらに含んでもよく、複数の二次電池5は、該収容空間に収容される。
【0131】
いくつかの実施形態では、上記電池モジュールは、さらに電池パックに組み立てることができ、電池パックに含まれる電池モジュールの数は、電池パックの応用と容量に基づいて調節を行うことができる。
【0132】
図4図5は、一例としての電池パック1である。図4図5を参照すると、電池パック1には、電池ケースと、電池ケースに設置された複数の電池モジュール4とが含まれてもよい。電池ケースは、上ケース2と下ケース3とを含み、上ケース2は、下ケース3をカバーして電池モジュール4を収容するための密閉空間を形成するためのものである。複数の電池モジュール4は、任意の方式に従って電池ケースに配置されてもよい。
【0133】
電力消費装置
本出願の実施形態は、電力消費装置をさらに提供し、前記電力消費装置は、本出願の二次電池、電池モジュール、電池パックのうちの少なくとも一つを含む。前記二次電池、電池モジュール又は電池パックは、前記電力消費装置の電源として用いられてもよいし、前記電力消費装置のエネルギー貯蔵ユニットとして用いられてもよい。前記電力消費装置は、モバイル機器(例えば携帯電話、ノートパソコンなど)、電動車両(例えば純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電動自転車、電動スクータ、電動ゴルフカート、電動トラックなど)、電気列車、船舶及び衛星、エネルギー貯蔵システムなどであってもよいが、それらに限定されない。
【0134】
前記電力消費装置は、その使用上の需要に応じて二次電池、電池モジュール又は電池パックを選択することができる。
【0135】
図6は、一例としての電力消費装置である。該電力消費装置は、純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、又はプラグインハイブリッド電気自動車などである。該電力消費装置の、高出力と高エネルギー密度への要求を満たすために、電池パック又は電池モジュールを採用することができる。
【0136】
別の例としての電力消費装置は、携帯電話、タブレットパソコン、ノートパソコンなどであってもよい。該電力消費装置は、一般に軽量化が求められており、二次電池を電源として採用することができる。
【0137】
実施例
下記実施例は、本出願に開示された内容をより具体的に記述するものであり、これらの実施例は、単に例示的な説明のためにのみ使用され、本出願に開示された内容の範囲内で様々な修正及び変更が行われることは、当業者にとって自明である。特に指摘のない限り、以下の実施例に報告されている全ての部数、百分率、及び比の値は、いずれも重量基準であり、実施例に使用される全ての試薬は、いずれも市販で購入でき、又は一般的な方法によって合成して得られるものであり、さらに処理する必要はなく直接使用することができ、そして実施例に使用される器具は、いずれも市販で購入することができる。
【0138】
実施例1
(1)めっき液の調製
硫酸銅、硫酸、塩化ナトリウム、双晶成長剤、レベリング剤、光沢剤を水に溶解させて、十分に撹拌して均一に混合し、ここで、各組成成分の濃度は、それぞれ銅イオン75g/L、硫酸55g/L、塩素イオン35ppm、双晶成長剤85ppm、レベリング剤30ml/L、光沢剤20ml/Lである。
【0139】
(2)直流めっき
図7を参照すると、25±5℃で、陽極板とめっきすべき陰極ローラとをめっき液に浸漬し、2個の超音波発生器をめっき槽の底部に置いた。超音波が伴う条件で直流めっきを行い、電流密度は、30A/dmであり、総めっき時間は、45minである。めっき過程において、超音波周波数変換の方案は、以下のとおりである。28kHz-45kHz-28kHz-0kHz-10kHz-45kHzに従って、順次複数サイクルの周波数変換を行い、周波数変換の総回数は、269回であり、異なる周波数超音波の超音波時間占有率は、それぞれ、15%-20%-25%-5%-15%-20%である。めっき終了して得られる電解銅箔の厚さは、6μmである。
【0140】
実施例2~12
電解銅箔の製造方法は、実施例1に類似し、相違点は、めっき過程における関連パラメータを制御することであり、具体的には表1に示すとおりである。
【0141】
比較例1~4
電解銅箔の製造方法は、実施例1に類似し、相違点は、めっき過程において単一周波数の超音波を採用することであり、具体的なパラメータは、表1に示すとおりである。
【0142】
テスト部分
(1)電解銅箔の異なる結晶面、異なる結晶粒体積の占有率
電子後方散乱回折(Electron Backscattered Diffraction)によって得られた。
【0143】
(2)電解銅箔の粗さ
電解銅箔表面粗さRzのテスト:JIS94規格に準拠して接触式粗さ計で測定した。
【0144】
(3)電解銅箔の導電率
電解銅箔の導電率(%IACS、International Annealed Copper Standard)テスト:4点プローブでシート抵抗を測定し、電解銅箔の厚さを代入して算出した(銅箔厚さは、単一重量に従って換算した)。
【0145】
(4)電解銅箔の引張強さ
電解銅箔の引張強さRTSのテスト:めっき完了してから24時間以上置き、試験片をダンベル型(ゲージ長50mm、幅3mm)に打ち抜いた後にテストした。
【0146】
(5)電解銅箔のビッカース硬さ
電解銅箔のビッカース硬さHvのテスト:電子万能試験機を採用して120kg以内の荷重と頂角136°のダイヤモンド四角錐押し込み器で電解銅箔の表面に押し込み、荷重の値を圧痕ピットの表面積で除して電解銅箔のビッカース硬さHvを得た。
【0147】
(6)負極板の接着力
負極活物質の黒鉛と、導電剤の導電性カーボンと、接着剤のスチレンブタジエンゴムと、増粘剤のカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)とを、質量比96.8:0.4:1.8:1に従って混合してから溶媒の脱イオン水を加え、当分野で周知の方法によって十分に撹拌して負極スラリーを形成し、負極スラリーを実施例1~12と比較例1~4の電解銅箔上に均一に塗布し、乾燥後に負極膜層を得て、そして冷間プレスの工程を経て、負極板を得た。負極板の圧密密度は、1.68g/cmであり、塗布面密度は、134g/mである。
【0148】
図8は、負極板接着力のテスト概略図である。図8の(a)に示すように、まず鋼板410を1枚用意し、鋼板のサイズは、幅30mm×長さ100mmである。図8の(b)に示すように、そして両面テープ420を1枚用意し、両面テープ420のサイズは、幅20mm×長さ30mmであり、両面テープ420を鋼板410上に貼り付け、両面テープ420の一つの短辺と鋼板410の一つの短辺とを位置合わせした。図8の(c)に示すように、そしてテストすべき極板430を1枚用意し、テストすべき極板430のサイズは、幅30mm×長さ30mmである。テストすべき極板430を両面テープ420上に被せ、極板430の塗布面は、両面テープ420に面し、テストすべき極板430の一つの短辺と鋼板410の一つの短辺とを位置合わせした。テストすべき極板430の長さは、両面テープ420の長さよりも長いため、テストすべき極板430の一部の領域は、両面テープに接着されていない。図8の(d)に示すように、鋼板410を引張試験機の台座に固定し、テストすべき極板430の両面テープに接着されていない端を治具で挟み、そして他端の方向(矢印で示す方向)に向かって治具を引っ張って、引張力の方向は、鋼板410の強度方向に平行し、且つ鋼板410の表面に密着した。引っ張る過程において、極板430を引っ張りによって鋼板から徐々に剥離した。引っ張る過程において、治具の引張速度は、50mm/minである。引っ張る過程において、治具の引張力を記録し、引張力が安定した後に引き続いて70mm剥離し、該剥離長さでの平均引張力を接着力とした。
【0149】
表1は、実施例1~12と比較例1~4のパラメータを示し、表2と表3は、実施例1~12と比較例1~4のテスト結果を示した。
【0150】
【表1】
【0151】
【表2】
【0152】
【表3】
【0153】
表2のデータ結果から分かるように、異なる高速電流密度でのめっきにおいて、実施例1~12の電解銅箔は、いずれも高い割合で最稠密面の(111)結晶面に沿って成長し、電解銅箔の等方性がより高く、それとともに、電解銅箔における双晶化結晶粒(双晶化等軸晶と双晶化柱状晶を含む)の含有量もより高く、電解銅箔は、より安定しており、より緻密で、力学的性能もより優れていた。
【0154】
表3のデータ結果から分かるように、本出願の方法によって製造された電解銅箔は、著しく向上する引張強さとビッカース硬さを有し、二次電池製造プロセスにおいて負極板の箔切れやシワが発生する確率を著しく低減させることができた。
【0155】
また表3のデータ結果から分かるように、本出願の方法を使用して製造された電解銅箔を負極板に応用するとき、さらに負極板の接着力を向上させ、負極膜層の粉落ちの確率を低減させることもできた。
【0156】
説明すべきこととして、本出願は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は例に過ぎず、本出願の技術案の範囲内で、技術思想と実質的に同一の構成を有し、同様な作用と効果を奏する実施形態は、いずれも本出願の技術範囲内に含まれるものとする。なお、本出願の主旨から逸脱しない範囲内で、実施形態に対して当業者が想到し得る様々な変形を実施し、実施形態における一部の構成要素を組み合わせて構築される他の形態も、本出願の範囲内に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8(a)】
図8(b)】
図8(c)】
図8(d)】