IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロジスティード株式会社の特許一覧

特許7622227貿易物流配送手配システム、貿易物流配送手配方法及びそのプログラム
<>
  • 特許-貿易物流配送手配システム、貿易物流配送手配方法及びそのプログラム 図1
  • 特許-貿易物流配送手配システム、貿易物流配送手配方法及びそのプログラム 図2
  • 特許-貿易物流配送手配システム、貿易物流配送手配方法及びそのプログラム 図3
  • 特許-貿易物流配送手配システム、貿易物流配送手配方法及びそのプログラム 図4
  • 特許-貿易物流配送手配システム、貿易物流配送手配方法及びそのプログラム 図5
  • 特許-貿易物流配送手配システム、貿易物流配送手配方法及びそのプログラム 図6
  • 特許-貿易物流配送手配システム、貿易物流配送手配方法及びそのプログラム 図7
  • 特許-貿易物流配送手配システム、貿易物流配送手配方法及びそのプログラム 図8
  • 特許-貿易物流配送手配システム、貿易物流配送手配方法及びそのプログラム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】貿易物流配送手配システム、貿易物流配送手配方法及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 61/00 20060101AFI20250120BHJP
【FI】
B65G61/00 200
B65G61/00 500
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023536250
(86)(22)【出願日】2021-07-20
(86)【国際出願番号】 JP2021027067
(87)【国際公開番号】W WO2023002551
(87)【国際公開日】2023-01-26
【審査請求日】2023-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】324001734
【氏名又は名称】ロジスティード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004440
【氏名又は名称】弁理士法人ソシデア知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】下河邉 康史
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-040454(JP,A)
【文献】特表2004-511402(JP,A)
【文献】特開2019-096126(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0185476(US,A1)
【文献】特開2001-282900(JP,A)
【文献】特開2003-312847(JP,A)
【文献】特表2018-530806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 61/00
G06Q 10/08
G06Q 50/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を貿易物流するための陸運、海運及び空運の組み合わせが任意の条件を満たすように配送を手配する貿易物流配送手配システムであって、
顧客が保管している物品の物品情報を取得する取得部と、
前記取得した物品情報を台帳に記入する記入部と、
前記台帳に記入した物品情報を参照して、前記物品の在庫数が所定の条件を満たす場合に、当該物品を貿易物流するための陸運、海運及び空運の組み合わせが任意の条件を満たす貿易物流業者の組み合わせを計算する計算部と、
前記計算した組み合わせが任意の条件を満たす貿易物流業者に、前記顧客に届けるように前記物品の配送を手配する手配部と、
を備え、
前記任意の条件は前記陸運、海運及び空運の各残余積載量が最も大きくなることであることを特徴とする貿易物流配送手配システム。
【請求項2】
前記任意の条件は前記陸運、海運及び空運の配送料の組み合わせが最も安くなることであることを特徴とする請求項1記載の貿易物流配送手配システム。
【請求項3】
前記任意の条件は前記陸運、海運及び空運の環境負荷の組み合わせが最も低くなることであることを特徴とする請求項1記載の貿易物流配送手配システム。
【請求項4】
前記任意の条件は前記陸運、海運及び空運の配送納期の組み合わせが最も早くなることであることを特徴とする請求項1記載の貿易物流配送手配システム。
【請求項5】
前記任意の条件は前記陸運、海運及び空運の配送納期の組み合わせが指定期間を満たすことを含むことを特徴とする請求項1乃至記載の貿易物流配送手配システム。
【請求項6】
前記任意の条件は前記陸運、海運及び空運のそれぞれの残余積載量が所定範囲であることを含むことを特徴とする請求項1乃至の貿易物流配送手配システム。
【請求項7】
前記計算部は、更に、当該物品の商品金額と、当該物品を貿易物流するための陸運、海運及び空運の配送料の組み合わせが最も安くなる貿易物流業者の組み合わせを計算する請求項2に記載の貿易物流配送手配システム。
【請求項8】
前記手配部は、更に、前記物品の配送に必要な信用状、船荷証券、保険証書、為替手形、等の情報を作成することを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の貿易物流配送手配システム。
【請求項9】
前記計算部は、更に、運搬時の為替を考慮して、最も安くなる貿易物流業者の組み合わせを計算することを特徴とする請求項2乃至の何れか一項に記載の貿易物流配送手配システム。
【請求項10】
前記所定の条件を満たす場合とは、前記物品の在庫数がある閾値を下回った場合であり、その場合に、所定の在庫数以上になるように前記物品の配送個数を手配することを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の貿易物流配送手配システム。
【請求項11】
前記台帳が、分散台帳であることを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の貿易物流配送手配システム。
【請求項12】
物品を貿易物流するための陸運、海運及び空運の組み合わせが任意の条件を満たすように配送を手配する貿易物流配送手配方法であって、
顧客が保管している物品の物品情報を取得するステップと、
前記取得した物品情報を台帳に記入するステップと、
前記台帳に記入した物品情報を参照して、前記物品の在庫数が所定の条件を満たす場合に、当該物品を貿易物流するための陸運、海運及び空運の組み合わせが任意の条件を満たす貿易物流業者の組み合わせを計算するステップと、
前記計算した組み合わせが任意の条件を満たす貿易物流業者に、前記顧客に届けるように前記物品の配送を手配するステップと、
を備え、
前記任意の条件は前記陸運、海運及び空運の各残余積載量が最も大きくなることであることを特徴とする貿易物流配送手配方法。
【請求項13】
物品を貿易物流するための陸運、海運及び空運の組み合わせが任意の条件を満たすように配送を手配するコンピュータに、
顧客が保管している物品の物品情報を取得するステップ、
前記取得した物品情報を台帳に記入するステップ、
前記台帳に記入した物品情報を参照して、前記物品の在庫数が所定の条件を満たす場合に、当該物品を貿易物流するための陸運、海運及び空運の組み合わせが任意の条件を満たす貿易物流業者の組み合わせを計算するステップ、
前記計算した組み合わせが任意の条件を満たす貿易物流業者に、前記顧客に届けるように前記物品の配送を手配するステップ、
を実行させるためであり、
前記任意の条件は前記陸運、海運及び空運の各残余積載量が最も大きくなることであるコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の在庫管理と貿易物流手配の手間を、一度に解決する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物流の手間を減らす技術が注目されている。例えば、特許文献1では、商品の輸出者及び輸入者の双方が、出荷された商品の現在の状況や最新の通過地などを正確に把握でき、且つ、その情報を自身の在庫情報に組み入れることによって、輸入者における在庫を適正に管理可能とすることで、貿易取引に関わる各企業の手間を低減する技術が開示されている。
【0003】
また、特許文献2では、物品の手配を行うにあたり、その物品の手配に関するパラメータの設定情報に基づいて計算した物品の発注数量に応じて物品の在庫数量をシミュレーションして、物品の在庫管理に係る総コストを計算することで手配方式を選定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-85315号公報
【文献】特開2017-199282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
物品の在庫が少なくなった時に、該当の物品が海外にある場合には、貿易物流で物品を取り寄せなければならないが、貿易物流では、複数の国を跨ぎ、複数の物流業者が入り乱れるため、任意の条件、例えば、最もコストが低く貿易物流の配送を手配することが難しい。そのため、物品の在庫管理と最安の貿易物流手配の手間を、一度に解決する技術が求められている。
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の技術では、物品の在庫管理と任意の条件を満たす貿易物流手配の手間を、一度に解決することはできない。
【0007】
そこで、本発明は、分散台帳を利用して、物品の在庫管理と所望する任意の条件を満たす貿易物流手配の手間を、一度に解決する貿易物流配送手配システム、貿易物流配送手配方法、及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0009】
第1の特徴に係る発明は、
物品を貿易物流するための陸運、海運及び空運の組み合わせが任意の条件を満たすように配送を手配する貿易物流配送手配システムであって、
顧客が保管している物品の物品情報を取得する取得部と、
前記取得した物品情報を台帳に記入する記入部と、
前記台帳に記入した物品情報を参照して、前記物品の在庫数が所定の条件を満たす場合に、当該物品を貿易物流するための陸運、海運及び空運の組み合わせが任意の条件を満たす貿易物流業者の組み合わせを計算する計算部と、
前記計算した組み合わせが任意の条件を満たす貿易物流業者に、前記顧客に届けるように前記物品の配送を手配する手配部と、
を備え、
前記任意の条件は前記陸運、海運及び空運の各残余積載量が最も大きくなることであることを特徴とする貿易物流配送手配システムを提供する。
【0010】
第1の特徴に係る発明によれば、物品を貿易物流するための陸運、海運及び空運の組み合わせが任意の条件を満たすように配送を手配する貿易物流配送手配システムにおいて、顧客が保管している物品の物品情報を取得する取得部と、前記取得した物品情報を台帳に記入する記入部と、前記台帳に記入した物品情報を参照して、前記物品の在庫数が所定の条件を満たす場合に、当該物品を貿易物流するための陸運、海運及び空運の組み合わせが任意の条件を満たす貿易物流業者の組み合わせを計算する計算部と、前記計算した組み合わせが任意の条件を満たす貿易物流業者に、前記顧客に届けるように前記物品の配送を手配する手配部と、を備える。
【0011】
第1の特徴に係る発明は、貿易物流配送手配システムのカテゴリであるが、貿易物流配送手配方法、及びプログラムであっても同様の作用、効果を奏する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、分散台帳を利用して、物品の在庫管理と任意の条件を満たす貿易物流手配の手間を、一度に解決する貿易物流配送手配システム、貿易物流配送手配方法、及びそのプログラムを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】貿易物流配送手配システム1の概要を説明する図である。
図2】貿易物流配送手配システム1の機能構成を示す図である。
図3】貿易物流配送手配システム1が実行する貿易物流配送手配処理を示す図である。
図4】貿易物流配送手配システム1が実行する配送料判定処理を示す図である。
図5】貿易物流配送手配システム1が実行する環境負荷判定処理を示す図である。
図6】納期判定処理を行う場合の貿易物流配送手配システム1の機能構成を示す図である。
図7】貿易物流配送手配システム1が実行する納期判定処理を示す図である。
図8】貿易物流配送手配システム1が実行する残余積載量判定処理を示す図である。
図9】分散台帳200に保持されるデータの一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号又は符号を付している。
【0015】
[基本概念/基本構成]
図1は、貿易物流配送手配システム1の概要を説明するための図である。貿易物流配送手配システム1は、台帳200を参照して、任意の条件を満たす、例えば、顧客300の物品10を貿易物流するための、貿易物流業者400の配送料の組み合わせが最も安くなるように配送を手配する貿易物流配送手配装置100と、顧客300が利用する顧客端末50とを少なくとも含むシステムである。
【0016】
台帳は、既存のデータベースを備えたシステム等でもよい。また、台帳は、分散台帳200であってもよく、ブロックチェーンやIOTA等の分散台帳である。貿易物流配送手配システム1の構成として、分散台帳200を利用する理由は、分散台帳が、透明性、安全性、改ざん防止性等に優れているためである。また、台帳への記入は、第三者機関を介さずに利用者が行うことができるため、時間や労力やコストの節約にもつながる。記入された情報は、いつでも利用者の閲覧可能であるため透明性が高く、世界中に台帳(ノード)があるため攻撃されにくく安全性や改ざん防止性も高い。
【0017】
顧客300は、物品10の在庫数を適切に管理して、在庫数が足りない場合には、貿易物流によって、できるだけ安く物品10を取り寄せたい店舗や工場等であり、貿易物流配送手配システム1のユーザである。
【0018】
貿易物流業者400は、物品10を貿易物流によって配送する、陸運、海運、空運等の各国の配送業者である。
【0019】
陸運、海運、空運の組み合わせが任意の条件を満たす例として、任意の条件が「配送料が最も安い」場合で概要を説明する。すなわち、貿易物流配送手配装置100は、貿易物流配送手配システム1を使用する顧客300の物品10の在庫数を適切に管理して、物品10を貿易物流するための貿易物流業者400の配送料の組み合わせが最も安くなるように配送を手配する。
【0020】
最初に、貿易物流配送手配装置100は、顧客300が保管している物品10の物品情報を取得する(ステップS01)。ここで、物品情報とは、物品名、在庫数、保管場所、大きさ、重量等、物品10の配送を手配するために必要な情報を含むものとする。物品情報を取得するタイミングは、「毎日●時に取得する」、「〇曜日の●時に取得する」、「〇日おきに取得する」、「毎月〇日に取得する」等、定期的に行ってもよいし、物品情報が更新されたタイミングで行ってもよい。物品情報を取得するタイミングは、顧客300のニーズにあわせて設定可能としてよい。
【0021】
次に、貿易物流配送手配装置100は、取得した物品10の物品情報を、分散台帳200に記入する(ステップS02)。
【0022】
次に、貿易物流配送手配装置100は、ステップS02で分散台帳200に記入した物品情報を参照して、物品10の在庫数が所定の条件を満たす場合に、物品10を貿易物流するための陸運、海運及び空運の配送料の組み合わせが最も安くなる貿易物流業者400の組み合わせを計算する(ステップS03)。ここで、物品10の在庫数が所定の条件を満たす場合とは、例えば、物品10の在庫数がある閾値を下回った場合等である。物品10の在庫数がある閾値を下回った場合に、在庫が一定数以上になるように物品10の配送個数を手配するものとする。例えば、物品10の閾値を50個、一定数を100個とした場合、物品10を大量に使用して、在庫数が43個になったとしたら、一定数の100個となるように、57個を必要数として手配する。また、物品10の貿易物流を手配するために、物品情報を基に、物品10の物品名、必要数、配送先となる保管場所をデータとして抽出する。抽出したデータを基に、物品10がどの国のどの業者から入手可能か、その業者から物品10を貿易物流するための陸運、海運、空運を行う貿易物流業者400はどこか、また貿易物流業者400の各配送料はいくらか、等を検索し、配送料の組み合わせが最も安くなる貿易物流業者400の組み合わせを計算する。ここでの検索先は、インターネットであってもよいし、貿易物流配送手配システム1が物品10の業者、貿易物流業者400、貿易物流業者400の配送料、等のデータベースを備えてそのデータベースを検索先としてもよい。
【0023】
最後に、貿易物流配送手配装置100は、計算した配送料の組み合わせが最も安くなる貿易物流業者400に、顧客300に物品10を必要数だけ届けるように、配送を手配する(ステップS04)。ここで、貿易物流業者400が複数存在する場合には、そのそれぞれに対して、「いつ、どこで、物品10(物品名、個数)を、誰から受け取って、いつ、どこに配送して、誰に渡すのか」が分かるように手配するものとする。図1では、陸運業者A、陸運業者B、海運業者P、空運業者Xの組み合わせが最も安くなるため、これらの貿易物流業者400に対して、配送を手配する。
【0024】
このような貿易物流配送手配システム1によれば、顧客300は、物品10の在庫管理と貿易物流手配の手間を、一度に解決することが可能となる。
【0025】
[機能構成]
図2に基づいて、貿易物流配送手配システム1の機能構成について説明する。貿易物流配送手配システム1は、貿易物流配送手配装置100と、この貿易物流配送手配装置100とネットワーク3を介して通信可能に接続された顧客端末50と、分散台帳200と、を備える。貿易物流配送手配装置100は、実在する装置に限らず、仮想的な装置であってもよい。また、貿易物流配送手配システム1は、その他の端末や装置類等が含まれていてよい。この場合、貿易物流配送手配システム1は、後述する処理を、貿易物流配送手配装置100、顧客端末50、分散台帳200や、その他の端末、装置の何れか又は複数の組み合わせにより構成される。
【0026】
貿易物流配送手配装置100は、貿易物流配送手配システム1を運営する会社等により管理されるサーバ機能を有するコンピュータやパーソナルコンピュータ等であり、上述した顧客端末50や分散台帳200、その他の端末や装置類等と、公衆回線網等のネットワーク3を介してデータ通信可能に接続されており、必要なデータの送受信や各種処理を実行する。
【0027】
貿易物流配送手配装置100は、例えば、1台のコンピュータで実現されてもよいし、クラウドコンピュータのように、複数のコンピュータで実現されてもよい。本明細書におけるクラウドコンピュータとは、ある特定の機能を果たす際に、任意のコンピュータをスケーラブルに用いるものや、あるシステムを実現するために複数の機能モジュールを含み、その機能を自由に組み合わせて用いるものの何れであってもよい。
【0028】
貿易物流配送手配装置100は、制御部(非図示)として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、通信部(非図示)として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイス、例えば、IEEE802.11に準拠したWi―Fi(Wireless―Fidelity)対応デバイス等を備える。また、貿易物流配送手配装置100は、記憶部(非図示)として、ハードディスクや半導体メモリ、記憶媒体、メモリカード等によるデータのストレージ部を備える。また、貿易物流配送手配装置100は、処理部(非図示)として、各種処理を実行する各種デバイス等を備える。
【0029】
貿易物流配送手配装置100において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部、記憶部、処理部と協働して、取得モジュール101、記入モジュール102、計算モジュール103、手配モジュール104を実現する。
【0030】
顧客端末50は、顧客300が所持するパーソナルコンピュータ、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末やスマートグラス等のヘッドマウントディスプレイ等のウェアラブル端末等であり、上述した貿易物流配送手配装置100と、ネットワーク3を介してデータ通信可能に接続されており、必要なデータの送受信や各種処理を実行する。
【0031】
顧客端末50は、端末制御部51として、上述した貿易物流配送手配装置100における制御部と同様に、CPU、GPU、RAM、ROM等を備える。また、顧客端末50は、入出力部52として、データ等を入出力する入出力デバイス等を備える。また、顧客端末50は、通信部53として、貿易物流配送手配装置100と通信可能にするためのデバイス等を備える。
【0032】
分散台帳200が分散記憶する情報について図9に基づいて説明する。図9は、分散台帳200に保持されるデータの一例示す概念図である。分散台帳の一例として、ブロックチェーン技術が挙げられる。本実施形態では、物品10の物品情報や物流の配送等に関わる各種データ(配送料データ、環境負荷に関するデータ、納期に関する日時データ、貨物輸送機毎の積載量に関するデータ等)を分散記憶させる。
【0033】
図9において、第nのブロックは、ブロックチェーンの末尾のブロックを表し、第n+1は、第nまでのブロックが登録されたブロックチェーンに対して、追加しようとしている生成中のブロックを表している。第nのブロックは、前ブロックのハッシュ値、ブロックに固有のナンス値、物品情報を含む。
【0034】
第nまでのブロックが登録されたブロックチェーンに対して、新たなブロックを追加しようとする場合、計算モジュール103は、そのブロックのハッシュ値が特定の条件を満たすようなナンス値を求める計算を行う。記入モジュール102は、計算結果に基づいて、前ブロックのハッシュ値、ナンス値、物品情報を含む新たなブロックをブロックチェーンに登録する。
【0035】
なお、本実施形態では、分散台帳の一例として、ブロックチェーンを利用した形態について説明したが、本発明における分散台帳は、ブロックチェーンに限られるものではない。
【0036】
[貿易物流配送手配処理]
図3に基づいて、貿易物流配送手配装置100と、顧客端末50とが実行する貿易物流配送手配処理について説明する。図3は、貿易物流配送手配装置100と、顧客端末50とが実行する貿易物流配送手配処理のフローチャートを示す図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。なお、図2では、取得モジュール101、記入モジュール102、計算モジュール103、手配モジュール104は貿易物流配送手配装置100上で動作するように図示したが、これらのモジュールは、顧客端末50の端末制御部51が所定のプログラムを読み込むことにより、入出力部52、通信部53と協働して、顧客端末50上で動作してもよい。
【0037】
最初に、顧客300の顧客端末50は、物品10の物品情報を貿易物流配送手配装置100に対して送信する(ステップS301)。ここで、物品情報とは、物品名、在庫数、保管場所、等、物品10の配送を手配するために必要な情報を含むものとする。物品情報を送信するタイミングは、「毎日●時に取得する」、「〇曜日の●時に取得する」、「〇日おきに取得する」、「毎月〇日に取得する」等、定期的に行ってもよいし、物品情報が更新されたタイミングで行ってもよい。物品情報を送信するタイミングは、顧客300のニーズにあわせて設定可能としてよい。
【0038】
次に、貿易物流配送手配装置100の取得モジュール101は、物品情報を受信する(ステップS302)。図3では、顧客端末50から物品情報を送信するフローを記載したが、貿易物流配送手配装置100の取得モジュール101が、顧客端末50に対して、物品情報を問い合わせる構成としてもよい。その場合も、物品情報を問い合わせるタイミングは、顧客300のニーズにあわせて設定可能としてよい。
【0039】
次に、貿易物流配送手配装置100の記入モジュール102は、ステップS302で取得した物品10の物品情報を、分散台帳200に記入する(ステップS303)。
【0040】
次に、貿易物流配送手配装置100の計算モジュール103は、ステップS303で分散台帳200に記入した物品情報を参照して、物品10の在庫数が所定の条件を満たすかどうか確認する(ステップS304)。ここで、物品10の在庫数が所定の条件を満たす場合とは、例えば、物品10の在庫数がある閾値を下回った場合等である。物品10の在庫数がある閾値を下回った場合に、在庫が一定数以上になるように物品10の配送個数を手配するものとする。例えば、物品10の閾値を50個、一定数を100個とした場合、物品10を大量に使用して、在庫数が43個になったとしたら、一定数の100個となるように、57個を必要数として手配する。物品10の在庫数が所定の条件を満たす場合にはステップS305へと進み、所定の条件を満たさない場合にはステップS302の前へと戻る。
【0041】
計算モジュール103は、物品10の在庫数が所定の条件を満たす場合、物品10を貿易物流するための陸運、海運及び空運の組み合わせが任意の条件を満たす貿易物流業者400の組み合わせを計算する(ステップS305)。物品10の貿易物流を手配するために、物品情報を基に、物品10の物品名、必要数、配送先となる保管場所、荷物量をデータとして抽出する。抽出したデータを基に、物品10がどの国のどの業者から入手可能か、その業者から物品10を貿易物流するための陸運、海運、空運を行う貿易物流業者400はどこか等を検索し、任意の条件を満たす貿易物流業者400の組み合わせを計算する。ここでの検索先は、インターネットであってもよいし、貿易物流配送手配システム1が物品10の業者、貿易物流業者400、貿易物流業者400の配送料、等のデータベースを備えてそのデータベースを検索先としてもよい。
【0042】
最後に、貿易物流配送手配装置100の手配モジュール104は、任意の条件を満たす貿易物流業者400に、顧客300に物品10を必要数だけ届けるように、配送を手配する(ステップS306)。ここで、貿易物流業者400が複数存在する場合には、そのそれぞれに対して、「いつ、どこで、物品10(物品名、個数)を、誰から受け取って、いつ、どこに配送して、誰に渡すのか」が分かるように手配するものとする。また、手配モジュール104は、物品10の配送に必要な信用状、船荷証券、保険証書、為替手形、等の情報を作成してもよい。これらの情報を作成して貿易物流業者400に提供することで、確実な配送を手配することが可能となる。
【0043】
このように貿易物流配送手配システム1によれば、顧客300は、物品10の在庫管理と貿易物流手配の手間を、一度に解決することが可能となる。
【0044】
以上が、貿易物流配送手配処理である。
【0045】
ここで、任意の条件は、配送料条件、環境負荷条件、配送納期条件、残余積載量条件を含む。配送料条件は配送料の上限や範囲又は最も安くなる配送料を指定する条件である。環境負荷条件は例えば二酸化炭素や窒素酸化物など、貨物輸送機が排出するガスの排出量の上限や範囲又は最も低くなる排出量を指定する条件である。配送納期条件は、荷物の納品時期の期限や範囲又は最も早い時期を指定する条件である。残余積載量条件は、陸運、海運、空運の残余積載量について下限や範囲、最も大きいことを指定する条件である。
これら任意条件は、顧客が顧客端末50に入力して貿易物流配送手配装置100へ送信される。
【0046】
[配送料判定処理]
図4に基づいて、貿易物流配送手配装置100と、顧客端末50とが実行する配送料判定処理について説明する。図4は、貿易物流配送手配装置100と、顧客端末50とが実行する貿易物流配送手配処理のフローチャートを示す図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。なお、図2では、取得モジュール101、記入モジュール102、計算モジュール103、手配モジュール104は貿易物流配送手配装置100上で動作するように図示したが、これらのモジュールは、顧客端末50の端末制御部51が所定のプログラムを読み込むことにより、入出力部52、通信部53と協働して、顧客端末50上で動作してもよい。
【0047】
最初に、顧客300の顧客端末50は、物品10の物品情報を貿易物流配送手配装置100に対して送信する(ステップS311)。ここで、物品情報とは、物品名、在庫数、保管場所、等、物品10の配送を手配するために必要な情報を含むものとする。物品情報を送信するタイミングは、「毎日●時に取得する」、「〇曜日の●時に取得する」、「〇日おきに取得する」、「毎月〇日に取得する」等、定期的に行ってもよいし、物品情報が更新されたタイミングで行ってもよい。物品情報を送信するタイミングは、顧客300のニーズにあわせて設定可能としてよい。
【0048】
次に、貿易物流配送手配装置100の取得モジュール101は、物品情報を受信する(ステップS312)。図4では、顧客端末50から物品情報を送信するフローを記載したが、貿易物流配送手配装置100の取得モジュール101が、顧客端末50に対して、物品情報を問い合わせる構成としてもよい。その場合も、物品情報を問い合わせるタイミングは、顧客300のニーズにあわせて設定可能としてよい。
【0049】
次に、貿易物流配送手配装置100の記入モジュール102は、ステップS312で取得した物品10の物品情報を、分散台帳200に記入する(ステップS313)。
【0050】
次に、貿易物流配送手配装置100の計算モジュール103は、ステップS313で分散台帳200に記入した物品情報を参照して、物品10の在庫数が所定の条件を満たすかどうか確認する(ステップS314)。ここで、物品10の在庫数が所定の条件を満たす場合とは、例えば、物品10の在庫数がある閾値を下回った場合等である。物品10の在庫数がある閾値を下回った場合に、在庫が一定数以上になるように物品10の配送個数を手配するものとする。例えば、物品10の閾値を50個、一定数を100個とした場合、物品10を大量に使用して、在庫数が43個になったとしたら、一定数の100個となるように、57個を必要数として手配する。物品10の在庫数が所定の条件を満たす場合にはステップS315へと進み、所定の条件を満たさない場合にはステップS312の前へと戻る。
【0051】
計算モジュール103は、物品10の在庫数が所定の条件を満たす場合、物品10を貿易物流するための陸運、海運及び空運の配送料の組み合わせが最も安くなる貿易物流業者400の組み合わせを計算する(ステップS315)。物品10の貿易物流を手配するために、物品情報を基に、物品10の物品名、必要数、配送先となる保管場所、荷物量をデータとして抽出する。抽出したデータを基に、物品10がどの国のどの業者から入手可能か、その業者から物品10を貿易物流するための陸運、海運、空運を行う貿易物流業者400はどこか、また貿易物流業者400の各配送料はいくらか、等を検索し、配送料の組み合わせが最も安くなる貿易物流業者400の組み合わせを計算する。ここでの検索先は、インターネットであってもよいし、貿易物流配送手配システム1が物品10の業者、貿易物流業者400、貿易物流業者400の配送料、等のデータベースを備えてそのデータベースを検索先としてもよい。
【0052】
最後に、貿易物流配送手配装置100の手配モジュール104は、計算した配送料の組み合わせが最も安くなる貿易物流業者400に、顧客300に物品10を必要数だけ届けるように、配送を手配する(ステップS316)。ここで、貿易物流業者400が複数存在する場合には、そのそれぞれに対して、「いつ、どこで、物品10(物品名、個数)を、誰から受け取って、いつ、どこに配送して、誰に渡すのか」が分かるように手配するものとする。また、手配モジュール104は、物品10の配送に必要な信用状、船荷証券、保険証書、為替手形、等の情報を作成してもよい。これらの情報を作成して貿易物流業者400に提供することで、確実な配送を手配することが可能となる。
【0053】
このように貿易物流配送手配システム1によれば、顧客300は、物品10の在庫管理と最安の貿易物流手配の手間を、一度に解決することが可能となる。
【0054】
図4のフローチャートでは、物品10の配送料の組み合わせが最も安くなる貿易物流業者400の組み合わせを計算する場合について示したが、物品10の商品金額と配送料の組み合わせが最も安くなる貿易物流業者400の組み合わせを計算することとしてもよい。物品10を取り扱う業者が複数ある場合、業者によって物品10の商品金額が異なることが考えられる。また、業者の立地によって、配送先までの距離や貿易物流業者400の組み合わせも異なってくる。さらに、業者の所在地の国が異なる場合には、通貨の違いによる為替も考慮する必要がある。これらすべてを考慮して計算することで、顧客300が、最も安いコストで、在庫を適切に管理することができる。例えば、商品である物品10を日本の業者で手配して、日本→アメリカ→ブラジルと貿易物流させるルートより、物品10をインドネシアの業者で手配して、インドネシア→エクアドル→ブラジルと貿易物流させるルートの方が、物品10の金額や、為替を考慮して合計金額が安いなら、インドネシア→エクアドル→ブラジルのルートを手配するようにする。
【0055】
[環境負荷判定処理]
図5に基づいて、貿易物流配送手配装置100と、顧客端末50とが実行する配送納期判定処理について説明する。図5は、貿易物流配送手配装置100と、顧客端末50とが実行する貿易物流配送手配処理のフローチャートを示す図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。なお、図2では、取得モジュール101、記入モジュール102、計算モジュール103、手配モジュール104は貿易物流配送手配装置100上で動作するように図示したが、これらのモジュールは、顧客端末50の端末制御部51が所定のプログラムを読み込むことにより、入出力部52、通信部53と協働して、顧客端末50上で動作してもよい。
【0056】
最初に、顧客300の顧客端末50は、物品10の物品情報を貿易物流配送手配装置100に対して送信する(ステップS321)。ここで、物品情報とは、物品名、在庫数、保管場所、等、物品10の配送を手配するために必要な情報を含むものとする。物品情報を送信するタイミングは、「毎日●時に取得する」、「〇曜日の●時に取得する」、「〇日おきに取得する」、「毎月〇日に取得する」等、定期的に行ってもよいし、物品情報が更新されたタイミングで行ってもよい。物品情報を送信するタイミングは、顧客300のニーズにあわせて設定可能としてよい。
【0057】
次に、貿易物流配送手配装置100の取得モジュール101は、物品情報を受信する(ステップS322)。図5では、顧客端末50から物品情報を送信するフローを記載したが、貿易物流配送手配装置100の取得モジュール101が、顧客端末50に対して、物品情報を問い合わせる構成としてもよい。その場合も、物品情報を問い合わせるタイミングは、顧客300のニーズにあわせて設定可能としてよい。
【0058】
次に、貿易物流配送手配装置100の記入モジュール102は、ステップS322で取得した物品10の物品情報を、分散台帳200に記入する(ステップS323)。
【0059】
次に、貿易物流配送手配装置100の計算モジュール103は、ステップS323で分散台帳200に記入した物品情報を参照して、物品10の在庫数が所定の条件を満たすかどうか確認する(ステップS324)。ここで、物品10の在庫数が所定の条件を満たす場合とは、例えば、物品10の在庫数がある閾値を下回った場合等である。物品10の在庫数がある閾値を下回った場合に、在庫が一定数以上になるように物品10の配送個数を手配するものとする。例えば、物品10の閾値を50個、一定数を100個とした場合、物品10を大量に使用して、在庫数が43個になったとしたら、一定数の100個となるように、57個を必要数として手配する。物品10の在庫数が所定の条件を満たす場合にはステップS325へと進み、所定の条件を満たさない場合にはステップS322の前へと戻る。
【0060】
計算モジュール103は、物品10の在庫数が所定の条件を満たす場合、物品10を貿易物流するための陸運、海運及び空運の環境負荷の組み合わせが最も低くなる貿易物流業者400の組み合わせを計算する(ステップS325)。物品10の貿易物流を手配するために、物品情報を基に、物品10の物品名、必要数、配送先となる保管場所、荷物量をデータとして抽出する。抽出したデータを基に、物品10がどの国のどの業者から入手可能か、その業者から物品10を貿易物流するための陸運、海運、空運を行う貿易物流業者400はどこか、また貿易物流業者400の各環境負荷はいくらか、等を検索し、環境負荷の組み合わせが最も低くなる貿易物流業者400の組み合わせを計算する。ここでの検索先は、インターネットであってもよいし、貿易物流配送手配システム1が物品10の業者、貿易物流業者400、貿易物流業者400の環境負荷、等のデータベースを備えてそのデータベースを検索先としてもよい。
【0061】
最後に、貿易物流配送手配装置100の手配モジュール104は、計算した環境負荷の組み合わせが最も低くなる貿易物流業者400に、顧客300に物品10を必要数だけ届けるように、配送を手配する(ステップS326)。ここで、貿易物流業者400が複数存在する場合には、そのそれぞれに対して、「いつ、どこで、物品10(物品名、個数)を、誰から受け取って、いつ、どこに配送して、誰に渡すのか」が分かるように手配するものとする。また、手配モジュール104は、物品10の配送に必要な信用状、船荷証券、保険証書、為替手形、等の情報を作成してもよい。これらの情報を作成して貿易物流業者400に提供することで、確実な配送を手配することが可能となる。
【0062】
このように貿易物流配送手配システム1によれば、顧客300は、物品10の在庫管理と環境負荷が低い貿易物流を手配する手間を、一度に解決することが可能となる。
【0063】
[納期判定処理を行う場合の機能構成]
図6に基づいて、納期判定処理を行う場合の貿易物流配送手配システム1の機能構成について説明する。図6は、納期判定処理を行う場合の貿易物流配送手配システム1の機能構成を示す図である。図2の機能構成に加えて、貿易物流配送手配装置100において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部、記憶部、処理部と協働して、納期判定モジュール105を実現する。以下では、それぞれのモジュールを実現する場合の処理について、詳しく説明する。
【0064】
[納期判定処理]
図7に基づいて、貿易物流配送手配装置100と、顧客端末50とが実行する納期判定処理について説明する。図7は、貿易物流配送手配システム1が実行する納期判定処理のフローチャートを示す図である。ここでは、図2の構成に加えて、貿易物流配送手配装置100の制御部が、通信部、記憶部、処理部と協働して、納期判定モジュール105を実現するものとする。また、納期判定モジュール105は、顧客端末50の端末制御部51が所定のプログラムを読み込むことにより、入出力部52、通信部53と協働して、顧客端末50上で動作してもよい。
【0065】
図7のフローチャートのステップS501からステップS505は、図4のステップS311からステップS315に相当する。そのため、ここでは、ステップS506以降について、詳しく説明する。
【0066】
物品10を貿易物流するための陸運、海運及び空運の配送料の組み合わせが最も安くなる貿易物流業者400の組み合わせを計算した後、貿易物流配送手配装置100の納期判定モジュール105は、物品10を貿易物流するための陸運、海運及び空運の組み合わせによる納期が、配送納期を満たすかどうかを判定する(ステップS506)。配送納期は、物品情報に、「何日以内に手配が必要」という条件を含めてもよいし、ステップS501で物品情報を送信する際に、顧客300が顧客端末50を介して、配送納期を「****年**月**日」と指定してもよい。ここでは、配送料の組み合わせが安い順に、配送納期を満たすかどうかを判定すればよい。
【0067】
最後に、貿易物流配送手配装置100の手配モジュール104は、配送納期を満たす中で配送料の組み合わせが最も安くなる貿易物流業者400に、顧客300に物品10を必要数だけ届けるように、配送を手配する(ステップS507)。ここで、貿易物流業者400が複数存在する場合には、そのそれぞれに対して、「いつ、どこで、物品10(物品名、個数)を、誰から受け取って、いつ、どこに配送して、誰に渡すのか」が分かるように手配するものとする。
【0068】
図7では、配送納期を満たす中で、最も安い組み合わせとなる貿易物流業者400に配送を手配するフローチャートを示したが、貿易物流配送手配システム1は、別の設定として、「配送料に関わらず納期が一番早い貿易物流業者400の組み合わせ」を指定可能としてもよい。その場合、ステップS505とステップS506の順番を入れ替えて、納期が最も早くなる貿易物流業者400の組み合わせを求めてから、配送料の組み合わせを計算すればよい。
【0069】
このように貿易物流配送手配システム1によれば、物品10が必要な在庫数となるよう、配送納期を満たす中で、最も安い組み合わせとなる貿易物流業者400を手配することが可能となり、顧客300は、物品10の在庫管理と最安の貿易物流手配の手間を、一度に解決することが可能となる。
【0070】
以上が、納期判定処理である。
【0071】
[残余積載量判定処理]
図8に基づいて、貿易物流配送手配装置100と、顧客端末50とが実行する残余積載量判定処理について説明する。図8は、貿易物流配送手配装置100と、顧客端末50とが実行する貿易物流配送手配処理のフローチャートを示す図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。
【0072】
最初に、顧客300の顧客端末50は、物品10の物品情報を貿易物流配送手配装置100に対して送信する(ステップS351)。ここで、物品情報とは、物品名、在庫数、保管場所、等、物品10の配送を手配するために必要な情報を含むものとする。物品情報を送信するタイミングは、「毎日●時に取得する」、「〇曜日の●時に取得する」、「〇日おきに取得する」、「毎月〇日に取得する」等、定期的に行ってもよいし、物品情報が更新されたタイミングで行ってもよい。物品情報を送信するタイミングは、顧客300のニーズにあわせて設定可能としてよい。
【0073】
次に、貿易物流配送手配装置100の取得モジュール101は、物品情報を受信する(ステップS352)。図8では、顧客端末50から物品情報を送信するフローを記載したが、貿易物流配送手配装置100の取得モジュール101が、顧客端末50に対して、物品情報を問い合わせる構成としてもよい。その場合も、物品情報を問い合わせるタイミングは、顧客300のニーズにあわせて設定可能としてよい。
【0074】
次に、貿易物流配送手配装置100の記入モジュール102は、ステップS352で取得した物品10の物品情報を、分散台帳200に記入する(ステップS353)。
【0075】
次に、貿易物流配送手配装置100の計算モジュール103は、ステップS353で分散台帳200に記入した物品情報を参照して、物品10の在庫数が所定の条件を満たすかどうか確認する(ステップS354)。ここで、物品10の在庫数が所定の条件を満たす場合とは、例えば、物品10の在庫数がある閾値を下回った場合等である。物品10の在庫数がある閾値を下回った場合に、在庫が一定数以上になるように物品10の配送個数を手配するものとする。例えば、物品10の閾値を50個、一定数を100個とした場合、物品10を大量に使用して、在庫数が43個になったとしたら、一定数の100個となるように、57個を必要数として手配する。物品10の在庫数が所定の条件を満たす場合にはステップS355へと進み、所定の条件を満たさない場合にはステップS352の前へと戻る。
【0076】
計算モジュール103は、物品10の在庫数が所定の条件を満たす場合、物品10を貿易物流するための陸運、海運及び空運の各残余積載量が最も大きくなる貿易物流業者400の組み合わせを計算する(ステップS355)。物品10の貿易物流を手配するために、物品情報を基に、物品10の物品名、必要数、配送先となる保管場所、荷物量をデータとして抽出する。抽出したデータを基に、物品10がどの国のどの業者から入手可能か、その業者から物品10を貿易物流するための陸運、海運、空運を行う貿易物流業者400はどこか、また貿易物流業者400の各配送料はいくらか、等を検索し、各残余積載量が最も大きくなる貿易物流業者400の組み合わせを計算する。ここでの検索先は、インターネットであってもよいし、貿易物流配送手配システム1が物品10の業者、貿易物流業者400、貿易物流業者400の配送料、等のデータベースを備えてそのデータベースを検索先としてもよい。
【0077】
最後に、貿易物流配送手配装置100の手配モジュール104は、計算した各残余積載量が最も大きくなる貿易物流業者400に、顧客300に物品10を必要数だけ届けるように、配送を手配する(ステップS356)。ここで、貿易物流業者400が複数存在する場合には、そのそれぞれに対して、「いつ、どこで、物品10(物品名、個数)を、誰から受け取って、いつ、どこに配送して、誰に渡すのか」が分かるように手配するものとする。また、手配モジュール104は、物品10の配送に必要な信用状、船荷証券、保険証書、為替手形、等の情報を作成してもよい。これらの情報を作成して貿易物流業者400に提供することで、確実な配送を手配することが可能となる。
【0078】
このように貿易物流配送手配システム1によれば、顧客300は、物品10の在庫管理と貿易物流手配の手間を、一度に解決することが可能となる。
【0079】
以上が、残余積載量判定処理である。
【0080】
ここで、残余積載量は、陸運、海運、空運に用いられる貨物輸送機の輸送可能な容量及び重量をいう。一の貨物輸送機において算出すると、残余積載量=最大積載量―荷物量である。つまり、残余積載量は、貨物輸送機の荷室にどの程度の荷物が載せられるかを示し、具体的には、縦、横、高さの寸法と積載可能重量で表示される。例えば、大型トラックの荷室の最大積載量が9500mm,2400mm,2400mm,25000kgであり、そのトラックが既に受注した荷物の積載量(以下、荷物量という)が、5000mm,1000mm,1000mm,14000kgである場合、残余積載量は、4500mm,1400mm,1400mm,11000kgとして表示される。そして、荷物量と比較して、積載可能か否かが判定される。空運、海運も同様に判定される。
【0081】
各残余積載量が大きくなる貿易物流業者とは、例えばある荷物の配送に陸運事業者、海運事業者、空運事業者が必要である場合、残余積載量が最も大きい貨物輸送機を保有する陸運事業者、海運事業者、空運事業者がそれぞれデータベースから検索され、これらを組み合わせた事業者を意味する。
最大積載量は、運送業者等が予めデータベースに登録されてもよい。また、荷物量は顧客端末50から申請されてもよい。残余積載量は、貿易物流配送システム1がデータベースに登録された最大積載量から顧客端末50から申請された荷物量を減算して求めてもよい。また、残余積載量は、当該荷物を運送する運送業者から申請を受け付けてもよい。この様にすれば、運送業者が緩衝材を荷物の間に加える判断をした場合、それに必要な容量と重量を余剰積載量に反映することができる。この場合、運送業者による残余積載量の申請は、運送業者が図示しない運送業者端末へ余剰積載量を入力して、貿易物流配送システム1へ送信することで行われる。なお、受注した荷物が無い場合、余剰積載量は最大積載量と等しくなる。
残余積載量、最大積載量、荷物量は分散台帳に登録されてもよい。この様にすれば、一部の分散台帳に障害が発生しても貿易物流配送システム1は他の台帳から情報を取得でき、荷物の受注を継続することが可能となる。
【0082】
(1)物品を貿易物流するための陸運、海運及び空運の組み合わせが任意の条件を満たすように配送を手配する貿易物流配送手配システムであって、
顧客が保管している物品の物品情報を取得する取得部と、
前記取得した物品情報を台帳に記入する記入部と、
前記台帳に記入した物品情報を参照して、前記物品の在庫数が所定の条件を満たす場合に、当該物品を貿易物流するための陸運、海運及び空運の組み合わせが任意の条件を満たす貿易物流業者の組み合わせを計算する計算部と、
前記計算した組み合わせが任意の条件を満たす貿易物流業者に、前記顧客に届けるように前記物品の配送を手配する手配部と、
を備えることを特徴とする貿易物流配送手配システム。
【0083】
(2)前記任意の条件は前記陸運、海運及び空運の配送料の組み合わせが最も安くなることであることを特徴とする(1)記載の貿易物流配送手配システム。
【0084】
(3)前記任意の条件は前記陸運、海運及び空運の環境負荷の組み合わせが最も低くなることであることを特徴とする(1)記載の貿易物流配送手配システム。
【0085】
(4)前記任意の条件は前記陸運、海運及び空運の配送納期の組み合わせが最も早くなることであることを特徴とする(1)記載の貿易物流配送手配システム。
【0086】
(5)前記任意の条件は前記陸運、海運及び空運の各残余積載量が最も大きくなることであることを特徴とする(1)の貿易物流配送手配システム。
【0087】
(6)前記任意の条件は前記陸運、海運及び空運の配送納期の組み合わせが指定期間を満たすことを含むことを特徴とする(1)乃至(5)記載の貿易物流配送手配システム。
【0088】
(7)前記任意の条件は前記陸運、海運及び空運のそれぞれの残余積載量が所定範囲であることを含むことを特徴とする(1)乃至(6)の貿易物流配送手配システム。
【0089】
(8)前記計算部は、更に、当該物品の商品金額と、当該物品を貿易物流するための陸運、海運及び空運の配送料の組み合わせが最も安くなる貿易物流業者の組み合わせを計算する(2)に記載の貿易物流配送手配システム。
【0090】
(9)前記手配部は、更に、前記物品の配送に必要な信用状、船荷証券、保険証書、為替手形、等の情報を作成することを特徴とする(1)乃至(8)の何れか一項に記載の貿易物流配送手配システム。
(10)前記計算部は、更に、運搬時の為替を考慮して、最も安くなる貿易物流業者の組み合わせを計算することを特徴とする(2)乃至(9)の何れか一項に記載の貿易物流配送手配システム。
【0091】
(11)前記所定の条件を満たす場合とは、前記物品の在庫数がある閾値を下回った場合であり、その場合に、所定の在庫数以上になるように前記物品の配送個数を手配することを特徴とする(1)乃至(10)の何れか一項に記載の貿易物流配送手配システム。
【0092】
(12)前記台帳が、分散台帳であることを特徴とする(1)乃至(11)の何れか一項に記載の貿易物流配送手配システム。
【0093】
(13)物品を貿易物流するための陸運、海運及び空運の組み合わせが任意の条件を満たすように配送を手配する貿易物流配送手配方法であって、
顧客が保管している物品の物品情報を取得するステップと、
前記取得した物品情報を台帳に記入するステップと、
前記台帳に記入した物品情報を参照して、前記物品の在庫数が所定の条件を満たす場合に、当該物品を貿易物流するための陸運、海運及び空運の組み合わせが任意の条件を満たす貿易物流業者の組み合わせを計算するステップと、
前記計算した組み合わせが任意の条件を満たす貿易物流業者に、前記顧客に届けるように前記物品の配送を手配するステップと、
を備えることを特徴とする貿易物流配送手配方法。
【0094】
(14)物品を貿易物流するための陸運、海運及び空運の組み合わせが任意の条件を満たすように配送を手配するコンピュータに、
顧客が保管している物品の物品情報を取得するステップ、
前記取得した物品情報を台帳に記入するステップ、
前記台帳に記入した物品情報を参照して、前記物品の在庫数が所定の条件を満たす場合に、当該物品を貿易物流するための陸運、海運及び空運の組み合わせが任意の条件を満たす貿易物流業者の組み合わせを計算するステップ、
前記計算した組み合わせが任意の条件を満たす貿易物流業者に、前記顧客に届けるように前記物品の配送を手配するステップ、
を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【0095】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、情報処理装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、コンピュータからネットワーク経由で提供される(SaaS:ソフトウェア・アズ・ア・サービス)形態やクラウドサービスで提供されてよい。また、プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記録装置又は外部記録装置に転送し記録して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記録装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記録装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0096】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0097】
1 貿易物流配送手配システム
3 ネットワーク
10 物品
50 顧客端末
51 端末制御部
52 入出力部
53 通信部
100 貿易物流配送手配装置
101 取得モジュール
102 記入モジュール
103 計算モジュール
104 手配モジュール
105 納期判定モジュール
200 分散台帳
300 顧客
400 貿易物流業者

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9