(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】一時的な気腹の生成に使用する医療機器
(51)【国際特許分類】
A61B 17/34 20060101AFI20250120BHJP
【FI】
A61B17/34
(21)【出願番号】P 2023545727
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(86)【国際出願番号】 US2020065095
(87)【国際公開番号】W WO2022076010
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-12-11
(31)【優先権主張番号】PCT/US2020/054415
(32)【優先日】2020-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523127132
【氏名又は名称】コア アクセス サージカル テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】フォーリー,グレン
(72)【発明者】
【氏名】ヒメネス,オスカー
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-078660(JP,A)
【文献】特開2009-148542(JP,A)
【文献】特開2010-082450(JP,A)
【文献】特表2017-515638(JP,A)
【文献】特表2013-523370(JP,A)
【文献】特表2010-501316(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0049127(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0267202(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0058851(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0175164(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0302826(US,A1)
【文献】米国特許第04633865(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/34
A61B 17/02
A61B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器であって、
手術部位
を囲むように構成された開いた側面を有する凹形状を有する剛性のドームであって、前記剛性のドームが、前記手術部位で原位置のままで医療器械を除去することなく、前記手術部位から前記医療機器の除去を容易にするために第一のドーム部分および第二のドーム部分に分離可能であり、前記剛性のドームが、
前記剛性のドー
ム内の圧力を減少させるために前記剛性のドームの外部の真空源のための流体連通を提供する、前記剛性のドーム内に形成されたドーム真空ポートと、
前記剛性のドーム内に形成され、前記剛性のドーム
内の前記手術部位へのアクセスを提供する開口と、
閉位置で前記第一のドーム部分を前記第二のドーム部分に固定し、解放位置で前記第二のドーム部分から前記第一のドーム部分を解放するように構成されたドーム閉鎖要素と、
前記開口に位置付けられ、前記開口に
貫通可能なバリアを形成して、前記剛性のドーム
内にアクセスするためのセプタムと、
を備える剛性のドームと、
前記剛性のドームの外周で前記剛性のドームに結合されたトーラスチャネルであって、前記トーラスチャネルが、前記剛性のドームの周りに輪を形成して前記手術部位
を囲む部分的トロイダル型の幾何形状を有し、前記トーラスチャネルが、前記手術部位で原位置のままで医療器械を除去することなく、前記手術部位から前記医療機器の除去を容易にするために、第一のチャネル部分および第二のチャネル部分へと分離可能であり、前記トーラスチャネルが、
前記トーラスチャネ
ル内の圧力を減少させるために前記トーラスチャネルの外部の真空源のための流体連通を提供するように、前記トーラスチャネルに形成された、チャネル真空ポートと、
前記第一のチャネル部分を前記第二のチャネル部分に閉位置で固定し、前記第一のドーム部分を前記第二のドーム部分から解放位置で解放するように構成されたチャネル閉鎖要素と、
を備えるトーラスチャネルと、
を備える、医療機器。
【請求項2】
前記トーラスチャネルが、前記剛性のドーム
内に配置される、請求項1に記載の医療機器。
【請求項3】
前記トーラスチャネルが、前記剛性のドームの外部に沿って配置される、請求項1に記載の医療機器。
【請求項4】
前記開口が、前記剛性のドーム
内へのアクセスを提供するために、前記剛性のドーム
の中心で前記剛性のドーム内に形成される、請求項1に記載の医療機器。
【請求項5】
前記剛性のドームまたは前記トーラスチャネルの少なくとも一つが、前記手術部位の特徴のためにサイズ設定される、請求項1に記載の医療機器。
【請求項6】
前記ドーム閉鎖要素および前記チャネル閉鎖要素の少なくとも一つが、前記第一のドーム部分のうちの少なくとも一つを前記第二のドーム部分に、または前記第一のチャネル部分の前記第二のチャネル部分に固定するように構成されたスライダーを含む、請求項1に記載の医療機器。
【請求項7】
前記剛性のドームまたは前記トーラスチャネルのうちの少なくとも一つの中で圧力の損失を低減するための前記ドーム真空ポートまたはチャネル真空ポートのうちの少なくとも一つと適応する真空ポートプラグをさらに備える、請求項1に記載の医療機器。
【請求項8】
手術部位に挿入されるように構成された医療器械と、
前記手術部位に位置付けられる医療機器であって、
トーラスチャネル内の減圧を介して、前記手術部位を安定化させるために、前記医療機器の周辺の外周に位置付けられたトーラスチャネルと、
前記医療機器の中心に位置する剛性のドームであって、
前記剛性のドーム内の減圧を介して、前記手術部位に一時的な気腹を形成し、
前記剛性のドームの開口を通して、前記医療器械を前記剛性のドーム
内に収容して、前記手術部位において前記医療器械を挿入するように構成された、剛性のドームと、
を備える医療機器と、
前記トーラスチャネル内で前記減圧を適用するためのチャネル真空ポート、または前記剛性のドーム内で前記減圧を適用するためのドーム真空ポートのうち少なくとも一つに接続するように構成された真空源と
、
を備えるシステム。
【請求項9】
前記医療器械が、前記手術部位に不活性ガスを注入するように構成される、請求項
8に記載のシステム。
【請求項10】
前記トーラスチャネルが、前記剛性のドーム内
の圧力を減少することなく、前記トーラスチャネル内
の圧力を減少することを可能にするために、前記剛性のドームから空気圧で分離される、請求項
8に記載のシステム。
【請求項11】
前記トーラスチャネルおよび前記剛性のドームが一体的に組み込まれて連続した構造を形成する、請求項
8に記載のシステム。
【請求項12】
前記剛性のドームの前記開口内に配置されたセプタムをさらに備え、前記セプタムの材料が、前記剛性のドーム
内への前記医療器械の
貫通を可能にするために、前記剛性のドームの材料とは異なる、請求項
8に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
腹腔鏡外科処置は、回復時間がより短く、患者の健康への悪影響が低減されるため、多くの場合、開腹術よりも好ましい。腹腔鏡外科処置の一部として、皮膚、組織、および筋肉を、その下にある腹腔内の器官から分離するために、患者の腹部内に一時的な気腹が形成される。これは、患者の腹部に不活性ガス(通常は、針注射を介して供給される二酸化炭素(CO2))を注入することによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0002】
本明細書は、一時的な気腹の生成に使用する医療機器のさまざまな実施例の添付図面と併せて見る時に、より完全に理解されるであろう。説明は、医療機器を特定の実施例に限定することを意図していない。むしろ、図示および記載される特定の実施例は、一時的な気腹の生成に使用する医療機器の説明および理解のために提供される。説明全体を通して、図面は、図面(drawing)、図(figure)および/または図(FIG)と呼ばれる場合がある。
【
図1】
図1は、一つの実施形態による、外部トーラスチャネルによる一時的な気腹の生成に使用する医療機器の斜視図を示す。
【
図2】
図2は、一つの実施形態による、
図1の医療機器の断面図を示す。
【
図3】
図3は、一つの実施形態による、内部トーラスチャネルを伴う
図1の医療機器の断面図を示す。
【
図4】
図4は、一つの実施形態による、医療器械が挿入された状態の、
図1の医療機器の断面図を示す。
【
図5】
図5は、一つの実施形態による、
図1の医療機器のセプタムの底面図を示す。
【
図6】
図6は、一つの実施形態による、
図1の医療機器のセプタムの上面図を示す。
【
図7】
図7は、一つの実施形態による、保持リングの斜視図を示す。
【
図8A】
図8Aは、別の実施形態による、
図1の医療機器を使用する方法の流れ図の第一の部分を示す。
【
図9】
図9は、一つの実施形態による、一時的な気腹の生成に使用する医療機器の分解図を示す。
【
図12】
図12は、一つの実施形態による、
図9の医療機器の接合部の断面図を示す。
【
図13】
図13は、一つの実施形態による、
図9の医療機器のセプタムの断面図を示す。
【
図14】
図14は、別の実施形態による、医療器具が挿入された状態の、
図9の医療機器のセプタムの断面図を示す。
【
図15】
図15は、別の実施形態による、
図9の医療機器のセプタムの断面図を示す。
【
図16】
図16は、別の実施形態による、
図9の医療機器のセプタムの斜視図を示す。
【
図17】
図17は、別の実施形態による、分離された配置での、
図16のセプタムの斜視図を示す。
【
図18】
図18は、一つの実施形態による、医療機器の分解図を示す。
【
図24】
図24は、別の実施形態による、
図9の医療機器を使用する方法の流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0003】
本明細書に開示される一時的な気腹の生成に使用する医療機器は、図と併せて、以下の詳細な説明を検討することによってよりよく理解されるであろう。詳細な説明および図は、一時的な気腹の生成に使用する医療機器のさまざまな実施形態の実施例を単に提供するだけである。多くの変形が、異なる用途および設計の考慮に対して意図されるが、簡潔かつ明確にするために、意図される変形のすべてが、以下の詳細な説明で個別に記述されていない場合がある。当業者は、本開示の実施例がどのように変化、修正、および変更されうるか、また本明細書に記載される実施例の範囲から実質的に逸脱しないかを理解するであろう。
【0004】
従来の機器は、従来の機器を通して患者の腹部内に挿入される医療器具の動きを制限し、医療器具の位置調整のための空間をほとんどまたは全く許容しない。さらに、公知の機器の一部は比較的複雑な構造を有し、これが製造コストを増加させる。これらの機器は使い捨てであることが意図されているため、低い製造コストは不可欠である。その上、従来の機器の複雑さにより、学習曲線だけでなく、ユーザーエラーまたは機器故障のリスクも増大する。追加的な問題として、従来の機器は、不安定な手術部位では機能または用途が低下する。例えば、高脂肪組織含量、弛緩した皮膚、関節の近くなどの手術部位は、手術部位が十分に安定していないという点で課題がある。さらに、過剰な組織が従来の機器に引き込まれ、機器が満足のいかない状態になる場合がある。
【0005】
本明細書に開示されるように、一時的な気腹の生成に使用する医療機器の実施は、上述の問題の一部または全部に対処しうる。例えば、本明細書に開示される実施形態は、手術部位に対する医療機器の調整および操作を可能にし、また手術部位で所定位置にある間に、医療機器内の医療器械を操作することも可能にする。
【0006】
本明細書に記述された実施形態の一部は、医療機器の剛性のドーム内への真空圧の印加による一時的な気腹の生成に加えて、医療機器のトーラスチャネル内に印加された真空圧による手術部位の安定化を可能にする。肥満症手術の例では、外科医は、手術部位の安定化、および本明細書に記載の医療機器の使用を介した組織の構成要素の潜在的な再分布によって支援されうる。これにより、高脂肪組織濃度が存在する肥満症手術に機器を使用することが可能になる。
【0007】
その上、医療機器の複雑さが相対的にないことは、費用、潜在的なユーザーエラー、および医療機器自体の故障率を低減させる。例えば、多くの外科手術では、トロカールまたは他の医療器具を留置したままにして、医療機器を除去し、医療機器から干渉を受けることなく、追加の医療器具を手術部位に横方向にまたは別のやり方で導入するための明確なアクセスを提供することが有利である。
【0008】
図1は、一つの実施形態による、外部トーラスチャネルによる一時的な気腹の生成に使用する医療機器100の斜視図を示す。別個の剛性のドーム102およびトーラスチャネル104の使用により、外科手術の準備と実施および手術部位の安定化を支援するための一時的な気腹の生成が可能になり、予測可能かつ健全な気腹が生成される。安定性は、気腹の一貫した形成、手術部位でのアクセスの改善、および回復の向上を可能にする。
【0009】
一部の実施形態では、医療機器100は、剛性のドーム102、トーラスチャネル104、セプタム106、ドーム真空ポート108、チャネル真空ポート110、開口120、および患者インターフェース表面112を含む。一部の実施形態では、剛性のドーム102は、患者インターフェース表面112で開いている、ほぼ実質的に半球形またはドーム形状の構造である。一部の実施形態では、剛性のドーム102の半球の幾何形状は、一方の側で開いて、患者インターフェース表面112を画定してもよい。言い換えれば、患者インターフェース表面112は、剛性のドーム102の開いた側面上にあってもよい。患者インターフェース表面112は、手術部位と境界を成す、または実質的に囲むように構成された環状の幾何形状を有してもよい。患者インターフェース表面112は、円形、卵形、楕円形、またはこれに類する形状であってもよい。他の実施形態では、患者インターフェース表面112は、少なくとも部分的に直線の幾何形状を有してもよい。例えば、患者インターフェース表面112は、スタジアム型の幾何形状、長方形の幾何形状、三角形の幾何形状などを有してもよい。対応する幾何形状は、剛性のドーム102および/またはトーラスチャネル104に組み込まれてもよい。一部の実施形態では、剛性のドーム102の幾何形状は、トーラスチャネル104の幾何形状と類似していてもよい。一部の実施形態では、剛性のドーム102は、トーラスチャネル104とは異なる幾何形状であってもよい。
【0010】
一部の実施形態では、トーラスチャネル104は、剛性のドーム102に結合されて、剛性のドーム102の外周に沿って延在してもよい。一部の実施形態では、トーラスチャネル104は、部分的トロイダル型の幾何形状を有してもよい。言い換えれば、トーラスチャネル104の実施形態は、手術部位に向かって開き、かつ実質的に囲む輪を、剛性のドーム102の周りに形成しうる。一部の実施形態では、トーラスチャネル104は、剛性のドーム102の外部に配置されてもよい。言い換えれば、剛性のドーム102は、剛性のドーム102の内部空間に対して外部に配置されるトーラスチャネル104により、途切れのない内部空間を形成してもよい。
【0011】
一部の実施形態では、トーラスチャネル104は、剛性のドーム102の外周に一貫した断面幾何形状を有してもよい。他の実施形態では、トーラスチャネル104の断面幾何形状は、剛性のドーム102の外周に沿った位置によって変化してもよい。例えば、トーラスチャネル104は、狭くても広くてもよく、ある幾何形状から別の幾何形状になど、形状が変化してもよい。
【0012】
一部の実施形態では、トーラスチャネル104は、トーラスチャネル104の外部上に、また医療機器100から、および/またはトーラスチャネル104と剛性のドーム102の間で外側に向かって延在する、フランジまたはその他の延長部を含んでもよい。トーラスチャネル104の幾何形状は、患者の不快感を低減し、圧力を分配し、循環の喪失などを低減しうる。一部の実施形態では、剛性のドーム102またはトーラスチャネル104の少なくとも一つは、手術部位との接合の様相を改善するために、丸みを帯びたまたは面取りされた縁および/または角を含んでもよい。
【0013】
一部の実施形態では、開口120は、剛性のドーム102内に形成されてもよい。一部の実施形態では、開口120は、剛性のドーム102の内部で手術部位へのアクセスを提供してもよい。開口120は、剛性のドーム102上の中央に配置されてもよい。一部の実施形態では、開口120は円形または非円形であってもよい。例えば、開口120は、円形、卵形、三角形、長方形、スタジアム型などであってもよい。
【0014】
一部の実施形態では、セプタム106は、開口120に位置付けられ、開口120で浸透可能なバリアを形成して、剛性のドーム102の内部へのアクセスを制御してもよい。セプタム106は、医療器械を挿入された状態で開口120を通した圧力の伝達に抵抗するために、医療器械とのシールを維持するように構成されてもよい。一部の実施形態では、セプタム106は、剛性のドーム102の材料とは異なる材料を含んでもよい。一部の実施形態では、セプタム106の材料および/または配置は、医療器械の存在下で耐圧力損失バリアを維持しながら、剛性のドーム102の内部へのアクセスを提供するように構成される。
【0015】
一部の実施形態では、トーラスチャネル104は、チャネル真空ポート110を含んでもよい。一部の実施形態では、チャネル真空ポート110は、トーラスチャネル104の内部内の圧力を減少させるために、トーラスチャネル104の外部にある真空源のための流体連通を提供するように、トーラスチャネル104に結合されてもよく、またはトーラスチャネル104内に形成されてもよい。例えば、チャネル真空ポート110は、トーラスチャネル104を、病院または手術室の真空接続など、施設の真空源などの真空源に結合してもよい。一部の実施形態では、剛性のドーム102内に形成されるドーム真空ポート108は、チャネル真空ポート110と類似している。他の実施形態では、ドーム真空ポート108は、チャネル真空ポート110とは異なる。
【0016】
一部の実施形態では、医療機器100は、医療機器100の第一の部分を医療機器100の第二の部分から分離するために分割可能である。一部の実施形態では、医療機器100は、閉じている時に医療機器100のそれらの部分を所定位置に固定し、医療機器100のそれらの部分を互いに解放することを容易にする、閉鎖要素114を含んでもよい。一部の実施形態では、医療機器100のそれらの部分を解放することは、医療器械を手術部位に原位置に残しつつ、手術部位からの医療機器100の除去を可能にしうる。医療機器100の部分の分離は、医療機器100の複数の構成要素によって促進されてもよい。例えば、剛性のドーム102とトーラスチャネル104は分離してもよく、セプタム106は、医療機器から取り外し可能であってもよく、および/または原位置のままでセプタム106を医療器械から除去するために分割可能であってもよい。
【0017】
一部の実施形態では、閉鎖要素114は、スライダー、ラッチ、レバー、バンド、ストラップなどの係止要素を含んでもよい。閉鎖要素114は、閉位置で、第一のドーム部分を第二のドーム部分に、かつ第一のチャネル部分を第二のチャネル部分に固定するために位置付けられ、また解放位置で、第一のドーム部分を第二のドーム部分から解放して、手術部位の原位置に医療器械を残しつつ手術部位から医療機器100を除去することを容易にするために位置付けられてもよい。
【0018】
図2は、一つの実施形態による、
図1の医療機器100の断面図を示す。一部の実施形態では、医療機器100は、手術部位202を安定化し、手術部位202に一時的な気腹を生成することができる、マルチチャンバー配置を提供する。手術部位202を安定化する能力は、より広範囲の手術部位202での外科処置を、より高い精度、より改善された成功率で実施する能力を可能にする。
【0019】
一部の実施形態では、医療機器100は、減圧構造204を含んでもよい。減圧構造204は、手術部位202の近くの組織に接触して、手術部位202での応力を低減するように構成されてもよい。減圧構造204は、フランジ、丸みのある縁部、リングなどであってもよい。減圧構造204は、医療機器100に組み込まれてもよく、または医療機器100とは別個であるが結合可能であってもよい。一部の実施形態では、減圧構造204は、剛性のドーム102とトーラスチャネル104との間の境界の周りに延在してもよい。他の実施形態では、減圧構造204は、トーラスチャネル104の外縁上で医療機器100の外側境界の周りに延在してもよい。
【0020】
一部の実施形態では、ドーム真空ポート108は、第一のサイズおよび/またはタイプの接続を受けるように構成される。一部の実施形態では、チャネル真空ポート110は、ドーム真空ポート108と類似のまたは異なるサイズおよび/またはタイプの接続を受けるように構成される。一部の実施形態では、ドーム真空ポート108とチャネル真空ポート110は互いから分離している。他の実施形態では、ドーム真空ポート108とチャネル真空ポート110は互いに接続されてもよく、剛性のドーム102またはトーラスチャネル104の一方または両方の減圧の適用を制御するための選択要素を有してもよい。例えば、ドーム真空ポート108およびチャネル真空ポート110は、バルブ、スイッチ、スライドなどを介して選択的に接続されてもよい。
【0021】
図3は、一つの実施形態による、内部トーラスチャネルを伴う
図1の医療機器の断面図を示す。医療機器100の一部の実施形態は、安定化された手術部位で一時的な気腹を形成するための、コンパクトかつ使いやすい解決策を提供する。
【0022】
一部の実施形態では、トーラスチャネル104は、剛性のドーム102の内部内に配置されて、剛性のドーム102の外周に沿って延在してもよい。一部の実施形態では、トーラスチャネル104は、剛性のドーム102内へと延在してもよく、剛性のドーム102の内部の一部分をトーラスチャネル104の上方に残してもよい。他の実施形態では、トーラスチャネル104は、トーラスチャネル104を画定し、トーラスチャネル104を剛性のドーム102の内部から分離する、剛性のドーム102内の実質的に垂直な壁によって画定されてもよい。このように配置される実施形態は、剛性のドーム102の内部を簡素化しながらも、トーラスチャネル104の安定化の利益をなおも提供しつつ、医療機器にとって単純なドーム形状を維持しうる。
【0023】
一部の実施形態では、チャネル真空ポート110は、剛性のドーム102の内部を通ってトーラスチャネル104に延在してもよい。他の実施形態では、チャネル真空ポート110は、剛性のドーム102の内部を通過せずに、医療機器100の外部からトーラスチャネルの中へと直接通過してもよい。
【0024】
図4は、一つの実施形態による、医療器械が挿入された状態の、
図1の医療機器の断面図を示す。医療機器100の実施形態は、安定化した手術部位202に一時的な気腹を生成すること、および一時的な気腹と手術部位202の安定化を維持しながら医療機器100に医療器械を導入することを可能にする。
【0025】
一部の実施形態では、医療機器100は、手術部位202に配置されるように構成される。一部の実施形態では、医療機器100は、患者の皮膚または組織に直接接触するように構成されてもよい。他の実施形態では、医療機器100は、手術部位202を実質的に囲むように、シールド上または他のバリア上に配置されるように構成されてもよい。
【0026】
一部の実施形態では、真空源402は、ドーム真空ポート108に、およびチャネル真空ポート110に結合されてもよい。一部の実施形態では、真空源402は、ドーム真空ポート108およびチャネル真空ポート110のそれぞれに対して別個のものであってもよい。他の実施形態では、真空源402は、ドーム真空ポート108およびチャネル真空ポート110によって共有されてもよい。
【0027】
一部の実施形態では、トーラスチャネル104内の圧力は、組織をトーラスチャネル104内に引き込むことによって、手術部位202で組織に張力をかけるように減少されてもよい。結果として生じる張力は、手術部位202での安定性を増加させうる。さらに、組織がトーラスチャネル104内に引き込まれるにつれて、手術部位202の組織組成物が変化してもよい。例えば、脂肪層は、組織をトーラスチャネル104内に引き込むことによって薄化されうる。
【0028】
一部の実施形態では、剛性のドーム102内の圧力は、手術部位で組織を剛性のドーム102の内部に上向きに引き込むように減少されてもよい。剛性のドーム102への組織の引き込みは、手術部位202での一時的な気腹の生成を容易にしうる。一部の実施形態では、医療器械404は、剛性のドーム102の内部に挿入されて、手術部位202にアクセスしてもよい。医療器械404の一例は、不活性ガスの導入、切開器具の作製、吸引の適用、洗浄剤の適用、研削または他の破壊の実施、画像またはスキャンの取得、システムの確保などのためのトロカールまたは他の器具を含んでもよい。
【0029】
図5は、一つの実施形態による、
図1の医療機器のセプタムの底面図を示す。セプタム106の一部の実施形態は、医療器械404への真空抵抗シールを維持しながら、医療器械の挿入を可能にする。セプタム106はまた、分離することができ、手術部位から医療器械404を引き出すことなく、セプタム106を医療器械404から除去することを可能にする。
【0030】
一部の実施形態では、セプタム106は、グリップタブ502を含む。グリップタブ502は、セプタム106から互いに斜めに延在し、外科医または他の医療従事者がセプタム106を掴むための場所を形成する。グリップタブ502は、グリップを改善するために、テクスチャのある部分504を含んでもよい。これは、血液、脂肪、油、洗浄液などの存在下で、グリップを改善するのに役立ちうる。
【0031】
一部の実施形態では、セプタム106は、セプタム106の分離を容易にするために、セプタム106の構造内に形成された一連の引裂き線508を含む。セプタム106を完全に分離してそこを通して挿入された医療器械404を解放することのない、望ましくない断片化または引裂きを防止するために、引裂き線508は、引裂き切欠506または他の設計された破壊点と一致して、セプタム106の破壊または引裂きの位置、方向、または様式を制御してもよい。一部の実施形態では、セプタム106は、整列穴510を含む。整列穴510は、開口120と併せて、セプタム106の整列および固定を容易にするために、セプタム106内に形成された貫通穴であってもよい。
【0032】
図6は、一つの実施形態による、
図1の医療機器のセプタム106の上面図を示す。一部の実施形態は、シールテクスチャ602が、医療器械404の挿入のための標的を形成して、使いにくさを低減することと、可撓性シールを形成して、そのシールを維持しながら広範囲の医療器械サイズを受容することの両方を備えた、使いやすいセプタム106を提供する。
【0033】
一部の実施形態では、シールテクスチャ602は、セプタム106の中心に配置された隆起構造として形成される。シールテクスチャ602の隆起構造は、円形断面を有する医療器械404を容易に受容するためのリングを形成してもよい。非円形断面に適応するために、その他の形状が意図される。
【0034】
図7は、一つの実施形態による、保持リング700の斜視図を示す。保持リング700の一部の実施形態は、セプタム106の上に取り付けられて、セプタム106を開口120で医療機器100に固定するように構成されてもよい。一部の実施形態では、保持リング700は、開口120に対するセプタム106の安定性およびシールの増加を可能にする一方、医療器械404が原位置にある間に、保持リング700およびセプタム106を医療器械404から除去することも可能にする。保持リング700は、第一のリング部分702および第二のリング部分704に分離可能であってもよい。保持リング700は、第一のリング部分702および第二のリング部分704に分離されてもよく、または保持リング700を分離するためのユーザー入力を容易にしてもよい。保持リング700は、中央開口708を含んでもよい。中央開口708は、保持リング700内に位置付けられて、開口120でセプタム106を通して医療器械404を挿入するためのセプタム106へのアクセスを可能にしてもよい。
【0035】
一部の実施形態では、保持リング700は、保持リング700の平面から垂直に延在するポスト706を含む。一部の実施形態では、ポスト706は、保持リング700の周りにパターンで配置される。一部の実施形態では、ポスト706は、保持リング700の周りに均等に分布される。一部の実施形態では、ポスト706は、セプタム106を保持して、セプタム106の分割を促進する。
【0036】
一部の実施形態では、ポスト706は、一貫した断面幾何形状を有してもよい。他の実施形態では、ポスト706は、差分的な幾何形状を有する。例えば、一部の実施形態では、ポスト706は、より小さな直径を有する先端部分を有する。幾何形状のこの変化によって、ポスト706が、開口120に近接するセプタム106と剛性のドーム102の構造に別々に係合することが可能となりうる。ポスト706は、開口120に対する保持リング700の整列および開口120とのセプタム106の整列を提供してもよい。
【0037】
図8Aは、別の実施形態による、
図1の医療機器100を使用する方法800の流れ図を示す。方法800は、手術部位で一時的な気腹を生成することができる医療機器を使用して、危害または傷害のリスクを低減するか、または回復時間や体験を改善するプロセスに関連してもよい。
【0038】
方法800は、医療機器の剛性のドームの患者インターフェース表面が実質的に手術部位を囲む状態で、医療機器を手術部位に配置することを含んでもよい(ブロック802)。例えば、医療機器100の剛性のドーム102またはトーラスチャネル104は開いており、手術部位202の周りで延在するために患者に配置されうる患者インターフェース表面112を形成してもよい。
【0039】
方法800は、医療機器のトーラスチャネルのチャネル真空ポートに真空源を結合することを含んでもよく、トーラスチャネルは剛性のドームの外周に沿って延在する(ブロック804)。例えば、真空源402は、剛性のドーム102の周りに延在するトーラスチャネル104のチャネル真空ポート110に結合されてもよい。
【0040】
方法800は、手術部位の近くの組織をトーラスチャネルの内部に引き込むために、トーラスチャネルの内部への圧力を減少させることを含んでもよい(ブロック806)。例えば、手術部位202における組織は、トーラスチャネル104内の減圧によってトーラスチャネル104内に引き込まれてもよく、トーラスチャネル104は剛性のドーム102の外周上にあるため、剛性のドーム102内の手術部位202の一部分が安定化されてもよい。
【0041】
方法800は、剛性のドームに配置されたドーム真空ポートに真空源を結合することを含んでもよい(ブロック808)。例えば、真空源402は、ドーム真空ポート108およびチャネル真空ポート110の両方に対して減圧を提供するように使用されてもよく、またはドーム真空ポート108およびチャネル真空ポート110の両方に対して別々であってもよい。
【0042】
方法800は、真空源を用いて剛性のドームの内部の圧力を減少させて、手術部位における組織を少なくとも部分的に剛性のドームの内部に隆起させることを含みうる(ブロック810)。例えば、剛性のドーム102への組織の引き込みは、手術部位202での一時的な気腹の生成を促進してもよい。
【0043】
方法800は、剛性のドームの開口を通して、剛性のドームの外部から剛性のドームの内部に医療器械を挿入することを含んでもよい(ブロック812)。例えば、医療器械404は、剛性のドーム102の開口120に配置されたセプタム106を通して、剛性のドーム102の内部に挿入されてもよい。方法800は、
図8Bでも続く。
【0044】
図8Bは、別の実施形態による、
図8Aの方法の流れ図の第二の部分を示す。方法800は、外科処置を実施する手術部位で隆起した組織に医療器具を挿入する工程を含んでもよい(ブロック814)。例えば、トロカールなどの医療器械は、剛性のドーム102内および手術部位202内に挿入されて、外科処置を開始してもよい。
【0045】
方法800は、環境圧に対して剛性のドームの内部への圧力を正規化することを含んでもよい(ブロック816)。例えば、剛性のドーム102の内部への圧力は、ドーム真空ポート108の詰まりを解消するか、別の方法で剛性のドーム102と真空源402の接続を外すことによって正規化されてもよい。
【0046】
方法800は、環境圧に対してトーラスチャネルの内部への圧力を正規化することを含んでもよい(ブロック818)。例えば、トーラスチャネル104の内部に対する圧力は、チャネル真空ポート110の詰まりを解消するか、別の方法でトーラスチャネル104と真空源402の接続を外すことによって正規化されてもよい。
【0047】
方法800は、手術部位からの医療機器の除去(ブロック820)を含んでもよい。例えば、剛性のドーム102およびトーラスチャネル104の圧力が、医療機器100を囲む環境圧に対して正規化されると、医療機器が手術部位202から持ち上げられてもよい。
【0048】
本明細書に開示されるように、一時的な気腹の生成に使用する医療機器の実施は、上述の問題の一部または全部に対処しうる。例えば、本明細書に開示される実施形態は、手術部位に対する医療機器の調整および操作を可能にし、また手術部位で所定位置にある間に、医療機器内の医療器具を操作することも可能にする。本明細書に記載の実施形態はまた、手術部位からの医療機器の除去を可能にしつつ、留置トロカールラインの持続的使用を可能にする。言い換えれば、手術部位から医療機器を取り除くためにトロカールを取り外す必要がない。その上、医療機器の複雑さが相対的にないことは、費用、潜在的なユーザーエラー、および医療機器自体の故障率を低減させる。例えば、多くの外科手術では、トロカールまたは他の医療器具を留置したままにして、医療機器を除去し、医療機器から干渉を受けることなく、追加の医療器具を手術部位に横方向にまたは別のやり方で導入するための明確なアクセスを提供することが有利である。
【0049】
図9は、一つの実施形態による、一時的な気腹の生成に使用する医療機器100の分解図を示す。分離可能なドームの使用は、外科手術の準備および実施を支援するために一時的な気腹を生成することを可能にする。分離性は、医療器具を所定位置に維持しながら、ドームを除去することを可能にする。
【0050】
一部の実施形態では、医療機器100は、剛性のドーム1021、封止要素1041、セプタム106、真空ポート107、および隆起構造1081を含む。剛性のドーム1021は、第一のドームセクション1101および第二のドームセクション1121を有する、ほぼ実質的に半球形またはドーム形状の構造である。第一のドームセクション1101および第二のドームセクション1121は、一緒に接合された時に剛性のドーム1021を形成する。言い換えれば、第一のドームセクション1101は、半球の半分の幾何形状を有するか、または剛性のドーム1021の半球の幾何形状の一部分を構成する一方、第二のドーム部分1121は、第一のドームセクション1121に相補的な半球の半分の幾何形状を有する。
【0051】
第一のドームセクション1101および第二のドームセクション1121はそれぞれ、剛性のドーム1021の等しい半分を形成しうる。一部の実施形態では、第一のドームセクション1101または第二のドームセクション1121のうちの一方は、他方よりも剛性のドーム1021の大きな部分を構成する。一部の実施形態では、第一のドームセクション1101または第二のドームセクション1121の少なくとも一つは、剛性のドーム1021の内部上の手術部位の視認を容易にするために透明または半透明である。第一のドームセクション1101の曲率半径は、第二のドームセクション1121の曲率半径と同等であってもよい。一部の実施形態では、第一のドームセクション1101の曲率またはその他の幾何形状は、第二のドームセクション1121の対応する幾何形状とは異なる。
【0052】
一部の実施形態では、第一のドームセクション1101は、第二のドームセクション1121から完全に解放可能であり、剛性のドーム1021を除去し、剛性のドーム1021を通して挿入された医療器具を所定位置に置いたままにすることを可能にする。他の実施形態では、第一のドームセクション1101は、第二のドームセクション1121から部分的に解放可能であり、例えば、ヒンジ、テザー、継ぎ目などにおいて、第二のドームセクション1121に結合されたままである。一部の実施形態では、第一のドームセクション1101を第二のドームセクション1121から完全に分離するために、第一のドームセクション1101と第二のドームセクション1121との間の残りの接続はさらに分離可能である。他の実施形態では、第一のドームセクション1101と第二のドームセクション1121との間の残りの接続は、分離抵抗性である。剛性のドーム1021の第一のドームセクション1101はまた、患者インターフェース1161の第一の患者インターフェース部分1141、開口120の第一の開口部分118、および第一の接合インターフェース122を含む。
【0053】
一部の実施形態では、第一の患者インターフェース部分1141は、第一のドームセクション1101の基部の周りに延在する。第一の患者インターフェース部分1141は、第一のドームセクション1101の厚さと比べて増加させた表面積を第一の患者インターフェース部分1141に提供するために、第一のドームセクション1101から外側にロールされてもよい。一部の実施形態では、第一の患者インターフェース部分1141は、第一のドームセクション1101および第二のドームセクション1121の両方にわたって延在する、患者インターフェース1161の第一の部分を形成する。患者インターフェース1161は、剛性のドーム1021の周りの手術部位における圧力を減少させうる。これは、血液または他の流体の流れへの影響を低減するか、または組織損傷のリスクを低減しうる。その上、患者インターフェース1161での表面積の増加は、手術部位における創傷を悪化させるリスクを低減しうる。一部の実施形態では、患者インターフェース1161は、衛生化、摩擦、真空シールなどを改善するために、コーティング、ライナー、処理などを含みうる。
【0054】
第一の開口部分118は、第一のドームセクション1101上の第一の患者インターフェース部分1141と反対側の開口120の一部分を形成する。一部の実施形態では、開口120は、剛性のドーム1021内の円形の開口部である。他の実施形態では、開口120は、非円形の幾何形状を有する。一部の実施形態では、開口120は、第一のドームセクション1101および第二のドームセクション1121の両方によって同じ分量で形成される。他の実施形態では、開口120は、第一のドームセクション1101および第二のドームセクション1121のうちの一方が、第一のドームセクション1101および第二のドームセクション1121のうちの他方よりも大きな程度で形成される。開口120は、セプタム106に関連するシール、保持、解放可能性、またはその他の特性を改善するために、隆起、くぼみ、リング、摩擦フィッティングなどを含んでもよい。
【0055】
一部の実施形態では、第一の接合インターフェース122は、第一の開口部分118と第一の患者インターフェース部分1141との間の第一のドームセクション1101の縁に沿って延在する。一部の実施形態では、第一の接合インターフェース122は、フランジ、唇状のもの、舌状のものまたは溝、出っ張りなどを形成する。一部の実施形態では、第一の接合インターフェース122は、第一のドームセクション1101を第二のドームセクション1121に結合して剛性のドーム1021を形成するために、第二の接合インターフェース128と整列するように構成されている。
【0056】
剛性のドーム1021の第二のドームセクション1121は、第二の患者インターフェース部分124、第二の開口部分126、および第二の接合インターフェース128を含む。一部の実施形態では、第二の患者インターフェース部分124は、第一の患者インターフェース部分1141を補完して、患者インターフェース1161全体を形成する。一部の実施形態では、第一の患者インターフェース部分1141は、第二のドームセクション1121の基部の周りに延在する患者インターフェース1161の一部分を形成する。一部の実施形態では、第二の患者インターフェース部分124は、第二のドームセクション1121の厚さと比べて増加させた表面積を第二の患者インターフェース部分124に提供するために、第二のドームセクション1121から外向きに広げられている。
【0057】
第二の開口部分126は、第二の患者インターフェース部分124第二のドームセクション1121の反対側に位置付けられている。一部の実施形態では、第二の開口部分126は、第一のドームセクション1101の第一の開口部分118と組み合わされて、開口120を形成する。第二の開口部分126は、第一の開口部分118と比較して、より大きな量またはより小さな量の開口120を構成しうる。一部の実施形態では、第一の開口部分118および第二の開口部分126の一方または両方は、開口120内のセプタムの整列を容易にするために、セプタム106の幾何形状または特徴に対応する整列機能を含む。
【0058】
一部の実施形態では、第二の接合インターフェース128は、第二の開口部分126と第二の患者インターフェース部分124との間の第二のドームセクション1121の縁に沿って延在する。第二の接合インターフェース128は、第一のドームセクション1101を第二のドームセクション1121に結合して剛性のドーム1021を形成するために、第一の接合インターフェース122に結合するように構成されてもよい。
【0059】
一部の実施形態では、封止要素1041は、第一のドームセクション1101の第一の接合インターフェース122を第二のドームセクション1121の第二の接合インターフェース128に取り外し可能に封止するように構成されている。一部の実施形態では、封止要素1041は医療用テープである。一部の実施形態では、封止要素1041は、第一の接合インターフェース122および第二の接合インターフェース128が重なって、第一の接合インターフェース122を第二の接合インターフェース128に封止するために、剛性のドーム1021の外部に適用される。封止要素1041は、第一のドームセクション1101を第二のドームセクション1121から少なくとも部分的に分離するために、第一の接合インターフェース122または第二の接合インターフェース128の少なくとも一つから除去可能であってもよい。
【0060】
他の実施形態では、封止要素1041は、低せん断強度の接着剤である。例えば、低せん断強度の接着剤は、手で壊せる低せん断強度のシリコンまたはその他の低せん断強度のポリマーであってもよい。封止要素1041は、第一のドームセクション1101を第二のドームセクション1121から分離することを容易にするために除去可能であってもよい。封止要素1041によって提供される封止効果は、剛性のドーム1021が手術部位で所定位置にある時に、剛性のドーム1021の内部への、またはそこからの圧力の漏れを低減することを可能にする。一部の実施形態では、封止要素1041は、剛性のドーム1021からの封止要素1041の除去を容易にするために、タブ、ストリップ、ハンドル、ループなどを含む。
【0061】
一部の実施形態では、医療機器100はまた、セプタム106を含む。セプタム106は、開口120内に位置付けられ、かつ透過性バリアを形成して、医療器具がセプタム106を貫通して剛性のドーム1021の内部にアクセスすることを可能にしてもよい。セプタム106は、第一のドームセクション1101の第一の開口部分118と係合し、第二のドームセクション1121の第二の開口部分126と係合するように構成されてもよい。一部の実施形態では、セプタム106は、剛性のドーム1021とは異なる材料から形成される。異なる材料の使用は、剛性のドーム1021よりも簡単にセプタム106を穿刺することを可能にし、それによってセプタム106を通した医療器具の挿入を容易にしうる。
【0062】
医療機器100はまた、真空ポート107を含んでもよい。一部の実施形態では、真空ポート107は、患者インターフェース1161と開口120との間の剛性のドーム1021内に配置される。一部の実施形態では、真空ポート107は、剛性のドーム1021の内部と剛性のドーム1021の外部との間に流体経路を形成する。一部の実施形態では、真空ポート107は、剛性のドーム1021への真空源の接続を容易にし、剛性のドーム1021の内部の圧力を減少させる。一部の実施形態では、真空ポート107は、剛性のドーム1021から垂直または角度の付いた配向で外向きに突出する。真空ポート107は、真空源への接続を受容するために、滑面、ねじ込み式、有刺などでありうる。
【0063】
一部の実施形態は、真空ポートプラグ130を含む。真空ポートプラグ130は、真空ポート107にバリアを形成して、剛性のドーム1021の内部の減圧を維持するために、真空ポート107に適合していてもよい。一部の実施形態では、真空ポートプラグ130は、真空ポート107に組み込まれて、剛性のドーム1021の内部に戻る空気の流れに抵抗しながら、剛性のドーム1021の内部から空気を排出することを可能にする一方向弁を作成してもよい。一部の実施形態では、真空ポートプラグ130は、剛性のドーム1021の外部の入力によって作動されて、剛性のドーム1021の内部の圧力を外部圧力に等しくする。
【0064】
医療機器100はまた、剛性のドーム1021を物理的に操作する力を受容する物理的インターフェースを形成するために、剛性のドーム1021の外部表面から外側に延在する隆起構造1081を含んでもよい。例えば、ユーザーは、隆起構造1081で医療機器100を掴む、手術部位に対して医療機器100を位置付ける、ユーザーまたは手術部位に対して医療機器100を配向する、手術部位の平面に力を加えたり平面から力を取り去ったりする、第一のドームセクション1101を第二のドームセクション1121から分離するなどをしてもよい。一部の実施形態では、隆起構造1081は、グリップ要素を含む。例えば、隆起構造1081は、隆起構造1081の少なくとも一部分の摩擦係数を増加させるために、隆起、ローレット、くぼみ、コーティングなどを含んでもよい。
【0065】
図10は、一つの実施形態による、
図9の医療機器100の組立図を示す。一部の実施形態は、外科手術中または外科手術の準備中の意図しない危害のリスクを低減するために、手術部位を覆い、操作するための、完全に気密な、またはほぼ気密なドームを形成する。一部の実施形態では、第一のドームセクション1101は、第二のドームセクション1121を封止して、接合部2021で閉じた継ぎ目を生成する。一部の実施形態では、接合部2021は、接合部2021内に塗布された接着剤または他の材料で封止される。他の実施形態では、接合部2021は、剛性のドーム1021の外部または剛性のドーム1021の内部にある接合部2021の外部に適用されたテープまたは他の材料で封止される。
【0066】
一部の実施形態では、医療機器100は、閉じている時に医療機器100のそれらの部分を所定位置に固定し、医療機器100のそれらの部分を互いに解放することを容易にする、閉鎖要素114を含んでもよい。一部の実施形態では、医療機器100のそれらの部分を解放することは、医療器械を手術部位に原位置に残しつつ、手術部位からの医療機器100の除去を可能にしうる。
【0067】
一部の実施形態では、セプタム106は、剛性のドーム1021の開口120に封止される。一部の実施形態では、セプタム106は、接合部2021に適用される材料と類似または異なる材料を使用して、開口120内に封止される。他の実施形態では、セプタム106の構造は、開口120に対してシールを維持するのに十分である。
【0068】
図11は、一つの実施形態による、
図9の医療機器100の断面図を示す。一部の実施形態は、医療機器100の内部の圧力を低減することを可能にして、手術部位を医療機器100の内部に引き込み、手術部位における意図しない危害のリスクを低減する、医療機器100の内部への真空ポート107の通過態様を示す。一部の実施形態では、真空ポート107は、剛性のドーム1021から実質的に垂直方向に延在する。他の実施形態では、真空ポート107は、真空ポート107が延在する剛性のドーム1021の表面に対して垂直の角度で剛性のドーム1021から延在する。他の実施形態では、真空源との接続を容易にし、セプタム106へのアクセスに対する干渉を低減するなどのために、他の角度が使用されてもよい。一部の実施形態では、真空ポート107は、手術部位における組織を真空ポート107へ、または真空ポート107内に引き込む、膨張させる、偏向する、またはその他の方法で移動する可能性を低減するために、剛性のドーム1021上に位置付けられている。
【0069】
図12は、一つの実施形態による、
図9の医療機器の接合部400の断面図を示す。一部の実施形態では、第一の接合インターフェース122は、第二の接合インターフェース128と接触してシールを形成するように構成されている。一部の実施形態では、接合部400は、第二の接合インターフェース128を形成している溝に第一の接合インターフェース122を挿入する、目違い継ぎである。他の実施形態では、接合部400は、重ね継ぎ、サンク・ラップ・ジョイント(sunk lap joint)、突合せ継ぎ、T接合(t-bull joint)、フランジ接合、立ちはぜ継ぎ(standing joint)、こはぜ継ぎなどである。
【0070】
図13は、一つの実施形態による、
図9の医療機器100のセプタム106の断面図を示す。一部の実施形態では、セプタム106は、医療器具が剛性のドーム1021の内部にアクセスするアクセス構造5021を含む。一部の実施形態では、セプタム106のアクセス構造5021は、セプタム106の別の部分よりも薄い。アクセス構造5021の厚さの減少は、アクセス構造5021でのセプタム106のより容易な貫通を可能にしうる。一部の実施形態では、アクセス構造5021は、セプタム106の残りの部分の別の材料とは異なる材料を含む。例えば、アクセス構造5021は、セプタム106の残りの部分に含まれていない、またはより低い量もしくは濃度で含まれる、より柔らかい材料またはより弾力のある材料を含んでもよい。
【0071】
その上、アクセス構造5021におけるセプタム106の厚さの減少は、剛性のドーム1021上の医療器具に衝撃を与える可能性を低減しながら、医療器具がセプタム106を通って挿入されうる場所の視覚的インジケータを提供しうる。一部の実施形態では、アクセス構造5021は、セプタム106上の中央に位置付けられ、アクセス構造5021の両側に凹部5041を形成する。他の実施形態では、アクセス構造5021は、中心をはずれて位置付けられて、異なるサイズの凹部5041が形成されるか、またはセプタム106の片面にある単一の凹部のみが形成されて、アクセス構造5021がセプタム106の片面にあるセプタム106の残りの部分と同一平面であってもよい。
【0072】
一部の実施形態では、セプタム106は、開口120に保持力を加えるための保持構造5061を含む。一部の実施形態では、保持構造5061は、セプタム106の周囲の少なくとも一部分の周りに延在するチャネル5081内の隆起部分を含む。保持構造5061は、チャネル5081に形成されたリングであってもよい。保持構造5061は、丸みを帯びている、角形である、面取りされている、などであってもよい。
【0073】
図14は、別の実施形態による、医療器具6021が挿入された、
図9の医療機器100のセプタム106の断面図を示す。一部の実施形態では、医療器具6021は、セプタム106のアクセス構造5021を通して挿入されて、医療機器100の内部へのアクセスが得られる。図示するように、セプタム106の実施形態は、手術部位、外科手術の種類、または他の変数の結果として生じうる角度の範囲で、医療機器100を挿入することを可能にする。一部の実施形態では、セプタム106は、第一の角度での医療器具6021の挿入を受容し、医療器具6021の再位置付けを可能にするために、第一の角度とは異なる第二の角度への移行を通して、医療器具でのシールを維持するように構成されている。また、凹型である保持構造5061の変形も示されている。凹型の保持構造5061は、開口120において剛性のドーム1021上の対応する隆起構造と接合する。
【0074】
図15は、別の実施形態による、
図9の医療機器100のセプタム106の断面図を示す。一部の実施形態では、セプタム106は、セプタム106の表面で狭くなる開口部を有する凹部5041を含んでもよい。一部の実施形態では、凹部5041の狭まった様相は、医療器具6021がセプタム106のアクセス構造5021に挿入される際に、医療器具6021に加えられる自己復元力を提供しうる。
【0075】
図16は、別の実施形態による、
図9の医療機器100のセプタム106の断面図を示す。一部の実施形態では、セプタム106の分離可能な実施形態が示され、これにより、医療器具6021を妨害または除去することなく、セプタム106を手術部位から除去することが可能になる。言い換えれば、セプタム106は、手術部位から医療器具6021を除去することなく、医療器具6021から解放するために少なくとも部分的に分離可能である。これにより、意図しない危害のリスクが低減されるか、または外科手術の成功の可能性が増加しうる。一部の実施形態では、セプタム106は、セプタム106に形成された分離境界8021で分離可能である。分離境界8021には、穿孔、異なる材料、溝付けや切込み、または他の弱化する構造や裂けを促進する構造または変形を含みうる。分離境界8021は、セプタム106の表面に対していくらかの境界角度8041を成していてもよい。例えば、分離境界8021は、30度の境界角度8041を有してもよい。一部の実施形態では、分離境界8021は、貫通切断であり、セプタム106の材料によって、剛性のドーム内の減圧によって、および/または剛性のドーム1021によりセプタム106に加えられる力によって、封止された配置で一緒に維持される。一部の実施形態では、セプタム106は、分離境界8021で第一のセプタム部分および第二の部分に分割されてもよい。他の実施形態では、セプタム106は、セプタム106の中心から、セプタム106の縁へと外に向かって部分的に分割されてもよい。
【0076】
図17は、別の実施形態による、分離された配置での、
図8のセプタム106の斜視図を示す。一部の実施形態では、セプタム106は、第一のセプタム部分8061および第二のセプタム部分8081の別個の断片に分割される。第一のセプタム部分8061は、第二のセプタム部分8081とセプタム106のサイズおよび量が類似しているとして示されているが、他の実施形態は、第一のセプタム部分8061および第二のセプタム部分8081に対して異なるサイズ比を組み込んでもよい。
【0077】
図18は、一つの実施形態による、医療機器100の分解図を示す。医療機器100の一部の実施形態は、医療従事者が、外科手術中に意図しない損傷または危害のリスクを著しく低減しながら、利用可能な真空源を使用して、患者に過度の合併症またはリスクを引き起こすことなく、手術部位に一時的な気腹を形成することを可能にする。一部の実施形態では、医療機器100は、第一の保持バンド1014に適応する形をした第一のバンド領域1010と、第二の保持バンド1016に適応する形をした第二のバンド領域1012とを有する、第一のドームセクション1101および第二のドームセクション1121を含む。第一のバンド領域1010は、第一のドームセクション1101および第二のドームセクション1121の両方の周りに延在する。第一のバンド領域1010は、平行円筒を形成するようにサイズ設定および配向され、第一のバンド領域1010は第一の保持バンド1014を保持するために未変更のままでもよい。他の実施形態では、第一のバンド領域1010は、医療機器100の頂部または底部に向かって先細りしていてもよい。第二のバンド領域1012は、第一のバンド領域1010と類似して、または異なるように構成されてもよい。一部の実施形態では、第一のバンド領域1010は、第二のバンド領域1012よりも直径が小さく、第二の保持バンド1016と比較して小さい第一の保持バンド1014の直径に適応する。一部の実施形態では、真空ポート107は、第一のバンド領域1010と開口120との間に配置される。一部の実施形態では、真空ポート107は、第一のバンド領域1010と第二のバンド領域1012との間に配置されてもよい。他の実施形態は、真空ポート107のその他の配置を含む。一部の実施形態では、第一の保持バンド1014または第二の保持バンド1016は、十分な引張強度を有する収縮バンドである。他の実施形態では、第一の保持バンド1014または第二の保持バンド1016は、補強テープである。一部の実施形態では、補強テープは、自己接着性であってもよい。補強テープは、炭素フィラメント、ナノチューブ、ガラス繊維、ポリマーなどの補強要素を含んでもよい。一部の実施形態では、補強は、軸性または二軸性であってもよい。
【0078】
一部の実施形態では、医療機器100は、セプタムシート1002を含む。セプタムシート1002は、開口120の周りに形成されて、セプタム106の定置および固定を容易にしうる。一部の実施形態では、セプタムシート1002は、第一のドームセクション1101および第二のドームセクション1121のそれぞれの上の開口120の周りに形成された平面領域である。セプタムシート1002は、環状の幾何形状であり、開口120と同心であってもよい。他の実施形態では、セプタムシート1002は、他の形状を有してもよく、開口120に対して他の整列を有してもよい。
【0079】
一部の実施形態では、セプタムシート1002は、第一のドームセクション1101および第二のドームセクション1121の厚さ内に延在する保持穴1004を含む。一部の実施形態では、保持穴1004は、第一のドームセクション1101の厚さおよび第二のドームセクション1121の厚さを完全に貫いて、医療機器100の内部まで延在する。他の実施形態では、保持穴1004は、第一のドームセクション1101の厚さおよび第二のドームセクション1121の厚さを完全に貫いては延在しない。
【0080】
保持穴1004は、セプタム106をセプタムシート1002上の定位置に固定することを容易にしうる。一部の実施形態では、医療機器100は、保持穴1004と係合してセプタムシート1002においてセプタム106を固定するように構成されうる保持リング1005をさらに含む。一部の実施形態では、保持リング1005は、第一のリング部分1006および第二のリング部分1008に分離可能である。保持リング1005の分離性は、トロカール、針、ラインなどの医療ツールの周りから医療機器100を除去することを可能にしうる。保持リング1005は、第一のリング部分1006および第二のリング部分1008に分離されてもよく、または引き裂き、切断などを介した機械的分離を必要としてもよい。
【0081】
一部の実施形態では、医療機器100は、第一のドーム部分1101と第二のドーム部分1121との間の接合部の断面幾何形状に適合するように予め成形された封止要素1041を含む。封止要素1041は、弾性材料または粉砕可能な材料を含んでもよい。例えば、封止要素1041は、Oリング式のシールを形成するためのポリマー材料、フルオロポリマー、シリコーンゴム(中実のストランドまたは管)を含んでもよく、または封止要素1041は、ガスケット式のシールを形成するための金属、ワックス、もしくは他の破砕可能なシール材料であってもよい。他の封止方式も実施されうる。
【0082】
図19は、一つの実施形態による、
図10の医療機器100の斜視図を示す。一部の実施形態は、手術部位の周りに安全なシールを形成して一時的な気腹を生成し、意図しない危害のリスクを低減することを可能にする。その上、医療機器100は、医療器械を原位置で手術部位に残したままで除去可能であり、抜去および再挿入による潜在的な危害をさらに低減する。
【0083】
一部の実施形態では、第一の保持バンド1014および第二の保持バンド1016は、第二のドーム部分1121で第一のドーム部分1101を閉じて保持するように位置付けられる。第一の保持バンド1014および第二の保持バンド1016は、切断またはその他の方法で切り離して医療機器100から除去し、第一のドーム部分1101を接合部2021で第二のドーム部分1121から分離することを容易にすることによって除去されてもよい。
【0084】
図20は、一つの実施形態による、
図10の医療機器の側面図を示す。一部の実施形態は、患者にさらなる害を与えることなく、一時的な気腹を形成する能力を提供する、快適で容易に展開可能な構造を形成する。
【0085】
一部の実施形態では、第一の保持バンド1014は、医療機器の100の中央付近に位置付けられる一方、第二の保持バンド1016は、医療機器の100の底部の近くに位置付けられる。一部の実施形態では、第一の保持バンド1014および第二の保持バンド1016は、接合部2021の封止を保つために、同じ量または類似した保持力を医療機器100に加えてもよい。他の実施形態では、第一の保持バンド1014は、第二の保持バンド1016よりも大きな力または小さな力を加えてもよく、これは第一の保持バンド1014または第二の保持バンド1016の位置、厚さ、材料、または他の特性または構成要素に基づきうる。
【0086】
図21は、一つの実施形態による、
図10の医療機器のセプタム106の底面図を示す。セプタム106の一部の実施形態は、医療器械上に真空抵抗シールを維持しながら、医療器械の挿入を可能にする。セプタム106はまた、分離することができ、手術部位から医療器械を引き出すことなく、セプタム106を医療器械から除去することを可能にする。
【0087】
一部の実施形態では、セプタム106は、グリップタブ1302を含む。グリップタブ1302は、セプタム106から互いに斜めに延在し、外科医または他の医療従事者がセプタム106を掴むための場所を形成する。グリップタブ1302は、グリップを改善するために、テクスチャのある部分1304を含んでもよい。これは、血液、脂肪、油、洗浄液などの存在下で、グリップを改善するのに役立ちうる。
【0088】
一部の実施形態では、セプタム106は、セプタム106の分離を容易にするために、セプタム106の構造内に形成された一連の引裂き線1308を含む。セプタム106を完全に分離してそこを通して挿入された医療器械を解放することのない、望ましくない断片化または引裂きを防止するために、引裂き線1308は、引裂き切欠1306または他の設計された破壊点と一致して、セプタム106の破壊または引裂きの位置、方向、または様式を制御してもよい。
【0089】
一部の実施形態では、セプタム106は、整列穴1310を含む。整列穴1310は、セプタムシート1002および保持リング1005と併せて、セプタム106の整列および固定を容易にするために、セプタム106内に形成された貫通穴であってもよい。例えば、保持リングは、セプタム106の整列穴1310を通って、セプタムシート1002内に形成された保持穴1004の中に突出するように整列されてもよい。
【0090】
図22は、一つの実施形態による、
図10の医療機器のセプタム106の上面図を示す。一部の実施形態は、シールテクスチャ1402が、医療器械の挿入のための標的を形成して、使いにくさを低減することと、可撓性シールを形成して、シールを維持しながら広範囲の医療器械サイズを受容することの両方を備えた、使いやすいセプタム106を提供する。
【0091】
一部の実施形態では、シールテクスチャ1402は、セプタム106の中心に配置された隆起構造として形成される。シールテクスチャ1402の隆起構造は、円形断面を有する医療器械を容易に受容するためのリングを形成してもよい。非円形断面に適応するために、その他の形状が意図される。
【0092】
図23は、一つの実施形態による、
図10の医療機器の保持リング1005の斜視図を示す。保持リング1005の一部の実施形態は、第一のドーム部分1101および第二のドーム部分1121に対するセプタム106の安定性およびシールの増加を可能にする一方、器械が原位置のままである間に、医療器械から除去することも可能にする。保持リング1005は、第一のリング部分1006および第二のリング部分1008に分離可能であってもよい。保持リング1005は、第一のリング部分1006および第二のリング部分1008に分離されてもよく、または保持リング1005を分離するためのユーザー入力を容易にしてもよい。保持リング1005は、中央開口1500を含んでもよい。中央開口1500は、保持リング1005内に位置付けられて、セプタム106を通して医療器械を挿入するためのセプタム106へのアクセスを可能にしてもよい。
【0093】
一部の実施形態では、保持リング1005は、保持リング1005の平面から垂直に延在するポスト1502を含む。一部の実施形態では、ポスト1502は、保持リング1005の周りにパターンで配置される。一部の実施形態では、ポスト1502は、保持リング1005の周りに均等に分布される。一部の実施形態では、ポスト1502はセプタム106を保持し、第一のドームセクション1101および第二のドームセクション1121の分離に応答して、セプタム106の分割を促進する。
【0094】
一部の実施形態では、ポスト1502は、一貫した断面幾何形状を有してもよい。他の実施形態では、ポスト1502は、差分的な幾何形状を有する。例えば、一部の実施形態では、ポスト1502は、より小さな直径を有する先端部分を有する。この幾何形状の変化により、ポスト1502が、セプタム106およびセプタムシート1002の保持穴1004と別々に係合することが可能となりうる。ポスト1502は、第一のドームセクション1101および第二のドームセクション1121に対する保持リング1005の整列、ならびに第一のドームセクション1101および第二のドームセクション1121とセプタム106の整列を提供しうる。
【0095】
図24は、別の実施形態による、
図9の医療機器100を使用する方法1600の流れ図を示す。方法1600は、手術のための一時的な気腹の生成を可能にする。方法1600は、剛性のドームの患者インターフェースが手術部位を囲む状態で、剛性のドームを手術部位に定置することを含みうる。例えば、剛性のドーム1021は、剛性のドーム1021の患者インターフェース1161が手術部位を囲むように位置付けられた状態で、手術部位に定置されてもよい(ブロック1602)。
【0096】
方法1600は、真空源を剛性のドームの真空ポートに結合することを含みうる(ブロック1604)。例えば、真空源は、剛性のドーム1021の真空ポート107に結合されて、剛性のドーム1021に減圧を供給してもよい。方法1600は、真空源を用いて剛性のドームの内部の圧力を低減して、手術部位における組織を少なくとも部分的に剛性のドームの内部に隆起させることを含みうる(ブロック1606)。例えば、剛性のドーム1021内の圧力が減少すると、剛性のドームの下の手術部位における組織は、剛性のドーム1021の中に上向きに膨張する。
【0097】
方法1600は、剛体ドームの開口に配置されたセプタムを通して、剛性のドームの外部から剛体ドームの内部の中に医療器具を挿入することを含みうる(ブロック1608)。例えば、医療器具6021は、剛性のドーム1021のセプタム106を通して挿入されて、剛性のドーム1021の内部にアクセスしてもよい。方法1600は、手術部位で隆起した組織に医療器具を挿入し、手術部位の表面より下にガスを送達して一時的な気腹を形成することを含みうる(ブロック1610)。例えば、医療器具6021は、剛性のドーム1021の中に膨張した手術部位に導入されて、手術部位の表面層より下に不活性ガス(例えば、CO2)を送達し、手術部位に一時的な気腹を生成して、腹腔鏡手術または別の外科手術を容易にしうる。
【0098】
方法1600は、剛性のドーム内の圧力を正常化することを含みうる(ブロック1612)。例えば、剛性のドーム1021内の圧力は、真空ポート107から真空源の接続を解く、真空ポートプラグ130を操作する、剛性のドーム1021を手術部位から持ち上げる、封止要素1041を除去する、第一のドームセクション1101と第二のドームセクション1121との間に初期分離を作り出すことなどによって、正常化または均等化されてもよい。方法1600は、第一のドーム部分を第二のドーム部分から分離して、手術部位で医療器具を留置したままで、剛性のドームを手術部位から除去することを含みうる(ブロック1614)。例えば、第一のドームセクション1101は、隆起構造1081を掴み、剛性のドーム1021に力を加えることによって、封止要素に打ち勝ち、封止要素1041を除去することなどによって、第二のドームセクション1121から分離されてもよい。
【0099】
図の一つに図示された特徴は、図の別の図に図示された特徴と同一であってもよく、またはそれに類似していてもよい。同様に、図の一つに関連して記載される特徴は、別の図に関連して記載される特徴と同一であるか、またはこれに類似していてもよい。同一または類似の特徴は、別途明示的に記載されない限り、同一または類似の参照文字によって認識されうる。その上、特定の図の説明は、特定の図に示されていない特徴を指しうる。特徴は、別の図に関連して、図示および/またはさらに説明されうる。
【0100】
本明細書に記載のプロセス(例えば、方法)の要素は、例えば人間によって、処理装置によって、自動的または人間の制御下で動作する機構によってなど、一つ以上の方法で実行されうる。その上、プロセスのさまざまな要素は、特定の順序で図に図示されうるが、プロセスの要素は、本明細書の開示の実質および主旨から逸脱することなく、一つ以上の異なる順序で行われてもよい。
【0101】
前述の説明は、いくつかの実施を良く理解するために、特定のシステム、構成要素、方法などの例など、多数の具体的な詳細を明らかにする。しかしながら、当業者には、少なくとも一部の実施がこれらの具体的な詳細なしに実行されうることは明らかであろう。他の例では、周知の構成要素または方法は、本実施を不必要に不明瞭にすることを避けるために、詳細に記載されていない、または単純なブロック図形式で提示される。したがって、上述の具体的な詳細は単に例示的なものである。特定の実施は、これらの例示的な詳細とは異なる場合があるが、なおも本実施の範囲内であることが意図される。
【0102】
本明細書に記載される実施例および/または実施形態の関連する要素は、異なる実施例で同一であってもよく、類似していてもよく、または類似していなくてもよい。簡潔さおよび明確さのために、関連する要素は重複して説明されない場合がある。代わりに、同一の、類似した、および/または関連する要素名および/または参照文字の使用は、所与の名称および/または関連する参照文字を有する要素が、本明細書の他の箇所で説明される実施例の同一の、類似した、および/または関連する要素名および/または参照文字を有する別の関連する要素と類似しうることを、読者に知らせうる。所与の実施例に特有の要素は、その特定の例に関して記載されうる。当業者であれば、関連する要素の特徴を共有するために、所与の要素が、任意の所与の図または実施例における関連する要素の特定の描写と同一である、および/または類似している必要はないことを理解するであろう。
【0103】
前述の説明は、例示であり、限定ではないことが意図されていることが理解されるべきである。上記の説明を読み、理解することで、当業者には他の多くの実施が明らかになるであろう。したがって、本実施の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、こうした特許請求の範囲が権利を有する均等物の全部の範囲と共に、決定されなければならない。
【0104】
前述の開示は、独立した効用を有する複数の別個の実施例を包含する。これらの実施例は特定の形態で開示されているが、上記に開示および図示した特定の実施例は多数の変形が可能であるため、限定的意味で考えられるべきではない。本明細書に開示される主題は、上記で明示的かつ本質的に開示されたさまざまな要素、特徴、機能および/または特性の新規かつ非自明の組合せおよび部分的組合せを含む。本開示またはその後出願される特許請求の範囲が、「一つの」要素、「第一の」要素、または任意のこうした同等の用語を列挙する場合、本開示または特許請求の範囲は、かかる要素の二つ以上を必要とすることも除外することもなく、一つ以上のかかる要素を組み込むと理解されるべきである。
【0105】
本明細書で使用される「同じ」は、すべての特徴を共有することを意味し、「類似」は、相当数の特徴を共有することまたは相当数の特徴を共有しない場合でも、実質的に重要な特徴を共有することを意味する。本明細書で使用される「may(~しうる、~してもよい)」は寛容な意味で解釈されるべきであり、不確定な意味で解釈されるべきではない。その上、実施例、要素、および/または特徴に関する「is」の使用は、特定の実施例に関してのみ確定的であると解釈されるべきであり、すべての実施例に関して確定的に解釈されるべきではない。さらに、「開示」および/または「本開示」の言及は、本書の執筆全体および付随する図の全体を指し、これは、発明の名称、背景技術、図面の簡単な説明、発明を実施するための形態、特許請求の範囲、要約、および参照により本明細書に組み込まれるその他の文書および/またはリソースを含む、本書の各小部のすべての執筆に及んでいる。
【0106】
本明細書で列挙に関して使用される「および」は、列挙された要素すべてを含めた群を形成する。例えば、A、B、C、およびDを含むとして記載される実施例は、Aを含み、Bを含み、Cを含み、およびDも含む実施例である。本明細書で列挙に関して使用される「または」は、要素の列挙を形成し、それらのいずれかが含まれうる。例えば、A、B、C、またはDを含むとして記載される実施例は、要素A、B、C、およびDのいずれかを含む実施例である。別段の記載がない限り、代替的に包含される要素の列挙を含む実施例は、代替的に包含される要素の一部またはすべてのさまざまな組合せを含む他の実施例を排除しない。代替的に包含される要素の列挙を使用して記載される実施例は、列挙された要素の少なくとも一つの要素を含む。しかしながら、代替的に包含される要素の列挙を使用して記載される実施例は、列挙された要素のすべてを含む別の実施例を排除しない。そして、代替的に包含される要素の列挙を使用して記載される実施例は、列挙された要素の一部の組合せを含む別の実施例を排除しない。本明細書で列挙に関して使用される「および/または」は、単独または任意の組合せを含めた要素の列挙を形成する。例えば、A、B、C、および/またはDを含むとして記載される実施例は、A単独;AおよびB;A、BおよびC;A、B、C、およびDなどを含みうる。「および/または」列挙の範囲は、列挙に対する組合せおよび順列の完全なセットによって定義される。
【0107】
特定の要素の倍数が図に示されていて、その要素が図全体を通して重複していることが明らかな場合、図中にその要素の複数の事例が存在していても、その要素に対して一つの標識のみが提供されてもよい。よって、同一または類似の構造および/または機能を有する要素の図中の他の事例は、重複して標識されていない場合がある。当業者であれば、本明細書の開示に基づいて、同じ図の余分な、および/または重複した要素を認識するであろう。これにもかかわらず、図示した実施例の構造を明確にするのに有用な場合には、重複標識が含められてもよい。
【0108】
出願人は、新規かつ非自明と考えられる、開示された実施例の組合せおよび部分的組合せを対象とする特許請求の範囲を提出する権利を留保する。特徴、機能、要素、および/または特性の他の組合せおよび部分的組合せで具体化された実施例は、これらの特許請求の範囲の修正、または本出願もしくは関連する出願における新しい特許請求の範囲の提示を通して請求されうる。こうした修正されたまたは新しい特許請求の範囲は、それらが同じ実施例または異なる実施例を対象としているかどうか、およびそれらが元の特許請求の範囲とは異なる、より広い、より狭い、または等しいかどうかに関わらず、本明細書に記載される実施例の主題内と見なされるべきである。