(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】エスカレータのコンテンツ表示方法、コンテンツ表示システムおよびコンテンツ表示プログラム
(51)【国際特許分類】
B66B 31/00 20060101AFI20250120BHJP
B66B 23/22 20060101ALI20250120BHJP
G09F 19/00 20060101ALI20250120BHJP
【FI】
B66B31/00 A
B66B31/00 C
B66B23/22 J
G09F19/00 Z
(21)【出願番号】P 2024015849
(22)【出願日】2024-02-05
【審査請求日】2024-02-05
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】萩原 ひろみ
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-214445(JP,A)
【文献】特開2022-028444(JP,A)
【文献】特開2021-127211(JP,A)
【文献】特開2020-091586(JP,A)
【文献】特開2022-166743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00- 31/02
G09F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エスカレータの利用者の搭乗位置を検出し、
前記利用者がエスカレータに搭乗する際に前記利用者の属性情報を検出し、
前記利用者が搭乗中には、検出された属性情報に応じたコンテンツ画像をデータベースから抽出して前記エスカレータの乗降口から他の乗降口までの所定箇所の全域に設置された表示パネルに表示する、エスカレータのコンテンツ表示方法
であって、
前記利用者を第1の利用者とした場合、第1の利用者の前方に他の利用者がいない場合には、第1の利用者の搭乗位置から前方の表示パネルの全面に渡って第1の利用者の属性に応じたコンテンツ画像を表示する、エスカレータのコンテンツ表示方法。
【請求項2】
第1の利用者の後方から第2の利用者が搭乗した場合には、第1の利用者と第2の利用者との間の表示パネルに第2の利用者の属性に応じたコンテンツ画像を表示する、請求項1に記載のエスカレータのコンテンツ表示方法。
【請求項3】
第1の利用者と、第2の利用者とが同一属性である場合には、同一のコンテンツ画像を表示する、
請求項2に記載のエスカレータのコンテンツ表示方法。
【請求項4】
第1の利用者と、第2の利用者とが同一属性である場合に、第1、第2の利用者と同一属性の第3の利用者が搭乗した場合には、前記同一のコンテンツ画像とは異なるコンテンツ画像を表示する、
請求項3に記載のエスカレータのコンテンツ表示方法。
【請求項5】
複数人の利用者が連続して搭乗することが検知された場合には、属性によらない共通のコンテンツ画像を表示パネルに表示する、請求項1に記載のエスカレータのコンテンツ表示方法。
【請求項6】
前方の利用者と、この利用者に続く後方の利用者との間の踏段間隔が3枚以上である場合に、前方の利用者と後方の利用者との間の表示パネルに後方の利用者の属性に応じたコンテンツ画像を表示する、請求項1に記載のエスカレータのコンテンツ表示方法。
【請求項7】
踏段を歩行する利用者または逆走する利用者が検知された場合には、表示パネルの画像を利用者の属性情報に応じたコンテンツ画像から注意喚起画像に切り替える、請求項1に記載のエスカレータのコンテンツ表示方法。
【請求項8】
エスカレータの利用者の搭乗位置を検出し、
前記利用者がエスカレータに搭乗する際に前記利用者の属性情報を検出し、
前記利用者が搭乗中には、検出された属性情報に応じたコンテンツ画像をデータベースから抽出して前記エスカレータの乗降口から他の乗降口までの所定箇所の全域に設置された表示パネルに表示する、エスカレータのコンテンツ表示方法であって、
前記利用者を第1の利用者とした場合、第1の利用者の前方に他の利用者がいない場合には、第1の利用者の搭乗位置から前方の表示パネルの全面に渡って第1の利用者の属性に応じたコンテンツ画像を表示し、
第1の利用者の後方から第2の利用者が搭乗した場合には、第1の利用者と第2の利用者との間の表示パネルに第2の利用者の属性に応じたコンテンツ画像を表示し、
第1の利用者と、第2の利用者とが同一属性である場合には、同一のコンテンツ画像を表示し、
第1の利用者と、第2の利用者とが同一属性である場合に、第1、第2の利用者と同一属性の第3の利用者が搭乗した場合には、第2の利用者と第3の利用者との間の表示パネルに前記同一のコンテンツ画像とは異なるコンテンツ画像を表示する、エスカレータのコンテンツ表示方法。
【請求項9】
エスカレータの乗降口から他の乗降口までの所定箇所の全域に設置された表示パネルと、
エスカレータの利用者が搭乗する際に利用者を撮像するカメラと、
撮像されたカメラ画像から利用者の属性を判定する属性判定部と、
利用者の属性に対応した表示コンテンツの内容を設定した画像一覧を保存する属性データベースと、
前記属性データベースに設定された表示コンテンツを格納する動画データベースと、
前記属性判定部により判定された属性に基づき、前記属性データベースから対応する表示コンテンツを検索するとともに、検索された表示コンテンツを前記表示パネルに表示するコンテンツ制御部と、を備
え、
前記コンテンツ制御部は、
前記利用者を第1の利用者とした場合、第1の利用者の前方に他の利用者がいない場合には、第1の利用者の搭乗位置から前方の表示パネルの全面に渡って第1の利用者の属性に応じたコンテンツ画像を表示する、エスカレータのコンテンツ表示システム。
【請求項10】
前記表示パネルは、踏段を挟んだ左右一対の欄干パネル、欄干下部の内デッキ部分、外装受けデッキ部分、エスカレータ近傍の建屋壁の少なくとも何れかに設置される、請求項9に記載のエスカレータのコンテンツ表示システム。
【請求項11】
請求項1から8の何れか1項に記載のコンテンツ表示方法をコンピュータに実行させるエスカレータのコンテンツ表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エスカレータのコンテンツ表示方法、コンテンツ表示システムおよびコンテンツ表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
エスカレータ(動く歩道を含む)の欄干パネルに表示器を設置して情報を提供する方法がある。
【0003】
従来例として、エスカレータにおける情報提供装置は表示器同士の設置位置が隙間を設けて設置されており、カメラを使って属性情報を取得し、その属性情報に応じたコンテンツを表示器に表示する。エスカレータの利用者の移動速度に合わせて、利用者の近くにある表示器に順次コンテンツを表示する構成となっている。表示器の設置位置は欄干や手摺、エスカレータを設置している横の建物側壁面に複数設置されている場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6657309号
【文献】特許第6208287号
【文献】特開2020-9158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の情報提供装置は表示器が分割されており、エスカレータの移動速度に合わせて動画広告などを流しても、表示器1枚1枚に広告コンテンツが表示されるものとなっていたため、自然な広告表示ができなかった。また、属性情報を取得し対象属性に合わせたコンテンツを投影しても同一属性を持つ人が続けて利用する場合、利用者同士の間が空いたとしても同じコンテンツの提示となってしまうなど、パターン的広告提供は難しかったため、利用者を飽きさせることなく広告に注視させ、効果的な情報提供を行うことができないという課題があった。
【0006】
また、表示器が連続して設置されていても利用者の近くの表示器のみに広告や情報が投影されるため、もしもその先に利用者がいない場合、その先に設置されている表示器すべてを効率的に活用することはできなかった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、エスカレータに設置された表示パネルを有効に利用しつつ利用者の属性に応じたコンテンツを表示できるエスカレータのコンテンツ表示方法、コンテンツ表示システムおよびコンテンツ表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための実施形態は、エスカレータの利用者の搭乗位置を検出し、前記利用者がエスカレータに搭乗する際に前記利用者の属性情報を検出し、前記利用者が搭乗中には、検出された属性情報に応じたコンテンツ画像をデータベースから抽出して前記エスカレータの乗降口から他の乗降口までの所定箇所の全域に設置された表示パネルに表示する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態が適用されるエスカレータの外観構成を示す説明図。
【
図2】本発明の実施形態が適用されるエスカレータのコンテンツ表示システムの構成を示すブロック図。
【
図3】属性ごとの広告コンテンツ内容を示す説明図。
【
図4】利用者Aが1名搭乗した際の広告コンテンツの表示手順を示すフローチャート。
【
図6】利用者Aのあとに間を空けて属性の違う利用者Bが搭乗した際の広告コンテンツの表示手順を示すフローチャート。
【
図8】利用者A、利用者Bの次に間を開けて属性の違う利用者Cが搭乗した際の広告コンテンツの表示手順を示すフローチャート。
【
図10】利用者A、利用者B、利用者Cが搭乗し、次に間を開けて属性の違う利用者D、その後続けて利用者Dと同じ属性の利用者Eが搭乗した際の広告コンテンツの表示手順を示すフローチャート。
【
図12】利用者A、利用者B、利用者Cが搭乗し、属性の同じ利用者D、Eが搭乗し、次に間を開けて利用者D、Eと同じ属性の利用者Fが搭乗した際の広告コンテンツの表示手順を示すフローチャート。
【
図14】利用者が隙間なく連続して搭乗した際の広告コンテンツの表示手順を示すフローチャート。
【
図16】利用者が隙間なく連続して搭乗した際の広告コンテンツ内容を示す説明図。
【
図17】本発明の実施形態が適用されるエスカレータのコンテンツ表示システムの他の構成を示すブロック図。
【
図18】エスカレータ外装受けデッキに表示パネルを設置する例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態に係るエスカレータの広告コンテンツの提示システムおよびパネル表示パターンについて図に基づき説明する。なお、以下の実施形態では、アップ運転のエスカレータを想定している。なお、本発明の実施形態が適用されるエスカレータには、水平移動型のエスカレータ(いわゆる「動く歩道」)、中間水平部のあるタイプを含む。
【0011】
<実施形態の構成>
図1は実施形態に係るエスカレータの全体構成を示す説明図である。なお、以下の実施形態では、アップ運転のエスカレータを想定している。また、本発明の実施形態が適用されるエスカレータには、水平移動型のエスカレータ(いわゆる「動く歩道」)、中間水平部のあるタイプを含む。
【0012】
エスカレータ1は、下階の乗降口2と上階の乗降口3との間を循環移動する複数の踏段4を有している。また、利用者が把持する手すりベルト5が設置され、手すりベルト5は踏段4と連動して乗降口2と乗降口3との間を循環移動する。
【0013】
手すりベルト5は、踏段4を挟んで左右に立設された欄干パネル6に支持されて移動する。なお、実施形態では、欄干パネル6はガラスパネルを想定している。
【0014】
乗降口2,3付近には、ポール状の利用者検出センサ7が設置されている。利用者検出センサ7にはカメラ8が搭載されており、乗降口2,3からエスカレータ1に乗り込む利用者を撮像し、そのカメラ画像を生成する。
【0015】
また、内デッキ10下方のスカートガードパネル11には、利用者の搭乗位置を検出する人感センサ13が上下の乗降口寄り、中間部等に複数個設置されている。
【0016】
さらに、左右一対の欄干パネル6には、下階の乗降口2から上階の乗降口3に至るほぼ全面に表示パネル14が設置され、映像が続けて投影できる大型ビジョンのように構成されている。この表示パネル14は、LEDフィルムを欄干パネル6に貼付したもので構成される。また、左右の表示パネルには、同じコンテンツを表示する。片側表示の場合には利用者の搭乗位置に対して反対側となる側に表示する。
【0017】
図2は、実施形態におけるエスカレータのコンテンツ表示方法を実施するコンテンツ表示システムの構成を示すブロック図である。
【0018】
同図に示すように、このコンテンツ表示システムは、表示制御装置20と、この表示制御装置20とはネットワークを介して接続されたデータベース(DB)装置30とを備える。
【0019】
表示制御装置20は、カメラ8からのカメラ画像を入力する画像入力部21と、入力されたカメラ画像から利用者の属性を判定する属性判定部と、入力された画像データを記録する画像記録部とを備える。また、表示制御装置20は、利用者の属性情報に基づくコンテンツを表示パネル14に表示するコンテンツ制御部24と、データベース装置30から属性情報に適用する表示コンテンツを入手する通信部25とを備える。
【0020】
データベース装置30は、属性データベース31と、動画データベース32とを備える。属性データベース31は、
図3に示すように、利用者の属性に対応した表示コンテンツ(広告コンテンツ)の内容をあらかじめ設定した画像一覧表を保存する。
【0021】
動画データベース32には属性ごとの広告コンテンツが複数パターン用意されている。動画データベース32は設備ごとに広告パターン、商業施設内での販促コンテンツ、キャンペーン情報案内など広告パターンを切り替えて表示できるコンテンツも用意されている。
【0022】
本実施形態のエスカレータの広告表示システムは、まず、カメラ8にて利用者Aの画像を撮影し、画像記録部23にて利用者の乗り込みの記録を行う。また表示制御装置20の属性判定部22にて利用者Aの属性情報を判定する。コンテンツ制御部24は、通信部25を介し属性データベース31から利用者の属性に対応した表示内容を検索し、対応する広告コンテンツを動画データベース32から抽出して表示パネル14に表示させる。
【0023】
<実施形態の作用(処理手順)>
以下に、利用者がエスカレータに乗り込む態様に応じて、コンテンツ表示方法を第1のケース~第6のケースに分けて説明する。
【0024】
《第1のケース》
図4のフローチャート、
図5の模式図を参照して第1のケースについて説明する。
図5に示すように、第1のケースは利用者Aの前方に他の利用者がいない場合のコンテンツ表示方法である。
【0025】
先ず、利用者Aをカメラ8で撮像し、そのカメラ画像に基づき、利用者Aの属性を検出する(ステップS1)。
【0026】
その結果、例えば、利用者Aの属性が20代の女性と判定されたとする(ステップS2)。この場合、利用者Aの前方に他の利用者がいなければ、パネル全面を使用して広告パターン1a1を表示する(ステップS3)。
【0027】
順次先のパネルを使用して広告パターン2a2を表示する(ステップS4)。順次先のパネルを使用して広告パターン3a3を表示する(ステップS5)。利用者Aが降車してエスカレータ利用が終了すると表示処理を終了する(ステップS6)。
【0028】
例えば、利用者Aが20代女性と判断した場合、
図4のフローチャートに示すように、まず
図3の広告パターン1a1の化粧品広告を利用者Aの前方踏段1つ上から先のパネル全てを利用し投影する。その後広告パターン1a1の投影が終了したら、次に利用者Aの現在地から前方踏段1つ上のパネル全てを利用し、広告パターン2a2アクセサリー広告を投影する。広告パターン2a2の投影終了後、順次利用者Aの現在地から前方踏段1つ上のパネル全てを利用し、広告パターン3a3(ブランドバッグ広告)の投影を行う。その際、表示パネル14は利用者Aより前方のパネルとなるため、踏段が進むごとに投影範囲は縮小されていく。広告パターンは3パターンとは限らず、エスカレータの階高や広告ごとの提供時間により、変動する。
【0029】
その際にエスカータのスカートガードパネル11に設置の人感センサ13によりそれぞれの利用者の位置を正確に検知し、利用対象者がエスカレータ1に乗り込み立った側の欄干パネル6と反対側に設置の表示パネル14に利用者と利用者との間の表示パネル14を全て利用し、属性情報に合わせた広告コンテンツを表示する。
【0030】
このように、利用者Aの前に誰も利用者がいない場合は、利用者Aの前方踏段1つ上から先の表示パネル14を全て利用し、利用者Aの属性に合わせた広告を提供することができる。これにより、長時間の広告遡及効果を得ることができる。
【0031】
《第2のケース》
図6のフローチャート、
図7の模式図を参照して第2のケースについて説明する。
【0032】
第2のケースは属性が違う利用者が、間隔を空けて順次乗り込んで来た場合のパターンである。
【0033】
図6に示すように、カメラ画像に基づき、利用者Bの属性を検出する(ステップS11)。例えば、利用者Bの属性が20代の男性と判定されたとする(ステップS12)。前方の利用者Aの後ろの踏段4までのパネルを使用して広告パターン1b1を表示する(ステップS13)。前方の利用者Aの後ろの踏段4までの表示パネル14を使用して広告パターン2b2を表示する(ステップS14)。前方の乗降口3までの表示パネル14を使用して広告パターン3b3を表示する(ステップS15)。
【0034】
利用者Bが降車してエスカレータ利用が終了すると表示処理を終了する(ステップS16)。
【0035】
具体的には、第1のケースと同様、カメラ8にて利用者Bの画像を撮影し、画像記録部23にて利用者Bの乗り込みの記録を行う。踏段の速度が30m/minとして踏段の奥行サイズが40cmとすると2秒間で1.0m進むことととなり、送り出す踏段の枚数は約3枚となる。
図7に示すように、利用者Aのあと、踏段4の枚数が3枚以上空いていることを条件として、属性の異なる利用者Bがエスカレータ1に乗り込んだ場合も、センサで検知した信号で判定させる。その間隔が踏段3枚分(2秒)空いていれば、利用者Bに対する表示は利用者Aとの間の表示パネル14を全て利用し、広告コンテンツを投影することができる。
【0036】
例えば、利用者Aのあとの利用者Bが50代男性と判断した場合、利用者Aの後ろの踏段までのパネルを使用し、まず
図7の広告パターン1b1のネクタイ広告を利用者Aとの間のパネル全てを利用し投影する。その後広告パターン1b1の投影が終了したら、次に広告パターン2b2電動シェーバー広告を投影する。2b2の投影終了後、3b3お酒の広告の投影を行う。
【0037】
その際、利用者Aと利用者Bの間の投影区間(距離)は変わらない。広告パターンは3パターンとは限らず、エスカレータの階高や広告ごとの提供時間により変動する。
【0038】
《第3のケース》
図8のフローチャート、
図9の模式図を参照して第3のケースについて説明する。
【0039】
図8に示すように、カメラ画像に基づき、利用者Cの属性を検出する(ステップS21)。例えば、利用者Cの属性が60代の女性と判定されたとする(ステップS22)。この場合には、前方の利用者Bの後ろの踏段までのパネルを使用して広告パターン1c1を表示する(ステップS23)。順次、前方の利用者Bの後ろの踏段4までのパネルを使用して広告パターン2c2を表示する(ステップS24)。次に、前方の乗降口3までのパネルを使用して広告パターン3c3を表示する(ステップS25)。
【0040】
そして、利用者Cが降車してエスカレータ利用が終了すると表示処理を終了する(ステップS26)。
【0041】
第3のケースでも同様に、属性の異なる利用者が乗り込んだ場合、その利用者間の表示パネル14を利用し、それぞれの属性に応じた広告コンテンツを
図3のパターン1から順に提示することができる。上述した例では、利用者Bの後の利用者Cが60代女性と検知した場合、利用者Bの後ろの踏段4までの表示パネル14を使用し、広告パターン1c1の健康食品の広告を投影する。その後、広告パターン1c1の投影が終了したら、次に広告パターン2c2(生活家電広告)を投影する。広告パターン2c2の投影終了後、広告パターン3c3(婦人服)の広告の投影を行う。
【0042】
《第4のケース》
図10のフローチャート、
図11の模式図を参照して第4のケースについて説明する。第4のケースは、先の利用者の属性とその後に乗り込んだ利用者の属性が同じ場合のパターンである。
【0043】
図10のフローチャートに示すように、カメラ画像に基づき、利用者Dの属性を検出する(ステップS31)。例えば、利用者Dの属性が20代の男性と判定されたとする(ステップS32)。
【0044】
次に、利用者Dの後ろから利用者Eが乗り込んだ場合、カメラ画像に基づき、利用者Eの属性を検出する(ステップS41)。例えば、利用者Eの属性が20代の男性と判定されたとする(ステップS42)。
【0045】
ここで、利用者Dと利用者Eの属性は、共に20代の男性であり、共通しているので、前方にいる利用者Cの後ろの踏段までの表示パネル14を使用して利用者Dと利用者Eの属性に応じた広告パターン1d1を表示する(ステップS33)。次いで、広告パターン1d1の表示が終了後、前方の利用者Cの後ろの踏段4までの表示パネル14を使用して広告パターン2d2を表示する(ステップS34)。さらに、広告パターン2d2の表示終了後、前方の乗降口3までの表示パネル14を使用して広告パターン3d3を表示する(ステップS35)。
【0046】
利用者D,Eが降車してエスカレータ1の利用が終了すると表示処理を終了する(ステップS36)。
【0047】
図11に基づき詳述すると、利用者Cのあとに利用者Dが20代男性と検知され、その後、踏段間隔を空けず利用者Eが乗り込み、同一属性の20代男性と判定されたとする。この場合、利用者Cの後ろの踏段4までのパネルを使用し、利用者D・Eに対して広告パターン1d1のゲーム広告を投影し、同時に見てもらう形とする。広告パターン1d1の投影終了後、広告パターン2d2の時計広告、その後、広告パターン3d3の財布広告を順次投影する。この場合は、同一属性の利用者が踏段間隔を空けず利用した場合であるが、属性の違う利用者が間隔を空けず利用した場合は先に乗り込んだ利用者の属性を優先し、広告を投影するものとする。
【0048】
なお、
図11についても同様に、利用者と利用者との間の投影区間(距離)は変わらない。広告パターンは3パターンとは限らず、エスカレータ1の階高や広告ごとの提供時間により、変動する。
【0049】
このように、前後の利用者間の表示パネル14を全て利用し、広告提供できることで表示パネル14を最大限に活用し、パーソナルパネルのように利用することで、様々な人物属性に合わせた広告の提供が可能になる。
【0050】
さらに、エスカレータ1を乗っている全ての利用者に同時にその属性にあった広告を表示し見てもらうことができる。
【0051】
《第5のケース》
図12のフローチャート、
図13の模式図を参照して第5のケースについて説明する。第5のケースは同一属性の利用者が連続して(3人以上)利用した場合のパターンである。
【0052】
図12に示すように、カメラ画像に基づき、利用者Fの属性を検出される(ステップS51)。例えば、利用者Fの属性が利用者D,Eと同様、20代の男性と判定されたとする(ステップS52)。この場合は、前方の利用者Eの後ろの踏段までのパネルを使用して利用者D,Eとは違う広告内容である広告パターン
1d3を表示する(ステップS53)。次いで、前方の利用者Eの後ろの踏段までのパネルを使用して広告パターン1d1を表示する(ステップS54)。
【0053】
さらに、前方の乗降口3までのパネルを使用して広告パターン2d2を表示する(ステップS55)。
【0054】
利用者Fが降車してエスカレータ利用が終了すると表示処理を終了する(ステップS56)。
【0055】
具体的に詳述すると、踏段4の速度が30m/minとして踏段の奥行サイズが40cmとすると2秒間で1.0m進むことととなり、送り出す踏段の枚数は約3枚となる。第3のケースでは、
図13のように、利用者D・Eのあと、踏段の枚数が3枚以上空いていることを条件として、利用者Fがエスカレータ1に乗り込んだ場合も、人感センサ13で検知した信号で判定させる。その間隔が踏段3枚分(2秒)空いていれば、利用者D・Eとの間のパネルを全て利用し、コンテンツを投影する。
【0056】
その場合も、利用者Fの属性判定を行い、同一属性が続いて乗り込んだ場合は、利用者D・Eと別の広告パターン3d3から順に表示パネル14に投影する。上述の例では、利用者D・Eのあとの利用者Fが利用者D・Eと同一属性の20代男性と判断した場合、利用者D・Eとは異なる広告パターン1d3の財布広告を利用者D・Eとの間の表示パネル14全てを利用し投影する。その後、広告パターン1d3の投影が終了したら、次に、広告パターン2d1(ゲーム広告)を投影する。広告パターン2d1の投影終了後、広告パターン3d2(時計広告)の投影を行う。
【0057】
その際、利用者D・Eと利用者Fの間の投影区間(距離)は変わらない。広告パターンは3パターンとは限らず、エスカレータ1の階高や広告ごとの提供時間により、変動する。
【0058】
このように、同一の属性を持つ人が続けてエスカレータを利用する場合も広告は何種類かパターンを持たせているので、次に利用する人も飽きることなく、広告に注視させることができる。その結果、エスカレータ1での歩行を抑止する効果も期待できる。
【0059】
《第6のケース》
図14のフローチャート、
図15の模式図を参照して第6ケースについて説明する。
【0060】
第6のケースにつき、
図14、
図15で説明する。第6のケースの特徴は利用者が間を空けることなく連続利用した場合のパターンである。
【0061】
図14に示すように、カメラ画像に基づき、利用者の属性を検出する(ステップS61)。
【0062】
引き続き、利用者が連続して来ていることが検知されると(ステップS62)、属性に応じた広告パターンを表示するのではなく、最初の利用者Aの乗り込み位置から共通広告パターン1A1を表示する(ステップS63)。次いで、下部の欄干部分から共通利用広告パターン2A2を全面パネルを利用して表示する(ステップS64)。順次、下部の欄干部分から共通利用広告パターン2B2を全面パネルを利用して表示する(ステップS65)。
【0063】
人感センサ13の検知結果から人の流れが止まったか否かが判定され(ステップS66)、人の流れが止まった場合には、共通広告の表示を停止して通常の利用者属性に基づく広告を表示する(ステップS67)。
【0064】
第6のケースも第1のケースと同様、カメラ8にて利用者Fの画像を撮影し、画像記録部23にて利用者の乗り込みの記録を行う。前述したように、踏段4の速度が30m/minとして踏段の奥行サイズが40cmとすると2秒間で1.0m進むことととなり、送り出す踏段の枚数は約3枚となる。第6のケースでは、
図15のように利用者A~Hまでが連続して乗り込みを行う場合、カメラ8で利用者が連続して5秒検知されたら、非属性モードに切り替えて、
図16のコンテンツ表の中から共通広告コンテンツをパターン1から順に投影を行う。
【0065】
表示モードとしては、次の2モードが考えられる。モード1は全ての表示パネル14を利用し一つの広告を全体に投影し、パターン広告を順次投影させる。モード2はパネル範囲ごとに広告投影範囲を決めてパターン広告をそれぞれ表示する。例えば、3パターンの広告があるとすると表示パネル14を3分の1ずつ分割し、3パターンをそれぞれのパネルに投影する。
【0066】
例えば、連続利用の並列検知と判断した場合、
図8のフローチャートに示すように、まず
図15の共通広告パターン1A1の旅行広告を利用者Aの前方踏段1つ上から先のパネル全てを利用し投影する。その後、共通広告パターン1A1の投影が終了したら、次に、共通広告パターン2A2施設キャンペーン情報広告を投影する。その後、共通広告パターン3A3(レストラン広告)の投影を行う。
【0067】
上述したように、利用者Aの後ろのパネルは欄干下部より共通広告パターン1A1を投影、その後、共通広告パターン2A2を順次投影し、次に、共通広告パターン3A3(レストラン広告)の投影を行う。その際、利用者Aの後ろの表示パネル14は広告の長さごとに切り替えを行うため、連続利用が途切れるまで3パターンのコンテンツが繰り返し投影される。広告パターンは3パターンとは限らず、エスカレータの階高や広告ごとの提供時間により、変動する。駅などに設置の場合は、時間帯(例えば、出勤時の7時~9時)によってタイマーなどで
図16の共通広告パターンを繰り返し投影することもできる。
【0068】
第6のケースでは、エスカレータ利用者が連続して乗り込みがあった場合は、搭乗部と反対側のパネル全面を使用し、エスカレータ利用者共通の同一コンテンツパターンを準備し提供することで、ダイナミックな映像で広告を提供し広告に注視させることで広告注視ができ、エスカレータでの歩行を抑止する効果の期待もできる。
【0069】
<変形例>
図17は、本発明の実施形態が適用されるエスカレータのコンテンツ表示システムの他の構成を示すブロック図である。
【0070】
図17に示すように、1号機~3号機の各号機に1号機カメラ8A、2号機カメラ8B、3号機カメラ8Cを備え、各カメラ8A,8B,8Cからのカメラ画像を個別に入力する1号機表示制御装置20A、2号機制御装置20B、3号機制御装置20Cを備える構成が採用されている。また、各号機に人感センサ13A,13B,13Cと表示パネル14A,14B,14Cを備える。一方、データベース装置30は各号機で共通に使用され、コンテンツ制御部42、通信部41を介して各号機の表示パネル14A,14B,14Cに表示コンテンツが供給される。各号機での処理手順は上述した実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0071】
<他の変形例>
上述した実施形態では、表示パネル14は欄干パネル6に設置する構成であるが、これに限られない。例えば、エスカレータ1の内デッキ10または外デッキ12にフィルム状LEDパネルを例えば両面テープにて貼り付けて表示パネル14を構成するようにしてもよい。また、
図18に示すように、手すりベルト5の外側に形成される不透明な材質のエスカレータ外装受けデッキ16に設置してもよい。複数台のエスカレータ1が並列設置される場合も同様、隣接されるエスカレータ1の間に設けられる外装受けデッキ16に、LEDパネルを例えば両面テープにて貼り付けることによって表示パネル14を設置するようにしてもよい。これにより複数台のエスカレータ1で表示パネル14を共用できるので、設置費用の低減にも寄与できる。
【0072】
《他の変形例の効果》
内デッキ10に表示パネル14を設置した場合、省スペースで広告表示を行うことができ、足元でも広告や文字を注視できる。
【0073】
外デッキ12に設置した場合は、表示パネル14が直接利用者に触れられることを抑制することができ、いたずら等に起因する故障やトラブルの発生を回避できる。
【0074】
また不透明な材質の外装受けデッキ16に取り付けた場合は、より高い目線の位置で広告を注視することができるため、広告の訴求効果を高めることができる。
【0075】
<さらに他の変形例>
カメラ画像の解析結果に基づき、踏段4を歩いている人、逆走している人がいると判断した場合、注意喚起の表示に切り替えるようにしてもよい。例えば、人感センサ13で逆走を判断した場合、広告表示を停止し「逆走注意」の画像を表示して注意喚起を行うことも可能である。なお、歩いている利用者がその後、例えば15秒間、歩行が検知されなければ、注意喚起の表示をやめて通常広告に戻すようにする。
【0076】
カメラ8の設置場所としては、アップ運転でもダウン運転の場合でも天井側で顔の見える位置に設置するようにしてもよい。
【0077】
左右に取り付けられた表示パネル14に表示されるコンテンツは、左右に別々のコンテンツを投影することも可能である。
【0078】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
1…エスカレータ、2,3…乗降口、4…踏段、5…手すりベルト、6…欄干パネル、7…利用者検出センサ、8…カメラ、8A…1号機カメラ、8B…2号機カメラ、8C…3号機カメラ、10…内デッキ、11…スカートガードパネル、12…外デッキ、13,13A,13B,13C…人感センサ、14…表示パネル、14A…1号機表示パネル、14B…2号機表示パネル、14C…3号機表示パネル、16…外装受けデッキ、20…表示制御装置、20A…1号機表示制御装置、20…2号機表示制御装置、20…3号機表示制御装置、21…画像入力部、22…属性判定部、23…画像記録部、24…コンテンツ制御部、25…通信部、30…データベース(DB)装置、31…属性データベース、32…動画データベース、41…通信部、42…コンテンツ制御部
【要約】
【課題】エスカレータに設置された表示パネルを有効に利用しつつ利用者の属性に応じたコンテンツを表示できる。
【解決手段】エスカレータの利用者の搭乗位置を検出し、前記利用者がエスカレータに搭乗する際に前記利用者の属性情報を検出し、前記利用者が搭乗中には、検出された属性情報に応じたコンテンツ画像をデータベースから抽出して前記エスカレータの乗降口から他の乗降口までの所定箇所の全域に設置された表示パネルに表示する。
【選択図】
図5