(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】DC効率改善のための室内センサ測定値の挙動変化検出
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20250120BHJP
F24F 11/89 20180101ALI20250120BHJP
F24F 11/523 20180101ALI20250120BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20250120BHJP
【FI】
G05B23/02 Z
F24F11/89
F24F11/523
F24F110:10
(21)【出願番号】P 2024038428
(22)【出願日】2024-03-12
【審査請求日】2024-05-13
(32)【優先日】2023-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バックフース ヤナ
【審査官】牧 初
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2022/0043420(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0365155(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109675935(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00-23/02
F24F 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
増分主成分分析(PCA)モデラを実行して、監視される位置の1つまたは複数の冷却デバイスに関連付けられたセンサ測定値のためのPCAモデルを構築することと、
主成分の数の変化に基づいて、または再構成誤差が閾値を超えるときに、各時間ステップにおける変化を検出することと、
前記変化を評価および観測して、前記1つまたは複数の冷却デバイスに関するフィードバックを生成することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記増分PCAモデラを実行することは、各グループ識別子について、
前記各時間ステップについて前記各グループ識別子に関連付けられた前記センサ測定値のうちのすべての新しい測定値を取得することと、
前記各グループ識別子について利用可能でない前記PCAモデルについて、
前記センサ測定値のうちの前記新しい測定値から前記グループ識別子についての前記PCAモデルを作成することと、
前記主成分の数の前記変化がないことを示すフラグとともに、前記作成されたPCAモデルを記憶することと、
前記各グループ識別子について利用可能である前記PCAモデルについて、
前記センサ測定値のうちの前記新しい測定値に基づいて前記PCAモデルを更新することと、
前記PCAモデルから前記更新されたPCAモデルの前記主成分の増加があるかどうかを判定することと、
前記判定から前記主成分の前記増加があるかどうかを示す前記フラグとともに、前記更新されたPCAモデルを記憶することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記各時間ステップにおける前記変化を検出することは、
増加を有する前記主成分の数の前記変化を示す前記PCAモデルに関連付けられたフラグについて、
前の変化日から直接継続しているか、または近接している変化日があるかどうかを判定することと、
前記前の変化日から直接継続しているか、または近接している前記変化日を示す前記判定することについて、前記PCAモデルに関連付けられた変化日データベースエントリを新しい変化日で更新し、前記PCAモデルについて変更されてから経過した前記時間ステップをインクリメントすることと、
前記前の変化日から直接継続していないか、または近接していない前記変化日を示す前記判定することについて、前記PCAモデルに関連付けられた新しい変化日データベースエントリを追加することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記各時間ステップにおける前記変化を検出することは、
前記増加を有するものとして前記主成分の数の前記変化を示さない前記PCAモデルに関連付けられた前記フラグについて、
前記各時間ステップについて前記PCAモデルを用いて再構成値を計算することと、
前記再構成値から前記再構成誤差を計算することと、
前記閾値を超える前記再構成誤差について、
前記前の変化日から直接継続しているか、または近接している前記変化日があるかどうかを判定することと、
前記前の変化日から直接継続しているか、または近接している前記変化日を示す前記判定することについて、前記PCAモデルに関連付けられた前記変化日データベースエントリを前記新しい変化日で更新し、前記PCAモデルについて変更されてから経過した前記時間ステップの数をインクリメントすることと、
前記前の変化日から直接継続していない前記変化日を示す前記判定することについて、前記PCAモデルに関連付けられた前記新しい変化日データベースエントリを追加することと、
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記変化を評価および観測して、前記1つまたは複数の冷却デバイスに関する前記フィードバックを生成することは、
前記変化の各々について、
前記PCAモデルが変化日データベースエントリから変更されてから経過した時間ステップの数を判定することと、
ステップ閾値を満たす経過した前記時間ステップの数について、
前記変化日の前および前記変化日の後からの関連データの分割に基づいてスコアメトリックを判定することと、
スコア閾値を超える前記スコアメトリックについての前記フィードバックを生成することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記フィードバックは、前記1つまたは複数の冷却デバイスを調整するためのアクティブな推奨事項を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記監視される位置は、データセンタサーバルームである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記センサ測定値を提供するためのセンサの選択に関する入力を取り込むように構成されたグラフィカルユーザインターフェースを提供することであって、前記グラフィカルユーザインターフェースが、発生する前記フィードバックおよび前記変化を表示するように構成される、提供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記グラフィカルユーザインターフェースは、前記センサ測定値のサンプリング頻度およびグループ化の粒度に関する前記入力を取り込んで、1つまたは複数のグループ識別子を生成するように構成される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
処理を実行するための命令を記憶する、非一時的コンピュータ可読媒体であって、
前記命令は、
増分主成分分析(PCA)モデラを実行して、監視される位置の1つまたは複数の冷却デバイスに関連付けられたセンサ測定値のためのPCAモデルを構築することと、
主成分の数の変化に基づいて、または再構成誤差が閾値を超えるときに、各時間ステップにおける変化を検出することと、
前記変化を評価および観測して、前記1つまたは複数の冷却デバイスに関するフィードバックを生成することと、
を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項11】
前記増分PCAモデラを実行することは、各グループ識別子について、
前記各時間ステップについて前記各グループ識別子に関連付けられた前記センサ測定値のうちのすべての新しい測定値を取得することと、
前記各グループ識別子について利用可能でない前記PCAモデルについて、
前記センサ測定値のうちの前記新しい測定値から前記グループ識別子についての前記PCAモデルを作成することと、
前記主成分の数の前記変化がないことを示すフラグとともに、前記作成されたPCAモデルを記憶することと、
前記各グループ識別子について利用可能である前記PCAモデルについて、
前記センサ測定値のうちの前記新しい測定値に基づいて前記PCAモデルを更新することと、
前記PCAモデルから前記更新されたPCAモデルの前記主成分の増加があるかどうかを判定することと、
前記判定から前記主成分の前記増加があるかどうかを示す前記フラグとともに、前記更新されたPCAモデルを記憶することと、
を含む、請求項10に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記各時間ステップにおける前記変化を検出することは、
増加を有する前記主成分の数の前記変化を示す前記PCAモデルに関連付けられたフラグについて、
前の変化日から直接継続しているか、または近接している変化日があるかどうかを判定することと、
前記前の変化日から直接継続しているか、または近接している前記変化日を示す前記判定することについて、前記PCAモデルに関連付けられた変化日データベースエントリを新しい変化日で更新し、前記PCAモデルについて変更されてから経過した前記時間ステップをインクリメントすることと、
前記前の変化日から直接継続していないか、または近接していない前記変化日を示す前記判定することについて、前記PCAモデルに関連付けられた新しい変化日データベースエントリを追加することと、
を含む、請求項10に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記各時間ステップにおける前記変化を検出することは、
前記増加を有するものとして前記主成分の数の前記変化を示さない前記PCAモデルに関連付けられた前記フラグについて、
前記各時間ステップについて前記PCAモデルを用いて再構成値を計算することと、
前記再構成値から前記再構成誤差を計算することと、
前記閾値を超える前記再構成誤差について、
前記前の変化日から直接継続しているか、または近接している前記変化日があるかどうかを判定することと、
前記前の変化日から直接継続しているか、または近接している前記変化日を示す前記判定することについて、前記PCAモデルに関連付けられた前記変化日データベースエントリを前記新しい変化日で更新し、前記PCAモデルについて変更されてから経過した前記時間ステップの数をインクリメントすることと、
前記前の変化日から直接継続していない前記変化日を示す前記判定することについて、前記PCAモデルに関連付けられた前記新しい変化日データベースエントリを追加することと、
を含む、請求項12に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記変化を評価および観測して、前記1つまたは複数の冷却デバイスに関する前記フィードバックを生成することは、
前記変化の各々について、
前記PCAモデルが変化日データベースエントリから変更されてから経過した時間ステップの数を判定することと、
ステップ閾値を満たす経過した前記時間ステップの数について、
前記変化日の前および前記変化日の後からの関連データの分割に基づいてスコアメトリックを判定することと、
スコア閾値を超える前記スコアメトリックについての前記フィードバックを生成することと、
を含む、請求項10に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記フィードバックは、前記1つまたは複数の冷却デバイスを調整するためのアクティブな推奨事項を含む、請求項10に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記監視される位置は、データセンタサーバルームである、請求項10に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記センサ測定値を提供するためのセンサの選択に関する入力を取り込むように構成されたグラフィカルユーザインターフェースを提供すること、前記グラフィカルユーザインターフェースが、発生する前記フィードバックおよび前記変化を表示するように構成されること、をさらに含む、請求項10に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記グラフィカルユーザインターフェースは、前記センサ測定値のサンプリング頻度およびグループ化の粒度に関する入力を取り込んで、1つまたは複数のグループ識別子を生成するように構成される、請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
増分主成分分析(PCA)モデラを実行して、監視される位置の1つまたは複数の冷却デバイスに関連付けられたセンサ測定値のためのPCAモデルを構築することと、
主成分の数の変化に基づいて、または再構成誤差が閾値を超えるときに、各時間ステップにおける変化を検出することと、
前記変化を評価および観測して、前記1つまたは複数の冷却デバイスに関するフィードバックを生成することと、
を行うように構成された、プロセッサを備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、データセンタに関し、より具体的には、データセンタにおける室内センサ測定値の挙動変化検出に関する。
【背景技術】
【0002】
データセンタ(DC)は、電気のヘビーユーザであり、よりエネルギー効率を高めるための絶え間ない努力がなされている。エネルギー効率の1つの重要な側面は、情報技術(IT)機器の一定量の電力に使用される冷却電力の量の低減である。電力使用効率(PUE)またはデータセンタインフラストラクチャ効率(DCiE)などの最先端のメトリックを使用して、DCインフラストラクチャのエネルギー効率を表すことができる。しかし、これらのメトリックは、DCサーバルームの実際の稼働状態を考慮していない。例えば、サーバルームの室内温度および室内湿度を測定する環境センサは、(PUEなどのメトリックによって測定される)全体的なエネルギー効率のいかなる変化も伴わずに、経時的に変化し得る。サーバルームなどの空間エンティティにおけるセンサ測定値の挙動変化を監視することは、改善され得る稼働状態を検出するのに役立ち得る。
【0003】
関連技術の実装形態では、接続された機器と予測診断システムとを含む建物管理システムがあり得る。予測診断システムは、接続された機器の監視された変数から複数の稼働状態のPCAモデルを構築するPCAモデラを含む。追加の故障予測部は、稼働状態のうちの1つまたは複数に対する監視された変数の新しいサンプルの近接度を判定するように構成され、各稼働状態は、異なるPCAモデルによってモデル化される。
【0004】
関連技術では、DCの文脈におけるサーバルーム温度センサ異常検出のための増分PCAモデリングの実装形態もある。しかし、これは、主成分の数が増加または減少する場合の異常を検出するための増分PCAの使用に限定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
センサ測定値間の挙動関係の変化を検出することができる、DCサーバルームセンサの挙動変化検出方法が必要とされている。検出された変化は次に、部屋の状態に継続的な変化があるかどうかなど、それらの重要性について評価される必要がある。変化が重要であると考えられ得る場合、室内温度が必要以上に低下しているときなど、様々な状況で冷却デバイスの稼働を変化させることについて推奨事項を行うことができる。
【0006】
関連技術の実装形態は、重要な挙動変化のみを報告するために追加の「再構成誤差」およびいくつかの追加の変化チェックステップが使用される、より広範な解決法を含んでいない。
【0007】
DCのエネルギー効率の継続的な改善は、継続中の持続可能性努力の範囲において重要である。DCベースの効率メトリック(例えば、PUE)を観測し、PUEが悪化したときに可能な改善を推奨することは簡単である。しかし、時には、サーバルームの稼働状態(例えば、室内温度または湿度)は、効率メトリックだけでは観測され得ない追加の状況についての洞察を与えることができる。
【0008】
図1は、例示的な実装形態による、現実世界のDCサーバルームの稼働状態の一例を示す。ここで、PUEメトリックは、観測された期間にわたって安定しているが、室内温度(
図1のin_temp)の低下がある。この室内温度の低下は、冷却電力(
図1のcool_pwr)の稼働変化によって引き起こされ、部屋の総冷却電力は安定したままであるが、標準偏差は大幅に変化する。したがって、サーバルームの稼働状態(ここでは、室内温度)の変化を検出することは、適切なフィードバックがDCオペレータに与えられるときに、全体的な稼働状態を潜在的に改善することができる。現在の例では、サーバルーム内のすべてのセンサの平均室内温度は、変化日後の目標温度より2℃低い。明らかに、稼働変化の後、より少ない冷却電力が目標閾値を下回る室内温度でサーバルームを稼働させるのに必要であるため、冷却電力の量を減少させることによって、このサーバルームの効率を改善することが可能である。
【0009】
図1の例は、センサ測定値の挙動関係の変化を検出するだけでなく、より長い時間にわたってそれらを観測し、再評価して、効率改善のためにDCオペレータにフィードバックを提供することが重要であることを示す。
【0010】
関連技術の実装形態では、PCAは、稼働状態に従ってデータを分割し、それらの状態への新たに到着するサンプルの近接度を計算するために使用される。PCAを活用する目標が、後の障害検出のために種々の稼働状態を処理するのではなく、データの挙動変化を検出することであるため、これは、本明細書で説明する例示的な実装形態とは異なる。加えて、PCAモデルは、空間識別子に基づいて増分的に更新され、経時的に前の挙動状態を忘れながら、新しい状態に採用される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の態様は、増分主成分分析(PCA)モデラを実行して、監視される位置の1つまたは複数の冷却デバイスに関連付けられたセンサ測定値のPCAモデルを構築することと、主成分の数の変化に基づいて、または再構成誤差が閾値を超えるときに、各時間ステップにおける変化を検出することと、変化を評価および観測して、1つまたは複数の冷却デバイスに関するフィードバックを生成することとを含むことができる方法を含むことができる。
【0012】
本開示の態様は、増分主成分分析(PCA)モデラを実行して、監視される位置の1つまたは複数の冷却デバイスに関連付けられたセンサ測定値のPCAモデルを構築することと、主成分の数の変化に基づいて、または再構成誤差が閾値を超えるときに、各時間ステップにおける変化を検出することと、変化を評価および観測して、1つまたは複数の冷却デバイスに関するフィードバックを生成することとを含む命令を含むことができるコンピュータプログラムを含むことができる。コンピュータプログラムおよび命令は、非一時的コンピュータ可読媒体に記憶され、1つまたは複数のプロセッサによって実行され得る。
【0013】
本開示の態様は、増分主成分分析(PCA)モデラを実行して、監視される位置の1つまたは複数の冷却デバイスに関連付けられたセンサ測定値のPCAモデルを構築するための手段と、主成分の数の変化に基づいて、または再構成誤差が閾値を超えるときに、各時間ステップにおける変化を検出するための手段と、変化を評価および観測して、1つまたは複数の冷却デバイスに関するフィードバックを生成するための手段とを含むことができるシステムを含むことができる。
【0014】
本開示の態様は、増分主成分分析(PCA)モデラを実行して、監視される位置の1つまたは複数の冷却デバイスに関連付けられたセンサ測定値のPCAモデルを構築することと、主成分の数の変化に基づいて、または再構成誤差が閾値を超えるときに、各時間ステップにおける変化を検出することと、変化を評価および観測して、1つまたは複数の冷却デバイスに関するフィードバックを生成することと、を行うように構成されたプロセッサを含むことができる装置を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】例示的な実装形態による、DCサーバルームにおける稼働状態の一例を示す図である。
【
図2】例示的な実装形態による、システム全体を示す図である。
【
図3】例示的な実装形態による、増分PCAモデラを示す図である。
【
図4】例示的な実装形態による、変化検出部の一例を示す図である。
【
図5】例示的な実装形態による、変化情報データベースの一例を示す図である。
【
図6】例示的な実装形態による、変化評価部の全体的なフローを示す図である。
【
図7】例示的な実装形態による、変化計算部のための例示的なフローを示す図である。
【
図8】例示的な実装形態による、変化計算部のためのいくつかの例示的なスコアメトリック計算を示す図である。
【
図9】例示的な実装形態による、フィードバック生成部のための例示的なフロー図を示す図である。
【
図10】例示的な実装形態による、変化日の前後の期間の変化を計算し、それに応じてフィードバックを与えるために使用されるフィードバック条件テーブルの一例を示す図である。
【
図11】例示的な実装形態による、検出された変化および関連するフィードバック(利用可能な場合)を観測するためにDCオペレータによって活用され得るディスプレイ上の出力の一例を示す図である。
【
図12】例示的な実装形態による、センサベースの変化検出がどのようにDCの稼働状態の変化を位置特定するのに役立つことができるかを示す図である。
【
図13】例示的な実装形態による、サーバルームのセンサのうちの1つのみに影響を及ぼす変化の現実世界の例を示す図である。
【
図14】例示的な実装形態による、温度が一時的に強く低下しているが、その後正常状態に戻る、短期の外れ値の一例を示す図である。
【
図15】いくつかの例示的な実装形態での使用に適した例示的なコンピュータデバイスを有する例示的なコンピューティング環境を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の詳細な説明は、本出願の図面および例示的な実装形態の詳細を提供する。図面間の冗長な要素の参照番号および説明は、明確さのために省略される。説明全体を通して使用される用語は、例として提供され、限定することを意図するものではない。例えば、「自動」という用語の使用は、本出願の実装形態を実施する当業者の所望の実装形態に応じて、実装形態の特定の態様に対するユーザまたは管理者の制御を含む完全自動または半自動の実装形態を含むことができる。選択は、ユーザインターフェースまたは他の入力手段を通してユーザによって行われることができるか、または所望のアルゴリズムを通して実装されることができる。本明細書で説明されるような例示的な実装形態は、単独で、または組み合わせて利用されることができ、例示的な実装形態の機能は、所望の実装形態による任意の手段を通して実装されることができる。
【0017】
図2は、例示的な実装形態による、システム全体を示す。本システムは、以下のような3つの主要な要素を含むことができる。
【0018】
増分PCAモデラ210は、各DCサーバルームまたは他の空間エンティティから受信された、センサ測定値データベース201から処理されたセンサ測定値のPCAモデルを構築するように構成され、その際に、PCAモデルのすべてが、変化検出部220による使用のためにPCAモデルデータベース211内で管理される。増分PCAを使用することにより、センサ測定値のきめの細かい更新および変化分析が可能になる。PCAモデルは、DCサーバルームまたは他の空間エンティティについて観測されたセンサ測定値間の挙動関係を学習する。
【0019】
変化検出部220は、以下の2つの条件のいずれかが真であるかどうかに基づいて、各時間ステップにおける変化を検出する:1)主成分の数が増加した(または減少した)、2)再構成誤差が閾値を超えている。検出部に対する2つの条件は、センサ測定値関係の挙動変化が、各時間ステップで更新される増分PCAモデルにおける不安定性として見出されるように使用される。2つの条件が使用されるのは、主成分の数に変化が生じた後にアルゴリズムが調整するための時間を必要とし、利用可能な第2の再構成誤差ベースの変化検出がない場合、新しい変化も検出されない可能性があるからである。さらに、再構成誤差ベースの変化検出は、センサ測定値の数が少ない(例えば、2つの測定値のみが利用可能であり、主成分の最大数が1である)ときに使用され得る。
【0020】
変化評価部230は、変化計算部231を介して変化を観測して再評価し、変化を評価した後にフィードバックを生成するフィードバック生成部232を有する。変化評価部230は、PCAアルゴリズムにおける不安定性によって検出された不必要な変化を識別し、対象ではない短期の外れ値を識別し、より長い期間にわたって変化の重要性を再確認し、センサ変化スコアに基づいて変化を位置特定することができる。検出された変化は、変化情報データベース233に記憶することができる。
【0021】
変化計算部231は、複数の反復の変化を評価することによって、重要でない変化を排除することができる。例えば、短期のチェックは、検出された変化が考慮されるのに十分に大きいかどうかをチェックすることができる。中期のチェックは、検出された変化が依然としてそこにあり、単なる外れ値ではなかったかどうかをチェックすることができる。長期のチェックは、より長い期間が経過した後であっても、変化が性能に影響を及ぼしているかどうかをチェックすることができる。
【0022】
フィードバック生成部232は、性能への影響(例えば、PUEの増加および温度の低下(+低すぎる)、温度の大幅な上昇(高すぎる))に関するフィードバックを提供し、さらなる性能改善(例えば、室内温度が非常に低く、より高くなる可能性がある)に関する推奨事項を与える。
【0023】
図3は、例示的な実装形態による、増分PCAモデラ210を示す。増分PCAモデラ210は、本システムによって管理されるグループ識別子iごとに、以下の処理を実行する。最初に301では、増分PCAモデラは、時間ステップkについてグループ識別子iに属する、すべての新しいセンサ測定値を取得する。302では、そのグループ識別子についてのPCAモデルが利用可能であるかどうかについての判定が行われる。そうである場合(はい)、フローは305に進み、そうでない場合(いいえ)、303において、グループ識別子について増分PCAモデルが作成される。304では、フラグは、モデルが作成されたばかりであるため、成分が経時的に増加していないことを示すために、新しく作成されたPCAモデルに関連付けられる。
【0024】
305では、新しい増分PCAモデルを形成するために、増分PCAモデルが新しいセンサ測定値で更新される。306では、主成分の数が、新しい増分PCAモデルと比較して前の増分PCAモデルから増加したかどうかについての判定が行われる。増分PCAモデルに関連付けられたフラグは、結果に基づいて真または偽に設定される。
【0025】
307では、新しい増分PCAモデルと、成分の任意の増加に関する関連付けられたフラグとが、PCAモデルデータベース211に保存される。
【0026】
図4は、例示的な実装形態による、変化検出部220の一例を示す。変化検出部220は、グループ識別子iごとに、以下のフローを実行する。
【0027】
401では、変化検出部は、グループ識別子iに関連付けられた増分PCAモデルを、時間ステップkからの成分およびセンサ測定値の任意の増加に関する関連付けられたフラグとともに取得する。402では、成分の数が増加したことをフラグが示す(pc_inc_flag==真)かどうかについての判定が行われる。そうである場合(はい)、フローは406に進み、そうでない場合(いいえ)、フローは403に進む。
【0028】
403では、フローは、時間ステップkについて増分PCAモデルを用いて再構成値を計算する。404では、フローは、再構成誤差を計算し、これは、二乗予測誤差(SPE)またはホテリングのT^2などであるがこれらに限定されない、当該技術分野における任意の技術を用いて行うことができる。405では、再構成誤差が閾値よりも大きいかどうかについての判定が行われる。そうである場合(はい)、フローは406に進み、そうでない場合(いいえ)、フローは終了する。
【0029】
406では、変化日が前の変化日から直接継続しているか、または近接しているかについての判定が行われる。近接は、変動閾値として判定することができる(例えば、いくつかの変動が発生したが、最後の変化は2時間前に検出され、1時間前は変化として識別されなかったが、変化が再び検出された)。そうでない場合(いいえ)、フローは407に進んで、新しい変化エントリを変化情報データベース233に記憶し、そうでない場合(はい)、フローは408に進んで、変化情報データベース233内の対応する変化エントリを検索し、既存のエントリに追加する。既存の変化エントリに追加する場合には、終了変化日が新しい変化日で更新され、タイマtがインクリメントされる。
【0030】
図5は、例示的な実装形態による、変化情報データベースの一例を示す。具体的には、
図5は、検出された変化に関する情報を処理する変化情報データベースからの例示的なテーブルを示す。テーブルは、変化日ハンドラテーブルおよび変化設定テーブルを含むことができる。
【0031】
変化日ハンドラテーブルは、変化識別子、グループ識別子、変化日(開始および終了)、スコア値ディクショナリ、変化フラグ、最後の変化から経過した時間ステップ、フィードバックなどを含むことができる。変化設定テーブルは、パラメータ識別子、パラメータ名、およびパラメータ閾値を含むことができる。
【0032】
図6は、例示的な実装形態による、変化評価部230の全体的なフローを示す。変化評価部230は、処理時間ステップごとに実行される。600では、変化識別子エントリのすべてが変化情報データベース234から取得される。601では、各変化IDcが処理される。602では、時間ステップtが、t_thresholdリスト内のt_thresholdを満たすまで経過したかどうかについての判定が行われる。そうでない場合(いいえ)、フローは605に進んで、次の変化IDcにループし、そうでない場合(はい)、フローは603に進んで、変化計算部231を実行する。604では、フィードバック生成部232は次に実行され、その際、次の変化IDcへのループが605で実施され、601から繰り返す。606では、変化情報データベースエントリのすべてが表示のために出力される。さらなる詳細は、
図7~
図11に関して提供される。
【0033】
図7は、例示的な実装形態による、変化計算部231のための例示的なフローを示す。変化日の前後の期間の間の変化を計算する可能な方法は、各メトリックの平均を比較すること、または因果推論の方法を使用することを含む。このフローは、提供された変化識別子ごとに実行される。700では、このフローは、すべての測定値(例えば、IT電力、冷却電力、PUE、温度、湿度センサ測定値など)についての関連データを取得する。701では、取得された関連データは、変化日の前と変化日の後とに分割される。
【0034】
702では、このフローは、zスコア、平均偏差などのスコアメトリックを計算する。センサ測定値は時系列であるため、関連データはそれに応じて選択される。例えば、週ごとの季節性が平日と週末との間の差とともに観測される場合、対応する関連データが、季節性を調整するために選択される。703では、スコアメトリックが閾値よりも大きいかどうかについての判定が行われる。そうである場合(はい)、関連付けられた変化フラグは704で真に設定され、そうでない場合(いいえ)、変化フラグは705で偽に設定される。
【0035】
図8は、例示的な実装形態による、変化計算部のためのいくつかの例示的なスコアメトリック計算を示す。
図8に示すメトリックは、検出された変化の短期、中期、または長期の重要性を評価するために使用することができる。
【0036】
図9は、例示的な実装形態による、フィードバック生成部のための例示的なフロー図を示す。このフローは、変化情報データベース234に見出される変化IDごとに実行される。900では、変化フラグが真に設定されているかどうかについての判定が行われる。そうである場合(はい)、フローは901に進んで、パラメータ閾値および変化方向に関するすべての測定値について計算された変化を分析する。902では、このフローは、結果をフィードバック条件テーブルと比較する。903では、いずれかの条件が真であるかどうかを判定するためのチェックが行われる。そうである場合(はい)、フローは904に進んで、フィードバックを生成し、変化情報DBに記憶する。
【0037】
図10は、例示的な実装形態による、変化日の前後の期間の変化を計算し、それに応じてフィードバックを与えるために使用されるフィードバック条件テーブルの一例を示す。このステップは、データセンタ(DC)サーバルームセンサ測定値を含むだけでなく、所望の実装形態に従って、例えばPUE、冷却電力使用量、IT電力使用量などの他の測定値も含むことができる。
【0038】
図11は、例示的な実装形態による、検出された変化および関連するフィードバック(利用可能な場合)を観測するためにDCオペレータによって活用され得るディスプレイ上の出力の一例を示す。表示インターフェースにおける機能の例は、一般的な設定、変化計算部、検出された変化、すべての変化、および推奨事項を含むことができる。
【0039】
一般的な設定は、変化検出部のための対象のセンサデータ(例えば、温度、湿度)、グループ化の粒度(例えば、部屋ごと、サーバグループごとなど)、およびサンプリング頻度(例えば、毎時、毎日など)の選択を含むことができる。変化計算部は、IT電力、PUE、湿度、冷却電力、温度などの対象の測定値、ならびに対象の変化スコア(例えば、Zスコア、コーエンのd、平均偏差など)の選択を含むことができる。検出された変化は、検出された任意の長期の変化に関する洞察を含む、変化検出部からの変化をグラフ形式で示すことができる。すべての変化は、いくつかまたはすべてのグループidにわたって、基礎となる主成分の任意の変化をグラフ形式で表示することができる。推奨事項は、修正される必要がある効率改善または悪い稼働状態などの、基礎となる検出された変化を軽減するための任意の推奨事項を表示することができる。
【0040】
センサ測定値間の挙動条件の変化を観測することによって、例えば、DCサーバルームにおける温度または湿度の急激な変化を観測することが可能である。これは、冷却挙動またはサーバ使用パターンを変化させることが部屋の稼働状態にどのように影響を及ぼすかについてのより詳細な洞察を与えることができる。さらに、例示的な実装形態は、エネルギー消費データ(ITデバイス、冷却)のみからは見えない稼働状態の追加の変化を識別することができる。
【0041】
図12は、例示的な実装形態による、センサベースの変化検出がどのようにDCの稼働状態の変化を位置特定するのに役立つことができるかを示す。詳細な電力消費情報が利用可能でなく、分電盤のように電力消費が高レベルで測定されるだけであるDCでは、センサは、サーバルームの特定のエリアの稼働状態を表しているため、変化を位置特定するのに役立つことができる。
【0042】
図13は、例示的な実装形態による、サーバルームの1つのセンサのみに影響を及ぼす変化の現実世界の例を示す。比較すると、冷却電力消費は、分電盤のレベルでのみ観測することができ、変化の正確な位置を位置特定することはより困難であろう。
【0043】
図14は、例示的な実装形態による、温度が一時的に強く低下しているが、その後正常状態に戻る、短期の外れ値の一例を示す。状態の変化が一時的にすぎない場合、DCオペレータに警告を発するだけでなく、正常状態への復帰および変化の重要性の再評価についても通知することが良好である。所望の実装形態に応じて、いくつかの変化は、短期的に検出される場合があり、必要な場合(例えば、トリガ閾値を超える場合)、警告が発せられるが、それが外れ値であるように見える場合、それは、長期の変化から排除されるべきである。
【0044】
図15は、
図2に記載するような機能を実行するように構成された管理サーバまたは管理コンピュータなど、いくつかの例示的な実装形態での使用に適した例示的なコンピュータデバイスを有する例示的なコンピューティング環境を示す。コンピューティング環境1500内のコンピュータデバイス1505は、1つもしくは複数の処理ユニット、コア、またはプロセッサ1510、メモリ1515(例えば、RAM、ROMなど)、内部ストレージ1520(例えば、磁気、光学、ソリッドステートストレージ、および/または有機)、および/またはIOインターフェース1525を含むことができ、これらのいずれも、情報を通信するための通信機構またはバス1530上に結合されるか、またはコンピュータデバイス1505内に埋め込まれ得る。IOインターフェース1525はまた、所望の実装形態に応じて、カメラから画像を受信するか、またはプロジェクタもしくはディスプレイに画像を提供するように構成される。
【0045】
コンピュータデバイス1505は、入力/ユーザインターフェース1535および出力デバイス/インターフェース1540に通信可能に結合され得る。入力/ユーザインターフェース1535および出力デバイス/インターフェース1540の一方または両方は、有線または無線インターフェースであり得、着脱可能であり得る。入力/ユーザインターフェース1535は、入力(例えば、ボタン、タッチスクリーンインターフェース、キーボード、ポインティング/カーソル制御、マイクロホン、カメラ、点字、モーションセンサ、加速度計、光学リーダなど)を提供するために使用され得る、物理的または仮想の任意のデバイス、コンポーネント、センサ、またはインターフェースを含み得る。出力デバイス/インターフェース1540は、ディスプレイ、テレビ、モニタ、プリンタ、スピーカ、点字などを含み得る。いくつかの例示的な実装形態では、入力/ユーザインターフェース1535および出力デバイス/インターフェース1540は、コンピュータデバイス1505に埋め込まれるか、または物理的に結合され得る。他の例示的な実装形態では、他のコンピュータデバイスが、コンピュータデバイス1505のための入力/ユーザインターフェース1535および出力デバイス/インターフェース1540として機能するか、またはそれらの機能を提供し得る。
【0046】
コンピュータデバイス1505の例としては、限定されないが、高度にモバイルなデバイス(例えば、スマートフォン、車両および他の機械内のデバイス、人間および動物によって運ばれるデバイスなど)、モバイルデバイス(例えば、タブレット、ノートブック、ラップトップ、パーソナルコンピュータ、ポータブルテレビ、ラジオなど)、およびモビリティのために設計されていないデバイス(例えば、デスクトップコンピュータ、他のコンピュータ、情報キオスク、1つまたは複数のプロセッサが中に埋め込まれたおよび/またはそれに結合されたテレビ、ラジオなど)が挙げられ得る。
【0047】
コンピュータデバイス1505は、同じまたは異なる構成の1つまたは複数のコンピュータデバイスを含む、任意の数のネットワーク化されたコンポーネント、デバイス、およびシステムと通信するために、外部ストレージ1545およびネットワーク1550に(例えば、IOインターフェース1525を介して)通信可能に結合され得る。コンピュータデバイス1505または任意の接続されたコンピュータデバイスは、サーバ、クライアント、シンサーバ、汎用マシン、専用マシン、または別のラベルとして機能するか、これらのサービスを提供するか、またはこれらと称されることができる。
【0048】
IOインターフェース1525は、限定されないが、コンピューティング環境1500内の少なくともすべての接続されたコンポーネント、デバイス、およびネットワークとの間で情報を通信するための任意の通信またはIOプロトコルもしくは規格(例えば、イーサネット、802.11x、ユニバーサルシステムバス、WiMAX、モデム、セルラーネットワークプロトコルなど)を使用する有線および/または無線インターフェースを含むことができる。ネットワーク1550は、任意のネットワークまたはネットワークの組み合わせ(例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、電話ネットワーク、セルラーネットワーク、衛星ネットワークなど)であり得る。
【0049】
コンピュータデバイス1505は、一時的媒体および非一時的媒体を含むコンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ可読媒体を使用し、かつ/またはその媒体を使用して通信することができる。一時的媒体は、伝送媒体(例えば、金属ケーブル、光ファイバ)、信号、搬送波などを含む。非一時的媒体は、磁気媒体(例えば、ディスクおよびテープ)、光学式媒体(例えば、CDROM、デジタルビデオディスク、ブルーレイディスク)、ソリッドステート媒体(例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、ソリッドステートストレージ)、および他の不揮発性ストレージまたはメモリを含む。
【0050】
コンピュータデバイス1505は、いくつかの例示的なコンピューティング環境において、技術、方法、アプリケーション、プロセス、またはコンピュータ実行可能命令を実装するために使用することができる。コンピュータ実行可能命令は、一時的媒体から取り出され、非一時的媒体に記憶され、非一時的媒体から取り出されることができる。実行可能命令は、任意のプログラミング言語、スクリプト言語、および機械言語(例えば、C、C++、C#、Java、Visual Basic、Python、Perl、JavaScriptなど)のうちの1つまたは複数に由来することができる。
【0051】
プロセッサ1510は、ネイティブ環境または仮想環境において、任意のオペレーティングシステム(OS)(図示せず)の下で実行することができる。論理ユニット1560、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)ユニット1565、入力ユニット1570、出力ユニット1575、ならびに種々のユニットが互いに、OSと、および他のアプリケーション(図示せず)と通信するためのユニット間通信機構1595を含む、1つまたは複数のアプリケーションを展開することができる。説明したユニットおよび要素は、設計、機能、構成、または実装において変更することができ、提供された説明に限定されない。プロセッサ1510は、中央処理装置(CPU)などのハードウェアプロセッサの形態、またはハードウェアユニットとソフトウェアユニットとの組み合わせの形態であり得る。
【0052】
いくつかの例示的な実装形態では、情報または実行命令がAPIユニット1565によって受信されると、それは、1つまたは複数の他のユニット(例えば、論理ユニット1560、入力ユニット1570、出力ユニット1575)に通信され得る。いくつかの例では、論理ユニット1560は、ユニット間の情報フローを制御し、上述したいくつかの例示的な実装形態において、APIユニット1565、入力ユニット1570、出力ユニット1575によって提供されるサービスを指示するように構成され得る。例えば、1つまたは複数のプロセスまたは実装形態のフローは、論理ユニット1560のみによって、またはAPIユニット1565とともに制御され得る。入力ユニット1570は、例示的な実装形態で説明される計算のための入力を取得するように構成され得、出力ユニット1575は、例示的な実装形態で説明される計算に基づいて出力を提供するように構成され得る。
【0053】
プロセッサ1510は、増分主成分分析(PCA)モデラを実行して、監視される位置の1つまたは複数の冷却デバイスに関連付けられたセンサ測定値のPCAモデルを構築することと、主成分の数の変化に基づいて、または再構成誤差が閾値を超えるときに、各時間ステップにおける変化を検出することと、変化を評価および観測して、
図2に示すように1つまたは複数の冷却デバイスに関するフィードバックを生成することとを含むことができる方法またはコンピュータ命令を実行するように構成され得る。
【0054】
プロセッサ1510は、上述したような方法または命令を実行するように構成することができ、増分PCAモデラを実行することは、各グループ識別子について、各時間ステップについて各グループ識別子に関連付けられたセンサ測定値のうちのすべての新しい測定値を取得することと、各グループ識別子について利用可能でないPCAモデルについて、センサ測定値のうちの新しい測定値からグループ識別子についてのPCAモデルを作成することと、主成分の数の変化がないことを示すフラグとともに、作成されたPCAモデルを記憶することと、各グループ識別子について利用可能であるPCAモデルについて、センサ測定値のうちの新しい測定値に基づいてPCAモデルを更新することと、PCAモデルからの更新されたPCAモデルの主成分の増加があるかどうかを判定することと、
図3に関して示すように、判定から主成分の増加があるかどうかを示すフラグとともに、更新されたPCAモデルを記憶することとを含むことができる。
【0055】
プロセッサ1510は、上述したような方法または命令を実行するように構成することができ、各時間ステップにおける変化を検出することは、増加を有する主成分の数の変化を示すPCAモデルに関連付けられたフラグについて、前の変化日から直接継続しているか、または近接している変化日があるかどうかを判定することと、前の変化日から直接継続しているか、または近接している変化日を示す判定することについて、PCAモデルに関連付けられた変化日データベースエントリを新しい変化日で更新し、PCAモデルについて変更されてから経過した時間ステップをインクリメントすることと、前の変化日から直接継続していないか、または近接していない変化日を示す判定することについて、
図4の401、402、および406~408に示すように、PCAモデルに関連付けられた新しい変化日データベースエントリを追加することとを含むことができる。
【0056】
プロセッサ1510は、上述したような方法または命令を実行するように構成することができ、各時間ステップにおける変化を検出することは、増加を有するものとして主成分の数の変化を示さないPCAモデルに関連付けられたフラグについて、各時間ステップについてPCAモデルを用いて再構成値を計算することと、再構成値から再構成誤差を計算することと、閾値を超える再構成誤差について、前の変化日から直接継続しているか、または近接している変化日があるかどうかを判定することと、前の変化日から直接継続しているか、または近接している変化日を示す判定することについて、PCAモデルに関連付けられた変化日データベースエントリを新しい変化日で更新し、PCAモデルについて変更されてから経過した時間ステップの数をインクリメントすることと、前の変化日から直接継続していない変化日を示す判定することについて、
図4の401~405および406~408に示すように、PCAモデルに関連付けられた新しい変化日データベースエントリを追加することとを含むことができる。
【0057】
プロセッサ1510は、上述したような方法または命令を実行するように構成することができ、変化を評価および観測して、1つまたは複数の冷却デバイスに関するフィードバックを生成することは、変化の各々について、PCAモデルが変化日データベースエントリから変更されてから経過した時間ステップの数を判定することと、閾値を満たす経過した時間ステップの数について、変化日前および変化日後からの関連データの分割に基づいてスコアメトリックを判定することと、
図5~
図8に示すように、閾値を超えるスコアメトリックについてのフィードバックを生成することとを含む。
【0058】
所望の実装形態に応じて、フィードバックは、
図10および
図11に示すように、1つまたは複数の冷却デバイスを調整するためのアクティブな推奨事項を含むことができる。
【0059】
所望の実装形態に応じて、監視される位置は、
図12に示すようにデータセンタサーバルームである。
【0060】
プロセッサ1510は、上述したような方法または命令を実行するように構成することができ、センサ測定値を提供するためのセンサの選択に関する入力を取り込むように構成されたグラフィカルユーザインターフェースを提供することであって、グラフィカルユーザインターフェースが、
図11に示すように発生するフィードバックおよび変化を表示するように構成される、提供することをさらに含む。
【0061】
所望の実装形態に応じて、グラフィカルユーザインターフェースは、
図11に示すように、センサ測定値のサンプリング頻度およびグループ化の粒度に関する入力を取り込んで、1つまたは複数のグループ識別子を生成するように構成することができる。
【0062】
詳細な説明のいくつかの部分は、コンピュータ内の動作のアルゴリズムおよび記号表現に関して提示される。これらのアルゴリズム記述および記号表現は、データ処理技術の当業者によって、その革新の本質を他の当業者に伝えるために使用される手段である。アルゴリズムは、所望の最終状態または結果に至る一連の定義済みステップである。例示的な実装形態では、実施されるステップは、具体的な結果を達成するために具体的な量の物理的操作を必要とする。
【0063】
特に明記しない限り、本議論から明らかなように、本説明全体を通して、「処理する」、「コンピュータ処理する」、「計算する」、「判定する」、「表示する」などの用語を利用する議論は、コンピュータシステムのレジスタおよびメモリ内の物理(電子)量として表されるデータを操作し、コンピュータシステムのメモリもしくはレジスタ、または他の情報記憶、伝送、もしくは表示デバイス内の物理量として同様に表される他のデータに変換する、コンピュータシステムまたは他の情報処理デバイスのアクションおよびプロセスを含むことができることを理解されたい。
【0064】
例示的な実装形態はまた、本明細書の動作を実施するための装置に関することができる。この装置は、必要とされる目的のために特別に構築することができ、または、1つまたは複数のコンピュータプログラムによって選択的に起動または再構成される1つまたは複数の汎用コンピュータを含むことができる。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体またはコンピュータ可読信号媒体などのコンピュータ可読媒体に記憶することができる。コンピュータ可読記憶媒体は、限定されないが、光ディスク、磁気ディスク、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、ソリッドステートデバイスおよびドライブなどの有形媒体、または電子情報を記憶するのに適した任意の他のタイプの有形もしくは非一時的媒体を含むことができる。コンピュータ可読信号媒体は、搬送波などの媒体を含むことができる。本明細書に提示されるアルゴリズムおよびディスプレイは、任意の特定のコンピュータまたは他の装置に本質的に関連しない。コンピュータプログラムは、所望の実装形態の動作を実施する命令を含む純粋なソフトウェア実装を含むことができる。
【0065】
種々の汎用システムが、本明細書の例によるプログラムおよびモジュールとともに使用されてもよく、または所望の方法ステップを行うためにより特殊化された装置を構築することが好都合であることが証明されてもよい。加えて、例示的な実装形態は、任意の特定のプログラミング言語に関して説明されない。本明細書で説明されるような例示的な実装形態の技術を実装するために、様々なプログラミング言語が使用され得ることが理解されよう。プログラミング言語の命令は、1つまたは複数の処理デバイス、例えば、中央処理装置(CPU)、プロセッサ、またはコントローラによって実行され得る。
【0066】
当技術分野で知られているように、上述した動作は、ハードウェア、ソフトウェア、またはソフトウェアとハードウェアのいくつかの組み合わせによって実施され得る。例示的な実装形態の様々な態様は、回路および論理デバイス(ハードウェア)を使用して実装され得るが、他の態様は、プロセッサによって実行される場合、プロセッサに、本出願の実装形態を実施するための方法を行わせるであろう、機械可読媒体(ソフトウェア)に記憶された命令を使用して実装され得る。さらに、本出願のいくつかの例示的な実装形態は、ハードウェアのみにおいて実施され得るが、他の例示的な実装形態は、ソフトウェアのみで実施され得る。さらにまた、説明された様々な機能は、単一のユニットで実施され得るか、または任意の数の方法でいくつかのコンポーネントにわたって分散され得る。ソフトウェアによって実施されるとき、本方法は、コンピュータ可読媒体に記憶された命令に基づいて、汎用コンピュータなどのプロセッサによって実行され得る。所望される場合、命令は、圧縮および/または暗号化された形式で媒体に記憶され得る。
【0067】
さらに、本出願の他の実装形態は、本出願の技術の仕様および実践を考慮することから当業者には明らかであろう。説明された例示的な実装形態の様々な態様および/または構成要素は、単独で、または任意の組み合わせで使用され得る。本明細書および例示的な実装形態は、単なる例と見なされることが意図されており、本出願の真の範囲および趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0068】
201 センサ測定値データベース
210 増分PCAモデラ
211 PCAモデルデータベース
220 変化検出部
230 変化評価部
231 変化計算部
232 フィードバック作成部
233 変化情報データベース
1500 コンピューティング環境
1505 コンピュータデバイス
1510 プロセッサ
1515 メモリ
1520 内部ストレージ
1525 IOインターフェース
1530 バス
1535 入力/ユーザインターフェース
1540 出力デバイス/インターフェース
1545 外部ストレージ
1550 ネットワーク
1560 論理ユニット
1565 APIユニット
1570 入力ユニット
1575 出力ユニット
1595 ユニット間通信機構
【要約】
【課題】本発明は、DCサーバルームセンサの挙動変化検出方法を提供する。
【解決手段】本開示の態様は、増分主成分分析(PCA)モデラを実行して、監視される位置の1つまたは複数の冷却デバイスに関連付けられたセンサ測定値のPCAモデルを構築することと、主成分の数の変化に基づいて、または再構成誤差が閾値を超えるときに、各時間ステップにおける変化を検出することと、変化を評価および観測して、1つまたは複数の冷却デバイスに関するフィードバックを生成することとを含むことができる、システムおよび方法を含む。
【選択図】なし