(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】携帯デバイス、包絡線追跡システム、及び包絡線追跡の方法
(51)【国際特許分類】
H03F 1/02 20060101AFI20250120BHJP
H03F 3/24 20060101ALI20250120BHJP
【FI】
H03F1/02 144
H03F3/24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024098441
(22)【出願日】2024-06-19
(62)【分割の表示】P 2022518988の分割
【原出願日】2020-09-23
【審査請求日】2024-07-03
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503031330
【氏名又は名称】スカイワークス ソリューションズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SKYWORKS SOLUTIONS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ドロギ、 セルジュ フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】バルテアヌ、 フロリネル ジー.
【審査官】福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0146791(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0179887(US,A1)
【文献】国際公開第2012/176578(WO,A1)
【文献】特開2010-016794(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0005619(US,A1)
【文献】特表2022-549331(JP,A)
【文献】特表2015-533066(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0054588(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0076772(US,A1)
【文献】特開2016-149743(JP,A)
【文献】特開2012-004882(JP,A)
【文献】特開2013-005209(JP,A)
【文献】特表2013-511242(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0068122(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0293254(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0036388(US,A1)
【文献】米国特許第09002312(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/02
H03F 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯デバイスであって、
送信のために無線周波数信号を生成するべく構成される送受信器と、
前記無線周波数信号を増幅するべく
構成される電力増幅器であって、前記電力増幅器
の供給電圧
端子から電力を受けるべく構成される電力増幅器を含むフロントエンド回路と、
包絡線追跡器を含む電力管理回路と
を含み、
前記包絡線追跡器は、
複数の調節済み電圧を出力するべく構成されるDC/DC変換器と、
変調器であって、前記変調器
の出力
端子、及び前記変調器
の出力
端子と前記複数の調節済み電圧のうちの対応する一つの調節済み電圧
を出力する端子との間にそれぞれが接続される複数のスイッチ、を含む変調器と、
前記無線周波数信号の包絡線に基づいて前記複数のスイッチのアクティベーションを制御するべく構成される変調器制御回路と、
前記変調器
の出力
端子と前記電力増幅器
の供給電圧
端子との間に接続される第1フィルタと、
前記DC/DC変換器の複数の電圧出力端子のうちのDC電圧
出力端子と前記電力増幅器
の供給電圧
端子との間に接続される第2フィルタと
を含む、携帯デバイス。
【請求項2】
前記DC/DC変換器はさらに、前記
DC電圧出力端子においてDC電圧を生成するべく構成される、請求項1の携帯デバイス。
【請求項3】
電池電圧を与える電池をさらに含み、
前記DC/DC変換器は、前記電池電圧のDC/DC変換を与えることに基づいて前記複数の調節済み電圧及び前記
DC電圧出力端子におけるDC電圧を生成するべく構成される、請求項1の携帯デバイス。
【請求項4】
前記第1フィルタは、少なくとも一つの直列インダクタと、少なくとも一つのシャントキャパシタとを含む、請求項1の携帯デバイス。
【請求項5】
前記包絡線追跡器はさらに、前記第1フィルタを通るAC経路と前記第2フィルタを通るDC経路との間の相対的な遅延を制御するべく構成される制御可能遅延回路を含
み、
前記AC経路は前記変調器の出力電圧端子と前記電力増幅器の供給電圧端子との間に形成され、
前記DC経路は前記DC電圧出力端子と前記電力増幅器の供給電圧端子との間に形成される、請求項1の携帯デバイス。
【請求項6】
前記制御可能遅延回路は、前記複数の調節済み電圧のうちの対応する一つの調節済み電圧の遅延をそれぞれが制御するべく構成される複数の制御可能遅延バッファを含む、請求項5の携帯デバイス。
【請求項7】
前記複数の調節済み電圧のそれぞれが、異なる電圧レベルを有する、請求項1の携帯デバイス。
【請求項8】
包絡線追跡システムであって、
無線周波数信号を増幅するべく
構成される電力増幅器であって、前記電力増幅器
の供給電圧
端子から電力を受けるべく構成される電力増幅器と、
包絡線追跡器と
を含み、
前記包絡線追跡器は、
複数の調節済み電圧を出力するべく構成されるDC/DC変換器と、
変調器であって、前記変調器
の出力
端子、及び前記変調器
の出力
端子と前記複数の調節済み電圧のうちの対応する一つの調節済み電圧
を出力する端子との間にそれぞれが接続される複数のスイッチ、を含む変調器と、
前記無線周波数信号の包絡線に基づいて前記複数のスイッチのアクティベーションを制御するべく構成される変調器制御回路と、
前記変調器
の出力
端子と前記電力増幅器
の供給電圧
端子との間に接続される第1フィルタと、
前記DC/DC変換器の複数の電圧出力端子のうちのDC電圧
出力端子と前記電力増幅器
の供給電圧
端子との間に接続される第2フィルタと
を含む、包絡線追跡システム。
【請求項9】
前記DC/DC変換器はさらに、前記
DC電圧出力端子においてDC電圧を生成するべく構成される、請求項8の包絡線追跡システム。
【請求項10】
前記複数の調節済み電圧はそれぞれが、異なる電圧レベルを有する、請求項8の包絡線追跡システム。
【請求項11】
前記第1フィルタは、少なくとも一つの直列インダクタと、少なくとも一つのシャントキャパシタとを含む、請求項8の包絡線追跡システム。
【請求項12】
前記第1フィルタはさらに、前記変調器
の出力
端子と前記電力増幅器
の供給電圧
端子との間に
、少なくとも一つの直列インダクタと直列に接続されるDCブロックキャパシタを含む、請求項11の包絡線追跡システム。
【請求項13】
前記第2フィルタは、少なくとも一つの直列インダクタと、少なくとも一つのシャントキャパシタとを含む、請求項8の包絡線追跡システム。
【請求項14】
前記包絡線追跡器はさらに、前記第1フィルタを通るAC経路と前記第2フィルタを通るDC経路との間の相対的な遅延を制御するべく構成される制御可能遅延回路を含
み、
前記AC経路は前記変調器の出力電圧端子と前記電力増幅器の供給電圧端子との間に形成され、
前記DC経路は前記DC電圧出力端子と前記電力増幅器の供給電圧端子との間に形成される、請求項8の包絡線追跡システム。
【請求項15】
前記制御可能遅延回路は、前記複数の調節済み電圧のうちの対応する一つの調節済み電圧の遅延を制御するべくそれぞれが構成される複数の制御可能遅延バッファを含む、請求項14の包絡線追跡システム。
【請求項16】
前記第2フィルタを通るDC経路が、前記包絡線追跡器から前記電力増幅器
の供給電圧端子に与えられるエネルギーの少なくとも75パーセントを搬送
し、
前記DC経路は前記DC電圧出力端子と前記電力増幅器の供給電圧端子との間に形成される、請求項8の包絡線追跡システム。
【請求項17】
包絡線追跡の方法であって、
包絡線追跡器か
ら供給電圧
端子によって電力を受ける電力増幅器を使用して無線周波数信号を増幅することと、
前記包絡線追跡器のDC/DC変換器を使用して複数の調節済み電圧を生成することと、
前記無線周波数信号の包絡線に基づいて前記包絡線追跡器の変調器の、複数のスイッチのアクティベーションを制御することであって、前記複数のスイッチはそれぞれが、
前記変調器
の出力
端子と前記複数の調節済み電圧のうち対応する一つの調節済み電圧
を出力する端子との間に接続されることと、
前記変調器
の出力
端子と前記電力増幅器
の供給電圧
力端子との間に
接続される第1フィルタを使用して前記電力増幅器
の供給電圧を制御することと、
前記DC/DC変換器の複数の電圧出力端子のうちのDC電圧
出力端子と前記電力増幅器
の供給電圧
端子との間に
接続される第2フィルタを使用して前記電力増幅器
の前記供給電圧端子における供給電圧を制御することと
を含む、方法。
【請求項18】
前記DC/DC変換器を使用して前記
DC電圧出力端子におけるDC電圧を生成することをさらに含む、請求項17の方法。
【請求項19】
前記第1フィルタの直列DCブロックキャパシタを使用して
前記第1フィルタを通る低周波数電流がブロック
されることをさらに含む、請求項17の方法。
【請求項20】
制御可能遅延回路を使用して、前記第1フィルタを通るAC経路と前記第2フィルタを通るDC経路との間の相対的な遅延を制御することをさらに含
み、
前記AC経路は前記変調器の出力電圧端子と前記電力増幅器の供給電圧端子との間に形成され、
前記DC経路は前記DC電圧出力端子と前記電力増幅器の供給電圧端子との間に形成される、請求項17の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は電子システムに関し、詳しくは無線周波数(RF)電子機器のため
の電力増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
RF通信システムにおいて、アンテナを介した送信を目的としてRF信号を増幅するべ
く電力増幅器が使用される。電池寿命を延ばすべく及び/又は適切な送信電力レベルを与
えるべく、RF信号送信の電力を管理することが重要である。
【0003】
一以上の電力増幅器を有するRF通信システムの例は、携帯電話機、タブレット、基地
局、ネットワークアクセスポイント、顧客宅内機器(CPE)、ラップトップ、及びウェ
アラブル電子機器を含むがこれらに限られない。例えば、セルラー規格、無線ローカルエ
リアネットワーク(WLAN)規格、及び/又は任意の他の適切な通信規格を使用して通
信する無線デバイスにおいては、RF信号増幅を目的として電力増幅器を使用することが
できる。RF信号は、例えば周波数レンジ1(FR1)における第5世代(5G)通信の
ための約410MHz~約7.125GHzの範囲のような、約30kHz~300GH
zの範囲にある周波数を有し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2012/0269240号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0207731号明細書
【発明の概要】
【0005】
所定の実施形態において、本開示は、無線周波数信号を増幅するべくかつ電力増幅器供
給電圧からの電力を受けるべく構成される電力増幅器と、当該無線周波数信号の包絡線に
対応する包絡線信号に基づいて当該電力増幅器供給電圧を生成するべく構成される包絡線
追跡器とを含む包絡線追跡システムに関する。包絡線追跡器は、複数の調節済み電圧を出
力するべく構成されるDC/DC変換器と、当該複数の調節済み電圧及び当該包絡線信号
に基づいて変調器出力電圧を生成するべく構成される変調器と、当該変調器出力電圧と当
該電力増幅器供給電圧との間に結合される第1フィルタと、DC電圧と電力増幅器供給電
圧との間に結合される第2フィルタとを含む。
【0006】
様々な実施形態において、DC/DC変換器はさらに、当該DC電圧を生成するべく構
成される。一定数の実施形態によれば、DC/DC変換器は、当該複数の調節済み電圧の
いずれに対しても異なるパルス幅変調器シーケンスを有するDC電圧を生成するべく構成
される。
【0007】
いくつかの実施形態において、DC/DC変換器は、電池電圧を受けるべく、かつ、当
該電池電圧のDC/DC変換を与えることに基づいて複数の調節済み電圧及びDC電圧を
生成するべく、構成される。
【0008】
いくつかの実施形態において、当該複数の調節済み電圧はそれぞれが、異なる電圧レベ
ルを有する。
【0009】
様々な実施形態において、包絡線追跡器はさらに、グランドと複数の調節済み電圧のう
ち対応する一つとの間に結合される複数のデカップリングキャパシタを含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、変調器は、それぞれが変調器出力電圧と当該複数の調節
済み電圧の対応調節済み電圧との間に結合される複数のスイッチを含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、第1フィルタは、少なくとも一つの直列インダクタ及び
少なくとも一つのシャントキャパシタを含む。一定数の実施形態によれば、第1フィルタ
はさらに、変調器出力電圧と電力増幅器供給電圧との間に直列されるDCブロックキャパ
シタを含む。
【0012】
様々な実施形態において、第2フィルタは、少なくとも一つの直列インダクタ及び少な
くとも一つのシャントキャパシタを含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、包絡線追跡器はさらに、第1フィルタを通るAC経路と
第2フィルタを通るDC経路との間の相対的な遅延を制御するべく構成される制御可能遅
延回路を含む。一定数の実施形態によれば、制御可能遅延回路は、それぞれが当該複数の
調節済み電圧の各調節済み電圧の遅延を制御するべく構成される複数の制御可能遅延バッ
ファを含む。
【0014】
様々な実施形態において、第2フィルタを通るDC経路が、包絡線追跡器から電力増幅
器に与えられるエネルギーの少なくとも75パーセントを搬送する。
【0015】
所定の実施形態において、本開示は包絡線追跡器に関する。包絡線追跡器は、電力増幅
器供給電圧を出力するべく構成される電力増幅器供給電圧端子と、電池電圧を調節するこ
とに基づいて複数の調節済み電圧を出力するべく構成されるDC/DC変換器と、当該複
数の調節済み電圧及び包絡線信号に基づいて変調器出力電圧を生成するべく構成される変
調器と、当該変調器出力電圧と当該電力増幅器供給電圧との間に結合されるAC経路フィ
ルタと、DC電圧と当該電力増幅器供給電圧との間に結合されるDC経路フィルタとを含
む。
【0016】
いくつかの実施形態において、DC/DC変換器はさらに、当該DC電圧を生成するべ
く構成される。一定数の実施形態によれば、DC/DC変換器は、当該複数の調節済み電
圧のいずれに対しても異なるパルス幅変調器シーケンスを有するDC電圧を生成するべく
構成される。
【0017】
いくつかの実施形態において、DC/DC変換器は、電池電圧を受けるべく、かつ、当
該電池電圧のDC/DC変換を与えることに基づいて複数の調節済み電圧及びDC電圧を
生成するべく、構成される。
【0018】
様々な実施形態において、複数の調節済み電圧はそれぞれが、異なる電圧レベルを有す
る。
【0019】
いくつかの実施形態において、包絡線追跡器はさらに、グランドと複数の調節済み電圧
の対応調節済み電圧との間に結合される複数のデカップリングキャパシタを含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、変調器は、それぞれが変調器出力電圧と当該複数の調節
済み電圧の対応調節済み電圧との間に結合される複数のスイッチを含む。
【0021】
様々な実施形態において、AC経路フィルタは、少なくとも一つの直列インダクタ及び
少なくとも一つのシャントキャパシタを含む。一定数の実施形態によれば、AC経路フィ
ルタはさらに、変調器出力電圧と電力増幅器供給電圧との間に直列されるDCブロックキ
ャパシタを含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、DC経路フィルタは、少なくとも一つの直列インダクタ
、及び少なくとも一つのシャントキャパシタを含む。
【0023】
様々な実施形態において、包絡線追跡器はさらに、第1フィルタを通るAC経路と第2
フィルタを通るDC経路との間の相対的な遅延を制御するべく構成される制御可能遅延回
路を含む。一定数の実施形態によれば、制御可能遅延回路は、それぞれが当該複数の調節
済み電圧の各調節済み電圧の遅延を制御するべく構成される複数の制御可能遅延バッファ
を含む。
【0024】
いくつかの実施形態において、DC経路フィルタは、包絡線追跡器から電力増幅器供給
電圧端子に与えられるエネルギーの少なくとも75パーセントを搬送する。
【0025】
所定の実施形態において、本開示は携帯デバイスに関する。携帯デバイスは、無線周波
数送信信号を生成するべく構成される送受信器と、当該無線周波数送信信号を増幅して電
力増幅器供給電圧から電力を受けるべく構成される電力増幅器を含むフロントエンド回路
と、当該無線周波数送信信号の包絡線に対応する包絡線信号に基づいて電力増幅器供給電
圧を生成するべく構成される包絡線追跡器を含む電力管理回路とを含む。包絡線追跡器は
、複数の調節済み電圧を出力するべく構成されるDC/DC変換器と、当該複数の調節済
み電圧及び当該包絡線信号に基づいて変調器出力電圧を生成するべく構成される変調器と
、当該変調器出力電圧と当該電力増幅器供給電圧との間に結合される第1フィルタと、D
C電圧と電力増幅器供給電圧との間に結合される第2フィルタとを含む。
【0026】
いくつかの実施形態において、DC/DC変換器はさらに、当該DC電圧を生成するべ
く構成される。一定数の実施形態によれば、DC/DC変換器は、当該複数の調節済み電
圧のいずれに対しても異なるパルス幅変調器シーケンスを有するDC電圧を生成するべく
構成される。
【0027】
いくつかの実施形態において、携帯デバイスはさらに、電池電圧を与える電池を含み、
DC/DC変換器は、当該電池電圧のDC/DC変換を与えることに基づいて複数の調節
済み電圧とDC電圧とを生成するように構成される。
【0028】
いくつかの実施形態において、当該複数の調節済み電圧はそれぞれが、異なる電圧レベ
ルを有する。
【0029】
様々な実施形態において、包絡線追跡器はさらに、グランドと複数の調節済み電圧のう
ち対応する一つとの間に結合される複数のデカップリングキャパシタを含む。
【0030】
いくつかの実施形態において、変調器は、それぞれが変調器出力電圧と当該複数の調節
済み電圧の対応調節済み電圧との間に結合される複数のスイッチを含む。
【0031】
いくつかの実施形態において、第1フィルタは、少なくとも一つの直列インダクタ及び
少なくとも一つのシャントキャパシタを含む。一定数の実施形態によれば、第1フィルタ
はさらに、変調器出力電圧と電力増幅器供給電圧との間に直列されるDCブロックキャパ
シタを含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、第2フィルタは、少なくとも一つの直列インダクタ、及
び少なくとも一つのシャントキャパシタを含む。
【0033】
様々な実施形態において、包絡線追跡器はさらに、第1フィルタを通るAC経路と第2
フィルタを通るDC経路との間の相対的な遅延を制御するべく構成される制御可能遅延回
路を含む。一定数の実施形態によれば、制御可能遅延回路は、それぞれが当該複数の調節
済み電圧の各調節済み電圧の遅延を制御するべく構成される複数の制御可能遅延バッファ
を含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、第2フィルタを通るDC経路が、包絡線追跡器から電力
増幅器に与えられるエネルギーの少なくとも75パーセントを搬送する。
【0035】
所定の実施形態において、本開示は包絡線追跡の方法に関する。方法は、電力増幅器を
使用して無線周波数信号を増幅することと、電力増幅器供給電圧を使用して電力を当該電
力増幅器に供給することと、DC/DC変換器から複数の調節済み電圧を出力することと
、変調器を使用して当該複数の調節済み電圧及び包絡線信号に基づく変調器出力電圧を生
成することとを含み、当該包絡線信号は、当該無線周波数信号の包絡線に対応する。方法
はさらに、変調器出力電圧と電力増幅器供給電圧との間に存在する第1フィルタを使用し
て当該電力増幅器供給電圧を制御することと、DC電圧と当該電力増幅器供給電圧との間
に存在する第2フィルタを使用して当該電力増幅器供給電圧を制御することとを含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、方法はさらに、DC/DC変換器を使用してDC電圧を
生成することを含む。一定数の実施形態によれば、方法はさらに、複数の調節済み電圧の
それぞれに対して異なるパルス幅変調器シーケンスを有するDC電圧を生成することを含
む。
【0037】
様々な実施形態において、方法はさらに、電池電圧のDC/DC変換を与えることに基
づいて複数の調節済み電圧及びDC電圧を生成することを含む。
【0038】
いくつかの実施形態において、当該複数の調節済み電圧はそれぞれが、異なる電圧レベ
ルを有する。
【0039】
いくつかの実施形態において、方法はさらに、第1フィルタの直列DCブロックキャパ
シタを使用してDCブロックを与えることを含む。
【0040】
様々な実施形態において、方法はさらに、第1フィルタを通るAC経路と第2フィルタ
を通るDC経路との間の相対的な遅延を、制御可能遅延回路を使用して制御することを含
む。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】一実施形態に係る携帯デバイスの模式的な図である。
【
図2】一実施形態の、電力増幅器のための包絡線追跡システムの模式的な図である。
【
図3A】他実施形態の、電力増幅器のための包絡線追跡システムの模式的な図である。
【
図3B】他実施形態の、電力増幅器のための包絡線追跡システムの模式的な図である。
【
図3C】他実施形態の、電力増幅器のための包絡線追跡システムの模式的な図である。
【
図3D】他実施形態の、電力増幅器のための包絡線追跡システムの模式的な図である。
【
図5】他実施形態の、電力増幅器のための包絡線追跡システムの模式的な図である。
【
図6】他実施形態の、電力増幅器のための包絡線追跡システムの模式的な図である。
【
図7】他実施形態に係る携帯デバイスの模式的な図である。
【
図8】無線周波数(RF)信号を送信する通信システムの一実施形態の模式的な図である。
【
図9】一実施形態に係るマルチレベル供給(MLS)変調システムの模式的な図である。
【
図10】一実施形態に係るMLSDC/DC変換器の模式的な図である。
【
図11】MLSDC/DC変換のためのタイミングの一例の模式的な図である。
【
図12】連続波信号のためのMLS包絡線追跡の一例の模式的な図である。
【
図13】様々な信号波形の包絡線周波数分布の一例の模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
所定の実施形態の以下の詳細な説明は、特定の実施形態の様々な記載を提示する。しか
しながら、ここに記載されるイノベーションは、例えば特許請求の範囲により画定かつカ
バーされる数多くの異なる態様で具体化することができる。本明細書において、同じ参照
番号が同一の又は機能的に同様の要素を示す図面が参照される。理解されることだが、図
面に示される要素は必ずしも縮尺どおりとは限らない。さらに理解されることだが、所定
の実施形態は、図面に示されるよりも多くの要素、及び/又は図面に示される要素の部分
集合を含み得る。さらに、いくつかの実施形態は、2つ以上の図面からの特徴の任意の適
切な組み合わせも含み得る。
【0043】
包絡線追跡は、電力増幅器の電力付加効率(PAE)を、当該電力増幅器が増幅する無
線周波数(RF)信号の包絡線に関連して電力増幅器供給電圧の電圧レベルを効率的に制
御することによって、増加させるべく使用することができる技法である。すなわち、RF
信号の包絡線が増加すると、電力増幅器へ供給される電圧も増加し得る。同様に、RF信
号の包絡線が減少すると、電力増幅器へ供給される電圧も減少して消費電力が低下する。
【0044】
マルチレベル包絡線追跡器が、異なる電圧レベルの2以上の調節済み電圧を生成するマ
ルチレベル供給(MLS)DC/DC変換器と、当該調節済み電圧から選択された選択調
節済み電圧を出力するMLS変調器と、MLS変調器の出力をフィルタリングして電力増
幅器のための電力増幅器供給電圧を生成するフィルタとを含み得る。
【0045】
マルチレベル包絡線追跡器は、電力増幅器供給電圧のためのDC電流及びAC電流の双
方がMLS変調器及び/又は共通フィルタのスイッチを通って循環するときに効率劣化を
被ることがある。例えば、当該変調器のスイッチ及び/又は当該フィルタのインダクタの
DC抵抗に電力損失が生じる。
【0046】
スイッチのDC抵抗は低くなる(例えば電力増幅器のDC負荷のわずかなパーセンテー
ジとなる)ように実装することができるにもかかわらず、この態様でスイッチを実装する
ことにより、相対的に大きなレイアウト及び/又は有意なスイッチング損失がもたらされ
る。例えば、所望のソースインピーダンスが約0.2オームのとき、MLS変調器のスイ
ッチは、0.2オーム未満のオン状態抵抗を達成するように制約を受ける。これにより、
相対的に大きなスイッチレイアウトがもたらされる。
【0047】
別個のDC経路及びAC経路を備えたマルチレベル包絡線追跡システムが与えられる。
所定の実施形態において、電力増幅器のための電力増幅器供給電圧を生成する包絡線追跡
システムが与えられる。包絡線追跡システムは、多数の調節済み電圧を出力するMLSD
C/DC変換器と、電力増幅器により増幅されたRF信号の包絡線に対応する包絡線信号
に基づいて当該調節済み電圧の選択を経時的に制御するMLS変調器と、当該MLS変調
器の出力と当該電力増幅器供給電圧との間に結合されるAC経路フィルタと、DC電圧と
当該電力増幅器供給電圧との間に結合されるDC経路フィルタとを含む。
【0048】
DC経路フィルタを通るDC経路とAC経路フィルタを通る別個のAC経路とを含むこ
とにより、包絡線追跡システムの効率の向上を達成することができる。例えば、DC電流
のような低周波数電流がDC経路フィルタを通して(例えばフィルタインダクタを介して
)与えられるので、変調器のスイッチのサイズ及び/又はDC抵抗の制約を緩和すること
ができる。したがって、AC経路における低いスイッチング損失を達成することができる
ので、全体的なシステム効率を高めることができる。一例において、DC経路は、包絡線
追跡システムが電力増幅器に与えるエネルギーの少なくとも75%を搬送する。
【0049】
高速包絡線信号が、DCを中心とするエネルギー含量を有し得るので、DC経路は、低
周波数エネルギー含量のための高効率な経路を与えることができる。さらに、DC経路フ
ィルタは、当該フィルタのインダクタがDC飽和なしで動作できることから相対的に小さ
なコンポーネントサイズを有し得る。一例において、DC経路フィルタは、AC経路フィ
ルタのサイズの約半分未満で実装される。所定の実装例において、AC経路フィルタは、
AC経路フィルタを通るDC電流をブロックするのに役立つ直列DCブロックキャパシタ
を含む。
【0050】
所定の実装例において、DC電圧は、DC/DC変換器からの調整済み電圧である。例
えば、MLSDC/DC変換器は、DC電圧の生成にも使用することができる。かかる実
装例において、DC電圧の電圧レベルは、MLS変調器に与えられる複数の調整済み電圧
のうちの一つの電圧レベルと同じであっても異なっていてもよい。
【0051】
図1は、一実施形態に係る携帯デバイス70の模式的な図である。携帯デバイス70は
、一次アンテナ1、ダイバーシティアンテナ2、一次アンテナチューニング回路3、ダイ
バーシティアンテナチューニング回路4、双極双投(DPDT)アンテナダイバーシティ
スイッチ5、一次フロントエンドモジュール6、ダイバーシティフロントエンドモジュー
ル7、電池8、マルチレベル供給(MLS)包絡線追跡器9、送受信器10、ベース帯域
モデム11、及びアプリケーションプロセッサ12を含む。
【0052】
携帯デバイスの一実施形態が示されるにもかかわらず、ここでの教示は、多種多様な態
様で実装される携帯デバイスに適用可能である。したがって、他の実装例も可能である。
【0053】
図示の実施形態において、一次フロントエンドモジュール6は、第1電力増幅器21、
第2電力増幅器22、第3電力増幅器23、第4電力増幅器24、第1低雑音増幅器31
、第2低雑音増幅器32、第3低雑音増幅器33、ダイプレクサ42、送信/受信帯域ス
イッチ41、送信フィルタ43、第1デュプレクサ45、第2デュプレクサ46、第3デ
ュプレクサ47、第1受信フィルタ51、第2受信フィルタ52、第3受信フィルタ53
、第1方向性結合器59、及び第2方向性結合器60を含む。付加的に、ダイバーシティ
フロントエンドモジュール7は、第1低雑音増幅器35、第2低雑音増幅器36、第1受
信フィルタ55、第2受信フィルタ56、第1受信帯域選択スイッチ61、及び第2受信
帯域選択スイッチ62を含む。
【0054】
フロントエンド回路の一実施形態が示されるにもかかわらず、フロントエンド回路の他
の実装例も可能である。例えば、フロントエンド回路は、一以上のアンテナから送信及び
/又は受信されるRF信号の処理のための電力増幅器(PA)、低雑音増幅器(LNA)
、フィルタ、スイッチ、位相シフタ、デュプレクサ、及び/又は他の適切な回路を含んで
よい。フロントエンドの機能の例は、送信のための信号増幅、受信信号増幅、信号フィル
タリング、異なる帯域間のスイッチング、異なる電力モード間のスイッチング、送信モー
ド及び受信モード間のスイッチング、信号のデュプレクシング、信号のマルチプレクシン
グ(例えばダイプレクシング又はトライプレクシング)、又はこれらの何らかの組み合わ
せを含むがこれらに限られない。
【0055】
したがって、一次フロントエンドモジュール、ダイバーシティ受信フロントエンドモジ
ュール、アンテナ選択、及び/又はアンテナチューニングの他の実装例も使用してよい。
【0056】
図1に示されるように、MLS包絡線追跡器9は、携帯デバイス70において電力増幅
器が無線送信目的でRF信号を増幅するための、一以上の電力増幅器供給電圧を生成する
べく使用される。図示の実施形態において、MLS包絡線追跡器9は、電池8から電池電
圧V
BATTを受け、第1電力増幅器21のための第1電力増幅器供給電圧V
PA1、及
び第1電力増幅器22のための第2電力増幅器供給電圧V
PA2を生成する。MLS包絡
線追跡器9が2つの電力増幅器供給電圧を生成する一例が示されるにもかかわらず、ML
S包絡線追跡器9は、これよりも多い又は少ない電力増幅器供給電圧を生成してよい。
【0057】
MLS包絡線追跡器9は、第1電力増幅器21が増幅する第1RF信号の包絡線を追跡
するべく第1電力増幅器供給電圧VPA1を制御する。付加的に、MLS包絡線追跡器9
は、第2電力増幅器22が増幅する第2RF信号の包絡線を追跡するべく第2電力増幅器
供給電圧VPA2を制御する。所定の実装例において、MLS包絡線追跡器9は、ベース
帯域モデム11から一以上の包絡線信号を受信する。例えば、MLS包絡線追跡器9は、
第1RF信号の包絡線を示す第1包絡線信号と、第2RF信号の包絡線を示す第2包絡線
信号とを受信することができる。
【0058】
電池8は、携帯デバイス70における使用のための、例えばリチウムイオン電池を含む
任意の適切な電池としてよい。電池電圧VBATTは、MLS包絡線追跡器9のDC/D
C変換器によって調節され、ここでの教示に係るマルチレベル包絡線追跡のために使用さ
れる調節済み電圧が生成される。
【0059】
送受信器10は、送信のためのRF信号を生成し、一次アンテナ1及びダイバーシティ
アンテナ2から受信した入来RF信号を処理する。理解されることだが、RF信号の送信
及び受信に関連付けられる様々な機能は、
図1においてまとめて送受信器10として代表
される一以上のコンポーネントによって達成することができる。一例において、所定タイ
プのRF信号を取り扱うべく別個のコンポーネント(例えば別個の回路又はダイ)を設け
てもよい。
【0060】
ベース帯域モデム11は、送受信器10に、送信のためのRF信号を生成するべく送受
信器10が処理する送信信号のデジタル表現を与える。ベース帯域モデム11もまた、送
受信器10が与える受信信号のデジタル表現を処理する。
【0061】
図1に示されるように、ベース帯域モデム11は、携帯デバイス70における一次アプ
リケーション処理を与える役割を果たすアプリケーションプロセッサ12に結合される。
アプリケーションプロセッサ12は、メモリ管理、グラフ処理、及び/又はマルチメディ
アデコーディングを含むがこれらに限られないアプリケーションをサポートするのに適切
なシステム能力を与えることのような、多種多様な機能を与えることができる。
【0062】
携帯デバイス70が、マルチレベル包絡線追跡器のRFシステムの一例を示すにもかか
わらず、ここでの教示に従って実装される一以上のマルチレベル包絡線追跡器を、多種多
様なRFシステムに含めることができる。
【0063】
図2~
図3C、
図5及び
図6は、電力増幅器のための包絡線追跡システムの様々な実施
形態の模式的な図を描く。しかしながら、ここでの教示は、多種多様な態様で実装される
包絡線追跡器に適用可能である。したがって、他の実装例も可能である。
【0064】
図2は、一実施形態の、電力増幅器71のための包絡線追跡システム100の模式的な
図である。包絡線追跡システム100は、MLSDC/DC変換器72、DC経路フィル
タ73、MLS変調器81、及びAC経路フィルタ91を含む。MLSDC/DC変換器
72は、スイッチングレギュレータとも称する。
【0065】
電力増幅器71は、RF入力信号RFINを増幅してRF出力信号RFOUTを生成す
る。MLS変調器81は、RF入力信号RFINの包絡線に関連して変化する包絡線信号
(ENVELOPE)を受信する。包絡線信号はアナログ又はデジタルとしてよい。
【0066】
図示の実施形態において、MLSDC/DC変換器72は、電池電圧VBATTを受け
、異なる電圧レベルの様々な調節済み電圧VMLSa、VMLSb、VMLSc、…VM
LSnを生成するDC/DC変換を与える。一例に4つのMLS電圧が描かれるにもかか
わらず、MLSDC/DC変換器72は、省略記号により示されるように、これよりも多
い又は少ないMLS電圧を生成してよい。この実施形態において、MLSDC/DC変換
器72はまた、電池電圧VBATTを調節することによってDC電圧VDCも生成する。
DC電圧VDCは、調節済み電圧VMLSa、VMLSb、VMLSc、…VMLSnの
うちの一つの電圧レベルと同じであっても異なっていてもよい。
【0067】
MLS変調器81は、調節済み電圧VMLSa、VMLSb、VMLSc、…VMLS
n及び包絡線信号を受信し、変調器出力電圧をAC経路フィルタ91に出力する。所定の
実装例において、MLS変調器81は、包絡線信号に基づき経時的に適切な調節電圧を選
択することに基づいて出力電圧を制御する。例えば、MLS変調器81は、包絡線信号の
値に基づいて、調節済み電圧VMLSa、VMLSb、VMLSc、…VMLSnのうち
の一つを変調器の出力に選択的に接続するスイッチのバンクを含み得る。
【0068】
DC経路フィルタ73及びAC経路フィルタ91はそれぞれが、MLSDC/DC変換
器72からのDC電圧VDC及びMLS変調器81の出力をフィルタリングすることによ
って、電力増幅器71のための電力増幅器供給電圧VPAを生成する。
【0069】
DC経路フィルタ73を通るDC経路とAC経路フィルタ91を通るAC経路とを含む
ことにより、包絡線追跡システム100の効率向上を達成することができる。例えば、低
周波数電流(DC電流を含むがこれに限られない)がDC経路フィルタ73と通して与え
られるので、MLS変調器のスイッチのサイズ及び/又はDC抵抗の制約を緩和すること
ができる。
【0070】
したがって、AC経路における低いスイッチング損失を達成することができるので、全
体的なシステム効率を高めることができる。一例において、DC経路は、包絡線追跡シス
テム100が電力増幅器71に与えるエネルギーの少なくとも75%を搬送する。
【0071】
図3Aは、他実施形態の、電力増幅器101のための包絡線追跡システム140の模式
的な図である。包絡線追跡システム140は、包絡線追跡集積回路(IC)102と、D
C経路フィルタ103と、AC経路フィルタ104と、DAC回路105と、包絡線フィ
ルタ106と、第1デカップリングキャパシタ111~第4デカップリングキャパシタ1
14それぞれと、インダクタ117とを含む。
【0072】
一実施形態の包絡線追跡システムが
図3Aに示されるにもかかわらず、ここでの教示は
、多種多様な態様で実装される包絡線追跡システムに適用可能である。したがって、他の
実装例も可能である。
【0073】
図示の実施形態において、包絡線追跡IC102は、MLSスイッチング回路121と
、デジタル制御回路122と、ベース帯域MLS変調器123と、変調器制御回路124
とを含む。
図3Aの包絡線追跡IC102は、例えば電池電圧(V
BATT)の受信、シ
リアルペリフェラルインタフェイス(SPI)を経由した通信、DC電圧VDCの出力、
包絡線信号(ENVELOPE)の受信、デカップリングキャパシタ111~114への
接続、及びインダクタ117への接続のような、様々な機能を与えるための様々なピン又
はパッドとともに描かれる。包絡線追跡ICはまた、ここでは包絡線追跡半導体ダイ又は
チップとも称する。
【0074】
MLSスイッチング回路121は、電圧調節を与えるべくインダクタ117を通る電流
を制御する。例えば、MLSスイッチング回路121はスイッチ及びコントローラを含み
、このコントローラは、(パルス幅変調を含むがこれに限られない)任意の適切な調節ス
キームを使用してこのスイッチをオン及びオフにしてDC/DC変換を与える。図示の実
施形態において、MLSスイッチング回路121は、異なる電圧レベルにある4つの調節
済みMLS電圧と一の調節済みDC電圧VDCとを出力する。しかしながら、MLSスイ
ッチング回路121は、これよりも多い又は少ない調節済み電圧を出力するように実装し
てもよい。
【0075】
図3Aに示されるように、MLSスイッチング回路121は、デジタル制御回路122
によって制御される。デジタル制御回路122は、MLSスイッチング回路121により
出力される一以上の調節済み電圧の電圧レベル制御を含むがこれに限られないプログラミ
ング可能性をMLSスイッチング回路121に与える。
図3Aに示されるように、デジタ
ル制御回路122はSPIバスに結合される。所定の実装例において、デジタル制御回路
122は、SPIバス及び/又は他のチップインタフェイスを経由して受信されたデータ
に基づいてMLSスイッチング回路121を制御する。
【0076】
MLSスイッチング回路121はまた、変調器制御回路124によって制御され得る。
一例において、調節済みDC電圧VDCは、少なくとも部分的に変調器制御回路124に
よって制御される。
【0077】
ベース帯域MLS変調器123は、AC経路フィルタ104を通して電力増幅器供給電
圧VPAに結合される出力部を含む。所定の実装例において、ベース帯域MLS変調器1
23は、各調節済みMLS電圧とAC経路フィルタ104との間に結合されるスイッチを
含む。付加的に、変調器のスイッチは、包絡線信号に基づいて変調器コントローラ124
によって選択的に開閉される。
【0078】
図示の実施形態において、DC経路フィルタ103は、シャントキャパシタ127及び
直列インダクタ128を含む。付加的に、AC経路フィルタ104は、第1直列インダク
タ131、第2直列インダクタ132、第1シャントキャパシタ135、及び第2シャン
トキャパシタ136を含む。DC経路フィルタ及びAC経路フィルタの実装例が
図3Aに
描かれるにもかかわらず、ここでの教示は、多種多様な態様で実装されるDC経路フィル
タ及びAC経路フィルタにも適用可能である。したがって、他の実装例のフィルタも、こ
こでの教示に従って使用することができる。
【0079】
所定の実装例において、フィルタの一以上のコンポーネントは、柔軟性及び/又は制御
性を高めるように制御可能である(例えばデジタルプログラム可能であり及び/又はアナ
ログチューニングされる)。例えば、図示の実施形態において、第1シャントキャパシタ
135及び第2シャントキャパシタ136が制御可能である。制御可能フィルタコンポー
ネントの2つの例が示されるにもかかわらず、他のフィルタコンポーネントを制御可能と
なるように付加的又は代替的に実装してよい。
【0080】
図3Bは、他実施形態の、電力増幅器101のための包絡線追跡システム150の模式
的な図である。
図3Bの包絡線追跡システム150は
図3Aの包絡線追跡システム140
と同様であるが、包絡線追跡システム150が、AC経路フィルタ144の異なる実装例
を含む点で異なる。
【0081】
例えば、
図3AのAC経路フィルタ104と比較すると、
図3BのAC経路フィルタ1
44はさらに、AC経路フィルタ144を通る低周波数電流をブロックするDCブロック
キャパシタ138を含む。図示の実施形態において、DCブロックキャパシタ138は、
AC経路フィルタ144の出力部に結合される。
【0082】
DCブロックキャパシタ138を含めることにより、AC経路における低いスイッチン
グ損失を達成することができるので、全体的なシステム効率を高めることができる。例え
ば、DCブロックキャパシタ138は、AC経路フィルタ144を通ってAC経路により
搬送されるエネルギーに対するDC経路フィルタ103を通ってDC経路により搬送され
るエネルギーのパーセンテージの増加に役立つ。一例において、DC経路は、DC経路フ
ィルタ103a包絡線追跡システム150が与えるエネルギーの少なくとも75%を電力
増幅器101に搬送する。
【0083】
図3Cは、他実施形態の、電力増幅器101のための包絡線追跡システム160の模式
的な図である。
図3Cの包絡線追跡システム160は
図3Bの包絡線追跡システム150
と同様であるが、包絡線追跡システム160が、AC経路フィルタ154の異なる実装例
を含む点で異なる。
【0084】
例えば、
図3BのAC経路フィルタ144と比較すると、
図3CのAC経路フィルタ1
54が、フィルタの入力部に結合されるDCブロックキャパシタ138を含む。DCブロ
ックキャパシタは、AC経路フィルタにおいて多種多様な箇所に、例えば入力部に、出力
部に、又は入力部と出力部との間の信号経路に沿うように、含めてよい。
【0085】
図3Dは、他実施形態の、電力増幅器101のための包絡線追跡システム170の模式
的な図である。
図3Dの包絡線追跡システム170は
図3Aの包絡線追跡システム140
と同様であるが、包絡線追跡システム170が、2つのMLS調節済み電圧で動作する包
絡線追跡IC102を含む点で異なる。付加的に、デカップリングキャパシタ113及び
114は、MLS調節済み電圧が少数であることに鑑み、省略されている。
【0086】
図3Dの包絡線追跡システム170は、複雑性が低下しているという利点を有する。さ
らに、包絡線追跡システム170は、高帯域幅変調に適切となり得るシンボル追跡による
シンボルを使用するアプリケーションに十分に適している。例えば、シンボル追跡による
シンボルを使用する場合、2つのMLS電圧をプログラムしてシンボルレート(例えば1
6μs)で連続して使用することができる。すなわち、MLS変調器123は、電力増幅
器供給電圧を生成するために使用される電圧を、新たな電圧保持キャパシタへとスイッチ
ングすることによって変化させることができる。
【0087】
シンボル追跡によるシンボルを使用する場合、使用されるフィルタリングを少なくする
ことができるが、それでもAC/DC分割によれば、有益なことに、直列スイッチの必要
性が回避される。
【0088】
図4は、効率対出力電力のグラフである。グラフは、異なるシミュレーションに対する
電力増幅器と包絡線追跡器との組み合わせの効率対出力電力の3つのプロットを含む。例
えば、第1プロット171は、DC経路に0.1オームのスイッチ抵抗が含まれるシミュ
レーションに対応し、LTE効率の第2プロット172、DC経路に1.0オームのスイ
ッチ抵抗が含まれる第3プロット173である。別個のAC経路及びDC経路を与えるこ
とによって低いDC経路抵抗を達成することができるので、効率の向上もまた実現され得
る。
【0089】
包絡線追跡システムのシミュレーション結果の特定例が
図4に示されるにもかかわらず
、他のシミュレーション結果も可能である。例えば、シミュレーション結果は、シミュレ
ーションパラメータ(動作周波数を含む)、回路トポロジー、及び/又は作製プロセスを
含むがこれらに限られない多種多様な因子に基づいて変わり得る。
【0090】
図5は、他実施形態の、電力増幅器71のための包絡線追跡システム180の模式的な
図である。
図5の包絡線追跡システム180は、
図2の包絡線追跡システム100と同様
であるが、包絡線追跡システム150はさらに、制御可能遅延回路98を含む。
【0091】
図示の実施形態において、包絡線追跡システム180は、DC経路フィルタ73を通る
ときのMLSDC/DC変換器72から電力増幅器71の供給入力へのDC経路遅延t1
を有して動作する。付加的に、包絡線追跡システム180は、制御可能遅延回路98、M
LS変調器81、及びAC経路フィルタ91を通るときのMLSDC/DC変換器72か
ら電力増幅器71の供給入力へのAC経路遅延t2を有して動作する。
【0092】
制御可能遅延回路98を含むことにより、包絡線追跡システム180の効率を高めるよ
うにAC経路とDC経路との間の相対的な遅延を制御することができる。所定の実装例に
おいて、制御可能遅延回路98の遅延は、DC経路遅延t1及びAC経路遅延t2を所望
の位相シフトに実質的に整合させて効率を高めるように動作する。
【0093】
例えば、遅延差の補償が存在しなければ、DC経路の制御帯域幅がAC経路の制御帯域
幅よりも狭くなることに起因してAC経路の電流とDC経路の電流とが競合し得る。この
例において、AC経路が、制御可能遅延回路98による遅延を受けることで、負荷が見る
DC経路の相対的な遅延が制御される。所定の実装例において、結合が生じる帯域幅にわ
たる約90度の位相シフトによって、相対的に高い効率が得られる。所定の実装例におい
て、デジタル状態機械又は他の適切な制御回路が、約90度の位相遅延を達成する制御を
与えるように動作する。
【0094】
図6は、他実施形態の、電力増幅器101のための包絡線追跡システム200の模式的
な図である。
図6の包絡線追跡システム200は
図3Aの包絡線追跡システム140と同
様であるが、包絡線追跡システム200が、包絡線追跡IC182の異なる実装例を含む
点で異なる。
【0095】
例えば、
図3Aの包絡線追跡IC102と比較すると、
図6の包絡線追跡IC182は
さらに、制御可能遅延バッファ191~194を含む。
図3Aに示されるように、制御可
能遅延バッファ191~194が、MLSスイッチング回路121が生成する各MLS調
節済み電圧に制御可能な遅延を与えることにより、DC経路遅延t
1に対してAC経路遅
延t
2を相対的に調整することが許容される。
【0096】
この実施形態において、制御可能遅延バッファ191~194の遅延は、デジタル制御
回路122により制御可能なので、様々なMLS調節済み電圧経路間の遅延の任意の変動
を考慮する柔軟性が向上する。
【0097】
図7は、他実施形態に係る携帯デバイス800の模式的な図である。携帯デバイス80
0は、ベース帯域システム801、送受信器802、フロントエンドシステム803、ア
ンテナ804、電力管理システム805、メモリ806、ユーザインタフェイス807、
及び電池808を含む。
【0098】
携帯デバイス800は、2G、3G、4G(LTE、LTEアドバンスト、及びLTE
アドバンストプロ)、5G、WLAN(例えばWi-Fi)、WPAN(例えばBlue
tooth(登録商標)及びZigBee(登録商標))、WMAN(例えばWiMax
)、及び/又はGPS技術を含むがこれらに限られない多種多様な通信技術を使用して通
信するように使用することができる。
【0099】
送受信器802は、送信のためのRF信号を生成し、アンテナ804から受信した入来
RF信号を処理する。理解されることだが、RF信号の送信及び受信に関連付けられる様
々な機能は、
図7においてまとめて送受信器802として代表される一以上のコンポーネ
ントによって達成することができる。一例において、所定タイプのRF信号を取り扱うべ
く別個のコンポーネント(例えば別個の回路又はダイ)を設けてもよい。
【0100】
フロントエンドシステム803は、アンテナ804に送信し及び/又はアンテナ804
から受信する信号のコンディショニングを補助する。図示の実施形態において、フロント
エンドシステム803は、電力増幅器(PA)811、低雑音増幅器(LNA)812、
フィルタ813、スイッチ814、及びデュプレクサ815を含む。しかしながら、他の
実装例も可能である。
【0101】
例えば、フロントエンドシステム803は、送信信号の増幅、受信信号の増幅、信号の
フィルタリング、異なる帯域間のスイッチング、異なる電力モード間のスイッチング、送
信モード及び受信モード間のスイッチング、信号のデュプレクシング、信号のマルチプレ
クシング(例えばダイプレクシング又はトライプレクシング)、又はこれらの何らかの組
み合わせを含むがこれらに限られない一定数の機能を与えることができる。
【0102】
所定の実装例において、携帯デバイス800は、キャリアアグリゲーションをサポート
するので、ピークデータレートを増加させる柔軟性が得られる。キャリアアグリゲーショ
ンは、周波数分割デュプレクシング(FDD)及び時間分割デュプレクシング(TDD)
の双方に使用することができるので、複数のキャリア又はチャネルを集約(アグリゲーシ
ョン)するべく使用してよい。キャリアアグリゲーションは、同じ動作周波数帯域内に連
続キャリアが集約される連続アグリゲーションを含む。キャリアアグリゲーションは不連
続でもよく、共通帯域内又は異なる帯域内で周波数が分離したキャリアを含んでもよい。
【0103】
複数のアンテナ804は、多種多様なタイプの通信のために使用されるアンテナを含み
得る。例えば、アンテナ804は、多種多様な周波数及び通信規格に関連付けられる信号
の送信及び/又は受信に関連付けられるアンテナを含み得る。
【0104】
所定の実装例において、アンテナ804は、MIMO通信及び/又はスイッチ式ダイバ
ーシティ通信をサポートする。例えば、MIMO通信は、単数の無線周波数チャネルを経
由して多重データストリームを通信する多重アンテナを使用する。MIMO通信は、無線
環境の空間的多重化(マルチプレクシング)に起因して高信号対雑音比、改善されたコー
ディング、及び/又は信号干渉低減からの利益を受ける。スイッチ式ダイバーシティとは
、特定の時刻に動作する特定のアンテナが選択される通信を言及する。例えば、観測ビッ
ト誤り率及び/又は信号強度指標のような様々な因子に基づいて一群のアンテナから特定
のアンテナを選択するようにスイッチを使用することができる。
【0105】
携帯デバイス800は、所定の実装例においてビームフォーミングとともに動作し得る
。例えば、フロントエンドシステム803は、送受信器802により制御される可変位相
を有する位相シフタを含み得る。付加的に、位相シフタは、アンテナ804を使用した信
号の送信及び/又は受信のためのビームの形成及び指向性を与えるように制御される。例
えば、信号送信の文脈において、アンテナ804に与えられる送信信号の位相が、アンテ
ナ804から放射される信号が、建設的及び破壊的な干渉を使用して結合されるように、
制御され、所与の方向に伝播する強い信号強度を有するビームのような品質を示す集約送
信信号が生成される。信号受信の文脈において、位相は、信号が特定の方向からアンテナ
804に到達するときに多くの信号エネルギーが受信されるように制御される。所定の実
装例において、アンテナ804は、ビームフォーミングを強化するべく一以上のアレイの
アンテナ素子を含む。
【0106】
ベース帯域システム801は、音声及びデータのような様々なユーザ入出力(I/O)
の処理を容易にするユーザインタフェイス807に結合される。ベース帯域システム80
1は、送受信器802に送信信号のデジタル表現を与え、これを送受信器802が処理し
て送信用のRF信号が生成される。ベース帯域システム801はまた、送受信器802に
より与えられる受信信号のデジタル表現も処理する。
図7に示されるように、携帯デバイ
ス800の動作を容易にするべくベース帯域システム801がメモリ806に結合される
。
【0107】
メモリ806は、携帯デバイス800の動作を容易にするべく及び/又はユーザ情報の
格納を与えるべく、データ及び/又は命令の格納のような多種多様な目的のために使用す
ることができる。
【0108】
電力管理システム805は、携帯デバイス800の一定数の電力管理機能を与える。電
力管理システム805は、本開示の一以上の特徴に従って実装されるMLS包絡線追跡器
860を含み得る。
【0109】
図7に示されるように、電力管理システム805は、電池808から電池電圧を受信す
る。電池808は、携帯デバイス800における使用のための、例えばリチウムイオン電
池を含む任意の適切な電池としてよい。
【0110】
図8は、RF信号を送信する通信システム950の一実施形態の模式的な図である。通
信システム950は、電池901、MLS包絡線追跡器902、電力増幅器903、方向
性結合器904、デュプレクシング・スイッチング回路905、アンテナ906、ベース
帯域プロセッサ907、信号遅延回路908、デジタルプリディストーション(DPD)
回路909、I/Q変調器910、観測受信器911、相互変調検出回路912、包絡線
遅延回路921、座標回転デジタル計算(CORDIC)回路922、整形回路923、
デジタル/アナログ変換器924、及び再構成フィルタ925を含む。
【0111】
図8の通信システム950は、本開示の一以上の特徴に従って実装される包絡線追跡シ
ステムを含み得るRFシステムの一例を示す。しかしながら、ここでの教示は、多種多様
な態様で実装されるRFシステムに適用可能である。
【0112】
ベース帯域プロセッサ907は、所望の振幅、周波数及び位相の正弦波又は正弦信号の
信号成分に対応する同相(I)信号及び直角位相(Q)信号を生成するように動作する。
例えば、I信号及びQ信号は、正弦波の等価表現を与える。所定の実装例において、I信
号及びQ信号はデジタル形式で出力される。ベース帯域プロセッサ907は、ベース帯域
信号を処理する任意の適切なプロセッサとしてよい。例えば、ベース帯域プロセッサ90
7は、デジタル信号プロセッサ、マイクロプロセッサ、プログラミング可能コア、又はこ
れらの任意の組み合わせを含み得る。
【0113】
信号遅延回路908は、I信号及びQ信号に調整可能遅延を与え、包絡線追跡器902
に与えられる差動包絡線信号ENV_p、ENV_nと電力増幅器903に与えられるR
F信号RFINとの相対的な整合性の制御を補助する。信号遅延回路908が与える遅延
量は、相互変調検出回路912が検出する隣接帯域の相互変調量に基づいて制御される。
【0114】
DPD回路909は、信号遅延回路908からの遅延されたI信号及びQ信号にデジタ
ル整形を与え、デジタルプリディストーション(DPD)されたI信号及びQ信号を生成
するように動作する。図示の実施形態において、DPD回路909が与えるDPDは、相
互変調検出回路912が検出する相互変調量に基づいて制御される。DPD回路909は
、電力増幅器903のディストーションを低減し及び/又は電力増幅器903の効率を増
加させる役割を果たす。
【0115】
I/Q変調器910は、デジタルプリディストーションされたI信号及びQ信号を受信
し、これらの信号はRF信号RFINを生成するべく処理される。例えば、I/Q変調器
910は、デジタルプリディストーションされたI信号及びQ信号をアナログ形式に変換
するように構成されるDACと、アナログI信号及びQ信号を無線周波数(RF)にアッ
プコンバートする混合器と、アップコンバートされたI信号及びQ信号を結合してRF信
号RFINにする信号結合器とを含み得る。所定の実装例において、I/Q変調器910
は、処理される信号の周波数成分をフィルタリングするべく構成される一以上のフィルタ
を含み得る。
【0116】
包絡線遅延回路921は、ベース帯域プロセッサ907からのI信号及びQ信号を遅延
させる。付加的に、CORDIC回路922は、遅延されたI信号及びQ信号を処理し、
RF信号RF
INの包絡線を代表するデジタル包絡線信号を生成する。
図8がCORDI
C回路922を使用する一実装例を示すにもかかわらず、包絡線信号を他の態様で取得す
ることもできる。
【0117】
整形回路923は、通信システム950の性能を高めるべくデジタル包絡線信号を整形
するように動作する。所定の実装例において、整形回路923は、デジタル包絡線信号の
各レベルを対応する整形される包絡線信号レベルにマッピングする整形表を含む。包絡線
整形は、電力増幅器903の線形性、ディストーション、及び/又は効率の制御に役立ち
得る。
【0118】
図示の実施形態において、整形された包絡線信号は、DAC924によって差動アナロ
グ包絡線信号に変換されたデジタル信号である。付加的に、差動アナログ包絡線信号は、
再構成フィルタ925によってフィルタリングされ、MLS包絡線追跡器902の差動包
絡線増幅器により使用されるのに適切な差動包絡線信号ENV_p、ENV_nが生成さ
れる。所定の実装例において、再構成フィルタ925は差動低域通過フィルタを含む。
【0119】
包絡線信号伝達の一例が示されるにも関わらず、ここでの教示は、多種多様な態様で実
装される包絡線信号伝達にも適用可能である。例えば、他例において、MLS包絡線追跡
器902にデジタル包絡線データを与えることを優先させてDAC924及び再構成フィ
ルタ925が省略される。
【0120】
引き続き
図8を参照すると、MLS包絡線追跡器902は、再構成フィルタ925から
包絡線信号を受信するとともに電池901から電池電圧V
BATTを受け、差動包絡線信
号ENV_p、ENV_nを使用して電力増幅器903のための電力増幅器供給電圧V
C
C_PAを生成する。電力増幅器供給電圧V
CC_PAは、RF信号RF
INの包絡線に
関連して変化する。電力増幅器903は、I/Q変調器910からRF信号RF
INを受
信し、増幅されたRF信号RF
OUTを、この例ではデュプレクシング・スイッチング回
路905を介してアンテナ906に与える。
【0121】
方向性結合器904が電力増幅器903の出力とデュプレクシング・スイッチング回路
905の入力との間に配置されることにより、デュプレクシング・スイッチング回路90
5の挿入損失を含まない電力増幅器903の出力電力測定が許容される。方向性結合器9
04の検知された出力信号が観測受信器911に与えられる。観測受信器911は、ダウ
ンコンバートされたI信号及びQ信号を生成するべくダウンコンバージョンを与える混合
器と、当該ダウンコンバートされたI信号及びQ信号からI観測信号及びQ観測信号を生
成するDACとを含み得る。
【0122】
相互変調検出回路912は、I観測信号及びQ観測信号とベース帯域プロセッサ907
からのI信号及びQ信号との相互変調積を決定する。付加的に、相互変調検出回路912
は、DPD回路909が与えるDPD及び/又は信号遅延回路908の遅延を制御して差
動包絡線信号ENV_p、ENV_nとRF信号RFINとの相対的整合性を制御する。
他実施形態において、相互変調検出回路912は付加的又は代替的に、信号遅延回路92
1の遅延を制御する。
【0123】
電力増幅器903の出力からのフィードバック経路とベース帯域とを含めることにより
、I信号及びQ信号を、通信システム950の動作を最適化するべく動的に調整すること
ができる。例えば、通信システム950をこの態様で構成することにより、電力の制御、
送信器障害の補償、及び/又はDPDの実行を補助することができる。
【0124】
単数段として示されるにもかかわらず、電力増幅器903は一以上の段を含んでよい。
さらに、ここでの教示は、多数の電力増幅器を含む通信システムにも適用可能である。
【0125】
図9は、一実施形態に係るMLS変調システム1050の模式的な図である。MLS変
調システム1050は、変調器制御回路1020、MLSDC/DC変換器1025、変
調器スイッチバンク1027、及びデカップリングキャパシタバンク1030を含む。
【0126】
図9のMLS変調システム1050は、マルチレベル包絡線追跡器への組み込みに適切
なMLS変調器回路の一実装例を示す。しかしながら、ここでの教示に従って実装される
マルチレベル包絡線追跡器には、MLS変調器回路の他実装例も含めてよい。
【0127】
MLSDC/DC変換器1025は、電池電圧VBATTのDC/DC変換を与えるこ
とに基づいて第1調節済み電圧VMLS1、第2調節済み電圧VMLS2、及び第3調節
済み電圧VMLS3を生成する。3つの調節済み電圧を有する一例が示されるにもかかわ
らず、MLSDC/DC変換器1025は、これよりも多い又は少ない調節済み電圧を生
成してよい。所定の実装例において、調節済み電圧の少なくとも一部分が、電池電圧VB
ATTに対してブーストされる。付加的又は代替的に、調節済み電圧の一以上は、電池電
圧VBATTよりも低い電圧を有するバック電圧である。
【0128】
デカップリングキャパシタバンク1030は、MLSDC/DC変換器1025が生成
する調節済み電圧の安定化を補助する。例えば、
図9のデカップリングキャパシタバンク
1030は、第1調節電圧V
MLS1をデカップリングする第1デカップリングキャパシ
タ1031、第2調節電圧V
MLS2をデカップリングする第2デカップリングキャパシ
タ1032、及び第3調節電圧V
MLS3をデカップリングする第3デカップリングキャ
パシタ1033を含む。
【0129】
引き続き
図9を参照すると、変調器スイッチバンク1027は、変調器の出力(MOD
OUT)と第1調節電圧V
MLS1との間に接続される第1スイッチ1041、当該変調
器の出力と第2調節電圧V
MLS2との間に接続される第2スイッチ1042、及び当該
変調器の出力と第3調節電圧V
MLS3との間に接続される第3スイッチ1043を含む
。変調器制御部1020は、スイッチ1041~1043を選択的に開閉して変調器の出
力を制御するべく動作する。
【0130】
図10は、一実施形態に係るMLSDC/DC変換器1073の模式的な図である。M
LSDC/DC変換器1073は、インダクタ1075、第1スイッチS
1、第2スイッ
チS
2、第3スイッチS
3、第4スイッチS
4、第5スイッチS
5、及び第6スイッチS
6を含む。MLSDC/DC変換器1073はさらに、調節を与える当該スイッチ開閉の
ための制御回路(
図10に図示せず)も含む。
【0131】
図10のMLSDC/DC変換器1073は、マルチレベル包絡線追跡器への組み込み
に適切なMLSDC/DC変換器の一実装例を示す。しかしながら、ここでの教示に従っ
て実装されるマルチレベル包絡線追跡器には、MLSDC/DC変換器の他実装例も含め
てよい。
【0132】
図示の実施形態において、第1スイッチS
1は、電池電圧V
BATTに電気的に接続さ
れる第1端と、第2スイッチS
2の第1端に及びインダクタ1075の第1端に電気的に
接続される第2端とを含む。第2スイッチS
2はさらに、第1供給又はグランド供給V
G
NDに電気的に接続される第2端を含む。
図10が、グランド供給及び電池電圧を使用し
て電力が与えられるDC/DC変換器の構成を示すにもかかわらず、ここでの教示は、任
意の適切な電力供給を使用して電力が与えられるDC/DC変換器にも適用可能である。
インダクタ1075はさらに、第3スイッチS
3~第6スイッチS
6それぞれの第1端に
電気的に接続される第2端を含む。第3スイッチS
3はさらに、グランド供給V
GNDに
電気的に接続される第2端も含む。第4スイッチS
4、第5スイッチS
5及び第6スイッ
チS
6はそれぞれが、第1調節済み電圧V
MLS1、第2調節済み電圧V
MLS2及び第
3調節済み電圧V
MLS3それぞれを生成するべく構成される第2端を含む。
【0133】
第1スイッチS1~第6スイッチS6は、調節済み電圧を目標電圧レベルの特定の誤差
許容範囲内に維持するように選択的に開閉される。3つの調節済み電圧を有する一例が示
されるにもかかわらず、MLSDC/DC変換器1073は、これよりも多い又は少ない
調節済み電圧を生成するべく実装されてよい。
【0134】
図示の実施形態において、MLSDC/DC変換器1073は、電池電圧VBATTよ
りも大きな調節済みブースト電圧を生成するべく、及び/又は電池電圧VBATTよりも
小さな調節済みバック電圧を生成するべく動作可能なバック・ブースト変換器として動作
する。しかしながら、他の実装例も可能である。
【0135】
図11は、MLSDC/DC変換のためのタイミングの一例の模式的な図である。
図1
1に示されるように、調節サイクルの幅を、MLSDC/DC変換により生成される調節
済み電圧の電圧レベルを制御するべく使用することができる。例えば、一つのMLS調節
済み電圧を周期t1に関連付ける一方で、第2の調節電圧を異なる周期t2に関連付ける
ことができる。付加的に、異なる電圧レベル間のクローバー電流を回避するべく非重畳の
周期tovlpを使用することもできる。
【0136】
ここでの所定の実装例において、一以上の調節周期(例えばt1及び/又はt2)及び
/又は一以上の非重畳周期(例えばtovlop)はデジタル制御可能である。所定の実
装例において、遅延は、デジタル状態機械及び/又は他の適切な回路に基づいて制御され
る。
【0137】
MLSDC/DC変換によって生成される調節済み電圧は、変調器によって選択的に変
調器出力フィルタに与えることができる。図示の例において、変調器出力フィルタは、シ
ャントキャパシタC1及びC2と直列インダクタL1及び2とを含むように描かれる。し
かしながら、変調器出力フィルタの他の実装例も可能である。
【0138】
変調器出力フィルタを通るAC経路と当該変調器をバイパスするDC経路との双方を与
えることにより、効率を高めることができる。例えば、包絡線追跡システムをこの態様で
実装することにより、変調器の出力フィルタのインダクタ(例えばインダクタL1及び/
又はL2)に蓄積するエネルギーを低減させることができる。このエネルギーの低減によ
り、ひいては、フィルタへのオーバーシュート及び/又はMLSスイッチへの戻りクロー
バー電流が低下する。
【0139】
一実施形態において、MLSDC/DC変換器が、電力増幅器供給電圧を制御する変調
器のための2以上のMLS電圧と、当該変調器をバイパスするDC経路を通る電力増幅器
供給電圧を制御するDC電圧とを生成する。付加的に、DC電圧の調節は、MLS電圧の
調節とは異なる。例えば、調節のために使用される調節周期及び/又は非重畳周期は、D
C電圧とMLS電圧とで異なってよい。すなわち、パルス幅変調器(PWM)シーケンス
がDC経路とAC経路とで異なってよい。
【0140】
図12は、連続波信号のためのMLS包絡線追跡の一例の模式的な図である。示される
例は、約100MHzの周波数及び約10nsの対応周期を有する連続波信号のための例
である。当該信号のための適切なMLS電圧レベルの例が示される。
【0141】
図13は、様々な信号波形の包絡線周波数分布の一例の模式的な図である。信号波形の
各タイプに対し、グラフは、DC包絡線エネルギー、1MHz未満のAC包絡線エネルギ
ー、及び1MHz超過のAC包絡線エネルギーのパーセンテージを描く。変調器出力フィ
ルタを通るAC経路と当該変調器をバイパスするDC経路との双方を与えることにより、
様々なタイプのRF信号波形の効率が高められる。
【0142】
おわりに
【0143】
上述の実施形態のいくつかが、携帯デバイスに関連する例を与えてきた。しかしながら
、これらの実施形態の原理及び利点は、包絡線追跡を必要とする任意の他のシステム又は
装置のために使用することができる。
【0144】
文脈が明確にそうでないことを要求しない限り、明細書及び特許請求の範囲全体を通し
て、「含む」、「備える」等の用語は、排他的又は網羅的な意味とは逆の、包括的な意味
で、すなわち「~を含むがこれに限られない」意味で解釈されるべきである。ここで一般
に使用される用語「結合」は、2つ以上の要素が、直接に接続されるか、又は一以上の中
間要素を経由して接続されるかのいずれかとなり得ることを言及する。同様に、ここで一
般に使用される用語「接続」も、2つ以上の要素が、直接に接続されるか、又は一以上の
中間要素を経由して接続されるかのいずれかとなり得ることを言及する。加えて、本願に
おいて使用される場合、用語「ここで」、「上」、「下」、及び同様の意味の用語は、本
願全体を言及するものとし、本願のいずれか特定の部分を言及するわけではない。文脈上
許容される場合、単数又は複数の数を使用する上記の詳細な説明における用語は、それぞ
れ複数又は単数の数も含み得る。2つ以上の項目のリストを参照する「又は」及び「若し
くは」という用語は、その用語の以下の解釈、すなわち、リスト内の項目のいずれか、リ
スト内の項目のすべて、及びリスト内の項目の任意の組み合わせ、のすべてをカバーする
。
【0145】
さらに、具体的に記述されない限り、又は使用される文脈内でそうでないと理解されな
い限り、とりわけ「できる」、「し得る」、「してよい」、「かもしれない」、「例えば
」、「のような」投のようなここで使用される条件的言語は一般に、所定の実施形態が所
定の特徴、要素、及び/又は状態を含む一方で他の実施形態は含まないことを意図する。
すなわち、かかる条件的言語は一般に、特徴、要素及び/若しくは状態が、一以上の実施
形態に必要な任意の態様で存在すること、又は一以上の実施形態が、著者のインプット若
しくはプロンプトあり若しくはなしで、これらの特徴、要素及び/若しくは状態が含まれ
るか否か、若しくは任意の特定の実施形態において行われるべきか否かを決定する論理を
必ず含むこと、を含意することが意図されていない。
【0146】
本発明の実施形態の上記説明は、網羅的であることを意図したものではなく、又は上記
開示の正確な形態に本発明を限定することを意図したものでもない。本発明の特定の実施
形態及び例は、説明目的のために上述されているが、当業者が認識するように、本発明の
範囲内で様々な等価な修正例が可能である。例えば、プロセス又はブロックが所与の順序
で提示される一方、代替の実施形態が異なる順序でステップを有するルーチンを実行し又
はブロックを有するシステムを用いることができ、いくつかのプロセス又はブロックは、
削除、移動、追加、細分化、結合及び/又は修正され得る。これらのプロセス又はブロッ
クはそれぞれが、様々な異なる態様で実装してよい。また、プロセス又はブロックは、直
列に実行されるように示されることがある一方、これらのプロセス又はブロックは、その
代わりに並列に実行されてもよく、又は異なる時刻に実行されてもよい。
【0147】
ここに与えられる本発明の教示は、必ずしも上述のシステムというわけではない他のシ
ステムに適用することができる。上述の様々な実施形態の要素及び作用は、さらなる実施
形態を与えるべく組み合わせてよい。
【0148】
本発明の所定の実施形態が記載されてきたが、これらの実施形態は例としてのみ提示さ
れており、本開示の範囲を限定することを意図しない。実際のところ、ここに記載される
新規な方法及びシステムは、様々な他の形式で具体化してよく、さらには、ここに記載さ
れる方法及びシステムの形式の様々な省略、置換及び変更を、本開示の要旨から逸脱する
ことなく行ってよい。添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物は、本開示の範囲及び要
旨に収まるような形式又は修正をカバーすることが意図される。