(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-17
(45)【発行日】2025-01-27
(54)【発明の名称】係数復号方法、装置、画像デコーダ、及び電子デバイス
(51)【国際特許分類】
H04N 19/13 20140101AFI20250120BHJP
H04N 19/136 20140101ALI20250120BHJP
H04N 19/18 20140101ALI20250120BHJP
H04N 19/91 20140101ALI20250120BHJP
H04N 1/415 20060101ALI20250120BHJP
【FI】
H04N19/13
H04N19/136
H04N19/18
H04N19/91
H04N1/415
(21)【出願番号】P 2024543252
(86)(22)【出願日】2023-01-05
(86)【国際出願番号】 CN2023070728
(87)【国際公開番号】W WO2023138391
(87)【国際公開日】2023-07-27
【審査請求日】2024-07-19
(31)【優先権主張番号】202210062532.2
(32)【優先日】2022-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508219313
【氏名又は名称】杭州海康威視数字技術股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】潘 冬萍
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ ▲ユ▼程
(72)【発明者】
【氏名】曹 小▲強▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 方▲棟▼
【審査官】久保 光宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-532624(JP,A)
【文献】小野 定康(外1名),「わかりやすい JPEG/MPEG2の実現法」,第1版,日本,株式会社オーム社,1995年07月15日,第46~62頁,ISBN: 4-274-07819-1.
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N19/00-19/98
H04N1/41-419
CSDB(日本国特許庁)
学術文献等データベース(日本国特許庁)
IEEEXplore(IEEE)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビットストリームを解析して復号すべきユニットの係数グループ情報を取得するステップであって、前記復号すべきユニットの係数は少なくとも1つの係数グループに分割され、各係数グループは少なくとも1つの係数符号を含み、同一の係数グループにおける係数符号は同じ符号化長の固定長符号であり、前記少なくとも1つの係数グループは第1の係数グループを含み、前記係数グループ情報は前記第1の係数グループの境界シンボルを含む、ステップと、
前記第1の係数グループの係数符号を係数値に解析するステップと、
前記境界シンボルに基づいて前記第1の係数グループにおける係数値が正の値又は負の値であると決定するステップと、を含
み、
前記境界シンボルに基づいて前記第1の係数グループにおける係数値が正の値又は負の値であると決定するステップは、
前記第1の係数グループに絶対極値が存在する場合、前記境界シンボルに基づいて、前記第1の係数グループにおける、係数値の絶対値が前記絶対極値に等しい係数のシンボルが全て正又は全て負であると決定するステップを含み、前記絶対極値は、前記符号化長の固定長符号値範囲の最大絶対値である、
ことを特徴とする係数復号方法。
【請求項2】
前記係数グループ情報は、前記第1の係数グループの符号化長と画像ビット幅とをさらに含み、前記符号化長は、前記第1の係数グループに対応する固定長符号の長さを表すために用いられ、前記第1の係数グループの係数符号を係数値に解析するステップは、
前記符号化長が前記画像ビット幅以上である場合、前記画像ビット幅と同じ長さの固定長符号を用いて、前記第1の係数グループの係数符号を係数値に解析するステップと、
前記符号化長が前記画像ビット幅より小さい場合、長さが前記符号化長の固定長符号を用いて、前記第1の係数グループの係数符号を係数値に解析するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の係数復号方法。
【請求項3】
前記第1の係数グループは1つ又は複数の係数ブロックを含み、前記境界シンボルは各前記係数ブロックの境界シンボルを含み、前記境界シンボルに基づいて前記第1の係数グループにおける係数値が正の値又は負の値であると決定するステップは、
いずれかの係数ブロックについて、前記係数ブロックに絶対極値が存在する場合、前記係数ブロックの境界シンボルに基づいて、前記係数ブロックにおける、係数値の絶対値が前記絶対極値に等しい係数のシンボルが全て正又は全て負であると決定するステップを含む、
ことを特徴とする請求項
1に記載の係数復号方法。
【請求項4】
前記第1の係数グループにおける係数は、残差係数、変換係数、又はオリジナル画素値である、
ことを特徴とする請求項
1に記載の係数復号方法。
【請求項5】
前記ビットストリームに基づいて前記復号すべきユニットのグループ化方式を決定するステップと、
前記ビットストリームから現在の符号化ユニットの予測モードを取得し、前記予測モードに基づいて走査方式を導出するステップと、
前記走査方式に基づいて前記復号すべきユニットを走査して走査結果を取得するステップと、
前記グループ化方式に基づいて前記走査結果から前記第1の係数グループを抽出するステップと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項
4に記載の係数復号方法。
【請求項6】
ビットストリームを解析して復号すべきユニットの係数グループ情報を取得するための解析モジュールであって、前記復号すべきユニットの係数は少なくとも1つの係数グループに分割され、各係数グループは少なくとも1つの係数符号を含み、同一の係数グループにおける係数符号は同じ符号化長の固定長符号であり、前記少なくとも1つの係数グループは第1の係数グループを含み、前記係数グループ情報は前記第1の係数グループの境界シンボルを含む、解析モジュールと、
前記第1の係数グループの係数符号を係数値に解析するための復号モジュールと、を含み、
前記復号モジュールは、さらに、前記境界シンボルに基づいて前記第1の係数グループにおける係数値が正の値又は負の値であると決定するために用いら
れ、
前記復号モジュールが、前記境界シンボルに基づいて前記第1の係数グループにおける係数値が正の値又は負の値であると決定する時に、
前記第1の係数グループに絶対極値が存在する場合、前記境界シンボルに基づいて、前記第1の係数グループにおける、係数値の絶対値が前記絶対極値に等しい係数のシンボルが全て正又は全て負であると決定するために用いられ、前記絶対極値は、前記符号化長の固定長符号値範囲の最大絶対値である、
ことを特徴とする係数復号装置。
【請求項7】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の係数復号方法を実行するために用いられる、
ことを特徴とする画像デコーダ。
【請求項8】
画像デコーダと、通信インタフェースと、メモリとを含む電子デバイスであって、前記画像デコーダは、動作を実行するために用いられ、前記動作は、
ビットストリームを解析して復号すべきユニットの係数グループ情報を取得するステップであって、前記復号すべきユニットの係数は少なくとも1つの係数グループに分割され、各係数グループは少なくとも1つの係数符号を含み、同一の係数グループにおける係数符号は同じ符号化長の固定長符号であり、前記少なくとも1つの係数グループは第1の係数グループを含み、前記係数グループ情報は前記第1の係数グループの境界シンボルを含む、ステップと、
前記第1の係数グループの係数符号を係数値に解析するステップと、
前記境界シンボルに基づいて前記第1の係数グループにおける係数値が正の値又は負の値であると決定するステップと、を含
み、
前記境界シンボルに基づいて前記第1の係数グループにおける係数値が正の値又は負の値であると決定するステップは、
前記第1の係数グループに絶対極値が存在する場合、前記境界シンボルに基づいて、前記第1の係数グループにおける、係数値の絶対値が前記絶対極値に等しい係数のシンボルが全て正又は全て負であると決定するステップを含み、前記絶対極値は、前記符号化長の固定長符号値範囲の最大絶対値である、
ことを特徴とする電子デバイス。
【請求項9】
前記係数グループ情報は、前記第1の係数グループの符号化長と画像ビット幅とをさらに含み、前記符号化長は、前記第1の係数グループに対応する固定長符号の長さを表すために用いられ、前記第1の係数グループの係数符号を係数値に解析するステップは、
前記符号化長が前記画像ビット幅以上である場合、前記画像ビット幅と同じ長さの固定長符号を用いて、前記第1の係数グループの係数符号を係数値に解析するステップと、
前記符号化長が前記画像ビット幅より小さい場合、長さが前記符号化長の固定長符号を用いて、前記第1の係数グループの係数符号を係数値に解析するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項
8に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記第1の係数グループは
1つ又は複数の係数ブロックを含み、前記境界シンボルは各前記係数ブロックの境界シンボルを含み、前記境界シンボルに基づいて前記第1の係数グループにおける係数値が正の値又は負の値であると決定するステップは、
いずれかの係数ブロックについて、前記係数ブロックに絶対極値が存在する場合、前記係数ブロックの境界シンボルに基づいて、前記係数ブロックにおける、係数値の絶対値が前記絶対極値に等しい係数のシンボルが全て正又は全て負であると決定するステップを含む、
ことを特徴とする請求項
8に記載の電子デバイス。
【請求項11】
前記第1の係数グループにおける係数は、残差係数、変換係数、又はオリジナル画素値である、
ことを特徴とする請求項
8に記載の電子デバイス。
【請求項12】
前記動作は、
前記ビットストリームに基づいて前記復号すべきユニットのグループ化方式を決定するステップと、
前記ビットストリームから現在の符号化ユニットの予測モードを取得し、前記予測モードに基づいて走査方式を導出するステップと、
前記走査方式に基づいて前記復号すべきユニットを走査して走査結果を取得するステップと、
前記グループ化方式に基づいて前記走査結果から前記第1の係数グループを抽出するステップと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項
11に記載の電子デバイス。
【請求項13】
コンピュータ命令を含むコンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ命令が電子デバイス上で実行されると、前記電子デバイスに、請求項1~
5のいずれか1項に記載の係数復号方法を実行させる、
ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、画像符号化及び復号の技術分野に関し、特に、係数復号方法、装置、画像デコーダ、及び電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ロスレス(Lossless)圧縮とは、オリジナル画像における冗長情報を圧縮し、歪みを生じさせずにオリジナル画像を再構成する技術のことである。再構成された画像とオリジナル画像との間に誤差があるが、その誤差が一定の範囲内に収まる場合、ニアロスレス(near lossless)圧縮と呼ぶことができる。圧縮符号化プロセスでは、オリジナル画像内の画素間の残差値が予測され、残差値は画素間の差を示すために用いられる。半固定長符号(Semi Fixed-Length Code)は、残差値を符号化して符号化長(coding length)をさらに低減するために用いられる。しかしながら、既存の半固定長符号技術には、依然として符号化長が長く、符号化効率が低いという問題がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明の実施例は、画像復号性能を向上させることができる係数復号方法、装置、画像デコーダ、及び電子デバイスを提供する。
【0004】
上記目的を達成するために、本発明の実施例は以下の技術案を採用する。
【0005】
第1の態様において、本発明の実施例は、ビットストリームを解析して復号すべきユニットの係数グループ情報を取得するステップであって、復号すべきユニットの係数は1つ又は複数の係数グループに分割され、各係数グループは少なくとも1つの係数符号を含み、同一の係数グループにおける係数符号は同じ符号化長の固定長符号であり、少なくとも1つの係数グループは第1の係数グループを含み、係数グループ情報は第1の係数グループの境界シンボルを含む、ステップと、第1の係数グループの係数符号を係数値に解析するステップと、境界シンボルに基づいて第1の係数グループにおける係数値が正の値又は負の値であると決定するステップと、を含む係数復号方法を提供する。
【0006】
本発明の実施例によって提供される係数復号方法では、従来技術と比較して、境界シンボルを導入しない固定長符号の復号範囲は[0,2^bit_depth-1]であり、境界シンボルを導入して該係数グループの係数符号を固定長復号する場合、該係数グループの境界シンボルに基づいて該係数グループの正負を決定し、固定長符号の解析範囲を[0,2^bit_depth-1]から[-2^(coding length-1)-1,2^(coding length-1)]に変更し、係数グループに係数値2^bit_depth-1が存在する場合に該係数グループに対応する符号化長を長くする必要がなく、符号化及び復号効率を向上させる。
【0007】
1つの可能な実現形態では、係数グループ情報は、第1の係数グループの符号化長と画像ビット幅とをさらに含み、符号化長は、第1の係数グループに対応する固定長符号の長さを表すために用いられ、第1の係数グループの係数符号を係数値に解析するステップは、符号化長が画像ビット幅以上である場合、画像ビット幅と同じ長さの固定長符号を用いて、第1の係数グループの係数符号を係数値に解析するステップと、符号化長が画像ビット幅より小さい場合、長さが符号化長の固定長符号を用いて、第1の係数グループの係数符号を係数値に解析するステップと、を含む。
【0008】
係数グループに対応する画像ビット幅は、該係数グループにおける係数値の範囲を表すために用いられ、該係数グループに対応する予め設定された符号化長を持つ固定長符号と該係数グループにおける係数値の解析範囲とに基づいて、該係数グループに対応する固定長符号と係数値の解析範囲とを決定し、判断方式の正確性を保証する。係数グループに対応する画像ビット幅は、ビットストリームを解析することによって取得することができ、簡単且つ迅速に判断に必要なデータを抽出することができ、判断効率を向上させる。2つの場合には符号化長が異なる固定長符号を用いて係数符号を解析することにより、復号効率を向上させる。
【0009】
1つの可能な実現形態では、係数グループの符号化長は、係数グループ符号化長と係数ビット符号化長とを含み、係数ビット符号化長は、第1の係数グループにおける特定の位置の係数符号に対応する固定長符号の長さを表すために用いられ、ここで、特定の位置は、符号化と復号の一致性に基づいて取得されるか、コンテキストから導出される。長さが符号化長の固定長符号を用いて、前記第1の係数グループの係数符号を係数値に解析するステップは、長さが係数ビット符号化長の固定長符号を用いて第1の係数グループにおける特定の位置の係数符号を係数値に解析するステップと、長さが係数グループ符号化長の固定長符号を用いて第1の係数グループにおける特定の位置以外の係数符号を係数値に解析するステップと、を含む。係数が不均一に分布している場合、いくつかの特定の位置の係数符号について、同一の係数グループにおける係数符号を、長さが異なる固定長符号を用いて解析することにより、係数グループにおけるいくつかの特定の位置の係数符号と他の位置の係数符号との差が大きいために係数グループの全体の符号化長が長くなることを回避し、復号効率を向上させる。
【0010】
1つの可能な実現形態では、符号ソート中に、係数値の大きさに基づいて対応する符号化長が同じ又は近い係数符号を同一の係数グループに入れるため、同一の係数グループにおける係数値に符号化長に対応する固定長符号の解析極値が存在する場合、同一の係数グループにおける他の係数値及び解析極値はいずれも正又はいずれも負である。従って、第1の係数グループに絶対極値が存在する場合、境界シンボルに基づいて、係数グループにおける全ての係数値が全て正の値又は全て負の値であると決定し、絶対極値は該係数グループに対応する符号化長の固定長符号の符号値範囲の最大絶対値である。同一の係数グループは1つの境界シンボルを用いて係数の正負を表すことにより、符号化効率を向上させる。
【0011】
1つの可能な実現形態では、同一の係数グループを複数の係数ブロックに分割し、いずれかの係数ブロックに絶対極値が存在する場合、該いずれかの係数ブロックの境界シンボルに基づいて、該いずれかの係数ブロックにおける全ての係数値が全て正又は全て負であると決定する。係数値の正負に対する境界シンボルの指示精度をさらに向上させる。
【0012】
1つの可能な実現形態では、符号化プロセスにおいて、予測値及び残差値が量子化される場合は、予測値及び残差値が係数変換された後に量子化される場合と比較して、画像伝送品質及び符号化復号効率が同じ又はより良好である場合、係数変換のステップを行わずに、予測値及び残差値を量子化して残差係数を取得する。
【0013】
従って、復号デバイスがビットストリームを解析することによって取得される復号すべきユニットにおける係数符号は、残差係数の半固定長符号結果、又は変換係数の半固定長符号結果であり得る。上記いずれかの実現形態における係数復号方法は、残差係数又は変換係数の復号に適用することができ、該係数復号方法の適用性を向上させる。
【0014】
1つの可能な実現形態では、変換係数に含まれる直流係数グループ及び交流係数グループは、それぞれ異なる係数グループに分割される。係数グループ情報において、各係数グループの符号化長は符号化長符号の形式であり、係数グループ情報において、境界シンボルは境界シンボル符号の形式である。係数グループにおける係数が変換係数であり、且つ該係数グループが直流係数グループである場合、直流係数復号方式(例えば、固定長符号)を用いて係数グループの符号化長符号を解析して該係数グループに対応する符号化長を取得し、長さが該係数グループに対応する符号化長の固定長符号を用いて係数グループの境界シンボル符号を解析して境界シンボルを取得する。別の例では、係数グループにおける係数が変換係数であり、且つ該係数グループが直流係数グループである場合、固定長符号を用いて係数グループの符号化長符号を解析して該係数グループに対応する符号化長を取得し、長さが該係数グループに対応する符号化長の固定長符号を用いて直流係数値を解析し、固定の符号化長1を用いて係数グループの境界シンボル符号を解析して境界シンボルを取得してもよい。
【0015】
1つの可能な実現形態では、係数グループにおける係数が変換係数であり、且つ係数グループが交流係数グループである場合、固定長復号方式を用いて該係数グループに対応する符号化長符号を解析して該係数グループに対応する符号化長を取得し、長さが該係数グループに対応する符号化長の固定長符号を用いて係数グループの境界シンボル符号を解析して境界シンボルを取得する。
【0016】
残差値と予測値に対して係数変換を行う際に直流係数と交流係数が生じるため、直流係数と交流係数に対してそれぞれ係数グループ分割を行う場合、直流係数復号方式を用いて直流係数グループの符号化長符号を解析し、固定長復号方式を用いて交流係数グループの符号化長符号を解析することにより、直流係数と交流係数に対してそれぞれ係数符号化及び復号を行うことができ、同一の係数グループにおける係数値の差が大きく、符号化及び解析を行うために符号化長の長い固定長符号を用いる必要があるという問題を回避し、復号効率を向上させる。
【0017】
1つの可能な実現形態では、復号すべきユニットにおける第1の係数グループの決定は、ビットストリームから復号すべきユニットの走査方式及びグループ化方式を決定するステップと、走査方式に基づいて復号すべきユニットを走査して走査結果を取得するステップと、グループ化方式に基づいて走査結果を1つ又は複数の係数グループに分割するステップと、を含み、第1の係数グループは1つ又は複数の係数グループのうちのいずれかの係数グループである。
【0018】
符号化及び復号プロセスにおいて、復号は、符号化の逆ステップであってもよく、符号化側及び復号側によって使用される走査方式、グループ化方式、固定長符号などは、いずれも同じであることが予め合意されており、符号化と復号の一致性に従う。半固定長符号化の際に、1つの走査方式及びグループ化方式を用いて残差係数又は変換係数をソートしてグループ化し、符号化長が異なる固定長符号で符号化される係数値をそれぞれ異なるグループに設定する場合、ビットストリームで該走査方式及びグループ化方式を復号デバイスに伝送し、復号デバイスは、該走査方式及びグループ化方式によって決定される係数グループに基づいて同じ符号化長の固定長符号を用いることにより、符号化と復号の一致性を保証し、符号化及び復号の正確性を保証する。
【0019】
1つの可能な実現形態では、係数グループ情報は、各係数グループの符号化長閾値と係数付加値とを含み、係数グループに対応する符号化長が該係数グループの符号化長閾値より大きい場合、固定長復号方式によって係数値を取得した後、係数値に係数グループの係数付加値を加算して該係数グループの係数値を取得するステップをさらに含む。
【0020】
復号デバイスは、符号化長閾値に基づいて、係数グループが符号化される時、係数グループにおける全ての係数値から同一の係数付加値が減算されたか否かを判断し、復号側で係数グループにおける値を復号した後に係数付加値を加算して、係数グループにおける係数値を復元することができ、符号化デバイスは、予め設定された平均値を復号デバイスに伝送し、復号デバイスは、係数付加値に基づいて係数値を復元することにより、係数グループにおける元の大きい係数値に対応する長い符号を伝送することを回避し、符号化及び復号効率を向上させる。
【0021】
1つの可能な実現形態では、係数グループ情報は、極値の正負を表すための符号ビットに加えて、各係数グループの係数補償値をさらに含んでもよい。係数補償値は、係数グループにおける極値を補償するために用いられる。境界シンボルに基づいて係数グループにおける係数値が正の値又は負の値であると決定した後、係数値における絶対極値に係数補償値を加算して、該係数グループにおける絶対極値位置の係数値を取得するステップをさらに含む。短い符号化長で極値と係数補償値との和の解析範囲を取得することにより、符号化及び復号効率を向上させる。
【0022】
1つの可能な実現形態では、係数グループが複数の係数ブロックに分割され、各係数グループの係数補償値が該係数グループにおける全ての係数ブロックの係数補償値を含み、境界シンボルに基づいて係数グループにおける係数値が正の値又は負の値であると決定した後、各係数ブロックにおける絶対極値に同一の係数ブロックの係数補償値を加算して、各係数ブロックの絶対極値位置の係数値を取得するステップをさらに含む。係数補償値が各係数ブロックにおける極値を補償することができるようにすることにより、符号化効率をさらに向上させる。
【0023】
第2の態様において、本発明の実施例は、ビットストリームを解析して復号すべきユニットの係数グループ情報を取得するステップであって、前記復号すべきユニットの係数は少なくとも1つの係数グループに分割され、各係数グループは少なくとも1つの係数符号を含み、同一の係数グループにおける係数符号は同じ符号化長の固定長符号であり、前記少なくとも1つの係数グループは第1の係数グループを含み、前記係数グループ情報は前記第1の係数グループの境界シンボル、符号化長、及び画像ビット幅を含み、前記符号化長は、前記第1の係数グループに対応する固定長符号の長さを表すために用いられる、ステップと、前記第1の係数グループの係数符号を係数値に解析するステップであって、前記符号化長が前記画像ビット幅以上である場合、前記画像ビット幅と同じ長さの固定長符号を用いて、前記第1の係数グループの係数符号を係数値に解析し、前記符号化長が前記画像ビット幅より小さい場合、長さが前記符号化長の固定長符号を用いて、前記第1の係数グループの係数符号を係数値に解析する、ステップと、前記境界シンボルに基づいて前記第1の係数グループにおける係数値が正の値又は負の値であると決定するステップと、を含む係数復号方法を提供する。
【0024】
1つの可能な実現形態では、前記境界シンボルに基づいて前記第1の係数グループにおける係数値が正の値又は負の値であると決定するステップは、前記第1の係数グループに絶対極値が存在する場合、前記境界シンボルに基づいて、前記第1の係数グループにおける、係数値の絶対値が前記絶対極値に等しい係数のシンボルが全て正又は全て負であると決定するステップを含み、前記絶対極値は、前記符号化長の固定長符号値範囲の最大絶対値である。
【0025】
1つの可能な実現形態では、前記第1の係数グループは1つ又は複数の係数ブロックを含み、前記境界シンボルに基づいて前記第1の係数グループにおける係数値が正の値又は負の値であると決定するステップは、いずれかの係数ブロックについて、前記係数ブロックに絶対極値が存在する場合、前記係数ブロックの境界シンボルに基づいて、前記係数ブロックにおける、係数値の絶対値が前記絶対極値に等しい係数のシンボルが全て正又は全て負であると決定するステップを含む。
【0026】
1つの可能な実現形態では、前記第1の係数グループにおける係数は、残差係数、変換係数、又はオリジナル画素値である。
【0027】
1つの可能な実現形態では、前記方法は、固定の符号化長1を用いて前記ビットストリームを解析して前記境界シンボルを取得するステップをさらに含む。
【0028】
第3の態様において、本発明の実施例は、ビットストリームを解析して復号すべきユニットの係数グループ情報、前記復号すべきユニットのグループ化方式、及び前記復号すべきユニットの予測モードを取得するステップであって、前記復号すべきユニットの係数は少なくとも1つの係数グループに分割され、各係数グループは少なくとも1つの係数符号を含み、同一の係数グループにおける係数符号は同じ符号化長の固定長符号であり、前記少なくとも1つの係数グループは第1の係数グループを含み、前記係数グループ情報は前記第1の係数グループの境界シンボルを含む、ステップと、前記予測モードに基づいて走査方式を導出し、前記走査方式に基づいて前記復号すべきユニットを走査して走査結果を取得し、前記グループ化方式に基づいて前記走査結果から前記第1の係数グループを抽出するステップであって、前記予測モードがポイントバイポイント予測モードである場合、前記走査方式は垂直方向優先の走査方式であり、前記垂直方向優先の走査方式はまず上から下へ、次に左から右への走査方式である、ステップと、前記第1の係数グループの係数符号を係数値に解析するステップと、前記境界シンボルに基づいて前記第1の係数グループにおける係数値が正の値又は負の値であると決定するステップと、を含む係数復号方法を提供する。
【0029】
1つの可能な実現形態では、前記境界シンボルに基づいて前記第1の係数グループにおける係数値が正の値又は負の値であると決定するステップは、前記第1の係数グループに絶対極値が存在する場合、前記境界シンボルに基づいて、前記第1の係数グループにおける、係数値の絶対値が前記絶対極値に等しい係数のシンボルが全て正又は全て負であると決定するステップを含み、前記絶対極値は、前記符号化長の固定長符号値範囲の最大絶対値である。
【0030】
1つの可能な実現形態では、前記第1の係数グループは1つ又は複数の係数ブロックを含み、前記境界シンボルに基づいて前記第1の係数グループにおける係数値が正の値又は負の値であると決定するステップは、いずれかの係数ブロックについて、前記係数ブロックに絶対極値が存在する場合、前記係数ブロックの境界シンボルに基づいて、前記係数ブロックにおける、係数値の絶対値が前記絶対極値に等しい係数のシンボルが全て正又は全て負であると決定するステップを含む。
【0031】
1つの可能な実現形態では、前記第1の係数グループにおける係数は、残差係数、変換係数、又はオリジナル画素値である。
【0032】
1つの可能な実現形態では、前記方法は、固定の符号化長1を用いて前記ビットストリームを解析して前記境界シンボルを取得するステップをさらに含む。
【0033】
第4の態様において、本発明の実施例は、解析モジュールと復号モジュールとを含む係数復号装置を提供し、解析モジュールは、ビットストリームを解析して復号すべきユニットの係数グループ情報を取得するために用いられ、復号すべきユニットの係数は1つ又は複数の係数グループに分割され、各係数グループは少なくとも1つの係数符号を含み、同一の係数グループにおける係数符号は同じ符号化長の固定長符号であり、少なくとも1つの係数グループは第1の係数グループを含み、係数グループ情報は第1の係数グループの境界シンボルを含む。復号モジュールは、第1の係数グループの係数符号を係数値に解析するために用いられ、さらに、境界シンボルに基づいて前記第1の係数グループにおける係数値が正の値又は負の値であると決定するために用いられる。
【0034】
第5の態様において、本発明の実施例は、ビットストリームを解析して復号すべきユニットの係数グループ情報を取得するための解析モジュールであって、前記復号すべきユニットの係数は少なくとも1つの係数グループに分割され、各係数グループは少なくとも1つの係数符号を含み、同一の係数グループにおける係数符号は同じ符号化長の固定長符号であり、前記少なくとも1つの係数グループは第1の係数グループを含み、前記係数グループ情報は前記第1の係数グループの境界シンボル、符号化長、及び画像ビット幅を含み、前記符号化長は、前記第1の係数グループに対応する固定長符号の長さを表すために用いられる、解析モジュールと、前記第1の係数グループの係数符号を係数値に解析するための復号モジュールであって、前記符号化長が前記画像ビット幅以上である場合、前記画像ビット幅と同じ長さの固定長符号を用いて、前記第1の係数グループの係数符号を係数値に解析し、前記符号化長が前記画像ビット幅より小さい場合、長さが前記符号化長の固定長符号を用いて、前記第1の係数グループの係数符号を係数値に解析する、復号モジュールと、を含み、前記復号モジュールは、さらに、前記境界シンボルに基づいて前記第1の係数グループにおける係数値が正の値又は負の値であると決定するために用いられる、係数復号装置を提供する。
【0035】
第6の態様において、本発明の実施例は、ビットストリームを解析して復号すべきユニットの係数グループ情報、前記復号すべきユニットのグループ化方式、及び前記復号すべきユニットの予測モードを取得し、前記復号すべきユニットの係数は少なくとも1つの係数グループに分割され、各係数グループは少なくとも1つの係数符号を含み、同一の係数グループにおける係数符号は同じ符号化長の固定長符号であり、前記少なくとも1つの係数グループは第1の係数グループを含み、前記係数グループ情報は前記第1の係数グループの境界シンボルを含み、前記予測モードに基づいて走査方式を導出し、前記走査方式に基づいて前記復号すべきユニットを走査して走査結果を取得し、前記グループ化方式に基づいて前記走査結果から前記第1の係数グループを抽出するための解析モジュールであって、前記予測モードがポイントバイポイント予測モードである場合、前記走査方式は垂直方向優先の走査方式であり、前記垂直方向優先の走査方式はまず上から下へ、次に左から右への走査方式である、解析モジュールと、前記第1の係数グループの係数符号を係数値に解析するための復号モジュールと、を含み、前記復号モジュールは、さらに、前記境界シンボルに基づいて前記第1の係数グループにおける係数値が正の値又は負の値であると決定するために用いられる、係数復号装置を提供する。
【0036】
第7の態様において、本発明の実施例は、第1の態様、第2の態様、第3の態様、及びその可能な実現形態のいずれか1つに記載の係数復号方法を実行するための画像デコーダを提供する。
【0037】
第8の態様において、本発明の実施例は、画像デコーダと、通信インターフェースと、メモリとを含む電子デバイスであって、画像デコーダは、上記第1の態様、第2の態様、第3の態様、及びその可能な実現形態のいずれか1つに記載の係数復号方法を実行するために用いられる、電子デバイスを提供する。
【0038】
第9の態様において、本発明の実施例は、コンピュータ命令を含むコンピュータ可読記憶媒体であって、コンピュータ命令が電子デバイス上で実行されると、電子デバイスに、上記第1の態様、第2の態様、第3の態様、及びその可能な実現形態のいずれか1つに記載の係数復号方法を実行させる、コンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0039】
第10の態様において、本発明の実施例は、コンピュータ上で実行されると、第1の態様、第2の態様、第3の態様、及びその可能な実現形態のいずれか1つに記載の係数復号方法が実行される、コンピュータプログラム製品を提供する。
【0040】
第11の態様において、本発明の実施例は、メモリとプロセッサとを含む装置を提供する。メモリは、コンピュータ命令を記憶するために用いられる。プロセッサは、メモリから該コンピュータ命令を呼び出して実行することにより、電子デバイスに、第1の態様、第2の態様、第3の態様、及びその可能な実現形態のいずれか1つに記載の係数復号方法を実行させるために用いられる。
【0041】
第12の態様において、本発明の実施例は、画像符号化デバイスと画像復号デバイスとを含む画像符号化復号システムであって、画像復号デバイスは、画像符号化デバイスから画像ビットストリームを受信し、第1の態様、第2の態様、第3の態様、及びその可能な実現形態のいずれか1つに記載の係数復号方法を実行して画像ビットストリームに対して係数復号を行い、係数復号の結果に基づいて画像再構成を行い、復号された画像を得るために用いられる、画像符号化復号システムを提供する。
【0042】
なお、本発明の実施例の第2の態様~第12の態様の技術案及び対応する可能な実現形態によって得られる有益な効果については、第1の態様及びその対応する可能な実現形態について上述した技術的効果を参照することができるため、ここでは繰り返さない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明の実施例によって提供される符号化復号システムの概略アーキテクチャ図である。
【
図2】本発明の実施例によって提供されるエンコーダの例示的なブロック図である。
【
図3】本発明の実施例によって提供されるデコーダの例示的なブロック図である。
【
図4】本発明の実施例によって提供される符号化/復号の概略フローチャートである。
【
図5】本発明の実施例によって提供される係数符号化方法の概略図である。
【
図6】本発明の実施例によって提供される係数復号方法の概略図である。
【
図7】本発明の実施例によって提供される走査方式の概略
図1である。
【
図8】本発明の実施例によって提供されるグループ化方式の概略
図1である。
【
図9】本発明の実施例によって提供される走査方式の概略
図2である。
【
図10】本発明の実施例によって提供されるグループ化方式の概略
図2である。
【
図11】本発明の実施例によって提供される走査及びグループ化方式の概略
図1である。
【
図12】本発明の実施例によって提供される走査及びグループ化方式の概略
図2である。
【
図13】本発明の実施例によって提供される係数復号装置の概略構造図である。
【
図14】本発明の実施例によって提供される電子デバイスのハードウェア構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本明細書における用語「及び/又は」は、関連対象の関連関係を説明するためのものに過ぎず、3種類の関係が存在してもよいことを表し、例えば、A及び/又はBは、Aが単独で存在する場合、AとBが同時に存在する場合、Bが単独で存在する場合の3つの場合を表すことができる。
【0045】
本発明の実施例の明細書及び特許請求の範囲における用語「第1」及び「第2」などは、異なる対象を区別するためのものであり、対象の特定の順序を表すためのものではない。例えば、第1の予測モードと第2の予測モードなどは、異なる予測モードを区別するためのものであり、予測モードの特定の順序を表すためのものではない。
【0046】
本発明の実施例の説明において、「例示的」又は「例えば」などの用語は、例、例証、又は説明を表すために用いられる。本発明の実施例において「例示的」又は「例えば」で説明される任意の実施例又は設計案は、他の実施例又は設計案より好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。厳密に言えば、「例示的」又は「例えば」などの用語を使用することは、関連概念を具体的な方式で示すことを意図する。
【0047】
本発明の実施例の説明において、特に断らない限り、「複数」は2つ以上を意味する。例えば、複数の予測ユニットは、2つ以上の複数の予測ユニットを意味し、複数の符号化ブロックは、2つ以上の符号化ブロックを意味する。
【0048】
本発明の実施例によって提供される係数復号方法は、ビデオ復号、画像復号などに用いられてもよく、なお、予測値、残差値、又は係数値などに対して半固定長符号で符号化する方式が存在する限り、本発明において提供される係数復号方法は適用可能である。
【0049】
以下、従来の画像符号化復号技術及び半固定長符号技術について説明する。
【0050】
JPEG(Joint Photographic Experts Group)画像圧縮方式を例にとると、まず画像をRGB(Red-Green-Blue)フォーマットからYUV(Yは輝度、UとVは色度)フォーマットに変換する。次に、所定のサンプリングフォーマットに従ってYUVフォーマットの画像をサンプリングし、画像を複数のデータブロックに分割し、ここで、ソース画像における各点の3つの成分(Y、U、V)が交互に現れるため、まずこの3つの成分を分けて3つのテーブルに格納する必要がある。符号化時に、ソースデータから1つのデータブロックを読み取った後、離散コサイン変換(Discrete Cosine Transform、DCT)、量子化、及び符号化を行ってから、次のデータブロックを読み取って処理する。ここで、符号化は、2値化及びエントロピー符号化のステップを含んでもよい。ここで、2値化はバイナリ化とも呼ばれ、符号化する必要があるシンボル又は係数が2値化され、2値化されたシンボル又は係数はバイナリ文字列に変換される。異なる2値化方法で同じ係数を符号化することによって得られるバイナリ文字列は、異なるバイナリ確率モデル及び異なる文字列長を持つ可能性がある。エントロピー符号化とは、情報エントロピーの原理に従って行われるロスレス符号化方式であり、画像シーケンスを表すための一連の要素シンボルを、伝送又は記憶のためのバイナリビットストリームに変換し、エントロピー符号化後の出力データは、オリジナル画像の圧縮後の最終的なビットストリームである。DCT変換は、画像を時間領域信号から周波数領域に変換する。ほとんどの画像のエネルギーは主に低周波数領域に集中し、人間の目は低周波数に敏感であるため、量子化により高周波数係数をゼロにすることで、変換モジュールの基に画像符号化の動的範囲を小さくすることができる。高周波数領域の変換係数が除去され、ビットレートのオーバーヘッドが低減され、大きな歪みが生じない。ここで、残差値を残差ブロックに構成し、変換及び量子化後の残差ブロックの係数は変換係数と呼ばれる。
【0051】
なお、符号化と復号のプロセスは逆であり、例えば、符号化時に、画像に対して色域変換、サンプリング、DCT変換、量子化及び符号化を順に行うが、復号時に、受信したビットストリームに対して復号、逆量子化、逆離散コサイン変換を順に行う必要があり、そして逆離散コサイン変換の結果に対して逆サンプリング順に並べ、最後に画像データをYUVフォーマットからRGBフォーマットに変換する。
【0052】
ロスレス及びニアロスレスビデオ圧縮アルゴリズムにおいて、例えばJPEG画像圧縮方式を用いて符号化する場合、量子化のステップを実行した後、多くの場合、半固定長符号方式を用いて量子化されたデータを符号化し、符号化すべき係数を予測方向及び残差の大きさに基づいてグループ化し、各グループは1つの符号化長符号に対応し、同一のグループにおける係数を同じ符号化長の固定長符号で符号化する。
【0053】
例えば、1つのデータブロックを量子化して得られるデータは、(-4、-4、-3、-2、-1、0、1、2、3、7)を含む場合、それを(-1、0、1)、(-3、-2、2、3)、(-4、-4、7)に分割してもよい。ここで、(-1、0、1)に対応する符号化長符号の符号化長は2であり、(-3、-2、2、3)に対応する符号化長符号の符号化長は3であり、(-4、-4、7)に対応する符号化長符号の符号化長は4であり、又は、(-1、0、1)に対応する符号化長符号の符号化長は1であり、(-3、-2、2、3)に対応する符号化長符号の符号化長は2であり、(-4、-4、7)に対応する符号化長符号の符号化長は3であり、そして符号化長1を用いて各データのシンボルを符号化するか、符号化長1を用いて非ゼロデータのシンボルを符号化する。
【0054】
従来の半固定長符号を用いて、量子化されたグループ内のデータに対して固定長の固定長符号グループ化を行うことで、ある程度でロスレス符号化を行うことができるが、ある符号化長に対応するグループに該符号化長の固定長符号の解析範囲の極値が存在する場合、該係数グループの全ての符号化長を長くする必要があるため、このような符号の符号化長は依然として大きく、符号化性能をさらに向上させるために、本発明の実施例は係数復号方法を提供する。
【0055】
以下、本発明の実施例の係数復号方法が適用されるシステムアーキテクチャについて説明する。
図1を参照し、本発明の実施例が適用される符号化復号システム(符号化及び復号システムと呼ばれてもよい)10の概略アーキテクチャ図を示す。
図1に示すように、符号化復号システム10は、ソースデバイス11と宛先デバイス12とを含んでもよい。ソースデバイス11は、画像を符号化するために用いられるため、ソースデバイス11は、ビデオ符号化装置と呼ばれてもよい。宛先デバイス12は、ソースデバイス11によって生成された符号化済み画像データを復号するために用いられるため、宛先デバイス12は、ビデオ復号装置と呼ばれてもよい。
【0056】
ソースデバイス11及び宛先デバイス12は、例えば、デスクトップコンピュータ、モバイルコンピューティングデバイス、ノートブック(例えば、ラップトップ)コンピュータ、タブレットコンピュータ、セットトップボックス、携帯電話、テレビ、カメラ、表示装置、デジタルメディアプレーヤ、ビデオゲーム機、車載コンピュータ、無線通信デバイスなどを含む様々な装置を含んでもよい。
【0057】
一例では、
図1におけるソースデバイス11及び宛先デバイス12は、2つの別個のデバイスであってもよく、又は、ソースデバイス11及び宛先デバイス12は、同一のデバイスであってもよく、即ち、ソースデバイス11又はそれに対応する機能、及び宛先デバイス12又はそれに対応する機能は、同一のデバイスに統合されてもよい。
【0058】
ソースデバイス11と宛先デバイス12との間で通信が可能であり、例えば、宛先デバイス12はソースデバイス11から符号化済み画像データを受信することができる。一例では、ソースデバイス11と宛先デバイス12との間は、1つ又は複数の通信媒体を含んでもよく、1つ又は複数の通信媒体を介して符号化済み画像データを伝送し、該1つ又は複数の通信媒体は、ルータ、スイッチ、基地局、又はソースデバイス11から宛先デバイス12への通信を容易にする他のデバイスを含んでもよい。
【0059】
図1に示すように、ソースデバイス11は、エンコーダ112を含む。一例では、ソースデバイス11は、画像プリプロセッサ111と通信インタフェース113とをさらに含んでもよい。ここで、画像プリプロセッサ111は、受信した符号化すべき画像に対して前処理を実行するために用いられ、例えば、画像プリプロセッサ111が実行する前処理は、トリミング、色フォーマット変換(例えば、RGBフォーマットからYUVフォーマットに変換する)、調色、又はノイズ除去などを含んでもよい。エンコーダ112は、前処理済み画像を受信し、関連する予測モード(例えば、本明細書の各実施例における予測モード)を用いて前処理済み画像を処理して符号化済み画像データを提供するために用いられる。いくつかの実施例では、エンコーダ112は、以下に説明する各実施例における画像符号化プロセスを実行するために用いられてもよい。通信インタフェース113は、記憶又は直接再構成するために、符号化済み画像データを宛先デバイス12、又は任意の他のデバイス(例えばメモリ)に伝送するために用いられてもよく、他のデバイスは、復号又は記憶するための任意のデバイスであってもよい。通信インタフェース113は、符号化済み画像データを適切なフォーマットにカプセル化してから送信してもよい。
【0060】
一例では、上記画像プリプロセッサ111、エンコーダ112及び通信インタフェース113は、ソースデバイス11内のハードウェアコンポーネントであってもよいし、ソースデバイス11内のソフトウェアプログラムであってもよく、本発明の実施例はこれについて限定しない。
【0061】
図1に示すように、宛先デバイス12はデコーダ122を含む。一例では、宛先デバイス12は、通信インタフェース121と画像ポストプロセッサ123とをさらに含んでもよい。ここで、通信インタフェース121は、ソースデバイス11又は任意の他のソースデバイスから符号化済み画像データを受信するために用いられてもよく、該任意の他のソースデバイスは、例えば、記憶デバイスである。通信インタフェース121は、通信インタフェース113によって伝送されたデータをデカプセル化して符号化済み画像データを取得することもできる。デコーダ122は、符号化済み画像データを受信して復号済み画像データ(再構成済み画像データ又は再構成された画像データとも呼ばれる)を出力するために用いられる。いくつかの実施例では、デコーダ122は、以下に説明される各実施例における係数復号プロセスを実行するために用いられてもよい。
【0062】
画像ポストプロセッサ123は、復号済み画像データに対して後処理を実行して後処理済み画像データを取得するために用いられる。画像ポストプロセッサ123が実行する後処理は、色フォーマット変換(例えば、YUVフォーマットからRGBフォーマットに変換する)、調色、トリミング、又はリサンプリング、又は任意の他の処理を含んでもよく、表示するために後処理済み画像データを表示デバイスに伝送するために用いられてもよい。
【0063】
同様に、一例では、上記通信インタフェース121、デコーダ122及び画像ポストプロセッサ123は、宛先デバイス12内のハードウェアコンポーネントであってもよいし、宛先デバイス12内のソフトウェアプログラムであってもよく、本発明の実施例はこれについて限定しない。
【0064】
以下、
図1におけるエンコーダ及びデコーダの構造について簡単に説明する。
【0065】
図2を参照し、
図2は、本発明の実施例を実現するためのエンコーダ20の例の例示的なブロック図を示す。
図2において、エンコーダは、予測処理ユニット201、残差計算ユニット202、変換処理ユニット203、量子化ユニット204、符号化ユニット205を含む。一例では、エンコーダは、逆量子化ユニット、逆変換処理ユニット、再構成ユニット、及びフィルタユニットをさらに含む。一例では、エンコーダ20は、バッファと、復号済み画像バッファ(Decoded Picture Buffer、DPB)とをさらに含んでもよく、バッファは、再構成ユニットによって出力される再構成画像ブロックをバッファリングするために用いられ、復号済み画像バッファは、フィルタユニットによって出力されるフィルタリングされた画像ブロックをバッファリングするために用いられる。
【0066】
エンコーダ20の入力は、画像(符号化すべき画像と呼ばれてもよい)の画像ブロックであり、画像ブロックは、現在の画像ブロック又は符号化すべき画像ブロックと呼ばれてもよく、エンコーダ20は、符号化すべき画像を複数の画像ブロックに分割するための分割ユニット(
図2に示されていない)をさらに含んでもよい。エンコーダ20は、ブロックごとに符号化すべき画像を符号化するために用いられ、例えば、各画像ブロックに対して符号化プロセスを実行する。
【0067】
予測処理ユニット201は、画像ブロック(現在の符号化すべき画像の現在の符号化すべき画像ブロックであり、現在の画像ブロックと呼ばれてもよく、該画像ブロックは画像ブロックの真値として理解されてもよい)及び再構成された画像データを受信又は取得し、再構成された画像データにおける関連データに基づいて現在の画像ブロックを予測して現在の画像ブロックの予測ブロックを得るために用いられる。
【0068】
残差計算ユニット202は、画像ブロックの真値と該画像ブロックの予測ブロックとの残差を計算して残差ブロックを得るために用いられ、例えば、画素ごとに画像ブロックの画素値から予測ブロックの画素値を減算する。
【0069】
変換処理ユニット203は、残差ブロックに対して、例えば、離散コサイン変換や離散サイン変換(Discrete Sine Transform、DST)などの係数変換を行い、変換領域において変換係数を取得するために用いられる。なお、本実施例において、変換処理ユニット203は、残差ブロックに対して係数変換を行ってもよく、残差ブロックと変換係数との符号化効率の差が小さい場合、残差ブロックに対して係数変換を行わなくてもよい。
【0070】
量子化ユニット204は、スカラー量子化又はベクトル量子化を適用して変換係数を量子化して、量子化済み変換係数を取得するために用いられ、量子化済み変換係数は、量子化済み残差係数と呼ばれてもよい。量子化プロセスは、一部又は全部の変換係数に関するビット深度を低減することができる。例えば、例えば、量子化中にnビットの変換係数をmビットの変換係数に切り捨ててもよく、ここで、nはmより大きい。量子化の程度は、量子化パラメータ(Quantization Parameter、QP)を調整することで変更することができる。例えば、スカラー量子化の場合、異なるスケールを適用することで細かい量子化や粗い量子化を実現することができる。小さい量子化ステップは、細かい量子化に対応し、大きい量子化ステップは、粗い量子化に対応する。量子化パラメータで適切な量子化ステップを指示してもよい。
【0071】
符号化ユニット205は、上記量子化済み残差係数又は変換係数を符号化し、1つの走査方式及びグループ化方式で係数符号を復号すべきユニットに配列し、符号化ビットストリームの形式で符号化済み画像データ(即ち、復号すべきユニット)を出力するために用いられる。そして、符号化済みビットストリームをデコーダに伝送し、又は、後でデコーダに伝送、もしくは検索に用いるためにそれを記憶してもよい。符号化ユニット205は、さらに、予測モードをビットストリームに符号化するなど、現在の画像ブロックの他のシンタックス要素を符号化するために用いられてもよい。オプションとして、本実施例では、ユーナリ符号(unary code)、トランケーテッドユーナリ符号(truncated unary code)、トランケーテッドバイナリ符号(truncated binary code)、固定長符号、半固定長符号、ランレングス符号化(run-length coding)、k次指数ゴロム符号化(k-order exponential Golomb coding)、トランケーテッドライス符号化(truncated Rice coding)、ゴロム・ライス符号化(Golomb-Rice coding)、ハフマン符号化(Huffman coding)、算術符号化(arithmetic coding)、適応可変長符号化(adaptive variable length coding)などのうちの1つ又は複数を組み合わせた符号化方式を用いて、係数を符号化してもよい。
【0072】
具体的に、本発明の実施例では、エンコーダ20は、以下の実施例で説明される画像符号化方法を実施するために用いられる。
【0073】
図3を参照し、
図3は、本発明の実施例を実現するためのデコーダ30の例の例示的なブロック図を示す。デコーダ30は、例えば、エンコーダ20によって符号化された符号化済み画像データ(即ち、符号化済みビットストリーム、例えば、画像ブロックの符号化済みビットストリームと関連するシンタックス要素とを含む)を受信して、復号済み画像を取得するために用いられる。デコーダ30は、復号ユニット301、逆量子化ユニット302、逆変換処理ユニット303、予測処理ユニット304、再構成ユニット305、及びフィルタユニット306を含む。いくつかの例では、デコーダ30は、
図2のエンコーダ20について説明した符号化パスとほぼ逆の復号パスを実行してもよい。一例では、デコーダ30は、バッファ及び復号済み画像バッファをさらに含んでもよい。ここで、バッファは、再構成ユニット305によって出力される再構成画像ブロックをバッファリングするために用いられ、復号済み画像バッファは、フィルタユニット306によって出力されるフィルタリングされた画像ブロックをバッファリングするために用いられる。
【0074】
復号ユニット301は、符号化済み画像データに対して復号を実行して、量子化済み係数(例えば、残差係数又は変換係数)を取得するために用いられる。復号ユニット301は、さらに、予測処理ユニット304が符号化パラメータに基づいて予測プロセスを実行するように、上記復号済み符号化パラメータを予測処理ユニット304に転送するために用いられる。
【0075】
逆量子化ユニット302は、上記量子化済み係数を逆量子化して逆量子化済み係数を取得するために用いられ、該逆量子化は、上記量子化ユニット204の逆アプリケーションである。例えば、量子化ユニット204と同じ量子化ステップに基づいて又は用いて、量子化ユニット204が適用する量子化スキームの逆量子化スキームを適用する。逆量子化済み係数は、逆量子化済み残差係数又は逆量子化済み変換係数と呼ばれてもよい。
【0076】
逆変換処理ユニット303は、上記逆量子化済み係数を逆変換するために用いられ、なお、該逆変換は、上記変換処理ユニット203の逆アプリケーションであり、例えば、逆変換は、逆離散コサイン変換又は逆離散サイン変換を含んでもよく、それにより、画素領域(又はサンプル領域と呼ばれる)において逆変換ブロックを取得する。逆変換ブロックは逆変換逆量子化済みブロック又は逆変換残差ブロックと呼ばれてもよい。
【0077】
再構成ユニット305(例えば、加算器)は、上記量子化済み係数に対して逆変換(例えば、逆DCT、逆整数変換、又は概念的に類似した逆変換プロセス)を行って逆変換ブロック(逆変換残差ブロックと呼ばれてもよい)を得るために用いられ、該逆変換ブロックは、画素領域における現在の画像ブロックの残差ブロックである。
【0078】
予測処理ユニット304は、符号化済み画像データ(例えば、現在の画像ブロックの符号化済みビットストリーム)及び再構成された画像データを受信又は取得するために用いられ、予測処理ユニット304は、さらに、例えば、復号ユニット301から予測関連パラメータ及び/又は選択された予測モードに関する情報(即ち、復号済み符号化パラメータ)を受信又は取得し、再構成された画像データにおける関連するデータ及び復号済み符号化パラメータに基づいて、現在の画像ブロックを予測して現在の画像ブロックの予測ブロックを得てもよい。
【0079】
再構成ユニット305は、逆変換ブロック(即ち、逆変換残差ブロック)を予測ブロックに追加して、サンプル領域において再構成済みブロックを取得するために用いられ、例えば、逆変換残差ブロックのサンプル値を予測ブロックのサンプル値に加算する。
【0080】
フィルタユニット306は、再構成済みブロックをフィルタリングしてフィルタリング済みブロックを取得するために用いられ、該フィルタリング済みブロックは、復号済み画像ブロックである。
【0081】
具体的に、本発明の実施例では、復号ユニット301は、以下の実施例で説明される係数復号方法を実施するために用いられる。
【0082】
なお、本発明の実施例におけるエンコーダ20及びデコーダ30において、あるプロセスの処理結果は、次のプロセスに出力される前にさらに処理されてもよい。
【0083】
以下、
図1~
図3に示す符号化復号システム、エンコーダ及びデコーダに基づいて、本発明の実施例は、符号化/復号の可能な実現形態を提供し、
図4に示すように、
図4は、本発明の実施例によって提供される符号化/復号の概略フローチャートであり、該符号化/復号の実現形態は、プロセス(1)~(5)を含み、プロセス(1)~(5)は、上記ソースデバイス11、エンコーダ20、宛先デバイス12、又はデコーダ30のうちのいずれか1つ又は複数によって実行されてもよい。
【0084】
プロセス(1):1フレームの画像を1つ又は複数の互いに重ならない並列符号化ユニットに分割する。該1つ又は複数の並列符号化ユニットは、
図4に示す並列符号化ユニット1及び並列符号化ユニット2のように、互いに依存せず、完全に並列に/独立して符号化及び復号することができる。
【0085】
プロセス(2):各並列符号化ユニットについて、それをさらに1つ又は複数の互いに重ならない独立符号化ユニットに分割してもよく、各独立符号化ユニットは互いに依存しなくてもよいが、いくつかの並列符号化ユニットヘッダ情報を共有してもよい。
【0086】
例えば、独立符号化ユニットの幅はw_lcuであり、高さはh_lcuである。並列符号化ユニットが1つの独立符号化ユニットに分割される場合、独立符号化ユニットのサイズは並列符号化ユニットと完全に同じであり、そうでない場合、独立符号化ユニットの幅は高さより大きくなければならない(エッジ領域の場合を除く)。
【0087】
通常、独立符号化ユニットは、固定のw_lcu×h_lcuであってもよく、w_lcu及びh_lcuがいずれも2のN乗(N≧0)であり、例えば、独立符号化ユニットのサイズは、128×4、64×4、32×4、16×4、8×4、32×2、16×2又は8×2などである。
【0088】
1つの可能な例として、独立符号化ユニットは、固定の128×4であってもよい。並列符号化ユニットのサイズが256×8である場合、並列符号化ユニットを4つの独立符号化ユニットに均等に分割してもよく、並列符号化ユニットのサイズが288×10である場合、並列符号化ユニットは、第1/2行の2つの128×4+1つの32×4の独立符号化ユニット、及び第3行の2つの128×2+1つの32×2の独立符号化ユニットに分割される。
【0089】
なお、独立符号化ユニットは、輝度Y、色度Cb、色度Crの3つの成分、又は赤(R)、緑(G)、青(B)の3つの成分を含んでもよいし、これらの成分のうちのいずれか1つのみを含んでもよい。独立符号化ユニットが3つの成分を含む場合、これら3つの成分のサイズは完全に同じであってもよいし、異なってもよく、具体的には画像の入力フォーマットに関連する。
【0090】
プロセス(3):各独立符号化ユニットについて、それをさらに1つ又は複数の互いに重ならない符号化ユニットに分割してもよく、独立符号化ユニット内の各符号化ユニットは互いに依存してもよく、例えば、複数の符号化ユニットは、相互参照して事前符号化及び事前復号を行ってもよい。
【0091】
符号化ユニットと独立符号化ユニットとのサイズが同じである場合(即ち、独立符号化ユニットが1つの符号化ユニットのみに分割される場合)、そのサイズは、プロセス(2)に記載の全てのサイズであってもよい。
【0092】
独立符号化ユニットが互いに重ならない複数の符号化ユニットに分割される場合、その可能な分割例として、水平均等分割(符号化ユニットの高さが独立符号化ユニットと同じであるが、幅が異なり、その1/2、1/4、1/8、1/16などであってもよい)、垂直均等分割(符号化ユニットの幅が独立符号化ユニットと同じであるが、高さが異なり、その1/2、1/4、1/8、1/16などであってもよい)、水平及び垂直均等分割(四分木分割)などがあり、水平等分が好ましい。
【0093】
符号化ユニットの幅がw_cuであり、高さがh_cuである場合、その幅は高さより大きくなければならない(エッジ領域の場合を除く)。通常、符号化ユニットは、固定のw_cu×h_cuであってもよく、w_cu及びh_cuがいずれも2のN乗(Nは0以上)であり、例えば、16×4、8×4、16×2、8×2、8×1、4×1などである。
【0094】
1つの可能な例として、符号化ユニットは固定の16×4であってもよい。独立符号化ユニットのサイズが64×4である場合、独立符号化ユニットを4つの符号化ユニットに均等に分割してもよく、独立符号化ユニットのサイズが72×4である場合、4つの16x4+1つの8×4の符号化ユニットに分割される。
【0095】
なお、符号化ユニットは、輝度Y、色度Cb、色度Crの3つの成分(又は赤R、緑G、青Bの3つの成分)を含んでもよいし、これらの成分のうちのいずれか1つの成分のみを含んでもよい。3つの成分を含む場合、これらの成分のサイズは完全に同じであってもよいし、異なってもよく、具体的には画像の入力フォーマットに関連する。
【0096】
なお、プロセス(3)は、符号化/復号方法におけるオプション的なステップであり、エンコーダ/デコーダは、プロセス(2)で得られた独立符号化ユニットの残差係数(又は変換係数)に対して符号化/復号を行ってもよい。
【0097】
プロセス(4):符号化ユニットについて、それをさらに1つ又は複数の互いに重ならない予測グループ(Prediction Group、PG)に分割してもよく、PGをGroupと略称してもよく、各PGを選択された予測モードに従って符号化及び復号し、PGの予測値を取得して符号化ユニット全体の予測値を構成し、予測値及び符号化ユニットのオリジナル値に基づいて、符号化ユニットの残差値を取得する。
【0098】
ここで、プロセス(4)では、選択された走査方式によって符号化ユニットをグループ化し、走査方式は、ラスタ(raster)走査、ブロック走査、水平走査、垂直走査、往復(水平/垂直)走査、対角(左上、右上、左下、右下)走査、反対角線(anti-diagonal)走査、逆水平走査、逆垂直走査、又は1つの固定の走査テンプレートに基づいて走査するなどのうちのいずれか1つ又は複数を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0099】
プロセス(5):符号化ユニットの残差値に基づいて、符号化ユニットをグループ化し、1つ又は複数の互いに重ならない残差ブロック(Residual Block、RB)を取得し、各RBの残差係数又は変換係数を選択されたモードに従って符号化及び復号し、残差係数ストリーム又は変換係数ストリームを形成する。
【0100】
上記プロセス(5)における残差係数又は変換係数の符号化、復号方法の選定されたモードは、ユーナリ符号、トランケーテッドユーナリ符号、トランケーテッドバイナリ符号、固定長符号、半固定長符号、ランレングス符号化、k次指数ゴロム符号化、トランケーテッドライス符号化、ゴロム・ライス符号化、ハフマン符号化、算術符号化、適応可変長符号化などのうちのいずれか1つ又は複数を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0101】
例えば、エンコーダは、RB内の係数を直接符号化してもよい。
【0102】
別の例として、エンコーダは、残差ブロックに対してDCT、DST、Hadamard変換などの変換を行ってから、変換後の係数を符号化してもよい。
【0103】
1つの可能な例として、RBが比較的小さい場合、エンコーダは、直接にRB内の各係数に対して統一的な量子化を行ってから、2値符号化を行ってもよい。RBが比較的大きい場合、さらに複数の係数グループ(Coefficient Group、CG)に分割し、各CGに対して統一的な量子化を行ってから、2値符号化を行ってもよい。本発明のいくつかの実施例では、係数グループと量子化グループは同じであってもよい。
【0104】
以下、半固定長符号方式で残差係数の符号化の部分を例示的に説明する。まず、1つのRBブロック内の残差絶対値の最大値を修正最大値(modified maximum、mm)として定義する。次に、該RBブロック内の残差係数の符号化ビット数を決定する(同一のRBブロック内の残差係数の符号化ビット数は一致する)。例えば、現在のRBブロックの重要限界値(Critical Limit、CL)が2であり、現在の残差係数が1である場合、残差係数1を符号化するのに2ビットが必要であり、01と表してもよい。現在のRBブロックのCLが7である場合、これは、7bitの残差係数及び1bitの符号ビットを符号化することを表す。CLの決定は、現在のサブブロックの全ての残差が[-2^(coding length-1)-1,2^(coding length-1)]及び境界値の範囲内にあることを満たす最小のcoding length値を見つけることであり、境界値は、-2^(coding length-1)又は2^(coding length-1)であってもよい。現在のRBブロック内に絶対値が2^(coding length-1)である係数値が存在する場合、ビットストリームに1つの境界シンボル符号を追加し、即ち、境界シンボル符号により表される境界シンボルに基づいて現在のRBブロックにおける係数値2^(coding length-1)の正負を決定する必要があり、全ての残差に-2^(coding length-1)と2^(coding length-1)のいずれも存在しない場合、該境界シンボルビットを符号化する必要がない。係数グループに絶対値が2^(coding length-1)である係数値が存在する場合、1つの境界シンボル符号で該係数グループにおける全ての係数の正負を表すことができる。
【0105】
また、いくつかの特殊な場合について、エンコーダは、残差値ではなく、直接に画像のオリジナル値を符号化してもよい。
【0106】
なお、本発明の実施例における予測ユニットは、上記プロセス(3)で分割することで得られる符号化ユニットであってもよく、符号化ユニットをさらに分割した後の予測グループであってもよい。
【0107】
図1に示す符号化復号システム、
図2に示すエンコーダ、及び
図3に示すデコーダのフレームワークの概略図と併せて、以下、本発明における画像符号化方法及び係数復号方法について詳細に説明する。
【0108】
まず、本発明の実施例は、符号化ユニット205に適用可能な係数符号化方法を提供し、
図5に示すように、該係数符号化方法は、S501~S504を含んでもよい。
【0109】
S501:符号化ユニット205は、符号化すべきユニットの走査方式と最適グループ化方式とを決定する。
【0110】
上記符号化すべきユニットの走査方式及びグループ化方式は、符号化と復号の一致性における、符号化ユニット205と復号ユニット301の合意に基づいて取得されてもよい。
【0111】
最適グループ化方式は、各グループ化方式の符号化コストに基づいて決定してもよい。符号化コストは、レート歪み最適化(Rate Distortion Optimation)、レート歪みコスト(Rate Distortion Cost)最小化などの方式で計算することによって取得されてもよい。符号化コストが最も小さいグループ化方式は、最適グループ化方式であり、即ち、周波数が高い符号をできるだけ短くし、周波数が低い符号を長くする。オプションとして、最適グループ化方式は、符号化と復号の一致性における、符号化ユニット205と復号ユニット301の合意に基づいて取得されてもよく、又はコンテキストに基づいて復号ユニット301によって導出(符号化されたデータに基づいて導出、残差係数又は符号化されたパラメータに基づいて導出)されてもよく、又は符号化ユニット205によるパラメータ伝送で取得されてもよい。
【0112】
S502:符号化ユニット205は、最適グループ化方式に基づいて符号化すべきユニットを複数の係数グループに分割する。
【0113】
上記走査方式は、前述した符号化/復号の実現方式におけるプロセス(5)に挙げられたいずれかの走査方式を選択してもよく、ここでは説明を省略する。
【0114】
S503:符号化ユニット205は、各係数グループの係数グループ情報を決定する。
【0115】
オプションとして、係数グループ情報は、該係数グループに対応する符号化長と、境界シンボルと、画像ビット幅とを含んでもよく、該係数グループに対応する符号化長は、係数グループにおける係数符号が、長さが該符号化長の固定長符号で符号化されて得られたものであることを表すために用いられる。
【0116】
ここで、画像ビット幅(bit_depth)は、オリジナルデータ又は再構成データの最大ビットを表し、係数グループに対応する符号化長及び画像ビット幅に基づいて、該係数グループに該符号化長の固定長符号値範囲を超える係数値が存在するか否かを判断することができる。係数グループに該符号化長の固定長符号値範囲を超える係数値が存在しない場合、該係数グループに境界シンボルを設定する必要がなく、即ち、該係数グループの符号化範囲は[0,2^bit_depth-1]である。係数グループに該符号化長の固定長符号値範囲を超える係数値が存在する場合、該係数グループの符号化範囲が[-2^(coding length-1)-1,2^(coding length-1)]となるように、該係数グループに境界シンボルを設定する必要がある。
【0117】
オプションとして、1つの係数グループ内に境界シンボルが存在する場合、該係数グループについては、同一の境界シンボルを用いて係数グループ内の全ての係数値が同時に正又は同時に負であることを表してもよく、即ち、該係数グループは1つの境界シンボルを共有する。
【0118】
別の実施例では、ある係数グループ内に境界シンボルが存在する場合、該係数グループにおける、絶対値が絶対極値、即ち、2^(coding length-1)に等しい係数値については、同一の境界シンボルを用いてこれらの係数値が同時に正又は同時に負であることを表してもよく、即ち、これらの絶対値が2^(coding length-1)に等しい係数値は1つの境界シンボルを共有する。
【0119】
S504:符号化ユニット205は、各係数グループについて、係数グループに対応する符号化長の固定長符号に基づいて係数グループの係数値、符号化長、境界シンボル、及び画像ビット幅を符号化して係数固定長符号及び係数グループ情報を取得する。
【0120】
なお、係数符号化を行う際に、異なる予測モードに応じて、異なる走査方式が存在し、異なる走査方式に対して異なるグループ化方式が存在し、従って、異なる係数グループ化状況が存在するため、異なる係数符号化方法に対応する。従って、上記S501~S504の係数符号化方法に加えて、異なる係数グループ化状況に応じて上記S501~S504の係数符号化方法に対して1つ又は複数のステップの適応的な改良又は変更を行うことができ、係数符号化方法の具体的な実施形態についてここでは例示せず、以下の係数復号方法の具体的な実施例を参照して、符号化のステップを逆に推論することができる。
【0121】
図5に示す係数符号化方法について、符号化ユニット205は、係数符号化を完了した後、ビットストリームを復号ユニット301に伝送する。それに対応して、本発明の実施例は、復号ユニット301に適用される係数復号方法を提供し、
図6に示すように、該係数復号方法は、S601~S603を含んでもよい。
【0122】
S601:復号ユニット301は、ビットストリームを解析して復号すべきユニットと係数グループ情報とを取得する。
【0123】
上記復号すべきユニットは少なくとも1つの係数グループを含み、各係数グループは少なくとも1つの係数固定長符号を含み、係数グループ情報は各係数グループの境界シンボルを含み、各係数グループにおける係数符号は同じ符号化長の固定長符号で復号される。
【0124】
なお、ある係数グループを解析する前に、復号すべきユニットから該係数グループを抽出する必要があり、本実施例では、ビットストリームを解析して復号すべきユニットに対応する走査方式及びグループ化方式を取得し、該走査方式に基づいて復号すべきユニットを走査して走査結果を取得してもよく、該走査結果により復号すべきユニットは少なくとも1つの予測グループに分割される。そして、グループ化方式に基づいて走査結果を少なくとも1つの係数グループに分割し、その中から第1の係数グループを選択する。
【0125】
別の実施例では、ある係数グループを解析する前に、復号すべきユニットから該係数グループを抽出する必要があり、本実施例では、ビットストリームを解析して復号すべきユニットに対応するグループ化方式を取得し、ビットストリームから現在の符号化ユニットの予測モードを取得し、該予測モードに基づいて走査方式を導出し、該走査方式に基づいて復号すべきユニットを走査して走査結果を取得してもよく、該走査結果により復号すべきユニットは少なくとも1つの予測グループに分割される。そして、グループ化方式に基づいて走査結果を少なくとも1つの係数グループに分割し、その中から第1の係数グループを選択する。
【0126】
S602:第1の係数グループの係数符号を係数値に解析する。
【0127】
オプションとして、本実施例では、第1の係数グループの符号化長が該係数グループの画像ビット幅より小さいか否かに基づいて、符号化長が異なる固定長符号を選択して係数符号を解析してもよい。符号化長が画像ビット幅以上である場合、画像ビット幅と同じ長さの固定長符号を用いて、第1の係数グループの係数符号を係数値に解析する。符号化長が画像ビット幅より小さい場合、長さが符号化長の固定長符号を用いて、第1の係数グループの係数符号を係数値に解析する。
【0128】
上記第1の係数グループの符号化長、境界シンボル、及び画像ビット幅はいずれも係数グループ情報から取得することができ、ビットストリームで伝送される係数グループ情報において固定長符号形式、即ち符号化長符号、境界シンボル符号、及び画像ビット幅符号であってもよい。復号ユニット301は、固定長符号復号方式又は他の復号方式を用いて第1の係数グループの符号化長符号、境界シンボル符号、及び画像ビット幅符号を解析して、第1の係数グループの符号化長、境界シンボル、及び画像ビット幅を取得する。
【0129】
なお、本実施例では、S602の係数グループにおける係数符号を解析するプロセスに、係数グループにおける連続0値を解析するためにランレングス符号化方式を導入してもよく、その具体的な解析方式は従来のランレングス符号化方式と同じであるため、ここでは説明を省略する。同時に、係数スキップ方式を導入してもよく、例えば、ビットストリームを解析した結果、係数スキップモードがオンになっていると決定された場合、グループ全体について係数を符号化する必要がなく、復号ユニット301の再構成値はそのまま予測値に等しい。
【0130】
S603:境界シンボルに基づいて第1の係数グループにおける係数値が正の値又は負の値であると決定する。
【0131】
境界シンボルが使用されていない場合、第1の係数グループの、画像ビット幅と同じ長さの固定長符号の解析範囲は[0,2^bit_depth-1]である。境界シンボルが使用される場合、長さが第1の係数グループに対応する符号化長の固定長符号及び境界シンボルの解析範囲は[-2^(coding length-1)-1,2^(coding length-1)]である。
【0132】
さらに、第1の係数グループに絶対極値が存在する場合、即ち、第1の係数グループに絶対値が2^(coding length-1)に等しい係数値が存在する場合、第1の係数グループは1つの境界シンボルを共有してもよく、該境界シンボルにより第1の係数グループにおける全ての係数値の正負を表す。
【0133】
別の実施例では、解析された係数値が絶対極値に等しい場合、これらの係数は境界に位置する係数であり、そのシンボルは境界シンボルによって決定されてもよい。例えば、第1の係数グループに絶対極値が存在する場合、即ち、第1の係数グループに絶対値が2^(coding length-1)に等しい係数が存在する場合、これらの係数は1つの境界シンボルを共有してもよく、即ち、該境界シンボルにより絶対値が2^(coding length-1)に等しい係数の正負を表す。
【0134】
従来技術と比べて、本発明の実施例は、境界シンボルを導入する場合、半固定長符号の係数値の解析範囲を[0,2^bit_depth-1]から[-2^(coding length-1)-1,2^(coding length-1)]に変更し、全体の符号化長をさらに短縮し、符号化及び復号効率を向上させる。
【0135】
一例では、第1の係数グループはさらに複数の係数ブロックに分割されてもよく、異なる係数ブロックにおける係数符号は1つの境界シンボルを共有することができず、ビットストリームデータにおける境界シンボルは複数であってもよく、即ち、ビットストリームは各係数ブロックに対応する境界シンボルを含み、各係数ブロックは1つの境界シンボルを共有する。同一の係数ブロックについて、S603で解析された境界シンボル符号が負を表す場合、該係数ブロックにおける解析値の絶対値が2^(coding length-1)に等しい係数値は-2^(coding length-1)であり、S603で解析された境界シンボル符号が正を表す場合、該係数ブロックにおける解析値の絶対値が2^(coding length-1)に等しい係数値は2^(coding length-1)である。オプションとして、境界シンボル符号の解析後の値は、負を表す0又は正を表す1であってもよく、0は正を表し、1は負を表してもよく、境界シンボル符号は1ビットで表される。
【0136】
なお、本実施例では、S602~S603で復号すべきユニットにおける1つの係数グループを解析した後、S602~S603と同じ方式で復号すべきユニットにおける他の係数グループを解析する必要があり、復号すべきユニットにおける全ての係数グループの解析が完了した後、該復号すべきユニットの係数の復号が完了する。
【0137】
なお、本実施例によって提供される係数復号方法は、変換係数又は残差係数の符号化を解析することができるだけでなく、境界シンボルが導入されていない場合の解析ステップに基づいて、オリジナル画素値の符号化を解析することもできる。
【0138】
本発明の実施例は、復号ユニット301に適用される、ポイントバイポイント予測モードにおける残差係数に適用される係数復号方法を提供する。
【0139】
まず、復号ユニット301がどのように走査方式及びグループ化方式を決定するかについて説明する。ポイントバイポイント予測モードを用いて輝度Yを予測することによって取得された残差係数について、例えば、16*2画素ブロックの場合、走査方式は、
図7の(a)に示すポイントバイポイント予測モード1、(b)に示すポイントバイポイント予測モード2、(c)に示すポイントバイポイント予測モード3、(d)に示すポイントバイポイント予測モード4などであってもよい。ここで、グループ1(Group1)とグループ2(Group2)は異なる。ポイントバイポイント予測モード1において、Group1とGroup2については、いずれも垂直方向優先の走査順序を採用し、即ち、まず上から下へ、次に左から右への走査順序を採用する。ポイントバイポイント予測モード2において、Group1とGroup2については、水平方向を優先し、即ち、左から右へと進む。ポイントバイポイント予測モード3において、Group1とGroup2については、まず左から右へ、次に上から下への走査順序を採用する。ポイントバイポイント予測モード4において、Group 1とGroup 2については、いずれも垂直方向優先の走査順序を採用し、即ち、まず上から下へ、次に左から右への走査順序を採用する。
【0140】
上記走査方式のうちのいずれかに基づいて復号すべきユニットを走査して、予測グループGroup1とGroup2を取得し、各予測グループをグループ化し、グループ化方式は、
図8に示すものであってもよく、各セルは1つの係数固定長符号を表し、異なるグレー値は異なる係数グループを表し、
図8の(a)は、符号化インデックスが0である場合、予測グループ全体を1つの16*1の係数グループとすることを表し、
図8の(b)は、符号化インデックスが100である場合、1つの予測グループを2つの8*1の係数グループに順次に分割することを表し、
図8の(c)は、符号化インデックスが101である場合、1つの予測グループを1つの8*1の係数グループと2つの4*1の係数グループとに順次に分割することを表し、
図8の(d)は、符号化インデックスが110である場合、1つの予測グループを2つの4*1の係数グループと1つの8*1の係数グループとに順次に分割することを表し、
図8の(e)は、符号化インデックスが111である場合、1つの予測グループを4つの4*1の係数グループに順次に分割することを表す。
【0141】
ポイントバイポイント予測モードで色度Cb、色度Crを予測して取得られた残差係数について、ステップS602を説明する。例えば、8*2画素ブロックの場合、走査方式が水平方向走査であり、即ち、左から右へ順次走査する場合、
図9の(a)に示すように、走査方式の符号化インデックスが0である場合、復号すべきユニットを2つの異なる予測グループに分割してもよく、
図9の(b)に示すように、走査方式の符号化インデックスが1である場合、復号すべきユニットを4つの異なる予測グループに分割してもよい。ここで、各セルは1つの係数固定長符号を表し、異なるグレー値は異なる予測グループを表し、(b)における第1行の最初の4セル、第1行の最後の4セル、第2行の最初の4セル、及び第2行の最後の4セルは、それぞれのグレーの濃淡が異なる。
【0142】
上記走査方式に基づいて復号すべきユニットを走査して予測グループを取得し、各予測グループをグループ化し、グループ化方式は
図10に示すものであってもよく、各セルは1つの係数固定長符号を表し、異なるグレー値は異なる係数グループを表し、
図10の(a)は、符号化インデックスが0である場合、予測グループ全体を1つの8*1の係数グループとすることを表し、
図10の(b)は、符号化インデックスが1である場合、1つの予測グループを2つの4*1の係数グループに順次に分割することを表し、最初の4セルと最後の4セルとのグレーの濃淡が異なる。
【0143】
上記走査方式及びグループ化方式に基づいて係数グループの分割を実現した後、復号ユニット301が係数グループに対応する符号化長を決定する方式は、まず固定長符号の復号方式を用いて係数グループに対応する符号化長符号を解析して符号化長coding lengthを取得することであってもよい。オプションとして、符号化長の解析について、固定長符号とトランケーテッドユーナリ符号又は他の符号化との混合方式を用いて解析してもよい。
【0144】
S602では、復号ユニット301は、coding lengthに対応する固定長符号に基づいて係数符号を1つずつ解析する。係数グループに対応するcoding lengthが該係数グループの画像ビット幅以上である場合、画像ビット幅の符号化長に対応する固定長符号を用いて係数符号を解析し、解析範囲は[0,2^bit_depth-1]である。係数グループに対応するcoding lengthが該係数グループの画像ビット幅より小さい場合、coding lengthに対応する固定長符号を用いて係数符号を解析する。
【0145】
S603では、復号ユニット301は、境界シンボルに基づいて該係数グループにおける係数値の正負を決定し、係数値の解析範囲が[-2^(coding length-1)-1,2^(coding length-1)]であるようにする。該係数グループに絶対値が2^(coding length-1)に等しい係数値が存在する場合、該係数グループの全ての係数値は1つの共通の境界シンボルを有する。
【0146】
別の実施例では、該係数グループに絶対極値が存在する場合、即ち、該係数グループに絶対値が2^(coding length-1)に等しい係数が存在する場合、これらの係数は1つの境界シンボルを共有してもよく、即ち、該境界シンボルにより、絶対値が2^(coding length-1)に等しい係数のシンボルが全て正又は全て負であることを表す。
【0147】
従来技術と比べて、本発明の実施例は、輝度と色度に対して異なる方式の係数グループ化を柔軟に行うことにより、係数復号の適用性を向上させ、係数グループに対応する符号化長の固定長符号の解析極値の正負を表す境界シンボルを導入することにより、符号化及び復号効率を向上させる。同時に、該走査方式及びグループ化方式は、データの分布を考慮して、振幅が近い係数が近接した領域に分布するようにし、分割された係数グループの各係数値の相関性を維持し、復号の正確性を向上させる。
【0148】
本発明の実施例は、復号ユニット301に適用される、非ポイントバイポイント予測モードにおける残差係数に適用される係数復号方法をさらに提供する。
【0149】
まず、走査方式とグループ化方式について説明する。非ポイントバイポイント予測モードで取得された残差係数について、例えば16*2画素ブロックの場合、走査順序は
図11の(a)、(b)の矢印方向に示すものであってもよく、係数グループの分割は
図11の(a)、(b)の異なるグレーの濃淡に示すものであってもよく、各グレイの濃淡は同一の係数グループを表す。
【0150】
上記走査方式及びグループ化方式に基づいて係数グループの分割を実現した後、係数グループに対応する符号化長を決定する方式は、ハフマン符号を用いて係数グループに対応する符号化長符号を解析することであってもよい。
【0151】
S602では、復号ユニット301は、係数グループに対応するcoding lengthが該係数グループの画像ビット幅以上である場合、画像ビット幅の符号化長に対応する固定長符号を用いて係数符号を解析し、解析範囲は[0,2^bit_depth-1]である。係数グループに対応するcoding lengthが該係数グループの画像ビット幅より小さい場合、coding lengthに対応する固定長符号を用いて係数符号を解析する。
【0152】
S603では、復号ユニット301は、境界シンボルを用いて該係数グループにおける係数値の正負を決定し、係数値の解析範囲が[-2^(coding length-1)-1,2^(coding length-1)]であるようにする。該係数グループに絶対値が2^(coding length-1)に等しい係数値が存在する場合、該係数グループに1つの共通の境界シンボルが符号化される。
【0153】
別の実施例では、該係数グループに絶対極値が存在する場合、即ち、該係数グループに絶対値が2^(coding length-1)に等しい係数が存在する場合、これらの係数は1つの境界シンボルを共有してもよく、即ち、該境界シンボルにより、絶対値が2^(coding length-1)に等しい係数のシンボルが全て正又は全て負であることを表す。
【0154】
本発明の実施例は、復号ユニット301に適用される、非ポイントバイポイント予測モードにおける変換係数に適用される係数復号方法をさらに提供する。
【0155】
まず、走査方式とグループ化方式について説明する。非ポイントバイポイント予測モードで取得された変換係数について、例えば16*2画素ブロックの場合、走査順序は
図12の(a)、(b)の矢印方向に示すものであってもよく、係数グループの分割は
図12の(a)、(b)の異なるグレーの濃淡に示すものであってもよく、各グレイの濃淡は同一の係数グループを表し、ドットを含む部分は直流係数を表し、全ての直流係数は1つの直流係数グループに分割され、ドットを含まない部分は1つ又は複数の交流係数に分割される。
【0156】
上記走査方式及びグループ化方式に基づいて係数グループの分割を実現した後、係数グループに対応する固定長符号の符号化長を決定する方式は、ハフマン符号を用いて交流係数グループに対応するcoding lengthを解析し、固定長符号方式を用いて直流係数グループに対応するcoding lengthを解析することであってもよい。
【0157】
S602では、復号ユニット301は、係数グループに対応するcoding lengthが7より小さい場合、coding lengthの符号化長に対応する固定長符号を用いて係数符号を解析する。係数グループに対応するcoding lengthが7以上である場合、画像ビット幅bit_depth+3に対応する固定長符号を用いて係数符号を解析する。
【0158】
S603では、復号ユニット301は、境界シンボルを用いて該係数グループにおける係数値の正負を決定し、係数値の解析範囲が[-2^(coding length-1)-1,2^(coding length-1)]であるようにする。該係数グループに絶対値が2^(coding length-1)に等しい係数値が存在する場合、該係数グループに1つの共通の境界シンボルが符号化される。
【0159】
別の実施例では、該係数グループに絶対極値が存在する場合、即ち、該係数グループに絶対値が2^(coding length-1)に等しい係数が存在する場合、これらの係数は1つの境界シンボルを共有してもよく、即ち、該境界シンボルにより、絶対値が2^(coding length-1)に等しい係数のシンボルが全て正又は全て負であることを表す。
【0160】
従来技術と比べて、本発明の実施例は、非ポイントバイポイント予測モードにおける変換係数を符号化する場合、変換係数における直流係数と交流係数とを異なる係数グループに分割してから係数値の符号化を行い、同一の係数グループにおける周波数が比較的低い直流係数と周波数が比較的高い交流係数に対して同じ符号化長の固定長符号を用いることを回避し、それにより符号化効率を向上させる。
【0161】
同一の係数グループにおいて、グループ化方式又は係数タイプにより、係数グループの平均値を大きく上回る係数値がいくつか(例えば、1つ又は2つ)存在する可能性があり、例えば、直流係数と交流係数が同一の係数グループに分割される場合、直流係数と交流係数との差が大きいか、又は、予測値が走査で得られた予測グループ外にある場合、予測値と現在の画素値との差が大きい可能性がある。従って、本発明の実施例は、復号ユニット301に適用される係数復号方法をさらに提供し、該係数復号方法は、係数グループにおける係数値に対応する固定長符号の符号化長(coding length)を調整し、異なる位置の係数値について、符号化長が異なる固定長符号を用いて解析することができる。S601~S603と比べて、該係数復号方法は、係数グループに対応する符号化長(coding length)を決定するステップ、及び該係数グループに対応する符号化長の固定長符号に基づいて係数を解析するステップのみが異なり、ここでは同じ部分の説明を省略する。
【0162】
一例では、S601において係数グループに対応する符号化長を決定するステップは以下のとおりであってもよい。
【0163】
まず、復号ユニット301は、ビットストリームから係数グループに対応する固定長符号の符号化長coding lengthと符号化長付加値Aとを解析する。
【0164】
符号化長付加値Aは、符号化ユニット205が係数値を符号化する際に、係数グループにおける係数値が係数グループの平均値を大きく上回る特定の位置に対して設定した数値Aであってもよく、該数値Aは、該特定の位置の係数値に対応する固定長符号の符号化長と該係数グループに対応する固定長符号の符号化長との差に等しい。例えば、符号化ユニット205について、係数グループにおける最大の係数値が9であり、2番目に大きい係数値が3であり、係数値3に対応するcoding lengthが2であり、係数値9に対応するcoding lengthが4であると、A=4-2=2である。
【0165】
次に、復号ユニット301は、係数グループにおける特定の位置を決定する。
【0166】
特定の位置は、符号化ユニット205と復号ユニット301とが符号化と復号の一致性において合意してもよく、復号ユニット301がコンテキスト情報に基づいて導出してもよく、例えば、前の復号すべきユニットのある位置が特定の位置である場合、現在の復号すべきユニットの対応する位置が特定の位置であると決定する。
【0167】
そして、復号ユニット301は、係数グループにおける特定の位置に対応する固定長符号の符号化長がcoding length+Aであり、特定の位置以外の係数に対応する固定長符号の符号化長がcoding lengthであると決定する。
【0168】
該係数グループに対応する符号化長の固定長符号に基づいて係数を解析するステップは、符号化長がcoding length+Aの固定長符号を用いて特定の位置の係数符号を解析し、符号化長がcoding lengthの固定長符号を用いて特定の位置以外の他の係数符号を解析することであってもよい。
【0169】
一例では、本実施例は、係数グループに対応するcoding lengthが比較的短い場合、操作を行ってもよい。例えば、符号化ユニット205と復号ユニット301は、符号化と復号の一致性により符号化長閾値Bを合意し、係数値の絶対値が2^(coding length-3)より小さいか否かを表す係数値範囲データCをビットストリームに付加する。
【0170】
S601において係数グループに対応する符号化長を決定するステップは、coding lengthが符号化長閾値Bより小さい場合、復号ユニット301は、該係数グループの全ての係数符号に対応する符号化長がcoding lengthであると決定するステップを含んでもよい。
【0171】
S602では、復号ユニット301は、coding lengthが符号化長閾値B以上である場合、係数値範囲データCに基づいて各係数符号の絶対値が2^(coding length-3)より小さいか否かを決定し、小さい場合、coding length-3に対応する固定長符号を用いて係数符号を解析し、小さくない場合、coding lengthに対応する固定長符号を用いて係数符号を解析する。
【0172】
一例では、本実施例はさらに係数グループの符号化長coding lengthをk次指数ゴロム符号化に変換してもよく、例えば、符号化ユニット205と復号ユニット301は符号化と復号の一致性により符号化長閾値Dを合意する。
【0173】
S601において係数グループに対応する符号化長を決定するステップは以下を含んでもよい。係数グループのcoding lengthが符号化長閾値Dより小さい場合、復号ユニット301は、該係数グループの全ての係数符号に対応する符号化長がcoding lengthであると決定する。係数グループのcoding lengthが符号化長閾値D以上である場合、復号ユニット301は次数k=(coding length 5)のk次ゴロム符号化を導入して係数符号に対応する符号化長を取得する。ここで、kの値は、他の変換方法を用いてcoding lengthから導出されてもよい。後続のS602の係数符号解析方式は、依然として係数符号に対応する符号化長の固定長符号を用いて解析を行うため、ここでは説明を省略する。
【0174】
一例において、係数グループにおける係数符号が多い場合、例えば係数符号の数がNより大きい場合、S601において係数グループに対応する符号化長を決定するステップは以下を含んでもよい。復号ユニット301が固定長復号方式により係数グループの符号化長がcoding lengthであることを解析し、coding lengthがプリセット値Eに等しくない場合、該係数グループにおける全ての係数符号に対応する符号化長がcoding lengthであると決定する。coding lengthがプリセット値Eに等しい場合、該係数グループにおける係数値が0より大きくない係数を0と決定し、該係数グループにおける0より大きい位置の係数符号に対応する符号化長がcoding lengthであると決定する。オプションとして、プリセット値Eは2、3などであってもよく、Nの値は4より大きくてもよい。
【0175】
なお、本実施例では、1つの係数グループにおけるある1つ又は複数の位置の係数符号に対応する固定長符号の符号化長を係数ビット符号化長とみなし、該係数グループにおける他の位置に対応する共通の固定長符号の符号化長を係数グループ符号化長とみなしてもよい。
【0176】
従来技術と比べて、係数グループにおける係数に対応する符号化長を変更し、係数値における異なる係数符号に対して、異なる符号化長に対応する固定長符号を用いて解析することにより、特殊な符号化長の固定長符号を用いてある位置の係数符号を解析し、他の位置は依然として符号化長が短い固定長符号を用いて解析することができ、全体の符号化長を短くし、符号化効率を向上させる。
【0177】
係数グループの固定長符号の符号化長を調整することに加えて、本実施例は復号ユニット301に適用される係数復号方法をさらに提供し、符号化時に係数グループにおける係数値を調整し、復号時に係数値を復元し、係数値の全体の符号化長を短くする。S601~S603と比べて、係数復号方法は、該係数グループに対応する符号化長の固定長符号に基づいて係数を解析するステップのみが異なり、ここでは同じ部分の説明を省略する。
【0178】
一例では、該係数グループに対応する符号化長の固定長符号に基づいて係数を解析するステップにおいて、復号ユニット301は、まず、該係数グループに対応する符号化長の固定長符号を用いて全ての係数値を解析し、特定の位置に対して、係数値をシフトし、即ち、coefficient=coefficient<<Fである。固定長符号復号方式を用いてFを解析してdelda_coefficientを得、係数グループにおける全ての特定の位置の解析により得られた係数値にdelda_coefficientを加算する。上記特定の位置は、符号化ユニット205と復号ユニット301とが符号化と復号の一致性において合意してもよく、復号ユニット301がコンテキスト情報に基づいて導出してもよく、例えば、前の復号すべきユニットのある位置が特定の位置である場合、現在の復号すべきユニットの対応する位置が特定の位置であると決定する。
【0179】
一例では、復号ユニット301がS601により取得した係数グループ情報は、該係数グループの符号化長閾値と係数付加値Gとを含む。以下、符号化長閾値及び係数付加値Gの設定について説明する。符号化ユニット205が係数符号化を行うプロセスにおいて、ある係数値に対応する固定長符号の符号化長が係数グループの符号化長閾値より大きい場合、該係数値から係数付加値Gを減算し、該係数値から係数付加値Gを減算した結果を符号化し、符号化長閾値及び係数付加値Gは、係数グループの係数値の具体的な大きさに応じて柔軟に設定してもよい。復号ユニット301は、該係数グループに対応する符号化長の固定長符号に基づいて係数を解析するステップにおいて、固定長符号coding lengthが符号化長閾値より大きい場合、まず、符号化長がcoding lengthの固定長符号を用いて係数付加値Gの符号を解析して係数付加値Gを取得し、次に、符号化長がcoding lengthの固定長符号を用いて係数グループにおける全ての係数値を解析し、全ての係数値に係数付加値Gを加算して係数値を復元する。
【0180】
従来技術と比べて、符号化時に係数グループにおける係数値を調整し、その後、復号時にビットストリームで伝送されるパラメータに基づいて係数グループにおける特定の位置の係数を復元することにより、ビットストリームの伝送時に比較的長い完全な係数符号を伝送する必要がなく、符号化効率を向上させる。
【0181】
係数グループの固定長符号の符号化長と係数グループにおける係数値とを調整することに加えて、本実施例は復号ユニット301に適用される係数復号方法をさらに提供し、符号化時に係数グループの境界シンボルを調整し、境界シンボルにより復号範囲をさらに拡大する。
【0182】
一例では、係数グループ情報の境界シンボルは、1ビットで係数グループにおける絶対極値の正負を表すことができるだけでなく、nビットで係数補償値を表すこともできる。S603で符号化長がcoding lengthの固定長符号に基づいて係数符号を解析した後、解析値が絶対極値2^(coding length-1)に等しい係数符号位置に対して、境界シンボルから係数補償値を解析し、該係数グループにおける絶対極値に係数補償値を加算して、該絶対極値位置の係数値とする。オプションとして、境界シンボルを用いて係数補償値の正負を表してもよい。なお、同一の係数グループに複数の絶対極値が存在する場合、係数補償値は複数であってもよく、絶対極値にそれぞれ対応する係数補償値を加算すると、補償後の係数値を取得することができる。なお、本実施例では、復号ユニット301は、境界シンボルを取得するために境界シンボル符号を解析する必要があり、該解析方式は、固定長復号、トランケーテッドユーナリ符号、ハフマン復号、又はいくつかの一般的な復号方式の混合復号方式などを採用してもよい。
【0183】
それに対応して、本発明の実施例は係数復号装置を提供し、該係数復号装置は、例えば、通話中の任意の係数復号装置であってもよく、上記の方法の例に従って係数復号装置に対して機能モジュールの分割を行ってもよく、例えば、各機能に対応して各機能モジュールを分割してもよく、2つ以上の機能を1つの処理モジュールに統合してもよい。上記統合されたモジュールは、ハードウェアの形態で実現されてもよく、ソフトウェア機能モジュールの形態で実現されてもよい。なお、本発明の実施例におけるモジュールの分割は例示的なものであり、論理機能の分割に過ぎず、実際に実現する際に別の分割方式があってもよい。
【0184】
各機能に対応して各機能モジュールを分割する場合、
図13は、上記実施例における係数復号装置の可能な概略構造図である。
図13に示すように、該係数復号装置13は、解析モジュール131と復号モジュール132とを含む。
【0185】
一実施例では、上記解析モジュール131は、復号すべきユニットの係数グループ情報を取得するために用いられ、復号すべきユニットの係数は1つ又は複数の係数グループに分割され、各係数グループは少なくとも1つの係数符号を含み、同一の係数グループにおける係数符号は同じ符号化長の固定長符号であり、少なくとも1つの係数グループは第1の係数グループを含み、係数グループ情報は第1の係数グループの境界シンボルを含む。復号モジュール132は、第1の係数グループの係数符号を係数値に解析するために用いられ、さらに、境界シンボルに基づいて第1の係数グループにおける係数値が正の値又は負の値であると決定するために用いられる。
【0186】
上記係数復号装置の各モジュールは、上記方法の実施例における他の動作を実行するために用いられてもよく、上記方法の実施例に係る各ステップの全ての関連内容はすべて、対応する機能モジュールの機能説明に引用することができるので、ここでは説明を省略する。
【0187】
図14は、本発明の実施例によって提供される電子デバイスのハードウェア構造図である。
図14に示すように、該電子デバイスは、画像デコーダ141、メモリ142と、通信インタフェース(図示せず)とを含んでもよい。メモリ142は、画像デコーダ141によって実行可能なコンピュータ命令を記憶し、画像デコーダ141は、コンピュータ命令を実行して、本発明の上記のいずれかの実施例に開示された方法を実施するために用いられる。
【0188】
上記実施例において、その全部又は一部は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア又はそれらの任意の組み合わせによって実現してもよい。ソフトウェアプログラムを用いて実現する場合、その全部又は一部はコンピュータプログラム製品の形態で実現されてもよい。該コンピュータプログラム製品は、1つ又は複数のコンピュータ命令を含む。該コンピュータ命令がコンピュータ上でロードされ、実行されると、本発明の実施例におけるプロセス又は機能の全部又は一部が生成される。該コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータネットワーク、又は他のプログラマブル装置であってもよい。該コンピュータ命令は、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよく、又は1つのコンピュータ可読記憶媒体から他のコンピュータ可読記憶媒体に伝送されてもよく、例えば、該コンピュータ命令は、1つのウェブサイト、コンピュータ、サーバ又はデータセンターから有線(例えば、同軸ケーブル、光ファイバ、デジタル加入者回線(digital subscriber line、DSL))方式又は無線(例えば、赤外線、ラジオ、マイクロ波など)方式で他のウェブサイト、コンピュータ、サーバ又はデータセンターに伝送されてもよい。該コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータによってアクセス可能な任意の利用可能な媒体、又は1つもしくは複数の利用可能な媒体を集積したサーバやデータセンターなどのデータ記憶デバイスであってもよい。該利用可能な媒体は、磁気媒体(例えば、フロッピーディスク、磁気ディスク、磁気テープ)、光学媒体(例えば、デジタルビデオディスク(digital video disc、DVD))、又は半導体媒体(例えば、ソリッドステートドライブ(solid state drives、SSD))などであってもよい。
【0189】
以上の実施形態の説明により、当業者であれば理解できるように、説明の便宜と簡略化のために、上記各機能モジュールの分割のみを例として説明したが、実際の適用において、必要に応じて上記機能を異なる機能モジュールに割り当てて実現させてもよく、即ち、装置の内部構造を異なる機能モジュールに分割して、以上に説明された全部又は一部の機能を実現する。上記のシステム、装置、及びユニットの具体的な動作プロセスについては、前述の方法の実施例における対応するプロセスを参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0190】
本発明によって提供されるいくつかの実施例では、開示されたシステム、装置、及び方法は、他の方式で実現されてもよいことを理解されたい。例えば、上記装置の実施例は単なる例示であり、例えば、モジュール又はユニットの分割は、論理機能の分割に過ぎず、実際に実現する際に他の分割方式があってもよく、例えば、複数のユニット又はコンポーネントは、結合又は別のシステムに統合されてもよく、いくつかの特徴は無視、又は実行されなくてもよい。また、示された、又は説明された互いの結合、直接結合、又は通信接続は、いくつかのインターフェース、装置、又はユニットを介した間接結合又は通信接続であってもよく、電気的、機械的、又は他の形式であってもよい。
【0191】
前記分離部品として説明されるユニットは、物理的に分離されていてもよく、物理的に分離されていなくてもよく、ユニットとして示される部品は、物理ユニットであってもよく、物理ユニットでなくてもよく、即ち、1つの場所に位置してもよく、又は複数のネットワークユニットに分布してもよい。本実施例の技術案の目的を実現するために、実際のニーズに応じてその中の一部又は全部のユニットを選択してもよい。
【0192】
また、本発明の各実施例における各機能ユニットは、1つの処理ユニットに統合されてもよく、各ユニットが単独で物理的に存在してもよく、2つ以上のユニットが1つのユニットに統合されてもよい。上記統合されたユニットは、ハードウェアの形態で実現されてもよく、ソフトウェア機能ユニットの形態で実現されてもよい。
【0193】
前記統合されたユニットがソフトウェア機能ユニットの形態で実現され、独立した製品として販売又は使用される場合、1つのコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。このような理解に基づいて、本発明の技術案は、本質的に、又は従来技術に貢献する部分、又は技術案の全部又は一部が、ソフトウェア製品の形態で具現化されてもよく、該コンピュータソフトウェア製品は、1つの記憶媒体に記憶され、コンピュータデバイス(パーソナルコンピュータ、サーバ、又はネットワークデバイスなどであってもよい)又はプロセッサに、本発明の各実施例に記載の方法のステップの全部又は一部を実行させるためのいくつかの命令を含む。前述の記憶媒体は、フラッシュメモリ、リムーバブルハードディスク、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気ディスク、又は光ディスクなどの、プログラムコードを記憶できる様々な媒体を含む。
【0194】
以上は、本発明の具体的な実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲はこれに限定されず、本発明に開示された技術の範囲内での任意の変化又は置換は、本発明の保護範囲内に含まれるものとする。従って、本発明の保護範囲は、記載された特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
【要約】
本発明の実施例は、画像符号化及び復号の分野に関し、画像復号性能を向上させることができる係数復号方法、装置、画像デコーダ、及び電子デバイスを提供する。該方法は、ビットストリームを解析して復号すべきユニットの係数グループ情報を取得するステップであって、復号すべきユニットの係数は少なくとも1つの係数グループに分割され、各係数グループは少なくとも1つの係数符号を含み、同一の係数グループにおける係数符号は同じ符号化長の固定長符号であり、少なくとも1つの係数グループは第1の係数グループを含み、係数グループ情報は第1の係数グループの境界シンボルを含む、ステップと、第1の係数グループの係数符号を係数値に解析するステップと、境界シンボルに基づいて第1の係数グループにおける係数値が正の値又は負の値であると決定するステップと、を含む。