(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】美容機器の回転式ハンドル
(51)【国際特許分類】
A45D 20/12 20060101AFI20250121BHJP
【FI】
A45D20/12 K
A45D20/12 C
(21)【出願番号】P 2024019042
(22)【出願日】2024-02-10
【審査請求日】2024-06-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522386585
【氏名又は名称】株式会社IBIS
(74)【代理人】
【識別番号】100180149
【氏名又は名称】庄司 修
(74)【代理人】
【識別番号】100066821
【氏名又は名称】庄司 建治
(72)【発明者】
【氏名】カンダジュン
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-143454(JP,A)
【文献】特開2004-197862(JP,A)
【文献】特開2000-120654(JP,A)
【文献】実開平02-129941(JP,U)
【文献】特開2023-118324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 20/12
F16C 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の本体ハウジングに垂直状に突き出て固定された円柱状又は円筒状の垂直部に対して接続された同形状のハンドルが、回転式ヒンジ構造により回転して折り畳み自在な美容器具のハンドルであって、
(a)前記垂直部と前記ハンドルの接続面は、軸方向に斜めに切断した傾斜面にそれぞれ形成されていること、
(b)前記回転式ヒンジ構造は、前記垂直部に固定される第1ヒンジ構成体と、前記ハンドルに回転自在に固定される第2ヒンジ構成体とで構成されて前記傾斜面に備わっていること、
(c)前記第2ヒンジ構成体の略中央には、凸状の回転伝達部が設けられた軸部が設けられている一方、前記第1ヒンジ構成体には、前記軸部を挿通する挿通孔が設けられ、かつ前記挿通孔の外周近傍には所定範囲で移動可能な被回転伝達ストッパーが設けられていること、
(d)前記垂直部に対し直線配置の前記ハンドルを回転することにより、前記軸部の凸状回転伝達部が前記被回転伝達ストッパーに当接して所定位置で停止自在であり、前記ハンドルが左右いずれの方向へも所定位置まで回転しながら折り畳まれる構成であること、
(e)前記第2ヒンジ構成体の軸部は、回転円筒軸部で構成されて、内部が中空状に貫通する中空部に形成されており、
前記中空部に配線する導体が挿通されて成ること、
(f)前記垂直部と前記ハンドルの接続面は、軸方向に45°斜めに切断した傾斜面にそれぞれ形成されて、前記ハンドルは左右いずれかの方向に180°まで回転可能であり、
前記ハンドルが180°回転して折り畳まれた際、前記本体ハウジングと前記ハンドルが平行配置となること、
(g)前記回転伝達部が前記被回転伝達ストッパーの端部に当接して左右いずれかに180°の角度で前記ハンドルが止まるような配置で、前記回転式ヒンジ構造の第1ヒンジ構成体には前記被回転伝達ストッパーの移動を拘束する湾曲状の溝部が形成されていること、
(h)前記回転式ヒンジ構造の第2ヒンジ構成体には、弾性部材で付勢された凸部が設けられていると共に、前記第1ヒンジ構成体には前記凸部が嵌合する凹部が設けられており、
前記ハンドルの左方又は右方への回転時に、前記回転伝達部が前記被回転伝達ストッパーに当接して移動した後、前記凸部が前記凹部に嵌合してそれ以上のハンドルの回転が規制されること、
を特徴とする美容機器の回転式ハンドル。
【請求項2】
前記回転式ヒンジ構造の前記第2ヒンジ構成体は、前記本体ハウジングの垂直部に固定され、前記第1ヒンジ構成体は、前記ハンドルに回転自在に固定されて成ること、
を特徴とする、請求項
1に記載した美容機器の回転式ハンドル。
【請求項3】
前記本体ハウジングが棒状に形成されて成るヘアードライヤー又はヘアーアイロン又はヘアーブラ
シの温熱美容機器や、電気式スキンケア美容器具、電気式マッサージ美容機器に適用されること、
を特徴とする、請求項1又は2に記載した美容機器の回転式ハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容機器の回転式ハンドルの技術分野に属し、さらに言えば、美容機器のハンドルを左右いずれの方向にも回転して折り畳むことができ、回転式ヒンジ構造の内部に配線導体を挿通できて回転の信頼性が高められた回転式ハンドルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、美容機器のハンドルが回転する技術として、例えば、下記特許文献1には、[請求項1]に、本体ハウジングと、当該本体ハウジングの連結部に回動可能に取り付けられるグリップハウジング5Hと、使用位置と折り畳み位置のそれぞれで前記グリップハウジング5Hの前記本体ハウジングに対する回動を規制する節度機構4と、を備える髪ケア装置であって、前記節度機構4は、前記グリップハウジング5Hに設けられ、当該グリップハウジング5Hとは別体に形成されたリング状の第1の係合体20と、前記本体ハウジングの連結部に設けられ、前記第1の係合体20に対して相対移動可能であり使用位置と折り畳み位置のそれぞれで第1の係合体20に係合して前記グリップハウジング5Hの前記本体ハウジングに対する回動を規制する第2の係合体10と、を備え、前記第2の係合体10が、前記本体ハウジングの連結部よりも強度の高い材料で形成され、かつ、前記第1の係合体20の外周を連続して囲繞するリング状に形成されるとともに、前記本体ハウジングの連結部とは別体に形成されている髪ケア装置が記載されている(便宜的に同公報に記載された符号を付す)。
そして、[請求項4]には、前記第2の係合体10が前記第1の係合体20の外周に対向して配置されるとともに、前記第1の係合体20の外周および前記第2の係合体10の前記第1の係合体20の外周との対向部には、圧接を伴って相互に乗り越え自在な第1凸部22および第2凸部12がそれぞれ設けられており、前記第1凸部22と第2凸部12とが圧接を伴って相互に乗り越えることで、前記グリップハウジング5Hの前記本体ハウジングに対する回動を規制したり、当該回動の規制を解除したりする髪ケア装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、従来の美容機器に係る髪ケア装置のハンドルは、
図17に示したように、内郭円形の節度機構4の第1の係合体(回転リング)20に第1凸部22を設け、これを外郭円形のクリップリングたる第2の係合体10の第2凸部12をクリック感覚で乗り越え、符号xで示した凹部に嵌合して留まる構造である。
つまり、第1の係合体20の第1凸部22が、いわば上死点と下死点(又は中間死点)で一時的にとどまり死点を維持するものであり、床方向に垂直に展開したグリップハウジング5H(ハンドル)を折り畳み、本体ハウジングに近接する90°の角度位置に留まるものである。
この点、ハンドルを本体ハウジングの軸方向に対し、左右いずれかの方向に180°回転できる技術は既に公知に属する。
また、ハンドル内で基盤を結ぶ配線導体は、本体ケースの内部において回転式ヒンジ機構を避ける形で配設しなければならず、面倒で煩わしく、これらが解決すべき問題点とされている。
【0005】
したがって、本発明の目的は、美容機器の回転式ヒンジ構造において、左右いずれの方向にも回転して折り畳むことができる回転式ハンドルを提供することを主目的とし、第2の目的として、回転式ヒンジ構造の内部に配線導体を挿通できて回転の信頼性が高められた美容機器の回転式ハンドルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明は、棒状の本体ハウジング1に垂直状に突き出て固定された円柱状又は円筒状の垂直部2に対して接続された同形状のハンドル4が、回転式ヒンジ構造3により回転して折り畳み自在な美容器具のハンドル4であって、
(a)前記垂直部2と前記ハンドル4の接続面20、40は、軸方向Kに斜めに切断した傾斜面20、40にそれぞれ形成されていること、
(b)前記回転式ヒンジ構造3は、前記垂直部2に固定される第1ヒンジ構成体3Aと、前記ハンドル4に回転自在に固定される第2ヒンジ構成体3Bとで構成されて前記傾斜面20、40に備わっていること、
(c)前記第2ヒンジ構成体3Bの略中央には、凸状の回転伝達部36が設けられた軸部35が設けられている一方、前記第1ヒンジ構成体3Aには、前記軸部35を挿通する挿通孔31が設けられ、かつ前記挿通孔31の外周近傍には所定範囲で移動可能な被回転伝達ストッパー33が設けられていること、
(d)前記垂直部2に対し直線配置の前記ハンドル4を回転することにより、前記回転円筒軸部35の凸状回転伝達部36が前記被回転伝達ストッパー33に当接して所定位置で停止自在であり、前記ハンドル4が左右いずれの方向S、Rへも所定位置まで回転しながら折り畳まれる構成であること、
(e)前記第2ヒンジ構成体3Bの軸部35は、回転円筒軸部35で構成されて、内部が中空状に貫通する中空部38に形成されており、
前記中空部38に配線する導体50が挿通されて成ること、
(f)前記垂直部2と前記ハンドル4の接続面20、40は、軸方向Kに45°斜めに切断した傾斜面20、40にそれぞれ形成されて、前記ハンドル4は左右いずれかの方向S、Rに180°まで回転可能であり、
前記ハンドル4が180°回転して折り畳まれた際、前記本体ハウジング1と前記ハンドル4が平行配置となること、
(g)前記回転伝達部36が前記被回転伝達ストッパー33の端部33aに当接して左右いずれかに180°の角度で前記ハンドル4が止まるような配置で、前記回転式ヒンジ構造3の第1ヒンジ構成体3Aには前記被回転伝達ストッパー33の移動を拘束する湾曲状の溝部34が形成されていること、
(h)前記回転式ヒンジ構造3の第2ヒンジ構成体3Bには弾性部材39で付勢された凸部37が設けられていると共に、前記第1ヒンジ構成体3Aには前記凸部37が嵌合する凹部32が設けられており、
前記ハンドル4の左方S又は右方Rへの回転時に、前記回転伝達部36が前記被回転伝達ストッパー33に当接して移動した後、前記凸部37が前記凹部32に嵌合してそれ以上のハンドル4の回転が規制されること、
を特徴とする美容機器の回転式ハンドルである。
【0015】
請求項2に記載した発明は、前記回転式ヒンジ構造3の前記第2ヒンジ構成体3Bは、前記本体ハウジング1の垂直部2に固定され、前記第1ヒンジ構成体3Aは、前記ハンドル4に回転自在に固定されて成ること、
を特徴とする、請求項1に記載した美容機器の回転式ハンドルである。
【0016】
請求項3に記載した発明は、前記本体ハウジング1が棒状に形成されて成るヘアードライヤー6又はヘアーアイロン又はヘアーブラシの温熱美容機器や、電気式スキンケア美容器具、電気式マッサージ美容機器に適用されること、
を特徴とする、請求項1又は2に記載した美容機器の回転式ハンドルである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の美容機器の回転式ハンドルは、垂直部とハンドルの接続面に備わる回転式ヒンジ構造が、垂直部に固定される第1ヒンジ構成体(又は第2ヒンジ構成体)と、ハンドルに回転自在に固定される第2ヒンジ構成体(又は第1ヒンジ構成体)とで成り、第2ヒンジ構成体には回転伝達部付きの軸部が設けられ、第1ヒンジ構成体には軸部を挿通する挿通孔が設けられ、その外周に回転伝達部が当接することにより所定範囲で移動可能な被回転伝達ストッパーが設けられているので、左右いずれの方向にもハンドルを回転して折り畳むことができる自在性に優れている。
また、軸部を含む第2ヒンジ構成体の内部は、中空状に貫通する中空部に形成されているので、回転式ヒンジ構造の第2ヒンジ構成体の中空部に配線導体を挿通できて回転の信頼性の向上が図られている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施例の美容機器の回転式ハンドルの回転式ヒンジ構造を分解して示した斜視図である。
【
図2】Aは、回転式ヒンジ構造の取り付け要領を示した斜視図、Bは、Aの少し向きを変えて示した斜視図である。
【
図3】Aは、回転式ヒンジ構造の垂直部側の構造を下方から示した斜視図、Bは、回転式ヒンジ構造の内部構造を示した斜視図である。
【
図4】Aは、回転式ヒンジ構造を示した斜視図、Bは、回転式ヒンジ構造の取り付け要領を側面方向から示した斜視図である。
【
図5】AとBは、回転式ヒンジ構造における被回転伝達ストッパーの溝部への取り付け要領を示した斜視図、CとDは、回転式ヒンジ構造の第2ヒンジ構成体を部分的に示した斜視図である。
【
図6】Aは、ハンドルの右回転時に凸状回転伝達部が右回転して被回転伝達ストッパーに当接して180°の静止状態を示した斜視図、Bは、ハンドルの左回転時に凸状回転伝達部が左回転して被回転伝達ストッパーに当接して180°の静止状態を示した斜視図である。
【
図7】回転式ヒンジ構造内に配線導体が挿通された状態を示した説明図である。
【
図8】A~Eは、本体ハウジングの垂直部に対し垂直状態のハンドルを異なる角度から示した正面図である。
【
図9】A~Fは、ハンドルの左方向の回転状況と右方向の回転状況を示した説明図である。
【
図10】Aは、美容機器の回転式ハンドルが垂直状態の正面図、Bは、同ハンドルが回転状態の正面図、Cは、同ハンドルを180°回転して折り畳まれた状態の正面図である。
【
図11】垂直部とハンドルの接続面における回転式ヒンジ構造を分解して示した斜視図である。
【
図12】A~Cは、回転式ヒンジ構造の第1ヒンジ構成体における溝部と被回転伝達ストッパーを示した拡大斜視図である。
【
図13】AとBは、回転式ヒンジ構造の第2ヒンジ構成体の主要な構造を示した拡大斜視図である。
【
図14】AとBは、回転式ヒンジ構造を一部省略した主要部を示した正面図と斜視図である。
【
図15】AとBは、回転式ヒンジ構造を下方から示した2種類の斜視図である。
【
図16】第2実施例に係る異なる美容機器の回転式ハンドルの回転式ヒンジ構造を分解して示した斜視図である。
【
図17】従来の回転式ヒンジ構造を示した説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の美容機器の回転式ハンドルの好適な実施形態を、以下図面にしたがって説明する。
この回転式ハンドルは、
図10に簡略して示したようなヘアードライヤー6等の美容器具をなす本体ハウジング1の垂直部2に接続されたハンドル4が、
図9に図示したように回転式ヒンジ構造3により左右いずれかの方向から180°回転して折り畳み自在に構成されている。
本体ハウジング1が棒状に形成されて成る温熱美容機器に好適に適用され、以下、ヘアードライヤー6に適用した実施例について説明するが、説明を省略するヘアーアイロンやヘアーブラシ等の美容機器や、電気式スキンケア美容器具、電気式マッサージ美容機器にも同様に実施可能である。
【0020】
<第1実施例>
本実施例に係る美容機器の回転式ハンドルの概要は、一般的なヘアードライヤー6の基幹をなす棒状本体ハウジング1の垂直部2に対し回転自在にハンドル4が接続されている(
図10)。その垂直部2とハンドル4の接続面20、40に備わる回転式ヒンジ構造3が、垂直部2に固定される第1ヒンジ構成体3Aと、ハンドル4に回転自在に固定される第2ヒンジ構成体3Bとで成っている(
図2)。前記第2ヒンジ構成体3Bには、回転伝達部36付きの軸部35が設けられている一方、第1ヒンジ構成体3Aには、軸部35を挿通する挿通孔31が設けられ、その外周に回転伝達部36が当接することにより所定範囲で移動可能な被回転伝達ストッパー33が設けられており、ハンドル4が左右いずれの方向S、Rへも所定位置まで回転自在に構成されているものである(
図1~
図9)。
【0021】
前記軸部を含む第2ヒンジ構成体3Bの内部は、中空状に貫通する中空部36に形成されており、第2ヒンジ構成体3Bの中空部38に、ハンドル4側の基盤41と垂直部2側の基盤21同士を結んで配線する導体50が挿通されている(
図7)。この配線導体50を第2ヒンジ構成体3B内に挿通した際、ハンドル4が左右いずれかの方向S、Rに180°以上(360°まで)回転してしまうと、導体50が捻じれてしまう恐れがあるため、180°までの回転となるように設定するのが好ましい。
【0022】
このヘアードライヤー6のハンドル4は、棒状の本体ハウジング1に垂直状に突き出て固定された円筒状の垂直部2に対して、同形状の円筒状に形成されている。このハンドル4と垂直部2は、それぞれ半割り状に形成されたもの(
図11参照)が結合されて成る。そして、前記垂直部2と前記ハンドル4の各接続面20、40は、軸方向K(
図1、
図2、
図7、
図11参照)に45°斜めに切断した傾斜面にそれぞれ形成されている。よって、後述する回転式ヒンジ構造3により、
図9に示したように、ハンドル4は、左の方向Sに斜め方向から180°まで回転できると共に、右の方向Rにも斜め方向から180°まで回転可能であり、ハンドル4が180°回転して折り畳まれた際、本体ハウジング1とハンドル4が平行配置となるように構成されている(
図10C)。
なお、垂直部2を円柱状で実施する場合は、ハンドル4も同形状の円柱状で好適に実施される。
【0023】
図1~
図7及び
図11~
図15に示した回転式ヒンジ構造3について説明する。
図4A及び
図14と
図15に拡大して示した回転式ヒンジ構造3は、前記本体ハウジング1の垂直部2側に固定される第1ヒンジ構成体3Aと、ハンドル4側に回転自在に固定される第2ヒンジ構成体3Bとで構成されて、前記垂直部2の傾斜面20とハンドル4の40に備わっている(
図11参照)。
【0024】
分解して示した
図1が分かり易いが、回転式ヒンジ構造3の第2ヒンジ構成体3Bは、斜め上向きに凸状の回転伝達部36が突出された回転円筒軸部35が中央に設けられ、かつ2つの砲弾型の凸部37を受容する2つの円筒部30b’が回転円筒軸部35を挟む形で下方の180°対向する位置に設けられた回転板30bと、前記凸部37が弾性部材39たるスプリングで付勢されてビス止めされたベース板30aが合体されている。前記ベース板30aの中央は、配線導体50が挿通される通孔30a’が穿設されている(
図7参照)。この第2ヒンジ構成体3Bが、ハンドル4の傾斜する平坦な接続面40の開口中央部41に固定して取り付けられている。
第1ヒンジ構成体3Aには、中央に回転円筒軸部35が挿通される通孔31が穿設された固定板30cと、前記中央の通孔31を挟む形で180°対向する位置に設けられた前記砲弾型凸部37が嵌合する凹部32が2つ設けられて、その上面に被回転伝達ストッパー33が設けられている。そして、湾曲状に形成された溝部34を有する上部ブロック34’が固定板30cの上面に固定され、前記湾曲状溝部34の中で、被回転伝達ストッパー33は、その両端部33aが当接して動きが規制される範囲内で移動自在に構成されている(
図12参照)。前記構成の第1ヒンジ構成体3Aが、本体ハウジング1の垂直部2の傾斜する平坦な接続面20の開口中央部21に固定して取り付けられている。
【0025】
よって、ハンドル4の左方S又は右方Rへの回転時に、回転伝達部36が被回転伝達ストッパー33に当接して移動した後、弾性部材39で付勢された砲弾型凸部37が凹部32に嵌合してハンドル4が180°の回転角度で止まり、それ以上の同一方向へのハンドル4の回転が規制される。その際、装填された弾性部材39によって、第2ヒンジ構成体3Bの回転伝達部36が当接して移動する被回転伝達ストッパー33の動きがスムーズに制御される。
【0026】
第2ヒンジ構成体3Bの略中央には、外周に凸状の回転伝達部36が設けられたプラスチック製の回転円筒軸部35が設けられている。一方、第1ヒンジ構成体3Aには、回転円筒軸部35を挿通する挿通孔31が設けられている。
前記回転伝達部36が被回転伝達ストッパー33の端部33aに当接して左右いずれかに180°の角度でハンドル4が止まるような配置で、回転式ヒンジ構造3の第1ヒンジ構成体3Aには被回転伝達ストッパー33の移動を拘束する湾曲状の溝部34が形成されている。
そして、第1ヒンジ構成体3Aの挿通孔31の外周近傍には所定範囲で移動可能な被回転伝達ストッパー33が設けられている。この被回転伝達ストッパー33は、金属製又はプラスチック製又はラバー樹脂製で成る。
なお、被回転伝達ストッパー33は、その大きさ・形状や移動可能領域を変えることにより、後述するハンドル4の回転角度が変更可能である。
【0027】
詳述すると、
図12に示したような湾曲状の溝部34を有す上部ブロック34’は、
図4Aと
図1に示したように、通孔31に挿通された回転円筒軸部35の外周位置で、固定板30cの上面に固定されている。そして、湾曲状溝部34は、回転円筒軸部35の外周に沿って同回転円筒軸部35を中心に約120°位の開き角度となるように形成されている。
そして、湾曲状溝部34の内部の被回転伝達ストッパー33が、回転円筒軸部35を挟み凸状回転伝達部36に対向する位置にて、前記の湾曲状溝部34内で移動可能なように設定されている。
【0028】
したがって、
図10Aに示したような垂直部2に対し直線配置の前記ハンドル4を左方向Sに回転することにより、回転円筒軸部30の凸状回転伝達部36が被回転伝達ストッパー33の一端部33aに当接し、押し進められた被回転伝達ストッパー33は、その他端部33aが湾曲状溝部34の端部位置で停止される(
図6B)。このとき回転したハンドル4は、
図9の左側に図示したような軌跡(同図中の符号A→B→C→D→E)を描いて180°の左回転された位置に折り畳まれて止まる(
図10参照)。
同様に、
図10Aに示したような垂直部2に対し直線配置の前記ハンドル4を右方向Rに回転すると、回転円筒軸部30の凸状回転伝達部36が被回転伝達ストッパー33の一端部33aに当接し、押し進められた被回転伝達ストッパー33は、その他端部33aが湾曲状溝部34の端部位置で停止される(
図6A)。このとき回転したハンドル4は、
図9の右側に一部省略して図示したような軌跡(同図中の符号A→F→E)を描いて180°の右回転された位置に折り畳まれて止まる(
図10参照)。
かくして、ハンドル4が、その回転円筒軸部35の凸状回転伝達部36に対し180°の対向位置にあって移動可能な回転伝達ストッパー33の干渉により、上死点から下死点への回転移動が可能であって、左右いずれの方向S、Rへも本体ハウジングの1の軸方向Kに対し斜めから回転しながら所定位置まで折り畳まれる構成となっている。
【0029】
<第2実施例>
図16に示した本実施例は、上述した第1実施例の回転式ヒンジ構造3の第2ヒンジ構成体3Bを、逆に本体ハウジング1の垂直部2’に固定し、第1ヒンジ構成体3Aはハンドル4’に回転自在に固定されて成り、上述第1実施例と同様に、ハンドル4を左右いずれの方向にも回転して折り畳むことができる。すなわち、上述した第2ヒンジ構成体3Bを同
図16に示したような垂直部2’の傾斜する接続面20’の中央開口部21’に取り付け、第1ヒンジ構成体3Aはハンドル4’の傾斜する接続面40’の中央開口部41’に取り付けることによっても好適に実施され、左右いずれの方向にも自由にハンドル4’を回転して折り畳むことができる。
もちろん、垂直部2に固定した第2ヒンジ構成体の中空部38に、配線導体50を挿通できて回転の信頼性が高められている。
なお、第1ヒンジ構成体3Aと第2ヒンジ構成体3Bの各構成は、上述第1実施例と同様なので説明は省略する。
【0030】
以上、実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
【符号の説明】
【0031】
1 本体ハウジング
2 垂直部
20 接続面(傾斜面)
3 回転式ヒンジ構造
3A 第1ヒンジ構成体
31 挿通孔
32 凹部
33 被回転伝達ストッパー
33a 端部
34 湾曲状の溝部
3B 第2ヒンジ構成体
35 (回転円筒)軸部
36 凸状の回転伝達部
37 凸部
38 中空部
39 弾性部材
4 ハンドル
40 接続面(傾斜面)
50 導体
6 ヘアードライヤー
K 軸方向
S 左方向
R 右方向
【要約】
【課題】左右いずれの方向にも回転して折り畳むことができ、回転式ヒンジ構造の内部に配線導体を挿通できて回転の信頼性ある美容機器の回転式ハンドルを提供する。
【解決手段】垂直部2とハンドル4の接続面20、40に備わる回転式ヒンジ構造3は、垂直部2に固定される第1ヒンジ構成体3Aと、ハンドル4に回転自在に固定される第2ヒンジ構成体3Bとで成り、第2ヒンジ構成体3Bには回転伝達部36付きの軸部35が設けられ、第1ヒンジ構成体3Aには軸部35を挿通する挿通孔31が設けられ、その外周に回転伝達部36が当接することにより所定範囲で移動可能な被回転伝達ストッパー33が設けられ、ハンドル4が左右いずれの方向S、Rへも所定位置まで回転自在である。
【選択図】
図1