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特許7622325ネットワークスイッチ及びそのデュアルホーミングのリンク回復方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】ネットワークスイッチ及びそのデュアルホーミングのリンク回復方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 45/247 20220101AFI20250121BHJP
   H04L 45/28 20220101ALI20250121BHJP
【FI】
H04L45/247
H04L45/28
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023126958
(22)【出願日】2023-08-03
(65)【公開番号】P2025001609
(43)【公開日】2025-01-08
【審査請求日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】112123137
(32)【優先日】2023-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】506080739
【氏名又は名称】四零四科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Moxa Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】高 長揚
【審査官】速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-078157(JP,A)
【文献】特開平10-257580(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0267081(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0247754(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101534211(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 45/247
H04L 45/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークスイッチに用いられるデュアルホーミングのリンク回復方法であって、
前記ネットワークスイッチは、プライマリポートによってプライマリリンクを通じて第1のネットワーク装置にカップリングされ、かつ、バックアップポートによってバックアップリンクを通じて第2のネットワーク装置にカップリングされ、
前記リンク回復方法は、
前記バックアップポートがフォワーディング(forwarding)状態である時、前記バックアップポートによって第1の複数のデータパケットを受信し、第1のパケット情報を取得するステップと、
前記プライマリリンクの電気信号が検出されたことに応じて、前記プライマリポートを学習状態に変換し、かつ、前記プライマリポートによって第2の複数のデータパケットを受信し、第2のパケット情報を取得するステップと、
前記第1のパケット情報と前記第2のパケット情報を比較して、比較結果を取得するステップと、
前記比較結果に基づいてリンクを切り換えるステップとを含む、リンク回復方法。
【請求項2】
前記第2のネットワーク装置は、前記第1のネットワーク装置のバックアップを行う、請求項1に記載のリンク回復方法。
【請求項3】
前記第1のネットワーク装置と前記第2のネットワーク装置は同一の装置であり、かつ、前記プライマリリンクと前記バックアップリンクは異なるネットワークインターフェースコントローラ(network interface controller、NIC)にカップリングされる、請求項1に記載のリンク回復方法。
【請求項4】
前記第1のパケット情報は、前記第1の複数のデータパケットのソースメディアアクセス制御(Media Access Control、MAC)アドレスを含み、前記第2のパケット情報は、前記第2の複数のデータパケットのソースメディアアクセス制御アドレスを含む、請求項1に記載のリンク回復方法。
【請求項5】
前記比較結果に基づいてリンクを切り換えるステップは、前記比較結果が前記第2のパケット情報の中のソースメディアアクセス制御アドレスと前記第1のパケット情報の中のソースメディアアクセス制御アドレスとが同じであることを示した時、リンクを切り換えることを含む、請求項に記載のリンク回復方法。
【請求項6】
前記比較結果に基づいてリンクを切り換えるステップは、前記プライマリポートの状態をフォワーディング状態に変換し、及び、前記バックアップポートの状態をブロッキング(blocking)状態に変換する、請求項1に記載のリンク回復方法。
【請求項7】
ネットワークスイッチであって、
プライマリリンクによって第1のネットワーク装置にカップリングされるプライマリポートと、
バックアップリンクによって第2のネットワーク装置にカップリングされるバックアップポートと、
プログラムコードを実行する処理ユニットと、
前記処理ユニットにカップリングされ、前記プログラムコードを記憶して、前記処理ユニットに対しデュアルホーミングのリンク回復方法の実行を指示する記憶ユニットとを含み、
前記リンク回復方法は、
前記バックアップポートがフォワーディング(forwarding)状態である時、前記バックアップポートによって第1の複数のデータパケットを受信し、第1のパケット情報を取得するステップと、
前記プライマリリンクの電気信号が検出されたことに応じて、前記プライマリポートを学習状態に変換し、かつ、前記プライマリポートによって第2の複数のデータパケットを受信し、第2のパケット情報を取得するステップと、
前記第1のパケット情報と前記第2のパケット情報を比較して、比較結果を取得するステップと、
前記比較結果に基づいてリンクを切り換えるステップとを含む、ネットワークスイッチ。
【請求項8】
前記第2のネットワーク装置は前記第1のネットワーク装置のバックアップを行う、請求項に記載のネットワークスイッチ。
【請求項9】
前記第1のネットワーク装置と前記第2のネットワーク装置は同一装置であり、かつ、前記プライマリリンクと前記バックアップリンクは異なるネットワークインターフェースコントローラ(network interface controller、NIC)にカップリングされる、請求項に記載のネットワークスイッチ。
【請求項10】
前記リンク回復方法において、前記第1のパケット情報は、前記第1の複数のデータパケットのソースメディアアクセス制御(Media Access Control、MAC)アドレスを含み、前記第2のパケット情報は、前記第2の複数のデータパケットのソースメディアアクセス制御アドレスを含む、請求項に記載のネットワークスイッチ。
【請求項11】
前記リンク回復方法において、前記比較結果に基づいてリンクを切り換えるステップは、前記比較結果が前記第2のパケット情報の中のソースメディアアクセス制御アドレスと前記第1のパケット情報の中のソースメディアアクセス制御アドレスとが同じであることを示した時、リンクを切り換えることを含む、請求項10に記載のネットワークスイッチ。
【請求項12】
前記リンク回復方法において、前記比較結果に基づいてリンクを切り換えるステップは、前記プライマリポートの状態をフォワーディング状態に変換し、及び前記バックアップポートの状態をブロッキング(blocking)状態に変換する、請求項に記載のネットワークスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はネットワーク装置及びリンク回復方法に関し、特にデュアルホーミングを用いたネットワーク装置及びそのリンク回復方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生産力、コストに対する産業界の要求が益々高まるなか、生産設備をネットワークに接続する流れは定着しつつある。ネットワークへの接続により、機械装置を跨いだデータ収集と解析が可能になるため、製造工程のスピード、柔軟性及び効率を向上させ、コストを削減するとともに、より高品質の製品を生産できる。しかし、ネットワークへの依存度が高まるにつれて、ネットワーク接続の信頼性と安定性を如何に確保するかが関心を集める課題の一つになっている。
【0003】
ネットワークに接続されたデバイスの通信安定性を確保するために、従来技術は、デュアルホーミング(二重化とも称す、Dual-homing)といった経路バックアップ機構を用いて、単一回線または単一ネットワーク装置の故障でネットワークが切断されるリスクを回避する方法を提案した。デュアルホーミング機構は、通常、2つの物理リンクを通じて、ネットワークスイッチの2つの異なる(通信)ポートから、同一装置の異なるネットワークインターフェースカード、または相互にバックアップする2つの異なる装置にそれぞれ接続される。デュアルホーミングにおいて、ネットワークスイッチのうちの一つのポートはプライマリポートとしてプライマリリンクに接続されてデータパケットを転送し、もう一つのポートはバックアップポートとしてバックアップリンクに接続されて、待機状態にある。プライマリポートに接続のプライマリリンクがリンクダウン(link-down)した場合、プライマリリンクのリンクアップ(link-up)が回復するまで、プライマリリンクの代わりにバックアップポートに接続されたバックアップリンクを用いてデータパケットを転送しなければならない。
【0004】
しかし、従来技術におけるリンクアップが回復したか否かの判断は、一般的に、物理層(OSI L1)が電気信号を受信したか否かのみに頼るため、接続されたネットワーク装置が完全に正常な動作に回復したか否かを正確に判断できない。この場合、ネットワークスイッチがリンクの電気信号を受信したとしても、接続されたネットワーク装置は実際にデータの送受信を開始できない可能性がある。そのため、ネットワークスイッチがリンクの電気信号を受信して直ちにリンクを切り換える時、パケットロスが発生し、パケットロス率の低いアプリケーション要件を満せない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、接続されたネットワーク装置の完全な動作回復を先に確保したうえで、リンクを切り換え、パケットロス率を最大限に低減させるデュアルホーミングを行うネットワークスイッチ及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例は、ネットワークスイッチに用いられるデュアルホーミングのリンク回復方法を開示する。前記ネットワークスイッチは、プライマリポートがプライマリリンクによって第1のネットワーク装置に接続され、かつ、バックアップポートがバックアップリンクによって第2のネットワーク装置に接続される。前記リンク回復方法は、前記バックアップポートがフォワーディング状態である時、前記バックアップポートによって第1の複数のデータパケットを受信して第1のパケット情報を取得するステップと、前記プライマリリンクの電気信号が検出されたことに応じて、前記プライマリポートによって第2の複数のデータパケットを受信して第2のパケット情報を取得するステップと、前記第1のパケット情報と前記第2のパケット情報を比較して比較結果を取得するステップと、前記比較結果に基づいてリンクを切り換えるステップとを含む。
【0007】
本発明の実施例は、さらに、プライマリポート、バックアップポート、処理ユニット及び記憶ユニットを含むネットワークスイッチを開示する。前記プライマリポートはプライマリリンクによって第1のネットワーク装置にされ、前記バックアップポートはバックアップリンクによって第2のネットワーク装置に接続され、前記処理ユニットはプログラムコードを実行し、前記記憶ユニットは前記処理ユニットにカップリングされ、前記プログラムコードを記憶して、前記処理ユニットにデュアルホーミングのリンク回復方法の実行を指示する。前記リンク回復方法は、前記バックアップポートがフォワーディング状態である時、前記バックアップポートによって第1の複数のデータパケットを受信して第1のパケット情報を取得するステップと、前記プライマリリンクの電気信号が検出されたことに応じて、前記プライマリポートによって第2の複数のデータパケットを受信して、第2のパケット情報を取得するステップと、前記第1のパケット情報と前記第2のパケット情報を比較して、比較結果を取得するステップと、前記比較結果に基づいてリンクを切り換えるステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ネットワークシステムの概略図である。
図2】ネットワークシステムがバックアップを行う場合の概略図である。
図3】ネットワークシステムのリンク切り換えが早過ぎる場合の概略図である。
図4】本発明の実施例のリンク回復フローの概略図である。
図5】本発明の実施例のネットワークシステムによるリンク回復フローの概略図である。
図6】本発明の実施例のネットワークシステムによるリンク回復フローの概略図である。
図7】本発明の実施例のネットワークスイッチが同一装置の異なるネットワークインターフェースコントローラーでデュアルホーミングを行うバックアップ機構である場合の概略図である。
図8】本発明の実施例のバックアップ装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び後述の特許請求の範囲において、特定の部材を示す一部用語が使用されている。当業者は、同じ部材であってもハードウェアメーカーによって名称が異なることを理解できる。本明細書及び後述の特許請求の範囲において、名称の違いで部材を区別するのではなく、部材の機能上の違いを区別の基準とする。本明細書及び後述の特許請求の範囲全体において言及される「含む」とは、オープンな用語であるため、「含むが、これに限定されない」と解すべきである。また、「カップリング」とは、直接及び間接的な電気的接続手段を含む。したがって、第1の装置が第2の装置にカップリングされると記載された場合、第1の装置が第2の装置に直接電気的に接続されるか、またはその他の装置若しくは接続手段によって間接的に第2の装置に電気的に接続されることを意味する。
【0010】
図1を参照すると、図1はネットワークシステム1の概略図である。ネットワークシステム1は、ネットワークスイッチ10及び2つのネットワーク装置20_1、20_2を含み、かつ、ネットワーク装置20_1、20_2は相互にバックアップする装置であり、ネットワークスイッチ10はそのデュアルホーミング機能を担うバックアップ機構である。具体的には、ネットワークスイッチ10は、プライマリポートP1によって、プライマリリンクL1を通じてネットワーク装置20_1に接続されるとともに、プライマリポートP2によって、プライマリリンクL2を通じてネットワーク装置20_2に接続される。図1に示すように、一般的に、ネットワーク装置20_1は主要(プライマリ)装置としてデータパケットの送受信を行い、ネットワーク装置20_2はネットワーク装置20_1の予備(バックアップ)装置として待機する。
【0011】
具体的な動作において、ポートP1、P2の状態はブロッキング(blocking)状態とフォワーディング(forwarding)状態に分けられる。フォワーディング状態のポートをよって、ネットワークスイッチ10は任意の種類のパケットを送受信することができ、これによってデータパケットの転送を行う。一方、ブロッキング状態のポートは、制御パケットのみを受信し、受信したその他の種類のパケットを破棄する。図1に示すように、一般的に、ネットワーク装置20_1及びプライマリリンクL1が正常に動作している場合、プライマリポートP1の状態がフォワーディング状態(Fと表示)であり、バックアップポートP2の状態がブロッキング状態(Bと表示)である。この場合、データパケットは、経路R1で伝送されて、通信が行われる。
【0012】
次に、図2を参照すると、図2はネットワークシステム1がバックアップを行う概略図であり、ネットワーク装置20_1が故障した場合を示している。この場合、ネットワークスイッチ10のプライマリポートP1の状態がブロッキング状態であり、バックアップポートP2の状態がフォワーディング状態である。この場合、ネットワーク装置20_2はネットワーク装置20_1のバックアップを行い、バックアップリンクL2はプライマリリンクL1に代わって、データパケットの転送を行う。この場合、データパケットは経路R2で伝送されて、通信を行うことができる。一方、ネットワーク装置20_1の動作が回復すると、プライマリリンクL1が再開通し、図1が示す動作状態に戻る。即ち、プライマリポートP1の状態が再びフォワーディング状態に変わり、データパケットの転送を再開し、バックアップポートP2の状態が再びブロッキング状態に変わって待機を続ける。このように、ネットワークシステム1は通常の動作モードに回復することができる。
【0013】
一般的に、従来技術は、ポートP1からプライマリリンクL1の電気信号を受信できるか否かに基づいて、プライマリリンクL1を再開通させて通常の動作モードに戻すか否かを決定する。しかし、実際には、このような方法でネットワーク装置20_1が完全に正常な動作に回復したか否かを正確に判断できない。図3を参照すると、図3はネットワーク装置20_1が準備未完のまま(正常な動作にまだ完全回復していない状態で)、ネットワークシステム1がリンクを切り換えた場合の概略図である。図3が示すように、従来技術において、ネットワークスイッチ101がプライマリリンクL1の電気信号を検出すると、直ちにリンクを切り換える。この時、プライマリポートP1の状態はデータパケットの転送を行うようにフォワーディング状態に変わり、バックアップポートP2の状態はブロッキング状態に変わって待機を続ける。ただし、注意すべきなのは、この時点でネットワーク装置20_1はまだ準備が整っていないためデータパケットの処理ができず、バックアップ用のネットワーク装置20_2との動作の交代も未完了であるため、ネットワーク通信が中断されることになる。例えば、ダウンリンクデータは経路R4を通って、プライマリポートP1及びプライマリリンクL1によって、準備が整っていないネットワーク装置20_1に送られるため、処理されない。一方、アップリンクデータは、経路R3を通って、バックアップリンクL2によってブロッキング状態のバックアップポートP2に送られるため、そのまま廃棄されることになる。そのため、この期間におけるデータパケットが失われるという重大な結果になる。
【0014】
したがって、先行技術の欠点を改善すべく、本発明の実施例は、ネットワーク装置20_1が完全に動作状態に回復するタイミングを検出し、それに応じてリンクを切り換えて、プライマリリンクL1の通信を再開できるデュアルホーミングのリンク回復方法を提供する。前記リンク回復方法について、図4が示すように、リンク回復プロセス40にまとめることができる。リンク回復プロセス40は、以下のステップを含む。
【0015】
ステップ400:開始。
【0016】
ステップ402:バックアップポートP2がフォワーディング状態である時、バックアップポートP2によって第1の複数のデータパケットを受信して第1のパケット情報を取得する。
【0017】
ステップ404:プライマリリンクL1の電気信号が検出されたか否かを判断する。そうであれば(「はい」であれば)、ステップ406を実行し、そうでなければ(「いいえ」の場合)、ステップ402を実行する。
【0018】
ステップ406:プライマリポートP1を学習状態に変換する。
【0019】
ステップ408:プライマリポートP1によって第2の複数のデータパケットを受信し、第2のパケット情報を取得する。
【0020】
ステップ410:第1のパケット情報と第2のパケット情報を比較し、比較結果を取得する。
【0021】
ステップ412:比較結果に基づいて、経路を切り換えるか否かを判断する。そうであれば(「はい」であれば)、ステップ414を実行し、そうでなければ(「いいえ」であれば)、ステップ408を実行する。
【0022】
ステップ414:リンクの切り換えを行う。
【0023】
ステップ416:終了。
【0024】
簡単に言うと、ネットワークスイッチ10は、バックアップリンクL2を通してデータの転送を行う際に、バックアップポートP2によって第1の複数のデータパケットを受信し、第1のパケット情報(ステップ402)を取得する。ネットワークスイッチ10がプライマリリンクL1の電気信号を検出した場合、さらに、プライマリリンクL1に接続されたネットワーク装置20_1が完全に動作を回復したか否かを判断する必要があり(ステップ404)、プライマリリンクL1の電気信号を受信しなかった場合、続けて第1のパケット情報を取得する。ネットワークスイッチ10がプライマリリンクL1の電気信号を検出した場合、ネットワークスイッチ10はまずプライマリポートP1の状態を学習(learning)状態に変換する必要がある(ステップ406)。この状態において、プライマリポートP1はデータパケットの転送を行わないが、データパケットを受信することができる。したがって、ネットワークスイッチ10は、プライマリポートP1によって、ネットワーク装置20_1からの第2の複数のデータパケットを受信して、第2のパケット情報を取得することができる(ステップ408)。ネットワークスイッチ10は、第2のパケット情報と第1のパケット情報とを比較し(ステップ412)、かつ、比較結果に基づいて、リンクを切り換えて(ステップ414)プライマリリンクL1によるデータ転送を再開するか否かを決定する。これにより、ネットワークスイッチ10は、ネットワーク装置20_1が完全に動作を再開した後、リンクを切り換えることができる。
【0025】
具体的には、ステップ402において、ネットワークシステム1の動作状態は図5が示すように、データパケットが経路R2を経由して、バックアップポートP2とバックアップリンクL2によって、ネットワークスイッチ10とバックアップのネットワーク装置20_2との間に伝送される。この場合、バックアップポートP2はフォワーディング状態であり、ネットワークスイッチ10は、バックアップポートP2によって、ネットワーク装置20_1から受信した第1の複数のデータパケットDP1を転送することができる。第1の複数のデータパケットDP1に基づき、ネットワークスイッチ10は、第1のパケット情報を取得して記憶することができる。第1のパケット情報は、第1の複数のデータパケットDP1のソースメディアアクセス制御(Media Access Control、MAC)アドレスを含むことができ、これにより、ネットワークスイッチ10は、ネットワーク装置20_2によって転送されるデータパケットが、どのMACアドレスの装置に由来するかを観察することができる。ネットワークスイッチ10は、各パケットのソースMACアドレスのエージング(aging)時間を設定し、エージング時間内の情報のみを保持して、第1のパケット情報のデータ量が爆増することを回避できる。
【0026】
第1のパケット情報を取得すると同時に、ステップ404において、ネットワークスイッチ10はプライマリリンクL1の状態を監視し続ける。ネットワークスイッチ10はプライマリリンクL1の電気信号を検出すると、ステップ406でプライマリポートP1を学習状態に変換する。図6を参照すると、図6はネットワークシステム1がプライマリリンクL1の電気信号を検出した場合の概略図である。図6が示すように、この状態では、プライマリリンクL1の電気信号を検出したが、ネットワークスイッチ10は依然としてネットワーク装置20_1の動作状態を取得できない。したがって、バックアップポートP2の状態はフォワーディング状態を維持し、データパケットは依然として経路R2で転送され、プライマリポートP1は学習状態に変換される(Lで表示)。ブロッキング状態と比較すると、この時のプライマリポートP1はデータパケットを受信し、かつ、ネットワーク装置20_1からのデータパケットの受信を待つことができる。ネットワーク装置20_1が動作を再開して、パケットの送信を開始すると、ネットワークスイッチ10は、プライマリポートP1によって、ネットワーク装置20_1からのパケットを受信することができる。
【0027】
引き続き図6を参照すると、ステップ408において、ネットワーク装置20_1が動作を再開すると、自らバックアップのネットワーク装置20_2と交代を行って、リンクアップデータの転送を開始する。これと同時に、ネットワークスイッチ10はネットワーク装置20_1の動作状態を知らないが、プライマリポートP1経由でネットワーク装置20_1からのパケットを断続的に受信することができる。これにより、ネットワークスイッチ10は、第2の複数のデータパケットDP2を取得し、第2の複数のデータパケットDP2から第2のパケット情報を取得する。第2のパケット情報は、主に、第2の複数のデータパケットDP2のソースMACアドレスを含み、これにより、ネットワークスイッチ10は、ネットワーク装置20_1によって転送されるデータパケットが、どのMACアドレスの装置に由来するかを観察することができる。
【0028】
ステップ410において、ネットワークスイッチ10は、断続的に取得した第2のパケット情報と第1のパケット情報とを比較して、比較結果を取得する。第2のパケット情報に第1のパケット情報と同じソースMACアドレスが含まれている場合(言い換えれば、本来リンクL2によって送信されたデータストリームは、リンクL1によって送信されるように変更された)、ネットワークスイッチ10は、ネットワーク装置20_1が完全に動作を再開したと判断できる。即ち、ネットワーク装置20_1は、ネットワーク装置20_2との交代を完了し、かつデータの転送動作を開始している。このように、ネットワークスイッチ10は、比較結果に基づいてリンクの切り換えが必要であるか判断できる。逆に、第2のパケット情報に第1のパケット情報と同じソースMACアドレスが含まれていない場合、ネットワーク装置20_1の準備はまだ十分ではないことを意味する。この場合、リンクの切り換えを保留し、ステップ408に戻って第2の複数のデータパケットDP2の受信を待機し続ける。
【0029】
最後に、ステップ414において、ネットワークスイッチ10はリンクの切り替えを行う。この時、ネットワークスイッチ10はデータパケットのソースMACアドレスを観測することにより、既にネットワーク装置20_1が完全に動作を再開したことを検出しているため、プライマリポートP1とリンクL1でデータ転送を行う通常の状態に回復する必要がある。即ち、ネットワークスイッチ10は、バックアップポートP2の状態をフォワーディングからブロッキングに変換し、プライマリポートの状態を学習からフォワーディングに変換し、データパケットを再び経路R1で転送するように、即ち、図1が示す状態にする必要がある。
【0030】
これにより、ネットワークスイッチ10は、データパケットのソースMACアドレスを観察することにより、ネットワーク装置20_1が完全に動作を再開したか否かを検出し、ネットワーク装置20_1が完全に動作を再開すると直ちに経路を切り換える。この場合、ネットワークスイッチ10は、ネットワーク装置20_1に追加の制御パケットを送信して確認を行う必要がないため、本発明の実施例の方法は様々な異なるメーカーの設備に適用可能である。また、ネットワークスイッチ10は、リンク回復プロセス40における検出方法により、ネットワーク装置20_1の完全なる動作再開を待つための余分な遅延時間を設ける必要がないため、設備故障後の再起動時に時間差によって発生するパケットロス率を大幅に低減できる。
【0031】
なお、ネットワークシステム1において、ネットワーク装置20_1、20_2は相互にバックアップする装置であり、ネットワークスイッチ10はそのデュアルホーミングを実行するバックアップ機構である。しかし、本発明の実施例の方法は、1対2の装置接続方式に限定されない。例えば、ネットワーク装置10は、複数ペアの相互にバックアップするネットワーク装置それぞれにおいて、デュアルホーミングのバックアップ機構を同時に実行することができる。さらに、本発明の実施例の方法は、ネットワーク装置20_1、20_2間の協力方式を干渉することなく、リンクの状態及び伝送されるパケットのみに基づいて検出を行って、デュアルホーミングのバックアップ効果を達成できる。
【0032】
別の側面として、ネットワークスイッチ10は、同じ装置の異なるネットワークインタフェースコントローラ(network interface controller、NIC)のための、デュアルホーミングのバックアップ機構を実行することもできる。図7を参照すると、図7は、ネットワークスイッチ10が、同じ装置の異なるネットワークインタフェースコントローラのデュアルホーミングのバックアップ機構を実行する概略図である。図7が示すように、ネットワーク装置20_3は大型のサーバであり、2つのネットワークインターフェースコントローラ(図示せず)を含み、それぞれポートP5、P6に接続されるものであってもよい。ネットワークスイッチ10のプライマリポートP1は、プライマリリンクL1によってネットワーク装置20_3のポートP5に接続され、バックアップポートP2はバックアップリンクL2によってポートP6に接続される。一般的に、データパケットは経路R5で転送され、ポートP5に対応するネットワークインタフェースコントローラが故障または無効になった場合、データパケットは経路R6で転送されるように変更される。
【0033】
リンク回復プロセス40によって、ポートP5に対応するネットワークインターフェースコントローラが故障または無効になった場合、ネットワークスイッチ10はバックアップポートP2を通じて第1の複数のデータパケットを受信して第1のパケット情報を取得する(ステップ402)。ポートP5に対応するネットワークインターフェースコントローラが運転を回復する可能性がある時、ネットワークスイッチ10はまずプライマリポートP1でプライマリリンクL1の電気信号(ステップ404)を検出し、かつ、プライマリポートP1の状態を学習状態(ステップ406)に変換する。次に、ネットワークスイッチ10は、プライマリポートP1を通じて第2の複数のデータパケットを受信し、第2のパケット情報を取得する(ステップ408)。第1のパケット情報と第2のパケット情報とを比較した後(ステップ410)、ネットワークスイッチ10は、ポートP5に対応するネットワークインターフェースコントローラが完全に動作を回復したか否かを判断し(ステップ412)、最後に、これに基づいてリンクを切り換える(ステップ414)。
【0034】
さらに、図8を参照すると、本発明の実施例の装置8の概略図である。装置8は、本発明の実施例のネットワークスイッチ10を実現できる。図8が示すように、装置8は、処理ユニット80及び記憶ユニット82を含む。処理ユニット80は、汎用プロセッサ、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)など、またはこれらの組み合わせであってもよい。記憶ユニット82は、処理ユニット80にカップリングされる、任意のデータ記憶装置であって、プログラムコード820を記憶し、かつ処理ユニット80によってプログラムコード820を読み取って実行することができる。例えば、記憶ユニット82は、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ(flash memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスク及び光学データ記憶装置(optical data storage device)、及び非揮発性記憶ユニットなどであってもよいが、これらに限定されない。また、装置8はさらに複数のポート(図示せず)を含み、それぞれデュアルホーミングのバックアップを行う異なる装置または異なるネットワークインタフェースコントローラに接続される。
【0035】
装置8は本発明の実施例を実施するために必要な要素を表し、当業者は様々な修飾、調整を行うことができるが、これに限定されない。例えば、装置8によりネットワークスイッチ10を実現する場合、リンク回復プロセス40をプログラムコード820にコンパイルして、記憶ユニット82に記憶し、処理ユニット80によってリンク回復方法を実行することができる。また、記憶ユニット82は、第1のパケット情報、第2のパケット情報などのリンク回復方法の実行に必要な情報も記憶するが、これに限定されない。
【0036】
前記のように、本発明は、デュアルホーミングを実行するネットワークスイッチ及び方法を提供し、データパケットのソースMACアドレスを観察することによって、接続されたネットワーク装置が完全に動作を再開したか否かを検出する。これにより、接続されたネットワーク装置の準備が整った後に、リンクを切り換えることができ、パケットロス率を最大限に低減することができる。
【0037】
以上は本発明の好ましい実施例であり、本発明の特許請求の範囲において行われた均等な変更及び修飾は、すべて本発明の範囲に属する。
【符号の説明】
【0038】
1 ネットワークシステム
10 ネットワークスイッチ
20_1, 20_2, 20_3 ネットワーク装置
P1 プライマリポート
P2 バックアップポート
P3~P5 ポート
L1 プライマリリンク
L2 バックアップリンク
R1~R6 経路
DP1 第1の複数のデータパケット
DP2 第2の複数のデータパケット
F フォワーディング状態
B ブロッキング状態
L 学習状態
40 プロセス
400~416 ステップ
8 装置
80 処理ユニット
82 記憶ユニット
820 プログラムコード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8