(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】自動車用仮設ベッド及び自動車用仮設ベッド施工方法
(51)【国際特許分類】
A47C 17/80 20060101AFI20250121BHJP
B60P 3/345 20060101ALI20250121BHJP
B60P 3/39 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
A47C17/80
B60P3/345
B60P3/39
(21)【出願番号】P 2020175645
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000190596
【氏名又は名称】新居 敏春
(72)【発明者】
【氏名】新居 敏春
【審査官】白土 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-323582(JP,A)
【文献】実開昭59-137851(JP,U)
【文献】実開昭55-111829(JP,U)
【文献】特開平10-278664(JP,A)
【文献】韓国登録特許第1228563(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第2012-0045301(KR,A)
【文献】米国特許第06230340(US,B1)
【文献】実開昭61-029647(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0344719(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3851319(EP,A1)
【文献】200系ハイエースワイドS-GL2段ベッド展開可能!ファミリー・ビジネストランポ,OGUshowウェブサイト [online],OGUshow,2015年04月25日,[2024年7月5日検索], <URL: https://web.archive.org/web/20150425182738/https://www.do-blog.jp/tranpo/article/2650/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 43/00-45/00
A47B 47/00-47/06
A47C 7/00-7/74
A47C 17/00-23/34
A47C 29/00
B60N 3/00
B60P 3/00-9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車におけるドア間または/及びガラス窓間に架設すべく、ターンバックルの一方に右ネジを、他方に左ネジを螺設すると共に、ドア枠頂部に着脱自在に取り付けるべく、クッション部を設けた受部を右ネジ及び左ネジに設けてなり、ターンバックルを回転させることにより左右に伸縮する架設具を設けてなり、前記受部が略L字形板であり、前記受部は、左ネジ及び右ネジに固着してなり、前記ターンバックルに、高さ調整を行うべく、雌ネジ部を左右に2箇所設け、この雌ネジ部に上部にベッド受板を設けた回転自在な雄ネジを螺入してなる調整具を設けてなり、前記架設具の上面に載置する前ベッド板と後ベッド板より構成する平板状のベッド板を設け、前ベッド板の上部右側あるいは上部左側にハンドル部用カバーを設けてなることを特徴とする自動車用仮設ベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車における特にワンボックスやステーションワゴンに取り付ける自動車用仮設ベッド及び自動車用仮設ベッド施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、車体後部にシンクユニットを設け、このシンクユニットの上部に着脱自在な第1~第3カバー部材を被せ、シンクユニットと後部座席の間にベッド部材を収容する。又、車体のルーフレールに折畳み自在なルーフテントを取り付け、ドアガラスに網戸を取り付ける。そして、ベッド部材は傾倒させた後部座席の上部にセットされて第1~第3カバー部材と一体に室内ベッドを構成し得るようにし、ルーフテントを展張させて室外ベッドを形成する。又、ルーフレールの先端側を、センタピラーより前方に延出させ、このセンタピラーを挟んで前後にレール支持用のブラケットを配設するものがある。(特許文献1参照)
【0003】
また、別の従来技術として、後部ドアより出し入れ自在な荷物室に形成した貨客兼用車において、前記荷物室には後向きに引き出し可能な引出しを備え且つ上面が略水平なマット面に形成された収納ボックスを取り付けるとともに、荷物室の前方に位置する後部座席の背凭はその背面を該背凭の伏倒時に前記マット面に続いて略水平なベッド面を形成する副マット面に形成するものがある。(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-318780号公報
【文献】特開平8-132954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記前者のものは、シンクロユニットと後部座席の間にベッド部材を設けるもので、本発明のようなドア間に架設具を設け、その上にベッド板を設けるものではない。
【0006】
また、上記後者においては、荷物室には後向きに引き出し可能な引出しを備え、且つ、上面が略水平マット面に形成された収納ボックスを取り付けるもので、これもまた、本発明のようなドア間に架設具を設け、その上にベッド板を設けるものではない。
【0007】
本発明はこのような従来の構成が有していた問題を解決しようとするもので、特に災害時において、車の中で2段目のベッドとして使用すべく、前部席や後部席のドア間に架設具を設け、その上にベッド板を敷設するもので、なお、既設の各シートは水平に位置(倒して)させ、1段ベッドとして使用することのできる自動車用仮設ベッド及び自動車用仮設ベッド施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために、自動車におけるドア間または/及びガラス窓間に架設すべく、ターンバックルの一方に右ネジを、他方に左ネジを螺設すると共に、ドア枠頂部に着脱自在に取り付けるべく、クッション部を設けた受部を右ネジ及び左ネジに設けてなり、ターンバックルを回転させることにより左右に伸縮する架設具を設けてなること。前記受部が略L字形板であること。前記受部は、左ネジ及び右ネジに固着してなること。前記ターンバックルに、高さ調整を行うべく、雌ネジ部を左右に2箇所設け、この雌ネジ部に上部にベッド受板を設けた回転自在な雄ネジを螺入してなる調整具を設けてなること。前記架設具の上面に載置する平板状のベッド板を設けてなること。自動車におけるバックドアを内側から開放すべく、ロック部にロックできないためのロック防止具を設けてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
1)、自動車のドア間やガラス窓間に架設具を架設し、その上にベッド板を置くだけの簡単な構造でありながら、2段ベッドを設置することができる。
2)、架設具は、ターンバックルを回転することによりドア間に着脱自在に固定することにより設置でき、道具や特別な技術も必要ない。
3)、ベッド板も予め必要な大きさにカットしてあり、必要に応じて裏面にスベリ止めパットを設けることにより、ベッド板が移動することはない。
4)、受部を略L字形にすることにより、ドアのドア枠頂部の形状に合うものである。
5)、調整具により、特に前列のドア本体が前向斜状に形成されている自動車においては、前ベッド板を水平にする必要があり、雄ネジにて上下調整できるものである。
6)、ベッド板の前ベッド板の上部の右側あるいは左側にハンドル部用カバーを設けることにより、より広い範囲でのベッドを施工できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】 本発明の第1実施例を示す自動車用仮設ベッドの架設具の正面図。
【
図2】 本発明の第1実施例を示す自動車用仮設ベッドの架設具の要部の平面図。
【
図3】 本発明の第1実施例を示す自動車用仮設ベッドの前ベッド板の平面図。
【
図4】 本発明の第1実施例を示す自動車用仮設ベッドの後ベッド板の平面図。
【
図5】 本発明の第1実施例を示す自動車用仮設ベッドの取付状態の正面図。
【
図6】 本発明の第1実施例を示す自動車用仮設ベッドの架設具の施工状態平面図。
【
図7】 本発明の第1実施例を示す自動車用仮設ベッドの取付状態の平面図。
【
図8】 本発明の第2実施例を示す自動車用仮設ベッドの架設具の正面図。
【
図9】 本発明の第2実施例を示す自動車用仮設ベッドの架設具のベッド受板の底面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1は、架設具である。
2はターンバックルで、右端部に右ネジナット2aを、左端部に左ネジナット2bを設けてある。
3は、右ネジナット2aに螺入した右ネジ4の頭部に設けた右受部で、略L字形板3aの内側に同形のゴム製等によるクッション部3bを設けてある。
6は、左ネジナット2bに螺入した左ネジ5の頭部に設けた左受部で、略L字形板6aの内側に同形のゴム製等によるクッション部6bを設けてある。
7は前ベッド板で、前部席に対応すべく、上部右側にハンドル部用カバー7aを蝶番T・Tにて開閉自在に設けてある。(左ハンドル車の場合は、左側に設ける)
なお、必要に応じてセンターピラー部を避けるべく切欠部7bを設けてある。
8は後ベッド板で、前記前ベッド板7と連設するものである。(
図1・
図2・
図3・
図4)これらにより、自動車用仮設ベッドを構成する。
【0012】
つぎに、架設具1を使用した自動車用仮設ベッド施工方法について説明する。
自動車G特にワンボックスやステーションワゴンにおけるドア間DKに架設具1のターンバックル2を回転させることにより、ドア本体DHの上部に取り付けた受部6が左右に押圧され、クッション部材6bが適宜押され、略L字形板6にて架設される架設工程と、架設具1の上面に前ベッド板7及び後ベッド板8を載置する載置工程とからなる。(
図5・
図6・
図7)
【0013】
また、この自動車用仮設ベッド施工方法においては、架設具1を4本使用しているが、荷物を置くための荷台Nの両側にあるガラス窓M間にも架設具1を2本設けて使用することも一考である。
さらに、ハンドル部用カバー7あは取り外せるものとし、運転席側にある各スイッチを上方の空間より手を入れ(図示せず)作動することが出来、必要に応じて窓等を開閉できる。
さらにまた、前ベッド板7または/及び後ベッド板8の両側を略L字形板6aの上面に置く大きさにすることにより、剛性を向上させることができる。
【0014】
なお、自動車用仮設ベッド施工方法において、予め前列及び後列のシート(図示せず)は必要に応じて倒しておき、このシートでも寝ることができ、自動車用仮設ベッドは実質的な2段ベッドとして使用できるものである。
【0015】
つぎに、第2実施例の自動車用仮設ベッドについて説明する。
架設具21は、架設具1に対して調整具10を設けてなるものである。
この調整具10は、架設具1のターンバックル2の左右に設けた雌ネジMNに、上部に平板状のベッド受板11を設けたコの字形の受部11aに、回動自在な六角ボルトによる雄ネジ12を螺入してなるものである。(
図8・
図9)
【0016】
これは、特に前列のドア本体が前向き斜状に形成されている自動車においては、前ベッドを水平にするための雄ネジ12を回動させ、ベッド受板11を上下動させ調整するものである。
【0017】
自動車においては内側からバックドアを開けることができない車種も多く、その時内側から開放すべくロック部(凹凸形状)にロックできないためのカバーによるロック防止具(図示せず)を設けるのも一考である。
【0018】
なお、上記各実施例において、材質や大きさ等、必要に応じて決めればよい。
また、ベッド板の材質や大きさやカット形状(方向)も自由に設定すればよく、その上に布団を敷いてもよい。
さらに、架設具1(21)は前列及び後列のドア間や荷台のガラス窓間に取り付けられるもので、必要に応じてレイアウトを決めればよい。
さらにまた、使用できる車種も限定するものではなく、軽自動車や商用車にも使用できるものである。
【符号の説明】
【0019】
1―――架設具
2―――ターンバックル
3―――右受部
4―――右ネジ
5―――左ネジ
6―――左受部
7―――前ベッド板
8―――後ベッド板
G―――自動車
DK――ドア間
DH――ドア本体