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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】ステープル取り外し装置
(51)【国際特許分類】
   B25C 11/00 20060101AFI20250121BHJP
【FI】
B25C11/00 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020119478
(22)【出願日】2020-07-10
(65)【公開番号】P2021024076
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2019142574
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井形 和也
(72)【発明者】
【氏名】箱崎 克也
(72)【発明者】
【氏名】八木 信昭
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-047535(JP,A)
【文献】特開2019-22923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステープルにより綴じられた用紙束が載置される載置台と、
前記載置台に載置された前記用紙束を押さえる押さえ部と、
前記載置台の下方に位置し、前記載置台に載置される前記用紙束から前記ステープルを除去する除去部であって、前記用紙束と前記ステープルとの間に挿入可能な先端部を含除去部と、
前記除去部を移動させるモータを有する駆動部と、
を備え、
前記載置台は、前記先端部が突出可能な開口が設けられ、
前記先端部は、前記ステープルと前記用紙束との間に挿入されて前記ステープルの除去が開始される除去位置の手前から前記除去位置を通過して前記ステープルが前記用紙束から引き抜かれるまでの間、前記開口を介して前記載置台から突出した状態を維持しつつ、前記載置台に沿って直線的に移動する
ステープル取り外し装置。
【請求項2】
前記除去部の前記先端部は、前記除去部の待機位置である第1位置と前記除去位置である第2位置との間を前記載置台に沿って移動可能に構成され、前記先端部が前記第2位置に移動するとき、前記先端部が前記用紙束と前記ステープルとの間に挿入される、
請求項1に記載のステープル取り外し装置。
【請求項3】
前記除去部の先端部は、前記第1位置にあるとき、前記載置台の下方に位置する
請求項に記載のステープル取り外し装置。
【請求項4】
前記除去部の移動方向に沿って設けられ、前記除去部を前記載置台に沿って移動可能に案内する案内部を有する支持部材を備え、
前記除去部は、
前記除去部の先端部側に設けられ、前記案内部に係合する第1軸と、
前記案内部の基端部側に設けられ、前記案内部に係合する第2軸と、
を有し、
前記案内部は、前記除去部が前記第1位置にあるとき、前記第2軸が前記第1軸よりも前記載置台に対して近い位置となる形状で形成されている
請求項又はに記載のステープル取り外し装置。
【請求項5】
前記案内部は、前記除去部の先端部が少なくとも前記第2位置の手前から前記第2位置を通過するまでの間、前記第1軸及び前記第2軸が前記載置台に対して平行に移動可能な形状で形成されている
請求項に記載のステープル取り外し装置。
【請求項6】
前記駆動部は、前記モータの出力軸に少なくとも1以上のギアを介して接続され、幅方向に所定の間隔を空けて配置される一対のピニオンを有し、
前記除去部は、前記幅方向に前記所定の間隔を空けて進行方向に延びる一対のラックであって、前記一対のピニオンに係合するラックを有し、
前記ピニオンが回転して前記ラックが前記載置台に沿って移動することで、前記先端部が前記載置台に沿って直線的に移動する
請求項1からの何れか一項に記載のステープル取り外し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ステープル取り外し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、用紙束からステープルを取り外すステープル取り外し装置に関する技術が開示されている(例えば、特許文献1、2)。この種のステープル取り外し装置ステープル取り外し装置は、用紙束とステープルのクラウン部との間に楔状の板を挿入することで用紙束からステープルを取り外すものである。
【0003】
例えば、特許文献1には、ステープル除去手段が、シート束に対して鉛直方向下方位置に配置され、駆動手段により駆動され、鉛直方向下方位置からステープルを除去するステープル除去装置が開示されている。また、特許文献2には、前記脚部起立工程で前記ステープル針の両脚部を所定の状態に起立させ、前記綴り用紙に露出する前記ステープル針の中央本体部を、前記ステープル針の中央本体部と前記綴り用紙の面との距離を大きく離すように、前記綴り用紙と前記ステープル針との間に前記挿入起立フォーク突出片と平行移動する針抜き起立片を挿入する針抜き工程を具備するステープル針用ステープル取り外し装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-022923号公報
【文献】特許第5571264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来におけるステープル取り外し装置では以下のような問題がある。すなわち、特許文献1では、ステープル除去手段が回転して下方位置からステープルを除去するため、載置台から爪の高さが最大となるポイントが理論上1点しかなく、除去するステープルを上記ポイントに正確にセットしない場合には、爪がステープルのクラウン部と用紙面との間に挿入されず、ステープルの除去不良が発生してしまうという問題がある。
【0006】
また、特許文献2では、針抜き起立片を平行移動させるのでステープルの除去ポイントが点ではなく面となるが、針抜き起立片が載置台と平行に移動する際にその先端部がステープルのクラウン部に引っ掛かってしまう場合があり、針抜き起立片をクラウン部と用紙面との間に円滑に挿入できないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題を解決するために、用紙束からステープルを除去する際に、除去部の先端を用紙束とステープルのクラウン部との間に確実に挿入させて、除去不良を防止するステープル取り外し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様は、ステープルにより綴じられた用紙束が載置される載置台と、前記載置台に載置された前記用紙束を押さえる押さえ部と、前記載置台の下方に位置し、前記載置台に載置される前記用紙束から前記ステープルを除去する除去部であって、前記用紙束と前記ステープルとの間に挿入可能な先端部を含除去部と、前記除去部を移動させるモータを有する駆動部と、を備え、前記載置台は、前記先端部が突出可能な開口が設けられ、前記先端部は、前記ステープルと前記用紙束との間に挿入されて前記ステープルの除去が開始される除去位置の手前から前記除去位置を通過して前記ステープルが前記用紙束から引き抜かれるまでの間、前記開口を介して前記載置台から突出した状態を維持しつつ、前記載置台に沿って直線的に移動するステープル取り外し装置に関する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、除去部の先端部を載置台から突出した状態で第2位置の手前から第2位置を通過するまで移動させるので、除去部の先端部を用紙束とステープルとの間に確実に挿入することができ、除去動作時における除去不良の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本実施形態に係るステープル取り外し装置の前方斜視図である。
図1B】本実施形態に係るステープル取り外し装置の後方斜視図である
図2A】本実施形態に係る除去部が待機位置にある場合のステープル取り外し装置の内部の右前方斜視図である。
図2B】本実施形態に係る除去部が待機位置にある場合のステープル取り外し装置の内部の左前方斜視図である。
図2C】本実施形態に係る除去部が待機位置にある場合のステープル取り外し装置の内部の平面図である、
図2D】本実施形態に係るステープル取り外し装置の内部の駆動部の平面図である。
図2E】本実施形態に係る除去部が待機位置にある場合のステープル取り外し装置の内部の側面図である。
図3】本実施形態に係る除去部が待機位置にある場合のステープル取り外し装置の内部の側面断面図である。
図4】本実施形態に係るステープル抜き機構の分解斜視図である。
図5A】本実施形態に係る除去部の平面図である。
図5B】本実施形態に係る除去部の側面図である。
図5C図5Aの除去部のA-A線に沿った断面図である。
図6】本実施形態に係る紙押さえ機構の分解斜視図である。
図7】本実施形態に係るフレームを備えたステープル取り外し装置の内部の斜視図である。
図8】本実施形態に係るフレームを備えたステープル取り外し装置の分解斜視図である。
図9A】本実施形態に係る待機位置にいるステープル抜き機構の動作を示す斜視図である。
図9B】本実施形態に係る除去位置に移動するステープル抜き機構の動作を示す斜視図である。
図10A】本実施形態に係る待機位置にいるステープル抜き機構の動作を示す要部側面図である。
図10B】本実施形態に係る除去位置に移動するステープル抜き機構の動作を示す要部側面図である。
図11A】本実施形態に係る待機位置にいるステープル抜き機構の動作を示す側面図である。
図11B図11Aに示すステープル抜き機構の動作を示す要部側面図である。
図12A】本実施形態に係る除去位置に移動するステープル抜き機構の動作を示す側面図である。
図12B図12Aに示すステープル抜き機構の動作を示す要部側面図である。
図13A】本実施形態に係る待機位置にいる紙押さえ機構の動作を示す斜視図である。
図13B】本実施形態に係る押圧位置に移動する紙押さえ機構の動作を示す斜視図である。
図14A】本実施形態に係る待機位置にいる紙押さえ機構の動作を示す要部側面図である。
図14B】本実施形態に係る押圧位置に移動する紙押さえ機構の動作を示す要部側面図である。
図15A】本実施形態に係る用紙束からステープルを除去する場合におけるステープル取り外し装置の動作を示す側面図である。
図15B】本実施形態に係る用紙束からステープルを除去する場合におけるステープル取り外し装置の動作を示す側面図である。
図15C】本実施形態に係る用紙束からステープルを除去する場合におけるステープル取り外し装置の動作を示す側面図である。
図15D】本実施形態に係る用紙束からステープルを除去する場合におけるステープル取り外し装置の動作を示す側面図である。
図15E】本実施形態に係る用紙束からステープルを除去する場合におけるステープル取り外し装置の動作を示す側面図である。
図15F】本実施形態に係る用紙束からステープルを除去する場合におけるステープル取り外し装置の動作を示す側面図である。
図15G】本実施形態に係る用紙束からステープルを除去する場合におけるステープル取り外し装置の動作を示す側面図である。
図16A】本実施形態に係る用紙束からステープルを除去する場合における楔板の動作を示す要部拡大図である。
図16B】本実施形態に係る用紙束からステープルを除去する場合における楔板の動作を示す要部拡大図である。
図16C】本実施形態に係る用紙束からステープルを除去する場合における楔板の動作を示す要部拡大図である。
図16D】本実施形態に係る用紙束からステープルを除去する場合における楔板の動作を示す要部拡大図である。
図16E】本実施形態に係る用紙束からステープルを除去する場合における楔板の動作を示す要部拡大図である。
図17A】本実施形態に係る用紙束からステープルを除去する場合における楔板及びステープルの状態を示す図である。
図17B】本実施形態に係る用紙束からステープルを除去する場合における楔板及びステープルの状態を示す図である。
図17C】本実施形態に係る用紙束からステープルを除去する場合における楔板及びステープルの状態を示す図である。
図17D】本実施形態に係る用紙束からステープルを除去する場合における楔板及びステープルの状態を示す図である。
図17E】本実施形態に係る用紙束からステープルを除去する場合における楔板及びステープルの状態を示す図である。
図18】他の実施形態1に係るステープル取り外し装置の分解斜視図である。
図19A】他の実施形態1に係る待機位置にいるステープル取り外し装置の楔板の動作の説明図である。
図19B図19Aに示す楔板及び載置台の要部拡大図である。
図20A】他の実施形態1に係る除去位置に移動するステープル取り外し装置の楔板の動作の説明図である。
図20B図20Aに示す楔板及び載置台の要部拡大図である。
図21】他の実施形態2に係るステープル取り外し装置の側面図である。
図22A】他の実施形態2に係る待機位置にいるステープル取り外し装置の楔板の動作の説明図である。
図22B図22Aに示す楔板及び載置台の要部拡大図である。
図23A】他の実施形態2に係る除去位置に移動するステープル取り外し装置の楔板の動作の説明図である。
図23B図23Aに示す楔板及び載置台の要部拡大図である。
図24】他の実施形態3に係るステープル取り外し装置の側面図である。
図25A】他の実施形態3に係る待機位置にいるステープル取り外し装置の楔板の動作の説明図であり、
図25B図25Aに示す楔板及び載置台の要部拡大図である。
図26A】他の実施形態3に係る除去位置に移動するステープル取り外し装置の楔板の動作の説明図である。
図26B図26Aに示す楔板及び載置台の要部拡大図である。
図27A】他の実施形態4に係るステープル取り外し装置の分解斜視図である。
図27B】他の実施形態4に係るステープル取り外し装置の斜視図である
図28】他の実施形態4に係る楔板の側面図である。
図29A】他の実施形態4に係るクラウン支持部及び押さえ部の側面図である。
図29B】他の実施形態4に係るクラウン支持部及び押さえ部によってクラウン部を支持する状態を説明する図である。
図29C】他の実施形態4に係るクラウン支持部と押さえ部とを一部品で構成した場合の側面図である。
図30A】他の実施形態4に係るに係る用紙束からステープルを除去する場合におけるステープル取り外し装置の動作を示す側面図である。
図30B】他の実施形態4に係るに係る用紙束からステープルを除去する場合におけるステープル取り外し装置の動作を示す側面図である。
図30C】他の実施形態4に係るに係る用紙束からステープルを除去する場合におけるステープル取り外し装置の動作を示す側面図である。
図30D】他の実施形態4に係るに係る用紙束からステープルを除去する場合におけるステープル取り外し装置の動作を示す側面図である。
図30E】他の実施形態4に係るに係る用紙束からステープルを除去する場合におけるステープル取り外し装置の動作を示す側面図である。
図30F】他の実施形態4に係るに係る用紙束からステープルを除去する場合におけるステープル取り外し装置の動作を示す側面図である。
図31A】他の実施形態5に係るステープル取り外し装置の分解斜視図である。
図31B】他の実施形態5に係るステープル取り外し装置の斜視図である。
図32】他の実施形態5に係る引き剥がし部及び押さえ部の側面図である。
図33A】他の実施形態5に係るに係る用紙束からステープルを除去する場合におけるステープル取り外し装置の動作を示す側面図である。
図33B】他の実施形態5に係るに係る用紙束からステープルを除去する場合におけるステープル取り外し装置の動作を示す側面図である。
図33C】他の実施形態5に係るに係る用紙束からステープルを除去する場合におけるステープル取り外し装置の動作を示す側面図である。
図33D】他の実施形態5に係るに係る用紙束からステープルを除去する場合におけるステープル取り外し装置の動作を示す側面図である。
図33E】他の実施形態5に係るに係る用紙束からステープルを除去する場合におけるステープル取り外し装置の動作を示す側面図である。
図33F】他の実施形態5に係るに係る用紙束からステープルを除去する場合におけるステープル取り外し装置の動作を示す側面図である。
図33G】他の実施形態5に係るに係る用紙束からステープルを除去する場合におけるステープル取り外し装置の動作を示す側面図である。
図34A】他の実施形態6に係るステープル取り外し装置の分解斜視図である。
図34B】他の実施形態6に係るステープル取り外し装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
[ステープル取り外し装置1Aの外観構成例]
図1Aはステープル取り外し装置1Aの前方斜視図、図1Bはステープル取り外し装置1Aの後方斜視図である。また、図2Aはステープル取り外し装置1Aの内部の右前左後方斜視図、図2Bはステープル取り外し装置1Aの内部の左前右後方斜視図である。
【0013】
ステープル取り外し装置1Aは、ステープルにより綴られた用紙束からステープルを自動で除去する(取り外す)ための装置であり、略直方体状をなす筐体100と、用紙束が載置される載置台102と、載置台102の下方(載置台102に対して筐体100の内部側)に位置し、載置台102に載置された用紙束からステープルを除去する除去部120と、除去部120を駆動する第1モータ152と、除去部120により除去されたステープルを収容する収容部200とを備える。
【0014】
載置台102の上方(載置台102に対して用紙束が載置される側)には、載置台102の一部を覆うカバー部104が設けられている。カバー部104と載置台102との間には所定の隙間が形成されており、この隙間に用紙束が挿入される。カバー部104の上面には、ステープル取り外し装置1Aを動作させる起動スイッチ106が設けられる。なお、本実施の形態において、収容部200が設けられる側をステープル取り外し装置1Aの後前とし、その反対側をステープル取り外し装置1Aの前側とする。
【0015】
筐体100は、上方が開口した略直方体状の箱体であり、内部に除去部120、第1モータ152、収容部200などが設けられる。
【0016】
載置台102は、筐体100上方の開口部を覆うようにして設けられており、用紙束を載置するための載置面102aを有する。載置面102aには、除去部120の一部が突出可能なように開口部102bが形成されている。
【0017】
除去部120は、先端部122sから基端部122kにかけて所定の長さを有する。除去部120は、用紙束とステープル(のクラウン部Sa)との間に挿入可能な先端部122sを含み、用紙束からステープルを除去する第1部である楔板本体122aと、ラック130,131で受けた第1モータ152の駆動力で駆動する第2部である楔板基部122fと、第1部と第2部との間に位置する第3部であるくびれ部122cとを有する。
【0018】
楔板本体122aは、細長の板状部材で構成されており、少なくともその先端部122sは、用紙束とステープルとの間に挿入しやすく、かつ用紙束からステープルを引き抜きやすくするために楔状に形成されている。本実施の形態では、楔板本体122aは、基端部122kから先端部122sに向かって先細り形状となっている。具体的には、側面視において、基端部122kから先端部122sに向かって板厚が徐々に薄くなるように構成され、上面視においても先端部122sに向かって板幅が徐々に狭くなるように構成されている。
【0019】
楔板基部122fは、くびれ部122cを介して楔板本体122aを支持するとともに、第1モータ152からの動力を、ラック130,131で受けてそれを楔板本体122aに伝達する役割を有する。楔板基部122fは、図4等に示すように、断面略U字状をなす平板により構成されたブレードホルダ124と、ブレードホルダ124の側面に取り付けられた一対のラック130,131とを備える。ブレードホルダ124の上面には楔板本体122a、楔板基部122fから延びた取付部122bが取り付けられる。ラック130,131は、ブレードホルダ124の長手方向と略同一の長さを有する板状の部材であり、下面には後述するピニオン158に噛み合う複数の歯(ラック)が形成され、第1モータ152の駆動力を受ける。
【0020】
載置台102とカバー部104との間には、用紙束をカバー部104内にセットするための用紙束挿入口108が設けられている。起動スイッチ106は、ユーザーが操作し易いようにカバー部104の上面に設けられ、ステープル取り外し装置1Aを動作させるボタンで構成される。収容部200は、上方が開口された箱体であって、筐体100の後端面に形成された開口部100aに対して挿抜可能に構成されている。収容部200は、筐体100における中央部よりも後方下部の空間部に配置される。
【0021】
ここで、便宜上、後述する図17Aを参照して用紙束Pを綴じた状態のステープルSについて説明する。ステープルSは、クラウン部Saと、クラウン部Saの長手方向の両端部を折り曲げて形成される一対の脚部Sb,Sbとを有する。用紙束Pは、ステープルSの一対の脚部Sb,Sbを積層された複数枚の用紙の最下層の用紙から最上層の用紙に向けて貫通させ、貫通した脚部Sb,Sbを内側に折り曲げることで綴じ処理される。ステープルSの綴じ位置は、例えば用紙の角部や縁部である。本実施の形態では、このような用紙束PからステープルSを除去する。
【0022】
[ステープル取り外し装置1Aの内部構成例]
次に、ステープル取り外し装置1Aの内部構成について説明する。図2Aは除去部120が待機位置にある場合のステープル取り外し装置1Aの内部の右前方斜視図、図2Bは除去部120が待機位置にある場合のステープル取り外し装置1Aの内部の左前方斜視図、図2Cは除去部120が待機位置にある場合のステープル取り外し装置1Aの内部の平面図、図2Dはステープル取り外し装置1Aの内部の第1駆動部150等の平面図、図2Eは除去部120が待機位置にある場合のステープル取り外し装置1Aの内部の側面図である。図3は、除去部120が待機位置にある場合のステープル取り外し装置1Aの内部の側面断面図である。図4は、ステープル抜き機構110の分解斜視図である。図5Aは除去部120の平面図、図5Bは除去部120の側面図、図5Cは除去部120のA-A線に沿った断面図である。図6は、紙押さえ機構160の分解斜視図である。
【0023】
ステープル取り外し装置1Aは、用紙束PからステープルSを除去するステープル抜き機構110と、載置台102上に載置された用紙束Pを押さえ付ける紙押さえ機構160と、上述した収容部200とを備えている。
【0024】
[ステープル抜き機構110の構成例]
ステープル抜き機構110は、図3等に示すように、載置台102の載置面102aの下方の筐体100の内部に配置され、用紙束Pとステープルとの間に挿入されることで用紙束PからステープルSを除去する除去部120と、押さえ部140(規制部)と、除去部120を駆動する第1駆動部150とを有する。
【0025】
除去部120は、図5図9等に示すように、ステープルSのクラウン部Saと用紙束Pとの間に挿入される楔板122と、楔板122をクラウン部Saと用紙束Pの間に移動させるラック130,131を備える。
【0026】
本実施例では、除去部120の構成の一例として、楔板122が取り付けられるブレードホルダ124と、ステープルSのクラウン部Saを支持するクラウンホルダ126と、楔板122の位置を規制するホルダ128とを備える。
【0027】
楔板122は、図4及び図5A図5C等に示すように、細長の板状部材で構成され、楔板本体122aと取付部122bとくびれ部122cとを含む。先端部122sが待機位置L1と除去位置L2との間を載置台102の平面に沿って移動可能に構成され、先端部122sが除去位置L2に移動するとき、先端部122sが用紙束Pとステープルとの間に挿入される。
【0028】
本実施の形態において、除去部120の待機位置L1とは、除去部120の先端部122sが除去動作を開始する前に停止している位置を意味する。除去部120の除去位置L2とは、除去部120が除去動作を開始し、除去部120がステープルSのクラウン部Saと用紙束Pとの間に挿入され、ステープルSが用紙束Pから除去が開始される位置を意味している。
【0029】
取付部122bは、楔板本体122aの基端部122kの側に一体形成され、ブレードホルダ124の上面に取り付けられている。くびれ部122cは、楔板122の長手方向の略中央部であって、楔板本体122aと取付部122bとの間に形成されている。図5Aに示すように、くびれ部122cの少なくとも一部の幅寸法D1は、楔板本体122aの基端部122kの幅寸法D2よりも狭く、かつ、ステープルSが楔板122から離れる際に、ステープルSの脚部Sb,Sbが内側に折れ曲がっていた状態に戻ろうとするスプリングバックによるステープルSの脚部Sb,Sb間の幅寸法D3(図17E参照)よりも狭くなるように構成される。
【0030】
ブレードホルダ124は、図4等に示すように、断面略U字状をなす平板により構成され、上面に取付部122bが取り付けられ、クラウンホルダ126の上方に重ねて配置される。
【0031】
クラウンホルダ126は、図4等に示すように、ブレードホルダ124を挟んで楔板122の下方に配置され、用紙束Pから除去されるステープルSのクラウン部Saを支持する。クラウンホルダ126は、楔板122が前方から後方に移動する際に押さえ部140との接触を防止するための溝部126aと、用紙束Pから除去されたステープルSを収容部200に落下させるための開口部126bとを含む。クラウンホルダ126の開口部126bとブレードホルダ124に取り付けられる楔板122のくびれ部122cとが平面視で同一位置となるように、配置される。溝部126aは、クラウンホルダ126の先端部から略中央部に亘って切り欠かれ、押さえ部140の幅よりも若干広い幅を有する。開口部126bは、クラウンホルダ126の長手方向の略中央部であってかつ溝部126aの基端側に連続して形成され、少なくともステープルSのクラウン部Saの長さよりも広い幅を有する。
【0032】
ブレードホルダ124の他端側の下面とクラウンホルダ126の他端側の上面との間には、バネ125が配置され、バネ125の弾性力により楔板122の一端側とクラウンホルダ126の一端側とが近づく方向に付勢される。本実施例では、一端側はステープル取り外し装置1Aの前方を示し、他端側はステープル取り外し装置1Aの後方を示すものである。
【0033】
ホルダ128は、断面略U字状をなす平板により構成され、ブレードホルダ124の上面に重ねて配置される。ホルダ128は、楔板122を露出させる開口部128aと、少なくとも除去部120が待機位置L1で停止しているときに押さえ部140が載置台102よりも下方に位置するように規制する支持部128bとを含む。
【0034】
ブレードホルダ124の左側には、図2B及び図4に示すように、ブレードホルダ124の長手方向と略同一の長さを有する板状のラック130が配置されている。ラック130は、第1モータ152の駆動力を受ける。ラック130の下面には、後述するピニオン158に噛み合う複数の歯が形成されている。
【0035】
ブレードホルダ124の右側には、図2A及び図4に示すように、ブレードホルダ124の長手方向と略同一の長さを有する板状のラック131が配置されている。ラック131は、第1モータ152の駆動力を受ける。ラック131の下面には、後述するピニオン159に噛み合う複数の歯が形成されている。
【0036】
ラック130の左側には、図4に示すように、除去部120の位置を検出するセンサ134が設けられ、除去部120の前後方向の位置を検出するためのフラグ取付板132が設けられている。フラグ取付板132の後端部には、楔板122の待機位置L1から除去位置L2への移動を検知するための第1フラグ132aが設けられている。フラグ取付板132の前端部には、楔板122の除去位置L2への到達を検知するための第2フラグ132bが設けられている。センサ134は、透過型センサで構成され、前後方向に移動するラック130の第1フラグ132a及び第2フラグ132bを検知する。センサ134により検知された検知信号は、図示しない制御部に供給され、制御部は、センサ134から供給された検知信号に基づいて第1モータ152及び第2モータ192の動作を制御する。
【0037】
第1駆動軸136は、除去部120の先端側と基端側との間の略中間に位置し、左フレーム112のガイド溝113及び右フレーム114のガイド溝115のそれぞれに係合される。第1駆動軸136は、筐体100の左側から右側に向かって、フラグ取付板132、ラック130、ブレードホルダ124、クラウンホルダ126、ラック131のそれぞれに形成された開口部に挿入される。
【0038】
第2駆動軸138は、除去部120の基端部に位置し、左フレーム112のガイド溝113及び右フレーム114のガイド溝115のそれぞれに係合される。第2駆動軸138は、筐体100の左側から右側に向かって、フラグ取付板132、ラック130、ブレードホルダ124、ラック131のそれぞれに形成された開口部に挿入される。
【0039】
このように、第1駆動軸136及び第2駆動軸138によって、楔板122、ブレードホルダ124、クラウンホルダ126、ホルダ128、ラック130,131及びフラグ取付板132が組み付けられることで除去部120が構成され、除去部120として一体的に前方及び後方に移動できるようになっている。
【0040】
用紙束P及びステープルSの挿入方向への移動を規制する押さえ部140は、図3及び図4に示すように、除去位置L2にあるクラウン部Saの後方側に配置され、楔板122によって押し込まれるクラウン部Saに当接可能に構成される。押さえ部140の幅は、例えば、楔板122の押し込み力で前方から後方に移動するクラウン部Saを支持可能で、かつクラウンホルダ126の溝部126aに挿入可能な長さに選定される。
【0041】
押さえ部140を支持する押さえホルダ142は、上面視で略U字状に加工された平板で構成され、押さえホルダ142の後端側が軸146によって回動可能に支持されている。押さえホルダ142の軸146よりもさらに後方には、引張りばね144の一端部が取り付けられている。引張りばね144の他端部は、左フレーム112に取り付けられている。押さえホルダ142の前側上端部には、ホルダ128の支持部128bに当接可能な凸部142aが設けられている。
【0042】
第1駆動部150は、図2A図2D及び図4に示すように、第1モータ152と、第1モータ152の出力軸152aに接続されるギア153a等と、筐体100の幅方向に、ラック130、131と噛み合う所定の間隔を空けて配置される第1ピニオン部である、軸156の両端に夫々設けられた一対のピニオン158,159とを有する。なお、複数のギア153a,153b,154a,154b,155は、減速機構を構成している。
【0043】
第1モータ152は、出力軸152aとモータ本体152bを有し、例えばDCモータやDCブラシレスモータ等から構成される。第1モータ152は、図示しない制御部からの指示に基づいて駆動することで、減速機構を介して第1モータ152の駆動力を除去部120に伝達し、除去部120を前方又は後方に移動させる。第1モータ152は、図2C図2D及び図3等に示すように、除去部120の楔板本体122a(第1部)の先端部122sが待機位置L1にある場合における除去部120、本実施の形態では第2部の下方に配置されている。なお、除去部120の下方とは、出力軸152aを含めた第1モータ152の少なくとも一部が除去部120の直下に位置していることを意味する。
【0044】
第1モータ152は、出力軸152aが、図2D及び図3等に示すように、載置台102の載置面102aと平行又は略平行となるように配置される。
【0045】
また、楔板122の前方から後方への移動方向(筐体100の長手方向)に直交するように配置されている。
【0046】
本実施の形態において、出力軸152aが載置台102の載置面102aと平行であるとは、完全に平行である場合を意味する。また、略平行とは完全な平行から若干外れた範囲も含むことを意味する。
【0047】
図2A図2C図2D及び図2Eに示すように、ギア153a,153bは、2段駆動ギアであり、ギア153aの径はギア153bの径よりも大きく構成される。ギア153aは、第1モータ152の出力軸152aに接続されている。ギア153bは、ギア154aに噛み合っている。ギア154a,154bは、2段駆動ギアであり、ギア154aの径はギア154bの径よりも大きく構成される。ギア154aはギア153bに噛み合い、ギア154bはギア155に噛み合っている。ギア155の中心には筐体100の幅方向に延びる軸156の右端部が取り付けられている。軸156のギア155側の右端側にはラック131に噛み合うピニオン159が取り付けられ、その反対側の左端側にはラック130に噛み合うピニオン158が取り付けられている。
【0048】
[紙押さえ機構160の構成例]
載置台102に載置された用紙束Pを押さえる紙押さえ機構160は、図2A及び図6等に示すように、少なくとも一部が、載置台102の上方に位置し、移動可能に構成された紙押さえ部170と、紙押さえ部170を駆動する第2モータ192とを備えている。
【0049】
紙押さえ部170は、紙押さえ部を構成する部品が取り付けられるホールドレバー172と、筐体100の幅方向に所定の間隔を空けて進行方向に延びる一対の紙押さえラック174,175と、載置台102に載置された用紙束Pを押さえる押さえ部である紙押さえ板176とを有する。
【0050】
ホールドレバー172は、図2A図2E及び図6等に示すように、筐体100の後方側に配置され、幅方向に所定の間隔を空けて配置された一対の平板172a,172bを有する。平板172a,172bの下部側は筐体100の内部に配置され、その上部側は載置台102から露出するように配置され、カバー部104で覆われている。平板172aの外面には、外側に突出するボス178が取り付けられている。ボス178には、引張りばねで構成されるリターンバネ180の一端部が取り付けられ、リターンバネ180の他端部は左フレーム112に取り付けられている。同様に、平板172bの外面には図示しないボスが取り付けられ、このボスにはリターンバネ181の一端部が取り付けられ、リターンバネ181の他端部が右フレーム114に取り付けられている。
【0051】
紙押さえラック174は、ホールドレバー172の平板172aの下方前端部に設けられる。紙押さえラック174は、略扇状からなり、紙押さえピニオン198に噛み合っている。紙押さえラック175は、ホールドレバー172の平板172bの下方前端部に設けられる。紙押さえラック175は、略扇状からなり、第2駆動部190の紙押さえピニオン199に噛み合っている。紙押さえラック174,175は、紙押さえピニオン198,199の回転動作を略直線状の動作に変換する。
【0052】
紙押さえ板176は、ステープルSの除去動作中に用紙束Pが載置台102の除去位置L2からズレないようにするために、載置面102aの方向に向けて移動することで、載置台102上に載置される用紙束Pを押圧可能に構成されている。紙押さえ板176は、載置台102に対して平行または略平行となるように平板172a,172bに取り付けられている。具体的には、紙押さえ板176の左側面が軸186により支持され、紙押さえ板176の右側面が軸187により支持される。
【0053】
第2駆動部190は、図2B図2C図2D及び図6に示すように、第2モータ192と、第2モータ192の出力軸192aに接続されるギア193a等と、筐体100の幅方向に、紙押さえラック174,175と噛み合うように所定の間隔を空けて配置される第2ピニオン部である、軸196の両端に夫々設けられた、一対の紙押さえピニオン198,199とを有する。なお、複数のギア193a,193b,194a,194b,195は、減速機構を構成している。第2モータ192は、除去部120が待機位置L1に位置する際の下方に配置される。
【0054】
第2モータ192は、出力軸192aとモータ本体192bを有し、例えばDCモータやDCブラシレスモータ等から構成される。第2モータ192は、図示しない制御部からの指示に基づいて駆動することで、減速機構を介して第2モータ192の駆動力を紙押さえ部170に伝達し、紙押さえ部170を動作させる。第2モータ192は、図2C図2D及び図3等に示すように、第1モータ152よりも後方であって、かつ、除去部120の楔板122の先端部122sが待機位置L1にある場合における除去部120、本実施の形態では第2部の下方に配置されている。なお、除去部120の下方とは、出力軸192aを含めた第2モータ192の少なくとも一部が除去部120の直下に位置していることを意味する。
【0055】
第2モータ192の出力軸192aは、図2D及び図3等に示すように、載置台102の載置面102aと平行又は略平行となるように配置される。
【0056】
また、楔板122の前方から後方への移動方向(筐体100の長手方向)に直交するように配置されている。
【0057】
また、第2モータ192の出力軸192aは、第1モータ152の出力軸152aとは反対方向を向くように配置されている。具体的には、第1モータ152の出力軸152aは右方向を向くように配置され、第2モータ192の出力軸192aはその反対側の左方向を向くように配置される。反対方向とは、出力軸152aと192aとが、180度反対方向を向いている場合に加え、180度反対方向から若干外れた範囲を向いている場合を含むことを意味する。
【0058】
本実施の形態において、出力軸192aが載置台102の載置面102aと平行であるとは、完全に平行である場合を意味する。また、略平行とは完全な平行から若干外れた範囲である場合を意味する。
【0059】
図2B図2C図2D図2E及び図6に示すように、ギア193a,193bは、2段駆動ギアであり、ギア193aの径はギア193bの径よりも大きく構成される。ギア193aは、第2モータ192の出力軸192aに接続されている。ギア193bは、ギア194aに噛み合っている。ギア194a,194bは、2段駆動ギアであり、ギア194aの径はギア194bの径よりも大きく構成される。ギア194aはギア193bに噛み合い、ギア194bはギア195に噛み合っている。ギア195の中心には筐体100の幅方向に延びる軸196の左端部が取り付けられている。軸196のギア195側の左端側には紙押さえラック174に噛み合う紙押さえピニオン198が取り付けられ、その反対側の右端側には紙押さえラック175に噛み合う紙押さえピニオン199が取り付けられている。
【0060】
[収容部200の構成例]
収容部200は、図2A図2B及び図3等に示すように、用紙束Pから落下するステープルSを収容可能とするために、除去部120を構成する楔板122の先端部122sが除去位置L2にある場合の除去部120の下方に位置する。また、収容部200は、紙押さえ機構160を構成するホールドレバー172の平板172a,172b間であって、ステープル抜き機構110を構成する押さえホルダ142の下方の空いた空間部に配置される。
【0061】
[左フレーム112等の構成例]
図7は、左フレーム112、右フレーム114、前フレーム116及び後フレーム117を含むステープル取り外し装置1Aの内部構成を示す図である。図8は、図7に示すステープル取り外し装置1Aの分解斜視図である。
【0062】
ステープル抜き機構110及び紙押さえ機構160の外周部には、これらを囲むように左フレーム112、右フレーム114、前フレーム116及び後フレーム117が立設されている。
【0063】
左フレーム112は、ステープル抜き機構110の左側に立設される。左フレーム112の上部には、除去部120の前方又は後方に移動方向(筐体100の長手方向)に沿って延びるガイド溝113が形成されている。ガイド溝113は、待機位置L1で待機している除去部120の楔板122の先端部122sを載置台102よりも下方に位置させるための第1溝113aと、除去部120の楔板122の先端部122sを除去位置L2の手前から除去位置L2を通過するまで載置台102から突出させた状態で移動させるための第2溝113bとを含む。なお、除去位置L2の手前とは、待機位置L1と除去位置L2との間の位置を含む。
【0064】
第1溝113aは、除去部120の先端部122sが少なくとも待機位置L1にあるとき第2駆動軸138が第1駆動軸136よりも載置台102に近い位置となる形状で形成される。第1溝113aは、除去部120の移動区間の始端から所定の距離だけ載置台102の載置面102aに沿うように平行に延びる。第2溝113bは、段差部113cを介して第1溝113aよりも若干低い位置に形成されている。第2溝113bは、段差部113cから楔板122の移動区間の終端までの間、載置台102の載置面102aに沿うように平行に延びる。ガイド溝113には、除去部120の第1駆動軸136及び第2駆動軸138の左端部が挿通される。これにより、除去部120は、ガイド溝113に沿って移動可能となり、載置台102に沿って前方から及び後方に移動できるようになっている。
【0065】
右フレーム114は、ステープル抜き機構110の右側に立設される。右フレーム114の上部には除去部120の前方又は後方に移動方向(筐体100の長手方向)に沿って延びるガイド溝115が形成されている。ガイド溝115は、待機位置L1で待機している除去部120の楔板122の先端部122sを載置台102よりも下方に位置させるための第1溝115aと、除去部120の楔板122の先端部122sを除去位置L2の手前から除去位置L2を通過するまで載置台102から突出させた状態で移動させるための第2溝115bとを含む。
【0066】
第2溝115bは、除去部120の先端部122sが少なくとも待機位置L1にあるとき第2駆動軸138が第1駆動軸136よりも載置台102に近い位置となる形状で形成される。第2溝115bは、除去部120の移動区間の始端から所定の距離だけ載置台102の載置面102aに沿うように平行に延びる。第2溝115bは、段差部115cを介して第1溝115aよりも若干低い位置に形成されている。第2溝115bは、段差部115cから楔板122の移動区間の終端までの間、載置台102の載置面102aに沿うように平行に延びる。ガイド溝115には、除去部120の第1駆動軸136及び第2駆動軸138の右端部が挿通される。これにより、除去部120は、ガイド溝115に沿って移動可能となり、載置台102に沿って前方及び後方に移動できるようになっている。
【0067】
前フレーム116は、ステープル抜き機構110の前方側に立設され、後フレーム117は、紙押さえ機構160の後方側に立設されている。
【0068】
[ステープル抜き機構110の動作例]
次に、用紙束PからステープルSを除去する場合における、ステープル抜き機構110の動作の一例について説明する。
【0069】
図9Aは待機位置L1にいるステープル抜き機構110の動作を示す斜視図、図9Bは除去位置L2に移動するステープル抜き機構110の動作を示す斜視図である。図10Aは待機位置L1にいるステープル抜き機構110の動作を示す要部側面図、図10Bは除去位置L2に移動するステープル抜き機構110の動作を示す要部側面図である。図11Aは待機位置L1にいるステープル抜き機構110の動作を示す側面図、図11B図11Aのステープル抜き機構110の動作を示す要部側面図である。図12Aは除去位置L2に移動するステープル抜き機構110の動作を示す側面図、図12B図12Aのステープル抜き機構110の動作を示す要部側面図である。なお、図11及び図12では、便宜上、左フレーム112側についてのみ説明するが、その反対側の右フレーム114側も左フレーム112側と同様の動作を採用できるものとする。
【0070】
ステープル取り外し装置1Aが待機状態である場合、図9A図10A及び図11Aに示すように、楔板122は、筐体100の待機位置L1で停止している。このとき、第2駆動軸138は左フレーム112のガイド溝113の第1溝113aに位置し、第1駆動軸136は左フレーム112のガイド溝113の第2溝113bに位置している。そのため、楔板122の取付部122b側が持ち上がった状態となり、楔板122の先端部122sを含む楔板本体122a側が取付部122b側よりも低い位置となる。これにより、図11Bに示すように、除去部120の先端部122sが待機位置L1にいる場合、楔板122の先端部122sを含む楔板本体122aが載置台102の載置面102aよりも下方に位置する。これにより、用紙束Pを載置台102上に載置する際に、楔板122が用紙束Pに当たって載置台から離れてしまう不具合が生じてしまうことを防止できる。
【0071】
ステープル取り外し装置1Aの起動スイッチ106が操作されると、図9B及び図10Bに示すように、第1モータ152が駆動され、第1モータ152の駆動力は、複数のギア153a,153b,154a,154b,155を介してピニオン158,159に伝達される。これに伴い、ピニオン158,159が図10Bにおいて時計回りに回転し、ピニオン158,159に噛み合っているラック130,131が載置台102に沿って前方から後方に移動することで楔板122が前方から後方に移動する。
【0072】
このとき、第2駆動軸138は、図12Aに示すように、左フレーム112のガイド溝113の第1溝113aから第2溝113bに移動する。第2駆動軸138は、第1駆動軸136とは載置台102の載置面102aに対して平行でかつ同一高さとなる。そのため、楔板122の取付部122b側の位置が下がることで、楔板122の楔板本体122a側が第1駆動軸136を支点として持ち上がる。ここで、楔板本体122aの上面は、取付部122bの上面よりも若干突出した構造となっているので、図12Bに示すように、楔板122の先端部122sは載置台102の載置面102aよりも上方に位置する。本実施の形態では、楔板122は、除去位置L2の手前から除去位置L2を通過するまでの間、載置台102の開口部102bを介して載置台102の載置面102aから突出した状態を維持しつつ移動する。これにより、楔板本体122aの先端部122sが用紙束Pとクラウン部Saとの間に確実に押し込まれる。
【0073】
[紙押さえ機構160の動作例]
次に、用紙束PからステープルSを除去する場合における、紙押さえ機構160の動作の一例について説明する。
【0074】
図13Aは待機位置にいる紙押さえ機構160の動作を示す斜視図、図13Bは押圧位置に移動する紙押さえ機構160の動作を示す斜視図である。図14Aは待機位置にいる紙押さえ機構160の動作を示す要部側面図、図14Bは押圧位置に移動する紙押さえ機構160の動作を示す要部側面図である。
【0075】
図13A及び図14Aに示すように、ステープル取り外し装置1Aが待機位置である場合、紙押さえ板176は、載置台102の載置面102aから一定間隔を空けた位置で停止している。一定間隔とは、載置台102上に載置される用紙束Pの最上層の用紙に、紙押さえ板176の下面が接触しない間隔である。
【0076】
ステープル取り外し装置1Aの起動スイッチがオンされると、第2モータ192が駆動される。第2モータ192の駆動力は、ギア193a,193b,194a,194b,195を介して紙押さえピニオン198,199に伝達される。これに伴い、図13B及び図14Bに示すように、紙押さえピニオン198,199が時計回りに回転し、紙押さえピニオン198,199に噛み合っている紙押さえラック174,175が略下方に移動する。紙押さえラック174,175が略下方に移動すると、ホールドレバー172は、リターンバネ180の弾性力に抗してホールドレバー軸182を支点として反時計回りに回転し、紙押さえ板176が載置台102に近づく方向に移動(下降)する。これにより、載置台102上に載置される用紙束Pが紙押さえ板176により一定の押圧力にて押圧される。
【0077】
用紙束PからのステープルSの除去動作が終了すると、第2モータ192が逆回転で駆動される。これにより、紙押さえ板176は、用紙束Pから離れる方向に移動(上昇)し、図14A等に示した待機位置に戻る。
【0078】
[ステープル取り外し装置1Aの動作例]
次に、用紙束PからステープルSを引き抜く場合におけるステープル取り外し装置1Aの動作等について説明する。なお、ステープル抜き機構110及び紙押さえ機構160の動作については、図9A及び図13A等と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0079】
図15A図15Gは、用紙束PからステープルSを引き抜く場合におけるステープル取り外し装置1Aの動作の一例を示す側面図である。図16A図16Eは、用紙束PからステープルSを引き抜く場合における楔板122の動作の一例を示す要部拡大図である。図17A図17Eは、用紙束PからステープルSを引き抜く場合における楔板122及びステープルSの状態を示す図である。なお、図15A等の説明では、便宜上ステープル取り外し装置1Aの右側の動作についてのみ説明するが、その反対の左側についても右側と同様の動作を採用することができるものとする。
【0080】
図15Aに示すように、用紙束PからステープルSを除去する場合には、まず、ステープルSにより綴じられた用紙束Pが載置台102上に載置される。ユーザーは、載置台102上に設けられた除去位置L2を示す目印に用紙束Pを位置合わせして、ステープルSのクラウン部Sa側を載台に向けて載置する。図17Aに示すように、用紙束PはステープルSにより綴じられている。ステープルSの脚部Sb,Sbは、用紙束Pを用紙の厚み方向に貫通して内側に折り曲げられ、用紙面に食い込んでいる。
【0081】
次に、ユーザーによりステープル取り外し装置1Aの起動スイッチ106が押されると、第2モータ192駆動が開始される。これにより、図15Bに示すように、紙押さえ板176が載置台102に近づく方向に移動(下降)し、用紙束Pが紙押さえ板176により一定の押圧力で押圧される。
【0082】
続けて、第2モータ192の駆動開始から所定時間経過後、第1モータ152が駆動される。これにより、ピニオン159が時計回りに回転することで、ラック131及び楔板122を含む除去部120が前方から後方に移動する。除去部120の前方から後方に移動開始時においては、待機位置L1と同様に、図16Aに示すように、楔板本体122aの先端部122sが載置台102の載置面102aよりも下方に位置している。
【0083】
除去部120の先端側が除去位置L2の手前に前方から後方に移動すると、除去部120の第2駆動軸138がガイド溝115の第2溝115bに移動するため、図16Bに示すように、楔板122の先端部122sが載置台102の開口部102bを介して載置面102aから突出する。楔板122は、その上面が用紙束Pの最下層の用紙の裏面に接触し、用紙束Pを押圧した状態で前方から後方に移動する。
【0084】
楔板122の先端側が除去位置L2まで移動すると、図15C及び図16Cに示すように、クラウン部Saと用紙束Pとの間に押し込まれる。このとき、図17Bに示すように、ステープルSの脚部Sb,Sbが、用紙束Pの用紙面に食い込んだ状態から、用紙束Pの用紙面に略平行な状態となる。この状態で楔板122がさらに前方から後方に移動していくと、図16Dに示すように、押さえホルダ142の凸部142aがホルダ128の支持部128bから外れる。これにより、押さえ部140が引張りばね144の付勢により上昇し、楔板122の押し込み力で前方から後方に移動する用紙束Pのクラウン部Saに当接して、ステープルSの後方への移動を規制する。
【0085】
楔板122の先端側が除去位置L2を通過すると、図15D及び図16Eに示すように、除去位置での用紙束Pとクラウン部Saとの間に押し込まれる楔板122の側面視での厚みが厚くなる。押さえ部140は、引張りばね144の伸長により、楔板122及びクラウン部Saに当接した状態で楔板122の厚さ方向に追従して下がる。これにより、図17Cに示すように、クラウン部Saが楔板122によって用紙束Pから離れる方向に押され、内側に折れ曲がっていたステープルSの脚部Sb,Sbが用紙束Pの用紙面に対して略直交するように延びる。図15Eに示すように、除去位置L2での楔板122の側面視での厚みがさらに厚くなると、図17Dに示すように、ステープルSの脚部Sb,Sbが用紙束Pから引き抜かれる。しかし、ステープルSのスプリングバックにより脚部Sb,Sbが楔板122の側面に引っかかった状態となるため、この段階ではステープルSは落下しない。
【0086】
図15Fに示すように、楔板122が移動範囲の終端位置まで前方から後方に移動すると、楔板122のくびれ部122cが除去位置L2に位置する。これにより、図17Eに示すように、楔板122のくびれ部122cの幅寸法D1がスプリングバックするステープルSの脚部Sb,Sb間の幅寸法D3よりも狭くなっているため、ステープルSの脚部Sb,Sbが楔板122の側面から離れ、ステープルSが収容部200内に落下する。
【0087】
図15Gに示すように、用紙束PからステープルSの除去が完了すると、第1モータ152が逆回転で駆動される。これに伴い、ピニオン159が反時計回りに逆回転し、ラック131及び楔板122を含む除去部120が載置台102に沿って後方から前方に移動し、除去部120が除去位置L2から待機位置L1に戻る。また、第1モータ152の逆回転時から所定時間経過後、第2モータ192が逆回転で駆動される。これに伴い、紙押さえピニオン199が反時計回りに回転し、紙押さえラック175が略上方に移動することで、ホールドレバー172を介して紙押さえ板176が載置台102から離れる方向に移動して待機位置に戻る。
【0088】
以上説明したように、本実施の形態によれば、楔板122を載置台102に沿って直線的に移動する構成とし、楔板122の先端部122sを載置台102の載置面102aから突出した状態で除去位置L2の手前から除去位置L2を通過するまで移動させる。つまり、楔板122の先端部122sが載置面102aから突出した状態で移動する一定区間を設けることで、ステープルSを除去する除去ポイントを点ではなく面とすることができる。これにより、用紙束PのステープルSを載置台102上の一定範囲にセットすることでステープルSを用紙束Pからの除去が可能となるので、除去動作時における不良の発生を確実に防止することができる。また、ステープルSを載置台102上の一定範囲にセットすればよいので、用紙束Pを載置台102上にセットする際のユーザーの負担を軽減することができる。
【0089】
また、本実施の形態によれば、楔板122の先端部122sを載置台102の載置面102aから突出させた状態で一定区間移動させるので、楔板122の先端部122sを用紙束Pとクラウン部Saとの間に確実に挿入させることができる。
【0090】
さらに、本実施の形態によれば、ステープル取り外し装置1Aが待機位置で楔板122の先端部122sが待機位置L1にいる場合、楔板122の先端部122sを載置台102の載置面102aの下方に位置させるので、用紙束Pを載置台102上にセットする際に、楔板122の先端部122sに用紙又はクラウン部Saが引っ掛かってしまうことを防止できる。これにより、用紙が損傷等することによる用紙束Pの不良の発生を回避できると共に、用紙束Pの載置台102上へのセット時におけるユーザーの操作性の向上を図ることができる。
【0091】
<他の実施形態1>
他の実施形態1では、楔板122の移動中の高さを調整する機構が上記実施形態とは相違している。なお、その他のステープル取り外し装置1Bの構成及び動作等は、上記実施形態のステープル取り外し装置1Aと共通しているため、共通する部分の詳細な説明は省略する。
【0092】
[ステープル取り外し装置1Bの構成例]
図18は、他の実施形態1に係るステープル取り外し装置1Bの分解斜視図である。
【0093】
左フレーム112の上部には、載置台102の載置面102aに沿って延びるガイド溝213が形成されている。ガイド溝213は、楔板122の待機位置L1及び除去位置L2(図19B参照)を含む移動区間の始端から終端に亘って、載置面102aに対して平行かつ直線状に形成されている。ガイド溝213には、除去部120の第1駆動軸136及び第2駆動軸138の右端部が挿通される。
【0094】
同様に、右フレーム114の上部には、載置台102の載置面102aに沿って延びるガイド溝215が形成されている。ガイド溝215は、楔板122の待機位置L1及び除去位置L2を含む移動区間の始端から終端に亘って、載置面102aに対して平行かつ直線状に形成されている。ガイド溝215には、除去部120の第1駆動軸136及び第2駆動軸138の左端部が挿通される。このような構成により、除去部120は、ガイド溝213,215に沿って載置台102の載置面102aに対して平行に前方及び後方に移動できるようになっている。
【0095】
図5Bに示すように、楔板本体122aとくびれ部122cとの間には、段差部122dが設けられている。楔板本体122aの上面は、取付部122b及びくびれ部122cの各上面よりも段差部122dを介して突出している。
【0096】
ブレードホルダ124の前端部には、第2駆動軸138が挿通される長孔124a,124bが形成されている。長孔124a,124bは上下方向に延びる長軸を有する。長軸の長さは、載置台102の載置面102aから突出する楔板122の最大突出量を規定する。ブレードホルダ124の前端部は、第2駆動軸138によって支持され、長孔124a,124bに沿って上下方向に移動可能に構成される。これにより、楔板122の先端部122sは、ブレードホルダ124の後端部の上下動に伴って、第1駆動軸136を支点として上下方向に移動する。
【0097】
楔板ユニットホルダ230は、略U字状に折り曲げ形成された平板で構成され、ブレードホルダ124の下方からその側面に重ねて配置される。楔板ユニットホルダ230の右側にはラック130が配置され、その左側にはラック131が配置されている。
【0098】
ブレードホルダ124の前端部の下面に設けられた取付部には楔板スプリング232の一端部が取り付けられ、楔板スプリング232の他端部は楔板ユニットホルダ230の前端部の上面に設けられた取付部に取り付けられている。ブレードホルダ124の前端部と楔板ユニットホルダ230の前端部とは、楔板スプリング232により近づく方向に互いに付勢される。楔板スプリング232のバネ定数は、載置台102から上方に突出する楔板122の用紙束Pに対する押し付け力を規定する。
【0099】
[ステープル取り外し装置1Bの動作例]
図19Aは待機位置L1にいるステープル取り外し装置1Bの楔板122の動作の説明図、図19B図19Aに示す楔板122及び載置台102の要部拡大図である。図20Aは除去位置L2に移動するステープル取り外し装置1Bの楔板122の動作の説明図、図20B図20Aに示す楔板122及び載置台102の要部拡大図である。なお、図19A及び図20Aでは、ステープル取り外し装置1Bの左側の動作についてのみ説明するが、右側の動作も左側と共通するため、詳細な説明は省略する。
【0100】
図19A及び図19Bに示すように、ステープル取り外し装置1Bが待機位置である場合、楔板122の先端部122sは待機位置L1に位置する。この場合、楔板本体122a(楔板122の先端側)の上面は、載置台102の裏面に当たることで載置台102の下方に押し下げられる。これに伴い、ブレードホルダ124の後端部は、第1駆動軸136を支点として長孔124bに沿って押し上げられる。
【0101】
ステープル取り外し装置1Bが起動されると、第1モータ152が駆動され、複数のギア153a等を介してピニオン159が回転する。図20Aに示すように、ピニオン159が回転すると、ラック131及び楔板122を含む除去部120が前方から後方に移動し、図20Bに示すように、楔板122の段差部122dが載置台102の裏面から外れ、開口部102b内に移動する。これに伴い、ブレードホルダ124の前端部が楔板スプリング232の付勢により長孔124bに沿って押し下げられる一方で、第1駆動軸136を支点として楔板122の先端部122sが押し上げられる。これにより、楔板122の先端部122sが、載置台102の載置面102aから突出する。他の実施形態1では、楔板122の先端部122sは載置台102の載置面102aから突出した状態で、除去位置L2の手前から除去位置L2を通過するまで移動する。
【0102】
以上説明したように、他の実施形態1によれば、上記実施形態と同様に、楔板122の先端部122sを載置台102の載置面102aから突出させた状態で一定区間移動させるので、楔板122の先端部122sを用紙束Pとクラウン部Saとの間に確実に挿入させることができる。また、楔板122の先端部122sが待機位置L1にいる場合、楔板122の先端部122sを載置台102の載置面102aの下方に位置させるので、用紙束Pを載置台102上にセットする際に、楔板122の先端部122sにより用紙又はクラウン部Saが引っ掛かってしまうことを防止できる。
【0103】
<他の実施形態2>
他の実施形態2では、楔板122の移動中の高さを調整する機構が上記実施形態とは相違している。なお、その他のステープル取り外し装置1Cの構成及び動作等は、上記実施形態のステープル取り外し装置1Aと共通しているため、共通する部分の詳細な説明は省略する。
【0104】
[ステープル取り外し装置1Cの構成例]
図21は、他の実施形態2に係るステープル取り外し装置1Cの側面図である。
【0105】
左フレーム112の上部には、載置台102の載置面102aに沿って延びるガイド溝313が形成されている。ガイド溝313は、楔板122の移動区間の始端から終端に向かって載置台102に徐々に近づくように一定の角度で傾斜している。より具体的には、ガイド溝313は、楔板122の先端部122sが待機位置L1で停止しているときに楔板122の先端部122sが載置台102の載置面102aの下方に位置し、楔板122の先端部122sが除去位置L2の手前から除去位置L2を通過するときに載置台102の載置面102aから突出する溝形状で形成される。
【0106】
右フレーム114の上部にも、左フレーム112と同様に、楔板122の移動区間の始端から終端に向かって載置台102に徐々に近づくように一定の角度で傾斜するガイド溝が形成されている。右フレーム114のガイド溝は、左フレーム112のガイド溝313と対称で構成が共通するため、詳細な説明は省略する。
【0107】
[ステープル取り外し装置1Cの動作例]
図22Aは待機位置L1にいるステープル取り外し装置1Cの楔板122の動作の説明図、図22B図22Aに示す楔板122及び載置台102の要部拡大図である。図23Aは除去位置L2に移動するステープル取り外し装置1Cの楔板122の動作の説明図、図23B図23Aに示す楔板122及び載置台102の要部拡大図である。なお、図22A及び図23Aでは、ステープル取り外し装置1Cの右側の動作についてのみ説明するが、左側の動作も右側と共通するため、詳細な説明は省略する。
【0108】
ステープル取り外し装置1Cが待機位置である場合、図22A及び図22Bに示すように、楔板122の先端部122sは待機位置L1に位置し、除去部120の第2駆動軸138は左フレーム112のガイド溝113の始端に位置している。この場合、楔板122の先端部122sは、載置台102の載置面102aよりも下方に位置する。これにより、用紙束Pを載置台102上に載置する際に、楔板122が用紙束Pに当たって不具合が生じてしまうことを防止できる。
【0109】
ステープル取り外し装置1Cが起動されると、図23A及び図23Bに示すように、第1モータ152が駆動される。第1モータ152の駆動力は、ギア153a等を介してピニオン158に伝達される。これに伴い、ピニオン158が時計回りに回転することでラック130が前方から後方に移動し、楔板122が左フレーム112のガイド溝313に沿って前方から後方に移動する。楔板122は、ガイド溝313に沿って徐々に載置台102に近づく方向に移動していき、先端部122sが載置台102から突出する。他の実施形態2では、楔板122の先端部122sは、除去位置L2の手前から載置台102の載置面102aから突出し、除去位置L2を通過するまで突出した状態を維持する。
【0110】
以上説明したように、他の実施形態2によれば、上記実施形態と同様に、楔板122の先端部122sを載置台102の載置面102aから突出させた状態で一定区間移動させるので、楔板122の先端部122sを用紙束Pとクラウン部Saとの間に確実に挿入させることができる。また、楔板122の先端部122sが待機位置L1にいる場合、楔板122の先端部122sを載置台102の載置面102aの下方に位置させるので、用紙束Pを載置台102上にセットする際に、楔板122の先端部122sにより用紙又はクラウン部Saが引っ掛かってしまうことを防止できる。
【0111】
<他の実施形態3>
[ステープル取り外し装置1Dの構成例]
他の実施形態3では、楔板122の移動中の高さを調整する機構が上記実施形態とは相違している。なお、その他のステープル取り外し装置1Dの構成及び動作等は、上記実施形態のステープル取り外し装置1Aと共通しているため、共通する部分についての詳細な説明は省略する。
【0112】
図24は、他の実施形態3に係るステープル取り外し装置1Dの分解斜視図である。
【0113】
載置台102の後端側の下面には、ガイドピン420,421が取り付けられるガイドピン取付部410,411が設けられている。ガイドピン取付部410,411は、幅方向に所定の間隔、具体的には左フレーム112及び右フレーム114間と略同一の間隔を空けて配置される。ガイドピン取付部410にはピン用開口部410aが形成され、ガイドピン取付部411にはピン用開口部411aが形成されている。ピン用開口部410a,411aは、上下方向に延びる長軸を有する長孔で構成される。
【0114】
載置台102の後端側の下面には、支点軸418が挿通される軸取付部408,409が設けられている。軸取付部408,409は、幅方向に所定の間隔、具体的には左フレーム112及び右フレーム114間と略同一の間隔を空けて配置される。軸取付部408には軸用開口部408aが形成され、軸取付部409には軸用開口部409aが形成されている。
【0115】
左フレーム112の後端側のガイドピン取付部410に対向する位置には、載置台スプリング416が配置される凹部112dが設けられている。右フレーム114の後端側のガイドピン取付部411に対向する位置には、載置台スプリング417が配置される凹部114dが設けられている。なお、左フレーム112に形成されるガイド溝413、右フレーム114に形成されるガイド溝415は、他の実施形態1のガイド溝213,215と同様の構成及び機能であるため、詳細な説明は省略する。
【0116】
ガイドピン420は、載置台102の前端側のピン用開口部410aに外側から挿入され、その内側に配置される左フレーム112の開口部112eに装着される。ガイドピン421は、載置台102の前端側のピン用開口部411aに外側から挿入され、その内側に配置される右フレーム114の開口部114eに装着される。
【0117】
左フレーム112の凹部112dと載置台102の下面との間には、載置台スプリング416が配置される。同様に、右フレーム114の凹部114dと載置台102の下面との間には、載置台スプリング417が配置される。これにより、載置台102は、載置台スプリング416,417によって上方に付勢され、紙押さえ板176の押圧の状態に応じて上下方向に移動可能となっている。
【0118】
左フレーム112の開口部112f、載置台102の軸用開口部408a,409a及び右フレーム114の開口部114fには、支点軸418が挿通される。
【0119】
このような構成により、載置台102は、前端側の支点軸418を支点とし、後端側のピン用開口部410a,411aに沿って上下方向に移動可能となっている。すなわち、載置台102は、ピン用開口部410a,411aの長孔の長さの範囲で支点軸418を支点として、楔板122の先端部122sに対して相対的に上下方向に移動する。
【0120】
[ステープル取り外し装置1Dの動作例]
図25Aは待機位置L1にいるステープル取り外し装置1Dの楔板122の動作の説明図であり、図25B図25Aに示す楔板122及び載置台102の要部拡大図である。図26Aは除去位置L2に移動するステープル取り外し装置1Dの楔板122の動作の説明図であり、図26B図26Aに示す楔板122及び載置台102の要部拡大図である。図25A及び図26Aでは、ステープル取り外し装置1Cの右側の動作についてのみ説明するが、左側の動作も右側と共通するため、詳細な説明は省略する。
【0121】
ステープル取り外し装置1Dが待機位置である場合、図25Aに示すように、紙押さえ機構160の紙押さえ板176は、載置台102と一定の間隔を空けた待機位置で停止している。載置台102は、図25Bに示すように、載置台スプリング416によって上方に付勢されているので、楔板122の先端部122sは載置台102よりも下方に位置している。
【0122】
ステープル取り外し装置1Dが起動された場合、図26Aに示すように、第2モータ192が駆動され、ギア153a等を介して紙押さえ板176が載置台102に向かって下降し、載置台102上の用紙束Pが紙押さえ板176によって押圧される。これに伴い、図26Bに示すように、載置台102が用紙束Pを介して紙押さえ板176により押圧されることで、載置台スプリング416が圧縮し、載置台102が長孔のピン用開口部410a(図24参照)等に沿って押し下げられる。これにより、楔板122の先端部122sが載置台102の載置面102aから突出する。なお、載置台102は、左フレーム112及び右フレーム114の上端部に形成されたフランジに当接することで、下方への移動が規制される。そのため、フランジの高さを調整することで、楔板122の先端部122sの最大突出量を調整できる。また、載置台スプリング416,417のバネ係数や大きさを調整してもよい。
【0123】
以上説明したように、他の実施形態3によれば、上記実施形態と同様に、楔板122の先端部122sを載置台102の載置面102aから突出させた状態で一定区間移動させるので、楔板122の先端部122sを用紙束Pとクラウン部Saとの間に確実に挿入させることができる。また、楔板122の先端部122sが待機位置L1にいる場合、楔板122の先端部122sを載置台102の載置面102aの下方に位置させるので、用紙束Pを載置台102上にセットする際に、楔板122の先端部122sにより用紙又はクラウン部Saが引っ掛かってしまうことを防止できる。
【0124】
<他の実施形態4>
他の実施形態4に係るステープル取り外し装置1Eでは、ステープルSの除去時に楔板122Eとの間でクラウン部Saを支持するためのクラウン支持部500を設ける点において、図1A等に示す実施形態等と相違している。なお、ステープル取り外し装置1A等と実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0125】
[ステープル取り外し装置1Eの構成例]
図27Aは他の実施形態4に係るステープル取り外し装置1Eの分解斜視図、図27Bはステープル取り外し装置1Eの斜視図である。図28は、他の実施形態4に係る楔板122Eの側面図である。図29Aは他の実施形態4に係るクラウン支持部500及び押さえ部140の側面図、図29Bはクラウン支持部500及び押さえ部140によってクラウン部Saを支持する状態を説明する図である。
【0126】
ステープル取り外し装置1Eは、図27A及び図30A等に示すように、クラウン部Saと一対の脚部Sbを含むステープルSにより綴じられた用紙束Pを、クラウン部Saを下向きにして載置可能な載置台102(図1A参照)と、先端部122sが載置台102に沿って待機位置(第1位置)L1から除去開始位置(第2位置)L2aを経由して除去完了位置(第3位置)L3に移動可能であり、待機位置L1から除去開始位置L2aに移動したとき用紙束PとステープルSとの間に挿入され、さらに除去開始位置L2aから除去完了位置L3に向けて移動することで用紙束PからステープルSの引き抜きを開始する傾斜部122iと、傾斜部122iによって用紙束Pから引き抜かれ、傾斜部122iに係合している(引っ掛かっている、巻き付いている)ステープルSのクラウン部Saに除去完了位置L3側から当接することでステープルSが傾斜部122iとともに除去完了位置L3方向に移動するのを規制する押さえ部(規制部)140と、押さえ部140がステープルSの移動を規制する間、ステープルSのクラウン部Saの下方に位置するクラウン支持部500とを備える。
【0127】
他の実施形態4において、待機位置L1とは、傾斜部122iが除去動作を開始する前に停止している初期位置における先端部122sの位置である。除去開始位置L2aとは、載置台102上の用紙束PとステープルS(クラウン部Sa)との間に傾斜部122iの先端部122sが挿入される位置であり、換言すれば、載置台102上に載置された用紙束PのステープルS(クラウン部Sa)の位置である。除去完了位置L3とは、傾斜部122iにより用紙束PからステープルSが完全に除去された(用紙束PからステープルSが完全に離脱した)ときの傾斜部122iの先端部122sの位置である。
【0128】
楔板122Eは、図27A及び図28に示すように、傾斜部122iと、取付部122bとを備える。傾斜部122iは、楔板本体122a及びくびれ部122cを有するとともに、基端部122oと先端部122sを含み、基端部122oから先端部122sに行くほど厚みが薄くなるように傾斜した傾斜面122acを有する。傾斜面122acは第1傾斜面122a1及び第2傾斜面122c1を有する。傾斜部122iは、除去開始位置L2aと除去完了位置L3との間に位置し、先端部122sが除去開始位置L2aから除去完了位置L3に移動する間、傾斜面122acに対向する。第1傾斜面122a1は、楔板本体122aの上面に平行となる仮想面(水平面)VPに対して角θ1で傾斜する面である。第2傾斜面122c1は、楔板本体122aの上面に平行となる仮想面(水平面)VPに対して角θ2で傾斜する面である。なお、第1傾斜面122a1及び第2傾斜面122c1はそれぞれ連続した面で構成されるが、必ずしも連続した面に限定されることはなく、断続的な面、具体的には異なる角度からなる複数の傾斜面で構成することもできる。
【0129】
ここで、仮想面VPに対するくびれ部122cの第2傾斜面122c1は、仮想面VPに対する楔板本体122aの第1傾斜面122a1よりも大きい。換言すると、仮想面VPと第2傾斜面122c1とのなす角θ2は、仮想面VPと楔板本体122aの第1傾斜面122a1とのなす角θ1より大きくなるように構成される。
【0130】
この理由は、以下の通りである。ステープルSの脚部Sbを起こして用紙束PからステープルSを引き抜くまでは楔板本体122aに大きな負荷がかかるため、楔板本体122aの第1傾斜面122a1の角θ1は小さくかつ前後方向の長さが長く設定される。これに対し、くびれ部122cでは、ステープルSの脚部Sbが用紙束Pから完全に抜かれているか、又はほぼ抜かれた状態であり、くびれ部122cにかかる負荷は小さいため、くびれ部122cの第1傾斜面122a1の角θ2は大きくかつ前後方向の長さが短く設定される。
【0131】
ところで、図28に示す傾斜部122iでは、第1傾斜面122a1及び第2傾斜面122c1が異なる傾斜角度で構成されるため、図27Aに示すように、第1傾斜面122a1では、第1傾斜面122a1に沿うようにして配置された直線状のクラウンホルダ126によってクラウン部Saを支持する構成となる。しかし、第2傾斜面122c1は第1傾斜面122a1と傾斜角度が異なるため、第2傾斜面122c1では、クラウンホルダ126でクラウン部Saを支持することができない。すなわち、クラウンホルダ126の第2傾斜面122c1に対応する部位では、第2傾斜面122c1が第1傾斜面122a1よりも下方に突出するため、これを避ける開口部126cを設ける必要がある。そのため、クラウンホルダ126の支持がない開口部126cでは、用紙束Pから引き抜かれたステープルSの姿勢が不安定となり(例えば回転してしまう場合がある)、ステープルSが収容部200に落下せずに、ステープル取り外し装置1E内に飛散してしまう場合があった。また、ステープルSが傾斜部122iに引っ掛かった状態で残ってしまう場合もあった。そこで、他の実施形態4では、用紙束Pから引き抜かれたステープルSが収容部200に落下するまでの間、傾斜部122i上で安定した姿勢を維持していられるよう、クラウン支持部500を設けている。
【0132】
クラウン支持部500は、図27A図27B及び図29Aに示すように、押さえ部140に対して除去開始位置L2a側(図30Aにおける図面左側)の隣接した位置に配置され、ステープルSのクラウン部Saを下方側から支持可能に構成される。クラウン支持部500は、押さえ部140に固定される取付部502と、ステープルSのクラウン部Saに当接可能な支持部504とを有する。
【0133】
取付部502は、平面視略矩形状の平板で構成され、ねじ等によって押さえ部140の除去開始位置L2a側の前面に取り付けられる。なお、本実施形態では、取付部502を押さえ部140に接触させた状態で取り付けているが、これに限定されることはない。例えば、クラウン部Saの厚み(ステープルSの直径)未満の隙間であれば、取付部502を押さえ部140から離間して配置するようにしても良い。
【0134】
支持部504は、取付部502の上端部から楔板122E側に凸状に突出しており、その先端側が先細り形状で構成される。支持部504の先端側を先細り形状とすることで、先端側をクラウン部Saに突き当てた状態で支持できるので、ステープルSの姿勢の安定化を図ることができる。なお、支持部504の先端側の形状としては、先細り形状以外にも、例えば、クラウン部Saの長手方向に沿って複数の先細り形状を設ける構成としても良いし、円弧状、又は矩形状で構成しても良い。また、押さえ部140によってステープルSが傾斜部122iの前進とともに除去完了位置L3側に移動するのを規制する間、支持部504をクラウン部Saに対して所定の間隔を空けて配置しても良い。つまり、除去動作中のステープルSの姿勢が不安定、例えば傾斜部122iに引っ掛かっているステープルSの一方の脚部Sbのみが抜けてステープルSが回転等した際に、支持部504の先端側がクラウン部Saに突き当たるように構成し、ステープルSの姿勢の安定化を図ることができるようにしても良い。なお、所定の間隔とは、傾斜部122iに引っ掛かっているステープルSが不安定な姿勢となった場合でも、少なくとも支持部504の先端側がクラウン部Saに接触して支持することが可能な間隔である。
【0135】
支持部504の先端部は、図29Bに示すように、傾斜部122iとの間でクラウン部Saを支持可能とすると共に除去完了位置L3側に移動しようとするクラウン部Saを押さえ部140の前面で規制するために、押さえ部140の先端面140aから少なくともクラウン部Saの厚みT1分低い位置に形成される。また、支持部504の前後方向の長さは、クラウン部Saの厚みT2以上で構成される。このような構成より、クラウン支持部500の支持部504の先端側と、押さえ部140の前面と、傾斜部122iの下面(第1傾斜面122a1)とで、ステープルSの除去時においてクラウン部Saを確実に支持できるようになっている。なお、支持部504の前後方向の長さは、クラウン部Saの厚みT2以上に限定されることはなく、クラウン部Saの一部を支持できればクラウン部Saの厚みT2未満であっても良い。
【0136】
取付部502の下端部には、押さえ部140側に突出する位置規制部506が設けられる。位置規制部506は、押さえ部140の下端部に係合し、取付部502及び支持部504を押さえ部140に対して取り付ける際の位置合わせ部として機能する。
【0137】
なお、本実施形態では、クラウン支持部500と押さえ部140とを別部材で構成した例について説明したが、これに限定されることはない。例えば、クラウン支持部500と押さえ部140とを一部品(一体)で構成するようにしても良い。図29Cは、クラウン支持部500と押さえ部140とを一部品で構成した場合の側面図である。図29Cに示すように、押さえ部140の上端側を、例えば図27Aに示した先細り形状となるように切り欠くことで、クラウン部Saを支持するクラウン支持部500として機能させることができる。
【0138】
[ステープル取り外し装置1Eの動作例]
次に、用紙束PからステープルSを引き抜く場合におけるステープル取り外し装置1Eの動作について説明する。図30A図30Fは、用紙束PからステープルSを引き抜く場合におけるステープル取り外し装置1Eの動作を示す側面図である。
【0139】
ユーザーにより、載置台102上に用紙束Pが載置され、ステープル取り外し装置1Eの起動スイッチ106(図1A参照)が押されると、図30Aに示すように、用紙束Pが紙押さえ板176によって押圧され、用紙束Pが載置台102に押し付けられる。
【0140】
続けて、図30Bに示すように、傾斜部122iを含む楔板122Eが待機位置L1から除去開始位置L2aに向かって移動すると、先端部122sの上面が用紙束Pの最下層の用紙の裏面に接触し、用紙束Pを押圧した状態で前方から後方に移動することで先端部122sがクラウン部Saと用紙束Pとの間に押し込まれる。
【0141】
さらに、傾斜部122iが除去開始位置L2aから除去完了位置L3に向けて移動すると、用紙束PからステープルSの引き抜きが開始される。これにより、傾斜部122iの前進に伴って、ステープルSの脚部Sbが用紙束Pの最上層の面に対して徐々に起き上がる。また、図30Bに示すように、押さえホルダ142の凸部142aがホルダ128から外れ、押さえ部140及びクラウン支持部500が引張りばね144(図27A参照)により傾斜部122i側(上方)に付勢される。押さえ部140は、傾斜部122iの押し込み力で前方から後方に移動するクラウン部Saの除去完了位置L3側の面に当接し、楔板本体122aと共にステープルSが後方の除去完了位置L3側に移動するのを規制する。つまり、押さえ部140は、除去動作中に、ステープルSと用紙束Pとの間に挿入された楔板本体122aの摺動動作によってステープルSが除去開始位置L2aから除去完了位置L3側に移動しないように、クラウン部Saを除去完了位置L3側から押さえる。また、本実施形態では、クラウン支持部500の支持部504がクラウン部Saの下面に突き当たることで、ステープルSの姿勢の安定性が確保される。
【0142】
楔板122Eの前進に伴って用紙束Pとクラウン部Saとの間に挿入された第1傾斜面122a1を含む傾斜部122iの厚みが厚くなると、図30Cに示すように、押さえ部140及びクラウン支持部500は、引張りばね144により、傾斜部122i及びクラウン部Saに当接した状態で傾斜部122iの厚さ方向に追従して下がる。この場合、クラウン支持部500の支持部504及び押さえ部140によってクラウン部Saが支持される。
【0143】
図30Dに示すように、ステープルSが傾斜部122iの第2傾斜面122c1に位置すると、ステープルSのクラウンホルダ126による支持はなくなるが、クラウン支持部500の支持部504及び押さえ部140によってクラウン部Saが支持された状態が維持され、ステープルSの傾き、回転等が防止される。
【0144】
図30Eに示すように、楔板122Eの前進に伴って先端部122sが除去完了位置L3まで移動し、ステープルSが傾斜部122iの中で最も厚みが厚くなるくびれ部122cに位置すると、第2傾斜面122c1と同様に、ステープルSのクラウンホルダ126による支持はなくなるが、クラウン支持部500の支持部504及び押さえ部140によってクラウン部Saが支持され、ステープルSの姿勢の安定性が確保される。
【0145】
最後に、傾斜部122iを含む楔板122Eが載置台102に沿って除去完了位置L3の後方から前方に移動して待機位置L1に戻る。図30Fに示すように、傾斜部122iの後退に伴って、ステープルSがクラウン支持部500に対して前方に移動することで、クラウン部Saが支持部504の支持から外れる。これにより、ステープルSが収容部200内に落下する。
【0146】
他の実施形態4によれば、ステープルSのクラウン部SaをステープルSが落下する直前までクラウン支持部500によって支持できるので、ステープルSを落下させる直前までステープルSの姿勢の安定性を確保できる。これにより、ステープルSを確実に収容部200内に落下させることができ、ステープルSのステープル取り外し装置1E内への飛散を防止できる。
【0147】
<他の実施形態5>
他の実施形態5に係るステープル取り外し装置1Fでは、ステープルSの用紙束Pからの除去時に楔板122Eの傾斜部122iに残ってしまったステープルSを傾斜部122iから引き剥がすためのステープル当接部600を設ける点において、図1A等に示す実施形態等と相違している。なお、ステープル取り外し装置1A等と実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、他の実施形態5では、他の実施形態4で説明した楔板122Eを用いるため、他の実施形態4と共通する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0148】
[ステープル取り外し装置1Fの構成例]
図31Aは他の実施形態5に係るステープル取り外し装置1Fの分解斜視図、図31Bはステープル取り外し装置1Fの斜視図である。図32は、他の実施形態5に係るステープル当接部600(当接部)及び押さえ部140の側面図である。
【0149】
ステープル取り外し装置1Fは、図31A及び図33A等に示すように、クラウン部Saと一対の脚部Sbを含むステープルSにより綴じられた用紙束Pが載置される載置台102と、先端部122sが載置台102に沿って待機位置(第1位置)L1と除去完了位置(第3位置)L3との間を除去開始位置(第2位置)L2aを経由して移動可能であり、先端部122sが待機位置L1から除去開始位置L2aに移動したとき用紙束PとステープルSとの間に挿入され、さらに除去開始位置L2aから除去完了位置L3に向けて移動することで用紙束PからステープルSの引き抜きを開始する楔板本体122aを含む傾斜部122iと、待機位置L1と除去開始位置L2aとの間に位置し、先端部122sが除去完了位置L3から除去開始位置L2aへ移動する間、第1傾斜面122a1と対向し、傾斜部122iによって用紙束Pから引き抜かれ、傾斜部122iに係合しているステープルSのクラウン部Saに待機位置L1側から当接するステープル当接部600とを備える。
【0150】
また、ステープル取り外し装置1Fは、先端部122sが除去完了位置L3から除去開始位置L2aへ移動する間、ステープル当接部600を第1傾斜面122a1及び第2傾斜面122c1から所定値以内の距離に保持するようにステープル当接部600を移動可能に支持する保持部材(保持部)602とを備える。さらに、ステープル取り外し装置1Fは、除去開始位置L2aと除去完了位置L3との間に位置し、先端部122sが除去開始位置L2aから除去完了位置L3に移動する間、傾斜面122acに対向するとともに、傾斜部122iによって用紙束Pから引き抜かれ、傾斜部122iに係合しているステープルSのクラウン部Saに除去完了位置L3側から当接することでステープルSが傾斜部122iとともに除去完了位置L3方向に移動するのを規制する押さえ部(規制部)140を備える。
【0151】
ステープル当接部600は、図31A等に示すように、押さえ部140の待機位置L1側の前方に所定の間隔を空けて対向して配置され、保持部材602の前側上端部から傾斜部122i側に向かって凸状に突出している。ステープル当接部600は、楔板122Eが前方から後方及び後方から前方に移動する際に、傾斜部122iの下面に当接可能なように引張りばね604によって傾斜部122i側に付勢される。ステープル当接部600は、図32に示すように、傾斜部122i側(上側)に向かうにつれて押さえ部140側に接近する方向に傾斜しており、楔板122Eの後退させる際にステープル当接部600に係合して残ってしまったステープルSが傾斜部122iから離れるまでクラウン部Saとの係合状態を維持できるように構成される。なお、ステープル当接部600は必ずしも傾斜させる必要はなく、例えば鉛直(垂直)方向に延在させるようにしても良い。
【0152】
ステープル当接部600の高さは、例えば、傾斜部122iの下面側の第1傾斜面122a1の傾斜角度を考慮して、押さえ部140よりも若干低く位置に設定される。ステープル当接部600の幅は、例えば、楔板122Eの後退に伴って後方から前方に移動するクラウン部Saに当接可能で、かつ、クラウンホルダ126の溝部126aに挿入可能な長さに選定される。
【0153】
保持部材602は、図31A等に示すように、上面視で略U字状に加工された平板で構成され、押さえホルダ142の外側に突き合わせた状態で配置される。保持部材602の後端側は、軸146によって回動可能に支持されている。保持部材602の軸146よりもさらに後方には、引張りばね604の一端部が取り付けられている。引張りばね604の他端部は、例えば左フレーム112(図8参照)に取り付けられている。保持部材602の前側上端部には、ホルダ128の支持部128bに当接可能な一対の凸部602aが設けられている。
【0154】
図31A及び図32に示すように、押さえ部140、ステープル当接部600及び保持部材602で囲まれた領域は、ステープル当接部600により傾斜部122iから引き剥がされたステープルSが落下する際に通過する開口部700となっている。開口部700は、収容部200(図3参照)の上方に位置している。なお、通常のステープルSの除去動作の場合、楔板122Eの前進により用紙束Pから引き抜かれたステープルSは、傾斜部122iに引っ掛かることなく、開口部700を介して収容部200内に落下する。つまり、ステープル当接部600が利用されることなく、ステープルSが収容部200内に落下する。
【0155】
[ステープル取り外し装置1Fの動作例]
次に、用紙束PからステープルSを引き抜く場合におけるステープル取り外し装置1Fの動作について説明する。図33A図33Gは、用紙束PからステープルSを引き抜く場合におけるステープル取り外し装置1Fの動作を示す側面図である。
【0156】
図33Aに示すように、ユーザーにより、載置台102上に用紙束Pが載置され、ステープル取り外し装置1Fの起動スイッチ106が押されると、用紙束Pが紙押さえ板176により押圧され、用紙束Pが載置台102に押し付けられる。
【0157】
続けて、図33Bに示すように、傾斜部122iを含む楔板122Eが待機位置L1から除去開始位置L2aに移動すると、先端部122sの上面が用紙束Pの最下層の用紙の裏面に接触し、用紙束Pを押圧した状態で前方から後方に移動することで先端部122sがクラウン部Saと用紙束Pとの間に押し込まれる。
【0158】
楔板122Eがさらに前方から後方に移動していくと、図33Cに示すように、押さえホルダ142の凸部142a及び保持部材602の凸部602aがホルダ128から外れ、押さえ部140及びステープル当接部600が引張りばね144,604により上方の傾斜部122i側に付勢される。これにより、押さえ部140が楔板122Eの押し込み力で前方から後方に移動するクラウン部Saの除去完了位置L3側の後面に当接し、楔板本体122aと共にステープルSが後方の除去完了位置L3側に移動するのを規制する。また、ステープル当接部600は傾斜部122iの下面側の第1傾斜面122a1に当接する。
【0159】
楔板122Eの前進に伴って用紙束Pとクラウン部Saとの間に挿入された第1傾斜面122a1を含む傾斜部122iの厚みが厚くなると、押さえ部140及びステープル当接部600は、引張りばね144,604により、傾斜部122i及びクラウン部Saに当接した状態で傾斜部122iの厚さ方向に追従して下がる。
【0160】
ステープルSが傾斜部122iの第2傾斜面122c1に位置すると、脚部Sbが用紙束Pに対して起き上がって用紙束Pから引き抜かれ、図33Dに示すように、傾斜部122iの先端部122sが除去完了位置L3まで移動し、ステープルSが傾斜部122iの最厚部であるくびれ部122cに位置すると、ステープルSの用紙束Pからの引き抜きが完了する。しかし、本実施形態では、脚部SbのスプリングバックによりステープルSが傾斜部122iの側面に引っ掛かって残っており、収容部200内に落下していない。
【0161】
図33Eに示すように、ステープルSが引っ掛かった状態の傾斜部122iを含む楔板122Eが載置台102に沿って後方の除去完了位置L3から前方の待機位置L1に向かって移動する。このとき、楔板122Eによって用紙束Pから引き抜かれ、例えばくびれ部122cに係合して残っているステープルSのクラウン部Saに、ステープルSよりも前方に位置するステープル当接部600が待機位置L1側から当接する。傾斜部122iに巻付いたステープルSを取り外す際に、除去部120が除去完了位置L3から除去開始位置L2aに移動する間、常にステープル当接部600に当接させる必要はなく、除去完了位置L3から除去開始位置L2aの間の一部の区間で当接する構成であっても良い。
【0162】
図33Fに示すように、楔板122Eがさらに前方に移動していくと、ステープル当接部600に引っ掛かっていたステープルSが傾斜部122iのくびれ部122cから引き剥がされる。さらに楔板122Eが後退すると、図33Gに示すように、ステープルSが傾斜部122iのくびれ部122cから完全に離れ、つまり、ステープルSの傾斜部122iに対する係合状態が解除され、開口部700内に落下し、その下方に配置された収容部200(図3参照)内に収容される。
【0163】
従来、ステープルSの種類及び用紙束Pの厚みの組み合わせによっては、楔板122Eの挿入により広げたステープルSの脚部Sb,Sbのスプリングバックによって、ステープルSが傾斜部122iのくびれ部122cに抱き付き易くなり、傾斜部122iからステープルSが落下しない場合があった。同様のケースは、傾斜部122iの左右方向の中心とクラウン部Saの長手方向の中心との位置がずれてセットされている場合にも、ステープルSに不規則な変形が発生し、楔板122EからステープルSが落下しない場合があった。
【0164】
これに対し、他の実施形態5によれば、用紙束Pから引き抜いたステープルSが傾斜部122iに残ってしまった場合でも、楔板122Eの後退時にクラウン部Saがステープル当接部600に引っ掛かるように構成するので、ステープルSを傾斜部122iから確実に引き剥がして除去することができる。これにより、ステープルSの詰まりを防止でき、除去動作時の不良の発生を抑制することができる。
【0165】
なお、上述した例では、ステープルSの除去動作時にステープル当接部600を傾斜部122iの下面に当接させる構成について説明したが、必ずしもステープル当接部600を傾斜部122iの下面に当接させる必要はない。例えば、楔板122Eが前進及び後退する際に、ステープル当接部600を傾斜部122iの下面に対して所定の間隔(所定値)を空けて配置するようにしても良い。所定の間隔とは、例えば楔板122Eが待機位置L1に戻る際に、傾斜部122iに残っているステープルSのクラウン部Saに、ステープル当接部600を引っ掛けることが可能な間隔である。
【0166】
<他の実施形態6>
他の実施形態6に係るステープル取り外し装置1Gでは、他の実施形態4のクラウン支持部500と、他の実施形態5のステープル当接部600とを組み合わせて構成している。なお、図1A等に示す実施形態に係るステープル取り外し装置1A、他の実施形態4に係るステープル取り外し装置1E及び他の実施形態5に係るステープル取り外し装置1F等と実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0167】
[ステープル取り外し装置1Gの構成例]
図34Aは他の実施形態6に係るステープル取り外し装置1Gの分解斜視図、図34Bはステープル取り外し装置1Gの斜視図である。
【0168】
ステープル取り外し装置1Gは、図34A及び図34Bに示すように、載置台102と、傾斜部122iを含む楔板122Eと、押さえ部140と、クラウン支持部500と、ステープル当接部600と、保持部材602とを主として備える。
【0169】
クラウン支持部500は、図33C及び図34Aに示すように、押さえ部140がステープルSの移動を規制する間、ステープルSのクラウン部Saの下方に位置する。クラウン支持部500は、押さえ部140に固定される取付部502と、ステープルSのクラウン部に当接可能な支持部504とを有する。取付部502は、平面視略矩形状の平板で構成され、ねじ等によって押さえ部140の前面に取り付けられる。支持部504は、取付部502の上端部から傾斜部122iE側に凸状に突出しており、その先端側が先細り形状で構成される。
【0170】
ステープル当接部600は、図33C及び図34Aに示すように、待機位置L1と除去開始位置L2aとの間に位置し、先端部122sが除去完了位置L3から除去開始位置L2aへ移動する間、第1傾斜面122a1と対向し、傾斜部122iによって用紙束Pから引き抜かれ、傾斜部122iに係合しているステープルSのクラウン部Saに待機位置L1側から当接する。ステープル当接部600は、押さえ部140及びクラウン支持部500の前方に所定の間隔を空けて対向配置され、保持部材602の前側上端部から傾斜部122i側に向かって凸状に突出している。クラウン支持部500、ステープル当接部600及び保持部材602で囲まれた領域は、ステープル当接部600で傾斜部122iから引き剥がしたステープルSが落下する際に通過する開口部700となっている。
【0171】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施の形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されることはない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得る技術的思想は本開示の技術的範囲に属するものとする。
例えば、上記実施形態に係るステープル取り外し装置1A等を用紙に画像を形成する画像形成装置に搭載することもできる。この場合、本実施の形態に係るステープル取り外し装置1A等を、画像形成装置の操作パネルの隣接した位置に配置してもよいし、画像形成装置の内部又は画像形成装置に連結される後処理装置の内部に配置してもよい。
【0172】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
クラウン部と一対の脚部を含むステープルにより綴じられた用紙束を、前記クラウン部を下向きにして載置可能な載置台と、
前記載置台の下方に位置し、基端部と先端部を含み、前記基端部から前記先端部に行くほど厚みが薄くなるように傾斜した傾斜面を有する傾斜部であって、前記先端部は、前記載置台に沿って第1位置から第2位置を経由して第3位置に移動可能であり、前記第1位置から前記第2位置に移動したとき前記用紙束と前記ステープルとの間に挿入され、さらに前記第2位置から前記第3位置に向けて移動することで前記用紙束から前記ステープルの引き抜きを開始する傾斜部と、
前記第2位置と前記第3位置との間に位置し、前記先端部が第2位置から第3位置に移動する間、前記傾斜面に対向するとともに、前記傾斜部によって前記用紙束から引き抜かれ、前記傾斜部に係合している前記ステープルの前記クラウン部に前記第3位置側から当接し、これにより前記ステープルが前記傾斜部とともに前記第3位置方向に移動するのを規制する規制部と、
前記規制部に前記第2位置側で隣接し、前記規制部が前記ステープルの移動を規制する間、前記ステープルの前記クラウン部の下方に位置するクラウン支持部と
を備えるステープル取り外し装置。
(2)
前記クラウン支持部は、前記先端部が前記第2位置から前記第3位置に移動する際に、前記クラウン部に下方から当接可能なように前記傾斜部側に付勢される、
上記(1)に記載のステープル取り外し装置。
(3)
前記クラウン支持部は、前記クラウン部側が先細り形状である、
上記(1)又は(2)に記載のステープル取り外し装置。
(4)
前記クラウン支持部と前記規制部とは一体で構成される、
上記(1)から(3)の何れか一つに記載のステープル取り外し装置。
(5)
クラウン部と一対の脚部を含むステープルにより綴じられた用紙束が載置される載置台と、
基端部と先端部を含み、前記基端部から前記先端部に行くほど厚みが薄くなるように傾斜する傾斜面を有する傾斜部であって、前記先端部が前記載置台に沿って第1位置と第3位置との間を第2位置を経由して移動可能であり、前記先端部が前記第1位置から前記第2位置に移動したとき前記用紙束と前記ステープルとの間に挿入され、さらに前記第2位置から前記第3位置に向けて移動することで前記用紙束から前記ステープルの引き抜きを開始する傾斜部と、
前記第1位置と前記第2位置との間に位置し、前記先端部が前記第3位置から前記第2位置へ移動する間、前記傾斜面と対向し、前記傾斜部によって前記用紙束から引き抜かれ、前記傾斜部に係合している前記ステープルの前記クラウン部に前記第1位置側から当接する当接部と
を備えるステープル取り外し装置。
(6)
前記先端部が前記第3位置から前記第2位置へ移動する間、前記当接部を前記傾斜面から所定値以内の距離に保持するように前記ステープル当接部を支持する保持部と
を備える上記(5)に記載のステープル取り外し装置。
(7)
前記保持部は、前記当接部を前記傾斜部に当接可能なように前記傾斜部側に付勢される、
上記(6)に記載のステープル取り外し装置。
(8)
前記第2位置と前記第3位置との間に位置し、前記先端部が第2位置から第3位置に移動する間、前記傾斜面に対向するとともに、前記傾斜部によって前記用紙束から引き抜かれ、前記傾斜部に係合している前記ステープルの前記クラウン部に前記第3位置側から当接し、これにより前記ステープルが前記傾斜部とともに前記第3位置方向に移動するのを規制する規制部を備え、
前記当接部は、前記規制部に前記第2位置側に対向して設けられ、前記傾斜部側に向かうにつれて前記規制部に近づく方向に傾斜する、
上記(5)から(7)の何れか一つに記載のステープル取り外し装置。
(9)
前記当接部と前記規制部との間には、前記当接部により前記傾斜部から引き剥がされた前記ステープルが落下する開口部が設けられる、
上記(8)に記載のステープル取り外し装置。
【符号の説明】
【0173】
1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G ステープル取り外し装置
102 載置台
112 左フレーム(支持部材)
113 ガイド溝(案内部)
113a 第1溝
113b 第2溝
114 右フレーム(支持部材)
115 ガイド溝(案内部)
115a 第1溝
115b 第2溝
120 除去部
122 楔板
122E 楔板
122ac 傾斜面
122a 楔板本体
122c くびれ部
122i 傾斜部
140 押さえ部(規制部)
152 第1モータ(モータ)
500 クラウン支持部(支持部)
600 ステープル当接部(当接部)
602 保持部材(保持部)
L1 待機位置(第1位置)
L2 除去位置(第2位置)
L2a 除去開始位置(第2位置)
L3 除去完了位置(第3位置)
S ステープル
P 用紙束
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図15F
図15G
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図17A
図17B
図17C
図17D
図17E
図18
図19A
図19B
図20A
図20B
図21
図22A
図22B
図23A
図23B
図24
図25A
図25B
図26A
図26B
図27A
図27B
図28
図29A
図29B
図29C
図30A
図30B
図30C
図30D
図30E
図30F
図31A
図31B
図32
図33A
図33B
図33C
図33D
図33E
図33F
図33G
図34A
図34B