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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】振動デバイス
(51)【国際特許分類】
   H03B 5/32 20060101AFI20250121BHJP
【FI】
H03B5/32 H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020136443
(22)【出願日】2020-08-12
(65)【公開番号】P2022032562
(43)【公開日】2022-02-25
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】笠原 昌一郎
【審査官】志津木 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-028095(JP,A)
【文献】特開2020-108109(JP,A)
【文献】特開2012-050057(JP,A)
【文献】特開2012-070418(JP,A)
【文献】特開2020-036262(JP,A)
【文献】特開2007-300416(JP,A)
【文献】特開2009-027477(JP,A)
【文献】特開2007-180885(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0145610(US,A1)
【文献】特開2013-197832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03B5/30-5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板であるベースおよび半導体基板であるリッドを備え、収容部を有するパッケージと、
前記収容部に収容され、前記ベースに配置されている振動素子および受動素子と、
前記ベースに配置され、前記振動素子と電気的に接続される発振回路と、
前記パッケージに配置され、前記受動素子と電気的に接続される実装端子と、を有し、
前記収容部は、前記振動素子が収容されている第1収容部と、前記受動素子が収容されている第2収容部と、を有し、
前記ベースおよび前記リッドの少なくとも一方は、定電位に接続されており、
前記ベースの厚さ方向から見たとき、前記振動素子と前記受動素子とは、重ならずに、並んで配置されており、
前記振動素子と前記受動素子とが並んでいる方向から見たとき、前記振動素子と前記受動素子とが重なっていることを特徴とする振動デバイス。
【請求項2】
前記ベースおよび前記リッドは、それぞれ、前記定電位に接続されている請求項1に記載の振動デバイス。
【請求項3】
前記発振回路は、前記ベースの前記収容部と反対の面側に配置されている請求項1または2に記載の振動デバイス。
【請求項4】
前記パッケージは、前記ベースと前記リッドとの間に介在し、前記振動素子と一体形成されているスペーサーを有する請求項1ないしのいずれか1項に記載の振動デバイス。
【請求項5】
前記受動素子は、前記ベースの前記収容部側の面に一体的に形成されている薄膜状である請求項1ないしのいずれか1項に記載の振動デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発振回路と、発振回路からの発振信号に基づいて動作する伝送制御部としてのUSB制御部と、を有するマイクロコントローラーが記載されている。また、特許文献1では、振動子は、発振回路に対して外付けで接続されている。また、USB制御部等の発振回路からの発振信号に基づいて動作する応用回路を含むICには、回路の安定化等を図るために、通常、外付け部品としてコンデンサー、チップ抵抗、インダクター等が必要とされ、これら外付け部品は、ICと共に基板上に実装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-175127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、外付け部品やそれらを実装する実装パッドに対して外部から印加される電磁ノイズの影響により、外付け部品が接続されている配線にノイズが重畳されてしまう。また、外付け部品やそれらを実装する実装パッドから放射される電磁ノイズが外部の回路に悪影響を与えてしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る振動デバイスは、半導体基板であるベースおよび半導体基板であるリッドを備え、収容部を有するパッケージと、
前記収容部に収容され、前記ベースに配置されている振動素子および受動素子と、
前記ベースに配置され、前記振動素子と電気的に接続される発振回路と、
前記パッケージに配置され、前記受動素子と電気的に接続される実装端子と、を有し、
前記ベースおよび前記リッドの少なくとも一方は、定電位に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。
図2図1の振動デバイスが有する振動素子および受動素子を示す平面図である。
図3図1の振動デバイスを搭載した回路基板を示す平面図である。
図4図3の回路基板が有する回路のブロック図である。
図5】第2実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。
図6】第3実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。
図7】第4実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本適用例に係る振動デバイスを添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0008】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。図2は、図1の振動デバイスが有する振動素子および受動素子を示す平面図である。図3は、図1の振動デバイスを搭載した回路基板を示す平面図である。図4は、図3の回路基板が有する回路のブロック図である。
【0009】
なお、図1は、図2中のA-A線断面図である。また、説明の便宜上、図1および図2の各図には、互いに直交する3軸をX軸、Y軸およびZ軸として図示している。また、Z軸方向の矢印が向く側を「上」とも言い、反対側を「下」とも言う。また、Z軸方向からの平面視を単に「平面視」とも言う。また、以下の説明では、「上面に配置」とは、上面に直接配置する場合の他、上面から所定距離離間した位置に配置する場合、すなわち、「上面側に配置」する場合も含む。下面についても同様である。
【0010】
図1に示す振動デバイス1は、内部に収容部Sを有するパッケージ10と、収容部S内に収容された振動素子4および受動素子5と、を有する。また、パッケージ10は、振動素子4および受動素子5が配置されたベース2と、振動素子4および受動素子5を覆ってベース2の上面2aに接合されたリッド3と、を有する。また、ベース2には集積回路6が形成されている。
【0011】
ベース2は、シリコン基板、特にP型のシリコン基板である。ただし、ベース2としては、特に限定されず、N型のシリコン基板であってもよい。また、シリコン以外の半導体基板、例えば、Ge、GaP、GaAs、InP等の半導体基板を用いてもよい。
【0012】
また、ベース2は、板状であり、表裏関係にある上面2aおよび下面2bを有する。また、ベース2の表面は、絶縁膜20で覆われている。また、ベース2の下面2bには振動素子4と電気的に接続された集積回路6が形成されている。このように、ベース2に集積回路6を形成することにより、ベース2のスペースを有効活用することができる。特に、下面2bに集積回路6を形成することにより、上面2aに集積回路6を形成する場合と比べて、リッド3との接合領域がない分、集積回路6の形成スペースを広く確保することができる。ただし、集積回路6は、ベース2の下面2bではなく、上面2aに形成してもよい。
【0013】
集積回路6には、振動素子4と電気的に接続され、振動素子4を発振させてクロック信号等の発振信号を生成する発振回路6Aが含まれている。集積回路6には、発振回路6Aの他にも回路が含まれていてもよい。このような回路としては、例えば、発振回路6Aからの出力信号を処理する処理回路が挙げられ、このような処理回路としては、例えば、PLL回路が挙げられる。
【0014】
また、ベース2の下面2bには、配線層62、絶縁層63、パッシベーション膜64および端子層65が積層された積層体60が設けられている。そして、配線層62に含まれる配線を介して、下面2bに形成された図示しない複数の能動素子が電気的に接続されて集積回路6が構成される。また、端子層65は、複数の実装端子651を有する。複数の実装端子651は、発振回路6Aや受動素子5と電気的に接続されており、電源に繋がる端子、グランドに繋がる端子、発振回路6Aからの発振信号が出力される端子、受動素子5と電気的に接続された端子等が含まれている。特に、受動素子5と電気的に接続された端子を以下では実装端子651aとも言う。
【0015】
なお、絶縁層63は、酸化シリコン(SiO)で構成され、配線層62および端子層65は、導電性のポリシリコン、タングステン(W)等の導電性材料で構成されている。ただし、これら各部の構成材料は、その機能を発揮することができれば、特に限定されない。
【0016】
なお、説明の便宜上、積層体60に1つの配線層62が含まれた構成としているが、これに限定されず、複数の配線層62が絶縁層63を介して積層されていてもよい。つまり、配線層62と絶縁層63とが交互に複数回積層されていてもよい。これにより、例えば、回路内の配線の引き回し、複数の実装端子651の設置自由度を高めることができる。
【0017】
また、ベース2には、ベース2を厚さ方向に貫通する複数の貫通孔21が形成されている。そして、各貫通孔21内には導電性材料が充填され、これにより、貫通電極210が形成されている。また、図2に示すように、ベース2の上面2aには、振動素子4および受動素子5と電気的に接続された複数の配線が配置されている。これら配線のうち、振動素子4と電気的に接続された配線は、貫通電極210を介して発振回路6Aと電気的に接続されている。また、受動素子5と電気的に接続された配線は、貫通電極210を介して実装端子651aと電気的に接続されている。
【0018】
リッド3は、ベース2と同様、シリコン基板である。これにより、ベース2とリッド3との線膨張係数が等しくなり、熱膨張に起因する熱応力の発生が抑えられ、優れた振動特性を有する振動デバイス1となる。また、振動デバイス1を半導体プロセスによって形成することができるため、振動デバイス1を精度よく製造することができると共に、その小型化を図ることができる。ただし、リッド3としては、特に限定されず、シリコン以外の半導体基板、例えば、Ge、GaP、GaAs、InP等の半導体基板を用いてもよい。
【0019】
図1に示すように、リッド3は、その下面に開口し、内部に振動素子4および受動素子5を収容する有底の凹部31を有する。そして、リッド3は、その下面において接合部材7を介してベース2の上面2aに直接接合されている。これにより、リッド3とベース2との間に振動素子4および受動素子5を収容する空間である収容部Sが形成される。本実施形態では、直接接合の中でも金属同士の拡散を利用した拡散接合を用いて接合されている。ただし、リッド3とベース2との接合方法は、特に限定されない。
【0020】
収容部Sは、気密であり、減圧状態、好ましくはより真空に近い状態となっている。これにより、振動素子4の発振特性が向上する。ただし、収容部Sの雰囲気は、特に限定されず、例えば、窒素またはAr等の不活性ガスを封入した雰囲気であってもよく、減圧状態でなく大気圧状態または加圧状態となっていてもよい。
【0021】
ここで、接合部材7は、導電性を有する。そのため、リッド3は、接合部材7を介してベース2と電気的に接続されている。前述したように、ベース2は、P型のシリコン基板であるため、振動デバイス1の駆動時には接地される。つまり、定電位であるGNDに接続される。そのため、リッド3もGNDに接続される。これにより、パッケージ10全体がGNDに接続され、シールドの機能を発揮し、外部からの電磁ノイズを遮蔽することができる。そのため、外部からの電磁ノイズが収容部S内の受動素子5や受動素子5に接続された配線に重畳することを効果的に抑制することができる。また、収容部S内から放射される電磁ノイズを遮蔽することができ、当該電磁ノイズがパッケージ10外に配置された受動素子や配線に重畳することを効果的に抑制することができる。そのため、回路特性が安定化する。また、電磁ノイズの影響を受け難いため、各種回路部品をパッケージ10に対して近接して配置することでき、振動デバイス1を含む回路全体の小型化を図ることができる。
【0022】
なお、本実施形態では、上述したようにベース2およびリッド3がGNDに接続されているが、これに限定されず、ベース2およびリッド3の少なくとも一方がGNDに接続されていればよい。これにより、上述した機能を発揮することができる。
【0023】
振動素子4は、図2に示すように、振動基板41と、振動基板41の表面に配置された電極と、を有する。振動基板41は、厚みすべり振動モードを有し、本実施形態ではATカット水晶基板から形成されている。ATカット水晶基板は、三次の周波数温度特性を有しているため、優れた温度特性を有する振動素子4となる。また、電極は、振動基板41の上面に配置された励振電極421と、下面に励振電極421と対向して配置された励振電極422と、を有する。また、電極は、振動基板41の下面に配置された一対の端子423、424と、端子423と励振電極421とを電気的に接続する配線425と、端子424と励振電極422とを電気的に接続する配線426と、を有する。
【0024】
なお、振動素子4の構成は、上述の構成に限定されない。例えば、振動素子4は、励振電極421、422に挟まれた振動領域がその周囲から突出したメサ型となっていてもよいし、逆に、振動領域がその周囲から凹没した逆メサ型となっていてもよい。また、振動基板41の周囲を研削するベベル加工や、上面および下面を凸曲面とするコンベックス加工が施されていてもよい。
【0025】
また、振動素子4としては、厚みすべり振動モードで振動するものに限定されず、例えば、複数の振動腕が面内方向に屈曲振動する振動片であってもよい。つまり、振動基板41は、ATカット水晶基板から形成されたものに限定されず、ATカット水晶基板以外の水晶基板、例えば、Xカット水晶基板、Yカット水晶基板、Zカット水晶基板、BTカット水晶基板、SCカット水晶基板、STカット水晶基板等から形成されていてもよい。また、本実施形態では、振動基板41が水晶で構成されているが、これに限定されず、例えば、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、四ホウ酸リチウム、ランガサイト、ニオブ酸カリウム、リン酸ガリウム等の圧電単結晶体により構成されていてもよいし、これら以外の圧電単結晶体で構成されていてもよい。更にまた、振動素子4は、圧電駆動型の振動片に限らず、静電気力を用いた静電駆動型の振動片であってもよい。
【0026】
このような振動素子4は、一対の導電性の接合部材B1によってベース2の上面2aに固定されていると共に、上面2aに配置された配線と電気的に接続されている。
【0027】
受動素子5は、例えば、コンデンサー、インダクター、抵抗等、供給された電力を消費・蓄積・放出する素子である。受動素子5の数、受動素子5として何を用いるかは、振動デバイス1の用途に応じて適宜設定することができる。このような受動素子5は、チップ状であり、導電性の接合部材B2によってベース2の上面2aに固定されていると共に対応する配線と電気的に接続されている。
【0028】
接合部材B1、B2としては、導電性と接合性とを兼ね備えていれば、特に限定されず、例えば、金バンプ、銀バンプ、銅バンプ、半田バンプ等の各種金属バンプ、ポリイミド系、エポキシ系、シリコーン系、アクリル系の各種接着剤に銀フィラー等の導電性フィラーを分散させた導電性接着剤等を用いることができる。接合部材B1、B2として前者の金属バンプを用いると、接合部材B1、B2からのガスの発生を抑制でき、収容部Sの環境変化、特に圧力の上昇を効果的に抑制することができる。一方、接合部材B1、B2として後者の導電性接着剤を用いると、接合部材B1、B2が金属バンプに比べて柔らかくなり、振動素子4に応力が伝わり難くなる。
【0029】
以上、振動デバイス1について説明した。次に、この振動デバイス1を搭載した回路基板100について説明する。図3に示すように、回路基板100は、プリント配線基板110と、プリント配線基板110に搭載された回路素子120、レギュレーター回路素子130、振動デバイス1および複数の受動素子140と、を有する。
【0030】
回路素子120は、発振回路6Aで生成された発振信号に基づいて作動する回路である。回路素子120としては、特に限定されないが、本実施形態では、USBコネクターを通じた信号の送受信を制御する伝送回路であるUSBコントローラーICである。このように、回路素子120として伝送回路を用いることにより、振動デバイス1を様々な電子機器に搭載することができ、振動デバイス1の利便性が向上する。レギュレーター回路素子130は、回路素子120および振動デバイス1に安定した電源を供給する。
【0031】
また、図4に示すように、回路素子120は、一対のアップストリーム端子121、122、一対のダウンストリーム端子123、124と、電源端子125と、マイナス電源端子126と、を有する。そして、一対のアップストリーム端子121、122に上位端末Q1が接続され、一対のダウンストリーム端子123、124に周辺端末Q2が接続される。このような回路素子120は、上位端末Q1および周辺端末Q2からの伝送信号に同期動作するように、発振回路6Aからの発振信号を使用する。なお、本実施形態では、一対のダウンストリーム端子123、124を設けているが、USB-HUBのように複数対のダウンストリーム端子を設けてもよい。
【0032】
また、複数の受動素子140は、回路素子120の特性安定化を図るための素子であり、例えば、コンデンサー、インダクター、抵抗等、供給された電力を消費・蓄積・放出する素子である。
【0033】
本実施形態では、受動素子140として、アップストリーム端子121に接続されたコンデンサーC1およびインダクターI1と、アップストリーム端子122に接続されたコンデンサーC2およびインダクターI2と、ダウンストリーム端子123に接続されたコンデンサーC3およびインダクターI3と、ダウンストリーム端子124に接続されたコンデンサーC4およびインダクターI4と、を有する。これにより、コモンモードフィルター(ノイズ低減フィルター)が構成され、回路素子120を介して伝送される信号からノイズを除去することができ、回路素子120の特性が向上する。
【0034】
ここで、振動デバイス1が有する受動素子5は、レギュレーター回路素子130に接続されたコンデンサーC5である。これにより、外部から供給される電源電圧からノイズを除去することができ、安定した電源電圧を発振回路6Aおよび回路素子120に供給することができる。
【0035】
前述したようにGNDに接続されたパッケージ10によって外部からの電磁ノイズを遮蔽することができるため、外部からの電磁ノイズが収容部S内のコンデンサーC5やコンデンサーC5に接続された配線に重畳するのを効果的に抑制することができる。また、収容部S内から放射される電磁ノイズを遮蔽することができ、当該電磁ノイズが受動素子140やそれに接続された配線に重畳することを効果的に抑制することができる。そのため、回路素子120の安定した駆動が可能となる。また、振動デバイス1からの電磁ノイズの影響を受け難いため、回路素子120、コンデンサーC1~C4およびインダクターI1~I4を振動デバイス1に対して近接して配置することができ、回路基板100の小型化を図ることができる。
【0036】
なお、パッケージ10に収容する受動素子5としては、コンデンサーC5に限定されない。例えば、コンデンサーC1~C4およびインダクターI1~I4の少なくとも1つであってもよい。例えば、コンデンサーC1、C2およびインダクターI1、I2であってもよく、この場合は、コンデンサーC1およびインダクターI1で構成されるアップストリーム端子121用のコモンモードフィルターと、コンデンサーC2およびインダクターI2で構成されるアップストリーム端子122用のコモンモードフィルターと、をアップストリーム端子121、122に接続される配線を含めて対称的に配置することが好ましい。
【0037】
以上、振動デバイス1について説明した。このような振動デバイス1は、前述したように、半導体基板であるベース2および半導体基板であるリッド3を備え、収容部Sを有するパッケージ10と、収容部Sに収容され、ベース2に配置されている振動素子4および受動素子5と、ベース2に配置され、振動素子4と電気的に接続される発振回路6Aと、パッケージ10に配置され、受動素子5と電気的に接続される実装端子651aと、を有する。そして、ベース2およびリッド3の少なくとも一方は、定電位としてのGNDに接続されている。
【0038】
このような構成によれば、パッケージ10がシールドの機能を発揮し、外部からの電磁ノイズを遮蔽することができる。そのため、外部からの電磁ノイズが収容部S内の受動素子5や受動素子5に接続された配線に重畳することを効果的に抑制することができる。また、収容部S内から放射される電磁ノイズを遮蔽することができ、当該電磁ノイズがパッケージ10外に配置された受動素子や配線に重畳することを効果的に抑制することができる。そのため、回路特性が安定化する。また、電磁ノイズの影響を受け難いため、各種回路部品をパッケージ10に対して近接して配置することでき、振動デバイス1を含む回路全体の小型化を図ることができる。
【0039】
また、前述したように、ベース2およびリッド3は、それぞれ、定電位としてのGNDに接続されている。これにより、パッケージ10によるシールド効果が向上し、上述した効果をより顕著に発揮することができる。
【0040】
また、前述したように、発振回路6Aは、ベース2の収容部Sと反対の面である下面2b側に配置されている。このように、ベース2に発振回路6Aを形成することにより、ベース2のスペースを有効活用することができる。特に、下面2bに発振回路6Aを形成することにより、上面2aに発振回路6Aを形成する場合と比べて、リッド3との接合領域がない分、発振回路6Aの形成スペースを広く確保することができる。
【0041】
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。
【0042】
本実施形態は、パッケージ10の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図5において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
【0043】
図5に示すように、本実施形態の振動デバイス1では、リッド3が2つの有底の凹部311、312を有する。そのため、収容部Sは、振動素子4が収容されている第1収容部S1と、受動素子5が収容されている第2収容部S2と、を有する。このような構成によれば、振動素子4と受動素子5との間がリッド3で仕切られるため、振動素子4と受動素子5との電磁的な結合を抑制することができる。
【0044】
このような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0045】
<第3実施形態>
図6は、第3実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。
【0046】
本実施形態は、パッケージ10の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図6において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
【0047】
図6に示すように、本実施形態の振動デバイス1では、ベース2およびリッド3は、それぞれ、板状である。そして、パッケージ10は、これら板状のベース2とリッド3との間に介在し、ベース2とリッド3との間に収容部Sを形成するスペーサー9を有する。また、スペーサー9は、振動素子4と一体形成されている。具体的に説明すると、振動デバイス1は、ベース2とリッド3との間に配置された水晶基板8を有し、この水晶基板8には、振動基板41と、この振動基板41を囲む枠状のスペーサー9と、振動基板41とスペーサー9とを連結する連結部81とが一体形成されている。そして、スペーサー9の上面が接合部材7を介してリッド3と接合され、下面が接合部材7を介してベース2と接合されている。このような構成によれば、リッド3に凹部31を形成する必要がなくなるため、振動デバイス1の製造がより容易となる。
【0048】
以上のように、本実施形態のパッケージ10は、ベース2とリッド3との間に介在し、振動素子4と一体形成されているスペーサー9を有する。これにより、リッド3に凹部31を形成する必要がなくなるため、その分、振動デバイス1の製造がより容易となる。
【0049】
このような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0050】
<第4実施形態>
図7は、第4実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。
【0051】
本実施形態は、パッケージ10の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図7において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
【0052】
図7に示すように、本実施形態の振動デバイス1では、前述した第1実施形態のように導電性の接合部材B2を介して受動素子5がベース2の上面2aに接合されているのとは異なり、薄膜状の受動素子5がベース2の上面2aにベース2と一体的に形成されている。より具体的には、受動素子5であるコンデンサーC5は、下部電極C51と上部電極C52との間に誘電体層C53が挟み込まれた構成となっており、これらが上面2aに順に積層されている。このような構成によれば、受動素子5を位置決めして実装する工程が不要となるため、振動デバイス1の製造が容易となる。また、受動素子5の厚みを抑えられるため、前述した第1実施形態と比べて振動デバイス1の低背化を図ることができる。
【0053】
なお、集積回路6がベース2の上面2aに形成されている場合には、この集積回路6内に受動素子5を形成してもよい。
【0054】
以上のように、本実施形態の受動素子5は、ベース2の収容部S側の面である上面2aに一体的に形成されている薄膜状である。このような構成によれば、受動素子5を位置決めして実装する工程が不要となるため、振動デバイス1の製造が容易となる。また、受動素子5の厚みを抑えられるため、前述した第1実施形態と比べて振動デバイス1の低背化を図ることができる。
【0055】
このような第4実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0056】
以上、本発明の振動デバイスを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…振動デバイス、2…ベース、2a…上面、2b…下面、3…リッド、4…振動素子、5…受動素子、6…集積回路、7…接合部材、8…水晶基板、9…スペーサー、10…パッケージ、20…絶縁膜、21…貫通孔、31…凹部、41…振動基板、6A…発振回路、60…積層体、62…配線層、63…絶縁層、64…パッシベーション膜、65…端子層、81…連結部、100…回路基板、110…プリント配線基板、120…回路素子、121,122…アップストリーム端子、123,124…ダウンストリーム端子、125…電源端子、126…マイナス電源端子、130…レギュレーター回路素子、140…受動素子、210…貫通電極、311,312…凹部、421,422…励振電極、423,424…端子、425,426…配線、651,651a…実装端子、B1,B2…接合部材、C1~C5…コンデンサー、C51…下部電極、C52…上部電極、C53…誘電体層、I1~I4…インダクター、S…収容部、S1…第1収容部、S2…第2収容部、Q1…上位端末、Q2…周辺端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7