(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20250121BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20250121BHJP
G03B 27/62 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
G03G15/00 303
B41J29/393 101
G03B27/62
(21)【出願番号】P 2020199946
(22)【出願日】2020-12-02
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅田 智一
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-039522(JP,A)
【文献】特開2014-022919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00 -15/36
G03G 21/00 -21/20
H04N 1/04 - 1/207
B41J 29/393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を読み取る対象を載置する載置台と、
用紙の第1面のみに、該用紙の端部に対する相対位置測定用の第1画像を含む画像を形成する画像形成部と、
前記載置台に置かれた画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部による読取り結果に基づいて、用紙に対する該用紙に形成される画像の相対的な位置を補正する位置補正部と、を備え、
前記第1画像が形成された前記用紙の第1面を前記載置台に向けて、かつ、該用紙の端部が該載置台の端部から離れた位置で前記載置台に置かれ、さらに該用紙が覆い紙で覆われた状態で、該用紙の端部と該用紙の第1面に形成された画像を前記画像読取部で読み取る際に、該用紙の一部が該載置台および該覆い紙の第1縁からはみ出た状態に置かれているところ、前記画像形成部は、前記覆い紙と前記用紙とが接する面と反対側の前記覆い紙の面に形成された位置合わせ用の第2画像を位置合わせの対象とする第3画像を前記用紙の前記第1面のみに形成し、かつ、前記画像形成部は、前記用紙の前記第1面のみに、前記第1画像および前記第3画像に加え、前記第1縁と重ねることが要求された、該第1縁と交わる向きの位置調整用の第4画像を形成する、
画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成部が、前記第3画像として、該用紙の長手方向の第1端部を含む領域に形成された画像を前記画像読取部に読み取らせるときの位置合わせ用の第1の第3画像と、該用紙の第2端部を含む領域に形成された画像を該画像読取部に読み取らせるときの位置合わせ用の第2の第3画像との双方を、該用紙の前記第1面のみに形成することを特徴とする、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成部が、前記用紙の前記第1面に、視認上互いに異なる前記第1の第3画像および前記第2の第3画像を形成することを特徴とする、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の第3画像が、前記第2画像に対し前記第1縁を挟んだ向かい合わせの位置に配置される形状1つからなる画像であり、前記第2の第3画像が、前記第2画像に対し前記第1縁を挟んだ向かい合わせの位置に配置される、該第1縁に交わる向きに並ぶ前記形状2つからなる画像であることを特徴とする、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成部が、前記第4画像として、前記用紙の第1端部を含む領域に形成された画像を前記画像読取部に読み取らせるときの該第1縁と交わる向きの位置合わせ用の第1の第4画像と、該用紙の第2端部を含む領域に形成された画像を該画像読取部に読み取らせるときの位置合わせ用の第2の第4画像との双方を、該用紙の前記第1面のみに形成することを特徴とする、
請求項1から4のうちのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成部が、前記第1画像を含む画像を形成する第1用紙とは異なる第2用紙に、該第2用紙を前記覆い紙として用いるための画像を形成することを特徴とする、
請求項1から5のうちのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成部が、前記第2用紙の第1面の、前記第1用紙を覆ったときに該第1用紙の端部と重なる部分に、該第1用紙の色と区別される色の画像を形成し、該第2用紙の第2面に、前記第2画像を形成することを特徴とする、
請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像を読み取る対象を載置する載置台と、
用紙の第1面
のみに、該用紙の端部に対する相対位置測定用の第1画像を含む画像を形成する画像形成部と、
前記載置台に置かれた画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部による読取り結果に基づいて、用紙に対する該用紙に形成される画像の相対的な位置を補正する位置補正部と、を備え、
前記第1画像が形成された前記用紙の第1面を前記載置台に向けて、かつ、該用紙の端部が該載置台の端部から離れた位置で前記載置台に置かれ、さらに該用紙が覆い紙で覆われた状態で、該用紙の端部と該用紙の第1面に形成された画像を前記画像読取部で読み取る際に、該用紙の一部が該載置台および該覆い紙の第1縁からはみ出た状態に置かれているところ、前記画像形成部は、前記覆い紙と前記用紙とが接する面と反対側の前記覆い紙の面に形成された位置合わせ用の第2画像を位置合わせの対象とする第3画像を前記用紙の前記第1面
のみに前記画像形成部は形成し、かつ、前記画像形成部は、前記第1画像を含む画像を形成する第1用紙と区別される色の
前記覆い紙に、
前記覆い紙の色と区別される色の前記第2画像を形成する、
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙に対するその用紙上に形成された画像の位置を測定するにあたっては、用紙の端部を基準として測定する必要がある。
【0003】
用紙上の画像の読取りには、載置台(例えば、フラットベッドスキャナーのガラス台)が用いられ、その載置台上に載置された用紙の、載置台側を向いた面に形成されている画像が読み取られる。ここで、この載置台の端部に用紙を突き当てて読取りを行うと、用紙の端部をうまく測定することができない。したがって、用紙に対する画像の位置を測定するにあたっては、載置台の端部から離して、すなわち、載置台の端部と用紙との間に隙間を設けた位置に、用紙を置いた状態で画像を読み取る必要がある。
【0004】
一方、用紙を載置台の端部から離し過ぎると、用紙の一部が載置台上の読取領域から外れてしまうという問題が発生する。
【0005】
特許文献1には、載置台上に載置した用紙を覆い紙で覆い、その覆い紙に形成された位置合わせ用の画像と、用紙の、載置台側を向いた第1面のうら面である第2面に形成された位置合わせ用の画像とを使って、載置台に対する用紙の載置位置を調整することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上掲の特許文献1の提案を採用すれば、用紙を載置台上の予め定められた位置に載置することができる。したがって、用紙の一部が載置台上の読取領域から外れてしまうという問題の発生が抑えられる。
【0008】
しかしながら、この提案は、用紙の両面に画像を形成し、第1面の画像を読み取るにあたり第2面の位置合わせ用の画像を利用するというものである。すなわち、用紙の両面に画像を形成することが必要である。
【0009】
ところが、用紙の両面に画像を形成するにあたっては、例えば、その用紙の長手方向の長さに制限があり、その制限を超えた長さの長尺用紙には片面にしか画像を形成できない画像形成装置が存在する。画像位置の測定は用紙の種類ごとに行う必要があり、片面にしか画像を形成できないような用紙についても測定を行う必要がある。あるいは、もともと、用紙の片面にのみ画像を形成するタイプの画像形成装置も存在する。
【0010】
本発明は、片面にのみ画像が形成された用紙でも載置台に対する用紙の載置位置を案内することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1態様は、画像を読み取る対象を載置する載置台と、用紙の第1面に、該用紙の端部に対する相対位置測定用の第1画像を含む画像を形成する画像形成部と、前記載置台に置かれた画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部による読取り結果に基づいて、用紙に対する該用紙に形成される画像の相対的な位置を補正する位置補正部とを備え、前記第1画像が形成された前記用紙の第1面を前記載置台に向けて、かつ、該用紙の端部が該載置台の端部から離れた位置で前記載置台に置かれ、さらに該用紙が覆い紙で覆われた状態で、該用紙の端部と該用紙の第1面に形成された画像を前記画像読取部で読み取る際に、該用紙の一部が該載置台および該覆い紙の第1縁からはみ出た状態に置かれているところ、前記覆い紙と前記用紙とが接する面と反対側の前記覆い紙の面に形成された位置合わせ用の第2画像を位置合わせの対象とする第3画像を前記用紙の前記第1面に前記画像形成部は形成することを特徴とする画像形成装置である。
【0012】
第2態様は、前記画像形成部が、前記第3画像として、該用紙の第1端部を含む領域に形成された画像を前記画像読取部に読み取らせるときの位置合わせ用の第1の第3画像と、該用紙の第2端部を含む領域に形成された画像を該画像読取部に読み取らせるときの位置合わせ用の第2の第3画像との双方を、該用紙の前記第1面に形成することを特徴とする第1態様に記載の画像形成装置である。
【0013】
第3態様は、前記画像形成部が、前記用紙の第1面に、視認上互いに異なる前記第1の第3画像および前記第2の第3画像を形成することを特徴とする第2態様に記載の画像形成装置である。
【0014】
第4態様は、前記第1の第3画像が、前記第2画像に対し前記第1縁を挟んだ向かい合わせの位置に配置される形状1つからなる画像であり、前記第2の第3画像が、前記第2画像に対し前記第1縁を挟んだ向かい合わせの位置に配置される、該第1縁に交わる向きに並ぶ前記形状2つからなる画像であることを特徴とする第3態様に記載の画像形成装置である。
【0015】
第5態様は、前記画像形成部が、前記用紙の前記第1面に、前記第1画像および前記第3画像に加え、前記第1縁と重ねることが要求された、該第1縁と交わる向きの位置調整用の第4画像を形成することを特徴とする第1態様から第4態様のうちのいずれか1態様に記載の画像形成装置である。
【0016】
第6態様は、前記画像形成部が、前記第4画像として、前記用紙の第1端部を含む領域に形成された画像を前記画像読取部に読み取らせるときの該第1縁と交わる向きの位置合わせ用の第1の第4画像と、該用紙の第2端部を含む領域に形成された画像を該画像読取部に読み取らせるときの位置合わせ用の第2の第4画像との双方を、該用紙の前記第1面に形成することを特徴とする第5態様に記載の画像形成装置である。
【0017】
第7態様は、前記画像形成部が、前記第1画像を含む画像を形成する第1用紙とは異なる第2用紙に、該第2用紙を前記覆い紙として用いるための画像を形成することを特徴とする第1態様から第6態様のうちのいずれか1態様に記載の画像形成装置である。
【0018】
第8態様は、前記画像形成部が、前記第2用紙の第1面の、前記第1用紙を覆ったときに該第1用紙の端部と重なる部分に、該第1用紙の色と区別される色の画像を形成し、該第2用紙の第2面に、前記第2画像を形成することを特徴とする第7態様に記載の画像形成装置である。
【0019】
第9態様は、前記画像形成部が、前記第1用紙の色と区別される色の第2用紙に、該第2用紙の色と区別される色の前記第2画像を形成することを特徴とする第7態様に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0020】
第1態様の画像形成装置によれば、片面にのみ画像が形成された用紙でも載置台に対する用紙の載置位置を案内することができる。
【0021】
第2態様の画像形成装置によれば、用紙に各端部を含む2つの領域について正確な測定が行われる。
【0022】
第3態様および第4態様の画像形成装置によれば、今回、用紙上のどの領域の画像を測定しているかを、容易に知ることができる。
【0023】
第5態様および第6態様の画像形成装置によれば、第4画像が形成されていない場合と比べ、用紙を正しい位置に容易に載置することができる。
【0024】
第7、8、9態様の画像形成装置によれば、必要時にこの画像形成装置で覆い紙を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態としての画像形成装置の全体構成図である。
【
図2】タッチパネル式の表示画面上に表示される画面を示した図である。
【
図3】タッチパネル式の表示画面上に表示される画面を示した図である。
【
図5】チャート画像読取の際の、用紙位置合わせの様子を示した図である。
【
図6】第2例のチャート画像が形成された長尺用紙を示した図である。
【
図7】チャート画像が形成された大サイズの用紙を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の一実施形態としての画像形成装置の全体構成図である。
【0027】
この画像形成装置は片面出力機能に加えて両面出力機能も備えたコピー機である。
【0028】
この画像形成装置10は、用紙上の画像の読み取りを行って画像を表す画像データを生成する画像読取部200、その画像データに基づき読み取った画像を別の用紙上に形成する画像形成部100、ユーザから、出力枚数の指定や、両面/片面出力の選択や、画像出力前の用紙を収容しておくトレイの指定など、種々の画像形成情報の入力を受ける操作部270が備えられている。
【0029】
操作部270には、タッチパネル式の表示画面2701と、画像読取・画像形成の開始を指示するスタートボタン、出力枚数等を指定する際の数値入力のための数値ボタン、画像形成装置の制御用のボタンといった各種のボタンからなるボタン群2702とが設けられている。このボタン群2702には、用紙上に画像を形成するにあたっての、用紙に対する画像形成位置の補正量や用紙上における画像の倍率に対する補正量といった種々の補正量の算出を行う補正量算出モードを画像形成装置10に設定するための補正量算出モードボタン2702aも含まれている。この補正量算出については後で詳述する。
【0030】
画像読取部200は、ユーザにより開閉される上カバー260と、その上カバー260の直下に配置された透明ガラス250を備えている。この画像読取部200はさらに、その透明ガラス250の下に用紙上の画像読取を実行するための要素を備えている。
【0031】
画像読取部200は、画像の読み取りを実行するための要素として、第1キャリッジ210、第2キャリッジ220、レンズ部230、およびCCDラインセンサ240を有している。第1キャリッジ210は、第1ミラー212とランプ211とを有し
図1の左右方向に移動可能な要素である。この第1キャリッジ210はランプ211により読取対象の画像に光を照射しその反射光を受ける役割を担っている。第2キャリッジ220は、第2ミラー221と第3ミラー222とを有し第1キャリッジ210と同様に図の左右方向に移動可能な要素である。この第2キャリッジ220およびレンズ部230は、第1キャリッジ210の受けた反射光をCCDラインセンサ240に導く役割を担っている。また、CCDラインセンサ240は、この反射光を受けて画像を表す画像データを生成する役割を担っている。
【0032】
ここで、この画像読取部200は、用紙上の画像を読み取る読取モードとして、搬送読取モードと静止読取モードとを有する。搬送読取モードでは、原稿トレイ261上に置かれた用紙300’が1枚ずつ給紙口260aから引き込まれ、一点鎖線矢印で示す搬送路を通って排出口260bまで不図示の機構で搬送される。この搬送読取モードは、搬送中の用紙上の画像を、静止した状態の第1キャリッジ210を用いて読み取って、用紙を排紙台262の上に送り出す読取モードである。また、静止読取モードは、用紙を透明ガラス250の上に静止させ、図の実線矢印方向に移動する第1キャリッジ210を用いて読み取る読取モードである。この静止読取モードでは、透明ガラス250の、上カバー260側に向いた面が、読取対象の画像を有する用紙300が載置される載置台となっている。ここで、上カバー260を開き、用紙300の読取対象の画像を有する面を
図1の下方向に向けて透明ガラス250の上に置き、上カバー260を閉じることによりこの用紙300が上から押えられる。静止読取モードでは、この状態で第1キャリッジ210が移動しながら透明ガラス250上の用紙300を照射し、用紙300上の画像が読み取られる。この第1キャリッジ210が移動時には用紙からの反射光CCDセンサ240に達するまでの間の光路長を常に同一に保つように第2キャリッジ220も同じ方向に第1キャリッジ210の半分の速度で移動する。
【0033】
画像形成部100には、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用の画像を形成するための画像形成ユニット1K,1C、1M,1Yや、レーザ光を照射する露光部5が備えられている。これら画像形成ユニット1K,1C、1M,1Yには、
図1の矢印Bk方向,矢印Bc方向,矢印Bm方向,矢印By方向にそれぞれ回転する、電子写真方式用の積層型の像保持体11K,11C、11M,11Yがそれぞれ備えられている。ここで、各画像形成ユニットには、上述の像保持体の他に、不図示の帯電器および現像器が設けられている。各画像形成ユニット内の現像剤保持体は、不図示の帯電器により、あらかじめ定められた電位に表面電位が達するように帯電され、この帯電された像保持体に露光部5が、レーザ光により、回転する像保持体11K,11C、11M,11Yの回転軸に沿った方向についてのラスタ走査を行うことで、電位分布による静電潜像が像保持体上に形成される。この静電潜像に対し、帯電したトナーを含む現像剤中のトナーを不図示の現像器が静電的に付着させることで静電潜像が現像され、これにより、像保持体上にトナーによる現像像が形成される。
【0034】
また、
図1の各画像形成ユニット1の下側には、各像保持体に接して
図1の矢印A方向に移動する中間転写ベルト2が設けられており、その中間転写ベルト2を挟んで各像保持体11K,11C、11M,11Yに対向する位置には各1次転写ロール110K,110C、110M,110Yが備えられている。この中間転写ベルト2は、各像保持体上で形成された現像像の転写(1次転写)を受けて1次転写像を運搬する。
【0035】
また、画像形成部100には、上述した、画像形成ユニット1K,1C,1M,1Y、中間転写ベルト2、および露光部5に加え、さらに、中間転写ベルト2上の1次転写像の、用紙への2次転写を行う2次転写ロール3aと、用紙上に転写された未定着の2次転写像を用紙に定着させる定着装置4とが備えられている。また、中間転写ベルト2の近傍には、各像保持体からの1次転写像の間における相対的な位置や倍率の調整の際に各画像形成ユニットで形成され中間転写ベルト2上に転写された各色の検査用画像を検出するセンサ2aが備えられている。この相対的な位置や倍率の調整では、中間転写ベルト2上に転写された各色の検査用画像をセンサ2aが検出し、その検出結果に基づき、各色の検査用画像の間における相対的な位置や倍率が適正な位置や倍率となるように画像形成ユニット1K,1C、1M,1Yの調整が行われる。
【0036】
また、画像形成部100には、それぞれ、用紙を収容する第1トレイ70A、第2トレイ70B、第3トレイ70Cの3つのトレイや、中間転写ベルト2を駆動する駆動ロール30も備えられている。中間転写ベルト2は、駆動ロール30やその他の複数のロールに張架された状態で駆動ロール30から駆動力を受けながら
図1の矢印A方向に循環移動する。中間転写ベルト2は、バックアップロール3bにより2次転写ロール3aに押し付けられている。中間転写ベルト2上の1次転写像は、2次転写ロール3aの作用により、第1トレイ70A、第2トレイ70B、第3トレイ70Cのいずれかから取り出されてその2次転写ロール3aまで搬送されてきた用紙上に2次転写される。その2次転写を受けた用紙はさらに搬送され、定着装置4によりその用紙上の2次転写像がその用紙上に定着されて排紙トレイ10上に排出される。ここで、中間転写ベルト2の近傍にはクリーニング装置2bが設けられており、用紙への2次転写後に中間転写ベルト2上に残留したトナーはこのクリーニング装置2bにより除去される。また、上述した、各像保持体からの1次転写像の間における相対的な位置や倍率の調整の際に形成された中間転写ベルト2上の各色の検査用画像は、2次転写ロール3aで2次転写されることなくこのクリーニング装置2bにより除去される。
【0037】
この画像形成装置10には、画像形成部100内の各部の制御を行うコントローラ6が設けられている。コントローラ6には、上述の画像読取部200のCCDラインセンサ240で生成された画像データを記憶する読取画像用メモリ64が備えられている。また、画像形成装置10では、用紙の搬送タイミング、用紙の種類の違い、用紙の搬送ルートの違いなどに起因して用紙上の画像形成位置のずれや画像の倍率変化などが生じる。そこで、詳細は後述するが、この画像形成装置10では、用紙上にチャート画像を形成し、その用紙上のチャート画像(チャート画像を構成する検出用画像)を画像読取部200で読み取って、用紙に対する画像形成位置の補正量や用紙上における画像の倍率に対する補正量といった種々の補正量を算出することが行われる。このため、このコントローラ6には、上述の読取画像用メモリ64の他に、後述の補正量の算出で用いられるチャート画像を表すチャート画像データを記憶するチャート画像用メモリ65が備えられている。このチャート画像用メモリ65には、用紙サイズごとのチャート画像データが記憶されている。また、このコントローラ6には、用紙上に出力されたチャート画像の読取りの際に用いられる覆い紙を形成するためのデータが記憶された覆い紙用メモリ66も備えられている。この覆い紙用メモリ66には、チャート画像が形成される用紙のサイズに応じた覆い紙用の画像データが記憶されている。覆い紙については後述する。さらに、ここには、算出された補正量を記憶する第1トレイ用メモリ61、第2トレイ用メモリ62、第3トレイ用メモリ63も備えられている。これらは、上述の第1トレイ70A、第2トレイ70B、第3トレイ70Cにそれぞれ対応するメモリである。補正量を記憶するメモリがトレイに応じて設けられている理由は、用紙がトレイから取り出される経路に応じて用紙上での画像形成位置のずれや画像の倍率変化の程度にも違いが生じるためである。ここで、各トレイ70A,70B,70Cには、どのようなサイズあるいはどのような紙種の用紙を収容するかをあらかじめ設定するように構成されている。電源をオン/オフしても設定し直さない限り前回の設定が有効である。なお、本発明は、サイズを自動検知する構成を備えていてもよい。
【0038】
読取画像用メモリ64に記憶されている画像データに基づく画像を用紙上に形成する際には、コントローラ6は、操作部270を介したユーザの操作により指定されたトレイに対応するメモリから補正量を読み出して、その読み出した補正量に基づき、読取画像用メモリ64に記憶されている画像データに対し画像の形成位置の補正処理や画像の倍率の補正処理といった種々の補正処理を施し、その補正処理が施された画像データに基づく静電潜像の形成を上述の露光部5に行わせる。ここで、本実施形態の場合、第1トレイ用メモリ61と第2トレイ用メモリ62に関しては、補正量は、両面出力における表面での画像形成の際の表面用の補正量と、両面出力における裏面での画像形成の際の裏面用の補正量との2種類の補正量からなっている。両面出力が指定されているときの画像形成では、用紙両面のうち1番目に画像の出力が行われる面である表面の画像を表す画像データに対して表面用の補正量に基づき補正処理が施され、2番目に画像の出力が行われる面である裏面の画像を表す画像データに対して裏面用の補正量に基づき補正処理が施される。一方、片面出力が指定されているときの画像形成では、画像データに対して表面用の補正量に基づき補正処理が施される。ただし、本実施形態の場合、第3トレイ70Cには、両面に画像を形成するには長すぎる用紙(ここでは長尺用紙と称する)が収容されている。このため、第3トレイ用メモリ63には、表面用の補正量のみが記憶される。
【0039】
次に、この画像形成装置10における、画像の読み取りから用紙上への画像形成までの一連の動作について説明する。ここでは、静止読取モードが採用されている場合を例にとって説明する。
【0040】
ユーザにより、読取対象の画像を有する面を
図1の下方向に向けて用紙が透明ガラス250と上カバー260との間に配置され、さらに、操作部270を介して、画像形成に使用する用紙を収容するトレイの指定、両面/片面出力の選択、出力枚数の指定等がなされてボタン群2702の中の、画像読取・画像形成の開始を指示するスタートボタン(不図示)が押されると、第1キャリッジ210中のランプ211から光が照射され、そのランプで照射された光は、透明ガラス250を経て用紙300上で反射し、その反射光は、第1キャリッジ210の第1ミラー212、第2キャリッジ220の第2ミラー221および第3ミラー222を経て、レンズ部230によりCCDラインセンサ240上に結像される。
図1では、画像読取部200内の点線矢印によってこの光の経路が示されている。第1キャリッジ210は、このようなランプによる光の照射を行いながら画像読取部200内の実線矢印方向(副走査方向)に移動し、さらに、第2キャリッジ220もこの第1キャリッジ210の移動速度の半分の速度で同じ方向に移動する。これにより、用紙300上の画像全体が照射されるとともに、画像のどの箇所で反射された反射光もその光路長を一定に保ったままでCCDラインセンサ240に結像される。このようにして、画像全体の反射光に基づく画像データがCCDラインセンサ240により生成される。生成された各画像データは、不図示の処理回路によりアナログ/デジタル変換などの種々の信号処理が施された後、コントローラ6に送られ、コントローラ6中の読取画像用メモリ64に記憶される。ユーザが、用紙300の反対側の面、あるいは、新たな用紙の新たな画像を有する面を透明ガラス250上に配置してスタートボタンを押すごとにこのような画像データの生成と読取画像用メモリ64への記憶とが繰り返される。
【0041】
コントローラ6は、読取画像用メモリ64に記憶されている画像データに対し、第1トレイ用メモリ61、第2トレイ用メモリ62、第3トレイ用メモリ63のうち、指定されたトレイに対応するメモリから補正量を読み出して、その読み出した補正量に基づき、読取画像用メモリ64に記憶されている画像データに対し画像の形成位置の補正処理や画像の倍率の補正処理といった種々の補正処理を施す。そして、コントローラ6は、露光部5に対し、その補正処理が施された画像データに基づく静電潜像を、帯電した像保持体11K,11C、11M,11Yの上に形成させる。形成された静電潜像は、各画像形成ユニット内の現像器によって、各画像形成ユニットに対応した色のトナーを含む現像剤中のトナーで現像されて各色の現像像が形成される。このようにして各画像形成ユニットに形成された各色の現像像は、各像保持体に対応した1次転写ロール110K,110C,110M,110Yの作用により、中間転写ベルト2上に、順次転写(1次転写)されて重ね合わされていき、多色の1次転写像が形成される。そして、この多色の1次転写像は、中間転写ベルト2により2次転写ロール3aまで運搬されていく。一方、第1トレイ70A、第2トレイ70B、第3トレイ70Cのうちの指定されたトレイ中の用紙が、上記の多色の1次転写像の形成と呼応して取り出されて、第1搬送ロール対41aおよび第2搬送ロール対41bによって搬送され、さらに位置合わせロール対40によって用紙の態勢が整えられる。さらにこの位置合わせロール対40により、中間転写ベルト2上の1次転写像が2次転写ロール3aの位置に達するのにタイミングを合わせてその位置に用紙が送られるように用紙が送り出され、この送り出された用紙に対し、2次転写ロール3aにより、上述の多色の1次転写像が転写(2次転写)される。その2次転写を受けた用紙は、さらに搬送ベルト31で搬送され、定着装置4によって用紙上の2次転写像に定着処理が施される。
図1においては、この時の用紙搬送路が、画像形成部100内の右向きの点線矢印で示す経路で示されている。なお、用紙への2次転写後に中間転写ベルト2上に残留したトナーはクリーニング装置2bにより除去される。
【0042】
片面出力が選択されている場合には、用紙はこの用紙搬送路を一回だけ通って定着装置4において2次転写像の定着が行われた後、送出ロール対40aを通過して、そのまま排紙トレイ10a上に排出される。
【0043】
一方、両面出力が選択されている場合には、右向きの矢印で示す上述の用紙搬送路を通ることで用紙の片面に2次転写像の転写および定着が行われた後、送出ロール対40aへ向かうことなく第1の両面用搬送ロール対40bの間を通り、下向きの点線矢印で示す経路を通って下方に搬送される。その後、第2の両面用搬送ロール対40cの回転方向が反転して用紙の搬送方向が上方に転じ、さらに、左向きの点線矢印で示す経路を通って、第3の両面用搬送ロール対40dおよび第4の両面用搬送ロール対40eを通過し、第1搬送ロール対41a、第2搬送ロール対41b、および位置合わせロール対40を経て、再び2次転写ロール3aに向かう。ここで、用紙が最初に2次転写ロール3aで転写を受けてから再び2次転写ロール3aの位置に達するまでの間に、中間転写ベルト2上においては、上述した方式で新たな多色の1次転写像の形成が行われている。そして、用紙が2回目に2次転写ロール3aに達した時に、その新たな多色の1次転写像が、用紙が1回目に2次転写を受けた第1面に対するうら面である第2面に2次転写される。そして、その第2面上の新たな2次転写像に対して定着装置4により定着処理が施されて、両面に定着像が形成された用紙が排紙トレイ10a上に排出される。ここで、用紙の第2面への2次転写後に中間転写ベルト2上に残留したトナーはクリーニング装置2bにより除去される。
【0044】
なお、画像出力に当たり第3トレイ70Cが指定されたときは、両面出力用の用紙搬送経路長の制限により両面出力は指定できず、その第3トレイ70Cに収容されていた用紙上には第1面への片面出力のみが可能である。
【0045】
以上が、この画像形成装置10の動作についての説明であり、画像形成装置10では、このようにして読み取った画像の用紙への画像形成が行われる。
【0046】
以上の説明では、静止読取モードが採用された場合を例にとって説明したが、搬送読取モードが採用された場合は、搬送中の用紙上の画像を、静止した状態の第1キャリッジ210を用いて読み取る点が異なることを除き、上述の画像読取・画像形成と同じである。
【0047】
なお、以上の説明では、用紙内における画像の形成位置の補正にあたって、画像データに対する画像の形成位置の補正処理が行われているが、本発明は、画像データに対するデータ処理により補正を行うことに代わり、用紙内における画像の形成位置の補正を行うものであってもよい。たとえば、用紙内における用紙搬送方向についての画像全体の位置補正については、位置合わせロール対40を制御して2次転写ロール3aに向けて用紙を送り出すタイミングを変更することで補正を行うものであってもよい。また、用紙内における用紙搬送方向と垂直な方向についての画像全体の位置補正については、露光部3を制御して用紙搬送方向と垂直な方向(各像保持体の回転軸方向)について各像保持体上での静電潜像の書き出し位置を変更することで補正を行うものであってもよい。
【0048】
ここで、この画像形成装置10では、画像読取部200が読み取ることができるサイズより大きい用紙に対し画像形成をすることができる。一般に、画像読取部200の読み取り範囲は透明ガラス250の広さ(すなわち、載置台の広さ)と一致する。透明ガラス250の広さ(すなわち、載置台の広さ)よりもサイズの大きい用紙に画像を出力する場合であっても、透明ガラス250の広さよりもサイズの小さい用紙に画像を出力する場合と同様に、用紙中のあらかじめ定められた位置に、あらかじめ定められた大きさ(倍率)で画像が正確に出力されることが望ましい。
【0049】
以下では、用紙上に形成される画像の位置や倍率等の補正量算出について説明する。
【0050】
この画像形成装置10では、ブラック(K)用の画像形成ユニット1Kを用いて、以下に説明する画像の位置や倍率等の補正量算出が行われる。なお、他のシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色の画像形成ユニットを用いた場合における補正量については、ブラック(K)用の画像形成ユニット1Kを含めた4色の各画像形成ユニットで形成された1次転写像の間における上述の相対的な位置や倍率の調整を通じて、ブラック(K)用の画像形成ユニット1Kを用いて算出された補正量から得ることができる。
【0051】
この画像形成装置10では、
図1の操作部270における補正量算出モードボタン2702aが押されることで、補正量を算出するモードが画像形成装置10に設定される。ここで、この画像形成装置10では補正量算出は用紙のサイズごとに行われ、補正量算出モードボタン2702aが押されるごとに用紙のサイズごとの補正量算出モードに切り替わる。なお、この画像形成装置10では、補正量算出モードボタン2702aが押されない限り、上述した方式で画像読取・画像形成を行う通常モードが設定され、この通常モードが画像形成装置10の電源投入時におけるデフォルトのモードである。
【0052】
この画像形成装置10には、透明ガラス250の広さ(載置台の広さ)より大きいサイズの用紙上での画像形成位置や画像の倍率等に対する補正量算出を可能とするための工夫が備えられている。ここで、透明ガラス250の広さより大きいサイズの用紙にも2種類の用紙が存在する。その1つは、片面出力のみが可能な「長尺用紙」である。もう1つは、両面出力が可能であるが透明ガラス250の広さとほぼ同じ、または、より大きいサイズの用紙(以下では、このサイズの用紙を「大サイズの用紙」と称する)である。
【0053】
本実施形態の場合、
図1の第1トレイ70Aには、透明ガラス250の広さより小さいサイズの用紙(「通常サイズの用紙」と称する)が収容され、第2トレイ70Bには両面出力が可能な「大サイズ」の用紙(例えばA3用紙)が収容され、第3トレイ70Cには、片面出力のみが可能な「長尺用紙」が収容されているものとする。以下では、先ず、第3トレイ70Cに収容されている、片面にのみ画像出力が可能な長尺用紙を用いて補正量算出を行う場合について説明する。
【0054】
上述したように、この画像形成装置10では補正量算出は用紙トレイごと、すなわち用紙のサイズごとに行われ、補正量算出モードボタン2702aが押されるたびに各用紙トレイ(各用紙のサイズ)の補正量算出モードに切り替わる。ここで、
図1の操作部270における補正量算出モードボタン2702aが、あらかじめ定められた回数だけ押されることで、第3トレイ70Cに収容されている長尺用紙上での画像形成位置に対する補正量を算出するモードが画像形成装置10に設定される。
【0055】
図2は、タッチパネル式の表示画面上に表示される画面を示した図である。
【0056】
用紙上での画像の形成位置や画像の倍率等に対する補正量を算出するモードが設定される際に、この
図2に示す画面が、
図1のタッチパネル式の表示画面2701上に表示される。この画面には、チャート画像の出力が行われる用紙が収容されたトレイを指定するための、第1トレイ指定押ボタン2701e、第2トレイ指定押ボタン2701f、第3トレイ指定押ボタン2701gの3つのトレイ指定押ボタン、チャート画像の出力を指示するためのチャート画像出力指示ボタン2701a、これからユーザが画像形成装置10にチャート画像の読取りを行わせる旨を画像形成装置10側に伝えるための読取り開始押ボタン2701b、画像形成装置10にチャート画像の読取りを行わせる作業をユーザが完了した旨を画像形成装置10側に伝えるための読取り完了押ボタン2701c、補正量算出モードから通常モードに戻るためのESC押ボタン2701d、および覆い紙の出力を指示するための覆い紙出力指示ボタン2701hが、ユーザの指の接触を受ける押ボタンとして表示されている。ここで、この長尺用紙上での補正量を算出するモードでは、長尺用紙を収容しているトレイに対応するトレイ指定押ボタンのみが選択可能であり、長尺用紙を収容していないトレイに対応するトレイ指定押ボタンについては選択できない。ここで説明している実施形態では、長尺用紙は第3トレイ70Cにのみ収容されているため、ここでは、長尺用紙を収容していない第1トレイ70Aおよび第2トレイ70BCにそれぞれ対応する第1トレイ指定押ボタン2701eおよび第2トレイ指定押ボタン2701fが点線で表示されている。これは、ユーザが指で接触しても選択することができないことを示している。
【0057】
長尺用紙についての補正量算出を行うため、長尺用紙を収容している
図1の第3トレイ70Cに対応した第3トレイ指定押ボタン2701gが押され、次に、チャート画像の出力実行のためにチャート画像出力指示ボタン2701aが押される。第3トレイ指定押ボタン2701gが押されることで、チャート画像出力の際に用いられる補正量として
図1の第3トレイ用メモリ63に記憶されている補正量が用いられることが決定される。チャート画像出力指示ボタン2701aが押されると、
図1の画像形成部100において、第3トレイ70Cに収容されている長尺用紙に対応するチャート画像を表すチャート画像データが
図1のチャート画像用メモリ65から読み出されて、第3トレイ用メモリ63にその時点で記憶されている補正量を用いて画像の形成位置や画像の倍率等に関する補正処理が施される。そして、その補正処理後のチャート画像データに基づき、長尺用紙の第1面にチャート画像が出力される。このときの画像形成については、上述した、片面出力が選択されているときの画像形成と同じである。
【0058】
また、このチャート画像の読取りの際には覆い紙が用いられる。覆い紙出力指示ボタン2701dが押されると、今回チャート画像を出力した長尺用紙に応じたサイズの用紙(ここでは、第2トレイ70Bに収容されている用紙とする)に、その長尺用紙に形成されているチャート画像の読取りに用いられる覆い紙が出力される。
【0059】
図3は、チャート画像が形成された長尺用紙を示した図である。ここで、
図3(A)は長尺用紙の第1面、
図3(B)は、長尺用紙の第2面を示している。
【0060】
本実施例で例示する画像形成装置では、長尺用紙400には、両面出力用の搬送経路の問題で両面出力はできず、この
図3に示すように、その第1面401のみに画像を形成する片面出力のみが可能である。第2面402は、白紙のままである。
図1に示すコントローラ6に備えられているチャート画像用メモリ65には、各サイズの用紙の各々に対応したチャート画像データが記憶されている。また、長尺用紙が収容されている第3トレイ70Cに対応した第3トレイ用メモリ63には、この長尺用紙400の第1面401に形成する画像の補正量が記憶されている。そして、長尺用紙400上にチャート画像を形成するにあたっては、チャート画像用メモリ65に記憶されているチャート画像データのうちの長尺用紙用のチャート画像データが読み出されて、画像形成部100で印刷出力される。印刷出力されたチャートを画像読取部200で読み取り、その読み取られたチャート画像データを用いて第3トレイ用メモリ63に記憶されている画像形成位置や倍率等の補正量を生成する。
図3に示した長尺用紙400は、このようなプロセスの中の画像形成部100で印刷出力されたチャートである。
【0061】
この長尺用紙400に出力されたチャート画像は、検出用画像601,602と位置合わせ用画像603,604とで構成されている。
【0062】
検出用画像601,602は、例えば、この
図3に示す、長尺用紙400の端部との間の距離d1,d2等を測定して、画像形成位置等の情報を検出するための画像である。検出用画像601,602を読み取って得た画像データはコントローラ6の読取画像用メモリ64に入力された後、コントローラ6により距離d1,d2等の測定が行われて画像形成位置等の情報が検出される。そして、この検出された情報に基づいて、第3トレイ用メモリ63に記憶されている補正量が生成される。これらの検出用画像601,602は、本発明にいう第1画像の一例に相当する。
【0063】
ここで、この検出用画像601,602のうちの一方の検出用画像601は、長尺用紙400の第1端部400a寄りの位置に形成され、もう一方の検出用画像602は、長尺用紙400の第2端部400b寄りの位置に形成されている。
【0064】
また、位置合わせ用画像603,604は、検出用画像601,602を読み取る際の、長尺用紙400の位置合わせ用の画像である。これらの位置合わせ用画像603,604のうちの第1端部400a寄りに形成された位置合わせ用画像603は、第1端部400a寄りに形成された検出用画像601を読み取るときの位置合わせ用である。また、第2端部400b寄りに形成された位置合わせ用画像604は、第2端部400b寄りに形成された検出用画像602を読み取るときの位置合わせ用である。
【0065】
図4は、覆い紙を示した図である。ここで、
図4(A)は、覆い紙の第1面、
図4(B) この覆い紙500は、
図2に示したチャート画像出力指示ボタン2701aを押してチャート画像を出力した後に覆い紙出力ボタン2701hを押すことにより、出力される。この覆い紙出力ボタン2701hを押して出力される覆い紙500は、その直前に出力されたチャート画像の読取りに適したサイズの覆い紙である。すなわち、ここで説明している場面では、
図4に示した長尺用紙400上に形成されたチャート画像を構成する検出用画像601,602を読み取るときに使用されるサイズの覆い紙500が出力される。前述の通り、
図4に示した長尺用紙400上の検出用画像601,602を読み取る際の覆い紙500としては、第2トレイ70Bに収容されている大サイズの用紙が用いられる。この大サイズの用紙には、両面出力が可能である。ここでは、その大サイズの用紙の第1面501の全面に一様な黒の画像が形成されている。これは、チャートである長尺用紙400の用紙端部を認識するために、画像読取部200で読み取ったデータで、長尺用紙400の用紙の地色と背景との濃度差を大きくするためである。また、第2面502には、位置合わせ用画像503が形成される。この位置合わせ用画像503は、この覆い紙500の長手方向に延びる第1縁504に沿った位置であって、幅方向に延びる第2縁505よりも内側に寄った位置に形成されている。この位置合わせ用画像503は、本発明にいう第2画像の一例に相当する。
【0066】
なお、チャート画像は、用紙上の画像の現在の位置ずれ等の検出用であり、検出の都度、出力する必要がある。これに対し、覆い紙500は、一度出力して保管しておくことにより、何度でも繰返し使用することができる。したがって、覆い紙500については、覆い紙出力ボタン2701hを設けることなく、別途出力してもよい。あるいは、この画像形成装置10(
図1参照)とは別に用意してもよい。
【0067】
図5は、チャート画像読取の際の、用紙位置合わせの様子を示した図である。
【0068】
この
図5は、
図1に示す画像形成装置10の画像読取部200が模式的に示されている。
【0069】
図5(A)には、画像読取部200の透明ガラス250上に、覆い紙500が置かれている状態が示されている。覆い紙500を透明ガラス250の上に置くにあたっては、その第1面501(
図4参照)を透明ガラス250側に向けた姿勢で、すなわち全面が黒の第1面501を下向きにした姿勢で、透明ガラス250の上に置かれる。覆い紙500を透明ガラス250の上に置くにあたっては、左上をその透明ガラス250の枠に突き当てる。これにより、透明ガラスに対する覆い紙500の位置が一義的に定められる。また、覆い紙500を透明ガラス250の上に置くにあたっては、位置合わせ用画像503が形成された側の第1縁504が手前側(図の下側)となる姿勢に配置される。
【0070】
次に、
図5(B)に示すように、長尺用紙400の第1端部400a側を、チャート画像が形成されている第1端部400aを下(透明ガラス250側)に向けて、覆い紙500の下に潜り込ませ、その長尺用紙400が、覆い紙500の第1縁504からはみ出た状態とする。そして、
図5(C)に示すように、長尺用紙400の、覆い紙500の第1縁504からはみ出た部分をめくって位置合わせ用画像603を確認しながら、長尺用紙400の位置を合わせる。本実施形態では、この位置合わせ用画像603は、一例として、黒色の矩形1つからなる画像である。ここでは、覆い紙400に描かれた位置合わせ用画像503と長尺用紙400に描かれた位置合わせ用画像603を覆い紙500の第1縁504に沿う方向について同一の位置に並べる。そしてさらに、それらの位置合わせ用画像503,603が覆い紙500の第1縁504を挟んで、その第1縁504から目測でおおよそ等しい距離離れた状態とする。長尺用紙400をこの位置に配置すると、長尺用紙400の覆い紙500に覆われた部分が、用紙の端部を含め、読取り領域の範囲内となる。
【0071】
そして、長尺用紙400をこの位置に配置して上カバー260を閉じ、前述の静止読取モードにより、長尺用紙400の、覆い紙500で覆われた部分の画像を読み取る。この読み取って得た画像データには、長尺用紙400の、覆い紙500で覆われた部分の端部、および第1端部400a側の検出用画像601が明瞭に現れる。
図1に示すコントローラ6では、この画像データに基づいて、
図3に示す距離d1,d2等、長尺用紙400の端部に対する検出用画像601の位置や倍率を検出するのに必要な情報を得る。
【0072】
次に、上記と同様にして、長尺用紙400の第2端部400b側を覆い紙500の下に挿し込み、その第2端部400b側に形成されている検出用画像602を読み取る。このときの位置合わせの目印は、覆い紙500の位置合わせ用画像503と、長尺用紙400上の、黒の矩形2つからなる位置合わせ用画像604である。このように、位置合わせ用画像604を、もう1つの位置合わせ用画像603(ここでは黒色の矩形1つからなる画像)とは異なる画像(ここでは、黒色の矩形が2つ、長尺用紙400の長手方向に並んだ画像)とすることにより、今回読み取る画像が第1端部400a側か第2端部400b側かを容易に認識することができる。なお、2つの位置合わせ用画像603,604は、互いを区別できる画像であればよく、個数の違いである必要はなく、例えば「1」、「2」等の文字であってもよく、形状の異なる模様であってもよく、色の違う画像であってもよい。
【0073】
また、検出用画像601,602についても、少なくとも一部が互いに異なる画像とし、読み取って得た画像データから、第1端部400a側の検出用画像601か第2端部400b側の検出用画像602かを区別できるようにしてもよい。
【0074】
このようにして、第1端部400a側の検出用画像601と第2端部400b側の検出用画像602を読み取って長尺用紙400の端部からの距離等が検出され、コントローラ6では、長尺用紙400上に形成された画像の位置や倍率等が予め定められた位置や倍率等からどれだけずれているかが算出される。この「ずれ」は、第3トレイ用メモリ63に記憶されている補正量では補正しきれなかった、その記憶されている補正量からの「ずれ」を表している。そこで、コントローラ6では、この「ずれ」を表す情報に基づいて、第3トレイ用メモリ63に記憶されている補正量を、その「ずれ」が解消されるように補正して、その補正された補正量を、第3トレイ用メモリ63に、それまで記憶されていた補正量に代えて記憶させる。その後における、長尺用紙に新たに形成される画像は、新たな補正量を採用していることから、予め定められた正しい位置や倍率の画像となる。
【0075】
図6は、第2例のチャート画像が形成された長尺用紙を示した図である。ここでは、
図3に示したチャート画像との相違点についてのみ説明する。
【0076】
この
図6に示したチャート画像には、2つの位置合わせ用画像603,604に加え、さらに2つの位置合わせ用画像605,606が含まれている。これら2つの位置合わせ用画像605,606は、長尺用紙400の幅方向に延びる線分からなる画像である。これらの位置合わせ用画像605,606は、長尺用紙400を覆い紙500の下に挿し込む際に適切な挿込み量の目安となる位置合わせ用画像である。すなわち、長尺用紙400の第1端部400aを覆い紙400の下に挿し込むときは、位置合わせ用画像605が覆い紙500の第1縁504(
図5参照)と重なる位置まで挿し込む。この位置合わせ用画像605があることにより、どこまで挿し込めばよいか、一層明瞭となる。幅方向、すなわち第1縁504に沿う方向の位置合わせは、
図3に示したチャート画像の場合と同様、覆い紙500上の矩形の位置合わせ用画像503と長尺用紙400上の位置合わせ用画像603とにより行われる。
【0077】
また、これと同様に、長尺用紙400の第2端部400bを覆い紙400の下に挿し込むときは、位置合わせ用画像606が覆い紙500の第1縁504と重なる位置まで挿し込む。この位置合わせ用画像606があることにより、どこまで挿し込めばよいか、一層明瞭となる。幅方向、すなわち第1縁504に沿う方向の位置合わせは、覆い紙500上の矩形の位置合わせ用画像503と長尺用紙400上の位置合わせ用画像604とにより行われる。
【0078】
この
図6に示すように、挿し込み方向の位置あるいは幅方向の位置の一方を目測させる位置合わせ用画像ではなく、挿し込み方向の位置合わせ用の画像と、幅方向の位置合わせ用の画像との双方を形成してもよい。
【0079】
図7は、チャート画像が形成された大サイズの用紙を示した図である。
図7(A)は、大サイズの用紙の第1面をあらわし、
図7(B)は、大サイズの用紙の第2面をあらわしている。
【0080】
この
図7に示す大サイズの用紙700の第1面701に形成されたチャート画像には、検出用画像710と位置合わせ用画像711,712,713,714が含まれている。また、これと同様に、その第2面702にも、検出用画像720と位置合わせ用画像721,722,723,724を含むチャート画像が形成されている。第1面のチャート画像と第2面のチャート画像は、第1面と第2面を容易に区別するために、第1面701の位置合わせ用画像711,712が黒塗りの矩形の画像であるのに対し、第2面702の位置合わせ用画像721,722が黒枠の矩形の画像である点が異なることを除き、同一の画像である。
【0081】
前述した通り、
図1に示した画像形成装置10の第2トレイ70Bには、大サイズの用紙が収容されている。この大サイズの用紙には、両面出力、すなわち、その両面に画像を形成することが可能である。そこで、この大サイズの用紙の両面にチャート画像を形成する。大サイズの用紙にチャート画像を形成するにあたっては、先ずは、補正量算出モードボタン2702aを、あらかじめ定められた回数だけ押すことにより、第2トレイ70Bに収容されている大サイズの用紙上での画像形成位置に対する補正量を算出するモードを設定する。すると、
図2に示す第2トレイ指定押ボタン2701fを押すことができる状態となる。そこで、この第2トレイ指定押ボタン2701fを押す。すると、コントローラ6(
図1参照)のチャート画像用メモリ65に記憶されている大サイズの用紙用のチャート画像データが読みだされ、そのチャート画像データが第2トレイ用メモリ62中の第1面用の補正量で補正されてその補正されたチャート画像データに基づくチャート画像を第1面に形成する。また、同様にして、チャート画像用メモリ65に記憶されている大サイズの用紙用のチャート画像データが第2トレイ用メモリ62中の第2面用の補正量で補正され、位置合わせ用画像721,722が黒枠の矩形の画像に変更されて、その補正および変更後のチャート画像データに基づくチャート画像を、第2面に形成する。
【0082】
この大サイズの用紙700上に形成されたチャート画像の読取りの際も、長尺用紙400上のチャート画像の読取りと同様にして、用紙700の一部が覆い紙の下に挿し込まれる。ここで、第1面701および第2面702の位置合わせ用画像711,721は、長尺用紙400上の、
図6に示す位置合わせ用画像603に相当し、第1面701および第2面702の位置合わせ用画像712,722は、長尺用紙400上の、
図6に示す位置合わせ用画像604に相当する。また、第1面701および第2面702の位置合わせ用画像713,723は、長尺用紙400上の、
図6に示す位置合わせ用画像605に相当し、第1面701および第2面702の位置合わせ用画像714,724は、長尺用紙400上の、
図6に示す位置合わせ用画像606に相当する。重複説明は省略する。
【0083】
この大サイズの用紙700の位置合わせにあたっては、用紙700をめくることなく、第1面701の読取りの際は第2面702の位置合わせ用画像721~724が位置合わせに用いられ、第2面702の読取りの際は第1面701の位置合わせ用画像711~714が位置合わせに用いられる。この大サイズの用紙700の場合、第1面701の第1端部700a側の読み取り、第1面701の第2端部700b側の読み取り、第2面702の第1端部700a側の読み取り、および第2面702の第2端部700b側の読み取りからなる4回の読取りが行われる。
【0084】
【0085】
図4に示した覆い紙500は、その第1面501の全面に一様な黒色画像が形成され、第2面に位置合わせ用画像503が形成された用紙である。これに対し、この
図8に示す第2例の覆い紙800の場合、ある程度の濃度のある用紙上の一方の面(第1面)に、位置合わせ用画像803のみが形成される。この覆い紙800の濃度は、
図5に示すようにして読み取ったときに、十分な精度を持って用紙の端部を検出することができる程度の濃度である。そして、その用紙800上に形成される位置合わせ用画像803は、その用紙上で明瞭に視認できる濃度の画像である。なお、この位置合わせ用画像803は、黒色とは限らず、チャートの用紙の地色と差が認識できればよい程度の濃度であればよい。特色を使用できる画像形成装置の場合、黒色の用紙上に白色の特色を使って位置合わせ用画像を形成してもよい。
【0086】
この第2例の覆い紙800は、片面出力しかできない画像形成装置における、片面に形成されたチャート画像の読取りの際における覆い紙としても採用することができる。
【0087】
以上の実施形態によれば、用紙の片面のみにチャート画像を形成した場合であっても、
その用紙を正しく位置合わせすることができる。
【符号の説明】
【0088】
10 画像形成装置
10a 排紙トレイ
11K,11C,11M,11Y 像保持体
100 画像形成部
200 画像読取部
250 透明ガラス
260 上カバー
2701 表示画面
2702 ボタン群
2702a 補正量算出モードボタン
4 定着装置
5 露光部
400 長尺用紙
400a 第1端部
400b 第2端部
500,800 覆い紙
503,803 位置合わせ用画像
504 第1縁
601,602 検出用画像
603,604,605,606 位置合わせ用画像