(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】カートリッジ、印刷装置、および、印刷システム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20250121BHJP
【FI】
B41J2/175 153
B41J2/175 501
B41J2/175 141
(21)【出願番号】P 2020209177
(22)【出願日】2020-12-17
【審査請求日】2023-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大屋 瞬
(72)【発明者】
【氏名】小泉 義弘
(72)【発明者】
【氏名】長島 巧
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-175998(JP,A)
【文献】特開2007-136833(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0024452(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0036680(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を受け入れる液体導入部と、前記液体導入部の流路である導入部流路を開閉する装置側弁体と、を有する印刷装置のカートリッジ装着部に着脱可能に装着されるカートリッジであって、
前記液体を収容する液体収容部と、
先端に供給開口を有し、前記液体収容部と連通し、前記液体導入部に接続される液体供給部であって、前記液体供給部の前記流路である供給部流路を開閉するカートリッジ側弁機構を有する液体供給部と、
凹形状の供給部位置決め部であって、前記カートリッジ装着部の突起である装置側供給部位置決め部が入り込んで、前記液体供給部の中心軸と交差する前記液体供給部の動きを規制する供給部位置決め部と、を備え、
前記カートリッジ側弁機構は、
カートリッジ側弁孔が形成されたカートリッジ側弁座と、
前記カートリッジ側弁孔を塞ぐカートリッジ側弁体であって、前記供給開口側に位置する先端面を有するカートリッジ側弁体と、
前記カートリッジ側弁体を前記カートリッジ側弁座に向かう方向に付勢するカートリッジ側付勢部材と、有し、
前記カートリッジ側弁体は、前記先端面から突出し、前記装置側弁体を押して開弁させる凸部を有
し、
前記液体供給部は、前記液体収容部の底壁である収容体底壁に形成された流入開口部に挿通された流路本体を有し、前記供給部流路は、前記流路本体の内部に形成されており、前記流路本体の側壁には、前記液体収容部の前記液体が前記供給部流路に流入するスリットが形成されている、カートリッジ。
【請求項2】
請求項1に記載のカートリッジであって、
前記凸部は、円柱形状と角柱形状とのいずれかである、カートリッジ。
【請求項3】
印刷システムであって、
請求項1または請求項2に記載のカートリッジと、
前記カートリッジが装着される印刷装置と、を備え、
前記印刷装置は、
液体を吐出する吐出ヘッドと、
前記カートリッジが装着されるカートリッジ装着部であって、前記液体供給部に接続され、前記液体を受け入れる液体導入部を有するカートリッジ装着部と、
突起である装置側供給部位置決め部であって、前記カートリッジが有する凹形状の供給部位置決め部に入り込んで、前記液体供給部の中心軸と交差する前記液体供給部の動きを規制する装置側供給部位置決め部と、を備え、
前記液体導入部は、先端に形成された導入部開口と、流路である導入部流路と、前記導入部流路を開閉する装置側弁体とを有し、
前記装置側弁体は、前記凸部によって押されて開弁する位置に配置されており、
前記カートリッジが下方向に移動することで前記液体導入部と前記液体供給部とが接続され、
前記液体導入部と前記液体供給部とが接続される供給部接続過程において、前記カートリッジ側弁体よりも先に前記装置側弁体が開く、印刷システム。
【請求項4】
請求項
3に記載の印刷システムであって、
前記液体導入部は、さらに、
前記導入部流路内に位置し、装置側弁孔を有する装置側弁座と、
前記導入部流路内に位置し、前記装置側弁体を前記装置側弁座に向かう方向に付勢する装置側付勢部材と、を有し、
前記液体導入部と前記液体供給部との接続が開始される前の接続前状態において、前記カートリッジ側付勢部材の前記カートリッジ側弁体に対する付勢力である第1付勢力が前記装置側付勢部材の前記装置側弁体に対する付勢力である第2付勢力よりも大きく設定されることで、前記液体導入部と前記液体供給部とが接続される過程において、前記カートリッジ側弁体よりも先に前記装置側弁体が開く、印刷システム。
【請求項5】
請求項
3または請求項
4に記載の印刷システムであって、
前記液体導入部と前記液体供給部との接続が解除される解除過程において、前記装置側弁体よりも先に前記カートリッジ側弁体が閉じる、印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カートリッジ、印刷装置、印刷システムについての技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置に装着されるインクカートリッジにおいて、インクを供給するインク供給流路を開閉可能なインク供給弁を有する技術が知られている(特許文献1)。インク供給弁は、弁座部と、弁体と、弁体を弁座部側に付勢する付勢部とを備える。印刷装置のインク供給管がインクカートリッジのインク供給流路に挿入されることで、インク供給管により付勢力に抗して弁体が押し上げられて、弁体が弁座部から離隔する。これにより、インク供給弁は開弁する。また、弁体はインクカートリッジのインク室側に突出した破断部を有する。弁体が押し上げられることで破断部は、インク供給流路を塞ぐ薄膜部を破断する。これにより、インクカートリッジからプリンター側にインクの供給が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、インク供給弁によってインクカートリッジ側の供給流路を開閉しているが、印刷装置側のインクを受け入れるインク供給管の開閉については考慮されていない。このような課題は、インクカートリッジに限らず、印刷装置に着脱可能に装着される液体を収容するカートリッジに共通する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1形態によれば、液体を受け入れる液体導入部と、前記液体導入部の流路である導入部流路を開閉する装置側弁体と、を有する印刷装置のカートリッジ装着部に着脱可能に装着されるカートリッジが提供される。このカートリッジは、前記液体を収容する液体収容部と、先端に供給開口を有し、前記液体収容部と連通し、前記液体導入部に接続される液体供給部であって、前記液体供給部の前記流路である供給部流路を開閉するカートリッジ側弁機構を有する液体供給部と、を備え、前記カートリッジ側弁機構は、カートリッジ側弁孔が形成されたカートリッジ側弁座と、前記カートリッジ側弁孔を塞ぐカートリッジ側弁体であって、前記供給開口側に位置する先端面を有するカートリッジ側弁体と、前記カートリッジ側弁体を前記カートリッジ側弁座に向かう方向に付勢するカートリッジ側付勢部材と、有し、前記カートリッジ側弁体は、前記先端面から突出し、前記装置側弁体を押して開弁させる凸部を有する。
【0006】
本開示の第2形態によれば、カートリッジが装着される印刷装置が提供される。前記カートリッジは、液体供給部と、前記液体供給部の流路である供給部流路を開閉するためのカートリッジ側弁体であって先端面から突出する凸部を有するカートリッジ側弁体と、を備える。またこの印刷装置は、液体を吐出する吐出ヘッドと、前記カートリッジが装着されるカートリッジ装着部であって、前記液体供給部に接続され、前記液体を受け入れる液体導入部を有するカートリッジ装着部と、を備え、前記液体導入部は、先端に形成された導入部開口と、流路である導入部流路と、前記導入部流路を開閉する装置側弁体とを有し、前記装置側弁体は、前記凸部によって押されて開弁する位置に配置されている。
【0007】
本開示の第3形態によれば、印刷システムが提供される。この印刷システムは、上記形態のカートリッジと、上記形態の印刷装置と、を備え、前記カートリッジが下方向に移動することで前記液体導入部と前記液体供給部とが接続され、前記液体導入部と前記液体供給部とが接続される供給部接続過程において、前記カートリッジ側弁体よりも先に前記装置側弁体が開く。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施形態としての印刷システムの構成を示す斜視図。
【
図2】カートリッジ装着部を+Z方向側から見た図。
【
図5】液体供給部と液体導入部とを含む領域を一部破断した模式図。
【
図6】端子接続過程の終了時点における液体供給部と液体導入部とを含む領域を示す断面図。
【
図7】供給部続過程の終了時点における液体供給部と液体導入部とを含む領域を示す断面図。
【
図8】カートリッジ装着部を+Y方向側から見た図。
【
図9】カートリッジ装着部にカートリッジが装着された図。
【
図11】カートリッジ装着部を+Z方向側から見た図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.実施形態:
A-1.印刷システムの構成:
図1は、本開示の実施形態としての印刷システム1の構成を示す斜視図である。
図1には、互いに直交する3つの空間軸であるXYZ軸が描かれている。X軸,Y軸,Z軸の矢印が向いている方向は、それぞれX軸,Y軸,Z軸に沿った正の方向を示している。X軸,Y軸,Z軸に沿った正の方向を、それぞれ+X方向,+Y方向,+Z方向とする。X軸,Y軸,Z軸の矢印が向いている方向と逆の方向が、それぞれX軸,Y軸,Z軸に沿った負の方向である。X軸,Y軸,Z軸に沿った負の方向を、それぞれ-X方向,-Y方向,-Z方向とする。X軸,Y軸,Z軸に沿った方向で正負を問わないものを、それぞれX方向,Y方向,Z方向とよぶ。これ以降に示す図及び説明についても同様である。
【0010】
印刷システム1は、印刷装置10と、印刷装置10に液体であるインクを供給するカートリッジ4とを備える。
【0011】
本実施形態の印刷装置10は、液体としてのインクを吐出ヘッド22から吐出するインクジェットプリンターである。この印刷装置10は、ポスター等の大判の用紙(A2~A0等)に印刷を行う大型のプリンターである。印刷装置10は、カートリッジ装着部6と、制御部31と、キャリッジ20と、吐出ヘッド22と、駆動機構30とを備える。また、印刷装置10は、印刷装置10の動作を利用者が操作するための操作ボタン15を備える。
【0012】
カートリッジ装着部6には、複数のカートリッジ4がそれぞれ着脱可能に装着される。本実施形態では、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のインクに対応して4種類のカートリッジ4が1つずつ、すなわち合計4つのカートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着される。ブラックのインクを収容するカートリッジ4をカートリッジ4Kとも呼び、イエローのインクを収容するカートリッジ4をカートリッジ4Yとも呼び、マゼンタのインクを収容するカートリッジ4をカートリッジ4Mとも呼び、シアンのインクを収容するカートリッジ4をカートリッジ4Cとも呼ぶ。本実施形態において、カートリッジ4Kは、カートリッジ4C,4M,4Yよりも多くの液体を収容可能に構成されている。よって、カートリッジ4Kを第1種カートリッジ4Aとも呼び、カートリッジ4C,4M,4Yを第2種カートリッジ4Bとも呼ぶ。
【0013】
印刷装置10は、+Y方向側の前面に交換用カバー13を有する。交換用カバー13の+Z方向側を+Y方向側である手前側に倒すと、カートリッジ装着部6の開口が現れて、カートリッジ4の着脱が可能となる。カートリッジ装着部6にカートリッジ4が装着されると、液体流通管としてのチューブ24を介してキャリッジ20に設けられた吐出ヘッド22にインクが供給可能となる。本実施形態では、水頭差を利用してカートリッジ4から吐出ヘッド22にインクが供給される。具体的には、液体貯留部699内のインクの液面と吐出ヘッド22との水頭差によってインクが吐出ヘッド22に供給される。なお、他の実施形態では、印刷装置10の図示しないポンプ機構によって、カートリッジ4内のインクを吸引することで、インクが吐出ヘッド22に供給されてもよい。なお、チューブ24は、インクの種類毎に設けられている。なお、カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着されて、液体としてのインクが印刷装置10に供給できる状態を「装着状態」とも呼ぶ。
【0014】
吐出ヘッド22には、インクの種類毎にノズルが設けられている。吐出ヘッド22は、ノズルから印刷用紙2に向かってインクを吐出して文字や画像等のデータを印刷する。なお、カートリッジ4をカートリッジ装着部6に装着する様子や、カートリッジ4及びカートリッジ装着部6の詳細構成については後述する。なお、本帆実施形態では、印刷装置10は、カートリッジ装着部6がキャリッジ20の動きとは連動しない、いわゆる「オフキャリッジタイプ」と呼ばれるプリンターである。キャリッジ20にカートリッジ装着部6が設けられ、キャリッジ20と共にカートリッジ装着部6が移動する、いわゆる「オンキャリッジタイプ」と呼ばれるプリンターにも本開示は適用できる。
【0015】
制御部31は、印刷装置10の各部の制御や、カートリッジ4との信号の授受を行う。キャリッジ20は、吐出ヘッド22を印刷用紙2に対して相対的に移動させる。
【0016】
駆動機構30は、制御部31からの制御信号に基づいてキャリッジを往復動させる。駆動機構30は、タイミングベルト32と、駆動モーター34とを備える。タイミングベルト32を介して駆動モーター34の動力をキャリッジ20に伝達することによって、キャリッジ20がX方向に沿った方向である主走査方向に往復移動する。また、印刷装置10は、印刷用紙2を+Y方向である副走査方向に移動させるための搬送機構を備える。印刷が行なわれる際には、搬送機構によって印刷用紙2が副走査方向に移動し、前面カバー11上に印刷完了後の印刷用紙2が出力される。
【0017】
また、キャリッジ20を主走査方向に移動させた印刷領域外の位置には、ホームポジションと呼ばれる領域が設けられており、ホームポジションには、正常に印刷を実行させるためのメンテナンスを行うメンテナンス機構が搭載されている。メンテナンス機構は、吐出ヘッド22の底面側でノズルが形成されている面に押し付けられて、ノズルを取り囲むように閉空間を形成するキャップ部材8や、吐出ヘッド22のノズル面に押し付けるためにキャップ部材8を昇降させる図示しない昇降機構や、キャップ部材8が吐出ヘッド22のノズル面に押し付けられることで形成される閉空間に負圧を導入する図示しない吸引ポンプなどから構成されている。
【0018】
本実施形態では、印刷システム1の使用状態において、印刷用紙2を搬送する副走査方向に沿った軸をY軸とし、重力方向に沿った軸をZ軸とし、キャリッジ20の移動方向に沿った軸をX軸とする。ここで、「印刷システム1の使用状態」とは、水平な面に印刷システム1が設置された状態をいう。また、本実施形態では、副走査方向を+Y方向、その逆方向を-Y方向とし、重力方向を-Z方向、反重力方向を+Z方向とする。X方向とY方向は水平方向に沿った方向である。また、印刷システム1を前面側から見たときに、右側から左側に向かう方向を+X方向とし、その逆方向を-X方向とする。また本実施形態では、装着のためにカートリッジ装着部6にカートリッジ4が挿入される挿入方向が-Y方向であり、カートリッジ4がカートリッジ装着部6から取り外される方向が+Y方向である。よって、カートリッジ装着部6のうち、-Y方向側を奥側とも呼び、+Y方向側を手前側とも呼ぶ。また、本実施形態では、複数のカートリッジ4の配列方向がX方向となる。
【0019】
A-2.カートリッジ4の装着状態の概略構成:
図2は、カートリッジ装着部6を+Z方向側から見た図である。
図3は、
図2の3-3断面図である。
図4は、
図3の領域R4の拡大図である。
図2では、カートリッジ装着部6にはカートリッジ4Kが装着されている。
図2~
図4を用いてカートリッジ4の装着過程および装着状態の概略構成を説明する。なお、カートリッジ4C,4M,4Y,4Kについて、装着過程および装着状態は同じである。
【0020】
図3に示すように、カートリッジ4は、挿入方向に沿って挿入されて、カートリッジ装着部6の第1装置壁67が有する挿抜開口部674を介して、カートリッジ装着部6の収容室61に挿入される。これにより、収容室61はカートリッジ4を収容する。挿抜開口部674は、カートリッジ4の収容室61への出入口である。カートリッジ4がカートリッジ装着部6の収容室61に挿入された状態では、カートリッジ装着部6の支持部材610によって-Z方向側からカートリッジ4が支持される。また、カートリッジ4がカートリッジ装着部6の収容室61に装着された装着状態では、カートリッジ4の液体供給部442と、カートリッジ装着部6の液体導入部642とが接続される。これにより、カートリッジ4の液体収容部450に収容されたインクが、液体供給部442を介して液体導入部642に供給される。また、本実施形態では、液体供給部442から液体導入部642にインクが供給される一方で、液体貯留部699に収容された空気が気泡となって液体導入部642、液体供給部442を流通して液体収容部450に流通する。これにより、液体収容部450の気液交換が行われる。なお、他の実施形態では、カートリッジ4が液体収容部450と外部とを連通させる大気連通路を有し、この大気連通路を介して気液交換が行われてもよい。大気連通路は液体供給部442とは異なる位置に配置されており、例えば、液体収容部450を形成する壁に形成される。
【0021】
液体導入部642は、カートリッジ4から供給される液体を受け入れる。液体導入部642は、筒状の部材であり、内部に液体を流通させる内部流路を有する。液体導入部642は、基端642aと先端642bとを有する。先端642bには、内部流路である導入部流路に連通する開口が形成されており、この開口を介して液体供給部442のインクが導入部流路に流通する。基端642aは、液体貯留部699に接続されており、導入部流路を流通したインクを液体貯留部699に流通させる。液体貯留部699は、収容室61の-Z方向側に位置する。液体貯留部699は
図1に示すチューブ24を介して吐出ヘッド22と連通する。以上のように、液体導入部642は、液体貯留部699とチューブ24を介して吐出ヘッド22と連通する。液体導入部642の中心軸CA1は、装着状態における液体供給部442の中心軸CA2と平行であり、Z方向に対して傾斜している。つまり、液体導入部642が延びる方向である中心軸CA1に沿った方向は、カートリッジ4の挿入方向と交差する。液体供給部442の中心軸CA2とは、液体供給部442が延びる方向に沿った方向である。
【0022】
図4に示すように、カートリッジ4の装着状態では、カートリッジ4の回路基板50と、カートリッジ装着部6の装置側端子部70とが接触することで電気的に接続される。装置側端子部70は、保持機構73によって保持される。装置側端子部70は、複数の装置側端子721と、端子保持部750と、コネクター739とを有する。
【0023】
複数の装置側端子721は、本実施形態では9つ設けられている。複数の装置側端子721のそれぞれは、導電性を有する金属の板部材である。装置側端子721は、端子回転支点Rpを有し、端子回転支点Rpを支点に端部である回路基板50のカートリッジ側端子521と接触する部分が弾性変形できる。弾性変形する方向は、Y方向とZ方向に沿った方向である。端子保持部750は、複数の装置側端子721を保持する。コネクター739は、複数の装置側端子721と電気的に接続されている。またコネクター739は、図示しない配線によって印刷装置10の制御部31と電気的に接続される。これにより、回路基板50と制御部31とがデータ通信可能となる。
【0024】
保持機構73は、付勢部材780と、取付部材782とを有する。付勢部材780は、コイルばねによって構成されている。取付部材782は、内側に付勢部材780を配置する。また取付部材782には装置側端子部70が取り付けされている。付勢部材780は、カートリッジ4のカートリッジ装着部6への挿入が完了した状態では、圧縮される。これにより、付勢部材780は、取付部材782を介して装置側端子部70を第1装置壁67側であるカートリッジ4の取り外し方向側に向かう方向の外力Faを加える。外力Faによって、装置側端子部70は回路基板50に押し当てられるため、装置側端子721とカートリッジ側端子521との接触が良好に維持される。
【0025】
上記のごとく、保持機構73は、装置側端子部70をカートリッジ4の挿入方向に沿った方向に変位可能に保持する。また、付勢部材780の装置側端子部70側の一端部は、挿入方向と交差するX方向及びZ方向に微小に移動可能に構成されている。これにより、装置側端子部70は、保持機構73によって挿入方向と交差するX方向及びZ方向に微小に移動可能に保持されている。
【0026】
カートリッジ4のカートリッジ装着部6への装着過程は、端子接続過程と、端子接続過程の次に実行される供給部接続過程とによって構成される。端子接続過程は、
図3に示す第1装置壁67の挿抜開口部674を介して、カートリッジ4を-Y方向に移動させることでカートリッジ装着部6の収容室61に挿入することで、装置側端子721とカートリッジ側端子521とを接触させて電気的に接続する過程である。供給部接続過程は、装置側端子721とカートリッジ側端子521との電気的な接続を維持した状態で、支持部材610が有する変位機構としての回転支点698を支点として、カートリッジ4の後面47側を矢印に示す接続方向D2に回転移動させることで、液体導入部642と液体供給部442とを接続する過程である。回転支点698は、カートリッジ装着部6の第2装置壁62側に設けられている。
【0027】
供給部接続過程では、カートリッジ4が有する凹形状の供給部位置決め部448に、カートリッジ装着部6が有する突起である装置側供給部位置決め部644が入り込むことで、液体供給部442による液体供給部442の中心軸CA2と交差する動きが規制される。これにより、液体供給部442の液体導入部642に対する位置決めが行われる。装置側供給部位置決め部644は、略直方体形状である。装置側供給部位置決め部644は、一端部644aと他端部644bとを有する。一端部644aは液体貯留部699側に位置する。一端部644aは、他端部644bよりも収容室61側に位置する。
【0028】
カートリッジ4の装着状態では、支持部材610の底部を形成する主壁613は、Y方向に対して傾斜する。具体的には、支持部材610の主壁613は、+Y軸方向に向かうに従って下側である-Z方向側に位置するように傾斜する。この主壁613は、カートリッジ4が装着されていないカートリッジ装着部6の初期配置状態では、Y方向に平行である。
【0029】
カートリッジ装着部6は、カートリッジ4の装着状態において、支持部材610を初期配置状態の位置に戻すために、外力Ft1を支持部材610に加える付勢部材625を有する。付勢部材625は、支持部材610と液体貯留部699との間に設けられたコイルばねであり、装着状態では圧縮状態となる。圧縮状態によって+Z方向成分を有する外力Ft1を支持部材610に加える。一方で、カートリッジ4の装着状態では、カートリッジ4のカートリッジ係合部497が、カートリッジ装着部6の装着係合部697と係合することで、装着状態が維持される。装着係合部697は、カートリッジ装着部6の係合形成体677に形成されている。
【0030】
A-3.液体供給部と液体導入部の詳細構成:
図5は、装着状態における液体供給部442と液体導入部642とを含む領域を一部破断した模式図である。
図6は、端子接続過程の終了時点における液体供給部442と液体導入部642とを含む領域を示す断面図である。
図7は、供給部接続過程の終了時点における液体供給部442と液体導入部642とを含む領域を示す断面図である。
【0031】
図7に示すように、液体供給部442は、液体導入部642に接続されて、液体収容部450の液体を外部である液体導入部642に流通させる。液体供給部442は、液体収容部450と連通する。また
図6に示すように、液体供給部442は中心軸CA2を有する。カートリッジ4がカートリッジ装着部6に挿入された端子接続過程の完了時では、中心軸CA2に沿った方向は、Z方向である。液体供給部442の延びる方向である中心軸CAに沿った方向は、挿入方向D1である-Y方向と交差する。液体供給部442は、先端に形成れた供給開口442e1と、基端を形成する供給基端部442e2とを有する。供給基端部442e2は、液体収容部450内に位置する。供給開口442e1は、外部に向かって開口する。
【0032】
液体供給部442は、流路本体480と、カートリッジ側弁機構481とを備える。流路本体480は、液体収容部450の底壁である収容体底壁431に形成された流入開口部432に挿通されている。流路本体480の内部には、供給部流路482が形成されている。
図5に示すように、流路本体480の側壁のうち、液体収容部450内である流入開口部432と、供給基端部442e2側に位置する部分には、周方向に間隔をあけて複数のスリット441が形成されている。このスリット441を介して液体収容部450の液体が供給部流路482に流入する。なお、流路本体480の側壁のうち、流入開口部432と供給開口442e1との間に位置する部分は、スリットを有さず筒状部材を形成する。
【0033】
図6に示すように、カートリッジ側弁機構481は、供給部流路482内に配置され、供給部流路482を開閉する。カートリッジ側弁機構481は、カートリッジ側弁座487と、カートリッジ側弁体485と、カートリッジ側付勢部材483とを有する。中心軸CA2に沿った方向について、供給開口442e1に近い側から順に、カートリッジ側弁座487と、カートリッジ側弁体485と、カートリッジ側付勢部材483とが配置される。
【0034】
カートリッジ側弁座487は、供給開口442e1近傍に配置されている。カートリッジ側弁座487は、円環状の部材である。カートリッジ側弁座487は、例えば、合成ゴムやエラストマーなどの弾性部材によって形成されている。カートリッジ側弁座487の外周面は、流路本体480の内周面に対して気密に取り付けられている。カートリッジ側弁座487には、中心軸CA2に沿った方向に貫通するカートリッジ側弁孔489が形成されている。
【0035】
カートリッジ側弁体485の先端側部分は、液体導入部642が液体供給部442に接続されていない状態では、カートリッジ側弁座487に当接してカートリッジ側弁孔489を塞ぐ。一方で、カートリッジ側弁体485は、液体導入部642が液体供給部442に接続されたカートリッジ4の装着状態では、カートリッジ側弁座487から離れることで開弁する。つまり、カートリッジ側弁体485は、中心軸CA2に沿った方向に変位することで供給部流路482を開閉する。カートリッジ側弁体485は、中心軸CA2に沿った方向に延びる棒状の部材である。
【0036】
カートリッジ側弁体485は、供給開口442e1側に位置する先端面486を有する。先端面486は、供給開口442e1と対向する。また、カートリッジ側弁体485は、先端面486から供給開口442e1側に向かって突出する凸部488を有する。凸部488は円柱形状である。なお、他の実施形態では、凸部488は、横断面が4角形や5角形などの多角形で構成された、角柱形状であってもよい。凸部488は、中心軸CA2を通る位置に配置される。凸部488は、カートリッジ側弁機構481が閉状態の場合には、カートリッジ側弁座487のカートリッジ側弁孔489内に位置する。
図7に示すように、カートリッジ側弁体485の凸部488は、供給部接続過程において、液体導入部642内に配置された装置側弁体685を押して開弁させる。
【0037】
図6に示すように、カートリッジ側付勢部材483は、カートリッジ側弁体485をカートリッジ側弁座487に向かう方向に付勢する。カートリッジ側付勢部材483は、例えば、圧縮コイルばねである。カートリッジ側付勢部材483において、一端はカートリッジ側弁体485に当接し、他端は流路本体480に当接する。液体導入部642と液体供給部442との接続が開始される前の接続前状態、つまりカートリッジ側弁機構481が閉状態の場合における、カートリッジ側付勢部材483のカートリッジ側弁体485に対する付勢力は第1付勢力Fs1である。
【0038】
液体導入部642は、カートリッジ4の装着状態において、液体供給部442に接続されて液体供給部442からの液体を受け入れる。液体導入部642は、液体供給部442から供給された液体が流通する導入部流路682を有する。また、液体導入部642は中心軸CA1を有する。中心軸CA1は、重力方向に対して傾斜している。本実施形態では、中心軸CA1は、重力方向に対して5°傾斜している。
【0039】
液体導入部642は、横断面形状が円環状の導入部本体680と、装置側弁機構681とを備える。導入部本体680の内部には導入部流路682が形成されている。導入部本体680は、液体導入部642の先端642bを形成する。先端642bは、液体供給部442から液体導入部642への液体の流れ方向において、導入部流路682の上流端を形成する。先端642bは、導入部流路682の上流端を形成する導入部開口645を有する。
【0040】
図6に示すように、装置側弁機構681は、導入部流路682内に配置され、導入部流路682を開閉する。装置側弁機構681は、導入部本体680によって形成された装置側弁座687と、装置側弁体685と、装置側付勢部材683とを有する。
【0041】
装置側弁座687は、導入部本体680のうちで中心軸CA1に対して傾斜した部分である。本実施形態では、装置側弁座687は、導入部本体680のうちで、先端642b側から基端642a側に向かうに従って内径が大きくなる部分である。装置側弁座687は、導入部流路682の一部である装置側弁孔689を有する。なお、他の実施液体では上記に限定されるものではなく、導入部本体680が中心軸CA1に対して直交する方向に広がる拡径部分を有し、この拡径部分によって装置側弁座687が形成されていてもよい。
【0042】
装置側弁体685は、中心軸CA1に沿った方向に延びる棒状の部材である。装置側弁体685は、導入部流路682内に位置し、導入部流路682を開閉する。装置側弁体685は、カートリッジ側弁体485の凸部488によって押されて開弁する位置に配置されている。具体的には、凸部488によって押される装置側弁体685の先端685bが、供給部接続過程において凸部488が移動する軌跡上に位置する。本実施形態では、先端685bは中心軸CA1を通る位置に配置されている。このように、装置側弁体685が凸部488によって押されて開弁する位置に配置されることで、凸部488を用いて装置側弁体685を容易に開弁できる。
【0043】
装置側弁体685は、開弁状態と閉弁状態にかかわらず、導入部開口645から突出することなく導入部流路682内に位置する。本実施形態において、装置側弁体685の先端685bは、閉弁状態の場合には導入部開口645と同じ高さ位置に位置する。また、装置側弁体685の先端685bは、開弁状態の場合には、導入部開口645よりも奥側である基端642a側に位置する。これにより、装置側弁体685に付着した液体が外部に漏れ出す可能性を低減できる。また、装置側弁体685の先端685bが、導入部開口645から突出していないので、カートリッジ4が装着されていない状態において、装置側弁体685に他の物体が衝突するなどして、不意に装置側弁体685が開く可能性を低減できる。また、装置側弁体685の先端685bが、導入部開口645から突出していないので、カートリッジ4の装着過程において、カートリッジ4のうち装置側弁体685以外の部分に衝突する可能性を低減できる。
【0044】
装置側弁体685は、配置部686と、円環状の弾性部材であるシール部材688と、を有する。配置部686は、装置側弁体685の本体のうちで中心軸CA1と直交する方向の大きさが他の部分よりも大きい部分である。配置部686は、装置側弁座687と向かい合う。シール部材688は、エラストマーやゴムによって形成されている。シール部材688は、装置側弁体685の配置部686に取り付けられ、装置側弁体685の本体と連動する。液体導入部642と液体供給部442とが接続されていない状態では、シール部材688が装置側弁座687に気密に当接することで、装置側弁体685によって装置側弁座687の装置側弁孔689を塞ぐ。これにより、装置側弁体685は閉弁状態となる。一方で、装置側弁体685は、液体導入部642が液体供給部442に接続されたカートリッジ4の装着状態では、導入部本体680の装置側弁座687から離れることで開弁状態となる。具体的には、
図7に示すように、装置側弁体685は、カートリッジ側弁体485の凸部488によって押されることで、装置側弁座687から離れる方向に変位することで開弁する。つまり、装置側弁体685は、中心軸CA1に沿った方向に変位することで導入部流路682を開閉する。
【0045】
装置側付勢部材683は、装置側弁体685を装置側弁座687に向かう方向に付勢する。装置側付勢部材683は、例えば、圧縮コイルばねである。装置側付勢部材683において、一端は配置部686に当接し、他端は台座684に当接する。台座684は、液体導入部642の基端642aを形成する部材であり、導入部本体680に取り付けられている。液体導入部642と液体供給部442との接続が開始される前の接続前状態、つまり装置側弁機構681が閉状態の場合における、装置側付勢部材683の装置側弁体685に対する付勢力は第2付勢力Fs2である。
【0046】
図6に示す端子接続過程が完了した状態から、
図3に示すように、カートリッジ4の後面47側を接続方向D2に回転移動させることで、カートリッジ4の後面47側が下方向に移動する。これにより、液体供給部442が回転支点698を中心とした回転軌跡に沿って下方向に移動することで、
図7に示すように液体導入部642と液体供給部442とが接続される。
図6に示す端子接続過程が完了した状態から、
図7に示す液体供給部442と液体導入部642との接続が完了した状態になるまでの供給部接続過程において、カートリッジ側弁機構481と装置側弁機構681とは以下の第1開閉関係を有する。すなわち、液体導入部642と液体供給部442とが接続される供給部接続過程において、カートリッジ側弁体485よりも先に装置側弁体685が開く。本実施形態では、第1付勢力Fs1が、第2付勢力Fs2よりも大きく設定されることで、上記の第1開閉関係を有する。付勢力の大小は、圧縮コイルばねの材質や圧縮の程度などによって設定可能である。本実施形態では、圧縮コイルばねであるカートリッジ側付勢部材483の線径が、圧縮コイルばねである装置側付勢部材683の線径よりも大きいことで、第1付勢力Fs1が第2付勢力Fs2よりも大きく設定されている。
【0047】
上記のごとく第1付勢力Fs1と第2付勢力Fs2との大小関係を設定することで、カートリッジ側弁体485よりも先に装置側弁体685が開くように容易に設定できる。
【0048】
供給部接続過程において、カートリッジ側弁体485の凸部488が装置側弁体685の先端685bに当たる。さらに、カートリッジ4が接続方向D2に回転移動することで、液体供給部442が回転軌跡に沿って下側に移動する。これにより、凸部488が、装置側付勢部材683の付勢力に抗して、装置側弁体685を装置側弁座687から離れる方向である基端642a側に押し込む。装置側弁体685が押し込まれることで、装置側弁体685のシール部材688が、装置側弁座687から離間することで装置側弁体685が開く。装置側弁体685が開くことで、導入部流路682が流通可能な状態となる。供給部接続過程がさらに進み、カートリッジ4が接続方向D2にさらに回転移動することで、装置側弁体685からの反力によってカートリッジ側付勢部材483の付勢力に抗してカートリッジ側弁体485が押し込まれる。これにより、カートリッジ側弁体485がカートリッジ側弁座487から離間することで、カートリッジ側弁体485が開く。カートリッジ側弁体485が開くことで、供給部流路482が流通可能な状態となる。
【0049】
上記のように、供給部接続過程において、カートリッジ側弁体485の凸部488によって液体導入部642の装置側弁体685を容易に開弁させることができる。また、凸部488が円柱形状や角柱形状であるので、凸部488を単純な形状で形成できる。また、凸部488に液体が付着していた場合でも、凸部488が装置側弁体685の先端685bに接触することで、付着した液体を装置側弁体685側に移動させることができる。これにより、カートリッジ4がカートリッジ装着部6から取り外された後において、液体供給部442から液体が外部に漏れ出す可能性を低減できる。また、供給部接続過程において、カートリッジ側弁体485よりも先に装置側弁体685が開くことで、導入部流路682が流通可能な状態になるので、装置側弁体685とカートリッジ側弁体485との間に空気が滞留する可能性を低減できる。これにより、供給部接続過程において滞留した空気が圧縮されることを抑制できるので、液体供給部442と液体導入部642とを接続するためにカートリッジ4に加える外力が過度に大きくなることを抑制できる。よって、ユーザーは、カートリッジ4をカートリッジ装着部6に円滑に装着できる。
【0050】
また、液体導入部642と液体供給部442との接続が解除される解除過程では、
図3に示すように、カートリッジ4の後壁47側が持ち上げられることで、カートリッジ4が接続方向D2とは反対方向である接続解除方向D3に回転移動される。これにより、液体供給部442が液体導入部642から離れて接続が解除される。解除過程において、カートリッジ側弁機構481と装置側弁機構681とは以下の第2開閉関係を有する。すなわち、解除過程において、装置側弁体685よりも先にカートリッジ側弁体485が閉じる。つまり、解除過程において、カートリッジ4の液体供給部442が液体導入部642から離れるに従って、カートリッジ側弁体485がカートリッジ側弁座487に近づく方向に移動して、カートリッジ側弁体485がカートリッジ側弁座487に当接する。一方で、カートリッジ側弁体485がカートリッジ側弁座487に当接するまでは、装置側弁体685は装置側弁座687に当接することなく、装置側弁座687から離間している。解除過程がさらに進行すると、装置側弁体685が装置側弁座687に近づく方向に移動して、装置側弁体685が装置側弁座687に当接する。
【0051】
上記のごとく、解除過程において、装置側弁体685よりも先にカートリッジ側弁体485が閉じることで、液体供給部442に残留する液体を、装置側弁体685が開いている液体導入部642に流通させることができる。これにより、解除過程において、液体供給部442から液体が外部に漏れ出す可能性を低減できる。
【0052】
A-4.カートリッジ装着部6の詳細構成:
図8は、カートリッジ装着部6を+Y方向側から見た図である。
図9は、カートリッジ装着部6にカートリッジ4が装着された図である。
図10は、カートリッジ装着部6の斜視図である。
図11は、カートリッジ装着部6を+Z方向側から見た図である。
図12は、カートリッジ装着部6の部分拡大図である。
図13は、装置側端子部70の断面模式図である。
図9~
図13では、理解の容易のためにカートリッジ装着部6の一部の構成の図示は省略している。カートリッジ装着部6について、X方向を幅方向、Y方向を奥行方向、Z方向を高さ方向とも呼ぶ。以下において、特に状態についての記載がない場合には、カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着されていない初期配置状態のときのカートリッジ装着部6を前提に各要素について説明する。
【0053】
図8~
図10に示すように、カートリッジ装着部6は、カートリッジ4が収容される収容室61を形成する。収容室61は、略直方体形状である。収容室61のうちで、各カートリッジ4C,4M,4Y,4Kを収容する部分であるスロット61C,61M,61Y,61Kは、概ね各カートリッジ4C,4M,4Y,4Kの外観形状に対応している。本実施形態では、カートリッジ4Kは他のカートリッジ4C,4M,4Yに比べ、収容する液体の量を大きくするためにY方向の寸法が大きい。よって、本実施形態では、スロット61Kの幅は、他のスロット61C,61M,61Yの幅よりも大きい。
【0054】
図10に示すように、カートリッジ装着部6は、収容室61を形成する6つの装置壁62,63,64,65,66,67を有する。本開示において「壁」とは、単一の壁に加え、複数の壁によって構成された壁を含む概念である。第2装置壁62は、収容室61の-Y方向側の壁を形成する。第2装置壁62は、印刷装置10の使用状態において、概ね垂直な壁である。
【0055】
第1装置壁67は、Y方向において第2装置壁62と対向する。第1装置壁67は、カートリッジ4を収容室61に挿入したり取り外したりする際に通過させる挿抜開口部674を形成する。
【0056】
装置上壁63は、収容室61の+Z方向側の壁を形成する。装置底壁64は、Z方向において装置上壁63と対向し、収容室61の-Z方向側の壁を形成する。装置底壁64は、支持部材610によって形成されている。装置底壁64は複数の開口部614を有する。本実施形態では、開口部614は、スロット61C,61M,61Y,61Kに応じて4つ形成されている。装置上壁63および装置底壁64は、第2装置壁62と第1装置壁67と交差する。本開示において、「交わる」や「交差する」とは、(i)2つの要素が相互に交差し実際に交わる状態、(ii)一方の要素を延ばした場合に他方の要素に交わる状態、及び、(iii)相互の要素をそれぞれ延ばした場合に互いの要素が交わる状態、のいずれかの状態であることを意味する。
【0057】
第1装置側壁65は、収容室61の+X方向側の壁を形成する。第2装置側壁66は、X方向において第1装置側壁65と対向し、収容室61の-X方向側の壁を形成する。第1装置側壁65および第2装置側壁66は、第2装置壁62と第1装置壁67と装置上壁63と装置底壁64と交差する。
【0058】
図10および
図11に示すように、カートリッジ装着部6は、さらに、支持部材610と、液体導入部642と、供給部位置決め部644と、装置案内部602と、係合形成体677と、を有する。支持部材610は、装着されるカートリッジ4の数に応じて複数設けられている。本実施形態では、支持部材610は4つ設けられている。支持部材610は、収容室61の重力方向側の装置底壁64を形成する。支持部材610は、カートリッジ4を重力方向側である-Z方向側から支持する。支持部材610は、Y方向に沿って延びる部材である。支持部材610は、凹形状である。支持部材610は、装置底壁64を形成する主壁613と、第1支持側壁611と、第2支持側壁612とを有する。
【0059】
主壁613は、重力方向側に位置する凹形状の底部を形成する。主壁613のうち、第1装置壁67側の端部には、開口部614が形成されている。開口部614は、主壁613の厚み方向に主壁613を貫通する。
【0060】
図10に示すように、第1支持側壁611は、主壁613の+X方向側端部から反重力方向である+Z方向に立ち上がる。第2支持側壁612は、主壁613の-X軸方向側端部から+Z方向に立ち上がる。第1支持側壁611と第2支持側壁612とは、X方向に対向する。
【0061】
装置案内部602は、カートリッジ4を挿入方向および取り外し方向に案内する。装置案内部602は、支持部材610ごとに設けられている。装置案内部602は、第1支持側壁611と第2支持側壁612とのそれぞれに設けられている。装置案内部602は、第1支持側壁611と第2支持側壁612に設けられた突起である。
図11に示すように、第1支持側壁611に設けられた第1装置案内部602aは、第1支持側壁611から第2支持側壁612に向かって突出する突起である。第1装置案内部602aは、Y方向に沿って延びる。また、第1装置案内部602aは、Y方向に間隔をあけて複数配置されている。第2支持側壁612に設けられた第2装置案内部602bは、第2支持側壁612から第1支持側壁611に向かって突出する突起である。第2装置案内部602bは、Y方向に沿って延びる。また、第2装置案内部602bは、Y方向に間隔をあけて複数配置されている。
【0062】
図10および
図11に示すように、液体導入部642は、カートリッジ4の液体を受け入れる。カートリッジ装着部6の初期配置状態では、液体導入部642は、収容室61内に位置することなく、収容室61よりも-Z方向側に位置する。つまり、液体導入部642は、支持部材610に対して収容室61を挟んで反対側に位置する。これにより、カートリッジ4がカートリッジ装着部6の収容室61に挿入される場合に、液体導入部642にカートリッジ4が衝突することを防止できる。上述のごとく、
図3に示すように、液体導入部642の先端642bは、回転支点698を中心に支持部材610を接続方向D2に回転移動させて開口部614を押し下げることで、収容室61内に配置される。つまり、変位機構としての回転支点698は、支持部材610を回転移動させて開口部614を重力方向側に変位させることで、開口部614を介して液体導入部642の先端642bを、収容室61内に配置させる。
【0063】
図10に示す、装置側供給部位置決め部644は、供給部位置決め部448に受け入れられることで、液体供給部442の液体導入部642に対する動きを規制する。これにより、液体供給部442の位置決めが行われる。カートリッジ装着部6の初期配置状態では、装置側供給部位置決め部644は、収容室61内に位置することなく、収容室61よりも-Z方向側に位置する。つまり、装置側供給部位置決め部644は、支持部材610に対して収容室61を挟んで反対側に位置する。これにより、カートリッジ4がカートリッジ装着部6の収容室61に挿入される場合に、装置側供給部位置決め部644にカートリッジ4が衝突することを防止できる。装置側供給部位置決め部644の他端部644bは、回転支点698を中心に支持部材610を接続方向D2に回転させて開口部614を押し下げることで、収容室61内に配置される。つまり、回転支点698は、支持部材610を回転させて開口部614を変位させることで、開口部614を介して装置側供給部位置決め部644の他端部644bを、収容室61内に配置させる。
【0064】
図11に示すように、カートリッジ装着部6は、さらに、装置側端子部70と、装置側識別部材630とを有する。
図12に示すように、装置側端子部70が有する端子保持部750は、装置側端子721が露出した保持部表面750faと、第1保持部側壁750ftと、第2保持部側壁750fwとを備える。第1保持部側壁750ftは、端子保持部750の+X方向側の側壁を形成する。第2保持部側壁750fwは、端子保持部750の-X方向側の側壁を形成する。
【0065】
図11および
図12に示すように、装置側識別部材630は、収容室61の各スロット61C,61M,61Y,61Kに正しい種類のカートリッジ4C,4M,4Y,4Kが挿入されたか否かを識別するために用いられる。装置側識別部材630は、カートリッジ4C,4M,4Y,4Kが収容する液体の色に応じて、異なるパターン形状を形成する。
図11では、各スロット61C,61M,61Y,61Kにおいて、装置側識別部材630は便宜上同じパターン形状としているが、実際には異なるパターン形状となる。装置側識別部材630は、支持部材610の主壁613に設けられている。
【0066】
図12に示すように、装置側識別部材630は、少なくとも1つ以上のリブによって形成されている。パターン形状は、リブの数と位置によって定められる。カートリッジ4にも、リブによって形成されたカートリッジ側識別部材が設けられている。カートリッジ側識別部材は、カートリッジ4の種類、すなわち収容する液体の色に応じて異なるパターン形状を形成している。そして、正しい種類のカートリッジ4が対応するスロット61C~61Kに挿入される場合は、装置側識別部材630とカートリッジ側識別部材とが衝突することなく、嵌め合う。一方、誤った種類のカートリッジ4がスロット61C~61Kに挿入された場合は、装置側識別部材630とカートリッジ側識別部材とが衝突し、更なるカートリッジ4の挿入が阻害される。これにより、誤った種類のカートリッジ4がカートリッジ装着部6の各スロット61C~61Kに装着される可能性を低減できる。
【0067】
図12に示すように、装置側端子部70は、上述した複数の装置側端子721、端子保持部750、コネクター739に加え、装置側端子位置決め部756を有する。装置側端子位置決め部756は、カートリッジ4の収容室61への挿入過程において、カートリッジ4の端子位置決め部に受け入れられて、挿入方向と交差する方向であるX方向とY方向の動きが規制される。これにより、装置側端子721とカートリッジ側端子521との挿入方向と交差する方向についての位置決めが行われる。
【0068】
装置側端子位置決め部756は、スロット61C~61Kごとに、2つずつ設けられている。2つの装置側端子位置決め部756のうち、一方を第1装置側端子位置決め部756tとも呼び、他方を第2装置側端子位置決め部756wとも呼ぶ。第1装置側端子位置決め部756tと第2装置側端子位置決め部756wはそれぞれY方向に沿って延びる柱状部材である。第1装置側端子位置決め部756tは、第1保持部側壁750ftに設けられている。第2装置側端子位置決め部756wは、第2保持部側壁750fwに設けられている。
【0069】
図13に示すように、端子保持部750の保持部表面750faは、+Y方向成分および+Z方向成分を含む方向を向いてY方向およびZ方向に対して傾斜する。装置側端子721のうち回路基板50と接触する端子接点722は、保持部表面750faから突出している。端子接点722は矢印YR1の向きに弾性変形可能な状態となっている。装置側端子位置決め部756の+Y方向側端部は、端子接点722に比べて+Y方向側に位置する。
【0070】
図12に示すように、装置側端子部70と、装置側識別部材630とは、それぞれ支持部材610に設けられている。支持部材610が延びる方向であるY方向について、装置側端子部70および装置側識別部材630は、液体導入部642や開口部614を挟んで第1装置壁67とは反対側に位置する。具体的には、装置側端子部70および装置側識別部材630は、第2装置壁62近傍に設けられている。また、装置側端子部70は、装置側識別部材630に比べて-Y方向側である第2装置壁62側に位置する。これにより、カートリッジ4の挿入過程において、カートリッジ側識別部材と装置側識別部材630との嵌め合わせが開始された後に、装置側端子721とカートリッジ側端子521との接触が開始される。よって、誤った種類のカートリッジ4のカートリッジ側端子521と、装置側端子721とが接触して、誤った種類のカートリッジ4が装着された状態で回路基板50の記憶装置と制御部31とが電気的に接続されることを防止できる。
【0071】
図10に示すように、係合形成体677は、支持部材610よりも+Y方向側に形成されている。また、係合形成体677は、挿抜開口部674よりも-Z方向側に位置する。係合形成体677には、各スロット61C~61Kに対応して、
図3に示す装着係合部697が4つ配置されている。
【0072】
A-5.カートリッジ4の詳細構成:
図14は、第1種カートリッジ4Aの斜視図である。
図15は、第1種カートリッジ4Aの分解斜視図である。
図16は、第1種カートリッジ4Aの一部を示す第1図である。
図17は、第1種カートリッジ4Aの一部を示す第2図である。
図18は、第1種カートリッジ4Aの第1側面図である。
図19は、第1種カートリッジ4Aの第2側面図である。
図20は、第1種カートリッジ4Aの正面図である。
図21は、第1種カートリッジ4Aの背面図である。
図22は、第1種カートリッジ4Aの上面図である。カートリッジ4について、Y方向は奥行方向、Z方向が高さ方向、X方向が幅方向である。カートリッジ4は、大容量の液体を収容し、外形が大きいカートリッジである。カートリッジ4の外形について、Y方向の寸法が最も大きく、Z方向の寸法、X方向の寸法の順に小さい。カートリッジ4を示す図について、X方向、Y方向、Z方向は、カートリッジ4のカートリッジ装着部6への挿入が完了した状態である端子接続過程の完了状態のときを基準としている。つまり、カートリッジ4を示す図について、X方向、Y方向、Z方向は、支持部材610を回転移動させる供給部接続過程の前の状態のときを基準としている。
【0073】
図14に示すように、第1種カートリッジ4Aは、上壁43を形成する液体収容体401と、底壁44を形成するアダプター402とを備える。アダプター402は、液体収容体401に嵌合によって取り付けられる。液体収容体401とアダプター402とは、合成樹脂によって形成されている。液体収容体401とアダプター402とは同じ材料によって形成されていてもよいし、異なる材料によって形成されていてもよい。また、液体収容体401を形成する部材は、アダプター402を形成する部材よりも軽量であってもよい。こうすることで、カートリッジ4の操作性が向上する。
【0074】
第1種カートリッジ4Aの外形は、略直方体形状である。第1種カートリッジ4Aは、外殻を形成する本体41と、本体41に取り付けられた回路基板50とを備える。本体41は、上述の液体収容体401とアダプター402とによって形成されている。第1種カートリッジ4Aの本体41は、前壁42と、後壁47と、上壁43と、底壁44と、第1側壁45と、第2側壁46と、コーナー部89とを有する。各壁42,43,44,45,46,47は、各面42,43,44,45,46,47とも呼ぶ。前壁42と後壁47とは、挿入方向に沿ったY方向において対向する。上壁43と底壁44とは、Z方向において対向する。Z方向は、液体供給部442の延びる方向に沿った中心軸CA2と平行である。第1側壁45と第2側壁46とはX方向において対向する。X方向は、Y方向とZ方向とに直交する方向である。
【0075】
図18に示すように、前壁42は、カートリッジ4が装着部6に挿入される挿入方向側に位置する。つまり、前壁42は、挿入方向側である-Y方向側の挿入先端面を形成する。後壁47は取り外し方向である+Y方向側の面を形成する。上壁43は、+Z方向側に位置し、前壁42と後壁47とに交差する。
図14に示すように、底壁44は、装着状態において重力方向側である-Z方向側に位置し、
図3に示す接続方向D2の接続先端面を形成する。つまり、底壁44は、接続方向D2側に位置する。底壁44は、前壁42と後壁47とに交差する。底壁44には、挿入開口部446が形成されている。挿入開口部446内には、液体供給部442が配置されている。液体供給部442の中心軸CA2が、挿入開口部446をとおるように液体供給部442は配置される。カートリッジ4の装着過程において、カートリッジ装着部6の液体導入部642が、挿入開口部446に挿通される。挿入開口部446および液体供給部442は、挿入方向について、カートリッジ4の中央部MPと、後壁47側の端部との間の領域RYに位置する。
【0076】
図20に示すように、第1側壁45は-X方向側に位置し、第2側壁46は+X方向側に位置する。第1側壁45と第2側壁46とはそれぞれ、前壁42と後壁47と上壁43と底壁44とに交差する。コーナー部89は、前壁42と底壁44とが交差するコーナー部分に設けられている。コーナー部89は、内方に凹んだ凹部90を有する。
【0077】
第1種カートリッジ4Aは、さらに、
図14に示す、液体を収容する液体収容部450と、液体供給部442と、カートリッジ側識別部材430と、供給部位置決め部448と、回路基板50と、カートリッジ案内部447と、
図21に示すカートリッジ係合部497と、を備える。
【0078】
液体供給部442は、液体収容体401の底壁である収容体底壁431からアダプター402側に突出する筒状部材である。液体供給部442は、アダプター402の凹形状の供給部配置室461に配置される。供給部配置室461の凹形状の底部には、
図14に示す挿入開口部446が形成されている。液体供給部442内には、上述したカートリッジ側弁機構481が配置されている。
【0079】
図14に示すカートリッジ側識別部材430は、カートリッジ4がカートリッジ装着部6の正しいスロット61C,61M,61Y,61Kに挿入されたか否かを識別するために用いられる。カートリッジ側識別部材430は、底壁44のうちで前壁42に近い側、本実施形態ではコーナー部89と隣接する位置に配置された、リブである。カートリッジ側識別部材430は、カートリッジ4C,4M,4Y,4Kが収容する液体の色に応じて、異なるパターン形状を形成する。パターン形状は、リブの数と位置によって定められる。
【0080】
供給部位置決め部448は、装置側供給部位置決め部644を受け入れて、液体供給部442の液体導入部642に対する位置決めを行う。具体的には、供給部接続過程において、供給部位置決め部448は、装置側供給部位置決め部644を受け入れて、接続方向D2と交差する方向の供給部位置決め部448の動きを規制することで、液体供給部442の液体導入部642に対する位置決めを行う。供給部位置決め部448は、底壁44に形成され、底壁44の外表面から窪んだ凹部である。なお、他の実施形態では、供給部位置決め部448は、底壁44を貫通する孔であってもよい。供給部位置決め部448は略直方体形状の凹部であり、底壁44の外表面側に形成された入口部の開口面積は、入口部よりも奥側である凹部の底部側の開口面積よりも大きい。これにより、供給部接続過程において、供給部位置決め部448は、装置側供給部位置決め部644を容易に受け入れることができる。供給部位置決め部448は、挿入方向について、液体供給部442や挿入開口部446を挟んで回路基板50が有するカートリッジ側端子521とは反対側に位置する。本実施形態では、供給部位置決め部448は、底壁44のうちで後壁47近傍に形成されている。
【0081】
図21に示すように、カートリッジ係合部497は、後壁47に設けられている。カートリッジ係合部497は、後壁47の外表面から窪んだ凹部である。
【0082】
図16に示すように、回路基板50は、コーナー部89に配置されている。回路基板50は、表面50faに配置された複数のカートリッジ側端子521と、裏面に配置された記憶装置525とを有する。装置側端子と接触することで電気的に接続可能な複数のカートリッジ側端子521は、配線を介して記憶装置525に電気的に接続されている。複数のカートリッジ側端子521は、本実施形態では9つ設けられている。複数のカートリッジ側端子521が配置された表面50faは、挿入方向に対して傾斜している。具体的には、表面50faは、-Z方向成分と-Y方向成分とを含む方向を向いて、挿入方向に対して傾斜する。記憶装置525には、カートリッジ4に関する情報、例えば、製造年月日や液体残量が記憶されている。装着状態において、複数のカートリッジ側端子521が対応する装置側端子721と接触することで電気的に接続される。これにより、印刷装置10の制御部31と、記憶装置525とが電気的に接続され、データ通信が可能となる。
【0083】
図17に示すように、回路基板50は、コーナー部89の凹部90に配置されている。
図14に示すように、凹部90は前壁42と底壁44とに亘って設けられている。
図17に示すように、凹部90は、前壁42側に位置する入口開口部を形成する凹部前壁982と、凹部90の底部を形成する凹部底壁988と、一対の凹部側壁902t,902wとを有する。
【0084】
凹部底壁988は、Y方向に対して傾斜する部分を有する。本実施形態において、傾斜する部分は、Y方向について凹部前壁982に向かうに従い、+Z方向側に位置するように傾斜する。この傾斜した部分に、回路基板50は配置される。
【0085】
一対の凹部側壁902t、902wは、凹部底壁988の接続された壁である。一対の凹部側壁902t、902wは、X方向に対向する。第1凹部側壁902tは、凹部底壁988の-X方向側端部に接続されている。第2凹部側壁902wは、凹部底壁988の+X方向側端部に接続されている。第1凹部側壁902tと第2凹部側壁902wとを区別することなく用いる場合には、凹部側壁902と呼ぶ。凹部前壁982に形成された開口である入口開口部は、装置側端子部70が凹部90に挿入される際の入り口となる。
【0086】
一対の凹部側壁902t,902wには、一対の端子位置決め部906t,906wがそれぞれ設けられている。一対の端子位置決め部906t,906wは、X軸方向に互いに向かい合うように設けられている。一対の端子位置決め部906t,906wを区別して用いる場合には、第1端子位置決め部906t、第2端子位置決め部906wとも呼び、区別して用いない場合には端子位置決め部906とも呼ぶ。端子位置決め部906は、凹部側壁902に形成された溝である。第1端子位置決め部906tは、第1凹部側壁902tの表面から窪んだ形状の溝である。第2端子位置決め部906wは、第2凹部側壁902wの表面から窪んだ形状の溝である。
【0087】
第1端子位置決め部906tは、端子接続過程において、
図12に示す第1装置側端子位置決め部756tを受け入れる。つまり、第1端子位置決め部906tには、第1装置側端子位置決め部756tが挿入される。第2端子位置決め部906wは、端子接続過程において、
図12に示す第2装置側端子位置決め部756wを受け入れる。つまり、第2端子位置決め部906tには、第2装置側端子位置決め部756wが挿入される。端子位置決め部906への装置側端子位置決め部756の挿入は、カートリッジ側識別部材430と装置側識別部材630との嵌め合いが開始された後に行われる。また、端子位置決め部906への装置側端子位置決め部756の挿入は、装置側端子721とカートリッジ側端子521との接触が開始する前に開始される。
【0088】
装置側端子位置決め部756が端子位置決め部906に受け入れられることで、装置側端子位置決め部756と端子位置決め部906とが接触する。これにより、カートリッジ側端子521の装置側端子721に対する挿入方向と交差する方向であるZ方向とX方向との動きが規制される。動きが規制されることで、カートリッジ側端子521の装置側端子721に対する挿入方向と交差する方向であるZ方向とX方向の位置決めが行われる。端子位置決め部906は、+Y方向側に端部壁916を有する。この端部壁916に装置側端子位置決め部756の先端部が当たった当接位置から、さらにカートリッジ4が挿入方向側に押し進められることで端子接続過程は完了する。当接位置からカートリッジ4が挿入方向側にさらに推し進められることで、保持機構73が挿入方向側に押し込まれる。これにより、装置側端子部70はカートリッジ4の動きに追従して挿入方向側に移動する。端子接続過程が完了した状態では、
図7に示す付勢部材780が圧縮した状態となる。また、端子接続過程が完了した状態では、装置側端子721とカートリッジ側端子521とが接触する。
【0089】
図14および
図22に示すように、カートリッジ案内部447は、挿入方向である-Y方向に沿って延びる。カートリッジ案内部447は、カートリッジ装着部6の装置案内部602によって挿入方向に案内される。カートリッジ案内部447は、第1側壁45と第2側壁46にそれぞれ形成されている。
図14には、第1側壁45に形成されたカートリッジ案内部447にシングルハッチングを付している。カートリッジ案内部447は、段差によって第1側壁45と第2側壁46にそれぞれ形成されている。つまり、カートリッジ4の幅について、底壁44を含む一部分は、底壁側部分よりも底壁44から離れた部分にある他部分よりも小さい。これにより、カートリッジ案内部447を形成する段差が形成される。カートリッジ案内部447は、-Z方向を向く面である。第1側壁45に形成されたカートリッジ案内部447を第1カートリッジ案内部447aとも呼び、第2側壁46に形成されたカートリッジ案内部447を第2カートリッジ案内部447bとも呼ぶ。
【0090】
カートリッジ装着部6にカートリッジ4が挿入された場合、装置案内部602の+Z方向側の面とカートリッジ案内部447が接触することで、カートリッジ4の姿勢を維持した状態で、カートリッジ4の挿入方向への動きが案内される。第1装置案内部602aの+Z方向側の面は第1カートリッジ案内部447aと接触し、第2装置案内部602bの+Z方向側の面は第2カートリッジ案内部447bと接触する。
【0091】
図14および
図15に示すように、アダプター402は、端子位置決め部906とカートリッジ側端子521とを有するコーナー部89と、カートリッジ側識別部材430と、挿入開口部446と、供給部位置決め部448と、カートリッジ案内部447と、供給部配置室461と、を有する。
【0092】
図23は、第2種カートリッジ4Bの斜視図である。
図24は、第2種カートリッジ4Bの正面図である。
図25は、第2種カートリッジ4Bの背面図である。第2種カートリッジ4Bと第1種カートリッジ4Aとの異なる点は、液体収容体401Bの幅が、
図14に示す液体収容体401の幅よりも小さい点である。これにより、液体収容体401Bに形成された液体収容部450が収容できる液体の量は、液体収容体401に形成された液体収容部450が収容できる液体の量よりも小さい。第2種カートリッジ4Bのその他の構成については、第1種カートリッジ4Aと同様の構成であるため、同様の構成については同一符号を付すと共に説明を省略する。
【0093】
第2種カートリッジ4Bのアダプター402は、第1種カートリッジ4Aのアダプター402と、カートリッジ側識別部材430が形成するパターン形状を除いて同一の構成である。これにより、容量が異なるカートリッジ4A,4Bについて、アダプター402を共通に用いることができる。
【0094】
A-6.カートリッジのカートリッジ装着部への装着過程:
図26は、装着過程を説明する第1図である。
図27は、装着過程を説明する第2図である。
図28は、
図27の断面図であり、
図2の3-3断面に相当する図である。
図29は、装着過程を説明する第3図である。
図30は、
図29の断面図であり、
図2の3-3断面に相当する図である。
図26~
図28は端子接続過程を示し、
図29、
図30は供給部接続過程を示している。
【0095】
図26に示すように、カートリッジ4をカートリッジ装着部6に装着する際には、まずカートリッジ4をカートリッジ装着部6の挿抜開口部674から収容室61内に挿入する。カートリッジ4のカートリッジ装着部6への挿入方向D1は、-Y方向であり、カートリッジ案内部447が延びる方向と平行である。
【0096】
カートリッジ4が、
図26に示す状態からさらに挿入方向D1に押し進められると、
図27に示すように端子接続過程が完了する。
図27に示す端子接続過程の完了状態では、アダプター402の+Y方向側の端部402eが係合形成体677よりも挿入方向側に位置する。また、
図28に示すように、端子接続過程の完了状態では、カートリッジ側端子521と装置側端子721とが接触している。また、端子接続過程の完了状態では、付勢部材780が圧縮されており、付勢部材780から装置側端子部70が外力Faを受ける。利用者は、カートリッジ4を挿入方向側に押しつつ、回転支点698を支点とした接続方向D2にカートリッジ4を回転移動させることで、供給部接続過程を実行する。
【0097】
カートリッジ4が接続方向D2へ回転移動すると、液体導入部642と液体供給部442との接続が開始される前に、供給部位置決め部448による装置側供給部位置決め部644の受け入れが開始されて、その後、液体導入部642に対する液体供給部442の位置決めが開始される。つまり、液体供給部442による液体供給部442の中心軸CA2と交差する動きが規制される。供給部接続過程では、装置側供給部位置決め部644が液体導入部642に挿入される際に、カートリッジ4がY方向に微小に移動する場合が生じ得る。この場合、付勢部材780が伸縮することで、装置側端子部70がカートリッジ側端子521の動きに追従するように動く。これにより、カートリッジ側端子521と装置側端子721との接触を良好に維持できる。
【0098】
図30に示すように、供給部接続過程が完了したカートリッジ4の装着状態では、回路基板50のカートリッジ側端子521と、装置側端子部70の装置側端子721とが接触し、液体供給部442と液体導入部642とが接続する。装着状態では、カートリッジ4の挿入方向D1と、液体供給部442が延びる方向とは交差する。また、装着状態では、液体供給部442の延びる方向が重力方向成分を含む方向となるように、カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着される。これにより、液体供給部442内の液体を円滑に流通させることができる。よって、液体収容部450内に消費されることなく残留する液体の量を低減できる。
【0099】
また、装着状態では、装着係合部697とカートリッジ係合部497と係合することで、カートリッジ4の装着状態を維持する。液体導入部642と液体供給部442との接続が解除される解除過程では、利用者は、カートリッジ4の後壁47側を持ち上げることで、回転支点698を支点として接続方向D2とは反対方向である接続解除方向D3に回転移動させる。これにより、カートリッジ4の本体によって押されることで装着係合部697が変位して、装着係合部697とカートリッジ係合部497との係合が解除される。
【0100】
上記実施形態によれば、
図30に示すように、カートリッジ4は挿入方向側に位置する前壁42と交差する底壁44に液体供給部442が配置されている。これにより、装着状態において重力方向側に底壁44が位置するので、液体収容部450の液体を円滑に液体供給部442に流通させることができる。これにより、消費されることなく残留する液体収容部450の量を低減できる。また、
図26に示すように、カートリッジ4の挿入方向D1および挿入方向D1と反対方向である取り外し方向は、Y方向であり水平方向に沿った方向である。これにより、カートリッジ4をカートリッジ装着部6に対して挿抜する際には、水平方向にカートリッジ4を移動させればよいので、カートリッジ4の操作性を向上できる。特に本実施形態のごとく、大容量の液体を収容する外形の大きいカートリッジ4をカートリッジ装着部6に対して水平方向に沿って挿入したり取り外したりできるので、カートリッジ4の操作性をより向上できる。以上のように、カートリッジ4の装着状態において、カートリッジ4の挿入方向D1と、液体供給部442とが延びる方向とが交差することで、挿入方向D1を水平方向とし、延びる方向を重力方向成分を含む方向に設定できるので、カートリッジ4の操作性を向上しつつ、液体収容部450内に消費されることなく残留する液体の量を低減できる。
【0101】
また上記実施形態によれば、
図14および
図22に示すように、カートリッジ4は、カートリッジ案内部447を備えることで、挿入方向D1に円滑に移動させることができる。特に、本実施形態では、カートリッジ4の外形は挿入方向D1が最も大きい。よって、カートリッジ4が、挿入方向に案内されるカートリッジ案内部447を有することで、カートリッジ4を挿入方向D1により円滑に移動させることができる。また、
図22に示すように、カートリッジ案内部447は、第1側壁45に形成された第1カートリッジ案内部447aと、第1側壁45に対応する第2側壁46に形成された第2カートリッジ案内部447bとを有する。これにより、カートリッジ4の幅方向両側にカートリッジ案内部447を設けることができるので、カートリッジ4をカートリッジ装着部6に対して挿入方向に移動させる際に、カートリッジ4の挿入姿勢を安定にできる。
【0102】
また上記実施形態によれば、
図14に示すように、カートリッジ側端子521を有する回路基板50が、前壁42と底壁44とが交差するコーナー部89に配置されている。これにより、カートリッジ4をカートリッジ装着部6の収容室61に対して挿入方向に移動させることで、カートリッジ側端子521と装置側端子721の接触を容易に行うことができる。特に本実施形態では、
図17に示すように、カートリッジ4が、コーナー部89に端子位置決め部906を有することで、装着過程において、カートリッジ側端子521と装置側端子721との接触を確実に行うことができる。
【0103】
また上記実施形態によれば、
図15に示すように、カートリッジ4は、液体収容体401とアダプター402とを有するので設計の自由度を向上できる。例えば、液体収容部450の容量が異なる複数の液体収容体401,401Bについて、共通のアダプター402を用いることができる。また、カートリッジ4が液体収容体401とアダプター402とを有することで、液体が消費された後において、液体収容体401をアダプター402から取り外して、新たな液体収容体401をアダプター402に取り付けることができる。これにより、カートリッジ4のリサイクル性が向上する。
【0104】
また本実施形態では、異なる種類の液体収容体401,401Bに対して共通に用いることができるアダプター402に、カートリッジ装着部6と協働する要素である、端子位置決め部906や供給部位置決め部448やカートリッジ側識別部材430やカートリッジ係合部497やカートリッジ案内部447が設けられている。これにより、液体収容体401の種類が異なっても、同じ種類のアダプター402を用いることができるので、カートリッジ4の製造コストを低減できる。また、これにより、液体収容体401,401Bの構造を単純化できる。
【0105】
また上記実施形態によれば、
図27~
図30に示すように、挿抜開口部674を介して収容室61にカートリッジ4を挿入した後に、回転支点698を中心に開口部614を重力方向側に変位させることで液体導入部642の先端642bを収容室61内に配置させることで、液体導入部642と液体供給部442とを接続することができる。これにより、カートリッジ4を収容室61に水平方向に挿入する過程では、カートリッジ4が、挿入方向D1と交差する方向に形成されている液体導入部642に衝突することを防止できる。
【0106】
B.他の実施形態:
B-1.他の実施形態1:
上記実施形態では、
図26に示すように、挿入方向D1は水平方向に平行であったが、これに限定されるものではない。他の実施形態では、挿入方向D1は水平方向成分を有すれば、挿入方向に対して傾斜していてもよい。例えば、挿入方向D1は、水平方向に対して0°より大きく15°以下の範囲内で傾斜していてもよい。また、上記実施形態では、カートリッジ4の装着状態では、液体供給部442の中心軸CA2は、重力方向に対して傾斜していたが、重力方向に沿った方向であってもよい。
【0107】
B-2.他の実施形態2:
上記実施形態では、
図28~
図30に示すように、カートリッジ4が回転支点698を中心として接続方向D2に回転移動することで、液体供給部442と液体導入部642とが接続したが、これに限定されるものではない。例えば、支持部材610全体を-Z方向に移動させることでカートリッジ4を-Z方向に移動させて、液体供給部442と液体導入部642とが接続してもよい。つまり、端子接続過程は、支持部材610が重力方向である-Z方向に移動することで、開口部614を重力方向である-Z方向に変位させて、開口部614を介して液体導入部642の先端642bを収容室61内に配置させてもよい。また、支持部材610の位置は固定され、液体導入部642が移動することで液体供給部442に接続されてもよい。
【0108】
B-3.他の実施形態3:
上記実施形態では、
図15に示すように、液体収容体401とアダプター402とは別体であったが一体であってもよい。
【0109】
B-4.他の実施形態4:
本開示は、インクジェットプリンター及びそのインクカートリッジに限らず、インク以外の他の液体を噴射する任意の印刷装置及びそのカートリッジにも適用することができる。例えば、以下のような各種の印刷装置及びそのカートリッジに適用可能である。
(1)ファクシミリ装置等の画像記録装置
(2)液晶ディスプレイ等の画像表示装置用のカラーフィルターの製造に用いられる色材を噴射する印刷装置
(3)有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイや、面発光ディスプレイ(Field Emission Display、FED)等の電極形成に用いられる電極材を噴射する印刷装置
(4)バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体を噴射する印刷装置
(5)精密ピペットとしての試料印刷装置
(6)潤滑油の印刷装置
(7)樹脂液の印刷装置
(8)時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する印刷装置
(9)光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂液等の透明樹脂液を基板上に噴射する印刷装置
(10)基板などをエッチングするために酸性又はアルカリ性のエッチング液を噴射する印刷装置
(11)他の任意の微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッドを備える印刷装置
【0110】
なお、「液滴」とは、印刷装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう「液体」とは、印刷装置が噴射させることができるような材料であれば良い。例えば、「液体」は、物質が液相であるときの状態の材料であれば良く、粘性の高い又は低い液状態の材料、及び、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属のような液状態の材料も「液体」に含まれる。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなども「液体」に含まれる。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種の液体状組成物を包含するものとする。
【0111】
C.他の形態:
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、以下に記載する各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0112】
(1)本開示の第1形態によれば、液体を受け入れる液体導入部と、前記液体導入部の流路である導入部流路を開閉する装置側弁体と、を有する印刷装置のカートリッジ装着部に着脱可能に装着されるカートリッジが提供される。このカートリッジは、前記液体を収容する液体収容部と、先端に供給開口を有し、前記液体収容部と連通し、前記液体導入部に接続される液体供給部であって、前記液体供給部の前記流路である供給部流路を開閉するカートリッジ側弁機構を有する液体供給部と、を備え、前記カートリッジ側弁機構は、カートリッジ側弁孔が形成されたカートリッジ側弁座と、前記カートリッジ側弁孔を塞ぐカートリッジ側弁体であって、前記供給開口側に位置する先端面を有するカートリッジ側弁体と、前記カートリッジ側弁体を前記カートリッジ側弁座に向かう方向に付勢するカートリッジ側付勢部材と、有し、前記カートリッジ側弁体は、前記先端面から突出し、前記装置側弁体を押して開弁させる凸部を有する。この形態によれば、カートリッジ側弁体の凸部によって液体導入部の装置側弁体を容易に開弁させることができる。
【0113】
(2)上記形態において、前記凸部は、円柱形状と角柱形状とのいずれかであってもよい。この形態によれば、単純な形状で凸部を形成できる。
【0114】
(3)本開示の第2形態によれば、カートリッジが装着される印刷装置が提供される。前記カートリッジは、液体供給部と、前記液体供給部の流路である供給部流路を開閉するためのカートリッジ側弁体であって先端面から突出する凸部を有するカートリッジ側弁体と、を備える。またこの印刷装置は、液体を吐出する吐出ヘッドと、前記カートリッジが装着されるカートリッジ装着部であって、前記液体供給部に接続され、前記液体を受け入れる液体導入部を有するカートリッジ装着部と、を備え、前記液体導入部は、先端に形成された導入部開口と、流路である導入部流路と、前記導入部流路を開閉する装置側弁体とを有し、前記装置側弁体は、前記凸部によって押されて開弁する位置に配置されている。この形態によれば、凸部を用いて装置側弁体を容易に開弁できる。
【0115】
(4)上記形態において、前記装置側弁体は、前記導入部開口から突出することなく前記導入部流路内に位置してもよい。この形態によれば、装置側弁体に付着した液体が外部に漏れ出す可能性を低減できる。
【0116】
(5)本開示の第3形態によれば、印刷システムが提供される。この印刷システムは、上記形態のカートリッジと、上記形態の印刷装置と、を備え、前記カートリッジが下方向に移動することで前記液体導入部と前記液体供給部とが接続され、前記液体導入部と前記液体供給部とが接続される供給部接続過程において、前記カートリッジ側弁体よりも先に前記装置側弁体が開く。この形態によれば、供給部接続過程において、カートリッジ側弁体よりも先に装置側弁体が開くことで、装置側弁体とカートリッジ側弁体との間に空気が滞留する可能性を低減できる。これにより、供給部接続過程において滞留した空気が圧縮されることを抑制できるので、液体供給部と液体導入部とを接続するためにカートリッジに加える外力が過度に大きくなることを抑制できる。
【0117】
(6)上記形態において、前記液体導入部は、さらに、前記導入部流路内に位置し、装置側弁孔を有する装置側弁座と、前記導入部流路内に位置し、前記装置側弁体を前記装置側弁座に向かう方向に付勢する装置側付勢部材と、を有し、前記液体導入部と前記液体供給部との接続が開始される前の接続前状態において、前記カートリッジ側付勢部材の前記カートリッジ側弁体に対する付勢力である第1付勢力が前記装置側付勢部材の前記装置側弁体に対する付勢力である第2付勢力よりも大きく設定されることで、前記液体導入部と前記液体供給部とが接続される過程において、前記カートリッジ側弁体よりも先に前記装置側弁体が開いてもよい。この形態によれば、第1付勢力と第2付勢力との大小関係を設定することで、カートリッジ側弁体よりも先に装置側弁体が開くように容易に設定できる。
【0118】
(7)上記形態において、前記液体導入部と前記液体供給部との接続が解除される解除過程において、前記装置側弁体よりも先に前記カートリッジ側弁体が閉じてもよい。この形態によれば、解除過程において、カートリッジ側弁体が開いている状態にときには、液体供給部の液体を液体導入部に流通させることができる。これにより、解除過程において液体供給部から液体が外部に漏れ出す可能性を低減できる。
【0119】
本開示は、上記形態の他に、カートリッジの製造方法、カートリッジ側弁機構、装置側弁機構などの形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0120】
1…印刷システム、2…印刷用紙、4,4C,4M,4Y,4K…カートリッジ、6…カートリッジ装着部、8…キャップ部材、10…印刷装置、13…交換用カバー、15…操作ボタン、20…キャリッジ、22…吐出ヘッド、24…チューブ、30…駆動機構、31…制御部、32…タイミングベルト、34…駆動モーター、41…本体、42…前壁、43…上壁、44…底壁、45…第1側壁、46…第2側壁、47…後壁、50…回路基板、50fa…表面、61…収容室、61C,61M,61Y,61K…スロット、62…第2装置壁、63…装置上壁、64…装置底壁、65…第1装置側壁、66…第2装置側壁、67…第1装置壁、70…装置側端子部、73…保持機構、89…コーナー部、90…凹部、401,401B…液体収容体、402…アダプター、402e…端部、430…カートリッジ側識別部材、431…収容体底壁、432…流入開口部、441…スリット、442…液体供給部、446…挿入開口部、447…カートリッジ案内部、447a…第1カートリッジ案内部、447b…第2カートリッジ案内部、448…供給部位置決め部、450…液体収容部、461…供給部配置室、480…流路本体、481…カートリッジ側弁機構、482…供給部流路、483…カートリッジ側付勢部材、485…カートリッジ側弁体、486…先端面、487…カートリッジ側弁座、488…凸部、489…カートリッジ側弁孔、497…カートリッジ係合部、521…カートリッジ側端子、525…記憶装置、602…装置案内部、602a…第1装置案内部、602b…第2装置案内部、610…支持部材、611…第1支持側壁、612…第2支持側壁、613…主壁、614…開口部、625…付勢部材、630…装置側識別部材、642…液体導入部、642a…基端、642b…先端、644…装置側供給部位置決め部、644a…一端部、644b…他端部、645…導入部開口、674…挿抜開口部、677…係合形成体、680…導入部本体、681…装置側弁機構、682…導入部流路、683…装置側付勢部材、684…台座、685…装置側弁体、685b…先端、686…配置部、687…装置側弁座、688…シール部材、689…装置側弁孔、697…装着係合部、698…回転支点、699…液体貯留部、721…装置側端子、722…端子接点、739…コネクター、750…端子保持部、750fa…保持部表面、750ft…第1保持部側壁、750fw…第2保持部側壁、756…装置側端子位置決め部、756t…第1装置側端子位置決め部、756w…第2装置側端子位置決め部、780…付勢部材、782…取付部材、902…凹部側壁、902t…第1凹部側壁、902w…第2凹部側壁、906…端子位置決め部、906t…第1端子位置決め部、906w…第2端子位置決め部、916…端部壁、982…凹部前壁、988…凹部底壁、442e1…供給開口、442e2…供給基端部、CA1…中心軸、CA2…中心軸、D1…挿入方向、D2…接続方向、D3…接続解除方向、Fa…外力、Fs1…第1付勢力、Fs2…第2付勢力、Ft1…外力、MP…中央部、Rp…端子回転支点