(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/015 20230101AFI20250121BHJP
G09F 19/00 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
G06Q30/015
G09F19/00 Z
(21)【出願番号】P 2020216178
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2023-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 穣児
(72)【発明者】
【氏名】小林 司
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-123545(JP,A)
【文献】特開2015-60674(JP,A)
【文献】特開2015-60649(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03755124(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G09F 19/00
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置と、処理装置と、を備え、
前記処理装置は、
実在の店舗に陳列される第1商品の在庫に関する第1情報と前記店舗に陳列される第2商品の在庫に関する第2情報
とを記憶する在庫管理装置と前記通信装置を用いて通信することによって、前記在庫管理装置から前記第1情報と前記第2情報とを取得することと、
前記店舗における前記第1商品の陳列位置と前記第2商品の陳列位置とを検出することと、
前記第1商品及び前記第2商品のうち一方の商品の商品を含み、且つ前記第1商品及び前記第2商品のうちの他方の商品を含まない領域を、前記第1商品の陳列位置及び前記第2商品の陳列位置に基づいて決定することと、
前記店舗において前記第1商品及び前記第2商品の演出を行う演出装置
と前記通信装置を用いて通信することによって、前記第1情報及び前記第2情報に基づいて前記一方の商品を前記他方の商品よりも強調する演出を前記領域において行うことと、を実行する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記第2商品の在庫量よりも前記第1
商品の在庫量が多いことを前記第1情報及び前記第2情報が示す場合に、前記第1商品を前記一方の商品とし、前記第2商品を前記他方の商品とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1商品の在庫量が前記第2商品の在庫量よりも所定量以上多いことを前記第1情報及び前記第2情報が示す場合に、前記第1商品を前記一方の商品とし、前記第2商品を前記他方の商品とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1商品の在庫があり、且つ前記第2商品の在庫量よりも前記第1商品の在庫量が少ないことを前記第1情報及び前記第2情報が示す場合に、前記第1商品を前記一方の商品とし、前記第2商品を前記他方の商品とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
通信装置と、処理装置と、を備え、
前記処理装置は、
実在の店舗に陳列される第1商品の在庫に関する第1情報と前記店舗に陳列される第2商品の在庫に関する第2情報とを記憶する在庫管理装置と前記通信装置を用いて通信することによって、前記在庫管理装置から前記第1情報と前記第2情報とを取得することと、
前記店舗において前記第1商品及び前記第2商品の演出を行う演出装置と前記通信装置を用いて通信することによって、前記第1情報及び前記第2情報に基づいて前記第1商品及び前記第2商品のうち一方の商品を他方の商品よりも強調する演出を行うことと、を実行し、
前記第1商品の在庫量が前記第2商品の在庫量よりも所定量以上多いことを前記第1情報及び前記第2情報が示す場合に、前記第1商品を前記一方の商品とし、前記第2商品を前記他方の商品とする、
情報処理装置。
【請求項6】
前記演出を行うことは、前記店舗の前記一方の商品を含み、且つ前記他方の商品を含まない領域において、前記一方の商品を強調する演出を行うことを含む、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記演出を行うことは、前記一方の商品に照射される第1光の照度を前記他方の商品に照射される第2光の照度よりも高くすることと、前記第1光を照射される第1領域の面積を前記第2光を照射される第2領域の面積よりも大きくすることと、の少なくとも一方により、前記一方の商品を前記他方の商品よりも強調することを含む、請求項1乃至6のうちの何れか1項に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小売店等の実在の店舗に設置された陳列棚に陳列された商品の演出に、プロジェクター等の表示装置が用いられることがある。特許文献1には、陳列棚に陳列された商品に関するコンテンツ及び商品に関連する関連商品のコンテンツを陳列棚に設けられた表示装置に表示することにより、来店者にとって利便性の高い情報を提示するとともに、店舗側にとっては効率の良い販売促進を行う情報処理システムの発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
陳列棚に複数の商品が陳列されている場合、販売者はそれら複数の商品のうちの特定の商品の販売促進を望む場合がある。一方、陳列棚に陳列される複数の商品の全てについて同等の演出が行われる等、メリハリを欠く演出が行われると、販売者が販売促進を望む商品に対する来店者の購買意欲を十分に喚起できない場合がある。しかし、特許文献1には、コンテンツを表示する対象とする商品をどのように決定するかは記載されていない。そのため、実在の店舗の陳列棚に陳列された商品の演出を表示装置を用いて行う場合に、販売者が販売を促進したい商品の注目度を高めやすい演出を行えるようにする技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の情報処理装置の一態様は、実在の店舗に陳列される第1商品の在庫に関する第1情報と、前記店舗に陳列される第2商品の在庫に関する第2情報とを取得することと、前記店舗において前記第1商品及び前記第2商品の演出を行う演出装置を用いて、前記第1情報及び前記第2情報に基づいて前記第1商品及び前記第2商品のうち一方の商品を他方の商品よりも強調する演出を行うことと、を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示の実施形態に係る情報処理装置10を含む演出システム1の構成例を示す図である。
【
図2】第4態様による一方の商品の強調を説明するための図である。
【
図3】第5態様による一方の商品の強調を説明するための図である。
【
図4】情報処理装置10が実行する演出処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に述べる実施形態には技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかし、本開示の実施形態は、以下に述べる形態に限られるものではない。
【0008】
1.実施形態
図1は、本開示の一実施形態に係る情報処理装置10を含む演出システム1の一例を示す概略図である。演出システム1は、小売店等の実在の店舗の陳列棚Tに陳列された商品A及び商品Bに対して、販売促進のための画像を表示するシステムである。商品Aは、本開示における第1商品の一例である。商品Bは本開示における第2商品の一例である。
図1に示すように、演出システム1は、情報処理装置10の他に、表示装置20A及び表示装置20Bと、在庫管理装置30と、を含む。表示装置20A、及び表示装置20Bは、通信線を介して情報処理装置10に接続される。在庫管理装置30は、店舗内に敷設されたLAN(Local Area Network)等の通信網40を介して情報処理装置10に接続される。なお、本実施形態では陳列棚Tに商品A及び商品Bが陳列される場合を説明するが、商品を陳列する場所は、店舗の床、壁又は陳列台等であってもよい。
【0009】
表示装置20A及び表示装置20Bは、情報処理装置10から与えられる画像データの示す画像を表示する。本実施形態において情報処理装置10から表示装置20Aに与えられる画像データは、商品Aの販売促進のための画像を表す。商品Aの販売促進のための画像の具体例としては、商品Aの見た目に華やかさを加える装飾画像、商品Aが特売品であることを示す文字列等を含む画像、又は商品Aが人気商品であることを示す文字列等を含む画像等が挙げられる。また、本実施形態において情報処理装置10から表示装置20Bに与えられる画像データは、商品Bの販売促進のための画像を表す。商品Bの販売促進のための画像の具体例は、商品Bの見た目に華やかさを加える装飾画像、商品Bが特売品であることを示す文字列等を含む画像、又は商品Bが人気商品であることを示す文字列等を含む画像等である。
【0010】
表示装置20A及び表示装置20Bは、例えばプロジェクターである。本実施形態では、表示装置20Aは、店舗の商品Aを含み且つ商品Bを含まない領域RAに商品Aの販売促進のための画像を投写するように、位置及び投写光の光軸の向き等を調整済である。店舗の商品Aを含み且つ商品Bを含まない領域RAに商品Aの販売促進のための画像を表示することにより、店舗の天井或いは壁等、店舗において商品Aが陳列されていない領域に販売促進のための画像を表示する態様に比較して、来店者の注意を商品Aに直接向けることができる。同様に、表示装置20Bは、店舗の商品Bを含み且つ商品Aを含まない領域RBに商品Bの販売促進のための画像を投写するように、位置及び投写光の光軸の向き等を調整済である。以下では、表示装置20Aと表示装置20Bとを区別する必要がない場合には、表示装置20A及び表示装置20Bは表示装置20と略記され得る。本実施形態では、商品Aの販売促進の画像を表示する表示装置20Aと商品Bの販売促進の画像を表示する表示装置20Bとが別個に設けられた。しかし、1つの表示装置20が商品A及び商品Bの各々に販売促進のための画像を表示してもよい。
【0011】
在庫管理装置30は、商品Aを一意に示す識別子に対応付けて商品Aの在庫量を示す在庫データDAを記憶する。商品Aを一意に示す識別子の一例としては、商品Aの型番を示す文字列が挙げられる。また、在庫管理装置30は、商品Bを一意に示す識別子に対応付けて商品Bの在庫量を示す在庫データDBを記憶する。商品Bを一意に示す識別子の一例としては、商品Bの型番を示す文字列が挙げられる。在庫データDAは、第1商品である商品Aの在庫に関する第1情報の一例である。在庫データDBは、第2商品である商品Bの在庫に関する第2情報の一例である。本開示における在庫管理装置30は、例えばネットワーク経由でのデータの読み出し及び書き込みが可能なハードディスクである。在庫管理装置30に記憶されている在庫データDA及び在庫データDBは、例えばPOS(Point Of Sales)システム等の販売管理システムからのアクセスにより更新される。また、在庫管理装置30に記憶されている在庫データDA及び在庫データDBは、情報処理装置10からのアクセスにより読み出される。情報処理装置10は、在庫データDA及び在庫データDBを通信網40を介して在庫管理装置30から読み出すことで、在庫データDA及び在庫データDBを取得する。
【0012】
情報処理装置10は、商品A及び商品Bの各々の販売促進のための画像の表示装置20による表示を、在庫管理装置30から取得した在庫データDA及び在庫データDBに基づいて制御する装置である。情報処理装置10は、例えばパーソナルコンピューターである。
図1に示すように、情報処理装置10は、通信装置110と、記憶装置120と、処理装置130と、を有する。
【0013】
通信装置110は、通信網40に接続される。通信装置110は、例えばNIC(Network Interface Controller)である。通信装置110は、処理装置130による制御の下、在庫管理装置30から在庫データDA及び在庫データDBを取得する。また、通信装置110には、通信線を介して表示装置20が接続される。通信装置110は、処理装置130による制御の下、商品Aに投写する画像を表す画像データを表示装置20Aへ送信する。また、通信装置110は、処理装置130による制御の下、商品Bに投写する画像を表す画像データを表示装置20Bへ送信する。
【0014】
記憶装置120は、処理装置130が読み取り可能な記録媒体である。記憶装置120は、例えば、不揮発性メモリーと揮発性メモリーとを含む。不揮発性メモリーは、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)である。揮発性メモリーは、例えば、RAM(Radom Access Memory)である。
【0015】
記憶装置120の不揮発性メモリーには、商品Aの販売促進のための画像を表す画像データと、商品Bの販売促進のための画像を表す画像データと、が予め記憶されている。また、記憶装置120の不揮発性メモリーには、処理装置130によって実行されるプログラム121が予め記憶される。記憶装置120の揮発性メモリーはプログラム121を実行する際のワークエリアとして処理装置130によって利用される。プログラム121は、「アプリケーションプログラム」、「アプリケーションソフトウェア」又は「アプリ」とも称され得る。プログラム121は、例えば、通信装置110を介して不図示のサーバー等から取得され、その後、記憶装置120に記憶される。商品Aの販売促進のための画像を表す画像データ及び商品Bの販売促進のための画像を表す画像データも、例えば通信装置110を介して不図示のサーバー等から取得され、その後、記憶装置120に記憶される。
【0016】
処理装置130は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサー、即ちコンピューターを含んで構成される。処理装置130は、単一のコンピューターで構成されてもよいし、複数のコンピューターで構成されてもよい。処理装置130は、プログラム121の実行開始を指示する操作が不図示の入力装置に対して為されたことを契機としてプログラム121を不揮発性メモリーから揮発性メモリーに読み出す。処理装置130は、揮発性メモリーに読み出したプログラム121を実行する。プログラム121に従って作動中の処理装置130は、
図1に示す取得部131、及び演出制御部132として機能する。
図1に示す取得部131、及び演出制御部132は、処理装置130をプログラム121に従って作動させることにより実現されるソフトウェアモジュールである。取得部131、及び演出制御部132の各々が担う機能は次の通りである。
【0017】
取得部131は、通信装置110及び通信網40を介して在庫管理装置30から在庫データDA及び在庫データDBを取得する。つまり、取得部131は、表示装置20A及び表示装置20Bが設置される店舗に陳列される第1商品の在庫に関する第1情報と、当該店舗に陳列される第2商品の在庫に関する第2情報とを取得する。
【0018】
演出制御部132は、表示装置20Aにより領域RAに表示する画像を在庫データDAの示す商品Aの在庫量に応じて制御する。また、演出制御部132は、表示装置20Bにより領域RBに表示する画像を在庫データDBの示す商品Bの在庫量に応じて制御する。演出制御部132は、表示装置20Aにより領域RAに表示する画像を制御すること及び表示装置20Bにより領域RBに表示する画像を制御することにより、商品A及び商品Bのうちの一方の商品を他方の商品よりも強調する演出を行う。
【0019】
より詳細に説明すると、演出制御部132は、まず、取得部131により取得した在庫データDA及び在庫データDBに基づいて、商品A及び商品Bのうちの何れかを、他方の商品よりも強調する一方の商品として決定する。他方の商品よりも強調する一方の商品の決定の仕方の具体例としては、以下の第1態様、第2態様及び第3態様が挙げられる。
【0020】
第1態様は、在庫データDAの示す値が在庫データDBの示す値よりも大きい場合、即ち商品Aの在庫量が商品Bの在庫量よりも多い場合に、商品Aを一方の商品とし、商品Bを他方の商品とする態様である。本実施形態では、この第1態様が採用されている。第1態様によれば、商品Bよりも在庫量が多い商品Aを強調することで、商品Bに対する来店者の注目度よりも商品Aに対する来店者の注目度を高めることが可能になる。商品Bに比較して商品Aの注目度を高めれば、商品Bに比較して商品Aに対する来店者の購買意欲をより強く喚起することができ、商品Aの販売量の増加、即ち商品Aの在庫量の削減が期待できる。なお、在庫データDBの示す値が在庫データDAの示す値よりも大きい場合には、演出制御部132は、商品Bを一方の商品とし、商品Aを他方の商品とする。また、在庫データDAの示す値と在庫データDBの示す値とが同じである場合には、演出制御部132は、商品Aと商品Bのうちの一方の商品を他方の商品よりも強調せず、両者について同等の演出を行う。
【0021】
なお、他方の商品よりも強調する一方の商品の決定の仕方として、第1態様に代えて、以下の第2態様又は第3態様が採用されてもよい。第2態様は、在庫データDAの示す値が在庫データDBの示す値よりも所定量以上大きい場合、即ち商品Aの在庫量が商品Bの在庫量よりも所定量以上多い場合に、商品Aを一方の商品とし、商品Bを他方の商品とする態様である。第2態様によれば、商品Bよりも在庫量が所定数以上多い商品Aを強調することで、商品Bに対する来店者の注目度よりも商品Aに対する来店者の注目度を高めることが可能になる。第2態様によっても、商品Bに比較して商品Aに対する来店者の購買意欲をより強く喚起することができ、商品Aの在庫量の削減が期待できる。なお、在庫データDBの示す値が在庫データDAの示す値よりも所定数以上大きい場合には、演出制御部132は、商品Bを一方の商品とし、商品Aを他方の商品とする。また、在庫データDAの示す値と在庫データDBの示す値との差の絶対値が上記所定数未満である場合には、演出制御部132は、商品Aと商品Bのうちの一方の商品を他方の商品よりも強調せず、両者について同等の演出を行う。
【0022】
第3態様は、在庫データDAの示す値が1以上であり、且つ在庫データDAの示す値が在庫データDB示す値よりも小さい場合に、商品Aを一方の商品とし、商品Bを他方の商品とする態様である。在庫データDAの示す値が1以上であることは、商品Aの在庫があることを意味する。また、在庫データDAの示す値が在庫データDB示す値よりも小さいことは、商品Bの在庫量よりも商品Aの在庫量が少ないことを意味する。つまり、第3態様は、商品Aの在庫があり、且つ商品Bの在庫量よりも商品Aの在庫量が少ない場合に、商品Aを一方の商品とし、商品Bを他方の商品とする態様である。第3態様によれば、在庫はあるものの、商品Bよりも在庫量が少ない商品A、即ち在庫があり、且つ商品Bよりも売れ行きが良いと考えられる商品Aを強調することで、商品Aに対する購買意欲をより強く喚起することができ、商品Aの更なる拡販が期待できる。なお、演出制御部132は、在庫データDBの示す値が1以上であり、且つ在庫データDBの示す値が在庫データDA示す値よりも小さい場合には、商品Bを一方の商品とし、商品Aを他方の商品とする。また、在庫データDAの示す値と在庫データDBの示す値とが等しい場合には、演出制御部132は、商品Aと商品Bのうちの一方の商品を他方の商品よりも強調せず、両者について同等の演出を行う。
【0023】
また、一方の商品を他方の商品よりも強調する演出の具体的な態様としては、以下の第4態様、第5態様及び第6態様が挙げられる。
【0024】
第4態様は、一方の商品に照射される画像光の照度を他方の商品に照射される画像光の照度よりも高くする態様である。本実施形態では、一方の商品を他方の商品よりも強調する演出の具体的な態様として、この第4態様が採用されている。例えば、一方の商品が商品Aであり、他方の商品が商品Bである場合には、演出制御部132は、
図2に示すように、領域RAに照射される画像光の照度が、領域RBに照射される画像光の照度よりも高くなるように、表示装置20A及び表示装置20Bを制御する。なお、
図2では、領域RA及び領域RBの各々に照射される画像光の照度がハッチングで表されている。
図2に示す例では、縦線のハッチングは横線のハッチングよりも照度が高い画像光を照射されていることを示す。一方の商品が商品Aであり、他方の商品が商品Bである場合、領域RAは、店舗の一方の商品を含み且つ他方の商品を含まない領域の一例である。また、一方の商品が商品Aであり、他方の商品が商品Bである場合において、表示装置20Aから領域RAに照射される画像光は本開示における第1光の一例である。また、表示装置20Bから領域RBに照射される画像光は第2光の一例である。
【0025】
なお、一方の商品を他方の商品よりも強調する演出の具体的な態様として、第4態様に代えて、以下の第5態様又は第6態様が採用されてもよい。第5態様は、第1光を照射される領域の面積を第2光を照射される領域の面積よりも大きくする態様である。例えば、一方の商品が商品Aであり、他方の商品が商品Bである場合には、演出制御部132は、
図3に示すように、領域RAの面積が領域RBの面積よりも大きくなるように、表示装置20A及び表示装置20Bを制御する。一方の商品が商品Aであり、他方の商品が商品Bである場合において、領域RAは本開示における第1領域の一例である。また、領域RBは本開示における第2領域の一例である。
【0026】
第6態様は、第4態様と第5態様とを組み合わせた態様である。即ち、第6態様は、第1光を照射される領域の面積を第2光を照射される領域の面積よりも大きくするとともに、第1光の照度を第2光の照度よりも高くする態様である。
【0027】
また、プログラム121に従って作動している処理装置130は、
図4に示す演出処理を一定の時間間隔で周期的に実行する。
図4に示すように演出処理は、取得処理SA110と、演出制御処理SA120とを含む。
【0028】
取得処理SA110では、処理装置130は、取得部131として機能する。取得処理SA110では、処理装置130は、通信装置110及び通信網40を介して在庫管理装置30から在庫データDA及び在庫データDBを取得する。
【0029】
演出制御処理SA120では、処理装置130は、演出制御部132として機能する。演出制御処理SA120では、処理装置130は、表示装置20Aにより商品Aに表示する画像を在庫データDAの示す商品Aの在庫量に応じて制御するとともに、表示装置20Bにより商品Bに表示する画像を在庫データDBの示す商品Bの在庫量に応じて制御することにより、一方の商品を他方の商品よりも強調する演出を行う。
【0030】
本実施形態では、商品A及び商品Bのうちの何れを一方の商品とするのかについて、前述の第1態様が採用されている。従って、取得処理SA110にて取得された在庫データDAの示す値が取得処理SA110にて取得された在庫データDBの示す値よりも大きい場合、演出制御処理SA120では、処理装置130は、商品Aを一方の商品、商品Bを他方の商品として、一方の商品を他方の商品よりも強調する演出を行う。
【0031】
本実施形態では、一方の商品を他方の商品よりも強調する演出の具体的な態様として、前述の第4態様が採用されているので、演出制御処理SA120では、処理装置130は、表示装置20Aから領域RAに照射される画像光の照度を、表示装置20Bから領域RBに照射される画像光の照度よりも高くする。商品Aには、商品Bに照射される画像光よりも照度の高い画像光が照射されるので、商品Bよりも商品Aを強調することができる。
【0032】
このように本実施形態の情報処理装置10によれば、商品Bの在庫量よりも商品Aの在庫量が多い場合、商品Aを商品Bよりも強調する演出が行われる。商品Bよりも商品Aを強調する演出が行われるので、商品Bよりも商品Aに対する来店者の注目度を高め、商品Bと比較して商品Aに対する来店者の購買意欲をより強く喚起することができ、商品Aの在庫量の削減が期待できる。
【0033】
2.変形
上記実施形態は、以下のように変形され得る。
(1)情報処理装置10は、商品Aの陳列位置及び商品Bの陳列位置を検出する検出処理を実行してもよい。具体的には、陳列棚Tの画像を撮像する撮像装置を通信装置110に接続し、処理装置130は、撮像装置による撮像画像を解析することで、商品Aの陳列位置及び商品Bの陳列位置を検出してもよい。また、商品A及び商品Bの各々にRFID(Radio Frequency IDentification)タグ等の無線通信タグが貼り付けられ、情報処理装置10の通信装置110が無線通信タグと通信する通信回路を含んでもよい。この態様における検出処理では、処理装置130は、無線通信タグから送信される電波の電界強度及び当該電波の到来方向に基づいて、当該無線通信タグを貼り付けられた商品の陳列位置を検出する。商品の陳列位置を検出する検出処理を情報処理装置10に実行させる態様では、処理装置130は、検出した商品Aの陳列位置及び商品Bの陳列位置に基づいて、一方の商品を強調する演出を行う領域を決定する決定処理を情報処理装置10に更に実行してもよい。この決定処理の具体例としては、検出処理にて検出した陳列位置を中心とする所定の半径の円内の領域を当該陳列位置に陳列される商品の演出を行う領域として決定する態様が挙げられる。なお、上記円の半径は、互いに隣り合う商品の陳列位置間の距離の半分未満の値に設定されてもよい。
【0034】
(2)上記実施形態における情報処理装置10はタブレット端末又はスマートフォンであってもよい。また、上記実施形態における情報処理装置10は単体で製造又は販売されてもよい。また、上記実施形態の演出システム1は、情報処理装置10とは別個に表示装置20を有したが、表示装置20と情報処理装置10とが一体の装置であってもよい。また、上記実施形態の演出システム1は、情報処理装置10とは別個に在庫管理装置30を有したが、情報処理装置10の記憶装置120が在庫管理装置30の役割を兼ねてもよい。また、上記実施形態における表示装置20Aはプロジェクターであったが、表示装置20Aは、領域RAに照明光を照射する照明装置であってもよい。同様に、表示装置20Bは、領域RBに照明光を照射する照明装置であってもよい。表示装置20が照明装置であっても、一方の商品に照射される照明光の照度を他方の商品に照射される照明光の照度よりも高くすること、又は、表示装置20Aと表示装置20Bとのうちの一方から照明光を照射される領域の面積を他方から照明光を照射される領域の面積よりも大きくすることにより、一方の商品を他方の商品よりも強調する演出が実現可能になる。
【0035】
(3)上記実施形態では、プログラム121が記憶装置120に記憶済であった。しかし、プログラム121が単体で製造又は配布されてもよい。プログラム121の具体的な配布方法としては、フラッシュROM(Read Only Memory)等のコンピューター読み取り可能な記録媒体に上記プログラム121を書き込んで配布する態様、又はインターネット等の電気通信回線経由のダウンロードにより配布する態様が考えられる。
【0036】
(4)上記実施形態における取得部131、及び演出制御部132はソフトウェアモジュールであったが、取得部131、及び演出制御部132の一部又は全部がハードウェアであってもよい。このハードウェアの一例としては、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、及びFPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。取得部131、及び演出制御部132の一部又は全部がハードウェアであっても、上記実施形態と同一の効果が奏される。
【0037】
(5)上記実施形態では、商品A及び商品Bの2種類の商品のうち一方を強調する演出を行ったが、商品は、3種類以上であってもよい。この場合には、3種類以上の商品の各々についての在庫情報に基づいて、1つ以上の商品が、他の1つ以上の商品よりも強調される演出を行う。1つ以上の商品を強調する演出を行った場合には、当該1つ以上の商品の何れかが一方の商品に相当し、強調されなかった1つ以上の商品の何れかが、他方の商品に相当する。来店者の注目を引く上では、強調する商品の数を、候補となる商品の半数未満にすることが好ましい。
【0038】
3.実施形態及び各変形例の少なくとも1つから把握される態様
本開示は、上述した実施形態及び変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実現することができる。例えば、本開示は、以下の態様によっても実現可能である。以下に記載した各態様中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、或いは本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0039】
本開示の情報処理装置10は、以下の取得処理SA110と、演出制御処理SA120と、を実行する。取得処理SA110では、情報処理装置10は、実在の店舗の陳列棚Tに陳列される第1商品の在庫に関する第1情報と、陳列棚Tに陳列される第2商品の在庫に関する第2情報とを取得する。演出制御処理SA120では、情報処理装置10は、店舗において第1商品及び第2商品の演出を行う演出装置を用いて、第1情報及び第2情報に基づいて第1商品及び第2商品のうち一方の商品を他方の商品よりも強調する演出を行う。表示装置20A及び表示装置20Bは演出装置の一例である。本態様によれば、第1商品及び第2商品の各々の在庫量に基づいて、第1商品及び第2商品うちの一方を他方よりも強調する演出が行われるので、一方の商品についての来店者の購買意欲を他方の商品についての購買意欲よりも強く喚起することができる。
【0040】
より好ましい態様の情報処理装置10では、演出制御処理SA120は、店舗内の領域のうち一方の商品を含み且つ他方の商品を含まない領域において、一方の商品を強調する演出を行うことを含んでもよい。本態様によれば、店舗の一方の商品を含み且つ他方の商品を含まない領域において、一方の商品を強調する演出を行うことが可能になる。例えば、店舗の天井或いは壁等に商品が陳列されない場合、本態様によれば、商品が陳列されていない領域に販売促進のための画像を表示する態様に比較して来店者の注意を商品に直接向けることができる。
【0041】
更に好ましい態様の情報処理装置10は、演出制御処理SA120に先立って、以下の検出処理と決定処理とを実行してもよい。検出処理では、情報処理装置10は、店舗における第1商品の陳列位置と第2商品の陳列位置とを検出する。決定処理では、情報処理装置10は、検出処理にて検出された第1商品の陳列位置及び第2商品の陳列位置に基づいて、一方の商品を強調する演出を行う領域、即ち店舗内の領域のうち、第1商品及び第2商品のうちの一方の商品を含み且つ第1商品及び第2商品のうちの他方の商品を含まない領域、を決定する。本態様によれば、店舗における第1商品の陳列位置と第2商品の陳列位置とが検出され、検出された各陳列位置に基づいて一方の商品を強調する演出を行う領域が決定されるので、第1商品及び第2商品の少なくとも一方の陳列位置が変更されても、一方の商品を強調する演出を変更後の陳列位置に応じて行うことができる。
【0042】
別の好ましい態様の情報処理装置10は、第2商品の在庫量よりも第1商品の在庫量が多いことを第1情報及び第2情報が示す場合に、第1商品を一方の商品とし、第2商品を他方の商品とする。本態様によれば、第1商品及び第2商品のうち在庫量が多い方を強調する演出が行われるので、在庫量が多い方の商品の在庫量の削減が期待できる。
【0043】
別の好ましい態様の情報処理装置10は、第1商品の在庫量が第2商品の在庫量よりも所定量以上多いことを第1情報及び第2情報が示す場合に、第1商品を一方の商品とし、第2商品を他方の商品とする。本態様によれば、第1商品及び第2商品のうち在庫量が他方よりも所定数以上多い方を強調する演出が行われるので、在庫量が多い方の商品の在庫量の削減が期待できる。
【0044】
別の好ましい態様の情報処理装置10は、第1商品の在庫があり、且つ第2商品の在庫量よりも第1商品の在庫量が少ないことを第1情報及び第2情報が示す場合に、第1商品を前記一方の商品とし、第2商品を他方の商品とする。本態様によれば、第1商品及び第2商品のうち他方よりも在庫量が少ないものの、まだ在庫がある商品を強調する演出が行われるので、他方よりも在庫量が少なく且つ在庫のある商品の更なる拡販が期待できる。
【0045】
別の好ましい態様の情報処理装置10における演出制御処理SA120にて行われる第1商品及び第2商品の演出は、一方の商品に照射される第1光の照度を他方の商品に照射される第2光の照度よりも高くすることと、第1光を照射される第1領域の面積を第2光を照射される第2領域の面積よりも大きくすること、の少なくとも一方により、一方の商品を他方の商品よりも強調することを含んでもよい。本態様によれば、第1光の照度及び第2光の照度と、第1領域の面積及び第2領域の面積と、の少なくとも一方の調整により、一方の商品を他方の商品よりも強調する演出を行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0046】
1…演出システム、10…情報処理装置、20,20A,20B…表示装置、30…在庫管理装置、40…通信網、110…通信装置、120…記憶装置、130…処理装置、131…取得部、132…演出制御部。