(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】集積回路装置および発振器
(51)【国際特許分類】
G01R 31/28 20060101AFI20250121BHJP
H10D 89/00 20250101ALI20250121BHJP
【FI】
G01R31/28 W
G01R31/28 G
H01L27/04 T
(21)【出願番号】P 2021007140
(22)【出願日】2021-01-20
【審査請求日】2023-11-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】塩崎 伸敬
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 久浩
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-271065(JP,A)
【文献】特開2014-190961(JP,A)
【文献】特開2016-058823(JP,A)
【文献】特開2016-090564(JP,A)
【文献】特開2001-356152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/28
H01L 21/822
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常動作モードとスキャンテストモードとを有する集積回路装置であって、
第1~第4のパッドと、
組合せ論理回路と、
複数のフリップフロップ回路と、を備え、
複数の前記フリップフロップ回路は、
前記組合せ論理回路への入力信号を保持し、前記組合せ論理回路からの出力信号を保持する第1の状態と、
複数の前記フリップフロップ回路を直列接続したスキャンチェーンを構成する第2の状態と、を切り替え可能であり、
前記スキャンテストモードは、
前記組合せ論理回路の動作をテストする組合せ論理回路テストモードと、複数の前記フリップフロップ回路のリセット動作をテストするリセット動作テストモードと、を含み、
前記組合せ論理回路テストモードにおいては、前記第1~前記第4のパッドを、
前記組合せ論理回路の動作のテストに用いられるデータを前記スキャンチェーンに入力するためのデータ入力用パッドと、
前記スキャンチェーンに保持されたデータを出力するためのデータ出力用パッドと、
複数の前記フリップフロップ回路にクロック信号を入力するためのクロック入力用パッドと、
複数の前記フリップフロップ回路を、前記第1の状態と、前記第2の状態と、のいずれかに設定する設定信号を入力するための設定信号入力用パッドと、
に割り当て、
前記リセット動作テストモードにおいては、前記第1~前記第4のパッドを、
前記リセット動作のテストに用いられるデータを前記スキャンチェーンに入力するためのデータ入力用パッドと、
前記スキャンチェーンに保持されたデータを出力するためのデータ出力用パッドと、
複数の前記フリップフロップ回路にクロック信号を入力するためのクロック入力用パッドと、
複数の前記フリップフロップ回路にリセット信号を入力するためのリセット信号入力用パッドと、
に割り当
て、
前記第1~第4のパッドは、前記通常動作モードにおいて振動子に接続される振動子用パッドを含み、
前記組合せ論理回路テストモードにおいては、前記振動子用パッドを、前記設定信号入力用パッドに割り当て、
前記リセット動作テストモードにおいては、前記振動子用パッドを、前記リセット信号入力用パッドに割り当てる、
集積回路装置。
【請求項2】
前記第1~第4のパッドは、前記通常動作モードにおいて前記振動子に接続される他の振動子用パッドを含み、
前記組合せ論理回路テストモードにおいては、前記他の振動子用パッドを、前記データ入力用パッド、または前記クロック入力用パッドに割り当て、
前記リセット動作テストモードにおいては、前記他の振動子用パッドを、前記データ入力用パッド、または前記クロック入力用パッドに割り当て、
前記組合せ論理回路テストモードおよび前記リセット動作テストモードにおいて、前記他の振動子用パッドから入力された信号を増幅する増幅回路を含む、
請求項
1に記載の集積回路装置。
【請求項3】
前記増幅回路は、前記入力された信号の波形整形用バッファーである、
請求項
2に記載の集積回路装置。
【請求項4】
前記振動子を発振させる発振回路と、
前記発振回路からの発振信号が入力されるフラクショナルPLL回路と、
前記フラクショナルPLL回路を制御する制御回路と、を含み、
前記制御回路は、前記組合せ論理回路と複数の前記フリップフロップ回路とを含む、
請求項
1~請求項
3のいずれか一項に記載の集積回路装置。
【請求項5】
前記集積回路装置に対する電源投入から所定期間以内に前記第1~前記第4のパッドのいずれかに対して所定の信号が入力された場合に、
前記第1~前記第4のパッドのいずれかに対するシリアルデータの入力を受け付け、前記シリアルデータに応じて前記通常動作モード、前記組合せ論理回路テストモード、前記リセット動作テストモードのいずれかに設定する回路を含む、
請求項1~請求項
4のいずれか一項に記載の集積回路装置。
【請求項6】
請求項
1~請求項
4のいずれか一項に記載の集積回路装置と、前記振動子と、前記集積回路装置および前記振動子を収容するパッケージと、を備えた発振器であって、
前記パッケージの外面には、
高電位電源用外部端子と、
低電位電源用外部端子と、
前記発振器からの出力の可否を制御するためのOE外部端子と、
前記発振器から発振信号を出力するための出力用外部端子と、が設けられ、
前記集積回路装置は、前記高電位電源用外部端子および前記低電位電源用外部端子のそれぞれに電気的に接続される2つのパッドを備え、
前記集積回路装置が備える前記第1~前記第4のパッドの中の2つのパッドは、前記OE外部端子および前記出力用外部端子のそれぞれに電気的に接続され、
前記集積回路装置が備える前記第1~前記第4のパッドの中の残りの2つのパッドである前記振動子用パッドおよび他の振動子用パッドのそれぞれは、前記振動子に電気的に接続される、
発振器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路装置および発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、組合せ論理回路に関する検査を行う手法として、スキャンテストが知られている。例えば、特許文献1においては、組合せ論理回路の入力、出力の少なくとも一方にフリップフロップ回路を配置し、スキャンテストモードにおいてはこれらのフリップフロップ回路を直列的に接続するスキャンチェーンを構成する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スキャンテストを行う際には、高電位および低電位の電源端子に加え、クロック信号の入力端子、スキャンチェーンに対するテストデータの入力端子、スキャンチェーンからのテスト結果の出力端子、フリップフロップ回路のリセット指示する信号の入力端子、スキャンチェーンの有効化を指示する信号の入力端子の5端子が必要である。従来は、これらの端子を集積回路装置に設けているため、集積回路装置を小型化することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための集積回路は、スキャンテストモードを有する集積回路装置であって、第1~第4のパッドと、組合せ論理回路と、複数のフリップフロップ回路と、を備え、複数のフリップフロップ回路は、組合せ論理回路への入力信号を保持し、組合せ論理回路からの出力信号を保持する第1の状態と、複数のフリップフロップ回路を直列接続したスキャンチェーンを構成する第2の状態と、を切り替え可能であり、スキャンテストモードは、組合せ論理回路の動作をテストする組合せ論理回路テストモードと、複数のフリップフロップ回路のリセット動作をテストするリセット動作テストモードと、を含み、組合せ論理回路テストモードにおいては、第1~第4のパッドを、組合せ論理回路の動作のテストに用いられるデータをスキャンチェーンに入力するためのデータ入力用パッドと、スキャンチェーンに保持されたデータを出力するためのデータ出力用パッドと、複数のフリップフロップ回路にクロック信号を入力するためのクロック入力用パッドと、複数のフリップフロップ回路を、第1の状態と、第2の状態と、のいずれかに設定する設定信号を入力するための設定信号入力用パッドと、に割り当て、リセット動作テストモードにおいては、第1~第4のパッドを、リセット動作のテストに用いられるデータをスキャンチェーンに入力するためのデータ入力用パッドと、スキャンチェーンに保持されたデータを出力するためのデータ出力用パッドと、複数のフリップフロップ回路にクロック信号を入力するためのクロック入力用パッドと、複数のフリップフロップ回路にリセット信号を入力するためのリセット信号入力用パッドと、に割り当てる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる発振器の構成図である。
【
図2】発振回路の構成例および制御回路の構成例を示す図である。
【
図3】モード設定の際のタイミングチャートである。
【
図4】モード設定に応じた制御回路の動作を示す図である。
【
図5】モード設定に応じた制御回路の動作を示す図である。
【
図7】組合せ論理回路テストモードのタイミングチャートである。
【
図8】リセット動作テストモードのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)発振器の構成:
(1-1)スキャンテストを行うための構成:
(1-2)組合せ論理回路テストモードにおける動作:
(1-3)リセット動作テストモードにおける動作:
(2)他の実施形態:
【0008】
(1)発振器の構成:
図1は本発明の一実施形態にかかる発振器1の構成図である。発振器1は、集積回路装置2および振動子3を収容するパッケージ4を備えている。パッケージ4は、内部に空間を有しており、当該内部は真空等の減圧雰囲気、又は窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性気体雰囲気に気密封止される。
【0009】
パッケージの外面には、外部端子が設けられている。
図1においては、パッケージ4を示す矩形の線に重ねた白い丸によって外部端子を模式的に示している。具体的には、パッケージ4には、高電位電源用外部端子と、低電位電源用外部端子と、発振器1からの出力の可否を制御するためのOE用外部端子と、発振器1から発振信号を出力するための出力用外部端子と、が設けられている。
【0010】
本実施形態において高電位電源用外部端子には電源電圧Vccが印加され、低電位電源用外部端子は接地される。以後、高電位電源用外部端子をVcc外部端子、低電位電源用外部端子をGND外部端子と呼ぶ。また、出力用外部端子をOUT外部端子と呼ぶ。
【0011】
本実施形態では、振動子3は、基板材料として水晶を用いた水晶振動子であり、例えば、ATカットやSCカットの水晶振動子が用いられる。振動子3は、SAW(Surface Acoustic Wave)共振子やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)振動子であってもよい。また、振動子3の基板材料としては、水晶の他、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電単結晶や、ジルコン酸チタン酸鉛等の圧電セラミックス等の圧電材料、又はシリコン半導体材料等を用いることができる。振動子3の励振手段としては、圧電効果によるものを用いてもよいし、クーロン力による静電駆動を用いてもよい。
【0012】
集積回路装置2は、外部端子と電気的に接続されるパッドと、振動子3に電気的に接続されるパッドと、を備えている。具体的には、集積回路装置2は、Vcc外部端子およびGNC外部端子のそれぞれに電気的に接続される2つのパッドを備えている。ここでは、前者をVccパッドと呼び、後者をGNDパッドと呼ぶ。
【0013】
さらに、集積回路装置2は、VccパッドおよびGNDパッド以外に、第1~第4のパッドを備えている。本実施形態において、第1~第4のパッドの一つにOE外部端子が電気的に接続され、第1~第4のパッドの他の一つにOUT外部端子が電気的に接続される。ここでは、前者をOEパッド、後者をOUTパッドと呼ぶ。さらに、第1~第4のパッドの中の残りの2つのパッドは振動子用パッドである。すなわち、振動子3は、集積回路装置2に設けられた振動子用パッドに対して電気的に接続される、ここでは、振動子用パッドの一方をXIパッド,他方をXOパッドと呼ぶ。なお、
図1においては、集積回路装置2を示す矩形の線に重ねた白い丸によってパッドが模式的に示されている。また、外部端子やパッドを模式的に示す白い丸には、その役割であるVcc,GND,OE,OUT,XI,XOが併記されている。
【0014】
本実施形態では、集積回路装置2は、発振回路10、フラクショナルPLL回路20、出力バッファー30、電源投入検出部40、温度補償回路50、制御回路60を含む。なお、本実施形態の集積回路装置2は、これらの要素の一部を省略又は変更し、あるいは他の要素を追加した構成としてもよい。本実施形態において集積回路装置2は、1チップ化された半導体集積回路(IC:integrated circuit)である。
【0015】
発振回路10は、振動子3を発振させるための回路であり、振動子3の出力信号を増幅して振動子3にフィードバックする。発振回路10は、振動子3の発振に基づく発振信号REFCLKを出力する。例えば、振動子3と発振回路10により構成される発振回路は、ピアース発振回路、インバーター型発振回路、コルピッツ発振回路、ハートレー発振回路などの種々のタイプの発振回路であってもよい。なお、後述する
図2においては、発振回路10の構成例が示されている。
【0016】
フラクショナルPLL回路20は、制御回路60から入力される分周比に応じて、発振信号REFCLKの周波数(リファレンス周波数)を整数倍または(整数+分数)倍した発振信号を生成する。本実施形態においてフラクショナルPLL回路20は、図示しない分周回路を備えており、分周回路は、当該発振信号を制御回路60から入力される出力分周比で分周し、発振信号CLKOを生成する。出力バッファー30は、分周回路が出力する発振信号CLKOをバッファリングし、発振信号をOUTパッドから外部に出力する。この発振信号は、発振器1のOUT外部端子から出力される発振信号となる。
【0017】
電源投入検出部40は、図示しないレギュレーターを備えている。レギュレーターは、Vcc外部端子に接続された電源の電圧を既定電圧に変換し、集積回路装置2内の各回路に供給する。また、電源投入検出部40は、当該レギュレーターの出力電圧が0から既定電圧に上昇する過程で、閾値を超えたか否か検出する回路を備えている。すなわち、電源投入検出部40は、電源が投入されたことを検知することが可能である。電源の投入が検知されると、電源の投入を示す信号が電源投入検出部40から制御回路60に出力される。電源投入検出部40は、電源の投入を検出することができればよく、例えば、Vccパッドの電位と基準電位とを比較するコンパレーターを含んで構成されていてもよいし、種々の公知のパワーオンリセット回路であってもよい。
【0018】
温度補償回路50は、図示しない温度センサーが検出した温度検出値に基づいて発振回路10が出力する発振信号の周波数を温度補償する。本実施形態では、温度補償回路50は、温度検出値に基づいて、発振回路10が出力する発振信号の周波数が所望の周波数になるように温度補償するための温度補償値を生成する。当該温度補償値はアナログ信号に変換され、発振回路10に供給される。発振回路10は、当該温度補償電圧に応じた周波数で振動子3を発振させる。
【0019】
制御回路60は、不図示の制御レジスターを有し、制御レジスターの設定値に応じて、フラクショナルPLL回路20、温度補償回路50等の各動作を制御する。制御レジスターには、チャージポンプ回路の電流源における電流の大きさの設定、発振回路10の周波数調整値等の設定、フラクショナルPLL回路20の整数分周比Nや分数分周比F/Mの設定、分周回路の出力分周比Pの設定などが可能である。
【0020】
本実施形態において発振器1は、複数のモードで動作可能である。具体的には、本実施形態にかかる発振器1には、通常動作モードとスキャンテストモードとを設定可能である。通常動作モードは、発振器1から発振信号を出力させるためのモードであり、発振器1の出荷後にユーザーが発振器1を使用する際のモードである。発振器1に対して電源を投入し、Vccパッドに対する電源の投入後、OEパッドから特定の信号を入力しなければ、集積回路装置2は通常モードで動作する。
【0021】
スキャンテストモードは、集積回路装置2の検査を行うためのモードであり、発振器1の出荷前にスキャンテストを行うためのモードである。本実施形態において、スキャンテストモードは、集積回路装置2をパッケージ4に取り付ける前に実施される。スキャンテストは、集積回路装置2のパッドに対して既定の信号の入力等ができる状態で実施されればよい。本実施形態においては、集積回路装置2の各回路およびパッドが形成されたウェハの状態で実施される。
【0022】
本実施形態においては、スキャンテストモードで使用されるパッドの数を従来よりも削減するため、スキャンテストモードが組合せ論理回路テストモードと、リセット動作テストモードと、に細分化されている。すなわち、組合せ論理回路テストモードにおいてリセット動作のテストは実施されず、リセット動作テストモードにおいて組合せ論理回路のテストは実施されない。このため、組合せ論理回路テストモードにおいてはリセット動作を行わせるための信号を入力するためのパッドが不要になり、リセット動作テストモードにおいては組合せ論理回路にデータを入力する状態とスキャンチェーンが構成された状態とを切り替えるための信号を入力するためのパッドが不要になる。
【0023】
(1-1)スキャンテストを行うための構成:
以下、スキャンテストモードにおいてスキャンテストを行うための構成を説明する。ここでは、まず、モード設定を行うための構成を説明する。
図2は、制御回路60が備えるモード設定に関する回路と、発振回路10とを示す図である。本実施形態において、発振回路10は、
図2に示すCMOSゲートを利用した発振回路であり、インバーターInと、帰還抵抗Rfと、制限抵抗Rdと、コンデンサーCg,Cdを備えている。
【0024】
すなわち、インバーターInの入力ノードと出力ノードとのそれぞれに帰還抵抗Rfが接続され、インバーターInの入力ノードとGNDパッドとの間には、コンデンサーCgが接続される。一方、インバーターInの出力ノードとGNDパッドとの間には、直列接続された制限抵抗RdおよびコンデンサーCdが接続される。インバーターInの入力ノードは、XIパッドに電気的に接続され、制限抵抗RdとコンデンサーCdとの間のノードは、XOパッドに電気的に接続される。以上の構成により、当該発振回路10においては、XIパッドとXOパッドとに接続される振動子3を発振させ、発振回路10から発振信号REFCLKを出力することができる。また、例えば、コンデンサーCg,Cdの容量を変化させることで発振信号REFCLKの周波数を変化させることができる。
【0025】
本実施形態においては、通常動作モードにおいて振動子3が接続されるXIパッドに、スキャンテストモード(組合せ論理回路テストモード、リセット動作テストモード)においてクロック信号を入力するためのパッドが割り当てられる。すなわち、XIパッドは、スキャンテストモードにおいて、複数のフリップフロップ回路へのクロック信号CLKを入力するためのパッドとなる。
図2においては、XIパッドを示す符号に対して、クロック信号を入力するためのパッドを示す符号であるCLKが括弧内に併記されている。以後、スキャンテストモードにおける当該パッドをCLKパッドと呼ぶ。
【0026】
CLKパッドには、増幅回路Buが接続される。具体的には、増幅回路Buの入力ノードは、インバーターInの入力ノードに電気的に接続され、増幅回路Buの出力ノードは、制御回路60に入力される。制御回路60は、後述する複数のフリップフロップ回路を備えており、制御回路60に入力された信号は、これらのフリップフロップ回路のクロック信号CLKとなる。
【0027】
増幅回路Buは、CLKパッドから入力されたクロック信号CLKを増幅して制御回路60内のフリップフロップ回路に供給する回路であり、本実施形態においては、当該クロック信号CLKの波形整形用バッファーとして機能する。以上の構成によれば、集積回路装置2の外部から入力されるクロック信号CLKの波形を調整して制御回路60に入力することができる。従って、クロック信号CLKの波形不良による誤動作が発生することを防止することができる。なお、本実施形態において発振回路10から出力させる発振信号REFCLKの出力端子は、クロック信号CLKの出力端子と共通化されている。すなわち、発振信号REFCLKは増幅回路Buの出力信号である。
【0028】
一方、本実施形態においては、通常動作モードにおいて振動子3が接続されるXOパッドに、組合せ論理回路テストモードにおいて設定信号入力用パッドが割り当てられる。設定信号入力用パッドは、複数のフリップフロップ回路の状態を設定する設定信号を入力するためのパッドである。複数のフリップフロップ回路の状態は、後に詳述する。
図2においては、XOパッドを示す符号に対して設定信号を入力するためのパッドを示す符号であるMODEが括弧内に併記されている。以後、組合せ論理回路テストモードにおける当該パッドをMODEパッドと呼ぶ。
【0029】
XOパッドは、リセット動作テストモードにおいて、リセット信号入力用パッドが割り当てられる。リセット信号入力用パッドは、複数のフリップフロップ回路にリセット信号を入力するためのパッドである。
図2においては、XOパッドを示す符号に対してリセット信号を入力するためのパッドを示す符号であるRESETが括弧内に併記されている。以後、リセット動作テストモードにおける当該パッドをRESETパッドと呼ぶ。
【0030】
本実施形態にかかる集積回路装置2は、XIパッドおよびXOパッド以外にも、Vccパッド、GNDパッド、OUTパッド、OEパッドを備えている。VccパッドおよびGNDパッドは、スキャンテストの際にも高電位電源の接続および低電位電源の接続に利用されるパッドに割り当てられる。
【0031】
一方、OEパッドは、複数のフリップフロップ回路によって構成される後述のスキャンチェーンに保持されたデータを出力するためのデータ出力用パッドに割り当てられる。本実施形態においてOEパッドは、組合せ論理回路テストモードおよびリセット動作テストモードの双方において、データ出力用パッドとして利用される。すなわち、組合せ論理回路テストモードにおいては、組合せ論理回路の動作テストの結果を含むデータが、当該データ出力用パッドから出力される。リセット動作テストモードにおいては、リセット動作のテストの結果を含むデータが、当該データ出力用パッドから出力される。以後、組合せ論理回路テストモードおよびリセット動作テストモードにおける当該データ出力用パッドをDATAOUTパッドと呼ぶ。
【0032】
さらに、OUTパッドは、複数のフリップフロップ回路によって構成される後述のスキャンチェーンに対してデータを入力するためのデータ入力用パッドに割り当てられる。本実施形態においてOUTパッドは、組合せ論理回路テストモードおよびリセット動作テストモードの双方において、データ入力用パッドとして利用される。すなわち、組合せ論理回路テストモードにおいては、組合せ論理回路の動作テストに用いられるデータが、当該データ入力用パッドから入力される。リセット動作テストモードにおいては、リセット動作のテストに用いられるデータが、当該データ入力用パッドから入力される。以後、組合せ論理回路テストモードおよびリセット動作テストモードにおける当該データ入力用パッドをDATAINパッドと呼ぶ。
【0033】
以上のように、本実施形態においては、電源に関するパッド(VccパッドおよびGNDパッド)は、スキャンテストモードと通常動作モードとの双方において同一の役割があるが、他の4個のパッド(XIパッド、XOパッド、DATAINパッド、DATAOUTパッド)には異なる役割が割り当てられる。そして、通常動作モードにおいて振動子3が接続されるXIパッドおよびXOパッドは、いずれもDATAOUTパッドに割り当てられない。
【0034】
DATAOUTパッドからは、上述のように、動作テストの結果を含むデータが出力され、集積回路装置2の外部で当該データを解析する必要がある。従って、当該データの信号電圧レベルは、集積回路装置2の外部で扱うことが可能なレベルであることが必要である。このため、当該データは、集積回路装置2の内部で予め増幅された後にDATAOUTパッドから出力される。この増幅を行うための増幅回路は、集積回路装置2のフリップフロップ回路から出力される信号を、集積回路装置2の外部でデータを解析可能なレベルまで増幅するための回路である。
【0035】
一方、DATAOUTパッド以外のパッド、すなわち、CLKパッド、DATAINパッド、MODEパッド、RESETパッドは、集積回路装置2の外部から内部へ信号を入力するためのパッドである。これらのパッドに入力される信号に対しては、例えば、増幅回路Bu等による増幅が行われ得るが、DATAOUTパッドの前段で行われるような外部での解析を可能にするための増幅と比較して、増幅率が小さい。従って、DATAOUTパッドにおける増幅は、他のパッドにおける増幅と比較して回路規模が大きい。このため、DATAOUTパッドにおける増幅によって生じ得る寄生容量は、他のパッドにおける増幅で生じ得る寄生容量より大きい。
【0036】
振動子3が接続されるXIパッドおよびXOパッドに対して、大きい寄生容量の回路が接続された場合、振動子3の発振特性に対する影響が大きいが、寄生容量が小さければ発振特性に対する影響は小さい。このため、本実施形態においては、XIパッドおよびXOパッドのいずれに対しても、信号を外部に出力するためのパッドであるDATAOUTパッドは、割り当てられない。この結果、振動子3の振動特性に対する影響を低減することができる。
【0037】
なお、振動子3の振動特性に対する影響を低減するためには、XIパッドおよびXOパッドの双方ともが、DATAOUTパッドに割り当てられなければよい。従って、XIパッドおよびXOパッドのいずれかがデータ入力用パッドであるDATAINパッドとなる構成であっても良い。
【0038】
以上のように、本実施形態における集積回路装置2においては、通常動作モードにおけるパッドの役割と異なる役割が各パッドに割り当てられる。パッドの割り当ては、予め決まっており、集積回路装置2に対してモード設定を指示すると、各パッドが予め決められたパッドとして機能する。表1は、モード毎のパッドの割り当てを示している。
【表1】
【0039】
表1に示すように、全てのモードにおいて、VccパッドおよびGNDパッドは同一のパッドである。また、組合せ論理回路テストモードおよびリセット動作テストモードにおいて、DATAOUTパッド、DATAINパッド、CLKパッドは同一のパッドである。一方、通常動作モードにおいてXOパッドであるパッドは、組合せ論理回路テストモードにおいて、MODEパッドが割り当てられ、リセット動作テストモードにおいて、RESETパッドが割り当てられる。
【0040】
以上のように、本実施形態において、DATAOUTパッド、DATAINパッド、CLKパッドは、組合せ論理回路テストモードおよびリセット動作テストモードにおいて、役割を切り替える必要がない。通常動作モードにおいてXOパッドであるパッドは、組合せ論理回路テストモードとリセット動作テストモードとで、パッドに対する割り当てを、MODEパッドとRESETパッドとで切り替える必要がある。
【0041】
図2においては、当該パッドの割り当てを変更するための構成を示している。本実施形態において、当該モードの設定は、OEパッドを利用して実施される。従って、OEパッドは、モード設定のためのパッドとしても機能する。本実施形態において、モード設定は、シリアルデータによって実施される。
【0042】
図2においては、制御回路60の内部に設けられた、当該割り当てを変更するための回路を示している。
図2に示されるように、OEパッドに対しては、判定部61が接続される。また、判定部61は、組合せ論理回路テストモードであることを設定するためのフリップフロップ回路FFsと、リセット動作テストモードであることを設定するためのフリップフロップ回路FFrと、に接続されている。
【0043】
判定部61は、OEパッドに対して所定の信号が入力されたか否かを判定するための回路である。本実施形態において、集積回路装置2は、電源投入検出部40によって電源の投入が検知され、電源の投入を示す信号が制御回路60に入力された場合、判定部61による判定が行われる。
【0044】
すなわち、判定部61は、電源投入後の所定の期間内に所定の信号が入力されるか否か判定し、所定の信号が入力された場合に、シリアルデータの入力を受け付ける。この場合、判定部61は、さらに、OEパッドに対して、予め決められたシリアルデータが入力されたか否か判定し、予め決められたシリアルデータが、組合せ論理回路テストモードの設定を示すデータである場合、判定部61は、組合せ論理回路テストモードに設定する。この場合、判定部61は、設定信号FSをハイレベルに変化させる(設定信号FRはローレベル)。この結果、フリップフロップ回路FFsは、クロック信号に応じて当該設定信号FSをラッチし、Q端子の状態をハイレベルに変化させる。本実施形態においては、この状態が組合せ論理回路テストモードである。
【0045】
一方、予め決められたシリアルデータが、リセット動作テストモードの設定を示すデータである場合、判定部61は、リセット動作テストモードに設定する。この場合、判定部61は、設定信号FRをハイレベルに変化させる(設定信号FSはローレベル)。この結果、フリップフロップ回路FFrは、クロック信号に応じて当該設定信号FRをラッチし、Q端子の状態をハイレベルに変化させる。本実施形態においては、この状態がリセット動作テストモードである。
【0046】
図3は、以上の動作をタイミングチャートによって示した図である。
図3においては、時刻T
1においてVccパッドに対する電源投入が検知された後の動作を3種類のモード毎に示している。最上段は、通常動作モードの場合の例である。電源投入検出部40によって電源投入が検知されると、判定部61は、所定の期間において、OEパッドに対して所定の信号が入力されたか否か判定する。最上段に示すEx.Aは、所定の期間である時刻T
1~T
4においてOEパッドに所定の信号が入力されない場合の例である。この場合、判定部61は、設定信号FS,FRを出力しない。所定の期間が経過すると、集積回路装置2は通常動作モードとなる。なお、本実施形態においては、所定の期間にOEパッドに対して入力がなければ通常動作モードとなるが、むろん、通常動作モードであることを指示するための所定の信号が定義され、OEパッドに対して当該所定の信号が入力された場合に通常動作モードとなっても良い。
【0047】
中段に示すEx.Bは、所定の期間中の時刻T2~T3の期間において、OEパッドに対して所定の信号「010110」が入力された場合の例である。この場合、判定部61は、さらに、シリアル通信モードとなり、組合せ論理回路テストモードを示すシリアルデータ、またはリセット動作テストモードを示すシリアルデータが入力されたか否か判定する。Ex.Bは、時刻T5~T6の期間において、OEパッドに対して組合せ論理回路テストモードを示すシリアルデータ「101010」が入力された場合の例である。この場合、判定部61は、設定信号FRを出力しないが、設定信号FSを出力する。この結果、フリップフロップ回路FFsは、設定信号FSをラッチし、クロック信号に同期してQ端子にハイレベルを出力する。以上の動作により、集積回路装置2は組合せ論理回路テストモードとなる。
【0048】
下段に示すEx.Cは、所定の期間中の時刻T2~T3の期間において、OEパッドに対して所定の信号「010110」が入力された場合の例である。この場合、判定部61は、さらに、シリアル通信モードとなり、組合せ論理回路テストモードを示すシリアルデータ、またはリセット動作テストモードを示すシリアルデータが入力されたか否か判定する。Ex.Cは、時刻T5~T6の期間において、OEパッドに対してリセット動作テストモードを示すシリアルデータ「100101」が入力された場合の例である。この場合、判定部61は、設定信号FSを出力しないが、設定信号FRを出力する。この結果、フリップフロップ回路FFrは、設定信号FRをラッチし、クロック信号に同期してQ端子にハイレベルを出力する。以上の動作により、集積回路装置2はリセット動作テストモードとなる。
【0049】
以上のように組合せ論理回路テストモードまたはリセット動作テストモードに設定された場合、通常動作モードにおけるXOパッドの割り当てが変更される。本実施形態においては、モードによってXOパッドへの信号が伝達される回路が切り替わるように構成されている。制御回路60は、AND回路、OR回路、3個のセレクター回路、パワーオンリセット回路を備えている。
図2においては、AND回路、OR回路、セレクター回路の入力に対して1,2の符号を付して区別している。
【0050】
図4は、
図2と同じ図において、組合せ論理回路テストモードでハイレベルとなる信号線を太い実線で示した図である。
図5は、
図2と同じ図において、リセット動作テストモードでハイレベルとなる信号線を太い実線で示した図である。なお、組合せ論理回路テストモードおよびリセット動作テストモードにおいてはXOパッドのレベルが変動し得るが、
図4,
図5においては、当該入力信号と同一の信号になる信号線を太い破線で示している。
【0051】
図2,
図4,
図5に示すように、制御回路60は、AND回路であるゲートXOGを備えており、XOパッド(MODEパッド,RESETパッド)がゲートXOGの入力1に電気的に接続される。ゲートXOGの入力2にはOR回路によって構成されるゲートMGの出力が電気的に接続される。従って、ゲートMGの出力がハイレベルであれば、ゲートXOGの出力信号は、XOパッドへの入力信号と同一になる。
【0052】
ゲートMGの入力1には、フリップフロップ回路FFsのQ端子が電気的に接続され、ゲートMGの入力2には、フリップフロップ回路FFrのQ端子が電気的に接続されている。従って、フリップフロップ回路FFs,FFrの一方のQ端子がハイレベルの場合、すなわち、組合せ論理回路テストモード、リセット動作テストモードのいずれかである場合、
図4,
図5に示すように、ゲートMGの出力はハイレベルになる。このため、組合せ論理回路テストモード、リセット動作テストモードのいずれかである場合、ゲートXOGの出力信号はXOパッドへの入力信号と同一になる。一方、通常動作モードである場合、ゲートMGの出力信号はローレベルであり、ゲートXOGの出力は、XOパッドへの入力信号に依存せずローレベルになる。
【0053】
また、フリップフロップ回路FFsのQ端子は、セレクター回路SL1の入力3に電気的に接続され、フリップフロップ回路FFrのQ端子は、セレクター回路SL2の入力3に電気的に接続されている。セレクター回路SL3は、入力3に入力される信号がハイレベルの場合に入力1への入力信号を出力し、入力3に入力される信号がローレベルの場合に入力2への入力信号を出力する回路である。
【0054】
セレクター回路SL1の入力1およびセレクター回路SL2の入力1には、ゲートXOGの出力が接続されている。セレクター回路SL1の入力2はGNDパッドに電気的に接続され、ローレベルに固定される。セレクター回路SL2の入力2はパワーオンリセット回路に電気的に接続される。なお、パワーオンリセット回路は、集積回路装置2への電源投入直後において不定であるが、その後ローレベルの信号となり、電圧が安定した場合にハイレベルの信号を出力する回路である。
【0055】
セレクター回路SL1の出力は、セレクター回路SL3の入力2に電気的に接続される。また、セレクター回路SL3の入力1は、ハイレベルに固定される。セレクター回路SL3の出力は、後述する複数のフリップフロップ回路FF1~FF6のSE端子に接続される。本実施形態においては、セレクター回路SL3からの出力をSE(スキャンイネーブル)信号と呼ぶ。セレクター回路SL2の出力は、後述する複数のフリップフロップ回路FF1~FF6のR端子に接続される。本実施形態においては、セレクター回路SL2からの出力をSR(スキャンリセット)信号と呼ぶ。
【0056】
組合せ論理回路テストモードにおいては、上述のように、ゲートXOGに入力された信号とゲートXOGの出力とが同一である。そして、組合せ論理回路テストモードにおいては、
図4に示すようにフリップフロップ回路FFsのQ端子がハイレベルになるため、セレクター回路SL1の出力は入力1と同一であり、ゲートXOGの出力と同一である。また、組合せ論理回路テストモードにおいては、
図4に示すようにフリップフロップ回路FFrのQ端子がローレベルになるため、セレクター回路SL3の出力は入力2と同一であり、パワーオンリセット回路の出力と同一である。セレクター回路SL3の出力は、SE信号であるため、組合せ論理回路テストモードにおいて、SE信号はXOパッドに入力された入力信号と同一になる。
【0057】
リセット動作テストモードにおいても、上述のように、ゲートXOGに入力された信号とゲートXOGの出力とが同一である。そして、リセット動作テストモードにおいては、
図5に示すようにフリップフロップ回路FFrのQ端子がハイレベルになるため、セレクター回路SL2の出力は入力1と同一であり、ゲートXOGの出力と同一である。セレクター回路SL2の出力は、SR信号であるため、リセット動作テストモードにおいては、SR信号はXOパッドに入力された入力信号と同一になる。
図2において、SR信号のタイミングチャートも記入されており、リセット動作テストモードにおいて時刻t7以後にSR信号はXOパッドに入力された入力信号と電気的に等価であることが示されている。
【0058】
また、リセット動作テストモードにおいては、
図5に示すようにフリップフロップ回路FFrのQ端子がハイレベルであるため、セレクター回路SL3の出力は入力1と同一であり、ハイレベルである。従って、リセット動作テストモードにおいては、
図5に示すように常にSE信号がハイレベルになる。
【0059】
以上のように、本実施形態においては、組合せ論理回路テストモードにおいてXOパッドに入力される信号がSE信号となり、リセット動作テストモードにおいてXOパッドに入力される信号がSR信号となる。このように、モードによってXOパッドに入力される信号の伝達先が異なるため、本実施形態では信号の伝達先を明示する場合には、モードによってパッドの名称をXOパッドから変更し、組合せ論理回路テストモードにおいてMODEパッドと呼び、リセット動作テストモードにおいてRESETパッドと呼ぶ。
【0060】
なお、リセット動作テストモードであることが確定する前の状態や、通常動作モードおよび組合せ論理回路テストモードである状態においては、フリップフロップ回路FFrのQ端子がローレベルである。この場合、セレクター回路SL2の出力は、入力2に対する入力信号と同一になる。従って、リセット動作テストモードに設定される前、通常動作モード、組合せ論理回路テストモードにおいては、セレクター回路SL2の出力信号が、パワーオンリセット回路の出力信号と同一になる。
【0061】
すなわち、リセット動作テストモードに設定される前、通常動作モード、組合せ論理回路テストモードにおいては、電源の投入後に電圧が安定すると、セレクター回路SL2の出力がローレベルからハイレベルに変化する。セレクター回路SL2の出力であるSR信号は、後述するフリップフロップ回路FF1~FF6のリセット端子(R端子)に対して反転入力される。従って、リセット動作テストモードに設定される前や、通常動作モード、組合せ論理回路テストモードにおいては、電源の投入後にパワーオンリセット回路がローレベルであることによってフリップフロップ回路が一旦リセットされる。そして、電源の投入後に電圧が安定すると、パワーオンリセット回路がハイレベルになり、フリップフロップ回路のリセットが解除される。
【0062】
次に、スキャンチェーンと組合せ論理回路との関係を説明する。
図6は、スキャンチェーンを構成する複数のフリップフロップ回路FF1~FF6と、組合せ論理回路の動作のテスト対象となる組合せ論理回路CL1~CL3とを示している。スキャンテストは、スキャン対象となる組み合わせ回路の入力と出力との少なくとも一方にフリップフロップ回路が配置されることで実施される。すなわち、組合せ論理回路の入力に配置されたフリップフロップ回路からは、所望のデータが組み合わせ回路に入力される。組み合わせ回路の出力に配置されたフリップフロップ回路には、組み合わせ回路による演算結果を示す出力が保持される。
【0063】
そこで、スキャンテストを実施可能にする際には、所望の値を入力してテストを行う対象となる組合せ論理回路の入力側にフリップフロップ回路が配置され、出力結果がテストの対象となる組合せ論理回路の出力側にフリップフロップ回路が配置される。
図6においては、組合せ論理回路CL1~CL3の全てにおいて、所望の値が入力され、その出力結果が検査対象であることが想定されている。むろん、スキャンテストのための構成は、
図6に示す構成に限定されず、検査対象の組合せ論理回路の数や、検査対象となる回路規模、フリップフロップ回路の配置等は、種々の態様であって良い。
【0064】
図6に示す構成において、フリップフロップ回路FF1~FF6は、データ入力端子(D端子)、クロック入力端子、スキャンデータ入力端子(SD端子)、スキャンイネーブル入力端子(SE端子)、リセット端子(R端子)、データ出力端子(Q端子)、反転データ出力端子(QN端子)を備えている。本実施形態において、反転データ出力端子は、スキャンテストに利用されないが、利用される構成が採用されてもよい。
【0065】
本実施形態においては、フリップフロップ回路FF1~FF6は、クロック端子に入力されるクロック信号の立ち上がりエッジで動作する。SE端子は、有効化される入力端子を指定するための端子であり、SE端子に入力される信号がローレベルの場合、フリップフロップ回路FF1~FF6は、D端子に入力される信号を保持してQ端子から出力する。SE端子に入力される信号がハイレベルの場合、フリップフロップ回路FF1~FF6は、SD端子に入力される信号を保持してQ端子から出力する。また、フリップフロップ回路FF1~FF6は、R端子に入力される信号がハイレベルである場合に、非同期リセットがかかり、Q端子から出力される信号がローレベルになる。
【0066】
本実施形態において、フリップフロップ回路FF1~FF3は、組合せ論理回路CL1~CL3に対する入力信号をラッチし、組合せ論理回路CL1~CL3に出力するように構成されている。すなわち、フリップフロップ回路FF1~FF3のD端子は、組合せ論理回路CL1~CL3に対して入力信号を供給する信号線IL1~IL3と電気的に接続され、Q端子の出力が組合せ論理回路CL1~CL3に供給される。
【0067】
本実施形態において、フリップフロップ回路FF4~FF6は、組合せ論理回路CL1~CL3からの出力信号をラッチし、出力するように構成されている。すなわち、フリップフロップ回路FF4~FF6のD端子は、組合せ論理回路CL1~CL3の出力信号を出力する信号線OL1~OL3と電気的に接続され、Q端子の出力が後段の回路に伝達される。
【0068】
以上のように、フリップフロップ回路FF1~FF3は、D端子により、組合せ論理回路CL1~CL3への入力信号を保持可能に構成されている。また、フリップフロップ回路FF4~FF6は、組合せ論理回路CL1~CL3からの出力信号を保持可能に構成されている。
【0069】
本実施形態にかかるフリップフロップ回路FF1~FF6は、さらに、これらの複数のフリップフロップ回路を直列接続したスキャンチェーンを形成可能に構成されている。具体的には、フリップフロップ回路FF1のQ端子は、フリップフロップ回路FF2のSD端子に電気的に接続されている。当該接続によれば、フリップフロップ回路FF1のQ端子の出力が、フリップフロップ回路FF2のSD端子に入力される。ここでは、このような接続を、フリップフロップ回路FF1からフリップフロップ回路FF2に信号が伝達される直列接続であると呼ぶ。そして、本実施形態にかかるフリップフロップ回路FF1~FF6は、
図6に示すように、フリップフロップ回路FF1、FF2,FF3,FF4,FF5,FF6の順に信号が伝達される直列接続である。このような接続関係がスキャンチェーンである。
【0070】
以上の構成において、フリップフロップ回路FF1~FF6のクロック端子には、CLKパッドが電気的に接続される。従って、
図2に示すXIパッドにクロック信号CLKが入力されると、フリップフロップ回路FF1~FF6は、当該クロック信号CLKに同期してラッチを行う。スキャンテストモードにおいては、このように、XIパッドに対してクロック信号CLKが供給され、増幅回路Buを経て各フリップフロップ回路に供給される。この意味で、スキャンテストモードにおいてXIパッドは、CLKパッドとなる。
【0071】
また、直列接続されたフリップフロップ回路FF1~FF6がフリップフロップ回路FF1~FF6の順に並んでいるとみなした場合に、先頭に位置するフリップフロップ回路FF1のSD端子にはOUTパッドが電気的に接続される。スキャンモードにおいて、OUTパッドには、スキャンチェーンに保持されるデータが供給される。この意味で、スキャンテストモードにおいてOUTパッドは、DATAINパッドとなる。
【0072】
さらに、直列接続されたフリップフロップ回路FF1~FF6がフリップフロップ回路FF1~FF6の順に並んでいるとみなした場合に、末尾に位置するフリップフロップ回路FF6のQ端子にはOEパッドが電気的に接続される。スキャンモードにおいて、OEパッドには、スキャンチェーンに保持されたデータが出力される。この意味で、スキャンテストモードにおいてOEパッドは、DATAOUTパッドとなる。
【0073】
さらに、フリップフロップ回路FF1~FF6のSE端子には、
図2に示すセレクター回路SL3の出力端子が電気的に接続される。SE端子は、フリップフロップ回路FF1~FF6において有効化される入力端子をD端子、SD端子のいずれかに設定するための端子である。従って、
図4に示すように、組合せ論理回路テストモードにおいてXOパッドへの入力信号がセレクター回路SL3の出力信号となる場合、XOパッドへの入力信号によってフリップフロップ回路FF1~FF6において有効化される入力端子を設定可能である。このため、組合せ論理回路テストモードにおいてXOパッドは、MODEパッドとなる。
【0074】
さらに、フリップフロップ回路FF1~FF6のR端子には、
図2に示すセレクター回路SL2の出力端子が電気的に接続される。R端子は、フリップフロップ回路FF1~FF6をリセットするための端子である。従って、
図5に示すように、リセット動作テストモードにおいてXOパッドへの入力信号がセレクター回路SL2の出力信号となる場合、XOパッドへの入力信号によってフリップフロップ回路FF1~FF6をリセットすることが可能である。このため、リセット動作テストモードにおいてXOパッドは、RESETパッドとなる。
【0075】
(1-2)組合せ論理回路テストモードにおける動作:
次に、組合せ論理回路テストモードにおける動作を詳細に説明する。組合せ論理回路テストモードは、組合せ論理回路の動作をテストするモードであり、スキャンチェーンへのデータ入力と、組合せ論理回路への信号入力および組合せ論理回路からの信号出力と、スキャンチェーンからのデータ出力とが実行される。
【0076】
図7は、組合せ論理回路テストモードにおけるCLKパッド、MODEパッド、DATAINパッド、DATAOUTパッドの信号例と、当該信号によってフリップフロップ回路FF1~FF6にラッチされ、Q端子から出力される信号を示す図である。この例においては、まず、電源投入後、パワーオンリセット回路がローレベルになり、セレクター回路SL2からの出力がローレベルとなる。この結果、SR信号がローレベルになるが、フリップフロップ回路FF1~FF6のR端子に対してはSR信号が反転した信号が入力されるため、R端子にハイレベルが入力される。この結果、フリップフロップ回路FF1~FF6がリセットされる。また、フリップフロップ回路FF6のQ端子はローレベルとなり、DATAOUTパッドの出力信号はローレベルとなる。電源が安定すると、パワーオンリセット回路がハイレベルになり、セレクター回路SL2からの出力がハイレベルとなる。この結果、SR信号がハイレベルになるが、フリップフロップ回路FF1~FF6のR端子に対してはSR信号が反転した信号が入力されるため、R端子にローレベルが入力される。この結果、フリップフロップ回路FF1~FF6のリセットは解除される。
【0077】
組合せ論理回路テストモードとする場合、上述の
図3に示す所定の期間において、OEパッドに所定の信号が入力され、組合せ論理回路テストモードに設定される。
図7においては、組合せ論理回路テストモードに設定されたタイミングがタイミングt0である。タイミングt0におけるフリップフロップ回路FF1~FF6のQ端子の出力およびDATAOUTパッドの出力は、上述のリセットによってローレベルLとなる。
【0078】
組合せ論理回路テストモードにおいて、CLKパッドに入力するクロック信号およびMODEパッドに入力する設定信号は、初期において、ともにローレベルに設定される。この状態は、フリップフロップ回路FF1~FF3が、組合せ論理回路CL1~CL3への入力信号であるD端子への信号を保持(ラッチ)し、フリップフロップ回路FF4~FF6が、組合せ論理回路CL1~CL3からの出力信号であるD端子への信号を保持(ラッチ)する第1の状態である。
【0079】
次に、MODEパッドに入力する設定信号がハイレベルに設定され、フリップフロップ回路FF1~FF6の数に相当する6クロック分のクロック信号CLKを入力する。MODEパッドがハイレベルの状態は、フリップフロップ回路FF1~FF6のSE端子に入力される信号がハイレベルの状態であるため、フリップフロップ回路FF1~FF6を直列接続したスキャンチェーンが構成されている第2の状態である。
【0080】
組合せ論理回路テストモードにおいては、初期の段階でフリップフロップ回路FF1~FF6がリセットされているため、当該6クロック分のクロック信号CLKに同期して、フリップフロップ回路FF1~FF6へとQ端子の出力であるローレベルLが順次伝達されていく。この結果、タイミングt0~タイミングt6までの期間において、フリップフロップ回路FF6,FF5,FF4,FF3,FF2,FF1のデータであるローレベルの信号がDATAOUTパッドから順次出力される。
図7においては、ローレベルLがフリップフロップ回路FF1~FF6へと順次伝達される様子と、タイミングt0~t6までのDATAOUTパッドの信号がローレベルLであることが示されている。
【0081】
さらに、この6クロック分のクロック信号CLKに同期させて、DATAINパッドには、スキャンテストのためのデータとしてハイレベル又はローレベルの信号a1~a6がこの順に入力される。
図7においては、タイミングt1~t6までのそれぞれのタイミングでDATAINパッドに入力されている信号を信号a1~a6として示している。例えば、信号a1は、最初のタイミングt1でフリップフロップ回路FF1にラッチされるため、タイミングt1以後、スキャンチェーンによって順次伝達された結果、タイミングt6においてはフリップフロップ回路FF6にラッチされた状態になる。
【0082】
当該フリップフロップ回路FF6にラッチされた信号a1はQ端子から出力されるため、DATAOUTパッドの出力が信号a1となる。このような信号の伝達が行われた結果、信号a1~a6は、フリップフロップ回路FF1~FF6を順次伝達し、6クロック分のクロック信号CLKの入力が終わったタイミングt6の後に、フリップフロップ回路FF6,FF5,FF4,FF3,FF2,FF1には、それぞれ、信号a1~a6が保持されている。
【0083】
次に、MODEパッドがローレベルに設定されると、第1の状態となり、スキャンチェーンが解除される。この状態において、フリップフロップ回路FF1,FF2,FF3にラッチされ、Q端子から出力されている信号a6,a5,a4のそれぞれは、組合せ論理回路CL1,Cl2,CL3のそれぞれに入力される。さらに、この状態において、クロック信号CLKが入力される(
図7に示すタイミングt7)。この結果、フリップフロップ回路FF1~FF6は、クロック信号CLKに応じてラッチ動作を行う。このため、入力信号a6,a5,a4に応じて組合せ論理回路CL1,Cl2,CL3から出力された出力信号は、フリップフロップ回路FF6,FF5,FF4でラッチされ、Q端子から出力される。ここでは、フリップフロップ回路FF6,FF5,FF4のQ端子から出力される信号を信号b1,b2,b3と呼ぶ。
【0084】
なお、当該クロック信号CLKにより、フリップフロップ回路FF3,FF2,FF1でもラッチ動作が行われるため、D端子の信号がラッチされ、フリップフロップ回路FF3,FF2,FF1のQ端子から出力される。ここでは、フリップフロップ回路FF3,FF2,FF1のQ端子から出力される信号を信号b4,b5,b6と呼ぶ。この状態においては、DATAOUTパッドからは、フリップフロップ回路FF6にラッチされた信号b1が出力される。
【0085】
次に、再び、MODEパッドがハイレベルに設定され、スキャンチェーンが形成される第2の状態になる。そして、タイミングt8以降の5クロック分のクロック信号CLKに同期して、フリップフロップ回路にラッチされていた信号b2,b3,b4,b5,b6が順次DATAOUTパッドから出力される。DATAOUTパッドからの出力信号b1~b6の少なくとも一部は、DATAINパッドへの入力信号a1~a6に応じた値となる。従って、入力信号a1~a6と出力信号b1~b6とを比較することにより、組合せ論理回路CL1~CL3が期待される動作をしているか否かテストすることができる。
【0086】
なお、出力信号b1~b6の出力後に、さらにスキャンテストを継続しても良い。
図7においては、第2の状態であるタイミングt8~t9においてDATAINパッドに信号a8~a13を入力し、タイミングt9でフリップフロップ回路FF6~FF1に信号a8~a13をラッチした後に、第1の状態に切り替えてテストを行うタイミングチャートとなっている。むろん、この後にスキャンテストが継続して行われてもよい。
【0087】
以上の構成においては、組合せ論理回路テストモードにおいて、フリップフロップ回路FF1~FF6のリセット動作をテストしない構成となっている。このため、リセット動作に利用され、組合せ論理回路テストモードにおいて利用されないパッドを集積回路装置2に設ける必要がない。従って、集積回路装置2を小型化することが可能である。
【0088】
(1-3)リセット動作テストモードにおける動作:
次に、リセット動作テストモードにおける動作を詳細に説明する。リセット動作テストモードは、フリップフロップ回路FF1~FF6のリセット動作をテストするモードであり、スキャンチェーンへのデータ入力と、リセット動作と、スキャンチェーンからのデータ出力とが実行される。
【0089】
図8は、リセット動作テストモードにおけるCLKパッド、SE端子、RESETパッド、DATAINパッド、DATAOUTパッドの信号例と、当該信号によってフリップフロップ回路FF1~FF6にラッチされ、Q端子から出力される信号を示す図である。この例においては、まず、電源投入後、パワーオンリセット回路がローレベルになり、セレクター回路SL2からの出力がローレベルとなる。この結果、SR信号がローレベルになるが、フリップフロップ回路FF1~FF6のR端子に対してはSR信号が反転した信号が入力されるため、R端子にハイレベルが入力される。この結果、フリップフロップ回路FF1~FF6がリセットされ、フリップフロップ回路FF6のQ端子はローレベルとなり、DATAOUTパッドの出力信号はローレベルとなる。電源が安定すると、パワーオンリセット回路がハイレベルになり、セレクター回路SL2からの出力がハイレベルとなる。この結果、SR信号がハイレベルになるが、フリップフロップ回路FF1~FF6のR端子に対してはSR信号が反転した信号が入力されるため、R端子にローレベルが入力される。この結果、フリップフロップ回路FF1~FF6のリセットは解除される。
【0090】
リセット動作テストモードとする場合、上述の
図3に示す所定の期間において、OEパッドに所定の信号が入力され、リセット動作テストモードに設定される。
図8においては、リセット動作テストモードに設定されたタイミングがタイミングt0である。なお、タイミングt0におけるフリップフロップ回路FF1~FF6のQ端子の出力およびDATAOUTパッドの出力は、上述のリセットによってローレベルLとなる。
【0091】
リセット動作テストモードにおいて、CLKパッドに入力するクロック信号は初期においてローレベルに設定される。パワーオンリセット回路がハイレベルを出力することによって、上述のリセットとリセット解除が行われた後、リセット動作テストモードに設定されると、
図5に示すようにフリップフロップ回路FFrのQ端子がハイレベルになるので、リセット信号SRは、RESETパッドに入力される信号と同一になる。リセット動作テストモードにおいては、初期においてRESETパッドがハイレベルに設定される。
【0092】
さらに、リセット動作テストモードに設定されると、
図5に示すようにフリップフロップ回路FFrのQ端子がハイレベルになるため、セレクター回路SL3の出力はハイレベルに固定される。従って、フリップフロップ回路FF1~FF6のSE端子に入力される信号はハイレベルになる。
図8に示すタイミングt0はこの状態を示している。
【0093】
タイミングt0においてはSE端子に入力される信号がハイレベルであるため、フリップフロップ回路FF1~FF6は、直列接続したスキャンチェーンが構成されている第2の状態である。リセット動作テストモードにおいて、SE端子に入力される信号はハイレベルの状態に固定されるため、リセット動作テストモードにおいては、第2の状態が維持される。
【0094】
この後、フリップフロップ回路FF1~FF6の数に相当する6クロック分のクロック信号CLKが入力される。リセット動作テストモードにおいては、初期の段階でフリップフロップ回路FF1~FF6がリセットされているため、当該6クロック分のクロック信号CLKに同期して、フリップフロップ回路FF1~FF6へとQ端子の出力が順次伝達されていく。この結果、タイミングt0~タイミングt6までの期間において、フリップフロップ回路FF6,FF5,FF4,FF3,FF2,FF1のデータであるローレベルの信号がDATAOUTパッドから順次出力される。
図8においては、ローレベルLがフリップフロップ回路FF1~FF6へと順次伝達される様子と、タイミングt0~t6までのDATAOUTパッドの信号がローレベルLであることが示されている。
【0095】
さらに、この6クロック分のクロック信号CLKに同期させて、DATAINパッドには、スキャンテストのためのデータとしてハイレベル又はローレベルの信号a1~a6がこの順に入力される。この結果、信号a1~a6は、フリップフロップ回路FF1~FF6を順次伝達し、6クロック分のクロック信号CLKの入力が終わったタイミングt6の後に、フリップフロップ回路FF6,FF5,FF4,FF3,FF2,FF1には、それぞれ、信号a1~a6が保持されている。
【0096】
図8においては、タイミングt1~t6までのそれぞれのタイミングでDATAINパッドに入力されている信号a1~a6として示している。例えば、信号a1は、最初のタイミングt1でフリップフロップ回路FF1にラッチされるため、スキャンチェーンによって順次伝達された結果、タイミングt6においてはフリップフロップ回路FF6にラッチされた状態になる。当該フリップフロップ回路FF6にラッチされた信号a1はQ端子から出力されるため、DATAOUTパッドの出力が信号a1となる。
【0097】
次に、タイミングt7においてRESETパッドにハイレベルからローレベルに変化し、さらにローレベルからハイレベルに変化するパルス信号が入力されると、フリップフロップ回路FF1~FF6がリセットされ、フリップフロップ回路FF1~FF6のQ端子がローレベルLとなる。この状態で、タイミングt8以降にクロック信号CLKが入力されると、クロック信号CLKに同期して、フリップフロップ回路にラッチされていたローレベルLが順次DATAOUTパッドから出力される。従って、当該出力が全てローレベルLになっているか否か判定することにより、フリップフロップ回路FF1~FF6が正常にリセットされているか否かや、スキャンチェーンおよび各フリップフロップ回路FF1~FF6への信号線の経路が適正であるか否かなどをテストすることができる。
【0098】
なお、一連のローレベルLの信号の出力後に、さらにスキャンテストを継続しても良い。
図8においては、タイミングt8~t9においてDATAINパッドに信号a8~a13を入力し、タイミングt9でフリップフロップ回路FF6~FF1に信号a8~a13をラッチした後に、リセットを行ってテストを行うタイミングチャートとなっている。むろん、この後にスキャンテストが継続して行われてもよい。
【0099】
以上の構成においては、リセット動作テストモードにおいて、組合せ論理回路CL1~CL3の動作をテストしない構成となっている。このため、スキャンチェーンの解除に利用され、リセット動作テストモードにおいて利用されないパッドを集積回路装置2に設ける必要がない。従って、集積回路装置2を小型化することが可能である。
【0100】
なお、本実施形態においては、以上のように、組合せ論理回路テストモードにおいてリセット動作のテストを行わず、リセット動作テストモードにおいて組合せ論理回路の動作のテストを行わないため、パッド数を少なくすることができる。このため、組合せ論理回路テストモードの後にリセット動作をテストしたり、リセット動作テストモードの後に組合せ論理回路の動作をテストしたりするためには、集積回路装置2への通電を一旦停止する。すなわち、通電を停止し、再度電源を投入してモードを設定すれば、任意のテストモードとすることができる。
【0101】
(2)他の実施形態:
上述の実施形態は本発明を実施するための例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。また、本発明の一実施形態にかかる集積回路装置の適用対象は限定されず、種々の装置、例えば、各種の電子機器、車両の電装品等に使用可能である。さらに、集積回路が備える組合せ論理回路による演算は、PLL回路に用いられる演算に限定されず、他にも種々の演算に利用されて良い。さらに、テストを実行するシーケンスは、
図7,
図8に限定されず、例えば、
図7のタイミングt7においてクロック信号CLKが複数回入力されても良い。また、モードを移行するシーケンスも、
図3に限定されない。
【0102】
さらに、上述の実施形態を構成する素子や回路に各種の変更が加えられてもよい。例えば、同一のパッドを異なる回路に対して電気的に接続するための構成は、
図2示す構成に限定されず、種々の構成で実現可能である。具体的には、パワーオンリセット回路の出力をセレクター回路SL3の入力1に電気的に接続する構成や、セレクター回路の代わりにAND回路等を使って同等の機能が実現される構成等であっても良い。さらに、上述の実施形態は、SPXO(Simple Packaged Crystal Oscillator)であるが、他の方式の発振器、例えば、TCXO(Temperature Compensated Crystal Oscillator)やVCXO(Voltage Controlled Crystal Oscillator)等であってもよい。
【符号の説明】
【0103】
1…発振器、2…発振回路、3…振動子、10…発振用回路、20…フラクショナルN-PLL回路、30…分周回路、40…出力回路、50…レギュレーター、60…レギュレーター、70…制御回路、80…シリアルインターフェース回路、90…不揮発メモリー、D…入力信号ノード、G1…第1のゲート回路、G2…第2のゲート回路、G3…第3のゲート回路、Inv…CMOSインバーター回路