(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】検査システム及び検査方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20250121BHJP
【FI】
G06Q50/26
(21)【出願番号】P 2021045903
(22)【出願日】2021-03-19
【審査請求日】2024-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】中山 直也
(72)【発明者】
【氏名】関戸 正規
(72)【発明者】
【氏名】森本 伸一
(72)【発明者】
【氏名】有吉 正行
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-118258(JP,A)
【文献】特開2019-007771(JP,A)
【文献】特開2019-174421(JP,A)
【文献】特開2018-005491(JP,A)
【文献】特開2020-204513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波を照射し、反射波を受信する電磁波送受信手段と、
前記反射波の信号に基づ
き検査対象者の所持物の中から予め登録された検出対象物を検出する検出処理を行う検出手段と、
前記検出処理の結果に基づき、前記検査対象者を、前記検出対象物が検出されなかった第1の検査対象者、前記検出対象物の中の第1の検出対象物が検出された第2の検査対象者、及び前記検出対象物が検出されたが前記第1の検出対象物が検出されなかった第3の検査対象者に分類し、各検査対象者が進む経路を決定する決定手段と、
前記第1の検査対象者に対して1次検査場を通過させる経路を案内し、前記第2の検査対象者に対して2次検査場に案内する経路を案内し、前記第3の検査対象者に対して前記1次検査場を通過させる経路を案内するとともに、後で2次検査を行うリストに前記第3の検査対象者を登録する処理を行う案内手段と、
を有する検査システム。
【請求項2】
前記検出手段は、前記反射波の信号に基づき、検出対象物を検出し、
前記決定手段は、前記検出対象物を検出する処理の結果に基づき、前記検査対象者が進む経路を決定する請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記決定手段は、
予め定められた第1の検出対象物が検出された前記検査対象者に対し、第1の経路を決定し、
前記第1の検出対象物が検出されてない前記検査対象者に対し、その他の経路を決定する請求項2に記載の検査システム。
【請求項4】
前記決定手段は、
前記第1の経路の先の検査場の状況に応じて、前記第1の検出対象物に含まれる前記検出対象物を変化させる請求項3に記載の検査システム。
【請求項5】
前記決定手段は、
前記検査場の混雑状況、前記検査場にいる担当者の数、前記検査場にいる担当者のスキルの少なくとも1つに応じて、前記第1の検出対象物に含まれる前記検出対象物を変化させる請求項4に記載の検査システム。
【請求項6】
前記決定手段は、
日時、曜日、天気、気温、施設の混雑状況、及び施設で行われるイベントの内容の少なくとも1つに応じて、前記第1の検出対象物に含まれる前記検出対象物を変化させる請求項
3から5のいずれか1項に記載の検査システム。
【請求項7】
前記決定手段は、
前記検査対象者の属性情報を取得し、前記属性情報に基づき、前記第1の検出対象物に含まれる前記検出対象物を変化させる請求項
3から6のいずれか1項に記載の検査システム。
【請求項8】
前記案内手段は、前記検査対象者が進む経路を所定の相手に通知する処理を実行する請求項1から7のいずれか1項に記載の検査システム。
【請求項9】
前記案内手段は、前記検査対象者が進む経路のゲートを開く処理を実行する請求項1から8のいずれか1項に記載の検査システム。
【請求項10】
コンピュータが、
波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波を照射し、反射波を受信し、
前記反射波の信号に基づ
き検査対象者の所持物の中から予め登録された検出対象物を検出する検出処理を行い、
前記検出処理の結果に基づき、前記検査対象者を、前記検出対象物が検出されなかった第1の検査対象者、前記検出対象物の中の第1の検出対象物が検出された第2の検査対象者、及び前記検出対象物が検出されたが前記第1の検出対象物が検出されなかった第3の検査対象者に分類し、各検査対象者が進む経路を決定し、
前記第1の検査対象者に対して1次検査場を通過させる経路を案内し、前記第2の検査対象者に対して2次検査場に案内する経路を案内し、前記第3の検査対象者に対して前記1次検査場を通過させる経路を案内するとともに、後で2次検査を行うリストに前記第3の検査対象者を登録する処理を行う検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出システム、検査システム及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連する技術が、特許文献1及び2に開示されている。
【0003】
特許文献1には、1ミリメートルから30ミリメートルの間の波長の波を少なくとも有する電波で所持物を検査する技術であって、多数の人物をまとめてラフに検査する1次スクリーニングで危険物を持っている疑わしい人を検出し、検出した疑わしい人に対して2次スクリーニングで詳細な検査を行う技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、チケット発券時に購入者の顔画像を撮影し、当該顔画像に基づく認証情報と購入された座席を示す情報とを紐付けて登録しておき、会場で各座席に座っている人を撮影した画像と上記事前に登録された認証情報とを用いて各座席に座っている人を認証する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-204513号公報
【文献】特開2019-144933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
安全確保等のため、様々な場所で所持物検査が行われている。所持物検査においては、待ち時間の短縮が期待されている。本発明は、従来にない手法で、所持物検査の待ち時間を短縮することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波を照射し、反射波を受信する電磁波送受信手段と、
前記反射波の信号に基づき、検出処理を行う検出手段と、
前記検出処理の結果に基づき、検査対象者が進む経路を決定する決定手段と、
決定された経路に前記検査対象者を案内する処理を実行する案内手段と、
を有する検査システムが提供される。
【0008】
また、本発明によれば、
コンピュータが、
波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波を照射し、反射波を受信し、
前記反射波の信号に基づき、検出処理を行い、
前記検出処理の結果に基づき、検査対象者が進む経路を決定し、
決定された経路に前記検査対象者を案内する処理を実行する検査方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、所持物検査の待ち時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態の検査システムの利用場面の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態の検査システムのハードウエア構成の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態の検査システムの機能ブロック図の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態の電磁波送受信部の一例を模式的に示す図である。
【
図5】本実施形態の検査システムが処理する情報の一例を模式的に示す図である。
【
図6】本実施形態の検査システムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】本実施形態の検査システムの機能ブロック図の一例を示す図である。
【
図8】本実施形態の検査システムが処理する情報の一例を模式的に示す図である。
【
図9】本実施形態の検査システムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】本実施形態の検査システムが処理する情報の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
<第1の実施形態>
「概要」
図1を用いて、本実施形態の検査システムの概要を説明する。検査システムは、所持物検査が必要な任意の施設で使用される。施設は、ビル、会社、アミューズメント施設、空港、駅等が例示されるが、これらに限定されない。
【0013】
検査システムは、まず、第1の検査場で所持物検査を行う。そして、検査システムは、その所持物検査の結果に基づき、検査対象者が第1の検査場の後に進む経路を決定し、決定した経路に検査対象者を案内する。
【0014】
検査システムは、検出対象物が検出されなかった検査対象者に対し、2次検査に進む経路と異なる経路、例えば施設内に進む経路を決定する。
【0015】
一方、検査システムは、検出対象物が検出された検査対象者に対しては、検出された対象物の種類に応じて、その場所(第1の検査場に近接する第2の検査場)で2次検査を行うか、後で2次検査を行うか決定し、決定内容に応じた経路を決定する。例えば、検査システムは、緊急度が高い検出対象物(例:銃、ナイフ等)が検出された検査対象者に対しては、その場所で2次検査を行うと決定し、第2の検査場に進む経路を決定する。一方、検査システムは、緊急度が低い検出対象物(例:ペットボトル等)が検出された検査対象者に対しては、後で2次検査を行うと決定し、2次検査に進む経路と異なる経路、例えば施設内に進む経路を決定する。
【0016】
このように、第1の検査場における所持物検査の結果に基づき、検査対象者が第1の検査場の後に進む経路を決定し、検査対象者を決定された経路に案内する検査システムによれば、検査対象者を適切かつ効率的に、第1の検査場の後の経路に導くことができる。結果、第1の検査場での作業が効率化され、第1の検査場での検査の待ち時間が短縮できる。
【0017】
また、検出対象物が検出された検査対象者のすべてに対してその場所で2次検査を行うのでなく、検出された検出対象物の種類に応じてその場所での2次検査と後での2次検査とに振り分けることができる検査システムによれば、その場所(第2の検査場)での2次検査の渋滞を軽減することができる。結果、第2の検査場での検査の待ち時間が短縮できる。
【0018】
「ハードウエア構成」
次に、検査システムのハードウエア構成の一例を説明する。
図2は、検査システムのハードウエア構成例を示す図である。検査システムが備える各機能部は、任意のコンピュータのCPU(Central Processing Unit)、メモリ、メモリにロードされるプログラム、そのプログラムを格納するハードディスク等の記憶ユニット(あらかじめ装置を出荷する段階から格納されているプログラムのほか、CD(Compact Disc)等の記憶媒体やインターネット上のサーバ等からダウンロードされたプログラムをも格納できる)、ネットワーク接続用インターフェイスを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
【0019】
図2に示すように、検査システムは、プロセッサ1A、メモリ2A、入出力インターフェイス3A、周辺回路4A、バス5Aを有する。周辺回路4Aには、様々なモジュールが含まれる。検査システムは、周辺回路4Aを有さなくてもよい。なお、検査システムは物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成されてもよいし、物理的及び論理的に一体となった1つの装置で構成されてもよい。物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成される場合、複数の装置各々が上記ハードウエア構成を備えることができる。
【0020】
バス5Aは、プロセッサ1A、メモリ2A、周辺回路4A及び入出力インターフェイス3Aが相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。プロセッサ1Aは、例えばCPU、GPU(Graphics Processing Unit)などの演算処理装置である。メモリ2Aは、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリである。入出力インターフェイス3Aは、入力装置、外部装置、外部サーバ、外部センサ、電磁波送受信装置等から情報を取得するためのインターフェイスや、出力装置、外部装置、外部サーバ、電磁波送受信装置等に情報を出力するためのインターフェイスなどを含む。入力装置は、例えばキーボード、マウス、マイク等である。出力装置は、例えばディスプレイ、スピーカ、プリンター、メーラ等である。プロセッサ1Aは、各モジュールに指令を出し、それらの演算結果をもとに演算を行うことができる。
【0021】
「機能構成」
次に、検査システムの機能構成を説明する。
図3に、検査システム10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、検査システム10は、電磁波送受信部11と、検出部12と、決定部13と、案内部14と、記憶部15とを有する。
【0022】
電磁波送受信部11は、所定の領域に存在する人物に向けて波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波(例:マイクロ波、ミリ波、テラヘルツ波等)を照射し、反射波を受信する。電磁波送受信部11は、例えばレーダである。電磁波送受信部11はあらゆる技術を採用して構成できる。例えば、電磁波送受信部11は、
図4の例のように、複数のアンテナ素子を並べたレーダで構成されるセンサパネルであってもよい。なお、パネルは一例であり、人物が通過するゲートや、人物が入るブース等、その他の手法で電磁波送受信部11を構成してもよい。
【0023】
検出部12は、電磁波送受信部11により受信された反射波の信号に基づき、異常状態を検出する検出処理を行う。本実施形態の異常状態は、所定の領域に存在する人物が予め設定された検出対象物を所持している状態である。検出対象物は、例えば持ち込みが禁止される物体であり、銃、ナイフ、カメラ、ペットボトル等が例示されるが、これらに限定されない。以下、検出部12による判断処理の一例を説明する。
【0024】
-第1の処理例-
当該例では、検出部12は、電磁波送受信部11により受信された反射波の信号に基づき透過画像を作成する。そして、検出部12は、透過画像に現れた物体の形状に基づき、透過画像の中から検出対象物を検出する。透過画像の中から検出対象物が検出された場合、所定の領域に存在する人物がその検出された検出対象物を所持していると判断する。
【0025】
事前の準備により、複数の検出対象物各々の形状の特徴量が生成され、記憶部15に記憶されている。検出部12は、記憶部15に記憶されている検出対象物の形状の特徴量と、透過画像に現れた形状の特徴量との照合結果に基づき、透過画像の中から検出対象物を検出する。検出部12によるこれらの処理は、複数の物体の透過画像とラベルとで構成される教師データに基づく機械学習で生成された推定モデルを利用して実現されてもよいし、テンプレートマッチングで実現されてもよい。
【0026】
-第2の処理例-
当該例では、検出部12は、電磁波送受信部11により受信された反射波の信号に現れた特徴量(反射波特徴量)に基づき、所定の領域に存在する人物が予め設定された検出対象物を所持しているか判断する。反射波の信号の中から検出対象物に特有の反射波特徴量が検出された場合、所定の領域に存在する人物がその検出された検出対象物を所持していると判断する。
【0027】
事前の準備により、複数の物体各々の反射波特徴量が生成され、記憶部15に記憶されている。検出部12は、記憶部15に記憶されている検出対象物の反射波特徴量と、反射波の信号に現れた特徴量との照合結果に基づき、反射波の信号の中から検出対象物に特有の反射波特徴量を検出する。検出部12によるこれらの処理は、複数の物体の反射波の信号とラベルとで構成される教師データに基づく機械学習で生成された推定モデルを利用して実現されてもよいし、テンプレートマッチングで実現されてもよい。
【0028】
決定部13は、検出部12による検出結果に基づき、検査対象者が進む経路を決定する。
【0029】
決定部13は、異常状態が検出されなかった検査対象者、すなわち、検出対象物が検出されなかった検査対象者に対し、2次検査に進む経路と異なる経路(その他の経路)、例えば施設内に進む経路を決定する。
【0030】
一方、異常状態が検出された検査対象者、すなわち、検出対象物が検出された検査対象者に対しては、決定部13は、検出された対象物の種類に応じて、その場所で2次検査を行うか、後で2次検査を行うか決定し、決定内容に応じた経路を決定する。例えば、決定部13は、緊急度が高い検出対象物(例:銃、ナイフ等)が検出された検査対象者に対しては、その場所で2次検査を行うと決定し、第2の検査場に進む経路(第1の経路)を決定する。一方、緊急度が低い検出対象物(例:ペットボトル等)が検出された検査対象者に対しては、後で2次検査を行うと決定し、2次検査に進む経路と異なる経路(その他の経路)、例えば施設内に進む経路を決定する。
【0031】
本実施形態では、
図5に示すように、検出可能な検出対象物の中の少なくとも一部が第1の検出対象物として登録されている。例えば、緊急度が高い検出対象物が第1の検出対象物として登録されている。そして、決定部13は、第1の検出対象物が検出された検査対象者に対して、その場所で2次検査を行うと決定し、第1の検出対象物に該当しない検出対象物が検出された検査対象者に対して、後で2次検査を行うと決定する。
図5に示す情報は、予め記憶部15に記憶されている。
【0032】
2次検査は、第1の検査場で行われる1次検査と異なる検査である。1次検査で検出物を所持していると判断された検査対象者に対し、より詳細な検査が行われる。2次検査は、例えば、担当者による目視やボディタッチ等での所持物検査であってもよいし、その他であってもよい。
【0033】
案内部14は、決定された経路に検査対象者を案内する処理を実行する。例えば、
図4に示すように、複数の経路各々にゲートGが設置されていてもよい。そして、案内部14は、検査対象者が進む経路のゲートGを開き、他の経路のゲートGを閉じる処理を実行してもよい。
【0034】
また、案内部14は、上記ゲートGの制御に加えて又は代えて、検査対象者が進む経路を所定の相手に通知する処理を実行してもよい。通知は、検査場に設置されたディスプレイ、スピーカ、ランプ、投影装置等のあらゆる出力装置を介して実現される。通知相手は、検査対象者であってもよいし、検査場にいる検査を管理する担当者であってもよいし、その両方であってもよい。
【0035】
次に、
図6のフローチャートを用いて、検査システム10の処理の流れの一例を説明する。
【0036】
まず、検査システム10は、検査対象者から検出対象物を検出する処理を実行する(S10)。
【0037】
具体的には、検査システム10は、波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波を検査対象者に照射し、反射波を受信する。そして、検査システム10は、反射波の信号に基づき、検出対象物を検出する処理を行う。
【0038】
次に、検査システム10は、S10での検出結果に基づき、検査対象者が進む経路を決定する(S11)。
【0039】
具体的には、検査システム10は、検出対象物が検出されなかった検査対象者に対し、2次検査に進む経路と異なる経路、例えば施設内に進む経路を決定する。
【0040】
また、予め定義された第1の検出対象物(
図5参照)が検出された検査対象者に対しては、検査システム10は、その場所で2次検査を行うと決定し、第2の検査場に進む経路を決定する。
【0041】
また、第1の検出対象物(
図5参照)と異なる検出対象物が検出された検査対象者に対しては、検査システム10は、後で2次検査を行うと決定し、2次検査に進む経路と異なる経路、例えば施設内に進む経路を決定する。
【0042】
次に、検査システム10は、S11で決定された経路に検査対象者を案内する処理を実行する(S12)。
【0043】
具体的には、各経路のゲートの開閉を制御したり、検査対象者や検査の担当者に決定された経路を通知したりする。
【0044】
「作用効果」
以上説明したように、第1の検査場における所持物検査の結果に基づき、検査対象者が第1の検査場の後に進む経路を決定し、検査対象者を決定された経路に案内する検査システム10によれば、検査対象者を適切かつ効率的に、第1の検査場の後の経路に導くことができる。結果、第1の検査場での作業が効率化され、第1の検査場での検査の待ち時間が短縮できる。
【0045】
また、検出対象物が検出された検査対象者のすべてに対してその場所で2次検査を行うのでなく、検出された検出対象物の種類に応じてその場所での2次検査と後での2次検査とに振り分けることができる検査システムによれば、その場所(第2の検査場)での2次検査の渋滞を軽減することができる。結果、第2の検査場での検査の待ち時間が短縮できる。
【0046】
<第2の実施形態>
本実施形態の検査システム10は、第1の実施形態で説明した第1の検出対象物(
図5参照)を状況に応じて動的に変化させることができる。以下、詳細に説明する。
【0047】
第1の実施形態で説明した通り、決定部13は、第1の検出対象物が検出された検査対象者に対して、その場所で2次検査を行うと決定し、第2の検査場に進む経路を決定する。一方、決定部13は、第1の検出対象物に該当しない検出対象物が検出された検査対象者に対して、後で2次検査を行うと決定し、2次検査に進む経路と異なる経路、例えば施設内に進む経路を決定する。
【0048】
そして、決定部13は、第1の検出対象物に含まれる検出対象物を、状況に応じて変化させる。決定部13は、以下の第1乃至第3の変化処理のいずれかを実行することができる。
【0049】
-第1の変化処理-
当該処理では、決定部13は、第2の検査場の状況に応じて、第1の検出対象物に含まれる検出対象物を変化させる。
【0050】
第2の検査場の状況は、第2の検査場で行われる2次検査の混雑状況、第2の検査場で行われる2次検査の担当者の数、第2の検査場で行われる2次検査の担当者のスキル(2次検査の習熟度)の少なくとも1つを含む。
【0051】
例えば、予め、第2の検査場で行われる2次検査の混雑状況(例:混雑、やや混雑、普通、やや空いている、空いている)毎に、第1の検出対象物が定義され、記憶部15に記憶されていてもよい。決定部13は、当該定義を示す情報に基づき、第2の検査場で行われる2次検査の混雑状況に応じた第1の検出対象物を特定することができる。なお、第2の検査場で行われる2次検査が混雑しているほど、第1の検出対象物に含まれる検出対象物の数が少なくなるように定義されている。
【0052】
第2の検査場で行われる2次検査の混雑状況を特定する手段は特段制限されない。例えば、第2の検査場を撮影した画像を解析して検査待ちをしている人の数をカウントし、その数に基づき特定してもよい。
【0053】
その他、予め、第2の検査場で行われる2次検査の担当者の数毎に、第1の検出対象物が定義され、記憶部15に記憶されていてもよい。決定部13は、当該定義を示す情報に基づき、第2の検査場で行われる2次検査の担当者の数に応じた第1の検出対象物を特定する。なお、担当者の数が少ないほど、第1の検出対象物に含まれる検出対象物の数が少なくなるように定義されている。
【0054】
第2の検査場で行われる2次検査の担当者の数を特定する手段は特段制限されない。例えば、第2の検査場を撮影した画像を解析して担当者の数をカウントしてもよい。その他、サーバに登録されたシフト情報(各日時に第2の検査場を担当する人を示す情報)や、第2の検査場に設置されたシステムに入力された現時点で作業している人を示す情報等に基づき特定してもよい。
【0055】
その他、予め、第2の検査場で行われる2次検査の担当者のスキル毎に、第1の検出対象物が定義され、記憶部15に記憶されていてもよい。決定部13は、当該定義を示す情報に基づき、第2の検査場で行われる2次検査の担当者のスキルに応じた第1の検出対象物を特定する。なお、スキルが高い担当者がいるほど、第1の検出対象物に含まれる検出対象物の数が多くなるように定義されている。
【0056】
第2の検査場で行われる2次検査の担当者のスキルを特定する手段は特段制限されない。例えば、サーバに登録されたシフト情報(各日時に第2の検査場を担当する人を示す情報)や、第2の検査場に設置されたシステムに入力された現時点で作業している人を示す情報等に基づき、2次検査の担当者を特定してもよい。そして、予めサーバに登録されている各担当者のスキルを参照して、2次検査の担当者のスキルを特定してもよい。
【0057】
なお、ここでは、第2の検査場で行われる2次検査の混雑状況、第2の検査場で行われる2次検査の担当者の数、第2の検査場で行われる2次検査の担当者のスキルの各々を用いてケース分けし、各ケースに応じた第1の検出対象物を予め定義しておく例を説明した。その他、第2の検査場で行われる2次検査の混雑状況、第2の検査場で行われる2次検査の担当者の数、第2の検査場で行われる2次検査の担当者のスキルの複数を用いてケース分けし、各ケースに応じた第1の検出対象物を予め定義しておいてもよい。この場合のケースとしては、例えば、「混雑、担当者の数6以上」、「混雑、担当者の数5以下」等や、「混雑、担当者の数5以下、スキル5以上の担当者がいる」、「混雑、担当者の数5以下、スキル5以上の担当者がいない」等が例示される。
【0058】
-第2の変化処理-
当該処理では、決定部13は、日時、曜日、天気、気温、検査システム10を設置した施設の混雑状況、及び当該施設で行われるイベントの内容の少なくとも1つに応じて、第1の検出対象物に含まれる検出対象物を変化させる。
【0059】
予め、これら項目の中の少なくとも1つ用いてケース分けし、各ケースに応じた第1の検出対象物が定義され、記憶部15に記憶されている。決定部13は、当該定義の情報に基づき、第1の検出対象物を特定する。
【0060】
例えば、施設が混雑するケースに対しては、第1の検出対象物に含まれる検出対象物の数が少なくなるように定義されている。一方、施設が空いているケースに対しては、第1の検出対象物に含まれる検出対象物の数が多くなるように定義されている。
【0061】
検査システム10を設置した施設の混雑状況を特定する手段は特段制限されない。例えば、施設内を撮影した画像を解析して特定してもよい。また、施設で行われるイベントの内容を特定する手段も特段制限されない。例えば、予めオペレータがその内容を検査システム10に登録しておいてもよい。
【0062】
-第3の変化処理-
当該処理では、決定部13は、検査対象者の属性情報を取得し、属性情報に基づき、第1の検出対象物に含まれる検出対象物を変化させる。属性情報は、性別や年令等である。
【0063】
予め、これら項目の中の少なくとも1つ用いてケース分けし、各ケースに応じた第1の検出対象物が定義され、記憶部15に記憶されている。決定部13は、当該定義の情報に基づき、第1の検出対象物を特定する。
【0064】
検査対象者が子供の場合等、緊急性が低いほど、第1の検出対象物に含まれる検出対象物の数が少なくなるように定義されている。
【0065】
検査対象者の属性情報を取得する手段は特段制限されない。例えば、検査対象者を撮影した画像を解析し、性別や年令を推定してもよい。その他、検査対象者の識別情報(顔情報、指紋情報、声紋情報、虹彩情報、歩容情報、数字や文字の列等)の入力を任意の入力装置を介して受付け、取得した識別情報に紐付けられている検査対象者の属性情報をサーバから取得してもよい。後者の場合、検査対象者の識別情報及び属性情報を事前にサーバに登録しておく必要がある。
【0066】
本実施形態の検査システム10のその他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0067】
本実施形態の検査システム10によれば、第1の実施形態と同様の作用効果が実現される。また、本実施形態の検査システム10によれば、2次検査を行う第2の検査場に案内するか否かの決定に利用する第1の検出対象物の定義(
図5参照)を、状況に応じて動的に変化させることができる。状況に応じて第2の検査場に案内する基準を動的に変化させることができるので、検査場の混雑を効果的に軽減し、検査場での検査の待ち時間が効果的に短縮できる。
【0068】
<第3の実施形態>
本実施形態の検査システム10は、後で2次検査を行うと決定した検査対象者に対する2次検査の実施を実現するための手段を備える。
【0069】
図7に、本実施形態の検査システム10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、検査システム10は、電磁波送受信部11と、検出部12と、決定部13と、案内部14と、記憶部15と、登録部16と、後処理部17とを有する。
【0070】
登録部16は、後で2次検査を行うと決定された検査対象者の識別情報に、検出の結果を紐付けて登録する。
【0071】
本実施形態では、検査システム10を利用する施設は、利用者に提供される複数の座席を有する。これら複数の座席は、予め利用者により購入される。利用者Aにより購入された座席は、利用者Aのみが利用可能となる。そして、本実施形態では、この利用者により購入される座席の識別情報が、「検査対象者の識別情報」として利用される。すなわち、登録部16は、後で2次検査を行うと決定された検査対象者の座席の識別情報に、検出の結果を紐付けて登録する。
【0072】
検査場において、任意の手段で、検査対象者に与えられた座席(検査対象者により購入された座席)の識別情報が検査システム10に入力される。例えば、コードリーダを介して座席の識別情報を示すコード(バーコード、2次元コード等)を読み取らせる操作や、座席の識別情報を記憶する可搬型の記憶装置(スマートフォン、携帯電話、スマートウォッチ、ICカード、ICタグ等)をリーダと近距離無線通信可能な状態(近接)にして情報を送受信させる操作等の利用が例示される。その他、検査対象者の識別情報(顔情報、指紋情報、声紋情報、虹彩情報、歩容情報、数字や文字の列等)の入力を任意の入力装置を介して受付け、取得した識別情報に紐付けられている座席の識別情報をサーバから取得してもよい。この場合、検査対象者の識別情報及び座席の識別情報を事前にサーバに登録しておく必要がある。
【0073】
図8に、登録部16により登録される情報の一例を模式的に示す。当該情報は、記憶部15に記憶される。図示する例では、座席の識別情報と、検出された検出対象物とが紐付けて登録されている。
【0074】
なお、その他、検査場で検査対象者を撮影してもよい。そして、登録部16は、当該撮影で生成された画像を、後で2次検査を行うと決定された検査対象者の識別情報に紐付けて登録してもよい。
【0075】
後処理部17は、後で2次検査を行うと決定された検査対象者に与えられた座席の識別情報を、所定の担当者に通知する。例えば、後処理部17は、
図8に示すようなリストを所定の担当者に通知する。担当者は、当該リストに載っている座席にいき、そこに座っている人物に対して2次検査を行う。2次検査はその座席で行われてもよいし、他の場所に移動して行われてもよい。
【0076】
また、検査場で撮影された検査対象者の画像が登録されている場合、後処理部17は、その画像を所定の担当者に提供してもよい。担当者は、この画像に基づき、座席に座っている人物が、後で2次検査を行うと決定された検査対象者と同一人物であるか確認することができる。
【0077】
上記リストや画像を所定の担当者に提供する手段は特段制限されない。例えば、予め登録されたメールアドレス宛に送信してもよいし、アプリケーションやシステムのログイン後の所定の画面に表示してもよいし、アプリケーションのプッシュ通知機能を利用してもよい。
【0078】
次に、
図9のフローチャートを用いて、検査システム10の処理の流れの一例を説明する。
【0079】
まず、検査システム10は、検査対象者から検出対象物を検出する処理を実行する(S20)。
【0080】
具体的には、検査システム10は、波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波を検査対象者に照射し、反射波を受信する。そして、検査システム10は、反射波の信号に基づき、検出対象物を検出する処理を行う。
【0081】
次に、検査システム10は、S20での検出結果に基づき、検査対象者が進む経路を決定する(S21)。
【0082】
具体的には、検査システム10は、検出対象物が検出されなかった検査対象者に対し、2次検査に進む経路と異なる経路、例えば施設内に進む経路を決定する。
【0083】
また、予め定義された第1の検出対象物(
図5参照)が検出された検査対象者に対しては、検査システム10は、その場所で2次検査を行うと決定し、第2の検査場に進む経路を決定する。
【0084】
また、第1の検出対象物(
図5参照)と異なる検出対象物が検出された検査対象者に対しては、検査システム10は、後で2次検査を行うと決定し、2次検査に進む経路と異なる経路、例えば施設内に進む経路を決定する。
【0085】
次に、検査システム10は、S21で、後で2次検査を行うと決定された検査対象者の識別情報に、S20の検出の結果を紐付けて登録する(S22)。
【0086】
具体的には、検査システム10は、任意の手段で、検査対象者に与えられた座席の識別情報を取得する。そして、検査システム10は、その座席の識別情報に、S20の検出の結果を紐付けて登録する。
【0087】
次に、検査システム10は、S21で決定された経路に検査対象者を案内する処理を実行する(S22)。
【0088】
具体的には、各経路のゲートの開閉を制御したり、検査対象者や検査の担当者に決定された経路を通知したりする。
【0089】
その後、検査システム10は、後で2次検査を行うと決定された検査対象者に2次検査を行うための処理を実行する(S24)。
【0090】
具体的には、検査システム10は、後で2次検査を行うと決定された検査対象者に与えられた座席の識別情報を、所定の担当者に通知する。
【0091】
本実施形態の検査システム10のその他の構成は、第1及び第2の実施形態と同様である。本実施形態の検査システム10によれば、第1及び第2の実施形態と同様の作用効果が実現される。また、本実施形態の検査システム10によれば、後で2次検査を行うと決定された検査対象者に与えられた座席の識別情報に紐付けて検出結果を登録しておくことができる。そして、この座席の識別情報に基づき、後で2次検査を行うと決定された検査対象者を追跡し、2次検査を行うことができる。
【0092】
<第4の実施形態>
本実施形態の検査システム10は、後で2次検査を行うと決定した検査対象者に対する2次検査の実施を実現するための手段であって、第3の実施形態と異なる手段を備える。
【0093】
図7に、本実施形態の検査システム10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、検査システム10は、電磁波送受信部11と、検出部12と、決定部13と、案内部14と、記憶部15と、登録部16と、後処理部17とを有する。
【0094】
登録部16は、後で2次検査を行うと決定された検査対象者の識別情報に、検出の結果を紐付けて登録する。
【0095】
本実施形態では、検出の結果に紐付けられる「検査対象者の識別情報」は、検査対象者の外観の特徴量である。検査場で検査対象者を撮影し、当該撮影で生成された画像から、検査対象者の外観の特徴量が抽出される。外観の特徴量は、顔の特徴量、体格の特徴量、衣服の特徴量等が例示されるが、これらに限定されない。
【0096】
図10に、登録部16により登録される情報の一例を模式的に示す。当該情報は、記憶部15に記憶される。図示する例では、検査対象者の外観の特徴量と、検出された検出対象物とが紐付けて登録されている。なお、図示するように、検査場で検査対象者を撮影して生成された画像を、後で2次検査を行うと決定された検査対象者の識別情報に紐付けて登録してもよい。
【0097】
後処理部17は、後で2次検査を行うと決定された検査対象者の外観の特徴量に基づき、施設内を撮影する撮影装置が生成した画像の中からその検査対象者を検出する。そして、後処理部17は、その検査対象者を検出した位置を所定の担当者に通知する。この通知時に、検出した検査対象者の画像(施設内で撮影した画像、検査場で撮影した画像の少なくとも一方)を所定の担当者に提示してもよい。
【0098】
所定の担当者の通知を実現する手段は特段制限されない。例えば、予め登録されたメールアドレス宛に送信してもよいし、アプリケーションやシステムのログイン後の所定の画面に表示してもよいし、アプリケーションのプッシュ通知機能を利用してもよい。
【0099】
ここで、検査対象者を検出した位置を特定する手段について説明する。
【0100】
例えば、撮影装置の設置位置及び撮影方向が固定されていてもよい。そして、予め、撮影装置の撮影エリア(「2階座席のエリアA」、「ルームB」、「3階トイレ前」等)を示す情報が記憶部15に記憶されていてもよい。この場合、後処理部17は、検査対象者が検出された画像を生成した撮影装置の撮影エリアを、検査対象者を検出した位置として特定する。
【0101】
その他、予め、施設内の複数の位置各々の目安となるランドマークの外観の特徴量が記憶部15に記憶されていてもよい。この場合、後処理部17は、検査対象者が検出された画像の中から当該ランドマークを検出し、検出されたランドマークの設置位置を、検査対象者を検出した位置として特定する。この場合、撮影装置は、任意の移動手段で施設内を移動しながら、施設内を撮影してもよい。また、任意の機構により、撮影装置の撮影方向が変化してもよい。
【0102】
当該通知を受けた担当者は、通知された位置に行き、後で2次検査を行うと決定された検査対象者を見つける。そして、担当者は、見つけた検査対象者に対して2次検査を行う。2次検査はその座席で行われてもよいし、他の場所に移動して行われてもよい。
【0103】
次に、
図9のフローチャートを用いて、検査システム10の処理の流れの一例を説明する。
【0104】
まず、検査システム10は、検査対象者から検出対象物を検出する処理を実行する(S20)。
【0105】
具体的には、検査システム10は、波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波を検査対象者に照射し、反射波を受信する。そして、検査システム10は、反射波の信号に基づき、検出対象物を検出する処理を行う。
【0106】
次に、検査システム10は、S20での検出結果に基づき、検査対象者が進む経路を決定する(S21)。
【0107】
具体的には、検査システム10は、検出対象物が検出されなかった検査対象者に対し、2次検査に進む経路と異なる経路、例えば施設内に進む経路を決定する。
【0108】
また、予め定義された第1の検出対象物(
図5参照)が検出された検査対象者に対しては、検査システム10は、その場所で2次検査を行うと決定し、第2の検査場に進む経路を決定する。
【0109】
また、第1の検出対象物(
図5参照)と異なる検出対象物が検出された検査対象者に対しては、検査システム10は、後で2次検査を行うと決定し、2次検査に進む経路と異なる経路、例えば施設内に進む経路を決定する。
【0110】
次に、検査システム10は、S21で、後で2次検査を行うと決定された検査対象者の識別情報に、S20の検出の結果を紐付けて登録する(S22)。
【0111】
具体的には、その検査場で、後で2次検査を行うと決定された検査対象者を撮影し、画像が生成される。検査システム10は、その画像を解析し、後で2次検査を行うと決定された検査対象者の外観の特徴量を抽出する。そして、検査システム10は、その検査対象者の外観の特徴量に、S20の検出の結果を紐付けて登録する。
【0112】
次に、検査システム10は、S21で決定された経路に検査対象者を案内する処理を実行する(S22)。
【0113】
具体的には、各経路のゲートの開閉を制御したり、検査対象者や検査の担当者に決定された経路を通知したりする。
【0114】
その後、検査システム10は、後で2次検査を行うと決定された検査対象者に2次検査を行うための処理を実行する(S24)。
【0115】
具体的には、検査システム10は、後で2次検査を行うと決定された検査対象者の外観の特徴量に基づき、施設内を撮影する撮影装置が生成した画像の中から後で2次検査を行うと決定された検査対象者を検出し、検出した位置を所定の担当者に通知する。
【0116】
本実施形態の検査システム10のその他の構成は、第1及び第2の実施形態と同様である。本実施形態の検査システム10によれば、第1及び第2の実施形態と同様の作用効果が実現される。また、本実施形態の検査システム10によれば、後で2次検査を行うと決定された検査対象者の外観の特徴量に紐付けて検出結果を登録しておくことができる。そして、この外観の特徴量に基づき、後で2次検査を行うと決定された検査対象者を追跡し、2次検査を行うことができる。
【0117】
<変形例>
-第1の変形例-
上記実施形態では、第1の検査場の後に2つの経路を用意しておき、第1の検査場での検査結果に応じて、検査対象者毎にその後の経路を決定した。変形例として、第1の検査場の後に3つ以上の経路を用意しておき、第1の検査場での検査結果(検出対象物が検出されたか否か、検出された検出対象物の種類など)に応じて、検査対象者毎にその後の経路を決定してもよい。
【0118】
-第2の変形例-
上記実施形態の異常状態は、所定の領域に存在する人物が予め設定された検出対象物を所持している状態であった。そして、検出部12は、反射波の信号の中から、反射波の信号に含まれていることが好ましくない異常データ(検出対象物の特徴量)を検出した。
【0119】
当該変形例では、検出部12は、含まれていることが好ましい正常データを参照し、反射波の信号の中から、異常状態(正常データで示される状態と異なる状態)を検出する検出処理を行う。そして、決定部13は、検出された異常状態の内容に基づき、その場所で2次検査を行うか、後で2次検査を行うかを決定する。
【0120】
-第3の変形例-
上記実施形態では、持ち込みが禁止されている対象物が検出対象物として設定された。そして、所定の領域に存在する人物が予め設定された検出対象物を所持している状態を、異常状態として検出した。当該変形例では、ユーザが持っている必要がある対象物が検出対象物として設定される。例えば、警察官のバッチや、イベントに参加する人が所持することを義務つけられている物などが、当該変形例において検出対象物となる。そして、当該変形例では、所定の領域に存在する人物が予め設定された検出対象物を所持していない状態を、異常状態として検出する。この場合、異常状態が検出されたユーザの属性に基づき、その場所で2次検査を行うか、後で2次検査を行うか決定してもよい。ユーザの属性は、性別、年齢など、画像から推定されるものであってもよいし、その他であってもよい。
【0121】
なお、持ち込みが禁止されている対象物が検出対象物Aとして設定され、ユーザが持っている必要がある対象物が検出対象物Bとして設定されてもよい。この場合、「検出対象物Aが検出され、検出対象物Bが検出されていないケース」、「検出対象物Bが検出され、検出対象物Aが検出されていないケース」、「検出対象物A及び検出対象物B両方とも検出されているケース」、「検出対象物A及び検出対象物B両方とも検出されていないケース」等、検出結果が複数のケースに分かれる。いずれのケースを異常状態として検出するかは、設計的事項である。
【0122】
これら変形例においても、上記実施形態と同様の作用効果が実現される。
【0123】
なお、本明細書において、「取得」とは、ユーザ入力に基づき、又は、プログラムの指示に基づき、「自装置が他の装置や記憶媒体に格納されているデータを取りに行くこと(能動的な取得)」、たとえば、他の装置にリクエストまたは問い合わせして受信すること、他の装置や記憶媒体にアクセスして読み出すこと等、および、ユーザ入力に基づき、又は、プログラムの指示に基づき、「自装置に他の装置から出力されるデータを入力すること(受動的な取得)」、たとえば、配信(または、送信、プッシュ通知等)されるデータを受信すること、また、受信したデータまたは情報の中から選択して取得すること、及び、「データを編集(テキスト化、データの並び替え、一部データの抽出、ファイル形式の変更等)などして新たなデータを生成し、当該新たなデータを取得すること」の少なくともいずれか一方を含む。
【0124】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下に限られない。
1. 波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波を照射し、反射波を受信する電磁波送受信手段と、
前記反射波の信号に基づき、検出処理を行う検出手段と、
前記検出処理の結果に基づき、検査対象者が進む経路を決定する決定手段と、
決定された経路に前記検査対象者を案内する処理を実行する案内手段と、
を有する検査システム。
2. 前記検出手段は、前記反射波の信号に基づき、検出対象物を検出し、
前記決定手段は、前記検出対象物を検出する処理の結果に基づき、前記検査対象者が進む経路を決定する1に記載の検査システム。
3. 前記決定手段は、
予め定められた第1の検出対象物が検出された前記検査対象者に対し、第1の経路を決定し、
前記第1の検出対象物が検出されてない前記検査対象者に対し、その他の経路を決定する2に記載の検査システム。
4. 前記決定手段は、
前記第1の経路の先の検査場の状況に応じて、前記第1の検出対象物に含まれる前記検出対象物を変化させる3に記載の検査システム。
5. 前記決定手段は、
前記検査場の混雑状況、前記検査場にいる担当者の数、前記検査場にいる担当者のスキルの少なくとも1つに応じて、前記第1の検出対象物に含まれる前記検出対象物を変化させる4に記載の検査システム。
6. 前記決定手段は、
日時、曜日、天気、気温、施設の混雑状況、及び施設で行われるイベントの内容の少なくとも1つに応じて、前記第1の検出対象物に含まれる前記検出対象物を変化させる2から5のいずれかに記載の検査システム。
7. 前記決定手段は、
前記検査対象者の属性情報を取得し、前記属性情報に基づき、前記第1の検出対象物に含まれる前記検出対象物を変化させる2から6のいずれかに記載の検査システム。
8. 前記案内手段は、前記検査対象者が進む経路を所定の相手に通知する処理を実行する1から7のいずれかに記載の検査システム。
9. 前記案内手段は、前記検査対象者が進む経路のゲートを開く処理を実行する1から8のいずれかに記載の検査システム。
9. コンピュータが、
波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波を照射し、反射波を受信し、
前記反射波の信号に基づき、検出処理を行い、
前記検出処理の結果に基づき、検査対象者が進む経路を決定し、
決定された経路に前記検査対象者を案内する処理を実行する検査方法。
【符号の説明】
【0125】
10 検査システム
11 電磁波送受信部
12 検出部
13 決定部
14 案内部
15 記憶部
16 登録部
17 後処理部
1A プロセッサ
2A メモリ
3A 入出力I/F(インターフェイス)
4A 周辺回路
5A バス