(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-20
(45)【発行日】2025-01-28
(54)【発明の名称】媒体処理装置及び媒体投入ガイド方法
(51)【国際特許分類】
G07D 11/14 20190101AFI20250121BHJP
【FI】
G07D11/14
(21)【出願番号】P 2021055537
(22)【出願日】2021-03-29
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】大島 庸平
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-049679(JP,A)
【文献】特開2015-153220(JP,A)
【文献】国際公開第2008/093420(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/00 - 11/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体が投入される媒体投入口と、
前記媒体投入口に投入された前記媒体を繰り出す、装置内部に設けられた媒体繰出部と、
前記媒体繰出部の駆動を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記媒体投入口に前記媒体が投入されていない状態のときに、装置内部に設けられた前記媒体繰出部を駆動させて前記媒体繰出部から駆動音を発生させる
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記媒体投入口に前記媒体が投入されていない状態のときに、前記媒体繰出部を、前記媒体を繰り出すときの動作とは異なる動作で駆動させることにより駆動音を発生させる
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記媒体繰出部は、
回転することで前記媒体を繰り出す繰出ディスクを有し、
前記制御部は、
前記媒体投入口に前記媒体が投入されていない状態のときに、前記繰出ディスクを回転させることにより駆動音を発生させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記媒体投入口に前記媒体が投入されていない状態のときに、回転方向を一方向と他方向に順に切り替えながら前記繰出ディスクを回転させることにより駆動音を発生させる
ことを特徴とする請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記媒体投入口に前記媒体を投入するタイミングになっても前記媒体投入口に前記媒体が投入されていない場合に、前記媒体繰出部を駆動させて前記媒体繰出部から駆動音を発生させる
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の媒体処理装置。
【請求項6】
外部と通信する通信部と、
前記媒体投入口に投入された前記媒体を検知する媒体投入検知部と
を備え、
前記制御部は、
前記通信部により外部から媒体投入コマンドを受信してから、前記媒体投入検知部によって前記媒体が検知されるまでの間、前記媒体繰出部を駆動させて前記媒体繰出部から駆動音を発生させる
ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の媒体処理装置。
【請求項7】
外部と通信する通信部と、
前記媒体投入口に投入された前記媒体を検知する媒体投入検知部と
を備え、
前記制御部は、
前記通信部により外部か
ら媒体投入コマンドを受信した後、所定時間経過しても前記媒体投入検知部によって前記媒体が検知されなかった場合に、前記媒体繰出部を駆動させて前記媒体繰出部から駆動音を発生させる
ことを特徴とする請求項
1~5のいずれかに記載の媒体処理装置。
【請求項8】
前記媒体投入口の近傍に設けられたガイドランプを備え、
前記制御部は、
前記媒体繰出部を駆動させて前記媒体繰出部から駆動音を発生させるとともに、前記ガイドランプを点灯させる
ことを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の媒体処理装置。
【請求項9】
前記媒体投入口に、当該媒体投入口よりも小さい媒体投入口を有するアタッチメントが取り付けられていて、
前記制御部は、
前記アタッチメントが有する媒体投入口に前記媒体が投入されていない状態のときに、前記媒体繰出部を駆動させて前記媒体繰出部から駆動音を発生させる
ことを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の媒体処理装置。
【請求項10】
媒体処理装置による媒体投入ガイド方法であり、
制御部が、媒体が投入される媒体投入口に前記媒体が投入されていない状態のときに、前記媒体投入口に投入された前記媒体を繰り出す、前記媒体処理装置の内部に設けられた媒体繰出部を駆動させて前記媒体繰出部から駆動音を発生させる
ことを特徴とする媒体投入ガイド方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は媒体処理装置及び媒体投入ガイド方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、媒体処理装置として、例えば、媒体投入口に投入された媒体(例えば硬貨)を媒体繰出部によって繰り出し、媒体の種別ごとに設けられた媒体収納庫に収納するようにしたものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の媒体処理装置では、媒体投入口の大きさや位置などによって、媒体投入口がどこなのか分かり難い場合があり、このような場合に使用者(特に初めて使用する使用者)が容易に媒体を投入することができないという問題を有していた。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、容易に媒体を投入できるようにした媒体処理装置及び媒体投入ガイド方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明の媒体処理装置においては、媒体が投入される媒体投入口と、前記媒体投入口に投入された媒体を繰り出す、装置内部に設けられた媒体繰出部と、前記媒体繰出部の駆動を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記媒体投入口に前記媒体が投入されていない状態のときに、装置内部に設けられた前記媒体繰出部を駆動させて前記媒体繰出部から駆動音を発生させるようにした。
【0007】
また本発明の媒体投入ガイド方法は、媒体処理装置による媒体投入ガイド方法であり、制御部が、媒体が投入される媒体投入口に前記媒体が投入されていない状態のときに、前記媒体投入口に投入された媒体を繰り出す、前記媒体処理装置の内部に設けられた媒体繰出部を駆動させて前記媒体繰出部から駆動音を発生させるようにした。
【0008】
このように、媒体投入口に媒体が投入されていない状態のときに、媒体繰出部から駆動音を発生させることにより、媒体投入口の位置を使用者に音(駆動音)でガイドすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、容易に媒体を投入できるようにした媒体処理装置及び媒体投入ガイド方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】硬貨処理装置の外観構成(アタッチメント無し)を示す斜視図である。
【
図2】硬貨処理装置の外観構成(アタッチメント有り)を示す斜視図である。
【
図3】硬貨収納部と硬貨繰出部の構成を示す斜視図である。
【
図4】硬貨処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】硬貨処理装置によるガイド動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0012】
[1.硬貨処理装置の外観構成]
図1に、硬貨処理装置1の外観構成を示す。この硬貨処理装置1は、硬貨の入金及び出金が可能な装置であり、例えばPOS(Point Of Sales)システムに接続された図示しないPOSレジに釣銭機として組み合わされたものである。以下では説明のため、顧客が釣銭機に現金を投入するセルフレジ又はセミセルフレジとしての運用を想定して説明する。釣銭機は、硬貨処理装置1と図示しない紙幣処理装置とで構成され、それぞれPOSレジと通信可能に接続されている。
【0013】
硬貨処理装置1は、略箱型の装置筐体2を有している。ここで、装置筐体2における、使用者(例えば顧客)と対峙する側を前側、その反対側を後側、使用者から見て上下左右を、それぞれ上側、下側、左側、右側とする。
【0014】
この装置筐体2は、上面前部が、上面他部よりも一段高く形成されていて、この上面前部の左寄りの位置に硬貨を投入する為の硬貨投入口10が設けられている。また装置筐体2の上面前部には、硬貨投入口10の外周近傍に、硬貨投入口10の位置と硬貨投入口10に硬貨を投入するタイミングとを顧客にガイドする為のガイドランプ11が設けられている。さらに装置筐体2の前面には、右寄りの位置に硬貨が排出される硬貨排出トレイ12が設けられ、左寄りの位置にリジェクト硬貨が排出されるリジェクトトレイ13が設けられている。
【0015】
硬貨投入口10は、十数枚程度の硬貨を一度に投入可能な大きさの円形の穴である。ガイドランプ11は、硬貨投入口10に硬貨を投入するタイミングで点灯する。顧客は、ガイドランプ11の点灯により、硬貨投入口10の位置と硬貨投入口10に硬貨を投入するタイミングとを認識し、代金としての硬貨をこの硬貨投入口10に投入する。
【0016】
この硬貨投入口10の奥(つまり下方)には、硬貨投入口10に投入された硬貨を一時的に収納する円筒状の硬貨収納部14が設けられている。別の言い方をすると、円筒状の硬貨収納部14の上端の開口が、硬貨投入口10となっている(もしくは硬貨投入口10と繋がっている)。また図示しないが、硬貨収納部14には、硬貨投入口10に投入された硬貨を検知する為の投入センサが設けられている。さらに図示しないが、装置筐体2の内部には、硬貨収納部14に収納された硬貨を1枚ずつ繰り出す為の硬貨繰出部や、硬貨繰出部から繰り出された硬貨を収納する硬貨収納庫、硬貨処理装置1全体の動作を制御する制御部などが設けられている。尚、硬貨収納部14、硬貨繰出部及び制御部については
図3及び
図4を用いて後述する。
【0017】
硬貨排出トレイ12は、釣銭としての硬貨が排出される。リジェクトトレイ13は、硬貨投入口10に投入された硬貨のうち、硬貨収納庫に収納することができない硬貨(例えば外国コインなど)であるリジェクト硬貨や、硬貨投入口10に投入された小さな異物(クリップやホチキス等)を排出する。
【0018】
硬貨処理装置1の外観構成は、以上のようになっている。この硬貨処理装置1では、硬貨投入口10に投入された代金としての硬貨を、硬貨繰出部により1枚ずつ繰り出して硬貨収納庫まで搬送して収納することで入金し、釣銭としての硬貨を収納部から繰り出して硬貨排出トレイ12に排出することで出金するようになっている。
【0019】
また
図2に示すように、この硬貨処理装置1は、操作に不慣れな顧客などが硬貨投入口10内部にリジェクトトレイ13から排出できない大きな異物などを入れてしまうことを防ぐ為に、硬貨投入口10よりも小さい硬貨投入口15が形成されたアタッチメント16を、硬貨投入口10に取り付けることができるようになっている。
【0020】
アタッチメント16は、硬貨投入口10とほぼ同径の円盤状の部材であり、硬貨投入口10を覆うようにして取り付けられる。このアタッチメント16に形成された硬貨投入口15は、数枚程度の硬貨を一度に投入可能で人の指が入らない程度の大きさの直線状のスリットである。硬貨処理装置1では、このようなアタッチメント16を硬貨投入口10に取り付けることで、硬貨投入口10を大きな異物などが入れられない程度の大きさの硬貨投入口15に置き換えることができるようになっている。
【0021】
[2.硬貨収納部及び硬貨繰出部の構成]
次に、
図3を用いて、硬貨処理装置1の内部に設けられた硬貨収納部14及び硬貨繰出部20の構成について説明する。尚。
図3は、硬貨収納部14から硬貨繰出部20の後述する繰出ディスク21を取り外した状態を示している。
【0022】
硬貨収納部14は、底部14bがある円筒状であり、上端の開口が
図1に示す硬貨投入口10となっている(もしくは硬貨投入口10と繋がっている)。またこの硬貨収納部14の壁面14wの底部14b側(下端側)には、硬貨1枚が通過できる大きさのスリット状の硬貨繰出口14hが形成されていて、硬貨投入口10から硬貨収納部14へと投入された硬貨は、この硬貨繰出口14hから図示しない硬貨搬送路へと繰り出されるようになっている。
【0023】
一方、硬貨繰出部20は、繰出ディスク21と、当該繰出ディスク21を回転させる図示しないモータを有している。繰出ディスク21は、硬貨収納部14の内径とほぼ同径の円盤状の部材であり、硬貨収納部14の内側に収容され、底部14bに回転可能に取り付けられている。つまり、硬貨投入口10から硬貨収納部14へと投入された硬貨は、この繰出ディスク21の上に積み重なるようにして収納される。尚、繰出ディスク21は、硬貨収納部14の底部14bとの間に、硬貨1枚分の厚さよりわずかに大きい隙間が空くようにして取り付けられている。
【0024】
この繰出ディスク21には、複数の貫通穴21hが形成されている。またこの繰出ディスク21の下面(硬貨収納部14の底部14bと対向する面)には、複数の突起部21pが形成されている。複数の貫通穴21hは、それぞれ硬貨が通過できる大きさとなっている。複数の突起部21pは、それぞれ略円弧状の部材の中央に切り欠き21cを設けた形状となっている。突起部21pの高さは、硬貨1枚分の厚さと同程度に設定されている。
【0025】
また硬貨収納部14の底部14bには、硬貨の回転を阻止して硬貨を硬貨繰出口14hへと案内する為の案内ピン14pが、硬貨繰出口14hの近傍に設けられている。尚、この案内ピン14pは、繰出ディスク21の回転時に、突起部21pと接触しない位置(具体的には突起部21pの切り欠き21cが通過する位置)に設けられている。
【0026】
硬貨収納部14及び硬貨繰出部20の構成は、以上のようになっている。硬貨繰出部20は、硬貨繰出時、モータにより繰出ディスク21を、図中矢印A方向(正転方向と呼ぶ)に回転させる。すると、繰出ディスク21の上に積み重なるようにして収納されている硬貨が、繰出ディスク21の貫通穴21hを通過し、繰出ディスク21と硬貨収納部14の底部14bとの隙間に入り込んでいく。繰出ディスク21と硬貨収納部14の底部14bとの隙間に入り込んだ硬貨は、繰出ディスク21の回転にともなって移動する突起部21pと接触して移動する。そして当該硬貨は、案内ピン14pと接触して硬貨繰出口14hへと案内され、硬貨繰出口14hから繰り出されるようになっている。尚、硬貨繰出口14hの外側には、硬貨繰出口14hから繰り出された硬貨を検知する為の繰出センサが設けられている。
【0027】
[3.硬貨処理装置の機能構成]
次に、
図4に示すブロック図を用いて、硬貨処理装置1の機能構成について説明する。硬貨処理装置1は、機能構成として、通信部30と、制御部31と、ガイドランプ11と、硬貨処理部32とを有している。
【0028】
通信部30は、POSレジ100及び紙幣処理装置101と通信する。制御部31は、硬貨処理装置1全体の動作を制御する。硬貨処理部32は、硬貨の入金及び出金に関する処理を実行する部分であり、硬貨投入口10に投入された硬貨を検知する為の投入センサ40と硬貨繰出部20を含んでいる。
【0029】
硬貨処理装置1の機能構成は、以上のようになっている。硬貨処理装置1では、制御部31が、通信部30を介して、例えば商品のバーコードを読み取ったPOSレジ100から入金コマンドを受信すると、ガイドランプ11を点灯させる。
【0030】
その後、制御部31は、投入センサ40が硬貨投入口10に投入された硬貨を検知すると、硬貨処理部32を制御して、硬貨の入金(硬貨収納庫への収納)と出金(釣銭の排出)を行う。このとき、制御部31は、硬貨繰出部20のモータ41を駆動させて繰出ディスク21を正転方向に回転させることで、硬貨収納部14に収納されている硬貨を硬貨繰出口14hから繰り出すようになっている。また制御部31は、硬貨の入金完了後に、ガイドランプ11を消灯させる。
【0031】
ところで、硬貨処理装置1では、制御部31が、入金コマンドを受信した後、ガイドランプ11を点灯させることで、硬貨投入口10の位置と硬貨投入口10に硬貨を投入するタイミングとを顧客にガイドするようになっている。しかしながら、顧客が、例えば紙幣処理装置101の方を見るなどして、硬貨処理装置1の方(つまりガイドランプ11の方)を見ていない場合など、ガイドランプ11の点灯に気付かない場合がある。
【0032】
そこで、本実施の形態の硬貨処理装置1では、制御部31が、入金コマンドを受信した後、ガイドランプ11を点灯させるだけでなく、硬貨投入口10に近接している硬貨繰出部20を駆動させて駆動音を発生させるようになっている。
【0033】
つまり、硬貨処理装置1では、ガイドランプ11の点灯により、硬貨投入口10の位置と硬貨投入口10に硬貨を投入するタイミングとを光でガイドすることにくわえて、硬貨繰出部20の駆動音により、硬貨投入口10の大よその位置と硬貨投入口10に硬貨を投入するタイミングとを音でガイドするようになっている。
【0034】
尚、硬貨処理装置1では、硬貨繰出部20の駆動音によるガイドを行うか否かを設定できるようになっていてもよい。このようにすれば、例えば、操作に不慣れな顧客の為に硬貨投入口10にアタッチメント16が取り付けられ、硬貨投入口10よりも小さく目立たない硬貨投入口15を使用する場合には、硬貨繰出部20の駆動音によるガイドを行うようにし、アタッチメント16が取り付けられてない場合には、硬貨繰出部20の駆動音によるガイドは行わないようにするといった設定が可能となる。さらに、例えば会員カード等を図示せぬカードリーダ等で読み取った場合には、硬貨繰出部20の動作音によるガイドを行わず、読み取っていない場合には動作音によるガイドを行うように設定してもよい。さらに、硬貨処理装置1の制御部31が、例えば会員カード等に記録されている利用者情報と動作音によるガイドの有無を紐づけて記憶管理し、顧客の会員カード等を図示せぬカードリーダ等で読み取った場合に、読み取った会員カード等に記録されている利用者情報に紐づけられた動作音によるガイドの有無に基づいて、動作音によるガイドを行うか否か決定するようにしてもよい。
【0035】
[4.ガイド動作]
次に、
図5に示すフローチャートを用いて、硬貨処理装置1が、硬貨投入口10の位置と硬貨投入口10に硬貨を投入するタイミングとを顧客にガイドするときのガイド動作の具体的な手順について説明する。このガイド動作は、制御部31が主体となって行う動作である。尚、ここでは、一例として、硬貨投入口10の位置と硬貨投入口10に硬貨を投入するタイミングとを顧客にガイドするときのガイド動作について説明するが、硬貨投入口10にアタッチメント16が取り付けられていて、硬貨投入口15の位置と硬貨投入口15に硬貨を投入するタイミングとを顧客にガイドするときのガイド動作も、同様の動作となる。
【0036】
まずステップSP1において、制御部31は、通信部30を介してPOSレジ100から入金コマンドを受信する。入金コマンドを受信すると、制御部31は、硬貨投入待ちの状態となり、硬貨処理部32を硬貨投入待ちの状態で待機させる。つづくステップSP2において、制御部31は、ガイドランプ11を点灯させる。つづくステップSP3において、制御部31は、投入センサ40の検知結果に基づいて、硬貨投入口10に硬貨が投入されたか否かを判定する。ここで、投入センサ40が硬貨を検知したことから、硬貨投入口10に硬貨が投入されたと判定すると、制御部31は、ステップSP3で肯定結果を得て、ガイド動作を終了する。
【0037】
これに対して、投入センサ40が硬貨を検知していないことから、まだ硬貨投入口10に硬貨が投入されていないと判定すると、制御部31は、ステップSP3で否定結果を得て、ステップSP4に移る。
【0038】
ステップSP4において、制御部31は、硬貨繰出部20を駆動させて駆動音を発生させる。具体的には、制御部31は、硬貨繰出部20のモータ41を制御して繰出ディスク21を一方向(例えば正転方向)に所定量(例えば30度程度)だけ回転させる。ここで、繰出ディスク21は、停止している状態から回転を開始するときに「ガチャ」という駆動音を発生する。つづけて、制御部31は、モータ41を制御して繰出ディスク21を他方向(例えば正転方向とは逆方向の逆転方向)に所定量(例えば30度程度)だけ回転させる。ここでも、繰出ディスク21は、回転を開始するときに「ガチャ」という駆動音を発生する。制御部31は、このような繰出ディスク21の一方向及び他方向への回転動作を所定回数繰り返し行うことで、繰出ディスク21から「ガチャ、ガチャ、…」という駆動音を連続的に発生させる。
【0039】
尚、このときの繰出ディスク21の回転動作は、連続して駆動音を発生させる為の回転動作であり、硬貨繰出時の通常の回転動作とは異なっている。また繰出ディスク21は、硬貨投入口10の下方近傍に位置する為、繰出ディスク21から駆動音を発生させることで、硬貨投入口10の大よその位置と硬貨投入口10に硬貨を投入するタイミングとを顧客に音でガイドすることができる。またここでは、繰出ディスク21の回転動作時に繰出ディスク21から発生する駆動音をガイド用の音として利用しているが、硬貨繰出部20の他の部分(モータ41や図示しないギヤなど)からも駆動音が発生するのであれば、これらの駆動音についてもガイド用の音として利用することができる。
【0040】
その後、制御部31は、再びステップSP3に戻り、投入センサ40の検知結果に基づいて、硬貨投入口10に硬貨が投入されたか否かを判定し、まだ硬貨投入口10に硬貨が投入されていないと判定した場合には、繰出ディスク21の一方向及び他方向への回転動作を継続する。これに対して、硬貨投入口10に硬貨が投入されたと判定した場合には、制御部31は、繰出ディスク21の一方向及び他方向への回転動作を停止して、ガイド動作を終了する。硬貨処理装置1が、硬貨投入口10の位置と硬貨投入口10に硬貨を投入するタイミングとを顧客にガイドするときのガイド動作は、以上のようになっている。
【0041】
[5.まとめと効果]
ここまで説明したように、本実施の形態では、媒体処理装置としての硬貨処理装置1に、媒体としての硬貨が投入される媒体投入口としての硬貨投入口10(または硬貨投入口15)と、硬貨投入口10(または硬貨投入口15)に投入された硬貨を繰り出す媒体繰出部としての硬貨繰出部20と、硬貨繰出部20の駆動を制御する制御部31とを設け、制御部31は、硬貨投入口10(または硬貨投入口15)に硬貨が投入されていない状態のときに、硬貨繰出部20を駆動させて硬貨繰出部20から駆動音を発生させるようにした。
【0042】
すなわち、制御部31は、硬貨投入口10(または硬貨投入口15)に近接する硬貨繰出部20の繰出ディスク21を、通常の繰出時のように一方向に回転させ続けるのではなく、回転方向を一方向と他方向に順に切り替えながら回転させることで、繰出ディスク21から「ガチャ、ガチャ」という駆動音を連続的に発生させるようにした。
【0043】
こうすることにより、硬貨処理装置1では、硬貨投入口10(または硬貨投入口15)の大よその位置を使用者としての顧客に音(つまり「ガチャ、ガチャ」という駆動音)でガイドすることができる。このような音によるガイドは、硬貨投入口10にアタッチメント16が取り付けられ、硬貨投入口10よりも小さく目立たない硬貨投入口15を使用する場合により効果的となる。かくして、硬貨処理装置1では、容易に硬貨を硬貨投入口10に投入することができる。
【0044】
また硬貨処理装置1では、制御部31が、通信部30によりPOSレジ100から媒体投入コマンドとしての入金コマンドを受信し、硬貨投入口10(または硬貨投入口15)にまだ硬貨が投入されていない場合に、硬貨繰出部20を駆動させて硬貨繰出部20から駆動音を発生させるようにした。別の言い方をすると、硬貨処理装置1では、制御部31が、硬貨投入口10(又は硬貨投入口15)に硬貨を投入するタイミングになっても硬貨投入口10(または硬貨投入口15)に硬貨が投入されていない場合に、硬貨繰出部20を駆動させて硬貨繰出部20から駆動音を発生させるようにした。こうすることにより、硬貨処理装置1では、硬貨投入口10(または硬貨投入口15)の大よその位置に加えて、硬貨投入口10(または硬貨投入口15)に硬貨を投入するタイミングを顧客に音でガイドすることができる。
【0045】
さらに硬貨処理装置1では、媒体投入検知部としての投入センサ40が硬貨投入口10(または硬貨投入口15)に投入された硬貨を検知するまで、硬貨繰出部20により駆動音を発生させ、その後、投入センサ40が硬貨投入口10(または硬貨投入口15)に投入された硬貨を検知すると、硬貨投入口10(または硬貨投入口15)に投入された硬貨を硬貨繰出部20により繰り出すようにした。つまり、硬貨処理装置1では、硬貨繰出部20に、硬貨を繰り出す機能と、ガイド用の音(つまり駆動音)を発生する機能の両方を持たせたるようにした。
【0046】
こうすることにより、硬貨処理装置1では、別途、ガイド用の音を発生する為のブザーなどを設けることなく、硬貨投入口10(または硬貨投入口15)の大よその位置を顧客に音でガイドすることができる。
【0047】
さらに硬貨処理装置1では、制御部31が、硬貨繰出部20から駆動音を発生させるとともに、硬貨投入口10(または硬貨投入口15)の近傍に設けられたガイドランプ11を点灯させるようにした。こうすることにより、硬貨処理装置1では、硬貨投入口10(または硬貨投入口15)の位置と硬貨投入口10(または硬貨投入口15)に硬貨を投入するタイミングとを光と音の両方でガイドすることができるので、より確実にガイドすることができる。別の言い方をすると、硬貨繰出部20からの駆動音によって、硬貨投入口10(または硬貨投入口15)のあたりに顧客の目を向けさせて顧客にガイドランプ11の点灯を認識させることで、硬貨投入口10(または硬貨投入口15)の位置と硬貨投入口10(または硬貨投入口15)に硬貨を投入するタイミングとをより確実にガイドすることができる。
【0048】
[6.他の実施の形態]
[6-1.他の実施の形態1]
尚、上述した実施の形態では、制御部31が、通信部30によりPOSレジ100から媒体投入コマンドとしての入金コマンドを受信すると、硬貨繰出部20を駆動させて駆動音を発生させるようにした。これに限らず、例えば、通信部30によりPOSレジ100から入金コマンドを受信した後、所定時間経過しても投入センサ40が硬貨を検知していない場合(つまり所定時間経過してもまだ硬貨投入口10に硬貨が投入されていない場合)に、硬貨繰出部20を駆動させて駆動音を発生させるようにしてもよい。
【0049】
このようにすれば、必要に応じて(つまり顧客が硬貨投入口10の位置を認識していない場合などに)、硬貨繰出部20を駆動させて駆動音を発生させることができるので、例えば、硬貨処理装置1の操作に慣れている顧客に、わざわざ音を出して硬貨投入口10の位置をガイドするような無駄な動作を省略することができる。
【0050】
またこれに限らず、例えば、硬貨処理装置1の前方にいる人を検知する人感センサを硬貨処理装置1に設け、入金コマンドを受信した後(もしくは入金コマンドを受信したかどうかに関わらず)、人感センサが人を検知し、且つ硬貨投入口10に硬貨が投入されていない場合に、制御部31が、硬貨繰出部20を駆動させて硬貨繰出部20から駆動音を連続的に発生させるようにしてもよい。
【0051】
[6-2.他の実施の形態2]
さらに上述した実施の形態では、制御部31が、通信部30によりPOSレジ100から入金コマンドを受信してから、投入センサ40が硬貨投入口10に投入された硬貨を検知するまで、硬貨繰出部20により駆動音を発生させるようにした。これに限らず、例えば、硬貨繰出部20を駆動させて駆動音の発生を開始した後、所定時間経過したら、もしくは繰出ディスク21の回転動作(つまり一方向に回転させ、その後他方向に回転させる動作)を所定回数繰り返したら、硬貨繰出部20の駆動を停止させて駆動音の発生を終了するようにしてもよい。
【0052】
またこれに限らず、制御部31が、通信部30によりPOSレジ100から入金コマンドを受信した後、通信部30により紙幣処理装置101から紙幣の入金通知を受信したら、投入センサ40が硬貨投入口10に投入された硬貨を検知してなくても、硬貨繰出部20の駆動を停止させて駆動音の発生を終了するようにしてもよい。またこれに限らず、制御部31が、通信部30によりPOSレジ100から入金コマンドを受信した後、通信部30によりPOSレジ100から入金キャンセルコマンドを受信したら、投入センサ40が硬貨投入口10に投入された硬貨を検知してなくても、硬貨繰出部20の駆動を停止させて駆動音の発生を終了するようにしてもよい。
【0053】
[6-3.他の実施の形態3]
さらに上述した実施の形態では、制御部31が、通信部30によりPOSレジ100から硬貨の投入タイミングを示す入金コマンドを受信すると、硬貨繰出部20により駆動音を発生させるようにしたが、要は、制御部31が、通信部30により外部から硬貨の投入タイミングを示す情報を受信したら、硬貨繰出部20により駆動音を発生させるようにすればよい。またこれに限らず、例えば本発明を、操作部を有する媒体処理装置に適用する場合に、当該操作部を介して硬貨の投入タイミングを示す操作が行われると、制御部が、硬貨繰出部により駆動音を発生させるようにしてもよい。
【0054】
[6-4.他の実施の形態4]
さらに上述した実施の形態では、硬貨処理装置1が、硬貨繰出部20の駆動音によるガイドを行うか否かを設定可能であるとした。ここで、例えば、硬貨投入口10にアタッチメント16が取り付けられているか否かを検知するアタッチメント検知センサを硬貨処理装置1に設け、アタッチメント検知センサが硬貨投入口10にアタッチメント16が取り付けられていると検知している場合に、制御部31が、硬貨繰出部20の駆動音によるガイドを行うように設定してもよい。
【0055】
[6-5.他の実施の形態5]
さらに上述した実施の形態では、媒体繰出部として、繰出ディスク21を回転させることで硬貨を繰り出す方式の硬貨繰出部20を用いたが、これに限らず、人に聞こえる程度の大きさの駆動音を発生することができる他の方式の硬貨繰出部を用いてもよい。例えば繰出ベルトを走行させることで硬貨を繰り出す方式の硬貨繰出部などを用いてもよい。
【0056】
さらに上述した実施の形態では、硬貨繰出部20から駆動音を連続して発生させる為に、硬貨繰出部20を、ガイド時に通常の繰出時とは異なる動作で駆動させるようにした。つまり、繰出ディスク21を、通常の繰出時のように一方向に回転させ続けるのではなく、回転方向を一方向と他方向に順に切り替えながら回転させることで駆動音を連続的に発生させるようにした。これに限らず、繰出ディスク21を、回転方向を一方向と他方向に順に切り替えながら回転させる回転動作以外の回転動作で回転させるようにしてもよい。また硬貨繰出部20を、ガイド時も、通常の繰出時と同様の動作で駆動させるようにしてもよい。
【0057】
[6-6.他の実施の形態6]
さらに上述した実施の形態では、硬貨繰出部20の繰出ディスク21を回転させることで駆動音を発生させるようにした。ここで、例えば、硬貨投入口10にアタッチメント16を取り付ける際に、硬貨収納部14に、繰出ディスク21の貫通穴21hを通過できない大きさのメダルやコインなどを入れておき、繰出ディスク21を回転させたときに、このメダルやコインによる衝突音を発生させるようにしてもよい。このように、繰出ディスク21の駆動音に加えて、メダルやコインの衝突音を発生させるようにすれば、ガイド用の音をより大きくすることができる。
【0058】
[6-7.他の実施の形態7]
さらに上述した実施の形態では、硬貨処理装置1が、ガイドランプ11の点灯と、硬貨繰出部20の駆動音との両方で、硬貨投入口10の位置と硬貨投入口10に硬貨を投入するタイミングとをガイドするようにした。これに限らず、硬貨繰出部20の駆動音のみで、硬貨投入口10の位置と硬貨投入口10に硬貨を投入するタイミングとをガイドするようにしてもよい。硬貨繰出部20の駆動音のみでガイドするようにした場合でも、硬貨投入口10の大よその位置と硬貨投入口10に硬貨を投入するタイミングとを顧客にガイドすることができる。
【0059】
[6-8.他の実施の形態8]
さらに上述した実施の形態では、顧客が釣銭機に現金を投入するセルフレジ又はセミセルフレジとしての運用に本発明を適用したが、これに限らず、レジ担当者が顧客から受け取った現金を釣銭機に投入するレーンレジとしての運用に適用してもよい。
【0060】
[6-9.他の実施の形態9]
さらに上述した実施の形態では、硬貨投入口10にアタッチメント16を取付可能な硬貨処理装置1に本発明を適用したが、これに限らず、硬貨投入口10にアタッチメント16を取付不可能な硬貨処理装置に適用してもよく、また硬貨投入口15が固定で設けられた硬貨処理装置に適用してもよい。
【0061】
さらに上述した実施の形態では、媒体処理装置として、硬貨を処理する硬貨処理装置1に本発明を適用したが、これに限らず、両替機や、硬貨以外の媒体を処理する券売機などの媒体処理装置にも適用することができる。具体的には、例えば、コインを処理する媒体処理装置、メダルを処理する媒体処理装置、パチンコ玉を処理する媒体処理装置、切符を処理する媒体処理装置、チケットを処理する媒体処理装置、など、様々な媒体処理装置に適用することができる。またPOSレジと接続されている媒体処理装置に限らず、両替機などのように単体で動作する媒体処理装置にも適用することができる。
【0062】
さらに上述した実施の形態では、紙幣処理装置101とは別体の硬貨処理装置1に本発明を適用したが、これに限らず、例えば、紙幣処理装置101と硬貨処理装置1とが一体になった媒体処理装置などに適用してもよい。
【0063】
[6-10.他の実施の形態10]
さらに本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、例えば媒体投入口を有する媒体処理装置で利用できる。
【符号の説明】
【0065】
1……硬貨処理装置、2……装置筐体、10、15……硬貨投入口、11……ガイドランプ、12……硬貨排出トレイ、13……リジェクトトレイ、14……硬貨収納部、16……アタッチメント、20……硬貨繰出部、21……繰出ディスク、30……通信部、31……制御部、32……硬貨処理部、40……投入センサ、41……モータ、100……POSレジ、101……紙幣処理装置。